JP2020050623A - 皮膚用化粧料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚の健康状態が悪化しているか、もしくは悪化する環境にある状態を改善または保護することができる皮膚用化粧料組成物の提供。【解決手段】表面が陽性荷電で覆われたゲル粒子を含んでなる皮膚用化粧料組成物であって、該ゲル粒子が、カチオン性重合開始剤および炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに由来する構造単位を含んでなる共重合体である、皮膚用化粧料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚用化粧組成物の分野に属するものである。
皮膚の健康状態は、紫外線や乾燥などの外的刺激、ストレスなどによる自己の免疫作用などの内的刺激等により悪化する。例えば、問題になっている皮膚の状態悪化の1つとして皮膚バリア機能の低下があり、敏感肌や荒れ肌などに繋がっている。
この状態を改善する塗布素材として、ポリマー材料はいくつも知られているが、改善効果の高い水溶性の高分子は皮膚吸着性が弱く、そもそも水に溶けてしまうなどの問題がある(特許文献1)。また、疎水性の高分子の場合は、それを粒子状に加工し、皮膚バリア性を高めた報告があるが(特許文献2)、この発明についても、粒子単独の効果というよりは、混合する油剤が含まれており、その効果を高めているに過ぎず、高分子粒子単独の効果とは言い難い。
また、特許文献3には、カチオン性重合開始剤を用いて作られたカチオン性ゲル粒子が開示されているものの、そのゲル粒子を用いて、皮膚の健康状態を改善または保護できることは記載されていない。
特開平9−315949号公報 特開2011−521890号公報 国際公開第2017/043484号
本発明者らは、カチオン性重合開始剤を用いて作られたカチオン性ゲル粒子が、皮膚への高い吸着性を示し、皮膚の健康状態を改善または保護できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
従って、本発明は、皮膚の健康状態が悪化しているか、もしくは悪化する環境にある状態を改善または保護することができる皮膚用化粧料組成物を提供する。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)表面が陽性荷電で覆われたゲル粒子を含んでなる皮膚用化粧料組成物であって、該ゲル粒子が、カチオン性重合開始剤および炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに由来する構造単位を含んでなる共重合体である、皮膚用化粧料組成物。
(2)前記共重合体が架橋剤に由来する構造単位を含むものである、(1)に記載の皮膚用化粧料組成物。
(3)前記カチオン性重合開始剤が、一般式(I):
[式中、
Yは、単結合またはCR85を表し、
Zは、単結合またはCR86を表し、
72、R73、R75、R76、R77、R78、R85およびR86は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択され、ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニルおよびフェニルは、さらにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
72およびR73は、さらに、それぞれ独立して、アダマンチル、またはSi(OCH(CH)で置換されたC1−6アルキルを表してもよく、
あるいは、R75およびR76、またはR77およびR78は、一緒になって−(CH3−5−を形成してもよく、
81、R82、R83、およびR84は、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、およびC1−3アルコキシからなる群から選択される置換基であり、ここで前記C1−4アルキルは一つのC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、および
71およびR74は、それぞれ独立して、C1−3アルキル基であり、
はカウンターアニオンである]
の化学構造を有する化合物である、(1)または(2)に記載の皮膚用化粧料組成物。
(4)前記カチオン性重合開始剤が、2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)である、(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚用化粧料組成物。
(5)前記炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーが、ビニル系化合物モノマーである、(1)〜(4)のいずれかに記載の皮膚用化粧料組成物。
(6)前記炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーが、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸類、アクリル酸類のエステル類、メタクリル酸類、メタクリル酸類のエステル類、スチレン類、および酢酸ビニルモノマーからなる群より選択される1または2以上の化合物である、(1)〜(5)のいずれかに記載の皮膚用化粧料組成物。
(7)前記炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーが、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)および/またはメタクリル酸メチル(MMA)である、(1)〜(6)のいずれかに記載の皮膚用化粧料組成物。
