JP2020052129A - 注湯のシミュレータ及び注湯のトレーニング方法 - Google Patents

注湯のシミュレータ及び注湯のトレーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】注湯の技能を安全且つ効率的に獲得することができる、注湯のシミュレータ及び注湯のトレーニング方法を提供する。【解決手段】鋳造において、取鍋の液体を前記取鍋から鋳型へ注ぐときの動作のシミュレータであって、操作部1と、モータと、トルク検出部と、制御部とを備え、操作部は、時計回り及び反時計回りに回転自在に構成され、トルク検出部は、操作部に作用するトルクを検出し、モータは、操作部を駆動し、制御部は、トルク検出部で検出されるトルクに基づいて、モータを駆動する、シミュレータが提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、注湯のシミュレータ及び注湯のトレーニング方法に関する。
鋳造業における注湯作業は高温の溶融金属を鋳型へ注ぐ工程であることから、注湯作業は、各種の製造工程の中でも特に危険性の高い作業の1つである。また、鋳型への溶融金属の注ぎ方は鋳物製品の品質に影響を与えるため、注湯作業は熟練技能を必要とする作業工程である。一般的に、注湯作業の技能獲得は、現場でのOJT(On the Job Training)によって行われている。しかし、注湯作業の未習熟者が注湯作業を行うことは、非常に危険であり、また、注湯作業の未習熟者が注湯作業を行うことは、鋳物製品の不良率上昇に繋がる、といった課題がある。
このような課題に伴い、近年、自動注湯機の開発が進められている。確かに、自動注湯機は作業者に及ぶ危険を抑制し、また、自動注湯機は注湯作業の効率化をもたらすが、その一方で、自動注湯機は、少品種大量生産の鋳物製造に向いているが、多品種少量生産には向いていない。なぜなら、鋳型の形状が変わると、それに応じて鋳型への溶融金属の注ぎ方も変えないと、品質の高い鋳物製品を得ることができないからである。具体的には、自動注湯機が多品種少量生産を実施する場合には、自動注湯機に要求される動作の複雑さが増すことになる。そして、複雑な動作を実現できる自動注湯機は高価である。このように、自動注湯機は多品種少量生産には向いていない。したがって、多品種少量生産の鋳物製品を製造する製造現場の多くは、人間による手動注湯が実施されている。
特開2011−13627号公報
製鉄所や電線製造などで用いられる連続鋳造の技術において、ノズルの開度操作等をアニメーションで表示する訓練装置が開発されている。しかし、連続鋳造は注湯流量が比較的に定常である。このため、連続鋳造の技術では、注ぎ方の訓練よりも、注湯時のアクシデントへの対処方法に関する訓練や注湯状態に応じた注湯装置の操作方法に関する訓練が行われる。
それに対し、自動車部品や産業機械、工作機械部品製造などで用いられるバッチ式注湯は、鋳型毎に鋳型への溶融金属の注ぎ方が異なり、多品種少量生産の製造ラインへ適用される。このため、連続鋳造の多くは自動注湯機を用いて注湯作業を行うが、バッチ式注湯では人間による手動注湯が行われ、取鍋から鋳型へ溶融金属を注ぐ作業の訓練の必要性が高い。しかし、バッチ式注湯の多くは傾動式注湯方式を主に採用しており、作業者は注湯中において注湯流量のみならず、流出溶融金属の軌跡についても注意を払う必要がある。このため、バッチ式注湯の技能獲得は非常に困難となっている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、注湯の技能を安全且つ効率的に獲得することができる、注湯のシミュレータ及び注湯のトレーニング方法を提供することを目的としている。
本発明によれば、鋳造において、取鍋の液体を前記取鍋から鋳型へ注ぐときの動作のシミュレータであって、操作部と、モータと、トルク検出部と、制御部とを備え、前記操作部は、時計回り及び反時計回りに回転自在に構成され、前記トルク検出部は、前記操作部に作用するトルクを検出し、前記モータは、前記操作部を駆動し、前記制御部は、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記モータを駆動する、シミュレータが提供される。
本発明によれば、前記操作部が時計回り及び反時計回りに回転自在に構成されており、シミュレータの操作者は、実際の注湯作業で作業者が操作するハンドルと同じ操作感を体験することができる。
また、本発明によれば、前記制御部が、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記モータを駆動することから、シミュレータの操作者が操作部を操作すると、操作部にトルクが発生してモータが駆動する。その結果、シミュレータの操作者には、実際の注湯作業で作業者の腕等にかかる負荷が模擬的にかかることになり、シミュレータの操作者は、実際の注湯作業で作業者が操作するハンドルと同じ操作感を体験することができる。
