JP2020041717A - 加熱冷却装置の性能評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理物表面の熱伝達率を計測することで、被処理物の温度分布を三次元で把握し、これによって、加熱冷却装置の正確な性能評価を可能にする。【解決手段】一実施形態に係る加熱冷却装置の性能評価方法は、テストピースを加熱冷却装置を用いて加熱又は冷却し、該テストピースの内部温度を計測する内部温度計測ステップと、前記内部温度計測ステップで計測された前記内部温度から熱伝導方程式により予測熱伝達率を算出する予測熱伝達率算出ステップと、前記テストピースの少なくとも一面の熱流束及び表面温度を計測する熱流束計測ステップと、前記熱流束計測ステップで計測された熱流束及び表面温度から実測熱伝達率を算出する実測熱伝達率算出ステップと、前記予測熱伝達率と前記実測熱伝達率とから前記テストピースの温度を把握し、前記加熱冷却装置の性能評価を行う評価ステップと、を含む。【選択図】図2

Description

本開示は、加熱冷却装置の性能評価方法に関する。
食品搬送式フリーザなどの食品凍結装置や冷凍庫等の性能評価を行う場合、例えば、要素試験などから得られたテストピースの冷却履歴(冷却曲線)を評価基準としている。しかし、テストピースの冷却履歴は、被冷却物の物性、形状及び冷却装置の運転条件等によって異なるのに加えて、テストピースの計測部位によって異なるので、一部の計測部位の冷却履歴から冷却装置の定量的な性能評価を行うのは困難である。
特許文献1には、挿入部の先端から根元付近までの複数個所に検出部を有する棒状の芯温度センサを食品に挿入し、該複数の検出部の検出値に基づいて食品全体の凍結完了時間を予測する温度測定装置が開示されている。
特開2001−099544号公報
テストピースの冷却履歴(冷却曲線)を評価基準とする方法は、簡便な測定方法ではあるが、冷風の風向きによって食品表面のどの面が強く冷却されるかと言った詳細な情報を得ることは難しい。従って、食品表面の熱伝達率が刻々と変化する環境下で、食品内部の温度分布を把握することは困難であり、そのため、冷却装置の性能評価を正確に行うことは困難である。特許文献1に開示された温度測定装置も同様のことが言える。
一実施形態は、被処理物を加熱又は冷却する装置において、被処理物表面の熱伝達率を計測することで、被処理物の温度分布を三次元で把握し、これによって、加熱冷却装置の正確な性能評価を可能にすることを目的とする。
(1)一実施形態に係る加熱冷却装置の性能評価方法は、
テストピースを加熱冷却装置を用いて加熱又は冷却し、該テストピースの内部温度を計測する内部温度計測ステップと、
前記内部温度計測ステップで計測された前記内部温度から熱伝導方程式により予測熱伝達率を算出する予測熱伝達率算出ステップと、
前記テストピースの少なくとも一面の熱流束及び表面温度を計測する熱流束計測ステップと、
前記熱流束計測ステップで計測された熱流束及び表面温度から実測熱伝達率を算出する実測熱伝達率算出ステップと、
前記予測熱伝達率と前記実測熱伝達率とから前記テストピースの温度を把握し、前記加熱冷却装置の性能評価を行う評価ステップと、
を含む。
上記(1)の方法によれば、上記内部温度計測ステップで実測したテストピースの内部温度から求めた予測熱伝達率と、熱流束の実測値などから求めた実測熱伝達率とを比較することで、実測熱伝達率の値の正確さを客観的に評価できる。また、求めた実測熱伝達率から、テストピースの少なくとも一面における実測熱伝達率の局所性を考慮した温度推移を把握できる。これによって、処理条件下での加熱冷却装置の最適設計が可能になる。なお、テストピースとして実際の被処理物(例えば、食品など)を用い、その温度推移を把握することで、加熱冷却装置の実運転時の性能評価が可能になる。また、計測するテストピースの内部温度として、テストピースの幾何学的中心位置の温度(以下「中心温度」とも言う。)を計測することで、テストピースの実際の温度に近い内部温度情報を得ることができる。
なお、テストピースとして実際に処理される被処理物又は物性値が該被処理物に似た模擬材を使用することができる。
(2)一実施形態では、前記(1)の方法において、
前記評価ステップにおいて、
前記予測熱伝達率と前記実測熱伝達率との差分が閾値以内であるとき前記実測熱伝達率は正確な値であると判定し、前記実測熱伝達率に基づいて前記加熱冷却装置の性能評価を行う。
上記(2)の方法によれば、実測値から求めた予測熱伝達率に対する実測熱伝達率の差分から、該実測熱伝達率の正確さを客観的に評価できる。
(3)一実施形態では、前記(1)又は(2)の構成において、
前記熱流束計測ステップにおいて、前記テストピースの複数の面の熱流束を計測し、
前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、前記複数の面の各々の前記実測熱伝達率を算出すると共に、算出した複数の前記実測熱伝達率から平均実測熱伝達率を算出し、
前記評価ステップにおいて、前記予測熱伝達率と前記平均実測熱伝達率とから前記加熱冷却装置の性能評価を行う。
上記(3)の方法によれば、上記平均実測熱伝達率を予測熱伝達率と比較することで、加熱冷却装置の現実の性能に近い性能評価を得ることができる。
(4)一実施形態では、前記(3)の構成において、
前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、