(8)前記架橋剤が、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)および/またはジビニルベンゼンである、(2)〜(7)のいずれかに記載の皮膚用化粧料組成物。
(9)皮膚表面からの水分損失を低減または防止するための、(1)〜(8)のいずれかに記載の皮膚用化粧料組成物。
本発明は、細胞障害性および刺激性が少ない皮膚用化粧組成物を提供できるという点で有利である。また、そのゲル粒子表面が共有結合性のカチオン性基に覆われているため、化学的に安定であり、刺激をもたらす化合物が溶出せず皮膚用化粧組成物として安全性が高い点で有利である。また、本発明は、皮膚表面からの水分損失を減少、または防止する効果のある皮膚用化粧組成物が提供できるという点で有利である。特に、疎水性ポリマーを用いて合成したカチオン性ゲルは、荒れた肌に塗布することで、皮膚バリア機能を改善し得る点で有利である。
図1は、ブタ皮膚への蛍光カチオン性NIPAMゲルおよび蛍光アニオン性NIPAMゲルの吸着量を示すグラフである。縦軸は3サンプルの蛍光強度の平均値であり、エラーバーは標準偏差である。
発明の具体的説明
1.皮膚用化粧料組成物
本発明の皮膚用化粧料組成物は、表面が陽性荷電で覆われたゲル粒子を含んでなり、このゲル粒子は、カチオン性重合開始剤に由来する構造単位および炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに由来する構造単位を含んでなる共重合体である。この特徴により、本発明の皮膚用化粧料組成物は、皮膚表面からの水分損失を減少、または防止する効果を奏する。
さらに、ゲル粒子の化学的安定性を向上させる上では共重合体が架橋構造を含むことが好ましく、従って、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の皮膚用化粧料組成物は、表面が陽性荷電で覆われたゲル粒子を含んでなり、このゲル粒子は、カチオン性重合開始剤に由来する構造単位、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに由来する構造単位および架橋剤に由来する構造単位を含んでなる共重合体とされる。
2.表面が陽性荷電で覆われたゲル粒子
本発明の皮膚用化粧料組成物に含まれるゲル粒子は、表面が陽性荷電で覆われた任意の形状のゲル粒子:
である。本発明で用いられるゲル粒子の形状は、好ましくは略楕円球形状であり、さらに好ましくは略球形状である。このようなゲル粒子の好ましい構造や製法は、国際公開第2017/043484号に記載されている。
一つの好ましい実施態様によれば、上記のゲル粒子は、
の構造を有する。
3.表面が陽性荷電で覆われたゲル粒子の製造方法
上記のゲル粒子は、例えば、2つの末端のうち少なくとも一方の末端のユニットまたはその近辺のユニットが陽性荷電を有するポリマーを作製することにより製造することができる。一つの好ましい実施態様によれば、本発明で用いられるゲル粒子は、カチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーとを用いるラジカル重合反応を行うことにより製造される。さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、ゲル粒子は、カチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに加えて、架橋剤を用いる重合反応によって製造される。
(1)カチオン性重合開始剤
本発明に用いられるカチオン性重合開始剤は、(a)常温で安定であり、(b)水溶性であり、(c)ラジカル重合反応を惹起させるラジカル産生能があり、(d)ラジカル重合反応後の重合体の末端においても幅広いpHの範囲で、少なくとも中性付近で、正電荷を有するものである。
ここで、上記カチオン性重合開始剤は、細胞内において正電荷を保持するものであることが好ましい。多くの細胞内のpHは2〜9、さらに一般的な動物、植物および微生物の細胞であれば4〜8程度である。従って、カチオン性重合開始剤は、このpHの範囲内で正電荷を保持するものであることが望ましい。
また、上記カチオン性重合開始剤は、皮膚表面でカチオン性であることが望ましい。つまり皮膚表面は、濡れて水分のある環境や乾いた環境など、状態が変化する。そのどちらの条件下でも正電荷を保持していることが効果を長く発揮する上で望ましい。つまり、水中では、水がブレンステッドの酸として働くため、アミンなどはカチオン性になりやすいが、水分などがない環境下でもカチオン性になっていることが望ましい。具体的にはプロトン付加型のカチオン構造でなく、例えば4級アンモニウム構造を持つことが望ましい。
本発明に用いられるカチオン性重合開始剤は、例えば、一般式(I):
[式中、
Yは、単結合またはCR85を表し、
Zは、単結合またはCR86を表し、
72、R73、R75、R76、R77、R78、R85およびR86は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択され、ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニルおよびフェニルは、さらにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
72およびR73は、さらに、それぞれ独立して、アダマンチル、またはSi(OCH(CH)で置換されたC1−6アルキルを表してもよく、
