JP2020037105A - インクジェット印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフセット印刷またはフレキソ印刷などの他の印刷技術用に最適化された印刷媒体上での高品質の印刷物の製造を可能にする、インクジェット印刷基材の製造方法の提供。【解決手段】塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を少なくとも片面に備える基材上に、少なくとも1つの酸とインクとを含む液体処理組成物がインクジェット印刷によって同時にまたは連続的に基材上に堆積されるインクジェット印刷基材の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェット印刷の分野に関し、より詳細にはインクジェット印刷基材の製造方法、該方法によって得られるインクジェット印刷基材およびこれの使用ならびにインクジェット印刷適性が改善された基材に関する。
アルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネート、特に炭酸カルシウムは、紙または紙様材料向けの顔料コーティング配合物ならびに金属、木材またはコンクリートなどの他の材料向けの顔料表面コーティングまたは塗料に広く使用されている。このようなコーティングは、下にある基材の表面特性を改善することができ、保護効果を有することができ、または基材にさらなる官能基を付加することができる。例えば、顔料でコーティングされた紙は通例、未処理の紙よりも光学的および機械的に均質であり、平滑であり、容易に印刷可能である。紙コーティングのための適切な鉱物の種類を選択することにより、白色度、不透明度、光沢、印刷光沢、印刷コントラスト、多孔性または平滑性などの紙の特性を調整することができる。
炭酸カルシウムは、非毒性および耐候性であり、良好な白度および低密度、他のコーティング成分との低い相互作用を示すので、コーティング配合物中の顔料材料として広く使用されている。金属基材の表面コーティングとして使用すると、炭酸カルシウムはこれのアルカリ性pHのために耐食効果を与えることができ、これの低摩滅性によって過度の機械摩耗を防ぐことができる。さらに、炭酸カルシウムは、ほぼいずれの所望の粒径分布および微細度で入手でき、このことは、分散性、光沢、光沢保持および隠蔽力などの物理的特性を調節するのにとりわけ有用である。しかし、炭酸カルシウムなどのアルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートは、これを含む表面コーティングが不十分な濡れ性を示すことが多いという問題を抱えている。
炭酸カルシウム系表面コーティングは、例えば低い吸水率で比較的閉鎖された、やや疎水性の顔料構造を必要とするオフセット紙に使用される。しかしインクジェット印刷は、とりわけ水系インクでは、インクの過剰な延展、色から色へのにじみまたはインク液滴の合体を避けるために、まったく逆の構造、即ちより大量の水を非常に迅速に吸収できるコーティングが必要である。このため、複数の印刷技術のために紙を最適化することは単純ではなく、現在まで、オフセットおよびインクジェット印刷では各種の紙品質が使用されている。
現在、大量の印刷物製造に適した従来のオフセット印刷技術またはフレキソ印刷技術ときわめて柔軟性のインクジェット印刷技術とを組み合わせた、いわゆるハイブリッド印刷は、包装印刷を個別化する、または印刷を対象群に向けてカスタマイズする可能性を提供するため、ますます人気が高まっている。しかし、各種の印刷方法での用紙の要件が逆であるため、インクジェット印影は、低品質および低解像度でのみ可能であることが多く、このため1次元または2次元バーコードまたは小さな書体の複製ができないことがある。結果として、オフセット印刷またはフレキソ印刷などの他の印刷技術とのインクジェット印刷の組合せを可能にする用紙または方法に対する需要が高まっている。
EP2626388A1は、基材組成物の濡れ性を制御するために使用できる、ハリネズミ形状の粒子、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つの疎水化剤および/または少なくとも1つの親水化剤を含む組成物に関する。
完全性のために、出願人は、表面改質材料の製造方法に関する、出願番号14169922.3の未公開の欧州特許出願をこれの名称で挙げたい。
しかし、従来のオフセット印刷またはフレキソ印刷用の印刷用紙を利用することができ、高解像度および高い生産性で良好な品質の印刷物を再現することができるインクジェット印刷方法が、当分野でなお必要とされている。
従って、本発明の目的は、オフセット印刷またはフレキソ印刷などの他の印刷技術用に最適化された印刷媒体上での高品質の印刷物の製造を可能にする、インクジェット印刷方法を提供することである。この方法は、従来技術の方法および既存の製造ラインに容易に組み込めることが望ましい。この方法が少量および大量の生産量の両方に適していることも望ましい。
上記および他の目的は、独立請求項において本明細書に定義するような主題によって解決される。
本発明の一態様によれば、インクジェット印刷基材の製造方法であって、以下の:
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)インクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によってインクをコーティング層上に堆積させて第2のパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、同時にまたは連続的に堆積され、第1のパターンおよび第2のパターンが、少なくとも部分的に重複する方法が提供される。
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)インクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によってインクをコーティング層上に堆積させて第2のパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、同時にまたは連続的に堆積され、第1のパターンおよび第2のパターンが、少なくとも部分的に重複する方法が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、本発明の方法によって得られるインクジェット印刷基材が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、インクジェット印刷適性が改善された基材の製造方法であって、以下の:
A)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
B)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、および
C)インクジェット印刷によってコーティング層上に液体処理組成物を堆積させて、インクジェット印刷適性が改善されたパターンを形成するステップ
を含む方法が提供される。
A)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
B)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、および
C)インクジェット印刷によってコーティング層上に液体処理組成物を堆積させて、インクジェット印刷適性が改善されたパターンを形成するステップ
を含む方法が提供される。
本発明のなおさらなる態様によれば、本発明による方法によって得られるインクジェット印刷適性が改善された基材が提供される。
本発明のなお別の態様によれば、インクジェット印刷用途における、本発明によるインクジェット印刷適性が改善された基材の使用が提供される。
本発明のなお別の態様によれば、酸とインクとを含む液体処理組成物を含む、本発明による方法で使用するためのインクジェット配合物が提供される。
本発明のなお別の態様によれば、包装用途、装飾用途、芸術用途または視覚用途における、好ましくは壁紙、包装材料、ギフト用包装紙、広告用紙またはポスター、名刺、マニュアル、保証書またはカードとしての、本発明によるインクジェット印刷基材の使用が提供される。
本発明の好都合な実施形態は該当する従属請求項に定義されている。
一実施形態によれば、第1のパターンおよび第2のパターンは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、またより好ましくは少なくとも95%および最も好ましくは少なくとも99%重複する。別の実施形態によれば、ステップ(a)の基材は、(i)基材を供給するステップ、(ii)基材の少なくとも片面に塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング組成物を塗工してコーティング層を形成するステップおよび(iii)コーティング層を乾燥させるステップによって作製される。
一実施形態によれば、ステップa)の基材は、紙、厚紙、段ボール紙、プラスチック、不織布、セロハン、織物、木材、金属、ガラス、雲母板、大理石、カルサイト、ニトロセルロース、天然石、複合石、レンガ、コンクリートおよびこれの積層体または複合体、好ましくは紙、厚紙、段ボール紙またはプラスチックから成る群から選択される。
一実施形態によれば、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、アルカリ酸化物もしくはアルカリ土類酸化物、アルカリ水酸化物もしくはアルカリ土類水酸化物、アルカリアルコキシドもしくはアルカリ土類アルコキシド、アルカリメチルカーボネートもしくはアルカリ土類メチルカーボネート、アルカリヒドロキシカーボネートもしくはアルカリ土類ヒドロキシカーボネート、アルカリバイカーボネートもしくはアルカリ土類バイカーボネート、アルカリカーボネートもしくはアルカリ土類カーボネートまたはこれらの混合物であり、好ましくは塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されるアルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートであり、より好ましくは、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は炭酸カルシウムであり、最も好ましくは、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムおよび/または表面処理炭酸カルシウムである。別の実施形態によれば、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、15nmから200μm、好ましくは20nmから100μm、より好ましくは50nmから50μm、最も好ましくは100nmから2μmの重量中央粒径d50を有する粒子の形態である。
一実施形態によれば、酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、スルファミン酸、酒石酸、フィチン酸、ホウ酸、コハク酸、スベリン酸、安息香酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、酸性有機硫黄化合物、酸性有機リン酸化合物およびこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは、酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、ホウ酸、スベリン酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択され、より好ましくは、酸は、硫酸、リン酸、ホウ酸、スベリン酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択され、最も好ましくは、酸はリン酸および/または硫酸である。別の実施形態によれば、液体処理組成物は、液体処理組成物の総重量に対して0.1から100重量%の量、好ましくは1から80重量%の量、より好ましくは5から60重量%の量および最も好ましくは10から50重量%の量の酸を含む。
一実施形態によれば、液体処理組成物は、1次元バーコード、2次元バーコード、3次元バーコード、セキュリティマーク、数字、文字、英数字記号、テキスト、ロゴ、画像、形状またはデザインの形態でコーティング層上に堆積される。
本発明の目的のために、以下の用語が以下の意味を有することを理解すべきである:
本発明の目的のために、「酸」はブレンステッド−ローリー酸として定義され、即ちこの酸はH3O+イオン供給体である。本発明によれば、pKaは、所与の酸中の所与のイオン化性水素に関連する酸解離定数を表す記号であり、所与の温度の水中で平衡状態のこの酸からのこの水素の自然解離度を示す。このようなpKa値は、Harris,D.C.「Quantitative Chemical Analysis:3rd Edition,1991,W.H.Freeman&Co.(USA),ISBN 0−7167−2170−8などの参考テキストに見出され得る。
本発明の目的のために、「酸」はブレンステッド−ローリー酸として定義され、即ちこの酸はH3O+イオン供給体である。本発明によれば、pKaは、所与の酸中の所与のイオン化性水素に関連する酸解離定数を表す記号であり、所与の温度の水中で平衡状態のこの酸からのこの水素の自然解離度を示す。このようなpKa値は、Harris,D.C.「Quantitative Chemical Analysis:3rd Edition,1991,W.H.Freeman&Co.(USA),ISBN 0−7167−2170−8などの参考テキストに見出され得る。
用語「坪量」は、本発明で使用する場合、DIN EN ISO536:1996に従って決定され、g/m2の重量として定義される。
本発明の目的のために、「コーティング層」という用語は、基材の片面に主として残存するコーティング配合物から形成、生成、調製などされた層、カバー、フィルム、皮膜などを示す。コーティング層は、基材の表面と直接接触することができ、または基材が1つ以上のプレコーティング層および/もしくはバリア層を含む場合、トッププレコーティング層またはバリア層それぞれと直接接触することができる。
本明細書を通じて、「液滴間隔」は、連続する2個の液滴の中心間の距離として定義される。
