JP2020041314A - ダンパ付きヒンジ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗力の変化を第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の相対的な回動角度に依存させることが可能なダンパ付きヒンジ装置を提供する。【解決手段】ダンパ付きヒンジ装置Dは、第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20と、第1テーパ部品12と、第2テーパ部品24と、を具備している。第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20は、回動軸Lを中心に相対的に回動自在である。第1テーパ部品12は、回動軸Lを中心にした円環状をなす。第2テーパ部品24は、第1テーパ部品12の内周面16より内側に外周面31が位置する円環状をなす。第1テーパ部品12は、内周面16に内方向に突出した第1突部17を有している。第2テーパ部品24は、外周面31に外方向に突出した第2突部32を有している。第1突部17と第2突部32とは、所定の角度範囲Rにおいて互いに接触し、第2テーパ部品24が弾性変形する。【選択図】図5
Description
本発明は、ダンパ付きヒンジ装置に関する。
従来、回動軸を中心に相対的に回動自在な第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材に、回動エネルギーを減衰させるダンパ機能が備えられたダンパ付きヒンジ装置が知られている。例えば下記特許文献1には、ダンパ付きヒンジ装置をドア用のヒンジに用いることが記載されている。このダンパ付きヒンジ装置は、ドアを開くときにはドアの回動に対して小さい抵抗を与え、ドアを閉じるときにはドアの回動に対して大きい抵抗を与えるようになっている。
しかしながら、上記のようなダンパ付きヒンジ装置は、一方向に回動されるときと反対方向に回動されるときとで回動に対する抵抗力を変えることができるものの、一方向のうちの所定の回動角度範囲のみ、または反対方向のうちの所定の回動角度範囲のみ抵抗力を増すまたは減らす等することはできなかった。そこで、抵抗力の変化を第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の相対的な回動角度に依存させることが可能なダンパ付きヒンジ装置の開発が望まれていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、抵抗力の変化を第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の相対的な回動角度に依存させることが可能なダンパ付きヒンジ装置を提供することを目的とする。
本発明のダンパ付きヒンジ装置は、第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材と、第1テーパ部品と、第2テーパ部品と、を具備している。第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材は、回動軸を中心に相対的に回動自在である。第1テーパ部品は、前記第1ヒンジ部材に連結され、前記回動軸を中心にした円環状をなす。第2テーパ部品は、前記第2ヒンジ部材に連結され、前記第1テーパ部品の内周面より内側に外周面が位置する円環状をなす。第1テーパ部品及び第2テーパ部品は、第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の相対的な回動に伴って回動軸周りに相対的に回動自在である。第1テーパ部品は、内周面に内方向に突出した第1突部を有している。第2テーパ部品は、外周面に外方向に突出した第2突部を有している。第1突部と第2突部とは、第1ヒンジ部材と第2ヒンジ部材とが相対的に一回転する間の所定の回動角度範囲において互いに接触し、第1テーパ部品または第2テーパ部品が弾性変形する。ここで、円環状とは、必ずしも周方向に閉じた円であることを意味しない。すなわち、円環状とは、周方向の一部が開放されたものも含む。
本発明によれば、第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の回動範囲のうち所定の回動角度範囲において第1テーパ部品または第2テーパ部品が弾性変形することにより、第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の回動に対する抵抗力が増す。すなわち所定の回動角度範囲内において抵抗力を大きくし、所定の角度範囲外において抵抗力を小さくできるから、抵抗力の変化を第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の相対的な回動角度に依存させることができる。
