JP2020050731A - 水性インクジェットインクセット及び金属加飾物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加飾物の耐擦過性を改善する水性インクジェットインクセットを提供することである。【解決手段】水と、色材と、ポリオール樹脂とを含む水性インクジェットインクと、水と、水分散性ポリイソシアネートとを含む前処理剤とを備え、水性インクジェットインク及び前処理剤のうち少なくとも一方はアルミニウムカップリング剤を含む、水性インクジェットインクセットである。【選択図】なし
Description
本発明は、水性インクジェットインクセット及び金属加飾物の製造方法に関する。
金属基材は、その耐熱性、耐久性、加工性等の性質により、様々な建築資材や家具、日用品に用いられている。見た目や質感が重視される用途も多く、金属基材に対して様々な加飾方法が検討されている。
金属基材への加飾方法としては、表面を立体加工して凹凸形状等を付与する方法や、塗装、印刷により色や模様をつける方法、ファブリックで覆う方法等がある。よりユーザーのニーズに対応し表現の幅を広げるためには、オンデマンド印刷による加飾方法が適している。
金属基材への加飾方法としては、表面を立体加工して凹凸形状等を付与する方法や、塗装、印刷により色や模様をつける方法、ファブリックで覆う方法等がある。よりユーザーのニーズに対応し表現の幅を広げるためには、オンデマンド印刷による加飾方法が適している。
インクジェット印刷システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、基材に付着させて印刷を行う印刷システムであって、オンデマンド印刷に対応することができる。この印刷システムは、比較的安価な装置で、高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能である。
インクジェットインクとしては、安価に高画質の印刷物が得られることから、水性タイプのインクが普及している。水性インクは、水分を含有することにより乾燥性を高めたインクであり、基材上でインク中の水分が蒸発することで、基材上に画像が定着されるようになる。
インクジェットインクとしては、安価に高画質の印刷物が得られることから、水性タイプのインクが普及している。水性インクは、水分を含有することにより乾燥性を高めたインクであり、基材上でインク中の水分が蒸発することで、基材上に画像が定着されるようになる。
金属基材等の非浸透性基材では、水性インクを用いると、基材上でインクが乾燥する前に、インクが基材からはじかれて、画像が定着しにくい問題がある。また、水性インクは、非浸透性基材に対して親和性が低くなりやすく、基材への定着性が低下する問題がある。
金属基材上に、多孔質層又はインク受容層を形成し、その上からインクジェット印刷することで、金属基板を加飾する方法がある。
特許文献1には、樹脂層で被覆された金属板に、無機系粒子と樹脂を含む多孔質層が形成され、その上にインクジェット印刷によって模様や文字等を描画する方法が提案されている。
特許文献2には、インク受容層を担持するアルミニウム基板に、インクジェット記録方式により記録を行う方法において、インク受容層は、共重合体エマルジョンと、カチオン性化合物と、無機充填剤とを含む塗工液を用いて形成されることが提案されている。
特許文献1には、樹脂層で被覆された金属板に、無機系粒子と樹脂を含む多孔質層が形成され、その上にインクジェット印刷によって模様や文字等を描画する方法が提案されている。
特許文献2には、インク受容層を担持するアルミニウム基板に、インクジェット記録方式により記録を行う方法において、インク受容層は、共重合体エマルジョンと、カチオン性化合物と、無機充填剤とを含む塗工液を用いて形成されることが提案されている。
また、浸透性基材又は非浸透性機材に前処理剤を付着させ、次いでインクジェット印刷することで、塗膜の定着性を改善する方法がある。
特許文献3には、水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤、及び、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有する水性インクを有するインクジェット用インクセットが提案されている。
特許文献3には、水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤、及び、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有する水性インクを有するインクジェット用インクセットが提案されている。
特許文献1では、金属板に直接印刷する方法ではなく、金属板を樹脂層で被覆し、樹脂層上に多孔質層を形成し、その上からインクジェット印刷を行っている。特許文献1では、多孔質層が無機系粒子を含むことで、インクを吸収するようにしている。
特許文献2では、アルミニウム基板にインク受容層を形成し、その上からインクジェット印刷を行っている。特許文献2では、インク受容層が無機充填剤を含むことで、インクを受容するようにしている。
特許文献2では、アルミニウム基板にインク受容層を形成し、その上からインクジェット印刷を行っている。特許文献2では、インク受容層が無機充填剤を含むことで、インクを受容するようにしている。
特許文献1の多孔質層、及び特許文献2のインク受容層は、いずれも予め基材に乾燥状態で形成さているものであり、インク中の成分との相互作用によって塗膜の強化を改善しようとするものではない。また、無機系粒子等が多く含まれ、インクの吸収性に優れる層は、空隙が多くなり、塗膜の耐久性が低下する問題がある。
また、特許文献1には、多孔質層は、無機系粒子と樹脂とを化学的に結合させるためにカップリング剤を含んでもよいことが開示されている。この場合、カップリング剤は、多孔質層において無機系粒子と樹脂との間に入り込み結合した状態で存在しているため、このカップリング剤は、金属板とインク中の成分とを結合するように作用するものではない。
また、特許文献1には、多孔質層は、無機系粒子と樹脂とを化学的に結合させるためにカップリング剤を含んでもよいことが開示されている。この場合、カップリング剤は、多孔質層において無機系粒子と樹脂との間に入り込み結合した状態で存在しているため、このカップリング剤は、金属板とインク中の成分とを結合するように作用するものではない。
特許文献3には、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートと、水性インク中のポリオールとが、記録媒体上で架橋反応することで、強固な塗膜が形成され、印刷物の定着性を向上させることができると開示されている。しかし、非浸透性基材に対して前処理剤又は水性インクのなじみ性が十分ではなく、前処理剤又は水性インクが基材に定着する前に基材からはじかれる問題がある。また、定着したとしても、塗膜が基材から剥がれやすい問題がある。
特許文献3には、非浸透性基材を用いる場合では、非浸透性基材に前処理剤をより強固に付着させるために、事前に非浸透性基材にコロナ処理を行ってもよいと開示されている。しかし、コロナ処理は、工程数が増える問題があるため、より簡便で効果的な方法が望まれる。
特許文献3には、非浸透性基材を用いる場合では、非浸透性基材に前処理剤をより強固に付着させるために、事前に非浸透性基材にコロナ処理を行ってもよいと開示されている。しかし、コロナ処理は、工程数が増える問題があるため、より簡便で効果的な方法が望まれる。
本発明の一目的としては、加飾物の耐擦過性を改善する水性インクジェットインクセットを提供することである。
本発明の一実施形態としては、水と、色材と、ポリオール樹脂とを含む水性インクジェットインクと、水と、水分散性ポリイソシアネートとを含む前処理剤とを備え、前記水性インクジェットインク及び前記前処理剤のうち少なくとも一方はアルミニウムカップリング剤を含む、水性インクジェットインクセットである。
本発明の他の実施形態としては、上記水性インクジェットインクセットを用いて金属基材に加飾する、金属加飾物の製造方法である。
本発明の他の実施形態としては、上記水性インクジェットインクセットを用いて金属基材に加飾する、金属加飾物の製造方法である。
本発明の一実施形態によれば、加飾物の耐擦過性を改善する水性インクジェットインクセットを提供することができる。
以下、本発明を一実施形態を用いて説明する。以下の実施形態における例示が本発明を限定することはない。
