JP2020047671A - 炭化珪素半導体装置の選別方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置の選別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】裏面側に欠陥がない炭化珪素半導体装置を選別し、長時間使用しても信頼性が低下しにくい炭化珪素半導体装置をスクリーニングすることができる炭化珪素半導体装置の選別方法を提供すること。【解決手段】炭化珪素半導体装置の温度を所定温度にして、ゲート電極に連続パルスを所定時間印加することによる、炭化珪素半導体装置の順方向電圧、炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧および炭化珪素半導体装置のしきい値電圧の少なくともいずれかの変化率が1%より低いか否かを判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素半導体装置の選別方法に関する。
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。パワー半導体装置は、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETに比べて電流密度は高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、パワーMOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
しかしながら、市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやパワーMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている。
その背景として、炭化珪素は化学的に非常に安定な材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用できることや、最大電界強度がシリコンより1桁以上大きいことが挙げられる。炭化珪素は、シリコンにおける材料限界を超える可能性が高いことからパワー半導体用途、特にMOSFETでは今後の伸長が大きく期待される。特にそのオン抵抗が小さいことが期待されており、高い耐圧の特性を維持したままより一層の低オン抵抗を有する縦型SiC−MOSFETが期待できる。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
(炭化珪素半導体装置の構造)
従来の炭化珪素半導体装置の構造について、nチャネル型の縦型MOSFETを例に説明する。図6は、従来の炭化珪素半導体装置の構造の一例を示す断面図である。図6に示すように、n+型炭化珪素基板1のおもて面にn型炭化珪素エピタキシャル層2が堆積され、n型炭化珪素エピタキシャル層2の表面層にp+型ベース領域3が選択的に設けられる。また、n型炭化珪素エピタキシャル層2のおもて面にp型ベース層4が堆積され、p型ベース層4にn+型ソース領域5、p+型コンタクト領域6、n型ウェル領域7が選択的に設けられる。
p型ベース層4およびn+型ソース領域5の表面に、ゲート絶縁膜8を介してゲート電極9が設けられている。また、n+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6の表面に、ソース電極10が設けられている。また、n+型炭化珪素基板1の裏面には、裏面電極としてドレイン電極11が設けられている。
(炭化珪素半導体ウェハ上の炭化珪素半導体素子)
図7は、炭化珪素半導体ウェハ上の炭化珪素半導体素子の一例を示す上面図である。炭化珪素半導体装置は、炭化珪素半導体ウェハ110上に複数形成された炭化珪素半導体素子100を切り出し(ダイシング)、チップ化することにより製造される。炭化珪素半導体ウェハ110からの切り出しは、ダイヤモンド製の円形回転刃のダイシングブレード、レーザーまたは超音波により、例えば図7の点線の部分を切削することにより行われる。
ここで、半導体基板にクラックが発生することを制御する技術がある。例えば、半導体層が、素子領域と素子領域の外周を取り囲む外周領域とを含み、外周領域に、素子領域の外周を取り囲む段差部が形成され、段差部よりも外側で、素子領域毎に半導体層を分割する技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。また、炭化珪素基板の結晶軸に対して垂直な方向にスクライブする際に刃先の稜線に対する左右の刃先角度を異ならせ、結晶軸から見て高い位置にある刃先角度を大きく、他方を小さくしたスクライビングホイールを用いてスクライブする技術が公知である(例えば、特許文献2参照)。
特開2016−18952号公報 特開2017−22422号公報
ここで、炭化珪素基板を用いた炭化珪素半導体素子の裏面側には、歪や裏面電極の剥離といった欠陥が発生することが多い。歪は、基板に生じたクラック(傷)や欠けである。
(個片化された炭化珪素半導体素子)
図8は、個片化された炭化珪素半導体素子の一例を示す上面図である。炭化珪素半導体素子においては、主電流が流れる活性領域211の外周部に、活性領域211の周囲を囲んで耐圧を保持するエッジ終端領域210が設けられ、エッジ終端領域210の外側には無効領域201が設けられている。活性領域とは、オン状態のときに電流が流れる領域である。炭化珪素半導体素子の個片化は、無効領域201において炭化珪素半導体ウェハ110を切り出すことにより行われる。個片化切断面200は個片化による切断面である。また、活性領域211内にゲートパッド領域212が設けられている。図8に示す歪220は、無効領域201のおもて面側の歪の例である。
(炭化珪素半導体素子の歪)
図9は、炭化珪素半導体素子の歪の一例を示す側面図である。炭化珪素半導体素子の歪には、おもて面側の歪220、裏面側の歪221、切断面側の歪222がある。この中で、裏面側の歪221は、例えば図6に示したn+型炭化珪素基板1の裏面にドレイン電極11を設ける前に、n+型炭化珪素基板1の裏面に異物が付着していたり、n+型炭化珪素基板1の裏面にクラック(傷)や欠けが存在していたりすることにより発生する。
また、炭化珪素半導体素子の裏面側には、歪221の他に、n+型炭化珪素基板1の裏面からドレイン電極11が剥離した部分があるといった欠陥も発生する。このようなn+型炭化珪素基板1の裏面からのドレイン電極11の剥離は、例えばn+型炭化珪素基板1の裏面における炭素(C)により、n+型炭化珪素基板1の裏面にドレイン電極11が密着しないことにより発生する。
