JP2020053010A - 防火設備制御システム及び防火信号伝達方法 - Google Patents

防火設備制御システム及び防火信号伝達方法 Download PDF

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Abstract

【課題】断路器によって切り離された区画の防火設備を、中継器を用いることなく作動させるようにする。【解決手段】煙感知器13,23,33、中継器41,42,43、受信機70、防火区画を形成する防火設備(防火シャッター11,21,31及び防火戸12,22,32)などを備えた建物において、中継器と受信機との間に断路器51,52,53を設け、火災発生時にショートした煙感知器の接続されている中継器を受信機から電気的に切り離すように構成する。それぞれの防火設備に煙感知器よりも感度が低くなるように構成された予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rを設け、その検出結果に応じて防火設備を作動させる。【選択図】 図1

Description

本発明は、ビル、工場、倉庫などの建物の出入口や大きな部屋、通路、ホール空間又は地下街、立体駐車施設などの構造物などの開口部を仕切るために防火戸や引き戸、シート状、シャッター状、スクリーン状、スラット状又はパネル状の防火シャッターや耐火クロスなどの防火シャッターなどの遮蔽部材を用い建物内部の通路ホール空間などを自動的に閉鎖する防火設備制御システム及び防火信号伝達方法に係り、特に遮蔽部材の非常時における自動閉鎖動作を確実に実行できるようにした防火設備制御システム及び防火信号伝達方法に関する。
一般に、床面積の大きいビル等の建物内部の通路などには、火災発生時の延焼や煙の拡散を防止するために火災発生と同時に自動的に閉じる防火シャッターや防火戸などの遮蔽部材を用いて、柱、壁、天井、床などと共に3次元的に囲まれた空間、すなわち防火区画を形成するように動作する防火設備(防火シャッター、防火戸などの防火区画形成装置)を用いた防火設備制御システムが備え付けられている。
従来の防火設備制御システムにおいては、随時閉鎖式の防火戸や防火シャッターを建物の防火区画に使用する場合、通常時は温度ヒューズを用いて防火戸や防火シャッターを開放状態に保持しておき、火災時には火災による熱で温度ヒューズが溶解することで、防火戸や防火シャッターが温度ヒューズから開放されることで保持が解除され、それによって防火戸が自動閉鎖したり、シャッターカーテンなどの防火シャッターが自重降下していた。
しかし、竪穴区画や異種用途区画に、温度ヒューズ装置の付いた防火戸や防火シャッターを用いると、温度ヒューズが作動する前に、火災により発生した煙が階段室や吹き抜け、エレベータ昇降路、エスカレータ部分に拡散することで、避難中の人が有害な煙を吸い込み、避難に支障のあるおそれがあるため、現在は、煙感知器などの感知手段を用いることになっている。
既存の建物に設置された防火戸や防火シャッターは、温度ヒューズを煙感知器などに取り換え、煙感知器、中継器、危害防止用連動中継器(防火シャッターのみ)、及び自動閉鎖装置を設置し、これらの機器を建物内で信号伝達用の電線でそれぞれ接続して制御している。
特許文献1には、1基の中継器で同時に多くの防火設備(複数の防火シャッター)を作動させるように構成したものが記載されている。
特開2007−244607号公報
特許文献1に記載されたものは、中継器に電線を介して接続された複数の防火シャッターを同時に制御するように構成されている。
大規模倉庫などのように床面積の大きな場所に防火シャッターを設置する場合、各区画に火災発生時に対応した異常事態を感知する感知手段として煙の発生を感知する煙感知器を複数設置すると共に中継器も各区画にそれぞれ設け、感知手段から中継器を介して中央の受信機に信号を送信することによって、全ての防火シャッターの作動を制御していた。
ところが、火災等の発生によって感知手段である煙感知器がショートしてしまうと、これによって全ての防火シャッターが作動しなくなるという可能性がある。そこで、中継器と受信機との間に断路器を設け、感知手段がショートした場合、断路器を用いてショートした感知手段の接続されている中継器だけを中央の受信機から切り離すことにした。これによって、断路器が作動した区画以外に設置された防火シャッターは受信機によって作動させることが可能となる。
一方、断路器によって切り離された中継器によって作動制御されていた区画の防火シャッターは、その後自動閉鎖しなくなるため、その区画においては防火シャッターによる延焼を有効に防止することが困難となる。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、断路器によって切り離された区画の防火設備を、中継器を用いることなく作動させることができる防火設備制御システム及び防火信号伝達方法を提供することにある。
本発明に係る防火設備制御システムの第1の特徴は、建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する防火区画形成手段と、前記複数の防火区画内に設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段と、前記防火区画形成手段に設けられた、前記感知手段よりも感度が低くなるように構成された予備感知手段と、前記予備感知手段の状態を検出し、その検出結果に応じて前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力する感知状態検出手段とを備えたことにある。
感知手段は、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力するものであり、熱感知器、煙感知器、炎感知器などが対応し、建物内に複数配置される。また、熱感知器として、熱電対式及び/又は空気管式の差動式分布型感知器を建物内に広範囲に配置してもよい。防火区画形成手段は、建物内に設けられ、火災発生時などに閉鎖指示信号の入力に応じて建物内に所定の防火区画を形成するものであり、防火シャッター装置、防火カーテン装置、防火戸などの遮蔽部材が対応し、これ以外にも防火のための遮蔽部材が降下方式や回転方式、横引き方式、折り畳み方式、水平方式、上昇方式などで繰り出されたりするものが対応する。防火戸の場合は、建物開口部の周縁部横側に設けられた収納部に収納されており、火災発生時に、この周縁部横側に収納された状態から回転移動して周縁部の例えば上(天井)側又は下(床)側に設けられた戸当たり部に当接することによって停止して、建物開口部の一部を仕切るものである。また、この防火戸によって仕切られなかった開口部の残りの部分を仕切る(閉鎖する)防火シャッター装置が防火戸に併設されている場合もある。通常、防火戸は戸袋などの収納部内に係合部材によって拘束されており、火災発生時等の非常時には、危害防止用連動中継器からの起動信号を入力した防火戸用自動閉鎖装置によってその係合部材の拘束が解除され、閉鎖動作を開始するように構成されている。これらの防火区画形成手段は、建物内に設けられている。