「液体処理組成物」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの酸を含み、インクジェット印刷によって本発明の基材の外面に塗工することができる、液体形態の組成物を示す。
本発明の意味における「粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、天然源、例えば石灰石、大理石またはチョークから得られ、湿式および/または乾式処理、例えば粉砕、ふるい分けおよび/または分画により、例えばサイクロンまたは分級機によって加工された炭酸カルシウムである。
本発明の意味における「改質炭酸カルシウム」(MCC)は、内部構造改質または表面反応生成物を有する天然粉砕または沈降炭酸カルシウム、即ち「表面反応炭酸カルシウム」を特徴とし得る。「表面反応炭酸カルシウム」は、炭酸カルシウムおよび表面上の不溶性の、好ましくは少なくとも部分的に結晶性の酸のアニオンのカルシウム塩を含む材料である。好ましくは、不溶性カルシウム塩は、炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面から延在している。前記アニオンの前記少なくとも部分的に結晶性のカルシウム塩を形成するカルシウムイオンは、大部分は出発炭酸カルシウム材料から生じる。MCCは、例えばUS2012/0031576A1、WO2009/074492A1、EP2264109A1、WO00/39222A1またはEP2264108A1に記載されている。
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、水性、半乾燥または湿潤環境における二酸化炭素と石灰との反応後の沈降によってまたは水中でのカルシウム源およびカーボネートイオン源の沈降によって得られる合成材料である。PCCは、ファーテライト、カルサイトまたはアラゴナイトの結晶形態であり得る。PCCは、例えばEP2447213A1、EP2524898A1、EP2371766A1、EP1712597A1、EP1712523A1またはWO2013/142473A1に記載されている。
本明細書を通じて、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物の「粒径」は、これの粒度分布によって説明される。値dxは、粒子のx重量%がdx未満の直径を有する粒径を表す。このことは、d20値は全粒子の20重量%がこれより小さい粒径であり、d75値は全粒子の75重量%がこれより小さい粒径であることを意味する。従って、d50値は、重量中央粒径であり、即ち全粒子の総重量の50重量%は、この粒径より大きい粒子から生じ、全粒子の総重量の50%は、この粒径より小さい粒子から生じる。本発明の目的のために、別途指摘しない限り、粒径は重量中央粒径d50として規定する。重量中央粒径d50値を求めるために、セディグラフ(Sedigraph)を使用することができる。方法および機器は当業者に公知であり、フィラーおよび顔料の粒径を決定するためによく使用されている。高速撹拌機および超音波を使用して試料を分散させる。
本発明の意味における塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物の「比表面積(SSA)」は、化合物の質量で割った化合物の表面積として定義される。本明細書で使用する場合、比表面積は、BET等温線を使用して窒素ガス吸着により測定され(ISO9277:2010)、m2/gで明記される。
本発明の目的のために、「レオロジー調整剤」は、用いるコーティング法に必要な仕様に適合するようにスラリまたは液体コーティング組成物のレオロジー挙動を変化させる添加剤である。
本発明の意味における「塩形成性」化合物は、酸と反応して塩を形成することができる化合物として定義される。塩形成性化合物の例は、アルカリ酸化物もしくはアルカリ土類酸化物、アルカリ水酸化物もしくはアルカリ土類水酸化物、アルカリアルコキシドもしくはアルカリ土類アルコキシド、アルカリメチルカーボネートもしくはアルカリ土類カーボネート、アルカリヒドロキシカーボネートもしくはアルカリ土類ヒドロキシカーボネート、アルカリバイカーボネートもしくはアルカリ土類バイカーボネートまたはアルカリカーボネートもしくはアルカリ土類カーボネートである。
本発明の意味において、「表面処理炭酸カルシウム」は、処理層またはコーティング層、例えば脂肪酸、界面活性剤、シロキサンまたはポリマーの層を含む粉砕、沈降または改質炭酸カルシウムである。
本明細書において、「基材」という用語は、紙、厚紙、段ボール原紙、プラスチック、セロハン、繊維、木材、金属、ガラス、雲母板、ニトロセルロース、石またはコンクリートなどの、印刷、コーティングまたは塗装に好適な表面を有する任意の材料として理解されるものとする。しかし記載した例は、限定的な特性ではない。
本発明の目的のために、層の「厚さ」および「層重量」は、塗工したコーティング組成物が乾燥した後の層の厚さおよび層重量をそれぞれ示す。
本発明の目的のために、用語「粘度」または「Brookfield粘度」は、Brookfield粘度を示す。Brookfield粘度はこの目的のために、Brookfield DV−II+Pro粘度計により25℃±1℃、100rpmにて、Brookfield RVスピンドルセットの適切なスピンドルを使用して測定し、mPa・sで規定する。当業者は、自分の技術知識に基づいて、Brookfield RVスピンドルセットから測定する粘度範囲に好適であるスピンドルを選択する。例えば200から800mPa・sの間の粘度範囲では、スピンドル番号3が使用され得て、400から1,600mPa・sの間の粘度範囲では、スピンドル番号4が使用され得て、800から3,200mPa・sの間の粘度範囲では、スピンドル番号5が使用され得て、1,000から2,000,000mPa・sの間の粘度範囲では、スピンドル番号6が使用され得て、および4,000から8,000,000mPa・sの粘度範囲では、スピンドル番号7が使用され得る。
「懸濁物」または「スラリ」は本発明の意味において、不溶性固体および水ならびに場合によりさらなる添加剤を含み、通常、大量の固体を含有するため、これから形成される液体よりも粘性であり、高密度であることができる。
本明細書で使用する場合、省略形「pl」は単位「ピコリットル」を意味し、省略形「fl」は単位「フェムトリットル」を示す。当業者に既知であるように、1ピコリットルは10−12リットルに等しく、1フェムトリットルは10−15リットルに等しい。
「含む(comprising)」という用語を本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、これは他の要素を排除しない。本発明の目的のために、「より成る(consisting of」という用語は、用語「より構成される(comprising of)」の好ましい実施形態であると見なされる。以下で群が少なくとも幾つかの実施形態を含むと定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみから成る群を開示すると理解されるものとする。
「含む(including)」または「有する(having)」という用語を使用する場合は必ず、これらの用語は上で定義した「含む(comprising)」と同等であることを意味する。
単数名詞を参照するときに不定冠詞または定冠詞、例えば「a」、「an」または「the」を使用する場合、別段の言及がない限り、その名詞の複数を含む。
「得られる」または「定義できる」と「得られた」または「定義された」というような用語は、互換的に使用される。このことは例えば、文脈上明確に別の意味でない限り、例えば「得られた」という用語は、例えば「得られた」という用語に続く一連のステップによって得られなければならない実施形態を意味するものではないことを意味するが、そのような限定された理解は、「得られた」または「定義された」という用語によって、好ましい実施形態として常に含まれる。
本発明によれば、インクジェット印刷基材の製造方法が提供される。該方法は、(a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、(b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、(c)インクを供給するステップ、(d)インクジェット印刷によってコーティング層上に液体処理組成物を堆積させて、第1のパターンを形成するステップおよび(e)インクジェット印刷によってコーティング層上にインクを堆積させて、第2のパターンを形成するステップを含む。液体処理組成物およびインクは、同時にまたは連続的に堆積され、第1のパターンおよび第2のパターンは、少なくとも部分的に重複する。
以下では、本発明の方法の詳細事項および好ましい実施形態をより詳細に述べる。これらの技術的な詳細事項および実施形態が、本発明のインクジェット印刷基材およびこれの使用ならびにインクジェット印刷適性が改善された基材およびこれの使用にも適用されることが理解されるべきである。
<方法ステップa)>
本発明の方法のステップa)によれば、基材が供給される。
本発明の方法のステップa)によれば、基材が供給される。
基材は、コーティング層の支持体として作用することができ、不透明、半透明または透明であり得る。
一実施形態によれば、基材は、紙、厚紙、段ボール紙、プラスチック、不織布、セロハン、織物、木材、金属、ガラス、雲母板、大理石、カルサイト、ニトロセルロース、天然石、複合石、レンガ、コンクリートおよびこれの積層体または複合体から成る群から選択される。好ましい実施形態によれば、基材は、紙、厚紙、段ボール原紙またはプラスチックから成る群から選択される。別の実施形態によれば、基材は、紙、プラスチックおよび/または金属の積層体であり、好ましくは、プラスチックおよび/または金属は、例えばテトラパックで使用されるような薄い箔の形態である。しかし、印刷、コーティングまたは塗装に好適な表面を有する他のいずれの材料も、基材として使用され得る。
本発明の一実施形態によれば、基材は、紙、厚紙または段ボール原紙である。厚紙は、カートン用板紙もしくはボール紙、段ボール紙または非包装用厚紙、例えばクロモボード(chromoboard)または図面用(drawing)厚紙を含み得る。段ボール原紙は、ライナーボードおよび/または中芯原紙を含み得る。ライナーボードおよび中芯原紙はどちらも、段ボール紙を製造するために使用される。紙、厚紙または段ボール原紙基材は、10から1000g/m2、20から800g/m2、30から700g/m2または50から600g/m2の坪量を有することができる。一実施形態によれば、基材は、好ましくは10から400g/m2、20から300g/m2、30から200g/m2、40から100g/m2、50から90g/m2、60から80g/m2または約70g/m2の坪量を有する。
別の実施形態によれば、基材はプラスチック基材である。好適なプラスチック材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂またはフッ素含有樹脂、好ましくはポリプロピレンである。好適なポリエステルの例は、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)またはポリ(エステルジアセテート)である。フッ素含有樹脂の例は、ポリ(テトラフルオロエチレン)である。プラスチック基材は、鉱物充填剤、有機顔料、無機顔料またはこれらの混合物によって充填され得る。
基材は、上述の材料の1層のみから成り得るか、または同じ材料もしくは異なる材料の複数のサブ層を有する層構造を含み得る。一実施形態によれば、基材は1つの層によって構成される。別の実施形態によれば、基材は、少なくとも2つのサブ層、好ましくは3つ、5つ、または7つのサブ層によって構成され、サブ層は平坦または非平坦な構造、例えば波形構造を有することができる。好ましくは基材のサブ層は、紙、厚紙、段ボール原紙および/またはプラスチックから作製される。
基材は、溶媒、水またはこれらの混合物に対して透過性または不透過性であり得る。一実施形態によれば、基材は、水、溶媒またはこれらの混合物に対して不浸透性である。溶媒の例は、例えば4から14個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、エーテルおよびジエーテル、グリコール、アルコキシ化グリコール、グリコールエーテル、アルコキシ化芳香族アルコール、芳香族アルコール、これらの混合物またはこれの水との混合物である。
本発明によれば、ステップa)で供給する基材は、少なくとも片面に塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備える。コーティング層は、基材の表面と直接接触していてよい。基材がすでに1つ以上のプレコーティング層および/またはバリア層を含む場合、コーティング層は(より詳細にさらに後述する)トッププレコーティング層またはバリア層それぞれと直接接触し得る。
一実施形態によれば、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、アルカリ酸化物もしくはアルカリ土類酸化物、アルカリ水酸化物もしくはアルカリ土類水酸化物、アルカリアルコキシドもしくはアルカリ土類アルコキシド、アルカリメチルカーボネートもしくはアルカリ土類メチルカーボネート、アルカリヒドロキシカーボネートもしくはアルカリ土類ヒドロキシカーボネート、アルカリバイカーボネートもしくはアルカリ土類バイカーボネート、アルカリカーボネートもしくはアルカリ土類カーボネートまたはこれらの混合物である。好ましくは、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、アルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートである。
アルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートは、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択され得る。好ましい実施形態によれば、アルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートは炭酸カルシウムであり、より好ましくはアルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートは粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムおよび/または表面処理炭酸カルシウムである。
