以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
図1は、取付枠1に取り付けられたスイッチ付きコンセント10を示す斜視図である。図2は、図1に示したコンセント10の分解斜視図である。図1及び図2(他図でも同様)において、矢印Xは幅方向(または左右方向)を示し、矢印Yは前後方向(または奥行き方向)を示し、矢印Zは上下方向(または高さ方向)を示している。これらの3方向は互いに直交する。なお、これらの方向は例示であって、本開示に係るコンセントの構成を実質的に規定するものではない。
図1及び図2に示すように、コンセント10は、取付枠1に取り付けられて壁(図示せず)等の造営物に設置される。取付枠1は、上側板部2と、下側板部3と、幅方向Xの両側において上下方向Zに延在して上側板部2および下側板部3に連結される一対の桟部4,4とを有する。これにより、取付枠1には、上側板部2及び下側板部3と一対の桟部4,4とで囲まれた領域に、正面視で縦長の長方形状をなす開口部5が形成されている。
取付枠1は、金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工して形成される。一対の桟部4,4は、断面L字状に曲げ加工されており、前後方向Yに沿った側面には複数の係合孔6が上下方向Zに間隔をあけて形成されている。これらの係合孔6によってコンセント10が取付枠1に取り付けられる。
図1及び図2に示すように、コンセント10は、前方から見た正面視で縦長の長形状をなす直方体に形成されている。コンセント10の大きさは、JIS規格に規定される寸法に形成されている。
コンセント10は、ケース16と、主カバー部材17と、コンセント本体カバー12とを備える。主カバー部材17及びコンセント本体カバー12は、ケース16の前面開口を覆って設けられる。また、コンセント10は、コンセント外側カバー14をさらに備える。主カバー部材17、コンセント本体カバー12及びコンセント外側カバー14は、いずれも樹脂成型品によって好適に構成される。
主カバー部材17は、前壁17aと、側壁17bとを有する。前壁17aは、幅方向Xの一方側において上下方向Zに延在している。側壁17bは、主カバー部材17において四方周囲を取り囲むように形成されている。また、主カバー部材17の前面には、前壁17aと側壁17bとの間に開口部19が形成されている。開口部19は、正面視で縦長の長方形状に形成されている。開口部19は、コンセント本体カバー12の上部カバー12aが嵌り込んで取り付けられるために形成されている。本実施形態においてコンセント本体カバー12の上部カバー12aは、主カバー部材17に取り付けられる副カバー部材に相当する。
主カバー部材17の前壁17aには、正面視で縦長の長方形状をなす開口部17cが形成されている。この開口部17cは、後述する開閉ユニット70の操作レバー71を露出させるために形成されている。また、前壁17aには、開口部17cの上方位置に操作片17dが片持ち形状で形成されている。この操作片17dを介して後述するスイッチ盤に実装された押しスイッチを押下操作することが可能になっている。
また、主カバー部材17の前面において、開口部19の下方には端子カバー部17eが設けられている。この端子カバー部17eは、ケース16に組み付けられたとき、ケース16内に収納された端子部100を覆って設けられるが、端子カバー部17eに形成されている貫通孔を介して端子部100の接地用端子102およびねじ105等が露出するように構成されている。
さらに、主カバー部材17の側壁17bには、係止片21が幅方向の両側縁部に2つずつ、合計4つ形成されている。各係止片21は、側壁17bの端縁部から後方に突出して形成されている。また、各係止片21には、矩形状の係止孔がそれぞれ形成されている。これらの係止片21は、主カバー部材17がケース16に組み付けられたとき、ケース16の側面に突設されている係合部22が係止孔に係合することによって、主カバー部材17がケース16に対して係止された状態で組み付けられる。
さらにまた、主カバー部材17には、前壁17aの開口部19側の縁部に係止部23が後方に突出した形状に形成されている。この係止部23は、開口部19内にコンセント本体カバー12の上部カバー12aが嵌め込まれて組み付けられたときに、上部カバー12aに係合して組付け状態を保持する機能を有する。
コンセント本体カバー12は、コンセント10の前面を覆って配置されている。コンセント本体カバー12は、上部カバー12a及び下部カバー12bを含む。上部カバー12aは、ケース16内に収納されたコンセント部40の前方を覆って設けられる。ケース16およびコンセント部40の詳細については後述する。
上部カバー12aには、栓刃挿入部18a,18bが上下2段に配置されている。上段の栓刃挿入部18aには、差込プラグ(図示せず)の2つの板状栓刃が挿入される栓刃挿入口20a,20bが左右方向に並んで形成されている。また、下段の栓刃挿入部18bには、差込プラグの2つの栓刃が挿入される栓刃挿入口20a,20bが左右方向に並んで形成されるとともに、栓刃挿入口20a,20bの間の下方位置に接地用の棒状端子が挿入される接地端子挿入口20cが形成されている。本実施形態では、一方の栓刃挿入口20aの開口縁部が正面視で略D字型の枠状に形成され、他方の栓刃挿入口20bの開口縁部が矩形枠状に形成されている例が示される。ただし、これに限定されるものではなく、各栓刃挿入口20a,20bの開口縁部は同じ形状に形成されてもよい。
コンセント本体カバー12の一部を構成する下部カバー12bは、ケース16内に収納された端子部100の接地用端子102を覆って設けられる。下部カバー12bの表面には「アース」及び「あける」の文字、接地を表すマークなどが付されている。下部カバー12bは、上部カバー12aに対して着脱可能に取り付けられている。詳しくは、下部カバー12bに一体形成されている2つの取付ピン13を上部カバー12aに形成された取付穴15に挿入することによって取り付けられる。下部カバー12bをコンセント10から取り外すことで端子部100の接地用端子102が露出する。これにより、コンセント10は、接地用外部電線を接続可能な状態になる。