中継手段には、防火区画内に設けられている感知手段が接続されると共に受信機が接続されている。中継手段は、感知手段からの感知信号を入力し、受信機に送信すると共にその感知信号の入力に応じて、防火区画形成手段に閉鎖指示信号を出力する。感知手段が火災発生時にショートした場合、中継手段と受信機との間に設けられている断路手段が両者を電気的に切り離すようになっている。この発明では、防火区画に設けられている感知手段よりも感度が低くなるように、すなわち一般的な火災時に感知手段よりも後に火災を感知するように構成された予備感知手段と、この予備感知手段の状態を検出し、その検出結果に応じて閉鎖指示信号を防火区画形成手段に出力する感知状態検出手段を防火区画形成手段に設け、予備感知手段の検出結果に応じて防火区画形成手段が自動閉鎖を開始するようにしたものである。防火区画に設けられている感知手段が火災発生に対応した異常事態を真っ先に感知し、それに基づいて中継手段を介して防火区画形成手段が自動閉鎖を開始する場合には、この予備感知手段は機能しないことになる。しかしながら、中継手段が断路手段によって受信機から電気的に切り離された場合は、防火区画に設けられている感知手段は最早感知器として機能しないので、防火区画形成手段は自動閉鎖を実行しなくなる。この発明では、予備感知手段の状態として、感知状態検出手段が予備感知手段の感知信号を検出した場合又は予備感知手段の配線が断線したことを検出した場合には、その検出結果に応じて防火区画形成手段が個々に自動閉鎖を開始するように構成してある。これによって、中継手段が断路手段によって受信機から電気的に切り離された場合でも、その切り離された中継手段に接続されている防火区画形成手段は、予備感知手段及び感知状態検出手段の動作によって個々に自動閉鎖し、火災の延焼を最小限に留めることができるという効果を奏する。
本発明に係る防火設備制御システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の防火設備制御システムにおいて、前記予備感知手段が、前記防火区画形成手段の正面側と背面側の少なくとも2箇所に設けられていることにある。防火区画形成手段(防火シャッター及び防火戸などの防火区画形成装置)は、建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって、建物内に複数の防火区画を形成しているので、この防火区画形成手段の正面側及び背面側の2箇所に予備感知手段を設けることによって、正面側及び背面側のどちらの防火区画から延焼が近づいても、それに対応することが可能となる。なお、予備感知手段は、防火区画の天井部分や防火区画形成手段を境に防火区画の内外の最適な場所に設置すればよい。また、予備感知手段は2箇所に限定されるものではなく、防火区画形成手段の内部やその近傍であれば1箇所であってもよいし、防火区画形成手段の内側及び外側の3箇所以上に予備感知手段を設けるようにしてもよい。
本発明に係る防火設備制御システムの第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の防火設備制御システムにおいて、前記感知状態検出手段は、前記予備感知手段の感知信号を検出した場合又は前記予備感知手段の配線が断線したことを検出した場合に、前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力することにある。
これは、感知状態検出手段が、予備感知手段からの感知信号を検出した場合又は予備感知手段の配線が断線している場合を、予備感知手段の状態の変化として検出した時点で閉鎖指示信号を防火区画形成手段に出力するようにしたものである。予備感知手段の感知信号を検出した場合だけでなく、火災による熱などで予備感知手段の配線が断線する可能性があるので、このような場合にも速やかに防火区画形成手段を作動させることによって、火災の延焼を最小限に留めることができるという効果を奏する。
本発明に係る防火設備制御システムの第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の防火設備制御システムにおいて、前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として炎を感知する炎感知手段を用いることにある。
これは、感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、予備感知手段として炎を感知する炎感知手段を用いるようにしたものである。火災が発生すると、その煙は建物内を拡散するのが非常に早く、煙→炎→熱の順で建物内を拡散する。従って、火災発生に対応した異常事態を感知する感知手段を煙感知手段で構成することによって早期に異常自体を感知でき、速やかな避難を促すことができる。また、炎の拡散は煙の拡散に比べて比較的遅いので、予備感知手段に炎感知手段を用いることによって、炎感知手段を煙感知感度の低い感知器として、あるいは煙感知器が感知しにくい火災の場合のバックアップ用の感知器として使用することができる。
本発明に係る防火設備制御システムの第5の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の防火設備制御システムにおいて、前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として熱電対式差動式分布型感知手段及び/又は空気管式差動式分布型感知手段を用いることにある。
これは、予備感知手段として、熱電対式差動式分布型感知器や空気管式差動式分布型感知器を建物内の所定の区画に広範囲に配置するようにしたものである。差動式分布型感知器は、感知部の周囲の温度の上昇率が一定の割合以上となったときに感知信号を発信するもので、広範囲の熱効果により作動するものである。空気管式差動式分布型感知器は、空気管状の感知部内の空気が膨張し、この空気により検出部のダイアフラムが押し上げられ機械的に接点を閉じることを利用して火災信号を発信する。熱電対式差動式分布型感知器は、熱電対状の感知部の熱起電力による電気信号を検出部に流し、検出部の電気回路が閉じることを利用して感知信号を発信する。このような差動式分布型感知器を広範囲に配置して利用することによって、煙感知器が感知しにくい火災の場合のバックアップ用の感知器として使用することができる。
本発明に係る防火設備制御システムの第6の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の防火設備制御システムにおいて、前記感知手段及び前記予備感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段の感知信号の出力時間を所定時間だけ遅延させることにある。
これは、火災発生に対応した異常事態を感知する感知手段及び予備感知手段として、煙を感知する煙感知手段を使用した場合、予備感知手段から出力される感知信号の出力時間を所定時間だけ遅延させるようにしたものである。予備感知手段から出力される感知信号を所定時間(例えば1分程度)だけ遅延させることによって、同じ感度(性能)の煙感知手段であっても、その感度があたかも低くなったのと同様の効果を得ることができるので、感知手段と同じものを予備感知手段として使用することができる。