前記複数の面の各々で算出した前記実測熱伝達率を前記複数の面の面積で重み付けして前記平均実測熱伝達率を算出する。
上記(4)の方法によれば、平均実測熱伝達率として、テストピースの各面の実測熱伝達率を各面の面積で重み付けして算出された平均実測熱伝達率を用いることで、加熱冷却装置の現実の性能にさらに近い性能評価を得ることができる。
(5)一実施形態では、前記(1)〜(4)の何れかの構成において、
前記内部温度計測ステップでは、前記テストピースとして顕熱温度履歴のみの温度履歴を有するテストピースを用いる。
上記(5)の方法によれば、テストピースとして顕熱温度履歴の温度推移曲線を有するテストピースを用い、該テストピースの内部温度実測値及び周囲温度から、熱伝導方程式を用い、あるいはさらにテストピースの物性値を加えることで、予測熱伝達率を容易にかつ正確に求めることができる。
以下、顕熱温度履歴のみの温度履歴を有することを「顕熱特性を有する」とも言い、潜熱温度履歴を含む温度履歴を有することを「潜熱特性を有する」とも言う。
(6)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記熱流束計測ステップでは、前記テストピースとして断熱性を有するテストピースを用いる。
上記(6)の方法によれば、テストピースとして断熱性を有するテストピースを用いることで、テストピースの各面において内部の熱拡散による他面側からの熱侵入を抑制できる。これによって、各面において他面側からの熱侵入による影響を受けずに、実測熱伝達率を算出できる。
(7)一実施形態に係る加熱冷却装置の性能評価方法は、
テストピースを加熱冷却装置を用いて加熱又は冷却し、該テストピースの内部温度を計測する内部温度計測ステップと、
前記テストピースの少なくとも一面の熱流束及び表面温度を計測する熱流束計測ステップと、
前記熱流束計測ステップで計測した熱流束及び表面温度から実測熱伝達率を算出する実測熱伝達率算出ステップと、
前記実測熱伝達率算出ステップで算出した前記実測熱伝達率から熱伝導方程式を用いて前記テストピースの内部温度を算出する内部温度算出ステップと、
前記内部温度計測ステップで計測した内部温度と、前記内部温度算出ステップで算出された内部温度とから前記加熱冷却装置の性能評価を行う評価ステップと、
を含む。
上記(7)の方法によれば、上記内部温度計測ステップで計測したテストピースの内部温度の実測値と、上記内部温度算出ステップで算出された内部温度の計算値とを比較することで、内部温度が導き出された実測熱伝達率の計算値の正確さを客観的に評価できる。また、該実測熱伝達率は、テストピースの少なくとも一面における熱伝達率の局所性を考慮した温度推移を把握できる。これによって、処理条件下での加熱冷却装置の最適設計が可能になる。
なお、上記実測熱伝達率算出ステップで算出した実測熱伝達率を境界条件として、実際の運転で処理される被処理物(顕熱特性又は潜熱特性の温度推移を有する。)に当てはめ、該被処理物の内部温度を算出するようにしてもよい。これによって、実運転で加熱冷却装置の性能評価が可能になる。
(8)一実施形態では、前記(7)の構成において、
前記評価ステップにおいて、
前記内部温度計測ステップで計測した内部温度と前記内部温度算出ステップで算出された内部温度との差分が閾値以内であるとき、前記内部温度算出ステップで算出された前記内部温度を導き出した前記実測熱伝達率は正確な値であると判定し、前記実測熱伝達率に基づいて前記加熱冷却装置の性能評価を行う。
上記(8)の方法によれば、上記内部温度計測ステップで実測された内部温度と、上記内部温度算出ステップで算出された内部温度との差分から、計算で求めた内部温度を導き出した実測熱伝達率の正確さを客観的に評価できる。
例えば、内部温度計測ステップで計測した内部温度と内部温度算出ステップで算出された内部温度との差分を平均二乗誤差平方根(RMSE)で評価した結果が閾値内であるとき、実測熱伝達率は正確な値であると判定する。
(9)一実施形態では、前記(7)又は(8)の構成において、
前記熱流束計測ステップにおいて、前記テストピースの複数の面の熱流束を計測し、
前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、前記複数の面の各々の前記実測熱伝達率を算出すると共に、算出した複数の前記実測熱伝達率から平均実測熱伝達率を算出し、
前記内部温度算出ステップにおいて、前記平均実測熱伝達率から前記テストピースの内部温度を算出する。
上記(9)の方法によれば、上記平均実測熱伝達率を用いてテストピースの内部温度を算出することで、加熱冷却装置を正確に性能評価できる。また、実測熱伝達率算出ステップで得た実測熱伝達率を境界条件として実際の被処理物に当てはめることで、該被処理物を処理するときの現実の性能に近い性能評価を得ることができる。
(10)一実施形態では、前記(9)の構成において、
前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、
前記複数の面の各々で算出した前記実測熱伝達率を前記複数の面で重み付けして前記平均実測熱伝達率を算出する。
上記(10)の方法によれば、テストピースの各面の実測熱伝達率を各面の面積で重み付けして算出された平均実測熱伝達率を用いることで、加熱冷却装置のさらに現実の性能に近い性能評価を得ることができる。
(11)一実施形態では、前記(7)〜(10)の何れかの構成において、
前記テストピースは、潜熱温度履歴を含む温度履歴を有するテストピースで構成されている。
