以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るロボットシステム10の概略構成を示す説明図である。図1において、ロボットシステム10は、ロボット装置100と、ロボット装置100を制御する制御装置600とを有する。制御装置600には、外部コンピュータやティーチングペンダント等の外部装置610が接続される。ロボット装置100は、産業用ロボットであり、生産ラインに配備される。
ロボット装置100は、ロボットアーム101と、エンドエフェクタの一例であるロボットハンド102とを有する。ロボットハンド102は、ロボットアーム101に着脱可能となっており、図1の例では、ロボットアーム101に装着されている。ロボットアーム101は、ロボットアーム本体1010を含む。ロボットハンド102は、エンドエフェクタ本体であるハンド本体1020を含む。そして、ロボットアーム本体1010とハンド本体1020とが、これらの間に配置された、取付機構であるインタフェース装置20により連結される。ロボットアーム101は、インタフェース装置20の第1部分を含む。ロボットハンド102は、インタフェース装置20の第2部分を含む。インタフェース装置20の第1部分は、ロボットアーム本体1010に設けられ、インタフェース装置20の第2部分は、ハンド本体1020に設けられている。インタフェース装置20の第1部分と第2部分とを結合させることにより、ロボットハンド102をロボットアーム101に装着することができる。
ロボットアーム101は、垂直多関節のロボットアームであり、6つの関節J1〜J6で直列して連結された7つのリンク110〜116を有する。リンク110は、ベース部材のベース面150に固定され、各リンク111〜116は、各関節J1〜J6で揺動又は回転可能となっている。図1において、各関節J1〜J6における回転方向を、矢印A1〜A6で示す。なお、いずれかのリンクは、例えば、直動アクチュエータにより直動可能であってもよい。
ハンド本体1020は、掌部121と、掌部121に対して開閉する方向に移動する複数のフィンガ122とを有する。掌部121は、不図示のモータを有する。掌部121の不図示のモータにより、フィンガ122が開閉駆動される。
ベース面150におけるロボット装置100の近傍には、ロボットアーム101に非装着のエンドエフェクタを支持可能な支持台501,502が配置されている。図1の例では、支持台502には、ロボットアーム101に装着可能なエンドエフェクタの一例であるロボットハンド103が配置されている。ロボットハンド103も、ロボットハンド102と同様、インタフェース装置20の第2部分を有する。ロボットアーム101にロボットハンド102が装着されている場合には、ロボットハンド102をロボットアーム101から取り外して、ロボットハンド103に交換することができる。ロボットアーム101にロボットハンド103が装着されている場合には、ロボットハンド103をロボットアーム101から取り外して、ロボットハンド102に交換することができる。
制御装置600は、例えばコンピュータである。制御装置600は、プロセッサであるCPU601と、CPU601に各部を制御させるプログラムを記憶するROM602と、教示点や制御指令などのデータを一時的に格納するRAM603と、通信インタフェース(I/F)604とを有する。外部装置610は、制御装置600に対して有線又は無線で制御装置600と通信可能に接続することができ、ロボット装置100の操作および状態表示などのユーザインタフェース機能を有する。CPU601は、例えば外部装置610から入力された教示点データに基づきロボットアーム101の各関節の軌道を生成し、I/F604を介してロボットアーム101の各関節の動作を制御する。
ベース面150に水平な方向であって、互いに直交する2方向を、X方向及びY方向とする。また、ベース面150に垂直な下方向をZ1方向、Z1方向に対して反対の上方向をZ2方向とする。
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係るロボットアーム101とロボットハンド102との連結構造の説明図である。図2(a)は、ロボットアーム101からロボットハンド102を取り外した状態、図2(b)は、ロボットアーム101にロボットハンド102を取り付けた状態を示している。なお、図2(a)及び図2(b)には、説明の便宜上、一部分を断面で図示している。本実施形態では、ロボットハンド102の交換作業は、作業者が行う。ロボットハンド102は重量物であるため、ロボットハンド102の交換作業は、ロボットアーム101を図2(a)及び図2(b)の姿勢にして行う。即ち、ロボットアーム101の先端が上を向くように、ロボットアーム101の姿勢を調整しておく。これにより、ロボットハンド102の交換作業が容易となる。第1実施形態では、ロボットアーム101の先端が上を向いているときのZ1方向が、所定方向である。なお、図2(a)及び図2(b)において、ロボットアーム101は、リンク114に対して先端側について部分的に図示し、残りの基端側の部分については図示を省略している。
インタフェース装置20は、ロボットアーム本体1010のうち、先端に位置する回転部であるリンク116に取り付けられた第1部材であるマスタープレート201を有する。マスタープレート201は、不図示のボルト等でリンク116に固定される。よって、マスタープレート201は、ロボットアーム本体1010、即ちリンク116に着脱可能である。インタフェース装置20は、ハンド本体1020のうち、掌部121に取り付けられた第2部材であるツールプレート202を有する。ツールプレート202は、不図示のボルト等で掌部121に固定される。よって、ツールプレート202は、ハンド本体1020、即ち掌部121に着脱可能である。
マスタープレート201は、第1主面である平面211を含む。ツールプレート202は、平面211に当接可能な第2主面である平面212を含む。インタフェース装置20は、平面212を平面211に当接させた状態で、マスタープレート201にツールプレート202を締結する締結機構203を有する。本実施形態では、インタフェース装置20は、締結機構203を複数、例えば2つ有する。
