JP2020059258A - 易開封性シーラントフィルムおよび包装体 - Google Patents

易開封性シーラントフィルムおよび包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリプロピレン系樹脂製容器と比較的低温のヒートシールで十分な強度で密封でき、また開封する場合に容易に剥離できると共に、界面剥離タイプで剥離した面に樹脂残りが起き難く、更にフィルムの透明性と耐ブロッキング性が良好な易開封性シーラントフィルムを提供する。【解決手段】少なくとも基材層とシール層とを有する共押出フィルムにおいて、前記基材層は、ポリオレフィン樹脂で構成され、前記シール層は、シングルサイト触媒を用いて製造された密度930kg/m3以下の線状ポリエチレン系樹脂(A)100〜60質量%と、ポリプロピレン系樹脂(B)0〜40質量%の樹脂組成物で構成され、前記樹脂(A)は少なくとも2種類からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂容器用の易開封性シーラントフィルム。【選択図】なし

Description

本願は、易開封性を有するシーラントフィルムおよびそのフィルムを用いた包装体を開示する。
従来、プラスチック材料からなるフィルムや容器形状の成形体を用い、内容物を収容して開口部を加熱によって密封する包装体が種々開発され提供されてきている。中でも、強度、防湿性、耐熱性、透明性、光沢性などの長所を有するポリプロピレン系樹脂製の成形容器と、その容器開口周縁部(フランジ部)にプラスチックフィルムを蓋材として対向させてヒートシールし密封した包装体が、食品・弁当等の容器や飲料カップ等に多用されている。包装体の内容物の例としては、プリン、ヨーグルト、ゼリー、カレールー、チョコレート、茶わん蒸し、各種惣菜などが挙げられる。
近年、それら包装体について、軽い力で開封できる易開封性の機能向上が進められ、蓋材用のシーラントフィルムに易開封性が付与されている。
例えば、市販品としては、シール層にポリプロピレン樹脂を主成分とし低密度ポリエチレン樹脂を配合したフィルム(例えば、特許文献1、特許文献2)や、シール層にエチレン・酢酸ビニル重合体とポリエチレン系樹脂と粘着性付与剤とを配合したフィルム(例えば、特許文献3)が提供されている。しかしながら、それらは何れも透明性が不十分であり、前者は、約160℃以上でのヒートシールが必要であったり、剥離機構がシール層内の凝集破壊であるため包装体の開封面に樹脂残りがあったりする不具合があった。また後者は、フィルムのブロッキングが起きやすいという不具合があった。
そのため、易開封性シーラントフィルムには、比較的低温でヒートシールできること、ポリプロピレン系樹脂容器の開封した剥離面に樹脂の残らない界面剥離の剥離機構で容易に開封できること、ブロッキングが発生し難いこと等が求められてきた。そこで、ポリプロピレン製容器用の易開封性シーラントフィルムとして、例えば、特許文献4には、低密度ポリエチレンとポリプロピレンと低結晶性ないし非晶性のエチレン−α・オレフィン共重合体を特定の比率で含有するフィルムが開示されている。また、特許文献5には、ポリプロピレンよりなる基材層に、ポリブテンと、高密度ポリエチレンと、線状低密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンと、ポリプロピレンとを特定の比率で含有するシール層を積層するフィルムが開示されている。
しかしながら、特許文献4には、120〜190℃のシール条件で剥離状態が界面剥離する例が記載されているものの、8.0N/15mm幅(816g/15mm幅)以上のヒートシール強度が得られるシール温度条件は150℃以上であり、低温シール性が不十分である。また、特許文献5の技術では、ポリブテンが伸びて剥離面が荒れやすく、また例えば、ホモポリプロピレン製容器とのピール強度(剥離強度)500gf/15mm幅(4.9N/15mm幅)を得るにはシール温度150℃以上が必要であり、より低い温度でのシール性が不十分であった。
特許文献1 特開昭58−209550号公報
特許文献2 特開2006−256637号公報
特許文献3 特開2001−131302号公報
特許文献4 特開平1−157847号公報
特許文献5 特開平6−328639号公報
以上より、本願では、ポリプロピレン系樹脂製容器と比較的低温のヒートシールで十分な強度で密封でき、また開封する場合に容易に剥離できると共に、界面剥離タイプで剥離した面に樹脂残りが起き難く、更にフィルムの透明性と耐ブロッキング性が良好な易開封性シーラントフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本願は、第1の形態として、少なくとも基材層とシール層とを有する共押出フィルムにおいて、前記基材層は、ポリオレフィン樹脂で構成され、前記シール層は、シングルサイト触媒を用いて製造された密度930kg/m以下の線状ポリエチレン系樹脂(A)100〜60質量%と、ポリプロピレン系樹脂(B)0〜40質量%の樹脂組成物で構成され、前記樹脂(A)は少なくとも2種類からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂容器用の易開封性シーラントフィルムを開示する。