上記(11)の方法によれば、テストピースとして、潜熱温度履歴を含む温度履歴を有し、食品の物性に近いテストピースを用いることで、食品を被処理物として用いられる加熱冷却装置の性能評価をさらに正確に行うことができる。
(12)一実施形態では、前記(7)〜(11)の何れかの構成において、
前記加熱冷却装置が、被凍結物を凍結温度より高い温度から冷却して凍結温度以下まで冷却するための冷凍装置で構成され、
前記内部温度算出ステップにおいて、前記被凍結物が凍結温度以下の設定された温度に到達する到達時間を算出する。
上記(12)の方法によれば、被凍結物が凍結温度以下の設定された温度に到達する時間を予め算出できるので、この到達時間に合わせて冷凍装置の運転を制御することで、凍結処理後の未凍結物をなくし、かつ冷凍装置の過剰設計及び過剰動力を回避でき、省エネ運転が可能になる。
(13)一実施形態では、前記(12)の構成において、
前記内部温度算出ステップにおいて、
前記到達時間tfを目的変数とし、前記一面の周囲温度Tamb及び前記実測熱伝達率を含む熱伝達率αのパラメータを説明変数とし、tf=f(α,Tamb)の式が導けるように簡略化して、回帰分析により次の式(1)を求める。
tf=b+bα+bα+b(1/Tamb)+bamb (1)
上記(13)の方法によれば、到達時間tfを簡易な方法で算出できる。
(14)一実施形態では、前記(13)の構成において、
前記内部温度算出ステップにおいて、
前記到達時間tf、前記熱伝達率α及び前記周囲温度Tambを座標軸とする三次元座標に前記到達時間tf、前記熱伝達率α及び前記周囲温度Tambの算出値をプロットして前記到達時間tfの応答曲面を作成する。
上記(14)の方法によれば、三次元座標に上記応答曲面を作成することで、熱伝達率α及び周囲温度Tambに対応した到達時間tfをビジュアル化できるため、冷凍装置の運転が容易になる。
(15)一実施形態では、前記(12)の構成において、
前記内部温度算出ステップにおいて、
前記被凍結物の複数の部位で前記内部温度の推移を算出し、複数の前記内部温度のうち凍結温度に達する時間が最も遅い部位を凍結中心と判定する。
上記(15)の方法によれば、凍結温度に達する時間が最も遅い部位(凍結中心)を予め知ることができるので、凍結中心の温度推移を監視することで、冷凍装置の運転を効率化できる。
幾つかの実施形態によれば、環境条件が被処理物の各部位で変化する非定常の状態下においても、熱伝達率の局所性を考慮した温度推移を把握できるため、加熱冷却装置の性能評価を精度良く行うことができる。さらに、一実施形態では、被処理対象物の物性等を把握することにより、凍結温度に至る運転時間を予測できることから装置運転の効率化につながる。
一実施形態に係る冷凍装置の縦断正面図である。 一実施形態に係る性能評価方法の工程図である。 一実施形態に係るテストピースの顕熱冷却温度履歴を示すグラフである。 一実施形態に係る性能評価方法の工程図である。 一実施形態に係る潜熱冷却履歴をもつテストピースの潜熱冷却温度履歴を示すグラフである。 一実施形態に係る性能評価方法の工程図である。 一実施形態に係る性能評価方法の工程図である。 一実施形態に係る凍結時間の応答曲面を示す三次元グラフである。 一つのテストピースの複数の部位における冷却履歴を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、加熱冷却装置のうち、冷却装置の一実施形態に係る食品搬送式フリーザを示す縦断面図である。フリーザ10は、内部に冷却空間Scを形成可能なハウジング12を備えている。冷却空間Scは冷凍機14によって冷却される。被冷却物Fを搬送するためのコンベア16が設けられ、コンベア16はハウジング12を貫通するように配置され、ハウジング12の外部でコンベア16に載せられた被冷却物Fはハウジング内に搬送され、冷却空間Scで冷却可能に構成されている。複数の被冷却物Fをコンベア16で搬送しながら連続的に冷却又は凍結できる。ハウジング12の内部上方に冷却器18が設けられ、冷却器18には冷凍機14から冷媒又はブラインが循環される。冷却器18とコンベア16との間にはファン20が設けられ、冷却器18で冷却された冷風Wcをハウジング内で循環し、被冷却物Fを冷却又は凍結する。コンベア16上の被冷却物Fは搬送方向aに搬送されながら冷却又は凍結される。
本明細書において、冷却装置は、食品搬送式フリーザに限らず、被冷却物の周囲に冷却空間が形成され、該冷却空間で被冷却物を冷却又は凍結する装置全般を含む。
図2は、一実施形態に係る加熱冷却装置の性能評価方法を示す工程図である。この実施形態では、まず、テストピースを評価対象となる加熱冷却装置を用いて加熱又は冷却し、該テストピースの内部温度を計測する(内部温度計測ステップS10)。内部温度計測ステップS10では、例えばシース型熱電対などの温度計測器具をテストピース内に挿入し、テストピースの内部温度を計測する。内部温度計測位置として例えばテストピースの幾何学的中心位置を選択し、中心温度を計測する。
内部温度計測ステップS10で計測された内部温度及び周囲温度から次の熱伝導方程式(3a)及び(3b)を用いて予測熱伝達率αcを算出する(予測熱伝達率算出ステップS12)。即ち、固体表面と固体表面に接する流体との間の対流による熱伝達において、熱伝達率αは、固体表面の温度をts、流体の温度をt、単位時間に固体表面の単位面積を通過する熱量をQとすると、次の式(2)から求めることができる。
Q=α(ts−t) (2)
