次に、図1乃至図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、物件を検索し、検索された物件を示す物件情報を提示する物件検索システムに対して、本発明を適用した場合の実施形態である。本実施形態の物件は、例えば、建物及び土地などの不動産物件である。なお、本発明に係る「こだわり条件」の処理は、段落0049以降において詳細に説明する。
本実施形態の物件情報の提示のため、データベースDBには、物件毎に、物件情報、即ち住所、名称、仕様(築年数、広さ、間取り、付帯設備などをいう。詳細は後述される。)が、例えば後述する物件情報データベース20として格納されている。これらの情報は、インターネット上を検索して収集した情報に代替することもできる。物件情報検索システムおいては、端末装置Tを使用するユーザが物件の検索を開始する場合に、ユーザの操作に応じて、条件設定ページの送信要求が、ネットワークNWを介して、端末装置Tから情報提供サーバSVに送信される。条件設定ページは、ユーザが物件を検索する際の検索条件を設定するためのページである。端末装置Tは、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット型端末である。ネットワークNWは、例えばインターネットである。送信要求を受信した情報提供サーバSVのシステム制御部は、端末装置Tに対して、変更条件の候補を提示する。変更条件の候補とは、ユーザが新たな物件に期待する変更条件の候補であり、「広く」、「安く」、「新しく」、「駅に近く」、「階数を高く」、「階数を低く」及び「静かに」など、基準となる物件(例えば、ユーザが現在居住中の物件)の仕様からの変更を希望する条件を特定するための情報である。
ここで、「仕様(「スペック」ともいう)」は、物件の特徴を示す情報である。仕様は、種別(戸建、マンション、アパート)、賃料、販売価格、築年数、間取り、広さ、開口方向、オートロック、管理人常駐、ユニットバスなどの種々の条件を表す情報からなる。変更条件は、基準となる物件の仕様の内、変化が求められる条件を満たした新たな物件、即ち仕様の差分を満たした物件を特定するための条件である。また、ユーザが現在居住中の物件の仕様を、以下「現況」と称する。
図2(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、データベースDBには、変更条件候補データベース10と物件情報データベース20とこだわり条件候補データベース30と改善用検索条件候補データベース60を備える。
変更条件候補データベース10には、変更条件の候補が、その候補同士を識別する候補IDに対応付けられて登録されている。変更条件は、現況の条件の改善に相当する条件の他に、現況の条件には含まれない新たな条件、例えば「オートロックにしたい」及び「管理人常駐」等の条件を設定することができる。
物件情報データベース20には、即入居可能な空物件及び近々入居可能な空予定物件に関する物件情報が設定されるが、入居可能時期が未定である入居済物件に関する物件情報を保有することもできる。個々の物件に対応して、物件IDと物件情報が対応付けられている。この物件情報には、物件種別(マンション、アパート、一戸建)、物件名、所在地、賃料、間取り、広さ、築年数、階数及び物件の特徴を示すフリーコメント等の物件検索に有益な情報が設定されている。
こだわり条件候補データベース30には、こだわり条件の候補となる情報が、条件IDに対応付けられて登録されている。こだわり条件候補は、「一階の物件」、「二階以上」、「最上階」、「角部屋」等の条件が設定される。これらの候補は、新しい物件を検索するユーザが、変更条件よりもより具体的な条件として希望する物件の条件の候補である。
改善用検索条件候補データベース60には、改善用検索条件の候補となる情報が、改善用検索条件IDに対応付けられて登録されている。改善用検索条件候補は、「湿気」という改善要望点に対して、「二階以上」、「浴室乾燥機付」、「南向き」といった候補が挙げられる。これらの候補は、「湿気」といった改善要望点ごとに分けて登録されている。この改善要望点同士は、それらを識別する改善要望点IDに対応付けられて登録されている。これらの候補は、改善用検索条件となる、具体的な物件の仕様である。
図3のフローチャートを参照して、本発明に係る動作を説明する。情報提供サーバSVのシステム制御部は、端末装置Tから条件設定ページの送信要求を受信すると、変更条件候補データベース10から変更条件を読み出し、端末装置Tに読み出し結果を送信する。端末装置Tは受信した変更条件を表示し、ユーザに提示する(ステップS1)。変更条件の候補を受信した端末装置Tは、図4(a)に例示されるように、受信した変更条件の候補を、候補表示40として、端末装置Tの表示部に表示する。