粉砕(または天然)炭酸カルシウム(GCC)は、石灰石もしくはチョークなどの堆積岩からまたは変成大理石岩から採掘される炭酸カルシウムの天然形態であると理解される。炭酸カルシウムは、カルサイト、アラゴナイトおよびファーテライトの3種類の結晶多形として存在することが知られている。最も一般的な結晶多形であるカルサイトは、炭酸カルシウムの最も安定な結晶形態であると考えられる。あまり一般的でないのはアラゴナイトであり、アラゴナイトは離散したまたはクラスタ化した針状斜方晶系結晶構造を有する。ファーテライトは、最も稀な炭酸カルシウム多形であり、一般に不安定である。天然炭酸カルシウムは、ほぼ例外なくカルサイト多形であり、カルサイト多形は三方菱面体と言われ、最も安定な炭酸カルシウム多形となる。用語炭酸カルシウム「源」は、本発明の意味において、炭酸カルシウムが得られる天然型鉱物材料を示す。炭酸カルシウム源は、マグネシウムカーボネート、アルミノシリケートなどの天然型構成成分をさらに含み得る。
本発明の一実施形態によれば、GCCは乾式粉砕によって得られる。本発明の別の実施形態によれば、GCCは湿式粉砕、および場合により後続の乾燥によって得られる。
概して、粉砕ステップは、いずれの従来の粉砕装置を用いて、例えば細砕が2次体との衝突から主に生じるような条件下で、即ちボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロール粉砕機、遠心分離インパクトミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、粉砕機、シュレッダ、デクランパ(de−clumper)、ナイフカッターまたは当業者に既知である他のこのような装置の1つ以上で行うことができる。炭酸カルシウム含有鉱物材料が湿式粉砕炭酸カルシウム含有鉱物材料を含む場合、粉砕ステップは、自己粉砕が起こるような条件下でならびに/または水平ボールミリングおよび/もしくは当業者に既知の他の方法によって実施され得る。このように得られた湿式加工粉砕炭酸カルシウム含有鉱物材料は、周知の方法によって、洗浄され、乾燥前に例えば凝集、遠心分離、濾過または強制蒸発によって脱水され得る。後続の乾燥ステップは、噴霧乾燥などの単一のステップで行っても、少なくとも2つのステップで行ってもよい。不純物を除去するために、このような鉱物材料に選鉱ステップ(浮遊選鉱、漂白または磁力選鉱ステップなど)を行うことも一般的である。
本発明の一実施形態によれば、粉砕炭酸カルシウムは、大理石、チョーク、ドロマイト、石灰石およびこれらの混合物から成る群から選択される。
本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウムは1種の粉砕炭酸カルシウムを含む。本発明の別の実施形態によれば、炭酸カルシウムは、異なる源から選択された2種以上の粉砕炭酸カルシウムの混合物を含む。
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、水性環境における二酸化炭素と石灰との反応後の沈降によって、または水中でのカルシウムおよびカーボネートイオン源の沈降によって、またはカルシウムイオンとカーボネートイオン、例えばCaCl2とNa2CO3との溶液からの沈降によって一般に得られる合成材料である。PCCを製造するさらなる考えられる方法は、石灰ソーダ法、またはPCCがアンモニア製造の副生成物であるソルベー法である。沈降炭酸カルシウムは、カルサイト、アラゴナイトおよびファーテライトの3種類の主な結晶形態として存在し、これらの結晶形態それぞれについて多くの異なる多形(晶癖)がある。カルサイトは、偏三角面体(S−PCC)、菱面体(R−PCC)、六方晶柱状、卓面体晶系、コロイド晶系(C−PCC)、立方晶系および柱状(P−PCC)などの代表的晶癖を有する、三方晶系構造を有する。アラゴナイトは、六方晶柱状系双晶、ならびに薄い細長柱状、湾曲ブレード状、鋭利な角錐状、チゼル形状結晶、分枝樹およびサンゴまたはワーム様形状の多様な組み合わせの代表的晶癖を有する斜方晶系構造である。ファーテライトは六方晶結晶系に属する。得られたPCCスラリは、機械的に脱水および乾燥することができる。
本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウムは1つの沈降炭酸カルシウムを含む。本発明の別の実施形態によれば、炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウムの異なる結晶形態および異なる多形から選択される2つ以上の沈降炭酸カルシウムの混合物を含む。例えば、少なくとも1つの沈降炭酸カルシウムは、S−PCCから選択される1つのPCCおよびR−PCCから選択される1つのPCCを含み得る。
塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、表面処理材料、例えば表面処理炭酸カルシウムであってよい。
表面処理炭酸カルシウムは、これの表面に処理層またはコーティング層を備える粉砕炭酸カルシウム、改質炭酸カルシウム、または沈降炭酸カルシウムを特徴とし得る。例えば炭酸カルシウムは、疎水化剤、例えば脂肪族カルボキル酸、これの塩もしくはエステルまたはシロキサンによって処理またはコーティングされ得る。好適な脂肪族酸は、例えばC5からC28脂肪酸、例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸またはこれらの混合物である。炭酸カルシウムはまた、例えばポリアクリレートまたはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(polyDADMAC)によって、カチオン性またはアニオン性となるように処理またはコーティングしてもよい。表面処理炭酸カルシウムは、例えばEP2159258A1またはWO2005/121257A1に記載されている。
一実施形態によれば、表面処理炭酸カルシウムは、脂肪酸、これの塩、これのエステルまたはこれの組合せによる処理、好ましくは脂肪族C5からC28脂肪酸、これの塩、これのエステルまたはこれの組合せによる処理、より好ましくはアンモニウムステアレート、カルシウムステアレート、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸またはこれらの混合物による処理から得られた処理層または表面コーティングを含む。例示的な実施形態によれば、アルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートは、表面処理炭酸カルシウム、好ましくは脂肪酸、好ましくはステアリン酸による処理から得た処理層または表面コーティングを備える粉砕炭酸カルシウムである。
一実施形態において、疎水化剤は、C4からC24の炭素原子の総量を有する脂肪族カルボン酸および/またはこれの反応生成物である。従って、炭酸カルシウム粒子のアクセス可能な表面積の少なくとも一部は、C4からC24の炭素原子の総量を有する脂肪族カルボン酸および/またはこれの反応生成物を含む処理層によって被覆される。材料の「アクセス可能な」表面積という用語は、水溶液、懸濁物、分散物または反応性分子、例えば疎水化剤の液相と接触している材料表面の一部を示す。
本発明の意味における脂肪族カルボン酸の「反応生成物」という用語は、少なくとも1つの炭酸カルシウムを少なくとも1つの脂肪族カルボン酸と接触させることによって得られる生成物を示す。前記反応生成物は、適用された少なくとも1つの脂肪族カルボン酸の少なくとも一部と炭酸カルシウム粒子の表面に位置する反応性分子との間で形成される。
本発明の意味における脂肪族カルボン酸は、1つ以上の直鎖、分枝鎖、飽和、不飽和および/または脂環式カルボン酸から選択され得る。好ましくは、脂肪族カルボン酸はモノカルボン酸であり、即ち脂肪族カルボン酸は、1個のカルボキシル基が存在することを特徴とする。前記カルボキシル基は、炭素骨格の末端に配置されている。
本発明の一実施形態において、脂肪族カルボン酸は飽和非分枝カルボン酸から選択され、即ち脂肪族カルボン酸は、好ましくはペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸およびこれらの混合物から成るカルボン酸の群から選択される。
本発明の別の実施形態において、脂肪族カルボン酸は、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびこれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは、脂肪族カルボン酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびこれらの混合物から成る群から選択される。例えば、脂肪族カルボン酸はステアリン酸である。
付加的にまたは代替的に、疎水化剤は、置換基中にC2からC30の炭素原子の総量を有する直鎖、分枝、脂肪族および環式基から選択される基によって1置換されたコハク酸無水物から成る少なくとも1つの1置換コハク酸無水物であることができる。従って、炭酸カルシウム粒子のアクセス可能な表面積の少なくとも一部は、置換基中にC2からC30の炭素原子の総量を有する直鎖、分枝、脂肪族および環式基から選択される基によって1置換されたコハク酸無水物から成る少なくとも1つの1置換コハク酸無水物および/またはこれの反応生成物を含む処理層によって被覆される。当業者によって、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物が分枝基および/または環式基によって1置換されたコハク酸無水物から成る場合、前記基が置換基中にC3からC30の炭素原子の総量を有することが認識される。
本発明の意味における1置換コハク酸無水物の「反応生成物」という用語は、炭酸カルシウムを少なくとも1つの1置換コハク酸無水物と接触させることによって得られる生成物を示す。前記反応生成物は、適用された少なくとも1つの1置換コハク酸無水物の少なくとも一部と炭酸カルシウム粒子の表面に位置する反応性分子との間で形成される。
例えば、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、置換基中にC2からC30、好ましくはC3からC20および最も好ましくはC4からC18の炭素原子の総量を有する直鎖アルキル基または置換基中にC3からC30、好ましくはC3からC20および最も好ましくはC4からC18の炭素原子の総量を有する分枝アルキル基である1個の基によって1置換されたコハク酸無水物から成る。
例えば、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、置換基中にC2からC30、好ましくはC3からC20および最も好ましくはC4からC18の炭素原子の総量を有する直鎖アルキル基である1個の基によって1置換されたコハク酸無水物から成る。付加的にまたは代替的に、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、置換基中にC3からC30、好ましくはC3からC20および最も好ましくはC4からC18の炭素原子の総量を有する分枝アルキル基である1個の基によって1置換されたコハク酸無水物から成る。
本発明の意味における「アルキル」という用語は、炭素および水素で構成される直鎖または分枝飽和有機化合物を示す。即ち、「アルキル1置換コハク酸無水物」は、ペンダントコハク酸無水物基を含有する直鎖または分枝飽和炭化水素鎖で構成されている。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、少なくとも1つの直鎖または分枝アルキル1置換コハク酸無水物である。例えば、少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、エチルコハク酸無水物、プロピルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、トリイソブチルコハク酸無水物、ペンチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、ヘプチルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ノニルコハク酸無水物、デシルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ヘキサデカニルコハク酸無水物、オクタデカニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
例えば「ブチルコハク酸無水物」という用語が直鎖および分枝ブチルコハク酸無水物を含むことが認識される。直鎖ブチルコハク酸無水物の具体的な一例は、n−ブチルコハク酸無水物である。分枝ブチルコハク酸無水物の具体例は、イソブチルコハク酸無水物、sec−ブチルコハク酸無水物および/またはtert−ブチルコハク酸無水物である。
さらに、例えば「ヘキサデカニルコハク酸無水物」という用語が直鎖および分枝ヘキサデカニルコハク酸無水物を含むことが認識される。直鎖ヘキサデカニルコハク酸無水物の具体的な一例は、n−ヘキサデカニルコハク酸無水物である。分枝ヘキサデカニルコハク酸無水物の具体例は、14−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、13−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、12−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、11−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、10−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、9−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、8−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、7−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、6−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、5−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、4−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、3−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、2−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、1−メチルペンタデカニルコハク酸無水物、13−エチルブタデカニルコハク酸無水物、12−エチルブタデカニルコハク酸無水物、11−エチルブタデカニルコハク酸無水物、10−エチルブタデカニルコハク酸無水物、9−エチルブタデカニルコハク酸無水物、8−エチルブタデカニルコハク酸無水物、7−エチルブタデカニルコハク酸無水物、6−エチルブタデカニルコハク酸無水物、5−エチルブタデカニルコハク酸無水物、4−エチルブタデカニルコハク酸無水物、3−エチルブタデカニルコハク酸無水物、2−エチルブタデカニルコハク酸無水物、1−エチルブタデカニルコハク酸無水物、2−ブチルドデカニルコハク酸無水物、1−ヘキシルデカニルコハク酸無水物、
