JP2020037121A - 金属製部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】横板部と縦板部とを有し、縦板部に精密加工部が設けられた金属製部品を、精密加工部の精度を低下させることなく効率的に製造することができる金属製部品の製造方法を提供する。【解決手段】金属製部品の製造方法を、金属板Mにおける縦板部52となる部分に精密加工部52aを形成する精密加工部形成工程と、精密加工部形成工程を終えた金属板Mをパンチ31及びダイ32によるプレス加工によって略直角に折り曲げて縦板部52を形成するプレス加工工程とを経るものとし、プレス加工工程で用いるパンチ31を、そのパンチ肩部(金属板Mにおける縦板部52となる部分を押圧する箇所)にローラー31bが設けられたものとすることで、プレス加工工程において、ローラー31bが金属板Mに当接して回転しながら金属板Mをプレス加工するようにした。【選択図】 図9
Description
本発明は、ネジ穴等の精密加工部を有する金属製部品を製造するための金属製部品の製造方法に関する。
自動車等のパーツに使用される金属製部品のなかには、図1に示すように、横板部51と、横板部51に略垂直な一対の縦板部52とを有する溝形の金属製部品50であって、その縦板部52にネジ穴52aが設けられたものがある。
この種の溝形の金属製部品50は、図2(a)に示すように、金属製部品50の材料である金属板Mをダイ102の上面に乗せ、図2(b)及び図2(c)に示すように、パンチ101で金属板Mの両端部を略直角に折り曲げて縦板部52を形成することによって製造される。縦板部52のネジ穴52a(図1を参照。)は、通常、パンチ101とダイ102によるプレス加工によって金属板Mを溝形にした後で加工される。というのも、平板状の金属板Mにネジ穴52aを加工してから、その金属板Mにプレス加工を施すようにすると、図2(b)に示すように、パンチ101の肩部101a(パンチ101における金属板Mに当接して金属板Mを押圧する部分。以下同じ。)が金属板Mに当接したときの衝撃で縦板部52の付け根付近に形成されるショックラインS(図1を参照。)の影響によって、ネジ穴52aが変形し、ネジ穴52aにネジを螺合することができなくなるおそれがあるからである。この傾向は、金属板Mの板厚が大きい場合に特に顕著に表れる。この点、金属板Mにプレス加工を施して溝形とした後でネジ穴52aを加工するようにすれば、ネジ穴52aの変形を防ぐことができる。
しかし、溝形に形成された金属板Mの縦板部52にネジ穴52aを加工することは容易ではない。というのも、ネジ穴52aを加工する際には、図3(a)に示すように、事前に下穴52a1を空けるとともに、下穴52a1の両側の開口端部にネジ穴52aを加工する際のバリを防止するための座繰り加工が施されることが一般的である。下穴52a1の精度はネジ穴52aの精度に影響するため、通常、下穴52a1の加工及び座繰り加工もプレス加工後に行われる。ところが、溝形に形成された金属板Mにおいて、下穴52a1の内側の開口端部に座繰り加工を施そうとすると、図3(a)に示すように、一方の下穴52a1にドリル軸201を通した後、図3(b)に示すように、そのドリル軸201の端部に座繰りドリル202を取り付け、図3(c)に示すように、ドリル軸201を他方の下穴52a1の内側の開口端部に押し付けながら座繰りドリル202を回転させる必要があり、これを、それぞれの縦板部52の下穴52a1に対して行う必要があるからである。このため、このようなネジ穴52aの加工を連続生産によって行うことは極めて困難であり、生産性向上の大きな障害となっていた。また、上記のような座繰り加工が不要な場合や、縦板部52が横板部51の一端側にのみ設けられている場合でも、プレス加工後の金属板Mの縦板部52にネジ穴52aを加工するためには、工具や加工台に横板部51が干渉しないように金属板Mの向きを変える等の必要があり、やはり効率的な生産が困難な状況となっていた。
この点、特許文献1には、同文献の図3に示されるように、ネジ穴6aを予め加工された金属プレート6を、プレス加工によって折曲線6c及び折曲線6dで折り曲げて、同文献の図1に示されるようなパイプ体1を製造する方法が記載されている。プレス加工前の金属プレート6におけるネジ穴6aの近傍には、ビード加工により形成された塑性変形部6f(同文献の図3を参照。)が設けられており、プレス加工の際には、金属プレート6に加えられる外力がこの塑性変形部6fに集まるため、ネジ穴6aの変形を防止することができるとされている。
しかし、特許文献1に記載の方法を使用した場合には、プレス加工前の金属プレート6にビード加工を施さなければならず、工程数が増えて生産効率が低下するという問題が生じる。また、製造しようとする金属製部品の板厚が大きい場合や、縦板部の寸法が小さい場合には、塑性変形部6fを設けるためのビード加工を施すことが容易ではないため、かえって手間がかかってしまうという問題もある。さらに、製造しようとする金属製部品の設計要件によっては、そもそも塑性変形部6fを設けることができないという問題もある。
