以下、図1等を参照して、一実施形態に係る案内ロボットの一例について概要を説明する。なお、以下では、一例として、図示のように、案内ロボット10を設置した状態において、重力方向(垂直方向)を−Z方向とし、Z方向を上下方向とする。また、Z方向に対して垂直な面(水平面)内において互いに直交する方向をX方向及びY方向とする。すなわち、Z方向に垂直な面をXY面とする。また、案内ロボット10の正面についての方向すなわち前後方向をX方向とし、左右方向をY方向とする。図1は、案内ロボット10の一構成例を示す概念的な斜視図であり、図2(A)は、案内ロボット10の平面図であり、図2(B)は、案内ロボット10の正面図であり、図2(C)は、案内ロボット10の側面図である。また、図2(D)は、案内ロボット10の正面図について一部拡大して、内部の様子を概念的に示した断面図である。さらに、図3は、案内ロボット10の立体構造部11と、立体構造部11を載置させる台座部12の一部について示す正面図である。
例えば図1〜図3に示すように、本実施形態に係る案内ロボット10は、利用者との対話を行うための案内部10gとして、対話を行う主要部分である人型の立体構造部11と、立体構造部11を載置させる台座部12と、立体構造部11を収納するブース13とを備える。また、案内ロボット10は、案内部10gによる案内を開始すべく、利用者を検知する第1検知部としての第1撮像部CA1と、案内ロボット10の近傍に存在する利用者を検知する第2検知部としての第2撮像部CA2及び人感センサーSEとを備えている。なお、ここでは、第1撮像部CA1は、立体構造部11の可動部分に設けられている。一方、第2撮像部CA2は、立体構造部11の固定部分に設けられている。また、人感センサーSEは、台座部12に設けられている。結果的に、第1検知部である第1撮像部CA1は、第2検知部である第2撮像部CA2や人感センサーSEよりも上方側に設けられている。
案内ロボット10のうち、第1撮像部CA1、第2撮像部CA2及び人感センサーSEの少なくとも一方で利用者が検知されると、案内部10gは、検知された利用者の要求に応じて情報を提供することで案内を行う。ここでは、案内ロボット10は、駅構内及びその周辺に設置され、駅内(駅の中)や駅周辺の各施設(駅の外)に関する経路案内等の各種案内を行う。すなわち、案内ロボット10は、駅やその周辺の施設についての利用者に対して、目的地への経路情報を含む利用者の種々の要求に応じた情報を提供するためのシステムとして機能するものとなっている。ただし、これに限らず、案内ロボット10は、例えばイベント会場等種々の場所に設けることが可能である。
また、上記のほか、案内ロボット10は、案内の利用に際して利用者の立ち位置を示す立ち位置マークを提示する提示部PPを有している。ここでの一例では、床面に貼り付け可能な足跡の形状をしたシール等で提示部PPが構成されている。
案内ロボット10のうち、立体構造部11は、人型の立体構造物で構成されている。すなわち、立体構造部11は、人体の一部を模した形状の頭状部やこれを支持する胴体状部を有する。また、立体構造部11は、人の音声や支持等を理解可能とすべく入力部としてのマイクMC(音声認識部)を有するとともに、出力部として音声を発するスピーカーSK(音声出力部)を有することで、情報案内の提供等の人に対する接客対応を可能としている。特に、本実施形態では、案内ロボット10は、立体構造部11のうち、可動部分である上部側に、通行人の連続撮像を行うカメラとして機能する第1撮像部CA1を有しており、固定部分である下部側に、案内ロボット10の前に存在する利用者を検知するために連続撮像を行う第2撮像部CA2を有している。なお、立体構造部11の詳しい構造の一例については、図3及び図4を参照して後述する。
