JP2020055032A - 成形はんだ及び成形はんだの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここでパワー半導体は、これが組み込まれた電子製品の使用時に発生するジュール熱により発熱する。しかし従来使用されているSi素子の場合、150℃程度の耐熱性しかなく、それ以上の温度に加熱されると、半導体としての機能を失うという問題があった。
そのため、Si素子の動作温度は150℃以下に保たれることとなり、接合材料の耐熱性としてはそれ以上の溶融温度を有していれば良く、固相線温度が150℃以上300℃未満の接合材(はんだ合金等)を使用した接合(ダイボンド)が行われていた。
しかし、従来使用されている接合材はその固相線温度が300℃未満であるため、SiC素子の接合には適していない。
しかし当該方法では、液相線温度の高いAgを含む金属粉末を焼結させるために、例えば200℃から300℃の高温条件下で加熱及び加圧しなければならない。そのため、特に面積の大きいSiC素子をDCB基板上に接合させるために長時間の加熱及び加圧が必要となり、パワー半導体の生産性が阻害されるという問題があった。
そのため、たとえフラックスに揮発し易い成分を用いた場合であっても、溶融したはんだ合金中にフラックスやフラックスの揮発により発生した気泡が残留し、これがボイドとなるリスクは依然として存在する。
また、金属粉末とフラックスとを混合したものを溶融したはんだ合金に投入する場合、フラックス成分がなくなるまで加熱する必要があるため、その間に金属粉末が溶融したはんだ合金に浸食されるリスクはやはり依然として残る。金属粉末を構成する金属の種類・性質によって、溶融したはんだ合金に浸食される速度が変わるため、特にはんだ合金に拡散しやすいCuからなる金属粉末を使用する場合、溶融したはんだ合金に浸食され、金属粉末が小さくなる・消滅してしまうリスクは大きい。
(H2’)/(H1’)≦0.2 … (1)
(H2’)/(H1’)≦0.2 … (1)
なお、本発明が当該実施形態に限定されないのはもとよりである。
本発明の成形はんだの製造に用いる複数種の金属粉末は、そのうちの少なくとも1種が複数の金属元素を含む合金からなることが好ましい。
このような合金を構成する合金元素としては、例えばSn、Ag、Cu、Bi、Zn、In、Ga、Sb、Au、Pd、Ge、Ni、Cr、Al、P及びIn等が挙げられ、これらの合金元素を複数組合せた合金を使用し得る。
その中でもSnを含む合金、特にSnを40質量%以上含む合金が好ましく用いられる。なお、Snの含有量は42質量%以上97質量%以下であることがより好ましい。
また前記合金として、その固相線温度が250℃以下であるものが好ましく用いられる。
そのため、本実施形態の成形はんだを用いてはんだ接合を行う際、これに含まれる合金からなる金属粉末は、例えばピーク温度250℃程度の一般的な鉛フリーはんだを使用した接合時の加熱温度でも十分に溶融し得る。よって本実施形態の成形はんだは、250℃程度での加熱であっても、SiC素子等のパワー半導体をDCB基板上に接合することができる。
このような金属粉末を用いて成形された本実施形態の成形はんだは、はんだ接合時の加熱温度を調整し易い。また当該成形はんだは、後述するはんだ接合時の加熱に伴う溶融温度変化を生じさせることができる。
そのため、このような成形はんだは、特にSiC素子のようなパワー半導体の接合において好適に用いることができる。
前記Cu金属粉末の含有割合をこの範囲とすることにより、はんだ接合後の成形はんだ(はんだ接合部)の再溶融をより抑制することができると共に、DCB基板とパワー半導体との接合を良好に行うことができ、また熱伝導率を向上し得る。
本実施形態の成形はんだは、前記複数種の金属粉末を混合分散して前記複数種の金属粉末の混合体を作製し、これを加圧成形用容器に収容し、前記金属粉末の混合体と前記加圧成形用容器とを加圧することにより製造され得る。
また、前記複数種の金属粉末の混合体を作製する前に、前記複数種の金属粉末を、それぞれふるい機等に通し、凝集物等を除去しておくことが望ましい。
なお、本実施形態の成形はんだの厚みは、使用するDCB基板、搭載する素子の種類、前記成形はんだの成形に用いる前記複数種の金属粉末の種類によって適宜調整し得るが、50μm以上1,000μm以下であることが好ましい。
本実施形態の成形はんだ(本実施形態の成形はんだの製造方法により製造された成形はんだを含む。以下同じ。)は、はんだ接合時において、前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱することにより、溶融温度変化が生じ得る。
