JP2020052260A - ミラー加飾製品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
光輝性外観を優先して、この金属膜を光透過率25%未満にすると、ますますカメラの撮像性能を低下させてしまう。カメラの撮像性能を優先して、この金属膜を光透過率50%超にすると、光輝性外観がさらに暗くなってしまう。よって、明るい光輝性外観とカメラの撮像性能とを両立させることは困難であった。
本発明は、透明基材と該透明基材の一方の面に設けられた金属膜とを含むカバー部を有し、カメラ又はサイネージ光源を内蔵するためのミラー加飾製品において、
前記カバー部が、
金属膜の膜厚が相対的に薄く、光線透過率が40〜92%であり、内蔵するカメラ又はサイネージ光源の正面に位置する透光部と、
金属膜の膜厚が相対的に厚く、光線透過率が0〜10%であり、カバー部の主要部分を占めるミラー加飾部と、
透光部と加飾部との境界領域に位置するグラデーション部であって、透光部側からミラー加飾部側へ向かうに連れて、金属膜の膜厚が徐々に厚くなり、光線透過率が徐々に低くなるグラデーション部と
を含むことを特徴とする。
「徐々に」は、好ましくは「連続的に変化して」であるが、「複数段階的に変化して」でもよい。
光線透過率は、金属膜のみの光線透過率ではなく、透明基材も含むカバー部の光線透過率である(以下同じ。)。
透光部は、金属膜が無い部分を含んでもよい。
(ア)内蔵されたカメラ又はサイネージ光源の正面に位置する透光部は、金属膜の膜厚が相対的に薄く、光線透過率が40〜92%であることにより、カメラの高い撮像性能又はサイネージ光源の高い光放射性能が得られる。
仮に、このグラデーション部が無いと、透光部とミラー加飾部との境界がはっきり・くっきりとするため、透光部の存在を目視で気付きやすくなり、透光部の内側にあるカメラ又はサイネージ光源も目視で気付きやすくなる。
本発明は、透明基材と該透明基材の一方の面に設けられた金属膜とを含むカバー部を有し、カメラ又はサイネージ光源を内蔵するためのミラー加飾製品の製造方法において、
透明基材よりも小さいマスクを該マスクの外縁が前記面から面直交方向に4〜10mm離間するように配置した状態で、前記面に金属微粒子をスパッタすることにより、前記金属膜を成膜することを特徴とする。
透明基材よりも小さいマスクを該マスクの外縁が前記面から面直交方向に4〜10mm離間するように配置した状態で、前記面に金属微粒子をスパッタすることにより、
・前記面のマスクで隠れない部位には、金属微粒子が多く付着して、膜厚が相対的に厚い金属膜が成膜される。
・前記面のマスクで隠れる部位のうちマスクの外縁に近い部位には、離間したマスクの裏に回り込むように角度を付けて飛翔した金属微粒子が少し付着して、マスクの外縁から内側へ向かうに連れて膜厚が徐々に薄くなる金属膜が成膜され、上記グラデーション部はこの部位に含まれる。このように金属微粒子の飛翔に角度が付くのは、金属微粒子は、ターゲット表面からいろいろな角度ではじき飛ばされ、また、Arガスと衝突して散乱されるからである。
・前記面のマスクで隠れる部位のうちマスクの外縁から遠い内側部位には、金属微粒子がほとんど付着しないため、膜厚が相対的に薄い金属膜が成膜され、金属膜が成膜されない箇所が生じることもある。
透明基材の材料としては、特に限定されないが、樹脂、ガラス等を例示できる。
透明は、無色透明のみならず、有色透明も含む。
金属膜の金属としては、特に限定されないが、Ni−Cr−Mo合金、Al、In等を例示できる。
金属膜の成膜法に起因する種類としては、特に限定されないが、スパッタ膜、真空蒸着膜等を例示できる。
透光部は、金属膜のない部分を含んでいてもよい。
透光部は、光線透過率が40〜92%の範囲にあればよく、透孔部の全域でみて、光線透過率が実質的に一定であるものでもよいし、光線透過率が徐々に変化するものでもよいし(但しその最大変化率はグラデーション部での最大変化率よりも小さいことが好ましい。)、光線透過率が実質的に一定である部分と光線透過率が徐々に変化する部分とを含むものでもよい。
金属膜のL*a*b*表色系におけるL*値(以下単に「L*値」という。)は、41.9〜59.0であることが好ましい。
金属膜の厚さは、7.6nm以下であることが好ましい。
ミラー加飾部は、光線透過率が0〜30%の範囲にあればよく、ミラー加飾部の全域でみて、光線透過率が実質的に一定であるものでもよいし、光線透過率が徐々に変化するものでもよいし(但しその最大変化率はグラデーション部での最大変化率よりも小さいことが好ましい。)、光線透過率が実質的に一定である部分と光線透過率が徐々に変化する部分とを含むものでもよい。