第1の形態において、前記ポリエチレン系樹脂(A)は、少なくとも、メルトフローレート10g/10分以上40g/10分以下の樹脂(A1)と、メルトフローレート2.0g/10分以上10g/10分未満の樹脂(A2)とを含み、樹脂(A1)の樹脂(A2)に対するメルトフローレート比が5.0以上10.0以下であることが好ましい。
第1の形態において、前記樹脂(A1)と前記樹脂(A2)の合計を100質量%としたとき、樹脂(A1)が70〜30質量%、樹脂(A2)が30〜70質量%であることが好ましい。
第1の形態において、前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、シングルサイト触媒を用いて製造されたポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
第1の形態において、易開封性シーラントフィルムの前記シール層側をポリプロピレン系樹脂成形体とヒートシールし剥離させた場合に、剥離強度5.0〜20.0N/15mm幅でシール層と前記ポリプロピレン系樹脂成形体の表面との界面で剥離することが好ましい。
第1の形態において、ヘーズが20.0%以下であることが好ましい。
本願は、第2の形態として、第1の形態の易開封性シーラントフィルムを用いた包装体を開示する。
本開示の易開封性シーラントフィルムによれば、比較的低温のヒートシールでシール時間を長くすることなく十分な密封性と易剥離性を得ることができる。このため、ヒートシール工程において作業効率がよく、シールバーに樹脂が付着することがなく、ヒートシールした箇所の過熱による皺などの外観不良が起き難い。また、使用時の剥離開封において軽い力で剥離でき、剥離面が千切れたり荒れたりしないことから包装内容物への異物混入も起き難いという効果を得ることができる。
また、界面剥離タイプである上、剥離した面に樹脂残りが起き難く、更にフィルムの透明性が高いためフィルムの美観が良好であり、また、耐ブロッキング性が良好であるので、フィルム製造時におけるフィルム同士のブロッキングを防止でき、製造効率を向上させることができる。
本願において、易開封性はイージーピール性、易剥離性と同義である。また、シーラントフィルムは、ヒートシールフィルム、ヒートシール性フィルムと呼称する場合がある。
易開封性の指標として用いる剥離強度は、シール強度と同義であり、開封性および密封シール性の尺度となり、また開封強度と呼称する場合がある。
数値範囲を「〜」で示した場合は、以上以下を意味する。
また、「ポリプロピレン系樹脂容器用」とは、特に形状は限定されないポリプロピレン系樹脂からなる容器の開口部周辺部、例えば、フランジ部にヒートシールすることで、本開示の易開封性シーラントフィルムを該容器の蓋材として用いることを意味する。
<シール層>
本開示の易開封性シーラントフィルム(以下、本開示のフィルム、本フィルムと称する場合がある)のシール層は、シングルサイト触媒を用いて製造されたポリエチレン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)を含有する。
(ポリエチレン系樹脂(A))
本フィルムのシール層を構成するポリエチレン系樹脂(A)は、シングルサイト触媒を用いて製造される。シングルサイト触媒を用いて製造されるポリエチレン系樹脂は、分子量分布や組成分布が狭く、引張強度、衝撃強度が高く、低温シール性に優れる特徴を有する。分子量分布、つまり、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は、例えば、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。組成分布は、例えば、短鎖分岐度(SCB)40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。シングルサイト触媒の種類は特に限定されないが、代表的な例としてメタロセン触媒が挙げられる。以下、便宜的にシングルサイト触媒を用いて製造されたポリエチレン系樹脂を「M−PE」と記すことがある。
ポリエチレン系樹脂(A)の密度は、930kg/m以下が好ましく、910kg/m以下がより好ましく、900kg/m以下が更に好ましい。下限は特に限定されないが、一般に870kg/m以上が好ましく、875kg/m以上がより好ましい。密度930kg/m超の樹脂をフィルムのシール層に用いた場合は、低温シール性が損なわれる可能性がある。
