JP2020051371A - 内燃機関のオイル落とし通路の構造 - Google Patents

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大輔 岡林
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大輔 岡林
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【課題】ブローバイ通路からカム室に流入した新気がオイル落とし通路を通じて直接クランク室に流れ込むことを抑制する。【解決手段】内燃機関のシリンダヘッド71からシリンダブロック72を経由してクランクケース及びオイルパンへと向かうエンジンオイルを流下させるオイル落とし通路5の中途に、エンジンオイル0が溜まることで通路を封じシリンダヘッド71側からクランクケース側に空気が流れることを抑止するトラップ52を設けることとした。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関のシリンダヘッドからシリンダブロックを経由してクランクケース及びオイルパンへと向かうエンジンオイルを流下させるオイル落とし通路の構造に関する。
内燃機関は内部に多くの摺動部や回転部を有しており、それら各所にエンジンオイルを供給して摩擦抵抗を減少させることが求められる。多くの内燃機関にあっては、クランクケースの最下部にオイルパンを配置し、オイルパンに貯留したエンジンオイルをオイルポンプにより吸引、吐出して、シリンダヘッドを含む各所に向けて圧送している。シリンダヘッドにおいて吸排気カムシャフトの軸受等の潤滑を終えたオイルは、シリンダヘッド及びシリンダブロックに形成したオイル落とし通路を流下して、オイルパンへと帰還する(例えば、下記特許文献1及び2を参照)。
内燃機関のクランク室は、気筒のボア内壁及びピストンにより燃焼室から隔絶されている。だが、この隔絶は完全なものではなく、内燃機関の圧縮行程では未燃焼ガスが、また膨張行程では燃焼ガスが、ボア内壁とピストンとの隙間からクランク室内に漏洩する。漏洩したブローバイガスは、内燃機関本体の腐食や、オイルパンに蓄えているオイルの劣化をもたらす。そのため、内燃機関に、クランク室に溜まるブローバイガスを換気する装置を付設することが通例となっている。
ブローバイガス還流装置は、シリンダヘッド及びシリンダヘッドカバーが包有するカム室を吸気通路におけるエアクリーナの下流に連通するブローバイ通路(新気通路)と、クランクケース内のクランク室を吸気通路におけるサージタンクに連通するPCV通路と、このPCV通路を開閉するPCVバルブとを備える。クランク室内のブローバイガスは、PCV通路経由で吸気通路に送り出され、吸気とともに気筒に充填されて、最終的に燃焼室内で再燃焼される。PCVバルブは、吸気通路からクランク室に向けたブローバイガス及び吸気の逆流を阻止する。ブローバイ通路からカム室に供給される新気即ち空気は、内燃機関のクランクシャフトとカムシャフトとを連動させる巻掛伝動機構を構成しているタイミングチェーン及びスプロケットを収容するチェーンカバー(チェーンケース)室を流通し、しかる後にクランク室に流入する。これにより、チェーンカバー室及びクランク室内のブローバイガスを掃気する(例えば、下記特許文献3を参照)。
実開昭62−175206号公報 特開2013−113276号公報 特開2015−124696号公報
だが、ブローバイガスの換気のためにカム室に供給された新気の少なくとも一部が、適切にチェーンカバー室に流入せず、シリンダヘッド及びシリンダブロックに形成したオイル落とし通路を経由して直接クランク室に流れ込むことがあった。オイル落とし通路の開口断面積はできる限り大きく確保されており、オイルポンプが吐出するオイルの流量が少ない低回転域では、オイルだけでなく新気も通過できてしまう。
新気がカム室からオイル落とし通路経由でクランク室に流れると、チェーンカバー室及びクランク室が十分に換気されず、両室内のブローバイガス濃度が上昇する。また、オイル落とし通路を新気が流通する分、シリンダヘッドからオイルパンに向けてオイルが流下しにくくなる懸念もある。
以上の問題に初めて着目してなされた本発明は、ブローバイ通路からカム室に流入した新気がオイル落とし通路を通じて直接クランク室に流れ込むことを抑制しようとするものである。
本発明では、内燃機関のシリンダヘッドからシリンダブロックを経由してクランクケース及びオイルパンへと向かうエンジンオイルを流下させるオイル落とし通路の構造であって、エンジンオイルが溜まることで通路を封じシリンダヘッド側からクランクケース側に空気が流れることを抑止するトラップを中途に設けたオイル落とし通路の構造を構成した。
本発明によれば、ブローバイ通路からカム室に流入した新気がオイル落とし通路を通じて直接クランク室に流れ込むことを抑制することができる。
本発明の一実施形態における内燃機関の概略構成を示す図。 同実施形態の内燃機関のオイル落とし通路の構造を示す側断面図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態の内燃機関は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から新気即ち空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
ブローバイガス還流装置6は、内燃機関の内室81、82、83で発生するブローバイガスを吸気通路3に送り出すためのものであって、PCV通路61及びPCVバルブ62と、ブローバイ通路63とを要素とする。
PCV通路61は、その一端がクランクケース73に接続し、他端が吸気通路3における吸気負圧が生じるスロットルバルブ33の下流の所定部位、例えばサージタンク33に接続している。即ち、PCV通路61は、クランク室81を吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側に連通せしめる。クランク室81内にあるブローバイガスは、このPCV通路61を経由して吸気通路3に排出される。