1−ヘキシル−2−デカニルコハク酸無水物、2−ヘキシルデカニルコハク酸無水物、6,12−ジメチルブタデカニルコハク酸無水物、2,2−ジエチルドデカニルコハク酸無水物、4,8,12−トリメチルトリデカニルコハク酸無水物、2,2,4,6,8−ペンタメチルウンデカニルコハク酸無水物、2−エチル−4−メチル−2−(2−メチルペンチル)−ヘプチルコハク酸無水物および/または2−エチル−4,6−ジメチル−2−プロピルノニルコハク酸無水物である。
1−ヘキシル−2−デカニルコハク酸無水物、2−ヘキシルデカニルコハク酸無水物、6,12−ジメチルブタデカニルコハク酸無水物、2,2−ジエチルドデカニルコハク酸無水物、4,8,12−トリメチルトリデカニルコハク酸無水物、2,2,4,6,8−ペンタメチルウンデカニルコハク酸無水物、2−エチル−4−メチル−2−(2−メチルペンチル)−ヘプチルコハク酸無水物および/または2−エチル−4,6−ジメチル−2−プロピルノニルコハク酸無水物である。
さらに、例えば「オクタデカニルコハク酸無水物」という用語が直鎖および分枝オクタデカニルコハク酸無水物を含むことが認識される。直鎖オクタデカニルコハク酸無水物の具体的な一例は、n−オクタデカニルコハク酸無水物である。分枝ヘキサデカニルコハク酸無水物の具体例は、16−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、15−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、14−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、13−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、12−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、11−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、10−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、9−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、8−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、7−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、6−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、5−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、4−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、3−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、2−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、1−メチルヘプタデカニルコハク酸無水物、14−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、13−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、12−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、11−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、10−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、9−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、8−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、7−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、6−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、5−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、4−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、3−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、2−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、1−エチルヘキサデカニルコハク酸無水物、2−ヘキシルドデカニルコハク酸無水物、2−ヘプチルウンデカニルコハク酸無水物、イソオクタデカニルコハク酸無水物および/または1−オクチル−2−デカニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、ヘプチルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ヘキサデカニルコハク酸無水物、オクタデカニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、1種類のアルキル1置換コハク酸無水物である。例えば、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物である。または、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、ヘキシルコハク酸無水物である。または、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、ヘプチルコハク酸無水物またはオクチルコハク酸無水物である。または、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、ヘキサデカニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、直鎖ヘキサデカニルコハク酸無水物、例えばn−ヘキサデカニルコハク酸無水物または分枝ヘキサデカニルコハク酸無水物、例えば1−ヘキシル−2−デカニルコハク酸無水物である。または、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、オクタデカニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、直鎖オクタデカニルコハク酸無水物、例えばn−オクタデカニルコハク酸無水物または分枝オクタデカニルコハク酸無水物、例えばイソオクタデカニルコハク酸無水物もしくは1−オクチル−2−デカニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態において、1つのアルキル1置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物、例えばn−ブチルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、2種類以上のアルキル1置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、2または3種類のアルキル1置換コハク酸無水物の混合物である。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、置換基中にC2からC30、好ましくはC3からC20および最も好ましくはC4からC18の炭素原子の総量を有する直鎖アルケニル基または置換基中にC3からC30、好ましくはC4からC20および最も好ましくはC4からC18の炭素原子の総量を有する分枝アルケニル基である1個の基によって1置換されたコハク酸無水物から成る。
本発明の意味における「アルケニル」という用語は、炭素および水素で構成される直鎖または分枝不飽和有機化合物を示す。前記有機化合物は、置換基中に少なくとも1個の二重結合、好ましくは1個の二重結合をさらに含有する。即ち、「アルケニル1置換コハク酸無水物」は、ペンダントコハク酸無水物基を含有する直鎖または分枝不飽和炭化水素鎖で構成されている。本発明の意味における「アルケニル」という用語がシスおよびトランス異性体を含むことが認識される。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、少なくとも1つの直鎖または分枝アルケニル1置換コハク酸無水物である。例えば、少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、トリイソブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、デセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
従って、例えば「ヘキサデセニルコハク酸無水物」という用語が直鎖および分枝ヘキサデセニルコハク酸無水物を含むことが認識される。直鎖ヘキサデセニルコハク酸無水物の具体的な一例は、n−ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えば14−ヘキサデセニルコハク酸無水物、13−ヘキサデセニルコハク酸無水物、12−ヘキサデセニルコハク酸無水物、11−ヘキサデセニルコハク酸無水物、10−ヘキサデセニルコハク酸無水物、9−ヘキサデセニルコハク酸無水物、8−ヘキサデセニルコハク酸無水物、7−ヘキサデセニルコハク酸無水物、6−ヘキサデセニルコハク酸無水物、5−ヘキサデセニルコハク酸無水物、4−ヘキサデセニルコハク酸無水物、3−ヘキサデセニルコハク酸無水物および/または2−ヘキサデセニルコハク酸無水物である。分枝ヘキサデセニルコハク酸無水物の具体例は、14−メチル−9−ペンタデセニルコハク酸無水物、14−メチル−2−ペンタデセニルコハク酸無水物、1−ヘキシル−2−デセニルコハク酸無水物および/またはイソヘキサデセニルコハク酸無水物である。
さらに、例えば「オクタデセニルコハク酸無水物」という用語が直鎖および分枝オクタデセニルコハク酸無水物を含むことが認識される。直鎖オクタデセニルコハク酸無水物の具体的な一例は、n−オクタデセニルコハク酸無水物、例えば16−オクタデセニルコハク酸無水物、15−オクタデセニルコハク酸無水物、14−オクタデセニルコハク酸無水物、13−オクタデセニルコハク酸無水物、12−オクタデセニルコハク酸無水物、11−オクタデセニルコハク酸無水物、10−オクタデセニルコハク酸無水物、9−オクタデセニルコハク酸無水物、8−オクタデセニルコハク酸無水物、7−オクタデセニルコハク酸無水物、6−オクタデセニルコハク酸無水物、5−オクタデセニルコハク酸無水物、4−オクタデセニルコハク酸無水物、3−オクタデセニルコハク酸無水物および/または2−オクタデセニルコハク酸無水物である。分枝オクタデセニルコハク酸無水物の具体例は、16−メチル−9−ヘプタデセニルコハク酸無水物、16−メチル−7−ヘプタデセニルコハク酸無水物、1−オクチル−2−デセニルコハク酸無水物および/またはイソオクタデセニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、ヘキセニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物およびこれらの混合物を含む群から選択される。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物である。例えば、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、ヘキセニルコハク酸無水物である。または、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、オクテニルコハク酸無水物である。または、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、ヘキサデセニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、直鎖ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えばn−ヘキサデセニルコハク酸無水物または分枝ヘキサデセニルコハク酸無水物、例えば1−ヘキシル−2−デセニルコハク酸無水物である。または、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、オクタデセニルコハク酸無水物である。例えば、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、直鎖オクタデセニルコハク酸無水物、例えばn−オクタデセニルコハク酸無水物または分枝オクタデセニルコハク酸無水物、例えばイソオクタデセニルコハク酸無水物または1−オクチル−2−デセニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態において、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、直鎖オクタデセニルコハク酸無水物、例えばn−オクタデセニルコハク酸無水物である。本発明の別の実施形態において、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物は、直鎖オクテニルコハク酸無水物、例えばn−オクテニルコハク酸無水物である。