マスタープレート201には、第1電気接続部であるコネクタ251が支持されている。コネクタ251は、マスタープレート201の中空部分に配置されている。ツールプレート202には、第2電気接続部であるコネクタ252が支持されている。コネクタ252は、ツールプレート202の中空部分に配置されている。コネクタ251は、複数の第1接点である接点261を含み、コネクタ252は、複数の第2接点である接点262を含む。
マスタープレート201に固定されたコネクタ251の各接点261には、ロボットアーム101のロボットアーム本体1010の内部又は外部に配置された、信号線又は電源線等の配線241に接続されている。配線241は、図1に示す制御装置600から延びている。配線241をロボットアーム101のロボットアーム本体1010の内部に配置すれば、配線241がロボット装置100の周辺に配置された部材に干渉するのを防止することができる。
ツールプレート202に固定されたコネクタ252の各接点262には、ロボットハンド102のハンド本体1020の内部又は外部に配置された、信号線又は電源線等の配線242に接続されている。配線242は、掌部121内に配置された不図示の制御基板やモータ等に接続されている。配線242をロボットハンド102のハンド本体1020の内部に配置すれば、配線242がロボット装置100の周辺に配置された部材に干渉するのを防止することができる。
平面212が平面211に当接した際、複数の接点262は、複数の接点261に接触する。これにより、配線241と配線242との導通が確立される。複数の接点261及び複数の接点262のうち一方、本実施形態では複数の接点262のそれぞれは、バネ接点となっており、平面212が平面211に当接した際、複数の接点261のそれぞれに圧接する。
回転部であるリンク116は、関節J6でリンク115に対して所定の回転軸線である回転軸線L6を中心に矢印A6の方向に回転する。よって、リンク116に固定されたマスタープレート201、及びマスタープレート201に固定されたコネクタ251も、リンク116と共に回転軸線L6まわりに回転する。
生産ラインにおいて、ロボットアーム101を動作させる場合、ロボットハンド102の重量、又はロボットハンド102の重量とロボットハンド102が把持したワークの重量により、インタフェース装置20には、荷重がかかる。例えば、ロボットハンド102が第1ワークを把持して第1ワークを高速搬送する場合や第1ワークを第2ワークに組み付ける場合などである。このようにロボットハンド102に外力が加わると、ツールプレート202がマスタープレート201に締結機構203で締結されていても、ツールプレート202がマスタープレート201に対してモーメントが働き傾こうとする。この傾きにより、マスタープレート201の平面211とツールプレート202の平面212とが部分的に離間する。離間距離は、回転軸線L6から径方向外側に離れるほど長くなる傾向にある。ロボットハンド102に加わる外力の方向は、ロボットアーム101の姿勢や動作の加速度に応じて変化するため、ツールプレート202の傾きの方向も変化する。したがって、ツールプレート202において、マスタープレート201に対して遠ざかる箇所も回転軸線L6を中心に周方向に変化する。
本実施形態では、コネクタ251は、回転軸線L6上に配置されている。ロボットハンド102がロボットアーム101に装着されている場合、コネクタ251にはコネクタ252が装着されるので、コネクタ252も回転軸線L6上に位置する。これにより、マスタープレート201に対してツールプレート202が外力により傾いたとしても、回転軸線上のマスタープレート201とツールプレート202との離間距離は短い。したがって、ロボットアーム101を高速動作させても、各接点261と各接点262との接触状態、即ち接触圧が保たれ、接点同士の電気的な接続が安定化する。接点同士の電気的な接続が安定化するので、ノイズが発生したり、電力の瞬断等が発生したりするのを防止することができ、これにより、ロボット装置100を非常停止させることが減る。よって、ロボット装置100によって製造する製品の生産性が向上する。
マスタープレート201及びツールプレート202の一方、本実施形態ではツールプレート202は、平面212から突出する第1位置決めピンである位置決めピン281と、第2位置決めピンである位置決めピン282とを有する。各位置決めピン281,282は、コネクタ252に対し径方向外側に配置されている。即ち、ツールプレート202の中心部は、コネクタ252及び配線242が配置される中空部分となっているため、各位置決めピン281,282は、中空部分の周囲に配置される。また、位置決めピン281,282は、回転軸線L6を中心に180度回転対称な位置に配置されている。
マスタープレート201及びツールプレート202の他方、例えばマスタープレート201には、位置決めピン281が嵌る第1位置決め穴である位置決め穴271と、位置決めピン282が嵌る第2位置決め穴である位置決め穴272とが形成されている。各位置決め穴271,272は、平面211に対して凹んでいる。各位置決め穴271,272は、コネクタ251に対し径方向外側に配置されている。即ち、マスタープレート201の中心部は、コネクタ251及び配線241が配置される中空部分となっているため、各位置決め穴271,272は、中空部分の周囲に配置される。また、位置決め穴271と位置決め穴272とは、回転軸線L6を中心に180度回転対称な位置に配置されている。各位置決めピン281,282が各位置決め穴271,272に嵌ることによって、ツールプレート202、即ちコネクタ252が、マスタープレート201、即ちコネクタ251に対して高精度に位置決めされる。このように位置決めされたツールプレート202は、締結機構203によりマスタープレート201に締結固定される。これにより、接点261,262同士の電気的な接続が安定化する。
