以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1のハードウェア構成を説明する。
埋設管更新時期予測装置1は、主に、プログラムを実行するプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)2)と、ROM(Read Only Memory)3と、RAM(Random Access Memory)4と、ハードディスク5と、通信部6と、可搬型記憶媒体用ドライブ7と、入力部8aと、モニタ8bとを備え、これらは互いにバス9によって接続されている。埋設管更新時期予測装置1は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)端末である。本明細書では、プログラムは、プロセッサ(例えば、CPU2)により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
RAM4は、プロセッサによるプログラムの実行により生成されたデータ、又は入力部8aを介して入力されたデータを揮発的に格納する。ハードディスク5は、これらデータを不揮発的に格納する。通信部6は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Bluetooth(登録商標)インターフェイス等である。可搬型記憶媒体用ドライブ7は、可搬型記憶媒体7mから情報を読み取り、可搬型記憶媒体7mに情報を書き込む。可搬型記憶媒体7mは、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、FD(Flexible Disk)またはUSB(Universal Serial Bus)メモリのような不揮発性の記録媒体である。入力部8aは、例えば、マウス、キーボードまたはタッチパネルを含む。モニタ8bは、例えば、液晶表示装置である。
埋設管更新時期予測装置1における処理は、プロセッサ(例えば、CPU2)により実行されるソフトウェアによって実現される。このソフトウェアは、ROM3またはハードディスク5に予め格納されていてもよい。このソフトウェアは、可搬型記憶媒体7mその他のコンピュータ読み取り可能な不揮発性のデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通してもよい。このソフトウェアは、インターネットその他のネットワークに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供されてもよい。このようなソフトウェアは、可搬型記憶媒体用ドライブ7によって可搬型記憶媒体7mから読み取られて、または、通信部6を介してダウンロードされて、ハードディスク5に格納されてもよい。そのソフトウェアは、プロセッサによって、可搬型記憶媒体7m、ROM3またはハードディスク5から読み出され、プロセッサに実行可能なプログラムの形式でRAM4に格納される。プロセッサは、そのプログラムを実行する。プロセッサがプログラムを実行することにより、埋設管更新時期予測装置1は、図2に示されるように、埋設管属性データ取得部10と、腐食深さ予測モデル選択部30と、許容腐食深さ到達時期推定部35と、管更新判断部40としての機能を実現する。
図2を参照して、埋設管更新時期予測装置1の機能構成の例を説明する。埋設管更新時期予測装置1は、埋設管属性データ取得部10と、腐食深さ予測モデル選択部30と、許容腐食深さ到達時期推定部35と、管更新判断部40とを主に備える。埋設管更新時期予測装置1は、記憶部20をさらに備えてもよい。
<記憶部20>
記憶部20は、図1に示される、ROM3、RAM4、ハードディスク5及び可搬型記憶媒体7mの少なくとも1つに対応する。図2に示されるように、記憶部20は、環境因子データベース部21と、公称管厚データベース部22と、管厚許容差データベース部23と、腐食深さ予測モデルデータベース部24と、管更新判断基準データベース部25とを含む。
<埋設管属性データ取得部10>
埋設管は、例えば、水道管である。埋設管は、土中に埋設されている。埋設管は、例えば、鋳鉄管またはダクタイル管である。埋設管属性データ取得部10は、図3に示されるような埋設管の属性データ16を取得する。埋設管の属性データ16は、例えば、埋設管の管路番号と、埋設管の第1環境因子と、埋設管の第1埋設期間T1と、埋設管の許容腐食深さとを含む。第1環境因子は、埋設管が埋設されている環境を規定する因子である。第1環境因子は、土質及び土壌比抵抗の少なくとも1つを含む。本実施の形態では、第1環境因子は、土質と土壌比抵抗とを含む。第1埋設期間T1は、埋設管が埋設されている期間である。許容腐食深さは、埋設管に必要最低限要求される安全性を考慮して規定される腐食深さである。
埋設管属性データ取得部10は、例えば、顧客から提供される埋設管の第1データ17(図4を参照)から、埋設管の属性データ16を得る。具体的には、埋設管属性データ取得部10は、例えば、埋設管データ受付部11と、最小許容管厚算出部12と、許容腐食深さ算出部13と、属性データ作成部14とを含む。
埋設管データ受付部11は、顧客から提供される埋設管の第1データ17を受け付ける。埋設管の第1データ17は、例えば、図4に示されるように、埋設管の管路番号、埋設場所、布設(埋設)年、呼び径、接合形式、管厚の種類、土被り、静水圧及び水撃圧を含む。接合形式として、A形、K形、T形またはNS形等を例示することができる。管厚の種類として、1種、2種または3種等を例示することができる。埋設管の第1データ17は、例えば、顧客から提供される可搬型記憶媒体7mに格納されてもよい。埋設管の第1データ17は、例えば、予めハードディスク5に格納されてもよい。
埋設管属性データ取得部10は、記憶部20に含まれる環境因子データベース部21を参照して、埋設管の第1データ17に含まれる埋設場所から、埋設管の第1環境因子を得る。環境因子データベース部21は、例えば、図5に示されるように、場所と環境因子とが対応づけられたデータテーブルである。
埋設管属性データ取得部10は、記憶部20に記憶されている現在年(埋設管の更新時期の予測を実行する年)と埋設管の第1データ17に含まれる布設年との間の差を算出して、第1埋設期間T1を得る。
埋設管属性データ取得部10は、記憶部20に含まれる公称管厚データベース部22を参照して、埋設管の第1データ17に含まれる埋設管の布設年、呼び径、接合形式及び管厚の種類から、埋設管の公称管厚を得る。公称管厚データベース部22は、例えば、図6に示されるように、管の布設年、呼び径、接合形式、管厚の種類及び公称管厚が対応づけられたデータテーブルである。埋設管の公称管厚は、埋設管の規格管厚である。管の公称管厚は、例えば、埋設管の第1データ17に含まれる埋設管の土被り、静水圧及び水撃圧並びに2.0倍の安全率で算出された計算管厚と、マージン厚さ(腐食しろ)と、管厚許容差との和によって与えられる。安全率は、入力部8aを用いて指定されてもよいし、記憶部20に予め格納されていてもよい。
埋設管属性データ取得部10は、記憶部20に含まれる管厚許容差データベース部23を参照して、埋設管の管厚許容差を得る。第一の例では、管厚許容差データベース部23は、図7に示されるように、管の公称管厚と管厚許容差とが対応づけられたデータテーブルであり、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の公称管厚から、埋設管の管厚許容差を得る。第二の例では、管厚許容差データベース部23は、管厚の種類と管厚許容差とが対応づけられたデータテーブルであり、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の管厚の種類から、埋設管の管厚許容差を得る。第三の例では、管厚許容差データベース部23は、呼び径と管厚許容差とが対応づけられたデータテーブルであり、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の呼び径から、埋設管の管厚許容差を得る。
最小許容管厚算出部12は、埋設管の第1データ17から、埋設管の最小許容管厚を算出する。最小許容管厚は、埋設管に必要最低限要求される安全性を担保するために埋設管に要求される最小限度の厚さである。最小許容管厚は、例えば、埋設管の第1データ17に含まれる埋設管の土被り、静水圧及び水撃圧並びに1.0倍の安全率で算出された計算管厚によって与えられる。
許容腐食深さ算出部13は、埋設管の公称管厚、管厚許容差及び最小許容管厚から、埋設管の許容腐食深さを算出する。具体的には、埋設管の公称管厚から、管厚許容差及び最小許容管厚を引くことによって、埋設管の許容腐食深さが算出される。
属性データ作成部14は、埋設管の第1環境因子、第1埋設期間T1及び許容腐食深さを埋設管の管路番号に対応づけて、埋設管の属性データ16(図3を参照)を作成する。こうして、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の属性データ16を得る。
なお、埋設管の第1データ17が埋設管の属性データ16を含む場合には、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の属性データ16を含む埋設管の第1データ17を顧客から受け付ける。この場合には、最小許容管厚算出部12、許容腐食深さ算出部13、属性データ作成部14、環境因子データベース部21、公称管厚データベース部22及び管厚許容差データベース部23は、省略され得る。
