JP2020057646A - 磁性材料、磁石、及び磁石の製造方法 - Google Patents
磁性材料、磁石、及び磁石の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】磁性材料及び磁石の保磁力を向上させることができる磁性材料、磁石、及び磁石の製造方法を提供する。【解決手段】磁性材料は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子を含む粉末状である。上記粒子は、Znを含む。上記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内である。特定範囲内において、隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、磁性材料、磁石、及び磁石の製造方法に関する。
希土類元素とFeを含有する希土類磁石として、Sm−Fe系磁石が知られている。例えば、特許文献1には、SmとFeとNとを含有するSm−Fe−N系磁石が開示されている。特許文献1のSm−Fe−N系磁石は、非磁性の金属材料で表面を被覆したSm−Fe系合金の粒子に対して熱処理及び窒化処理を行うことにより得られた粉末状の磁性材料を磁場中で圧縮成形することにより製造される。
本発明者らは、SmとFeとNとを含有する磁性材料に関して、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子の内部に、Znを特定の状態で含有させることにより、保磁力が向上することを見出した。本発明の目的は、保磁力の高い磁性材料及び磁石を提供すること、並びに保磁力の高い磁石の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する磁性材料は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子を含む粉末状の磁性材料であって、前記粒子は、Znを含み、前記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内であり、当該特定範囲内において隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有する。
上記磁性材料において、前記特定範囲内における前記結晶粒界の平均Zn/Fe原子濃度比は、前記特定範囲内における前記結晶粒内の平均Zn/Fe原子濃度比の9倍以上であることが好ましい。
上記磁性材料において、前記粒子の核部分の粒子径が120μm以下であることが好ましい。
上記磁性材料において、前記結晶粒界の幅は、1〜10nmであることが好ましい。
上記磁性材料において、前記結晶粒界の幅は、1〜10nmであることが好ましい。
上記磁性材料において、前記Sm−Fe−N系多結晶体は、主相がTbCu7型の結晶構造であることが好ましい。
上記課題を解決する磁石は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子が結合された構造を有する磁石であって、前記粒子は、Znを含み、前記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内であり、当該特定範囲内において隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有する。
上記課題を解決する磁石は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子が結合された構造を有する磁石であって、前記粒子は、Znを含み、前記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内であり、当該特定範囲内において隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有する。
上記課題を解決する磁石の製造方法は、上記磁性材料に含まれる前記粒子を結合する。
上記磁石の製造方法において、前記磁性材料を焼結又は圧縮成形して前記粒子を結合することが好ましい。
上記磁石の製造方法において、前記磁性材料を焼結又は圧縮成形して前記粒子を結合することが好ましい。
本発明によれば、磁性材料及び磁石の保磁力を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値範囲を「〜」を用いて表す場合、その両端の数値を含む。
本実施形態の粉末状の磁性材料は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子(以下、単に上記粒子とする。)を含む。
本実施形態の粉末状の磁性材料は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子(以下、単に上記粒子とする。)を含む。
上記粒子を構成するSm−Fe−N系多結晶体は、Sm、Fe、及びNを構成元素とする多結晶体である。また、Sm−Fe−N系多結晶体は、Sm、Fe、N、及びその他元素を構成元素とする多結晶体であってもよい。その他元素としては、例えば、Zr、Co、Hf、Ga、Nd、Ti、Cr、Mn、V、Mo、W、Si、Re、Cu、Al、Ca、B、Ni、C、La、Ce、Pr、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Thが挙げられる。その他元素を含有するSm−Fe−N系多結晶体としては、例えば、Sm−Fe−N−Zr系多結晶体、Sm−Fe−N−Co系多結晶体、Sm−Fe−N−Hf系多結晶体が挙げられる。