即ち、本実施形態の成形はんだを用いてはんだ接合を行う際、前記複数種の金属粉末のうち、少なくとも最も低い液相線温度を有する金属粉末は、加熱により溶融し得る。そしてはんだ接合(加熱)時において、溶融している金属中に、これよりも液相線温度の高い金属粉末が拡散することで、成形はんだ中に溶融した金属よりも固相線温度の高い金属間化合物が形成され得る。そしてこの金属間化合物の形成により、(はんだ接合後の)成形はんだの溶融温度変化が生じ得る。
ここで、本明細書において「溶融温度の変化(溶融温度変化)」とは、JIS規格Z3198−1「溶融温度範囲測定方法」に規定する条件に基づき測定した成形はんだの固相線温度及び液相線温度において、以下の状態を示すことを指す。
即ち、本実施形態の成形はんだに含まれる前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱する前の、当該成形はんだの示差走査熱量測定における最初の吸熱ピークを示す温度(T)において、前記複数種の金属粉末のうち最も固相線温度の低い金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末が溶融状態となる割合(当該金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末のうちで溶融状態となるものの割合)をXとするときに、前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱した後の前記成形はんだにおいて、前記複数種の金属粉末のうち最も固相線温度の低い金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末の溶融状態の割合がXとなる温度が前記温度(T)以上となることを指す。
そのため、本実施形態の成形はんだを用いてはんだ接合を行う際、これに含まれる合金からなる金属粉末は、例えばピーク温度250℃程度の一般的な鉛フリーはんだを使用したはんだ接合時の加熱温度でも十分に溶融し得る。よって本実施形態の成形はんだは、250℃程度での加熱であっても、SiC素子等のパワー半導体をDCB基板上に接合することができる。
更に本実施形態の成形はんだは、上述の通りはんだ接合時の加熱によって溶融温度変化が生じ得る。そのため、上述のはんだ接合時の加熱温度では再溶融し難くなり、信頼性の高いはんだ接合部を提供し得る。
(H2’)/(H1’)≦0.5
(H2’)/(H1’)≦0.2 … (1)
このような成形はんだは、上述のはんだ接合時の加熱温度(最も低い液相線温度以上の温度)での再溶融が更にし難くなるため、信頼性のより高いはんだ接合部を提供し得る。
本実施形態の成形はんだを用いたはんだ接合方法の一例は以下の通りである。
先ず、Si素子、SiC素子等の半導体素子を用意し、DCB基板上にフラックスを塗布して、本実施形態の成形はんだを載置する。次いで、当該成形はんだの表面(DCB基板に接していない面)に更にフラックスを塗布し、これにSi素子、SiC素子等を載置して、これを当該成形はんだの成形に用いる前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱することにより、前記DCB基板上にSi素子、SiC素子をはんだ接合する。
なお、予め本実施形態の成形はんだの両面にフラックスを塗布しておいてもよい。
上述の通り、前記成形はんだは、加圧成形時に加熱を伴わないため、はんだ接合前の成形はんだにおいて、前記複数種の金属粉末は未だ溶融拡散しておらず、溶融温度変化は生じていない。
そのため、当該成形はんだを用いてはんだ接合を行う際、これに含まれる合金からなる金属粉末は、例えばピーク温度250℃程度の一般的な鉛フリーはんだを使用した接合時の加熱温度でも十分に溶融し得るため、250℃程度での加熱であってもパワー半導体をDCB基板上にはんだ接合することができる。
また本実施形態の成形はんだは、例えば、還元性雰囲気のギ酸リフロー等を用いる事ではんだ接合を行うことも可能である。
Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金からなる金属粉末(a)と、Sn−50Inはんだ合金からなる金属粉末(b)とを、それぞれ以下の割合となるようにふるい機に入れて混合分散し、金属粉末の混合体を作製した。
例1)金属粉末(a):金属粉末(b)=80:20
例2)金属粉末(a):金属粉末(b)=70:30
例3)金属粉末(a):金属粉末(b)=60:40
例4)金属粉末(a):金属粉末(b)=50:50