金属膜のL*値は、64〜80であることが好ましく、74〜80であることがより好ましい。
金属膜の厚さは、10.5nm以上であることが好ましく、21nm以上であることが好ましい。
グラデーション部の透光部側からミラー加飾部側までの幅は、2mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましい。同幅が2mm以上であることにより、上述したグラデーション部が透光部とミラー加飾部との境界をぼかす作用が高くなるからである。同幅の上限は、特にないが、あえていえば20mmであり、デザイン上、同幅をあまり大きくしたくない場合は5mmである。
ミラー加飾製品(用途)としては、特に限定されないが、自動車用外装製品が好適であり、バックガーニッシュ、フロントグリル等を例示できる。
<1>基準試料の作製(図4、図5)
<2>実施試料の作製(図6〜図8)
<3>ミラー加飾製品の作製(図1〜図3)
本発明のミラー加飾製品は、グラデーション部で、金属膜の膜厚(以下単に「膜厚」という。)が徐々に厚くなり、光線透過率が徐々に低くなり、よって光線透過率が徐々に高くなりL*値が大きくなる。このように徐々に変化する要素のうち、光線透過率は、ピンポイント的に測定することが比較的容易にできるが、膜厚とL*値は、ピンポイント的に測定することが比較的困難である。
(ア)光線透過率は、透過率計(朝日分光株式会社製TLV−304)を用いて、波長550nmの光線の透過率を測定した。上記のとおり、光線透過率は、金属膜のみの光線透過率ではなく、透明基材(ガラス板)も含む光線透過率である
(イ)膜厚は、触針式段差計を用いて測定した。
(ウ)L*値は、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製CM−700d)を用いて、金属膜側から、視野角10°、D65光源で測定した。
次に、図6に示すように、上記の<1>と同じ透明基材6としての無色透明のガラス板の一方の面に、スペーサ8を介することにより、一定厚の板状のマスク9を面直交方向に6mm離間して配置し、スペーサ8から右へ25mm突出した透明基材6の前記面の全体が、同じくスペーサ8から右へ25mm突出したマスク9により隠れるようにしたものを作製した。これをスパッタ装置20のチャンバー21内の陽極22側に設置し、上記の<1>と同様にスパッタを行った(但し、スパッタ時間は90秒)。
・透明基材6の前記面のうちマスク9の右縁から遠い内側部位には、金属微粒子がほとんど付着しないため、膜厚が相対的に薄い金属膜7が成膜され、金属膜が成膜されない箇所も生じた。
・金属膜7の膜厚が相対的に薄く、光線透過率が40〜92%である透光部3。本例の透光部3は、光線透過率が90.9〜88.9%で実質的に一定(2ポイント差程度)である部分と、光線透過率が88.9%を下回って40%へと徐々に変化する部分とを含むものである。
・金属膜7の膜厚が相対的に厚く、光線透過率が0〜10%であるミラー加飾部4。本例のミラー加飾部4は、光線透過率が1.5〜2.0%で実質的に一定(仮にマスクに隠れない部位が続くとしたとき、その部位の光線透過率は0%になると推定され、その0%に対して2ポイント差程度)である部分と、光線透過率が2%を上回って10%へと徐々に変化する部分とを含むものである。
・透光部3とミラー加飾部4との境界領域に位置するグラデーション部5であって、透光部側からミラー加飾部側へ向かうに連れて、金属膜7の膜厚が(透光部3の金属膜7の膜厚から)連続的に変化して(ミラー加飾部4の金属膜7の膜厚へと)厚くなり、光線透過率が連続的に変化して低くなるグラデーション部5と
が形成された。
グラデーション部5の幅方向における光線透過率の変化率は、途中で増減し、最も高いところで15.7ポイント/mmである。同最高変化率に対して、透光部3での光線透過率の最高変化率は低く、ミラー加飾部4での光線透過率の最高変化率も低い。
グラデーション部5の幅方向におけるL*値の変化率は、途中で増減し、最も高いところで6.3ポイント/mmである。