本発明に係る防火信号伝達方法の第1の特徴は、建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する防火区画形成手段と、前記複数の防火区画内に設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段とを備えた防火設備制御システムの防火信号伝達方法において、前記防火区画形成手段に設けられた、前記感知手段よりも感度が低くなるように構成された予備感知手段と、前記予備感知手段の状態を検出し、その検出結果に応じて前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力する感知状態検出手段とを設け、前記中継手段が前記受信機から電気的に切り離された場合でも、切り離された前記中継手段に接続されている前記防火区画形成手段に対して前記予備感知手段の検出結果に応じて前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力するようにしたことにある。
これは、前記防火設備制御システムの第1の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
本発明に係る防火信号伝達方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の防火信号伝達方法において、前記予備感知手段が、前記防火区画形成手段の正面側と背面側の少なくとも2箇所に設けられていることにある。
これは、前記防火設備制御システムの第2の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
本発明に係る防火信号伝達方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の防火信号伝達方法において、前記感知状態検出手段が、前記予備感知手段の感知信号を検出した場合又は前記予備感知手段の配線が断線したことを検出した場合、前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力することにある。
これは、前記防火設備制御システムの第3の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
本発明に係る防火信号伝達方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の防火信号伝達方法において、前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として炎を感知する炎感知手段を用いることにある。
これは、前記防火設備制御システムの第4の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
本発明に係る防火信号伝達方法の第5の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の防火信号伝達方法において、前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として熱電対式差動式分布型感知手段及び/又は空気管式差動式分布型感知手段を用いることにある。
これは、前記防火設備制御システムの第5の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
本発明に係る防火信号伝達方法の第6の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の防火信号伝達方法において、前記感知手段及び前記予備感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段の感知信号の出力時間を所定時間だけ遅延させることにある。
これは、前記防火設備制御システムの第6の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
本発明の防火設備制御システム及び防火信号伝達方法によれば、断路器によって切り離された区画の防火設備(防火シャッター、防火戸などの防火区画形成装置)を、中継器を用いることなく作動させることができるという効果がある。
本発明の防火設備制御システムの設置された3階建て建造物の概略構成を示す図である。 本発明に係る防火設備制御システムを構成する防火シャッター装置及び防火戸の概略構成を示す図である。 図1及び図2の危害防止用連動中継器と感知器入力・断線判定回路と予備感知器の詳細を示す図である。 図2に示した防火シャッター装置及び防火戸によって防火設備制御システムが建築空間上でどのように配置されるのか、その一例を示す図である。 防火シャッター装置及び防火戸の自動閉鎖処理の一例を示すフローチャート図である。
以下添付図面に従って本発明に係る防火設備制御システムの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体手段として上下に開閉制御されるシャッター装置群を例に説明する。図1は、本発明の防火設備制御システムの設置された3階建て建造物の概略構成を示す図である。図2は、本発明に係る防火設備制御システムを構成する防火シャッター装置及び防火戸の概略構成を示す図である。本発明に係る防火設備制御システムでは、各階に図2に示すような防火シャッター装置及び防火戸が複数個所に設けられている。なお、防火シャッター装置又は防火戸のみが単独で複数設けられている場合もある。
図1に示す防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32は同じ構成なので、図2では1階に設けられている防火シャッター装置11及び防火戸12の構成について説明する。また、図1では、各階に設けられる防火シャッター装置11,21,31、防火戸12,22,32及び煙感知器13,23,33を一つだけ示しているが、実際には各階に複数の防火シャッター装置、防火戸及び煙感知器が設けられている。
防火シャッター装置11は、基本的に開閉機110、ブレーキ111、自動閉鎖装置112、シャッターカーテン114、ガイドレール115,116、危害防止用連動中継器118、電気式手動閉鎖装置119、座板スイッチ11a、感知器入力・断線判定回路11d、予備感知器11f,11rなどから構成される。この防火シャッター装置11は、通常は開閉機110がシャッターカーテン114を巻取り軸(図示せず)に巻き取るなどして開口部の周縁部の上部に設けられた収納部に収納した開放状態にある。なお、別例のものとして、シャッターカーテン114を巻き取らずに閉鎖状態としておき、火災発生時などにシャッターカーテン114を収納部に収納して開放状態とするものもある。防火シャッター装置11の開放状態はブレーキ111で機械的に保持されることによって維持されている。
自動閉鎖装置112は、火災発生時には、中継器41及び危害防止用連動中継器118を介して入力される防火信号BS、電気式手動閉鎖装置119(非常時のシャッター閉鎖ボタンを含む)から危害防止用連動中継器118を介して入力される閉鎖指示信号、又は感知器入力・断線判定回路11dと危害防止用連動中継器118を介して予備感知器11f,11rから入力される感知信号に応じて、それぞれブレーキ111による開放状態の保持を解除し、シャッターカーテン114を自重で降下させて収納部から繰り出させることによって、開口部を閉鎖し又は仕切って、所定の防火区画を形成するようになっている。なお、防火信号BSは、各階に設けられた、火災発生時に対応した異常事態として煙を感知する煙感知器13から出力され、それが中継器41及び危害防止用連動中継器118を介して閉鎖指示信号として自動閉鎖装置112に入力される。予備感知器11f,11rから出力される感知信号は、感知器入力・断線判定回路11dを介して危害防止用連動中継器118に入力される。