図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係るロボットアーム及びロボットハンドを、Z1方向に見た平面図である。図2(a)、図2(b)、図3(a)、及び図3(b)に示すように、締結機構203は、締結具の一例である、マスタープレート201に分離可能に取り付けられたボルト231を有する。締結機構203は、マスタープレート201に取り付けられたボルト231の頭部2311によって押圧されることにより、ツールプレート202をマスタープレート201に押圧する第3部材である押圧部材233を有する。マスタープレート201は、ボルト231が螺合する螺合孔221を有する。
押圧部材233は、ツールプレート202の平面212とは反対の面の側に、X方向にスライド可能に設けられている。ボルト231は、マスタープレート201の平面211に取り付けられている。押圧部材233には、長穴234が形成されている。押圧部材233は、長穴234に嵌るボルト232でツールプレート202に支持されており、これにより、長穴234の長手方向であるX方向にスライド自在となっている。
ツールプレート202には、マスタープレート201の螺合孔221に螺合されたボルト231の頭部2311が通過可能な、挿通部の一例である貫通孔236が形成されている。ツールプレート202の平面212をマスタープレート201の平面211に当接させる際に、ボルト231の頭部2311が、貫通孔236を通過して、ツールプレート202からZ2方向に突出する。
押圧部材233には、押圧部材233がスライドすることによってボルト231の頭部2311に係脱可能とする、貫通孔236を絞る絞り部の一例である切欠235が形成されている。切欠235は、ボルト231の頭部2311が押圧部材233に係合するように、貫通孔236よりも狭い開口となっている。切欠235は、長穴234と平行な長手方向であるX方向に直線状に延びている。図3(a)には、押圧部材233が第1位置である退避位置P1に移動して、切欠235がボルト231から離脱した状態を図示している。図3(b)には、押圧部材233が第2位置である係合位置P2に移動して、切欠235がボルト231に係合した状態を図示している。切欠235の短手方向の幅は、図2(a)及び図2(b)に示すボルト231の軸部2312の径よりも広く、ボルト231の頭部2311よりも狭い。押圧部材233がスライドして切欠235にボルト231の軸部2312が嵌ることにより、ボルト231の頭部2311によって押圧部材233をツールプレート202に押圧することができる。ツールプレート202は、ボルト231の頭部2311によって押圧される押圧部材233によって、マスタープレート201に押圧される。
ロボットハンド102をロボットアーム101に取り付ける方法について詳細に説明する。図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態に係るロボットハンド102をロボットアーム101に取り付ける方法を説明するための図である。図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)には、インタフェース装置20の断面を模式的に図示している。
図4(a)に示すように、ロボットアーム101とロボットハンド102とを用意する。ロボットハンド102のツールプレート202の各位置決めピン281,282を、ロボットアーム101のマスタープレート201の各位置決め穴271,272に対向させる。この状態からロボットハンド102をZ1方向に移動させ、図4(b)に示すように、ツールプレート202の各位置決めピン281,282を、マスタープレート201の各位置決め穴271,272に挿入して行く。マスタープレート201の螺合孔221に螺合させておいた各ボルト231の頭部2311及び軸部2312の一部は、各貫通孔236を通過して、ツールプレート202に対してZ2方向に突出する。また、ツールプレート202に支持された押圧部材233は、ボルト231に係合する図3(b)の係合位置P2から退避させている。押圧部材233を図3(a)の退避位置P1に移動させているので、ロボットハンド102をロボットアーム101の先端に載置させた際に、ボルト231の頭部2311が、押圧部材233の貫通孔236を通り抜け可能となる。これにより、ボルト231の頭部2311が押圧部材233に衝突するのを回避することができる。
図4(a)の状態から図4(b)の状態となるまでのロボットハンド102の位置決め動作について具体的に説明する。位置決めピン281は、第1ストレート部である円柱状のストレート部2811と、ストレート部2811に連結された先細りの第1テーパ部である円錐台状のテーパ部2812と、を含む。位置決めピン282は、第2ストレート部である円柱状のストレート部2821と、ストレート部2821に連結された先細りの第2テーパ部である円錐台状のテーパ部2822と、を含む。各テーパ部2812,2822の基端、即ち各ストレート部2811,2821が、各位置決め穴271,272に嵌合し始めた位置において、マスタープレート201に対するツールプレート202のX方向及びY方向の位置決めが完了する。この位置決め作用により、平面212は、平面211に対して平行となる。マスタープレート201に対するツールプレート202のX方向及びY方向の位置決めが完了した位置において、接点262は接点261に接触する直前となる。この状態で更にロボットハンド102をZ1方向に押し込むと、図4(b)に示すようにコネクタ252の複数の接点262は、コネクタ251の複数の接点261にほぼ同時に接触する。即ち、この接続動作でコネクタ252がコネクタ251に対して傾くのが防止され、また、各接点261に各接点262が位置決めされているので、安定してコネクタ251,252同士を接続することができる。このような位置決め機構により、ロボットハンド102の取り付けの再現性が向上する。ロボットハンド102の取り付けの再現性が向上するので、ロボットハンドの交換による教示時間を削減することができる。