例1)730μm
例2)700μm
例3)680μm
例4)670μm
図1から図4に表わされるように、例1)から例4)の成形はんだのいずれもが、118℃付近と217℃付近においてそれぞれ吸熱ピークを示した。
・示差走査熱量測定装置
製品名:MDSC Q−2000、TA Instruments社製
昇温温度:2℃/min
雰囲気:N2 50ml/min
測定範囲:100℃から230℃
そして、これらの成形はんだは、加圧成形時に加熱を行わないため、金属粉末(a)及び(b)共に溶融拡散しておらず、溶融温度変化は生じていない。そのため、これらの成形はんだは、120℃以上の加熱温度であれば、少なくとも金属粉末(b)が十分に溶融し得る。
即ち、例1)から例4)の各成形はんだは、加熱により溶融した金属粉末(b)中に金属粉末(a)が拡散し、各成形はんだ中にSn−50Inはんだ合金よりも固相線温度の高い金属間化合物が生成される。そしてこれにより、加熱後の各成形はんだにおいて溶融温度変化が生じ得る。
特に例1)の成形はんだは、加熱前に生じていた、Sn−50Inはんだ合金の固相線温度(118℃)と液相線温度の間における吸熱ピークがほぼ消滅していることが分かる。
このように、例1)から例4)の各成形はんだ、特に例1)及び例2)の成形はんだは、Sn−50Inの固相線温度である118℃では再溶融し難くなり、信頼性の高いはんだ接合部を提供し得る。
なお例示として、図1に温度(T)及びヒートフロー(H1)の位置を、図5に温度(T)及び(H2)の位置を示す。
例1)0.005/0.228=0.022 … 118.949℃(T)
例2)0.004/0.323=0.012 … 118.886℃(T)
例3)0.001/0.386=0.003 … 118.888℃(T)
例4)0.007/0.374=0.019 … 118.886℃(T)
Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金からなる金属粉末(a)と、Sn−58Biはんだ合金からなる金属粉末(c)とを、それぞれ以下の割合となるようにふるい機に入れて混合分散し、金属粉末の混合体を作製した。
例5)金属粉末(a):金属粉末(c)=90:10
例6)金属粉末(a):金属粉末(c)=80:20
例7)金属粉末(a):金属粉末(c)=70:30
例8)金属粉末(a):金属粉末(c)=60:40
例5)800μm
例6)800μm
例7)800μm
例8)800μm
図11から図14に表わされるように、例5)から例8)の成形はんだのいずれもが、138℃と217℃付近においてそれぞれ吸熱ピークを示した。
そして、これらの成形はんだは、加圧成形時に加熱を行わないため、金属粉末(a)及び(c)共に溶融拡散しておらず、溶融温度変化は生じていない。そのため、これらの成形はんだは、138℃以上の加熱温度であれば、少なくとも金属粉末(c)が十分に溶融し得る。
即ち、例5)から例8)の各成形はんだは、加熱により溶融した金属粉末(c)中に金属粉末(a)が拡散し、各成形はんだ中にSn−58Biはんだ合金よりも固相線温度の高い金属間化合物が生成される。そしてこれにより、加熱後の各成形はんだにおいて溶融温度変化が生じ得る。
特に例5)及び例6)の各成形はんだは、Sn−58Biはんだ合金の共晶温度(溶融温度)である138℃付近における吸熱ピークがほぼなくなっていることが分かる。
このように、例5)から例8)の各成形はんだ、特に例5)及び例6)の各成形はんだは、Sn−58Biはんだ合金の共晶温度(溶融温度)である138℃では再溶融し難くなり、信頼性の高いはんだ接合部を提供し得る。
例5)0.005/0.273=0.018 … 139.747℃(T)
例6)0.007/0.348=0.020 … 139.810℃(T)
例7)0.002/0.520=0.004 … 139.798℃(T)
例8)0.004/0.549=0.007 … 139.868℃(T)
Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金からなる金属粉末(a)と、Cuからなる金属粉末(d)とを、それぞれ以下の割合となるようにふるい機に入れて混合分散し、金属粉末の混合体を作製した。
例9)金属粉末(a):金属粉末(d)=50:50
例10)金属粉末(a):金属粉末(d)=20:80
次いで、上記(1)と同様の条件にて各成形はんだを作製した。なお、作製された各成形はんだの厚みは、以下の通りである。
例9)670μm
例10)750μm
図20及び図21に表わされるように、例9)及び例10)の成形はんだのいずれもが、217℃付近において吸熱ピークを示した。
