JP2020055770A - カテコール−o−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤及び医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規のCOMT賦活化剤、及び当該COMT賦活化剤を有効成分として含む医薬組成物を提供する。【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。式中、R1〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基を表し;R10は、ビニル基又はヒドロキシ基を表し;Yは、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。[化1]【選択図】なし
Description
本発明は、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤及び前記カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤を含む医薬組成物に関する。
カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(catechol−O−methyltransferase:COMT)は、カテコールアミン神経伝達物質やカテコールエストロジェンの代謝を司る酵素である。COMTは、ヒトでは22番染色体にある一遺伝子座(22q11.2)にコードされている。comt遺伝子は2つのプロモーター領域を有し、長いポリペプチドと短いポリペプチドとの二通りの発現をする。長いペプチドは、N末端側に疎水性の50アミノ酸残基の膜結合ドメインを有する(MB−COMT)。短いペプチドは、可溶型の酵素である(S−COMT)。MB−COMT及びS−COMTは、N末端の膜結合ドメインのみが異なり、酵素活性部分のアミノ酸配列は同じである。MB−COMTは中枢でのカテコールアミンの消去に重要とされ、S−COMTは末梢でのカテコールアミンの消去を担うとされている。
COMTは、中枢や神経節において神経伝達物質カテコールアミン(ドパミン、ノルアドレナリン等)の代謝を担うことに加え、末梢循環において、神経伝達物質カテコールアミン(ノルアドレナリン等)、ホルモン(アドレナリン等)、及びカテコールエストロゲン(2−hydroxyestradiol等)、外来カテコール(例えば、カフェー酸等)等をメチル化して代謝する。
COMTは、メチル基ドナー基質としてS−アデノシルメチオニン(S−adenosylmethionine:SAM)を第一基質部位に結合し、次いで触媒補因子であるMg2+及びカテコール基質(第二基質)を結合し、COMT/Mg/SAM/カテコール複合体を形成する。ここでメチル基の転移反応が起こり、SAMはメチル基を失ってS−アデノシルホモシステイン(S−adenosylhomocystein:SAH)になり、第二基質はメチル化される。図1は、第二基質がノルアドレナリンである場合の酵素反応を示す図である。メチル化された第二基質は容易に酵素から離脱するが、SAHはSAMよりもCOMTに対する親和性が高いため、SAHはCOMTから離脱しにくい。そのため、SAHは、SAMに対する強力な競合阻害物質である。
COMTは、メチル基ドナー基質としてS−アデノシルメチオニン(S−adenosylmethionine:SAM)を第一基質部位に結合し、次いで触媒補因子であるMg2+及びカテコール基質(第二基質)を結合し、COMT/Mg/SAM/カテコール複合体を形成する。ここでメチル基の転移反応が起こり、SAMはメチル基を失ってS−アデノシルホモシステイン(S−adenosylhomocystein:SAH)になり、第二基質はメチル化される。図1は、第二基質がノルアドレナリンである場合の酵素反応を示す図である。メチル化された第二基質は容易に酵素から離脱するが、SAHはSAMよりもCOMTに対する親和性が高いため、SAHはCOMTから離脱しにくい。そのため、SAHは、SAMに対する強力な競合阻害物質である。
一方、SAMを基質とするメチル基転移反応は、生体内の様々なメチル基転移酵素によって行われている。ゲノムDNAの発現調節領域のメチル化、ヒストンタンパク質のメチル化、及びリン脂質のフォスファチジルコリンの生合成などがその例である。これらのメチル基転移反応においても、SAHが生じる。すなわち、COMTは、他のメチル基転移反応によって生成されるSAHによっても、酵素活性が抑制される。
また、SAHは、血中では、SAH加水分解酵素によりホモシステイン及びアデノシンに加水分解されるが、この酵素反応は可逆的であるため、正確には、SAHはホモシステイン及びアデノシンとの平衡状態にある。すなわち、アデノシンやホモシステインの蓄積は、SAH濃度を上昇させる。
また、SAHは、血中では、SAH加水分解酵素によりホモシステイン及びアデノシンに加水分解されるが、この酵素反応は可逆的であるため、正確には、SAHはホモシステイン及びアデノシンとの平衡状態にある。すなわち、アデノシンやホモシステインの蓄積は、SAH濃度を上昇させる。
ところで、40年ほど前から、様々な血管系の障害、特に心血管系障害及び脳血管系障害の発症リスクが、血中のホモシステイン濃度と相関することが知られている。近年では、血中のホモシステイン濃度と認知症の発症リスクとの関連も示唆されている。血中ホモシステイン濃度がこれらの発症リスクと相関する理由は未だ明確にされていないが、酸化ストレス、小胞体ストレス、及び炎症などとの関連が考えられている。
