以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、図面には、X軸、Y軸、及び、Z軸により規定される直交座標系を示す場合がある。
図1に示されるように、レーザ加工装置1は、ステージ2と、レーザ照射ユニット3と、複数の撮像ユニット4,5,6と、駆動ユニット7と、制御部8と、を備えている。レーザ加工装置1は、対象物11にレーザ光Lを照射することにより、対象物11に改質領域12を形成する装置である。
ステージ2は、例えば対象物11に貼り付けられたフィルムを吸着することにより、対象物11を支持する。ステージ2は、X方向及びY方向のそれぞれに沿って移動可能であり、Z方向に平行な軸線を中心線として回転可能である。なお、X方向及びY方向は、互いに垂直な第1水平方向及び第2水平方向であり、Z方向は、鉛直方向である。
レーザ照射ユニット3は、対象物11に対して透過性を有するレーザ光Lを集光して対象物11に照射する。ステージ2に支持された対象物11の内部にレーザ光Lが集光されると、レーザ光Lの集光点Cに対応する部分においてレーザ光Lが特に吸収され、対象物11の内部に改質領域12が形成される。
改質領域12は、密度、屈折率、機械的強度、その他の物理的特性が周囲の非改質領域とは異なる領域である。改質領域12としては、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等がある。改質領域12は、改質領域12からレーザ光Lの入射側及びその反対側に亀裂が延び易いという特性を有している。このような改質領域12の特性は、対象物11の切断に利用される。
一例として、ステージ2をX方向に沿って移動させ、対象物11に対して集光点CをX方向に沿って相対的に移動させると、複数の改質スポット12sがX方向に沿って1列に並ぶように形成される。1つの改質スポット12sは、1パルスのレーザ光Lの照射によって形成される。1列の改質領域12は、1列に並んだ複数の改質スポット12sの集合である。隣り合う改質スポット12sは、対象物11に対する集光点Cの相対的な移動速度及びレーザ光Lの繰り返し周波数によって、互いに繋がる場合も、互いに離れる場合もある。
撮像ユニット(第1撮像ユニット)4は、制御部(第1制御部)8の制御のもとで、ステージ2に支持された対象物11を、対象物11を透過する光により撮像する。より具体的には、撮像ユニット4は、対象物11に形成された改質領域12、及び改質領域12から延びた亀裂の先端を撮像する。本実施形態では、撮像ユニット4と撮像ユニット4を制御する制御部8とによって、撮像装置10として機能する。
撮像ユニット(第2撮像ユニット)5及び撮像ユニット6は、制御部(第2制御部)8の制御のもとで、ステージ2に支持された対象物11を、対象物11を透過する光により撮像する。撮像ユニット5,6が撮像することにより得られた画像は、一例として、レーザ光Lの照射位置のアライメントに供される。
駆動ユニット7は、レーザ照射ユニット3及び複数の撮像ユニット4,5,6を支持している。換言すれば、駆動ユニット7には、レーザ照射ユニット3が取り付けられている。また、撮像ユニット4,5,6は、レーザ照射ユニット3と共に駆動ユニット7に取り付けられている。駆動ユニット7は、レーザ照射ユニット3及び複数の撮像ユニット4,5,6をZ方向に沿って移動させる。ここでは、Z方向は、対象物11におけるレーザ光Lの入射面(例えば後述の裏面21b)に交差する方向である。
制御部8は、ステージ2、レーザ照射ユニット3、複数の撮像ユニット4,5,6、及び駆動ユニット7の動作を制御する。制御部8は、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。制御部8では、プロセッサが、メモリ等に読み込まれたソフトウェア(プログラム)を実行し、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込み、並びに、通信デバイスによる通信を制御する。
[対象物の構成]
本実施形態の対象物11は、図2及び図3に示されるように、ウェハ20である。ウェハ20は、半導体基板21と、機能素子層22と、を備えている。半導体基板21は、表面21a及び裏面21bを有している。半導体基板21は、例えば、シリコン基板である。機能素子層22は、半導体基板21の表面21aに形成されている。機能素子層22は、表面21aに沿って2次元に配列された複数の機能素子22aを含んでいる。機能素子22aは、例えば、フォトダイオード等の受光素子、レーザダイオード等の発光素子、メモリ等の回路素子等である。機能素子22aは、複数の層がスタックされて3次元的に構成される場合もある。なお、半導体基板21には、結晶方位を示すノッチ21cが設けられているが、ノッチ21cの替わりにオリエンテーションフラットが設けられていてもよい。
ウェハ20は、複数のライン15のそれぞれに沿って機能素子22aごとに切断される。複数のライン15は、ウェハ20の厚さ方向から見た場合に複数の機能素子22aのそれぞれの間を通っている。より具体的には、ライン15は、ウェハ20の厚さ方向から見た場合にストリート領域23の中心(幅方向における中心)を通っている。ストリート領域23は、機能素子層22において、隣り合う機能素子22aの間を通るように延在している。本実施形態では、複数の機能素子22aは、表面21aに沿ってマトリックス状に配列されており、複数のライン15は、格子状に設定されている。なお、ライン15は、仮想的なラインであるが、実際に引かれたラインであってもよい。
ライン15は、複数の第1ライン15aと、第1ライン15aに交差(直交)する複数の第2ライン15bと、を含む。ここでは、第1ライン15a同士は互いに平行であり、第2ライン15b同士は互いに平行である。これにより、互いに隣り合う一対の第1ライン15aと、互いに隣り合う一対の第2ライン15bとによって、直方体状の1つの機能素子22aが規定される。換言すれば、ウェハ20(対象物11)は、Z方向からみて、第1ライン15aと第2ライン15bとによって規定される複数の機能素子22aを含む。第1ライン15aと第2ライン15bとの交差点は、機能素子22aの角を規定し、第1ライン15a及び第2ライン15bのそれぞれは、機能素子22aの辺を規定する。
[レーザ照射ユニットの構成]