更に、ポリエチレン系樹脂(A)は、線状低密度ポリエチレンであることがポリプロピレン系樹脂容器との熱接着性(相溶性、融着性、密着性)が安定している点で好ましい。以下、便宜的にシングルサイト触媒を用いて製造された線状低密度ポリエチレン系樹脂を「M−LL」と記すことがある。
ポリエチレン系樹脂(A)は、溶融流動性の異なる樹脂を少なくとも2種類用いることが好ましい。
少なくとも2種類の樹脂(A)としては、例えば、メルトフローレート(MFR)10g/10分以上40g/10分未満の樹脂(A1)と、メルトフローレート(MFR)2.0g/10分以上10g/10分未満の樹脂(A2)の少なくとも両者を用いることが好ましい。
また、樹脂(A1)の(A2)に対するメルトフローレート比が5.0以上10.0以下であることが好ましい。樹脂(A1)のMFRの下限は、15g/10分以上が好ましく、20g/10分以上がより好ましく、また樹脂(A2)のMFRの上限は、8.0g/10分以下が好ましく、5.0g/10分以下がより好ましい。
これらの2種類の溶融流動性の異なるポリエチレン系樹脂(A1)と樹脂(A2)は、被着体であるポリプロピレン系樹脂への熱接着性に寄与する熱溶融性や、透明性、耐ブロッキング性がそれぞれ異なるので、2種類を用いることにより双方の特性を補い合うことができる。また、樹脂(A1)と樹脂(A2)のMFR比が上記の範囲であると、2種類の樹脂を用いる上記特長がより効果的に発揮される。
ポリエチレン系樹脂(A)の樹脂(A1)と樹脂(A2)の合計を100質量%とした場合、樹脂(A1)を70〜30質量%、樹脂(A2)を30〜70質量%とすることが好ましい。さらに、樹脂(A1)を70〜50質量%、樹脂(A2)を50〜30質量%すると、例えば、120℃程度にヒートシール温度が低くても十分な密封性を有することができるので好ましい。また、樹脂(A1)を50〜30質量%、樹脂(A2)を50〜70質量%とすると、フィルムの透明性や光沢性が向上するので好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂(B))
本フィルムのシール層を構成するポリプロピレン系樹脂(B)は、特に限定されないが、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム、ブロック、グラフトの各種共重合体、およびこれらの混合物が挙げられる。中でも、プロピレン−エチレンランダム共重合体が、ポリエチレン系樹脂(A)との混和性、低温シール性の点から好ましい。
また、シングルサイト触媒を用いて製造される樹脂が好ましい。シングルサイト触媒を用いて製造されるポリプロピレン系樹脂は、分子量分布や組成分布が狭く、引張強度、衝撃強度が高く、低温シール性に優れる特徴を有する。シングルサイト触媒の種類は特に限定しないが、代表的な例としてメタロセン触媒が挙げられる。以下、便宜的にシングルサイト触媒を用いて製造されたポリプロピレン系樹脂を「M−PP」と記すことがある。
また、フィルムの低温ヒートシール性の観点から、ポリプロピレン系樹脂の融点は135℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、ポリエチレン系樹脂(A)のMFRと同等程度が好ましく、2.0〜40g/10分が好ましい。下限は5.0g/10分以上がより好ましく、上限は25g/10分以下がより好ましく、15g/10分以下が更に好ましい。2.0g/10分より低いとシール性(剥離強度)が強くなり過ぎてしまう。
ポリプロピレン系樹脂(B)の密度は、特に限定されないが、一般に920kg/m以下が好ましく、910kg/m以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、一般に880kg/m以上が好ましく、890kg/m以上がより好ましい。
(ポリエチレン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)と組成比)
シール層を構成するポリエチレン系樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)との組成比は、両者の合計を100質量%とした場合に、樹脂(A)が100〜60質量%と、樹脂(B)が0〜40質量%とすることが好ましく、樹脂(A)が100〜80質量%と、樹脂(B)が0〜20質量%とすることがより好ましく、樹脂(A)が95〜85質量%と、樹脂(B)が5〜15質量%とすることが更に好ましい。
樹脂(A)を60質量%以上、樹脂(B)を40質量%以下とすると、耐ブロッキング性と、被着体であるポリプロピレン系樹脂に対して融着する接着点の確保の点で好ましく、また、中でも、樹脂(A)を100質量%、樹脂(B)を0質量%の場合は、低温シール性が得易い点で好ましい。樹脂(A)が60質量%未満で、樹脂(B)が40質量%超の場合は、低温シール性が得難い。
<基材層>
