JP2020039800A - 流体殺菌装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理室の流体に対する紫外光の放射照度分布の一様性改善と処理室内での紫外光の到達距離増大と図ることのできる流体殺菌装置を提供する。【解決手段】流体殺菌装置1は、内部に処理室23を内部にもつ筒状筐体2と、処理室23に向けて紫外光を出射する紫外光出射部26とを備える。紫外光出射部26の各光源装置28は、LED光源29と、LED光源29からの紫外光を反射して処理室23に向けて出射するリフレクタ30とを有する。【選択図】図3
Description
本発明は、紫外光によって流体を殺菌する流体殺菌装置に関する。
近年、紫外線の殺菌作用が、食品庫の殺菌灯や医療用装置に利用されている。また、流路を流れる流体に対して、紫外LEDの紫外光を照射して流体を殺菌し、洗浄用水等に用いる装置もよく知られている。
流体殺菌装置のように、紫外光を使って殺菌する殺菌装置では、紫外光の照射領域において適切な放射照度分布を得るために、リフレクタが使用されている。
例えば、特許文献1は、室内空間に漂流する細菌やウィルス類に紫外光を照射する殺菌装置を開示する。紫外光は、人には有害であるために、該殺菌装置は、紫外光が室内空間の下方に存在する人に向かうことを回避するために、室内空間の上部に配備され、水平方向に平行に紫外光を出射する。
該殺菌装置は、紫外光を水平方向に平行に出射するために、反射鏡が紫外線ランプの後ろ側に配設されている。反射鏡は、紫外線ランプから後方に出射して来る紫外光を水平方向に平行にして紫外線ランプの前方に向けて反射している。また、紫外線ランプの前方には、水平方向に平行に配列された複数の放射制御板から成る配列体が配設される。そして、紫外線ランプ又は反射鏡から前方に下向きに出射されて来る紫外光は、該配列体を通過することにより向きを水平に変更される。
特許文献2は、容器内の飼料に含まれるマイコトキシンを紫外光により除去するマイコトキシン除去装置を開示する。該マイコトキシン除去装置によれば、容器の上側を半球面の凹面反射板で覆うとともに、凹面反射板の焦点位置に紫外光源を配置する。紫外光源から上方に出射した紫外光は、凹面反射板により鉛直方向に向きを変更され、下方の飼料の上面に一様な照射分布で照射される。
従来の流体殺菌装置で、流体に対する紫外光の放射照度分布の一様性をリフレクタで積極的に改善する構成を有するものは見当たらない。
本発明者は、所定の自由曲面リフレクタを用いることで、流体殺菌装置の処理室の所定断面における紫外光の放射照度分布の一様性と放射照度が改善でき、流体殺菌装置の性能が向上できることを見出した。
本発明の目的は、処理室の流体に対する紫外光の放射照度分布の一様性改善と処理室内での紫外光の放射照度の増大を図ることのできる流体殺菌装置を提供することである。
本発明は、
殺菌対象の流体が軸方向に流れる処理室を内部に有する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記処理室の一端側に配置された紫外光出射部を備え、
前記紫外光出射部は、少なくとも一つの光源装置を備え、
前記光源装置は、
紫外光を出射する光源と、
前記光源が配置された底部、前記底部の周縁から前記処理室に向かって径が大きくなる形状を有する筒部及び前記処理室側の端部が開口部となっているリフレクタを含み、
前記リフレクタは前記光源から出射される紫外光を反射して前記処理室へ向ける流体殺菌装置である。
殺菌対象の流体が軸方向に流れる処理室を内部に有する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記処理室の一端側に配置された紫外光出射部を備え、
前記紫外光出射部は、少なくとも一つの光源装置を備え、
前記光源装置は、
紫外光を出射する光源と、
前記光源が配置された底部、前記底部の周縁から前記処理室に向かって径が大きくなる形状を有する筒部及び前記処理室側の端部が開口部となっているリフレクタを含み、
前記リフレクタは前記光源から出射される紫外光を反射して前記処理室へ向ける流体殺菌装置である。
本発明によれば、光源装置が、紫外光を出射する光源と共に、光源から出射した紫外光を反射して処理室の方へ出射するリフレクタを有する。この結果、流体殺菌装置における処理室の流体に対する紫外光の放射照度分布の一様性改善と処理室内での紫外光の放射照度増大とを図ることができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記処理室の前記軸方向の中間位置Lpにおける前記処理室の横断面Wpと、該横断面Wpの中心Cpと、該横断面Wp上で前記中心Cpから最遠方点までの距離Rpとを定義したとき、
前記横断面Wp上で前記中心Cpから半径0.9×Rpまでの円領域Acでは、前記紫外光の放射照度は、前記流体の殺菌に必要な最小放射照度として予め設定した最小放射照度以上が確保されるように、前記光源装置の個数、配置及び発光強度の少なくとも1つが設定されている。
前記処理室の前記軸方向の中間位置Lpにおける前記処理室の横断面Wpと、該横断面Wpの中心Cpと、該横断面Wp上で前記中心Cpから最遠方点までの距離Rpとを定義したとき、
前記横断面Wp上で前記中心Cpから半径0.9×Rpまでの円領域Acでは、前記紫外光の放射照度は、前記流体の殺菌に必要な最小放射照度として予め設定した最小放射照度以上が確保されるように、前記光源装置の個数、配置及び発光強度の少なくとも1つが設定されている。
この構成によれば、リフレクタの曲面形状に加えて、光源装置の個数、配置、及び発光強度の少なくとも1つを調整することにより、流体殺菌装置における処理室の流体に対する紫外光の放射照度分布の一様性及び放射照度向上について一層の改善を図ることができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記中間位置Lpは、前記筒状筐体の内部における前記流体の収容空間を前記軸方向に3等分割したときに、中央の分割部分に含まれる位置であることを特徴とする。
前記中間位置Lpは、前記筒状筐体の内部における前記流体の収容空間を前記軸方向に3等分割したときに、中央の分割部分に含まれる位置であることを特徴とする。