図4に示されるように、レーザ照射ユニット3は、光源31と、空間光変調器32と、集光レンズ33と、を有している。光源31は、例えばパルス発振方式によって、レーザ光Lを出力する。空間光変調器32は、光源31から出力されたレーザ光Lを変調する。空間光変調器32は、例えば反射型液晶(LCOS:Liquid Crystal on Silicon)の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)である。集光レンズ33は、空間光変調器32によって変調されたレーザ光Lを集光する。
本実施形態では、レーザ照射ユニット3は、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射することにより、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の内部に2列の改質領域12a,12bを形成する。改質領域(第1改質領域)12aは、2列の改質領域12a,12bのうち表面21aに最も近い改質領域である。改質領域(第2改質領域)12bは、2列の改質領域12a,12bのうち、改質領域12aに最も近い改質領域であって、裏面21bに最も近い改質領域である。
2列の改質領域12a,12bは、ウェハ20の厚さ方向(Z方向)において隣り合っている。2列の改質領域12a,12bは、半導体基板21に対して2つの集光点C1,C2がライン15に沿って相対的に移動させられることにより形成される。レーザ光Lは、例えば集光点C1に対して集光点C2が進行方向の後側且つレーザ光Lの入射側に位置するように、空間光変調器32によって変調される。
レーザ照射ユニット3は、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至る条件で、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射する。一例として、厚さ775μmの単結晶シリコン基板である半導体基板21に対し、表面21aから54μmの位置及び128μmの位置に2つの集光点C1,C2をそれぞれ合わせて、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射する。このとき、レーザ光Lの波長は1099nm、パルス幅は700n秒、繰り返し周波数は120kHzである。また、集光点C1におけるレーザ光Lの出力は2.7W、集光点C2におけるレーザ光Lの出力は2.7Wであり、半導体基板21に対する2つの集光点C1,C2の相対的な移動速度は800mm/秒である。
このような2列の改質領域12a,12b及び亀裂14の形成は、次のような場合に実施される。すなわち、後の工程において、半導体基板21の裏面21bを研削することにより半導体基板21を薄化すると共に亀裂14を裏面21bに露出させ、複数のライン15のそれぞれに沿ってウェハ20を複数の半導体デバイスに切断する場合である。
[検査用撮像ユニットの構成]
図5に示されるように、撮像ユニット4は、光源41と、ミラー42と、対物レンズ(第1レンズ)43と、光検出部(第1光検出部)44と、を有している。光源41は、半導体基板21に対して透過性を有する光I1を出力する。光源41は、例えば、ハロゲンランプ及びフィルタによって構成されており、近赤外領域の光I1を出力する。光源41から出力された光I1は、ミラー42によって反射されて対物レンズ43を通過し、半導体基板21の裏面21b側からウェハ20に照射される。このとき、ステージ2は、上述したように2列の改質領域12a,12bが形成されたウェハ20を支持している。
対物レンズ43は、半導体基板21の表面21aで反射された光I1を通過させる。つまり、対物レンズ43は、半導体基板21を伝搬(透過)した光I1を通過させる。対物レンズ43の開口数(NA)は、0.45以上である。対物レンズ43は、補正環43aを有している。補正環43aは、例えば対物レンズ43を構成する複数のレンズにおける相互間の距離を調整することにより、半導体基板21内において光I1に生じる収差を補正する。光検出部44は、対物レンズ43及びミラー42を通過した光I1を検出する。光検出部44は、例えば、InGaAsカメラによって構成されており、近赤外領域の光I1を検出する。
撮像ユニット4は、2列の改質領域12a,12bのそれぞれ、及び、複数の亀裂14a,14b,14c,14dのそれぞれの先端を撮像することができる(詳細については、後述する)。亀裂14aは、改質領域12aから表面21a側に延びる亀裂である。亀裂14bは、改質領域12aから裏面21b側に延びる亀裂である。亀裂14cは、改質領域12bから表面21a側に延びる亀裂である。亀裂14dは、改質領域12bから裏面21b側に延びる亀裂である。制御部8は、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至る条件で、レーザ照射ユニット3にレーザ光Lを照射させるが(図4参照)、何らかの不具合等に起因して亀裂14が表面21aに至っていないと、このような複数の亀裂14a,14b,14c,14dが形成される。
[アライメント補正用撮像ユニットの構成]
図6に示されるように、撮像ユニット5は、光源51と、ミラー52と、レンズ(第2レンズ)53と、光検出部(第2光検出部)54と、を有している。光源51は、半導体基板21に対して透過性を有する光I2を出力する。光源51は、例えば、ハロゲンランプ及びフィルタによって構成されており、近赤外領域の光I2を出力する。光源51は、撮像ユニット4の光源41と共通化されていてもよい。光源51から出力された光I2は、ミラー52によって反射されてレンズ53を通過し、半導体基板21の裏面21b側からウェハ20に照射される。
レンズ53は、半導体基板21の表面21aで反射された光I2を通過させる。つまり、レンズ53は、半導体基板21を透過した光I2を通過させる。レンズ53の開口数は、0.3以下である。すなわち、撮像ユニット4の対物レンズ43の開口数は、レンズ53の開口数よりも大きい。光検出部54は、レンズ53及びミラー52を通過した光I2を検出する。光検出部55は、例えば、InGaAsカメラによって構成されており、近赤外領域の光I2を検出する。