+型炭化珪素基板1の裏面における炭素は、例えばn+型炭化珪素基板1に内在する炭素が熱処理によりn+型炭化珪素基板1の裏面に現れることにより発生する。また、n+型炭化珪素基板1の裏面における炭素は、例えばゲート絶縁膜8を形成する際に発生した炭素がn+型炭化珪素基板1の裏面に回り込むことによっても発生する。
しかしながら、これらの裏面側の欠陥には、自動外観検査装置または目視等では識別できない微小なものも含まれる。このような裏面側の微小な欠陥は、炭化珪素半導体装置の使用開始時は炭化珪素半導体装置の特性に大きな影響を与えることが少なく、一般的な電気試験、特性試験においても検出することは難しい。そして、裏面側の欠陥が存在する炭化珪素半導体装置を長期に使用し、裏面側の欠陥にインプラントピンの熱応力等の応力がかかると、裏面側の欠陥が成長して、炭化珪素半導体装置の電気特性が悪化してしまう。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、裏面側に欠陥がない炭化珪素半導体装置を選別し、長時間使用しても信頼性が低下しにくい炭化珪素半導体装置をスクリーニングできる炭化珪素半導体装置の選別方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、次の特徴を有する。第1工程において、炭化珪素半導体装置の温度を所定温度にする。第2工程において、前記所定温度における、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を測定する。前記第2工程の後に、第3工程において、前記炭化珪素半導体装置に連続パルスを所定時間印加する。前記第3工程の後に、第4工程において、前記所定温度における、前記第2工程によって測定した前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を再度測定する。第5工程において、前記第2工程によって測定した前記順方向電圧に対する、前記第4工程によって測定した前記順方向電圧の変化率を算出する。第6工程において、前記第5工程によって算出した前記変化率が所定値より低いか否かを判定する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、次の特徴を有する。炭化珪素半導体装置はゲート電極を備える。第1工程において、前記炭化珪素半導体装置の温度を所定温度にする。第2工程において、前記所定温度における、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧、前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧および前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧の少なくともいずれかを含む前記炭化珪素半導体装置の特性値を測定する。前記第2工程の後に、第3工程において、前記ゲート電極に連続パルスを所定時間印加する。前記第3工程の後に、第4工程において、前記所定温度における、前記第2工程によって測定した前記炭化珪素半導体装置の特性値を再度測定する。第5工程において、前記第2工程によって測定した前記特性値に対する、前記第4工程によって測定した前記特性値の変化率を算出する。第6工程において、前記第5工程によって算出した前記変化率が所定値より低いか否かを判定する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において次の特徴を有する。前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧、前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧および前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧のうち複数の特性値を含む。前記第5工程においては、前記複数の特性値のそれぞれについて、前記第2工程によって測定した前記特性値に対する、前記第4工程によって測定した前記特性値の変化率を算出する。前記第6工程においては、前記第5工程によって前記複数の特性値のそれぞれについて算出した前記変化率の少なくともいずれかが前記所定値より低いか否かを判定する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において次の特徴を有する。前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を含む。前記炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、を備える。前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧以上の電圧を前記ゲート電極に印加した状態で前記第1電極から前記第2電極への電流を流すことにより前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を測定する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において次の特徴を有する。前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧を含む。前記炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、を備える。前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、前記第2電極から前記第1電極への電流を流すことにより前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧を測定する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において、前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、電流密度が0.1A/cm2以上で1V以上の電圧を前記第2電極に印加することにより前記第2電極から前記第1電極への電流を流すという特徴を有する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において次の特徴を有する。前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧を含む。前記炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、を備える。