コンセント外側カバー14は、前方から見た正面視でコ字状をなす形状に形成され、コンセント本体カバー12の上方、左側及び下方の三方外側に隣接して配置される。コンセント外側カバー14は、後述する開閉ユニット70の前面を覆って設けられる。コンセント外側カバー14には、縦長の長方形状をなす開口部14aと、この開口部14aの上方に位置する円形の貫通孔14bとが形成されている。開口部14aには、開閉ユニット70の操作レバー71が露出した状態で配置されている。また、貫通孔14bの内側(すなわち後方)には、後述する回路基板に実装された押しスイッチが配置される。これにより、例えば細い棒状の工具やペンの先端などを貫通孔14bに挿入することで押しスイッチを押下することができ、開閉ユニットの動作テストや、ブザー停止操作を行うことができる。また、押しスイッチは発光部を備えており、貫通孔14bはこの発光部の点灯状態を外部から確認するための透光窓としても機能する。
コンセント外側カバー14において貫通孔の14bの上方には、「電源」及び「異常」の表示が付されている。表示「電源」の上の領域はコンセント10の電源供給時に例えば緑色に点灯する電源灯孔14cになっており、表示「異常」の上の領域はコンセント10の異常発熱時に例えば赤色に点灯又は点滅する異常灯孔14dになっている。なお、電源灯孔14c及び異常灯孔14dは、コンセント外側カバー14の壁面を薄肉に形成することで光が透過する透光部となっていてもよい。
図3は、カバーを取り外した状態で示すコンセント10の正面図である。図4は、図3に示すコンセント10において、ケース16及び端子ボックス101を取り外した状態で示す分解斜視図である。
コンセント10は、ケース16を備える。ケース16は、例えば、樹脂成型品によって構成される。ケース16は、図3及び図4に示すように、直方体状の外形をなし、後部に底面を有するとともに前方に開口した形状を有する。
図3及び図4に示すように、ケース16の長辺方向に沿った外面には、係合部22が突出して形成されている。係合部22は、各側面に間隔をあけて2つずつ設けられている。これらの係合部22に主カバー部材17の係止片21が係合することによって、主カバー部材17がケース16に取り付けられる。
図4に示すように、ケース16の底面24には、複数の柱部26が立設されている。これらの柱部26は、ケース16内に開閉ユニット70が収納されたとき開閉ユニット70の側壁面に突設された挟持部に各先端面が当接して開閉ユニット70を支持する機能を有する。また、ケース16の底面24には、複数の支持突起部(図4では1つだけ図示)29が突出して形成されている。これらの支持突起部29の先端面によって、ケース16内に収納された回路基板120が支持される。
図5は、図4に示すコンセントにおいて、ケース及び端子ボックスとボディ部材とを取り除いた状態を示す斜視図である。図3ないし図5に示すように、コンセント10は、コンセント部40、開閉ユニット70、及び、回路基板120を備える。また、コンセント10は、接地用端子102を備えてもよい。なお、コンセント部40が本開示における第2ユニットに相当し、開閉ユニット70が本開示における第1ユニットに相当し、コンセント10が本開示におけるスイッチ装置に相当する。
コンセント部40は、2つの刃受ばねブロック42a,42bと、これらの刃受ばねブロック42a,42bを支持するボディ部材44とを含む。ボディ部材44は、絶縁性の樹脂成型品によって好適に構成される。
一方の刃受ばねブロック42aは、コンセント10の端子部100に接続される電圧相(以下、L相という。)の外部電源線と電気的に接続される端子部材である。他方の刃受ばねブロック42bは、コンセント10の端子部100に接続される中性相(以下、N相という。)の外部電源線と電気的に接続される端子部材である。刃受ばねブロック42a,42bは、例えば、銅板等の金属板を打ち抜き及び折り曲げ等の加工を施すことによって製造される。上記L相電源線およびN相電源線を介して刃受ばねブロック42a,42bに商用電源からの電力が供給される。
各刃受ばねブロック42a,42bは、同一形状のものを用いることができる。したがって、以下では一方の刃受ばねブロック42aの構成について主として説明し、他方の刃受ばねブロック42bについては援用によって説明を適宜に省略する。
刃受ばねブロック42aは、二対の刃受ばね48と、各刃受ばね48を機械的に連結するとともに電気的に接続する連結部50と、連結部50の縁部から前後方向に沿って折り曲げ形成された接続端子部52とを一体に有する。
L相用の刃受ばねブロック42aにおいて一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの上段の右側に形成された栓刃挿入口20aの内側に配置される。もう一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの下段の右側に形成された栓刃挿入口20aの内側に配置される(図1参照)。
N相用の刃受ばねブロック42bにおいて一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの上段の左側に形成された栓刃挿入口20bの内側に配置される。もう一対の刃受ばね48は、上部カバー12aの下段の左側に形成された栓刃挿入口20bの内側に配置される(図1参照)。