案内ロボット10のうち、台座部12は、立体構造部11を載置させる天板部分TPを上部に有するとともに内部に収納空間を有する筐体部SCや、筐体部SCから下方に延びて自身を支持する脚部LEを有する。このほか、台座部12は、ブース13を取り付けるためのL字状の取付部MPを天板部分TPから上方向に延在させて有する。また、台座部12の筐体部SCには、各種情報について出力結果を表示するためのパネル(モニター)で構成される表示部DUや、印刷用のプリンターPTが設けられており、さらに、利用者が携帯するスマホ等に対して無線通信を行うために、例えばWi−Fi(Wireless Fidelity、登録商標)や、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等種々の近距離無線通信による情報の交換を可能とするための通信部CUが設けられている。すなわち、各種出力装置が、台座部12に設けられており、利用者は、これらの装置から道案内等の必要な各種情報の提供を受けることができる。特に、ここでは、案内の一環として、例えば道案内の地図等を示すといった場合には、表示部DUにおいて表示動作を行うこととし、立体構造部11は、専ら利用者との対話や、対話の結果としての音声出力による情報提供に専念する構成となっている。
さらに、台座部12には、案内ロボット10の前に存在する利用者を検知するための人感センサーSEが設けられている。ここでは、台座部12のうち筐体部SCの中央前面に1つの人感センサーSEを設置することで、案内ロボット10の前に現れた利用者を確実に検知できるようにしている。例えば子供等の背の低い利用者や案内ロボット10の脇や裏手から近づいてきた利用者等のように、第1撮像部CA1で見落とされ得る利用者について、人感センサーSEで検知することで、検知漏れを抑制できる。
なお、人感センサーSEについては、既存の種々のものが利用できる。例えば、単数又は複数の赤外センサーを人感センサーSEとして設けることが考えられる。あるいはラインセンサー等で人感センサーSEを構成してもよい。また、カメラで人感センサーSEを構成してもよい。
また、台座部12において、筐体部SCの内部には、図2(D)において一部拡大して示すように、内部に、案内ロボット10の各部における各種動作制御を行うための制御部20や、スピーカーのアンプAM、人感センサーSEの制御基板SSといった各種装置が収納されている。これらのうち、制御部20は、図示において配線を省略しているが、各部と接続されており、立体構造部11の各種動作を制御するほか、表示部DUをはじめとする台座部12に設けられた各種装置の動作を制御する。例えば、筐体部SCの天板部分TPに挿通孔(図示略)を適宜設けておき、ケーブルを通して制御部20と立体構造部11とを接続しておくことで、制御部20による立体構造部11の動作が制御可能となっている。なお、制御部20については、例えば小型のPC等で構成することが考えられる。
案内ロボット10のうち、ブース13は、着脱可能な板状部材を組み合わせて構成されている。より具体的には、図2及び図3等に示すように、左右一対の側板PLa,PLbと、背板PLcと、天板PLdとを、台座部12のL字状の取付部MPに組付けることで、構成されている。ブース13によって立体構造部11等を囲んだ状態とすることで、案内ロボット10と利用者とが共有する空間が音響的に優位となり、例えば、ブース13の外部からのノイズ遮蔽をして対話品質を向上させることができ、また、ブース13の内部における立体構造部11や利用者の発話の適切な吸音・反射構造とすることもできる。なお、ブース13は、側板PLa,PLb及び背板PLcによってU字状の囲いをし、さらに、天板PLdを設けることで、U字状の囲いを補強した構成となっている。
ここで、例えば図1や図2(C)に示すように、ブース13のうち、側板PLa,PLbは、不透明部OPと透明部TSとを有している。板状部材である側板PLa,PLbは、例えば、透明あるいは半透明のアクリル板の一部に塗装を施すことで、不透明部分が設けられて形成されている。ここでは、図中ハッチングで示すように、相対的に利用者から遠い側について塗装をせずに透明あるいは半透明のアクリル板を露出した状態に維持することで、透明部TSを形成している。これにより、透明部TSにおいて内部を外部から視認可能にして、人型の立体構造部11があることを案内ロボット10の外部からでも認識できるようにしている。
一方、側板PLa,PLbにおいて、相対的に利用者に近い側について塗装を施して不透明部OPを形成している。これにより、不透明部OPにおいて利用者を覆い隠し、対話中であることが周囲から気付きづらくして利用者の恥かしさを軽減している。さらに、不透明部OPを形成する塗装において、図示のように、外部に対して案内ロボット10が案内を行うものであることを明示すべく案内所であることを示す規定のインフォメーションマーク等を付しておいてもよい。