ステップS1においてシステム制御部は、仕様を変更して物件を検索したい旨の要求を送信したユーザの検索履歴に基づいて、送信される変更条件の候補が選択されてもよい。また、ユーザの検索履歴に基づいた変更条件の候補が、送信する変更条件の候補に追加されてもよい。変更条件の候補の提示に当たり、システム制御部は、「引越をしたい理由は?」というような問いかけの文言を併せて提示してもよい。更に、変更条件として、例えば、変更条件としての項目自体に加えて、変更の程度を併せて提示してもよい。このような変更条件の提示により、システム制御部は、ユーザによる選択を促すことができる。
ユーザは、候補表示40を見ながら所望される変更条件を選択する。システム制御部は、その選択結果を、ネットワークNWを介して、情報提供サーバSVに送信する。システム制御部は、送信されてきた変更条件の選択結果を取得する(ステップS2)。
システム制御部は、送信されてきた変更条件の選択結果を取得したら、基準となる物件情報を確定する処理を行う。変更条件の選択結果を送信した端末装置Tを使用するユーザが現在居住中の物件に対応する物件情報を取得する(ステップS3)。仮想物件でもよい。物件情報は、物件に関する住所、名称及び仕様から構成される。
ステップS3において、システム制御部は、現在居住する物件の名称又は住所の少なくともいずれか一方を入力する入力欄を含む条件設定ページを端末装置Tに送信する。この入力欄41は、図4(b)に例示するように、条件設定ページの一部として、端末装置Tにて表示される。そして、入力欄41を用いて入力された、例えば物件の名称及び住所を示す情報は、端末装置Tにより情報提供サーバSVに送信される。これにより、システム制御部は、送信されてきた情報を用いて、受信した名称及び住所に該当する物件を物件情報データベース20から検索する。基準となる物件情報は、物件に関する住所、名称及び仕様から構成される。なお、基準となる物件情報は、必ずしも現在居住中の物件に対応させる必要はなく、実在する他の物件又はユーザが物件情報を作成する仮想物件でもよく、仮想物件の住所や名称については、住所や名称に代わる仮想の識別情報を設定することができる。
ここで、基準となる物件がマンションの一室であって、マンションの名称及び/又は住所(部屋番号含む)が入力欄41を用いて入力されると、システム制御部は、入力された名称及び/又は住所に対応する物件情報を、物件情報データベース20を参照して検索する。システム制御部は、検索の結果ヒットした物件情報を含む条件設定ページを端末装置Tに送信する。この物件情報は、端末装置Tにおいて、図4(c)のように物件表示42として表示される。図4(c)に例示されるように、階数や部屋番号の指定が無いことを理由として複数の物件が該当した場合は、物件表示42上で特定の物件が選択されることにより、選択された旨の情報が、情報提供サーバSVに送信される。システム制御部は、受信した選択結果に基づき、物件情報データベース20又は物件表示42に対応するキャッシュ情報を参照して、対応する物件情報を取得する。
その後、システム制御部は、取得した物件情報を、端末装置Tに送信する。この物件情報は、図4(d)に例示されるように、物件表示43として、端末装置Tに表示される。なお、物件情報を送信する際に、システム制御部は、図4(d)に例示するように、新たな物件の検索対象となるエリアを指定する際に操作されるエリア選択項目のデータを併せて送信する。また、システム制御部は、ステップS2で送信されてきた変更条件の選択結果と、ステップS3で取得された基準となる物件情報と、に基づいた新たな物件の検索を指示する際に操作される検索結果要求ボタン50のデータを、条件設定ページの一部として併せて送信する。
これらにより、図4(d)に例示する物件表示43及び検索結果要求ボタン50等が表示されている端末装置Tのユーザは、変更条件の選択結果(ステップS2参照)と、基準となる物件情報(ステップS3参照)と、に基づいて新たに物件を検索したい場合、先ず、図4(d)に例示されるエリア選択項目のいずれかを選択して、検索エリアを設定する。端末装置Tは、基準となる物件や端末装置TのGPS機能により取得した地理情報に対応する検索エリアと基本として設定するが、エリアを選び直すこともできる。その後、検索結果要求ボタン50が操作される。これにより、端末装置Tは、変更条件の選択結果と、基準となる物件(即ち、現在居住中の物件)を示す物件情報と、に基づいた新たな物件の検索要求を情報提供サーバSVに送信する。即ち、物件に対するユーザのニーズが変更条件の選択として反映された新たな物件検索の要求が、情報提供サーバSVに送信される。