このように、本発明によれば、実際の注湯作業で作業者が操作するハンドルと同じ操作感を体験することができるので、注湯の技能を安全且つ効率的に獲得することができる。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、回転検出部を更に備え、前記回転検出部は、前記操作部の回転角度を検出し、前記制御部は、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記操作部の前記回転角度を示す仮想角度を取得し、前記仮想角度と、前記回転検出部で検出される前記回転角度とに基づいて、前記モータを駆動する、シミュレータが提供される。
好ましくは、前記制御部は、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記操作部の角速度を示す仮想角速度を取得し、前記仮想角速度と、前記回転検出部で検出される前記回転角度とに基づいて、前記モータを駆動する、シミュレータが提供される。
好ましくは、前記制御部は、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、仮想取鍋の出湯口から流出する仮想液体の流量を示す仮想流出流量を取得し、取得した前記仮想流出流量に基づいて前記仮想取鍋から仮想鋳型へ流れ落ちる前記仮想液体の軌跡情報を取得する、シミュレータが提供される。
好ましくは、力検出部を更に備え、前記力検出部は、前記操作部に加えられる力を検出し、前記制御部は、前記力検出部で検出される前記力に基づいて、前記仮想取鍋の水平方向の配置を示す仮想配置情報を取得する、シミュレータが提供される。
好ましくは、前記制御部は、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記仮想取鍋の仮想傾動角度を示す仮想配置情報を取得する、シミュレータが提供される。
好ましくは、表示部を更に備え、前記表示部は、前記制御部の出力に基づいて、前記仮想取鍋と、前記仮想液体を前記仮想取鍋から前記仮想鋳型へ注ぐときにおける前記仮想液体の軌跡と、を表示する、シミュレータが提供される。
好ましくは、前記表示部は、前記制御部の出力に基づいて、前記仮想取鍋から前記仮想鋳型へ注がれる前記仮想液体の流量を表示する、シミュレータが提供される。
好ましくは、スイッチ部と上下移動部とを更に備え、前記スイッチ部は、前記上下移動部の上下動を指示する指示信号を出力し、前記上下移動部は、前記操作部を上下に移動し、前記制御部は、前記指示信号に基づいて、前記上下移動部を動作させる、シミュレータが提供される。
好ましくは、前記トルク検出部は、前記操作部とは独立して設けられている、シミュレータが提供される。
好ましくは、前記操作部は、回転範囲が360度以上となるように構成されている、シミュレータが提供される。
実施形態に係る方法では、鋳造において取鍋の液体を前記取鍋から鋳型へ注ぐときの作業を、操作部を用いてトレーニングする方法であって、前記作業の熟練者による前記操作部の操作に対応する参照データを取得する参照データ取得工程と、前記トレーニングを行う操作者による前記操作部の操作に対応する操作データを取得する操作データ取得工程と、前記参照データと前記操作データとを比較し、比較結果を取得する比較工程と、前記比較結果を出力する出力工程と、を備える、方法が提供される。
好ましくは、前記トレーニングでは、表示部が用いられ、前記出力工程では、前記比較工程で取得した前記比較結果を前記表示部に表示する、方法が提供される。
好ましくは、前記参照データに基づいて前記操作部を駆動し、前記作業の前記熟練者による前記操作部の操作を再現する再現工程を更に備える、方法が提供される。
好ましくは、前記トレーニングでは、制御部が用いられ、前記参照データ取得工程では、前記参照データが前記制御部に格納され、前記操作データ取得工程では、前記操作データが前記制御部に格納され、前記比較工程では、前記制御部が前記参照データと前記操作データとを比較し、且つ、前記比較結果が前記制御部に格納される、方法が提供される。
実施形態に係るシミュレータ100の斜視図である。 図2AはハンドルユニットU1の斜視図であり、図2BはハンドルユニットU1の左側面図である。 図3Aは移動ユニットU2の斜視図であり、図3Bは移動ユニットU2を上方から見た分解斜視図であり、図3Cは移動ユニットU2を下方から見た分解斜視図である。 制御部30の機能ブロック図である。 実施形態に係るシミュレータ100の制御フローチャートである。 実施形態に係るシミュレータ100の動作説明図である。 図7A及び図7Bは注湯流量モデルの説明図であり、図7Aは注湯中の取鍋の断面を模式的に示す図であり、図7Bは取鍋の出湯口から液体(溶融金属)が流出する様子を模式的に示す図である。 図8A及び図8Bは流出液体自由落下モデルの説明図であり、図8Aは取鍋のうちの出湯口の位置の液位が、重力作用によって減少する様子を模式的に示す図であり、図8Bは取鍋から流出する液体(溶融金属)の平均流速の実験値と、当該平均流速のシミュレーション値とを示すグラフである。 流出液体自由落下モデルの説明図であって、取鍋から流出する液体と鋳型の湯口との関係を模式的に示す図である。 図10A及び図10Bは流出液体自由落下モデルの説明図であり、図10Aは取鍋が傾けられていない状態を模式的に示し、図10Bは取鍋が傾けられた状態を模式的に示している。 注湯作業の熟練者の動作を、シミュレータ100を用いて再現する機能の説明図である。の説明図である。 実施形態に係るシミュレータ100の変形例を示す斜視図である。
実施形態.