あるいは、R75およびR76、またはR77およびR78は、一緒になって−(CH3−5−を形成してもよく、
81、R82、R83、およびR84は、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、およびC1−3アルコキシからなる群から選択される置換基であり、ここで前記C1−4アルキルは一つのC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、および
71およびR74は、それぞれ独立して、C1−3アルキル基であり、
はカウンターアニオンである]
の化学構造を有する。
上記カチオン性重合開始剤における「カウンターアニオン」とは、有機化学の技術分野で有機化合物のカウンターアニオンとして通常用いられるアニオンであれば特に制限されず、例えば、ハロゲン化物アニオン(塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン)、有機酸の共役塩基(例えば酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン)、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオンなどが含まれる。本発明において好ましいカウンターアニオンとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフレート)、塩化物イオン、硝酸イオンなどが挙げられる。
なお、カウンターアニオンが2価以上である場合、それに対応する個数のイオン性官能基とイオン結合を形成することは当業者により容易に理解されるとおりである。
本発明の一つの実施態様では、式(I)のYおよびZは単結合を表す。
別の実施態様では、式(I)のR81、R82、R83およびR84は、それぞれ独立して、メチル、エチル、メチルカルボニル、イソブチル、および2−メチル−2−メトキシ−プロピルからなる群から選択される。
別の実施態様では、式(I)のR71およびR74はメチル基である。
別の実施態様では、式(I)のR72、R73、R75、R76、R77、R78、R85、およびR86は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択される。
別の実施態様では、式(I)のR75およびR76、またはR77およびR78は、一緒になって−(CH−を形成する。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(I)のR72およびR73、R75およびR77、R76およびR78、R81およびR84、R82およびR83、並びにR71およびR74は、それぞれ同一の置換基を表し、かつ、YおよびZは、同一の置換基、または共に単結合を表す。
本発明に用いられるカチオン性重合開始剤のさらに好ましい実施態様によれば、式(I)のR71、R72、R73、R74、R81、R82、R83、およびR84がメチル基であり、R75、R76、R77、およびR78が水素原子であり、YおよびZが単結合である。
式(I)の化合物の合成法は、特に限定されないが例えば次のようにして合成することができる。
まず、α,α'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)誘導体:
を適当な溶媒に溶解し、過剰量のメタノール存在下、室温で塩化水素ガスを通じることによって、活性なイミノエステル誘導体:
を得ることができる。なお、本明細書において構造式中のMeはメチル基を意味する。次に、当該イミノエステル誘導体に、エチレンジアミンなどのアルキレンジアミン誘導体:
を過剰量加え、撹拌することによって環状構造になった化合物:
を得ることができる。さらに、ジクロロメタンに生成物を溶解し、室温、脱酸素条件下において、2.1当量のトリフルオロエタンスルホン酸エステルR71OTfもしくはR74OTfを反応させることにより、Nアルキル化反応が起こり、式(I)に表される目的の化合物を得ることができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記の式(I)の化合物は、2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)とされる。
(2)モノマー
本発明において、ラジカル重合反応の原料となるモノマーとしては、炭素−炭素二重結合を有する化合物であれば、いずれのものも使用することができる。また、その中で、所望の成分、化合物を充填し、または化学結合するにあたり適当なものを、当業者であれば適宜選択することができる。また、その中で、生体適合性や分解容易性等の観点から適当なものを、当業者であれば適宜選択することができる。さらに、その中で、ラジカル重合反応の効率、経済性、安全性等の観点から適当なものを、当業者であれば適宜選択することができる。
本発明の一つの実施態様では、例えば、充填する成分または化合物の分子量が1000以下の低分子である場合には、架橋剤濃度を高くしてポアサイズを小さくしたゲル粒子を選択することができる。加えて、低分子はそのゲル粒子の網目から拡散で外に漏出してしまいやすいため、以下の記載のように低分子の疎水性や電荷などを利用して、ゲル粒子との相互作用を促すか、もしくは共有結合によって、ゲル粒子と直接結合できるようなモノマーを選択することが望ましい。一方、分子量が比較的大きな高分子の場合は、架橋剤の濃度を適切に選択することで網目を制御することが挙げられる。
別の実施態様では、生体適合性を重視する場合には、PEGなどのモノマーを用いることが挙げられる。