この構成によれば、中間位置Lpは、処理装置の中央の等分割区分に位置する。これにより、処理室の中央区分で放射照度向上と分布の均一化を図り、かつ、処理室内面に紫外光が当たることによる損失を低減できる。このことにより、処理室の光源側の紫外線照射の抜けもれを低減し、かつ、処理室全体での殺菌効果を高めることができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
各光源装置からの前記紫外光が、前記横断面Wp上に生成する個別照射パターンは、径方向に内側の内側パターン部と外側の外側パターン部とに分割され、
各リフレクタの前記筒部は、前記底部側の内側反射部と前記開口部側の外側反射部とに分割され、
前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記内側パターン部及び前記外側パターン部の一方及び他方を生成する。
各光源装置からの前記紫外光が、前記横断面Wp上に生成する個別照射パターンは、径方向に内側の内側パターン部と外側の外側パターン部とに分割され、
各リフレクタの前記筒部は、前記底部側の内側反射部と前記開口部側の外側反射部とに分割され、
前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記内側パターン部及び前記外側パターン部の一方及び他方を生成する。
この構成によれば、個別照射パターン及びリフレクタの筒部が共に径方向に内側と外側とに2分割される。そして、リフレクタの内側及び外側で反射した紫外光により個別照射パターンの内側及び外側のパターン部の一方及び他方を生成する。これにより、均一な放射照度分布を得ることができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記内側パターン部及び前記外側パターン部を生成し、
前記内側反射紫外光及び前記外側反射紫外光は、共に、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側で前記光源の光軸と交差し、
前記内側反射紫外光が前記光軸と交差する位置は、前記外側反射紫外光が前記光軸と交差する位置よりも前記横断面Wpに近い位置になるように、前記内側反射部及び前記外側反射部の曲面が形成されている。
前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記内側パターン部及び前記外側パターン部を生成し、
前記内側反射紫外光及び前記外側反射紫外光は、共に、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側で前記光源の光軸と交差し、
前記内側反射紫外光が前記光軸と交差する位置は、前記外側反射紫外光が前記光軸と交差する位置よりも前記横断面Wpに近い位置になるように、前記内側反射部及び前記外側反射部の曲面が形成されている。
この構成によれば、内側反射紫外光及び外側反射紫外光は、それぞれ内側パターン部及び外側パターン部を生成する。これにより、リフレクタを径方向に小型化することができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記外側パターン部及び前記内側パターン部を生成し、
前記内側反射紫外光は、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側で前記光源の光軸と交差し、前記外側反射紫外光は、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側では前記光軸と交差しないように、前記内側反射部及び前記外側反射部の曲面が形成されている。
前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記外側パターン部及び前記内側パターン部を生成し、
前記内側反射紫外光は、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側で前記光源の光軸と交差し、前記外側反射紫外光は、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側では前記光軸と交差しないように、前記内側反射部及び前記外側反射部の曲面が形成されている。
この構成によれば、内側反射紫外光及び外側反射紫外光は、それぞれ外側パターン部及び内側パターン部を生成する。これにより、リフレクタを軸方向に小型化することができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記リフレクタの前記筒部の反射面は、回転対称の形状で形成されている。
前記リフレクタの前記筒部の反射面は、回転対称の形状で形成されている。
この構成によれば、リフレクタの筒部の反射面が回転対称の形状で形成されている。これにより、反射面の製作を簡単化することができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記横断面Wpは、円形であり、
各光源装置からの前記紫外光が前記横断面Wpにおいて生成する個別照射パターンは、半径Rlの円形の個別照射パターンであり、
各光源装置の前記リフレクタの前記開口部の直径をDs、及び前記紫外光出射部において任意の前記光源装置について該光源装置から前記横断面Wpに対して平行な配置面内で最接近距離にある光源装置までの距離をDminとしたとき、
Ds≦Dmin≦Rlの関係に設定されている。
前記横断面Wpは、円形であり、
各光源装置からの前記紫外光が前記横断面Wpにおいて生成する個別照射パターンは、半径Rlの円形の個別照射パターンであり、
各光源装置の前記リフレクタの前記開口部の直径をDs、及び前記紫外光出射部において任意の前記光源装置について該光源装置から前記横断面Wpに対して平行な配置面内で最接近距離にある光源装置までの距離をDminとしたとき、
Ds≦Dmin≦Rlの関係に設定されている。
この構成によれば、Ds≦Dmin≦Rlの関係が設定される。これにより、横断面Wpの少なくとも9割を占める円領域Acで必要な放射照度を確保することで、所望の殺菌性能を実現できる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記横断面Wpは、半径Rpの円形の周囲輪郭であり、
