本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係る電源装置1について説明する。図1は、実施形態に係る電源装置1の構成例を示すブロック図である。図2は、実施形態に係るコイルユニット70及びスイッチ回路80の構成例を示す回路図である。
電源装置1は、送電線2から電磁誘導により電力を取得し、取得した電力を負荷部3に供給するものである。ここで、送電線2は、例えば、工場等に配索される電力供給用の電線であり、電力供給部(図示省略)と負荷部3との間を接続している。送電線2は、負荷部3の消費電力の変動に応じて電流が変動する。電源装置1は、整流回路10と、定電圧ダイオードとしてのツェナダイオード20と、コンデンサ30と、充放電回路40と、温度検出部Eと、コイルユニット70と、スイッチ回路80と、制御回路90とを備える。
整流回路10は、交流電力を直流電力に整流するものである。整流回路10は、例えば、4つのダイオードD1〜D4をブリッジ状に接続したブリッジ型の全波整流回路である。整流回路10は、ダイオードD1〜D4と、ノードN1〜N4とを有する。ダイオードD1、D2は、順方向で直列に接続され直列回路を形成する。ダイオードD3、D4は、順方向で直列に接続され直列回路を形成し、且つ、ダイオードD1、D2の直列回路と並列に接続される。ノードN1は、ダイオードD1のカソード端子とダイオードD2のアノード端子とを接続する部分である。ノードN1は、コイルユニット70の一方側の端子75に接続される。ノードN2は、ダイオードD3のカソード端子とダイオードD4のアノード端子とを接続する部分である。ノードN2は、コイルユニット70の他方側の端子76に接続される。ノードN3は、ダイオードD2のカソード端子とダイオードD4のカソード端子とを接続する部分である。ノードN3は、負荷部4の正極に接続される。ノードN4は、ダイオードD1のアノード端子とダイオードD3のアノード端子とを接続する部分である。ノードN4は、グランドに接続される。整流回路10は、ノードN1、N2に供給される交流電力を整流した直流電力をノードN3から負荷部4の正極に出力する。
ツェナダイオード20は、直流電力の電圧を一定にするものである。ツェナダイオード20は、整流回路10とコンデンサ30との間に設けられている。ツェナダイオード20は、カソード端子が整流回路10のノードN3に接続され、アノード端子がグランドに接続されている。ツェナダイオード20は、整流回路10から出力される直流電力の電圧が降伏電圧(ツェナー電圧)以上の場合には電流が流れ、整流回路10から出力される直流電力の電圧が降伏電圧未満の場合には電流が流れない。これにより、ツェナダイオード20は、整流回路10により整流した直流電力の電圧の上限を一定にすることができる。本実施形態では、ツェナダイオード20の降伏電圧は、例えば、5.6Vとするが、これに限定されない。
コンデンサ30は、電流(電力)を平滑化するものである。コンデンサ30は、ツェナダイオード20と充放電回路40との間に設けられている。コンデンサ30は、一方側の端子が整流回路10のノードN3に接続され、他方側の端子がグランドに接続されている。コンデンサ30は、整流回路10により整流した直流電力を平滑化し、平滑化した直流電力を充放電回路40に出力する。
充放電回路40は、電力を充電及び放電するものである。充放電回路40は、コンデンサ30と負荷部4との間に設けられている。充放電回路40は、一方側の端子が整流回路10のノードN3に接続され、他方側の端子がグランドに接続されている。充放電回路40は、バッテリ(図示省略)を有し、整流回路10から出力される直流電力をバッテリに充電する。また、充放電回路40は、バッテリに充電した電力を負荷部4に出力する。充放電回路40は、例えば、整流回路10から出力される直流電力が相対的に大きい場合、バッテリに電力を充電する。また、充放電回路40は、整流回路10から出力される直流電力が相対的に小さい場合、バッテリに充電した電力を負荷部4に出力する。これにより、電源装置1は、負荷部4に電力を安定して供給することができる。