<複数の腐食深さ予測モデル>
複数の腐食深さ予測モデルは、腐食深さ予測モデルデータベース部24に記憶されている。図8から図11に示されるように、複数の腐食深さ予測モデルは、複数の参照管の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化を含む。複数の腐食深さ予測モデルは、複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の経年変化をさらに含んでもよい。複数の腐食深さ予測モデルの生成方法(すなわち、埋設管更新時期予測装置1の製造方法)について以下説明する。
複数の場所で複数の参照管を試掘して、図12に示される複数の参照管の第2データ18(複数の参照管の調査データ)が得られる。複数の参照管の第2データ18は、複数の参照管の第2環境因子と、複数の参照管の第2埋設期間T2と、複数の参照管の参照腐食深さとを含む。第2環境因子は、複数の参照管が埋設されている環境を規定する因子である。第2環境因子は、土質及び土壌比抵抗の少なくとも1つを含む。本実施の形態では、第2環境因子は、土質と土壌比抵抗とを含む。第2埋設期間T2は、複数の参照管が埋設されている期間である。
複数の参照管の第2データ18は、顧客から提供されてもよいし、顧客から指定された地域を、埋設管更新時期予測装置1のユーザが調査することによって得られてもよい。複数の参照管の第2データ18は、可搬型記憶媒体7m(図1)によって、または、インターネットのような通信ネットワークを通じて提供されてもよい。複数の参照管の第2データ18は、ハードディスク5(図1)に格納されてもよい。図13に示されるように、本実施の形態では、複数の参照管の第2データ18は、日本全国の6332地点における複数の参照管の調査データを含む。複数の参照管の第2データ18の約15%は、ゼロの腐食深さを有している。
図14から図16を参照して、本実施の形態において、環境因子(第1環境因子及び第2環境因子)として土質及び土壌比抵抗を採用した理由を説明する。
複数の参照管の第2データ18から、図14に示されるような土質毎の複数の参照管の腐食速度の分布が得られた。複数の参照管の腐食速度は、複数の参照管の参照腐食深さをそれぞれ複数の参照管の埋設期間で割ることによって算出される。図14に示される箱ひげ図は、各土質について、複数の参照管の腐食速度の2.5パーセンタイル、25パーセンタイル、50パーセンタイル、75パーセンタイル、97.5パーセンタイルを示す。パーセンタイルは、統計学の用語である。pパーセンタイルは、データを小さい順に並べたとき、最小値から数えて全体のp%に位置する値を意味する。
複数の参照管の腐食速度の2.5パーセンタイルは、複数の参照管の腐食速度の下位2.5%値(上位97.5%値)である。複数の参照管の腐食速度の25パーセンタイルは、複数の参照管の腐食速度の下位25%値(上位75%値)である。複数の参照管の腐食速度の50パーセンタイルは、複数の参照管の腐食速度の中央値(上位50%値)である。複数の参照管の腐食速度の75パーセンタイルは、複数の参照管の腐食速度の上位25%値である。複数の参照管の腐食速度の97.5パーセンタイルは、複数の参照管の腐食速度の上位2.5%値である。図14には、複数の参照管全体の腐食速度の中央値も示されている。
図14において、砂系の土質は、75μm以上75mm以下の粒子径を有する、砂及び礫である。シルト系の土質は、75μm未満の粒子径を有するシルトである。粘土系の土質は、海成粘土を除く、75μm未満の粒子径を有する粘土である。ガラ混じりの土質は、鉱さいや石炭ガラが混じった土質及びシャモットである。海成粘土の土質は、土壌比抵抗が1500Ω・cm未満であり、かつ、土壌から抽出された水を強制酸化した後のpH値が3.0以下である粘度系の土質である。その他の土質は、例えば、有機土(腐食土、泥炭)、改良土、頁岩または砂岩などである。
クラスカル−ウォリス検定を用いて、土質間で複数の参照管の腐食速度の中央値の差を検定したところ、5%有意水準で土質間において複数の参照管の腐食速度に有意な差が認められた。そのため、環境因子(第1環境因子及び第2環境因子)として、土質を採用した。さらに、砂系、シルト系及び粘度系の土質における複数の参照管の第2データ18の数が、複数の参照管の第2データ18の全数の88%を占めた。このことは、環境因子(第1環境因子及び第2環境因子)として土質を採用する際、特に、複数の参照管の第2データ18を、砂系、シルト系及び粘度系の土質に応じて分類することが有用であることを示している。
本実施の形態に用いられる、砂系、シルト系及び粘度系の土質における複数の参照管の第2データ18から、図15に示される土壌比抵抗と複数の参照管の腐食速度との間の関係が得られた。土壌比抵抗と複数の参照管の腐食速度との間の上記関係から、土壌比抵抗が1500Ω・cm未満である場合には、土壌比抵抗が1500Ω・cm以上である場合よりも、複数の参照管の腐食速度が特に大きくなる傾向があることが読み取れる。そのため、環境因子(第1環境因子及び第2環境因子)として、土壌比抵抗を採用した。
複数の参照管の第2データ18から、図16に示される複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の腐食速度の分布が得られた。複数の第2環境因子は、例えば、環境因子(a)、環境因子(b)、環境因子(c)及び環境因子(d)を含む。環境因子(a)は、砂系で、かつ、1500Ω・cm以上の土壌比抵抗を有する土壌である。環境因子(b)は、シルト系で、かつ、1500Ω・cm以上の土壌比抵抗を有する土壌である。環境因子(c)は、粘土系で、かつ、1500Ω・cm以上の土壌比抵抗を有する土壌である。環境因子(d)は、1500Ω・cm未満の土壌比抵抗を有する土壌である。
図16に示される箱ひげ図は、複数の第2環境因子の各々について、複数の参照管の腐食速度の2.5パーセンタイル(下位2.5%値)、25パーセンタイル(下位25%値)、50パーセンタイル(中央値、上位50%値)、75パーセンタイル(上位25%値)、97.5パーセンタイル(上位2.5%値)を示す。図16には、複数の参照管全体の腐食速度の中央値も示されている。クラスカル−ウォリス検定を用いて、複数の第2環境因子間で、複数の参照管の腐食速度の中央値の差を検定したところ、5%有意水準で複数の第2環境因子間において複数の参照管の腐食速度に有意な差が認められた。そのため、環境因子として、環境因子(a)−(d)を採用した。なお、海成粘土及びガラ混じりの土質は、砂系、シルト系及び粘度系の土質よりも複数の参照管の腐食速度が大きいことが知られており、基本的に、環境因子(d)に分類される。
複数の参照管の第2データ18を得た後、プロセッサ(例えば、CPU2)は、複数の参照管の第2データ18を、複数の第2環境因子及び第2埋設期間T2毎に仕分けることによって、図17から図20に示されるような複数のデータ群101−140を作成する。
具体的には、プロセッサ(例えば、CPU2)は、複数の参照管の第2データ18を、複数の第2環境因子に基づいて分類する。例えば、複数の参照管の第2データ18を、4つの環境因子(a)−(d)に基づいて分類する。それから、プロセッサは、複数の第2環境因子に基づいて分類された複数の参照管の第2データ18を、第2埋設期間T2に基づいてさらに分類する。例えば、複数の参照管の第2データ18を、第2埋設期間T2で5年毎に分類する。こうして、複数のデータ群101−140が得られる。複数のデータ群101−140は、各々、複数の参照管の参照腐食深さのデータを含む。例えば、複数のデータ群101−140は、各々、20個以上250個以下の複数の参照管の参照腐食深さのデータが含まれている。
複数の腐食深さ予測モデルは、後述するように、複数のデータ群101−140の各々に含まれる複数の参照管の参照腐食深さのデータをノンパラメトリックな再標本化法によって統計処理することによって得られる。本実施の形態では、複数の参照管の第2データ18を分類する環境因子が4つに限られているため、複数のデータ群101−140の各々に含まれる、複数の参照管の参照腐食深さのデータの数が過度に小さくなることが防止される。そのため、複数の腐食深さ予測モデルを含む埋設管更新時期予測装置1を用いた、埋設管の更新時期の予測の信頼性が向上する。
それから、プロセッサ(例えば、CPU2)は、ノンパラメトリックな再標本化法によって、複数のデータ群101−140の各々について複数の参照管の参照腐食深さの統計量を得る。統計学の分野において、ノンパラメトリック検定法は、母集団の分布を仮定しない検定方法を意味する。ノンパラメトリックな再標本化法は、例えば、ブートストラップ法またはジャックナイフ法である。
統計量は、75パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルである。統計量は、80パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、90パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、95パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、97.5パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、100パーセンタイル未満のいずれかのパーセンタイルである。統計量は、入力部8aを用いて指定されてもよいし、記憶部20に予め格納されていてもよい。