図5に示すように、L相用の刃受ばねブロック42aの接続端子部52には、L相導線54aの一端がはんだ付け等によって接続されている。また、N相用の刃受ばねブロック42bの接続端子部52には、N相導線54bの一端がはんだ付け等によって接続されている。L相導線54aおよびN相導線54bは、例えば、絶縁被覆された編組銅線によって好適に構成される。L相導線54aおよびN相導線54bの各他端は、開閉ユニット70にそれぞれ接続されている。なお、L相導線54aおよびN相導線54bが本開示における一対の被覆導線に相当する。
また、刃受ばねブロック42a,42bの接続端子部52には温度センサ54がクリップ56によってそれぞれ取り付けられている。温度センサ54の取付構造については後に詳述する。温度センサ54は、刃受ばねブロック42a,42bの温度をそれぞれ計測して、その計測結果を信号線60a,60bを介して回路基板120に送信する。
回路基板120は、図示しないパターン配線が形成されたプリント基板である。回路基板120には、例えばマイコン等によって構成される制御部122が実装されている。制御部122は、温度センサ54から送信される計測結果に基づいて、刃受ばねブロック42a,42bの温度が所定閾値を超えていないか否かを判定する。そして、制御部122は、刃受ばねブロック42a,42bの少なくとも一方の温度が所定閾値温度を超えたとき、コンセント10が過熱状態であると判定し、開閉ユニット70に信号線60cを介して作動信号を送信する。
ここで、所定閾値温度は、例えば、100℃〜150℃に設定することができる。所定閾値温度は、コンセント10のカバー12やボディ部材44を構成する樹脂材料の耐熱温度等に応じて設定され得るものである。コンセント本体カバー12等のカバー部材やボディ部材44などを構成する樹脂材料として、例えば、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが好適に用いられる。上記の所定閾値温度は、コンセント10が使用される環境温度(または周囲温度)に応じて変更されてもよい。
また、回路基板120には、ブザー装置が実装されるのが好ましい。制御部122は、刃受ばねブロック42a,42bの少なくとも一方の温度が所定閾値温度を超えて過熱状態にあると判定されたとき、押しスイッチ132の発光部を点滅状態とするとともにブザー装置を鳴動させて、報知動作を行ってもよい。
なお、本実施形態では回路基板120は、コンセント10の過熱状態を異常として検知する機能を備える例について説明するが、これに限定されるものでない。コンセントは、所定震度以上の地震を異常として検知したとき電力供給を遮断する感震検知機能を備えるものであってもよい。この場合、震度は回路基板上またはコンセント内部の他の部分に設置された例えば、ジャイロセンサ等の加速度を検知可能な感震センサによって構成されてもよい。感震センサは、回路基板上のパターン配線又は、信号線を介して、回路基板上の制御部に接続される。制御部は、感震センサからの入力に基づいて所定震度以上の地震であると判定されたとき、開閉ユニット70に対して作動信号を出力する。また、本開示に係るコンセントは、このような感震検知機能と上述した過熱検知機能とを合わせて備えてもよいし、感震検知機能単独で備えてもよい。さらに、本開示に係るコンセントは、異常として漏電を検知したときに電流を遮断する漏電検知機能を上述した過熱や感震と組み合わせて或いは単独で備えてもよい。漏電を検知するためにコンセント内に電流センサを設け、刃受ばねブロックを流れる電流(物理量)が所定閾値電流値を超えたときに開閉ユニットを作動させる構成とすればよい。
図5に示すように、コンセント10は、スイッチ盤130を備える。スイッチ盤130には、押しスイッチ132が実装されている。押しスイッチ132は、コンセント外側カバー14の貫通孔14bの内側に配置されている(図1および図2参照)。これにより、貫通孔14bを介してコンセント10の外部から押しスイッチ132を押下操作することができる。スイッチ盤130は、回路基板120に信号線を介して接続されている。押しスイッチ132が短く押し操作されると、回路基板120から後述する開閉ユニット70に作動信号が送信される。これにより、開閉ユニット70が閉路状態から開路状態に切り替わり、押しスイッチ132は異常状態を示す点滅状態となる。このように押しスイッチ132を押下操作することで、コンセント10が正常に作動するか否かをテストすることができる。また、押しスイッチ132を長押し操作することで、過熱状態を報知するブザー装置を停止させることもできる。
スイッチ盤130には、電源灯発光部134および異常灯発光部136が実装されている。電源灯発光部134は、コンセント外側カバー14の電源灯孔14cの内側に対向して配置され、異常灯発光部136は、コンセント外側カバー14の異常灯孔14dの内側に対向して配置される(図1参照)。電源灯発光部134は、例えば、緑色に発光する発光ダイオード(LED)によって好適に構成される。異常灯発光部136は、例えば、赤色に発光する発光ダイオード(LED)によって好適に構成される。電源灯発光部134は、コンセント10が電源供給状態にあるとき点灯される。異常灯発光部136は、後述するようにコンセント10において異常発熱が検知されたときに点灯されるか又は点滅する。これらの発光部134,136の点灯状態がコンセント10の外部から視認可能になっていることで、発光部134,136は報知部の一部を構成する。
次に、図6及び図7を参照して開閉ユニット70について説明する。図6は、閉路状態にある開閉ユニット70の側面図である。図7は、開路状態にある開閉ユニット70の側面図である。図6及び図7において、開閉ユニット70は、幅方向外側を覆うハウジングの壁面を取り除いた状態で示されている。
図6に示すように、開閉ユニット70は、ハウジング72を有する。ハウジング72の前面には、操作レバー71が露出した状態で回動可能に設けられている。