温度検出部Eは、第1温度センサ50と、第2温度センサ60とを含んで構成される。第1温度センサ50は、温度を検出するものである。第1温度センサ50は、ツェナダイオード20の近傍に配置される。第1温度センサ50は、例えば、ツェナダイオード20とは一定間隔を設けて配置される。なお、第1温度センサ50は、ツェナダイオード20に直付けされてもよい。第1温度センサ50は、ツェナダイオード20の検出温度T1を検出する。第1温度センサ50は、制御回路90に接続され、検出したツェナダイオード20の検出温度T1を制御回路90に出力する。
第2温度センサ60は、温度を検出するものである。第2温度センサ60は、ツェナダイオード20等の発熱源とは離れた位置に配置される。第2温度センサ60は、例えば、電源装置1の筐体の外側に配置されるが、これに限定されない。第2温度センサ60は、外気温度T2を検出する。ここで、外気温度T2とは、発熱源の影響を受けていない大気の温度である。第2温度センサ60は、制御回路90に接続され、検出した外気温度T2を制御回路90に出力する。
コイルユニット70は、電磁誘導により電力を取得するものである。コイルユニット70は、第1〜第3コイル71〜73と、コア74とを有する。コア74は、環状に形成され、磁性材料を含む磁性体である。コア74の内側には、送電線2が挿通している。コア74は、第1〜第3コイル71〜73の内側に挿通している。つまり、コア74の外周面には、第1〜第3コイル71〜73がそれぞれ間隔をあけて巻き回されている。コア74は、第1〜第3コイル71〜73のインダクタンスを向上させる。
第1〜第3コイル71〜73は、導線が螺旋状に巻き回されたものである。第1〜第3コイル71〜73は、例えば、コア74の外周面に沿って螺旋状に巻き回されている。第1コイル71の巻き数は、例えば「500」であり、第2コイル72の巻き数は、例えば「300」であり、第3コイル73の巻き数は、例えば「200」である。第1〜第3コイル71〜73は、コア74に巻き回された状態で、電力を供給する送電線2に設けられる。第1〜第3コイル71〜73は、例えば、送電線2に生じる磁束により誘導起電力を発生可能な位置に設けられる。
第1〜第3コイル71〜73は、それぞれ直列に接続可能である。第1コイル71は、例えば、図2に示すように、一方側の端子71aが整流回路10と接続する端子75に接続され、他方側の端子71bが第2コイル72の一方側の端子72aに接続されている。第2コイル72は、一方側の端子72aが第1コイル71の他方側の端子71bに接続され、他方側の端子72bが第3コイル73の一方側の端子73aに接続されている。第3コイル73は、一方側の端子73aが第2コイル72の他方側の端子72bに接続され、他方側の端子73bが整流回路10と接続する端子76に接続されている。第1〜第3コイル71〜73は、電磁誘導により送電線2から交流電力を取得し、取得した交流電力を整流回路10に出力する。
スイッチ回路80は、電流を通電(オン)又は遮断(オフ)するリレー又は半導体スイッチである。スイッチ回路80は、オン又はオフすることにより、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を切り替える。スイッチ回路80は、第1スイッチ回路81と、第2スイッチ回路82とを有する。第1スイッチ回路81は、図1及び図2に示すように、第2コイル72に並列に接続されている。第1スイッチ回路81は、端子81aと、端子81bとを有し、端子81aと端子81bとの間を通電(オン)又は遮断(オフ)する。端子81aは、第1コイル71の端子71bと第2コイル72の端子72aとの間の接続点に接続されている。端子81bは、第2コイル72の端子72bと第3コイル73の端子73aとの間の接続点に接続されている。第1スイッチ回路81は、オンすることにより電流が第2コイル72を迂回(バイパス)して流れるようにする。また、第1スイッチ回路81は、オフすることにより電流が第2コイル72に流れるようにする。