本発明は、前記課題を解決するために為されたものであり、横板部と縦板部とを有し、縦板部に精密加工部(上記のネジ穴52aのように、寸法や形状に比較的高い精度が要求される加工部分。以下同じ。)が設けられた金属製部品を、精密加工部の精度を低下させることなく、効率的に製造することができる金属製部品の製造方法を提供するものである。
前記課題は、
横板部と、横板部と略直角を成すように横板部の端部から起立する縦板部とを有し、当該縦板部に精密加工部が設けられた金属製部品を製造するための金属製部品の製造方法であって、
平板状の金属板における前記縦板部となる部分に精密加工部を形成する精密加工部形成工程と、
精密加工部形成工程を終えた金属板を、パンチ及びダイで構成されるプレス用金型を用いたプレス加工によって略直角に折り曲げて、前記縦板部を形成するプレス加工工程と
を経るとともに、
プレス加工工程で使用するプレス用金型として、パンチにおける、前記縦板部となる部分を押圧するパンチ肩部にローラーが設けられたものを用い、
プレス加工工程において、前記ローラーが金属板に当接して回転しながら金属板をプレス加工するようにした
ことを特徴とする金属製部品の製造方法
を提供することによって解決される。
横板部と、横板部と略直角を成すように横板部の端部から起立する縦板部とを有し、当該縦板部に精密加工部が設けられた金属製部品を製造するための金属製部品の製造方法であって、
平板状の金属板における前記縦板部となる部分に精密加工部を形成する精密加工部形成工程と、
精密加工部形成工程を終えた金属板を、パンチ及びダイで構成されるプレス用金型を用いたプレス加工によって略直角に折り曲げて、前記縦板部を形成するプレス加工工程と
を経るとともに、
プレス加工工程で使用するプレス用金型として、パンチにおける、前記縦板部となる部分を押圧するパンチ肩部にローラーが設けられたものを用い、
プレス加工工程において、前記ローラーが金属板に当接して回転しながら金属板をプレス加工するようにした
ことを特徴とする金属製部品の製造方法
を提供することによって解決される。
本発明の金属製部品の製造方法は、プレス加工工程において金属板をプレス加工する際に、パンチ肩部に設けられたローラーが金属板に当接して回転するものであるため、ショックラインができにくい状態で金属板を略直角に折り曲げることができるものとなっている。このため、先に縦板部となる部分に精密加工部を形成し、その後でプレス加工によって金属板を折り曲げるようにしても、精密加工部が変形しにくいようにすることができる。
本発明の金属製部品の製造方法においては、パンチ肩部にローラーを回転可能に支持するためのローラー支持構造は特に限定されず、ローラーに軸を設けてこれをローラーの両端から支持するようにしてもよいし、ローラーの中途部分に設けた周回溝に円弧上の切欠を有する支持板を嵌合し、この周回溝部分を支持板で支持するようにしてもよい。しかし、このような構造を採用した場合には、ローラーが軸や点で支えられるようになるため、板厚が大きい金属板や、剛性が高い金属板等をプレス加工しようとしてローラーに大きな力がかかると、ローラーが変形したり、これらのローラー支持構造が破損したりするおそれがある。このため、プレス加工工程で使用するプレス用金型としては、前記ローラーの外径と略一致する内径を有する円筒溝がパンチ肩部に設けられ、前記ローラーの外周面における一部の周回区間が露出する状態で前記ローラーが円筒溝内に保持されることで、前記ローラーの外周面が円筒溝の内周面に摺接しながら前記ローラーが回転するようにしたものを用いると好ましい。これにより、ローラーが円筒溝の内周壁によって面で支えられるようになり、ローラーに大きな力がかかったとしても、ローラーが変形しにくくすることができる。また、ローラーを支持するためのローラー支持構造がシンプルな円筒溝であるため、ローラーに大きな力がかかった際にもローラー支持構造が破損しにくいようになっている。さらに、円筒溝は加工が容易であるため、プレス用金型の製作にかかるコストと手間を削減することもできる。
ところで、上記のような円筒溝内にローラーを保持するようにした場合には、ローラーが回転する際に、ローラーの外周面が円筒溝の内周面と摺り合わされるようになる。すると、その摺り合わされた箇所で摩擦熱が発生し、この摩擦熱によってローラーの表面や円筒溝の表面が溶けて互いに付着してしまう、いわゆる「焼き付き」と呼ばれる現象が起こる可能性もある。この焼き付きが起こると、ローラーの表面に凹凸ができてしまい、ひいては金属製部品の表面に傷を付けてしまうことにもなる。このような焼き付きは、特に、同種の金属部材同士が摺り合わされたときに起こりやすい。このため、本発明の金属製部品の製造方法においては、プレス加工工程で使用するプレス用金型として、前記ローラーが、パンチの本体部とは異なる金属で形成されたものを用いることが好ましい。これにより、上記の焼き付きが起こりにくくすることができる。
本発明の金属製部品の製造方法におけるプレス加工工程においては、金属板を1箇所だけで折り曲げて1つの縦板部を形成するようにしてもよい。しかし、プレス加工工程において、金属板の2箇所をプレス加工することで、横板部の両端部から同方向に起立する一対の縦板部を有する溝形の金属製部品を製造することもできるようにすると好ましい。というのも、前述したように、金属製部品を溝形に形成してから精密加工部を加工しようとすると非常に手間がかかってしまうところ、本発明の金属製部品の製造方法を用いると、溝形の金属製部品でも先に精密加工部を形成してから金属板を折り曲げることができるため、本発明に係る構成を採用する意義が高まるからである。さらに、プレス加工工程においては、金属板の3箇所以上を折り曲げられるようにしてもよい。