少なくとも1つの1置換コハク酸無水物が1つのアルケニル1置換コハク酸無水物である場合、1つのアルケニル1置換コハク酸無水物が、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物の総重量に対して95重量%以上および好ましく96.5重量%以上の量で存在することが認識される。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、2種類以上のアルケニル1置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、2または3種類のアルケニル1置換コハク酸無水物の混合物である。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、直鎖ヘキサデセニルコハク酸無水物および直鎖オクタデセニルコハク酸無水物を含む、2種類以上のアルケニル1置換コハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、分枝ヘキサデセニルコハク酸無水物および分枝オクタデセニルコハク酸無水物を含む、2種類以上のアルケニル1置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、1つ以上のヘキサデセニルコハク酸無水物は、n−ヘキサデセニルコハク酸無水物などの直鎖ヘキサデセニルコハク酸無水物および/または1−ヘキシル−2−デセニルコハク酸無水物などの分枝ヘキサデセニルコハク酸無水物である。付加的にまたは代替的に、1つ以上のオクタデセニルコハク酸無水物は、n−オクタデセニルコハク酸無水物などの直鎖オクタデセニルコハク酸無水物ならびに/またはイソオクタデセニルコハク酸無水物および/もしくは1−オクチル−2−デセニルコハク酸無水物などの分枝オクタデセニルコハク酸無水物である。
少なくとも1つの1置換コハク酸無水物が少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物および少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物の混合物であり得ることも認識される。
少なくとも1つの1置換コハク酸無水物が少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物および少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物の混合物である場合、少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物のアルキル置換基および少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物のアルケニル置換基が好ましくは同じであることが認識される。例えば、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、エチルコハク酸無水物およびエテニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、プロピルコハク酸無水物およびプロペニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物およびブテニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、トリイソブチルコハク酸無水物およびトリイソブテニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ペンチルコハク酸無水物およびペンテニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ヘキシルコハク酸無水物およびヘキセニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ヘプチルコハク酸無水物およびヘプテニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、オクチルコハク酸無水物およびオクテニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ノニルコハク酸無水物およびノネニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、デシルコハク酸無水物およびデセニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ドデシルコハク酸無水物およびドデセニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ヘキサデカニルコハク酸無水物およびヘキサデセニルコハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、直鎖ヘキサデカニルコハク酸無水物および直鎖ヘキサデセニルコハク酸無水物の混合物または分枝ヘキサデカニルコハク酸無水物および分枝ヘキサデセニルコハク酸無水物の混合物である。または、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、オクタデカニルコハク酸無水物およびオクタデセニルコハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、直鎖オクタデカニルコハク酸無水物および直鎖オクタデセニルコハク酸無水物の混合物または分枝オクタデカニルコハク酸無水物および分枝オクタデセニルコハク酸無水物の混合物である。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの1置換コハク酸無水物は、ノニルコハク酸無水物およびノネニルコハク酸無水物の混合物である。
少なくとも1つの1置換コハク酸無水物が少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物および少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物の混合物である場合、少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物と少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物との間の重量比は、90:10から10:90(重量%/重量%)の間である。例えば、少なくとも1つのアルキル1置換コハク酸無水物と少なくとも1つのアルケニル1置換コハク酸無水物との間の重量比は、70:30から30:70(重量%/重量%)の間または60:40から40:60の間である。
付加的にまたは代替的に、疎水化剤はリン酸エステルブレンドであり得る。従って、炭酸カルシウム粒子のアクセス可能な表面積の少なくとも一部は、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれの反応生成物ならびに1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれの反応生成物のリン酸エステルブレンドを含む処理層によって被覆されている。
本発明の意味におけるリン酸モノエステルと1つ以上のリン酸ジエステルとの「反応生成物」という用語は、炭酸カルシウムを少なくとも1つのリン酸エステルブレンドと接触させることによって得られた生成物を示す。前記反応生成物は、適用されたリン酸エステルブレンドの少なくとも一部と炭酸カルシウム粒子の表面に位置する反応性分子との間で形成される。
本発明の意味における「リン酸モノエステル」という用語は、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20および最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから選択される1個のアルコール分子によってモノエステル化されたo−リン酸分子を示す。
本発明の意味における「リン酸ジエステル」という用語は、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20および最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる、不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから選択される2個のアルコール分子によってジエステル化されたo−リン酸分子を示す。
「1つ以上の」リン酸モノエステルという表現は、1種類以上のリン酸モノエステルがリン酸エステルブレンド中に存在し得ることを意味することが認識される。
従って、1つ以上のリン酸モノエステルが1種類のリン酸モノエステルであり得ることに留意されたい。または、1つ以上のリン酸モノエステルは、2種類以上のリン酸モノエステルの混合物であり得る。例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、2種類のリン酸モノエステルなどの、2または3種類のリン酸モノエステルの混合物であり得る。
本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にC6からC30の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから選択される1つのアルコールによってエステル化されたo−リン酸分子から成る。例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にC8からC22、より好ましくはC8からC20および最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから選択される1つのアルコールによってエステル化されたo−リン酸分子から成る。
本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、ヘキシルリン酸モノエステル、ヘプチルリン酸モノエステル、オクチルリン酸モノエステル、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ノニルリン酸モノエステル、デシルリン酸モノエステル、ウンデシルリン酸モノエステル、ドデシルリン酸モノエステル、テトラデシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルである。
「1つ以上の」リン酸ジエステルという表現は、1種類以上のリン酸ジエステルが炭酸カルシウムおよび/またはリン酸エステルブレンドのコーティング層中に存在し得ることを意味することが認識される。
従って、1つ以上のリン酸ジエステルが1種類のリン酸ジエステルであり得ることに留意されたい。または、1つ以上のリン酸ジエステルは、2種類以上のリン酸ジエステルの混合物であり得る。例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、2種類のリン酸ジエステルなどの、2または3種類のリン酸ジエステルの混合物であり得る。
本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC6からC30の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから選択される2つのアルコールによってエステル化されたo−リン酸分子から成る。例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC8からC22、より好ましくはC8からC20および最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから選択される2つの脂肪アルコールによってエステル化されたo−リン酸分子から成る。
リン酸のエステル化に使用される2つのアルコールが、アルコール置換基中にC6からC30の炭素原子の総量を有する、同じまたは異なる、不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから独立して選択され得ることが認識される。即ち、1つ以上のリン酸ジエステルが同じアルコールに由来する2個の置換基を含み得るか、またはリン酸ジエステル分子が異なるアルコールに由来する2個の置換基を含み得る。
本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20および最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる、飽和および直鎖および脂肪族アルコールから選択される2つのアルコールによってエステル化されたo−リン酸分子から成る。または、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20および最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる、飽和および分枝および脂肪族アルコールから選択される2つのアルコールによってエステル化されたo−リン酸分子から成る。
本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、ヘキシルリン酸ジエステル、ヘプチルリン酸ジエステル、オクチルリン酸ジエステル、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ノニルリン酸ジエステル、デシルリン酸ジエステル、ウンデシルリン酸ジエステル、ドデシルリン酸ジエステル、テトラデシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルである。
本発明の一実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択され、ならびに1つ以上のリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびこれらの混合物を含む群から選択される。