1.シミュレータ100の構成説明
図1に示すように、シミュレータ100は、シミュレータ本体10と、モニター20と、図示省略の制御部30(図4参照)とを備えている。モニター20は表示部に対応している。また、シミュレータ100は、図1において図示省略のペンダントスイッチ5Aを備えている(図4参照)。ペンダントスイッチ5Aは例えばシミュレータ本体10に付設される。ペンダントスイッチ5Aは、上昇ボタンと下降ボタンとを備え、後述する移動ユニットU2の上下移動部6Cの上下動を指示する指示信号を出力する。ペンダントスイッチ5Aはスイッチ部に対応している。なお、ペンダントスイッチ5Aの代わりに別のタイプのスイッチを用いてもかまわない。
実施形態において、シミュレータ本体10とモニター20とは別体となっている。モニター20は制御部30で処理した情報を視覚情報として出力する。図1に示すように、モニター20には、取鍋の液体の流量(仮想流出流量)に関する表示21と、取鍋(仮想取鍋)を示す表示22と、取鍋(仮想取鍋)から流出する液体(仮想液体)の軌跡を示す表示23と、鋳型(仮想鋳型)を示す表示24と、が示されている。なお、モニター20に示される視覚情報は、これらに限定されるものではない。制御部30はシミュレータ本体10に内蔵されていてもよいし、シミュレータ本体10とは別体であってもよい。また、モニター20に内蔵されていてもかまわない。シミュレータ本体10は、ハンドルユニットU1と、移動ユニットU2とを備えている。
なお、実施形態ではモニター20としてデスクや壁等に配置する形態のものを例示したが、それに限定されるものではない。モニター20には、操作者の頭に装着するヘッドマウントディスプレイを採用することもできる。シミュレータ100がヘッドマウントディスプレイを採用することで、操作者は、見たい角度で仮想空間の注湯作業を見ることができ、シミュレータ100は操作者により臨場感を与えることができる。
1−1.ハンドルユニットU1
図2A及び図2Bに示すように、ハンドルユニットU1は、ハンドル1と、ハンドル用サーボモーター2と、モータ台3と、基台4と、力覚センサ5とを備えている。ハンドル1は操作部に対応している。力覚センサ5はトルク検出部及び力検出部に対応している。
実際の注湯の作業現場においては、取鍋を傾倒するハンドルには減速機が備わっており、取鍋を傾倒させるためにハンドルを複数回回転させる必要がある。本発明のハンドルユニットU1は、ハンドル1を備え、ハンドル1の回転範囲は時計回りにも反時計回りにも360度以上となるように、構成されている。操作者は、シミュレータ100のハンドル1を、実際の注湯の作業現場のハンドルと同様に、複数回回転させることができるので、操作者は、実際の注湯により近い動作を習得することができる。ハンドル1はハンドル用サーボモーター2に回転自在に接続されている。ハンドル用サーボモーター2は注湯作業時における力覚を提示するために設けられている。ハンドル用サーボモーター2はモータ台3上に配置されている。ハンドル用サーボモーター2にはハンドル用エンコーダ2aが設けられている。ハンドル用エンコーダ2aはハンドル1の回転角度等の角度情報を取得のために用いられる。ハンドル用エンコーダ2aは回転検出部に対応している。力覚センサ5は、操作者がハンドル1を操作することでハンドル1に作用するトルクと、操作者がハンドル1を操作することでハンドル1に作用する力と、を検出する。力覚センサ5には、例えば6軸のセンサ(力の自由度が3つ、トルクの自由度が3つ)を採用することができる。力覚センサ5は、ハンドル1とは独立して設けられている。つまり、力覚センサ5は、ハンドル1とは別体となっているので、ハンドル1を回転させても、力覚センサ5は回転しない。その結果、力覚センサ5に繋がる各種の配線の引き回しが複雑化することが抑制される。力覚センサ5は、モータ台3と基台4との間に配置されている。基台4はハンドル1やハンドル用サーボモーター2等の荷重を支える部分であり、基台4は例えば板状部材等で構成することができる。
1−2.移動ユニットU2
図3A〜図3Bに示すように、移動ユニットU2はハンドルユニットU1を上下方向及び左右方向に移動させることができる。移動ユニットU2は、上下リニアガイド部6と、左右リニアガイド部7と、支持板8と、天板9とを備えている。移動ユニットU2は一対の上下リニアガイド部6を備えている。
上下リニアガイド部6は、上下サーボモーター6Aと、上下レール6Bと、上下移動部6Cと、シャフト6Dと、軸支部6Eとを備えている。
上下サーボモーター6Aは、ハンドル1を上下方向に移動させるために設けられている。なお、注湯作業時における力覚を提示するために駆動してもよい。上下サーボモーター6Aにはシャフト6Dが接続されており、上下サーボモーター6Aはシャフト6Dを回転させる。上下サーボモーター6Aは天板9上に配置されている。上下サーボモーター6Aには上下エンコーダ6aが設けられている。上下エンコーダ6aはハンドルユニットU1の上下位置情報を取得するために用いられる。上下レール6Bは上下方向に延びており、上下レール6Bには上下移動部6Cが移動自在に設けられている。上下移動部6Cにはシャフト6Dが挿入され、また、シャフト6Dには螺旋状の溝が形成されている。シャフト6Dの回転に伴って、上下移動部6Cは上下に移動する。上下移動部6CはハンドルユニットU1の基台4を支持する。つまり、ハンドルユニットU1は上下移動部6C上に載置される。ハンドルユニットU1と上下移動部6Cは固定されていることが好ましい。軸支部6Eはシャフト6Dの端部を回転自在に支持する機能を有する。