なお、図20及び図21には現れていないが、例9)及び例10)の成形はんだは、金属粉末(d)の溶融温度である1085℃においても吸熱ピークを有することが想定される。
そして、これらの成形はんだは、加圧成形時に加熱を行わないため、金属粉末(a)及び(d)共に溶融拡散しておらず、溶融温度変化は生じていない。そのため、これらの成形はんだは、219℃以上の加熱温度であれば、少なくとも金属粉末(a)が十分に溶融し得る。
即ち、例9)及び例10)の各成形はんだは、加熱により溶融した金属粉末(a)中に金属粉末(d)が拡散し、各成形はんだ中にSn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金よりも固相線温度の高い金属間化合物が生成される。そしてこれにより、加熱後の各成形はんだにおいて溶融温度変化が生じ得る。
そして図22及び図23に示す通り、加熱後の例9)及び例10)の各成形はんだは、加熱前に生じていた、Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金の固相線温度(217℃)付近の吸熱ピークがほぼなくなっていることが分かる。なお、図20において、219℃以降に生じている発熱ピークについては、CuSn化合物の生成熱と推測される。
このように、例9)及び例10)の各成形はんだは、Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金の固相線温度である217℃では再溶融し難くなり、信頼性の高いはんだ接合部を提供し得る。
ただし、図21からも分かる通り、例10)の加熱前の示差走査熱量測定においてはSn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金の固相線温度(217℃)付近において吸熱ピークを有していることから、これを最初の吸熱ピークとし、当該吸熱ピークを示す温度を(T)、当該温度(T)におけるヒートフローを(H1)、ヒートフロー(H1)の絶対値を(H1’)、また加熱後の成形はんだの示差走査熱量測定における前記温度(T)のヒートフローを(H2)、ヒートフロー(H2)の絶対値を(H2’)とした。
例10)0.006/0.019=0.316 … 216.771℃(T)
Sn−50Inはんだ合金からなる金属粉末(b)と、Cuからなる金属粉末(d)とを、それぞれ以下の割合となるようにふるい機に入れて混合分散し、金属粉末の混合体を作製した。
例11)金属粉末(b):金属粉末(d)=60:40
例12)金属粉末(b):金属粉末(d)=50:50
例13)金属粉末(b):金属粉末(d)=40:60
例14)金属粉末(b):金属粉末(d)=30:70
次いで、上記(1)と同様の条件にて各成形はんだを作製した。なお、作製された各成形はんだの厚みは、200μmであった。
図24から図27に表わされるように、例11)から例14)の成形はんだのいずれもが、118℃付近において吸熱ピークを示した。
なお、図24から図27には現れていないが、例11)から例14)の成形はんだは、金属粉末(d)の溶融温度である1085℃においても吸熱ピークを有することが想定される。
そして、これらの成形はんだは、加圧成形時に加熱を行わないため、金属粉末(b)及び(d)共に溶融拡散しておらず、溶融温度変化は生じていない。そのため、これらの成形はんだは、120℃以上の加熱温度であれば、少なくとも金属粉末(b)が十分に溶融し得る。
即ち、例11)から例14)の各成形はんだは、加熱により溶融した金属粉末(b)中に金属粉末(d)が拡散し、各成形はんだ中にSn−50Inはんだ合金よりも固相線温度の高い金属間化合物が生成される。そしてこれにより、加熱後の各成形はんだにおいて溶融温度変化が生じ得る。
そして図28から図31に示す通り、加熱後の例11)から例14)の各成形はんだは、加熱前に生じていた、Sn−50Inはんだ合金の固相線温度(118℃)と液相線温度の間における吸熱ピークがほぼなくなっていることが分かる。なお、図28から図31において、120℃以降に生じている緩い発熱ピークについては、CuSn化合物の生成熱と推測される。
このように、例11)から例14)の各成形はんだは、Sn−50Inはんだ合金の固相線温度である118℃では再溶融し難くなり、信頼性の高いはんだ接合部を提供し得る。
例11)0.011/0.589=0.019 … 118.249℃(T)
例12)0.002/0.385=0.005 … 118.319℃(T)
例13)0.010/0.492=0.020 … 118.001℃(T)