一実施形態による水性インクジェットインクセットとしては、水と、色材と、ポリオール樹脂とを含む水性インクジェットインクと、水と、水分散性ポリイソシアネートとを含む前処理剤とを備え、水性インクジェットインク及び前処理剤のうち少なくとも一方はアルミニウムカップリング剤を含む、ことを特徴とする。
以下、水性インクジェットインクセットをインクセットとも記し、水性インクジェットインクを水性インクとも記す。
これによれば、加飾物の耐擦過性を改善する水性インクジェットインクセットを提供することができる。
以下、水性インクジェットインクセットをインクセットとも記し、水性インクジェットインクを水性インクとも記す。
これによれば、加飾物の耐擦過性を改善する水性インクジェットインクセットを提供することができる。
一実施形態によるインクセットによれば、基材に前処理剤を付着させた後に、水性インクを用いて加飾することで、基材上で前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートが、水性インク中のポリオール樹脂と反応し、ウレタン架橋構造を構成することで、基材への加飾画像の定着性を高め、加飾物の耐擦過性を向上させることができる。また、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートと、水性インク中のポリオール樹脂とは、基材上で、水の蒸発とともにウレタン化反応が進行して、塗膜が形成されるようになる。これによって、加飾物の耐水性を向上させることができる。
また、前処理剤及び水性インクのうち少なくとも一方にアルミニウムカップリング剤が含まれることで、基材と塗膜との密着性をより向上させることができる。
また、前処理剤及び水性インクのうち少なくとも一方にアルミニウムカップリング剤が含まれることで、基材と塗膜との密着性をより向上させることができる。
「インクセット」
一実施形態によるインクセットは、浸透性基材及び非浸透性基材のいずれにも加飾画像を形成することができるが、非浸透性基材に好ましく用いることができる。非浸透性基材に対して、水性インクとの定着性をより改善し、加飾物の耐擦過性をより向上させることができる。
非浸透性基材としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、チタン、錫、クロム、カドミウム、合金(例えばステンレス、スチール等)等の金属板等の金属基材;ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス等の板ガラス等のガラス基材;OHTシート、アクリル板、ポリエステルシート、ポリプロピレンシート等の樹脂基材;アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化ケイ素等の成形体等のセラミック基材等が挙げられる。
これらの基材は、メッキ層、金属酸化物層、樹脂層等が形成されていてもよく、又は、界面活性剤、コロナ処理等を用いて表面処理されていてもよい。
なかでも金属基材に好ましく用いることができる。
一実施形態によるインクセットは、浸透性基材及び非浸透性基材のいずれにも加飾画像を形成することができるが、非浸透性基材に好ましく用いることができる。非浸透性基材に対して、水性インクとの定着性をより改善し、加飾物の耐擦過性をより向上させることができる。
非浸透性基材としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、チタン、錫、クロム、カドミウム、合金(例えばステンレス、スチール等)等の金属板等の金属基材;ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス等の板ガラス等のガラス基材;OHTシート、アクリル板、ポリエステルシート、ポリプロピレンシート等の樹脂基材;アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化ケイ素等の成形体等のセラミック基材等が挙げられる。
これらの基材は、メッキ層、金属酸化物層、樹脂層等が形成されていてもよく、又は、界面活性剤、コロナ処理等を用いて表面処理されていてもよい。
なかでも金属基材に好ましく用いることができる。
一実施形態によるインクセットインクにおいて、水性インク及び前処理剤のうち少なくとも一方はアルミニウムカップリング剤を含む。
アルミニウムカップリング剤を用いることで、基材に対して、前処理剤及び水性インクを用いて加飾を行った後に、塗膜の耐擦過性を改善することができる。特に、水に濡れた状態において、耐水擦過性を改善することができる。
アルミニウムカップリング剤は、シランカップリング剤のように経時によって加水分解を引き起こさないため、水性の前処理剤及びインクに配合した状態で、接着力を長期にわたり維持することができる。
アルミニウムカップリング剤を用いることで、基材に対して、前処理剤及び水性インクを用いて加飾を行った後に、塗膜の耐擦過性を改善することができる。特に、水に濡れた状態において、耐水擦過性を改善することができる。
アルミニウムカップリング剤は、シランカップリング剤のように経時によって加水分解を引き起こさないため、水性の前処理剤及びインクに配合した状態で、接着力を長期にわたり維持することができる。
アルミニウムカップリング剤は、前処理剤及び水性インクのいずれか一方のみに含まれてもよく、両方に含まれてもよい。
アルミニウムカップリング剤が前処理剤及び水性インクの両方に含まれる場合は、前処理剤と水性インクにそれぞれ含まれるアルミニウムカップリング剤は互いに同一であっても異なってもよい。
アルミニウムカップリング剤が前処理剤及び水性インクの両方に含まれる場合は、前処理剤と水性インクにそれぞれ含まれるアルミニウムカップリング剤は互いに同一であっても異なってもよい。
アルミニウムカップリング剤は、水溶性又は水分散性であることが好ましい。これによって、前処理剤又は水性インク中にアルミニウムカップリング剤を添加する場合に、前処理剤又は水性インクの貯蔵安定性を良好に維持することができる。
アルミニウムカップリング剤には、例えば、下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
(HO)2−Al−X (1)
一般式(1)において、Xは、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及びメタクリロキシ基からなる群から選択される1種以上の置換基を有し、炭素数が2〜13であるアルキル基である。
(HO)2−Al−X (1)
一般式(1)において、Xは、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及びメタクリロキシ基からなる群から選択される1種以上の置換基を有し、炭素数が2〜13であるアルキル基である。
一般式(1)で表される化合物は、水酸基部分を有することで、基材との密着性を向上させることができ、また、X基部分を有することで、インク塗膜の樹脂との密着性を向上させることができる。特に、X基がアミノ基を有するアルキル基であることが好ましい。
Xは、炭素数が2〜13、好ましくは炭素数が2〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であって、少なくとも1つの水素原子がアミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、又はメタクリロキシ基によって置換されていることが好ましい。Xは、好ましくはアミノ基を有するアルキル基であって、より好ましくは1個又は2個のアミノ基を有するアルキル基である。アミノ基は、1級アミノ基、2級アミノ基、又は3級アミノ基であってよく、好ましくは1級アミノ基である。また、アミノ基は、脂肪族アミノ基であってもよく、芳香族アミノ基であってもよい。
アルミニウムカップリング剤の具体例としては、Chartwell社製の「ChartwellB−516.71HRW」(一般式(1)において、X=−CH(NH2)−(CH2)m−NH2、m=1〜2、n=2)、「ChartwellB−515.71HRW」(一般式(1)において、X=−(CH2)mNH2、m<4、n=2)等を挙げることができる。
アルミニウムカップリング剤は、前処理剤又は水性インクにそれぞれ1種又は2種以上を組み合わせて含まれてもよい。
アルミニウムカップリング剤は、前処理剤又は水性インクにそれぞれ1種又は2種以上を組み合わせて含まれてもよい。
アルミニウムカップリング剤(不揮発分)は、前処理剤全量に対し、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2.5質量%がより好ましく、0.3〜1質量%がさらに好ましい。