複数の参照管の参照腐食深さのデータは、複数の参照管の第2データ18に含まれている。複数の参照管の第2データ18は、例えば、日本全国の中から選択された複数の場所で複数の参照管を試掘することによって得られる。そのため、図21に示されるように、複数の参照管の第2データ18は、母集団の標本データである。ここで、母集団は、例えば、日本全国に埋設された全ての管の腐食深さである。
図21を参照して、ノンパラメトリックな再標本化法の一例であるブートストラップ法により、プロセッサ(例えば、CPU2)が、複数のデータ群101−140の各々について、再標本データを作成する方法を説明する。プロセッサは、複数のデータ群101−140の任意の1つ(例えば、データ群101)から、データ抽出数mだけ、重複を許してランダムに、複数の参照管の参照腐食深さのデータを抽出して(無作為復元抽出)、1つの再標本データ(例えば、X101-1)を作成する。データ抽出数mは、例えば、複数のデータ群101−140の任意の1つ(例えば、データ群101)に含まれる、複数の参照管の参照腐食深さのデータの数に等しい。
プロセッサは、この再標本データを作成するステップを、再標本化回数(N回)だけ繰返して、複数のデータ群101−140の任意の1つ(例えば、データ群101)について、N個の再標本データX101-1−X101-Nを作成する。再標本化回数Nは、例えば、1万である。プロセッサは、N個の再標本データを作成するステップを、複数のデータ群101−140の各々について行う。こうして、複数のデータ群101−140の各々の再標本データが得られる。データ抽出数m及び再標本化回数Nは、入力部8aを用いて指定されてもよいし、記憶部20に予め格納されていてもよい。
続いて、プロセッサ(例えば、CPU2)は、複数の腐食深さ予測モデルを得る。複数の腐食深さ予測モデルは、複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化を含む。複数の腐食深さ予測モデルは、例えば、環境因子(a)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図8を参照)と、環境因子(b)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図9を参照)と、環境因子(c)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図10を参照)と、環境因子(d)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図11を参照)とを含む。複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化を得る方法の一例を以下説明する。
プロセッサは、複数のデータ群101−140の各々の複数の参照管の参照腐食深さの統計量を算出する。具体的には、プロセッサは、複数のデータ群101−140の任意の1つ(例えば、データ群101)から作成されたN個の再標本データX101-1−X101-Nの各々について統計量を算出する。統計量は、75パーセンタイル以上の100パーセンタイル未満のいずれかのパーセンタイルである。それから、プロセッサは、複数のデータ群101−140の任意の1つ(例えば、データ群101)について、N個の再標本データX101-1−X101-Nの統計量の分布(図22を参照)を得る。プロセッサは、この統計量の分布から、再標本データX101-1−X101-Nの統計量の中央値を得る。この中央値が、複数のデータ群101−140の任意の1つ(例えば、データ群101)についての複数の参照管の参照腐食深さの統計量である。プロセッサは、複数のデータ群101−140の各々について同様の処理を行って、複数のデータ群101−140の各々の複数の参照管の参照腐食深さの統計量を得る(図23から図26を参照)。
プロセッサは、複数の第2環境因子毎に、複数の参照管の参照腐食深さの統計量を、第2埋設期間T2の大きさの順に並べる。プロセッサは、第2埋設期間T2の大きさの順に並べられた複数の参照管の参照腐食深さの統計量から、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化(図8から図11を参照)を得る。一例では、プロセッサは、互いに隣り合う参照腐食深さの統計量を直線で補完して、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化を得てもよい。別の例では、プロセッサは、複数の参照管の参照腐食深さの統計量に最小二乗法を適用して、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化を得てもよい。こうして、複数の腐食深さ予測モデル、すなわち、複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化が得られる。プロセッサは、複数の腐食深さ予測モデルを腐食深さ予測モデルデータベース部24に格納する。
図8から図11に示されるように、複数の腐食深さ予測モデルは、複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の経年変化をさらに含んでもよい。信頼区間は、例えば、パーセンタイル法、BCa法(bias-corrected and accelerated percentile method)、または、ブートストラップ−t法などによって得られる。パーセンタイル法によって、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の経年変化を得る方法の一例を以下説明する。
プロセッサは、図22に示される複数のデータ群101−140の任意の1つ(例えば、データ群101)についてのN個の再標本データX101-1−X101-Nの統計量の分布から、信頼度(1−α)に基づいて、この統計量の信頼区間を算出する。信頼区間の上限は、N個の再標本データX101-1−X101-Nの各々の統計量を大きさの順に並べて、大きい方からαN/2番目の値として与えられる。信頼区間の下限は、N個の再標本データX101-1−X101-Nの統計量を大きさの順に並べて、小さい方からαN/2番目の値として与えられる。信頼区間は、例えば、95%信頼区間(α=0.05)である。プロセッサは、複数のデータ群101−140の各々について同様の処理を行って、複数のデータ群101−140の各々の複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間を算出する。信頼度(1−α)は、入力部8aを用いて指定されてもよいし、記憶部20に予め格納されていてもよい。
プロセッサは、複数の第2環境因子毎に、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間を、第2埋設期間T2の大きさの順に並べる。プロセッサは、第2埋設期間T2の大きさの順に並べられた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間から、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の経年変化(図8から図11を参照)を得る。一例では、プロセッサは、互いに隣り合う参照腐食深さの統計量の信頼区間を直線で補完して、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の経年変化を得てもよい。別の例では、プロセッサは、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間に最小二乗法を適用して、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の経年変化を得てもよい。こうして、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の上限線と下限線との間に挟まれる、複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼帯が得られる。
<腐食深さ予測モデル選択部30>
腐食深さ予測モデル選択部30は、複数の参照管の複数の第2環境因子毎に得られた複数の腐食深さ予測モデルから、第1環境因子に対応する第1腐食深さ予測モデルを選択する。
具体的には、腐食深さ予測モデル選択部30は、埋設管の属性データ16(図3を参照)を参照して、埋設管の第1環境因子を特定する。例えば、図3に示される管路番号ABC−1で特定される埋設管の更新時期を予測する場合、腐食深さ予測モデル選択部30は、埋設管の属性データ16を参照して、管路番号ABC−1に対応づけられた埋設管の第1環境因子を特定する。