別の実施態様では、充填する成分または化合物が電荷を持っている場合は、その電荷のカウンターとなるイオン性基を持ったモノマーを選択することができる。例えば、充填する成分または化合物が負電荷を持っていれば、アミン等の正電荷を持つ側鎖を有するモノマーなどが挙げられ、充填する成分または化合物が正電荷を持っていれば、カルボン酸等の負電荷を持つ側鎖を有するモノマーなどが挙げられる。
別の実施態様では、充填する成分または化合物の疎水性・親水性によっても、モノマーの選択ができる。例えば、充填する成分または化合物が疎水性の高い分子であれば、側鎖に水酸基やアミン基およびイオン性基を含まず、かつ炭素数の大きなモノマーが挙げられ、さらにその中でも、充填する成分または化合物がベンゼン環を含むような構造であれば、フェニル基を側鎖に持つようなモノマーを選択することで、相互作用により、ゲル粒子内での充填成分の安定性を保つことができる。一方、充填する成分または化合物が水に溶けやすいような親水性の高い分子であれば、側鎖に水酸基やアミン基およびイオン性基を含むようなモノマーが挙げられる。
別の実施態様では、成分または化合物をゲル粒子に共有結合する場合は、アクリルアミド系のモノマーなどに目的の低分子または高分子を共有結合させた化合物を合成することで、該化合物をゲル粒子のモノマーとして利用できる。
別の実施態様では、pHに応答して、充填する成分または化合物をゲル粒子外に放出するようなことを考える場合には、pHに応答して化学構造が変わるようなモノマーを選択することで、ゲル粒子のポアサイズや充填する成分または化合物との相互作用の強弱をコントロールできる。そのようなモノマーとして、カルボン酸やアミンを側鎖に含むようなモノマーが挙げられる。
別の実施態様では、温度に応答して、充填する成分または化合物をゲル粒子外に放出するようなことを考える場合には、温度に応答してポリマー構造が変わるようなモノマーを選択することで、ゲル粒子のポアサイズや充填する成分または化合物との相互作用の強弱をコントロールできる。そのようなモノマーとして、アクリルアミド系のモノマーが挙げられる。
別の実施態様では、紫外線などの光に応答して、充填する成分または化合物をゲル粒子外に放出するようなことを考える場合には、UVに応答してモノマーの一部分の構造が開裂するようなモノマーを選択することで、ゲル粒子の構造を大きく変え、充填する成分または化合物をゲル粒子外に放出することができる。そのようなモノマーとして、PEG−photo―MA(Murayama, Shuhei, et al. “NanoPARCEL: a method for controlling cellular
behavior with external light.”Chemical Communications 48.67 (2012): 8380−8382.)のような光開裂性モノマーが挙げられる。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明に用いられる炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーとしては、ビニル系化合物モノマーが挙げられる。例えば、共重合体の合成などに関して経験的に有用な指標であるAlfrey,Priceの式に基づいたQ−eスキームを使った場合のQ値でモノマーをクラス分けすれば、Q≧0.2の共役系モノマーとして、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸類、アクリル酸類のエステル類、メタクリル酸類、メタクリル酸類のエステル類、スチレン類などが挙げられ、Q<0.2の非共役系モノマーとして、酢酸ビニルモノマーなどが挙げられる。Q値が近いモノマーは共重合しやすいなどの性質が知られていることから、これらのカテゴリーの中での共重合体は容易に作製することが可能である。
本発明の特に好ましい実施態様によれば、本発明に用いられる炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーとしては、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、N-イソプロピルメタクリルアミド(NIPMAM)、メタクリル酸メチル(MMA)、または酢酸ビニルモノマーが用いられ、より好ましくはN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)および/またはメタクリル酸メチル(MMA)が用いられる。
(3)架橋剤
本発明において、ラジカル重合反応の原料として架橋剤を用いる場合には、架橋剤としては、分子中に2以上のビニル基を含むモノマーであって、架橋剤として通常使用されているものであれば特に限定されない。当該架橋剤の具体的な例としては、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、N,N'−エチレンビスアクリルアミド、N,N'−メチレンビスメタクリルアミド、N,N'−エチレンビスメタクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
本発明において使用する架橋剤モノマーの量は、特に限定されないが、例えば、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに対して、0.1〜20モル%の量を使用することができる。
本発明の特に好ましい実施態様によれば、本発明に用いられる架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)またはジビニルベンゼンが用いられる。
