JP2020043794A - プライマーセット、及びそれを用いた標的ヌクレオチド配列の増幅方法 - Google Patents

プライマーセット、及びそれを用いた標的ヌクレオチド配列の増幅方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 25ヌクレオチドからなる極めて短い標的配列を、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅するために用いられるプライマーセットを提供すること。【解決手段】 標的ヌクレオチド配列は、25のヌクレオチドからなり、グアニン及びシトシン(GC)を少なくとも計13ヌクレオチド含み、フォワードプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の5’末部分と同一の配列からなり、リバースプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の3’末部分と相補的な配列からなり、両プライマーは各々GCを少なくとも計5ヌクレオチド含み、一方のプライマーは12ヌクレオチドからなり、他方のプライマーは13ヌクレオチドからなる、プライマーセット。【選択図】 なし

Description

本発明は、プライマーセット、及びそれを用いた標的ヌクレオチド配列の増幅方法に関する。より詳しくは、25ヌクレオチドからなる極めて短い標的配列を、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅する方法、及び該方法に用いられるプライマーセットに、本発明は関する。
1996年に商業栽培が開始されて以来、遺伝子組換え(genetically modified:GM)作物は、多くの国や地域で利用されている。その栽培面積は、1996年には170万ヘクタールであったが、2016にはその100倍以上の1億8千万ヘクタールに達したと報告されている。
GM作物は有用である一方、そのような作物を食品として利用することに対して抵抗を感じる消費者も少なからず存在する。日本では、消費者への情報提供という観点から、GM食品の表示制度が設けられている。その内容は食品表示法に定められており、表示対象となるのは、厚生労働省による安全性審査の手続きを経た「大豆」、「とうもろこし」、「ばれいしょ」、「なたね」、「綿実」、「アルファルファ」、「てん菜」、「パパイヤ」の8農作物と、更にこれらを原材料に用いた33種類の加工食品群である。このような食品表示制度の実効性を担保するためには、信頼性の高いGM検査法の存在が不可欠である。GM検査法に関しては、組換え遺伝子のDNAを標的としたポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)が、標準的な方法として世界中で利用されている。PCRとは、DNAポリメラーゼを用いて特定のDNA配列を大量に増幅する技術であり、様々な研究や検査に利用されている。わが国の安全性審査済みGM検知に係る公定検査法は、消費者庁の「安全性審査済みの遺伝子組換え食品の検査方法」(以下、消費者庁マニュアル)に収載されている。現在、消費者庁マニュアルにおいては、3系統のGM大豆及び13系統のGMトウモロコシ、さらに、ハワイ産ウイルス抵抗性パパイヤ等を検知可能な検査法が整備されている。
しかしながら、新たなGM作物が次々と開発され、安全性審査を経ていることから、検知対象となるGM作物の種類は増加し続けており、基本的に減ることはない。わが国では、平成30年5月現在で、343種類のGM作物が食品として商品化可能となっている。増え続けるGM作物を漏れなく効率的に検知するためには、GM作物に共通する配列を標的として検出するスクリーニング法が有効である。これまでのスクリーニング検査法では、多くのGM作物に導入されている、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(P35S)等の共通配列を標的としてきた(非特許文献1)。しかしながら、P35Sを持たないGM品種も急増してきている。現状では、P35Sを持たない系統に関しては、個別の特異的検知法を整備して対応しているが、検知対象の増加に合わせて検査法を単純に追加していくだけでは、検査にかかる負担が増え続けることになってしまうことから、抜本的な対策が求められている。
現在、世界で最も広く用いられているGM植物作出技術は、根頭がん種病菌アグロバクテリウムを利用したアグロバクテリウム法である。アグロバクテリウム法では、Tiプラスミド上のT−DNA領域が植物の核ゲノムに挿入される。したがって、アグロバクテリウムのT−DNAに由来する配列は、目的の組換え遺伝子と共に宿主作物のゲノムに導入されることから、GM検知の際には極めて有効な標的配列になり得ると考えられる。
この点に関し、本発明者らが今回データベース等を解析した結果、T−DNAの末端に位置する右境界配列(Right Border、RB)の近傍配列が、ダイズ、トウモロコシ、ワタ、ナタネ等、多くのGM作物のゲノムDNAにおいて、共通して導入されていることを見出した。しかしながら、このGM作物間において共通して完全に保存されている配列(配列番号:1、5’−GAAGGCGGGAAACGACAATCTGATC−3’:以下、本配列を「RB近傍配列」とも称する)は、僅か25ヌクレオチド(25塩基)しかなかった(図1 参照)。
PCRに関しては、既に様々な教科書的実験プロトコールが存在しており、その代表例である、Molecular Cloning(非特許文献2)には、プライマーの長さは通常20〜25ヌクレオチドと記載されており、さらに、18ヌクレオチド未満の長さのプライマーを用いた場合には、鋳型DNAとの間で非特異的な結合を起こす傾向があると記載されている。すなわち、PCRにおいて、フォワード(Forward)プライマー20ヌクレオチド程度とリバース(Reverse)プライマー20ヌクレオチド程度、さらに、プライマー間に少なくとも数ヌクレオチドのスペースを入れるため、短くとも40ヌクレオチド以上の長さをPCR標的として設計することが技術的な一般常識となっている。そのため、前述のような25ヌクレオチドからなる配列を標的として、当該配列をPCRにより特異的に増幅し、検出することは極めて困難と考えられていた。
「(別添)安全性審査済みの組換えDNA技術応用食品の検査方法」、2012年11月16日、インターネット(URL:http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin961_1.pdf) Green,M.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第4版.Part1 essentials, Chapter7 Polymerase Chain Reaction、第456〜457ページ、Cold spring harbor laboratory出版
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、25ヌクレオチドからなる極めて短い標的配列を、PCRにより増幅する方法、及び該方法に用いられるプライマーセットを提供することを目的とする。また、前記方法及びプライマーセットを用いて、RB近傍配列を検出することにより、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物の検出を可能とすることも目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、RB近傍配列の5’末端から13ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなるフォワードプライマーと、RB近傍配列の3’末端から12ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなるリバースプライマー(図2Aに示す、RBF2とRBR2との組み合わせ)を用いてPCRを行なった場合に、25ヌクレオチドという極めて短いRB近傍配列を、特異的に増幅できることを見出した。
一方、前記フォワードプライマーよりも3’側を1ヌクレオチド長くし、また前記リバースプライマーよりも3’側を4ヌクレオチド長くし、フォワードプライマーとリバースプライマーとが5ヌクレオチド重なる組み合わせ(図2Aに示す、RBFとRBRとの組み合わせ)を用いた場合には、RB近傍配列を、特異的に増幅することはできなかった。
また、RB近傍配列において重なりが生じないように設計したフォワードプライマー及びリバースプライマー(13ヌクレオチドからなるフォワードプライマー及び12ヌクレオチドからなるリバースプライマー(図2Aに示す、RBFとRBR3との組み合わせ)、14ヌクレオチドからなるフォワードプライマー及び11ヌクレオチドからなるリバースプライマー(図2Aに示す、RBF4とRBR4との組み合わせ)、15ヌクレオチドからなるフォワードプライマー及び10ヌクレオチドからなるリバースプライマー(図2Bに示す、RBF5とRBR5との組み合わせ)、11ヌクレオチドからなるフォワードプライマー及び14ヌクレオチドからなるリバースプライマー(図2Bに示す、RBF6とRBF6との組み合わせ)、10ヌクレオチドからなるフォワードプライマー及び15ヌクレオチドからなるリバースプライマー(図2Bに示す、RBF7とRBR7との組み合わせ))を用いても、前記12ヌクレオチドからなるフォワードプライマー及び13ヌクレオチドからなるリバースプライマーを用いた場合とは異なり、RB近傍配列を増幅することはできなかった。
さらに、前記12ヌクレオチドからなるフォワードプライマーと、前記13ヌクレオチドからなるリバースプライマーよりも5’側が1ヌクレオチド短く、12ヌクレオチドからなるリバースプライマー(図2Cに示す、RBF2とRBR8との組み合わせ)を用いた場合にも、リバースプライマーをたった1ヌクレオチド短くしただけにも関わらず、24ヌクレオチドとなったRB近傍配列を増幅することはできなかった。
さらにまた、前記RBF2及びRBR8とは別の、12ヌクレオチドからなるフォワードプライマーと12ヌクレオチドからなるリバースプライマー(図2Cに示す、RBF8とRBR3との組み合わせ)を用いても、24ヌクレオチドとなったRB近傍配列を増幅することはできなかった。
そして、以上のことから、GM植物において保存性の高いRB近傍配列を増幅可能なプライマーセットは、前記12ヌクレオチドからなるフォワードプライマー及び13ヌクレオチドからなるリバースプライマーの1種類のみであることを見出した。
また、標的ヌクレオチド配列を、RB近傍配列とは異なる植物の内在性配列に替え、更に鋭意研究を重ねた結果、以下のような条件である場合に、標的配列が25ヌクレオチドと極めて短くとも、PCRにて増幅できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)25ヌクレオチドからなる標的配列において、グアニン及びシトシンの総数を少なくとも13ヌクレオチドとする。
(2)フォワードプライマー及びリバースプライマーのいずれか一方の鎖長を12ヌクレオチドとし、他方の鎖長を13ヌクレオチドとする。また、各プライマーは、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含む。
すなわち、本発明は、より具体的には以下を提供するものである。
<1> 標的ヌクレオチド配列を増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーを含むプライマーセットであって、
前記標的ヌクレオチド配列は、25のヌクレオチドからなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計13ヌクレオチド含む、
下記(a)及び(b)からなる群から選択される1のプライマーセット
(a)前記フォワードプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の5’末端から12ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含み、
前記リバースプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の3’末端から13ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含む、プライマーセット、