本発明のダンパ付きヒンジ装置は、第1テーパ部品の外周面または第2テーパ部品の内周面に沿って弾性部材が備えられているものとしてもよい。このような構成によれば、第1テーパ部品または第2テーパ部品の弾性変形が、弾性部材の弾性変形を伴ってなされるから、抵抗力の変化を大きくすることができる。
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図7を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態1では、ダンパ付きヒンジ装置Dをドア用ヒンジに適用した場合について説明する。以下、各構成部材において、図3における上側(ドア用ヒンジとして用いた場合の上側)を上方、下側(ドア用ヒンジとして用いた場合の下側)を下方として説明する。
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図7を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態1では、ダンパ付きヒンジ装置Dをドア用ヒンジに適用した場合について説明する。以下、各構成部材において、図3における上側(ドア用ヒンジとして用いた場合の上側)を上方、下側(ドア用ヒンジとして用いた場合の下側)を下方として説明する。
本実施形態1におけるダンパ付きヒンジ装置Dは、図1及び図2に示すように、回動部材(本実施形態1ではドア1)の回動に伴って回動軸Lを中心に相対的に回動自在な第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20を備えている。
第1ヒンジ部材10は、第1ケース11を備え、第1ケース11には、ドア1に固定される羽根部13が備えられている(図2参照)。第1ケース11は、図3に示すように、円筒形状をなしている。第1ケース11には、ワンウェイクラッチ14を介して第2ヒンジ部材20のシャフト22が取り付けられている。第1ヒンジ部材10が一方向(本実施形態1ではドア1の閉じ方向H1)に回動した場合には、ワンウェイクラッチ14を介してシャフト22が回動する。第1ヒンジ部材10が一方向とは反対方向(本実施形態1ではドア1の開き方向H2)に回動した場合には、ワンウェイクラッチ14により第1ヒンジ部材10の回動がシャフト22に伝達されない。
第1ヒンジ部材10には、第1テーパ部品12が備えられている。第1テーパ部品12は、図3に示すように、第1ケース11の下端部に固定された第1部品15に形成されている。第1部品15は、全体として第1ケース11に外嵌する円筒形状をなしている。
第1テーパ部品12は、図4に示すように、第1部品15の下端部に形成されている。第1テーパ部品12は、第1ヒンジ部材10の回動に伴って回動軸L周りに回動自在である。第1テーパ部品12は、回動軸Lを中心にした全周が閉じた円環状をなしている。第1テーパ部品12は、第1部品15の下面の外周縁に沿って垂下した壁状をなしている。第1テーパ部品12の内周面16は、回動軸Lを中心とした1つの円周上に位置する。第1テーパ部品12の内周面16には、第1突部17が設けられている。第1突部17については、後ほど詳しく説明する。
第2ヒンジ部材20は、図2及び図3に示すように、第2ケース21と、シャフト22と、複数の粒状体23とを備えている。第2ケース21には、ドア枠2に固定される羽根部27が備えられている。第2ケース21は、円筒状をなし、内部に複数の粒状体23が充填されている。複数の粒状体23は、直径が略同等の球形状をなす中実な粒子である。粒状体23は、弾性体であり、例えばエラストマ粒子とされている。
シャフト22は、図3に示すように、第2ケース21の上端部に備えられたベアリング28に回動自在に支持されている。シャフト22の上端部は、第2ケース21から上方に突出し、ワンウェイクラッチ14を介して第1ヒンジ部材10に接続されている。
シャフト22の下端部には、回動軸L側から遠心方向に延出する回転子29が備えられている。回転子29は、縦方向に長い平板状をなしている。第2ケース21に対してシャフト22が回動すると、回転子29と粒状体23との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によってシャフト22の回動が抑制される。
第2ヒンジ部材20には、第2テーパ部品24が備えられている。第2テーパ部品24は、図4に示すように、第1テーパ部品12より一回り小さい全周が閉じた円環状をなしている。第2テーパ部品24は、第1テーパ部品12の内側に第1テーパ部品12と同軸に配されている。第2テーパ部品24には、第2テーパ部品24を回り止めするための位置決め部44が設けられている。位置決め部44は、第2テーパ部品24の下面に凹み形成された凹部であり、第2ヒンジ部材20に設けられた図示しない位置決め部に係止する。第2テーパ部品24の外周面31は、回動軸Lを中心とした第1テーパ部品12の内周面16より小さい1つの円周上に位置する。第1テーパ部品12の内周面16と第2テーパ部品24の外周面31とは、一定の離間間隔39をあけて対向配置されている。第2テーパ部品24の外周面31には、第2突部32が設けられている。第2突部32については、後ほど詳しく説明する。