(4)反応条件
本発明で用いられるゲル粒子は、高分子合成の技術分野における通常の知識に基づいて合成することができ、例えば、ラジカル重合などによる重合体として得ることができる。
本発明で用いられるゲル粒子の製造方法の1例は以下の通りである。
重合開始剤の使用量は、使用するモノマーに対して0.01モル%以上の量であればよく、ラジカル合成が進行する濃度の範囲内で適量を選択することができる。例えば、0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上の重合開始剤を使用することができる。
重合反応に使用する反応溶媒は、特に限定されないが、例として、水、メタノール、アセトン、もしくはそれらの混合溶媒などが挙げられる。好ましくは水を溶媒として系中を撹拌して重合反応を行う乳化重合系がよい。ラジカル重合は、特に限定はされないが、例えば0〜100℃、好ましくは50〜70℃の反応温度、および例えば1〜48時間、好ましくは2〜16時間の反応時間で行うことができる。
架橋剤モノマーを使用する場合の共重合反応は、当該技術分野で慣用の手法により行うことができる。
当該共重合反応に使用する反応溶媒としては、特に限定されないが、例えば、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ペンタデカン硫酸ナトリウム、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロマイド、N−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロマイド、トライトンX−100など)を含む水を使用することができる。
共重合体のナノゲル(ナノサイズのゲル微粒子)のサイズは、共重合反応における撹拌効率、反応温度、界面活性剤の使用量、反応開始剤の使用量、架橋剤モノマーの使用量により調節することができる。例えば、界面活性剤および/または反応開始剤の使用量を増加させることにより、サイズが小さいナノゲルを得ることができる。得られるナノゲルのサイズは、本発明が属する当業者であれば適宜調節することができ、本発明の共重合体のナノゲルのサイズは、例えば、5〜100nmである。
当該共重合反応条件は、特に限定はされないが、例えば0〜100℃、好ましくは50〜70℃の反応温度、および例えば1〜48時間、好ましくは2〜16時間の反応時間が挙げられる。
また、高分子合成の技術分野における通常の知識に基づき、必要に応じて、紫外線照射により、重合反応を起こすこともできる。
本発明の好ましい実施態様によれば、重合反応は機械的な攪拌の下で行われる。また、疎水性モノマーを用いてゲル粒子を製造するには、水との相溶性の高い溶媒、例えば、水、メタノール、アセトン、またはこれらの混合物を用いて重合反応を行うことが好ましい。さらに、水溶性モノマーを用いてゲル粒子を製造する場合であっても、得られるポリマーが水に溶けにくいものである場合には、上記と同様、水との相溶性の高い溶媒、例えば、水、メタノール、アセトン、またはこれらの混合物を用いて重合反応を行うことができる。また、水溶性モノマーを用いてゲル粒子を製造する場合において、得られるポリマーが水に溶けやすいものである場合には、水溶性モノマーの水溶液を油中水エマルジョンを形成し、これにカチオン性重合開始剤を添加して重合反応を行うことによってゲル粒子を製造することができる。さらに、ゲル粒子を製造する際に架橋剤を用いると、様々な性質のモノマーを用いてゲル粒子を形成することができ、また、得られるゲル粒子の化学的安定性を向上させることができる。
4.その他の成分
本発明の皮膚用化粧料組成物には、必要に応じて、上記以外の成分を、本発明の効果を実質上損なわない範囲内で配合することができる。このような成分としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ひまし油等の液体油脂;固体油脂;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等のロウ;ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性若しくはポリエーテル変性シリコーン油等のシリコーン油;グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、カチオン化ローカストビーンガムなどのカチオン性多糖類、ポリクオタニウム−7などの合成系カチオン性高分子、ポリクオタニウム−39などの両性高分子等の水溶性高分子;トリクロロカルバニリド、イオウ、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノール等の抗フケ用薬剤;植物系増粘剤、微生物系増粘剤、動物系増粘剤、セルロース系増粘剤、デンプン系増粘剤、アルギン酸系増粘剤、ビニル系高分子、高分子量ポリエチレングリコール等の増粘剤;粘度調整剤;乳濁剤;金属イオン封鎖剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、1,2−オクタンジオール、メチルイソチアゾリノン等の防腐剤;マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、フォトクロミック顔料、合成フッ素金雲母、鉄含有合成フッ素金雲母、微粒子複合粉体等の粉末成分;赤色106号、だいだい色205号、黄色4号、緑色3号、青色1号等の色素;低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、各種抽出液、血行促進剤、局所刺激剤、毛包賦活剤、抗男性ホルモン剤、抗脂漏剤、角質溶解剤、殺菌剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、消炎剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、生薬エキス類等の育毛薬剤、pH調整剤、香料等が挙げられ、これらを必要に応じて適宜配合し、目的とする剤型に応じて常法により製造することができる。