(b)前記フォワードプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の5’末端から13ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含み、
前記リバースプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の3’末端から12ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含む、プライマーセット。
<2> 下記(1)〜(11)の群から選択される、<1>に記載のプライマーセット
(1)配列番号:1に記載のヌクレオチド配列からなる、アグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:15に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:16に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(2)配列番号:34に記載のヌクレオチド配列からなる大豆レクチン遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:35に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:36に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(3)配列番号:42に記載のヌクレオチド配列からなる大豆レクチン遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:43に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:44に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(4)配列番号:45に記載のヌクレオチド配列からなる大豆レクチン遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:46に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:47に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(5)配列番号:45に記載のヌクレオチド配列からなる大豆レクチン遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:48に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:49に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(6)配列番号:53に記載のヌクレオチド配列からなる、大豆レクチン遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:54に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:55に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(7)配列番号:62に記載のヌクレオチド配列からなる、トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:63に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:64に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(8)配列番号:71に記載のヌクレオチド配列からなる、トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:72に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:73に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(9)配列番号:71に記載のヌクレオチド配列からなる、トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:74に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:75に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(10)配列番号:79に記載のヌクレオチド配列からなる、トウモロコシHMG遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:80に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:81に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット、
(11)配列番号:85に記載のヌクレオチド配列からなる、トウモロコシHMG遺伝子由来の配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
配列番号:86に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
配列番号:87に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット。
<3> 試料中の標的ヌクレオチド配列を増幅するための方法であって、
試料中の標的ヌクレオチド配列を鋳型として、<1>又は<2>に記載のプライマーセットを用い、ポリメラーゼ連鎖反応により、当該配列を増幅する工程を含む、方法。
<4> 試料中の標的ヌクレオチド配列を検出するための方法であって、
<3>に記載の方法により、試料中の標的ヌクレオチド配列を増幅する工程と、
前記工程にて増幅した標的ヌクレオチド配列を検出する工程とを、含む方法。
<5> アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物を検出する方法であって、
被検植物のゲノムDNAを鋳型として、配列番号:15に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:16に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーのセットを用い、ポリメラーゼ連鎖反応を行なう工程、
前記ポリメラーゼ連鎖反応により増幅された、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列からなる、アグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列を、検出する工程、
前記工程にて、前記RB近傍配列の増幅が検出された場合に、前記被検植物を、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物であると判定する工程を、
含む方法。
本発明によれば、25ヌクレオチドからなる極めて短い標的配列を、PCRにより増幅することが可能となる。また、本発明によれば、上述のRB近傍配列を検出することにより、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え(GM)植物を検出することも可能となる。
遺伝子組換え(GM)作物のゲノムDNAに挿入されている、T−DNAの末端に位置する右境界配列(RB)及びその近傍の配列等を、示す概略図である。図中、「pBI101」は、植物の遺伝子組換えに用いられるバイナリーベクター GUS遺伝子ベクターのpBI101のT−DNA領域(GenBankアクセッション番号:U12639)のRB及びその近傍配列(配列番号:3)を示す。GM作物におけるRB及びその近傍配列に関し、MON89788(ダイズ)由来のものは配列番号:4に示し、MON87701(ダイズ)由来のものは配列番号:5に示し、MON87769(ダイズ)由来のものは配列番号:6に示し、MON88017(トウモロコシ)由来のものは配列番号:7に示し、MIR604(トウモロコシ)由来のものは配列番号:8に示し、MIR162(トウモロコシ)由来のものは配列番号:9に示し、3272(トウモロコシ)由来のものは配列番号:10に示し、RT73(ナタネ)由来のものは配列番号:11に示し、531(ワタ)由来のものは配列番号:12に示す。また、枠で囲んである配列は、本発明者らが、前記GM作物のゲノムDNAにおいて共通して導入されていることを見出した配列(配列番号:1、RB近傍配列)を示す。下線が引いてある配列は、右境界配列(RB)を示す。 RB近傍配列及びその相補鎖と、当該配列をPCRによって増幅するために設計したフォワードプライマー及びリバースプライマーとの位置関係を示す概略図である。RB近傍配列を配列番号:1に示し、その相補鎖の配列を配列番号:2に示す。RBF2の配列を配列番号:15に示し、RBR2の配列を配列番号:16に示し、RBFの配列を配列番号:13に示し、RBRの配列を配列番号:14に示し、RBR3の配列を配列番号:17に示し、RBF4の配列を配列番号:18に示し、RBR4の配列RBRの配列を配列番号:19に示す。 RB近傍配列及びその相補鎖と、当該配列をPCRによって増幅するために設計したフォワードプライマー及びリバースプライマーとの位置関係を示す概略図である。RB近傍配列を配列番号:1に示し、その相補鎖の配列を配列番号:2に示す。RBF5の配列を配列番号:20に示し、RBR5の配列を配列番号:21に示し、RBF6の配列を配列番号:22に示し、RBR6の配列を配列番号:24に示し、RBF7の配列を配列番号:25に示し、RBR7の配列を配列番号:25に示す。 RB近傍配列及びその相補鎖と、当該配列をPCRによって増幅するために設計したフォワードプライマー及びリバースプライマーとの位置関係を示す概略図である。RB近傍配列を配列番号:1に示し、その相補鎖の配列を配列番号:2に示す。RBF2の配列を配列番号:15に示し、RBR8の配列を配列番号:27に示し、RBF8の配列を配列番号:26に示し、RBR3の配列を配列番号:17に示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCR(アニーリング温度:28℃)を行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン1及び7は分子量マーカー、レーン2、3、4及び5は、それぞれ、非遺伝子組換え(non−GM)大豆、GM大豆 MON89788、non−GMトウモロコシ及びGMトウモロコシ MIR162から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン6は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示す。矢印は目的のバンド(RB近傍配列)の位置を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCR(アニーリング温度:38℃)を行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図3Aと同じである。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCR(アニーリング温度:52℃)を行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図3Aと同じである。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン1、2、3及び4は、それぞれ、non−GM大豆、GM大豆 MON89788、non−GMトウモロコシ及びGMトウモロコシ MIR162から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン5は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示す。