なお、ブース13の組立てについては、例えば、側板PLa,PLb等の板状部材を台座部12のL字状の取付部MPにおいてネジ止め等により組付けることで、簡易かつ迅速着脱可能となっている。使用態様の一例としては、通常の使用時には、ブース13を取り付けておくことで、既述のように、案内を行うものであることを外部に示しつつ利用者を覆い隠せるようにしておくが、多数の利用者が1つの案内ロボット10を囲むようにして使用したい、といった場合には、ブース13を取り外して使用する、といったことが想定できる。
以下、図3及び図4を参照して、利用者との対話を行うための案内ロボット10としての主要部分である立体構造部11の一構成例について、内部構造を含め、より詳しく説明する。まず、案内ロボット10の外観構造に関して説明する。なお、ここでは、既述のように、重力方向(垂直方向)を−Z方向とし、Z方向を上下方向とし、Z方向に対して垂直な面(水平面)内において互いに直交する方向をX方向及びY方向とする。なお、図4(A)及び4(B)に示す立体構造部11の内部構造では、各部の配線や一部の構造について、省略している。
図3に示すように、立体構造部11は、人型の立体構造物として認識される構成となるように、Z方向について最上部に設けられ球形に近い形状を有する頭状部HDと、頭状部HDの下側に設けられて頭状部HDを支持する胴体状部TRとを有して、人の上半身を模した形状になっている。
また、立体構造部11は、利用者の声を認識し、認識した音声情報に基づいて、利用者とのコミュニケーションを可能とするコミュニケーションロボットである。このため、例えば、図3及び図4に示すように、立体構造部11は、顔パネル部FPと、スピーカーSKと、マイクMCとを備える。また、立体構造部11には、第1検知部である第1撮像部CA1や、第2検知部である第2撮像部CA2が組み付けられている。
ここで、立体構造部11は、コミュニケーションの動作の一環として、各部が動作可能となっている。すなわち、立体構造部11は、コミュニケーションの補助や円滑化等のために、例えば、発声とともに、前かがみになったり腰を振ったり、頷いたり、首を横に振ったり等の各種アクションをする、といったことが頭状部HD及び胴体状部TRによって可能になっている。具体的に説明すると、まず、頭状部HDは、Y方向を軸方向として、すなわちY軸の周りに回転可能となっており、あたかも頷くような動作が可能になっている。また、胴体状部TRが、上下方向(Z方向)について3段構造になっており、上段側に位置する胸部TR1と、中段に位置する腰部TR2と、下方側に位置する座部TR3とで構成されており、これらのうち、胸部TR1及び腰部TR2が回転駆動する。より具体的には、図4(A)及び4(B)の内部構造に示すように、まず、モーターMT1により、頭状部HDが、頭状部HDの支持部HSに設けられた軸部SH1が軸AX1のまわりに軸回転することで、矢印R1の方向について回転する。また、モーターMT2,MT3により、胴体状部TRの胸部TR1及び腰部TR2が、胴体状部TRの内部に設けられた軸部SH2,SH3が軸AX2,3のまわりにそれぞれ軸回転することで、矢印R2,R3の方向について回転する。以上のような回転駆動を組み合わせることで、立体構造部11は、上記のような動きが可能となっている。また、以上の場合、頭状部HDや胸部TR1及び腰部TR2は、立体構造部11の可動部分であることになる。一方、座部TR3は、台座部12に対して固定された固定部分であることになる。なお、各部HD,TR1〜TR3は、例えば樹脂等で構成され、ある程度の強度を有する部材である。
なお、図示の例では、頭状部HDの正面側に点灯表示等を行う点灯部LUがさらに設けられており、これらを各部での各種動作に合わせて点灯・点滅等させることで、コミュニケーションに利用したり、案内ロボット10を目立たせて存在をアピールしたりしてもよい。