左右リニアガイド部7は、支持板8の下に配置されており、支持板8を左右方向に移動自在に支持している。左右リニアガイド部7は、左右サーボモーター7Aと、左右レール7Bと、第1左右移動部7Cと、シャフト7Dと、軸支部7Eと、第2左右移動部7Fとを備えている。
左右サーボモーター7Aは、注湯作業時における力覚を提示するために設けられている。左右サーボモーター7Aにはシャフト7Dが接続されており、左右サーボモーター7Aはシャフト7Dを回転させる。左右サーボモーター7Aには左右エンコーダ7aが設けられている。左右エンコーダ7aはハンドルユニットU1の左右位置情報を取得するために用いられる。左右レール7Bは左右方向に延びており、各左右レール7Bには2つの第1左右移動部7Cが移動自在に設けられている。第1左右移動部7C上には第2左右移動部7Fが載置されている。第1左右移動部7Cと第2左右移動部7Fとは固定されていることが好ましい。第2左右移動部7Fにはシャフト7Dが挿入され、また、シャフト7Dには螺旋状の溝が形成されている。シャフト7Dが回転すると、第1及び第2左右移動部7C、7Fが左右に移動する。第2左右移動部7Fは支持板8を支持する。軸支部7Eはシャフト7Dの端部を回転自在に支持する機能を有する。
支持板8の上面には、一対の上下リニアガイド部6が載置されている。支持板8は第2左右移動部7F上に載置されており、支持板8と第2左右移動部7Fとは固定されている。天板9は、上下リニアガイド部6の上部に設けられている。シャフト6Dは天板9を挿通している。
2.制御ブロックの説明
図4に示すように、制御部30は、演算部31と、記憶部32と、出力制御部33とを備えている。
演算部31は、後述する各種モデルに係る演算を行う。記憶部32には、注湯作業の熟練者によるハンドル1の操作に対応する参照データが格納されている。制御部30は、注湯作業の操作者がシミュレータ100のハンドル1を操作したときに、この参照データを取得することができる。また、制御部30は、記憶部32とは別の記録媒体やインターネット上から、この参照データを取得することもできる。出力制御部33は各種のアクチュエータを制御する。例えば、出力制御部33は、ハンドル用サーボモーター2、左右サーボモーター7A、及び上下サーボモーター6A等を制御する。また、出力制御部33は、演算部31によって演算された仮想液体(仮想溶融金属)の軌跡等の情報をモニター20に出力する。
ここで、制御部30に含まれる各機能部は、専用のハードウェア、又は、メモリに格納されるプログラムを実行するMPU(Micro Processing Unit)で構成される。制御部30が専用のハードウェアである場合、制御部30は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部30が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。制御部30がMPUの場合、制御部30が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。MPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部30の各機能を実現する。メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリである。
3.動作説明
図5及び図6を参照してシミュレータ100の動作を説明する。
(ステップS1:操作力等の取得)
操作者がハンドル1やペンダントスイッチ5Aを操作し、制御部30は力覚センサ5の検出結果及びペンダントスイッチ5Aの押下結果(指示信号)を取得する。力覚センサ5の検出結果は、ハンドル1に作用するトルクと、ハンドル1に作用する力と、に対応している。ステップS1は操作データ取得工程に対応しており、力覚センサ5の検出結果は、制御部30の記憶部32に格納される。
(ステップS2:動作モデル)
制御部30は、次に説明する(1)〜(6)の取鍋の仮想配置情報を取得する。
制御部30は、ハンドル1に作用するトルクに基づいて、(1)仮想取鍋の仮想回転角度と、(2)仮想取鍋の仮想角速度とを取得する。制御部30は、後述する回転動作モデルに基づく演算によってこれらの値を取得する。
制御部30は、ハンドル1に作用する力に基づいて、(3)仮想取鍋の仮想水平移動距離と、(4)仮想取鍋の仮想水平速度とを取得する。制御部30は、後述する左右動作モデルに基づく演算によってこれらの値を取得する。
制御部30は、ペンダントスイッチ5Aの押下結果に基づいて、(5)仮想取鍋の仮想上下移動距離と、(6)仮想取鍋の仮想上下速度とを取得する。制御部30は、後述する上下動作モデルに基づく演算によってこれらの値を取得する。
(ステップS3:注湯流量モデル)
制御部30は、(1)仮想取鍋の仮想回転角度と、(2)仮想取鍋の仮想角速度とに基づいて、仮想取鍋から流出する液体の流量(仮想流出流量)を取得する。制御部30は、後述する注湯流量モデルに基づく演算によって仮想流出流量を取得する。
(ステップS4:流出液体自由落下モデル)
制御部30は、ステップS3で取得した仮想流出流量に基づいて、各種の状態量を取得する。制御部30は、後述する流出液体自由落下モデルに基づく演算によって各種の状態量を取得する。各種の状態量は、仮想取鍋から流出する液体の軌跡情報を含む。
(ステップS5:参照データと操作データとの比較)