例えば、炭酸カルシウムのアクセス可能な表面積の少なくとも一部は、1つのリン酸モノエステルおよび/またはこれの反応生成物ならびに1つのリン酸ジエステルおよび/またはこれの反応生成物のリン酸エステルブレンドを含む。この場合、1つのリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルを含む群から選択され、1つのリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルを含む群から選択される。
リン酸エステルブレンドは、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれの反応生成物を、1つ以上のリン酸ジエステルおよび/またはこれの反応生成物に対する特定のモル比で含む。特に、処理層および/またはリン酸エステルブレンド中の、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/またはこれの反応生成物の、1つ以上のリン酸ジエステルおよび/もしくはこれの反応生成物に対するモル比は、1:1から1:100、好ましくは1:1.1から1:60、より好ましくは1:1.1から1:40、またより好ましくは1:1.1から1:20および最も好ましくは1:1.1から1:10である。
本発明の意味における「1つ以上のリン酸モノエステルおよびこれの反応生成物の、1つ以上のリン酸ジエステルおよびこれの反応生成物に対するモル比」という表現は、リン酸ジエステル分子の分子量の和および/またはこれの反応生成物中のリン酸ジエステル分子の分子量の和に対する、リン酸モノエステル分子の分子量の和および/またはこれの反応生成物中のリン酸モノエステル分子の分子量の和を示す。
本発明の一実施形態において、炭酸カルシウムの表面の少なくとも一部を被覆したリン酸エステルブレンドは、1つ以上のリン酸トリエステルおよび/もしくはリン酸ならびに/またはこれの反応生成物をさらに含み得る。
本発明の意味における「リン酸トリエステル」という用語は、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20および最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する同じまたは異なる、不飽和または飽和、分枝または直鎖、脂肪族または芳香族アルコールから選択される3個のアルコール分子によってトリエステル化されたo−リン酸分子を示す。
「1つ以上の」リン酸トリエステルという表現は、1種類以上のリン酸トリエステルが炭酸カルシウムのアクセス可能な表面積の少なくとも一部に存在し得ることを意味することが認識される。
従って、1つ以上のリン酸トリエステルが1種類のリン酸トリエステルであり得ることに留意されたい。または、1つ以上のリン酸トリエステルは、2種類以上のリン酸トリエステルの混合物であり得る。例えば、1つ以上のリン酸トリエステルは、2種類のリン酸トリエステルなどの、2または3種類のリン酸トリエステルの混合物であり得る。
本発明の好ましい実施形態によれば、方法ステップa)において、基材が供給され、該基材は少なくとも片面に、炭酸カルシウム、好ましくは粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムおよび/または表面処理炭酸カルシウムを含むコーティング層を備える。
一実施形態によれば、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、15nmから200μm、好ましくは20nmから100μm、より好ましくは50nmから50μm、最も好ましくは100nmから2μmの重量中央粒径d50を有する粒子の形態である。
一実施形態によれば、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、窒素およびISO 9277に従うBET法を用いて測定した、4から120m2/g、好ましくは8から50m2/gの比表面積(BET)を有する。
コーティング層中の塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物の量は、コーティング層の総重量に基づいて40から99重量%の範囲、好ましくは45から98重量%の範囲、より好ましくは60から97重量%の範囲である。
一実施形態によれば、コーティング層は、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物の総重量に基づいて、好ましくは1から50重量%、好ましくは3から30重量%およびより好ましくは5から15重量%の量の結合剤をさらに含む。
いずれの好適なポリマー性結合剤も、本発明の液体コーティング組成物で使用され得る。例えば、ポリマー性結合剤は、親水性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリオキサゾリン、ポリビニルアセトアミド、部分加水分解ポリビニルアセテート/ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、スルホン化またはホスフェート化ポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、クズウコン、グアー、カラギーナン、デンプン、トラガカント、キサンタンまたはラムサンならびにこれらの混合物であり得る。他の結合剤、例えば疎水性材料、例えばポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、n−ブチルアクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー、ビニルアセテートとn−ブチルアクリレートとのコポリマーなどおよびこれらの混合物を使用することも可能である。好適な結合剤のさらなる例は、アクリル酸および/またはメタクリル酸、イタコン酸および酸エステル、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、スチレン、非置換または置換塩化ビニル、ビニルアセテート、エチレン、ブタジエン、アクリルアミドおよびアクリロニトリルのホモポリマーまたはコポリマー、シリコーン樹脂、水希釈性アルキド樹脂、アクリル/アルキド樹脂の組合せ、アマニ油などの天然油ならびにこれらの混合物である。
一実施形態によれば、結合剤は、デンプン、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレンアクリレート、ポリビニルアセテートラテックス、ポリオレフィン、エチレンアクリレート、ミクロフィブリル化セルロース、微結晶セルロース、ナノセルロース、セルロース、カルボキシメチルセルロース、バイオベースラテックス、またはこれらの混合物から選択される。
別の実施形態によれば、コーティング層は結合剤を含まない。
コーティング層に存在し得る他の任意の添加剤は、例えば分散剤、粉砕助剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、潤滑剤、消泡剤、光学増白剤、染料、保存料またはpH調節剤である。一実施形態によれば、コーティング層はレオロジー調整剤をさらに含む。好ましくは、レオロジー調整剤は、フィラーの総重量に対して1重量%未満の量で存在する。
例示的な実施形態によれば、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、分散剤によって分散される。分散剤は、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物の総重量に対して0.01から10重量%、0.05から8重量%、0.5から5重量%、0.8から3重量%または1.0から1.5重量%の量で使用され得る。好ましい実施形態において、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物の総重量に対して0.05から5重量%、好ましくは0.5から5重量%の量の分散剤を用いて分散される。好適な分散剤は、好ましくは例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸をベースとするポリカルボン酸塩のホモポリマーもしくはコポリマーおよびアクリルアミドまたはこれらの混合物を含む群から選択される。アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーがとりわけ好ましい。このような生成物の分子量Mwは、好ましくは2,000から15,000g/molの範囲であり、3,000から7,000g/molの分子量Mwがとりわけ好ましい。このような生成物の分子量Mwはまた、好ましくは2,000から150,000g/molの範囲であり、15,000から50,000g/mol、例えば35,000から45,000g/molのMwがとりわけ好ましい。例示的な実施形態によれば、分散剤はポリアクリレートである。
コーティング層は、活性物質、例えば添加剤としての生物活性分子、例えば酵素、pHもしくは温度の変化を受けやすい色指示薬または蛍光物質も含み得る。
一実施形態によれば、コーティング層は、0.5から100g/m2、好ましくは1から75g/m2、より好ましくは2から50g/m2および最も好ましくは4から25g/m2の塗工重量を有する。
コーティング層は、少なくとも1μm、例えば少なくとも5μm、10μm、15μmまたは20μmの厚さを有し得る。好ましくは、コーティング層は1μmから150μm以下の範囲の厚さを有する。
一実施形態によれば、基材は第1の面および裏面を備え、該基材は、第1の面および裏面に塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備える。好ましい実施形態によれば、基材は第1の面および裏面を備え、該基材は、第1の面および裏面にアルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネート、好ましくは炭酸カルシウムを含むコーティング層を備える。
一実施形態によれば、コーティング層は、基材の表面と直接接触している。
さらなる実施形態によれば、基材は、基材と塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層との間に、1つ以上の追加のプレコーティング層を備える。このような追加のプレコーティング層は、カオリン、シリカ、タルク、プラスチック、沈降炭酸カルシウム、改質炭酸カルシウム、粉砕炭酸カルシウム、またはこれらの混合物を含み得る。この場合、コーティング層はプレコーティング層と直接接触していてよく、または1を超えるプレコーティング層が存在する場合、コーティング層はトッププレコーティング層と直接接触していてよい。
本発明の別の実施形態によれば、基材は、基材と塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層との間に、1つ以上のバリア層を備える。この場合、コーティング層はバリア層と直接接触していてよく、または1を超えるバリア層が存在する場合、コーティング層はトップバリア層と直接接触していてよい。バリア層は、ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリオキサゾリン、ポリビニルアセトアミド、部分加水分解ポリビニルアセテート/ビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、スルホン化またはホスフェート化ポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、クズウコン、グアー、カラギーナン、デンプン、トラガカント、キサンタン、ラムサン、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、n−ブチルアクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー、ビニルアセテートとn−ブチルアクリレートとのコポリマーなどならびにこれらの混合物を含み得る。好適なバリア層のさらなる例は、アクリル酸および/またはメタクリル酸、イタコン酸および酸エステル、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、スチレン、非置換または置換塩化ビニル、ビニルアセテート、エチレン、ブタジエン、アクリルアミドおよびアクリロニトリルのホモポリマーまたはコポリマー、シリコーン樹脂、水希釈性アルキド樹脂、アクリル/アルキド樹脂の組合せ、アマニ油などの天然油ならびにこれらの混合物である。一実施形態によれば、バリア層は、ラテックス、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、カオリン、タルカム、蛇行構造(積層構造)を生成するための雲母およびこれらの混合物を含む。
本発明のなお別の実施形態によれば、基材は、基材と塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層との間に、1つ以上のプレコーティング層およびバリア層を備える。この場合、コーティング層は、トッププレコーティング層またはバリア層それぞれと直接接触していてもよい。
本発明の一実施形態によれば、ステップa)の基材は、
i)基材を供給するステップ、
ii)基材の少なくとも片面に塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング組成物を塗工してコーティング層を形成するステップおよび
iii)場合により、コーティング層を乾燥させるステップによって作製される。
i)基材を供給するステップ、
ii)基材の少なくとも片面に塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング組成物を塗工してコーティング層を形成するステップおよび
iii)場合により、コーティング層を乾燥させるステップによって作製される。
コーティング組成物は、液体または乾燥形態であることができる。一実施形態によれば、コーティング組成物は、乾燥コーティング組成物である。別の実施形態によれば、コーティング組成物は液体コーティング組成物である。この場合、コーティング層を乾燥させてよい。