Sm−Fe−N系多結晶体の結晶構造としては、例えば、TbCu7型の結晶構造、Th2Zn17型の結晶構造が挙げられる。Sm−Fe−N系多結晶体の結晶構造は特に限定されるものではないが、主相がTbCu7型の結晶構造であることが好ましい。ここで、「主相がTbCu7型の結晶構造」とは、X線回折装置を用いてSm−Fe−N系多結晶体の粒子の回折角度や強度を測定した場合に、TbCu7型の結晶構造のリファレンスと一致する結果が得られることを意味する。
上記粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、柱状、板状、不定形状等のいずれであってもよい。
上記粒子の核部分の粒子径(D90)は、例えば、120μm以下であり、70μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。粒子径(D90)の下限値は、例えば、1μmである。粒子の核部分の粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法を用いた測定装置により測定することができる。また、Sm−Fe−N系多結晶体を構成する結晶粒の粒径(定方向平均径)は、例えば、30〜500nmである。結晶粒の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
上記粒子の核部分の粒子径(D90)は、例えば、120μm以下であり、70μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。粒子径(D90)の下限値は、例えば、1μmである。粒子の核部分の粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法を用いた測定装置により測定することができる。また、Sm−Fe−N系多結晶体を構成する結晶粒の粒径(定方向平均径)は、例えば、30〜500nmである。結晶粒の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
また、上記粒子の核部分は、結晶粒の境界部分である結晶粒界を有している。上記結晶粒界の幅は、例えば、1〜10nmであり、1.5〜10nmであることが好ましい。
上記粒子は、Znを含有している。上記粒子におけるZnの含有量は、例えば、5〜50質量%であり、10〜50質量%であることが好ましい。
上記粒子は、Znを含有している。上記粒子におけるZnの含有量は、例えば、5〜50質量%であり、10〜50質量%であることが好ましい。
図1に示すように、上記粒子の核部分10におけるクルムバイン径を示す線分L1の両端から内側に20%の長さの範囲L2として規定される上記粒子の表面側の特定範囲において、上記粒子は、以下の条件A及び条件Bを満たすようにZnを含有している。
条件A:特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内である。
条件B:隣接する結晶粒内よりもZn/Fe原子濃度比が高い結晶粒界の部分を有する。
条件Aは、特定範囲内ではZnとFeとの原子濃度和が略一定となるようにZnが含有されていることを意味している。
条件Aは、特定範囲内ではZnとFeとの原子濃度和が略一定となるようにZnが含有されていることを意味している。
条件Bは、特定範囲内の少なくとも一部では、結晶粒内よりも結晶粒界の方がFeに対する相対的なZnの含有量が多くなっていることを意味している。なお、結晶粒内は、Sm−Fe−N系多結晶体を構成する結晶粒の内部である。
また、特定範囲における結晶粒界の平均Zn/Fe原子濃度比は、特定範囲における結晶粒内の平均Zn/Fe原子濃度比よりも高いことが好ましい。例えば、結晶粒界の平均Zn/Fe原子濃度比は、結晶粒内の平均Zn/Fe原子濃度比の2倍以上であることが好ましく、7倍以上であることがより好ましく、9倍以上であることが更に好ましい。特定範囲における結晶粒界の平均Zn/Fe原子濃度比は、例えば、0.1以上であることが好ましい。特定範囲における結晶粒内の平均Zn/Fe原子濃度比は、例えば、0.05以下であることが好ましい。
なお、上記粒子において、特定範囲以外の部分については、Znが含有されていてもよいし、Znが含有されていなくてもよい。特定範囲以外の部分にZnが含有されている場合、Znの含有状態は特定に限定されるものではないが、特定範囲と同様の状態で含有されていることが好ましい。
上記粒子の特定範囲におけるZnとFeとの原子濃度和、並びに結晶粒内及び結晶粒界におけるZn/Fe原子濃度比は、エネルギー分散型蛍光X線分析機能付きの透過電子顕微鏡を用いたEDS線分析によって求めることができる。
具体的には、上記粒子をクルムバイン径に沿って100nm以下に薄片化する。薄片化された上記粒子に対して、クルムバイン径に沿ってEDS線分析を行うことにより分析線上におけるZnの原子濃度及びFeの原子濃度を求めるとともに、上記粒子の10万〜1000万倍の倍率の明視野透過像を得る。