次に、各締結機構203における押圧部材233を、図5(a)に示すように、回転中心である回転軸線L6に向かう、Z1方向と直交するX1方向にスライドさせることにより、押圧部材233が図3(b)に示す係合位置P2に移動する。これにより、図5(b)に示すように押圧部材233の切欠235にボルト231の軸部2312が嵌り、ボルト231の頭部2311が押圧部材233に係合して貫通孔236を通り抜けないようになる。押圧部材233は、Z1方向に見て、係合位置P2に移動した際に、貫通孔236の一部を覆う。ボルト231は、係合位置P2に位置している状態で締め付け操作されることにより、押圧部材233と共にツールプレート202をZ1方向に押圧し、ツールプレート202をマスタープレート201に締結する。すなわち、ボルト231が締め付け操作されることにより、押圧部材233とボルト231の頭部2311とが接触して押圧部材233がZ1方向に押圧される。このボルト231の締め付けによって、押圧部材233がツールプレート202に押圧され、ツールプレート202がマスタープレート201と押圧部材233とで挟み込まれる。即ち、ツールプレート202は、押圧部材233にZ1方向に押圧されることにより、マスタープレート201に圧接され、これにより、ロボットハンド102がロボットアーム101へ取り付けられる。
ロボットアーム101からロボットハンド102を取り外す際には、逆の操作を行えばよい。即ち、ボルト231を緩め、押圧部材233をスライドさせてボルト231の頭部2311に干渉しない図3(a)の退避位置P1に退避させればよい。図1に示す別のロボットハンド103をロボットアーム101に装着する場合も同様に行えばよい。即ち、ロボットハンド103においても、ロボットハンド102と同様のインタフェース装置20の構成要素、本実施形態ではツールプレート202及び押圧部材233をハンド本体に設けておけばよい。ボルト231は、ロボットアーム101に装着され得る複数のエンドエフェクタで共通に用いることができる。よって、ロボットハンド102又は103をロボットアーム101から取り外す際には、ボルト231は、押圧部材233がスライドできる程度に緩めるだけでよく、ロボットアーム101から取り外す必要はない。よって、ロボットハンドの交換作業が容易となる。また、マスタープレート201に設けられたボルト231によってもロボットハンド102をロボットアーム101に粗く位置決めすることができ、ロボットハンドの交換作業が容易となる。
第1実施形態によれば、ロボットアーム101にロボットハンド102又は103を、インタフェース装置20によって連結することができるので、ロボットハンドの交換を簡単かつ迅速に行うことができる。更に、ロボットハンド102又は103の取り付けの再現性が向上するとともに、接点261,262同士の電気的な接続が安定化し、ロボット装置100の耐久性が向上する。また、生産ラインに配置した組立自動機であるロボット装置100における段取り替えを簡単かつ迅速に行うことが可能となる。
また、ロボットハンドの他の形態として、掌部121をZ方向に短くし、ロボットハンドの小型化を図る場合がある。その際、ハンド本体1020と貫通孔236とが近づくことになるが、図2(b)のようにハンド本体1020が、貫通孔236の一部を覆うように構成されている場合、普通のドライバではなく、L字型のドライバを使用することがある。一般的にL字型ドライバは多く回転させる際には労力を必要とするが、本実施形態では、少しだけボルト231を緩めるだけでロボットハンドの取り外しを行うことができる。よって、ドライバを多く回転させなくても良くなるため、L字型ドライバを使用してボルト231を締めつけたり緩めたりする際には、本実施形態は特に効果を発揮する。
[第2実施形態]
第2実施形態に係るロボット装置の取付機構であるインタフェース装置について説明する。図6は、第2実施形態に係るロボット装置のインタフェース装置20Aの説明図である。図6には、インタフェース装置20Aの断面を模式的に図示している。第2実施形態のロボット装置は、ロボットアーム101Aと、ロボットアーム101Aに着脱可能な、エンドエフェクタの一例であるロボットハンド102Aとを有する。なお、ロボットアーム本体、及びエンドエフェクタ本体であるハンド本体の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図6に示すように、第2実施形態に係る取付機構であるインタフェース装置20Aは、第1部材であるマスタープレート201Aと、第2部材であるツールプレート202Aと、を有する。マスタープレート201Aは、図1のロボットアーム本体1010におけるリンク116に取り付けられる。ツールプレート202Aは、図1のハンド本体1020における掌部121に取り付けられる。マスタープレート201Aは、第1主面である平面211Aを含む。ツールプレート202Aは、マスタープレート201Aの平面211Aに当接可能な第2主面である平面212Aを含む。
マスタープレート201Aには、第1実施形態と同様、コネクタ251が固定され、ツールプレート202Aには、第1実施形態と同様、コネクタ252が固定されている。マスタープレート201Aは、中空部分を有し、コネクタ251は、中空部分に配置されている。ツールプレート202Aは、中空部分を有し、コネクタ252は、中空部分に配置されている。
図7は、第2実施形態に係るロボットアームの先端の平面図である。コネクタ251は、第1実施形態と同様、回転軸線L6上に配置されている。図6に示すコネクタ252もコネクタ251に装着された場合には、回転軸線L6上に位置する。これにより、ロボットアーム101Aを高速動作させても、各接点261と各接点262との接触状態、即ち接触圧が保たれ、接点261,262同士の電気的な接続が安定化する。接点261,262同士の電気的な接続が安定化するので、ノイズが発生したり、電力の瞬断等が発生したりするのを防止することができ、これにより、ロボット装置を非常停止させることが減る。よって、ロボット装置によって製造する製品の生産性が向上する。