次に、算出された予測熱伝達率αcに基づいて加熱冷却装置の性能を評価することで、定量的な性能評価が可能になる。
Figure 2020041717
熱伝導方程式(3a)において、ρはテストピースの密度(kg/m)、cはテストピースの比熱(kJ/kg・K)、λは熱伝導率(W/m・K)、∂T/∂tは時間に対する温度勾配、∂T/∂xは、三次元座標における各座標軸の温度勾配、Ωはテストピース内部要素を示す。熱伝導方程式(3b)において、Γは境界要素、αは熱伝達率(W/m・K)、Tsurfはテストピースの表面温度、Tambはテストピースの周囲温度を示す。式(3a)は物体内部での熱のやり取りを意味し、式(3b)は物体表面での熱のやり取りを意味する。
一方、熱流束計測ステップS14では、テストピース表面の少なくとも一面の熱流束及び表面温度を計測する。そして、熱流束計測ステップS14で計測された熱流束及び表面温度から実測熱伝達率αaを算出する(実測熱伝達率算出ステップS16)。次に、評価ステップS18では、求めた予測熱伝達率αcと実測熱伝達率αaとからテストピースの温度推移を把握し、加熱冷却装置の性能評価を行う。
上記方法によれば、テストピースの内部温度の実測値から求めた予測熱伝達率αcを目安とし、この予測熱伝達率αcと、テストピースの少なくとも一面の熱流束及び表面温度から計算で求めた実測熱伝達率αaとを比較することで、算出した実測熱伝達率αcの値の正確さを客観的に評価できる。また、求めた実測熱伝達率αaから熱伝達率の局所性を考慮したテストピースの温度推移を把握できる。これによって、処理条件下での加熱冷却装置の最適設計が可能になる。なお、テストピースとして実際の被処理物(例えば、食品など)又は物性値が該被処理物に似た模擬材を使用し、その温度推移を把握することで、加熱冷却装置の実運転時の性能評価が可能になる。また、計測するテストピースの内部温度として、テストピースの中心温度を計測することで、テストピースの実際の温度に近い内部温度情報を得ることができる。
一実施形態では、熱流束計測ステップS14では、テストピースとして断熱性を有するテストピース(以下「断熱テストピース」とも言う。)を用いる。一例として、Siゴム製のテストピースを用いる。
この実施形態によれば、テストピースとして断熱性を有するテストピースを用いることで、テストピースの各面において、内部の熱拡散による他面側からの熱侵入を抑制できる。これによって、各面において他面側からの熱侵入による影響を受けずに、実測熱伝達率αaを算出できる。これに対し、金属製など熱伝導率が高いテストピースは、内部で熱拡散が容易に進むため、内部温度勾配が小さくなり、正確な実測熱伝達率αaの計測には適さない。Siゴムの熱伝導率は0.2W/mK程度であり、これに対して、ステンレス鋼は16W/mK程度であり、Siゴムの表面で計測した実測熱伝達率は、ステンレス鋼のような熱拡散がないため、精度良い実測熱伝達率を求めることができる。
一実施形態では、図2に示すように、ステップS20において、予測熱伝達率αcと実測熱伝達率αaとの差分が基準値以内であるとき実測熱伝達率αaは正確な値であると判定し、この実測熱伝達率αaに基づいて加熱冷却装置の性能評価を行う。これによって、求めた実測熱伝達率αaの値の正確さを客観的に評価できる。また、両熱伝達率の差分から計測方法などのエラーの有無をチェックする。
上記差分が基準値以内でないとき、再検討ステップS22において、計測方法などに誤りはないかなどを再計測することでチェックし、その原因を調べて対策を講じる。その後再度ステップS10〜S20を行う。
一実施形態では、予測熱伝達率算出ステップS12において、次の方法で予測熱伝達率αを算出する。図3は、一実験データとして、ステンレス鋼製のテストピースを用い、冷却装置で冷却空間に置かれたテストピースの中心温度の推移をプロットした実測値と、予測熱伝達率αの値を種々変更しながら熱伝導方程式(3a)及び(3b)で求めた温度勾配(計算値)とを示す。予測熱伝達率αをフィッティングパラメータとし、実測値の冷却履歴と熱伝導方程式(3a)及び(3b)を用いて得られた冷却履歴の計算値とが一致するときの予測熱伝達率αを求める。予測熱伝達率αをαc1〜αc3に変えた図3の例では、αc3のときの計算値が実測値と一致しており、この予測熱伝達率αc3を冷却装置の予測熱伝達率αとする。
一実施形態では、熱流束計測ステップS14において、テストピースの複数の面の熱流束を計測する。実測熱伝達率算出ステップS16では、熱流束を計測した複数の面で夫々実測熱伝達率αaを算出すると共に、算出した複数の実測熱伝達率αaから平均実測熱伝達率αavを算出する。そして、評価ステップS18では、予測熱伝達率αと平均実測熱伝達率αavとから加熱冷却装置の性能評価を行う。
この実施形態によれば、平均実測熱伝達率αavを予測熱伝達率αと比較することで、加熱冷却装置の現実の性能に近い性能評価を得ることができる。
例えば、テストピースが立方体や直方体のとき、6つの表面の実測熱伝達率αa1〜αa6を算出し、それらの平均実測熱伝達率αavを算出することで、加熱冷却装置の現実の性能に近い性能評価を得ることができる。
一実施形態では、実測熱伝達率算出ステップS16において、複数の面で夫々算出した実測熱伝達率αaを各面の面積で重み付けして平均実測熱伝達率αavを算出する。この場合、例えば、6面の表面を有するテストピースの場合、次の計算式(4)で平均実測熱伝達率αavを算出する。
αav=αa1×(A/ΣAi)+αa2×(A/ΣAi)+・・・+αa6×(A/ΣAi)
(4)