前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、前記第1電極に正の電圧を印加した状態で前記ゲート電極に電圧を印加することにより前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧を測定する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において次の特徴を有する。前記炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、前記炭化珪素基板のおもて面に設けられた第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層における、前記炭化珪素基板側とは反対側に設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第2半導体層の内部に選択的に設けられた、前記炭化珪素基板よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域と、前記第2半導体層に接触するゲート絶縁膜と、をさらに備える。前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜における前記第2半導体層と接触する面とは反対側の表面に設けられる。前記第1電極は、前記第1半導体領域と前記第2半導体層の表面に設けられる。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において次の特徴を有する。前記炭化珪素半導体装置は、前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層に達するトレンチをさらに備える。前記ゲート電極は、前記トレンチの内部に前記ゲート絶縁膜を介して設けられている。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において、前記所定温度は300℃以下の温度であるという特徴を有する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において、前記所定値は1%であるという特徴を有する。
また、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、上述した発明において、前記連続パルスの周波数は100kHz以上500kHz以下であるという特徴を有する。
上述した発明によれば、炭化珪素半導体装置のゲート電極に連続パルスを所定時間印加することによる炭化珪素半導体装置の過度熱抵抗の大きさを判定することができる。
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法によれば、裏面側に欠陥がない炭化珪素半導体装置を選別し、長時間使用しても信頼性が低下しにくい炭化珪素半導体装置をスクリーニングすることができるという効果を奏する。
図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法を示すフローチャートである。 図2は、連続パルスの周波数とMOSFETのしきい値電圧の変化率との関係の一例を示すグラフである。 図3は、連続パルスの周波数とMOSFETの順方向電圧との関係の一例を示すグラフである。 図4は、連続パルスの周波数と内蔵ダイオードの順方向電圧との関係の一例を示すグラフである。 図5は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造の他の一例を示す断面図である。 図6は、従来の炭化珪素半導体装置の構造の一例を示す断面図である。 図7は、炭化珪素半導体ウェハ上の炭化珪素半導体素子の一例を示す上面図である。 図8は、個片化された炭化珪素半導体素子の一例を示す上面図である。 図9は、炭化珪素半導体素子の歪の一例を示す側面図である。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態)
(実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法)
図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法を示すフローチャートである。実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、裏面側に欠陥がない炭化珪素半導体装置を選別する方法である。炭化珪素半導体装置の裏面側の欠陥とは、上述のように歪や裏面電極の剥離といった欠陥である。
以下では、選別対象の炭化珪素半導体装置として、縦型MOSFET(以下、単にMOSFETと称する)を例に説明する。選別対象の炭化珪素半導体装置は、切り出し前のウェハの状態、ウェハから切り出したチップの状態、モジュールに組み込んだ製品の状態のいずれでもよい。
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法において、まず、対象のMOSFETの温度を所定温度にする(ステップS1:第1工程)。例えば、MOSFETの温度を常温(例えば20℃)以上300℃以下の範囲の温度に調整する。MOSFETの温度が高い方がMOSFETの裏面側の欠陥が拡大されやすいが、常温程度でも実施の形態の選別方法は可能である。
ステップS1におけるMOSFETの温度の調整は、例えばMOSFETに通電することにより行うことができる。例えば、一定の電流密度の順方向電流を、MOSFETが上述の温度範囲になるまで通電することにより、MOSFETの温度を調整することができる。ここで、順方向電流とは、MOSFETのドレイン電極からソース電極に流れる電流のことである。
次に、ステップS1によって調整したMOSFETの温度(所定温度)を維持した状態で、対象のMOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧を測定する(ステップS2:第2工程)。これらのMOSFETの各特性値は、裏面側に欠陥があるMOSFETに短時間で大電流が流れる際の過度熱抵抗に応じて変化する。過度熱抵抗とは、パルス上の電力損失時における熱の電導度の逆数である。
MOSFETのしきい値電圧は、MOSFETのドレイン−ソース間に電流が流れ始めるゲート電圧(ゲート電極への印加電圧)である。例えば、MOSFETのしきい値電圧は、ソース電極に対してドレイン電極に正の電圧を印加した状態でゲート電圧を徐々に大きくし、順方向電流が流れ始めるときのゲート電圧を特定することにより測定することができる。