ホモシステインが、ビタミンB12/葉酸によってメチオニンに変換されることに着目し、ビタミンB12/葉酸の投与により、血中レベルを低下させようとする複数の臨床試験が行われたが、血管系疾患の発症リスク低下には有効性が認められなかった。そのため、今日では、ホモシステインは、血管系疾患の発症リスクの原因ではなく、(真の原因の)バイオマーカーであると考えられている。
ホモシステインが、ビタミンB12/葉酸によってメチオニンに変換されることに着目し、ビタミンB12/葉酸の投与により、血中レベルを低下させようとする複数の臨床試験が行われたが、血管系疾患の発症リスク低下には有効性が認められなかった。そのため、今日では、ホモシステインは、血管系疾患の発症リスクの原因ではなく、(真の原因の)バイオマーカーであると考えられている。
近年の研究では、ホモシステインの前駆体であるSAHの血中濃度が、血管系障害のリスクファクターであることが次々に明らかにされている。
SAHは、COMTだけでなく多くのSAMを基質とするメチル基転移酵素の阻害剤である。マウスの実験では、SAHは粥状動脈硬化の高感度なマーカーであり、かつ、DNAの低メチル化と相関することが示されている。SAH加水分解酵素の阻害剤を用いて血中SAH濃度を上昇させた実験では、粥状動脈硬化の進行と共にエピジェネティックな小胞体ストレスの上昇が報告されている(非特許文献1)。
SAHは、COMTだけでなく多くのSAMを基質とするメチル基転移酵素の阻害剤である。マウスの実験では、SAHは粥状動脈硬化の高感度なマーカーであり、かつ、DNAの低メチル化と相関することが示されている。SAH加水分解酵素の阻害剤を用いて血中SAH濃度を上昇させた実験では、粥状動脈硬化の進行と共にエピジェネティックな小胞体ストレスの上昇が報告されている(非特許文献1)。
ホモシステインはタンパクと結合しているもの、SSダイマーで存在するものなど、1つの状態にはなく、通常、フリーのホモシステインとトータルのホモシステインの量が測定される。
腎臓障害患者は、当然腎機能低下によるクリアランスの差異という背景がある上、通常老齢であり、糖尿病や高血圧も併発しているため、疫学的な解析は難しい。少人数であるが若い腎不全患者に絞った解析では、糸球体ろ過量の低下は血中ホモシステイン濃度とは相関せず、SAHと相関することが報告されている(非特許文献2)。
腎臓障害患者は、当然腎機能低下によるクリアランスの差異という背景がある上、通常老齢であり、糖尿病や高血圧も併発しているため、疫学的な解析は難しい。少人数であるが若い腎不全患者に絞った解析では、糸球体ろ過量の低下は血中ホモシステイン濃度とは相関せず、SAHと相関することが報告されている(非特許文献2)。
腎障害患者では、交感神経の亢進が認められることが知られている。透析患者(末期腎不全患者)を対象に行われた疫学調査では、血中ノルアドレナリン(NE)濃度の中央値は3nMであったが、血中NE濃度が5.75nMよりも高い患者においては、血管系障害(脳卒中、心筋梗塞、心不全、不整脈)の発症により有意に生存率が低下することが判明し、血中NE濃度は、単独で、透析患者の生存率に関する最も強力な予測力を示した(非特許文献3)。
末梢循環系におけるNE消去は、COMTが担うところが大きい。腎臓が分泌し、末梢循環血流に乗っている可溶性のモノアミンオキシダーゼ(レナラーゼ)も知られているが、腎機能障害患者ではその活性は小さい。一方、血中NE濃度が高いのは腎クリアランスの低下のためではないことも知られている。腎機能障害動物において、その腎機能低下とCOMT活性の関係を調べた研究では、クレアチンクリアランスの低下と、血中尿素窒素量の増加と、COMT活性の低下との間には相関関係があることが報告されている(非特許文献4)。
エストラジオールのA環がさらに水酸化された2−ヒドロキシエストラジオール(2HE)はCOMTの基質であり、その生成物である2−メトキシエストラジオール(2ME)は極めて微量で血管保護作用を示す。2MEは、血管内皮細胞では増殖阻害と一酸化窒素(NO)産生の上昇をもたらす。また、2MEは、がん細胞の増殖も阻害する。
comtノックアウトマウスは妊娠高血圧症状を示すが、2MEの投与によってその症状が補償されることが報告されている。(非特許文献5)。
comtノックアウトマウスは妊娠高血圧症状を示すが、2MEの投与によってその症状が補償されることが報告されている。(非特許文献5)。
上記より、COMTの活性を上昇させることは、血中NEの消去に寄与するとともに2MEの生合成促進をもたらし、腎障害の進行や心血管系障害の発生を防止する効果があると考えられる。本発明者らは、前記考察に基づき、COMT活性を上昇させる化合物の探索を行い、COMT活性を上昇させる機能(COMT賦活化能)を有する化合物を複数同定している(特許文献1)。
Liu C et al., Plasma S-adenosylhomocysteine is a better biomarker of atherosclerosis than homocysteine in apolipoprotein E-deficient mice fed high dietary methionine. (2008) J. Nutr. 138, 311-315.