制御部30は、熟練者がハンドル1を予め操作したときのデータ(参照データ)を記憶部32から取得する(参照データ取得工程)。また、操作者がハンドル1を操作したときの操作データを力覚センサ5の出力に基づいて取得する(操作データ取得工程)。それぞれ取得した参照データと操作データとを比較し、比較結果を取得する。ステップS5は比較工程に対応し、比較結果は記憶部32に格納される。なお、参照データは、熟練者にハンドル1を予め操作させることで獲得することができ、獲得した参照データは制御部30の記憶部32に予め格納する(参照データ獲得工程)。つまり、参照データ取得工程において、制御部30は参照データを記憶部32から取得するのであるが、該参照データは、参照データ獲得工程において記憶部32に格納されたものである。なお、前述したように制御部30は、参照データを記憶部32とは別の記録媒体やインターネット上から取得してもかまわない。また、参照データ獲得工程は、本フローチャートとは独立した工程である。
(ステップS6:液体の軌跡等の出力)
制御部30は、コンピューターグラフィックスを用いて、ステップS2で仮想配置情報と、仮想配置情報を反映した仮想取鍋と、ステップS3で取得した仮想流出流量と、ステップS4で取得した各種の状態量を反映した液体の軌跡と、ステップS5で取得した比較結果と、をモニター20に表示する。比較結果は、例えば、モニター20の画面の右上のグラフの表示21(図1参照)のように仮想流出流量の時間変化として表示してもよい。この例では熟練者の仮想流出流量と操作者の操作による仮想流出流量とが同時に表示されている。ステップS6は出力工程に対応している。
ステップS5で取得した比較結果がモニター20に表示されることで、操作者は効率的な注湯作業トレーニングを体験することができるだけでなく、注湯技能の定量化が可能となり、注湯の作業者間の技能のばらつきを抑制することもできる。
(ステップS7:力覚提示)
制御部30は、ハンドル用エンコーダ2aの検出結果と、上述した(1)仮想ハンドルの仮想回転角度と、(2)仮想ハンドルの仮想角速度とに基づいて、ハンドル用サーボモーター2を制御する。
制御部30は、左右エンコーダ7aの検出結果と、上述した(3)仮想取鍋の仮想水平移動距離と、(4)仮想取鍋の仮想水平速度とに基づいて、左右サーボモーター7Aを制御する。
制御部30は、上下エンコーダ6aの検出結果と、上述した(5)仮想取鍋の仮想上下移動距離と、(6)仮想取鍋の仮想上下速度とに基づいて、上下サーボモーター6Aを制御する。
ステップS7もステップS6と同様に出力工程に対応している。
4.各種モデルの説明
動作モデルは、力覚センサ5の検出トルク等に基づいて、取鍋(仮想取鍋)の配置を示す配置情報(仮想配置情報)を演算するために用いられる。制御部30にはこの動作モデルに対応するプログラムが格納されており、制御部30は、このプログラムと、力覚センサ5の検出トルク等とに基づいて、取鍋(仮想取鍋)の配置情報(仮想配置情報)を演算する。実施形態において、動作モデルは、取鍋回転動作モデルと、注湯流量モデルと、流出液体自由落下モデルとを有する。
4−1.動作モデル
4−1−1.回転動作モデル
回転動作モデルは、力覚センサ5で検出されるトルクに基づいて、取鍋(仮想取鍋)の回転角度(仮想回転角度)と、取鍋(仮想取鍋)の角速度(仮想角速度)と、ハンドルの回転角度(仮想回転角度)とを演算する。
仮想取鍋の仮想回転角度及び仮想取鍋の仮想角速度は、後述する注湯流量モデルにおいて、仮想取鍋から流出する液体の流量(仮想流出流量)を演算するときに用いられる。
制御部30は、仮想取鍋の仮想回転角度及び仮想取鍋の仮想角速度をモニター20に表示することができる。また、制御部30は、仮想取鍋の仮想回転角度及び仮想取鍋の仮想角速度を反映した仮想取鍋をモニター20に表示することができる。これにより、操作者は、ハンドル1を回転させたときに、どの程度、取鍋が回転するか、を把握することができる。
ハンドルの回転角度(仮想回転角度)は、ハンドル1による力覚提示に用いられる。
回転動作モデルは、次式に基づいている。
θhdν [rad]は、仮想モデル内のハンドル回転角度を示している。
M [N m]は、力覚センサ5で検出されるハンドル1にかかるトルク(操作力モーメント)を示している。
c [Nms/rad]は、仮想モデル内の等価粘性減衰係数を示す。
nは、ハンドルと取鍋傾動機構間に設置された減速機のギア比(減速比)を示す。
θ [rad]は、取鍋(仮想取鍋)の回転角度(仮想傾動角度)を示す。なお、取鍋(仮想取鍋)の角速度(仮想角速度)はθを時間で微分したものである。
Jν [kgm2]は、回転動作モデル内の回転物体の慣性モーメントである。
ここで、ハンドル1の慣性モーメントをJとし、取鍋(仮想取鍋)の慣性モーメントをJとすると次式の関係が成立する。
4−1−2.水平方向の動作モデル:左右動作モデル
左右動作モデルは、力覚センサ5で検出される力に基づいて、取鍋(仮想取鍋)の水平方向の移動距離(仮想水平移動距離)と、取鍋(仮想取鍋)の水平方向の速度(仮想水平速度)とを演算する。ここで、力覚センサ5で検出される力は、ハンドル1に加えられる操作力のうちの水平方向の成分に対応する。なお、説明の便宜上、水平方向の動作モデルが、左右動作モデルである場合を一例として説明している。このため、ここで言う水平方向は1軸方向に対応している。水平方向の動作モデルは、左右動作モデルに限定されるものではなく、左右動作モデルに加えて前後動作モデルを含むものであってもよい。つまり、水平方向の動作モデルが、2軸方向に対応していてもよい。
制御部30は、仮想取鍋の仮想水平移動距離及び仮想取鍋の仮想水平速度をモニター20に表示することができる。また、制御部30は、仮想取鍋の仮想水平移動距離及び仮想取鍋の仮想水平速度を反映した仮想取鍋をモニター20に表示することができる。これにより、操作者は、ハンドル1を操作したときに、どの程度、取鍋が水平移動するか、を把握することができる。
仮想水平移動距離は、左右リニアガイド部7による力覚提示に用いられる。
左右動作モデルは、次式に基づいている。