次に、図1〜図3に示すように、実施例のミラー加飾製品1として、カバー部2を構成する透明基材6の一方の面(裏面)に金属膜7を成膜してなる自動車用バックガーニッシュを作製した。透明基材6としての無色透明の樹脂板をスパッタ装置20のチャンバー21内の陽極22側に設置し、透明基材6の一方の面から離間した位置に、透明基材6よりも小さく且つ後述する透光部よりも大きいマスク9を配置した状態で、上記の<1>基準試料と同様に、スパッタを行った(但し、スパッタ時間は20秒。マスク9は直径16mmで透明基材を向く面が中央ほど凸に湾曲した円板であり、マスク9の外縁が透明基材6の一方の面から面直交方向に6mm離間するように配置した。
・透明基材6の前記面のマスク9に隠れていた円形領域のうちマスク9の外縁に近い部位には、離間したマスク9の裏に回り込むように角度を付けて飛翔した金属微粒子が少し付着して、マスク9の外縁から内側へ向かうに連れて膜厚が徐々に薄くなる金属膜7が成膜された。後述するグラデーション部5はこの部位に含まれる。
・透明基材6の前記面のマスク9に隠れていた円形領域のうち中心に近い(マスク9の外縁から遠い)部位には、金属微粒子があまり付着しないため、膜厚が相対的に薄い金属膜7が成膜された。
・マスク9に隠れていた円形領域のうち中心に近い部位には、金属膜7の膜厚が相対的に薄く、光線透過率が40〜50%である透光部3が形成された。本例の透光部3は、光線透過率が徐々に変化する。
・マスク9に隠れていた円形領域のうちマスク9の外縁に近い部位と、マスク9に隠れなかった部位とには、金属膜7の膜厚が相対的に厚く、光線透過率が8〜10%であるミラー加飾部4が形成された。本例のミラー加飾部4は、光線透過率が徐々に変化するが、2ポイント差程度なので実質的に一定といえる。
・透光部3とミラー加飾部4との境界領域には、透光部側からミラー加飾部側へ向かうに連れて、金属膜7の膜厚が(透光部3の金属膜7の膜厚から)連続的に変化して(ミラー加飾部4の金属膜7の膜厚へと)厚くなり、光線透過率が連続的に変化して低くなるグラデーション部5が形成された。
グラデーション部5の幅方向における光線透過率の変化率は、途中で増減し、その最高変化率に対して、透光部3での光線透過率の最高変化率は低く、ミラー加飾部4での光線透過率の最高変化率も低い。
(ア)内蔵されたカメラ10の正面に位置する透光部3は、金属膜7の膜厚が相対的に薄く、光線透過率が40〜50%であることにより、カメラ10の高い撮像性能が得られる(図2(a))。
(1)透光部3に、低い光線透過率(例えば40%)で実質的に一定である部分を形成しようとする場合には、まず、マスクを配置せずにスパッタして一定膜厚の金属膜を透明基材の一方の面の全域に付着させた後、上記<3>のようにマスクを配置してスパッタすることにより行うことができる。
(2)カメラに代えて又は加えてサイネード光源を内蔵するためのミラー加飾製品とすること。
2 カバー部
3 透光部
4 ミラー加飾部
5 グラデーション部
6 透明基材
7 金属膜
8 スペーサ
9 マスク
10 カメラ
20 スパッタ装置
21 チャンバー
22 陽極
23 ターゲット
Claims (5)
- 透明基材と該透明基材の一方の面に設けられた金属膜とを含むカバー部を有する、カメラ又はサイネージ光源を内蔵するためのミラー加飾製品において、
前記カバー部が、
金属膜の膜厚が相対的に薄く、光線透過率が40〜92%であり、内蔵するカメラ又はサイネージ光源の正面に位置する透光部と、
金属膜の膜厚が相対的に厚く、光線透過率が0〜10%であり、カバー部の主要部分を占めるミラー加飾部と、
透光部と加飾部との境界領域に位置するグラデーション部であって、透光部側からミラー加飾部側へ向かうに連れて、金属膜の膜厚が徐々に厚くなり、光線透過率が徐々に低くなるグラデーション部と
を含むことを特徴とするミラー加飾製品。 - グラデーション部の透光部側からミラー加飾部側までの幅が、2mm以上である請求項1記載のミラー加飾製品。
- グラデーション部における光線透過率の変化率が、30ポイント/mm以下である請求項1又は2記載のミラー加飾製品。
- 金属膜は、Ni−Cr−Mo合金からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のミラー加飾製品。
- 透明基材と該透明基材の一方の面に設けられた金属膜とを含むカバー部を有する、カメラ又はサイネージ光源を内蔵するためのミラー加飾製品の製造方法において、
透明基材よりも小さいマスクを該マスクの外縁が前記面から面直交方向に4〜10mm離間するように配置した状態で、前記面に金属微粒子をスパッタすることにより、前記金属膜を成膜することを特徴とするミラー加飾製品の製造方法。
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