MOSFETの順方向電圧は、MOSFETに所定の電流値の順方向電流が流れるときのソース−ドレイン間の電圧である。例えば、MOSFETの順方向電圧は、ソース電極の電位を0Vにした状態で、ドレイン電極に正の電圧を印加してドレイン電極からソース電極へ所定の電流値の電流を流したときのソース−ドレイン間の電圧を特定することにより測定することができる。または、ドレイン電極の電位を0Vにした状態で、ソース電極に負の電圧を印加してソース電極からドレイン電極へ所定の電流値の電流を流したときのソース−ドレイン間の電圧を特定することにより測定してもよい。所定の電流値は、例えば0.1A以上100A以下の範囲から選ばれる電流値であり、一例としては25Aである。これらのMOSFETの順方向電圧の測定は、MOSFETのしきい値電圧以上の電圧をゲート電極に印加した状態で行われる。
内蔵ダイオードの順方向電圧は、MOSFETのソース−ドレイン間に形成されるダイオードに所定の電流値の電流が流れるときのソース−ドレイン間の電圧である。例えば、内蔵ダイオードの順方向電圧は、ソース電極の電位を0Vにした状態で、ドレイン電極に負の電圧を印加してソース電極からドレイン電極へ所定の電流値の電流を流したときのソース−ドレイン間の電圧を特定することにより測定することができる。所定の電流値は、例えば0.1A以上100A以下の範囲から選ばれる電流値であり、一例としては25Aである。このとき、例えば電流密度が0.1A/cm2以上で1V以上の電圧をドレイン電極に印加することが好ましい。または、内蔵ダイオードの順方向電圧は、ドレイン電極の電位を0Vにした状態でソース電極に正の電圧を印加し、ソース電極からドレイン電極へ所定の電流値の電流を流したときのソース−ドレイン間の電圧を特定することにより測定することができる。
次に、対象のMOSFETのゲート電極に、連続パルスを所定時間だけ印加する(ステップS3:第3工程)。連続パルスは、周期的な電圧のパルスである。例えば、ステップS3において、MOSFETのゲート電極に印加する電圧のオンオフを周期的に繰り返す。連続パルスの周波数は、例えば100kHz以上500kHz以下の周波数とすることができる。連続パルスのデューティ比は、例えば10%以上とすることができる。対象のMOSFETのゲート電極に連続パルスを印加するとき、ソース電極とドレイン電極との間にはオン電圧よりも高い電圧を印加しておく。オン電圧よりも高い電圧とは、例えば5V以上の電圧である。このときソース電極とドレイン電極との間に流す電流は、一例としては25A(活性面積で0.57mm2)とすることができる。
連続パルスの電圧はできるだけ高い電圧が好ましい。これは、連続パルスの電圧が低いとMOSFETの欠陥が成長しないためである。例えば、連続パルスは、電流密度が0.1A/cm2以上で10V以上の電圧のパルスであることが好ましい。
連続パルスの電流は、選別対象の炭化珪素半導体装置が上述のウェハの状態であれば1A以上3A以下とすることができる。また、連続パルスの電流は、選別対象の炭化珪素半導体装置が上述のチップの状態であれば20A以上60A以下とすることができる。また、連続パルスの電流は、選別対象の炭化珪素半導体装置が上述の製品の状態であれば100A以上300A以下とすることができる。
連続パルスを印加する所定時間は、裏面側に欠陥があるMOSFETにおいてその欠陥が十分に成長し、かつ裏面側に欠陥がないMOSFETが破壊されない程度の時間である。一例としては、連続パルスの周波数を100kHzとすると、所定時間は30秒以上300秒以下の時間とすることができる。
次に、ステップS1によって調整したMOSFETの温度(所定温度)を維持した状態で、対象のMOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧を再度測定する(ステップS4:第4工程)。これらの測定方法についてはステップS2における測定方法と同様である。
次に、ステップS2,S4における各測定結果に基づいて、MOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧のそれぞれの変化率を算出する(ステップS5:第5工程)。ステップS2により測定されたMOSFETのしきい値電圧をVth1、ステップS4により測定されたMOSFETのしきい値電圧をVth2とすると、MOSFETのしきい値電圧の変化率は、例えばVth2/Vth1により算出することができる。また、MOSFETのしきい値電圧の変化率は(Vth2−Vth1)/Tにより算出してもよい。TはステップS3においてゲート電極にパルス電圧を印加する上述の所定時間である。
同様に、ステップS2により測定されたMOSFETの順方向電圧をVon1、ステップS4により測定されたMOSFETの順方向電圧をVon2とすると、MOSFETの順方向電圧の変化率は例えばVon2/Von1により算出することができる。また、MOSFETの順方向電圧の変化率は(Von2−Von1)/Tにより算出してもよい。また、ステップS2により測定された内蔵ダイオードの順方向電圧をVon3、ステップS4により測定された内蔵ダイオードの順方向電圧をVon4とすると、内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率は、例えばVon4/Von3により算出することができる。また、内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率は(Von4−Von3)/Tにより算出してもよい。
次に、ステップS5により算出した変化率の少なくともいずれかが1%(0.01)以上であるか否かを判定する(ステップS6:第6工程)。算出した変化率のすべてが1%未満であった場合(ステップS6:No)、対象のMOSFETの裏面側に欠陥が存在しないと判断することができる。この場合、対象のMOSFETを適格品として選別し(ステップS7)、対象のMOSFETについての選別を終了する。
ステップS6において、算出した変化率の少なくともいずれかが1%以上であった場合(ステップS6:Yes)、対象のMOSFETの裏面側に欠陥が存在すると判断することができる。この場合、対象のMOSFETを不適格品として選別し(ステップS8)、対象のMOSFETについての選別を終了する。
図1に示した選別方法により、ゲート電極への連続パルスの印加によるMOSFETの裏面側の欠陥の成長に伴う過度熱抵抗を、MOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧の変化で判定することができる。このため、裏面側に欠陥がないMOSFETを選別し、長時間使用しても信頼性が低下しにくいMOSFETをスクリーニングすることができる。