第2ヒンジ部材20には、図3に示すように、弾性部材25が備えられている。弾性部材25は、第2テーパ部品24の内側に備えられている。弾性部材25は、ゴム等からなり、第2テーパ部品24と同軸の円環状をなしている。弾性部材25の外周面33は、図5に示すように、第2テーパ部品24の内周面34に当接または近接している。
第2ヒンジ部材20には、図5に示すように、弾性部材25の内周側への弾性変形を規制するガイド部26が備えられている。ガイド部26は、弾性部材25の内側に設けられている。ガイド部26は、回動軸Lを中心にした全周が閉じた円環状をなしている。ガイド部26の外周面は、弾性部材25の内周面36と当接または近接している。なお、ガイド部26の内周面は、ベアリング28の外周面に当接または近接している。
ガイド部26は、図3に示すように、第2ケース21の上端部に固定された第2部品35に設けられている。第2部品35は、第2ケース21に外嵌する円筒形状をなしている。ガイド部26は、第2部品35の上面の内周縁に沿って立った壁状をなしている。なお、第2部品35の上面には、第2テーパ部品24の位置決め部44に係止する図示しない位置決め部が突出して設けられている。
ガイド部26は、図3に示すように、第1テーパ部品12と略平行をなして対向配置されている。ガイド部26と第1テーパ部品12との間には、第2テーパ部品24及び弾性部材25が収納される収納空間37が形成されている。収納空間37は、第1部品15と第2部品35とにより閉塞されている。
さて、第1テーパ部品12の内周面16には、図4に示すように、第1突部17が内方向に突出して設けられている。第1突部17は、第1テーパ部品12の周方向における一部分に一つが形成されている。第1突部17は、内周面16と略平行な平坦面18と、内周面16に対して傾斜した傾斜面19と、内周面16に対して略直交した段差面43とを有している。傾斜面19は、図5に示すように、ドア1の閉じ方向H1における平坦面18より前側に位置している。平坦面18は、傾斜面19よりも第1テーパ部品12の周方向において広い範囲に形成されている。段差面43は、ドア1の閉じ方向H1における平坦面18より後側に位置している。
第2テーパ部品24の外周面31には、図4に示すように、第2突部32が外方向に突出して設けられている。第2突部32は、第2テーパ部品24の周方向において第1突部17より広い範囲(本実施形態1では、第2テーパ部品24の略半分の範囲)に形成されている。第2突部32は、外周面31と略平行な平坦面41と、外周面31に対して傾斜した傾斜面42と、外周面31に対して略直交した段差面38とを有している。
図5に示すように、第1突部17の内周面16に対する突出寸法と、第2突部32の外周面31に対する突出寸法とは等しくされている(図5参照)。第1突部17の突出寸法及び第2突部32の突出寸法は、内周面16と外周面31との離間間隔39と同等の寸法とされている。
第1突部17と第2突部32とは、図6に示すように、第1ヒンジ部材10と第2ヒンジ部材20とが相対的に一回転する間の所定の回動角度範囲Rにおいて互いに接触し、第2テーパ部品24が内側に弾性変形するように設定されている。第2テーパ部品24が内側に弾性変形することにより、第1ヒンジ部材10の回動に抵抗力が付与される。一方、第1突部17と第2突部32とが接触していない回動角度範囲では、第1ヒンジ部材10の回動に抵抗力が付与されない。すなわち、第1突部17と第2突部32とが互いに接触していない状態の抵抗力に比して、第1突部17と第2突部32とが互いに接触している状態の抵抗力が相対的に大きくなる。
次に、本実施形態1のダンパ付きヒンジ装置Dをドア用のヒンジに適用した場合の作用を説明する。本実施形態1では、ドア1が完全に開いた状態(以後、ドア開放状態と称する)とドア1が完全に閉じた状態(以後、ドア閉鎖状態と称する)との間でドア1は180度以下の角度範囲で回動する。第1突部17と第2突部32とは、図6に示すように、ドア1がドア閉鎖状態に至る直前の所定の回動角度範囲R(本実施形態1では15度)において互いに当接するように設定されている。
ドア開放状態では、第1突部17と第2突部32との位置は回動軸L周りにずれている。第1突部17と第2テーパ部品24の外周面31、第2突部32と第1テーパ部品12の内周面16とは対向した状態になっている。