本発明の一実施形態によれば、コーティング組成物は、水性組成物、即ち水を唯一の溶媒として含有する組成物である。別の実施形態によれば、コーティング組成物は非水性組成物である。好適な溶媒は当業者に既知であり、例えば4から14個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、エーテルおよびジエーテル、グリコール、アルコキシ化グリコール、グリコールエーテル、アルコキシ化芳香族アルコール、芳香族アルコール、これらの混合物またはこれの水との混合物である。
本発明の一実施形態によれば、コーティング組成物の固体含有率は、組成物の総重量に対して5重量%から75重量%の範囲、好ましくは20から67重量%の範囲、より好ましくは30から65重量%の範囲、最も好ましくは50から62重量%の範囲である。好ましい実施形態によれば、コーティング組成物は、組成物の総重量に対して5重量%から75重量%の範囲、好ましくは20から67重量%の範囲、より好ましくは30から65重量%の範囲、最も好ましくは50から62重量%の範囲の固体含有率を有する水性組成物である。
本発明の一実施形態によれば、コーティング組成物は、20℃にて10から4000mPa・s、好ましくは20℃にて100から3500mPa・s、より好ましくは20℃にて200から3000mPa・s、最も好ましくは20℃にて250から2000mPa・sのBrookfield粘度を有する。
一実施形態によれば、方法ステップii)およびiii)は、第1の面および裏面がコーティングされる基材を製造するために、基材の裏面にも行う。これらのステップは、各面に別個に行われ得るか、または第1面および裏面に同時に行われ得る。
本発明の一実施形態によれば、方法ステップii)およびiii)は、異なるまたは同じコーティング組成物を使用して2回以上行われる。
本発明の一実施形態によれば、方法ステップii)の前に、1つ以上の追加のコーティング組成物が基材の少なくとも1つの面に塗工される。追加のコーティング組成物は、プレコーティング組成物および/またはバリア層組成物であってよい。
コーティング組成物は、当分野でよく使用される従来のコーティング手段によって基材上に塗工され得る。好適なコーティング方法は、例えばエアナイフコーティング、静電コーティング、メタリングサイズプレス、フィルムコーティング、スプレーコーティング、巻きワイヤロッドコーティング、スロットコーティング、スライドホッパーコーティング、グラビア、カーテンコーティング、高速コーティングなどである。これらの方法の幾つかにより、2枚以上の層の同時コーティングが可能となり、このことは製造の経済上の見通しから好ましい。しかし、基材上にコーティング層を形成するのに好適である、他のいずれのコーティング方法もまた使用され得る。例示的な実施形態によれば、コーティング組成物は、高速コーティング、メタリングサイズプレス、カーテンコーティング、スプレーコーティング、フレキソおよびグラビアまたはブレードコーティング、好ましくはカーテンコーティングによって塗工される。
ステップiii)によれば、基材上に形成されたコーティング層が乾燥される。乾燥は、当分野で既知のいずれの方法によっても行え、当業者は、温度などの乾燥条件を自分の処理装置に適合させる。例えばコーティング層は、赤外乾燥および/または対流乾燥によって乾燥することができる。乾燥ステップは、室温にて、即ち20℃±2℃の温度にて、または他の温度にて行われ得る。一実施形態によれば、方法ステップiii)は、25から150℃、好ましくは50から140℃、より好ましくは75から130℃の基材表面温度にて行う。場合により塗工されたプレコーティング層および/またはバリア層は、同じ方法で乾燥することができる。
コーティング後、表面平滑度を向上させるために、コーティングされた基材にカレンダー加工またはスーパーカレンダー加工を行ってもよい。例えばカレンダー加工は、20から200℃、好ましくは60から100℃の温度にて、例えば2から12個のニップを有するカレンダーを使用して行われ得る。前記ニップは、ハードまたはソフトであってよく、ハードニップは例えばセラミック材料から成ることができる。例示的な一実施形態によれば、コーティングされた基材は、光沢コーティングを得るために300kN/mにてカレンダー加工される。別の例示的な実施形態によれば、コーティングされた基材は、マットコーティングを得るために120kN/mにてカレンダー加工される。
<方法ステップb)およびc)>
本発明の方法のステップb)によれば、酸を含む液体処理組成物が提供される。
本発明の方法のステップb)によれば、酸を含む液体処理組成物が提供される。
液体処理組成物は、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物と反応する場合にCO2を生成するいずれの無機酸または有機酸も含み得る。一実施形態によれば、酸は有機酸、好ましくはモノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸である。
一実施形態によれば、酸は、20℃にて0以下のpKaを有する強酸である。別の実施形態によれば、酸は、20℃にて0から2.5のpKa値を有する中強酸である。20℃におけるpKaが0以下である場合、酸は、好ましくは硫酸、塩酸またはこれらの混合物から選択される。20℃におけるpKaが0から2.5である場合、酸は、好ましくはH2SO3、H3PO4、シュウ酸またはこれらの混合物から選択される。しかし、例えばスベリン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、スルファミン酸、酒石酸、安息香酸、フィチン酸などのpKaが2.5を超える酸も使用してよい。
本発明の一実施形態によれば、酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、スルファミン酸、酒石酸、フィチン酸、ホウ酸、コハク酸、スベリン酸、安息香酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、酸性有機硫黄化合物、酸性有機リン化合物およびこれらの混合物から成る群から選択される。好ましい実施形態によれば、酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、ホウ酸、スベリン酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、酸は、硫酸、リン酸、ホウ酸、スベリン酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択され、最も好ましくは、酸はリン酸および/または硫酸である。
酸性有機硫黄化合物は、ナフィオン、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などのスルホン酸、チオカルボン酸、スルフィン酸および/またはスルフェン酸から選択され得る。酸性有機リン化合物の例は、アミノメチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、テトラメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(TDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(HDTMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、N−(ホスホノメチル)イミノ二酢酸(PMIDA)、2−カルボキシエチルホスホン酸(CEPA)、2−ヒドロキシホスホノカルボン酸(HPAA)、アミノ−トリス−(メチレン−ホスホン酸)(AMP)またはジ−(2−エチルヘキシル)リン酸である。
酸は、1種類の酸のみから成り得る。または、酸は2種類以上の酸から成ることができる。
酸は、濃縮形態または希釈形態で利用され得る。本発明の一実施形態によれば、液体処理組成物は、酸および水を含む。本発明の別の実施形態によれば、液体処理組成物は、酸および溶媒を含む。本発明の別の実施形態によれば、液体処理組成物は、酸、水および溶媒を含む。好適な溶媒は当分野で既知であり、例えば4から14個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、エーテルおよびジエーテル、グリコール、アルコキシ化グリコール、グリコールエーテル、アルコキシ化芳香族アルコール、芳香族アルコール、これらの混合物またはこれの水との混合物である。例示的な一実施形態によれば、液体コーティング組成物は、好ましくは1:1:1の重量比でリン酸、水およびエタノールを含む。
好ましい実施形態によれば、液体処理組成物は、液体処理組成物の総重量に対して41重量%のリン酸、23重量%のエタノールおよび36重量%の水を含有する。
一実施形態によれば、液体処理組成物は、液体処理組成物の総重量に対して0.1から100重量%の量、好ましくは1から80重量%の量、より好ましくは2から50重量%の量および最も好ましくは5から30重量%の量の酸を含む。
本発明の方法のステップc)によれば、インクが供給される。
インクは、インクジェット印刷に好適ないずれのインクも可能である。例えば、インクは、溶媒またはキャリア液、染料または顔料、湿潤剤、有機溶媒、清浄剤、増粘剤、保存料などを含む、液体組成物である。溶媒またはキャリア液は、水のみであることが可能であり、または、多価アルコールなどの他の水混和性溶媒と混合された水であることが可能である。キャリアとして油をベースとするインクジェットインクも使用することができる。蛍インク光もしくは燐光インクまたは紫外光または近赤外光を吸収するインクを使用することも可能である。
一実施形態によれば、インクは、天然顔料、合成顔料、天然有機染料、水溶性合成染料、ワックス染料、溶剤可溶性染料、アルコール可溶性染料またはこれらの混合物を含む。
一実施形態によれば、インクは、少なくとも1つの染料および/または少なくとも1つの顔料を、インクの総重量に対して0.001から15質量%、好ましくは0.01から10質量%および最も好ましくは0.1から8質量%の量で含む。
ステップb)の液体処理組成物およびステップc)のインクは、個別にまたは組み合わせて供給することができる。
本発明の一実施形態によれば、ステップb)の液体処理組成物およびステップc)のインクは個別に供給される。本発明の別の実施形態によれば、ステップb)の液体処理組成物およびステップc)のインクは、インクジェット配合物の形態で共に供給される。
本発明のさらなる態様によれば、本発明のインクジェット印刷方法で使用するためのインクジェット配合物が提供され、該インクジェット配合物は、酸とインクとを含む。さらにインクジェット配合物は、湿潤剤、有機溶剤、清浄剤、分散剤、増粘剤、防腐剤などの添加剤を含んでよい。
一実施形態によれば、インクジェット配合物は、酸および天然顔料、合成顔料、天然有機染料、水溶性合成染料、ワックス染料、溶剤可溶性染料、アルコール可溶性染料またはこれらの混合物を含む。別の実施形態によれば、インクジェット配合物は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、ホウ酸、スベリン酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択される酸、好ましくはリン酸および天然顔料、合成顔料、天然有機染料、水溶性合成染料、ワックス染料、溶媒可溶性染料、アルコール可溶性染料またはこれらの混合物を含む。
一実施形態によれば、インクジェット配合物は、インクジェット配合物の総重量に対して0.1から100重量%の量、好ましくは1から80重量%の量、より好ましくは2から50重量%の量、最も好ましくは5から30重量%の量の酸、ならびにインクジェット配合物の総重量に対して0.001から15重量%の量、好ましくは0.01から10重量%の量および最も好ましくは0.1から8重量%の量のインクを含む。
<方法ステップd)およびe)>
本発明の方法のステップd)によれば、液体処理組成物は、インクジェット印刷によってコーティング層上に堆積されて第1のパターンを形成し、本発明の方法のステップe)によれば、インクは、インクジェット印刷によりコーティング層上に堆積されて第2のパターンを形成する。本発明の方法の要件は、液体処理組成物およびインクが、同時にまたは連続的に堆積され、第1のパターンおよび第2のパターンが少なくとも部分的に重複することである。
本発明の方法のステップd)によれば、液体処理組成物は、インクジェット印刷によってコーティング層上に堆積されて第1のパターンを形成し、本発明の方法のステップe)によれば、インクは、インクジェット印刷によりコーティング層上に堆積されて第2のパターンを形成する。本発明の方法の要件は、液体処理組成物およびインクが、同時にまたは連続的に堆積され、第1のパターンおよび第2のパターンが少なくとも部分的に重複することである。
液体処理組成物およびインクは、当分野で既知のいずれの好適なインクジェット印刷技術によってもコーティング層上に堆積させることができる。一実施形態によれば、液体処理組成物およびインクは、連続インクジェット印刷、間欠インクジェット印刷および/またはドロップ・オン・デマンド・インクジェット印刷によって堆積される。
液体処理組成物および/またはインクのコーティング層への堆積は、室温、即ち20±2℃の温度、または高温、例えば約60℃である、基材の表面温度にて行うことができる。方法ステップd)および/または方法ステップe)を高温で行うと、液体処理組成物および/またはインクの乾燥が促進され得て、従って製造時間が短縮され得る。一実施形態によれば、方法ステップd)および/または方法ステップe)は、5℃を超える、好ましくは10℃を超える、より好ましくは15℃を超えるおよび最も好ましくは20℃を超える基材表面温度にて行われる。一実施形態によれば、方法ステップd)および/または方法ステップe)は、5から120℃の範囲、より好ましくは10から100℃の範囲、より好ましくは15から80℃の範囲、最も好ましくは20から60℃の範囲の基材表面温度にて行われる。
一実施形態によれば、方法ステップd)およびe)は、液体処理組成物およびインクを少なくとも1つのインクリザーバからプリントヘッドを通じてコーティング層上に堆積させることを含む。好ましくは、インクリザーバおよび/またはプリントヘッドの温度は5℃を超え、好ましくは10℃から100℃の間、より好ましくは15℃から80℃の間および最も好ましくは20℃から60℃の間である。
本発明の一実施形態によれば、液体処理組成物およびインクは、コーティング層上に連続的に堆積される。このため、液体処理組成物およびインクは個別に供給される。液体処理組成物および/またはインクは、少なくとも1つのステップでコーティング層上に連続的に堆積されてよい。一実施形態によれば、液体処理組成物および/またはインクは、1つのステップで堆積される。別の実施形態によれば、液体処理組成物および/またはインクは、2つ以上のステップで堆積される。