アルミニウムカップリング剤は、前処理剤全量に対し5質量%以下であることで、前処理剤の貯蔵安定性を良好に維持することができる。また、アルミニウムカップリング剤は、前処理剤全量に対し0.05質量%以上であることで、塗膜の耐擦過性をより高めることができる。
アルミニウムカップリング剤は、前処理剤全量に対し5質量%以下であることで、前処理剤の貯蔵安定性を良好に維持することができる。また、アルミニウムカップリング剤は、前処理剤全量に対し0.05質量%以上であることで、塗膜の耐擦過性をより高めることができる。
アルミニウムカップリング剤(不揮発分)は、水性インク全量に対し、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2.5質量%がより好ましく、0.3〜1質量%がさらに好ましい。
アルミニウムカップリング剤は、水性インク全量に対し5質量%以下であることで、水性インクの貯蔵安定性を良好に維持することができる。また、水性インク全量に対し0.05質量%以上であることで、塗膜の耐擦過性をより高めることができる。
アルミニウムカップリング剤は、水性インク全量に対し5質量%以下であることで、水性インクの貯蔵安定性を良好に維持することができる。また、水性インク全量に対し0.05質量%以上であることで、塗膜の耐擦過性をより高めることができる。
一実施形態による前処理剤は、水と、水分散性ポリイソシアネートとを含む。なお、前処理剤は、上記した通りアルミニウムカップリング剤を含むことができる。
水分散性ポリイソシアネートは、水中で分散する性質を備えるものであればよい。また、水性インクのポリオール樹脂と反応させてウレタン架橋構造を形成させるため、ポリオール樹脂との相溶性に優れたものを選択することが好ましい。
水分散性ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートに水分散性を付与させたものを用いることができる。例えば、ポリイソシアネートに親水性基を導入したもの、ポリイソシアネートを分散剤によって表面処理して親水性にしたもの等を用いることができる。
水分散性ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートに水分散性を付与させたものを用いることができる。例えば、ポリイソシアネートに親水性基を導入したもの、ポリイソシアネートを分散剤によって表面処理して親水性にしたもの等を用いることができる。
イソシアネート基は、水と接触すると失活する性質を有するため、水中に安定に分散することが難しいという問題がある。そこで、水中でポリイソシアネートが粒子化される際に、粒子の周囲に、内側が疎水性で外側が親水性の層が形成されることで、この層によってイソシアネート基が水から保護されて、水中でのポリイソシアネートの安定性を維持することができる。
このような水分散性ポリイソシアネートとしては、ポリイソシアネートと、末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を含有するビニル系重合体とを含むものを好ましく使用することができる。
上記したポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートといった脂肪族ジイソシアネート;1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエートといった脂肪族トリイソシアネート;1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナンといった脂環族ジイソシアネート;2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナンといった脂環族トリイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートといったアラルキレンジイソシアネート;m−またはp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートといった芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェートといった芳香族トリイソシアネート;上記した各種のポリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するポリイソシアネート;上記した各種のポリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;上記した各種のポリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;上記した各種のポリイソシアネートを二酸化炭素と反応させて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;アロファネート構造を有するポリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記した末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を含有するビニル系重合体としては、例えば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体又はポリオレフィン系重合体に、末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を付与したものが挙げられる。
上記した末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基において、ポリオキシアルキレン基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基又はポリオキシブチレン基等が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の低級アルコキシ基が挙げられる。
このような水分散性ポリイソシアネートとしては、例えば、DIC株式会社製の「バーノックDNW−5000、5100、5500、6000」等を好ましく使用することができる。これらの水分散性ポリイソシアネートは、水中で長時間に渡り安定して存在することができるため、前処理剤中に安定して処方することができる。
一方、水分散性ポリイソシアネートの他の例としては、ポリイソシアネートに親水性基を導入したものを用いることができる。ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネート(TDI)のイソシアヌレート体等を挙げることができる。親水性基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基等を挙げることができる。
また、水分散性ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基とともに親水性基を有する樹脂を用いることができる。
また、水分散性ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基とともに親水性基を有する樹脂を用いることができる。
このような水分散性ポリイソシアネートとしては、例えば、住化バイエルウレタン株式会社製の「バイヒジュール3100、VPLS2306、VPLS2319、VPLS2336、VPLS2150/1、VPLS2150BA」等を挙げることができる。
上記した水分散性ポリイソシアネートは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水分散性ポリイソシアネート(不揮発分)は、前処理剤全量に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がよりこのましい。この範囲であることで、架橋反応が進行し良好な塗膜を形成するという効果を得ることができる。すなわち、0.5質量%以上であることで、インク中のポリオール樹脂と架橋反応し塗膜形成を十分に行うことができる。また、水中でのNCO基(イソシアネート基)の消費を考慮すると、5質量%以下とすることが好ましい。
水分散性ポリイソシアネート(不揮発分)は、前処理剤全量に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がよりこのましい。この範囲であることで、架橋反応が進行し良好な塗膜を形成するという効果を得ることができる。すなわち、0.5質量%以上であることで、インク中のポリオール樹脂と架橋反応し塗膜形成を十分に行うことができる。また、水中でのNCO基(イソシアネート基)の消費を考慮すると、5質量%以下とすることが好ましい。