撮像ユニット5は、制御部8(第2制御部)の制御のもとで、裏面21b側から光I2をウェハ20に照射すると共に、表面21a(機能素子層22)から戻る光I2を検出することにより、機能素子層22を撮像する。また、撮像ユニット5は、同様に、制御部8の制御のもとで、裏面21b側から光をウェハ20に照射すると共に、半導体基板21における改質領域12a,12bの形成位置から戻る光I2を検出することにより、改質領域12a,12bを含む領域の画像を取得する。これらの画像は、レーザ光Lの照射位置のアライメントに用いられる。撮像ユニット6は、レンズ53がより低倍率(例えば、撮像ユニット5においては6倍であり、撮像ユニット6においては1.5倍)である点を除いて、撮像ユニット5と同様の構成を備え、撮像ユニット5と同様にアライメントに用いられる。
[検査用撮像ユニットによる撮像原理]
図5に示される撮像ユニット4を用い、図7に示されるように、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が表面21aに至っている半導体基板21に対して、裏面21b側から表面21a側に向かって焦点F(対物レンズ43の焦点)を移動させる。この場合、改質領域12bから裏面21b側に延びる亀裂14の先端14eに裏面21b側から焦点Fを合わせると、当該先端14eを確認することができる(図7における右側の画像)。しかし、亀裂14そのもの、及び表面21aに至っている亀裂14の先端14eに裏面21b側から焦点Fを合わせても、それらを確認することができない(図7における左側の画像)。なお、半導体基板21の表面21aに裏面21b側から焦点Fを合わせると、機能素子層22を確認することができる。
また、図5に示される撮像ユニット4を用い、図8に示されるように、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が表面21aに至っていない半導体基板21に対して、裏面21b側から表面21a側に向かって焦点Fを移動させる。この場合、改質領域12aから表面21a側に延びる亀裂14の先端14eに裏面21b側から焦点Fを合わせても、当該先端14eを確認することができない(図8における左側の画像)。しかし、表面21aに対して裏面21bとは反対側の領域(すなわち、表面21aに対して機能素子層22側の領域)に裏面21b側から焦点Fを合わせて、表面21aに関して焦点Fと対称な仮想焦点Fvを当該先端14eに位置させると、当該先端14eを確認することができる(図8における右側の画像)。なお、仮想焦点Fvは、半導体基板21の屈折率を考慮した焦点Fと表面21aに関して対称な点である。
以上のように亀裂14そのものを確認することができないのは、照明光である光I1の波長よりも亀裂14の幅が小さいためと想定される。図9及び図10は、シリコン基板である半導体基板21の内部に形成された改質領域12及び亀裂14のSEM(Scanning Electron Microscope)画像である。図9の(b)は、図9の(a)に示される領域A1の拡大像、図10の(a)は、図9の(b)に示される領域A2の拡大像、図10の(b)は、図10の(a)に示される領域A3の拡大像である。このように、亀裂14の幅は、120nm程度であり、近赤外領域の光I1の波長(例えば、1.1〜1.2μm)よりも小さい。
以上を踏まえて想定される撮像原理は、次のとおりである。図11の(a)に示されるように、空気中に焦点Fを位置させると、光I1が戻ってこないため、黒っぽい画像が得られる(図11の(a)における右側の画像)。図11の(b)に示されるように、半導体基板21の内部に焦点Fを位置させると、表面21aで反射された光I1が戻ってくるため、白っぽい画像が得られる(図11の(b)における右側の画像)。図11の(c)に示されるように、改質領域12に裏面21b側から焦点Fを合わせると、改質領域12によって、表面21aで反射されて戻ってきた光I1の一部について吸収、散乱等が生じるため、白っぽい背景の中に改質領域12が黒っぽく映った画像が得られる(図11の(c)における右側の画像)。
図12の(a)及び(b)に示されるように、亀裂14の先端14eに裏面21b側から焦点Fを合わせると、例えば、先端14e近傍に生じた光学的特異性(応力集中、歪、原子密度の不連続性等)、先端14e近傍で生じる光の閉じ込め等によって、表面21aで反射されて戻ってきた光I1の一部について散乱、反射、干渉、吸収等が生じるため、白っぽい背景の中に先端14eが黒っぽく映った画像が得られる(図12の(a)及び(b)における右側の画像)。図12の(c)に示されるように、亀裂14の先端14e近傍以外の部分に裏面21b側から焦点Fを合わせると、表面21aで反射された光I1の少なくとも一部が戻ってくるため、白っぽい画像が得られる(図12の(c)における右側の画像)。
[検査用撮像ユニットによる検査原理]
制御部8が、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至る条件で、レーザ照射ユニット3にレーザ光Lを照射させた結果、予定どおり、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が表面21aに至っている場合、亀裂14の先端14eの状態は、次のとおりとなる。すなわち、図13に示されるように、改質領域12aと表面21aとの間の領域、及び改質領域12aと改質領域12bとの間の領域には、亀裂14の先端14eが現れない。改質領域12bから裏面21b側に延びる亀裂14の先端14eの位置(以下、単に「先端位置」という)は、改質領域12bと裏面21bとの間の基準位置Pに対して裏面21b側に位置する。
それに対し、制御部8が、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至る条件で、レーザ照射ユニット3にレーザ光Lを照射させた結果、予定に反して、何らかの不具合に起因して、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が表面21aに至っていない場合、亀裂14の先端14eの状態は、次のとおりとなる。すなわち、図14に示されるように、改質領域12aと表面21aとの間の領域には、改質領域12aから表面21a側に延びる亀裂14aの先端14eが現れる。改質領域12aと改質領域12bとの間の領域には、改質領域12aから裏面21b側に延びる亀裂14bの先端14e、及び改質領域12bから表面21a側に延びる亀裂14cの先端14eが現れる。改質領域12bから裏面21b側に延びる亀裂14の先端位置は、改質領域12bと裏面21bとの間の基準位置Pに対して表面21aに位置する。