例えば、MOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧の各変化率の少なくともいずれかが1%(所定値)以上のMOSFETは、長期間運用すると、裏面側の欠陥が成長して、電気特性が劣化してしまう。一方、MOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧の各変化率がいずれも1%未満のMOSFETは、裏面側の欠陥がないため、長期間運用しても電気特性の劣化がほとんどなく、長期間の使用に耐えることができる。
図1に示した選別方法において、MOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧の各変化率を算出する選別方法について説明したが、このような選別方法に限らない。例えば、MOSFETのしきい値電圧、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧のうち一部の特性値の変化率を算出してもよい。
ただし、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧の各変化率は、MOSFETのしきい値電圧の変化率よりも、MOSFETの裏面側の欠陥の成長に対して大きく変化する。このため、MOSFETの裏面側の欠陥の成長を検出する感度の観点から、MOSFETの順方向電圧および内蔵ダイオードの順方向電圧の少なくともいずれかの変化率を算出する方がより好ましい。
(実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置)
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置について説明する。実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造は、従来の炭化珪素半導体装置の構造(図6参照)と同等であるため図示を省略する。実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においては、n+型炭化珪素基板(炭化珪素基板)1の主面(おもて面)上にn型炭化珪素エピタキシャル層(第1導電型の第1半導体層)2が堆積されている。
+型炭化珪素基板1は、例えば窒素(N)がドーピングされた炭化珪素単結晶基板である。n型炭化珪素エピタキシャル層2は、n+型炭化珪素基板1よりも低い不純物濃度で例えば窒素がドーピングされてなる低濃度n型ドリフト層である。以下、n+型炭化珪素基板1単体、またはn+型炭化珪素基板1とn型炭化珪素エピタキシャル層2を併せて炭化珪素半導体基体とする。
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においては、ドレイン領域となるn+型炭化珪素基板1におけるn型炭化珪素エピタキシャル層2側とは反対側の表面(炭化珪素半導体基体の裏面)にドレイン電極(第2電極)11が設けられている。また、ドレイン電極11には外部装置と接続するためのドレイン電極端子12が設けられている。
炭化珪素半導体基体のおもて面側には、MOS(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)ゲート構造(素子構造)が形成されている。具体的には、n型炭化珪素エピタキシャル層2におけるn+型炭化珪素基板1側とは反対側(炭化珪素半導体基体のおもて面側)の表面層にはp+型ベース領域3が選択的に設けられている。p+型ベース領域3は、アルミニウム(Al)などのp型の不純物をドーピングすることにより形成される。
n型炭化珪素エピタキシャル層2におけるn+型炭化珪素基板1とは反対側にはp型ベース層(第2導電型の第2半導体層)4が堆積される。p型ベース層4にはn+型ソース領域(第1導電型の第1半導体領域)5、p+型コンタクト領域6、n型ウェル領域7が選択的に設けられる。p型ベース層4はp型炭化珪素エピタキシャル層である。p型ベース層4の不純物濃度は、p+型ベース領域3の不純物濃度よりも低い。p型ベース層4は、アルミニウムなどのp型の不純物をドーピングすることにより形成される。
+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6は互いに接する。n+型ソース領域5は、p+型コンタクト領域6の外周に配置されている。n型ウェル領域7は、n型炭化珪素エピタキシャル層2のうちp+型ベース領域3が形成されていない部分に接する位置に設けられ、深さ方向にp型ベース層4を貫通するように設けられている。n型ウェル領域7は、n型炭化珪素エピタキシャル層2とともにドリフト領域を構成する。ゲート絶縁膜8は、p型ベース層4に接触するように設けられている。
p型ベース層4およびn+型ソース領域5の表面には、ゲート絶縁膜8を介してゲート電極9が設けられている。また、n+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6の表面にはソース電極(第1電極)10が設けられている。ゲート電極9は、ゲート絶縁膜8を介して、n型ウェル領域7の表面に設けられていてもよい。
炭化珪素半導体基体のおもて面側の全面には、ゲート電極9を覆うように層間絶縁膜(不図示)が設けられている。ソース電極10は、層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して、n+型ソース領域5およびp+型コンタクト領域6に接する。ソース電極10は、層間絶縁膜によってゲート電極9と電気的に絶縁されている。また、ソース電極10には外部装置と接続するためのソース電極端子13が設けられている。上述の内蔵ダイオードは、例えば、ソース電極10と、p+型コンタクト領域6と、p+型ベース領域3と、n型炭化珪素エピタキシャル層2と、n+型炭化珪素基板1と、ドレイン電極11と、により構成される。
(連続パルスの周波数とMOSFETのしきい値電圧の変化率との関係)
図2は、連続パルスの周波数とMOSFETのしきい値電圧の変化率との関係の一例を示すグラフである。図2の横軸は、例えば図1に示したステップS3によりMOSFETのゲート電極に印加する連続パルスの周波数(kHz)である。図2の縦軸は、例えば図1に示したステップS5により算出されるMOSFETのしきい値電圧の変化率(%)である。
適格品特性21は、裏面側に欠陥がないMOSFET(適格品)における、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数に対するMOSFETのしきい値電圧の変化率の特性である。適格品特性21に示すように、裏面側に欠陥がないMOSFETにおいては、0kHz以上1000kHz以下のいずれの周波数の連続パルスをゲート電極に印加しても、MOSFETのしきい値電圧の変化率はほぼ0%になる。