各光源装置からの紫外光が前記横断面Wpにおいて生成する個別照射パターンは、半径Rlの円形の個別照射パターンであり、
前記横断面Wpの径方向の最も外側に個別照射パターンを生成する複数の光源装置は、前記紫外光出射部においてそれらの中心を所定の円周上に置いて等角度間隔で配列された円周配列の光源装置として配設され、
前記横断面Wpの円形の周囲輪郭と前記円周配列の光源装置の中心と間の前記横断面Wpの径方向の距離をDeとしたとき、
De≦Rlの関係に設定されている。
前記横断面Wpは、半径Rpの円形の周囲輪郭であり、
各光源装置からの紫外光が前記横断面Wpにおいて生成する個別照射パターンは、半径Rlの円形の個別照射パターンであり、
前記横断面Wpの径方向の最も外側に個別照射パターンを生成する複数の光源装置は、前記紫外光出射部においてそれらの中心を所定の円周上に置いて等角度間隔で配列された円周配列の光源装置として配設され、
前記横断面Wpの円形の周囲輪郭と前記円周配列の光源装置の中心と間の前記横断面Wpの径方向の距離をDeとしたとき、
De≦Rlの関係に設定されている。
De>Rlであれば、横断面Wpの境界は、Rlの範囲外になる。すなわち、横断面Wpの境界は、紫外光が照射されないことになる。この構成によれば、De≦Rlの関係が設定される。これにより、横断面Wpの境界に紫外光を照射して、境界近辺の半径方向範囲の紫外光の無照射領域を減少させて、殺菌効果を改善することができる。
本発明の流体殺菌装置において、好ましくは、
前記円周配列の光源装置において周方向に相互に隣接する光源装置が、前記横断面Wpに平行な面方向の距離をDfとしたとき、
Df≦Rlの関係に設定されている。
前記円周配列の光源装置において周方向に相互に隣接する光源装置が、前記横断面Wpに平行な面方向の距離をDfとしたとき、
Df≦Rlの関係に設定されている。
この構成によれば、Df≦Rlの関係が設定される。これにより、横断面Wpの境界近辺の周方向範囲の紫外光の無照射領域を減少させて、殺菌効果を改善することができる。
[全体の構成]
図1は、流体殺菌装置1の外観斜視図である。図2は、流体殺菌装置1の分解斜視図である。流体殺菌装置1は、軸方向に順番に筒状筐体2、石英窓3、固定ブラケット4、リフレクタ装置5、光源基板6及びヒートシンク7を備える。
図1は、流体殺菌装置1の外観斜視図である。図2は、流体殺菌装置1の分解斜視図である。流体殺菌装置1は、軸方向に順番に筒状筐体2、石英窓3、固定ブラケット4、リフレクタ装置5、光源基板6及びヒートシンク7を備える。
図3は、流体殺菌装置1をその中心線Clに沿って切った縦断面図である。中心線Clは、流体殺菌装置1の軸方向に平行である。説明の便宜上、流体殺菌装置1の軸方向において、ヒートシンク7側の端を一端、ヒートシンク7の反対側の端を他端という。
筒状筐体2は、入口管11、円筒部12、フランジ13、出口管14及び傾斜部15を備える。円筒部12の内部は、中心線Clの周りに回転対称の空間になっている。円筒部12は、軸方向の一端側を開口し、他端側を傾斜部15により閉鎖されている。出口管14は、円筒部12の一端側の端部の外周に形成される。
1本の入口管11は、中心線Clに沿って延在し、傾斜部15に連結されている。2本の出口管14は、円筒部12の周方向に180°離されて一端部の外周部に連結され、円筒部12の径方向に突出している。入口17は、入口管11内の通路が円筒部12内に開口する箇所に形成される。出口21は、2本の出口管14内の通路が円筒部12内に開口する箇所に形成される。
石英窓3は、円筒部12の一端側の開口部に配置される。石英窓3と固定ブラケット4とは、軸方向に突き合わされる。リフレクタ装置5は、固定ブラケット4の内周側に配置される。光源基板6は、周縁部を固定ブラケット4とヒートシンク7との間に挟まれて固定される。
円筒部12内において、軸方向に石英窓3の流体接触側の端面から円筒部12と傾斜部15との境界点までの内部空間は、処理対象の流体の処理室23を形成する。軸方向に傾斜部の15の両端範囲の内部空間は、導入部24を形成する。なお、処理対象の流体とは、例えば、水等の液体である。
石英窓3は、中心線Clの方向に出口21より一端側に位置し、筒状筐体2内の該一端側を画成している。こうして、筒状筐体2内は、中心線Clの方向の両端を入口17及び石英窓3により画成され、この画成された内部空間に含まれる処理室23及び導入部24は、流体の収容空間を構成する。
流体殺菌装置1の処理対象の流体は、図示していないポンプの作動により入口17から前述の収容空間に導入され、出口21から収容空間の外へ導出される。
筒状筐体2は、例えば、円筒部12において断面の直径が139mm(内径133mm)の直管(円柱)形状になっている。筒状筐体2において、中心線Clの方向に入口17から出口21までの長さは、例えば、560mmである。筒状筐体2の材料は、目的により異なるが、例えば、ステンレス製である。入口17の径は、35mmである。流量は約100(L/min)である。
リフレクタ装置5は、中心線Clに対して垂直な面内方向にほぼ一様の分布密度で複数のリフレクタ30を有する。光源基板6のリフレクタ装置5側の面には、複数のLED光源29が配置されている。リフレクタ装置5及び光源基板6の組付け状態では、光源基板6上の各LED光源29は、リフレクタ装置5の各リフレクタ30の内面側に中心線Clの方向の一端側から臨むように、各リフレクタ30の中心に配置される。点灯時は、各LED光源29から他端側に向けて、紫外光を出射する。この実施形態では、各LED光源29が出射する紫外光の強度は、相互に等しい。
光源装置28は、少なくとも1つのLED光源29と、該LED光源29が一端側に配設された1つのリフレクタ30とを有する。リフレクタ30は、石英窓3側に開口33(図4A等)を有し、LED光源29は、リフレクタ30内に臨むように、リフレクタ30の光源基板6側の端部に配置される。