以上のような動作をすることで、案内ロボット10は、自己の存在のアピールや会話等のコミュニケーション動作を行う際に、併せて人型の立体構造部11の頭部や胴体部を動かす、といったことができる。例えば、各撮像部CA1,CA2等で人検出がなされた場合に、案内をするロボットがいることを示す態様とすることが考えられる。
以下、立体構造部11の頭状部HDあるいは胴体状部TRに取り付けられる各部について、説明する。
まず、第1撮像部CA1は、立体構造部11の可動部分の1つである頭状部HDに設けられている。すなわち、第1撮像部CA1は、可動部分のうち最も上方側に設置されている。この場合、頭状部HDや胴体状部TRを適宜動かすことで、第1撮像部CA1は、姿勢を変化させつつ上下方向や左右方向の広い範囲について、利用者の存在を検知できる。
また、顔パネル部FPは、例えば液晶パネルや有機ELパネル等で構成され、頭状部HDのうち、顔に相当する箇所である正面側に設けられている。例えば、顔パネル部FPに目鼻口等の画像を表示させることで、頭状部HDに顔のような画像を設けることで、最上部にある頭状部HDが人型のロボットの頭部であることを利用者に認識させることができる。図3の例では、大きな目玉のようなものを表示させている。なお、本実施形態では、顔パネル部FPにおいて、各種案内は行わず、専ら立体構造部11の顔としての表現をするための画像表示を行うが、顔パネル部FPにおいて、各種案内のための画像表示を行うものとしてもよい。
スピーカーSKは、情報発信のための1つの手段として、例えば図4(A)及び4(B)に示すように、ステージST上に設置されて胴体状部TRの胸部TR1に内蔵され、利用者に対して音声による発信を行う音声出力部として機能する。この場合、胸部TR1の内部において第2モーターMT2によるステージSTの回転動作に伴って、頭状部HDの支持部HSとともにスピーカーSKが回転することで、スピーカーSKは、常に顔パネル部FPや第1撮像部CA1が向いている方向に向けて音声による発信を行う。すなわち、スピーカーSKは、立体構造部11の可動部分に設けられ、第1検知部である第1撮像部CA1により検知された人(利用者)の方向に向けて音声を発することが可能になっている。
マイクMCは、情報収集のための1つの手段として、頭状部HDの頭頂部HTに内蔵される指向性マイクで構成され、利用者の方向に向いて利用者の声を認識する音声認識部として機能する。この場合、頭状部HDの内部において第1モーターMT1による回転動作等に伴って、マイクMCは、常に顔パネル部FPや第1撮像部CA1が向いている方向に向けられる。結果的に、マイクMCは、第1検知部である第1撮像部CA1により検知された人(利用者)の方向に向いた状態となり、指向性マイクの性能が高い状態で利用者の声を認識できる。
次に、第2撮像部CA2は、立体構造部11の固定部分である胴体状部TRの座部TR3に設けられている。すなわち、第2撮像部CA2は、立体構造部11のうち最も下方側に設置されている。この場合、第1撮像部CA1よりも低い位置にあることで、第2撮像部CA2は、利用者の下方側について捉えることが可能となり、第1撮像部CA1において利用者の検知漏れ(見落とし)があった場合にも、利用者の存在を検知できる。また、第2撮像部CA2では、下方側から利用者を撮像することで、第1撮像部CA1とは異なる角度から顔認識を行うこともできる。なお、高さの異なる位置に第1及び第2撮像部CA1,CA2を配置し、これらから取得される画像データを組み合わせることで、例えば利用者の身長が、120〜190cmと幅広になる場合であっても、人検出(顔検知)ができる。
なお、詳しい説明は省略するが、上記のような動作を可能とするため、立体構造部11の内部には、例えば固定部分である座部TR3において、電源部GEが設けられている。このほか、既述のように、例えば、各部を所定の位置に配置させつつ必要に応じて移動させるためのステージSTやステージSTを対応する各モーターMT1〜MT3により軸AX1〜AX3のまわりに軸回転させるための軸部SH1〜SH3等が、適宜設けられており、さらに、上記各部を立体構造部11の内部に固定するための治具等が、適宜組付けられている。