図6に示すように、インタフェース装置20Aは、平面212Aを平面211Aに当接させた状態で、マスタープレート201Aにツールプレート202Aを締結可能な締結機構203Aを有する。本実施形態では、インタフェース装置20Aは、締結機構203Aを複数、例えば2つ有する。
各締結機構203Aは、第4部材である楔部材233Aを有する。楔部材233Aは、マスタープレート201A及びツールプレート202Aを挟持することで、マスタープレート201A及びツールプレート202Aを連結することができる。
各締結機構203Aは、マスタープレート201A又はツールプレート202A、本実施形態ではマスタープレート201Aに楔部材233Aを固定する締結具の一例として、マスタープレート201Aに分離可能に取り付けられるボルト231Aを有する。マスタープレート201Aは、ボルト231Aが螺合する螺合孔を有する。楔部材233Aには、図7に示すように、ボルト231Aの軸部2312Aが通過する貫通孔234Aが形成されている。即ち、貫通孔234Aは、ボルト231Aの軸部2312Aよりも広く、ボルト231Aの頭部2311Aよりも狭い。ボルト231Aを締め付け方向に回転させることにより、楔部材233Aは、ボルト231Aの頭部2311Aに押圧される。楔部材233Aは、ボルト231Aの頭部2311Aに押圧されることにより、マスタープレート201Aとツールプレート202Aとに当接し、マスタープレート201Aとツールプレート202Aとを挟持することになる。このように、ボルト231Aは、楔部材233Aをマスタープレート201Aとツールプレート202Aとに当接させて、楔部材233Aにマスタープレート201Aとツールプレート202Aとを挟持させることができる。なお、図7には、説明の便宜上、一部を切断した楔部材233Aを図示している。
楔部材233Aは、図6に示すように、ボルト231Aがマスタープレート201Aの螺合孔に螺合した状態で緩められたとき、マスタープレート201Aとツールプレート202Aとが接離可能とする位置に退避可能にボルト231Aに支持される。これにより、楔部材233Aは、ボルト231Aをマスタープレート201Aから取り外さなくても、マスタープレート201Aに対して接離するツールプレート202Aに衝突するのが回避される。
楔部材233Aは、楔を形成する一対の傾斜面2331,2332を有する。マスタープレート201Aは、その側壁面に形成された、楔部材233Aの傾斜面2331が当接し得る、第1傾斜面である傾斜面2010を有する。ツールプレート202Aは、その側壁面に形成された、楔部材233Aの傾斜面2332が当接し得る、第2傾斜面である傾斜面2020を有する。
本実施形態では、楔部材233Aは、ボルト231Aの軸部2312Aに沿ってスライド可能にボルト231Aに支持される。楔部材233Aは、ボルト231Aの軸部2312Aに沿ってスライドすることで、傾斜面2331がマスタープレート201Aの傾斜面2010に当接する。また、マスタープレート201Aにツールプレート202Aが近接していれば、楔部材233Aは、ボルト231Aの軸部2312Aに沿ってスライドすることで、傾斜面2332がツールプレート202Aの傾斜面2020に当接する。
ボルト231A及び楔部材233Aは、ツールプレート202Aに設けてもよいが、その場合、交換対象とする複数のエンドエフェクタの各々にボルト231A及び楔部材233Aを設ける必要があるため、マスタープレート201Aに設けるのが好ましい。ボルト231A及び楔部材233Aをマスタープレート201Aに設けることで、エンドエフェクタを交換する際にボルト231A及び楔部材233Aも交換する必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
マスタープレート201A及びツールプレート202Aの一方、本実施形態ではツールプレート202Aは、平面212Aから突出する第1位置決めピンである位置決めピン281Aと、第2位置決めピンである位置決めピン282Aとを有する。各位置決めピン281A,282Aは、コネクタ252に対し径方向外側に配置されている。即ち、ツールプレート202Aの中心部は、コネクタ252及び配線242が配置される中空部分となっているため、各位置決めピン281A,282Aは、中空部分の周囲に配置される。また、位置決めピン281Aと位置決めピン282Aとは、回転軸線L6(図7)を中心に180度回転対称な位置に配置されている。なお、図7には、説明の便宜上、ツールプレート202Aから切断した位置決めピン281A及び位置決めピン282Aを図示している。
マスタープレート201A及びツールプレート202Aの他方、本実施形態ではマスタープレート201Aには、位置決めピン281Aが嵌る第1位置決め穴である位置決め穴271Aが形成されている。マスタープレート201Aには、位置決めピン282Aが嵌る第2位置決め穴である位置決め穴272Aが形成されている。各位置決め穴271A,272Aは、平面211Aに対して凹んでいる。各位置決め穴271A,272Aは、コネクタ251に対し径方向外側に配置されている。即ち、マスタープレート201Aの中心部は、コネクタ251及び配線241が配置される中空部分となっているため、各位置決め穴271A,272Aは、中空部分の周囲に配置される。また、位置決め穴271Aと位置決め穴272Aとは、回転軸線L6を中心に180度回転対称な位置に配置されている。各位置決めピン281A,282Aが各位置決め穴271A,272Aに嵌ることによって、ツールプレート202A、即ちコネクタ252が、マスタープレート201A、即ちコネクタ251に対して高精度に位置決めされる。このように位置決めされたツールプレート202Aは、締結機構203Aによりマスタープレート201Aに締結固定される。これにより、接点261,262同士の電気的な接続が安定化する。