図5に示すように、ドア1がドア開放状態から閉じ方向H1に移動すると、第1ヒンジ部材10及びシャフト22が回動軸Lを中心にドアの閉じ方向H1に回動する。このとき、シャフト22と粒状体23との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によってシャフト22の回動が抑制され、ドア1は閉じ方向H1へ低速で回動する。
ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲Rになるまでは、第1突部17は第2テーパ部品24の外周面31に沿って変位する。この状態では、第1テーパ部品12と第2テーパ部品24とによる抵抗力は生じない。
ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲Rになると、図6に示すように、第1突部17が第2突部32に接触し、第1突部17の傾斜面19と第2突部32の傾斜面42とによって、第2突部32が次第に内側に相対変位し、すなわち第2テーパ部品24が少しずつ内側に弾性撓みし、弾性部材25を内側に弾性収縮させる。第2テーパ部品24及び弾性部材25の変形量が増すにつれて、第1ヒンジ部材10の回動に対する抵抗力が大きくなる。やがて、第1突部17が第2突部32の傾斜面42を乗り越え、平坦面41に接触する。これにより、第2テーパ部品24及び弾性部材25の変位量は最も大きくなり抵抗力は最大値になる。こうして、ドア1はゆっくり回動し、図7に示すように、ドア閉鎖状態に至る。
すなわち本実施形態1のダンパ付きヒンジ装置Dを用いたドア用ヒンジによれば、ドア1を閉じる場合には、ドア閉鎖状態に近づいた所定の回動角度範囲Rで抵抗力が大きくなってドア1がゆっくり閉じ方向H1に変位し、ドア1が閉められる。
ドア1を開く場合には、第1ヒンジ部材10は、図7において開き方向H2に回動する。このとき、ワンウェイクラッチ14によりシャフト22は回動しないため、粒状体23との摩擦力が生じない。
第2突部32の平坦面41に接触していた第1突部17は、第2突部32の傾斜面42に接触し、第2突部32は次第に外側へ変位し、第2テーパ部品24は次第に弾性復帰する(元に戻る)。第2テーパ部品24が弾性復帰するに伴って弾性部材25も弾性復帰し、第1ヒンジ部材10の回動に作用する抵抗力は次第に小さくなる。ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲R以上になると、図5に示すように、第1突部17と第2突部32とは非接触状態になり、抵抗力はなくなる。よって、ドア1を容易に開くことができる。
次に、上記のように構成された本実施形態1の作用および効果について説明する。
本実施形態1のダンパ付きヒンジ装置Dは、第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20と、第1テーパ部品12と、第2テーパ部品24と、を具備している。第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20は、回動軸Lを中心に相対的に回動自在である。第1テーパ部品12は、第1ヒンジ部材10に連結され、回動軸Lを中心にした円環状をなす。第2テーパ部品24は、第2ヒンジ部材20に連結され、第1テーパ部品12の内周面16より内側に外周面31が位置する円環状をなす。第1テーパ部品12及び第2テーパ部品24は、第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20の相対的な回動に伴って回動軸L周りに相対的に回動自在である。第1テーパ部品12は、内周面に内方向に突出した第1突部17を有している。第2テーパ部品24は、外周面に外方向に突出した第2突部32を有している。第1突部17と第2突部32とは、第1ヒンジ部材10と第2ヒンジ部材20とが相対的に一回転する間の所定の回動角度範囲Rにおいて互いに接触し、第2テーパ部品24が弾性変形する。
本実施形態1のダンパ付きヒンジ装置Dは、第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20と、第1テーパ部品12と、第2テーパ部品24と、を具備している。第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20は、回動軸Lを中心に相対的に回動自在である。第1テーパ部品12は、第1ヒンジ部材10に連結され、回動軸Lを中心にした円環状をなす。第2テーパ部品24は、第2ヒンジ部材20に連結され、第1テーパ部品12の内周面16より内側に外周面31が位置する円環状をなす。第1テーパ部品12及び第2テーパ部品24は、第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20の相対的な回動に伴って回動軸L周りに相対的に回動自在である。第1テーパ部品12は、内周面に内方向に突出した第1突部17を有している。第2テーパ部品24は、外周面に外方向に突出した第2突部32を有している。第1突部17と第2突部32とは、第1ヒンジ部材10と第2ヒンジ部材20とが相対的に一回転する間の所定の回動角度範囲Rにおいて互いに接触し、第2テーパ部品24が弾性変形する。