EDS線分析により得られるチャートの一例を図2に示す。図2のチャートの横軸は、分析を行ったライン上の位置に相当する距離(μm)を示し、縦軸は、Zn、Sm、Feの各原子濃度(atm%)を示す。図2に示すように、上記粒子の表面側の特定範囲において、Feの原子濃度が相対的に低い部分では、Znの原子濃度が相対的に高くなるとともに、Feの原子濃度が相対的に高い部分では、Znの原子濃度が相対的に低くなっており、ZnとFeとの原子濃度和が略一定である。
ZnとFeとの原子濃度和が略一定であることは、Smの原子濃度から理解することもできる。すなわち、図2では、Zn、Sm、Feの各原子濃度(atm%)が示されており、ZnとFeの原子濃度和(atm%)は「100−Smの原子濃度(atm%)」で求められる。図2で明らかなように、Smの原子濃度は、粒子内で略一定で、その変動幅は、おおむね5atm%以内である。したがって、ZnとFeの原子濃度和の変動幅も、おおむね5atm%以内である。
薄片化された上記粒子の明視野透過像の一例を図3(a),(b)に示す。図3(a),(b)に示すように、上記粒子(核部分)の結晶粒界は、明視野透過像のコントラストが明確に異なる二相の境界として把握することができる。そして、結晶粒界以外の部分であって、結晶粒界に囲まれた部分が結晶粒内である。
明視野透過像に基づいて、EDS線分析の分析線上の特定範囲内における結晶粒界に位置する点を複数(例えば、10点)、選択し、選択した各点のZn/Fe原子濃度比の平均値を結晶粒界における平均Zn/Fe原子濃度比とする。同様にして、EDS線分析の分析線上の特定範囲内における結晶粒内に位置する点を複数(例えば、10点)、選択し、選択した各点のZn/Fe原子濃度比の平均値を結晶粒内における平均Zn/Fe原子濃度比とする。
また、特定の結晶粒界におけるZn/Fe原子濃度比を求める場合には、当該結晶粒界に位置する点を複数(例えば、10点)、選択し、選択した各点のZn/Fe原子濃度比の平均値を当該結晶粒界におけるZn/Fe原子濃度比とする。特定の結晶粒内におけるZn/Fe原子濃度比を求める場合も同様である。そして、特定の結晶粒界におけるZn/Fe原子濃度比と、当該結晶粒界に隣接する結晶粒内におけるZn/Fe原子濃度比とを比較することにより、隣接する結晶粒内よりもZn/Fe原子濃度比が高い結晶粒界の部分を特定できる。
上記の条件A及び条件Bを満たす特定の状態でZnが含有されている上記粒子は、高い保磁力を有している。したがって、上記粒子を含む磁性材料を結合することにより、保磁力の高い磁石を製造することができる。
磁性材料を結合して磁石を製造する方法としては、例えば、磁性材料を焼結する方法、磁性材料を圧縮成形する方法、バインダーを介して結合してボンド磁石とする方法が挙げられる。これらの中でも、磁性材料を高密度化できる点から、磁性材料を焼結する方法、磁性材料を圧縮成形する方法を用いることが好ましい。
上記粒子の内部に、上記の条件A及び条件Bを満たす状態でZnを含有させる処理方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。公知の方法により用意したSm−Fe系多結晶体により構成される第1粒子に対して、N2ガス雰囲気下、400〜500℃にて熱処理することにより、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される第2粒子を得る。得られた第2粒子の粉末と、Zn粉末とを混合し、Ar雰囲気下等の不活性ガス雰囲気下又は真空中にて熱処理することにより上記粒子を得る。
上記処理方法において、第2粒子の粉末とZn粉末との混合比は、例えば、第2粒子の粉末100質量部に対して、Zn粉末が5〜50質量部となる混合比であることが好ましい。熱処理の温度は、例えば、250〜440℃であることが好ましい。熱処理の時間は、熱処理の温度に応じて調整することが好ましい。また、第1粒子に対して、Zn粉末を混合して熱処理することによりZnを含有させた後に、N2ガス雰囲気下で熱処理する等の窒化処理を行った場合にも、同様の上記粒子が得られる。
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)磁性材料は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子を含む粉末状である。上記粒子は、Znを含む。上記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内である。特定範囲内において、隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有する。
(1)磁性材料は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子を含む粉末状である。上記粒子は、Znを含む。上記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内である。特定範囲内において、隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有する。
上記構成によれば、上記粒子の内部にZnが特定の状態で含有されていることにより、高い保磁力を有する磁性材料となる。