水分散性ポリイソシアネートは、NCO基含有量が固形分量で、5〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。
前処理剤は、カチオン性物質をさらに含むことができる。前処理剤にカチオン性物質が含まれることで、前処理剤によって処理された基材に水性インクが塗布されると、前処理剤中のカチオン性物質によって、水性インクの色材が基材上で凝集し、ドットの広がりを抑制して、画質をより改善することができる。
カチオン性物質としては、カチオン性樹脂、多価金属塩、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
カチオン性樹脂としては、構成単位に塩基性基を有する樹脂、塩基性基が導入された樹脂、表面が塩基性に処理された樹脂等を用いることができる。例えば、カチオン性樹脂として、アミン、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリジノン塩等のカチオンサイトを1個、又は2個以上有する樹脂を用いることができる。
より具体的には、カチオン性樹脂としては、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、アクリルアミドの共重合体等、又はこれらの誘導体を挙げることができる。また、カチオン性樹脂として、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の樹脂骨格に、塩基性基を導入した樹脂、又はこれらの樹脂表面を塩基性に処理した樹脂を用いることができる。また、カチオン性樹脂として、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の1〜3級アミン又は4級アンモニウム等のラジカル重合性モノマーを構成単量体として有するアクリル樹脂等を用いることができる。また、カチオン性樹脂として、酸性領域でカチオン性を示す両性界面活性剤を用いることができる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性樹脂としては、構成単位に塩基性基を有する樹脂、塩基性基が導入された樹脂、表面が塩基性に処理された樹脂等を用いることができる。例えば、カチオン性樹脂として、アミン、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリジノン塩等のカチオンサイトを1個、又は2個以上有する樹脂を用いることができる。
より具体的には、カチオン性樹脂としては、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、アクリルアミドの共重合体等、又はこれらの誘導体を挙げることができる。また、カチオン性樹脂として、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の樹脂骨格に、塩基性基を導入した樹脂、又はこれらの樹脂表面を塩基性に処理した樹脂を用いることができる。また、カチオン性樹脂として、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の1〜3級アミン又は4級アンモニウム等のラジカル重合性モノマーを構成単量体として有するアクリル樹脂等を用いることができる。また、カチオン性樹脂として、酸性領域でカチオン性を示す両性界面活性剤を用いることができる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性樹脂は、前処理剤中に水溶性カチオン樹脂、又はカチオン性樹脂粒子として配合することが好ましい。カチオン性樹脂粒子は、カチオン性樹脂エマルションとして前処理剤に添加することができる。
カチオン性樹脂としては、例えば、ハイモ株式会社製「ハイマックスSC−506」、明成化学工業株式会社製「PP−17」、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス620、650」、DIC株式会社製「ハイドランCP7610、CP7050」等が挙げられる。
カチオン性樹脂を用いる場合、カチオン性樹脂(不揮発分)は、前処理剤全量に対し、5〜50質量%が好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、ハイモ株式会社製「ハイマックスSC−506」、明成化学工業株式会社製「PP−17」、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス620、650」、DIC株式会社製「ハイドランCP7610、CP7050」等が挙げられる。
カチオン性樹脂を用いる場合、カチオン性樹脂(不揮発分)は、前処理剤全量に対し、5〜50質量%が好ましい。
多価金属塩は、2価以上の多価金属イオンとアニオンから構成される。2価以上の多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+、Ba2+、Al3+等が挙げられる。アニオンとしては、例えば、Cl−、NO3 −、CH3COO−、I−、Br−、ClO3 −、SO4 2−等が挙げられる。塩として具体的には、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多価金属塩を用いる場合、多価金属塩は、前処理剤全量に対し、0.1〜10質量%が好ましい。
多価金属塩を用いる場合、多価金属塩は、前処理剤全量に対し、0.1〜10質量%が好ましい。
前処理剤の溶媒は主に水を含むことが好ましい。水は、イオン交換水、蒸留水等の純水、又は超純水を使用することが好ましい。
前処理剤は、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤は、水と相溶性を示すことが好ましく、かつ、水との混合溶液において、上記した水分散性ポリイソシアネートを良好に分散させることが可能であることが好ましい。
このような水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、イソプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
前処理剤は、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤は、水と相溶性を示すことが好ましく、かつ、水との混合溶液において、上記した水分散性ポリイソシアネートを良好に分散させることが可能であることが好ましい。
このような水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、イソプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
また、前処理剤には、粘度調整と保湿効果の観点から、上記した水溶性有機溶剤以外のその他の水溶性有機溶剤を添加してもよい。このようなその他の水溶性有機溶剤としては、後述する水性インクに配合される水溶性有機溶剤と同様である。
さらに前処理剤には、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含有させることができる。詳細については、後述する水性インクに配合される添加剤と同様である。
前処理剤の作製方法としては、特に限定されず、各成分を混合して作製することができる。なお、水分散性ポリイソシアネート以外の各成分を含む溶液を予め作製しておき、基材に前処理剤を付着させる直前に、この溶液と水分散性ポリイソシアネートとを混合し前処理剤を作製することで、前処理剤中での水分散性ポリイソシアネートの安定性を良好に確保したまま、基材に前処理剤を付着させることができる。
一実施形態による水性インクは、水と、色材と、ポリオール樹脂とを含む。なお、水性インクは、上記した通りアルミニウムカップリング剤を含むことができる。
ポリオール樹脂は、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートと反応し、ウレタン架橋構造を形成することができる。
ポリオール樹脂としては、特に限定されず、ポリウレタン樹脂の原材料として通常使用されるものを用いることができる。
ポリオール樹脂は、水溶性又は水分散性を示すことが好ましい。水性インクにおいて、ポリオール樹脂は、全量又は一部が、水性インクの溶媒に溶解又は分散していることが好ましい。