jabs K et al., Relationship between plasma S-adenosylhomocysteine concentration and glomerular filtration rate in children. (2006) Metabolism. 55(2), 252-257.
Zoccali C et al., Plasma norepinephrine predicts survival and incident cardiovascular events in patients with end-stage renal disease. (2002) Circulation. 105(11), 1354-1359.
Iijima H et al., Quantification of norepinephrine and its metabolites in the plasma of renal failure models. (2010) Nephron Physiol. 116(2), 9-16.
Kanasaki, K. et al. Deficiency in catechol-O-methyltransferase and 2-methoxyoestradiol is associated with pre-eclampsia. (2008) Nature 453, 1117-1121.
特許文献1に開示される化合物は、COMT賦活化に必要な化合物濃度が高く、医薬用途には適さない。そのため、より低濃度でCOMT賦活化能を発現する化合物が求められる。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、新規のCOMT賦活化剤、及び当該COMT賦活化剤を有効成分として含む医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]下記一般式(I)で表される化合物(I)、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[1]下記一般式(I)で表される化合物(I)、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[2]前記化合物(I)が、下記一般式(Ia)で表される化合物である、[1]に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[3]前記R1及びR2が、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基である、[1]又は[2]に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[4]前記R7が炭素数1〜3のアルキル基であり、前記R8がヒドロキシ基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[5]前記R9が炭素数1〜3のアルキル基である、[1]〜[4]のいずれかに記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[6]前記R3〜R6が、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシ基である、[1]〜[5]のいずれかに記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[7]前記Yが、炭素数2〜4のアルキレン基、又は下記式(y1)もしくは下記式(y2)で表される基である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
[8]前記化合物(I)が、下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物である、[1]に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
本発明によれば、新規のCOMT賦活化剤、及び当該COMT賦活化剤を有効成分として含む医薬組成物が提供される。
[定義]
本明細書において、「カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ」(COMT)とは、SAMをメチル基ドナーとして、カテコール骨格を含む化合物(カテコールアミン、カテコールエストロジェン等)をメチル化する酵素を意味する。図1は、COMTにより、ノルアドレナリン(NE)及びSAMから、ノルメタネフリン(NMN)及びSAHを生じる酵素反応を示す図である。COMTは、ヒトでは、22番染色体にある一遺伝子座(22q11.2)にコードされており、当該遺伝子座から膜結合型COMT(MB−COMT)及び可溶型COMT(S−COMT)の2種類のポリペプチドを発現する。MB−COMT及びS−COMTのアミノ酸配列及び塩基配列は、GenBank等の公知のデータベースから入手可能である。例えば、ヒトMB−COMTの塩基配列及びアミノ酸配列の一例としては、GenBankアクセッション番号 NM_000754.3に登録された配列が挙げられる。ヒトS−COMTの塩基配列及びアミノ酸配列の一例としては、GenBankアクセッション番号 NM_007310.2に登録された配列が挙げられる。
本明細書において、「COMT賦活化能」とは、COMT活性を上昇させる機能を意味する。ある化合物がCOMT賦活化能を有するか否かは、当該化合物の存在下及び非存在下でCOMT活性を測定することにより判定することができる。当該化合物の非存在下と比較して、当該化合物の存在下でCOMT活性が上昇した場合には、当該化合物はCOMT賦活化能を有すると判定することができる。
本明細書において、「COMT活性」とは、SAMをメチル基ドナーとして、カテコール骨格を含む化合物をメチル化する活性を意味する。COMT活性は、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
本明細書において、「COMT賦活化剤」とは、COMT活性を上昇させる機能を有する薬剤を意味する。