続いて、腐食深さ予測モデル選択部30は、腐食深さ予測モデルデータベース部24に記憶されている複数の腐食深さ予測モデルから、第1環境因子に対応する腐食深さ予測モデルを第1腐食深さ予測モデルとして選択する。第1腐食深さ予測モデルは、埋設管の腐食深さの統計量の推定経年変化と見なされ得る。例えば、管路番号ABC−1に対応づけられた埋設管の第1環境因子は、複数の第2環境因子のうち環境因子(b)に対応している。腐食深さ予測モデル選択部30は、腐食深さ予測モデルデータベース部24に記憶されている複数の腐食深さ予測モデルから、環境因子(b)に対応する腐食深さ予測モデルを選択する(図27を参照)。
<許容腐食深さ到達時期推定部35>
許容腐食深さ到達時期推定部35は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が埋設管の許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得る。
具体的には、許容腐食深さ到達時期推定部35は、埋設管の属性データ16(図3を参照)を参照して、埋設管の許容腐食深さを特定する。例えば、図3に示される管路番号ABC−1で特定される埋設管の更新時期を予測する場合、許容腐食深さ到達時期推定部35は、埋設管の属性データ16を参照して、管路番号ABC−1に対応づけられた埋設管の許容腐食深さ(例えば、6.0mm)を特定する。続いて、許容腐食深さ到達時期推定部35は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得る(図27を参照)。
図27に示されるように、許容腐食深さ到達時期推定部35は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の信頼区間の上限の経年変化が許容腐食深さに達する第4埋設期間T4をさらに得てもよい。許容腐食深さ到達時期推定部35は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の信頼区間の下限の経年変化が許容腐食深さに達する第5埋設期間T5をさらに得てもよい。
<管更新判断部40>
管更新判断部40は、第1埋設期間T1と第3埋設期間T3とを比較して、埋設管について管更新判断結果28を出力する。管更新判断結果28は、埋設管の更新時期に関する判断結果である。
具体的には、管更新判断部40は、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差を算出する。それから、管更新判断部40は、管更新判断基準データベース部25を参照して、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差に対応する管更新判断内容を得る。管更新判断基準データベース部25は、例えば、図28に示されるように、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差と、管更新判断内容とが対応づけられたデータテーブルである。図29に示されるように、管更新判断部40は、埋設管の管路番号と管更新判断内容とが対応づけられた管更新判断結果28を出力する。管更新判断結果28は、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差をさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差であってもよい。管更新判断結果28は、例えば、ハードディスク5、可搬型記憶媒体7m及びモニタ8bの少なくとも一つに出力される。管更新判断結果28は、ハードディスク5及び可搬型記憶媒体7mの少なくとも一つに格納される。管更新判断結果28は、モニタ8bに表示される。
管更新判断基準データベース部25は、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差と、管更新判断内容とが対応づけられたデータテーブルをさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差に基づく管更新判断内容を含んでもよい。管更新判断結果28は、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差をさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差であってもよい。
管更新判断基準データベース部25は、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差と、管更新判断内容とが対応づけられたデータテーブルをさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差に基づく管更新判断内容を含んでもよい。管更新判断結果28は、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差をさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差であってもよい。
<埋設管更新時期予測方法>
図30から図32を参照して、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法を説明する。
図30を参照して、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、埋設管の属性データ16を取得するステップ(S10)を備える。図3に示されるように、埋設管の属性データ16は、例えば、埋設管の管路番号と、埋設管の第1環境因子と、埋設管の第1埋設期間T1と、埋設管の許容腐食深さとを含む。第1環境因子は、埋設管が埋設されている環境を規定する因子である。第1環境因子は、土質及び土壌比抵抗の少なくとも1つを含む。本実施の形態では、第1環境因子は、土質と土壌比抵抗とを含む。第1埋設期間T1は、埋設管が埋設されている期間である。許容腐食深さは、埋設管に必要最低限要求される安全性を考慮して規定される腐食深さである。
図31を参照して、埋設管の属性データ16を取得するステップ(S10)は、例えば、埋設管の第1データ17を受け付けるステップ(S11)と、埋設管の第1環境因子を得るステップ(S12)と、埋設管の第1埋設期間T1を得るステップ(S13)と、埋設管の許容腐食深さを得るステップ(S14)と、埋設管の属性データ16を作成するステップ(S19)とを含む。
埋設管の第1データ17を受け付けるステップ(S11)では、埋設管データ受付部11が、顧客から提供される埋設管の第1データ17を受け付ける。埋設管の第1データ17は、例えば、図4に示されるように、埋設管の管路番号、埋設場所、布設(埋設)年、呼び径、接合形式、管厚の種類、土被り、静水圧及び水撃圧を含む。埋設管の第1データ17は、例えば、顧客から提供される可搬型記憶媒体7mに格納されてもよい。埋設管の第1データ17は、例えば、予めハードディスク5に格納されてもよい。
埋設管の第1環境因子を得るステップ(S12)では、埋設管属性データ取得部10が、記憶部20に含まれる環境因子データベース部21を参照して、埋設管の第1データ17に含まれる埋設場所から、埋設管の第1環境因子を得る。環境因子データベース部21は、例えば、図5に示されるように、場所と環境因子とが対応づけられたデータテーブルである。
埋設管の第1埋設期間T1を得るステップ(S13)では、埋設管属性データ取得部10は、記憶部20に記憶されている現在年(埋設管の更新時期の予測を実行する年)と埋設管の第1データ17に含まれる布設年との間の差を算出して、第1埋設期間T1を得る。
図32を参照して、埋設管の許容腐食深さを得るステップ(S14)は、例えば、埋設管の公称管厚を得るステップ(S15)と、埋設管の管厚許容差を得るステップ(S16)と、埋設管の最小許容管厚を算出するステップ(S17)と、埋設管の許容腐食深さを算出するステップ(S18)とを含む。
埋設管の公称管厚を得るステップ(S15)では、埋設管属性データ取得部10が、記憶部20に含まれる公称管厚データベース部22を参照して、埋設管の第1データ17(図4を参照)に含まれる埋設管の布設年、呼び径、接合形式及び管厚の種類から、埋設管の公称管厚を得る。公称管厚データベース部22は、例えば、図6に示されるように、管の布設年、呼び径、接合形式、管厚の種類及び公称管厚が対応づけられたデータテーブルである。埋設管の公称管厚は、埋設管の規格管厚である。管の公称管厚は、例えば、埋設管の第1データ17に含まれる埋設管の土被り、静水圧及び水撃圧並びに2.0倍の安全率で算出された計算管厚と、マージン厚さ(腐食しろ)と、管厚許容差との和によって与えられる。
埋設管の管厚許容差を得るステップ(S16)では、埋設管属性データ取得部10が、記憶部20に含まれる管厚許容差データベース部23を参照して、埋設管の管厚許容差を得る。第一の例では、管厚許容差データベース部23は、図7に示されるように、管の公称管厚と管厚許容差とが対応づけられたデータテーブルであり、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の公称管厚から、埋設管の管厚許容差を得る。第二の例では、管厚許容差データベース部23は、管厚の種類と管厚許容差とが対応づけられたデータテーブルであり、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の管厚の種類から、埋設管の管厚許容差を得る。第三の例では、管厚許容差データベース部23は、呼び径と管厚許容差とが対応づけられたデータテーブルであり、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の呼び径から、埋設管の管厚許容差を得る。