開閉ユニット70は、ハウジング72内に、コイル73、可動鉄片74、トリガーレバー75、支持レバー76、作動板77、押圧ばね78、作動部材79、圧接ばね80,85、N相可動端子板81及びN相可動端子部82、L相可動端子板83及びL相可動端子部84、N相固定端子板86及びN相固定端子部87、並びに、L相固定端子板88及びL相固定端子部89を備える。
コイル73は、回路基板120からの作動信号を受けて電力供給される。これにより、コイル73は磁力を発生する。可動鉄片74は、ハウジング72内においてコイル73の後方(図6中では下方)に近接する位置で前後方向Yへ移動可能に設けられている。可動鉄片74は、L相可動端子板83の一端部に固定されている。なお、L相可動端子板83の一端83aには、L相導線54aの他端がはんだ付け等によって電気的および機械的に接続されている。
トリガーレバー75は、略L字状の形状をなし、ハウジング72の幅方向側壁面に軸部75aを中心に回動可能に設けられている。トリガーレバー75の一端部は、可動鉄片74と係合可能な位置に配置されている。
支持レバー76は、前後方向Yに延在する形状を有し、ハウジング72の幅方向側壁面に軸部76aを中心に回動可能に設けられている。支持レバー76の一端部は、トリガーレバー75の他端部に係合可能な位置に配置されている。
作動板77は、一端部が支持レバー76の他端の上に当接して支持されている。作動板77は、操作レバー71に一端が連結されている略U字状の押圧ばね78の他端が連結されており、この押圧ばね78の押圧力によって一端部が支持レバー76の他端上に圧接されている。
操作レバー71の回動中心の周りには捻りばね90が配置されている。後述するように開閉ユニット70が作動して電力遮断状態になったとき、操作レバー71は捻りばね90の付勢力によって回動して、図7に示すようにコンセント10の前面に突出した状態となる。
図6に示すように、作動部材79は、支持レバー76と作動板77とに隣接して配置され、ハウジング72の幅方向側壁に軸部79aを中心として回動可能に設けられている。作動部材79の後端部(図6中の下端部)が圧接ばね80によって付勢されている。これにより、作動部材79は、圧接ばね80によって、図6中の反時計回り方向に回動する方向に付勢されている。
作動部材79は、前後方向Yの略中央部がN相可動端子板81と係合可能に設けられている。N相可動端子板81の一端には、N相導線54bの他端がはんだ付け等によって電気的および機械的に接続されている。また、N相可動端子板81の他端にはN相可動端子部82が例えばカシメ等によって固定されている。
N相可動端子板81は、作動部材79によって、圧接ばね85の付勢力に抗して時計回り方向に回動した位置に押さえられている。これにより、後述するように作動部材79が圧接ばね80の付勢力によって反時計回り方向に回動したとき、N相可動端子板81は作動部材79による押さえが解放されることで、圧接ばね85の付勢力によって押し上げられるようになっている。
また、作動部材79は、L相可動端子板83の中間部分を押さえ付けている。L相可動端子板83の他端部には、L相可動端子部84が例えばカシメ等によって固定されている。後述するように作動部材79が反時計回り方向に回動したとき、L相可動端子板83が作動部材79の後端部(図6中の下端部)によって押し上げられてL相可動端子部84が前方(図6中の上方)に移動するようになっている。
N相可動端子部82は、ハウジング72内に配置されたN相固定端子部87に当接して電気的に接続されている。N相固定端子部87は、N相固定端子板86の一端部に例えばカシメ等によって固定されている。N相固定端子板86はハウジング72の外部に延出している。
L相可動端子部84は、ハウジング72内に配置されたL相固定端子部89と当接して電気的に接続される。L相固定端子部89は、L相固定端子板88の一端部に例えばカシメ等によって固定されている。L相固定端子板88はハウジング72の外部に延出している。
上記のように構成される開閉ユニット70では、回路基板120からの作動信号によってコイル73に電力供給されると、図7に示すように、可動鉄片74がコイル73の磁力によって吸着されて移動する。
そうすると、トリガーレバー75が可動鉄片74によって一端部が押されることで時計回り方向に回動し、これに伴って支持レバー76がトリガーレバー75の他端部によって押されることで反時計回り方向に回動する。
そうすると、支持レバー76の上端に支持されていた作動板77の一端部が外れることで、作動板77は押圧ばね78の押圧力によって反時計周り方向に回動する。このとき、操作レバー71は、押圧ばね78の反力と捻りばね90の付勢力によって、コンセント10の前面に端部が突出した状態に回動する。
作動板77の支持レバー76による支持が外れたことで、作動板77によって時計回り方向に押されて支持されていた作動部材79が、圧接ばね80の付勢力によって反時計回り方向に回動する。これにより、圧接ばね85の付勢力によってN相可動端子板81が移動し、N相可動端子部82がN相固定端子部87から離間する。これと同時に、反時計回り方向に回動する作動部材79によって押されることで、L相可動端子板83が持ち上げられるように移動する。これにより、L相可動端子部84がL相固定端子部89から離間する。このようにN相可動端子部82及びL相可動端子部84がN相固定端子部87及びL相固定端子部89からそれぞれ離間することで、開閉ユニット70は閉路状態から開路状態に切り替わる。その結果、刃受ばねブロック42a,42bへの電力供給路が遮断され、コンセント10から差込プラグを介して負荷に供給される電力がオフされることになる。異常状態が解除されて、操作レバー71が図7に示す状態から図6に示す状態に手動操作で戻されると、開閉ユニット70の内部の各構成部材も図7に示す状態から図6に示す状態に復帰し、開路状態から閉路状態に戻すことができる。
なお、開閉ユニット70は、上述した構成のものに限定されず、電力供給路を開閉可能な公知の如何なる構成の遮断機構を用いてもよい。