位置決めピン281Aは、第1ストレート部である円柱状のストレート部2811Aと、ストレート部2811Aに連結された先細りの第1テーパ部である円錐台状のテーパ部2812Aと、を含む。更に、位置決めピン281Aは、テーパ部2812Aに設けられ、径方向に突出する第1突起部である突起部2813Aを含む。位置決めピン282Aは、第2ストレート部である円柱状のストレート部2821Aと、ストレート部2821Aに連結された先細りの第2テーパ部である円錐台状のテーパ部2822Aと、を含む。更に、位置決めピン282Aは、テーパ部2822Aに設けられ、径方向に突出する第2突起部である突起部2823Aを含む。
各突起部2813A,2823Aは、各テーパ部2812A,2822Aの周方向に亘って形成され、各位置決め穴271A,272Aにおいてストッパーとして機能する。各突起部2813A,2823Aは、各ストレート部2811A,2821Aと同径である。
位置決め穴271Aを形成する内側壁には、位置決め穴271Aに進退可能に配置された第1係合部材である係合ピン236Aが、一対設けられている。各係合ピン236Aは、第1付勢部材であるそれぞれの付勢ばね237Aにより、位置決め穴271Aに進出する、即ち突起部2813Aに係合し得る位置まで進出するように、位置決め穴271Aの中心に向けて付勢されている。
位置決め穴272Aを形成する内側壁には、位置決め穴272Aに進退可能に配置された第2係合部材である係合ピン238Aが、一対設けられている。各係合ピン238Aは、第2付勢部材であるそれぞれの付勢ばね239Aにより、位置決め穴272Aに進出する、即ち突起部2823Aに係合し得る位置まで進出するように、位置決め穴272Aの中心に向けて付勢されている。
ロボットハンド102Aをロボットアーム101Aに取り付ける方法について詳細に説明する。図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)は、第2実施形態に係るロボットハンド102Aをロボットアーム101Aに取り付ける方法を説明するための図である。図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)には、インタフェース装置20Aの断面を模式的に図示している。
図8(a)に示すように、ロボットハンド102Aのツールプレート202Aの各位置決めピン281A,282Aを、ロボットアーム101Aのマスタープレート201Aの各位置決め穴271A,272Aに対向させる。マスタープレート201Aの螺合孔に螺合させておいたボルト231Aは、緩められている。楔部材233Aは、ボルト231Aの軸部2312Aに沿ってツールプレート202Aに干渉しない位置とマスタープレート201A及びツールプレート202Aに当接する位置とに移動可能であり、ツールプレート202Aに干渉しない位置に退避させておく。この状態でロボットハンド102A、即ちツールプレート202AをZ1方向に移動させ、図8(b)に示すように、ツールプレート202Aの各位置決めピン281A,282Aをマスタープレート201Aの各位置決め穴271A,272Aに挿入して行く。
位置決めピン281Aの突起部2813Aが位置決め穴271Aに進出する係合ピン236Aと係合し、位置決めピン282Aの突起部2823Aが位置決め穴272Aに進出する係合ピン238Aと係合する。係合ピン236A及び係合ピン238Aにより、ロボットハンド102Aを支持する。各突起部2813A,2823Aが各係合ピン236A,238Aと係合することにより、ロボットハンド102A、即ちツールプレート202AのX方向及びY方向の位置決めがほぼ完了するとともに、ロボットハンド102Aの傾きが補正される。この時、ロボットハンド102A側の接点262と、ロボットアーム101A側の接点261とが接触しないクリアランスDを確保した状態でロボットハンド102Aが保持される。以下、この状態を「仮位置決め状態」という。ロボットハンド102A、即ちツールプレート202Aを仮位置決め状態とすることにより、マスタープレート201Aに対するツールプレート202Aの傾きが補正されるので、平面212Aが平面211Aとほぼ平行となる。
次に、ボルト231Aを締め付け方向に回転させることにより、図9(a)に示すように、ボルト231A及び楔部材233AがX1方向に共に移動し、楔部材233Aの傾斜面2332が、ツールプレート202Aの傾斜面2020にX1方向に当接する。ボルト231Aによる締め付け力によって楔部材233Aの傾斜面2332にツールプレート202Aの傾斜面2020がZ1方向に押圧され、ロボットハンド102A全体がZ1方向に誘い込まれる。仮位置決め状態のロボットハンド102AがZ1方向に押圧されると、各係合ピン236A,238Aは、下方に移動する各突起部2813A,2823Aに押圧されて各付勢ばね237A,239Aの付勢力に抗して径方向外側に退避する。
各テーパ部2812A,2822Aの基端、即ち各ストレート部2811A,2821Aが、各位置決め穴271A,272Aに嵌合し始めた位置においてマスタープレート201Aに対するツールプレート202AのX方向及びY方向の位置決めが完了する。
ボルト231Aを更に締め付け方向に回転させることにより、ツールプレート202Aが更にZ1方向に押し込まれる。図9(b)に示すように、楔部材233Aの傾斜面2331が、マスタープレート201Aの傾斜面2010に当接し、マスタープレート201Aとツールプレート202Aとが楔部材233Aに挟持され、平面211Aと平面212Aとが密着する。接点262が接点261に接触する前にコネクタ252の傾きが補正されているので、コネクタ252の複数の接点262は、コネクタ251の複数の接点261にほぼ同時に接触する。これにより、接点262が接点261に対してXY方向に擦れるのを防止することができ、接点261及び接点262の耐久性を向上させることができ、接点261及び接点262の寿命を延ばすことができる。