本発明の皮膚用化粧料組成物は、選択する剤形と形態に応じた方法に従って製造することが可能であり、典型的には、上記の必須配合成分と必要な選択的成分を、水等の溶剤に溶解させることにより製造される。本発明の皮膚用化粧料組成物の製品形態としては、ローション、クリーム、軟膏、パウダー、シート、スプレー等が挙げられる。
以下に実施例を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実験手法
ゼータ電位は、Zetasizer Nano ZS (Malvern)を用いて測定を行った。ゲル粒子径は動的光散乱法(DLS)に基づき測定し、ELS−8000(大塚電子)またはZetasizer Nano ZS (Malvern)を用いて行った。
共重合体の合成に必要な単量体(蛍光性ユニット)の1つであるN−(2−{[7−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル]−(メチル)アミノ}エチル)−N−メチルアクリルアミド(DBThD−AA)は、文献A(Chemistry A European Journal 2012年,第18巻,第9552〜9563頁)に記載の方法に従って行った。
同じく、共重合体の合成に必要なカチオン性ラジカル重合開始剤の1つである2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)は、文献B(Angewandte Chemie International Edition 2018年, 第57巻,第5413〜5417頁)に記載の方法に従って行った。
実施例1−1:カチオン性N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)ゲル(MH028)およびアニオン性NIPAMゲル(MH020)の製造
(1)カチオン性NIPAMゲルMH028の合成
226.33mgのNIPAM(100mM)、3.08mgのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)(1mM)、7.7mgのDBThD−AA(アクリルアミド基−蛍光色素)(1mM)、および12.16mgのセチルトリメチルアンモニウムクロライド(1.9mM)を、19mLの超純水に溶解した。70℃で撹拌しながら、窒素ガスで30分間、溶存酸素を追い出した。1mLの超純水に溶解した339.79mgのカチオン性重合開始剤ADIP(28mM)および6.74 mgのテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)(2.9mM)を滴下することで反応を開始した。70℃、1hr、170rpmで反応を行った。得られた反応液に対して、外液を超純水とした透析を1週間行った後、凍結乾燥を行った。収率11%の黄色粉末を得た。
(2)アニオン性NIPAMゲルMH020の合成
226.42mgのNIPAM(100mM)、3.13mgのMBAM(1mM)、5.65mgのDBThD−AA(1mM)、および72.57mgのSDS(12.6mM)を、45mLの超純水に溶解した。70℃で撹拌しながら、窒素ガスで30分間、溶存酸素を追い出した。5mLの超純水に溶解した127.89mgの過硫酸アンモニウム(28mM)、および6.74mgのTEMED(2.9mM)を滴下することで反応を開始した。70℃、1hr、170rpmで反応を行った。得られた反応液に対して、外液を水とした透析を8日間行った後、凍結乾燥を行った。収率51%の黄色粉末を得た。
(3)ゼータ電位測定
合成したサンプルを超純水に0.1%濃度で溶解し、45℃でゼータ電位を測定した(マルバーン社、Zetasizer Nano ZS)ところ、表1のようになり、それぞれカチオン性表面およびアニオン性表面を有するゲルが出来ていることがわかった。
実施例1−2:カチオン性N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)ゲル(MH028)のブタ皮膚吸着性評価
ブタ皮膚(チャールスリバー)を半解凍し、脂肪部を切削した。得られた皮膚を1cm角のシートにそろえた。皮膚の表面の黒色が上になるように、穴の開いた96wellプレートを皮膚で上下から挟み込み、上から重しを乗せた。金属バットにリン酸緩衝液生理食塩水(PBS:137mM NaCl,2.7mM KCl,81mM NaHPO,14.7mM KHPO)を入れ、そこに皮膚で挟んだ96wellプレートを、PBSが皮膚上面に到達しない程度に浸し、皮膚表面から0.1(w/v)%濃度になるように調製した各種ゲル水溶液を100μLずつ乗せた。蒸発しない様ラップをかぶせ、25℃で2時間反応させた後、100μLのPBSで2回洗浄し、実体蛍光顕微鏡(励起470nm(LED)、蛍光560nm以上(SC56フィルタ))でゲル由来の蛍光を観察した。サンプルをのせた部分を全て写真撮影し、画像解析ソフトImageJによって、サンプル塗布部分のすべてを囲み、明るさを数値化し、その平均値を算出した。
ブタ皮膚表面に残った蛍光量を数値化した結果を図1に示す。図1に示すように、正電荷を帯びたNIPAMゲルは強く皮膚表面に吸着することがわかった。