以上のように、案内ロボット10において、立体構造部11のうち、スピーカーSKは、音声出力動作をすることで、利用者に提供すべき情報を出力する出力部、すなわち情報発信のための手段として機能しているが、これ以外の出力装置については、台座部12に設置する構成としている。例えば、台座部12に取り付けた表示部DUは、液晶パネルや有機ELパネル等で構成され、出力部として、図形(地図)やテキスト(各種情報)を表示する。特に、表示部DUは、利用者に案内すべき地下駅の出口についての地図情報を必要とするといった複雑なものである場合にこれを出力する。また、表示部DUは、利用者によるタッチ入力を可能にするためのタッチパネルとなっており、利用者の操作による信号入力を受け付けるための入力装置としても機能する。なお、図示の例では、表示における視認性や入力の操作性の観点から、立体構造部11の下部に位置する表示部DUを、筐体部SCにおいて、傾斜させて若干上向きとなる面上に設けている。
一方、立体構造部11に設けたスピーカーSKは、出力部として、例えば案内ロボット10の設置個所のすぐ近くにあるような場所の案内を音声出力により行う、といった比較的簡単な情報の提供について出力する。
以下、図5を参照して、複数の案内ロボット10を組み込んだ案内システム500の一例について説明する。図5は、案内ロボット10を制御するクラウド型サーバ50を設けた案内システム500の一構成例を示す概念図である。
図1等に例示したような構成における案内ロボット10による案内動作を行うに際して、案内を行うための機能の一部を、ネットワークを介して動作制御を行うようにすることも考えらえる。例えば大きな駅等において、案内を行おうとする場合、複数の案内ロボット10を用意して、駅の各所に設置し、それぞれにおいて案内動作を行うようにする、といったことも考えらえる。このような場合に、例えば駅周辺の情報については、一括して管理を行い、都度更新して最新の情報を得やすくするようにすることが望ましい、といったことが想定される。さらに、異なる駅に案内ロボット10をそれぞれ配置するような場合であっても、例えば種々の言語での対応を可能とするために、言語に関する検索エンジン等を共通に利用したい、あるいは、対話エンジンは案内ロボット内ではなくネットワーク接続したクラウドにすることで、定期的または適宜に案内コンテンツやシナリオを変更して、対話品質(対話内容)を向上させたい、といった要望等も考えられる。なお、単独の案内ロボット10においても、動作の一部をクラウド型にして行う態様とすることも考えらえる。
以上のようなことを勘案して、図5に示す一例を示す案内システム500では、複数の案内ロボット10を統括的に制御するクラウド型サーバ50を設けた態様としている。ここでは、図示のように、複数の案内ロボット10が、有線あるいは無線によるネットワーク回線を通じて、クラウド型サーバ50へのアクセスが可能になっている。各案内ロボット10は、クラウド型サーバ50からの指令に従って、案内を行う態様となっている。なお、ここでは、クラウド型サーバ50は、利用者との対話機能を制御し、利用者への提供情報を管理しているものとする。すなわち、案内ロボット10における各種案内処理のうち、案内する内容(コンテンツ)に関する各種処理動作をクラウド型サーバ50の側が担っている。この場合、クラウド型サーバ50を利用することで、多様な情報に基づく案内が可能になる。
なお、以上の場合、対話の内容(コンテンツ)に関する情報がクラウド型サーバ50において判断処理される一方、その結果に基づいて、各案内ロボット10における立体構造部11の可動部分の動きや、マイクMCによる音声の発生、表示部DUでの表示等の各種動作の制御については、案内ロボット10に設けられた制御部20が担う。すなわち、クラウド型サーバ50と制御部20との連携において、一連の案内動作がなされることになる。
以下、図6等を参照して、上記態様の案内システム500における案内ロボット10を利用した一連の動作について、一例を説明する。
図6(A)及び6(B)は、案内システム500の利用に関する一連の動作を説明するための流れ図である。図6(A)は、利用者が検知される前の状態すなわち集客時における一連の動作を示す流れ図であり、図6(B)は、利用者が検知されてから対話を開始して継続する動作を示す流れ図である。