ここで、αa1〜αa6は各面の実測熱伝達率、Aiは各面の表面積、ΣAiはテストピースの全表面積を夫々示す。
この実施形態によれば、テストピースの各面の実測熱伝達率αaを各面の面積で重み付けして算出した平均実測熱伝達率αavを用いることで、加熱冷却装置の現実の性能にさらに近い性能評価を得ることができる。
一実施形態では、内部温度計測ステップS10では、テストピースとして顕熱温度履歴のみの温度履歴を有するテストピース(以下「顕熱テストピース」とも言う。)、例えば、金属製のテストピースを用いる。計測位置はテストピースの幾何学的中心位置とし、この位置で内部温度を計測する。図3は、金属製テストピースの一例として用いられるステンレス製テストピースの温度履歴を示す。
この実施形態によれば、テストピースとして顕熱冷却履歴のみの単純な温度勾配ラインを有し、物性が温度に依存して大きな変化のない顕熱テストピースを用いることで、予測熱伝達率αcをフィッティングパラメータとしたときの冷却履歴の実測値と計算値とのフィッティングが容易になる。これによって、加熱冷却装置の性能評価の目安となる予測熱伝達率αcを容易にかつ正確に求めることができる。
以上のように、図2に示す各ステップS10〜S20により、加熱冷却装置の性能評価の目安となる予測熱伝達率αcを容易にかつ正確に求めることができる。
さらに、以下で示す被処理物の内部温度計測から、潜熱域を含む熱処理過程の温度推移が算出され、近似式や応答局面を求めることができる。
一実施形態に係る加熱冷却装置の性能評価方法は、図4に示すように、まず、テストピースを加熱冷却装置を用いて加熱又は冷却し、該テストピースの中心位置における内部温度を計測する(内部温度計測ステップS30)。ここでは食品の物性に近いテストピースを用いることで、食品を被処理物として用いる際の加熱冷却装置の性能評価を正確に行うことができる。この内部温度計測ステップS30は、図2に示す実施形態の内部温度計測ステップS10に相当する工程である。次に、テストピースの少なくとも一面の熱流束及び表面温度を計測し(熱流束計測ステップS32)、熱流束計測ステップS14で計測した熱流束及び表面温度から実測熱伝達率αaを算出する(実測熱伝達率算出ステップS34)。熱流束計測ステップS32では、例えば断熱テストピースを用いる。図2に示す実施形態の熱流束計測ステップS14に相当し、実測熱伝達率算出ステップS34は、図2に示す実施形態の実測熱伝達率算出ステップS16に相当する工程である。また、再検討ステップS42は図2に示す再検討ステップS22に相当する工程である。本実施形態では、図2に示す実施形態と比べると、予測熱伝達率算出ステップS12をなくしている点で異なる。
食品のような潜熱特性を有する部材は熱伝導率が低く、その内部温度分布は各表面での熱伝達率の違いの影響を強く受けてしまう。そのため、内部温度から求めた予測熱伝達率αcでは部材内部の温度分布を正確に表すことはできない。従って、本実施形態では、予測熱伝達率算出ステップS12をなくしている。
次に、実測熱伝達率算出ステップS34で算出した実測熱伝達率αaからテストピースの内部温度Tcalcを算出する(内部温度算出ステップS36)。そして、内部温度計測ステップS30で計測した内部温度Texpと算出された内部温度Tcalcとから加熱冷却装置の性能評価を行う(評価ステップS38)。
内部温度算出ステップS36における内部温度Tcalcの算出方法は、例えば、実測熱伝達率算出ステップS34で算出したテストピースの各面の実測熱伝達率αaを境界条件として、テストピースの物性値を用い、熱伝導方程式を用いた数値計算から算出する。
上記方法によれば、内部温度の実測値Texpと内部温度Tcalcとを比較することで、内部温度Tcalcを導き出した実測熱伝達率αaの計算値の正確さを客観的に評価できる。また、実測熱伝達率αaは、テストピースの少なくとも一面における熱伝達率の局所性を考慮した温度推移を把握できる。これによって、処理条件下での加熱冷却装置の最適設計が可能になる。ここで、実測熱伝達率算出ステップS34で得た実測熱伝達率αaを境界条件として実際の被処理物に当てはめることで、該被処理物の内部温度を算出できる。これによって、被処理物を処理するときの現実の性能に近い性能評価を得ることができる。
一実施形態では、さらにステップS40において、計測した内部温度Texpと算出された内部温度Tcalcとの差分が閾値以内であるとき、実測熱伝達率算出ステップS34で算出された実測熱伝達率αaは正確な値であると判定し、この実測熱伝達率αaに基づいて加熱冷却装置の性能評価を行う(ステップS44)。
この実施形態によれば、実測値の内部温度Texpに対する計算値の内部温度Tcalcの差分から、実測熱伝達率αaの正確さを客観的に評価できる。
内部温度計測ステップS30で計測した内部温度と内部温度算出ステップS36で算出された内部温度との差分を平均二乗誤差平方根(RMSE)で評価する場合、例えば、次の方法で行う。例えば、冷却装置の場合、冷却1秒の段階での内部温度同士の差分の2乗、冷却2秒の段階での内部温度同士の差分の2乗、・・・と計算していき、合計値をデータ点数で割り算してルートをとる。
一実施形態では、図4に示すように、熱流束計測ステップS32において、テストピースがもつ複数の面の熱流束を計測する。また、実測熱伝達率算出ステップS34において、テストピースの複数の面で夫々実測熱伝達率αa(テストピースが立方体又は直方体の場合αa1a6)を算出すると共に、算出した複数の実測熱伝達率αaから平均実測熱伝達率αavを算出する。さらに、内部温度算出ステップS36で平均実測熱伝達率αavからテストピースの内部温度Tcalcを算出する。