(2)特定範囲内における結晶粒界の平均Zn/Fe原子濃度比は、特定範囲内における結晶粒内の平均Zn/Fe原子濃度比の9倍以上である。
(2)特定範囲内における結晶粒界の平均Zn/Fe原子濃度比は、特定範囲内における結晶粒内の平均Zn/Fe原子濃度比の9倍以上である。
上記構成によれば、Znを特定の状態で含有させたことによる保磁力の向上効果が得られやすい。
(3)上記粒子の核部分の粒子径が120μm以下である。
(3)上記粒子の核部分の粒子径が120μm以下である。
上記構成によれば、Znを特定の状態で含有させたことによる保磁力の向上効果が得られやすい。
(4)上記粒子の核部分の結晶粒界の幅は、1〜10nmである。
(4)上記粒子の核部分の結晶粒界の幅は、1〜10nmである。
上記構成によれば、Znを特定の状態で含有させたことによる保磁力の向上効果が得られやすい。
(5)Sm−Fe−N系多結晶体は、主相がTbCu7型の結晶構造である。
(5)Sm−Fe−N系多結晶体は、主相がTbCu7型の結晶構造である。
上記構成によれば、Znを特定の状態で含有させたことによる保磁力の向上効果が得られやすい。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
〇上記粒子は、その表面にZnが付着した状態であってもよいし、Znが付着していない状態であってもよい。なお、上記粒子の表面にZnが付着している場合、上記実施形態に記載した特定範囲は、Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分のクルムバイン径に基づいて設定する。
(実施例1)
Sm−Fe合金の原料を、底部に細孔を備えた石英製のノズルに入れ、Ar雰囲気下で高周波溶解した後、高速回転している銅製ロール上に溶湯を噴射することにより急冷してリボンを得た。得られたリボンをピンミルで粉砕して粉砕物を得た。得られた粉砕物に対して、Ar雰囲気下、750℃で1時間、熱処理した後、窒化処理を行うことにより多結晶体の粒子を得た。窒化処理は、熱処理を経た粉砕物を管状炉に入れ、N2ガスを通過させつつ、450℃に24時間加熱することにより行なった。
Sm−Fe合金の原料を、底部に細孔を備えた石英製のノズルに入れ、Ar雰囲気下で高周波溶解した後、高速回転している銅製ロール上に溶湯を噴射することにより急冷してリボンを得た。得られたリボンをピンミルで粉砕して粉砕物を得た。得られた粉砕物に対して、Ar雰囲気下、750℃で1時間、熱処理した後、窒化処理を行うことにより多結晶体の粒子を得た。窒化処理は、熱処理を経た粉砕物を管状炉に入れ、N2ガスを通過させつつ、450℃に24時間加熱することにより行なった。
また、レーザー回折・散乱法を用いて、得られた多結晶体の粒子の粒子径(D90)を測定した。その結果を表1に示す。なお、ここで測定された粒子径が、上記粒子の核部分の粒子径になる。
次に、多結晶体の粒子からなる粉末に、粒子径が約10μmのZn粉末を混合して、Znを40質量%含有する混合物を得た。この混合物をAr雰囲気下にて、表1に示す条件で熱処理することにより粉末状の磁性材料を得た。
(実施例2〜5及び比較例6)
混合物に対する熱処理の条件を、表1に示すように変更した点を除いて、実施例1と同様にして磁性材料を得た。
混合物に対する熱処理の条件を、表1に示すように変更した点を除いて、実施例1と同様にして磁性材料を得た。
(基準例)
基準例として、Znを含有しない多結晶体の粒子からなる粉末を作製した。
Sm−Fe合金の原料を、底部に細孔を備えた石英製のノズルに入れ、Ar雰囲気下で高周波溶解した後、高速回転している銅製ロール上に溶湯を噴射することにより急冷してリボンを得た。得られたリボンをピンミルで粉砕して粉砕物を得た。得られた粉砕物に対して、Ar雰囲気下、750℃で1時間、熱処理した後、窒化処理を行うことにより多結晶体の粒子を得た。この多結晶粒子の粉末を基準例の磁性材料とした。
基準例として、Znを含有しない多結晶体の粒子からなる粉末を作製した。
Sm−Fe合金の原料を、底部に細孔を備えた石英製のノズルに入れ、Ar雰囲気下で高周波溶解した後、高速回転している銅製ロール上に溶湯を噴射することにより急冷してリボンを得た。得られたリボンをピンミルで粉砕して粉砕物を得た。得られた粉砕物に対して、Ar雰囲気下、750℃で1時間、熱処理した後、窒化処理を行うことにより多結晶体の粒子を得た。この多結晶粒子の粉末を基準例の磁性材料とした。
(構造解析)
各実施例、比較例及び基準例の磁性材料に含まれる多結晶体の粒子を、多結晶体により構成される核部分のクルムバイン径に沿って100nm以下に薄片化した。得られた薄片に対して、散型蛍光X線分析機能付きの透過電子顕微鏡を用いてEDS線分析を行い、核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の特定範囲のZn濃度及びFe濃度を5nm以下のサンプリングピッチで測定した。なお、透過電子顕微鏡における透過電子線ビームの直径を0.1nm、試料薄片の厚みを100nmにて測定した。