x[m]は、仮想取鍋の仮想水平移動距離を示している。なお、仮想取鍋の仮想水平速度はxを時間で微分したものである。
Fh [N]は、力覚センサ5によって検出される力を示している。
M[kg]は、仮想モデル内の取鍋の左右移動に対する仮想質量を示している。
c [Ns/m]は、仮想モデル内の水平方向移動に対する等価粘性減衰係数を示している。
4−1−3.上下動作モデル
実施形態において、上下動作モデルはペンダントスイッチ5Aの移動指令に基づいて、取鍋(仮想取鍋)の上下方向の移動距離(仮想上下移動距離)と、取鍋(仮想取鍋)の上下方向の速度(仮想上下速度)とを演算する。
制御部30は、仮想取鍋の仮想上下移動距離及び仮想取鍋の仮想上下速度をモニター20に表示することができる。また、制御部30は、仮想取鍋の仮想上下移動距離及び仮想取鍋の仮想上下速度を反映した仮想取鍋をモニター20に表示することができる。これにより、操作者は、ペンダントスイッチ5Aを操作したときに、どの程度、取鍋が上下移動するか、を把握することができる。
仮想上下移動距離は、上下リニアガイド部6によるハンドルユニットU1の移動に用いられる。
上下動作モデルは、次式に基づいている。
xνν [m]は、仮想モデル内の仮想上下移動距離(仮想垂直方向移動距離)を示している。なお、仮想取鍋の仮想上下速度はxννを時間で微分したものである。
Uν [-]は、上下移動指令を示す。
ペンダントスイッチ5Aの上昇ボタンが押下されているときにおいて、制御部30は正値をUνに与え、ペンダントスイッチ5Aの下降ボタンが押下されているときにおいて、制御部30は負値をUνに与える。
4−2.注湯流量モデル
注湯流量モデルは、回転動作モデルの演算で取得した、仮想取鍋の仮想回転角度及び仮想取鍋の仮想角速度に基づいて、仮想取鍋から流出する液体の流量(仮想流出流量)を演算する。注湯流量モデルは次式に基づいている。
各パラメータは図7A及び図7Bに示されている。
h [m]は、出湯口における溶湯液位を示している。
q [m3/s]は、注湯流量を示している。
A [m2]は、出湯口の最頂部と同じ高さの溶湯水平面の面積を示している。
Vs [m3]は、出湯口最頂部より下方にある溶湯の体積を示している。
hb [m]は、出湯口での液体深さを示している。
Lf [m]は、出湯口の幅を示している。
g [m/s2]は重力加速度を示している。
注湯流量と取鍋から流出する液体の流出重量W [kg]の関係は次式となる。
ρ [kg/m3]は、液体密度を示している。
なお、液体の流出重量は、ロードセルによって計測される。ロードセルの動特性は次式の通りである。
WL [kg]は、計測流出重量である。
TL [s]は、ロードセルの応答性を示す時定数である。ロードセルによる計測流出重量は、実際の流出重量に対して、応答遅れが生じる。
4−3.流出液体自由落下モデル
流出液体自由落下モデルは、注湯流量モデルで取得した仮想流出流量に基づいて、取鍋(仮想取鍋)から鋳型(仮想鋳型)へ流出する液体(仮想液体)の軌跡を演算する。
制御部30は、演算結果を反映した仮想液体の軌跡をモニター20に表示することができる。これにより、操作者は、ハンドル1を操作したときに、取鍋から流出する液体の軌跡がどのようになっているか、を把握することができる。
流出液体自由落下モデルでは、まず、(1)仮想液体の仮想流出流量に基づいて仮想液体の平均流出速度を演算し、(2)次に演算した平均流出速度を補正し、そして、(3)補正した平均流出速度に基づいて仮想液体の軌跡に関する状態量を演算する。
平均流出速度v[m/s]は次式で表される。
Ap [m2]は、取鍋出湯口における液体断面積である。Apは、次式で表される。
ここで、図8Aに示すように、重力の影響で出湯口近傍での液位h [m]が低減される。このため、実際の液体の平均流出速度は、上記式に基づいて得られた平均流出速度vよりも、速い。図8Bにおいて、上記式に基づいて得られた液体の平均流出速度のシミュレーション値(横軸)と、実験値(縦軸)との比較を示す。この図8Bの結果を考慮し、平均流出速度vは、次式に基づいて補正される。
vt [m/s]は、補正後の平均流出速度を示している。
α1及びα0は、実験値とシミュレーション値の関係を最小二乗法を用いて近似した際に得られる係数である。ここでは、α1は2.067であり、α0は-0.275である。
そして、補正後の平均流出速度から、流出液体の落下位置を導出する。流出液体は自由落下運動をするため、流出液体の状態は次式で表される。
各パラメータは、図9に示されている。
Sw [m]は、仮想モデル内において、仮想取鍋の出湯口から鋳型上面までの上下方向距離(高さ)を示している。
Sν [m]は、仮想モデル内において、液体が鋳型上面に到達した際の水平方向距離を示している。
また、Swは、次式で表される。
各パラメータは、図10A及び図10Bに示されている。
r [m]は、仮想モデル内において、仮想取鍋の傾動中心から出湯口の先端までの長さを示している。
θ [rad] は、仮想モデル内の仮想取鍋の傾動角度を示している。
θ0 [rad] は、仮想モデル内の仮想取鍋の傾動角度中心から出湯口の先端までの位置を結んだ直線と、水平線とのなす角度を示している。
xνν [m]は、仮想モデル内の仮想上下移動距離(仮想垂直方向移動距離)を示している。
また、取鍋の出湯口から流出した液体の、鋳型上面における速度の垂直方向成分vg[m/s]は次式で表される。
したがって、取鍋の出湯口から流出した液体の、鋳型上面における速度vl [m/s]は、補正後の平均流出速度vt(水平方向成分)と、垂直方向成分vgとに基づく次式で表される。
取鍋から流出した液体が鋳型の湯口に流入する際の角度φin(流入角度)は次式により表される。