煙感知器13,23,33、防火シャッター装置11,21,31、防火戸12,22,32、中継器41,42,43及び断路器51,52,53などは建物の内部構造や設置環境などによって複数箇所にそれぞれ設けられていてもよい。また、各階に複数の煙感知器などを設け、複数の煙感知器が中継器にそれぞれ接続されるように構成しても良い。この場合、中継器は、複数の内一つ以上の煙感知器などが感知した場合に複数の防火信号BSの感知に応じた数の防火信号を出力してもよい。これによってどの煙感知器が感知したのか時間と場所を把握することが可能となる。また、中継器は、複数の内一つ以上の煙感知器などが感知した場合に単一の防火信号BSを出力しても良い。
中継器41,42,43は、各区画の煙感知器13,23,33に接続されると共に断路器51,52,53を介して防災センターの受信機70に接続される。中継器41,42,43は、煙感知器13,23,33からの防火信号BSを入力又は受信した場合、この防火信号BSに基づいて防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32の閉鎖指示信号を危害防止用連動中継器118,218,318に送信する。また、中継器41,42,43は、受信機70からの防火信号BSを入力又は受信した場合も同様に、この防火信号BSに基づいて防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32の閉鎖指示信号を危害防止用連動中継器118,218,318に送信する。
断路器51,52,53は、煙感知器13,23,33のいずれかがショートした場合に、中継器41,42,43と受信機70との間の回線を切り離し、そのショートの影響が外の区画(中継器)に及ぶのを防止するものである。断路器51,52,53には、配線用遮断器(ブレーカー)が用いられ、煙感知器13,23,33のいずれかがショートし、中継器41,42,43に異常な過電流が流れたときに、中継器41,42,43と受信機70との間の電路を開放し、受信機70側へそのショートによる影響が外の区画に及ぶのを回避している。
開閉機110は、シャッターカーテン114を電動で開放、閉鎖するための駆動モータである。危害防止用連動中継器118は、中継器41を介して煙感知器13からの防火信号BS(閉鎖指示信号)及び受信機70からの防火信号BSを入力した場合、並びに予備感知器11f,11rからの感知信号(閉鎖指示信号)を感知器入力・断線判定回路11dを介して入力した場合に、自動閉鎖装置112に有電圧信号である直流24V信号を出力するものである。危害防止用連動中継器118は、通常は、商用電源を使用して直流24V信号を出力するが、停電時などには危害防止用連動中継器118に内蔵されている予備電源(蓄電池などのバッテリー)からの電力によって直流24V信号を出力する。
自動閉鎖装置112は、従来の防火シャッター等に用いられる既知の自動閉鎖装置のように危害防止用連動中継器118を介して供給される商用電源又は危害防止用連動中継器118に内蔵されている予備電源(蓄電池)からの電力(直流24V信号)によって動作する。また、自動閉鎖装置112は、シャッター用予備電源を内蔵する危害防止用連動中継器118から供給される24V信号の電力を用いて動作することによって、火災発生時に防火シャッター装置11に対する商用電源の供給がなくとも、煙感知器13又は受信機70から中継器41を介して入力される防火信号BS(閉鎖指示信号)、又は予備感知器11f,11rからの感知信号(閉鎖指示信号)に応じて、ブレーキ111を解放し、巻取り状態にある防火構造のシャッターカーテン114を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖するようになっている。また、防火シャッター装置11及び防火戸12には、避難等のために通過可能な扉やスリットが設けられている場合がある。この実施の形態では、防火戸12には、潜り戸121が設けられている。
この防火シャッター装置11には、開閉中に障害物への接触を検出する障害物感知装置が設けられている。障害物感知装置は、シャッターカーテン114の下端の座板上に設けられた座板スイッチ11aと、シャッターカーテン114の収納ボックス内に設けられた有線式障害物感知装置11bと、これらの間を電気的に接続する信号線11cとによって構成される。
座板スイッチ11aは、シャッターカーテン114の座板に取り付けてあり、この座板が人や物などの障害物に接触することによって接点の閉じるマイクロスイッチを内蔵しており、この接点が閉じた場合にそれを感知信号として有線式障害物感知装置11bに信号線11cを介して有線方式で送信する。信号線11cは、座板スイッチ11aの感知信号を有線式障害物感知装置11bに伝送するケーブルである。このケーブルは、コードリールや移動式プーリー等によって収納したりガイドしたりすることによって、シャッターカーテン114の開閉を阻害する撓みを避けられるようにしている。
有線式障害物感知装置11bは、通常時は商用電源によって動作し、座板スイッチ11aからの感知信号の入力に応じて開閉機110の動作を制御し、さらに少なくとも火災発生時など非常時には、座板スイッチ11aからの障害物感知信号を自動閉鎖装置112へスルー出力するものである。
自動閉鎖装置112は、この有線式障害物感知装置11bからの障害物感知信号の入力に応じてシャッターカーテン114の閉動作を停止してその回避動作を行う。従って、火災発生時にシャッターカーテン114が自重下降している際に座板などが障害物に接触し、座板スイッチ11aから感知信号が検出された場合に、シャッターカーテン114の自重下降を停止してその回避動作を行う。すなわち、有線式障害物感知装置11bは、通常時、シャッターカーテン114が下降中に障害物感知信号を入力した場合、シャッターカーテン114の下降動作を停止し、一定時間だけ上昇させるという制御を行う。
一方、有線式障害物感知装置11bは、火災発生時などのように自動閉鎖装置112が起動して、シャッターカーテン114が下降中に、障害物感知信号を入力した場合には、その障害物感知信号を自動閉鎖装置112にスルー出力し、自動閉鎖装置112の動作を停止させ、開閉機110のブレーキ111の解放状態を戻して、一旦、シャッターカーテン114を停止させるという制御を行う。なお、有線式障害物感知装置11bは図2に示すように独立した装置でもよいし、危害防止用連動中継器118やその他の装置に内蔵されていてもよい。
図1及び図2に示すようなシャッターカーテン114に併設して防火戸12を備える防火シャッター装置11の一般的な構成では、シャッターカーテン114の両サイドに、開口部側端部に設けられるガイドレール115と、シャッターカーテン114と防火戸12との間の開口部に設けられる中柱と呼ばれるガイドレールが存在する。この実施の形態では、シャッターカーテン114の片側(図の左側)にガイドレール115が設けられているが、中柱は存在せず、防火戸12の側端部の一部に凹状の溝部を設け、それをガイドレール116として利用している。従って、この実施の形態に係る開閉体装置の場合、防火戸12が回転可動して空間を閉鎖した状態(仕切った状態)になって、シャッターカーテン114の両サイドにガイドレール115,116が存在することになる。