本明細書において、「カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ」(COMT)とは、SAMをメチル基ドナーとして、カテコール骨格を含む化合物(カテコールアミン、カテコールエストロジェン等)をメチル化する酵素を意味する。図1は、COMTにより、ノルアドレナリン(NE)及びSAMから、ノルメタネフリン(NMN)及びSAHを生じる酵素反応を示す図である。COMTは、ヒトでは、22番染色体にある一遺伝子座(22q11.2)にコードされており、当該遺伝子座から膜結合型COMT(MB−COMT)及び可溶型COMT(S−COMT)の2種類のポリペプチドを発現する。MB−COMT及びS−COMTのアミノ酸配列及び塩基配列は、GenBank等の公知のデータベースから入手可能である。例えば、ヒトMB−COMTの塩基配列及びアミノ酸配列の一例としては、GenBankアクセッション番号 NM_000754.3に登録された配列が挙げられる。ヒトS−COMTの塩基配列及びアミノ酸配列の一例としては、GenBankアクセッション番号 NM_007310.2に登録された配列が挙げられる。
本明細書において、「COMT賦活化能」とは、COMT活性を上昇させる機能を意味する。ある化合物がCOMT賦活化能を有するか否かは、当該化合物の存在下及び非存在下でCOMT活性を測定することにより判定することができる。当該化合物の非存在下と比較して、当該化合物の存在下でCOMT活性が上昇した場合には、当該化合物はCOMT賦活化能を有すると判定することができる。
本明細書において、「COMT活性」とは、SAMをメチル基ドナーとして、カテコール骨格を含む化合物をメチル化する活性を意味する。COMT活性は、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
本明細書において、「COMT賦活化剤」とは、COMT活性を上昇させる機能を有する薬剤を意味する。
[COMT賦活化剤]
一実施形態において、本発明は、下記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤、を提供する。
一実施形態において、本発明は、下記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤、を提供する。
上記一般式(I)で表される化合物には、立体異性体が存在し得る。一般式(I)は、それら立体異性体を代表して表す場合がある。以下、一般式(I)で表される化合物及びその立体異性体をまとめて「化合物(I)」という場合がある。化合物(I)としては、それらの立体異性体を、各々単独で用いてもよいし、それら立体異性体の混合物を用いてもよい。「立体異性体」は、エナンチオマー及びジアステレオマーを包含する。
上記一般式(I)中、R1〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基を表す。
R1〜R9における炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよいが、直鎖状アルキル基であることが好ましい。該アルキル基は、炭素数1又は2が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
前記R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシ基であることが好ましい。好ましい態様において、R3〜R6は全てが水素原子であるか、R3及びR4のいずれか一方が水素原子であり他方がヒドロキシ基であって、且つR5及びR6のいずれか一方が水素原子であり他方がヒドロキシ基である。
前記R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、R7が炭素数1〜3のアルキル基であり、且つR8がヒドロキシ基であることがより好ましく、R7がメチル基であり、且つR8がヒドロキシ基であることがさらに好ましい。
前記R9は、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
R1〜R9における炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよいが、直鎖状アルキル基であることが好ましい。該アルキル基は、炭素数1又は2が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
前記R3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシ基であることが好ましい。好ましい態様において、R3〜R6は全てが水素原子であるか、R3及びR4のいずれか一方が水素原子であり他方がヒドロキシ基であって、且つR5及びR6のいずれか一方が水素原子であり他方がヒドロキシ基である。
前記R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、R7が炭素数1〜3のアルキル基であり、且つR8がヒドロキシ基であることがより好ましく、R7がメチル基であり、且つR8がヒドロキシ基であることがさらに好ましい。
前記R9は、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
前記一般式(I)中、R10は、ビニル基又はヒドロキシ基を表す。
前記一般式(I)中、Yは、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
Yにおける炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。Yにおける炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、アルカンジイル基又はアルケンジイル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であることがより好ましい。前記アルカンジイル基又はアルケンジイル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Yにおける炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