第2スイッチ回路82は、第3コイル73に並列に接続されている。第2スイッチ回路82は、端子82aと、端子82bとを有し、端子82aと端子82bとの間を通電(オン)又は遮断(オフ)する。端子82aは、第2コイル72の端子72bと第3コイル73の端子73aとの間の接続点に接続されている。端子82bは、第3コイル73の端子73bと端子76との間の接続点に接続されている。第2スイッチ回路82は、オンすることにより電流が第3コイル73を迂回して流れるようにする。また、第2スイッチ回路82は、オフすることにより電流が第3コイル73に流れるようにする。
制御回路90は、スイッチ回路80を制御するものである。制御回路90は、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御回路90は、第1温度センサ50に接続され、当該第1温度センサ50からツェナダイオード20の検出温度T1を入力する。制御回路90は、第2温度センサ60に接続され、当該第2温度センサ60から外気温度T2を入力する。制御回路90は、第1温度センサ50によって検出された定電圧ダイオードの検出温度T1に基づいてスイッチ回路80を制御する。制御回路90は、例えば、第1温度センサ50により検出されたツェナダイオード20の検出温度T1と第2温度センサ60により検出された外気温度T2とに基づいて定められるダイオード温度に応じてスイッチ回路80を制御する。具体的には、制御回路90は、ツェナダイオード20の検出温度T1から外気温度T2を減算してダイオード温度を求め、求めたダイオード温度に基づいてスイッチ回路80を制御する。なお、温度検出部Eは、ツェナダイオード20の検出温度T1から外気温度T2を減算してダイオード温度を求め、求めたダイオード温度を制御回路90に出力してもよい。制御回路90は、例えば、ダイオード温度が予め定められた閾値以上である場合、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を相対的に多くする。一方、制御回路90は、ダイオード温度が閾値未満である場合、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を相対的に少なくする。
次に、送電線2に流れる電流と電源装置1により供給される電力との関係について説明する。送電線2は、接続される負荷部3の電力消費の変動に応じて流れる電流が変動する。送電線2は、例えば、図3に示すように、負荷部3の電力消費の変動に応じて、0アンペア〜600アンペアの間で電流が変動する。図3は、実施形態に係る送電線2に流れる電流と電源装置1により供給される電力との関係を示す図である。図3では、横軸が送電線2に流れる電流を表し、縦軸が電源装置1により供給される電力を表す。
図3において、送電線2に流れる電流が0アンペア〜Iaアンペアの間は、第1コイル71に電流が流れ、第2及び第3コイル72、73に電流が流れていない。このとき、電源装置1により供給される電力P1は、送電線2に流れる電流の増加に応じて急激に増加する。そして、電源装置1により供給される電力P1は、Iaアンペアで最大電力に到達する。つまり、電源装置1により供給される電力P1は、Iaアンペアで飽和する。このとき、電源装置1は、第1コイル71に加え、第2コイル72に電流が流れるように切り替える。電源装置1は、Iaアンペアで第1及び第2コイル71、72に電流が流れるように切り替えることにより、電源装置1により供給される電力P1を減少させる。
送電線2に流れる電流がIaアンペア〜Ibアンペアの間は、第1及び第2コイル71、72に電流が流れ、第3コイル73に電流が流れていない。このとき、電源装置1により供給される電力P2は、送電線2に流れる電流の増加に応じて電力P1よりも緩やかに増加する。そして、電源装置1により供給される電力P2は、Ibアンペアで最大電力に到達する。このとき、電源装置1は、第1及び第2コイル71、72に加え、第3コイル73に電流が流れるように切り替える。電源装置1は、Ibアンペアで第1〜第3コイル71〜73に電流が流れるように切り替えることにより、電源装置1により供給される電力P2を減少させる。
送電線2に流れる電流がIbアンペア〜600アンペアの間は、第1〜第3コイル71〜73に電流が流れている。このとき、電源装置1により供給される電力P3は、送電線2に流れる電流の増加に応じて電力P1、P2よりも緩やかに増加する。そして、電源装置1により供給される電力P3は、600アンペアで最大電力に到達する。