この実施の形態では、遮蔽戸手段として設けられた袖扉である防火戸12の閉鎖動作に連動してシャッターカーテン114を閉鎖動作させるために、防火戸12が確実に閉鎖したことを検知する閉鎖確認用スイッチ24が戸当り部又は開口部のまぐさ上部に設置してあり、防火戸12が先に閉鎖して閉鎖確認用スイッチ24から防火戸閉鎖完了信号が出力されることによってシャッターカーテン114が閉鎖動作を開始するような構成になっている。
閉鎖確認用スイッチ24から出力される防火戸閉鎖完了信号は、ガイドレール116の近傍を通って、シャッターカーテン114と干渉しない位置を通過して危害防止用連動中継器118に出力される。防火戸閉鎖完了信号を入力した危害防止用連動中継器118は、自動閉鎖装置112を動作させて、ブレーキ111を解放し、巻取り状態にある防火構造のシャッターカーテン114を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖する。なお、防火戸12は、常時開放式のものであり、通常は開口部側面の柱や躯体壁面などに設けられた戸袋等に収納されている。この常時開放式の防火戸12には、閉鎖した防火戸12に別途設けられた潜り戸121によって避難通路が確保されるようになっている。
防火戸用自動閉鎖装置122は、防火戸12の戸袋123を構成する躯体壁面内に埋め込まれた形状で設けられている。防火戸12は、平常時には防火戸用自動閉鎖装置122によって開放状態となるように拘束保持されている。そして、防火戸用自動閉鎖装置122によってその拘束保持を解かれると、防火戸12は自重(所謂グラビティーヒンジ使用など)やばね力(クローザー使用など)などの付勢力によって閉鎖するように構成されている。
防火戸用自動閉鎖装置122は、危害防止用連動中継器118に設けられた外部機器電源供給端子(24[V]出力端子)に電気的に接続されており、危害防止用連動中継器118が防火信号BSや電気式手動閉鎖装置119の操作に基づいた起動信号の入力に応じて外部機器電源供給端子から24[V]の電圧を防火戸用自動閉鎖装置122へ有電圧信号として出力する。防火戸用自動閉鎖装置122は、この有電圧信号を用いて防火戸12の拘束を解き、防火戸12を閉鎖させる。
危害防止用連動中継器118から防火戸用自動閉鎖装置122へ出力される有電圧信号は、シャッターカーテン114及び閉鎖確認用スイッチ24と干渉しない位置、すなわち当接や接触等を回避できる位置であって防火戸12の戸袋123の上枠及び防火戸12の戸袋123を構成する躯体壁面内を通過して防火戸用自動閉鎖装置122に導入されるようになっている。なお、図2では、防火戸用自動閉鎖装置122及び危害防止用連動中継器118までの配線であって躯体壁面内に埋設された部分については点線で図示してある。
電気式手動閉鎖装置119は、主にシャッター電動開閉駆動用の開閉機110を操作し、危害防止用連動中継器118に防火信号BSが入力したときと同様の動作をさせるための起動信号を手動で発生させるものである。電気式手動閉鎖装置119には、開閉機110へのシャッター開放、閉鎖、停止の指示に対応した管理併用操作入力スイッチPBS(押しボタンスイッチ)と、非常用シャッター閉鎖ボタンである動作ボタン、復旧ボタン及び電池試験ボタンなどが設けられ、さらに電池試験結果、予備電源の状態、コード断線状態などを表示したりする種々の表示手段が設けられている。なお、入力スイッチPBSは通常時の管理用に使用されるものなので、必ずしも開閉体装置の近傍に設けられている必要は無く、リモコンとして管理者が持っていてもよいし、遠隔操作可能な構成としてもよい。
図2では防火戸12の上側に電気式手動閉鎖装置119が図示してあるが、実際は防火戸12近くの躯体側などやガイドレール115の人が操作可能な位置に設置されている。電気式手動閉鎖装置119は、樹脂製の透明パネル(押し破りキャップ)に覆われ、非常時にこの樹脂製の透明パネルを押し込むことによって、操作可能に構成された非常用シャッター閉鎖ボタン(動作ボタン)を備えている場合が多い。
この実施の形態に係る防火設備制御システムにおいては、煙感知器13,23,33がアナログ式感知器で構成されているので、煙感知器13,23,33に係る電線等がショートすると、その影響が広範囲におよんで多数の防火シャッター装置11,21,31が正常に動作しなくなる可能性がある。そこで、この実施の形態では、中継器41,42,43と受信機70との間に断路器51,52,53を設け、煙感知器13,23,33のいずれかがショートした場合に、そのショートした煙感知器13,23,33の接続された中継器41,42,43を受信機70から切り離し、ショートによる影響が外の区画に及ばないように構成している。例えば、火災発生時に3階に設置してある煙感知器33が火災熱によってショートした場合、断路器53が中継器43と受信機70の間の回線を切り離すので、煙感知器33のショートによる影響は外の1階及び2階の中継器41,42に及ぶことはなく、1階及び2階の防火シャッター装置11,21及び防火戸12,22は正常な動作を維持することが可能となる。
一方、断路器51,52,53が作動することによって、受信機70から切り離された区画に設置してある防火シャッター装置及び防火戸に関しては、自動閉鎖機能が作動することが困難な状況となる。そこで、この実施の形態では、煙感知器13,23,33よりも感度の低い予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rを、防火シャッター装置及び防火戸の前後2箇所に設け、予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rからの感知信号を感知器入力・断線判定回路11d,21d,31dを介して危害防止用連動中継器118,218,318に出力している。図2において、図示のように向かって防火戸12が右側に位置する側を正面(フロント)側とし、その反対側を背面(リア)側とする。予備感知器11fは、防火シャッター装置11及び防火戸12の正面側の天井部分に,予備感知器11rはその背面側の天井部分にそれぞれ設けられる。なお、予備感知器11f,11rの設置箇所は、天井部分に限らず、防火シャッター装置11及び防火戸12を境に防火区画の内外の最適な場所に設置してもよい。予備感知器11f,11rは2箇所に限らず、1箇所のみ又は3箇所以上設けてもよい。
この場合、煙感知器13,23,33としてアナログ式感知器を使用している場合は、感度の低い3種の煙予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rを使用することが望ましい。なお、3種よりも感度の低い煙感知器を用意することができない場合には、感知器入力・断線判定回路11d,21d,31d側又は危害防止用連動中継器118,218,318側で予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rからの感知信号を所定時間(例えば1分程度)だけ遅延させるようにすればよい。これによって、予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rの感度があたかも低くなったのと同様の効果を得ることができる。