埋設管の最小許容管厚を算出するステップ(S17)では、最小許容管厚算出部12が、埋設管の第1データ17から、埋設管の最小許容管厚を算出する。最小許容管厚は、埋設管に必要最低限要求される安全性を担保するために埋設管に要求される最小限度の厚さである。最小許容管厚は、例えば、埋設管の第1データ17に含まれる埋設管の土被り、静水圧及び水撃圧並びに1.0倍の安全率で算出された計算管厚によって与えられる。
埋設管の許容腐食深さを算出するステップ(S18)では、許容腐食深さ算出部13が、埋設管の公称管厚、管厚許容差及び最小許容管厚から、埋設管の許容腐食深さを算出する。具体的には、埋設管の公称管厚から、管厚許容差及び最小許容管厚を引くことによって、埋設管の許容腐食深さが算出される。こうして、埋設管の許容腐食深さが得られる。
図31を参照して、埋設管の属性データ16を作成するステップ(S19)では、属性データ作成部14が、埋設管の第1環境因子、第1埋設期間T1及び許容腐食深さを埋設管の管路番号に対応づけて、図3に示される埋設管の属性データ16を作成する。こうして、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の属性データ16を取得する。
なお、埋設管の第1データ17が埋設管の属性データ16を含む場合には、埋設管の第1環境因子を得るステップ(S12)から埋設管の属性データ16を作成するステップ(S19)は省略され得る。
図30に示されるように、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、複数の腐食深さ予測モデルから、第1環境因子に対応する第1腐食深さ予測モデルを選択するステップ(S20)を備える。
複数の腐食深さ予測モデルは、複数の参照管の複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化を含む。複数の腐食深さ予測モデルは、複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の信頼区間の経年変化をさらに含んでもよい。複数の腐食深さ予測モデルは、例えば、環境因子(a)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図8を参照)と、環境因子(b)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図9を参照)と、環境因子(c)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図10を参照)と、環境因子(d)に埋設された管に対する腐食深さ予測モデル(図11を参照)とを含む。
複数の参照管の参照腐食深さの統計量は、第2環境因子と、第2埋設期間T2と、参照腐食深さとを含む複数の参照管の第2データ18(図12を参照)を、第2環境因子及び第2埋設期間T2毎に複数のデータ群101−140(図17から図20を参照)に仕分けて、複数のデータ群101−140の各々に含まれる複数の参照管の参照腐食深さのデータをノンパラメトリックな再標本化法で統計処理することによって得られる。ノンパラメトリックな再標本化法は、例えば、ブートストラップ法またはジャックナイフ法である。
統計量は、75パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルである。統計量は、80パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、90パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、95パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、97.5パーセンタイル以上のいずれかのパーセンタイルであってもよい。統計量は、100パーセンタイル未満のいずれかのパーセンタイルである。
複数の腐食深さ予測モデルから、第1環境因子に対応する第1腐食深さ予測モデルを選択するステップ(S20)では、腐食深さ予測モデル選択部30は、図3に示される埋設管の属性データ16を参照して、埋設管の第1環境因子を特定する。それから、腐食深さ予測モデル選択部30は、腐食深さ予測モデルデータベース部24に記憶されている複数の腐食深さ予測モデルから、第1環境因子に対応する腐食深さ予測モデルを第1腐食深さ予測モデルとして選択する。第1腐食深さ予測モデルは、埋設管の腐食深さの統計量の推定経年変化と見なされ得る。
図30に示されるように、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が埋設管の許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得るステップ(S30)を備える。
具体的には、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が埋設管の許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得るステップ(S30)では、許容腐食深さ到達時期推定部35は、図3に示される埋設管の属性データ16を参照して、埋設管の許容腐食深さを特定する。それから、許容腐食深さ到達時期推定部35は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が許容腐食深さに達する埋設期間を、第3埋設期間T3として得る(図27を参照)。
第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が埋設管の許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得るステップ(S30)では、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の信頼区間の上限の経年変化が許容腐食深さに達する第4埋設期間T4をさらに得てもよい。第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が埋設管の許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得るステップ(S30)では、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の信頼区間の下限の経年変化が許容腐食深さに達する第5埋設期間T5をさらに得てもよい。
図30に示されるように、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、第1埋設期間T1と第3埋設期間T3とを比較して、埋設管の更新時期に関する判断結果を出力するステップ(S40)を備える。管更新判断結果28は、埋設管の更新時期に関する判断結果である。
埋設管の更新時期に関する判断結果を出力するステップ(S40)では、管更新判断部40は、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差を算出する。管更新判断部40は、管更新判断基準データベース部25を参照して、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差に対応する管更新判断内容を得る。管更新判断基準データベース部25は、例えば、図28に示されるように、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差と、管更新判断内容とが対応づけられたデータテーブルである。図29に示されるように、管更新判断部40は、埋設管の管路番号と管更新判断内容とが対応づけられた管更新判断結果28を出力する。管更新判断結果28は、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差をさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第3埋設期間T3と第1埋設期間T1との間の差であってもよい。管更新判断結果28は、例えば、ハードディスク5、可搬型記憶媒体7m及びモニタ8bの少なくとも一つに出力される。管更新判断結果28は、ハードディスク5及び可搬型記憶媒体7mの少なくとも一つに格納される。管更新判断結果28は、モニタ8bに表示される。
管更新判断基準データベース部25は、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差と、管更新判断内容とが対応づけられたデータテーブルをさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差に基づく管更新判断内容を含んでもよい。管更新判断結果28は、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差をさらにを含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第4埋設期間T4と第1埋設期間T1との間の差であってもよい。