リフレクタ装置5と光源基板6とは、紫外光出射部26を構成する。LED光源29は、点灯中、熱を発生する。また、リフレクタ30は、LED光源29からの紫外光の受光に伴い、熱を発生する。ヒートシンク7は、光源基板6のリフレクタ30とは反対側の面に面接触して、紫外光出射部26の熱を外部に放出する。なお、本実施形態におけるリフレクタ装置5は、複数のリフレクタ30を一体として形成されたものであるが、個別のリフレクタ30が光源基板6上に固定されたものであってもよい。また、本実施形態における光源基板6は、複数のLED光源29がその表面上に実装されたものであるが、各LED光源29がそれぞれ分離した光源基板6上に実装されたものであってもよい。
[リフレクタ]
図4Aは、光源装置28からの紫外光の出射状態を示す図である。光源装置28は、先端の直径Dsの開口33から紫外光を石英窓3の方(処理室23の方)に向けて出射する。光源装置28から出射した紫外光は、LED光源29の光軸Oaにほぼ平行に石英窓3の方(処理室23の方)へ出射する光を除いて、リフレクタ30で反射されてから、石英窓3の方へ向かう。
図4Aは、光源装置28からの紫外光の出射状態を示す図である。光源装置28は、先端の直径Dsの開口33から紫外光を石英窓3の方(処理室23の方)に向けて出射する。光源装置28から出射した紫外光は、LED光源29の光軸Oaにほぼ平行に石英窓3の方(処理室23の方)へ出射する光を除いて、リフレクタ30で反射されてから、石英窓3の方へ向かう。
リフレクタ30は、自由曲面リフレクタとして形成され、リフレクタ30の内面側の反射面は、LED光源29の光軸Oaに対して回転対称の形状に形成されている。リフレクタ30は、径方向に内側から外側の順番に底部31a、内側反射部31b及び外側反射部31cを有する。底部31a、内側反射部31b及び外側反射部31cの順番は、光軸Oaの方向にはLED光源29から処理室23への順番に一致する。LED光源29は、底部31aの中心に位置する。底部31aは、光軸Oaに対して直交している。内側反射部31b及び外側反射部31cは、それらの中心線を光軸Oaに合わせた筒部を構成する。
図4Aの出射状態図では、(a)はリフレクタ30の全体からの紫外光の出射状態を示し、(b)は内側反射部31b単独の反射による出射状態を示し、(c)は外側反射部31c単独の反射による出射状態を示している。
図4Bは、光源装置28が横断面Wp上に生成する放射照度分布のグラフである。横断面Wpは、処理室23の横断面のうち、処理室23内の紫外光の放射照度を設計する際に代表として用いる基準横断面となる。設計者は、横断面Wp上の放射照度分布が所望の値になるように、LED光源29の個数、配置及び発光強度を調整する。
横断面Wpは、例えば、軸方向に処理室23の中心位置である。処理室23の中心位置は、筒状筐体2内の流体の収容空間を軸方向に3等分割したとき、中央の分割部分に含まれる位置である。横断面Wpは、必ずしも、軸方向に処理室23の中心の位置ではなくても、該中央の分割部分に含まれる位置であればよい。
横断面Wpを該中央の分割部分に含まれる位置に設定することにより処理室23を軸方向に流れる流体に対しての紫外光出射部26からの紫外光による殺菌照射の有効度を高めることができる。すなわち、横断面Wpの軸方向位置を3等分割の紫外光出射部26側の端区分に設定すると、処理室内面に紫外光が当たることによる吸収損失によって、処理室23全体で流体に対する紫外光の照射量が低下してしまう。逆に、横断面Wpの軸方向位置を3等分割の入口管11側の端区分に設定すると、紫外光の出射部側で、放射照度分布に抜けが生じて殺菌性能が低下してしまう。
横断面Wp等の処理室23の横断面における放射照度分布は、該横断面における紫外光の照射パターンでもある。横断面Wpに生成される配光パターンには、各光源装置28が単独で生成する照射パターンと、紫外光出射部26全体が生成する照射パターンとがある。以下、前者の照射パターンを「個別照射パターン」といい、後者の照射パターンを「全体照射パターン」という。
各光源装置28は、横断面Wp上の一部に紫外光を照射して、個別照射パターンWlを生成する。個別照射パターンWlについては、図11Aで再説明する。図4Bは、1つの光源装置28による個別照射パターンWl上の放射照度分布を示すことになる。
個別照射パターンWlは、径方向に内側の内側パターン部と外側の外側パターン部とに分割される。
図4Bの(a)〜(c)の放射照度分布のグラフは、図4Aの(a)〜(c)の出射状態に対応している。図4Aにおいて、横軸は径方向位置であり、縦軸は放射照度である。個別照射パターンWlは、円形となるので、横軸の径方向位置は、円形の個別照射パターンWlの所定の直径上の位置になる。径方向位置=0は、個別照射パターンWlの中心を意味し、光源装置28の光軸Oa上の位置である。
ここで、LED光源29から処理室23の方へ向かって出射する紫外光について出射角αを定義する。出射角αは、LED光源29から出射する各紫外光が光軸Oaに対する角度と定義する。また、出射角αについての所定の閾値としてα1,α2を定義する。α1は、LED光源29から出射する紫外光のうち内側反射部31bと外側反射部31cとの境界に向かう紫外光の出射角とする。α2は、LED光源29から出射する紫外光のうち開口33の周縁向かう紫外光の出射角とする。
α≧α1である出射角αでLED光源29から出射した紫外光は、内側反射部31bに当たり、内側反射部31bにおいて反射してから、開口33へ向かい、開口33から処理室23の方へ出射する。これに対し、α1<α≦α2の出射角αでLED光源29から出射した紫外光は、外側反射部31cに当たり、外側反射部31cにおいて反射してから開口33へ向かい、開口33から処理室23の方へ出射する。
以下、内側反射部31b及び外側反射部31cでそれぞれ反射した紫外光を、それぞれ「内側反射紫外光」及び「外側反射紫外光」という。内側反射紫外光及び外側反射紫外光は、共に、流体殺菌装置1の軸方向に横断面Wpより手前側、すなわち紫外光出射部26側で光軸Oaと交差する。また、内側反射紫外光が光軸Oaと交差する軸方向の位置は、外側反射紫外光が光軸Oaと交差する軸方向の位置より横断面Wp側になる。
この結果、内側反射紫外光は、個別照射パターンWlにおける照射パターンの内側パターン部を生成する。また、外側反射紫外光は、個別照射パターンWlにおける照射パターンの外側パターン部を生成する。
図4Bにおいて、(a)の放射照度分布は、(b)及び(c)の放射照度分布を合成(重畳)した放射照度分布に相当する。(a)の放射照度分布から、個別照射パターンにおける放射照度分布が一様化されていることが分かる。