この実施形態によれば、平均実測熱伝達率αavを用いて同じようにテストピースの内部温度Tcalcを算出することで、加熱冷却装置の現実の性能により近い性能評価を得ることができる。ここで、内部温度算出ステップS36で得た平均実測熱伝達率αavを境界条件として実際の被処理物に当てはめることで、該被処理物の内部温度を算出できる。これによって、被処理物を処理するときの現実の性能に近い性能評価を得ることができる。
一実施形態では、実測熱伝達率算出ステップS34において、上述のように、テストピースの複数の面で夫々算出した実測熱伝達率αaを各面の面積で重み付けして平均実測熱伝達率αavを算出する。具体的には、計算式(4)を用いて計算する。この重み付けした平均実測熱伝達率を用いてテストピースの内部温度を算出することで、加熱冷却装置の現実の性能にさらに近い性能評価を得ることができる。
一実施形態では、図4に示す性能評価方法で用いるテストピースとして、内部温度計測ステップS30において潜熱温度履歴を含む温度履歴を有するテストピース(以下「潜熱テストピース」とも言う。)を用いる。この実施形態によれば、潜熱温度履歴を含む温度履歴を有し、食品の物性に近いテストピースを用いることで、食品を被処理物として用いる際の加熱冷却装置の性能評価を正確に行うことができる。
図5は、潜熱テストピースとして、タイロース製のテストピースの冷却履歴を示す。同図に示すように、潜熱テストピースは0℃付近に潜熱領域を有する。同図において、〇はテストピースの中心温度の実測値である。
一実施形態では、加熱冷却装置が、被凍結物を凍結温度より高い温度から冷却して凍結温度以下まで冷却するための冷凍装置で構成される。冷凍装置の一例として、図1に示す食品搬送式フリーザがある。冷凍装置を用い、内部温度算出ステップS36において、被凍結物が凍結温度以下の設定された温度に到達する到達時間(以下「凍結時間」とも言う。)を算出する。
この実施形態によれば、被凍結物が凍結温度以下の設定された温度に到達する時間を予め算出できるので、この到達時間に合わせて冷凍装置の運転を制御することで、凍結処理後の未凍結物をなくし、かつ冷凍装置の過剰設計及び過剰動力を回避でき、省エネ運転が可能になる。
一実施形態では、図4に示す性能評価方法において、内部温度計測ステップS30で被凍結物を凍結温度より高い温度から冷却して凍結温度以下の設定された温度に到達するまでの冷却履歴を示す凍結曲線を計測すると共に、内部温度算出ステップS36で実測熱伝達率αaを境界条件として被処理物にあてはめて熱伝導方程式から凍結曲線を算出する。評価ステップS38でこれら両凍結曲線を比較することで、実測熱伝達率算出ステップS34で算出した実測熱伝達率αa又は平均実測熱伝達率αavの正確さを評価する。
一実施形態では、図4の実測熱伝達率算出ステップS34において、断熱テストピースの実測熱伝達率αaを境界条件として被処理物にあてはめる。熱伝導方程式(3a)に用いられる密度ρを固定値とし、比熱c及び熱伝導率λのうち少なくとも比熱cを温度依存値とする。これによって、実運転の凍結時間を予測することができる。
一実施形態では、潜熱温度特性を有する潜熱テストピースの物性値は次のように求める。密度ρを凍結前の重量及び寸法から算出した値の固定値とする。比熱cに関しては、次に示すエンタルピHの近似式(Phamの近似式)(5a)及び(5b)の微分から換算して得た式(6a)及び(6b)に基づく温度依存値とする。
[Phamの近似式]
H(T≧T)=H+cT (5a)
H(T<T)=A+cT+B/T (5b)
(T≧T)=c (6a)
(T<T)=cf−B/T (6b)
式(5a)、(5b)、(6a)及び(6b)において、Hは−40℃を基準温度とした時のエンタルピ(kJ/kg)、Tは凍結点、cは未凍結層の比熱、cは凍結層の比熱、A及びBは定数である。
一実施形態では、潜熱テストピースの熱伝導率λは、Phamの近似式をそのまま利用して得た次の式(7a)及び(7b)に基づく温度依存値とする。
λ(T≧T)=0.467+0.00154(T−T) (7a)
λ(T<T)=0.467−0.00489(T−T)+0.582(1/T−1/T) (7b)
図6は、一実施形態に係る性能評価方法を示し、図2に示すステップS10〜S22の工程の後に図4に示すステップS30〜S44の工程を行うものである。なお、図4に示す熱流束計測ステップS32及び実測熱伝達率算出ステップS34は前半の工程でステップS14及びステップS16が行われ、これらのステップと重複するので、省略されている。
この実施形態によれば、前半工程でステンレス鋼などの顕熱テストピース及びSiゴムなどの断熱テストピースを用いて算出した実測熱伝達率αa又は平均実測熱伝達率αavの精度を確認し、後半工程でこれらの値に基づき、食品に近い物性をもつタイロースなどの潜熱テストピースを用いて疑似食品の温度推移を効率良く再現できる。
一実施形態では、内部温度算出ステップS36において、平均実測熱伝達率αavから被処理物テストピースの内部温度Tcalcを算出する。この実施形態によれば、平均実測熱伝達率αavを用いてテストピースの内部温度Tcalcを算出することで、加熱冷却装置の現実の性能により近い性能評価を得ることができる。ここでは食品に近い潜熱型の被処理物だけではなく、顕熱型の食品も同じような手順で温度推移を求めることができる。