図8は、図4に示すコンセントにおいて、矢印A方向(端子部側)から見た斜視図である。コンセント10は、端子部100を備える。端子部100は、商用電源に接続される外部電源線が電気的及び機械的に接続される接続部である。
端子部100は、N相固定端子板86、L相固定端子板88、鎖錠ばね92,94、及び、解錠部材96を備える。N相固定端子板86は、開閉ユニット70のハウジング72から延出した他端部にU字状に折り曲げられたN相接続部86aを有する。L相固定端子板88は、開閉ユニット70のハウジング72から延出した他端部にU字状に折り曲げられたL相接続部88aを有する。各接続部86a,88aの内側には、鎖錠ばね92,94がそれぞれ配置されている。これにより、各接続部86a,88aは、後方からN相およびL相の外部電源線をそれぞれ挿入することで、迅速に接続可能ないわゆる速結端子となっている。
解錠部材96は、押し込み操作することで、鎖錠ばね92,94を各接続部86a,88aから離間させることができ、その結果、L相およびN相の外部電源線を各接続部86a,88aから取り外すことができる。
また、端子部100は、接地用端子102を備える。接地用端子102は、例えば、銅板等の金属板をパンチ加工および折り曲げ加工して形成された接地用端子板104を含む。接地用端子板104の一端部には、ねじ105が螺合されており、このねじ105を用いて接地用外部電線を接地用端子102に接続することができる。接地用端子板104の他端には接地用刃受ばね106が形成されている。この接地用刃受ばね106はコンセント本体カバー12の上部カバー12aの下段に形成された接地端子挿入口20cの内側に配置されている。これにより、接地端子挿入口20cから挿入された差込プラグの接地用端子が接地用端子板104に接続されるようになっている。
次に、図9〜図12を参照して、温度センサの取付構造について説明する。図9は、コンセントの温度センサ取付構造を示す分解斜視図である。図10は、図9の温度センサ取付構造の組立斜視図である。図11は、温度センサ取付構造を示す一部断面を含む平面図である。
図9ないし図11に示すように、コンセント部40は、L相用の刃受ばねブロック42aと、N相用の刃受ばねブロック42bと、これらの刃受ばねブロック42a,42bを支持するボディ部材44とを備える。各刃受ばねブロック42a,42bは、コンセント部40の幅方向中心線であるB−B線に対して対称な形状を有する。以下では、刃受ばねブロック42aについて説明するが、刃受ばねブロック42bについても同様である。
刃受ばねブロック42aは、二対の刃受ばね48と、各刃受ばね48を機械的に連結するとともに電気的に接続する連結部50と、連結部50の縁部から前後方向Yに沿って折り曲げ形成された接続端子部52とを一体に有する。接続端子部52は、断面L字状に折れ曲がった曲げ部52aを有している。そして、接続端子部52の曲げ部52aには、温度センサ54が取り付けられている。
本実施形態では、温度センサ54は、クリップ56によって挟持されて固定されている。これにより、温度センサ54が温度計測対象である刃受ばねブロック42aに密接して配置されている。クリップ56は、一対の挟持片56aと各挟持片56aを連結する連結部56bとを一体に有する。このように温度センサ54がクリップ56によって挟持されることで温度計測対象である接続端子部52の曲げ部52aに密接した状態で取り付けられる。これにより、温度センサ54による温度計測精度が向上する。
温度センサ54は、サーミスタ、測温抵抗体、及び熱電対の何れかで構成されるのが好適である。また、温度センサ54と接続端子部52の曲げ部52aとの間に熱伝導部材が介在されてもよい。熱伝導部材は、例えば、熱伝導性を有するシートやグリスなどの柔軟で薄い部材で構成されるのが好ましい。このような熱伝導部材を設けることで、温度センサ54が温度計測対象により密接した状態になりやすく、温度計測精度の向上に寄与することができる。
刃受ばねブロック42a,42b、温度センサ54およびクリップ56は、ボディ部材44に対して次のように組み付けられる。
絶縁性樹脂成型品で構成されるボディ部材44は、略直方体状をなしている。ボディ部材44には、4つの凹部45が区画形成されている。これらの凹部45内に刃受ばねブロック42a,42bの4対の刃受ばね48がそれぞれ収納された状態で、刃受ばねブロック42a,42bがボディ部材44に組み付けられる。
ボディ部材44の外周面において幅方向Xに対向する両側面には、前方視で長方形状に凹んだセンサ収容部46がそれぞれ形成されている。センサ収容部46の内面には、前方視で略コ字状をなす支持リブ47が突出して形成されている。この支持リブ47は、幅方向Xの外側に向かって開口している。
コンセント部40の組立の際、図9に示すように、まず、温度センサ54がボディ部材44のセンサ収容部46内に幅方向Xに沿った矢印C方向から挿入されて収容される。このとき、温度センサ54は支持リブ47上に載置されて支持され、温度センサ54から延出する信号線60aは支持リブ47の開口部に挿入される。
次に、刃受ばねブロック42aの接続端子部52を前後方向Yに沿った矢印D方向からセンサ収容部46に挿入するようにして刃受ばねブロック42aをボディ部材44に組み付ける。これにより、接続端子部52の曲げ部52aが温度センサ54とセンサ収容部46の壁面との間に配置される。
この状態で、クリップ56を矢印C方向からセンサ収容部46内に挿入する。これにより、図10及び図11に示すように、温度センサ54がクリップ56によって接続端子部52の曲げ部52aに圧接された状態に組み付けられる。もう1つの刃受ばねブロック42bへの温度センサ54の組み付けも同様に行うことができる。したがって、本実施形態のコンセント10のコンセント部40では、ボディ部材44に温度センサ54および刃受ばねブロック42a,42bを組み付けた状態でクリップ56を挿入することで、刃受ばねブロック42a,42bへの温度センサ54の取付けを容易に行うことができる。