図5Aは、第1比較例の光源装置128aの縦断面図、図5Bは光源装置128aによる個別照射パターンWl上の放射照度分布のグラフである。光源装置128aは、反射面が自由曲面で形成されるリフレクタ30に代えて、放物面リフレクタ130aを備える。光源装置128aの要素において、光源装置28の要素と同一のものは、光源装置28の要素に付けた符号と同一の符号を付けて、説明は、省略する。図5Bの放射照度分布のグラフにおける縦軸及び横軸は、図4Bの各放射照度分布のグラフにおける縦軸及び横軸と同一に定義されている。
光源装置128aの放物面リフレクタ130aは、光軸Oaの回りに回転対称の放物面から形成される。光源装置128aによる横断面Wp上の個別照射パターンでは、中心部の放射照度が低下し、中心部より少し離れた両側に放射照度のピークが生じている。したがって、個別照射パターンにおける放射照度の一様性が光源装置28のものより低下している。
図6Aは、第2比較例の光源装置128bの縦断面図、図6Bは、第2比較例の光源装置128bによる横断面Wp上の個別照射パターンを示すグラフである。光源装置128bは、反射面が自由曲面で形成されるリフレクタ30に代えて、CPC(Compound Parabolic Concentrator/複合放物面型集光器)リフレクタ130bを備える。光源装置128bの要素において、光源装置28の要素と同一のものは、光源装置28の要素に付けた符号と同一の符号を付けて、説明は、省略する。
光源装置128bのCPCリフレクタ130bは、光軸Oaの回りに回転対称に形成される。光源装置128bによる横断面Wp上の個別照射パターンでは、第1比較例の光源装置128aより中心部の放射照度の落ち込みがさらに増大している。また、放射照度が落ち込んでいる中心部の径方向範囲が増大している。したがって、個別照射パターンにおける放射照度の一様性は、光源装置128bでは、第1比較例の光源装置128aよりさらに悪化していることが分かる。
[処理室内の放射照度分布]
図7Aは、LED光源29の出力を所定の出力、例えば50mWにしたときの流体殺菌装置1の筒状筐体2の縦断面における放射照度分布図である。図7Bは、LED光源29の出力を所定の出力、例えば50mWにしたときの流体殺菌装置1の筒状筐体2の各軸方向位置0,P1,P2,・・・P7における横断面における放射照度分布図である。なお、0,P1,P2,・・・P7は、筒状筐体2の軸方向に等間隔で設定している。また、軸方向位置=0は、石英窓3(図3)の処理室23側の面の位置に設定している。
図7Aは、LED光源29の出力を所定の出力、例えば50mWにしたときの流体殺菌装置1の筒状筐体2の縦断面における放射照度分布図である。図7Bは、LED光源29の出力を所定の出力、例えば50mWにしたときの流体殺菌装置1の筒状筐体2の各軸方向位置0,P1,P2,・・・P7における横断面における放射照度分布図である。なお、0,P1,P2,・・・P7は、筒状筐体2の軸方向に等間隔で設定している。また、軸方向位置=0は、石英窓3(図3)の処理室23側の面の位置に設定している。
図7A、図7B及び後述の図8A〜図10Bの放射照度分布では、放射照度が5段階で表されている。図では、白っぽい色の領域ほど、紫外光の放射照度が高い段階であることを意味している。
ここで、本願発明の説明のために、流体殺菌装置1内部の紫外光の放射照度について最小放射照度Imiを定義する。最小放射照度Imiとは、処理室23の流体を殺菌するために、流体殺菌装置1が横断面Wpにおいて最低限必要な放射照度として設定した紫外光の放射照度になっている。図7A〜図9Bの放射照度の5段階表示に対して、放射照度の大きい方の段階から第1段階〜第5段階とする。最小放射照度Imiは、第4段階に属している。
図8Aは、比較例の流体殺菌装置101においてLED光源29の出力を所定の出力、例えば50mWにしたときの筒状筐体2の縦断面における放射照度分布図である。流体殺菌装置101は、流体殺菌装置1のリフレクタ30に代えて、CPCリフレクタ130b(図6A)を備えている。図8Bは、図8Aの流体殺菌装置101においてLED光源29の出力を所定の出力、例えば50mWにしたときの筒状筐体102aの各軸方向位置の横断面における放射照度分布図である。
図7Aと図8Aとの対比から、本願発明の流体殺菌装置1は、比較例の流体殺菌装置101より、第5段階の放射照度領域が入口17の近傍まで達していることが分かる。すなわち、最小放射照度Imi以上の領域が、LED光源29から十分に遠方まで達していることが分かる。
図7Bと図8Bとの対比から、同一の軸方向位置では、最小放射照度Imi以上の放射照度が確保される面積が本願発明の流体殺菌装置1の方が比較例の流体殺菌装置101より増大していることが分かる。また、筒状筐体2の内周が中心線Clを中心とする半径Rpの円であるとすると、中心から0.9×Rpの半径領域Ac(図11B参照)における紫外光の放射照度分布が、流体殺菌装置1の方が流体殺菌装置101より一様化している(放射照度のムラが少ない)ことが分かる。
[変更例によるリフレクタ]
図9は、光源装置28とは別の光源装置48の縦断面図である。光源装置48は、光源装置28と同様に、LED光源29及び開口33を有する。光源装置48は、光源装置28のリフレクタ30に代えて、リフレクタ50を備える。リフレクタ50は、光軸Oaの方向にLED光源29側から順に底部51a、内側反射部51b及び外側反射部51cを有する。
図9は、光源装置28とは別の光源装置48の縦断面図である。光源装置48は、光源装置28と同様に、LED光源29及び開口33を有する。光源装置48は、光源装置28のリフレクタ30に代えて、リフレクタ50を備える。リフレクタ50は、光軸Oaの方向にLED光源29側から順に底部51a、内側反射部51b及び外側反射部51cを有する。
リフレクタ50も、リフレクタ30と同様に、筒部の内面側の反射面が自由曲面で形成されたリフレクタとなっている。リフレクタ50の場合も、リフレクタ30の場合と同様に、α≧α1の出射角αでLED光源29から出射した紫外光は、内側の内側反射部51bに当たり、α2≦α<α1の出射角αでLED光源29から出射した紫外光は、外側反射部51cに当たる。