この構成によれば、第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20の回動範囲のうち所定の回動角度範囲Rにおいて第2テーパ部品24が弾性変形することにより、第1ヒンジ部材10の回動に対する抵抗力が増す。すなわち所定の回動角度範囲R内において抵抗力を大きくし、所定の回動角度範囲R外において抵抗力を小さくできるから、抵抗力の変化を第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20の相対的な回動角度に依存させることができる。
また、第2テーパ部品24の内周面34に沿って弾性部材25が備えられている。この構成によれば、第2テーパ部品24の弾性変形が、弾性部材25の弾性変形を伴ってなされるから、抵抗力の変化を大きくすることができる。
<参考例1>
次に、本発明を具体化した場合の参考例1に係るダンパ付きヒンジ装置50を図8〜図13によって説明する。参考例1のダンパ付きヒンジ装置50は、圧縮材51を回動軸L周りに圧縮させて抵抗力を生じさせる点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、本発明を具体化した場合の参考例1に係るダンパ付きヒンジ装置50を図8〜図13によって説明する。参考例1のダンパ付きヒンジ装置50は、圧縮材51を回動軸L周りに圧縮させて抵抗力を生じさせる点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
参考例1に係るダンパ付きヒンジ装置50は、実施形態1と同様に、回動部材(ドア1)の回動に伴って回動軸Lを中心に相対的に回動自在な第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20を備えている。
第1ヒンジ部材10は、実施形態1と同様に、第1ケース11を有し、第1ケース11の下端部には、第1部品52が固定されている。第1部品52は、実施形態1と同様に、第1ケース11とともに回動軸Lを中心に回動する。第1部品52は、圧縮材51を圧縮する圧縮部53を備えている。圧縮部53については、後ほど詳しく説明する。
第2ヒンジ部材20は、実施形態1と同様に、第2ケース21と、シャフト22と、複数の粒状体23とを有し、第2ケース21の上端部には、第2部品54が固定されている。第2部品54の上面には、圧縮材51を保持する保持部55が形成されている。保持部55については、後ほど詳しく説明する。
圧縮材51は、ゴム等からなり、図10に示すように、回動軸Lを中心にした円弧形状をなしている。圧縮材51の断面形状は、方形状をなしている。圧縮材51は、図11に示すように、第2ヒンジ部材20のベアリング28の外周面に沿って配置され、内周側への変位が規制されている。ベアリング28の外周面は、圧縮材51の内周側への変位を規制するストッパ面28Aを構成する。圧縮材51は、第2部品54の上面に形成された保持部55に保持されて、外周側への変位及び回動軸L回りの変位が規制されている。
保持部55は、図10に示すように、第2部品54の上面に形成されている。保持部55は、ベアリング28の外周面に沿った溝状をなしている。保持部55は、圧縮材51の外周面に当接して外周側への変位を規制する第1ストッパ面56と、圧縮材51の長手方向における一端面に当接して回動軸L周りの変位を規制する第2ストッパ面57とを備えている。第1ストッパ面56は、回動軸Lを中心とした円弧状をなしている。なお、保持部55は、第2部品54ではなく、第2ケース21に一体に形成してもよい。
圧縮部53は、図10に示すように、第1部品52の下面に形成されている。圧縮部53は、ベアリング28の外周面に沿う突条である。圧縮部53は、図11に示すように、ベアリング28の外周面に沿って摺動する摺動面58と、圧縮材51の端面51Aを押圧する押圧面59とを備えている。摺動面58は、回動軸Lを中心とした円弧状をなしている。
圧縮材51は、第1ヒンジ部材10と第2ヒンジ部材20とが相対的に一回転する間の所定の回動角度範囲Rにおいて圧縮部53により押圧されて弾性変形するように設定されている。これにより、第1ヒンジ部材10の回動に抵抗力が付与される。一方、圧縮材51が弾性変形していない回動角度範囲では、第1ヒンジ部材10の抵抗力が付与されない。すなわち、圧縮材51が弾性変形していない状態の抵抗力に比して、圧縮材51が弾性変形している状態の抵抗力が相対的に大きくなる。
次に、参考例1のダンパ付きヒンジ装置50をドア用のヒンジに適用した場合の作用を説明する。参考例1では、実施形態1と同様、ドア1がドア閉鎖状態に至る直前の所定の回動角度範囲R(15度)において圧縮材51が弾性変形するように設定されている。