レーン6は、目的のバンド(RB近傍配列)を示すために、RBFプライマー及びRBRプライマーを用いてPCRを行った結果(陽性コントロール)を示す。 RBFプライマー及びRBR3プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図4Aと同じである。 RBF4プライマー及びRBR4プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図4Aと同じである。 RBF5プライマー及びRBR5プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図4Aと同じである。 RBF6プライマー及びRBR6プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図4Aと同じである。 RBF7プライマー及びRBR7プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図4Aと同じである。 RBF8プライマー及びRBR8プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図4Aと同じである。 RBF8プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中の標記については、図4Aと同じである。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン1はnon−GM大豆から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン2〜9は各々、GM大豆 RRS、A2704−12、MON89788、DP305423、MON87701、MON87708、MON87705及びMON87769から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン10、11及び12はそれぞれ、イネ、コムギ、オオムギのゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン13は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示す、レーン14は、目的のバンド(RB近傍配列)を示すために、RBFプライマー及びRBRプライマーを用いてPCRを行った結果(陽性コントロール)を示す。矢印は、目的のバンド(RB近傍配列)の位置を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン15はnon−GMトウモロコシから抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン16〜30は各々、GMトウモロコシ NK603、Event176、T25、GA21、MON810、TC1507、Bt11、MIR604、MON88017、DAS59122、MON863、MIR162、3272、MON89034及びMON87460から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン31は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示し、レーン32は、目的のバンド(RB近傍配列)を示すために、RBFプライマー及びRBRプライマーを用いてPCRを行った結果(陽性コントロール)を示す。矢印は、目的のバンド(RB近傍配列)の位置を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン1はnon−GM大豆から抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン2はGM大豆 RRSのゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン3〜6は、GM大豆 MON89788から抽出したゲノムDNAを0.5%、1.0%、5.0%及び10.0%の比率になるようnon−GM大豆から抽出したゲノムDNAに混合したものを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン7は、GM大豆 MON89788から抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。矢印は、目的のバンド(RB近傍配列)の位置を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、アクリルアミド電気泳動により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン8はnon−GMトウモロコシから抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン9はGMトウモロコシ MON810のゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン10〜13は、GMトウモロコシ MIR162から抽出したゲノムDNAを0.5%、1.0%、5.0%及び10.0%の比率になるようnon−GMトウモロコシから抽出したゲノムDNAに混合したものを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン14は、GMトウモロコシ MIR162から抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン15は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示す。矢印は、目的のバンド(RB近傍配列)の位置を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、核酸クロマト法により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン1はnon−GM大豆から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン2〜9は各々、GM大豆 RRS、A2704−12、MON89788、DP305423、MON87701、MON87705、MON87708及びMON87769から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン10、11及び12は、それぞれイネ、コムギ、オオムギのゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン13は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示し、レーン14は、目的のバンド(RB近傍配列)を示すために、RBFプライマー及びRBRプライマーを用いてPCRを行った結果(陽性コントロール)を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、核酸クロマト法により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン15はnon−GMトウモロコシから抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン16〜30は各々、GMトウモロコシ NK603、Event176、T25、GA21、MON810、TC1507、Bt11、MIR604、MON88017、DAS59122、MON863、MIR162、3272、MON89034及びMON87460から抽出したゲノムDNAを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン31は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示し、レーン32は、目的のバンド(RB近傍配列)を示すために、RBFプライマー及びRBRプライマーを用いてPCRを行った結果(陽性コントロール)を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、核酸クロマト法により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン1はnon−GM大豆から抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン2はGM大豆 RRSのゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン3〜6は、GM大豆 MON89788から抽出したゲノムDNAを0.5%、1.0%、5.0%及び10.0%の比率になるようnon−GM大豆から抽出したゲノムDNAに混合したものを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン7は、GM大豆 MON89788から抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン8は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示す。レーン9は、目的のバンド(RB近傍配列)を示すために、RBFプライマー及びRBRプライマーを用いてPCRを行った結果(陽性コントロール)を示す。 RBF2プライマー及びRBR2プライマーを用いてPCRを行い、核酸クロマト法により分析した結果を示す、写真である。図中、レーン10はnon−GMトウモロコシから抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン11〜15は、GMトウモロコシ MIR162から抽出したゲノムDNAを0.3%、0.5%、1.0%、5.0%及び10.0%の比率になるようnon−GMトウモロコシから抽出したゲノムDNAに混合したものを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン16は、GMトウモロコシ MIR162から抽出したゲノムDNAのみを鋳型に用いたPCRの結果を示す。レーン17は陰性コントロール(鋳型DNAなし)の結果を示す。レーン18は、目的のバンド(RB近傍配列)を示すために、RBFプライマー及びRBRプライマーを用いてPCRを行った結果(陽性コントロール)を示す。
(プライマーセット)
後述の実施例に示すとおり、本発明者らは、25ヌクレオチドという極めて短い標的配列(標的ヌクレオチド配列)を、以下に示すプライマーセットであれば、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)によって増幅できることを、見出した。
すなわち、本発明は、
標的ヌクレオチド配列を増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーを含むプライマーセットであって、
前記標的ヌクレオチド配列は、25のヌクレオチドからなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計13ヌクレオチド含む、
下記(a)及び(b)からなる群から選択される1のプライマーセット
(a)前記フォワードプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の5’末端から12ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含み、
前記リバースプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の3’末端から13ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含む、プライマーセット、
(b)前記フォワードプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の5’末端から13ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含み、