このように、電源装置1は、送電線2に流れる電流の増加に応じて、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を切り替えることで、電源装置1により供給される電力を制御することができる。これにより、電源装置1は、最大電力を超過することを抑制でき、ツェナダイオード20の熱損失として電力を無駄に消費することを抑制できる。
なお、電源装置1は、例えば、送電線2に流れる電流がIaアンペアを超えたときに、第2コイル72を接続せずに第1コイル71に電流を流した場合、最大電力に到達してツェナダイオード20に電流が流れる。このとき、ツェナダイオード20に供給される電力Q1は、図4に示すように、送電線2に流れる電流の増加に応じて増加する。図4は、実施形態に係る送電線2に流れる電流とツェナダイオード20の電力との関係を示す図である。図4では、横軸が送電線2に流れる電流を表し、縦軸がツェナダイオード20に供給される電力を表す。電源装置1は、送電線2に流れる電流がIbアンペアを超えたときに、第3コイル73を接続せずに第1及び第2コイル71、72に電流を流した場合、最大電力に到達してツェナダイオード20に電流が流れる。このとき、ツェナダイオード20供給される電力Q2は、送電線2に流れる電流の増加に応じて増加する。
ツェナダイオード20は、図5に示すように、ツェナダイオード20の電力とダイオード温度とが比例関係にある。図5は、実施形態に係るダイオード温度とツェナダイオード20の電力との関係を示す図である。図5では、横軸がダイオード温度を表し、縦軸がツェナダイオード20の電力を表す。ツェナダイオード20は、供給される電力に応じて温度が上昇する。つまり、ツェナダイオード20は、供給される電力が相対的に大きくなると温度が相対的に高くなる。電源装置1は、ダイオード温度に基づいてスイッチ回路80を制御し、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を切り替えることで、ツェナダイオード20に流れる電流を抑制する。
次に、図6を参照して電源装置1の動作例について説明する。図6は、実施形態に係る電源装置1の動作例を示すメインのフローチャートである。電源装置1は、コイルユニット70により電力を取得する(ステップS1)。コイルユニット70は、例えば、電磁誘導により送電線2から交流電力を取得する。次に、電源装置1は、コイルユニット70により取得した交流電力を整流回路10により整流する(ステップS2)。次に、電源装置1は、ツェナダイオード20により定電圧化を行う(ステップS3)。ツェナダイオード20は、例えば、整流回路10により整流した直流電力の電圧の上限を一定(例えば5.6V)にする。
次に、電源装置1は、第2温度センサ60により外気温度T2を検出する(ステップS4)。第2温度センサ60は、検出した外気温度T2(例えば30℃)を制御回路90に出力する。次に、電源装置1は、第1温度センサ50によりツェナダイオード20の検出温度T1を検出する(ステップS5)。第1温度センサ50は、検出したツェナダイオード20の検出温度T1(例えば80℃)を制御回路90に出力する。次に、電源装置1は、制御回路90によりダイオード温度を算出する(ステップS6)。制御回路90は、例えば、第1温度センサ50により検出したツェナダイオード20の検出温度T1(例えば80℃)から第2温度センサ60により検出した外気温度T2(30℃)を減算し、ダイオード温度(例えば50℃)を算出する。
次に、電源装置1は、制御回路90によりダイオード温度と閾値とを比較し(ステップS7)、比較結果に基づいてコイルの巻き数を切り替える(ステップS8)。ここで、閾値は、例えば、第1閾値(45℃)及び第2閾値(80℃)を含んで構成される。制御回路90は、例えば、ダイオード温度が第1閾値(45℃)未満の場合、第1及び第2スイッチ回路81、82をオンし、第2及び第3コイル72、73を迂回して第1コイル71に電流が流れるように切り替える。この場合、コイルユニット70のコイルの巻き数は、「500」となる。制御回路90は、ダイオード温度が第1閾値(45℃)以上第2閾値(80℃)未満の場合、第1スイッチ回路81をオフし且つ第2スイッチ回路82をオンし、第3コイル73を迂回して第1及び第2コイル71、72に電流が流れるように切り替える。この場合、コイルユニット70のコイルの巻き数は、「800」となる。制御回路90は、第2閾値(80℃)以上の場合、第1及び第2スイッチ回路81、82をオフし、第1〜第3コイル71〜73に電流が流れるように切り替える。この場合、コイルユニット70のコイルの巻き数は、「1000」となる。