本発明の金属製部品の製造方法におけるプレス加工工程においては、金属板を1回のプレス加工によって一気に略直角となるまで折り曲げるようにすることもできる。しかし、プレス加工工程を、金属板を直角よりも緩やかな角度に折り曲げる予備プレス工程と、予備プレス工程を終えた金属板を略直角に折り曲げる本プレス工程とで構成することが好ましい。これにより、精密加工部をより変形しにくくすることができる。この場合、前記ローラーは、本プレス工程で用いられるパンチに設けるとよい。予備プレス工程を設けることで精密加工部をより変形しにくくできる理由については、後で詳しく説明する。
本発明の金属製部品の製造方法を用いて金属製部品を製造する場合、金属製部品の材料となる金属板は、その厚さを特に限定されない。しかし、金属板の板厚が1mm以上である場合に本発明の金属製部品の製造方法を用いると、本発明の意義がより高まるため好ましい。というのも、金属板の板厚が大きくなればなるほど、金属板をプレス加工する際にショックラインが形成されやすくなり、精密加工部がより変形しやすくなるところ、本発明の金属製部品の製造装置を用いることで、ショックラインが形成されにくい状態で金属板を折り曲げることができるからである。
本発明の金属製部品の製造方法における精密加工部形成工程において金属板に形成される精密加工部は、その寸法や形状にある程度高い精度が要求されるものであれば、その具体的な構造を特に限定されない。このような精密加工部としてはネジ穴が例示される。ネジ穴は、金属製部品において多用されるにもかかわらず、高い精度が要求されることが多いものであるため、ネジ穴を有する金属製部品を製造する際に本発明の金属製部品の製造方法を用いると、金属製部品の製造効率を高めることができるため好ましい。
以上のように、本発明によって、横板部と縦板部とを有し、縦板部に精密加工部が設けられた金属製部品を、精密加工部の精度を低下させることなく、効率的に製造することができる金属製部品の製造方法を提供することが可能になる。
1.概要
本発明の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図4は、本発明の金属製部品の製造方法で製造された溝形の金属製部品50を示した斜視図である。図4に示す金属製部品50は、横壁部51と、一対の縦壁部52とを有しており、一対の縦壁部52には、それぞれ、ネジ穴52aが設けられている。横壁部51の中央付近には、後述するプレス加工工程において位置決めに用いられる位置決め穴53が設けられている。また、横壁部51と縦壁部52との境界部には、プレス加工の際にネジ穴52aが変形することを防止する逃し穴54が設けられている。
本発明の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図4は、本発明の金属製部品の製造方法で製造された溝形の金属製部品50を示した斜視図である。図4に示す金属製部品50は、横壁部51と、一対の縦壁部52とを有しており、一対の縦壁部52には、それぞれ、ネジ穴52aが設けられている。横壁部51の中央付近には、後述するプレス加工工程において位置決めに用いられる位置決め穴53が設けられている。また、横壁部51と縦壁部52との境界部には、プレス加工の際にネジ穴52aが変形することを防止する逃し穴54が設けられている。
本実施態様において、金属製部品50は、図4に示すように溝形となっているが、本発明の金属製部品の製造方法は、溝形の金属製部品を製造するものに限定されない。本発明の金属製部品の製造方法では、L字型や、ハット型等、他の形態の金属製部品を製造することもできる。
本実施態様の金属製部品の製造方法は、金属製部品50の材料である平板状の金属板Mにネジ穴52aを形成する精密加工部形成工程と、精密加工部形成工程を終えた金属板Mをプレス加工によって溝形に折り曲げるプレス加工工程とで構成されている。以下、これらの各工程について詳しく説明する。
2.精密加工部形成工程
精密加工部形成工程は、金属製部品50の材料である平板状の金属板Mにおける縦壁部52となる部分に、精度が要求される加工部分である精密加工部52aを形成する工程である。図5は、本発明の金属製部品の製造方法における精密加工部形成工程を終えた状態の金属板Mを示した斜視図である。図5における曲げ線Lは、後のプレス加工工程において金属板Mが折り曲げられる位置(すなわち、横壁部51と縦壁部52との境界線となる位置)を示している。
精密加工部形成工程は、金属製部品50の材料である平板状の金属板Mにおける縦壁部52となる部分に、精度が要求される加工部分である精密加工部52aを形成する工程である。図5は、本発明の金属製部品の製造方法における精密加工部形成工程を終えた状態の金属板Mを示した斜視図である。図5における曲げ線Lは、後のプレス加工工程において金属板Mが折り曲げられる位置(すなわち、横壁部51と縦壁部52との境界線となる位置)を示している。