まず、図6(A)に示す案内ロボット10で利用者が検知される前の集客時においては、例えば案内ロボット10において、立体構造部11の可動部分を動かしたり、音声を発生させたりすることで、自己の存在、すなわち案内を行うロボットがいることのアピールを行う。一方、この状態においては、図示のように、表示部DUにおける表示動作を停止させておく。具体的には、案内ロボット10に組み込まれた第1検知部である第1撮像部CA1や、第2検知部である第2撮像部CA2、あるいは、人感センサーSEのいずれにおいても利用者の検知がなされず、利用者がいないと案内ロボット10あるいはクラウド型サーバ50において判断されている間は、表示部DUにおいて、表示動作を行わない状態が維持される。案内ロボット10の制御部20は、利用者がいないと判断される状態の継続時間を、図示を省略するタイマーで計測し、計測結果を定期的にクラウド型サーバ50に送信する。クラウド型サーバ50は、所定時間ごとに案内ロボット10の存在をアピールさせるための発話内容(例えば「案内ロボットのエキボです。」等。)を返信し、制御部20は、返信内容に基づく音声を発生させる。さらに、制御部20は、この間、発話内容に応じて、頭部や胴体を動かすようにしつつ、第1撮像部CA1等による利用者の検知動作を継続する。
次に、図6(B)に示すように、案内ロボット10に近づいてくる利用者が第1撮像部CA1等により検知された場合、案内ロボット10の制御部20は、人検知がなされた旨をクラウド型サーバ50に送信する。クラウド型サーバ50は、案内ロボット10からの送信に応じて対応する発話内容とともに表示部DUにおける表示内容を案内ロボット10に返信する。案内ロボット10の制御部20は、クラウド型サーバ50からの返信に応じて、表示部DUの表示を行うとともに利用者に対して発話を行う。なお、図示の例では、日本語と英語による表示と発声を行っている。この場合において、例えば図示のように、制御部20が、利用者からの日本語による応答を、マイクMCにより音声データとして取得すると、当該音声データをクラウド型サーバ50に送信する。クラウド型サーバ50は、取得された音声データを解析して、日本語であることを認識するとともに、日本語による応答内容を返信する。例えば、利用者が日本語で現在時刻について質問した場合、制御部20は、取得した音声データをクラウド型サーバ50に送信し、クラウド型サーバ50は、日本語であること及び日本語の内容を把握して、これに応じた発話内容、すなわち日本語による現在時刻の音声データを案内ロボット10に返信する。クラウド型サーバ50からの返信を受けた案内ロボット10は、スピーカーSKから当該音声データを利用者に向けて発信する。以上により、対話が継続される。
次に、図7を参照して、案内の終了態様について一例を説明する。図7(A)は、案内システム500の利用に関する動作の終了の一例について説明するための流れ図であり、図7(B)は、動作の終了の他の一例について説明するための流れ図である。
案内ロボット10において、利用者との対話が継続していき、例えば図7(A)に示すように、利用者の目的地が特定され、当該目的地の情報が音声や表示によって示された後、利用者から対話の終了を示すキーワード等(図示の例では、「ありがとう。」)が示された場合、クラウド型サーバ50は、対話が終了したものと判断し、当該キーワードに対応する発話内容(図示の例では、「どういたしまして。」)を返信するとともに、一連の動作を終了させる指令をする。
また、図7(B)に示す他の一例のように、利用者の目的地が特定され、当該目的地の情報が音声や表示によって示された後、利用者からの応答が所定時間以上無い場合(図示の例では、30秒無言の状態が続いている。)、クラウド型サーバ50は、まず、対話の終了を確認する発話内容(図示の例では、「ほかに質問はございませんか?」)を返信し、さらなる応答を待つ。ここで、再度、利用者からの応答が所定時間以上無い場合(図示の例では、さらに、30秒無言の状態が続いている。)、案内ロボット10の制御部20は、対話が終了したものと判断し、一連の動作を終了させる(案内ロボット10による強制終了)。