Yの好ましい例としては、炭素数2〜4のアルキレン基が挙げられる。前記アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよいが、直鎖状アルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
あるいは、Yの好ましい例としては、下記一般式(y1)又は(y2)で表される基も挙げられる。
Yにおける炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。Yにおける炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、アルカンジイル基又はアルケンジイル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であることがより好ましい。前記アルカンジイル基又はアルケンジイル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Yにおける炭素数1〜5の直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
Yの好ましい例としては、炭素数2〜4のアルキレン基が挙げられる。前記アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよいが、直鎖状アルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
あるいは、Yの好ましい例としては、下記一般式(y1)又は(y2)で表される基も挙げられる。
前記一般式(y1)中、Ry1及びRy2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基を表す。前記一般式(y2)中、Ry3は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基を表す。
前記Ry1〜Ry3における炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよいが、直鎖状アルキル基であることが好ましい。該アルキル基は、炭素数1又は2が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記Ry1〜Ry3における炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよいが、直鎖状アルキル基であることが好ましい。該アルキル基は、炭素数1又は2が好ましく、メチル基がより好ましい。
好ましい態様において、前記一般式(y1)中のRy1及びRy2は、それぞれ、水素原子及び炭素数1〜3のアルキル基であるか、それぞれ、ヒドロキシ基及び炭素数1〜3のアルキル基である。
R10がビニル基である場合、Yは、前記一般式(y1)又は(y2)で表される基であることが好ましい。R10がヒドロキシ基である場合、Yは、炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状アルキレン基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
化合物(I)の好ましい例としては、下記一般式(1a)で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(Ia)中、R1〜R9及びR10は、上記一般式(I)におけるものと同様であり、好ましい例も上記一般式(I)において挙げたものと同様のものが挙げられる。
化合物(I)の具体例としては、下記式(I−1)〜(I−3)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
前記化合物(I)は、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。「薬学的に許容される塩」とは、化合物(I)のCOMT賦活化能を顕著に阻害しない塩を意味する。薬学的に許容可能な塩は、特に制限されず、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)との塩;アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)との塩;有機塩基(ピリジン、トリエチルアミンなど)との塩、アミンとの塩、有機酸(酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸など)との塩、及び無機酸(塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸など)との塩等が挙げられる。化合物(I)の薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属との塩が好適に例示される。
前記化合物(I)は、薬学的に許容される溶媒和物の形態であってもよい。「溶媒和物」とは、化合物(I)が溶媒と形成した錯体である。「薬学的に許容される溶媒和物」とは、化合物(I)のCOMT賦活化能を阻害しない溶媒和物を意味する。化合物(I)の溶媒和物は、特に制限されず、例えば、水和物、エタノール溶媒和物等が挙げられる。
また、化合物(I)は、薬学的に許容される塩の溶媒和物の形態であってもよい。
また、化合物(I)は、薬学的に許容される塩の溶媒和物の形態であってもよい。
化合物(I)は、公知の化学合成法により製造することができる。また、化合物(I)は、BioBio pharm社、Carbosynth社、ChemFaces社等から市販品として入手することができる。
後述する実施例で示されるように、化合物(I)は、COMT賦活化能を有する。したがって、COMT賦活化剤として利用可能である。COMTによる酵素反応は、COMT酵素反応の生成物でもあるSAHにより阻害されるが、化合物(I)は、SAHによる阻害作用を抑制すると考えられる。そのため、化合物(I)は、COMTの見かけ上の酵素反応速度を促進し、COMT活性を上昇させることができる。