ドア開放状態では、圧縮部53は圧縮材51から回動軸L周りに離れている。ドア1がドア開放状態から閉じ方向H1に移動すると、実施形態1と同様、シャフト22と粒状体23との間に摩擦力が生じ、ドア1は閉じ方向H1へ低速で回動する。ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲Rになるまでは、図11に示すように、圧縮部53は圧縮材51に当接することなく、ベアリング28の外周面に沿って変位する。この状態では、圧縮材51による抵抗力は生じない。
ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲Rになると、図12に示すように、圧縮部53の押圧面59が圧縮材51の端面51Aに当接し、その後、圧縮部53が圧縮材51を押圧して弾性収縮させる。すなわち圧縮材51は、圧縮部53の押圧面59と保持部55の第2ストッパ面57との間で弾性収縮する。圧縮材51の弾性収縮量が増すにつれて、第1ヒンジ部材10の回動に作用する抵抗力は大きくなる。こうして、ドア1はゆっくり回動し、図13に示すように、ドア閉鎖状態に至る。
すなわち参考例1のダンパ付きヒンジ装置50を用いたドア用ヒンジによれば、ドア1を閉じる場合には、ドア閉鎖状態に近づいた所定の回動角度範囲Rで抵抗力が大きくなってドア1がゆっくり閉じ方向H1に変位し、ドア1が閉められる。
ドア1を開ける場合には、第1ヒンジ部材10は開き方向H2に回動する。実施形態1と同様、このとき、シャフト22は回動しない。圧縮部53は、押圧面59が第2ストッパ面57から離れる方向に変位し、圧縮材51は次第に元に戻り、第1ヒンジ部材10に作用する抵抗力は次第に小さくなる(図12参照)。この間、圧縮部53は圧縮材51の弾性力によって第2ストッパ面57から離れる方向に押圧されている。開き角度が所定の回動角度範囲Rになったところで圧縮材51は自然状態になり、抵抗力はなくなる。よって、ドア1を容易に開くことができる。
以上のように、参考例1のダンパ付きヒンジ装置50によれば、第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20の回動範囲のうち所定の回動角度範囲Rにおいて圧縮材51が弾性変形することにより、所定の回動角度範囲R外に比して抵抗力が増す。すなわち実施形態1と同様、所定の回動角度範囲R内において抵抗力を大きくし、所定の回動角度範囲R外において抵抗力を小さくできるから、抵抗力の変化を第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20の相対的な回動角度に依存させることができる。
<参考例2>
次に、本発明を具体化した場合の参考例2に係るダンパ付きヒンジ装置60を図14〜図19によって説明する。参考例2のダンパ付きヒンジ装置60は、第1突部61と第2突部62とが上下方向に当接して抵抗力を生じさせる点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、本発明を具体化した場合の参考例2に係るダンパ付きヒンジ装置60を図14〜図19によって説明する。参考例2のダンパ付きヒンジ装置60は、第1突部61と第2突部62とが上下方向に当接して抵抗力を生じさせる点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
参考例2に係るダンパ付きヒンジ装置60は、実施形態1と同様に、回動部材(ドア1)の回動に伴って回動軸Lを中心に相対的に回動自在な第1ヒンジ部材10及び第2ヒンジ部材20を備えている。
第1ヒンジ部材10は、実施形態1と同様に、第1ケース11を有し、第1ケース11の下端部には、第1部品63が固定されている。第1部品63は、実施形態1と同様に、第1ケース11とともに回動軸Lを中心に回動する。第1部品63の下面65には、第1突部61が設けられている。第1部品63の下面65は、回動軸Lに対して直交する水平な面である。
第1突部61は、図16に示すように、第1部品63の下面65に下方向に突出して設けられている。第1突部61は、第1部品63の周方向における一部分に一つが設けられている。第1突部61は、第1部品63の下面65と略平行な平坦面66と、第1部品63の下面65に対して傾斜した傾斜面67と、第1部品63の下面65に対して略直交した段差面73とを備えている。
第2ヒンジ部材20は、実施形態1と同様に、第2ケース21と、シャフト22と、複数の粒状体23とを有し、第2ケース21の上端部には、第2部品64が固定されている。第2部品64の上面68には、第2突部62が設けられている。第2部品64の上面68は、回動軸Lに対して直交する水平な面である。第2部品64の上面68と第1部品63の下面65とは略平行に配され、一定の離間間隔72をあけて対向配置されている。