一実施形態では、テストピースが形成する複数の面で算出された実測熱伝達率αaを用いることにより、テストピースの任意の三次元位置で温度履歴の推移を算出できる。例えば、テストピースが立方体又は直方体のとき、6面の実測熱伝達率αa1〜αa6を算出することで、任意の三次元位置で温度履歴の推移を算出できる。
図7は、上記幾つかの実施形態、即ち、近似式(1)による到達時間(凍結時間)tfの算出、三次元座標による凍結時間tfの応答曲面の作成及び凍結中心の判定を含む性能評価方法の一実施形態を示す。同図において、ステップS50〜S60は、例えば平均実測熱伝達率αavなどの熱伝達率αをもとにして近似式(1)による到達時間tfの算出及び三次元座標による凍結時間tfの応答曲面の作成を含む工程であり、ステップS62〜S66は、複数位置の凍結推移曲線を算出して凍結中心の判定に係る工程である。
ステップS50〜S58においては、被凍結物が凍結温度以下の設定された温度に到達する到達時間tfを目的変数とし、テストピースの一面の周囲温度Tamb及び実測熱伝達率を含む熱伝達率αのパラメータを説明変数とするtf=f(α,Tamb)の式が導けるように簡略化して、回帰分析により次の近似式(1)を求める。
tf=b+b×α+b×α+b×(1/Tamb)+bamb (1)
この実施形態によれば、近似式(1)を用いることにより凍結時間tfを簡易な方法で算出できる。
次にステップS60においては、凍結時間tf、熱伝達率α及び周囲温度Tambを座標軸とする三次元座標に凍結時間tf、熱伝達率α及び周囲温度Tambの算出値をプロットして凍結時間の応答曲面を作成する。図8は応答曲面の一例を示す。
この実施形態によれば、三次元座標に凍結時間の応答曲面を作成することで、熱伝達率α及び周囲温度Tambに対応した凍結時間tfをビジュアル化できるため、凍結時間に合わせて冷凍装置の運転制御を効率良く行うことができる。
ステップS62〜S66は、複数位置の凍結推移曲線を算出して凍結中心の判定に係る工程である。ステップS62では、潜熱テストピースが立方体又は直方体のとき、6表面の実測熱伝達率αa1〜αa6を境界条件として潜熱テストピースの複数の三次元位置情報を入力して内部温度曲線Tcalcを算出する。
一実施形態では、内部温度算出ステップS64において、被凍結物の複数の部位で内部温度Tcalcの推移を算出し、ステップS66で複数の内部温度Tcalcのうち凍結温度に達する時間が最も遅い部位を凍結中心と判定する。
図9は、こうして求めた複数部位の内部温度の推移の一例を示す。同図中、実線はステップS62で算出した凍結推移曲線A,Bを示し、白丸及び黒丸は内部温度推移の実測値である。凍結開始から潜熱凍結領域をみると黒丸の温度推移が白丸の時間よりも長くかかっており、黒丸の方が凍結中心に近いことが分かる。また、凍結推移曲線Bも同様の傾向を示している。
この実施形態によれば、凍結温度に達する時間が最も遅い部位(凍結中心)を予め知ることができるので、凍結中心の温度推移を監視することで、冷凍装置の運転を効率化できる。
幾つかの実施形態によれば、被処理物を加熱又は冷却する装置において、被処理物又は被処理物を模擬したテストピースの表面の熱伝達率を計測することで、被処理物等の温度分布を三次元で把握でき、これによって、加熱冷却装置を正確に性能評価できる。また、この性能評価は装置設計に反映できる。また、凍結の偏りを防いで凍結処理後の未凍結物をなくして効率的な食品凍結装置の運転操作に適用でき、さらに装置の過剰設計や過剰動力を回避でき、処理品質の向上と省エネルギー運転が可能になる。
10 冷却装置
12 ハウジング
14 冷凍機
16 コンベア
18 冷却器
20 ファン
A、B 凍結推移曲線
F 被冷却物
Sc 冷却空間
calc 内部温度(計算値)
exp 内部温度(実測値)
Wc 冷風
a 搬送方向
α 熱伝達率
αc 予測熱伝達率
αa 実測熱伝達率
αav 平均実測熱伝達率

Claims (15)

  1. テストピースを加熱冷却装置を用いて加熱又は冷却し、該テストピースの内部温度を計測する内部温度計測ステップと、
    前記内部温度計測ステップで計測された前記内部温度から熱伝導方程式により予測熱伝達率を算出する予測熱伝達率算出ステップと、
    前記テストピースの少なくとも一面の熱流束及び表面温度を計測する熱流束計測ステップと、
    前記熱流束計測ステップで計測された熱流束及び表面温度から実測熱伝達率を算出する実測熱伝達率算出ステップと、
    前記予測熱伝達率と前記実測熱伝達率とから前記テストピースの温度を把握し、前記加熱冷却装置の性能評価を行う評価ステップと、
    を含むことを特徴とする加熱冷却装置の性能評価方法。
  2. 前記評価ステップにおいて、
    前記予測熱伝達率と前記実測熱伝達率との差分が閾値以内であるとき前記実測熱伝達率は正確な値であると判定し、前記実測熱伝達率に基づいて前記加熱冷却装置の性能評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  3. 前記熱流束計測ステップにおいて、前記テストピースの複数の面の熱流束を計測し、
    前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、前記複数の面の各々の前記実測熱伝達率を算出すると共に、算出した複数の前記実測熱伝達率から平均実測熱伝達率を算出し、