なお、このほか、図8(A)に例示する表示部DUに表示される画像のように、対話の結果、目的地の最寄駅等が特定され、案内部10gにおいて対応する内容が音声とともに表示された場合、タッチパネルとしての表示部DUにおいて、印刷指令やさらなる経路案内(乗換方法の案内)の要求等を、利用者による各種入力操作によって受け付けるとともに、マイクMCによる情報収集を行う、すなわち案内部10gは、利用者からの音声や入力操作による指示を受け付け、対応する各種動作を行う。なお、図8(B)に例示するように、例えば駅の中にある目的地(出口や券売機の場所等)について表示部DUにおいて地図によって示す、といった態様とすることも可能である。
また、上記では、図1に例示したように、利用者の立ち位置を示す立ち位置マークを提示する提示部PPとして、床面に貼り付け可能な足跡の形状をしたシール等を例示しているが、これに限らず、種々の態様で提示部PPを構成してもよい。例えば図9に示す一変形例の案内ロボット10のように、台座部12に収納され、プロジェクター等で構成される投影部PJによって画像投射を行って立ち位置マークを提示する提示部PPを構成することも考えられる。この場合、例えば人感センサーSEと連動させて、利用者がいない時に立ち位置マークを提示させておき、利用者が来たら立ち位置マークの表示を消すようにしてもよい。
以上のように、本実施形態では、案内部10gによって利用者への案内を行うことを前提とした上で、第2検知部である第2撮像部CA2や人感センサーSEよりも上方側に設けられている第1検知部である第1撮像部CA1において、姿勢を変化させつつ利用者を検知することで、例えば案内ロボット10の存在に気付き利用を促進させることを可能としつつ、案内ロボット10側において第1撮像部CA1によって利用者を検知できる。さらに、第1検知部である第1撮像部CA1よりも下方側に設けられている第2検知部である第2撮像部CA2や人感センサーSEが、固定的に設置されて利用者の下部側を捉えることで、例えば案内を受けたい利用者が案内部の前にいることを確実に検知し、第1撮像部CA1において検知し損ねた、といった場合にも、利用者の検知漏れを防ぐ構造になっており、案内部10gによる利用者への案内を確実に開始できる。
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
まず、上記実施形態において、案内ロボット10は、各設置場所において、原則固定されているものとしているが、例えば、限られた範囲内で動くようにしてもよい。例えば動くことで、より案内ロボット10の存在を確認させやすくすること等が可能になる。
また、上記では、第2検知部として第2撮像部CA2及び人感センサーSEを例示しているが、例えば第2撮像部CA2及び人感センサーSEのうち一方のみで第2検知部を構成することも考えられ、例えば人感センサーSEのみで第2検知部を構成してもよい。
また、上記では、案内ロボット10に設けた第1撮像部CA等により、利用者の特定を行うものとしているが、これに限らず、種々の態様により利用者の特定を行うことができ、例えば案内ロボット10を配置する駅等の構内において別途用意しておいたカメラ等からの情報を、通信回線等により利用可能としてもよい。具体的には、例えば施設内(例えば駅等の天井部分)において監視用に設けた定点カメラのデータを受け付け、これを利用して利用者を特定するような構成となっていてもよい。
また、上記では、出力装置として、表示部DUやプリンターPT等を例示したが、これら以外の種々の出力装置を備えるものとしてもよい。また、入力装置として、表示部DUを例示したが、入力装置についても、上記のほか、キーボードやマウス等種々のものを適用できる。
また、上記では、ブース13を板状部材の組合せで構成し、ネジ止めによる組付けとすることで迅速着脱可能としているが、ブース13の構造については、これ以外にも種々の態様が考えられ、例えばドーム型のものとしたり、あるいは開閉可能な屏風状の構造にしたりする、といったことも考えられる。
また、上記の例では、人型の案内ロボット10は、頭部と胴体部のみを有する構成としているが、例えばさらに手に相当する構造を設け、各種ジェスチャ−が行えるものとしてもよい。例えば手話が可能であったり、行き先を、手を使って示したりしてもよい。
また、周囲の(ノイズ)音量に対応して、マイクMCやスピーカーSKの感度や音量を調整可能としてもよい。