ポリオール樹脂としては、特に限定されず、ポリウレタン樹脂の原材料として通常使用されるものを用いることができる。
ポリオール樹脂は、水溶性又は水分散性を示すことが好ましい。水性インクにおいて、ポリオール樹脂は、全量又は一部が、水性インクの溶媒に溶解又は分散していることが好ましい。
ポリオール樹脂としては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン等のポリオレフィンポリオール等を、単独で、又は2種以上を併用することができる。
ポリオール樹脂は、加飾物の耐擦過性、インクの低粘度化の観点から、数平均分子量が100〜10000が好ましい。
ポリオール樹脂は、加飾物の耐擦過性、インクの低粘度化の観点から、数平均分子量が100〜10000が好ましい。
ポリオール樹脂として、水分散性アクリルポリオール、水溶性アクリルポリオール、又はこれらの組み合わせを好ましく用いることができる。
アクリルポリオールは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はこれらの組み合わせを含むモノマーを重合して得られ、2個以上の水酸基を有する樹脂である。例えば、アクリルポリマーにおいて、水酸基は、アクリル樹脂の構成単位に由来して、アクリル樹脂の側鎖に導入することができる。
アクリルポリオールは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はこれらの組み合わせを含むモノマーを重合して得られ、2個以上の水酸基を有する樹脂である。例えば、アクリルポリマーにおいて、水酸基は、アクリル樹脂の構成単位に由来して、アクリル樹脂の側鎖に導入することができる。
水分散性アクリルポリオールは、水性インク中に均一に分散させるため、エマルション型アクリルポリオールの形態で水性インクに添加することが好ましい。エマルション型アクリルポリオールの分散媒としては水が好ましいが、インクジェット吐出安定性の点から、エマルション状態を破壊しない程度の量の水溶性有機溶剤を併用してもよい。
エマルション型アクリルポリオールとしては、通常の水溶性界面活性剤を用いて乳化させたものでもよいし、アクリルポリオールの構造中に親水性の官能基を導入し、水中で自己乳化可能にさせたものでもよい。水溶性界面活性剤としては、アニオン系の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル、スルホコハク酸塩、カチオン系アルキルアミン塩、アルキルベタイン等が挙げられる。親水性の官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等のアニオン性基、アミノ基等のカチオン性基、ポリエチレンオキサイド等のノニオン性基等が挙げられる。
水溶性アクリルポリオールは、水性インクの配合割合において、溶媒の水に、水溶性アクリルポリマーの添加量の80〜100質量%が溶解することが好ましい。
水分散性アクリルポリオールを含む水性インクを、前処理剤が付着された基材に塗布する場合では、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートと水性インク中の水分散性アクリルポリオールがそれぞれ分散性が良好で均一に分散されるため、両成分の反応性が高まり、基材上にウレタン架橋構造を微細で複雑に形成し、インク塗膜の強度をより増加させることができる。
また、水溶性アクリルポリオールを含む水性インクを、前処理剤が付着された基材に塗布する場合では、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートが基材に均一に分散して塗布され、次いで水性インク中の水溶性アクリルポリオールが均一な濃度で塗布されるため、両成分の反応性が高まり、基材上にウレタン架橋構造を微細で複雑に形成し、インク塗膜の強度をより増加させることができる。
また、水溶性アクリルポリオールを含む水性インクを、前処理剤が付着された基材に塗布する場合では、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートが基材に均一に分散して塗布され、次いで水性インク中の水溶性アクリルポリオールが均一な濃度で塗布されるため、両成分の反応性が高まり、基材上にウレタン架橋構造を微細で複雑に形成し、インク塗膜の強度をより増加させることができる。
なお、インク中に予めウレタン架橋構造を有する樹脂を含ませることで、基材にウレタン架橋構造を有する塗膜を形成する場合では、このように架橋構造が微細で複雑に形成されないため、インク塗膜の強度を充分に得られないことがある。また、インク中に配合された樹脂の架橋構造が複雑になると、インクの粘度が上昇し、インクの吐出性、加飾物の画質に影響することがある。
このような水分散性又は水溶性アクリルポリオールとしては、例えば、DIC株式会社製「バーノックWE300、WD−304、WD−551、WE−303、WE−307、WE−308、WE−314」等を好ましく挙げることができる。
ポリオール樹脂(不揮発分)は、インク全量に対し、1〜50質量%が好ましく、さらに、10〜30質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。この範囲であることで、印刷物の耐擦過性をより高めることができる。この配合割合が1質量%以上であることで、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとの架橋反応による塗膜形成の効果を十分に得ることができる。この配合割合が50質量%以下であることで、インクの高粘度化を防止して、インクの吐出性、加飾物の画質をより改善することができる。
ポリオール樹脂の水酸基価は、固形分量で、10〜500mgKOH/gが好ましく、10〜300mgKOH/gがより好ましく、30〜200mgKOH/gがさらに好ましい。
インクは、色材として、顔料、染料、又はこれらの組み合わせを含むことができる。加飾画像の耐候性及び印刷濃度の点から、色材として顔料を好ましく用いることができる。
顔料は、顔料分散体としてインクに好ましく配合することができる。
顔料分散体としては、顔料が溶媒中に分散可能なものであって、インク中で顔料が分散状態となるものであればよい。例えば、顔料を顔料分散剤で水中に分散させたもの、自己分散性顔料を水中に分散させたもの、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を水中で分散させたもの等を用いることができる。
顔料分散体としては、顔料が溶媒中に分散可能なものであって、インク中で顔料が分散状態となるものであればよい。例えば、顔料を顔料分散剤で水中に分散させたもの、自己分散性顔料を水中に分散させたもの、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を水中で分散させたもの等を用いることができる。
顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料等の金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
これらの顔料の平均粒子径は50〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。これらの顔料の平均粒子径は、発色性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましい。
これらの顔料の平均粒子径は50〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。これらの顔料の平均粒子径は、発色性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましい。
インク中に顔料を安定に分散させるために、高分子分散剤や界面活性剤に代表される顔料分散剤を好ましく用いることができる。
高分子分散剤の市販品として、例えば、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ「TEGOディスパース740W、750W、755W、757W、760W」、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ「ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000、46000」、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ「ジョンクリル57、60、62、63、71、501」、BYK製の「DISPERBYK−102」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−190」、「DISPERBYK−193」、「DISPERBYK−199」、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドン「K−30」、「K−90」等が挙げられる。