    前記評価ステップにおいて、前記予測熱伝達率と前記平均実測熱伝達率とから前記加熱冷却装置の性能評価を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  4. 前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、
    前記複数の面の各々で算出した前記実測熱伝達率を前記複数の面の面積で重み付けして前記平均実測熱伝達率を算出することを特徴とする請求項3に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  5. 前記内部温度計測ステップでは、前記テストピースとして顕熱温度履歴のみの温度履歴を有するテストピースを用いることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  6. 前記熱流束計測ステップでは、前記テストピースとして断熱性を有するテストピースを用いることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  7. テストピースを加熱冷却装置を用いて加熱又は冷却し、該テストピースの内部温度を計測する内部温度計測ステップと、
    前記テストピースの少なくとも一面の熱流束及び表面温度を計測する熱流束計測ステップと、
    前記熱流束計測ステップで計測した熱流束及び表面温度から実測熱伝達率を算出する実測熱伝達率算出ステップと、
    前記実測熱伝達率算出ステップで算出した前記実測熱伝達率から熱伝導方程式を用いて前記テストピースの内部温度を算出する内部温度算出ステップと、
    前記内部温度計測ステップで計測した内部温度と前記内部温度算出ステップで算出された内部温度とから前記加熱冷却装置の性能評価を行う評価ステップと、
    を含むことを特徴とする加熱冷却装置の性能評価方法。
  8. 前記評価ステップにおいて、
    前記内部温度計測ステップで計測した内部温度と前記内部温度算出ステップで算出された内部温度との差分が閾値以内であるとき、前記内部温度算出ステップで算出された前記内部温度を導き出した前記実測熱伝達率は正確な値であると判定し、前記実測熱伝達率に基づいて前記加熱冷却装置の性能評価を行うことを特徴とする請求項7に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  9. 前記熱流束計測ステップにおいて、前記テストピースの複数の面の熱流束を計測し、
    前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、前記複数の面の各々の前記実測熱伝達率を算出すると共に、算出した複数の前記実測熱伝達率から平均実測熱伝達率を算出し、
    前記内部温度算出ステップにおいて、前記平均実測熱伝達率から前記テストピースの内部温度を算出することを特徴とする請求項7又は8に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  10. 前記実測熱伝達率算出ステップにおいて、
    前記複数の面の各々で算出した前記実測熱伝達率を前記複数の面で重み付けして前記平均実測熱伝達率を算出することを特徴とする請求項9に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  11. 前記テストピースは、潜熱温度履歴を含む温度履歴を有するテストピースで構成されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一項に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  12. 前記加熱冷却装置が、被凍結物を凍結温度より高い温度から冷却して凍結温度以下まで冷却するための冷凍装置で構成され、
    前記内部温度算出ステップにおいて、前記被凍結物が凍結温度以下の設定された温度に到達する到達時間を算出することを特徴とする請求項7乃至11の何れか一項に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  13. 前記内部温度算出ステップにおいて、
    前記到達時間tfを目的変数とし、前記一面の周囲温度Tamb及び前記実測熱伝達率を含む熱伝達率αのパラメータを説明変数とし、tf=f(α,Tamb)の式が導けるように簡略化して、回帰分析により次の式(1)を求めることを特徴とする請求項12に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
    tf=b+b×α+b×α+b×(1/Tamb)+bamb (1)
  14. 前記内部温度算出ステップにおいて、
    前記到達時間tf、前記熱伝達率α及び前記周囲温度Tambを座標軸とする三次元座標に前記到達時間tf、前記熱伝達率α及び前記周囲温度Tambの算出値をプロットして前記到達時間tfの応答曲面を作成することを特徴とする請求項13に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
  15. 前記内部温度算出ステップにおいて、
    前記被凍結物の複数の部位で前記内部温度の推移を算出し、複数の前記内部温度のうち凍結温度に達する時間が最も遅い部位を凍結中心と判定することを特徴とする請求項12に記載の加熱冷却装置の性能評価方法。
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