図12は、端子部100の一部を拡大して示す斜視図である。図12に示すように、コンセント10は、温度計測用基板110を備えてもよい。温度計測用基板110には、温度センサ112a,112bが実装されている。温度センサ112a,112bは、例えば、サーミスタ、測温抵抗体、及び熱電対の何れかによって好適に構成される。温度センサ112a,112bは、熱伝導部材によって被覆されて温度計測用基板110上に設けられてもよい。この場合、温度センサ112a,112bは、熱伝導部材を介して温度計測対象であるN相固定端子板86、及び、L相固定端子板88に接触している。熱伝導性部材は、熱伝導性を有する柔軟性樹脂であることが好ましい。これにより、温度センサ112a,112bがより密接に温度計測対象に接触し、温度計測精度を高めることができる。また、温度計測対象であるN相固定端子板86とL相固定端子板88との間の電気的絶縁をより確実なものにするため、熱伝導部材は絶縁性樹脂であることが好ましい。具体例として、熱伝導部材は、低硬度のアクリル樹脂を用いることができ、例えば、3M社製のハイパーソフト放熱シート(登録商標)6500H,6510H,5578Hなどを用いることができる。
温度計測用基板110に実装された温度センサ112bはN相固定端子板86に接触して設けられ、温度計測用基板110に実装された温度センサ112aはL相固定端子板88に接触して設けられる。そして、温度センサ112bによって計測されたN相固定端子板86の温度は信号線114aを介して回路基板120に送信される。また、温度センサ112aによって計測されたL相固定端子板88の温度は信号線114bを介して回路基板120に送信される。なお、温度計測用基板110には、信号線114a,114bに隣接して電源線114cが接続されている。
回路基板120に設けられた制御部122は、温度センサ112a,112bで計測された固定端子温度が所定閾値温度を超えていないか否かを判定する。そして、制御部122は、固定端子板86,88の少なくとも一方の温度が所定閾値温度を超えたとき、コンセント10が過熱状態であると判定し、開閉ユニット70に信号線60cを介して作動信号を送信する。これにより、開閉ユニット70が作動して開路状態となり、刃受ばねブロック42a,42bへの電力供給が遮断される。ここでの所定閾値温度は、上述した刃受ばねブロック42a,42bの温度センサ54によって計測された温度と比較されるものと同じ値を用いることができる。
なお、本実施形態のコンセント10では、刃受ばねブロック42a,42bと、固定端子板86,88の両方に温度センサを配置したが、刃受ばねブロック42a,42b又は固定端子板86,88の何れか一方だけに温度センサを配置してもよい。
図9および図10に加えて、図13および図14を参照して、開閉ユニット70とコンセント部40の組立について説明する。図13は、一体に連設状態となった開閉ユニット70及びコンセント部40を斜め前方から見た斜視図である。図14は、一体に連設状態となった開閉ユニット70及びコンセント部40を斜め後方から見た斜視図である。
図9及び図10に示すように、コンセント部40の一部を構成するボディ部材44は、係止部49a、位置決め突起49b、及び、一対の軸受部49cを一体に有している。係止部49aは、ボディ部材44において幅方向Xの一方側の側面から後方に延出して形成されており、係止部49aの先端部には傾斜面を有する鉤部51が形成されている。
位置決め突起49bは、係止部49aに隣接した位置でボディ部材44の後面から後方へ突出して形成されている。本実施形態では位置決め突起49bは細長く延びた略円錐台に形成されている。位置決め突起49bの円形状の先端面は、後述するように回路基板120の表面に当接することよって回路基板120の位置決めする機能を有する。
一対の軸受部49cは、係止部49aが設けられている側面とは幅方向Xの反対側の側面から前方に突出して形成されている。一対の軸受部49cは、上下方向Zに所定距離だけ離れた位置に形成されている。また、一対の軸受部49cは、略円柱状の外周面を有する軸部を安定した状態で支持可能なように湾曲した支持面53をそれぞれ有している。
なお、本実施形態ではボディ部材44に一対(2つ)の軸受部49cを設けた例について説明するが、これに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上の軸受部49cを設けてもよい。また、開閉ユニット70に軸受部が設けられた場合には、開閉ユニット70の軸受部に回動自在に支持される軸部をボディ部材44に一体に設けてもよい。
図13および図14に示すように、開閉ユニット70は一対の軸部72a,72bを有する。一対の軸部72a,72bは開閉ユニット70のハウジング72に一体に形成されている。このうち、軸部72aは上下方向Zに沿って下方へ延出して形成され、軸部72bは上下方向Zに沿って上方へ延出して形成されている。また、一対の軸部72a,72bは、ボディ部材44に設けられた一対の軸受部49cに係合可能なように上下方向Zに所定距離だけ離れて形成されて形成されている。また、各軸部72a,72bは略円柱状に形成されている。なお、開閉ユニット70に軸部が設けられた場合には、開閉ユニット70の軸部を回動自在に支持する軸受部をボディ部材44に一体に設けてもよい。
図14に示すように、開閉ユニット70のハウジング72において幅方向Xの内側の側面72cには、第1係合部140、挟持部142,144、位置決め凸部146、および、位置決め嵌合部148が一体に形成されている。
開閉ユニット70に形成された第1係合部140は、ハウジング72から幅方向Xに延伸して形成されており、その先端部には傾斜面を有する鉤部141が設けられている。挟持部142,144は、それぞれ、一対の凸部によって構成され、一対の凸部の間に回路基板120の幅方向Xの一方側端縁部を挟持することができる。