以上、ロボットハンド102Aを仮位置決め状態にした後、各締結機構203Aのボルト231Aによって楔部材233Aを締め付けることにより、平面211Aと平面212Aとを均等に密着させることができる。これにより、各締結機構203Aのボルト231Aの締め付け順に関わらず、各締結機構203Aのボルト231Aにおいて締付トルクのバラつきが発生するのを防止することができる。よって、ロボットハンドの交換作業が容易となり、また、ロボットハンドの取り付けの再現性も向上する。ロボットハンド102Aの取り付けの再現性が向上するので、ロボットハンドの交換による教示時間を削減することができる。
また、ロボットハンド102Aを仮位置決め状態としておくことで、コネクタ251とコネクタ252との接点261,262同士を同時に接触させることが容易となり、電気的な接続の安定性と耐久性を向上させることができる。よって、組立自動機の段取り替えを簡単かつ迅速に行うことが可能となる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係るロボット装置の取付機構であるインタフェース装置について説明する。図10は、第3実施形態に係るロボット装置のインタフェース装置20Bの説明図である。図10には、インタフェース装置20Bの断面を模式的に図示している。第3実施形態のロボット装置は、ロボットアーム101Bと、ロボットアーム101Bに着脱可能な、エンドエフェクタの一例であるロボットハンド102Bとを有する。なお、ロボットアーム本体、及びエンドエフェクタ本体であるハンド本体の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図10に示すように、第3実施形態のインタフェース装置20Bは、第1部材であるマスタープレート201Bと、第2部材であるツールプレート202Bと、を有する。マスタープレート201Bは、図1のロボットアーム本体1010におけるリンク116に取り付けられる。ツールプレート202Bは、図1のハンド本体1020における掌部121に取り付けられる。マスタープレート201Bは、第1主面である平面211Bを含む。ツールプレート202Bは、マスタープレート201Bの平面211Bに当接可能な第2主面である平面212Bを含む。
マスタープレート201Bには、第1実施形態と同様、コネクタ251が固定され、ツールプレート202Bには、第1実施形態と同様、コネクタ252が固定されている。マスタープレート201Bは、中空部分を有し、コネクタ251は、中空部分に配置されている。ツールプレート202Bは、中空部分を有し、コネクタ252は、中空部分に配置されている。
図11は、第3実施形態に係るロボットアームの先端の平面図である。コネクタ251は、第1実施形態と同様、回転軸線L6上に配置されている。図10に示すコネクタ252もコネクタ251に装着された場合には、回転軸線L6上に位置する。これにより、ロボットアーム101Bを高速動作させても、各接点261と各接点262との接触状態、即ち接触圧が保たれ、接点261,262同士の電気的な接続が安定化する。接点261,262同士の電気的な接続が安定化するので、ノイズが発生したり、電力の瞬断等が発生したりするのを防止することができ、これにより、ロボット装置を非常停止させることが減る。よって、ロボット装置によって製造する製品の生産性が向上する。
インタフェース装置20Bは、第2実施形態と同様の構成の締結機構203Aを有する。締結機構203Aは、ボルト231Aと、楔部材233Aとを含む。なお、図11には、説明の便宜上、一部を切断した楔部材233Aを図示している。本実施形態では、インタフェース装置20Bは、締結機構203Aを複数、例えば2つ有する。マスタープレート201B及びツールプレート202Bの一方、本実施形態ではツールプレート202Bは、平面212Bから突出する、第1実施形態と同様、位置決めピン281及び位置決めピン282を有する。マスタープレート201B及びツールプレート202Bの他方、本実施形態ではマスタープレート201Bには、第1実施形態と同様、位置決め穴271及び位置決め穴272が形成されている。なお、図11には、説明の便宜上、ツールプレート202Bから切断した位置決めピン281及び位置決めピン282を図示している。
上記第2実施形態では、ロボットハンドをロボットアームに対して仮位置決め状態とする手段として、位置決めピンに突起部を配置し、位置決め穴に係合ピン及び付勢ばねを配置する場合について説明した。第3実施形態では、マスタープレート201Bに、複数(例えば4つ)の突き当てピン291Bと、複数の突き当てピン291Bを平面211Bから突出するZ2方向に付勢する複数(例えば4つ)の第3付勢部材としての付勢ばね293Bを配置している。各付勢ばね293Bは、交換時においてロボットハンド102Bが突き当てピン291B上に載った際に、コネクタ251の接点261とコネクタ252の接点262が接触しないばね圧に設定されている。即ち、各付勢ばね293Bは、同じばね圧に設定され、各突き当てピン291Bの突出量が上下方向であるZ1,Z2方向で同じとなる。
ロボットハンド102Bをロボットアーム101Bに取り付ける方法について詳細に説明する。図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)は、第3実施形態に係るロボットハンド102Bをロボットアーム101Bに取り付ける方法を説明するための図である。図12(a)、図12(b)、図13(a)及び図13(b)には、インタフェース装置20Bの断面を模式的に図示している。
図12(a)に示すように、ロボットハンド102Bのツールプレート202Bの各位置決めピン281,282を、ロボットアーム101Bのマスタープレート201Bの各位置決め穴271,272に対向させる。マスタープレート201Bの螺合孔に螺合されたボルト231Aは、緩められている。楔部材233Aは、ボルト231Aの軸部2312Aに沿ってツールプレート202Bに干渉しない位置とマスタープレート201B及びツールプレート202Bに当接する位置とに移動可能であり、ツールプレート202Bに干渉しない位置に退避させておく。この状態でロボットハンド102B、即ちツールプレート202BをZ1方向に移動させ、図12(b)に示すように、ツールプレート202Bの各位置決めピン281,282を、マスタープレート201Bの各位置決め穴271,272に挿入して行く。ロボットハンド102Bをロボットアーム101Bの先端上に載置する、即ちツールプレート202Bをマスタープレート201B上に載置すると、複数の突き当てピン291Bによって、ロボットハンド102Bが支持される。