前記リバースプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の3’末端から12ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含む、プライマーセット
を提供する。
本発明において「標的ヌクレオチド配列」は、PCRによって増幅されるヌクレオチド配列を意味し、25ヌクレオチドから構成される。標的ヌクレオチド配列におけるグアニン及びシトシンの総数(GC数)は、少なくとも計13ヌクレオチドであれば良いが、好ましくは13〜18ヌクレオチドであり、より好ましくは14〜16ヌクレオチドであり、特に好ましくは15ヌクレオチドである。
本発明においてプライマーを構成する「ヌクレオチド」は、通常、DNA(アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル)であるが、塩基対結合を形成し得る限り、他の天然ヌクレオチド(RNA)であってもよく、非天然ヌクレオチド(人工ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ)であってもよい。非天然ヌクレオチドとしては、例えば、ヘキシトール核酸(HNA)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、ペプチド核酸(PNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、モルホリノ核酸、トリシクロ−DNA(tcDNA)、2’−O−メチル化核酸、2’−MOE(2’−O−メトキシエチル)化核酸、2’−AP(2’−O−アミノプロピル)化核酸、2’−フルオロ化核酸、2’F‐アラビノ核酸(2'−F−ANA)、BNA(LNA等の架橋化核酸(Bridged Nucleic Acid)が挙げられる。
本発明の「プライマー」は、PCRにおいて、標的ヌクレオチド配列にアニーリングし、DNA複製の起点となるオリゴヌクレオチドであり、1種のヌクレオチドのみ(例えば、DNAのみ)で構成されるオリゴヌクレオチドであってもよく、複数数のヌクレオチド(例えば、DNAとRNA)から構成されるキメラオリゴヌクレオチドであってもよいが、好ましくはDNAのみから構成されるオリゴヌクレオチドである。
本発明の「フォワードプライマー」は、標的ヌクレオチド配列の5’末端から12ヌクレオチド又は13ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなるプライマーである。フォワードプライマーにおけるグアニン及びシトシンの総数(GC数)は、少なくとも計5ヌクレオチドであれば良いが、好ましくは5〜10ヌクレオチドであり、より好ましくは6〜9ヌクレオチドであり、さらに好ましくは7〜8ヌクレオチドである。
本発明の「リバースプライマー」は、標的ヌクレオチド配列の3’末端から13ヌクレオチド又は12ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなるプライマーである。リバースプライマーにおけるGC数は、少なくとも計5ヌクレオチドであれば良いが、好ましくは5〜10ヌクレオチドであり、より好ましくは6〜9ヌクレオチドであり、さらに好ましくは7〜8ヌクレオチドである。
本発明のフォワードプライマー及びリバースプライマーは、一方が12ヌクレオチドからなる場合、他方は13ヌクレオチドからなる。すなわち、本発明のフォワードプライマーの配列と、本発明のリバースプライマーに相補的な配列とを繋げると、上述の25ヌクレオチドからなる標的ヌクレオチド配列そのものとなる。したがって、当該配列の条件は、これらプライマーの条件ともなる。また、これらプライマー間のTm値の差は、特に制限はなく、通常0〜20℃であるが、標的ヌクレオチド配列におけるGC数が13の場合、好ましくは0〜10℃であり、より好ましくは0〜5℃、さらに好ましくは0〜3℃、特に好ましくは0〜1℃である。
本発明のプライマーセットは、上述の条件に合うものであれば、特に制限はないが、例えば、アグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列(配列番号:1に記載のヌクレオチド配列)を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:15に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:16に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセットが挙げられる。
大豆レクチン遺伝子を増幅対象とし、当該遺伝子における配列番号:34に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:35に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:36に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(1)が挙げられ、
大豆レクチン遺伝子における配列番号:42に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:43に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:44に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(2)が挙げられ、
大豆レクチン遺伝子における配列番号:45に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:46に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:47に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(3)が挙げられ、
大豆レクチン遺伝子における配列番号:45に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:48に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:49に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(4)が挙げられ、
大豆レクチン遺伝子における配列番号:53に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:54に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:55に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(5)が挙げられ、
大豆レクチン遺伝子における配列番号:28に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:29に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:30に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(6)が挙げられ、
大豆レクチン遺伝子における配列番号:39に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:40に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:41に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(7)が挙げられ、
大豆レクチン遺伝子における配列番号:50に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:51に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:52に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(8)が挙げられる。
これらの中で、より特異性高く大豆レクチン遺伝子における標的ヌクレオチド配列を増幅できるという観点から、プライマーセット(1)〜(5)が好ましい。
トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子を増幅対象とし、当該遺伝子における配列番号:62に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:63に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:64に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(9)が挙げられ、
トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子における配列番号:71に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:72に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:73に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(10)が挙げられ、
トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子における配列番号:71に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:74に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:75に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(11)が挙げられ、
トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子における配列番号:65に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:66に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:67に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(12)が挙げられ、
トウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子における配列番号:68に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:69に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:70に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(13)が挙げられる。
これらの中で、より特異性高くトウモロコシスターチシンターゼIIb遺伝子における標的ヌクレオチド配列を増幅できるという観点から、プライマーセット(9)〜(11)が好ましい。
トウモロコシHMG遺伝子を増幅対象とし、当該遺伝子における配列番号:79に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:80に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:81に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(14)が挙げられ、
トウモロコシHMG遺伝子における配列番号:85に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:86に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:87に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(15)が挙げられ、