高分子分散剤の市販品として、例えば、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ「TEGOディスパース740W、750W、755W、757W、760W」、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ「ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000、46000」、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ「ジョンクリル57、60、62、63、71、501」、BYK製の「DISPERBYK−102」、「DISPERBYK−185」、「DISPERBYK−190」、「DISPERBYK−193」、「DISPERBYK−199」、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドン「K−30」、「K−90」等が挙げられる。
界面活性剤型分散剤の市販品として、例えば、花王株式会社製デモールシリーズ「デモールEP、N、RN、NL、RNL、T−45)等のアニオン性界面活性剤;花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲンA−60、A−90、A−500、B−40、L−40、420)等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらの顔料分散剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
顔料分散剤を用いる場合では、顔料分散剤の添加量はその種類によって異なり特に限定はされない。例えば、顔料分散剤は、有効成分の質量比で、顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で添加することができる。
顔料分散剤を用いる場合では、顔料分散剤の添加量はその種類によって異なり特に限定はされない。例えば、顔料分散剤は、有効成分の質量比で、顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で添加することができる。
色材として自己分散性顔料を配合してもよい。自己分散性顔料は、化学的処理又は物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された顔料である。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性又はカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基等が好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理等が挙げられる。
自己分散性顔料としては、例えば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ「CAB−O−JET200、300、250C、260M、270Y」、オリヱント化学工業株式会社製「ボンジェットブラックCW−1、CW−2」等を好ましく使用することができる。
色材として染料を配合してもよい。染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられる。これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものを好ましく用いることができる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。
上記した色材は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
色材は、不揮発分又は有効成分量で、インク全量に対し、0.1質量%〜25質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。
色材は、不揮発分又は有効成分量で、インク全量に対し、0.1質量%〜25質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。
インクの溶媒は主に水を含むことが好ましい。水は、イオン交換水、蒸留水等の純水、又は超純水を使用することが好ましい。なお、上記した顔料分散体に溶媒として水が含まれる場合は、顔料分散体中の水はインク中の水の一部に換算して、インクを作製する。
インクは、水溶性有機溶剤を含むことができる。水溶性有機溶剤は、水と相溶性を示すことが好ましく、かつ、水との混合溶液において、上記したポリオール樹脂を良好に分散又は溶解することが可能であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のグリコール類;グリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール類の誘導体;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオジグリコール、スルホラン等を用いることができる。
これらの水溶性有機溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの水溶性有機溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク中に1質量%〜80質量%で含ませることができ、10質量%〜60質量%であることがより好ましい。
その他、インクには、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含有させることができる。
表面張力調整剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又は高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤を使用することができる。
インクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において1〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、インクジェット印刷装置用として適している。
インクの作製方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のインクを得ることができる。例えば、水に適宜水溶性有機溶剤や浸透剤を添加した溶液にポリオール樹脂を溶解又は分散させ、これに顔料分散体を混合することで得ることができる。
前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のポリオール樹脂の反応を促進させるために、基材上での水分散性ポリイソシアネートのNCO基とポリオール樹脂のOH基とを、NCO基:OH基=0.10:1.0〜1.2:1.0の当量比の範囲にすることが望ましい。このモル比が0.10:1.0以上であることで、架橋反応によって塗膜を形成する効果を十分に得ることができる。また、水中でのNCO基の消費を考慮すると、1.2:1.0以下がより好ましい。
基材上で水分散性ポリイソシアネートのNCO基とポリオール樹脂のOH基とを上記モル比に調整するためには、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートの含有量及びインク中のポリオール樹脂の含有量をそれぞれ上述した範囲とするとよい。
また、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のポリオール樹脂の反応を促進させるために、触媒を前処理剤又はインクに添加してもよい。触媒としては、例えば、トリエチレンジアミンやN−エチルモルホリン等の3級アミンを使用することができる。触媒の含有量は、前処理剤又はインク全量に対して、0.005質量%〜0.2質量%であることが好ましい。
「加飾物の製造方法」