管更新判断基準データベース部25は、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差と、管更新判断内容とが対応づけられたデータテーブルをさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差に基づく管更新判断内容を含んでもよい。管更新判断結果28は、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差をさらに含んでもよい。管更新判断結果28は、埋設管の管路番号に対応づけられた、第5埋設期間T5と第1埋設期間T1との間の差であってもよい。
本実施の形態のプログラムは、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させる。本実施の形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させるプログラムが記録されている。
本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1、埋設管更新時期予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の効果を説明する。
本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1は、埋設管属性データ取得部10と、腐食深さ予測モデル選択部30と、許容腐食深さ到達時期推定部35と、管更新判断部40とを備える。埋設管属性データ取得部10は、埋設管の属性データ16を取得する。埋設管の属性データ16は、埋設管の第1環境因子と、埋設管の第1埋設期間T1と、埋設管の許容腐食深さとを含む。腐食深さ予測モデル選択部30は、複数の腐食深さ予測モデルから、第1環境因子に対応する第1腐食深さ予測モデルを選択する。複数の腐食深さ予測モデルは、複数の参照管の複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化である。許容腐食深さ到達時期推定部35は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が埋設管の許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得る。管更新判断部40は、第1埋設期間T1と第3埋設期間T3とを比較して、埋設管の更新時期に関する判断結果を出力する。
複数の参照管の参照腐食深さの統計量は、複数の参照管の第2環境因子と、複数の参照管の第2埋設期間T2と、複数の参照管の参照腐食深さとを含む複数の参照管の参照データ(第2データ18)を、第2環境因子及び第2埋設期間T2毎に複数のデータ群101−140に仕分けて、複数のデータ群101−140の各々に含まれる複数の参照管の参照腐食深さのデータをノンパラメトリックな再標本化法で統計処理することによって得られる。
本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1では、第1の腐食深さ予測モデルを用いて、埋設管の更新時期を予測している。第1の腐食深さ予測モデルは、複数の参照管の参照腐食深さのデータをノンパラメトリックな再標本化法で統計処理することによって得られている。そのため、埋設管の更新時期を予測する際に、ゼロの参照腐食深さを有する複数の参照管の参照データ(第2データ18)が用いられ得る。また、埋設管の更新時期の予測に、第2環境因子及び第2埋設期間T2に応じた複数の参照管の参照腐食深さのばらつきが反映されている。さらに、第1の腐食深さ予測モデルは、埋設管の第1環境因子に対応する腐食深さ予測モデルである。本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1によれば、より実用的な埋設管の更新時期をより正確に予測することができる。
本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1では、複数の参照管の参照腐食深さの統計量は、75パーセンタイル以上100パーセンタイル未満のいずれかのパーセンタイルである。従来の埋設管の腐食予測式では、平均的な腐食速度で腐食する埋設管の更新時期、すなわち、約半数の埋設管を更新する必要がある時期を予測することができるに過ぎなかった。そのため、得られる埋設管の更新時期の予測結果は、実際に埋設管を更新する必要がある時期よりも非常に遅く、実用的な埋設管の更新時期を予測することができなかった。これに対し、本実施の形態では、より少ない割合の埋設管を更新する必要がある時期を予測することができる。本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1によれば、より実用的な埋設管の更新時期をより正確に予測することができる。
本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、埋設管の属性データ16を取得するステップ(S10)を備える。埋設管の属性データ16は、埋設管の第1環境因子と、埋設管の第1埋設期間T1と、埋設管の許容腐食深さとを含む。本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、複数の腐食深さ予測モデルから、第1環境因子に対応する第1腐食深さ予測モデルを選択するステップ(S20)を備える。複数の腐食深さ予測モデルは、複数の参照管の複数の第2環境因子毎に得られた複数の参照管の参照腐食深さの統計量の経年変化である。本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、第1腐食深さ予測モデルの参照腐食深さの統計量の経年変化が埋設管の許容腐食深さに達する第3埋設期間T3を得るステップ(S30)を備える。本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、第1埋設期間T1と第3埋設期間T3とを比較して、埋設管の更新時期に関する判断結果を出力するステップ(S40)を備える。
複数の参照管の参照腐食深さの統計量は、複数の参照管の第2環境因子と、複数の参照管の第2埋設期間T2と、複数の参照管の参照腐食深さとを含む複数の参照管の参照データ(第2データ18)を、第2環境因子及び第2埋設期間T2毎に複数のデータ群101−140に仕分けて、複数のデータ群101−140の各々に含まれる複数の参照管の参照腐食深さのデータをノンパラメトリックな再標本化法で統計処理することによって得られる。
本実施の形態の埋設管更新時期予測方法では、第1の腐食深さ予測モデルを用いて、埋設管の更新時期を予測している。第1の腐食深さ予測モデルは、複数の参照管の参照腐食深さのデータをノンパラメトリックな再標本化法で統計処理することによって得られている。そのため、埋設管の更新時期を予測する際に、ゼロの参照腐食深さを有する複数の参照管の参照データ(第2データ18)が用いられ得る。また、埋設管の更新時期の予測に、第2環境因子及び第2埋設期間T2に応じた複数の参照管の参照腐食深さのばらつきが反映されている。さらに、第1の腐食深さ予測モデルは、埋設管の第1環境因子に対応する腐食深さ予測モデルである。本実施の形態の埋設管更新時期予測方法によれば、より実用的な埋設管の更新時期をより正確に予測することができる。
本実施の形態の埋設管更新時期予測方法では、複数の参照管の参照腐食深さの統計量は、75パーセンタイル以上100パーセンタイル未満のいずれかのパーセンタイルである。従来の埋設管の腐食予測式では、平均的な腐食速度で腐食する埋設管の更新時期、すなわち、約半数の埋設管を更新する必要がある時期を予測することができるに過ぎなかった。そのため、得られる埋設管の更新時期の予測結果は、実際に埋設管を更新する必要がある時期よりも非常に遅く、実用的な埋設管の更新時期を予測することができなかった。これに対し、本実施の形態では、より少ない割合の埋設管を更新する必要がある時期を予測することができる。そのため、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法によれば、より実用的な埋設管の更新時期をより正確に予測することができる。
本実施の形態のプログラムは、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサに実行させる。本実施の形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、本実施の形態のプログラムが記録されている。本実施の形態のプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、より実用的な埋設管の更新時期をより正確に予測するすることを可能にする。
(実施の形態2)
図33及び図34を参照して、実施の形態2の埋設管更新時期予測装置1bを説明する。本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1bは、実施の形態1の埋設管更新時期予測装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
図33に示されるように、埋設管更新時期予測装置1bは、インターネットのような通信ネットワーク90を介して、クライアント端末80に通信可能に接続されている。埋設管更新時期予測装置1bは、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)端末またはサーバである。埋設管更新時期予測装置1bは、埋設管の第1データ17(図4を参照)を、インターネットのような通信ネットワーク90を経由して、クライアント端末80から受信する。