精密加工部52aは、その寸法や形状に比較的高い精度が要求される加工部分であれば、その具体的な種類を特に限定されないが、金属板Mの表面から突出する部分が無いものであることが好ましい。というのも、金属板Mの表面から突出する部分があると、当該部分が、後に行うプレス加工の妨げとなるおそれがあるからである。このような精密加工部52aとしては、ネジ穴や、特定の形状を有する凹部又は貫通孔等が挙げられる。本実施態様における精密加工部52aは、図5に示すように、ネジ穴としている。
精密加工部形成工程において、ネジ穴52aを形成する方法は特に限定されないが、通常はタップ加工が用いられる。本実施態様においては、前述したように、縦壁部52となる部分にドリル加工によって下穴52a1(図3を参照。)を開け、下穴52a1の両側の開口端部に座繰り加工を施したうえで、タップ加工を行うことによってネジ穴52aを形成している。ドリル加工や座繰り加工やタップ加工は、一つ一つ手作業で行うこともできるが、順送装置等を用いて自動で行うようにすると、生産効率を飛躍的に高めることができるだけでなく、ネジ穴52aの精度を高めることもできるため好ましい。ところが、仮に、精密加工部形成工程をプレス加工工程の後に行うことにした場合には、横壁部51から起立した縦壁部52(図4を参照。)にネジ穴52aを形成することになるため、順送装置等を用いて自動でドリル加工や座繰り加工やタップ加工を行うことが非常に困難になる。この点、本発明の金属製部品の製造方法においては、プレス加工工程を行うよりも前に精密加工部形成工程を行うことができるため、順送装置を用いて自動でドリル加工や座繰り加工やタップ加工を行いやすくなっている。
本実施態様における精密加工部形成工程では、図5に示すように、ネジ穴52aの加工に加えて、位置決め穴53及び逃し穴54の加工も行われる。位置決め穴53及び逃し穴54は、通常、ドリルやパンチを用いて加工される。位置決め穴53及び逃し穴54の加工についても、ネジ穴52aの加工と同様、順送装置等を用いて自動で行うようにすると好ましい。
精密加工部形成工程において精密加工部を形成される金属板Mの形状は、矩形に限定されず、金属製部品50の形態に応じて適宜決定することができる。金属板Mの板厚についても特に限定されないが、既に述べたように、金属板Mの板厚が大きくなればなるほど、金属板Mをプレス加工する際にネジ穴52aがより変形しやすくなるため、本発明の金属製部品の製造方法を用いる意義が高まる。このため、金属板Mの板厚t(図5を参照。)は、1mm以上とすると好ましい。板厚tは、1.5mm以上とするとより好ましく、2mm以上とするとさらに好ましい。しかし、板厚tを大きくしすぎると、プレス加工によって折り曲げること自体が難しくなるおそれがある。このため、板厚tは、通常10mm程度までとされる。本実施態様における金属板Mの板厚tは、2.5mm程度となっている。
3.プレス加工工程
プレス加工工程は、精密加工部形成工程を終えた金属板Mをプレス加工によって折り曲げる工程である。本実施態様においては、このプレス加工工程によって、金属板Mが図5に示す平板状の状態から図4に示す溝形の状態へと変形される。本実施態様において、プレス加工工程は、予備プレス工程と本プレス工程とで構成されており、このうち予備プレス工程は、第一予備プレス工程と第二予備プレス工程とで構成されている。予備プレス工程及び本プレス工程は、後述するように、順送装置を用いて連続して行われる。
プレス加工工程は、精密加工部形成工程を終えた金属板Mをプレス加工によって折り曲げる工程である。本実施態様においては、このプレス加工工程によって、金属板Mが図5に示す平板状の状態から図4に示す溝形の状態へと変形される。本実施態様において、プレス加工工程は、予備プレス工程と本プレス工程とで構成されており、このうち予備プレス工程は、第一予備プレス工程と第二予備プレス工程とで構成されている。予備プレス工程及び本プレス工程は、後述するように、順送装置を用いて連続して行われる。
図6は、本発明の金属製部品の製造方法におけるプレス加工工程で用いるプレス用金型の主要部分を示した斜視図である。図7は、本発明の金属製部品の製造方法における第一予備プレス工程で金属板Mをプレス加工する様子を示した図である。図8は、本発明の金属製部品の製造方法における第二予備プレス工程で金属板Mをプレス加工する様子を示した図である。図9は、本発明の金属製部品の製造方法における本プレス工程で金属板Mをプレス加工する様子を示した図である。なお、図7〜図9においては、前述した逃し穴54(図4を参照。)の図示を省略している。
以下、予備プレス工程及び本プレス工程のそれぞれについて説明する。
3.1 予備プレス工程
予備プレス工程は、精密加工部形成工程を終えた金属板Mを、直角よりも緩やかな角度に折り曲げる工程となっている。この予備プレス工程を設けることにより、後で詳しく説明するように、プレス加工時にネジ穴52aが変形しにくいようにすることができるようになっている。本実施態様における予備プレス工程は、図6に示す第一予備プレス用パンチ11及び第一予備プレス用ダイ12を用いて、金属板Mを略30度まで折り曲げる第一予備プレス工程と、図6に示す第二予備プレス用パンチ21及び第二予備プレス用ダイ22を用いて、第一予備プレス工程を経た金属板Mをさらに略60度まで折り曲げる第二予備プレス工程との2つの工程で構成される。