トウモロコシHMG遺伝子における配列番号:76に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:77に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:78に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(16)が挙げられ、
トウモロコシHMG遺伝子における配列番号:82に記載のヌクレオチド配列を標的ヌクレオチド配列とする場合には、配列番号:83に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:84に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、プライマーセット(17)が挙げられる。
これらの中で、より特異性高くトウモロコシHMG遺伝子における標的ヌクレオチド配列を増幅できるという観点から、プライマーセット(14)〜(15)が好ましい。
本発明のプライマーセットは、当業者であれば公知の方法を適宜選択することにより調製することができる。例えば、標的ヌクレオチド配列の情報に基づいて、フォワードプライマー及びリバースプライマーのヌクレオチド配列を設計し、市販の核酸自動合成機(アプライドバイオシステムズ社製、べックマン社製等)を用いて合成し、次いで、得られるオリゴヌクレオチドを逆相カラム等を用いて精製することにより、フォワードプライマー及びリバースプライマーを調製することができる。
また、本発明のプライマーには、PCRによる増幅産物を検出等し易くするために、標識物質が結合していてもよい。「標識物質」としては、ヌクレオチドに結合することができ、化学的又は光学的方法に検出できるものであれば特に制限されることはなく、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、アロフィコシアニン(APC)、フィコエリスリン(R−PE)等の蛍光蛋白質、アルカリホスファターゼ(ALP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、βガラクトシダーゼ(β−gal)等の酵素、125I等の放射性同位元素、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)やローダミンイソチオシアネート(RITC)等の蛍光色素、コロイド状金属、着色ラテックス等の呈色標識物質、アビジン、ビオチン、DIG、抗DIG抗体が挙げられる。なお、標識物質として酵素を用いる場合には、基質として、発色基質、蛍光基質、あるいは化学発光基質等を添加することにより、基質に応じて種々の検出を行うことができる。また、標識物質の結合は、プライマーを構成するヌクレオチドに直接結合していてもよく、他の物質を介して間接的に結合していてもよい。
(標的ヌクレオチド配列の増幅及び検出方法)
本発明は、試料中の標的ヌクレオチド配列を鋳型として、前述のプライマーセットを用い、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、当該配列を増幅する工程を含む、方法(試料中の標的ヌクレオチド配列の増幅方法)を提供する。
また、本発明は、前記方法にて試料中の標的ヌクレオチド配列を増幅する工程と、当該工程にて増幅した標的ヌクレオチド配列を検出する工程とを、含む方法(試料中の標的ヌクレオチド配列の検出方法)も提供する。
本発明において、「試料」は、標的ヌクレオチド配列を含有し得る限り、特に制限はないが、例えば、植物、動物のような生体(組織、細胞等)、培養細胞、食品、環境(土壌、排水等)等から単離されるヌクレオチドである。これらからPCRに供するヌクレオチドの単離は、任意の方法で行うことができ、例えば、界面活性剤(CTAB等)による溶解処理、音波処理、ガラスビーズを用いた振盪撹拌及びフレンチプレス等を用いる方法が挙げられる。ヌクレオチドの精製は、例えば、フェノール抽出、クロマトグラフィー、イオン交換、ゲル電気泳動、密度に依存した遠心分離等により実施することが可能である。より具体的に、PCRに供する試料としては、前記方法により単離したゲノムDNAやPCRフラグメントのような二本鎖核酸、全RNA又はmRNAから逆転写反応で調製されたcDNAのような一本鎖核酸が挙げられる。
本発明において「鋳型」とは、PCRにおける相補鎖合成の基となる側のヌクレオチドを意味する。鋳型に相補的な配列を持つ相補鎖は、鋳型に対応する鎖としての意味を持つが、両者の関係はあくまでも相対的なものに過ぎない。すなわち、相補鎖として合成された鎖は、再び鋳型として機能することができる。また、本発明において増幅又は検出の対象となる「標的ヌクレオチド配列」には、当該配列のみならず、該配列の相補鎖も含まれる。
本発明において「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」は、温度変化を繰り返すことにより、標的ヌクレオチド配列を増幅させることができる。より具体的には、フォワードプライマー及びリバースプライマーを標的ヌクレオチド配列にアニーリングさせるための工程、次いで、前記プライマーを起点としてDNAポリメラーゼによる伸長反応を行う工程、当該工程によって合成された標的ヌクレオチド配列を含む二本鎖を熱変性により解離させ一本鎖とする工程、これら三工程からなるサイクルで、PCRは構成される。
アニーリング工程における温度としては、前記アニーリングが生じ、維持できる温度であれば特に制限はなく、非特異的な増幅産物を抑制するという観点から、好ましくは25〜65℃であるが、より好ましくは35〜60℃であり、さらに好ましくは45〜55℃であり、特に好ましくは52℃である。その保持時間は特に限定されないが、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは10〜50秒間、さらに好ましくは20〜40秒間であり、特に好ましくは30秒間である。また、アニーリング温度はすべてのサイクルで同一温度であっても良いし、異なっていても良い。
伸長工程における温度としては、相補鎖が合成できる温度であれば特に制限はなく、通常50〜80℃であるが、好ましくは65〜75℃であり、特に好ましくは72℃である。その保持時間は特に限定されないが、好ましくは1〜60秒間、より好ましくは5〜40秒間、さらに好ましくは10〜20秒間であり、特に好ましくは15秒間である。また、アニーリング温度はすべてのサイクルで同一温度であっても良いし、異なっていても良い。アニーリング温度は伸長反応温度と同一温度であってもよいが、伸長反応温度よりも高く設定することはしない。
熱変性工程における温度としては、二本鎖を解離できる温度であれば特に制限はなく、通常80〜100℃であるが、好ましくは90〜98℃であり、特に好ましくは95℃である。その保持時間は特に限定されないが、好ましくは1〜30秒間、より好ましくは1〜20秒間、さらに好ましくは1〜10秒間であり、特に好ましくは5秒間である。また、アニーリング温度はすべてのサイクルで同一温度であっても良いし、異なっていても良い。アニーリング温度は伸長反応温度と同一温度であってもよいが、伸長反応温度よりも高く設定することはしない。
PCRにおいて、サイクル数は、後述の方法において検出できる程度に標的ヌクレオチド配列を増幅できる限り特に制限はないが、通常10〜50サイクルであり、好ましくは20〜40サイクルであり、より好ましくは35サイクルである。
このようなPCRにおける反応液には、PCRを行うために必須な組成が含まれていれば、その組成は特に限定されない。すなわち、反応液には、DNAを増幅するために必要な組成を含んでいれば良い。すなわち、反応液に含まれるものとしては、例えば、上述のプライマーセット及び後述のDNAポリメラーゼの他、dNTP等の基質、2価イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン)及び1価イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、又はそれらを供するための塩(例えば、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム)及び緩衝液(例えば、トリス塩酸バッファー、リン酸バッファー)が挙げられる。また、本発明にかかるPCR反応液には、これらに加え、有機溶媒(例えば、エタノール、メタノール、アセトン)、有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、安息香酸)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、TritonX−100)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、トリプトファン)、糖(例えば、グルコース、キシロース、ガラクトース)、ジメチルスルホキシド、ベタイン、DNA結合タンパク質等を、添加剤として含んでいてもよい。
PCRに用いられる「DNAポリメラーゼ」としては、標的ヌクレオチド配列に対してDNAからなる相補鎖を合成する活性を有するもの(DNA依存性DNAポリメラーゼ)であればよく、常温性、中温姓、耐熱性のものであっても用いることができるが、好ましくは耐熱性DNAポリメラーゼである。耐熱性DNAポリメラーゼとしては、特に制限はなく、5’→3’エクソヌクレアーゼ活性、3’→5’エクソヌクレアーゼ活性(校正活性)及びTdT活性のうちの少なくとも1の活性を有するDNAポリメラーゼが挙げられる。5’→3’エクソヌクレアーゼ活性及びTdT活性を有するポリメラーゼとしては、Pol型DNAポリメラーゼが挙げられ、より具体的にはTaqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼが挙げられる。校正活性を有するポリメラーゼとしては、α型DNAポリメラーゼが挙げられ、より具体的にはPfuポリメラーゼ、KODポリメラーゼが挙げられる。また、本発明の耐熱性DNAポリメラーゼには、天然型ポリメラーゼに限らず、人工的に改変されたポリメラーゼも含まれる。DNAポリメラーゼの改変体としては、例えば、校正活性が付加されたTaqポリメラーゼ(ExTaqポリメラーゼ)が挙げられる。
これらの中で、本発明にかかるDNAポリメラーゼとして、好ましくは、5’→3’エクソヌクレアーゼ活性及び3’→5’エクソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼであり、具体的には、ExTaqポリメラーゼが挙げられる。また、PCRにおいて、これら両活性は、複数種のDNAポリメラーゼ(例えば、Pol型DNAポリメラーゼとα型DNAポリメラーゼ)を混合して用いることによっても奏することができる。
本発明において、PCRにより増幅された標的ヌクレオチド配列の検出は、公知の手法を適宜用いることによって、当業者であれば行なうことができる、公知の手法としては、電気泳動法(例えば、アクリルアミドゲルに増幅産物を展開する電気泳動法)、核酸クロマト法(例えば、TBA社のSTH法)、インターカレーション法、クエンチャー媒介蛍光検出法が挙げられる。
(標的ヌクレオチド配列を増幅又は検出するためのキット)
本発明は、上述のプライマーセットを含む、標的ヌクレオチド配列を増幅又は検出するためのキットをも提供し得る。当該キットには、上述のDNAポリメラーゼ、及びその他のPCR反応液の組成(基質(dNTP)、前記イオン又はそれらを供するための塩、緩衝液、添加剤)及び当該キットの使用説明書が含まれる。また、本発明のプライマーに標識物質を結合している場合には、当該標識物質を検出するための基質も前記キットに含まれ得る。また、検出方法によっては、PCRによる増幅産物を展開するための担体(例えば、電気泳動方法におけるポリアクリルアミドゲル、核酸クロマト法におけるクロマト用試験紙)及び溶媒、蛍光物質(例えば、インターカレーション法におけるインターカレーター)、クエンチャー媒介蛍光検出法における蛍光物質及び消光物質が結合したプローブも、前記キットに適宜含まれる。さらに、増幅された標的ヌクレオチド配列を確認するための、DNA分子量マーカー及び陽性コントロールも、前記キットに含めてもよい。