一実施形態によるインクセットを用いて基材に加飾することで、加飾物を製造することができる。基材としては、浸透性基材及び非浸透性基材のいずれでも用いることができる。なかでも、一実施形態によるインクセットは、非浸透性基材に対して耐擦過性を高めて良好な加飾を行うことができる。一実施形態によるインクセットは、前処理剤及び水性インクのうち少なくとも一方にアルミニウムカップリング剤が配合されることから、非浸透性基材のなかでも金属基材に対して好ましく加飾することができる。
一実施形態によるインクセットを用いて基材に加飾することで、加飾物を製造することができる。基材としては、浸透性基材及び非浸透性基材のいずれでも用いることができる。なかでも、一実施形態によるインクセットは、非浸透性基材に対して耐擦過性を高めて良好な加飾を行うことができる。一実施形態によるインクセットは、前処理剤及び水性インクのうち少なくとも一方にアルミニウムカップリング剤が配合されることから、非浸透性基材のなかでも金属基材に対して好ましく加飾することができる。
一実施形態による金属加飾物の製造方法は、上記したインクセットを用いて金属基材に加飾することを特徴とする。
例えば、金属加飾物の製造方法は、前処理剤を金属基材に付着させる工程と、インクジェット印刷方法によって水性インクを用いて金属基材に画像を形成する工程とを含むことができる。
例えば、金属加飾物の製造方法は、前処理剤を金属基材に付着させる工程と、インクジェット印刷方法によって水性インクを用いて金属基材に画像を形成する工程とを含むことができる。
金属基材への前処理剤の付着方法は、特に限定されず、例えば、インクジェット印刷装置を用いてもよいし、ローラーやスプレー等で必要量を塗布するようにしてもよい。その付着領域は、金属基材全面でもよいし、加飾部のみに選択的に付着させてもよい。あるいは、ベタ画像部分など、単位面積当たりある一定以上のインクが付着する箇所にのみ前処理剤を塗布することもできる。
前処理剤は乾燥速度が速いため、特に乾燥工程を設ける必要はなく、続いて印刷工程を行なうことができる。必要に応じで、印刷工程前に25℃〜120℃の温度で乾燥させてもよい。
加飾は、インクジェット印刷法により行うことができる。インクジェット印刷装置は、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を基材に付着させるようにする。
得られた加飾物は、架橋反応を促進させるために、熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、25℃〜120℃の温度で、10分〜48時間で行うことが好ましい。
前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のポリオール樹脂とは、水系溶剤中に分散しているため、架橋反応が促進される。そのため、比較的低温及び短時間での熱処理によっても、充分な架橋構造を得ることができる。そして、低温及び短時間の熱処理のため、基材の変質を防止することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
<前処理剤及びインクの作製>
表1に示す前処理剤の処方にしたがって、各成分をそれぞれの割合でプレミックスし、その後、ホモジナイザーで1分間分散し、前処理剤1〜10を得た。
表2に示す水性インクの処方にしたがって、各成分をそれぞれの割合で混合し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、水性インク1〜5を得た。
表1に示す前処理剤の処方にしたがって、各成分をそれぞれの割合でプレミックスし、その後、ホモジナイザーで1分間分散し、前処理剤1〜10を得た。
表2に示す水性インクの処方にしたがって、各成分をそれぞれの割合で混合し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、水性インク1〜5を得た。
用いた成分は以下の通りである。また、各成分に揮発分が含まれる場合は以下に不揮発分を示し、各表に示す配合割合には揮発分が含まれる。
カチオン性樹脂1:「ハイマックスSC−506」、ハイモ株式会社製、水溶性カチオン性樹脂(アルキルアミン・エピクロロヒドリン付加物の四級塩)、不揮発分60.0%。
カチオン性樹脂2:「PP−17」、明成化学工業株式会社製、カチオン性複合有機粒子水分散体、不揮発分26.0%。
水分散性ポリイソシアネート1:「バーノックDNW−6000」、DIC株式会社製、水分散体、NCO基含有量(固形分に対して)15.0〜16.5質量%、不揮発分33.3%。
水分散性ポリイソシアネート2:「バーノックDNW−5500」、DIC株式会社製、水分散体、NCO基含有量(固形分に対して)13.0〜14.0質量%、不揮発分33.3%。
ノニオン性アクリル樹脂エマルション:「ボンコート40−418EF」、DIC株式会社製、ノニオン性アクリル樹脂エマルション、不揮発分55.0%。
カチオン性樹脂1:「ハイマックスSC−506」、ハイモ株式会社製、水溶性カチオン性樹脂(アルキルアミン・エピクロロヒドリン付加物の四級塩)、不揮発分60.0%。
カチオン性樹脂2:「PP−17」、明成化学工業株式会社製、カチオン性複合有機粒子水分散体、不揮発分26.0%。
水分散性ポリイソシアネート1:「バーノックDNW−6000」、DIC株式会社製、水分散体、NCO基含有量(固形分に対して)15.0〜16.5質量%、不揮発分33.3%。
水分散性ポリイソシアネート2:「バーノックDNW−5500」、DIC株式会社製、水分散体、NCO基含有量(固形分に対して)13.0〜14.0質量%、不揮発分33.3%。
ノニオン性アクリル樹脂エマルション:「ボンコート40−418EF」、DIC株式会社製、ノニオン性アクリル樹脂エマルション、不揮発分55.0%。
Alカップリング剤1:「ChartwellB−516.71HRW」、Chartwell社製、一般式(1)において、X=−CH(NH2)−(CH2)m−NH2、m=1−2、不揮発分42.2%。
Alカップリング剤2:「ChartwellB−515.71HRW」、Chartwell社製、一般式(1)において、X=−(CH2)mNH2、m<4、不揮発分33.0%。
シランカップリング剤:「KBM−602」、信越化学工業株式会社製、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、不揮発分100.0%。
ジエチレングリコール:水溶性有機溶剤、富士フイルム和光純薬株式会社製。
シリコーン系界面活性剤:「シルフェイスSAG503A」、日信化学工業株式会社製、不揮発分100.0%。
Alカップリング剤2:「ChartwellB−515.71HRW」、Chartwell社製、一般式(1)において、X=−(CH2)mNH2、m<4、不揮発分33.0%。
シランカップリング剤:「KBM−602」、信越化学工業株式会社製、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、不揮発分100.0%。
ジエチレングリコール:水溶性有機溶剤、富士フイルム和光純薬株式会社製。
シリコーン系界面活性剤:「シルフェイスSAG503A」、日信化学工業株式会社製、不揮発分100.0%。
顔料分散体:「CAB−O−JET−260M」、キャボット社製、水系自己分散顔料マゼンタ分散体、不揮発分10.0%。
水性アクリルポリオール1:「バーノックWD−304」、DIC株式会社製、エマルション、水酸基価(固形分)43mgKOH/g、不揮発分44.8%。
水性アクリルポリオール2:「バーノックWD−551」DIC株式会社製、エマルション、水酸基価(固形分)100mgKOH/g、不揮発分44.2%。
アニオン性ウレタン樹脂エマルション:「スーパーフレックス470」、第一工業製薬株式会社製、不揮発分38.0%。
1,3−プロパンジオール:水溶性有機溶剤、富士フイルム和光純薬株式会社製。
アセチレングリコール系界面活性剤:「オルフィンE1010」、日信化学工業株式会社製剤、不揮発分100.0%。
水性アクリルポリオール1:「バーノックWD−304」、DIC株式会社製、エマルション、水酸基価(固形分)43mgKOH/g、不揮発分44.8%。
水性アクリルポリオール2:「バーノックWD−551」DIC株式会社製、エマルション、水酸基価(固形分)100mgKOH/g、不揮発分44.2%。
アニオン性ウレタン樹脂エマルション:「スーパーフレックス470」、第一工業製薬株式会社製、不揮発分38.0%。
1,3−プロパンジオール:水溶性有機溶剤、富士フイルム和光純薬株式会社製。
アセチレングリコール系界面活性剤:「オルフィンE1010」、日信化学工業株式会社製剤、不揮発分100.0%。