本フィルムの基材層は、ポリオレフィン樹脂で構成される。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が経済性の点で好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。
<フィルムの層構成>
本フィルムは、少なくとも基材層とシール層を有する共押出フィルムであればよく、他の層を1層以上有してもよい。例えば、他の層/基材層/シール層、他の層/他の層/基材層/シール層、基材層/他の層/シール層、などの構成が挙げられる。他の層を構成する樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
本フィルムの総厚は、経済性、汎用性の点で10〜60μmが好ましく、15〜50μmがより好ましい。シール層厚は、剥離強度(シール強度)の調整の点から1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。基材層厚は、10〜30μmが好ましい。
本フィルムの、基材層、シール層、他の層の各層には、本フィルムの機能・効果を損わない範囲で、公知の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、防曇剤、帯電防止剤、顔料、着色剤、滑剤、充填剤、ブロッキング防止剤、などが挙げられる。
なお、本フィルムのシール層を構成する樹脂の100〜60質量%がポリエチレン系樹脂(A)であり、また特に930kg/m以下の低密度ポリエチレン系樹脂であると、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする場合に比べ、界面活性剤からなる防曇剤をシール層に混合した場合に防曇剤のシール層表面へのブリードアウトが起きやすく、フィルムへの防曇性の付与に好適である。
また、本フィルムの基材層側に、他のフィルムをドライラミネート等の公知の手法で積層してもよい。他のフィルムとしては、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどの無延伸または延伸フィルムや、エチレン−ビニルアルコール共重合体層や、シリカ、アルミナの蒸着層を有するガスバリア性フィルムが挙げられる。
<ヒートシール性、易開封性>
本フィルムは、シール層をポリプロピレン系樹脂からなる被着体と対向させてヒートシールし、剥離させる際の強度、すなわち剥離強度が5.0〜20.0N/15mm幅であることが好ましい。内容物を十分に密封するシール性としては、5.0N/15mm幅以上が好ましく、8.0N/15mm幅以上がより好ましい。一方、軽い力で開封できる易開封性としては20.0N/15mm幅以下が好ましく、18.0N/15mm幅以下がより好ましく、15.0N/15mm幅以下が更に好ましい。
また、本フィルムは、フィルムが千切れることなく、シール層と被着体表面との界面で剥離し、剥離後に現れる剥離表面が、樹脂残りがなく、また伸び縮みで荒れることなく、美麗であることが好ましい。
また、本フィルムとポリプロピレン系樹脂からなる被着体とから包装体を作製するヒートシール温度は、包装材である本フィルムおよび/または被着体の組成や厚みにより適宜選定できるが、ヒートシール工程の短時間化、ヒートシールバーへの樹脂付着防止、包装材のシール部の美観性などの観点から、より低温で十分に密着シールできる条件を選定することが好ましい。本フィルムは低温ヒートシール性が良好であるので、130〜180℃程度の温度範囲で良好なシール性と易剥離性の兼備が可能である。さらに安定したシール性、密着性と易剥離性の両者の兼備の点では、140〜180℃の温度範囲で8.0N/15mm幅以上15.0N/15mm幅以下の剥離強度が得られることが好ましい。また、より低温の120℃程度から、更には110℃程度からシール性と剥離性を兼備すると好ましい。
なお、ヒートシールの被着体種類やシール条件は限定しないが、本発明の評価においては、被着体に厚み300μmのポリプロピレン単独重合体からなる無延伸シートを用い、圧力0.2MPa、時間1秒、シールバー幅5mmの条件でヒートシールし、室温まで放冷した後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で試験を行った。
<耐ブロッキング性>
本フィルムは耐ブロッキング性が良好であり、例えば、インフレーションフィルム成形において、チューブ状(円筒状)フィルムのシール層同士を内向きに対向させて折り畳んだ状態から両端を切り開いてフィルムを巻き取る工程での口開き(開口性)が良い。またインフレーションフィルム成形やT−ダイフィルム成形で巻き取ったロールが固着し難く、フィルムを巻き出し易い。
<光学物性>
本フィルムは透明性が良好であり、例えば、ヘーズは20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましく、10%以下が特に好ましい。ヘーズが小さく透明性が高いことでフィルムの美観が良く、また蓋材として積層体に印刷を施す場合に色合いに影響を及ぼし難い。