(遺伝子組換え植物の検出方法)
後述の実施例において示すとおり、本発明者らによって、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物のゲノムDNAにおいて、アグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列(配列番号:1に記載のヌクレオチド配列)が共通して挿入されていることが明らかになった。さらに、この25ヌクレオチドからなる極めて短いRB近傍配列を、配列番号:15に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:16に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーのセットを用いたPCRにより検出できることも、本発明者らは見出した。
したがって、本発明は、
アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物を検出する方法であって、
被検植物のゲノムDNAを鋳型として、配列番号:15に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:16に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーのセットを用い、ポリメラーゼ連鎖反応を行なう工程、
前記ポリメラーゼ連鎖反応により増幅された、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列からなる、アグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列を、検出する工程、
前記工程にて、前記RB近傍配列の増幅が検出された場合に、前記被検植物を、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物であると判定する工程を、
含む方法をも、提供する。
「被検植物」としては、遺伝子組換え植物である可能性のある植物、又は遺伝子組換え植物が混入している可能性のあるものであればよく、特に制限はないが、大豆、とうもろこし、ジャガイモ(ばれいしょ)、なたね、綿、アルファルファ、てん菜、パパイヤが挙げられる。本発明の方法に供されるゲノムDNAの調製方法としては、上述の(標的ヌクレオチド配列の増幅及び検出方法)にて示したとおりであるが、ゲノムDNAの抽出対象としては、特に制限はなく、例えば、被検植物の種子、実、葉、茎、根が挙げられる。
また、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びPCRによって得られた増幅産物の検出方法としても上述の(標的ヌクレオチド配列の増幅及び検出方法)にて示したとおりであり、これら方法の実施工程を経て、前記RB近傍配列の増幅が検出された場合に、前記被検植物を、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物であると判定される。
本発明の方法において判定される「アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物」としては、好ましくは、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列からなるアグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列が、ゲノムDNAに挿入されている遺伝子組換え植物であり、具体的には、MON89788、MON87701、MON87708及びMON87769等の遺伝子組換え大豆、MIR162、MIR604、MON88017、DAS59122及び3272等の遺伝子組換えトウモロコシが挙げられる。
また、本発明の遺伝子組換え植物の検出方法は、ゲノム編集において、遺伝子組換えの痕跡が消去された植物を確認するための方法にも応用することができる。すなわち、ゲノム編集においては、標的遺伝子を改変するために、アグロバクテリウム法により、その編集系(ガイドRNA、ヌクレアーゼ等)をコードする外来DNAが、植物のゲノムDNAに組み込まれる。そして、前記編集系により標的遺伝子に変異が導入された後、通常、前記外来DNAは、野生型植物との交配や、Cre−loxp等を用いることによって、前記ゲノムDNAから除去される。この除去(遺伝子組換え痕跡の消去)を確認するためにも、本発明の遺伝子組換え植物の検出方法にも好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例は、以下に示す材料と方法を用いて行なった。
(材料と方法)
1.植物種子
日本において、安全性審査を経た旨の公表がなされているGM作物のうち、GM大豆8系統:RRS、A2704−12、MON89788、DP305423、MON87701、MON87705、MON87708、MON87769、及び、GMトウモロコシ15系統:NK603、Event176、T25、GA21、MON810、TC1507、Bt11、MIR604、MON88017、DAS59122、MON863、MIR162、3272、MON89034、MON87460を、以下の実験に供した。
2.DNA抽出
大豆及びトウモロコシのゲノムDNAは、DNeasy Plant Maxi kit(キアゲン社製)を用いて抽出した。抽出法は、消費者庁マニュアルに従った(非特許文献2 「(別添)安全性審査済みの組換えDNA技術応用食品の検査方法」 参照)。また、抽出DNAの濃度は、NanoDrop 超微量分光光度計(ThermoFisher Scienticifc社製)を用いて260nmの吸光度を元に定量した。抽出DNAは50ng/μLに調製し、100ngをPCR分析の鋳型として用いた。
3.疑似GM作物混入試料の調製
各GM大豆及びトウモロコシの擬似GM作物混入試料は、それぞれの抽出DNAを、同じ濃度の非遺伝子組換え(Non−GM)大豆及びトウモロコシの抽出DNAで希釈することにより調製した。具体的には、GM大豆及びGMトウモロコシの抽出DNAと、Non−GM大豆及びNon−GMトウモロコシの抽出DNAとを、同じ濃度になるよう調整し、各々抽出DNA溶液の体積比を変えて混合することによって各濃度の擬似混入試料を調製した。
4.PCR及び電気泳動による検出
下記表1〜4に示すPCRプライマー用配列を設計し、当該配列に基づき、株式会社ファスマックにて、プライマー用オリゴDNAを合成した。
そして、リアルタイムPCR用試薬(商品名:SYBR Premix Ex TaqII、タカラ社製)10μLに、対象プライマーセット溶液(各プライマー終濃度;0.3μM)を混合し、更に前記鋳型DNAを添加し、全量20μLのPCR反応液を調製した。
前記PCR反応液をPCR装置にセットし、95℃、30秒間の変性処理の後、95℃にて5秒間、28〜52℃にて30秒間及び72℃にて15秒間を1サイクルとして、35サイクルの増幅反応を行った。なお、PCR装置には、ThermoFisher Scienticifc社のGeneAmp PCRシステム9700を用いた。
なお、陰性コントロールとして、鋳型DNAを添加しないで前記PCRを行い(No template control、NTC)、また目的とするRB近傍配列由来のバンド(増幅産物)の位置を示すための陽性コントロールとして、後述のRBF及びRBRのプライマーセットを用い、前記PCRを行なった。
得られたPCR増幅産物については、反応液20μL中10μLを12%アクリルアミドゲルで電気泳動した。また、分子量マーカーとして、GeneRuler Ultra Low Range DNA Ladder(ThermoFisher Scienticifc社製)を併せて電気泳動した。次いで、核酸染色液(製品名:Gel Red、富士フイルム和光純薬社製)を用い、ゲル中の核酸バンドを染色し、検出した。
5.核酸クロマトによる検出
PCR増幅産物を、核酸クロマト(STH(Single−stranded Tag Hybridization))によっても検出した。STH法においては、ビオチンにて標識したプライマーと、シングルタグDNAを付加したプライマーとにより、標的ヌクレオチド配列をPCRにより増幅する。その増幅液をアビジンコートラテックス(青色)と混合してメンブレンストリップに展開した場合、ライン状に固相化された相補タグDNAと前記シングルタグDNAとの強いハイブリダイゼーション反応により、PCR増幅産物はトラップされる。トラップされたラテックス標識PCR増幅産物にてラインが青色になることによって、検体中の標的ヌクレオチド配列の有無を目視判別することが可能となる。
本実施例においては、RB近傍配列検出用プライマーの組み合わせとして、前記RBF2の5’端にシングルタグDNA(F1タグ)を付加したオリゴDNA、及び前記RBR2の5’端にビオチンを標識したオリゴDNAからなるプライマーセット、又は前記RBFの5’端にシングルタグDNA(F2タグ)を付加したオリゴDNA、及び前記RBRプライマーの5’端にビオチンを標識したプライマーセットを用いた。なお、これらプライマーにおけるタグDNAの付加及びビオチン標識は、株式会社TBAにて行なった。
そして、これらプライマーセットを用い、「4.PCR及び電気泳動による検出」に記載の条件にてPCR反応を行った。次いで、反応後の溶液20μLのうち1μLと、展開溶液10μL及びラテックス溶液1μLとを混合し、全量20μL(塩濃度:70mM)に調製して、クロマト展開に供した。クロマト展開は、核酸クロマト用ストリップ(製品名:C−PAS4(Chromatography Printed−Array strip4)、株式会社TBA製)を用い、当該会社のマニュアルに従って行なった。
(実施例1) プライマーの配列及びPCRの条件についての検討
既存のGM作物を効率的に検知するために、さらには増え続けるGM作物を漏れなく検知するために、GM作物に共通する配列を標的として検出するスクリーニング法が有効である。また現在、世界で最も広く用いられているGM植物作出技術は、アグロバクテリウム法であり、当該方法において、Tiプラスミド上のT−DNA領域が植物の核ゲノムに挿入される。したがって、アグロバクテリウムのT−DNAに由来する配列は、GM検知の際には極めて有効な標的配列になり得ると考えられる。
そこで、GM植物のゲノムDNAに共通して挿入されるT−DNA由来の配列を同定すべく、各種GM作物について、特許情報及びインターネットのデータベース等から、アグロバクテリウム法によって作出されたGM作物ゲノムDNAに挿入されたT−DNA領域由来の配列情報を入手し、アライメント解析を行った(GMO Detection method Database (GMDD) http://gmdd.sjtu.edu.cn/、WO2009/064652A1、WO2007/142840A2 参照)。
その結果、図1に示すとおり、確認可能な全てのRBを含む5’側ボーダー配列において完全に保存されていた配列は、25ヌクレオチドからなるRB近傍配列のみであった。また、当該配列は、GM大豆やトウモロコシのみならず、ナタネやワタ等、様々なGM作物に保存されていることも明らかになった。
しかしながら、PCRに関しては、既に様々な教科書的実験プロトコールが存在しており、その代表例である、Molecular Cloningには、プライマーの長さは通常20〜25ヌクレオチドと記載されており、さらに、18ヌクレオチド未満の長さのプライマーを用いた場合には、鋳型DNAとの間で非特異的な結合を起こす傾向があると記載されている。すなわち、PCRにおいて、フォワードプライマー20ヌクレオチド程度とリバースプライマー20ヌクレオチド程度、さらに、プライマー間に少なくとも数ヌクレオチドのスペースを入れるため、短くとも40ヌクレオチド以上の長さをPCRの標的として設計することが技術的な一般常識となっている。
すなわち、前述のような25ヌクレオチドからなる配列を標的として、当該配列を特異的に検出するということは極めて困難と考えられ、また前例のないことであった。そこで、前記25ヌクレオチドからなるRB近傍配列を、PCRによって検出可能か否かにつき、鋭意検討を行なった。