火災が発生すると、煙→炎→熱の順で発生するので、この実施の形態のように、防火区画に設置されているものが煙感知器13,23,33の場合は、予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rに炎感知器を使用してもよい。感度の低い感知器を使用するということは、防火区画に設置されている感知器が熱感知器や炎感知器の場合も同様であり、設置されている感知器よりも感度の低い感知器を予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rとして使用することが望ましい。同じ感度の感知器を用いる場合には、上述のように感知信号を所定時間遅延させて使用することによって感度の調節が可能となる。また、感度の低い予備感知器として、火災時の熱で溶解する温度ヒューズを使用してもよい。
上述のように、個々の防火シャッター装置11,21,31及び/又は防火戸12,22,32に、煙感知器13,23,33よりも感度の低い予備感知器11f,11r,21f,21r,31f,31rを設けることで、煙感知器13,23,33が断路器51,52,53によって受信機70から切り離された区画に設置してある防火シャッター装置及び/又は防火戸自身で自動閉鎖機能を作動させることが可能となる。
図3は、図1及び図2の危害防止用連動中継器と感知器入力・断線判定回路と予備感知器の詳細を示す図である。危害防止用連動中継器118は、感知器入力・断線判定回路11dに電源(DC24[V])を供給する。感知器入力・断線判定回路11dには、予備感知器11f,11rとして自動火災報知設備の煙感知器13より後に火災を感知する熱感知器等が接続される。予備感知器11fは、防火設備の正面側(表側)に、予備感知器11rは、防火設備の背面側(裏側)の2箇所に設置される。
予備感知器11f,11rには出力接点と並列に10[kΩ]の抵抗器が接続される。この10[kΩ]の抵抗器は予備感知器11f,11rの直近に接続される。なお、10[kΩ]の抵抗器は予備感知器11f,11rと一体化してあってもよい。この10[kΩ]の抵抗器は、自火報工事で使用される断線監視用の抵抗器(チューブ入り)と同等のものを使用する。なお、シャッター設置工事時に用意しやすいものとして、10[kΩ]の抵抗器に代えて51[kΩ」の抵抗器を接続してもよい。感知器入力・断線判定回路11d側には電流制限目的で例えば540[Ω」程度の抵抗器が直列に接続されている。これらの抵抗器によって、感知器入力・断線判定回路11dは、火災受信機と同等回路のものとなる。
予備感知器11f,11rの感知信号を検出した場合若しくは予備感知器11f,11rの配線が断線したことを検出した場合には、感知器入力・断線判定回路11dは、危害防止用連動中継器118の起動入力端子に対して起動出力を出力する。すなわち、予備感知器11f,11rは、起動出力用の接点を導通させる。この起動出力が危害防止用連動中継器118に出力されると、危害防止用連動中継器118は起動状態となり、シャッターを自動閉鎖(自動閉鎖装置を作動)させる。
なお、火災受信機では誤報対策として、蓄積機能を搭載している。蓄積機能とは、感知器ONのスタート時点から約7.5秒経過後に約1秒の間、感知器をOFF状態として、感知器を一度復旧させている。そして、感知器をON状態が開始してから60秒以内に再度感知器がONになった場合を火災としている。この60秒以内に感知器がON状態にならない場合は、復旧後の監視状態へと移行させている。この実施の形態においても同様の処理を感知器入力・断線判定回路11d及び/又は危害防止用連動中継器118が実行するようにしてもよい。予備感知器11f,11rに、作動した後、確認灯が保持点灯するタイプを使用する場合は、復旧ボタン(感知器への電源供給をOFFにする)が必要であり、保持点灯しないタイプの場合は不要である。
図4は、図2に示した防火シャッター装置及び防火戸によって防火設備制御システムが建築空間上でどのように配置されるのか、その一例を示す図である。図4は、図1の2階部分の外壁55〜58に囲まれた正方形状の建築空間を示す。図4の防火設備制御システムでは、この建築空間の中間部分を4つの防火区画91〜94として管理している。すなわち、柱61と柱62、柱62と柱63、柱63と柱64、柱64と柱65、柱63と柱73、柱73と柱77、柱63と柱83、柱83と柱87のそれぞれの柱間に、図2に示すような防火シャッター装置21及び防火戸22がそれぞれ設けられている。この柱間に設けられた防火シャッター装置21及び防火戸22によって、4つの防火区画91〜94が形成されている。なお、図4では、図1で示した中継器42,断路器52、予備感知器21f,21r等の図示を省略してある。
各柱61〜65,73,77,83,87には、防火シャッター装置21のシャッターカーテン114のガイドレール115と防火戸22の枠がそれぞれ設置される。この4つの防火区画91〜94はそれぞれ階段を含む区画(階段区画)を含んでいる。また、防火区画91〜94内の柱75,85,71,81には、煙感知器231〜234が設置されている。煙感知器231〜234は、図示していない中継器42に接続されている。
なお、図4には示していないが、四隅の階段区画にも同様の煙感知器がそれぞれ設けられている。階段区画に設置されている防火戸が常時閉鎖式の場合は、その防火区画から外側に、つまり避難方向に防火戸が開き、ドアチェック等により自動的に閉鎖するようになっている。一方、常時開放式の防火戸の場合には、通常時は柱などの側面に防火戸は収納されており、煙感知器231〜234から中継器42を介して入力される防火信号BSに連動して自動的に閉鎖するようになっている。階段区画に設置されている防火戸に対しても上述のように通常の感知器よりも比較的感度が低い予備感知器が設けられる。
常時開放式の防火戸の場合には、閉鎖した防火戸に別途設けられた潜り戸121によって避難通路が確保される。この実施の形態に使用される防火戸としては、建物の構造に応じて、常時閉鎖式でも常時開放式でもいずれの防火戸でもよい。また、防火シャッター装置がシート状の場合には、そこに避難通路用の開口(スリット)が設けられている場合もある。なお、階段区画は、防火戸によってそれぞれ別の防火区画を形成している。
図4の実施の形態では、平面的に見て十字状に防火区画を形成する場合について説明したが、左右方向、上下方向またはT字状に防火区画を形成し、これ以外の複雑な形状に防火区画を形成してもよいことは言うまでもない。また、防火区画をシート状又はシャッター状の防火カーテンだけを用いて形成し、その防火カーテンに避難上有効なように防火戸や防火口を複数設けるようにしてもよい。シート状の防火カーテンの場合は、防火戸に代えて、人の通過することのできる防火口を設けるのが一般的だからである。いずれの場合もシャッターあるいは防火戸の非常時における閉鎖は、煙感知器231〜234が作動した場合に中継器42から出力される閉鎖指示信号に応じて閉動作を開始する。