図35を参照して、クライアント端末80のハードウェア構成を説明する。クライアント端末80は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)端末、または、スマートフォンもしくはタブレット端末のような携帯端末である。具体的には、クライアント端末80は、プロセッサ(例えば、CPU82)と、ROM83と、RAM84と、記憶部85と、通信部86と、入力部87と、モニタ88とを含む。プロセッサは、クライアント端末80の制御装置として機能する演算装置である。ROM83は、プロセッサで実行されるプログラムなどを不揮発的に記憶する。RAM84は、プロセッサでプログラムを実行する際の作業領域として機能する。
記憶部85は、例えば、ハードディスクまたはフラッシュメモリである。記憶部85は、埋設管の第1データ17(図4を参照)を格納している。通信部86は、クライアント端末80が、通信ネットワーク90を介して、埋設管更新時期予測装置1bと通信を行うために用いられる。記憶部85に格納されている埋設管の第1データ17(図4を参照)は、通信部86から、通信ネットワーク90を経由して、埋設管更新時期予測装置1bに送信される。入力部87は、例えば、マウス、キーボードまたはタッチパネルを含む。モニタ88は、例えば、液晶表示装置である。
図33に示されるように、埋設管更新時期予測装置1bは、通信ネットワーク90を介して、記憶ユニット55に通信可能に接続されている。記憶ユニット55は、環境因子データベース部21と、公称管厚データベース部22と、管厚許容差データベース部23とを含む。図34を参照して、埋設管更新時期予測装置1bの記憶部20は、腐食深さ予測モデルデータベース部24及び管更新判断基準データベース部25を含んでいるが、環境因子データベース部21、公称管厚データベース部22及び管厚許容差データベース部23を含んでいない。
図34を参照して、埋設管データ受付部11は、クライアント端末80から、通信ネットワーク90を経由して、埋設管の第1データ17(図4を参照)を受信する。管更新判断部40は、管更新判断結果28(図29を参照)を、通信ネットワーク90を経由して、クライアント端末80に送信する。管更新判断結果28(図29を参照)は、記憶部85(図35を参照)に格納され、モニタ88(図35を参照)に表示される。管更新判断部40は、管更新判断結果28(図29を参照)を、ハードディスク5、可搬型記憶媒体7m及びモニタ8bの少なくとも一つに出力してもよい。
本実施の形態では、埋設管更新時期予測装置1b及び記憶ユニット55は、埋設管更新時期予測システム50を構成している。
本実施の形態の埋設管更新時期予測方法を説明する。本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、実施の形態1の埋設管更新時期予測方法と同様のステップを備えるが、主に以下の点で異なる。
埋設管の第1データ17を受け付けるステップ(S11)では、埋設管データ受付部11が、クライアント端末80から、通信ネットワーク90を経由して、埋設管の第1データ17(図4を参照)を受信する。
埋設管の第1環境因子を得るステップ(S12)では、埋設管属性データ取得部10は、通信ネットワーク90を経由して、記憶ユニット55に含まれる環境因子データベース部21を参照する。埋設管属性データ取得部10は、埋設管の第1データ17(図4を参照)に含まれる埋設場所から、埋設管の第1環境因子を得る。
埋設管の公称管厚を得るステップ(S15)では、埋設管属性データ取得部10は、通信ネットワーク90を経由して、記憶ユニット55に含まれる公称管厚データベース部22を参照する。そして、埋設管属性データ取得部10は、埋設管の第1データ17(図4を参照)に含まれる埋設管の布設年、呼び径、接合形式及び管厚の種類から、埋設管の公称管厚を得る。
埋設管の管厚許容差を得るステップ(S16)では、埋設管属性データ取得部10は、通信ネットワーク90を経由して、記憶ユニット55に含まれる管厚許容差データベース部23を参照して、埋設管の管厚許容差を得る。
埋設管の更新時期に関する判断結果を出力するステップ(S40)では、管更新判断部40は、管更新判断結果28(図29を参照)を、通信ネットワーク90を経由して、クライアント端末80に送信する。管更新判断結果28(図29を参照)は、記憶部85(図35を参照)に格納され、モニタ88(図35を参照)に表示される。管更新判断部40は、管更新判断結果28(図29を参照)を、ハードディスク5、可搬型記憶媒体7m及びモニタ8bの少なくとも一つに出力してもよい。
本実施の形態のプログラムは、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させる。本実施の形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させるプログラムが記録されている。
本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1b、埋設管更新時期予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、実施の形態1の埋設管更新時期予測装置1、埋設管更新時期予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体と同様の効果を奏する。
(実施の形態3)
図36及び図37を参照して、実施の形態3の埋設管更新時期予測装置1cを説明する。本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1cは、実施の形態2の埋設管更新時期予測装置1bと同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
図36に示されるように、埋設管更新時期予測装置1cは、インターネットのような通信ネットワーク90を介して、属性データ作成ユニット60に通信可能に接続されている。埋設管更新時期予測装置1cは、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)端末またはサーバである。埋設管更新時期予測装置1cは、埋設管データ受付部11と、許容腐食深さ算出部13と、最小許容管厚算出部12と、属性データ作成部14とを含んでいない。埋設管更新時期予測装置1cは、モニタ8b(図1を参照)を含んでいなくてもよい。
管更新判断部40は、管更新判断結果28(図29を参照)を、通信ネットワーク90を経由して、属性データ作成ユニット60に送信する。属性データ作成ユニット60は、管更新判断結果28を、通信ネットワーク90を経由して、クライアント端末80に送信する。属性データ作成ユニット60は、クライアント端末80に対して、送受信部として機能する。
図36に示されるように、属性データ作成ユニット60は、通信ネットワーク90を介して、埋設管更新時期予測装置1c、記憶ユニット55及びクライアント端末80に通信可能に接続されている。属性データ作成ユニット60は、埋設管データ受付部11と、最小許容管厚算出部12と、許容腐食深さ算出部13と、属性データ作成部14とを含む。
図37を参照して、属性データ作成ユニット60のハードウェア構成を説明する。属性データ作成ユニット60は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)端末、または、サーバである。具体的には、属性データ作成ユニット60は、プロセッサ(例えば、CPU62)と、ROM63と、RAM64と、ハードディスク65と、通信部66と、入力部67と、モニタ68とを含む。プロセッサは、属性データ作成ユニット60の制御装置として機能する演算装置である。ROM63は、プロセッサで実行されるプログラムなどを不揮発的に記憶する。RAM64は、プロセッサでプログラムを実行する際の作業領域として機能する。
ハードディスク65は、クライアント端末80から受信した埋設管の第1データ17(図4を参照)を格納している。ハードディスク65は、埋設管の属性データ16を格納している。通信部66は、属性データ作成ユニット60が、通信ネットワーク90を介して、埋設管更新時期予測装置1c、記憶ユニット55及びクライアント端末80と通信を行うために用いられる。入力部67は、例えば、マウス、キーボードまたはタッチパネルを含む。モニタ68は、例えば、液晶表示装置である。埋設管更新時期予測装置1cから受信した管更新判断結果28(図29を参照)は、ハードディスク65に格納される。管更新判断結果28は、モニタ68に表示されてもよい。
本実施の形態では、埋設管更新時期予測装置1cと、記憶ユニット55と、属性データ作成ユニット60とは、埋設管更新時期予測システム50cを構成している。
本実施の形態の埋設管更新時期予測方法を説明する。本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、実施の形態2の埋設管更新時期予測方法と同様のステップを備えるが、主に以下の点で異なる。