予備プレス工程は、精密加工部形成工程を終えた金属板Mを、直角よりも緩やかな角度に折り曲げる工程となっている。この予備プレス工程を設けることにより、後で詳しく説明するように、プレス加工時にネジ穴52aが変形しにくいようにすることができるようになっている。本実施態様における予備プレス工程は、図6に示す第一予備プレス用パンチ11及び第一予備プレス用ダイ12を用いて、金属板Mを略30度まで折り曲げる第一予備プレス工程と、図6に示す第二予備プレス用パンチ21及び第二予備プレス用ダイ22を用いて、第一予備プレス工程を経た金属板Mをさらに略60度まで折り曲げる第二予備プレス工程との2つの工程で構成される。
第一予備プレス工程においては、まず、図7(a)に示すように、精密加工部形成工程を終えた金属板Mを第一予備プレス用ダイ12の上面に乗せる。このとき、金属板Mに設けられた位置決め穴53を、第一予備プレス用ダイ12の上面に設けられた位置決めピン12aに通すようにする。これにより、第一予備プレス用パンチ11及び第一予備プレス用ダイ12に対する金属板Mの位置を合わせて、金属板Mを正確に曲げ線L(図5を参照。)の位置で折り曲げることができるようになっている。次に、ストリッパ40を下降させて、金属板Mの中央部分(金属板Mにおける、横壁部51(図4を参照。)となる部分。以下同じ。)を第一予備プレス用ダイ12の上面に押し付けるようにする。これにより、第一予備プレス用パンチ11によって金属板Mの両端部分(金属板Mにおける、縦壁部52(図4を参照。)となる部分。以下同じ。)をプレスした際に、金属板Mの中央部分が第一予備プレス用ダイ12から浮き上がることを防止することができる。最後に、図7(b)に示すように、金属板Mに向かって第一予備プレス用パンチ11を下降させて、金属板Mを折り曲げると、第一予備プレス工程が完了する。第一予備プレス工程終了時における金属板Mの曲げ角である第一予備曲げ角θp1は、略30度となっている。第一予備プレス工程が完了すると、次の第二予備プレス工程に移行する。
第二予備プレス工程においては、第一予備プレス工程を終えた金属板Mを、図8(a)に示すように、第二予備プレス用ダイ22の上面に乗せ、図8(b)に示すように、第二予備プレス用パンチ21を下降させることによって、第一予備プレス工程と同じ位置で折り曲げる。第二予備プレス工程終了時における金属板Mの曲げ角である第二予備曲げ角θp2は、略60度となっている。金属板Mの位置決め穴53に位置決めピン22aを通す点や、ストリッパ40で金属板Mの中央部分を押さえる点については、第一予備プレス工程と同様である。第二予備プレス工程が完了すると、予備プレス工程が終了する。
本実施態様における予備プレス工程は、2回のプレス加工によって金属板Mを略60度まで折り曲げるものとなっているが、予備プレス工程において行うプレス加工の回数は、1回だけであってもよい。しかし、予備プレス工程において行うプレス加工の回数を複数回とすると、より効果的にネジ穴52aの変形を防止することができるため好ましい。予備プレス工程において行うプレス加工の回数は、3回以上としてもよいが、プレス加工の回数が多くなりすぎると、多くのパンチ及びダイを用意する必要があるため、金型の製作にかかるコストが大きくなってしまう。このため、予備プレス工程において行うプレス加工の回数は、5回以下とすると好ましく、3回以下とするとより好ましい。
予備プレス工程において金属板Mをどの程度まで折り曲げるかについては、特に限定されない。しかし、予備プレス工程において金属板Mをより大きく折り曲げておくと、後に続く本プレス工程において、パンチ肩部(ローラー31b)が金属板Mに対してより緩やかな角度で当接するようになるため、ショックラインSがより形成されにくくすることができる。このため、予備プレス工程終了時における金属板Mの曲げ角である予備曲げ角θp(本実施態様においては、上記の第二予備曲げ角θp2に一致する。)は、30度以上とすると好ましく、45度以上とするとより好ましい。一方、予備曲げ角θpを大きくしすぎると、予備プレス工程において金属板Mが略直角近くまで折れ曲がってしまい、予備プレス工程でショックラインSが形成されてしまうおそれがある。このため、予備曲げ角θpは、80度以下とすると好ましく、70度以下とするとより好ましい。本実施態様においては、予備曲げ角θpを60度としている。予備プレス工程において複数回のプレス加工を行う場合に、それぞれのプレス加工で金属板Mをどの程度まで折り曲げるのかについても特に限定されないが、それぞれのプレス加工で金属板Mを折り曲げる角度は、通常、予備プレス工程におけるプレス加工の回数で予備曲げ角θpを割った角度とされる。
3.2 本プレス工程
本プレス工程は、予備プレス工程を終えた金属板Mを略直角となるまで折り曲げる工程となっている。本実施態様における本プレス工程は、図6に示す本プレス用パンチ31及び本プレス用ダイ32を用いて、予備プレス工程を終えた金属板Mを略直角に折り曲げるものとなっている。
本プレス工程は、予備プレス工程を終えた金属板Mを略直角となるまで折り曲げる工程となっている。本実施態様における本プレス工程は、図6に示す本プレス用パンチ31及び本プレス用ダイ32を用いて、予備プレス工程を終えた金属板Mを略直角に折り曲げるものとなっている。
