JP2020041161A - 光学フィルム用表面保護フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
また、偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学フィルムは、表面保護フィルムを貼り合わされた状態で、液晶表示板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う製品検査を行うため、表面保護フィルムに対する要求性能としては、粘着剤層に気泡や異物が付着していないことが求められている。
また、近年では、偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学フィルムから表面保護フィルムを剥がすときに、粘着剤層を被着体が剥がす時に発生する静電気に伴って生じる剥離帯電が、液晶ディスプレイの電気制御回路の故障に影響することが懸念されるため、粘着剤層に対して優れた帯電防止性能が求められている。
また、偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学フィルムを、金属性の被着体、例えば、ベゼルなどに貼り合わせても腐食が起こらない、耐腐食性を有する粘着剤組成物が求められている。
また、最終的に偏光板、位相差板、反射防止フィルムなどの光学フィルムから表面保護フィルムを剥がすときには、被着体を汚染しないこと、いわゆる糊残りが起こらないことが求められている。
しかし、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能である、これら(1)〜(3)のそれぞれ、個々の要求性能を満たすことは出来ても、表面保護フィルムの粘着剤層に求められる(1)〜(3)の全ての要求性能を、同時に満たすことは非常に困難な課題であった。
また、近年では、このような帯電防止剤を基材フィルムに含有させたり、あるいは基材フィルムの表面に塗布するのではなく、直接に粘着剤層に含有させたりすることが提案されている。
特許文献3では、アルキル基の炭素数2〜12程度のアクリル酸アルキルエステルやアルキル基の炭素数4〜12程度のメタクリル酸アルキルエステル等を主モノマー成分とし、例えば、カルボキシル基含有モノマーなどの他の官能基含有モノマー成分を含むことができるとしている。一般的には上記主モノマーを50重量%以上含有させることが好ましい、又、官能基含有モノマー成分の含有量は0.001〜50重量%、好ましくは0.001〜25重量%、更に好ましくは0.01〜25重量%であることが望まれる、としている。このような特許文献3に記載の粘着剤組成物は、高温下又は高温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、かつ、曲面接着力にも優れた効果を示し、また、粘着剤の発泡や剥離を起こさないとしている。
一般に、粘着剤層を柔らかい性状のものにすると、糊残りが発生し易くなる。すなわち、誤って貼合したときに剥離が難しく、貼り直しが困難となりやすい。このことから、カルボキシル基などの官能基を有するモノマーを主剤に架橋させて、粘着剤層を一定の硬さにすることが、糊残リの発生防止には必要と考えられる。
また、上記と同様の共重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有共重合性化合物との共重合体を少量配合し、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものなどが提案されている。しかし、これらは、表面張力が低くて表面が平滑なプラスチック板などの表面保護に使用すると、加工時や保存時の加熱により浮きなどの剥離現象を生じる問題があった。
前記粘着剤層のゲル分率が、95〜100%であることが好ましい。
前記表面保護フィルムは、偏光板の表面保護フィルムの用途として使用することが好ましい。また、前記樹脂フィルムの前記粘着剤層が形成された側とは反対面に、帯電防止および汚染防止処理がされていることが好ましい。
また、本発明は、前記表面保護フィルムが貼合された光学フィルムを提供する。
本発明の粘着剤組成物は、アルキル基の炭素数がC1〜C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを主成分とする、(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤組成物において、融点が30℃以上のイオン性化合物を含むことを特徴とする。
また、本発明の粘着剤組成物は、アルキル基の炭素数が、C1〜C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系ポリマーの酸価が30以下であり、融点が30℃以上のイオン性化合物を含むことを特徴とする。
さらに、(メタ)アクリル系ポリマーは、上記以外の共重合性ビニルモノマーを含むことができる。他の共重合性ビニルモノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル類のほか、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの各種ビニルモノマーが挙げられる。
ただし、カルボキシル基を含有するモノマー等の、酸性を示すモノマー(以下、酸性モノマーと呼ぶ)は、過度に添加されるとその酸により腐食性が大きくなるおそれがある。このため、(メタ)アクリル系ポリマーの酸価が、30以下であることが好ましい。
ここで、「酸価」とは、酸の含有量を表す指標の一つであり、酸性成分を有しているポリマー1gを中和するのに要する、水酸化カリウムのmg数で表される。
さらにその他成分としてシランカップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋促進剤、可塑剤、充填剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、加工助剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜に配合することができる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による汚染防止処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
偏光板用の表面保護フィルムなどの光学用の表面保護フィルムの場合は、基材フィルム及び粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート100重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.0重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を100重量部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で8時間反応させ、アクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体の一部を採取し、後述する酸価の測定試料として用いた。