φinは、垂直下向きを0[deg]とする。
取鍋出湯口から流出した液体の、鋳型上面での断面積Al [m2]は、次式により表される。
また、取鍋出湯口から流出した液体の、鋳型上面での断面における半径rl [m]は、次式により表される。
このように、流出液体自由落下モデルは、取鍋(仮想取鍋)から鋳型(仮想鋳型)へ流出する液体(仮想液体)の軌跡に関わる各種の状態量の演算に用いられる。制御部30は、コンピューターグラフィックスにより、演算された各種の状態量を液体の軌跡としてモニター20に表示する。
5.力覚提示
シミュレータ100の制御部30は、ハンドル用エンコーダ2aによるハンドル1の検出回転角度と、回転動作モデルを用いて取得した仮想角度及び仮想角速度と、に基づいて時定数Thdを演算する。具体的には、時定数は、次式に基づいて得られる。
θhd [rad]は、ハンドル用エンコーダ2aによるハンドル1の検出回転角度である。ここで、時定数が小さいことは、仮想モデル内のハンドルの回転角速度に対して、実際のハンドル1の回転角速度の応答遅れが小さいことを意味している。このため、時定数が小さいことは、仮想モデル内の動作と実際の動作とが精度よく整合していること意味している。実施形態において、制御部30はこの時定数が小さくなるようにサーボモーターを制御する。これにより、シミュレータ100は仮想モデル内の動作と実際の動作とを精度よく整合させることができ、その結果、シミュレータ100の操作者への力覚提示が実現される。
つまり、制御部30は時定数を逐次演算し、且つ、制御部30は演算した時定数が小さくなるようにハンドル用サーボモーター2を制御する。
同様に、制御部30は、左右エンコーダ7aによるハンドル1の検出水平移動距離と、左右動作モデルを用いて取得した仮想水平移動距離と、に基づいて時定数を演算することができる。また、制御部30は、上下エンコーダ6aによるハンドル1の検出上下移動距離と、上下動作モデルを用いて取得した仮想上下移動距離と、に基づいて時定数を演算することができる。これらの時定数は、次式に基づいて得られる。
xi [m]は、ハンドル1の、左右又は上下の移動距離を示しており、左右エンコーダ7a又は上下エンコーダ6aの出力に基づいて取得する。つまり、xi [m]は、上述した検出水平移動距離又は検出上下移動距離に対応する。
x[m]は、仮想モデル内におけるハンドルの、左右又は上下の移動距離を示している。
Tiは、左右又は上下の移動に係る時定数を示している。
制御部30はこれらの時定数が小さくなるようにサーボモーターを制御する。これにより、シミュレータ100は仮想モデル内の動作と実際の動作とを精度よく整合させることができ、その結果、左右方向又は上下方向の力覚提示が実現される。
6.熟練者の動作の再現機能
熟練者の注湯作業による流出流量を記録しておき、その流出流量を実現するハンドル操作を再現することもできる。流出流量からハンドル回転角速度は、次式より導出することができる。
θrLν [rad] は、取鍋から液体が流出し始めた際の取鍋の傾動角度を初期角度とした注湯中の取鍋傾動角度を示している。この取鍋傾動角速度は、注湯流量モデルで演算した液体高さから注湯流量の関係の逆関数により、演算することができる。
hr [m] は、熟練者の注湯作業による注湯流量から導出される出湯口の液体高を示している。
上式で得られた取鍋傾動角速度から次式よりハンドル回転角速度を求める。
上記のθrhdν [rad] は、ハンドル回転角度である。ハンドル回転角速度はこれを微分したものである。
図11に示すように、熟練者の作業による取鍋の回転角度(参照データ)と、熟練者の作業による取鍋の角速度(参照データ)が、ハンドル回転駆動系及び仮想モデル内の注湯流量モデルに与えられることで、操作者は、熟練者のハンドル操作を、ハンドル1を通じて体感することができる(再現工程)。つまり、操作者(訓練者)は、ハンドル1に手を沿えておくことで、熟練者による流出流量に基づいたハンドル回転動作を体感することができ、操作者は、効率的に注湯技能のトレーニングが可能になる。なお、参照データは記憶部32に予め記憶されていてもよいし、制御部30がインターネット等から取得してもよい。
同じ流出流量でも取鍋の傾動角度の初期角度に応じて傾動パターンが異なる。このため、本再現機能のように、熟練者の流出流量を参照データとして、ハンドル回転角度を導出する機能を備えるシミュレータ100は、様々な注湯環境の訓練に適用することができる。
7.実施形態の変形例
実施形態に係るシミュレータ100は、移動ユニットU2を備えている形態であったがそれに限定されるものではない。図12に示すように、シミュレータ100は、移動ユニットU2を備えておらず、ハンドルユニットU1を備える形態であってもよい。この場合、力覚センサ5が検出するハンドル1に加わる上下左右方向の力に基づいて、仮想取鍋の上下または左右の移動を、モニター20に表示することができる。この形態のシミュレータ100はコンパクト性に優れ、容易に運搬することができる。
1 :ハンドル
2 :ハンドル用サーボモーター
2a :ハンドル用エンコーダ
3 :モータ台
4 :基台
5 :力覚センサ
5A :ペンダントスイッチ
6 :上下リニアガイド部
6A :上下サーボモーター
6B :上下レール
6C :上下移動部
6D :シャフト
6E :軸支部
6a :上下エンコーダ
7 :左右リニアガイド部
7A :左右サーボモーター
7B :左右レール
7C :第1左右移動部
7D :シャフト
7E :軸支部
7F :第2左右移動部
7a :左右エンコーダ
8 :支持板
9 :天板
10 :シミュレータ本体
20 :モニター
21 :表示(流出流量)
22 :表示(取鍋)
23 :表示(液体の軌跡)