位置決めピン281のテーパ部2812が位置決め穴271に嵌り、位置決めピン282のテーパ部2822が位置決め穴272に嵌ることにより、ロボットハンド102B、即ちツールプレート202BのX方向及びY方向の位置決めがほぼ完了する。これとともに、複数の突き当てピン291Bは、ツールプレート202Bの平面212Bに突き当たり、ロボットハンド102Bの重量によってZ1方向に同じ量で沈み込む。これにより、ロボットハンド102Bの傾きが補正される。この時、ロボットハンド102Bが複数の突き当てピン291Bに支持される。これにより、ロボットハンド102B側の接点262と、ロボットアーム101B側の接点261とが接触しないクリアランスDを確保した仮位置決め状態でロボットハンド102Bが保持される。ロボットハンド102B、即ちツールプレート202Bを仮位置決め状態とすることにより、マスタープレート201Bに対するツールプレート202Bの傾きが補正されるので、平面212Bが平面211Bとほぼ平行となる。
次に、ボルト231Aを締め付け方向に回転させることにより、図13(a)に示すように、楔部材233Aの傾斜面2332が、ツールプレート202Bの傾斜面2020にX1方向に当接する。ボルト231Aによる締め付け力によって楔部材233Aの傾斜面2332にツールプレート202Bの傾斜面2020がZ1方向に押圧され、ロボットハンド102B全体がZ1方向に誘い込まれる。仮位置決め状態のロボットハンド102BがZ1方向に押圧されると、突き当てピン291Bは、Z1方向に押圧されて付勢ばね293Bの付勢力に抗してZ1方向に退避する。
各テーパ部2812,2822の基端、即ち各ストレート部2811,2821が、各位置決め穴271,272に嵌合し始めた位置において、マスタープレート201Bに対するツールプレート202BのX方向及びY方向の位置決めが完了する。
ボルト231Aを更に締め付け方向に回転させることにより、ツールプレート202Bが更にZ1方向に押し込まれる。図13(b)に示すように、楔部材233Aの傾斜面2331が、マスタープレート201Bの傾斜面2010に当接し、マスタープレート201Bとツールプレート202Bとが楔部材233Aに挟持され、平面211Bと平面212Bとが密着する。接点262が接点261に接触する前にコネクタ252の傾きが補正されているので、コネクタ252の複数の接点262は、コネクタ251の複数の接点261にほぼ同時に接触する。これにより、接点262が接点261に対してXY方向に擦れるのを防止することができ、接点261及び接点262の耐久性を向上させることができ、接点261及び接点262の寿命を延ばすことができる。
以上、ロボットハンド102Bを仮位置決め状態にした後、各締結機構203Aのボルト231Aによって楔部材233Aを締め付けることにより、平面211Bと平面212Bとを均等に密着させることができる。これにより、各締結機構203Aのボルト231Aの締め付け順に関わらず、各締結機構203Aのボルト231Aにおいて締付トルクのバラつきが発生するのを防止することができる。よって、ロボットハンドの交換作業が容易となり、また、ロボットハンドの取り付けの再現性も向上する。ロボットハンド102Bの取り付けの再現性が向上するので、ロボットハンドの交換による教示時間を削減することができる。
また、ロボットハンド102Bを仮位置決め状態としておくことで、コネクタ251とコネクタ252との接点261,262同士を同時に接触させることが容易となり、電気的な接続の安定性と耐久性を向上させることができる。よって、組立自動機の段取り替えを簡単かつ迅速に行うことが可能となる。
なお、突き当てピン291Bが4つの場合について説明したが、2つ以上であればよい。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
上記第1〜第3実施形態では、垂直多関節のロボットアームの場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば水平多関節のロボットアーム、パラレルリンクのロボットアーム、直交ロボット等、種々のロボットアームであっても、本発明のインタフェース装置を適用することが可能である。また、各種のロボットアーム及びアームに連結される各種のエンドエフェクタにおいて、共通のインタフェース装置を用いることも可能である。
第2及び第3実施形態では、作業者がボルト締めを行うことより楔部材233AによりロボットハンドをZ1方向に押し込む場合について説明したが、作業者がロボットハンドをZ1方向に押し込んでもよい。この場合、ロボットハンドを押し込んだ後、ボルト締めを行えばよい。
第2及び第3実施形態では、楔部材をマスタープレートに固定するのに、締結具としてボルトを用いた場合を例に説明したが、締結具は、ボルトに限らずワイヤー又はバックル等であってもよい。
上記第1〜第3実施形態では、エンドエフェクタがロボットハンドである場合について説明したが、これに限定するものではなく、モータ駆動のピンセット又はドライバなどの電動のツールであってもよい。
上記第1〜第3実施形態では、マスタープレートが取り付けられる回転部がリンク116である場合について説明したが、リンク116の先端に設けられる別の部材、例えば不図示の力覚センサであってもよい。
上記第1〜第3実施形態では、第1部材が、ロボットアームの回転部、例えばリンク116に着脱可能なマスタープレートである場合について説明したが、これに限定するものではなく、回転部と一体のものであってもよい。同様に、第2部材が、エンドエフェクタ本体に着脱可能なツールプレートである場合について説明したが、これに限定するものではなく、エンドエフェクタ本体と一体のものであってもよい。