図3に戻って、検索結果要求ボタン50の操作に対応した新たな物件検索の要求を取得したシステム制御部は、変更条件の選択結果と基準となる物件情報に基づいて、物件情報データベース20内を検索する。すなわち、システム制御部は、基準となる物件情報に対して変更条件の選択結果を満たす検索条件を生成する(ステップS4)。なお、変更条件が複数個選択されている場合、システム制御部は、基準となる物件情報に対して複数の変更条件のそれぞれを満たす検索条件を生成する。この場合に、システム制御部は、変更条件が複数ある場合でも、その変更条件に反映されているユーザの希望(ニーズ)をより満たした物件を示す物件情報を抽出することができる。システム制御部は、生成した検索条件を用いて、物件情報データベース20内を検索する(ステップS5)。システム制御部は、ステップS5の検索結果として、基準となる物件の仕様に対して変更条件を満たす物件に対応する物件情報を取得する。例えば、現況の部屋の広さが70平方メートル、賃料が20万円で、変更条件として「広く」、「安く」が設定された場合、システム制御部は、広さ70平方メートルを超える広さで、賃料が20万円未満であって、且つその他の仕様については現況以上の物件を検索する。
次いで、システム制御部は、例えば、選択された変更条件が満たされる度合いが高いほど、例えばより広く、より安い物件が上位に並べられるようにして、取得された物件情報により示される物件の表示順をソートする(ステップS6)。例えば、システム制御部は、変更条件が3件存在する場合、全ての条件を満たす物件を上位に、2件の条件を満たす物件を次に、最後に1件の条件を満たす物件を配置する。また、システム制御部は、各条件についても、適合度の高い物件を上位に配置することができる。例えば、システム制御部は、「広く」という条件の場合、基準の仕様との差が大きい(広い)物件を上位に配置し、徐々に差が小さい物件が並ぶように配置することができる。
「安く」という変更条件が選択されている場合であって、仕様としての家賃が一万円安い物件と五万円安い物件とが検索されている場合、システム制御部は、家賃が五万円安い物件が一万円安い物件よりも上位となるようにして、端末装置Tにおける表示順をソートする。システム制御部は、その表示順がソートされた物件情報を含む物件一覧を含む物件情報掲載ページを、変更条件の選択結果と、基準となる物件を示す物件情報と、に基づいた新たな物件の検索要求を送信してきた端末装置Tに送信する(ステップS7)。このとき送信される物件情報掲載ページの一例は、図5(a)に示される。変更条件の個々について重視する序列を設定することにより、例えば変更条件が2項目の場合、検索結果である物件名を二次元マップ上にプロットすることにより、ユーザは、視覚的に第一条件広さ、第二条件安さの適合度合いを把握することができる。
以上のステップS1乃至ステップS7の物件検索処理によれば、基準となる物件の仕様、例えばユーザが現在居住している物件の仕様と、変更条件と、に基づいた検索条件を満たす物件が、検索されて提示される。よって、ユーザは、希望する新たな物件を特定するための仕様を種々入力する操作の煩わしさや負担を軽減しつつ、希望に沿った物件に関する検索結果を閲覧することができる。
また、ステップS1及びステップS2によれば、システム制御部は、変更条件の候補(条件の項目及び変更の程度)からユーザにより選択された変更条件を取得する。よって、システム制御部は、ユーザにおける操作の煩わしさを軽減しつつ、その希望に沿った物件を検索して提示することができる。
なお、変更条件が、基準となる物件の仕様からの変更が希望される物件の条件である場合、又は、基準となる物件の仕様の中に含まれていない物件の条件である場合、のいずれでも、システム制御部は、ユーザにおける操作の煩わしさを軽減しつつ、その希望に沿った物件を検索して提示することができる。
また、ステップS3によれば、現在居住中の物件を特定するための住所等の情報が、基準となる物件情報として端末装置Tから取得される。そして、その情報に基づいて、居住中の物件の仕様が、物件情報データベース20から取得される。よって、ユーザには住所等の最低限の情報を入力させるのみで、システム制御部は、検索の基準となる仕様を取得することができる。なお、何れか一方のみの入力を行う場合は、同名称の物件又は同一住所に複数の物件が存在した場合、複数の物件が抽出されるが、ユーザに何れかの物件の選択を促すことにより、基準となる物件、即ち仕様を特定することができる。
ステップS7において、システム制御部は、図5(a)に例示されるように、物件情報掲載ページを送信する際に、本実施に係るこだわり条件を設定する処理を行う。具体的には、システム制御部は、物件を検索するか否かを指示する際に操作される条件変更ボタン51のデータを、条件設定ページの一部として携帯端末Tに送信する。