24 :表示(鋳型)
30 :制御部
31 :演算部
32 :記憶部
33 :出力制御部
100 :シミュレータ
U1 :ハンドルユニット
U2 :移動ユニット

Claims (15)

  1. 鋳造において、取鍋の液体を前記取鍋から鋳型へ注ぐときの動作のシミュレータであって、
    操作部と、モータと、トルク検出部と、制御部とを備え、
    前記操作部は、時計回り及び反時計回りに回転自在に構成され、
    前記トルク検出部は、前記操作部に作用するトルクを検出し、
    前記モータは、前記操作部を駆動し、
    前記制御部は、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記モータを駆動する、シミュレータ。
  2. 請求項1に記載のシミュレータであって、
    回転検出部を更に備え、
    前記回転検出部は、前記操作部の回転角度を検出し、
    前記制御部は、
    前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記操作部の前記回転角度を示す仮想角度を取得し、
    前記仮想角度と、前記回転検出部で検出される前記回転角度とに基づいて、前記モータを駆動する、シミュレータ。
  3. 請求項1又は2に記載のシミュレータであって、
    前記制御部は、
    前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記操作部の角速度を示す仮想角速度を取得し、
    前記仮想角速度と、前記回転検出部で検出される前記回転角度とに基づいて、前記モータを駆動する、シミュレータ。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のシミュレータであって、
    前記制御部は、
    前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、仮想取鍋の出湯口から流出する仮想液体の流量を示す仮想流出流量を取得し、
    取得した前記仮想流出流量に基づいて前記仮想取鍋から仮想鋳型へ流れ落ちる前記仮想液体の軌跡情報を取得する、シミュレータ。
  5. 請求項4に記載のシミュレータであって、
    力検出部を更に備え、
    前記力検出部は、前記操作部に加えられる力を検出し、
    前記制御部は、前記力検出部で検出される前記力に基づいて、前記仮想取鍋の水平方向の配置を示す仮想配置情報を取得する、シミュレータ。
  6. 請求項4又は請求項5に記載のシミュレータであって、
    前記制御部は、前記トルク検出部で検出される前記トルクに基づいて、前記仮想取鍋の仮想傾動角度を示す仮想配置情報を取得する、シミュレータ。
  7. 請求項4〜請求項6の何れか1つに記載のシミュレータであって、
    表示部を更に備え、
    前記表示部は、前記制御部の出力に基づいて、前記仮想取鍋と、前記仮想液体を前記仮想取鍋から前記仮想鋳型へ注ぐときにおける前記仮想液体の軌跡と、を表示する、シミュレータ。
  8. 請求項7に記載のシミュレータであって、
    前記表示部は、前記制御部の出力に基づいて、前記仮想取鍋から前記仮想鋳型へ注がれる前記仮想液体の流量を表示する、シミュレータ。
  9. 請求項1〜請求項8の何れか1つに記載のシミュレータであって、
    スイッチ部と上下移動部とを更に備え、
    前記スイッチ部は、前記上下移動部の上下動を指示する指示信号を出力し、
    前記上下移動部は、前記操作部を上下に移動し、
    前記制御部は、前記指示信号に基づいて、前記上下移動部を動作させる、シミュレータ。
  10. 請求項1〜請求項9の何れか1つに記載のシミュレータであって、
    前記トルク検出部は、前記操作部とは独立して設けられている、シミュレータ。
  11. 請求項1〜請求項10の何れか1つに記載のシミュレータであって、
    前記操作部は、回転範囲が360度以上となるように構成されている、シミュレータ。
  12. 鋳造において取鍋の液体を前記取鍋から鋳型へ注ぐときの作業を、操作部を用いてトレーニングする方法であって、
    前記作業の熟練者による前記操作部の操作に対応する参照データを取得する参照データ取得工程と、
    前記トレーニングを行う操作者による前記操作部の操作に対応する操作データを取得する操作データ取得工程と、
    前記参照データと前記操作データとを比較し、比較結果を取得する比較工程と、
    前記比較結果を出力する出力工程と、を備える、方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、
    前記トレーニングでは、表示部が用いられ、
    前記出力工程では、前記比較工程で取得した前記比較結果を前記表示部に表示する、方法。
  14. 請求項12又は請求項13に記載の方法であって、
    前記参照データに基づいて前記操作部を駆動し、前記作業の前記熟練者による前記操作部の操作を再現する再現工程を更に備える、方法。
  15. 請求項12〜請求項14の何れか1つに記載の方法であって、
    前記トレーニングでは、制御部が用いられ、
    前記参照データ取得工程では、前記参照データが前記制御部に格納され、
    前記操作データ取得工程では、前記操作データが前記制御部に格納され、
    前記比較工程では、前記制御部が前記参照データと前記操作データとを比較し、且つ、前記比較結果が前記制御部に格納される、方法。
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