本実施形態のCOMT賦活化剤が含有する化合物(I)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、化合物(I)、化合物(I)の薬学的に許容される塩、化合物(I)の薬学的に許容される溶媒和物、及び化合物(I)の薬学的に許容される塩の溶媒和物からなる群より選択される1種の化合物を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。以下、化合物(I)、化合物(I)の薬学的に許容される塩、化合物(I)の薬学的に許容される溶媒和物、及び化合物(I)の薬学的に許容される塩の溶媒和物をまとめて、「化合物(I)等」という場合がある。
本実施形態のCOMT賦活化剤は、化合物(I)等のみで構成されていてもよく、他の成分を含んでいてもよい。本実施形態のCOMT賦活化剤は、適宜他の成分と混合し、公知の方法で製剤化されていてもよい。前記他の成分は、特に限定されず、医薬品分野において常用されるものを特に制限なく使用することができる。
他の成分としては、例えば、後述する薬学的に許容される担体等が挙げられる。
他の成分としては、例えば、後述する薬学的に許容される担体等が挙げられる。
本実施形態のCOMT賦活化剤は、COMT活性を上昇させるために、in vitro又はin vivoで使用することができる。あるいは、後述する医薬組成物として、ヒト等の動物に投与することができる。
[医薬組成物]
一実施形態において、本発明は、前記実施形態のCOMT賦活化剤(以下、単に、「COMT賦活化剤」という場合がある)を含む、医薬組成物を提供する。
一実施形態において、本発明は、前記実施形態のCOMT賦活化剤(以下、単に、「COMT賦活化剤」という場合がある)を含む、医薬組成物を提供する。
COMT活性の低下は、腎機能の低下と相関していることが報告されている(Iijima H et al., (2010) Nephron Physiol. 116(2), 9-16.)。また、COMT活性の低下は、妊娠腎不全、高血圧、生活習慣病と相関していることが知られている。
腎不全患者における血管系障害の発症リスクは、血中ノルアドレナリン濃度と相関することが報告されている(Zoccali C et al., (2002) Circulation. 105(11), 1354-1359.)。末梢血循環系におけるノルアドレナリンの分解には、COMTが大きく寄与している。
SAHの血中濃度の上昇は、動脈硬化、高血圧、心不全、脳卒中、腎不全等の発症リスクと相関することが知られている。
したがって、COMT賦活化剤を含む医薬組成物は、上記のような疾患を予防又は治療するために用いることができる。
腎不全患者における血管系障害の発症リスクは、血中ノルアドレナリン濃度と相関することが報告されている(Zoccali C et al., (2002) Circulation. 105(11), 1354-1359.)。末梢血循環系におけるノルアドレナリンの分解には、COMTが大きく寄与している。
SAHの血中濃度の上昇は、動脈硬化、高血圧、心不全、脳卒中、腎不全等の発症リスクと相関することが知られている。
したがって、COMT賦活化剤を含む医薬組成物は、上記のような疾患を予防又は治療するために用いることができる。
本実施形態の医薬組成物の適用疾患は特に限定されないが、COMT不全に関連する疾患が好適に例示される。「COMT不全に関連する疾患」とは、COMT活性の低下に起因して生じる疾患をいう。COMT不全に関連する疾患としては、例えば、循環器系疾患、及び生活習慣病等が挙げられる。循環器系疾患としては、心血管障害(動脈硬化、高血圧、心不全、脳卒中を含む)、及び腎機能障害(腎不全、妊娠腎不全、末期腎不全を含む)等が挙げられるが、これら限定されない。生活習慣病としては、糖尿病、肥満、高脂血症等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本実施形態の医薬組成物の投与対象としては、血中ノルアドレナリン濃度が上昇している腎機能障害患者、及び血中SAH濃度が上昇している高SAH血症患者等も好適に例示される。
また、本実施形態の医薬組成物の投与対象としては、血中ノルアドレナリン濃度が上昇している腎機能障害患者、及び血中SAH濃度が上昇している高SAH血症患者等も好適に例示される。
本実施形態の医薬組成物の適用対象は、COMT不全に関連する疾患を発症する動物であることが好ましい。例えば、本実施形態の医薬組成物は、ヒト、又はヒト以外の哺乳類に好適に使用することができる。ヒト以外の哺乳類は、特に限定されないが、霊長類(サル、チンパンジー、ゴリラなど)、げっ歯類(マウス、ハムスター、ラットなど)、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等が挙げられる。
本実施形態の医薬組成物は、上述のCOMT賦活剤に加えて、少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含み得る。「薬学的に許容される担体」とは、有効成分の生理活性を阻害せず、且つ、その投与対象に対して実質的な毒性を示さない担体を意味する。「実質的な毒性を示さない」とは、その成分が通常使用される投与量において、投与対象に対して毒性を示さないことを意味する。本実施形態の医薬組成物においては、薬学的に許容される担体は、化合物(I)等のCOMT賦活化能を阻害せず、且つその投与対象に対して実質的な毒性を示さない担体である。薬学的に許容される担体は、典型的には非活性成分とみなされる、公知のあらゆる薬学的に許容され得る成分を包含する。薬学的に許容される担体は、特に限定されないが、例えば、溶媒、希釈剤、ビヒクル、賦形剤、流動促進剤、結合剤、造粒剤、分散化剤、懸濁化剤、湿潤剤、滑沢剤、崩壊剤、可溶化剤、安定剤、乳化剤、充填剤、保存剤(例えば、酸化防止剤)、キレート剤、矯味矯臭剤、甘味剤、増粘剤、緩衝剤、着色剤等が挙げられる。薬学的に許容される担体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の医薬組成物は、COMT賦活剤及び薬学的に許容される担体以外の、他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、特に限定されず、医薬分野において常用されるものを特に制限なく使用することができる。また、本医薬組成物は、化合物(I)等以外の活性成分を含んでいてもよい。活性成分としては、例えば、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、生薬、止痒剤、角質軟化剥離剤等が挙げられるが、これらに限定されない。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の医薬組成物の剤型は、特に制限されず、医薬品製剤として一般的に用いられる剤型とすることができる。本実施形態の医薬組成物は、経口製剤であってもよく、非経口製剤であってもよい。経口製剤としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、細粒剤、液剤、ドロップ愛、乳剤等が例示される。非経口製剤としては、例えば、注射剤、坐剤、軟膏、スプレー剤、外用液剤、点耳剤、点眼剤、点鼻剤、吸入剤等が例示される。これらの剤型の医薬組成物は、定法(例えば、日本薬局方記載の方法)に従って、製剤化することができる。