ここで、「こだわり条件」とは、新たな物件の仕様として、必須条件、望ましい条件、不要条件、といったようにユーザが実現の程度を段階的に設定するための情報である。こだわり条件が設定されない場合には、検索結果の物件一覧としてユーザの希望を満たす物件が少ない場合及び全く該当物件が無い場合の他に、検索された物件の数が多すぎる場合もある。こだわり条件として、ユーザが「必ず手に入れる」ことを希望する条件を「必須条件」と称する。この必須条件は、物件の再検索の際に用いることができる。また、ユーザが、必須ではないが「可能ならば手に入れる」ことを希望する条件を「要望条件」と称する。この要望条件は、物件情報をユーザに提示する際の提示態様の制御に用いられる。さらに、こだわり条件として、ユーザが「手に入れない」ことを希望する条件を「不要条件」と称する。この不要条件の扱いは、再検索時に、不要条件を備える物件を抽出しない、という処理を原則とするが、「要望条件」と同等に扱い、提示態様の制御の際に、「不要条件」に該当する仕様を持つ物件の表示順位を最下位にグルーピングすることができる。表示順位については、「必須条件」に合致する物件を最上位グループに表示し、次いで「要望条件」に合致する物件を中位グループに、そして最後に「不要条件」に該当する物件を最下位グループに表示することができる。システム制御部は、「必須条件」と基準物件の仕様との関係は、この仕様に含まれる条件について設定された場合は「必須で残す」という処理を行い、この仕様に含まれない条件について設定された場合は「新たに必須で加える」という処理を行う。同様に、「要望条件」については、前者の場合「条件を可能な限り残す」、後者の場合「新たに可能な限り確保する」という処理を行う。同様に、「不要条件」については、前者の場合「条件を取り除く」、後者の場合「条件に入れない」という処理を行う。
図5(a)に例示されるように、物件情報掲載ページを受信した端末装置Tは、受信した物件一覧を含む物件情報掲載ページを、条件変更ボタン51と共に、端末装置Tの表示部に表示する。これらによりユーザは、こだわり条件を用いて新たな物件を検索したい場合、図5(a)に例示される条件変更ボタン51を操作する。これにより、端末装置Tは、ユーザがこだわり条件を用いて新たに物件を検索したい旨の要求を、情報提供サーバSVに送信する。
一方、ステップS7において物件一覧を含む物件情報掲載ページを送信したシステム制御部は、こだわり条件を用いた新たな物件の検索要求の端末装置Tからの送信を監視する(ステップS8)。ステップS8の監視において、例えば予め設定された時間内に新たな物件の検索要求が送信されてこない場合(ステップS8:NO)、システム制御部は、後述するステップS14に移行する。ステップS8の監視において、こだわり条件を用いた新たな物件の検索要求が送信されてきた場合(ステップS8:YES)、システム制御部は、こだわり条件候補データベース30を検索する。
こだわり条件を用いた新たな物件の検索要求が送信された場合(ステップS8:YES)、システム制御部は、検索されたこだわり条件の候補を含むこだわり条件の設定画面のデータを条件設定ページの一部として端末装置Tに送信する(ステップS9)。こだわり条件の設定画面は、例えば図5(b)に示す設定画面である。この設定画面は、こだわり条件の候補のそれぞれについて、それを必須条件とするか、それを要望条件とするか、又はそれをいずれの条件としても「設定しない」か、のいずれかが選択可能とされた候補表示44を含んでいる。
なお、候補表示44において、新たな物件の検索要求を送信してきた端末装置Tを使用するユーザに係る物件の現況に相当する条件が、必須条件として予め設定されていてもよい。候補表示44において、要望条件が複数の段階に分けられていてもよい。要望条件が複数の段階に分けられている場合は、システム制御部は、その選択結果を、端末装置Tにおける表示順のソートに用いることができる。また、候補表示44において、「角部屋」や「南向き」といった肯定的な条件は、必須条件として予め設定されていてもよい。更に、候補表示44において、統計的な調査結果等に基づき、九割程度のユーザが過去に選択した条件が必須条件として予め設定され、例えば七割程度のユーザが過去に選択した条件が要望条件として予め設定され、例えば五割程度のユーザが過去に選択した条件が「設定しない」条件として予め設定されていてもよい。この割合の程度は適宜増減することができ、例えば、七割のユーザが選択した条件は必須条件、五割のユーザが選択した条件は要望条件、二割のユーザが選択した条件は不要条件、というような設定を行うこともできる。