以上により、次の第1検査、第2検査、第3検査及び第4検査のうち少なくとも1つの検査を制御部8が実施すれば、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っているか否かを評価することができる。第1検査は、改質領域12aと表面21aとの間の領域を検査領域R1とし、検査領域R1に、改質領域12aから表面21a側に延びる亀裂14aの先端14eが存在するか否かの検査である。第2検査は、改質領域12aと改質領域12bとの間の領域を検査領域R2とし、検査領域R2に、改質領域12aから裏面21b側に延びる亀裂14bの先端14eが存在するか否かの検査である。第3検査は、検査領域R2に、改質領域12bから表面21a側に延びる亀裂14cの先端14eが存在するか否かの検査である。第4検査は、基準位置Pから裏面21b側に延び且つ裏面21bに至っていない領域を検査領域R3とし、検査領域R3に、改質領域12bから裏面21b側に延びる亀裂14の先端位置が位置するか否かの検査である。
検査領域R1、検査領域R2及び検査領域R3のそれぞれは、2列の改質領域12a,12bを形成する前に、半導体基板21に対して2つの集光点C1,C2を合わせる位置に基づいて設定可能である。2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至る場合、改質領域12bから裏面21b側に延びる亀裂14の先端位置は安定するため、基準位置P及び検査領域R3は、テスト加工の結果に基づいて設定可能である。なお、撮像ユニット4は、図13及び図14に示されるように、2つの改質領域12a,12bのそれぞれを撮像することができるため、2列の改質領域12a,12bを形成した後に、2つの改質領域12a,12bのそれぞれの位置に基づいて、検査領域R1、検査領域R2及び検査領域R3のそれぞれを設定してもよい。
[レーザ加工方法及び半導体デバイス製造方法]
本実施形態の半導体デバイス製造方法について、図15を参照して説明する。なお、本実施形態の半導体デバイス製造方法は、レーザ加工装置1において実施されるレーザ加工方法を含んでいる。
まず、ウェハ20が用意され、レーザ加工装置1のステージ2に載置される。続いて、レーザ加工装置1が、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射することにより、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の内部に2列の改質領域12a,12bを形成する(S01、第1工程)。この工程においては、レーザ加工装置1が、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至る条件で、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射する。
続いて、レーザ加工装置1が、改質領域12aと改質領域12bとの間の検査領域R2に、改質領域12aから裏面21b側に延びる亀裂14bの先端14eが存在するか否かを検査する(S02、第2工程)。この工程においては、レーザ加工装置1が、検査領域R2内に裏面21b側から焦点Fを合わせて、表面21a側から裏面21b側に半導体基板21を伝搬(透過)する光I1を検出することにより、検査領域R2に亀裂14bの先端14eが存在するか否かを検査する。このように、本実施形態では、レーザ加工装置1が第2検査を実施する。
より具体的には、撮像ユニット4の対物レンズ43が、検査領域R2内に裏面21b側から焦点Fを合わせて、撮像ユニット4の光検出部44が、表面21a側から裏面21b側に半導体基板21を伝搬(透過)する光I1を検出する。このとき、駆動ユニット7によって撮像ユニット4がZ方向に沿って移動させられて、焦点Fが検査領域R2内をZ方向に沿って相対的に移動させられる。これにより、光検出部44が、Z方向における各箇所での画像データを取得する。そして、制御部8が、光検出部44から出力された信号(すなわち、Z方向における各箇所での画像データ)に基づいて、検査領域R2に亀裂14bの先端14eが存在するか否かを検査する。
続いて、制御部8が、工程S02における検査結果に基づいて、工程S01における加工結果を評価する(S03、第3工程)。この工程においては、検査領域R2に亀裂14bの先端14eが存在しない場合、制御部8が、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていると評価する。一方、検査領域R2に亀裂14bの先端14eが存在する場合、制御部8が、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていないと評価する。
続いて、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていると評価された場合、制御部8が合格処理を実施する(S04)。この工程においては、制御部8が、合格処理として、レーザ加工装置1が備えるディスプレイによる合格の旨の表示、当該ディスプレイによる画像データの表示、レーザ加工装置1が備える記憶部による合格の旨の記録(ログとしての記憶)、当該記憶部による画像データの記憶等を実施させる。このように、レーザ加工装置1が備えるディスプレイは、オペレータに合格の旨を報知する報知部として機能する。
一方、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていないと評価された場合、制御部8が不合格処理を実施する(S05)。この工程においては、制御部8が、不合格処理として、レーザ加工装置1が備えるランプによる不合格の旨の点灯、レーザ加工装置1が備えるディスプレイによる不合格の旨の表示、レーザ加工装置1が備える記憶部による不合格の旨の記録(ログとしての記憶)等を実施させる。このように、レーザ加工装置1が備えるランプ及びディスプレイの少なくとも1つは、オペレータに不合格の旨を報知する報知部として機能する。