本実施形態の医薬組成物の投与経路は、特に限定されず、経口又は非経口経路で投与することができる。なお、非経口経路は、経口以外の全ての投与経路、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、腟内及び腹腔内等への投与を包含する。また、投与は、局所投与であっても全身投与であってもよい。
本実施形態の医薬組成物は、化合物(I)等の治療的有効量を投与することができる。「治療的有効量」とは、対象疾患の治療又は予防のために有効な薬剤の量を意味する。例えば、化合物(I)等の治療的有効量は、COMT不全に関連する疾患の発症及び/又は進行を遅らせることができる量であり得る。治療的有効量は、患者の症状、体重、年齢、及び性別等、並びに医薬組成物の剤型、及び投与方法等によって適宜決定すればよい。例えば、本実施形態の医薬組成物は、化合物(I)等の1回の投与量として、投与対象の体重1kgあたり、0.01〜1000mgとすることができる。前記投与量は、0.15〜800mg/kgであってもよく、0.5〜500mg/kgであってもよく、1〜400mg/kgであってもよく、1〜300mg/kgであってもよい。
本実施形態の医薬組成物は、単位投与形態あたり、治療的有効量の化合物(I)等を含んでいてもよい。例えば、本実施形態の医薬組成物における化合物(I)等の含有量は、0.01〜90質量%であってもよく、0.05〜80質量%であってもよく、0.1〜60質量%であってもよい。
本実施形態の医薬組成物の投与間隔は、患者の症状、体重、年齢、及び性別等、並びに医薬組成物の剤型、及び投与方法等によって適宜決定すればよい。投与間隔は、例えば、数時間毎、1日1回、2〜3日に1回、1週間に1回等とすることができる。
本実施形態の医薬組成物は、他の医薬と併用して用いてもよい。例えば、他の腎疾患治療薬、高血圧治療薬、動脈硬化治療薬、生活習慣病治療薬と併用して用いることができる。また、例えば、人工透析と併用してもよい。
[他の態様]
一実施形態において、本発明は、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防するための医薬組成物を提供する。
一実施形態において、本発明は、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防するための医薬組成物の製造における、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防に使用するための、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を対象(例、COMT不全に関連する疾患に罹患している患者など)に投与することを含む、COMT不全に関連する疾患の治療方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防するための、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を提供する。
一実施形態において、本発明は、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含む、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防するための医薬組成物を提供する。
一実施形態において、本発明は、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防するための医薬組成物の製造における、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防に使用するための、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を対象(例、COMT不全に関連する疾患に罹患している患者など)に投与することを含む、COMT不全に関連する疾患の治療方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、COMT不全に関連する疾患を治療又は予防するための、前記一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらの薬学的に許容される溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を提供する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<組換えヒトCOMTの調製>
ヒト可溶性COMT(S−COMT)のcDNA(GenBank Accession No.BC011935)が挿入されたプラスミドpOTB7を有する大腸菌(MGC Colection FL1002)をInvitrogen社より購入し、特開2006−23号公報を参考に組換えヒトCOMTをグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白質として発現させ、グルタチオンアフィニティーカラムで精製し、トロンビン処理によりGST部分を除去して、次いでイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーを行い、電気泳動的に均一になるまでS−COMTを精製した。