位置決め凸部146は、2つの挟持部142,144のうち一方の挟持部142に隣接して配置されており、挟持部142によって挟持された回路基板120の一方側端縁部に当接することによって、回路基板120の幅方向Xの位置決めを行う機能を有する。
位置決め嵌合部148は、例えば、直方体の突出部によって構成され、回路基板120の一方側端縁部に形成された矩形状の切欠部に嵌合することによって、回路基板120の上下方向Zの位置決めを行う機能を有する。
ボディ部材44の後面44aには、第2係合部55が突設されている。第2係合部55は、開閉ユニット70に設けた第1係合部140の鉤部141が引っ掛かって係合することにより、開閉ユニット70とコンセント部40とを一体に連設された状態に保持する機能を有する。第2係合部55には、第1係合部140の鉤部141が引っ掛かり易くするための係合面57が形成されている。係合面57は、前後方向Yおよび上下方向Zに沿った平面状に形成されている。
上記のような構成を有する開閉ユニット70およびコンセント部40のボディ部材44は次のようにして組み付けられる。
クリップ56によって温度センサ54が接続端子部52にそれぞれ取り付けられた2つの刃受ばねブロック42a,42bがボディ部材44に組み付けられて、コンセント部40が構成されている。この状態で、図13に示すように、ボディ部材44の一対の軸受部49cを開閉ユニット70の軸部72a,72bに宛がった状態として、軸部72a,72bを中心にボディ部材44を開閉ユニット70に近接させるように矢印E方向に回動させる。これにより、図14に示すように、開閉ユニット70の第1係合部140の鉤部141がボディ部材44の第2係合部55の係合面57に引っ掛かって係合し、その結果、開閉ユニット70とコンセント部40とが一体に連設した状態に保持されて組み付けられる。
このように本実施形態のコンセント10によれば、開閉ユニット70およびコンセント部40が連設されて一体となった状態でケース16への収納作業を容易に行うことができ、その結果、コンセント10の生産性が向上する。
図15は、図13に示した開閉ユニット70およびコンセント部40を電気的に接続する一対の被覆電線54a,54bの配置を示す斜視図である。開閉ユニット70は、ハウジング72を備える。ハウジング72は、コンセント部40が配置される側の内側ハウジング部材72dと、その反対側の外側ハウジング部材72eとを組み合わせて筐体状に形成されている。内側ハウジング部材72eには、N相導線54bをハウジング72内に導入するための切欠部72fが形成されている(図16参照)。
上述したように、本実施形態のコンセント10では、コンセント部40と開閉ユニット70とは、L相導線54aおよびN相導線54bによって電気的に接続されている。具体的には、L相導線52aでは、一端が刃受ばねブロック42aの接続端子部52に接続され、他端が開閉ユニット70のL相可動端子板83の一端83aに接続されている(図7参照)。N相導線54bでは、一端が刃受ばねブロック42bの接続端子部52に接続され、他端が開閉ユニット70内においてN相可動端子板81の端部に接続されている(図7参照)。
本実施形態のコンセント10は、L相導線54aおよびN相導線54bを離間させる電線隔離部を有する。具体的には、電線隔離部は、隙間Sを空けて対向する一対の壁部150,152と、上記の第1係合部140とによって構成される。一対の壁部150,152は、ボディ部材44の後面から突出して一体に形成されている。ここで、第1係合部140は、一対の壁部150,152間の隙間S内に収容されたL相導線54aが隙間Sから抜け出ないように保持する保持部を構成していている。すなわち、本実施形態では、開閉ユニット70とコネクタ部40を一体の連設状態に組み付けるための第1係合部140が、L相導線54aを一対の壁部150,102間の隙間S内に保持する保持部を兼ねている。また、壁部152は、第2係合部55と一体をなしている。すなわち、本実施形態では、開閉ユニット70とコネクタ部40を一体の連設状態に組み付けるための第2係合部55が、L相導線54aを収容する隙間Sを形成する一方の壁部152を兼ねている。
L相導線54aは、一対の壁部150,152間に隙間S内に収容された状態に配置される。L相導線54aは、開閉ユニット70とコンセント部40が連設状態に組み付けられる前に隙間S内に収容される。これに対し、N相導線54bは、一対の壁部150,152の外側に配置される。より詳しくは、N相導線54bは、一対の壁部150,152のうち一方の壁部150の外側に隣接して配置されている。これにより、L相導線54aとN相導電54bとの間に壁部150が配置されることで両者が離間されている。ここで、壁部150の厚みは、L相導線54aとN相導電54bとの間に絶縁空間を確保できる寸法(例えば、2mm以上)に設定するのが好ましい。また、ボディ部材44の一部として形成される壁部150は絶縁性樹脂材料で形成されるため、L相導線54aとN相導電54bとの間の絶縁性能をより向上させることができる。
なお、本実施形態ではL相導線54aとN相導電54bとを離間させる電線隔離部が、コンセント部40のボディ部材44に一体に形成された一対の壁部150,152を含む場合について説明したが、これに限定されるものではない。電線隔離部は、開閉ユニット70の内側ハウジング部材72dのみに形成された突起部等で構成されてもよい。また、L相導線54aは、一対の壁部150,152間に挟持されて保持されてもよい。さらに、一対の壁部150,152間の隙間Sに収容されたL相導線54aは、保持部として機能する第1係合部140に当接した状態で保持されてもよい。