また、本フィルムのグロスは90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。グロス値が高いほど、フィルムの光沢性が良く望ましい。
<フィルムの製造方法>
本フィルムは、少なくとも基材層とシール層を有し、公知の共押出法で製造できる。すなわち、基材層、シール層を構成する各樹脂組成物をTダイ法やインフレーション法の共押出機でフィルム製膜するとよい。なお、各樹脂や添加剤は、所定の組成比率で各層押出機に入れて樹脂組成物としてもよいし、予め各樹脂や添加剤を溶融混練して樹脂組成物を作製してから各層押出機に入れてもよい。
なお、本フィルムのシール層の樹脂組成において、MFRの高いポリエチレン系樹脂(A1)の組成比率が高い場合は、樹脂の溶融押出工程での樹脂圧が低めになる場合があり、その場合は押出温度をより低温に設定する、MFRの低い樹脂を配合する等してフィルム製膜するとよい。
<包装体>
本フィルムを単独で、または本フィルムと他のフィルムとを積層して蓋材として用い、ポリプロピレン系樹脂容器の開口部周縁部(フランジ部)とヒートシールし、包装体を作製することができる。ポリプロピレン系樹脂容器の形状や製法は限定されないが、例えば、カップ、トレー、深絞り成形体などが挙げられ、公知の方法で製造できる。また、本フィルムを用いた蓋材とのヒートシールは公知の方法、条件でシールすることが可能であり、ヒートシール後のシール箇所が皺や糸引きなどの外観不良が発生しない条件を選択し、できるだけ低温、短時間でヒートシールすることが生産効率の点で望ましい。
<測定法>
上述の各種樹脂およびフィルムの物性測定は、以下の方法で行う。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1;2014に準拠して測定する。その試験条件は、JIS K6922−1、JIS K6921−1に準ずる。試験温度はポリエチレン190℃、ポリプロピレン系樹脂230℃、試験荷重はポリエチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂ともに2.16kgである。
密度の測定は、JIS K7112:1999に準拠して測定する。
融点の測定は、JIS K7121:2012に準拠して測定する。
剥離強度の測定は、実施例に示す方法で行う。
<基材層を構成する樹脂>
・PE1:メタロセン触媒を用いて製造した線状ポリエチレン系樹脂、密度925kg/m、融点121℃、MFR1.9g/10分。
<シール層を構成する樹脂>
・PE2(A1):メタロセン触媒を用いて製造した線状ポリエチレン樹脂、密度880kg/m、融点58℃、MFR30g/10分。
・PE3(A2):メタロセン触媒を用いて製造した線状ポリエチレン樹脂、密度898kg/m、融点90℃、MFR3.5g/10分。
・PP1(B):メタロセン触媒を用いて製造したプロピレン−エチレンランダム共重合体、密度900kg/m、融点125℃、MFR7.0g/10分。
<比較例1〜4、実施例1〜5>
基材層としてPE1を用い、シール層にPE2、PE3、PP1を表1に示す樹脂組成として、表1に示す基材層およびシール層の層厚とした2種2層押出フィルム(総厚30μm)を、空冷インフレーション共押出フィルム製膜機を用いて作製した。下記評価を行い、結果を表2に示す。なお、表中「−」は未測定を意味する。
<シール性、剥離性評価>
作製した共押出フィルムのシール層に、被着体(ポリプロピレン系樹脂成形体)として300μm厚のプロピレン単独重合体からなる無延伸シートを対向させ、表2に示した110〜180℃の所定のシール温度で、シール圧0.2MPa、シール時間1秒、シール幅5mmの条件でテスター産業(株)製ヒートシールテスターを用いてヒートシールし、室温下で保管した。その後、(株)オリエンテック製引張試験機テンシロンを用い、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で剥離試験を行った。また、剥離後の剥離面について、被着体側の剥離面に剥離痕があるか否か、フィルム側の剥離面が白化しているか否かの観点で目視観察し、界面剥離状態として、被着体側に剥離痕が無く且つフィルム側が白化していない場合を「接着不十分:×」、被着体側に剥離痕が無く且つフィルム側が白化している場合を「良:○」、被着体側に剥離痕がある場合を「不良:△」と判断した。
<その他物性評価>
ヘーズ(曇り度)は、日本電色工業(株)製ヘーズメーターを用い、JIS K7136に準じて測定した。
グロス(光沢度)は、(株)村上色彩技術研究所製光沢計を用い、フィルムのシール層面を受光角60度の条件で測定した。