不適格品特性22は、裏面側に欠陥があるMOSFET(不適格品)における、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数に対するMOSFETのしきい値電圧の変化率の特性である。不適格品特性22に示すように、裏面側に欠陥があるMOSFETにおいては、0kHz以上1000kHz以下のいずれの周波数の連続パルスをゲート電極に印加しても、MOSFETのしきい値電圧の変化率は1%以上になる。
したがって、図1に示したステップS6において、少なくともMOSFETのしきい値電圧の変化率が1%以上か否かを判定することにより、そのMOSFETが適格品であるか不適格品であるかを判断することができる。
また、不適格品特性22に示すように、裏面側に欠陥があるMOSFETにおいては、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数が高くなるほど、MOSFETのしきい値電圧の変化率は高くなる。これは、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数が高くなるほど、裏面側に欠陥があるMOSFETにおける過度熱抵抗が大きくなるためである。
(連続パルスの周波数とMOSFETの順方向電圧との関係)
図3は、連続パルスの周波数とMOSFETの順方向電圧との関係の一例を示すグラフである。図3の横軸は、例えば図1に示したステップS3によりMOSFETのゲート電極に印加する連続パルスの周波数(kHz)である。図3の縦軸は、例えば図1に示したステップS5により算出されるMOSFETの順方向電圧の変化率(%)である。
適格品特性31は、裏面側に欠陥がないMOSFET(適格品)における、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数に対するMOSFETの順方向電圧の変化率の特性である。適格品特性31に示すように、裏面側に欠陥がないMOSFETにおいては、0kHz以上1000kHz以下のいずれの周波数の連続パルスをゲート電極に印加しても、MOSFETの順方向電圧の変化率はほぼ0%になる。
不適格品特性32は、裏面側に欠陥があるMOSFET(不適格品)における、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数に対するMOSFETの順方向電圧の変化率の特性である。不適格品特性32に示すように、裏面側に欠陥があるMOSFETにおいては、0kHz以上1000kHz以下のいずれの周波数の連続パルスをゲート電極に印加しても、MOSFETの順方向電圧の変化率は1%以上になる。
したがって、図1に示したステップS6において、少なくともMOSFETの順方向電圧の変化率が1%以上か否かを判定することにより、そのMOSFETが適格品であるか不適格品であるかを判断することができる。
また、不適格品特性32に示すように、裏面側に欠陥があるMOSFETにおいては、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数が高くなるほど、MOSFETの順方向電圧の変化率は高くなる。これは、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数が高くなるほど、裏面側に欠陥があるMOSFETにおける過度熱抵抗が大きくなるためである。
(連続パルスの周波数と内蔵ダイオードの順方向電圧との関係)
図4は、連続パルスの周波数と内蔵ダイオードの順方向電圧との関係の一例を示すグラフである。図4の横軸は、例えば図1に示したステップS3によりMOSFETのゲート電極に印加する連続パルスの周波数(kHz)である。図4の縦軸は、例えば図1に示したステップS5により算出される内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率(%)である。
適格品特性41は、裏面側に欠陥がないMOSFET(適格品)における、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数に対する内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率の特性である。適格品特性41に示すように、裏面側に欠陥がないMOSFETにおいては、0kHz以上1000kHz以下のいずれの周波数の連続パルスをゲート電極に印加しても、内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率はほぼ0%になる。
不適格品特性42は、裏面側に欠陥があるMOSFET(不適格品)における、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数に対する内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率の特性である。不適格品特性42に示すように、裏面側に欠陥があるMOSFETにおいては、0kHz以上1000kHz以下のいずれの周波数の連続パルスをゲート電極に印加しても、内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率は1%以上になる。
したがって、図1に示したステップS6において、少なくとも内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率が1%以上か否かを判定することにより、そのMOSFETが適格品であるか不適格品であるかを判断することができる。
また、不適格品特性42に示すように、裏面側に欠陥があるMOSFETにおいては、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数が高くなるほど、内蔵ダイオードの順方向電圧の変化率は高くなる。これは、ゲート電極に印加する連続パルスの周波数が高くなるほど、裏面側に欠陥があるMOSFETにおける過度熱抵抗が大きくなるためである。
(実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造の他の例)
図5は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造の他の一例を示す断面図である。図5に示すように、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置は、トレンチ構造を設けたMOSFETであってもよい。チャネルが基板表面に対して平行に形成されるプレーナ構造(例えば図6参照)と比べて、基板表面に対して垂直に形成されるトレンチ構造は、単位面積当たりのセル密度を増やすことができる。このため、単位面積当たりの電流密度を増やすことができ、コスト面から有利である。