各実施例、比較例及び基準例の磁性材料に含まれる多結晶体の粒子を、多結晶体により構成される核部分のクルムバイン径に沿って100nm以下に薄片化した。得られた薄片に対して、散型蛍光X線分析機能付きの透過電子顕微鏡を用いてEDS線分析を行い、核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の特定範囲のZn濃度及びFe濃度を5nm以下のサンプリングピッチで測定した。なお、透過電子顕微鏡における透過電子線ビームの直径を0.1nm、試料薄片の厚みを100nmにて測定した。
得られたZn濃度及びFe濃度から上記特定範囲の全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和「A」を求めた。そして、EDS線分析を行った分析線上の全ての点において、ZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲であるか否かを確認した。その結果を表1に示す。
また、得られた薄片の明視野透過像に基づいて、EDS線分析の分析線上における結晶粒界に位置する点及び結晶粒内に位置する点をそれぞれ10点、無作為に選択した。EDS線分析の結果から、結晶粒界に位置する点として選択した各点におけるZn/Fe原子濃度比を求め、その平均値を結晶粒界におけるZn/Fe原子濃度比「B1」とした。同様に、結晶粒内に位置する点として選択した各点におけるZn/Fe原子濃度比を求め、その平均値を結晶粒内におけるZn/Fe原子濃度比「B2」とした。その結果を表1に示す。また、明視野透過像に基づいて、各試験例の結晶粒界の幅を求めた。その結果を表1に示す。
(保磁力の評価)
振動試料型磁力計を用い、磁性材料の真密度を7.7として、各実施例及び基準例の磁性材料の保磁力を測定した。各実施例の保磁力の測定値を基準例の保磁力で除算することにより、基準例に対する各試験例の保磁力の向上率を求めた。その結果を表1の「保磁力の評価」欄に示す。
振動試料型磁力計を用い、磁性材料の真密度を7.7として、各実施例及び基準例の磁性材料の保磁力を測定した。各実施例の保磁力の測定値を基準例の保磁力で除算することにより、基準例に対する各試験例の保磁力の向上率を求めた。その結果を表1の「保磁力の評価」欄に示す。
表1では、保磁力の向上率が6%以上の場合を「◎」、3%以上6%未満の場合を「○」、1%以上3%未満の場合を「△」で示している。また、磁石として利用可能な磁性材料を得ることができず、各値を求めることができなかった場合を「−」で示している。
また、熱処理時の温度を490℃とした比較例6は、熱処理によって、多結晶体の粒子を構成するSm−Fe−N合金が分解してFeが析出してしまい、磁石として利用可能な磁性材料を得ることができなかった。この結果から、Znを特定の状態で含有する磁性材料を、Sm−Fe−N系多結晶体の粒子やSm−Fe系多結晶体の粒子とZnとの混合物を熱処理することによって製造する場合には、熱処理条件を厳密に制御する必要があることが分かる。
Claims (8)
- Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子を含む粉末状の磁性材料であって、
前記粒子は、Znを含み、
前記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、
当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内であり、当該特定範囲内において隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有することを特徴とする磁性材料。 - 前記特定範囲内における前記結晶粒界の平均Zn/Fe原子濃度比は、前記特定範囲内における前記結晶粒内の平均Zn/Fe原子濃度比の9倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性材料。
- 前記粒子の核部分の粒子径が120μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁性材料。
- 前記結晶粒界の幅は、1〜10nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性材料。
- 前記Sm−Fe−N系多結晶体は、主相がTbCu7型の結晶構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性材料。
- Sm−Fe−N系多結晶体により構成される核部分を有する粒子が結合された構造を有する磁石であって、
前記粒子は、Znを含み、
前記粒子の核部分におけるクルムバイン径を示す線分の両端から内側に20%の長さの範囲として規定される特定範囲において、
当該特定範囲全体におけるZnとFeとの平均原子濃度和を「A」としたとき、当該特定範囲の各点におけるZnとFeとの原子濃度和が「0.95×A〜1.05×A」の範囲内であり、当該特定範囲内において隣接する結晶粒内よりも結晶粒界の方がZn/Fe原子濃度比が高い部分を有することを特徴とする磁石。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁性材料に含まれる前記粒子を結合することを特徴とする磁石の製造方法。
- 前記磁性材料を焼結又は圧縮成形して前記粒子を結合することを特徴とする請求項7に記載の磁石の製造方法。
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