具体的には、先ず、RB近傍配列を検出するために、25ヌクレオチドからなる当該配列を標的とする、13ヌクレオチドからなるフォワードプライマー(表1及び図2Aに示す、RBF)と、当該プライマーと5ヌクレオチド(GAAAC)が重なり、17ヌクレオチドからなるリバースプライマー(表1及び図2Aに示す、RBR)とを用いたPCRにより、前記標的配列を特異的に増幅できるかどうかについて検討を行った。なお、PCRの鋳型DNAとしては、前記RB近傍配列を有することが既に明らかとなっているGM大豆MON89788又はGMトウモロコシMIR162のゲノムDNAを用いた。
その結果、データには示さないが、このプライマーセットを用いてPCRを行なった結果、25bpの位置にクリアにバンドが検出されたものの、鋳型DNAを含有していない反応溶液(NTC)からも増幅産物が検出され、当該プライマーセットを用いたプライマーセットでは、前記標的配列を特異的に増幅できないということが明らかになった(なお、鋳型DNA依存的に増幅しなかったが、25bpの位置にクリアにバンドが検出されたため、以下の実験にて、RBF及びRBRのプライマーセットを用いて得られた増幅産物を、陽性コントロールとして用いた)。
次に、25ヌクレオチドからなる前記配列を標的とする、12ヌクレオチドからなるフォワードプライマー(表1及び及び図2Aに示す「RBF2」)と、当該プライマーと重ならず、13ヌクレオチドからなるリバースプライマー(表1及び図2Aに示す「RBR2」)とを用い、前記標的配列を特異的に増幅できるかどうかについて検討を行った。
その結果、図3A〜Cに示すとおり、上述の5ヌクレオチド重なり合うプライマーセットを用いた場合とは異なり、前記12ヌクレオチド及び13ヌクレオチドからなるプライマーのセットを用い、NTC及び非GM植物由来のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行なった場合には、25ヌクレオチドの位置に標的配列の増幅を示すバンドは認められなかった。一方、GM植物由来のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行なった場合には、当該バンドが認められ、前記12ヌクレオチド及び13ヌクレオチドからなるプライマーセットを用いた場合には、標的配列を特異的に検出できることが明らかになった。
また、一般的に、PCRのアニーリング温度は、使用するプライマーのmelting temperature(Tm)値を参考に決定され、プライマーのTm値が異なる場合は、低い方の数値をアニーリング温度として利用することが推奨されている(中山弘樹、バイオ実験イラストレイテッド 3本当に増えるPCR、秀潤社、1996年6月発行)。RBF2及びRBR2のTm値は、GC法では、それぞれ28.9℃及び28.1℃であった(陽イオン濃度を60mMとして得られた計算値)。
そこで、図3A〜Cに示すとおり、これらのうち低い方にアニーリング温度を設定し、PCRを行ったところ、25bpの位置にバンドが検出されたものの、目的のバンドは薄く、さらに、高分子側に非特異的なバンドが目立った。一方、アニーリング温度を少しずつ上げていったところ52℃で非特異的バンドはほとんど見えなくなり、クリアに目的の25bpのバンドが検出されることを見出した。アニーリング温度を52℃からさらに上昇させたところ、25bpのバンドが極端に薄くなる傾向が見られたことから(データは示さず)、本検出法においては、アニーリングの最適温度は52℃と決定した。
(比較例1) プライマー配列についての検討2
前述のとおり、標的配列において、フォワードプライマーとリバースプライマーとを重なりを生じさせず配置し、これらプライマーのヌクレオチドの合計数が当該標的配列と同じ(25ヌクレオチド)になるように設計したプライマーセットを用いた結果、前記標的配列を、25ヌクレオチドという短さにも関わらず特異的に増幅することができた。
そこで、プライマーセットにおけるヌクレオチドの合計数は25ヌクレオチドとしたまま、各プライマーの長さを変更し、前記標的配列を特異的に増幅できるかどうかを検証した。具体的には、25ヌクレオチドからなる標的配列に対し、フォワードプライマーとリバースプライマーが、それぞれ、13ヌクレオチド(RBF)と12ヌクレオチド(RBR3)、14ヌクレオチド(RBF4)と11ヌクレオチド(RBR4)、15ヌクレオチド(RBF5)と10ヌクレオチド(RBR5)、11ヌクレオチド(RBF6)と14ヌクレオチド(RBR6)、10ヌクレオチド(RBF7)と15ヌクレオチド(RBR7)となるように設計し、検討を行った。なお、これらプライマーの配列については、表1、並びに図2A及びB 参照のほど。
しかしながら、図4B〜Fに示すとおり、いずれのプライマーセットを用いた場合においても、標的配列を特異的に検出することはできなかった。
また、前記標的配列を1ヌクレオチド短く24ヌクレオチドとし、当該配列を、12ヌクレオチドからなるForwardプライマーと12ヌクレオチドからなるReverseプライマー(RBF2とRBR8、RBF8とRBR3)を用い、特異的に増幅・検出することを試みた、なお、これらプライマーの配列については、表1及び図2C 参照のほど。
しかしながら、図4G及びHに示すとおり、いずれのプライマーセットを用いた場合においても、目的の位置にバンドは認められず、標的配列を特異的に検出することはできなかった。
以上の結果から、RB近傍配列を検出可能なプライマーセットは、RBF2及びRBR2のみの組み合わせであることが強く示唆された。とくに、RBR8は、RBR2の5’末端のグアニン(G)1ヌクレオチドを短くしただけであるにも関わらず、RBF2との組み合わせでPCR産物の増幅が見られなかった。
(実施例2) RB近傍配列検出法の特異性についての確認
上述のとおり、12ヌクレオチドからなるフォワードプライマー(RBF2)と、当該プライマーと重ならず、13ヌクレオチドからなるリバースプライマー(RBR2)とを用いることによって、T−DNAのRB近傍配列を有することが既に明らかとなっているGM大豆 MON89788及びGMトウモロコシ MIR162を検知することができた。
そこで、他のGM作物についても、RBF2及びRBR2のプライマーセットを用いたPCR(「RB近傍配列検出法」とも称する)によって、検知することができるかどうかを検討した。
その結果、図5A及びBに示すとおり、アグロバクテリウム法で作出されたことが明らかとなっているGM大豆 MON87701、MON87708及びMON87769、並びにGMトウモロコシ MIR604、MON88017、DAS59122及び3272に関し、目的の位置にバンドが認められた。
一方、アグロバクテリウム法で作出されたMON87705、MON89034及びMON87460については、目的とするバンドの増幅は認められなかった。しかしながら、これらのGM大豆及びトウモロコシについて、本発明者らが、特許情報(WO2010/037016A1、WO2007/140256A1、WO2009/111263A1)等を参考に5’側ボーダー付近の配列を確認したが、前記RB近傍配列は見当たらなかった。すなわち、これら3種類のGM作物は、アグロバクテリウム法で作出されてはいるが、前記RB近傍配列を有しておらず、そのため増幅しなかった可能性が高いと考えられる。
さらに、パーティクルガン法やエレクトロポレーション法等、アグロバクテリウム法以外の方法で作出されたGM大豆 RRS、A2704−12及びDP305423、並びにGMトウモロコシ NK603、Event176、T25、GA21、MON810、TC1507、Bt11及びMON863においては、目的とするバンドの増幅は認められなかった。
以上の結果から、前記12ヌクレオチドからなるフォワードプライマー(RBF2)及び前記13ヌクレオチドからなるリバースプライマー(RBR2)を用いたPCRによって、前記25ヌクレオチドからなるRB近傍配列を特異的に検出できることが明らかになった。
また、当該PCRによって検知することができたGM大豆及びGMトウモロコシのうち、MON89788、MON87701、MON87708、MON87769、MIR162、MIR604及び3272は、消費者庁マニュアルでGM作物のスクリーニング検知に利用されているP35S配列を有していない。さらに、P35Sと並んでスクリーニング目的で利用されるアグロバクテリウムのnopaline synthase遺伝子のterminator(TNOS)(非特許文献2 「(別添)安全性審査済みの組換えDNA技術応用食品の検査方法」 参照)を、MIR162、MIR604及び3272は有しているが、他のGM大豆4系統は有していない。また、Pisum sativumのribulose 1,5−bisphosphate carboxylase遺伝子の terminator(tE9)(Coruzzi,G.ら、The EMBO Journal,1984年、3,1671〜1679ページ 参照)は、モンサント社のGM大豆に利用されていることが多く、上記GM大豆のうち、MON89788、MON87708、MON87769は有しているが、それ以外の4系統はtE9を有していない(Takabatake, R.ら、Food Chemistry,2018年、252,390〜396ページ 参照)。すなわち、既存のスクリーニング的アプローチによって、これら7系統全てを検出することは困難である。一方、本発明の方法によれば、上述のとおり、いずれの系統も検知することができ、当該方法がGM食物の検知において有用であることが示唆される。
(実施例3) RB近傍配列検出法における検出下限についての検証
GM検査においては、微量混入したDNAを検出対象とする場合が少なくない。食品表示に関わる安全性審査済みのGM大豆及びGMトウモロコシにおいては、適切な分別生産流通管理がなされており、かつ5%までの混入であれば、組換えに関する表示が免除される。そこで、MON89788及びMIR162を0.5、1.0、5.0、10.0%及び100%含む試料を調製し、RB近傍配列検出法による検出の可否を検証した。
その結果、図6A及びBに示すとおり、MON89788、MIR162共に、基準値の1/10にあたる0.5%以上の混入であれば検出可能であることが示された。したがって、本発明のRB近傍配列検出法の検出下限は、GM大豆、トウモロコシ共に0.5%以下であることが明らかになった。
(実施例4) 核酸クロマトによるRB近傍配列の検出
本発明のRB近傍配列検出法の簡易化のために、核酸クロマト(TBA社のSTH法(https://www.t−bioarray.com/contents/technology.html 参照))でも検出できることを確認した。
なお、STH法(STH C−PASシステム)において、5’側にビオチン分子を付加したプライマーと、タグ配列と呼ばれる特殊なヌクレオチド配列を付加したプライマーのセット、さらに、核酸クロマト用試験紙(C−PAS)を用いる。当該プライマーセットでPCRを行うと、PCR産物の両端はビオチン分子及びタグ配列が付加された状態で増幅する。C−PASメンブレン上の所定の位置には、タグ配列と相補的な配列を有するDNAが固相化されており、PCR産物をクロマト展開すると、タグDNAと相補タグDNAのハイブリダイゼーション反応によって、PCR増幅産物はトラップされる。さらに、ラテックス標識されたアビジンビースを用いることによって、電気泳動やDNA染色を用いずに標的DNAの有無を目視にて判別することが可能となる。
そこで、RBF2及びRBR2をそれぞれタグ配列(F1)及びビオチン分子で標識し、これらプライマーセットを用いたSTH法により、RB近傍配列を検出できることを確認した。
その結果、図7A及びBに示すとおり、上記アクリルアミド電気泳動を用いた検出法と同じく、STH法によってもGM作物を特異的に検知することができた。また、STH法における検出下限を検証したところ、図8A及びBに示すとおり、アクリルアミドゲル電気泳動を用いた場合と同様に、GM大豆、GMトウモロコシ共に、0.5%以下まで検出可能であることが示された。
(実施例5) RB近傍配列以外への25ヌクレオチドPCRの適用性の検討(25ヌクレオチドPCRの一般化)
上述のとおり、25ヌクレオチドという極めて短いRB近傍配列をPCRにて検出するができた。しかしながら、そもそも、RB近傍配列に限らず、このような短い配列をPCRによって検出可能か否か検討された例はほとんど存在しない。