候補表示44を含む設定画面のデータを受信した端末装置Tは、その候補表示44を含む設定画面を端末装置Tの表示部に表示する。ユーザは、候補表示44内の各候補について、それぞれ、必須条件とするか、要望条件とするか、「設定しない」か、のいずれかを、例えばドラッグ操作により選択する。「設定しない」として選択される候補には、それまで必須条件又は要望条件として選択されていた候補が、それらの選択から除外される場合が含まれる。必須条件又は要望条件から除外された候補は、ユーザが所望しなくなった(即ち手放したい)物件の条件であることになる。候補表示44を含む設定画面が表示されている端末装置Tは、こだわり条件の選択結果を情報提供サーバSVに送信する。システム制御部は、送信されてきたこだわり条件の選択結果を取得する(ステップS10)。
次いで、システム制御部は、こだわり条件の選択結果を受信すると、こだわり条件のうち必須条件として選択された条件と、ステップS1で取得された基準となる物件情報と、ステップS4で物件検索に用いられた変更条件と、に基づいて、物件情報データベース20内を検索する。
具体的に、システム制御部は、基準となる物件の条件に対して変更条件の選択結果及び必須条件を満たす検索条件を、新たに生成する(ステップS11)。システム制御部は、新たに生成した検索条件を用いて、物件情報データベース20内を検索する(ステップS12)。システム制御部は、ステップS12の検索結果として、基準となる物件の条件に対して変更条件及び必須条件を満たす物件を示す物件情報を、物件情報データベース20から取得する。次いで、システム制御部は、ステップS12の物件検索において満たされた要望条件の数が多い物件ほど上位に表示されるようにして、取得された物件情報により示される物件の、端末装置Tにおける表示順をソートし、新たな物件一覧を生成する(ステップS13)。これにより、要望条件に対応した提示態様での物件情報の提示が可能となる。ステップS13の結果として生成される物件一覧は、例えば、図5(c)に示す物件一覧となる。
これに加えて、システム制御部は、図5(c)に例示するように、ユーザにより要望条件として選択されたこだわり条件のうち、ステップS12の物件検索により検索された物件において満たされなかった条件を、物件ごとに、例えば消去線を伴って表示するように、検索結果欄45を生成して物件一覧に含ませる。更に、検索結果欄45では、ユーザにより要望条件として選択されたこだわり条件のうち、ステップS12の物件検索により検索された物件において満たされた条件の数が、物件ごとに認識可能に表示される。
例えば、図5(b)に例示される候補表示44において、必須条件として選択された候補が1個あり、要望条件として選択された候補が合計13個あり、そのうちステップS12の物件検索により検索された物件において満たされなかった要望条件が7個あるとする。この場合、図5(c)に示す検索結果欄45では、「条件」欄として、「7/14個」と表示される。この分数の分子は、物件一覧として表示されている物件において満たされている必須条件の数と要望条件の数の合計を意味する。上述の例の場合、物件一覧として表示されている物件において満たされている必須条件の数は1であり、要望条件の数は6である。また、分数の分母は、図5(b)に例示される候補表示44において選択された必須条件の数と要望条件の数の合計を意味する。上述の例の場合、その合計は「14」である。更に、図5(c)に示すこだわり条件検索結果欄45では、ステップS12の物件検索により検索された物件において満たされなかった要望条件が、「バストイレ別」、「独立洗面台」、「ペット相談可」、「インターネット無料」、「リフォーム」、「リノベーション」及び「特優賃(特定優良賃貸住宅)」の7個であることが表示されている。これら7個の要望条件は、消去線と共に表示されている。この検索結果欄45の表示により、要望条件に対応した提示態様での物件情報を提示が行われる。
以上のステップS9乃至ステップS13による物件検索によれば、物件についての複数の条件を、物件検索用の必須条件とするか、物件情報のソート用の要望条件とするか、又はいずれの条件としても用いないか、が選択された後、その選択結果に基づいて物件が検索されて、その物件情報が提示される。よって、システム制御部は、物件情報の提示を希望するユーザの選択肢を拡げた物件検索により物件情報を提示することができる。
また、その物件検索の結果を含む物件一覧の表示においては、選択された要望条件が満たされる数が多い物件ほど、優先してその物件情報が表示される。よって、システム制御部は、ユーザの要望に合致した物件を優先的に提示させることができる。
更に、選択された要望条件が満たされる数が多い物件ほど、上位に並べられて表示される。よって、システム制御部は、ユーザの要望により合致した物件を、優先的に且つ認識し易く提示させることができる。
更にまた、物件一覧に含まれて提示される物件において要望条件が満たされているか否かを識別するための情報が、物件一覧に含まれて提示される。よって、ユーザは、選択した要望条件のいずれか満たされている物件であるかを、容易に認識することができる。