実施例2−1:カチオン性重合開始剤2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)を用いたメタクリル酸メチル(MMA)ゲル(TT060、AK046)、およびN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)ゲル(AK030)の製造
(1)カチオン性メタクリル酸メチル(MMA)ゲル(TT060)の合成
窒素ガスで30分間バブリングすることにより溶存酸素を追い出した超純水500mL(ミリポア社製の超純水製造装置により製造)を準備した。450rpm攪拌下で窒素バブリングを行いつつ、60℃まで加温した。その後、2880mg(64mM)のメタクリル酸メチル(MMA)と1mLの超純水に溶解した559.5mg(2.05mM)のカチオン性重合開始剤2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)を滴下して反応を開始した。60℃で6時間、450rpmでプロペラ攪拌させながら反応させた。反応液は超純水を外液とする2日間の透析により精製して、固形分含量0.56(w/v)%の共重合体化合物TT060を得た。
同一の方法でAK046の合成を行い、20400×gで20分間の遠心分離により濃縮を行った。遠心分離後の上清を1mL残して除去し、5mLの超純水で溶解した。これにより、1.83(w/v)%の共重合体化合物AK046を得た。
TT060およびAK046について、平均粒子径および平均ゼータ電位の測定を25℃で行った。
TT060については、24時間閉塞ヒトパッチテストサンプルとして使用するため、遠心分離による濃縮を以下の手順で行った。40mLのTT060懸濁液を、20400×gで20分間遠心分離を行った。上清を5mL残して除去し、再度20400×gで6分間遠心分離を行った。その後、上清を1mL残して除去し、5mLの超純水で溶解した。これにより、1.0(w/v)%の濃度のTT060水溶液を調製した。
(2)カチオン性N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)ゲル(AK030)の合成
窒素ガスで30分間バブリングすることにより溶存酸素を追い出した超純水500mL(ミリポア社製の超純水製造装置により製造)を準備した。480mLの超純水に、5658mg(100mM)のN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)と325mg(5mM)のジビニルベンゼン(DVB)を加えて、300rpm、70℃で30分間攪拌した。その後、20mLの超純水に溶かした8493mg(28mM)のカチオン性重合開始剤2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)を加え、1時間反応させた。反応後、溶液を氷冷し、凝集物をろ紙で除いたのち、飽和量以上の塩化ナトリウムを加え、塩析した。析出物をガラスフィルターでろ取し、超純水に溶かして水溶液とした。その溶液を3.5kDaの透析膜により透析した。透析3日後のサンプルを数mL採取し、20400×gで20分間の遠心分離の後、平均粒子径および平均ゼータ電位の測定を45℃で行った。
上述の方法に従って合成したそれぞれのゲル粒子の特徴を表2に示す。いずれも表面ゼータ電位がプラスであることから、カチオン性の特徴を持った粒子が合成できた。
実施例2−2:カチオン性メタクリル酸メチル(MMA)ゲル(TT060)、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)ゲル(AK030)の24時間閉塞ヒトパッチテストによる安全性評価
実施例2−1で製造した1.0(w/v)%TT060と超純水で1.0(w/v)%に調製したAK030をテストサンプルとして使用した。「化粧品・医薬部外品 製造販売ガイドブック2011−12」第4章のヒトパッチ試験(p.176)に準拠して試験を実施した。被験者は20名であり、20歳以上59歳以下の日本人男女で、24時間閉塞ヒトパッチテストにより評価された。上腕部内側を処置領域として使用した。試験検体をパッチテストユニット(「アレジーズパッチテストチャンバー」(株式会社スマートプラクティスジャパン製)に適量塗布し、これらを、閉塞されたパッチを形成するために適切な処置部位に適用した。
上記の方法で実施した24時間閉塞ヒトパッチテストの結果を、以下の表3および表4に示す。
表3および表4に示される結果から、1.0(w/v)%カチオン性メタクリル酸メチル(MMA)ゲルと1.0(w/v)%カチオン性N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)ゲルはいずれも、極めて刺激の少ない「安全品」に分類された。
実施例2−3:カチオン性メタクリル酸メチル(MMA)ゲル(AK046)を用いた即時バリア改善作用評価試験評価
AK046(カチオン性ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ゲル)水溶液を0.3(w/v)%の濃度に調製した。比較対照として、保湿剤としての使用実績がある0.1(w/v)%ヒアルロン酸を用いた。試験は、試験実施施設の評価室(室温20±2℃、相対湿度50±10%)にて実施した。経表皮水分蒸散量(TEWL(g/m2/h))は、サイクロン水分蒸散計AS‐CT1(日本アッシュ株式会社)により3回以上測定し、その中から安定した3回の測定の平均値を用いた。5名の被験者(平均年齢は33.8±7.7)の前腕内側を、指定の洗浄料にて洗浄後20分間馴化させた後に、TEWLの初期値を測定した。その後、2(w/v)%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液パッチを2時間試験部位に貼付することにより、疑似荒れ肌を作製し、TEWLを測定した。5名の被験者は、SDS水溶液パッチ貼付・除去直後におけるTEWL測定値の平均値が初期値から上昇することを確認した被験者である。その後、前腕内側の各試験区に10μLずつ試験品を塗布し、塗布から1時間後および2時間後の塗布部位におけるTEWL値を測定した。