しかしながら、内側反射部51bで反射した内側反射紫外光及び外側反射部51cで反射した外側反射紫外光の反射後の進行方向が、リフレクタ30の場合と異なる。すなわち、リフレクタ50では、リフレクタ30の場合とは逆に、内側反射部51bで反射した内側反射紫外光は、個別照射パターンWlの照射パターンの外側パターン部を生成し、外側反射部51cで反射した外側反射紫外光は、個別照射パターンWlの照射パターンの内側パターン部を生成する。
具体的には、内側反射部51bで反射した内側反射紫外光は、横断面Wpの手前において光軸Oaを交差してから、横断面Wpに向かう。これに対し、外側反射部51cで反射した外側反射紫外光は、光軸Oaと交差することなく、横断面Wpを照射する。
光源装置48は、軸方向長さを小型化できる利点がある。これに対し、図4Aの光源装置28は、径方向に小型化することができる。
[リフレクタの配置]
図10Aはリフレクタ装置5の正面図、図10Bは図10AのXB−XB線における断面図、図10Cはリフレクタ装置5の斜視図である。リフレクタ装置5の正面とは、リフレクタ装置5を流体殺菌装置1の軸方向に処理室23側から見た面と定義する。このリフレクタ装置5は、図9図4Aのリフレクタ30を備えている。
図10Aはリフレクタ装置5の正面図、図10Bは図10AのXB−XB線における断面図、図10Cはリフレクタ装置5の斜視図である。リフレクタ装置5の正面とは、リフレクタ装置5を流体殺菌装置1の軸方向に処理室23側から見た面と定義する。このリフレクタ装置5は、図9図4Aのリフレクタ30を備えている。
図10A−図10Cでは、リフレクタ30の底部51aは、図示を省略し、代わりに通孔54を図示している。通孔54には、LED光源29が、リフレクタ30の内周側に臨むように、配置される。図10Aの正面図では、内側反射部31bにハッチングを付けて、内側反射部31bの領域を分かり易くしている。また、図10Aにおいて、一部であるが、光軸Oaの位置を示している。光軸Oaは、通孔54の中心を貫通する。
図10A−図10Cの例では、リフレクタ30の分布密度は、横断面内においてほぼ等密度で分布している。
図10Aにおいて、距離Daは,光源装置28の所定の配置面上で、縦、横又は斜めの各方向で相互に隣接関係にある光源装置28の中心間の距離として定義されている。配置面は、例えば、リフレクタ装置5における光源基板6側の端において円筒部12の中心線Clに対して直交する平面に設定される。各光源装置28に対し、該光源装置28とそれに配置面の平面方向に最接近距離にある光源装置28までの距離DaをDminと定義する。
リフレクタ装置5では、周辺部の複数のリフレクタ30が、リフレクタ装置5の円周に沿って等角度間隔θaで配列されている。以下、該周辺部の複数のリフレクタ30を「円周配列のリフレクタ30」という。また、円周配列の各リフレクタ30を備える光源装置28を円周配列の光源装置28という。さらに、円周配列の光源装置28が備えるLED光源29を円周配列のLED光源29という。
円周配列のリフレクタ30は、中心部の複数のリフレクタ30を包囲するように、配置されている。以下、中心部の複数のリフレクタ30に対応付けられる光源装置28及びLED光源29をそれぞれ中心部の光源装置28及びLED光源29という。
Daの両端は、各リフレクタ30の光軸Oaの位置に設定する。配置面上のリフレクタ30の分布密度は、配置面の部位によって僅かながら相違するので、縦方向の距離Daと横方向の距離Daとは、僅かながら相違する。しかしながら、両者の差は僅かであり、両者はほぼ等しいと考えられる。
補足すると、紫外光出射部26における縦方向及び横方向の全部の距離Daの平均値をDaaと定義する。全部の距離Daのうち、最大値を距離Dau、最小値を距離Davとする。正の所定値をΔdとする。距離Da等には、Da−Δd≦Dav≦Da≦Dau≦Da+Δdの関係が設定されている。
この実施形態では、各リフレクタ30は、リフレクタ装置5における複数のリフレクタ30の配置面の中心部に配置されているか、周辺部に配置されているかを問わず、大きさ及び形状が同一である。また、各リフレクタ30に通孔54から挿入されるLED光源29の点灯時の光の強度は、同一である。
[個別照射パターン]
図11Aは、リフレクタ30から出射する紫外光の広がり状態を説明する模式図である。図11Aにおいて、αmaは、光源装置28から出射される紫外光の最大出射角を示す。距離Llは、左端は、光軸Oa上の光源装置28の中心の位置であり、右端は、前述の横断面Wpの軸方向位置に一致している。なお、横断面Wpの軸方向位置は、処理室23の軸方向の中間位置Lpの一例である。
図11Aは、リフレクタ30から出射する紫外光の広がり状態を説明する模式図である。図11Aにおいて、αmaは、光源装置28から出射される紫外光の最大出射角を示す。距離Llは、左端は、光軸Oa上の光源装置28の中心の位置であり、右端は、前述の横断面Wpの軸方向位置に一致している。なお、横断面Wpの軸方向位置は、処理室23の軸方向の中間位置Lpの一例である。
光源装置28からの紫外光は、距離Llの箇所に設定された個別照射パターンWlに所定の照射パターンを生成する。個別照射パターンWl上では、紫外光の放射照度は所定値以上になるように、LED光源29の強度及びリフレクタ30の反射面の曲面形状が設定される。また、横断面Wp上の個別照射パターンW1の照射半径をR1と定義する。
図11Bは、横断面Wpと個別照射パターンWlとの関係を示す模式図である。横断面Wpの円形の形状は、円筒部12の内周の円形の形状に一致し、半径Rpである。横断面Wpの中心は、Cpで示している。Cpは、中心線Clと横断面Wpとの交点として定義される。
図11Bでは、配置面上で隣接する所定の3つの光源装置28が横断面Wp上に生成する紫外光照射部分としての個別照射パターンWlを示している。3つの光源装置28及び3つの個別照射パターンWlを区別するために、光源装置28については光源装置28a〜28cを用い、個別照射パターンWlについては個別照射パターンWla〜Wlcを用いる。
図11Bにおいて、光源装置28a〜28cは、外形輪郭線が破線で示されている。これは、光源装置28a〜28cは、流体殺菌装置1の軸方向に横断面Wpとは別の位置に存在するからである。光源装置28a〜28cの波線は、光源装置28a〜28cを流体殺菌装置1の軸方向に横断面Wpに投影したときのリフレクタ30の外周縁の投影線に相当する。