ブロッキング性は、インフレーションフィルムの製膜工程において、チューブ状態から切り開いてフィルムに巻き取る際のチューブの開口のし易さ(開口性)の良し悪し(〇、×)を判断した。
<評価結果>
低温シール性について、実施例1〜5は何れもシール温度130℃以上から5.0N/15mm幅以上の剥離強度(すなわちシール強度)を得ることができた。更には実施例1では120℃において、実施例5では110℃、120℃において5.0N/15mm幅以上を得ることができた。また、実施例1〜5は何れも140℃において8.0N/15mm幅以上の剥離強度を得ることができ、十分な低温シール性を有した。他方、比較例3は140℃において8.0N/15mm幅未満であり、低温シール性が不十分であった。
易開封性について、実施例1〜5は何れもシール温度180℃まで剥離強度20.0N/15mm幅以下で剥離できた。また、シール温度130〜180℃では、剥離状態は「良」評価であった。更には、実施例1〜4は180℃まで15.0N/15mm幅以下であり、易開封性に優れていた。他方、比較例2、比較例4は、180℃または160℃において20.0N/15mm幅以上であり易開封性が不十分であった。
光学物性について、実施例1〜5は何れもヘーズが15.0%以下と良好であり、更には実施例3〜5は10.0%以下と透明性に優れていた。他方、比較例3はヘーズ20.0%以上であり、透明性が欠けていた。また、実施例1〜5は何れもシール面のグロスが90.0%以上と良好であり、中でも実施例3、実施例4は95.0%以上と光沢性に優れていた。他方、比較例1はグロス90.0%未満と低かった。
インフレーションフィルムの開口性は、実施例1〜5の何れもフィルム製膜工程において支障なく、耐ブロッキング性は良好であった。他方、比較例1はチューブフィルムの口開きがスムーズにできず、ブロッキングの傾向が見られ、ブロッキング改良のためにはアンチブロッキング剤の添加増量が必要であり、それに伴い透明性の悪化が懸念された。
本開示の易開封性シーラントフィルムは、比較的低温のヒートシール温度で且つシール時間を長くすることなく、十分な密封性と易剥離性の得られるヒートシールを行うことができる。そのため、ヒートシール工程の作業効率を向上させることができる。また、シールバーに樹脂が付着したり、ヒートシール箇所の外観不良が起きたり、剥離面が千切れて包装内容物への異物混入したり等の、包装体製造時及び消費時に不具合が発生し難い。
また、界面剥離タイプである上、剥離した面に樹脂残りが起き難く、更にフィルムの透明性が高いためフィルムの美観が良好であり、また、耐ブロッキング性が良好であるので、フィルム製造時におけるフィルム同士のブロッキングを防止でき、製造効率を向上することができる。
このような有用性の高いフィルムを提供できる。

Claims (7)

  1. 少なくとも基材層とシール層とを有する共押出フィルムにおいて、
    前記基材層は、ポリオレフィン樹脂で構成され、
    前記シール層は、シングルサイト触媒を用いて製造された密度930kg/m以下の線状ポリエチレン系樹脂(A)100〜60質量%と、ポリプロピレン系樹脂(B)0〜40質量%の樹脂組成物で構成され、前記樹脂(A)は少なくとも2種類からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂容器用の易開封性シーラントフィルム。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂(A)は、少なくとも、
    メルトフローレート10g/10分以上40g/10分以下の樹脂(A1)と、
    メルトフローレート2.0g/10分以上10g/10分未満の樹脂(A2)とを含み、
    樹脂(A1)の樹脂(A2)に対するメルトフローレート比が5.0以上10.0以下である請求項1に記載の易開封性シーラントフィルム。
  3. 前記樹脂(A1)と前記樹脂(A2)の合計を100質量%としたとき、樹脂(A1)が70〜30質量%、樹脂(A2)が30〜70質量%である請求項1または2に記載の易開封性シーラントフィルム。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、シングルサイト触媒を用いて製造されたポリプロピレン系樹脂である請求項1〜3の何れかに記載の易開封性シーラントフィルム。
  5. 易開封性シーラントフィルムの前記シール層側をポリプロピレン系樹脂成形体とヒートシールし剥離させた場合に、剥離強度5.0〜20.0N/15mm幅でシール層と前記ポリプロピレン系樹脂成形体の表面との界面で剥離する請求項1〜4の何れかに記載の易開封性シーラントフィルム。
  6. ヘーズが20.0%以下である請求項1〜5の何れかに記載の易開封性シーラントフィルム。
  7. 請求項1〜6の何れかの易開封性シーラントフィルムを用いた包装体。
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