例14)0.002/0.366=0.005 … 118.002℃(T)
各金属からなる金属粉末の混合分散(混合体の作成)には、超音波ふるい(ステンレス鋼製、目開き:63μm)を用いた。また加圧にはブリケットマシン(製品名:MP−35−02、(株)島津製作所製)を用いた。
具体的には、ブリケットマシンの加圧板(下板)上にアルミリング(厚さ:1mm、外径:34mm、内径:26mm)を乗せ、各混合体をそれぞれアルミリングに充填し、各アルミリング上に加圧板(上板)を乗せ、これを加重約330kNで加圧することにより、各成形はんだを作製した。なお、作製された各成形はんだの厚みを表3に表す。
また比較例1及び比較例2については、表3に表す組成及び割合にて、各金属を溶融させ、これを所定の型に入れて冷却することにより、各成形はんだを作製した。なお、比較例1については250℃の温度で、比較例2については170℃の温度で溶融を行った。
なお、表3に記載の数値のうち、各金属粉末の含有量についての単位は、特に但し書きのない限り、質量%とする。
・示差走査熱量測定装置
製品名:MDSC Q−2000、TA Instruments社製
昇温温度:2℃/min
雰囲気:N2 50ml/min
測定範囲:100℃から300℃
また実施例3については、成形はんだの成形に用いた金属粉末のうち、液相線温度の低い方の金属(Sn−58Biはんだ合金)の共晶温度(溶融温度)付近、即ち138℃付近において吸熱ピークを示した。
・示差走査熱量測定装置
製品名:MDSC Q−2000、TA Instruments社製
昇温温度:2℃/min
雰囲気:N2 50ml/min
測定範囲:100℃から400℃
比較例1については、成形はんだの成形に用いた金属粉末のうち、液相線温度の低い方の金属(Sn−3.0Ag−0.5Cuはんだ合金)の固相線温度と液相線温度の間、即ち217℃から219℃の間において吸熱ピークを示さなかった。
また比較例2については、成形はんだの成形に用いた金属粉末のうち、液相線温度の低い方の金属(Sn−58Biはんだ合金)の共晶温度(溶融温度)付近、即ち138℃付近において吸熱ピークを示さなかった。
一方、実施例1から5は、成形はんだの成形に用いた金属粉末のうち、液相線温度の低い方の金属の液相線温度でもはんだ接合を行うことができるため、はんだ接合時における加熱温度の調整が容易となる。また、従来のはんだ接合時の加熱温度でも十分に溶融し得る。
実施例1及び2については、217℃から219℃の間における吸熱ピークがほぼなくなっていた。また実施例3については、138℃付近における吸熱ピークがほぼなくなっていた。
先ず、実施例1から3の成形はんだをそれぞれ6mm×6mmの大きさに整えた。また6mm×6mm×0.3mmtの銅板(a)と30mm×30mm×0.3mmtの銅板(b)とを用意した。
実施例1から3の成形はんだの両面にフラックス(製品名:BF−30、(株)タムラ製作所製)を薄く塗布し、銅板(b)上に各成形はんだを載置した。
そして各成形はんだの面のうち銅板(b)と接していない面に銅板(a)を載置し、これを図32に示す温度プロファイル条件にて、高温観察装置(製品名:SK−5000、山陽精工(株)製)を用いて5分間リフローし、各試験片を作製した。なお、酸素濃度は100ppmとした。
Claims (14)
- 複数種の金属粉末の混合体を加圧成形してなる成形はんだであって、
前記複数種の金属粉末のうち少なくとも1種の金属粉末は複数の金属元素を含む合金からなり、
前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱することにより溶融温度変化を生じることを特徴とする成形はんだ。 - 前記複数種の金属粉末の液相線温度は、それぞれが50℃以上の温度差を有していることを特徴とする請求項1に記載の成形はんだ。
- 前記複数の金属元素を含む合金はSnを40質量%以上含み、その固相線温度は250℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形はんだ。
- 前記複数種の金属粉末のうち1種はCu金属粉末であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の成形はんだ。
- 前記複数種の金属粉末の混合体に含まれる前記Cu金属粉末の含有割合は40質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の成形はんだ。