測定値の解析は、特開2007−246459号公報に記載されるように、初期値からSDS貼付後のTEWL値の増加が25%以上増加した場合を肌荒れ状態にあると定義し、25%以上増加の見られなかった場合は、解析対象から外した。また、塗布1時間後および2時間後のそれぞれのTEWL値とSDS貼付後のTEWL値の差分(ΔTEWL値)を算出した。被験者毎に各処理時間における水塗布時のΔTEWL値を1とした標準化を行い、被験者の平均値を算出し、Welch's t-testにより検定を行った。その結果を表5に示す。
この結果から、カチオン性PMMAゲルを塗布した群では、水塗布と比較して1時間では有意に皮膚バリア性を改善し、2時間でも改善傾向にあった(P=0.069)。さらに保湿剤として使われるヒアルロン酸と比較しても2時間まで有意な皮膚バリア性を保つことがわかった。

Claims (9)

  1. 表面が陽性荷電で覆われたゲル粒子を含んでなる皮膚用化粧料組成物であって、該ゲル粒子が、カチオン性重合開始剤および炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに由来する構造単位を含んでなる共重合体である、皮膚用化粧料組成物。
  2. 前記共重合体が架橋剤に由来する構造単位を含むものである、請求項1に記載の皮膚用化粧料組成物。
  3. 前記カチオン性重合開始剤が、一般式(I):
    [式中、
    Yは、単結合またはCR85を表し、
    Zは、単結合またはCR86を表し、
    72、R73、R75、R76、R77、R78、R85およびR86は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択され、ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニルおよびフェニルは、さらにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
    72およびR73は、さらに、それぞれ独立して、アダマンチル、またはSi(OCH(CH)で置換されたC1−6アルキルを表してもよく、
    あるいは、R75およびR76、またはR77およびR78は、一緒になって−(CH3−5−を形成してもよく、
    81、R82、R83、およびR84は、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、およびC1−3アルコキシからなる群から選択される置換基であり、ここで前記C1−4アルキルは一つのC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、および
    71およびR74は、それぞれ独立して、C1−3アルキル基であり、
    はカウンターアニオンである]
    の化学構造を有する化合物である、請求項1または2に記載の皮膚用化粧料組成物。
  4. 前記カチオン性重合開始剤が、2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
  5. 前記炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーが、ビニル系化合物モノマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
  6. 前記炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーが、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸類、アクリル酸類のエステル類、メタクリル酸類、メタクリル酸類のエステル類、スチレン類、および酢酸ビニルモノマーからなる群より選択される1または2以上の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
  7. 前記炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーが、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)および/またはメタクリル酸メチル(MMA)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
  8. 前記架橋剤が、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAM)および/またはジビニルベンゼンである、請求項2〜7のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
  9. 皮膚表面からの水分損失を低減または防止するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
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