以上の工程S01〜工程S05が、レーザ加工装置1において実施されるレーザ加工方法である。
工程S04の合格処理が実施された場合(すなわち、工程03において、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていると評価された場合)、研削装置が、半導体基板21の裏面21bを研削することにより、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14を裏面21bに露出させ、複数のライン15のそれぞれに沿ってウェハ20を複数の半導体デバイスに切断する(S06、第4工程)。
以上の工程S01〜工程S06が、レーザ加工装置1において実施されるレーザ加工方法を含む半導体デバイス製造方法である。なお、工程S05の不合格処理が実施された場合(すなわち、工程03において、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていないと評価された場合)、レーザ加工装置1の点検及び調整、ウェハ20への再度のレーザ加工(リカバリ加工)等が実施される。
ここで、工程S06のウェハ20の研削及び切断について、より具体的に説明する。図16に示されるように、研削装置200が、半導体基板21の裏面21bを研削(研磨)することにより半導体基板21を薄化すると共に亀裂14を裏面21bに露出させ、複数のライン15のそれぞれに沿ってウェハ20を複数の半導体デバイス20aに切断する。この工程においては、研削装置200が、第4検査用の基準位置Pまで半導体基板21の裏面21bを研削する。
上述したように、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っている場合、改質領域12bから裏面21b側に延びる亀裂14の先端位置は、基準位置Pに対して裏面21b側に位置する。そのため、基準位置Pまで半導体基板21の裏面21bを研削することにより、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14を裏面21bに露出させることができる。換言すれば、研削終了予定位置を基準位置Pとして、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21a及び基準位置Pに至る条件で、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射する。
続いて、図17に示されるように、エキスパンド装置300が、半導体基板21の裏面21bに貼り付けられたエキスパンドテープ201を拡張させることにより、複数の半導体デバイス20aのそれぞれを互いに離間させる。エキスパンドテープ201は、例えば、基材201a及び接着層201bによって構成されたDAF(Die Attach Film)である。その場合、エキスパンドテープ201の拡張によって、半導体基板21の裏面21bと基材201aとの間に配置された接着層201bが半導体デバイス20aごとに切断される。切断された接着層201bは、半導体デバイス20aと共にピックアップされる。
ここで、上述したように、所定の領域に亀裂14bの先端14eが存在するか否かの検査に際して、ウェハ20の撮像が行われる。ウェハ20の撮像は、撮像ユニット4及び制御部8によって構成される撮像装置10によって行われる。上記の例では、全てのライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の内部に2列の改質領域12a,12bを形成した後に、第2検査の実施に伴ってウェハ20の撮像を行った。以下、撮像のタイミングを含め、レーザ加工方法を詳細に説明する。
図18に示されるレーザ加工方法は、撮像方法を含む。図18に示されるように、ここでは、まず、レーザ加工装置1のステージ2にウェハ20が載置されている状態において、加工開始位置のアライメントを行う(S11)。この工程においては、例えば、撮像ユニット5が、制御部8の制御のもとでウェハ20を撮像することにより、アライメントが行われる。より具体的には、この工程においては、制御部8が、撮像ユニット5を制御することにより、機能素子層22を撮像する。
一方で、レーザ加工装置1(例えば制御部8)には、予め、機能素子22aのサイズ(チップサイズ)、ウェハ20におけるワークサイズ(加工範囲のサイズ)、及び、機能素子層22の基準画像を含む初期情報が登録されている。そして、制御部8は、撮像ユニット5により得られた画像と初期情報とに基づいて、レーザ光Lの照射位置(X方向及びY方向におけるレーザ照射ユニット3の位置)のアライメントを行う。
続く工程においては、制御部8が、駆動ユニット7を制御することにより、レーザ照射ユニット3の加工高さ(Z方向の位置)を設定する(S12)。続いて、制御部8は、改質領域12a,12bの形成を開始する(S13)。ここでは、一例として第1ライン15aに沿った加工から行う。すなわち、この工程においては、レーザ加工装置1が、1つの第1ライン15aに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射することにより、当該第1ライン15aに沿って半導体基板21の内部に2列の改質領域12a,12bを形成する。
続いて、制御部8が、1つの第1ライン15aでの加工が完了した後に、その第1ライン15aの位置が、予め設定されたアライメント位置であるか否かの判定を行う(S14)。ここでのアライメントは、工程S11において行ったアライメントに対して生じる位置ずれを修正するための再アライメントである。この再度のアライメントは、1つの第1ライン15aでの加工が完了するごとに行ってもよいが、複数の第1ライン15aが完了した後に行うことが効率的である。すなわち、アライメント位置は、1つの第1ライン15aごとに設定されてもよいが、複数の第1ライン15aに対して1つ設定することが効率的である。
この工程の結果、工程S13において加工が完了した第1ライン15aの位置が、アライメント位置でなかった場合には、工程S13に戻り、別の第1ライン15aに沿った改質領域12a,12bの形成を続ける。一方、この工程の結果、工程S13において加工が完了した第1ライン15aの位置がアライメント位置であった場合には、引き続いて再度のアライメントを行うこととなる。すなわち、この場合には、改質領域12a,12bの形成が一旦停止させられ、アライメントを行うタイミングとされる。