図1では、受信機70は、防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32をそれぞれ1つのグループとした場合を示しているが、図4に示すように各階に防火シャッター装置及び防火戸のグループ、又は単独の防火シャッターや防火戸が設けられている場合には、これらを複数のグループに分けた場合のグループ毎に受信機(連動操作盤)が設けられ、受信機を介してグループ毎に各動作を制御するようにしてもよい。また、グループは防火シャッター装置及び防火戸、又は単独の防火シャッターや防火戸が重複してグループを構成することが好ましい。
例えば、図4において、防火区画91を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱63と柱64、柱64と柱65、柱63と柱73、柱73と柱77の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸で第1のグループを形成し、これに一つの第1の中継器及び断路器が設けられる。また、防火区画92を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱63と柱64、柱64と柱65、柱63と柱83、柱83と柱87の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸が第2のグループを形成し、これに一つの第2の中継器及び断路器が設けられる。同様に、防火区画93を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱61と柱62、柱62と柱63、柱63と柱73、柱73と柱77の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸が第3のグループを形成し、これに一つの第3の中継器及び断路器が設けられる。また、防火区画94を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱61と柱62、柱62と柱63、柱63と柱83、柱83と柱87の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸が第4のグループを形成し、これに一つの第4の中継器及び断路器が設けられる。
さらに、階段区画の出入口に設けられている防火戸であって、竪穴区画に存在する防火戸群で一つのグループを形成し、そのグループに一つの中継器及び断路器を設け、この竪穴区画に存在する防火戸群をその階における前述のような第1から第4のグループにそれぞれ属するものとして登録する。このように、防火シャッター装置及び防火戸が複数のグループに重複して登録されることによって、受信機70から中継器を介して送信される閉鎖指示信号は、少なくとも2系統の通信網を介して防火シャッター装置及び防火戸に送信されるようになるので、火災発生時に何らかの不具合が発生した場合でも、防火信号BSである閉鎖指示信号を伝達することができるようになる。
図5は、防火シャッター装置及び防火戸の自動閉鎖処理の一例を示すフローチャート図である。この実施の形態では、防火シャッター装置11,21,31と防火戸12,22,33とは互いに連動して動作する。以下、防火シャッター装置11と防火戸12の自動閉鎖処理について説明する。
ステップS40では、危害防止用連動中継器118に対して、煙感知器13,23,33からの防火信号BSを受信した中継器41から出力される閉鎖指示信号、または電気式手動閉鎖装置119から起動信号に基づいた閉鎖指示信号が入力される。
ステップS41では、防火信号BS又は起動信号に基づいた閉鎖指示信号の入力に応じて危害防止用連動中継器118が起動する。
ステップS42では、袖扉側の戸袋内にある防火戸用自動閉鎖装置122が危害防止用連動中継器118からの有電圧信号に対応して、防火戸12のフックプレート(図示してない)に係合している防火戸用自動閉鎖装置122の係合金具を開放する。
ステップS43では、前のステップで防火戸用自動閉鎖装置122の係合金具が開放されたことによって、防火戸12が自重(所謂グラビティーヒンジ使用など)やばね力(クローザー使用など)などの付勢力によって閉鎖処理を開始する。
ステップS44では、防火戸12が図示してない戸当たり部に当接することによって、その上枠に設置してある内蔵リミットスイッチすなわち閉鎖確認用スイッチ24から防火戸閉鎖完了信号が入力したか否かの判定を行い、入力した(yes)と判定された場合は次のステップS45に進み、入力していない(no)と判定された場合は防火戸閉鎖完了信号が入力されるまでステップS44の処理を繰り返し実行し、防火戸閉鎖完了信号の入力待機状態を維持する。
ステップS45では、ステップS44で防火戸閉鎖完了信号の入力によって防火戸12の閉鎖完了を確認できたので、危害防止用連動中継器118は防火シャッター装置11のシャッターカーテン114用の自動閉鎖装置112を動作させるための遅延タイマーをスタートさせる。
ステップS46では、危害防止用連動中継器118は、前のステップでスタートした作動遅延タイマーが所定時間(例えば10秒相当時間)だけカウントアップしたか否かの判定を行い、カウントアップした(yes)と判定した場合は次のステップS47に進み、カウントアップしていない(no)と判定された場合はカウントアップするまでこのステップの処理を繰り返し実行する。
ステップS47では、前のステップで作動遅延タイマーがカウントアップしたと判定されたので、危害防止用連動中継器118は、防火シャッター装置11のシャッターカーテン114の自動閉鎖装置112を起動させる。
ステップS48では、自動閉鎖装置112によるシャッターカーテン114の閉鎖処理が実行される。閉鎖処理が終了したら、危害防止用連動中継器118は中継器41を介して閉鎖処理終了信号を受信機70へ送信する。
図5の袖扉である防火戸12とシャッターカーテン4を互いに連動して動作するフローでは、感知器入力・断線判定回路11dから危害防止用連動中継器118の起動入力端子に対して起動信号が入力した場合に、袖扉である防火戸12の自動閉鎖を実行し、その後タイマーのカウントアップ処理後にシャッターカーテン4を自動閉鎖する。
なお、シャッターカーテン4の自動閉鎖の途中に障害物感知装置が障害物を感知した場合には、所定の障害物の回避動作などを行なうが、この実施の形態ではその動作については省略してある。
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、防煙垂れ壁装置、開き戸装置、折れ戸装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
防火シャッター装置及び防火戸の周辺に監視カメラや人感センサなどを設置し、カメラの撮影画像や人感センサの感知情報等に基づいて各動作を制御するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、煙感知器13,23,33が中継器41,42,43に有線にて感知信号を送信する場合について説明したが、煙感知器13,23,33と中継器41,42,43との間を無線方式にて感知信号を送信可能としてもよい。