本プレス工程においては、予備プレス工程を終えた金属板Mを、図9(a)に示すように、本プレス用ダイ32の上面に乗せ、図9(b)に示すように、本プレス用パンチ31を下降させることによって、予備プレス工程と同じ位置で略直角に折り曲げる。このとき、本プレス用パンチ31のパンチ肩部に設けられたローラー31bが、金属板Mの上面に当接して回転しながら金属板Mを押圧するようになっている。これにより、ネジ穴52aが変形しにくい状態で、金属板Mを略直角に折り曲げることができる。というのも、プレス加工時におけるネジ穴52aの変形は、前述したように、パンチ肩部が金属板Mに当接した際の衝撃によって形成されるショックラインS(図1を参照。)の影響によって起こるところ、本プレス用パンチ31のパンチ肩部にローラー31bを設けることによって、本プレス用パンチ31から金属板Mに与えられる衝撃を小さくすることができるからである。金属板Mの位置決め穴53に位置決めピン32aを通す点や、ストリッパ40で金属板Mの中央部分を押さえる点については、予備プレス工程と同様である。本プレス工程が完了すると、溝形の金属製部品50が完成する。
図10は、本プレス工程で用いる本プレス用パンチ31を分解した様子を示した斜視図である。本プレス用パンチ31は、図10に示すように、パンチの本体部31aと、パンチ肩部に設けられたローラー31bとで構成されている。本プレス用パンチ31にローラー31bを支持するためのローラー支持構造は、その具体的な構成を特に限定されないが、本実施態様においては、本プレス用パンチ31のパンチ肩部に、ローラー31bの外径と略一致する内径を有する円筒溝31a1を設け、当該円筒溝31a1内にローラー31bを保持するようにしている。円筒溝31a1は、その内周壁がローラー31bの外周壁における180度以上の周回区間を覆うようになっている。このため、円筒溝31a1の側方から(図10におけるy軸方向から)円筒溝31a1内にローラー31bを挿入するだけで、ローラー31bを回転可能かつ脱落しない状態で円筒溝31a1内に保持することができるようになっている。これにより、ローラー支持構造をシンプルなものとして、本プレス用パンチ31の製作コストを抑えることができるとともに、本プレス用パンチ31が破損しにくいようになっている。
本プレス工程において金属板Mをプレス加工する際には、図9に示すように、ローラー31bの外周面における円筒溝31a1に覆われていない部分が金属板Mに当接して、回転しながら金属板Mを押圧する。ローラー31bが回転すると、ローラー31bの外周面が円筒溝31a1内での内周面と摺り合わされて、ローラー31bと円筒溝31a1との間で焼き付きが起こるおそれがあるところ、本実施態様においては、パンチの本体部31aと、パンチ肩部に設けられたローラー31bとを異なる種類の金属で形成しているため、焼き付きが起こりにくくなっている。さらに、最終製品である金属製部品50が潤滑油に触れても問題ないものである場合には、ローラー31bの表面に潤滑油を供給しながら本プレス工程を行うようにすると、焼き付きがより起こりにくいようにすることができる。この場合には、図10に示すように、円筒溝31a1の内周面に油溝31a2を形成するようにすると、ローラー31bの外周面全体に潤滑油を行き渡らせやすくなるため好ましい。油溝31a2は、その形状を特に限定されず、図10に示すような、円筒溝31a1の軸方向に垂直な円周状のもののほか、円筒溝31a1の内周面に沿った螺旋状のものや、網目状のもの等とすることができる。
ローラー31bを形成する金属は、その種類を特に限定されないが、通電可能な金属を用いると、ワイヤカットによりローラー31bを容易に加工できるため好ましい。また、ローラー31bを硬度の高い金属で形成するようにすると、ローラー31bの耐摩耗性を高めることができ、ローラー31bの寿命を長くすることができるため好ましい。具体的には、ローラー31bを形成する金属を、硬度がHRC60以上のものとすると好ましく、HRC64以上のものとするとより好ましい。ローラー31bを形成する金属は、硬度がHRA85以上のものとするとさらに好ましい。このような特徴を有する金属としては、いわゆる超硬合金や、ハイス鋼や、ダイス鋼等が挙げられる。超硬合金としては、炭化タングステンや、炭化チタンや、炭化タンタルを用いたものを採用することができる。ハイス鋼を採用する場合には、粉末ハイスと呼ばれる、粉末冶金法によって製造されるものを用いると、ローラー31bの耐磨耗性や靭性を高めることができるため好ましい。本実施態様においては、ローラー31bを、炭化タングステンを用いた超硬合金で形成しており、その硬度はHRA90程度となっている。
本プレス用パンチ31の本体部31aを形成する金属の種類も特に限定されないが、通常、ローラー31bを形成する金属よりも硬度の低いものが採用される。このような金属としては、ダイス鋼や特殊工具鋼等が挙げられる。本実施態様においては、ダイス鋼を採用しており、その硬度はHRC62程度となっている。特殊工具鋼を採用する場合には、耐摩耗性に優れた砲金を採用すると好ましい。