続く工程においては、上述したように再度のアライメントを行う(制御部8がアライメント処理を実行する)(S15)。ここでのアライメントの一例は、以下のとおりである。すなわち、制御部8が、撮像ユニット5を制御することにより、アライメント補正位置において機能素子層22を撮像する。また、制御部8は、撮像ユニット5を制御することにより、同位置において改質領域12a,12bを含む領域を撮像する。そして、制御部8は、2つの画像に基づいて、ストリート領域23の所定位置(例えば中心位置)に対する改質領域12a,12bのずれ量を検出する。制御部8は、検出されたずれ量に基づいて、レーザ光Lの照射位置の再度のアライメントを行う。
或いは、ここでのアライメントの別の一例は、以下のとおりである。すなわち、制御部8が、撮像ユニット5を制御することにより、アライメント補正位置において機能素子層22を撮像する。そして、制御部8は、加工前に予め取得されていたアライメント補正位置における機能素子層22の画像と、この工程において取得された機能素子層22の画像とのパターンマッチングにより、アライメントマーク等の特徴点同士のずれ量を検出する。制御部8は、検出されたずれ量に基づいて、レーザ光Lの照射位置を調整する。
続く工程においては、制御部8が、全ての第1ライン15aに沿った改質領域12a,12bの形成が完了したか否かの判定を行う(S16)。この判定の結果、全ての第1ライン15aに沿った改質領域12a,12bの形成が完了していなかった場合、工程S13に戻り、残りの第1ライン15aに沿った改質領域12a,12bの形成を続ける。一方、この判定の結果、全ての第1ライン15aに沿った改質領域12a,12bの形成が完了していた場合には、引き続いて、第2ライン15bに沿った改質領域12a,12bの形成を開始する。すなわち、この場合には、改質領域12a,12bの形成が一旦停止させられ、第1ライン15aに沿った改質領域12a,12bの形成と、第2ライン15bに沿った改質領域12a,12bの形成と、が切り替えられるタイミングとされる。
すなわち、続く工程においては、レーザ加工装置1が、1つの第2ライン15bに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射することにより、当該第2ライン15bに沿って半導体基板21の内部に2列の改質領域12a,12bを形成する(S17)。
続いて、制御部8が、1つの第2ライン15bでの加工が完了した後に、その第2ライン15bの位置が、予め設定されたアライメント位置であるか否かの判定を行う(S18)。ここでのアライメントは、工程S15において行ったアライメントに対して生じる位置ずれを修正するための再アライメントである。この再度のアライメントは、1つの第2ライン15bでの加工が完了するごとに行ってもよいが、複数の第2ライン15bが完了した後に行うことが効率的である。すなわち、ここでのアライメント位置も、1つの第2ライン15bごとに設定されてもよいが、複数の第2ライン15bに対して1つ設定することが効率的である。
この工程の結果、工程S17において加工が完了した第2ライン15bの位置が、アライメント位置でなかった場合には、工程S17に戻り、別の第2ライン15bに沿った改質領域12a,12bの形成を続ける。一方、この工程の結果、工程S17において加工が完了した第2ライン15bの位置がアライメント位置であった場合には、引き続いて再度のアライメントを行うこととなる。すなわち、この場合には、改質領域12a,12bの形成が一旦停止させられ、アライメントを行うタイミングとされる。
続く工程においては、上述したように再度のアライメントを行う(S19)。ここでのアライメントの態様は、工程S15と同様である。
続く工程においては、制御部8が、全ての第2ライン15bに沿った改質領域12a,12bの形成が完了したか否かの判定を行う(S20)。この判定の結果、全ての第2ライン15bに沿った改質領域12a,12bの形成が完了していなかった場合、工程S17に戻り、残りの第2ライン15bに沿った改質領域12a,12bの形成を続ける。一方、この判定の結果、全ての第2ライン15bに沿った改質領域12a,12bの形成が完了していた場合には、第2検査を実施する。
すなわち、続く工程においては、制御部8が、撮像ユニット4を制御することにより、ウェハ20を撮像する(S21、第1撮像工程)。ここでは、制御部8が、撮像ユニット4をZ方向に沿って移動させることにより、焦点Fがウェハ20内をZ方向に沿って相対的に移動させられる。これにより、撮像ユニット4は、Z方向における各箇所で撮像を行い、画像を取得する。このため、得られた画像には、改質領域12a,12bのみが含まれる場合もあるし、改質領域12a,12b及び亀裂14が含まれる場合もあるし、亀裂14のみが含まれる場合もある。
また、ここでは、撮像ユニット4は、Z方向からみて機能素子22aの第1ライン15aに対応する辺の領域を撮像する。すなわち、ここでは、制御部8は、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、Z方向からみて機能素子22aの第1ライン15aに対応する辺の領域であって、改質領域12a,12b、及び/又は、当該改質領域12a,12bから延びる亀裂14を含む領域を撮像するように、撮像ユニット4を制御する第1撮像処理(第1撮像工程)を実行する。この工程において得られた画像は、制御部8に提供される。したがって、制御部8は、供給された画像データに基づいて、上記の方法・原理に基づいて、第2検査を実行できる。
なお、この工程に続いて、制御部8は、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、Z方向からみて機能素子22aの第2ライン15bに対応する辺の領域であって、改質領域12a,12b、及び/又は、当該改質領域12a,12bから延びる亀裂14を含む領域を撮像するように、撮像ユニット4を制御する第2撮像処理(第2撮像工程)を実行してもよい。この工程において得られた画像は、制御部8に提供される。したがって、制御部8は、供給された画像データに基づいて、上記の方法・原理に基づいて、第2検査を実行できる。