また、満たされていない要望条件と、満たされている要望条件の数を認識可能な情報と、が、物件一覧に含まれて提示される。よって、ユーザは、選択した要望条件のいずれか満たされているかを、具体的に認識することができる。
ステップS13で新たな物件一覧が生成されたら、システム制御部は、ステップS7に移行する。ステップS7において、システム制御部は、ステップS13で生成された物件一覧を含む物件情報掲載ページを、こだわり条件を用いた新たな物件の検索要求を送信してきたユーザが使用する端末装置Tに送信する。その後、システム制御部は、上述したステップS8以降の処理を繰り返す。
ステップS9乃至ステップS13による物件検索の結果としての新たな物件一覧において、システム制御部は、図5(c)に例示されるように、その物件一覧を含む物件情報掲載ページを送信する際(ステップS7)に、本実施に係る改善用検索処理を行う。具体的には、システム制御部は、改善用検索条件設定ボタン70のデータを、条件設定ページの一部として携帯端末Tに送信する。
ここで、上記「改善要望点を改善する物件を検索するための検索条件」とは、ユーザが指定する改善を実現するために必要な検索条件を意味し、例えば図5(c)に示す物件一覧として物件情報が表示されている物件の中にユーザの希望を満たす物件がない場合に設定される。以下の説明では、改善要望点を改善する物件を検索するための検索条件を、「改善用検索条件」と称する。改善用検索条件が設定されない場合には、検索結果の物件一覧としてユーザの希望を満たす物件が少ない場合及び全く該当物件が無い場合の他に、検索された物件の数が多すぎる場合もある。システム制御部は、ユーザにより入力された改善要望点に対応する検索条件を特定し、改善用検索条件として利用する。
この場合に、図5(c)に例示される物件情報掲載ページを受信した端末装置Tは、受信した物件一覧を含む物件情報掲載ページを、改善用検索条件設定ボタン70と共に表示する(ステップS9乃至ステップS13を経たステップS7参照)。そして、ステップS7の直後に実行されるステップS8の監視において、こだわり条件を用いた新たな物件の検索要求が送信されてこない場合(ステップS8:NO)、システム制御部は、改善用検索条件の提示要求の端末装置Tからの送信を監視する(ステップS14)。
改善用検索条件の提示を要求する場合、ユーザは、図5(c)に例示される改善用検索条件設定ボタン70を操作する。これにより、端末装置Tは、改善用検索条件の提示要求を、ユーザがその改善用検索条件を用いて新たに物件を検索したい旨の要求と共に情報提供サーバSVに送信する。
ステップS14の監視において、予め設定された時間内に改善用検索条件の提示要求が送信されてこない場合(ステップS14:NO)、システム制御部は、後述するステップS21に移行する。ステップS14の監視において、改善用検索条件の提示要求が送信されてきた場合(ステップS14:YES)、システム制御部は、図示しない改善要望点入力画面を含む条件設定ページを、端末装置Tに送信する。改善要望点入力画面は、上記条件設定ページの一部として、端末装置Tにより、その表示部に表示される。端末装置Tは、表示されている改善要望点入力画面を用いて、そのユーザに改善要望点を入力させる。ユーザは、改善要望点入力画面を用いて、例えば、「湿気が心配」といった改善要望点を入力する。改善要望点の設定は、改善要望点入力画面に限らず、例えば、検索結果表示画面や、所定の物件情報を閲覧する詳細画面などの任意の画面に設定することができる。システム制御部は、任意の画面に改善点入力画面を設定することにより、ユーザは、具体的な物件情報を閲覧中に思い立った改善要望点を設定して再検索を起動できる。また、改善点入力画面において改善要望点を選択するのではなく、フリーワードで入力することもできる。この場合、フリーワードの単語・文章を機械解析して改善検索条件候補データベースの改善用検索候補IDとのマッチングを行い、改善用検索条件の特定を行う。
そして、改善要望点入力画面を用いて入力された、物件の改善要望点を示す情報は、端末装置Tにより、情報提供サーバSVに送信される(ステップS15)。これにより、システム制御部は、送信されてきた情報を用いて、改善用検索条件候補データベース60を検索する。改善用検索条件候補データベース60は、改善要望点と検索条件を対応付けたテーブル構成を有している。例えば「湿気が心配」という改善要望点に対しては、「2階以上」、「浴室乾燥機つき」及び「南向き」といった検索条件が対応付けられている。「騒音」という改善要望点に対しては、「最上階」、「幹線道路非接続」、「公園非接続」といった検索条件が対応づけられている。なお、これら検索条件による検索を実現するため、物件情報の仕様として、検索条件に対応する条件が設定されている必要がある。