ローラー31bの半径r(図10を参照。)は、金属板Mの板厚t(図5を参照。)によっても異なり、特に限定されない。しかし、ローラー31bの半径rを小さくしすぎると、ローラー31bから金属板Mに加えられる衝撃が大きくなり、ショックラインSが形成されやすくなるおそれがある。このため、金属板Mの板厚tに対する、ローラー31bの径方向における断面の半径rの比r/tは、0.7以上とすると好ましい。比r/tは、1以上とするとより好ましく、1.2以上とするとさらに好ましい。一方、ローラー31bの半径rを大きくしすぎると、金属板Mにおける曲げ線L(図5を参照。)の近傍部分をしっかりとプレスしにくくなるため、スプリングバックが起こりやすくなるおそれがある。このため、比r/tは、10以下とすると好ましく、5以下とするとより好ましく、3以下とするとさらに好ましい。本実施態様における比r/tは、1.3程度となっている。
4.その他
予備プレス工程及び本プレス工程は、それぞれ別の装置を用いて行うこともできるが、本実施態様においては、前述したように、予備プレス工程及び本プレス工程を、同一の順送装置(図示省略)内で連続して行うようにしている。すなわち、図6においては、図示の都合上、第一予備プレス用パンチ11及び第一予備プレス用ダイ12と第二予備プレス用パンチ21及び第二予備プレス用ダイ22との間や、第二予備プレス用パンチ21及び第二予備プレス用ダイ22と本プレス用パンチ31本プレス用ダイ32との間を空けて表示しているが、実際には間を空けずに、これらのパンチ同士及びダイ同士を隣接させた状態で順送装置内に配しており、金属板Mが矢印Dの方向に順送されながら段階的に折り曲げられるようになっている。これにより、金属製部品50の製造効率を飛躍的に高めることができる。順送装置内における第一予備プレス用パンチ11及び第一予備プレス用ダイ12よりも上流側に、精密加工部52aを加工するための精密加工部加工装置をさらに設けて、精密加工部形成工程も同一の順送装置内で行うようにしてもよい。
予備プレス工程及び本プレス工程は、それぞれ別の装置を用いて行うこともできるが、本実施態様においては、前述したように、予備プレス工程及び本プレス工程を、同一の順送装置(図示省略)内で連続して行うようにしている。すなわち、図6においては、図示の都合上、第一予備プレス用パンチ11及び第一予備プレス用ダイ12と第二予備プレス用パンチ21及び第二予備プレス用ダイ22との間や、第二予備プレス用パンチ21及び第二予備プレス用ダイ22と本プレス用パンチ31本プレス用ダイ32との間を空けて表示しているが、実際には間を空けずに、これらのパンチ同士及びダイ同士を隣接させた状態で順送装置内に配しており、金属板Mが矢印Dの方向に順送されながら段階的に折り曲げられるようになっている。これにより、金属製部品50の製造効率を飛躍的に高めることができる。順送装置内における第一予備プレス用パンチ11及び第一予備プレス用ダイ12よりも上流側に、精密加工部52aを加工するための精密加工部加工装置をさらに設けて、精密加工部形成工程も同一の順送装置内で行うようにしてもよい。
本実施態様においては、プレス加工工程を、予備プレス工程と本プレス工程とで構成したが、予備プレス工程を設けず、本プレス工程のみで(1回のプレス加工で)金属板Mを略直角に折り曲げるようにすることもできる。その場合でも、本プレス用パンチ31のパンチ肩部に設けられたローラー31bの効果により、ショックラインSが形成されにくい状態でプレス加工を行うことが可能である。しかし、本プレス工程の前に予備プレス工程を設けて、その予備プレス工程で金属板Mを予め直角よりも緩やかな角度まで折り曲げておくと、ネジ穴52aの変形をより効果的に防止することができる。以下、その理由について説明する。
既に述べたように、ネジ穴52a(精密加工部)の変形は、パンチが金属板Mに当接した際の衝撃によって縦板部52の付け根付近に形成されるショックラインS(図1を参照)の影響によって起こる。このため、図2(a)〜(c)に示すように、1回のプレス加工で金属板Mを略直角に曲げようとすると、パンチ肩部101aが金属板Mに対して略垂直な方向から当接するようになるため、金属板Mがパンチ肩部101aから受ける衝撃が大きくなり、ショックラインSがより形成されやすくなるおそれがある。特に、この場合には、図2(b)に示すように、金属板Mにおける、ダイ肩部102aに支持された箇所の近傍に対してパンチ肩部101aが略垂直に当接するようになるため、金属板Mが受ける衝撃がより大きくなる。というのも、金属板Mにおける、ダイ肩部102aに支持された箇所の近傍は、曲げ線L(図5)から近く、曲げ抵抗が大きい箇所だからである。
これに対し、予備プレス工程において予め金属板Mをある程度まで折り曲げてから、本プレス工程において金属板Mを略直角に折り曲げるようにすると、図9に示すように、本プレス工程において、パンチ肩部(図9においては、ローラー31b)が金属板Mに対して緩やかな角度で当接するようになるため、金属板Mにローラー31bが当接した際の衝撃を小さくすることができる。加えて、予備プレス工程においては、図7や図8から理解されるように、金属板Mにおける、ダイ肩部102aに支持された箇所から遠く離れた箇所(曲げ線Lから遠く、曲げ抵抗が小さい箇所)にパンチが当接するようになっている。このように、予備プレス工程を設けることでパンチから金属板Mに大きな衝撃が加わらないようにして、ショックラインSの発生をより確実に抑えることが可能になり、ネジ穴52aの変形をより効果的に防止することができる。
11 第一予備プレス用パンチ
12 第一予備プレス用ダイ
21 第二予備プレス用パンチ