なお、以上の図18を用いて説明したレーザ加工方法・撮像方法おいては、亀裂14の検査として、第2検査を例示したが、第2検査に限らずに第1検査、第3検査、又は、第4検査としてもよい。
[レーザ加工方法、半導体デバイス製造方法の作用及び効果]
上述したレーザ加工方法では、改質領域12aと改質領域12bとの間の検査領域R2内に半導体基板21の裏面21b側から焦点Fを合わせて、表面21a側から裏面21b側に半導体基板21を伝搬(透過)する光I1を検出する。このように光I1を検出することにより、改質領域12aから裏面21b側に延びる亀裂14bの先端14eが検査領域R2に存在する場合に、亀裂14bの先端14eを確認することができる。そして、検査領域R2に亀裂14bの先端14eが存在する場合には、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていないと想定される。よって、上述したレーザ加工方法によれば、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っているか否かを確認することができる。
また、上述したレーザ加工方法では、複数列の改質領域12として、2列の改質領域12a,12bを形成する。これにより、複数列の改質領域12の形成、及び複数列の改質領域12に渡る亀裂14の検査を効率良く実施することができる。
また、上述した半導体デバイス製造方法によれば、2列の改質領域12a,12bに渡る亀裂14が半導体基板21の表面21aに至っていないと評価された場合に、半導体基板21の裏面21bの研削が実施されないため、研削工程の後に、ウェハ20を複数のライン15のそれぞれに沿って確実に切断することができないという事態が生じるのを防止することができる。
上述した撮像装置10は、レーザ光Lの照射によって対象物11(ウェハ20の半導体基板21)に形成された改質領域12a,12b、及び/又は、改質領域12a,12bから延びる亀裂14を撮像する。撮像装置10は、ウェハ20の少なくとも半導体基板21を透過する光I1によりウェハ20を撮像する撮像ユニット4と、撮像ユニット4を制御する制御部8と、を備える。ウェハ20は、Z方向からみて、第1ライン15aと第2ライン15bとによって規定される複数の機能素子22aを含む。制御部8は、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、Z方向からみて機能素子22aの第1ライン15aに対応する辺の領域であって、改質領域12a,12b、及び/又は、当該改質領域12a,12bから延びる亀裂14を含む領域を撮像するように、撮像ユニット4を制御する第1撮像処理を実行する。
撮像装置10においては、制御部8が、半導体基板21における改質領域12a,12b、及び/又は、当該改質領域12a,12bから延びる亀裂14を含む領域を、半導体基板21を透過する光により撮像する第1撮像処理を実行する。このため、ウェハ20を破壊することなく、改質領域12a,12b等(改質領域12a,12b、及び/又は改質領域12a,12bから延びる亀裂14(以下同様))の画像を取得でき、それらの確認が可能となる。特に、撮像装置10においては、制御部8が、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、上記の第1撮像処理を実行する。このため、改質領域12a,12bを形成しいく速度に影響を与えることなく、改質領域12a,12b等の確認が可能となる。すなわち、撮像装置10によれば、加工効率の低下を抑制しつつ非破壊での確認が可能となる。さらに、撮像装置10においては、第1撮像処理により撮像する領域が、ウェハ20に構成された機能素子22aの辺である。機能素子22aの辺においては、第1ライン15aに沿って形成された改質領域12a,12b等と、第2ライン15bに沿って形成された改質領域12a,12b等とが交差する機能素子22aの角と比較して、改質領域12a,12b等の品質が高い傾向がある。したがって、撮像装置10によれば、改質領域12a,12b等の高精度な確認が可能となる。
また、撮像装置10においては、制御部8は、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、Z方向からみて機能素子22aの第2ライン15bに対応する辺の領域であって、改質領域12a,12b、及び/又は、当該改質領域12a,12bから延びる亀裂14を含む領域を撮像するように、撮像ユニット4を制御する第2撮像処理を実行してもよい。この場合、加工効率の低下を抑制しつつ、互いに交差するライン15に沿って形成された改質領域12a,12b等の非破壊での確認が可能となる。
上述したレーザ加工装置1は、上記の撮像装置10と、ウェハ20にレーザ光Lを照射するためのレーザ照射ユニット3と、レーザ照射ユニット3が取り付けられ、Z方向にレーザ照射ユニット3を駆動する駆動ユニット7と、を備える。撮像ユニット4は、レーザ照射ユニット3と共に駆動ユニット7に取り付けられている。
レーザ加工装置1は、上記の撮像装置10を備えている。よって、レーザ加工装置1によれば、加工効率の低下を抑制しつつ非破壊での確認が可能となる。また、レーザ加工装置1は、Z方向にレーザ照射ユニット3を駆動する駆動ユニット7を備えている。そして、撮像ユニット4が、レーザ照射ユニット3と共に当該駆動ユニット7に取り付けられている。したがって、レーザ光Lの照射による改質領域12a,12bの形成と、第1撮像処理とにおいて、入射方向の位置情報を共有することが容易となる。
また、レーザ加工装置1は、半導体基板21を透過する光I2によりウェハ20を撮像する撮像ユニット5と、レーザ照射ユニット3及び撮像ユニット5を制御する制御部8と、を備えている。撮像ユニット4は、半導体基板21を透過した光I1を通過させる対物レンズ43と、対物レンズ43を通過した当該光I1を検出する光検出部44と、を有している。撮像ユニット5は、半導体基板21を透過した光I2を通過させるレンズ53と、レンズ53を通過した当該光I2を検出する光検出部54と、を有している。制御部8は、光検出部54の検出結果に基づいて、レーザ光Lの照射位置のアライメントを行うように、レーザ照射ユニット3及び撮像ユニット5を制御するアライメント処理を実行する。このため、改質領域12a,12b等の撮像のための撮像ユニット4に加えて、レーザ光Lの照射位置のアライメントのための撮像ユニット5を別途用いることにより、それぞれに適した光学系を用いることが可能となる。