そこで、ゲノムDNAを鋳型に用いた25ヌクレオチドからなる配列を標的とするPCR(「25ヌクレオチドPCR」とも称する)が、RB近傍配列以外のヌクレオチド配列にも適用可能か(25ヌクレオチドを標的とするPCRの一般化が可能か)について検討した。
なお、GM検知を実施する際には、組換えDNAのみを標的にするのではなく、その作物種特異的内在性配列を同時検出することが一般的である。このような陽性コントロールによって、使用する試薬や機器を含むPCRの反応系が正常に機能していることが確認可能となる。内在性配列として、消費者庁マニュアルには、大豆に関してはレクチン遺伝子(Le1)(Vodkin L.ら、Cell、1983年、34,1023〜1031ページ 参照)、トウモロコシに関してはスターチシンターゼIIb(SSIIb)(
Harn,C.ら、Plant Molecular Biology、1998年、37,639〜649ページ 参照)が記載されている。また、トウモロコシの内在性配列としては、HMG(Krech,A.B.ら、Gene、1999年、234,45〜50ページ 参照)も海外の検査法においてよく利用されている。そこで、これらLe1、SSIIb及びHMG遺伝子のゲノムDNA配列を元に、様々なヌクレオチド配列からなる25ヌクレオチドの標的を選び出し、フォワードプライマー(12ヌクレオチド)及びリバースプライマー(13ヌクレオチド)、あるいはフォワードプライマー(13ヌクレオチド)及びリバースプライマー(12ヌクレオチド)のプライマーセットを設計して、特異的検出の可否を検討した。得られた結果を表5に示す。
表5に示すとおり、標的ヌクレオチド配列におけるGCの総数、すなわちフォワードプライマー及びリバースプライマーにおけるGCの総数が12以下である場合には、前記配列の増幅は認められなかった。一方、GCの総数が14以上である場合に、前記配列の増幅が認められた。
また、GCの総数が13とした際に、増幅する場合としない場合が認められ、前者においては、フォワードプライマー及びリバースプライマー間のTm差が少ない(0.7℃)一方で、後者はその差が大きかった(12.4℃)。そのため、GCの数が13の場合には、プライマー間におけるTm値のバランスが重要であると考えられる。そして、このような観点にて、改めてRB近傍配列についての結果を見直してみると、RB近傍配列(標的ヌクレオチド配列)中のGC総数は13であり、RBF2(Tm値:28.9℃)及びRBR2(Tm値:28.2℃)を用いた場合には前記配列を増幅することができる一方で、RBF(Tm値:34.5℃)及びEBR3(Tm値:22.1℃)を用いた場合には増幅されなかった理由がうまく説明できる。
また、標的ヌクレオチド配列の増幅が認められたプライマーセットにおいて、より作物種に対して特異性高くプライマーセットとして、Le1F3とLe1R3、Le1F6とLe1R6、Le1F7とLe1R7、Le1F9とLe1R9、SSIIbF1とSSIIbR1、SSIIbF5とSSIIbR5、HMGF2とHMGR2、HMGF6とHMGR6を得ることができた。
なお、本発明において、標的ヌクレオチド配列は25ヌクレオチドと非常に短いこともあり、設計段階にて、特異性が高いプライマーセットが得られるか否かを予想することは困難である。そのため、通常のPCR同様に、特異性が高く、またプライマーダイマーの形成が抑制されたプライマーセットを得るためには、増幅可能と予想されるプライマーセットを何種類か設計し、さらに、その中から特異性を示したプライマーセットを選抜する方法が有効ではないかと考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、25ヌクレオチドからなる極めて短い標的配列を、PCRにより増幅することが可能となる。
現在のPCRをはじめとする遺伝子分析の世界において、僅か25ヌクレオチドという短いDNAを明瞭に検出可能な技術はほとんど存在しない。従来のPCR法では、上述のとおり、20ヌクレオチド前後からなるプライマーを二種類用いることから、25ヌクレオチドのような短い標的を検出することは事実上不可能であった。
PCR法は、もともと特定の遺伝子を簡易にクローニングすることを目的として開発された技術であることから、より長い配列からなる対象を増幅させる方向に改良が進められてきた。一方、GM検知をはじめとする遺伝子検査においては、必ずしも長い配列を増幅させるPCR条件が、それらの目的に最適であるとは限らない。逆に、特異性が担保されている範囲において、より標的が短い場合の方が、検出感度が向上したり、あるいは適用性が広がるような場合も想定される。例えば、食品研究分野では、加工食品等において、原材料農作物のDNAが著しく断片化されており、従来のPCRでは検出が困難であることが報告されている(Yoshimura,T.ら、Journal of Agricultural and Food Chemistry、2005年、53,2060〜2069ページ、Yoshimura, T.ら、Journal of Agricultural and Food Chemistry、2005年、53,2052〜2059ページ 参照)。本発明によれば、従来のPCRよりもはるかに短い配列を検出可能であることから、加工食品を対象とした検査法等の性能改善も可能となり得る。
また、本発明によれば、上述のRB近傍配列を検出することにより、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え(GM)植物を検出することも可能となる。特に、現在世界中で最も利用されているアグロバクテリウム法によって作出されたGM作物の大部分を、1種類のプライマーセットにて検出することが可能となる。
なお、上述の実施例においては、本発明の対象として、食品表示に関わる安全性審査済みのGM大豆及びGMトウモロコシを用いて検討しているが、アグロバクテリウム法で作出された安全性未審査のGM作物への適用も有用ではないかと考えられる。特に、近年、食品として、あるいはカルタヘナ法の観点から安全性が確認されていないGM作物が、海外から日本に流入する、あるいは流入が危惧されるような事例が発生している(日本 厚生労働省「安全性未審査の組換えDNA 技術応用食品の検査方法」 http://www.mhlw.go.jp/file/06−Seisakujouhou−11130500−Shokuhinanzenbu/0000171839.pdf、日本 農林水産省「2016年(平成28年)7月に米国で発見された、我が国で未承認の遺伝子組換え小麦についてのQ&A」 http://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/attach/pdf/index−8.pdf、日本 農林水産省プレスリリース http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/170510.html、日本 農林水産省プレスリリース http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/141225.html 参照)。また、日本国内においても、安全性未審査のGM植物が不適切な環境で生育していることが発覚した事例が後を絶たない(例えば、国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学プレスリリース http://www.naist.jp/pressrelease/2017/09/004001.html、名古屋大学 大学からのお知らせ 「遺伝子組換え生物の第二種使用等に関する事故について」、http://www.nagoya−u.ac.jp/info/20150522.html、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構((旧)国立研究開発法人農業生物資源研究所)プレスリリース http://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/press/2016/20160325/ 参照)。これらの中には、アグロバクテリウム法で作出されたGM植物が少なからず含まれている。特に、上述の実施例においては、核酸クロマトを用いた簡易な検出法によってもGM植物を検知できることも確認していることから、細かい系統の特定はできないが、緊急的な状況下において、対象植物がアグロバクテリウム法で作出されたGM植物であるか否かを判定することができる、本発明は有用であると考えられる。
したがって、本発明は、GM作物の検知等、様々な分野の遺伝子検査において有用である。

Claims (5)

  1. 標的ヌクレオチド配列を増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーを含むプライマーセットであって、
    前記標的ヌクレオチド配列は、25のヌクレオチドからなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計13ヌクレオチド含む、
    下記(a)及び(b)からなる群から選択される1のプライマーセット
    (a)前記フォワードプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の5’末端から12ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含み、
    前記リバースプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の3’末端から13ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含む、プライマーセット、
    (b)前記フォワードプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の5’末端から13ヌクレオチドからなる部分と同一の配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含み、
    前記リバースプライマーは、前記標的ヌクレオチド配列の3’末端から12ヌクレオチドからなる部分と相補的な配列からなり、グアニン及びシトシンを少なくとも計5ヌクレオチド含む、プライマーセット。
  2. 配列番号:1に記載のヌクレオチド配列からなる、アグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列を、前記標的ヌクレオチド配列とする、
    配列番号:15に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び
    配列番号:16に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーセット。
  3. 試料中の標的ヌクレオチド配列を増幅するための方法であって、
    試料中の標的ヌクレオチド配列を鋳型として、請求項1又は2に記載のプライマーセットを用い、ポリメラーゼ連鎖反応により、当該配列を増幅する工程を含む、方法。
  4. 試料中の標的ヌクレオチド配列を検出するための方法であって、
    請求項3に記載の方法により、試料中の標的ヌクレオチド配列を増幅する工程と、
    前記工程にて増幅した標的ヌクレオチド配列を検出する工程とを、含む方法。
  5. アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物を検出する方法であって、
    被検植物のゲノムDNAを鋳型として、配列番号:15に記載のヌクレオチド配列からなるフォワードプライマー及び配列番号:16に記載のヌクレオチド配列からなるリバースプライマーのセットを用い、ポリメラーゼ連鎖反応を行なう工程、
    前記ポリメラーゼ連鎖反応により増幅された、配列番号:1に記載のヌクレオチド配列からなる、アグロバクテリウムのT−DNAに由来するRB近傍配列を、検出する工程、
    前記工程にて、前記RB近傍配列の増幅が検出された場合に、前記被検植物を、アグロバクテリウム法によって作製された遺伝子組換え植物であると判定する工程を、
    含む方法。
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