22 第二予備プレス用ダイ
31 本プレス用パンチ
31a 本体部
31a1 円筒溝
31a2 油溝
31b ローラー
32 本プレス用ダイ
40 ストリッパ
50 金属製部品
51 横板部
52 縦板部
52a ネジ穴(精密加工部)
52a1 下穴
53 位置決め穴
54 逃し穴
101 パンチ
101a パンチ肩部
102 ダイ
102a ダイ肩部
201 ドリル軸
202 座繰りドリル
M 金属板
L 曲げ線
S ショックライン
θp 予備曲げ角
θp1 第一予備曲げ角
θp2 第二予備曲げ角
12 第一予備プレス用ダイ
21 第二予備プレス用パンチ
22 第二予備プレス用ダイ
31 本プレス用パンチ
31a 本体部
31a1 円筒溝
31a2 油溝
31b ローラー
32 本プレス用ダイ
40 ストリッパ
50 金属製部品
51 横板部
52 縦板部
52a ネジ穴(精密加工部)
52a1 下穴
53 位置決め穴
54 逃し穴
101 パンチ
101a パンチ肩部
102 ダイ
102a ダイ肩部
201 ドリル軸
202 座繰りドリル
M 金属板
L 曲げ線
S ショックライン
θp 予備曲げ角
θp1 第一予備曲げ角
θp2 第二予備曲げ角
Claims (7)
- 横板部と、横板部と略直角を成すように横板部の端部から起立する縦板部とを有し、当該縦板部に精密加工部が設けられた金属製部品を製造するための金属製部品の製造方法であって、
平板状の金属板における前記縦板部となる部分に精密加工部を形成する精密加工部形成工程と、
精密加工部形成工程を終えた金属板を、パンチ及びダイで構成されるプレス用金型を用いたプレス加工によって略直角に折り曲げて、前記縦板部を形成するプレス加工工程と
を経るとともに、
プレス加工工程で使用するプレス用金型として、パンチにおける、前記縦板部となる部分を押圧するパンチ肩部にローラーが設けられたものを用い、
プレス加工工程において、前記ローラーが金属板に当接して回転しながら金属板をプレス加工するようにした
ことを特徴とする金属製部品の製造方法。
- プレス加工工程で使用するプレス用金型として、
前記ローラーの外径と略一致する内径を有する円筒溝がパンチ肩部に設けられ、
前記ローラーの外周面における一部の周回区間が露出する状態で前記ローラーが円筒溝内に保持されることで、前記ローラーの外周面が円筒溝の内周面に摺接しながら前記ローラーが回転するようにした
ものを用いる請求項1記載の金属製部品の製造方法。
- プレス加工工程で使用するプレス用金型として、
前記ローラーが、パンチの本体部とは異なる金属で形成された
ものを用いる請求項2記載の金属製部品の製造方法。
- プレス加工工程において、金属板の2箇所をプレス加工することで、横板部の両端部から同方向に起立する一対の縦板部を有する溝形の金属製部品を製造するようにした請求項1〜3いずれか記載の金属製部品の製造方法。
- プレス加工工程が、
金属板を直角よりも緩やかな角度に折り曲げる予備プレス工程と、
予備プレス工程を終えた金属板を略直角に折り曲げる本プレス工程と
から成り、
本プレス工程において用いられるパンチに前記ローラーを設けた
請求項1〜4いずれか記載の金属製部品の製造方法。
- 材料となる金属板の板厚が1mm以上とされた請求項1〜5いずれか記載の金属製部品の製造方法。
- 精密加工部がネジ穴とされた請求項1〜6いずれか記載の金属製部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018165557A JP2020037121A (ja) | 2018-09-05 | 2018-09-05 | 金属製部品の製造方法 |
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JP2018165557A JP2020037121A (ja) | 2018-09-05 | 2018-09-05 | 金属製部品の製造方法 |
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JP2020037121A true JP2020037121A (ja) | 2020-03-12 |
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JP2018165557A Pending JP2020037121A (ja) | 2018-09-05 | 2018-09-05 | 金属製部品の製造方法 |
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JP (1) | JP2020037121A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111974877A (zh) * | 2020-09-08 | 2020-11-24 | 深圳市溢佰科技有限公司 | 一种集成装饰幕墙安装金属锚固件成型加工方法 |
-
2018
- 2018-09-05 JP JP2018165557A patent/JP2020037121A/ja active Pending
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