図5において、炭化珪素半導体基体の第1主面側(p型ベース層4側)には、トレンチ18を含むトレンチ構造が形成されている。具体的には、トレンチ18は、p型ベース層4におけるn+型炭化珪素基板1側とは反対側(炭化珪素半導体基体の第1主面側)の表面からp型ベース層4を貫通してn型炭化珪素エピタキシャル層2の内部に達する。
トレンチ18の内壁に沿って、トレンチ18の底部および側壁にゲート絶縁膜8が形成されており、トレンチ18内のゲート絶縁膜8の内側にゲート電極9が形成されている。ゲート絶縁膜8により、ゲート電極9がn型炭化珪素エピタキシャル層2およびp型ベース層4から絶縁されている。ゲート電極9の一部は、トレンチ18の上方(ソース電極端子13が設けられている側)からソース電極端子13側に突出していてもよい。
n型炭化珪素エピタキシャル層2におけるn+型炭化珪素基板1とは反対側(炭化珪素半導体基体の第1主面側)の表面層には、p+型ベース領域3が選択的に設けられている。p+型ベース領域3の下端部(ドレイン側端部)は、トレンチ18の底部よりもドレイン側に位置する。
また、n型炭化珪素エピタキシャル層2の内部には、第2p+型領域3aが選択的に設けられている。第2p+型領域3aは、トレンチ18の底に接するように設けられている。第2p+型領域3aは、p型ベース層4とn型炭化珪素エピタキシャル層2との界面よりもドレイン側の位置から、n+型炭化珪素基板1とn型炭化珪素エピタキシャル層2との界面に達しない深さで設けられている。
図5に示すMOSFETの他の構造は、図6に示すMOSFETの構造と同様であるため説明を省略する。トレンチ構造を設けたMOSFETにおいても、裏面側の欠陥が拡大すると、電気特性全般が悪化してしまうため、本発明の選別方法が有効である。
実施の形態にかかる選別方法をMOSFETに適用する場合について説明したが、実施の形態にかかる選別方法はSiCを用いたIGBTやSBD(Schottky Barrier Diode:ショットキーバリアダイオード)にも適用可能である。SBDの場合は、例えばアノード電極に正電圧のパルス信号を印加することで、順方向電圧の変化率でSBDを選別することが可能である。
例えばSiCを用いたIGBTについては、上述の連続パルスの周波数を10kHz以上50kHz以下程度にすることでMOSFETと同様の選別が可能である。SiCを用いたSBDについては、例えばアノード電極に正電圧の連続パルスを印加することによるSBDの順方向電圧の変化率を算出することでMOSFETと同様の選別が可能である。
以上に説明したように、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法によれば、炭化珪素半導体装置を所定温度に調整し、ゲート電極に連続パルスを所定時間印加することによる過度熱抵抗に応じて変化する特性値の変化率を算出することができる。この特性値は、炭化珪素半導体装置の順方向電圧、炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧および炭化珪素半導体装置のしきい値電圧の少なくともいずれかである。
そして、算出した変化率が1%より低いか否かを判定することにより、炭化珪素半導体装置のゲート電極に連続パルスを所定時間印加することによる炭化珪素半導体装置の過度熱抵抗の大きさを判定することができる。これにより、裏面側の欠陥がない炭化珪素半導体装置を選別することができ、長時間使用しても信頼性が低下しにくい炭化珪素半導体装置をスクリーニングすることができる。
また、上述の選別にかかる時間は、裏面側に欠陥がある炭化珪素半導体装置のゲート電極に連続パルスを印加することにより上述の特性値の変化率が1%を超えるまでの時間である。このため、短い時間で炭化珪素半導体装置をスクリーニングできる。
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した実施の形態では、ワイドバンドギャップ半導体として炭化珪素を用いた場合を例に説明しているが、炭化珪素以外の例えば窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体にも適用可能である。また、実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の選別方法は、例えば炭化珪素半導体装置にダイオードを逆並列で接続したインバータ回路で用いられる炭化珪素半導体装置に有用である。
1 n+型炭化珪素基板
2 n型炭化珪素エピタキシャル層
3 p+型ベース領域
3a 第2p+型領域
4 p型ベース層
5 n+型ソース領域
6 p+型コンタクト領域
7 n型ウェル領域
8 ゲート絶縁膜
9 ゲート電極
10 ソース電極
11 ドレイン電極
12 ドレイン電極端子
13 ソース電極端子
18 トレンチ
21,31,41 適格品特性
22,32,42 不適格品特性

Claims (12)

  1. 炭化珪素半導体装置の選別方法であって、
    前記炭化珪素半導体装置の温度を所定温度にする第1工程と、
    前記所定温度における、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を測定する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記炭化珪素半導体装置に連続パルスを所定時間印加する第3工程と、
    前記第3工程の後に、前記所定温度における、前記第2工程によって測定した前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を再度測定する第4工程と、
    前記第2工程によって測定した前記順方向電圧に対する、前記第4工程によって測定した前記順方向電圧の変化率を算出する第5工程と、
    前記第5工程によって算出した前記変化率が所定値より低いか否かを判定する第6工程と、
    を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の選別方法。
  2. ゲート電極を備える炭化珪素半導体装置の選別方法であって、
    前記炭化珪素半導体装置の温度を所定温度にする第1工程と、