物件の改善要望点を示す情報が上記改善用検索条件設定ボタン70の操作に対応して端末装置Tから送信されてきた場合、システム制御部は、改善用検索条件候補データベース60を検索して得られた改善用検索条件の候補を含む改善用検索条件の設定画面のデータを、上記改善要望点を示す情報を送信してきた端末装置Tに、条件設定ページの一部として送信する(ステップS16)。改善用検索条件の設定画面は、例えば図6に示す設定画面である。この設定画面は、端末装置Tから送信された改善要望点である「湿気が心配」と共に、その改善要望点を改善する物件を検索するための改善用検索条件の候補が、「2階以上」、「浴室乾燥機つき」及び「南向き」として選択可能とされた候補表示46を含んでいる。また、その設定画面には、選択された改善用検索条件を用いて新たに物件を検索するか否かを指示する際に操作される検索結果要求ボタン71が含まれている。
候補表示46を含む改善用検索条件の設定画面のデータを受信した端末装置Tは、その候補表示46及び検索結果要求ボタン71を含む設定画面をその表示部に表示する。これにより、改善用検索条件がユーザに対して提示(レコメンド)される。ユーザは、候補表示46内の候補のいずれかを、例えばタップ操作により選択する。ユーザは、改善用検索条件の候補の選択が終了したら、検索結果要求ボタン71を、例えばタップ操作により操作する。これらにより、候補表示46及び検索結果要求ボタン71を含む設定画面が表示されている端末装置Tは、改善用検索条件の選択結果及びその選択結果を検索条件とする新たな物件の検索要求を情報提供サーバSVに送信する。システム制御部は、送信されてきた改善用検索条件の選択結果及び新たな物件の検索要求を取得する(ステップS17)。
次いで、改善用検索条件の選択結果及び新たな物件の検索要求が送信されてくると、システム制御部は、少なくとも、送信されてきた改善用検索条件と、ステップS1で取得された現況に相当する物件情報と、ステップS5で物件検索に用いられた変更希望状況と、に基づいて、物件情報データベース20内を検索する。このときの検索は、ステップS10で取得されたこだわり条件のうち必須条件として選択された条件に相当する物件の状況に更に基づいて行われてもよい。
具体的に、システム制御部は、少なくとも、上記現況に対して上記変更希望状況の選択結果及び上記改善用検索条件を満たす検索条件を、新たに生成する(ステップS18)。このとき、システム制御部は、上記必須条件を検索条件に加えてもよい。システム制御部は、新たに生成した検索条件を用いて、物件情報データベース20内を検索する(ステップS19)。システム制御部は、ステップS19の検索結果として、少なくとも、上記現況に対して上記変更希望状況並びに上記改善用検索条件を満たす物件を示す物件情報を取得する。次いで、システム制御部は、例えば、ステップS19の物件検索において満たされた改善用検索条件の数が多い物件ほど上位に表示されるようにして、取得された物件情報により示される物件の、端末装置Tにおける表示順をソートし、新たな物件一覧を生成する(ステップS20)。これにより、改善用検索条件に対応した提示態様での物件情報の提示が可能となる。
以上のステップS15及びステップS16によれば、システム制御部は、ユーザに係る物件の改善要望点を改善し得る物件を検索するための検索用検索条件を改善用検索条件データベース60から取得し、それを端末装置Tに送信する。よって、システム制御部は、現在の改善要望点を改善することが可能な物件を検索するための改善用検索条件を迅速に提示することができる。
また、上記ステップS17乃至上記ステップS19によれば、ユーザにより選択された改善用検索条件を少なくとも満たす物件を検索し、検索された物件を示す物件情報をユーザに提示するので、システム制御部は、現在の改善要望点を改善することが可能な物件を迅速に提示することができる。
更に、複数の物件情報をユーザに提示する場合に、システム制御部は、ユーザにより選択された改善用検索条件が満たされる数が多い物件を示す物件情報ほど優先して提示してもよい(図2ステップS20参照)。この場合に、システム制御部は、ユーザの改善要望に合致した物件を優先的に提示させることができる。
更にまた、システム制御部は、ユーザにより選択された改善用検索条件が満たされる数が多い物件を示す物件情報ほど上位に並べて提示してもよい(図3ステップS20参照)。この場合に、システム制御部は、ユーザの改善要望により合致した物件を、優先的に且つ認識し易く提示させることができる。