光源装置28a,28cは、円周配列の光源装置28において周方向に隣接関係の光源装置28に相当する。光源装置28bは、中心部の光源装置28に属し、横断面Wpの周方向に光源装置28a,28cの間に位置し、かつ径方向に光源装置28a,28bに対して最小距離の中心部の光源装置28になっている。
図11Bにおいて、Deは、横断面Wpの円形の周囲輪郭と円周配列の光源装置28(例:光源装置28a,28c)の中心光軸Oaと間の横断面Wpの面方向の距離である。Dfは、円周配列の光源装置28のうち、周方向に隣接する光源装置28間の横断面Wpに平行な平面方向の距離である。
図11Bでは、個別照射パターンWla,個別照射パターンWlcが、径方向外側に横断面Wpの円周の輪郭線を超えている部分(以下、「越境部分」という。)を有している。
本願発明の流体殺菌装置1では、De≦Rlの関係に設定されている。これにより、越境部分の面積が減少し、円周配列の光源装置28から紫外光の無駄な照射が抑制される。なお、処理室23内の紫外光の実際の照射では、個別照射パターンWlbは、中心部の光源装置28bからのものであるため、越境部分は有しない。
横断面Wpの各部位について、個別照射パターンWlの重なり数を定義する。横断面Wpでは、横断面Wp上の各部位の個別照射パターンWlの重なり数が0〜3になるように設定されている。横断面Wp上で複数の個別照射パターンWlが重なっている領域は、放射照度が重なり数に相当する分だけ増大する。
図11Bにおいて、Acは、中心Cpから半径0.9×Rpの円領域(以下、「コア照射領域」ともいう。)を示している。コア領域Acの任意の部位は、必ずいずれかの光源装置28からの個別照射パターンWlに属し、個別照射パターンWlの重なり数が0となることはない。そして、コア領域Acの紫外光の放射照度は、最小放射照度Imi以上が確保される。
具体的には、Ds≦Dmin≦Rlの関係が設定されている。これにより、コア領域Acにおける紫外光の照射漏れ部分を確実に回避することができる。さらに、流体殺菌装置1では、反射面が自由曲面のリフレクタ30,50が装備されることにより、放射照度分布の一様化及び十分な放射照度領域の到達長さが一層改善することができる。
図11Bでは、De≦Rlの関係が設定されている。これにより、円周配列の光源装置28から出射する紫外光が、円周方向に重なって、必要以上に高放射照度になることが防止される。すなわち、LED光源29の消費電力の無駄が抑制される。
[変形例]
図12は、本発明の変形例を表す流体殺菌装置101の外観斜視図である。図13は、流体殺菌装置101の分解斜視図である。流体殺菌装置101は、上述した実施形態の流体殺菌装置1(図1〜図3)と同様に、軸方向に順番に筒状筐体2、石英窓3、固定ブラケット4、リフレクタ装置5、光源基板6及びヒートシンク7を備える。図12〜14において、流体殺菌装置1についての図1〜図3と同様の箇所には同一の符号を付した。
図12は、本発明の変形例を表す流体殺菌装置101の外観斜視図である。図13は、流体殺菌装置101の分解斜視図である。流体殺菌装置101は、上述した実施形態の流体殺菌装置1(図1〜図3)と同様に、軸方向に順番に筒状筐体2、石英窓3、固定ブラケット4、リフレクタ装置5、光源基板6及びヒートシンク7を備える。図12〜14において、流体殺菌装置1についての図1〜図3と同様の箇所には同一の符号を付した。
流体殺菌装置101において、図1〜図3の流体殺菌装置1と相違する点は、湾曲部115及び整流板19a,19bである。湾曲部115は、傾斜部15(図1〜図3)が円錐側面状に形成されているのに対して、膨出面状に形成され、円筒部12の軸方向の他端側を閉鎖している。流体殺菌装置101の処理対象の流体は、図示していないポンプの作動により入口17から筒状筐体2内の収容空間に導入され、導入された流体は、整流板19a,19bを通過する際に軸方向に平行な流れに整流されるようになっている。
本変形例においては、処理室23は、筒状筐体2内において、軸方向に石英窓3の流体接触側の端面と整流板19bの下流側の端面との間を占める。導入部24は、筒状筐体2内において、軸方向に整流板19bの下流側の端面と入口17との間を占める。処理室23及び導入部24は、筒状筐体2内における流体の収容空間を構成する。なお、処理室23とは、筒状筐体2内の流動体の収容空間において横断面を定義した場合に、該横断面の総面積に対して、各部位流動体の軸方向の成分速度/径方向の速度成分の比が所定値以上になっている領域の面積が所定値以上(例:70%、80%又は90%等)になっているとき、該横断面は処理室23に属するものとして、定義することができる。
収容空間に導入される処理対象の流体は整流板の作用によって整流される。この変形例によれば、紫外光出射部からの紫外光を、流速が比較的均一になっている流体に照射することができ、紫外光の放射照度分布の一様性が向上した紫外光出射部と合わせて、より一層の殺菌効果の向上が図られる。
実施形態の流体殺菌装置1では、紫外光出射部26は、処理室23に対して軸方向の一端側に配置されている。本発明では、入口管11を出口管14と同様に、筒状筐体2が円筒部12から軸方向ではなく、径方向へ延出するようにして、紫外光出射部26は、処理室23に対して軸方向の他端側に配置することもできる。
図1の流体殺菌装置1では、横断面Wpは、処理室23の軸方向の中心に設定されている。しかし、本発明の横断面Wpは、処理室23の軸方向の中心に設定しなくてもよい。処理室23、又は筒状筐体2の流体の収容空間を軸方向に3つに等分割して、横断面Wpは、中央の分割部分に属するように、設定することもできる。
本発明における処理室とは、例えば、殺菌対象の流体が軸方向に流れる円筒部12内部の空間を言う。本発明では、横断面Wpは、処理室を軸方向に3等分割して、中央の等分割部分に設定するので、処理室の軸方向の両端が多少ずれても、中央の等分割部分に収まっていれば、十分である。
実施形態の流体殺菌装置1では、各LED光源29の強度(輝度)は、相互に等しくなっている。しかし、本発明では、光源の強度は、相互に等しくしなくてもよい。例えば、周辺部の光源と中心部の光源とで強度に差を付けてもよい。