上述の実施の形態では、中継器を1階に一つ設ける場合について説明したが、図4に示すように各階に複数の区画が存在する場合には、中継器を各階の区画毎に設け、各階の中継器と受信機とを接続するようにしてもよい。また、受信機(連動操作盤)を建物の複数個所に設け、それぞれが独立して動作するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、感知器としてスポット型のものを例に説明したが、熱電対式差動式分布型感知器や空気管式差動式分布型感知器を建物内の所定の区画に広範囲に配置してもよい。差動式分布型感知器は、感知部の周囲の温度の上昇率が一定の割合以上となったときに感知信号を発信するもので、広範囲の熱効果により作動するものである。空気管式差動式分布型感知器は、空気管状の感知部内の空気が膨張し、この空気により検出部のダイアフラムが押し上げられ機械的に接点を閉じることを利用して火災信号を発信する。熱電対式差動式分布型感知器は、熱電対状の感知部の熱起電力による電気信号を検出部に流し、検出部の電気回路が閉じることを利用して感知信号を発信する。
11,21,31…防火シャッター装置
110…開閉機
111…ブレーキ
112,212,312…自動閉鎖装置
114…シャッターカーテン
115,116…ガイドレール
117,217,317…送受信子機
118,218,318…危害防止用連動中継器
119…電気式手動閉鎖装置
11a…座板スイッチ
11b…有線式障害物感知装置
11c…信号線
11d…感知器入力・断線判定回路
11e,21e,31e…配線
12,22,32…防火戸
121…潜り戸
122…防火戸用自動閉鎖装置
123…戸袋
13,23,33…煙感知器
11f,11r,21f,21r,31f,31r…予備感知器
231〜234…煙感知器
24…閉鎖確認用スイッチ
41,42,43…中継器
70…受信機
51,52,53…断路器
55〜58…外壁
61〜65,71〜78,81〜88…柱
91〜94…防火区画

Claims (12)

  1. 建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する防火区画形成手段と、
    前記複数の防火区画内に設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、
    前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、
    前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段と、
    前記防火区画形成手段に設けられた、前記感知手段よりも感度が低くなるように構成された予備感知手段と、
    前記予備感知手段の状態を検出し、その検出結果に応じて前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力する感知状態検出手段と
    を備えたことを特徴とする防火設備制御システム。
  2. 請求項1に記載の防火設備制御システムにおいて、
    前記予備感知手段が、前記防火区画形成手段の正面側と背面側の少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする防火設備制御システム。
  3. 請求項1又は2に記載の防火設備制御システムにおいて、
    前記感知状態検出手段が、前記予備感知手段の感知信号を検出した場合又は前記予備感知手段の配線が断線したことを検出した場合、前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力することを特徴とする防火設備制御システム。
  4. 請求項1、2又は3に記載の防火設備制御システムにおいて、
    前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として炎を感知する炎感知手段を用いることを特徴とする防火設備制御システム。
  5. 請求項1、2又は3に記載の防火設備制御システムにおいて、
    前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として熱電対式差動式分布型感知手段及び/又は空気管式差動式分布型感知手段を用いることを特徴とする防火設備制御システム。
  6. 請求項1、2又は3に記載の防火設備制御システムにおいて、
    前記感知手段及び前記予備感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段の感知信号の出力時間を所定時間だけ遅延させることを特徴とする防火設備制御システム。
  7. 建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する防火区画形成手段と、
    前記複数の防火区画内に設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、
    前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、
    前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段とを備えた防火設備制御システムの防火信号伝達方法において、
    前記防火区画形成手段に設けられた、前記感知手段よりも感度が低くなるように構成された予備感知手段と、
    前記予備感知手段の状態を検出し、その検出結果に応じて前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力する感知状態検出手段とを設け、
    前記中継手段が前記受信機から電気的に切り離された場合でも、切り離された前記中継手段に接続されている前記防火区画形成手段に対して前記予備感知手段の検出結果に応じて前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力するようにしたことを特徴とする防火信号伝達方法。
  8. 請求項7に記載の防火信号伝達方法において、
    前記予備感知手段が、前記防火区画形成手段の正面側と背面側の少なくとも2箇所に設けられていることを特徴とする防火信号伝達方法。
  9. 請求項7又は8に記載の防火信号伝達方法において、
    前記感知状態検出手段が、前記予備感知手段の感知信号を検出した場合又は前記予備感知手段の配線が断線したことを検出した場合、前記閉鎖指示信号を前記防火区画形成手段に出力することを特徴とする防火信号伝達方法。
  10. 請求項7、8又は9に記載の防火信号伝達方法において、
    前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として炎を感知する炎感知手段を用いることを特徴とする防火信号伝達方法。
  11. 請求項7、8又は9に記載の防火信号伝達方法において、
    前記感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段として熱電対式差動式分布型感知手段及び/又は空気管式差動式分布型感知手段を用いることを特徴とする防火信号伝達方法。
  12. 請求項7、8又は9に記載の防火信号伝達方法において、
    前記感知手段及び前記予備感知手段が火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されている場合、前記予備感知手段の感知信号の出力時間を所定時間だけ遅延させることを特徴とする防火信号伝達方法。
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