ヒト可溶性COMT(S−COMT)のcDNA(GenBank Accession No.BC011935)が挿入されたプラスミドpOTB7を有する大腸菌(MGC Colection FL1002)をInvitrogen社より購入し、特開2006−23号公報を参考に組換えヒトCOMTをグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白質として発現させ、グルタチオンアフィニティーカラムで精製し、トロンビン処理によりGST部分を除去して、次いでイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーを行い、電気泳動的に均一になるまでS−COMTを精製した。
<COMT活性測定方法>
表1に示す組成の酵素反応液(500μL)を調製し、37℃で15分間の酵素反応を行った。反応開始から15分後、反応液に、4Mの過ヨウ素酸溶液を10v/v%(50μL)加えて反応を停止させ、10,000rpm/min(10,000g)、4℃にて、10分間の遠心分離を行った。次に、得られた上清400μLを、氷冷した希釈溶液(10mM Reduced Glutathione,10mM Citric acid,0.1%Triton−X100,0.1mg/mL EDTA−2Na)400μLの入った2.0mLチューブに回収し、その一部(30μL)をHPLCに導入し、ノルメタンフリン(NMN)を定量した。
表1に示す組成の酵素反応液(500μL)を調製し、37℃で15分間の酵素反応を行った。反応開始から15分後、反応液に、4Mの過ヨウ素酸溶液を10v/v%(50μL)加えて反応を停止させ、10,000rpm/min(10,000g)、4℃にて、10分間の遠心分離を行った。次に、得られた上清400μLを、氷冷した希釈溶液(10mM Reduced Glutathione,10mM Citric acid,0.1%Triton−X100,0.1mg/mL EDTA−2Na)400μLの入った2.0mLチューブに回収し、その一部(30μL)をHPLCに導入し、ノルメタンフリン(NMN)を定量した。
表1中の試験化合物濃度は適宜変化させた。必要に応じて、60μMのS−アデノシルホモシステインも添加した。
試験化合物として、BioBio pharm社、Carbosynth社、ChemFaces社から購入した化合物1〜14(表1)を用いた。試験化合物はDMSOに溶解し、終濃度100μMとなるように反応液に加えた。COMT活性は、コントロールであるDMSOを試験化合物の代わりに用いた場合のCOMT活性を1としたときの相対値として示した。
その結果を表2〜5に示す。
その結果を表2〜5に示す。
化合物1〜3は、100μMの濃度で、コントロールと比較して、COMT活性を約1.3〜1.5倍程度に増加させた。そのため、化合物1〜3は、COMT賦活化能を有することが確認された。一方、化合物4〜14では、コントロールと比較して、COMT活性に大きな差は認められず、COMT賦活化能を有さなかった。
<COMT賦活化能の濃度依存性>
化合物2について、COMT賦活化能の濃度依存性を確認した。その結果を図2及び図3に示す。図2は、縦軸を酵素反応速度で示したグラフであり、図3は、縦軸をCOMT賦活化率で示したグラフである。
図2及び図3に示すように、COMT活性は、化合物2の濃度依存的に上昇し、100μMで、0μMにおける活性の約1.4倍(40%賦活化)となった。
化合物2について、COMT賦活化能の濃度依存性を確認した。その結果を図2及び図3に示す。図2は、縦軸を酵素反応速度で示したグラフであり、図3は、縦軸をCOMT賦活化率で示したグラフである。
図2及び図3に示すように、COMT活性は、化合物2の濃度依存的に上昇し、100μMで、0μMにおける活性の約1.4倍(40%賦活化)となった。
本発明によれば、新規のCOMT賦活化剤、及び当該COMT賦活化剤を有効成分として含む医薬組成物が提供される。本発明の実施形態に係る医薬組成物は、COMT不全に関連する疾患(例えば、循環器系疾患、生活習慣病等)の予防又は治療に適用することができ、特に、腎機能障害、心血管系障害等に好適に用いることができる。
Claims (12)
- 前記R1及びR2が、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基である、請求項1又は2に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
- 前記R7が炭素数1〜3のアルキル基であり、前記R8がヒドロキシ基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
- 前記R9が炭素数1〜3のアルキル基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
- 前記R3〜R6が、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシ基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤を含む、医薬組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ賦活化剤を含む、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ不全に関連する疾患を治療又は予防するための医薬組成物。
- 前記カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ不全に関連する疾患が、循環器系疾患及び生活習慣病からなる群より選択される疾患である、請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記循環器系疾患が、心血管障害、及び腎機能障害からなる群より選択される疾患である、請求項11に記載の医薬組成物。
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WO2021193717A1 (ja) | 2020-03-26 | 2021-09-30 | 東ソ-株式会社 | フッ素樹脂およびその製造方法 |
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