第2突部62は、第2部品64の上面68に上方向に突出して設けられている。第2突部62は、第1突部61と同様、上面68と略平行な平坦面69と、平坦面69の一端側に形成された傾斜面71と、他端側に形成された段差面74とを備えている。
図19(A)に示すように、第1突部61の突出寸法(第1部品63の下面65からの突出寸法)と、第2突部62の突出寸法(第2部品64の上面68からの突出寸法)とは等しくされている。第1突部61の突出寸法及び第2突部62の突出寸法は、第2部品64の上面68と第1部品63の下面65との最小の離間間隔72と同等の寸法とされている。
第1突部61と第2突部62とは、実施形態1と同様、第1ヒンジ部材10と第2ヒンジ部材20とが相対的に一回転する間の所定の回動角度範囲Rにおいて互いに接触し、第1ヒンジ部材10が上側に変位するように設定されている。これにより、第1ヒンジ部材10の回動に抵抗力が付与される。第1突部61と第2突部62とが接触していない回動角度範囲では、第1ヒンジ部材10の回動に抵抗力が付与されない。すなわち、第1突部61と第2突部62とが互いに接触していない状態の抵抗力に比して、第1突部61と第2突部62とが互いに接触している状態の抵抗力が相対的に大きくなる。
次に、参考例2のダンパ付きヒンジ装置60をドア用のヒンジに適用した場合の作用を説明する。参考例2では、実施形態1と同様、ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲Rのところで第1突部61と第2突部62とが接触するように設定されている。
ドア開放状態では、図17に示すように、第1突部61と第2突部62とは回動軸L周りにずれている。ドア1がドア開放状態から閉じ方向H1に移動すると、実施形態1と同様、シャフト22と粒状体23との間に摩擦力が生じ、ドア1は閉じ方向H1へ低速で回動する。ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲Rになるまでは、第1突部61は第2突部62に接触することなく、ベアリング28の外周面に沿って変位する。この状態では、第1突部61と第2突部62とによる抵抗力は生じない。
図18(A)及び図19(A)に示すように、ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲Rになると、第1突部61が第2突部62に当接する。その後、図18(B)及び図19(B)に示すように、第1突部61の傾斜面67と第2突部62の傾斜面71とによって、第1突部61が次第に上側に相対変位する。すなわち第1突部61とともに第1ヒンジ部材10及びドア1が上側に変位する。第1突部61の上方への変位量が増すにつれて、第1ヒンジ部材10の回動に作用する抵抗力が大きくなる。こうして、ドア1はゆっくり回動し、ドア閉鎖状態に至る。
すなわち参考例2のダンパ付きヒンジ装置60を用いたドア用ヒンジによれば、ドア1を閉じる場合には、ドア閉鎖状態に近づいた所定の回動角度範囲Rで抵抗力が大きくなってドア1がゆっくり閉じ方向H1に変位し、ドア1が閉められる。
なお、本参考例2では、ドア閉鎖状態において、第1突部61が第2突部62の傾斜面71に接触しているが、これに限らない。例えばドア閉鎖状態では、第1突部61が第2突部62の傾斜面71を乗り越えて、第2突部62の平坦面69に接触するようにしてもよい。このとき、第1突部61の変位量は最も大きくなり、抵抗力は最大値になる。また第2部品64の上面68と第1部品63の下面65との離間間隔72も最大値になる。
ドア1を開ける場合には、第1ヒンジ部材10は開き方向H2に回動する。実施形態1と同様、このとき、シャフト22は回動しない。第1ヒンジ部材10の開き方向H2の回動によって第1突部61は次第に下側へ変位し、第1ヒンジ部材10に作用する抵抗力は次第に小さくなり、ドア1の開き角度が所定の回動角度範囲R以上になると抵抗力はなくなる。よって、ドア1を容易に開くことができる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では、本発明のダンパ付きヒンジ装置Dをドア用ヒンジに適用した場合を例示したが、これに限らず、本発明のダンパ付きヒンジ装置は、ドアの開閉のみならず、回動運動を行うものの回動を減速させる装置として、各種の形態で使用することができる。
(2)上記実施形態1では、第2テーパ部品24が内側に弾性変位するものであり、第2テーパ部品24の内周面34に沿って弾性部材25が配置されているが、これに限らず、第1テーパ部品が外側に弾性変位するものとし、第1テーパ部品の外周面に沿って弾性部材を配置してもよいし、また、第1テーパ部品及び第2テーパ部品の両方が弾性変位するものとし、第1テーパ部品の外側及び第2テーパ部品の内側に弾性部材を配置するものとしてもよい。
(3)上記実施形態1では、第1突部17及び第2突部32の具体的な構成(配置位置、形状、個数等)を例示したが、これに限らず、第1突部及び第2突部の構成は任意に変更することができる。