ステップS20で新たな物件一覧が生成されたら、システム制御部は、上記ステップS7に移行する。ステップS7において、システム制御部は、ステップS20で生成された物件一覧を含む物件情報掲載ページを、改善用検索条件を用いた新たな物件の検索要求を送信してきたユーザが使用する端末装置Tに送信する。その後、システム制御部は、上述したステップS8以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS14の監視において、改善用検索条件の提示要求が送信されてこない場合(ステップS14:NO)、システム制御部は、例えば図5(c)に例示される物件一覧を含む物件情報掲載ページが表示された端末装置Tにおいて選択された物件を示す情報の送信を監視する(ステップS21)。この場合に選択された物件は、そのユーザが所望する物件である。ステップS21の監視において、例えば予め設定された時間内に選択された物件を示す情報が送信されてこない場合(ステップS21:NO)、システム制御部は、後述するステップS23に移行する。
なお、物件一覧は、入居者を募集中及び募集予定の物件情報から構成されるが、募集予定の無い物件情報が物件一覧に含まれてもよい。システム制御部は、ユーザが募集予定の無い物件情報を選択(即ち予約)した場合、該当する物件に対して、ユーザ情報と予約情報を付記し、募集予定が決まり次第、ユーザに対して電子メール等により検討依頼案内を送ることができる。このような機能により、ユーザは、気に入った物件が空くのを待つことができる。
他方、ステップS21の監視において、選択された物件を示す情報が送信されてきた場合(ステップS21:YES)、システム制御部は、その物件の契約処理等の予め設定された関連処理を行う(ステップS22)。
その後、システム制御部は、例えば端末装置Tにおいてユーザにより終了操作が実行された等の理由により、本実施形態の物件検索処理を終了するか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23の判定において、本実施形態の物件検索処理を終了しない場合(ステップS23:NO)、システム制御部は、ステップS1に戻って上述した処理を繰り返す。一方、ステップS23の判定において、本実施形態の物件検索処理を終了する場合(ステップS23:YES)、システム制御部は、そのまま本実施形態の物件検索処理を終了する。
本実施形態の変形例として、図3に示すステップS1乃至ステップS7を経ずに、初めにこだわり条件を用いた物件の検索が行われてもよい。この場合に、ユーザは、より具体的なこだわり条件を用いた物件の検索ができる。
また、図3に示すステップS1乃至ステップS13を経ずに、初めに改善用検索条件を用いた物件の検索が行われてもよい。この場合に、ユーザは、現況の改善要望点を改善可能な改善用検索条件を用いた物件の検索を迅速に実行することができる。
また、システム制御部は、本実施形態による要望条件又は改善用検索条件を用いた物件の表示順の制御に代えて、要望条件又は改善用検索条件が満たされる数が多い物件ほど、端末装置Tにおける表示(例えば、文字、画像)の大きさを大きくしたり、文字の色を目立つ色にしたり、表示される物件情報の項目数を多くしたりするように提示態様を制御してもよい。この場合でも、システム制御部は、ユーザの意向により合致した物件、又はユーザの改善要望点を解決可能な物件を、優先的に且つ認識し易く提示させることができる。
更に、システム制御部は、変更条件の提示(図3ステップS1参照)及びその選択結果の取得(図3ステップS2)より前に、基準となる物件情報を取得(図3ステップS3参照)してもよい。すなわち、ステップS3、S1、S2の順番で処理することができる。この場合にシステム制御部は、基準となる物件の仕様をユーザに提示し、どの条件をどうするのか、といった選択画面を提示することができ、ユーザは、変更すべき条件、不要な条件、足りない条件を容易に把握できるという効果が得られる。システム制御部は、変更すべき又は不要な条件の設定を支援するため、条件の一覧とどのように変更するのか条件毎に、例えば「広く」、「安く」、「新しく」「不要」などの選択肢を用意する。システム制御部は、足りない条件、即ち新たに獲得したい条件の設定を支援するため、データベースDBに登録された物件情報データベース20から、基準となる物件の仕様には無い条件、例えば「オートロック」、「管理人常駐」、「パーティールーム」、「プール」などの条件一覧を抽出し、端末装置Tに提示する。
更にまた、図3に示すフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いは、インターネット等のネットワークから取得して記録しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータで読み出して実行することにより、その処理中にネットワークにアクセスすることなく、当該マイクロコンピュータを本実施形態のシステム制御部を機能させることも可能である。