次に、電源装置1は、コイルユニット70により取得されツェナダイオード20により定電圧化された電力を充放電回路40に供給する(ステップS9)。次に、電源装置1は、充放電回路40により充放電制御を行い(ステップS10)、負荷部4に電力を供給する(ステップS11)。充放電回路40は、例えば、負荷部4に供給する電力が不足している場合、バッテリに充電した電力を放電して負荷部4に電力を供給する。また、充放電回路40は、負荷部4に供給する電力が足りている場合、バッテリに電力を充電する。これにより、電源装置1は、負荷部4に安定して電力を供給することができる。
次に、図7を参照して、上述のステップS8におけるコイルの巻き数の切り替え処理について詳細に説明する。図7は、実施形態に係る電源装置1の動作例を示すサブのフローチャートである。ここで、以下の説明では、コイルの巻き数が「1000」であるモードを第1モードと称し、コイルの巻き数が「800」であるモードを第2モードと称し、コイルの巻き数が「500」であるモードを第3モードと称する。
制御回路90は、ダイオード温度が第1閾値(45℃)未満であるか否かを判定する(ステップU1)。制御回路90は、ダイオード温度が第1閾値(45℃)未満である場合(ステップU1;Yes)、コイルの巻き数を表すモードが第1モードであるか否かを判定する(ステップU2)。制御回路90は、当該モードが第1モードである場合(ステップU2;Yes)、第2モードに切り替え(ステップU3)、終了する。一方、制御回路90は、モードが第1モードでない場合(ステップU2;No)、モードが第2モードであるか否かを判定する(ステップU4)。制御回路90は、モードが第2モードである場合(ステップU4;Yes)、第3モードに切り替え(ステップU5)、終了する。また、制御回路90は、モードが第2モードでない場合、つまりモードが第3モードである場合(ステップU4;No)、モードを切り替えずに終了する。
また、上述のステップU1で、制御回路90は、ダイオード温度が第1閾値(45℃)以上である場合(ステップU1;No)、ダイオード温度が80℃以上であるであるか否かを判定する(ステップU6)。制御回路90は、ダイオード温度が80℃以上である場合(ステップU6;Yes)、コイルの巻き数を表すモードが第1モードであるか否かを判定する(ステップU7)。制御回路90は、当該モードが第1モードである場合(ステップU7;Yes)、コイルの巻き数が「1000」であるにもかかわらず、ダイオード温度が80℃以上であるので異常を通知し(ステップU8)、終了する。一方、制御回路90は、モードが第1モードでない場合(ステップU7;No)、モードが第2モードであるか否かを判定する(ステップU9)。制御回路90は、モードが第2モードである場合(ステップU9;Yes)、第1モードに切り替え(ステップU10)、終了する。一方、制御回路90は、モードが第2モードでない場合、つまりモードが第3モードである場合(ステップU9;No)、第2モードに切り替え(ステップU11)、終了する。
以上のように、実施形態に係る電源装置1は、コイルユニット70と、整流回路10と、ツェナダイオード20と、スイッチ回路80と、第1温度センサ50と、制御回路90とを備える。コイルユニット70は、電力を供給する送電線2に設けられ、それぞれ直列に接続可能な第1〜第3コイル71〜73を有し、第1〜第3コイル71〜73を介して電磁誘導により送電線2から交流電力を取得する。スイッチ回路80は、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を切り替える。整流回路10は、コイルユニット70に接続され、当該コイルユニット70により取得した交流電力を直流電力に整流する。ツェナダイオード20は、整流回路10に接続され、当該整流回路10により整流した直流電力の電圧を一定にする。温度検出部Eは、ツェナダイオード20のダイオード温度を検出する。制御回路90は、温度検出部Eによって検出されたダイオード温度に基づいてスイッチ回路80を制御する。