(4)上記実施形態1では、第1テーパ部品12が第1部品15に形成されているが、これに限らず、第1テーパ部品を第1ケースに形成してもよい。
(5)上記実施形態1では、第2テーパ部品24が第2部品35とは別体であり、第2部品35に位置決めされているが、これに限らず、第2テーパ部品を第2部品または第2ケースに一体に形成してもよい。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では、本発明のダンパ付きヒンジ装置Dをドア用ヒンジに適用した場合を例示したが、これに限らず、本発明のダンパ付きヒンジ装置は、ドアの開閉のみならず、回動運動を行うものの回動を減速させる装置として、各種の形態で使用することができる。
(2)上記実施形態1では、第2テーパ部品24が内側に弾性変位するものであり、第2テーパ部品24の内周面34に沿って弾性部材25が配置されているが、これに限らず、第1テーパ部品が外側に弾性変位するものとし、第1テーパ部品の外周面に沿って弾性部材を配置してもよいし、また、第1テーパ部品及び第2テーパ部品の両方が弾性変位するものとし、第1テーパ部品の外側及び第2テーパ部品の内側に弾性部材を配置するものとしてもよい。
(3)上記実施形態1では、第1突部17及び第2突部32の具体的な構成(配置位置、形状、個数等)を例示したが、これに限らず、第1突部及び第2突部の構成は任意に変更することができる。
(4)上記実施形態1では、第1テーパ部品12が第1部品15に形成されているが、これに限らず、第1テーパ部品を第1ケースに形成してもよい。
(5)上記実施形態1では、第2テーパ部品24が第2部品35とは別体であり、第2部品35に位置決めされているが、これに限らず、第2テーパ部品を第2部品または第2ケースに一体に形成してもよい。
D…ダンパ付きヒンジ装置、L…回動軸、R…所定の回動角度範囲、10…第1ヒンジ部材、12…第1テーパ部品、16…第1テーパ部品の内周面、17…第1突部、20…第2ヒンジ部材、24…第2テーパ部品、25…弾性部材、31…第2テーパ部品の外周面、32…第2突部、34…第2テーパ部品の内周面
Claims (2)
- 回動軸を中心に相対的に回動自在な第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材と、
前記第1ヒンジ部材に連結され、前記回動軸を中心にした円環状をなす第1テーパ部品と、
前記第2ヒンジ部材に連結され、前記第1テーパ部品の内周面より内側に外周面が位置する円環状をなす第2テーパ部品と、
を具備し、
前記第1テーパ部品及び前記第2テーパ部品は、前記第1ヒンジ部材及び第2ヒンジ部材の相対的な回動に伴って前記回動軸周りに相対的に回動自在であり、
前記第1テーパ部品は、内周面に内方向に突出した第1突部を有し、
前記第2テーパ部品は、外周面に外方向に突出した第2突部を有し、
前記第1突部と前記第2突部とは、前記第1ヒンジ部材と前記第2ヒンジ部材とが相対的に一回転する間の所定の回動角度範囲において互いに接触し、前記第1テーパ部品または前記第2テーパ部品が弾性変形することを特徴とするダンパ付きヒンジ装置。 - 前記第1テーパ部品の外周面または前記第2テーパ部品の内周面に沿って弾性部材が備えられている請求項1に記載のダンパ付きヒンジ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018168693A JP2020041314A (ja) | 2018-09-10 | 2018-09-10 | ダンパ付きヒンジ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018168693A JP2020041314A (ja) | 2018-09-10 | 2018-09-10 | ダンパ付きヒンジ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020041314A true JP2020041314A (ja) | 2020-03-19 |
Family
ID=69797729
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018168693A Pending JP2020041314A (ja) | 2018-09-10 | 2018-09-10 | ダンパ付きヒンジ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020041314A (ja) |
-
2018
- 2018-09-10 JP JP2018168693A patent/JP2020041314A/ja active Pending
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