<加飾物の作製>
表3に、インクセットの前処理剤と水性インクの組み合わせを示す。
基材には、10cm×10cmにカットした無塗装のアルミニウム板を用いた。
前処理は、基材に対して、スプレーガンを用いて、前処理剤を固形分量で5.0g/m2の塗布量となるように塗布し、塗布後の基材を70℃のオーブンで10分間乾燥して行った。
印刷は、トレイムービング方式のインクジェットプリンタ(株式会社マスターマインド社「MMP813BT−T」)のインクジェットヘッドに水性インクを導入し、前処理した基材に対して、ベタ画像と写真画像とを印刷して行った。印刷後、70℃のオーブンで13時間乾燥させて、加飾物を得た。
表3に、インクセットの前処理剤と水性インクの組み合わせを示す。
基材には、10cm×10cmにカットした無塗装のアルミニウム板を用いた。
前処理は、基材に対して、スプレーガンを用いて、前処理剤を固形分量で5.0g/m2の塗布量となるように塗布し、塗布後の基材を70℃のオーブンで10分間乾燥して行った。
印刷は、トレイムービング方式のインクジェットプリンタ(株式会社マスターマインド社「MMP813BT−T」)のインクジェットヘッドに水性インクを導入し、前処理した基材に対して、ベタ画像と写真画像とを印刷して行った。印刷後、70℃のオーブンで13時間乾燥させて、加飾物を得た。
<評価方法>
得られた加飾物について以下の評価を行った。結果を表3に併せて示す。
(耐水擦過性)
クロックメーター(アトラスエレクトリック デバイス社製「CM−1」)に水を含ませた白綿布をセットし、上記加飾物のベタ画像部分を擦り、印刷画像の剥がれを目視で観察した。以下の基準で耐水擦過性を評価した。
AA:20往復擦った後でも、画像の剥がれが無い。
A:11〜19往復の間で、画像が剥がれる。
B:6〜10往復の間で、画像が剥がれる。
C:5往復以内で、画像が剥がれる。
得られた加飾物について以下の評価を行った。結果を表3に併せて示す。
(耐水擦過性)
クロックメーター(アトラスエレクトリック デバイス社製「CM−1」)に水を含ませた白綿布をセットし、上記加飾物のベタ画像部分を擦り、印刷画像の剥がれを目視で観察した。以下の基準で耐水擦過性を評価した。
AA:20往復擦った後でも、画像の剥がれが無い。
A:11〜19往復の間で、画像が剥がれる。
B:6〜10往復の間で、画像が剥がれる。
C:5往復以内で、画像が剥がれる。
<画質>
上記加飾物の写真画像部分を、ズーム顕微鏡で観察した。基準として、インクジェット用写真光沢紙(コクヨ IJP用光沢紙 顔料対応)に印刷した印刷物と比較し、写真の滲みやカスレを目視で観察した。以下の基準で画質を評価した。
A:写真原稿をよく再現できている。
B:写真原稿を概ね再現できている。
C:写真原稿を再現できていない。
上記加飾物の写真画像部分を、ズーム顕微鏡で観察した。基準として、インクジェット用写真光沢紙(コクヨ IJP用光沢紙 顔料対応)に印刷した印刷物と比較し、写真の滲みやカスレを目視で観察した。以下の基準で画質を評価した。
A:写真原稿をよく再現できている。
B:写真原稿を概ね再現できている。
C:写真原稿を再現できていない。
表3に示す通り、各実施例のインクセットインクの組み合わせでは、加飾物の耐水擦過性及び画質が良好であった。
実施例1〜5は、前処理剤及び水性インクの両方にアルミニウムカップリング剤が配合されている例であり、いずれも良好な結果であった。実施例1〜4は、前処理剤全量に対しアルミニウムカップリング剤が不揮発分で0.3質量%以上であり、耐水擦過性がより改善された。
実施例1〜5は、前処理剤及び水性インクの両方にアルミニウムカップリング剤が配合されている例であり、いずれも良好な結果であった。実施例1〜4は、前処理剤全量に対しアルミニウムカップリング剤が不揮発分で0.3質量%以上であり、耐水擦過性がより改善された。
実施例7は、実施例2と対比して、前処理剤に水溶性カチオン性樹脂を添加した例であり、良好な結果が得られた。
実施例6は、実施例7と対比して、前処理剤がアルミニウムカップリング剤を含まない例であり、良好な結果が得られた。
実施例7〜10は、水性インクの種類を変更した例であり、実施例7と同様に良好な結果であった。実施例8、10は、水性インクがアルミニウムカップリング剤を含まない例であり、良好な結果であった。
実施例11は、実施例10に対比して、前処理剤がカチオン性樹脂を含まない例であり、画質は低下したが、耐水擦過性は良好な結果であった。
実施例6は、実施例7と対比して、前処理剤がアルミニウムカップリング剤を含まない例であり、良好な結果が得られた。
実施例7〜10は、水性インクの種類を変更した例であり、実施例7と同様に良好な結果であった。実施例8、10は、水性インクがアルミニウムカップリング剤を含まない例であり、良好な結果であった。
実施例11は、実施例10に対比して、前処理剤がカチオン性樹脂を含まない例であり、画質は低下したが、耐水擦過性は良好な結果であった。
比較例1は、前処理剤を用いない例である。
比較例2は、前処理剤が水分散性ポリイソシアネート及びアルミニウムカップリング剤を含まない例であり、耐水擦過性が低下した。
比較例3は、前処理剤及び水性インクの両方にアルミニウムカップリング剤が配合されない例であり、耐水擦過性が低下した。
比較例4は、水性インクが水性アクリルポリオールを含まない例であり、耐水擦過性が低下した。
比較例5は、前処理剤及び水性インクの両方にアルミニウムカップリング剤が配合されないで、前処理剤がシランカップリング剤を含む例であり、耐水擦過性及び画質が低下した。
比較例2は、前処理剤が水分散性ポリイソシアネート及びアルミニウムカップリング剤を含まない例であり、耐水擦過性が低下した。
比較例3は、前処理剤及び水性インクの両方にアルミニウムカップリング剤が配合されない例であり、耐水擦過性が低下した。
比較例4は、水性インクが水性アクリルポリオールを含まない例であり、耐水擦過性が低下した。
比較例5は、前処理剤及び水性インクの両方にアルミニウムカップリング剤が配合されないで、前処理剤がシランカップリング剤を含む例であり、耐水擦過性及び画質が低下した。
Claims (3)
- 水と、色材と、ポリオール樹脂とを含む水性インクジェットインクと、水と、水分散性ポリイソシアネートとを含む前処理剤とを備え、前記水性インクジェットインク及び前記前処理剤のうち少なくとも一方はアルミニウムカップリング剤を含む、水性インクジェットインクセット。
- 前記前処理剤は、カチオン性樹脂をさらに含む、請求項1に記載の水性インクジェットインクセット。
- 請求項1又は2に記載の水性インクジェットインクセットを用いて金属基材に加飾する、金属加飾物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018180155A JP2020050731A (ja) | 2018-09-26 | 2018-09-26 | 水性インクジェットインクセット及び金属加飾物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018180155A JP2020050731A (ja) | 2018-09-26 | 2018-09-26 | 水性インクジェットインクセット及び金属加飾物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020050731A true JP2020050731A (ja) | 2020-04-02 |
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ID=69995873
Family Applications (1)
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JP2018180155A Pending JP2020050731A (ja) | 2018-09-26 | 2018-09-26 | 水性インクジェットインクセット及び金属加飾物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020050731A (ja) |
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2018
- 2018-09-26 JP JP2018180155A patent/JP2020050731A/ja active Pending
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