このアクリル共重合体溶液に対して、1−オクチルピリジニウム 六フッ化リン酸塩1.5重量部、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)1.5重量部、ジオクチル錫ジラウレート0.02重量部を加えて撹拌混合して、実施例1の粘着剤組成物を得た。
[実施例2〜4及び比較例1〜3]
モノマー及び添加剤の組成を各々、表1の記載のようにする以外は、上記の実施例1の粘着剤組成物と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜3の粘着剤組成物を得た。
ここで、(A)アクリルモノマー、(B)水酸基モノマー、(C)酸性モノマーは、アクリル共重合体溶液の重合前に反応装置に加え、(D)イソシアネート(NCO)架橋剤、(E)架橋促進剤、(F)帯電防止剤は、添加剤として、重合後のアクリル共重合体溶液に加えた。
実施例1の粘着剤組成物を、シリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。その後、一方の面に帯電防止及び汚染防止処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び汚染防止処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び汚染防止処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の表面保護フィルムを得た。
[実施例2〜4及び比較例1〜3]
実施例1の粘着剤組成物に代えて、それぞれ実施例2〜4及び比較例1〜3の粘着剤組成物を用いるほかは、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜3の表面保護フィルムを得た。
実施例1〜4及び比較例1〜3における表面保護フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、アルミ箔上に貼り合わせた後、60℃、90%RHの高温高湿の雰囲気下で48時間放置した後、腐食性の測定試料とした。
さらに、この粘着剤層を表出させた表面保護フィルムを、粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力、剥離帯電圧の測定試料とした。
アクリル共重合体の酸価は、試料を溶剤(ジエチルエーテルとエタノールを体積比2:1で混合したもの)に溶かし、電位差自動滴定装置(京都電子工業製、AT−610)を用いて、0.1上記電位差滴定装置を用い、濃度が約0.1mol/lの水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行い、試料を中和するために必要な水酸化カリウムエタノール溶液の量を測定した。そして、下記式より、酸価を求めた。
酸価=(B×f×5.611)/S
B=滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f=0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S=試料の固形分の質量(g)
上記で得られた測定試料(25mm幅の表面保護フィルムを偏光板の表面に貼り合わせたもの)を、180°方向に引張試験機を用いて、引張速度30m/minにおいて剥がして測定した剥離強度(N/25mm)を粘着力とした。
上記で得られた測定試料を、30m/minの引張速度で180°剥離した際に、偏光板が帯電して発生する電圧(帯電圧)を、高精度静電気センサSK−035、SK−200(株式会社キーエンス製)を用いて測定し、測定値の最大値を剥離帯電圧(kV)とした。
試料をアルミ箔上に貼り合わせた後、60℃×90%RHの高温高湿条件下に48hr放置した。その後、試料をアルミ箔から剥がし、アルミ箔表面を目視にて確認し、下記の基準で評価した。
○:アルミ箔表面に変色が確認されなかった。
△:アルミ箔表面に一部変色が確認された。
×:アルミ箔表面に変色が確認された。
上記で得られた測定試料の表面保護フィルムの上を、ボールペンで(荷重500g、3往復)なぞった後、70℃×24hr放置した。偏光板から表面保護フィルムを剥離して偏光板の表面を観察し、偏光板に汚染移行の無いことを確認し、下記の基準で評価した。
○:偏光板に汚染移行が無かった。
△:ボールペンでなぞった軌跡に沿って、少なくとも一部に汚染移行が確認された。
×:ボールペンでなぞった軌跡に沿って、汚染移行が確認され、粘着剤表面からも粘着剤の離脱が確認された。
融点が30℃以上のイオン性化合物を帯電防止剤とした実施例1〜4では、帯電防止性能が優れ、さらに、被着体に対する耐腐食性を有し、汚染性も低いものとなった。
帯電防止剤に過塩素酸リチウム塩を用いた比較例1では、腐食性が大きく、汚染性もやや高いものとなった。
帯電防止剤にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム塩を用い、粘着剤のアクリル系ポリマーの酸価が高い比較例2では、剥離帯電圧が高くて帯電防止性能が劣り、汚染性が高く、腐食性もやや大きいものとなった。
帯電防止剤にトリフルオロメタンスルホン酸リチウム塩を用いた比較例3では、腐食性がやや大きく、汚染性がやや高いものとなった。
このように、比較例1〜3の表面保護フィルムでは、(1)優れた帯電防止性能、(2)耐腐食性、(3)糊残りの発生防止を、同時に満たすことができなかった。
Claims (2)
- アクリル系ポリマーと、帯電防止剤と、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層が、樹脂フィルムの片面に形成してなる光学フィルム用表面保護フィルムであって、
前記アクリル系ポリマーが、
(A)アルキル基の炭素数がC1〜C14の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの少なくとも1種以上と、
をカルボキシル基を有する共重合可能なモノマーを含有させないで共重合させた(メタ)アクリル系ポリマーであり、
前記アクリル系ポリマーの酸価が0.0であり、
前記帯電防止剤が、融点が30℃超かつ80℃以下の温度30℃で固体であるイオン性化合物であって、アルカリ金属塩でないイオン性化合物であり、
前記(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーが、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群から選択された1種以上であり、
前記粘着剤組成物が、さらに、前記架橋剤として、2官能または3官能以上のイソシアネート化合物を含有してなり、
前記粘着剤層のゲル分率が、95〜100%であり、
前記粘着剤層の表面抵抗値が、5.0×10+10Ω/□以下であることを特徴とする光学フィルム用表面保護フィルム。 - 請求項1に記載の光学フィルム用表面保護フィルムが貼合された光学フィルム。
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