図16は、開閉ユニット70の内側ハウジング72dを示す斜視図である。図16に示すように、開閉ユニット70のハウジング72を構成する内側ハウジング部材72dの側面72cには、第1係合部140が突出して一体に形成されている。第1係合部140の先端部には鉤部141が形成されている。鉤部141は、前後方向Yに突出した引っ掛かり部を有する。内側ハウジング部材72dを樹脂射出成型によって形成する場合、鉤部141の引っ掛かり部があるために、前後方向Yに沿って両側に開くことができる簡易な構成の2つの金型を用いて製造できるようにするには工夫が必要となる。
そこで、本実施形態では、内側ハウジング部材72dの側面72cにおいて第1係合部140の基端部に隣接して型抜き孔143を設けている。この型抜き孔143は、図16において内側ハウジング部材72dの奥側に配置される金型の略直方体状の柱部が貫通して鉤部141に接する位置まで延出した状態で射出成型が行われることによって形成される。この構成よれば、簡易な構成を2つの金型を用いて、鉤部141を有する第1係合部140を含む内側ハウジング部材72dを製造することができる。
図17は、開閉ニット70の内側ハウジング部材72eに形成された型抜き孔143が開閉ユニット70内に配置された仕切り部材の一部分よって塞がれている状態を示す斜視図である。図18は、図17において内側ハウジング部材72eを取り外した状態の開閉ユニット70の斜視図である。
図17および図18に示すように、開閉ユニット72において内側ハウジング部材72dの側面72c形成された型抜き孔143は、開閉ユニット70内に配置された部品153の一部分154によって塞がれている。この部品153は、開閉ユニット70内に固定した状態で従来から用いられているものであり、その一部分154は本実施形態のコンセント10において内側ハウジング部材72dの型抜き孔143を塞ぐために仕切り部材153に一体に形成されたものである。この構成によれば、開閉ユニット70のハウジング72に形成された型抜き孔143を特別な部材を用いることなく塞ぐことができ、コスト増加を回避できるとともに、型抜き孔143から開閉ユニット70内に塵や埃などが浸入するのを防止できる。
上述したように本実施形態のコンセント10では、電力供給路の開閉を行う開閉ユニット70と、開閉ユニット70と連携して動作するコンセント部40と、開閉ユニット70とコンセント部40とを電気的に接続するL相導線54aおよびN相導線54bと、開閉ユニット70及びコンセント部40を連携して動作させるための回路基板120とを備える。開閉ユニット70又はコンセント部40は、L相導線54aおよびN相導線54bの間に配置されて両者を離間させる電線隔離部150を有する。
この構成によれば、L相導線54aとN相導線54bの間に絶縁距離が確保され、コンセント10の絶縁性能を向上させることができる。
本実施形態のコンセント10において、電線隔離部は、一方のL相導線54aを収容する隙間Sを空けて対向する一対の壁部150,142と、一方のL相導線54aを隙間Sに収容した状態に保持する保持部140とを含む。この構成によれば、L相導線54aとN相導線54bとを離間した状態を確実に維持することができ、コンセント10の絶縁性能をより安定的に向上させることができる
また、本実施形態のコンセント10において、開閉ユニット70は軸部72a,72bを有し、コンセント部40は軸部72a,72bを回動自在に支持する軸受部49cを有している。開閉ユニット70は第1係合部140を有し、コンセント部40は第2係合部55を有している。軸受部49cで支持された軸部72a,72bを中心にコンセント部40を回動させて互いに近接させたとき、第1係合部140および第2係合部55が互いに係合して開閉ユニット70とコンセント部40とが連設状態に保持されるように構成される。そして、第1係合部140が上記保持部を兼ねており、第2係合部55が隙間Sを形成する一方の壁部152を兼ねている。この構成によれば、開閉ユニット70とコンセント部40とを一体に連設された状態に保持するための構成を、L相導線54aとN相導線54bとを離間させて絶縁性能を向上させるために兼用することができる。したがって、コスト増加を抑制しながらコンセント10の絶縁性能の向上を図れる。
また、本実施形態のコンセント10において、第1係合部140は開閉ユニット70のハウジング72から突出して一体に形成され、ハウジング72には第1係合部140の基端部に型抜き孔143が形成されている。そして、型抜き孔143は開閉ユニット70内に配置された部品153の一部分154によって塞がれている。この構成によれば、簡易な構成の金型を用いてハウジング72を製造できるので、コスト増加を回避できるとともに、型抜き孔143から開閉ユニット70内に塵や埃などが浸入するのを防止できる。
また、本実施形態のコンセント10は、商用電源から供給された電力を負荷に供給するためのコンセント部40と、コンセント部40への電力供給路の開閉を行う開閉ユニット70と、コンセント部40と開閉ユニット70とを電気的に接続するL相導線54aおよびN相導線54bと、コンセント部40について検知された温度(物理量)に基づいて開閉ユニット70の閉路動作を指示する制御部122が実装された回路基板120と、を備える。そして、コンセント部40は、L相導線54aとN相導線54bの間に配置されて両者を離間させる電線隔離部150を有する。この構成によれば、L相導線54aとN相導線54bの間に絶縁距離が確保され、コンセント10の絶縁性能を向上させることができる。
なお、本開示に係るスイッチ装置およびスイッチ付きコンセントは、上述した実施形態およびその変形例に限定れるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
上記では、第1ユニットが開閉ユニット40で第2ユニットがコンセント部40であるスイッチ付きコンセント10について説明したが、これに限定されるものではない。第1ユニットがブレーカで第2ユニットが漏電検知ユニットである漏電ブレーカ装置が本開示のスイッチ装置であってもよい。