- 請求項4または請求項5に記載の成形はんだであって、前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱する前の成形はんだの示差走査熱量測定における最初の吸熱ピークを示す温度(T)において、前記複数種の金属粉末のうち最も固相線温度の低い金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末が溶融状態となる割合(当該金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末全体のうちで溶融状態となるものの割合)をXとするときに、加熱した後の前記成形はんだにおいて、前記金属粉末のうち最も固相線温度の低い金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末の溶融状態の割合がXとなる温度が300℃以上であることを特徴とする成形はんだ。
- 前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱する前の成形はんだの示差走査熱量測定における最初の吸熱ピークを示す温度(T)におけるヒートフロー(H1)の絶対値(H1’)と、加熱した後の成形はんだの示差走査熱量測定における前記温度(T)のヒートフロー(H2)の絶対値(H2’)とが、以下の式(1)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の成形はんだ。
(H2’)/(H1’)≦0.2 … (1) - 複数種の金属粉末を混合分散して前記複数種の金属粉末の混合体を作製する工程と、
前記複数種の金属粉末の混合体を加圧成形用容器に収容する工程と、
前記複数種の金属粉末の混合体を収容する前記加圧成形容器を加圧する工程とを含む成形はんだの製造方法であって、
前記複数種の金属粉末のうち少なくとも1種の金属粉末は複数の金属元素を含む合金からなり、
前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱することにより溶融温度変化を生じることを特徴とする成形はんだの製造方法。 - 前記複数種の金属粉末の液相線温度は、それぞれが50℃以上の温度差を有していることを特徴とする請求項8に記載の成形はんだの製造方法。
- 前記複数の金属元素を含む合金はSnを40質量%以上含み、その固相線温度は250℃以下であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の成形はんだの製造方法。
- 前記複数種の金属粉末のうち1種はCu金属粉末であることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の成形はんだの製造方法。
- 前記複数種の金属粉末の混合体に含まれる前記Cu金属粉末の含有割合は40質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項11に記載の成形はんだの製造方法。
- 前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱する前の成形はんだの示差走査熱量測定における最初の吸熱ピークを示す温度(T)において、前記複数種の金属粉末のうち最も固相線温度の低い金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末が溶融状態となる割合(当該金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末全体のうちで溶融状態となるものの割合)をXとするときに、加熱した後の前記成形はんだにおいて、前記金属粉末のうち最も固相線温度の低い金属粉末若しくは複数の金属元素を含む合金粉末の溶融状態の割合がXとなる温度が300℃以上であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の成形はんだの製造方法。
- 前記複数種の金属粉末の液相線温度のうち最も低い液相線温度以上の温度で加熱する前の成形はんだの示差走査熱量測定における最初の吸熱ピークを示す温度(T)におけるヒートフロー(H1)の絶対値(H1’)と、加熱した後の成形はんだの示差走査熱量測定における前記温度(T)のヒートフロー(H2)の絶対値(H2’)とが、以下の式(1)を満たすことを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の成形はんだの製造方法。
(H2’)/(H1’)≦0.2 … (1)
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