    前記所定温度における、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧、前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧および前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧の少なくともいずれかを含む前記炭化珪素半導体装置の特性値を測定する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記ゲート電極に連続パルスを所定時間印加する第3工程と、
    前記第3工程の後に、前記所定温度における、前記第2工程によって測定した前記炭化珪素半導体装置の特性値を再度測定する第4工程と、
    前記第2工程によって測定した前記特性値に対する、前記第4工程によって測定した前記特性値の変化率を算出する第5工程と、
    前記第5工程によって算出した前記変化率が所定値より低いか否かを判定する第6工程と、
    を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の選別方法。
  3. 前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧、前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧および前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧のうち複数の特性値を含み、
    前記第5工程においては、前記複数の特性値のそれぞれについて、前記第2工程によって測定した前記特性値に対する、前記第4工程によって測定した前記特性値の変化率を算出し、
    前記第6工程においては、前記第5工程によって前記複数の特性値のそれぞれについて算出した前記変化率の少なくともいずれかが前記所定値より低いか否かを判定する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  4. 前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を含み、
    前記炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、を備え、
    前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧以上の電圧を前記ゲート電極に印加した状態で前記第1電極から前記第2電極への電流を流すことにより前記炭化珪素半導体装置の順方向電圧を測定する、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  5. 前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧を含み、
    前記炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、を備え、
    前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、前記第2電極から前記第1電極への電流を流すことにより前記炭化珪素半導体装置の内蔵ダイオードの順方向電圧を測定する、
    ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  6. 前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、電流密度が0.1A/cm2以上で1V以上の電圧を前記第2電極に印加することにより前記第2電極から前記第1電極への電流を流すことを特徴とする請求項5に記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  7. 前記炭化珪素半導体装置の特性値は、前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧を含み、
    前記炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、を備え、
    前記第2工程および前記第4工程のそれぞれにおいては、前記第1電極に正の電圧を印加した状態で前記ゲート電極に電圧を印加することにより前記炭化珪素半導体装置のしきい値電圧を測定する、
    ことを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  8. 前記炭化珪素半導体装置は、
    炭化珪素基板のおもて面側に設けられた第1電極と、
    前記炭化珪素基板の裏面側に設けられた第2電極と、
    前記炭化珪素基板のおもて面に設けられた第1導電型の第1半導体層と、
    前記第1半導体層における、前記炭化珪素基板側とは反対側に設けられた第2導電型の第2半導体層と、
    前記第2半導体層の内部に選択的に設けられた、前記炭化珪素基板よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域と、
    前記第2半導体層に接触するゲート絶縁膜と、
    をさらに備え、
    前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜における前記第2半導体層と接触する面とは反対側の表面に設けられ、
    前記第1電極は、前記第1半導体領域と前記第2半導体層の表面に設けられる、
    ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  9. 前記炭化珪素半導体装置は、前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層に達するトレンチをさらに備え、
    前記ゲート電極は、前記トレンチの内部に前記ゲート絶縁膜を介して設けられている、
    ことを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  10. 前記所定温度は300℃以下の温度であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  11. 前記所定値は1%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
  12. 前記連続パルスの周波数は100kHz以上500kHz以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の選別方法。
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