実施形態の流体殺菌装置1では、全部の光源装置28により横断面Wpに生成される全体照射パターンは、回転対称の照射パターンとなるように、紫外光出射部26における光源装置28の個数及び分布が設定されている。図12では、リフレクタ装置5の周輪郭に沿って周方向に円周配列される複数のリフレクタ30は、θaの等角度間隔の配列となっている。したがって。図12の例では、n=360/θaとしたとき、n回対称の照射パターンとなる。
実施形態の流体殺菌装置1では、横断面Wpは円形である。本発明では、横断面Wpを正多角形に設定することも可能である。
石英窓3は、本発明の透明窓の一例である。透明窓は、流体に対する耐性を保証でき、かつ紫外光の所定の透過度を確保できるものであれば、石英以外の材料にすることができる。
実施形態の流体殺菌装置1では、殺菌対象の流体は、入口管11を経て筒状筐体2の内部の流体の収容空間に導入され、出口管14を経て該収容空間から導出される。流体殺菌装置1の変形例(本発明に包含される。)では、出口管14を入口管として、また、入口管11を出口管としてそれぞれ使用し、流体を石英窓3側から入口管11側に逆向きに流すこともできる。
流体殺菌装置1におけるLED光源29は、半導体光源の一例である。本発明は、光源装置の光源として、半導体光源以外や、LED光源29以外の半導体光源を用いることもできる。
1・・・流体殺菌装置、2・・・筒状筐体、19a,19b・・・整流板、23・・・処理室、26・・・紫外光出射部、28,48・・・光源装置、29・・・LED光源(光源)、30,50・・・リフレクタ、31b,51b・・・内側反射部、31c,51c・・・外側反射部、33・・・開口。
Claims (10)
- 殺菌対象の流体が軸方向に流れる処理室を内部に有する筒状筐体と、
前記筒状筐体の前記処理室の一端側に配置された紫外光出射部を備え、
前記紫外光出射部は、少なくとも一つの光源装置を備え、
前記光源装置は、
紫外光を出射する光源と、
前記光源が配置された底部、前記底部の周縁から前記処理室に向かって径が大きくなる形状を有する筒部及び前記処理室側の端部が開口部となっているリフレクタを含み、
前記リフレクタは前記光源から出射される紫外光を反射して前記処理室へ向ける流体殺菌装置。 - 前記処理室の前記軸方向の中間位置Lpにおける前記処理室の前記軸方向に垂直な横断面Wpと、該横断面Wpの中心Cpと、該横断面Wp上で前記中心Cpから最遠方点までの距離Rpとを定義したとき、
前記横断面Wp上で前記中心Cpから半径0.9×Rpまでの円領域Acでは、前記紫外光の放射照度は、前記流体の殺菌に必要な放射照度として予め設定した最小放射照度以上が確保されるように、前記光源装置の個数、配置及び発光強度の少なくとも1つが設定されている請求項1に記載の流体殺菌装置。 - 前記中間位置Lpは、前記筒状筐体の内部における前記流体の収容空間を前記軸方向に3等分割したときに、中央の分割部分に含まれる位置である請求項2に記載の流体殺菌装置
流体殺菌装置。 - 各光源装置からの前記紫外光が、前記横断面Wp上に生成する個別照射パターンは、径方向に内側の内側パターン部と外側の外側パターン部とに分割され、
各リフレクタの前記筒部は、前記底部側の内側反射部と前記開口部側の外側反射部とに分割され、
前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記内側パターン部及び前記外側パターン部の一方及び他方を生成する請求項2又は3に記載の流体殺菌装置。 - 前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記内側パターン部及び前記外側パターン部を生成し、
前記内側反射紫外光及び前記外側反射紫外光は、共に、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側で前記光源の光軸と交差し、
前記内側反射紫外光が前記光軸と交差する位置は、前記外側反射紫外光が前記光軸と交差する位置よりも前記横断面Wpに近い位置になるように、前記内側反射部及び前記外側反射部の曲面が形成されている請求項4に記載の流体殺菌装置。 - 前記内側反射部で反射した内側反射紫外光及び前記外側反射部で反射した外側反射紫外光がそれぞれ前記外側パターン部及び前記内側パターン部を生成し、
前記内側反射紫外光は、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側で前記光源の光軸と交差し、前記外側反射紫外光は、前記横断面Wpより前記紫外光出射部側では前記光軸と交差しないように、前記内側反射部及び前記外側反射部の曲面が形成されている請求項4に記載の流体殺菌装置。 - 前記リフレクタの前記筒部の反射面は、回転対称の形状で形成されている請求項2〜6のいずれか1項に記載の流体殺菌装置。
- 前記横断面Wpは、円形であり、
各光源装置からの前記紫外光が前記横断面Wpにおいて生成する個別照射パターンは、半径Rlの円形の個別照射パターンであり、
各光源装置の前記リフレクタの前記開口部の直径をDs、及び前記紫外光出射部において任意の前記光源装置について該光源装置から前記横断面Wpに対して平行な配置面内で最接近距離にある光源装置までの距離をDminとしたとき、
Ds≦Dmin≦Rlの関係に設定されている請求項2〜7のいずれか1項に記載の流体殺菌装置。 - 前記横断面Wpは、半径Rpの円形の周囲輪郭であり、
各光源装置からの前記紫外光が前記横断面Wpにおいて生成する個別照射パターンは、半径Rlの円形の個別照射パターンであり、
前記横断面Wpの径方向の最も外側に個別照射パターンを生成する複数の光源装置は、前記紫外光出射部においてそれらの中心を所定の円周上に置いて等角度間隔で配列された円周配列の光源装置として配置され、
前記横断面Wpの円形の周囲輪郭と前記円周配列の光源装置の中心と間の前記横断面Wpの径方向の距離をDeとしたとき、
De≦Rlの関係に設定されている請求項2〜8のいずれか1項に記載の流体殺菌装置。 - 前記円周配列の光源装置において周方向に相互に隣接する光源装置が、前記横断面Wpに平行な面方向の距離をDfとしたとき、
Df≦Rlの関係に設定されている請求項9に記載の流体殺菌装置。
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