PCVバルブ62は、制御信号を入力することで開閉でき、またはその開度を任意に制御できる電磁式のバルブであって、PCV通路61を流通するブローバイガスの流量を増減させる。PCVバルブ62は、PCV通路61のクランク室81への接続箇所に設置する。
クランク室81とPCVバルブ62との間には、図示しないオイルセパレータを介設する。オイルセパレータは、ラビリンス構造を有し、流通するガスに含まれる潤滑油を当該ガスから分離させる気液分離作用を営むもので、クランク室81から潤滑油が失われることを抑止する。
ブローバイ通路63は、その一端がシリンダヘッドカバー70に接続し、他端が吸気通路3におけるスロットルバルブ32の上流の所定部位、例えばエアクリーナ31の直後に接続している。即ち、ブローバイ通路63は、カム室82を吸気通路3におけるスロットルバルブ32の上流側に連通せしめる。ブローバイ通路63のカム室82への接続箇所にもやはり、オイルセパレータを設けてある。
PCVバルブ62が開いているとき、カム室82及びクランク室81内のブローバイガスが、PCVバルブ62及びPCV通路61を経由して吸気通路3に送り出される。同時に、吸気通路3からブローバイ通路63を経由してカム室82に新気が流れ込む。この新気は、タイミングチェーン及びスプロケットを覆うチェーンカバー75の内側のチェーンカバー室83に流入し、当該チェーンカバー室83を経由してクランク室81に流れ込む。これにより、カム室82、チェーンカバー室83及びクランク室81内が換気される。吸気通路3のサージタンク33に還流したブローバイガスは、気筒1に充填されて再燃焼される。
カム室82に面するシリンダヘッド71には、吸気カムシャフト及び排気カムシャフトが配設され、それらカムシャフト及びこれを受ける軸受等を潤滑するためにエンジンオイルが供給される。カムシャフトや軸受等の潤滑を終えたオイルは、シリンダヘッド71及びシリンダブロック72に跨って形成したオイル落とし通路5を流下して、クランクケース73の最下部のオイルパン74へと帰還する。
図2に、本実施形態におけるオイル落とし通路5の構造を示す。シリンダヘッド71には、当該シリンダヘッド71を上下に貫通しかつシリンダブロック72に対向する合わせ面(下面)710に開口する流下路51と、同合わせ面710における当該流下路51の開口から偏倚した位置に形成した上方に凹む凹部53とを設ける。凹部53は、シリンダヘッド71を上下に貫通しない有底のもので、流下路51とは隔壁55により隔てられている。
シリンダブロック72には、当該シリンダブロック72を上下に貫通しかつシリンダヘッド71に対向する合わせ面(上面)720に開口する流下路54と、同合わせ面720における当該流下路54の開口から偏倚した位置に形成した下方に凹む凹部52とを設ける。凹部52は、シリンダブロック72を上下に貫通しない有底のもので、流下路54とは隔壁56により隔てられている。
図2に示しているように、シリンダヘッド71とシリンダブロック72とを合わせ面710、720を合わせるようにして(実際には、両合わせ面710、720の間にはガスケットを配する)接合したとき、シリンダヘッド71の流下路51とシリンダブロック72の凹部52とが連通し、その凹部52とシリンダヘッド71の凹部53とが連通し、その凹部53とシリンダブロック72の流下路54とが連通する。そして、シリンダブロック72の凹部52がトラップとなり、この凹部52に溜まったオイル0がオイル落とし通路5を封じるように(いわば、封水と)なる。従って、ブローバイ通路63からカム室82に供給された新気がオイル落とし通路5を流通して直接クランク室81に向かうことが阻まれる。
一方で、流下路51からオイルが流下し、凹部52に溜まっているオイルの量が凹部52の容積を超えると、その超過した分のオイルが凹部53を経て流下路54に到達し、この流下路54に沿って適切にクランクケース73及びオイルパン74に向かって流下することとなる。
本実施形態によれば、図2中に太い矢印で表しているように、ブローバイガスの換気のために吸気通路3からカム室82に供給された新気が、適切にチェーンカバー室83に流入するようになり、チェーンカバー室83及びクランク室81が十分に換気され、両室81、83内のブローバイガス濃度が低下する。また、オイル落とし通路5を新気が流れることでシリンダヘッド71からオイルパン74に向けてオイルが流下しにくくなる懸念も払拭される。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、シリンダヘッド71及びシリンダブロック72の合わせ面710、720に凹部52、53を開口させて形成することにより、オイル溜まりとなるトラップ52を簡便に実現していた。これと比較して製造工程が複雑化するきらいがあるが、シリンダブロックの内部、またはシリンダヘッドの内部に、いわゆるSトラップやPトラップ等の如き形状を有したオイル落とし通路を作り込むことも可能である。
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関に適用することができる。
5…オイル落とし通路
52…トラップ(凹部)
71…シリンダヘッド
72…シリンダブロック
73…クランクケース
74…オイルパン

Claims (1)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドからシリンダブロックを経由してクランクケース及びオイルパンへと向かうエンジンオイルを流下させるオイル落とし通路の構造であって、
    エンジンオイルが溜まることで通路を封じシリンダヘッド側からクランクケース側に空気が流れることを抑止するトラップを中途に設けたオイル落とし通路の構造。
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