この構成により、電源装置1は、ダイオード温度に基づいて、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73を適宜変更することができ、コイルユニット70により送電線2から取得する交流電力を制御することができる。電源装置1は、例えば、ダイオード温度が高い場合、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73を相対的に多くすることで、コイルユニット70により送電線2から取得する交流電力を抑制できる。これにより、電源装置1は、ツェナダイオード20の降伏電圧を超えて当該ツェナダイオード20に流れる電流を抑制できる。従って、電源装置1は、ツェナダイオード20の熱損失として電力を無駄に消費することを抑制できる。また、電源装置1は、回路に大電流が流れることを抑制することができ、コイルユニット70、整流回路10、ツェナダイオード20、及び、充放電回路40の耐熱設計・放熱設計を適正に行うことができる。また、電源装置1は、ダイオード温度を検出することにより、従来の電流センサよりも誘導障害やノイズの影響を抑制することができる。この結果、電源装置1は、電磁誘導により送電線2から電力を適正に取得することができる。
上記電源装置1において、温度検出部Eは、ツェナダイオード20の検出温度T1を検出する第1温度センサ50、及び、外気温度T2を検出する第2温度センサ60を備える。制御回路90は、第1温度センサ50により検出されたツェナダイオード20の検出温度T1と第2温度センサ60により検出された外気温度T2とに基づいて定められるダイオード温度に応じてスイッチ回路80を制御する。この構成により、電源装置1は、外気温度T2を考慮したツェナダイオード20の実際の温度(上昇温度)に基づいてスイッチ回路80を制御することができるので、ツェナダイオード20に流れる電流をより適正に抑制できる。
上記電源装置1において、制御回路90は、ダイオード温度が予め定められた閾値以上である場合、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を相対的に多くする。また、制御回路90は、ダイオード温度が閾値未満である場合、直列に接続される第1〜第3コイル71〜73の数を相対的に少なくする。この構成により、電源装置1は、ツェナダイオード20に流れる電流を適正に抑制できる。
上記電源装置1において、コイルユニット70は、磁性材料を含む環状のコア74を有する。環状のコア74は、第1〜第3コイル71〜73の内側に挿通している。この構成により、電源装置1は、第1〜第3コイル71〜73のそれぞれにコア74を設ける場合と比較して、コア74の数を削減することができる。
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。定電圧ダイオードは、ツェナダイオード20である例について説明したが、これに限定されず、例えば、アバランシェ整流ダイオード(アバランシェダイオード)等であってもよい。
また、ダイオード温度は、ツェナダイオード20の検出温度T1と外気温度T2とに基づいて定められる温度である例について説明したが、これに限定されない。ダイオード温度は、例えば、外気温度T2を用いずに、ツェナダイオード20の検出温度T1を単独で用いた温度としてもよい。
また、整流回路10は、ブリッジ型の全波整流回路である例について説明したが、これに限定されず、その他の整流回路であってもよい。
また、第1〜第3コイル71〜73は、1つのコア74に巻き回されている例について説明したが、これに限定されない。第1〜第3コイル71〜73は、例えば、それぞれに別のコア74に巻き回されていてもよい。
また、第1閾値(45℃)及び第2閾値(80℃)は、ヒステリシス(不感帯)を設けるようにしてもよい。