本実施の形態の埋設管更新時期予測方法では、埋設管の属性データ16を取得するステップ(S10)は、属性データ作成ユニット60で行われる。すなわち、埋設管の第1データ17を受け付けるステップ(S11)と、埋設管の第1環境因子を得るステップ(S12)と、埋設管の第1埋設期間T1を得るステップ(S13)と、埋設管の許容腐食深さを得るステップ(S14)と、埋設管の属性データ16を作成するステップ(S19)とは、属性データ作成ユニット60で行われる。埋設管の属性データ16が、属性データ作成ユニット60で作成される。属性データ作成ユニット60は、埋設管の属性データ16を、通信ネットワーク90を経由して、埋設管更新時期予測装置1cに送信する。埋設管更新時期予測装置1cに含まれる埋設管属性データ取得部10は、属性データ作成ユニット60から、通信ネットワーク90を経由して、埋設管の属性データ16を受信する。
埋設管の更新時期に関する判断結果を出力するステップ(S40)では、管更新判断部40は、管更新判断結果28を、通信ネットワーク90を経由して、属性データ作成ユニット60に送信する。埋設管更新時期予測装置1cから受信した管更新判断結果28は、ハードディスク65に格納される。管更新判断結果28は、モニタ68に表示されてもよい。属性データ作成ユニット60は、管更新判断結果28を、通信ネットワーク90を経由して、クライアント端末80に送信する。管更新判断結果28は、記憶部85(図35を参照)に格納され、モニタ88(図35を参照)に表示される。
本実施の形態のプログラムは、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させる。本実施の形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させるプログラムが記録されている。
本実施の形態では、腐食深さ予測モデルデータベース部24と、管更新判断基準データベース部25とは、埋設管更新時期予測装置1cの記憶部20に含まれているが、腐食深さ予測モデルデータベース部24と、管更新判断基準データベース部25とは、記憶ユニット55に含まれてもよい。
本実施の形態では、埋設管属性データ取得部10と、腐食深さ予測モデル選択部30と、許容腐食深さ到達時期推定部35と、管更新判断部40とが、一台のコンピュータ装置に実装されているが、埋設管属性データ取得部10と、腐食深さ予測モデル選択部30と、許容腐食深さ到達時期推定部35と、管更新判断部40とが、複数台のコンピュータ装置に実装されており、この複数台のコンピュータが、互いに通信ネットワーク90を介して通信可能に接続されてもよい。すなわち、埋設管属性データ取得部10と腐食深さ予測モデル選択部30と許容腐食深さ到達時期推定部35と管更新判断部40とが実装された複数台のコンピュータは、埋設管更新時期予測サブシステムを構成してもよい。本明細書の埋設管更新時期予測装置1cは、このような埋設管更新時期予測サブシステムも含む。
本実施の形態の埋設管更新時期予測装置1c、埋設管更新時期予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、実施の形態1の埋設管更新時期予測装置1、埋設管更新時期予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体と同様の効果を奏する。
(実施の形態4)
図38から図45を参照して、実施の形態4の埋設管更新時期予測装置及び埋設管更新時期予測方法を説明する。本実施の形態の埋設管更新時期予測装置は、実施の形態1の埋設管更新時期予測装置1と同様の構成を備え、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法は、実施の形態1の埋設管更新時期予測方法と同様のステップを備えるが、主に以下の点で異なる。
図38に示されるように、本実施の形態の埋設管更新時期予測装置及び埋設管更新時期予測方法では、第1環境因子は、埋設管と埋設管の最寄りの海成粘土層との間の第1の距離をさらに含む。図39に示されるように、本実施の形態の埋設管更新時期予測装置及び埋設管更新時期予測方法では、環境因子データベース部21は、場所と、当該場所の最寄りの海成粘土層との間の距離をさらに含む。図40に示されるように、本実施の形態の埋設管更新時期予測装置及び埋設管更新時期予測方法では、第2環境因子は、複数の参照管の各々と複数の参照管の各々の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離をさらに含む。
例えば、管(埋設管及び複数の参照管)の埋設場所の住所または海成粘土層の住所が、町レベルまたは区レベルでしか特定できない場合には、図41に示されるように、管の埋設場所の住所の代表地点と最寄りの海成粘土層の住所の代表地点との間の距離を、管と管の最寄りの海成粘土層との間の距離と見なす。管の埋設場所の住所の代表地点は、例えば、管の埋設場所の住所の中央地点と定めてもよく、最寄りの海成粘土層の住所の代表地点は、例えば、最寄りの海成粘土層の住所の中央地点と定めてもよい。
本実施の形態のプログラムは、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させる。本実施の形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本実施の形態の埋設管更新時期予測方法をプロセッサ(CPU2)に実行させるプログラムが記録されている。
本実施の形態において、第1環境因子に第1の距離を含め、第2環境因子に第2の距離を含める理由を説明する。本実施の形態に用いられた複数の参照管の第2データ18から、図42に示される、複数の参照管と複数の参照管の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離毎の複数の参照管の腐食速度の分布が得られた。図42に示される箱ひげ図は、距離B−Fの各々について、複数の参照管の腐食速度の2.5パーセンタイル、25パーセンタイル、50パーセンタイル、75パーセンタイル、97.5パーセンタイルを示す。
距離Bは、複数の参照管の埋設場所(複数の参照管の調査地点)が複数の参照管の最寄りの海成粘土層と同じ住所内(例えば、同一町内)にあることを意味する。距離Cは、複数の参照管が複数の参照管の最寄りの海成粘土層と異なる住所に埋設されており、かつ、複数の参照管と複数の参照管の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離が35m以上300m未満であることを意味する。距離Dは、複数の参照管が複数の参照管の最寄りの海成粘土層と異なる住所に埋設されており、かつ、複数の参照管と複数の参照管の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離が300m以上500m未満であることを意味する。距離Eは、複数の参照管が複数の参照管の最寄りの海成粘土層と異なる住所に埋設されており、かつ、複数の参照管と複数の参照管の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離が500m以上1000m未満であることを意味する。距離Fは、複数の参照管が複数の参照管の最寄りの海成粘土層と異なる住所に埋設されており、かつ、複数の参照管と複数の参照管の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離が1000m以上であることを意味する。
クラスカル−ウォリス検定を用いて距離B−F間で複数の参照管の腐食速度の中央値の差を検定したところ、5%有意水準で、距離B−F間において複数の参照管の腐食速度に有意な差が認められた。
さらに、図43から図45に示されるように、本実施の形態に用いられた複数の参照管の第2データ18から、環境因子(a)、(c)及び(d)における距離B−F毎の複数の参照管の腐食速度の分布が得られた。環境因子(a)、(c)及び(d)の各々について、スティール−ドゥワスの多重比較検定を行ったところ、距離Bと距離C−Fとの間において、複数の参照管の腐食速度に有意な差が認められた。そのため、本実施の形態において、第1環境因子に、埋設管と埋設管の最寄りの海成粘土層との間の第1の距離を含め、第2環境因子に、複数の参照管と複数の参照管の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離を含めることにした。
海成粘土層は、過去に海だった場所で堆積した粘土層が隆起して形成される。今回得られた複数の参照管の第2データ18を分析したところ、複数の参照管と複数の参照管の最寄りの海成粘土層との間の第2の距離が減少するにつれて、土壌に含まれる硫酸イオンの中央値が増加し、土壌の酸化還元電位(Redox電位)の中央値が減少する傾向にあることが分かった。管が埋設されている土壌に含まれる硫酸イオンと、管が埋設されている土壌の酸化還元電位は、管の腐食速度に影響を及ぼす可能性が高い。管の埋設場所と管の最寄りの海成粘土層との間の距離を埋設管の更新時期の予測に含めることは、より実用的な埋設管の更新時期をより正確に予測することを可能にする。
今回開示された実施の形態1−4はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態1−4の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。