また、レーザ加工装置1においては、対物レンズ43の開口数は、レンズ53の開口数よりも大きい。この場合、比較的に小さい開口数での観察により確実にアライメントを行いつつ、比較的に大きな開口数での改質領域12a,12b等の撮像が可能となる。
上述した撮像方法は、レーザ光Lの照射によって半導体基板21に形成された改質領域12a,12b、及び/又は、改質領域12a,12bから延びる亀裂14を撮像する。撮像方法は、ウェハ20を撮像する第1撮像工程を備える。ウェハ20は、Z方向からみて、第1ライン15a及び第2ライン15bによって規定される複数の機能素子22aを含む。第1撮像工程においては、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、Z方向からみて機能素子22aの第1ライン15aに対応する辺の領域であって、改質領域12a,12b、及び/又は、当該改質領域12a,12bから延びる亀裂14を含む領域を撮像する。
この方法においては、半導体基板21における改質領域12a,12b、及び/又は、当該改質領域12aから延びる亀裂14を含む領域を、半導体基板21を透過する光I1により撮像する。このため、ウェハ20を破壊することなく、改質領域12a,12b等の確認を行うことができる。特に、この方法においては、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、上記の撮像を行う。このため、改質領域12a,12bを形成しいく速度に影響を与えることなく、改質領域12a,12b等の確認が可能となる。すなわち、この方法によれば、加工効率の低下を抑制しつつ非破壊での確認が可能となる。さらに、この方法においては、撮像する領域が、ウェハ20に構成された機能素子22aの辺部分である。機能素子22aの辺部分においては、第1ライン15aに沿って形成された改質領域12a,12b等と、第2ライン15bに沿って形成された改質領域12a,12b等とが交差する機能素子22aの角部分と比較して、改質領域12a,12b等の品質が高い傾向がある。したがって、この方法によれば、改質領域12a,12b等の高精度な確認が可能となる。
さらに、上記の撮像方法は、ウェハ20を撮像する第2撮像工程をさらに備えることができる。第2撮像工程においては、第1ライン15a及び第2ライン15bに沿って改質領域12a,12bが形成された後に、Z方向からみて機能素子22aの第2ライン15bに対応する辺の領域であって、改質領域12a12b、及び/又は、当該改質領域12a,12bから延びる亀裂14を含む領域を撮像してもよい。この場合、加工効率の低下を抑制しつつ、互いに交差するラインに沿って形成された改質領域12a,12b等の非破壊での確認が可能となる。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態では、レーザ加工装置1が、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の内部に2列の改質領域12a,12bを形成したが、レーザ加工装置1は、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の内部に1列又は3列以上の改質領域12を形成してもよい。1本のライン15に対して形成する改質領域12の列数、位置等は、ウェハ20における半導体基板21の厚さ、半導体デバイス20aにおける半導体基板21の厚さ等を考慮して、適宜、設定可能である。なお、複数列の改質領域12は、レーザ光Lの集光点Cの相対的な移動が1本のライン15に対して複数回実施されることにより、形成されてもよい。
また、図15に示される工程S06の研削及び切断工程において、研削装置200は、基準位置Pを超えて半導体基板21の裏面21bを研削してもよい。研削終了予定位置は、半導体デバイス20aの側面(切断面)に改質領域12を残すか否かに応じて、適宜、設定可能である。なお、半導体デバイス20aが例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)である場合には、半導体デバイス20aの側面に改質領域12が残ってもよい。
また、図19に示されるように、撮像装置10は、レーザ加工装置1と別体として構成されていてもよい。図19に示される撮像装置10は、撮像ユニット4に加え、ステージ101と、駆動ユニット102と、制御部(第1制御部)103と、を備えている。ステージ101は、上述したステージ2と同様に構成され、複数列の改質領域12が形成されたウェハ20を支持する。駆動ユニット102は、撮像ユニット4を支持しており、撮像ユニット4をZ方向に沿って移動させる。制御部103は、上述した制御部8と同様に構成されている。図19に示されるレーザ加工システムでは、レーザ加工装置1と撮像装置10との間において、ロボットハンド等の搬送装置によってウェハ20が搬送される。
また、複数のライン15のそれぞれに沿って半導体基板21の裏面21b側からウェハ20にレーザ光Lを照射する際のレーザ光Lの照射条件は、上述したものに限定されない。例えば、レーザ光Lの照射条件は、上述したように、複数列の改質領域12(例えば、2列の改質領域12a,12b)に渡る亀裂14が半導体基板21と機能素子層22との界面に至る条件であってもよい。或いは、レーザ光Lの照射条件は、複数列の改質領域12に渡る亀裂14が機能素子層22における半導体基板21とは反対側の表面に至る条件であってもよい。或いは、レーザ光Lの照射条件は、複数列の改質領域12に渡る亀裂14が半導体基板21内における表面21aの近傍に至る条件であってもよい。このように、レーザ光Lの照射条件は、複数列の改質領域12に渡る亀裂14が形成される条件であればよい。いずれの場合にも、複数列の改質領域12に渡る亀裂14が半導体基板21の表面21a側に十分に延びているか否かを確認することができる。
また、上述した実施形態における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した一の実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。