本発明の別の実施形態によれば、液体処理組成物およびインクは、コーティング層上に同時に堆積される。このため、液体処理組成物およびインクは、インクジェット配合物の形態で共に供給される。インクジェット配合物は、少なくとも1つのステップでコーティング層上に堆積させることができる。一実施形態によれば、インクジェット配合物は1つのステップで堆積される。別の実施形態によれば、インクジェット配合物は、2つ以上のステップで堆積される。
一実施形態によれば、液体処理組成物および/またはインクもしくはインクジェット配合物は、1000pl以下の体積を有する液滴の形態で堆積される。一実施形態によれば、液滴は、500plから1fl、好ましくは100plから10fl、より好ましくは50plから100flおよび最も好ましくは10plから1plの体積を有する。別の実施形態によれば、液滴は1000pl未満、好ましくは600pl未満、より好ましくは200pl未満、またより好ましくは80pl未満および最も好ましくは20pl未満の体積を有する。なお別の実施形態によれば、液滴は1pl未満、好ましくは500fl未満、より好ましくは200fl未満、またより好ましくは80fl未満および最も好ましくは20fl未満の体積を有する。
液体処理組成物およびインクがコーティング層上に連続的に堆積される場合、液体処理組成物およびインクの液滴体積は同じであることも異なることもできる。一実施形態によれば、液体処理組成物およびインクは、液滴の形態で連続的に堆積され、液体処理組成物の液滴およびインクの液滴は異なる体積を有する。別の実施形態によれば、液体処理組成物およびインクは、液滴の形態で連続的に堆積され、液体処理組成物の液滴およびインクの液滴は同じ体積を有する。
一実施形態によれば、液体処理組成物および/またはインクもしくはインクジェット配合物は、1000μm以下の液滴間隔で堆積される。一実施形態によれば、液滴間隔は10nmから500μm、好ましくは100nmから300μm、より好ましくは1μmから200μmおよび最も好ましくは5μmから100μmである。別の実施形態によれば、液滴間隔は、800μm未満、より好ましくは600μm未満、またより好ましくは400μm未満および最も好ましくは80μm未満である。なお別の実施形態によれば、液滴間隔は500nm未満、より好ましくは300nm未満、またより好ましくは200nm未満および最も好ましくは80nm未満である。液滴間隔をゼロにすることが可能であり、このことは液滴が完全に重複することを意味する。
液体処理組成物およびインクがコーティング層上に連続的に堆積される場合、液体処理組成物およびインクの液滴間隔は同じであることも異なることもできる。一実施形態によれば、液体処理組成物およびインクは、液滴の形態で連続的に堆積され、液体処理組成物およびインクの液滴間隔は異なる。別の実施形態によれば、液体処理組成物およびインクは、液滴の形態で連続的に堆積され、液体処理組成物およびインクの液滴間隔は同じである。
当業者は、液滴体積を制御することによって液滴直径を制御することができ、このため液体処理組成物および/またはインクもしくはインクジェット配合物によって処理される範囲の直径を制御できることを認識する。2個の連続する液滴間の距離は、液滴間隔によって求められる。従って、液滴の量および液滴間隔を変化させることによって、第1のパターンおよび第2のパターンの解像度を調整することができる。
一実施形態によれば、第1のパターンおよび/または第2のパターンは、x方向およびy方向に少なくとも150dpi、好ましくはx方向およびy方向に少なくとも300dpi、より好ましくはx方向およびy方向に少なくとも600dpi、またより好ましくは少なくとも1200dpiおよび最も好ましくはx方向およびy方向に少なくとも2400dpiまたはx方向およびy方向に少なくとも4800dpiの解像度で形成される。
液体処理組成物およびインクがコーティング層上に連続的に堆積される場合、第1のパターンおよび第2のパターンの解像度は同じであることも異なることもできる。一実施形態によれば、第1のパターンの解像度は、第2のパターンの解像度とは異なる。別の実施形態によれば、第1のパターンの解像度は、第2のパターンの解像度と同じである。
本発明の方法の要件は、第1のパターンと第2のパターンが少なくとも部分的に重複するということである。好ましい実施形態によれば、第2のパターンは完全に第1のパターン内に位置する。
本発明の一実施形態によれば、第1のパターンおよび第2のパターンは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、またより好ましくは少なくとも95%および最も好ましくは少なくとも99%重複する。
液体処理組成物およびインクが連続的に堆積される場合、第1のパターンおよび第2のパターンは、形状が異なってよい。例えば、第1のパターンは、正方形または長方形のような塗りつぶし範囲であることができ、第2のパターンは、2次元バーコードまたはテキストであることができる。別の例示的な実施形態によれば、第1のパターンは、第2のパターンと同じ形状を有するが、第2のパターンのインクジェット印刷中に発生し得る偏差を許容するために過大とされている。
液体処理組成物およびインクがインクジェット配合物の形態で共に堆積される場合、第1のパターンと第2のパターンは同じとなり、このためこれらは100%重複する。
本発明の一実施形態によれば、インクジェット印刷基材の製造方法は、以下の:
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)インクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によってインクをコーティング層上に堆積させて第2のパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、連続的に堆積され、ならびに第1のパターンおよび第2のパターンは、少なくとも部分的に重複し、好ましくは第2のパターンは第1のパターン内に完全に位置する。
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)インクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によってインクをコーティング層上に堆積させて第2のパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、連続的に堆積され、ならびに第1のパターンおよび第2のパターンは、少なくとも部分的に重複し、好ましくは第2のパターンは第1のパターン内に完全に位置する。
本発明の別の実施形態によれば、インクジェット印刷基材の製造方法は、以下の:
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸とインクとを含む液体処理組成物を含むインクジェット配合物を供給するステップ、ならびに
c)コーティング層上にインクジェット配合物を堆積させて、パターンを形成するステップ
を含む。
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸とインクとを含む液体処理組成物を含むインクジェット配合物を供給するステップ、ならびに
c)コーティング層上にインクジェット配合物を堆積させて、パターンを形成するステップ
を含む。
一実施形態によれば、インクジェット印刷基材の製造方法は、以下の:
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸カルシウムおよびこれらの混合物から成る群から選択される塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物、好ましくは炭酸カルシウムを含むコーティング層を備えるステップ、
b)塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、ホウ酸、スベリン酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択される酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)インクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によってインクをコーティング層上に堆積させて第2のパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、同時にまたは連続的に堆積され、第1のパターンおよび第2のパターンは、少なくとも部分的に重複し、好ましくは第2のパターンは第1のパターン内に完全に位置する。
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸カルシウムおよびこれらの混合物から成る群から選択される塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物、好ましくは炭酸カルシウムを含むコーティング層を備えるステップ、
b)塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、ホウ酸、スベリン酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択される酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)インクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によってインクをコーティング層上に堆積させて第2のパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、同時にまたは連続的に堆積され、第1のパターンおよび第2のパターンは、少なくとも部分的に重複し、好ましくは第2のパターンは第1のパターン内に完全に位置する。
本発明の方法によれば、第1パターンおよび/または第2パターンは、1次元バーコード、2次元バーコード、3次元バーコード、セキュリティマーク、数字、文字、英数字記号、ロゴ、画像、形状またはデザインである。第1のパターンおよび/または第2のパターンは、150dpiを超える、好ましくは300dpiを超える、より好ましくは600dpiを超える、またより好ましくは1200dpiを超えるおよび最も好ましくは2400dpiを超えるまたは4800dpiを超える解像度を有し得る。
いずれの理論にも束縛されるものではないが、コーティング層上に液体処理組成物を塗布することによって、コーティング層の塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物が、処理組成物に含まれる少なくとも1つの酸と反応すると考えられる。これにより、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、元の材料とは異なる特性を有する酸性塩に少なくとも部分的に変換される。塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物がアルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートである場合、例えば、化合物は酸処理によって非炭酸アルカリ塩またはアルカリ土類塩に変換される。
本発明者らは、驚くべきことに、酸を含む液体処理組成物を、別個にまたはインクジェット配合物の形態でコーティング層上に堆積させることによって、インクジェットインクをより良好に局所吸収させ得るパターンを形成できることを見出した。これによってより鮮明な画像がもたらされ得て、インクの乾燥時間が短縮され、オフセット印刷またはフレキソ印刷用の基材などのインクジェット印刷にはあまり好適ではない基材上に、高解像度のパターンを作成する可能性が得られることがある。
さらに、本発明の方法は、液体処理組成物を含むさらなるインクジェットプリントヘッドもしくはカートリッジを追加するだけで、または従来のインクを本発明のインクジェット配合物に代えることだけで、従来のインクジェットプリンタを用いて行えるという利点を有する。このため、本発明の方法は、既存の印刷設備で実施可能であり、コストを要し、時間もかかるこのような印刷ラインの改造が不要である。さらに、インク乾燥時間が短縮されるため、本発明の方法によってエネルギーコストが低減され、印刷速度がより高くなり得る。
液体処理組成物をコーティング層上に堆積させることにより、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を水不溶性塩または水溶性塩に変換することができる。
一実施形態によれば、第1のパターンは、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物の酸性塩を含む。別の実施形態によれば、第1のパターンは、非炭酸アルカリ塩またはアルカリ土類塩、好ましくは不溶性の非炭酸アルカリ塩またはアルカリ土類塩を含む。好ましい実施形態によれば、第1のパターンは、非炭酸カルシウム塩、好ましくは不溶性非炭酸カルシウム塩を含む。本発明の意味において、「非水溶性」材料は、脱イオン水と混合して、0.2μm孔径を有するフィルタで20℃にて濾過して濾液を回収する場合に、前記濾液100gを95から100℃にて蒸発させた後に、0.1g以下の回収固体材料が得られる材料として定義される。「水溶性」材料は、前記濾液100gを95から100℃にて蒸発させた後に、0.1gを超える回収固体材料を生じる材料として定義される。
一実施形態によれば、第1のパターンは、コーティング層の残りの未処理領域と比較して親水性の上昇を有し、および/または
コーティング層の残りの未処理領域と比較して多孔率の上昇を有し、および/または
コーティング層の残りの未処理領域と比較して比表面積の増大を有し、および/または
コーティング層の残りの未処理領域と比較して粗度の上昇を有する、および/または
コーティング層の残りの未処理領域と比較して光沢の低下を有する。
コーティング層の残りの未処理領域と比較して多孔率の上昇を有し、および/または
コーティング層の残りの未処理領域と比較して比表面積の増大を有し、および/または
コーティング層の残りの未処理領域と比較して粗度の上昇を有する、および/または
コーティング層の残りの未処理領域と比較して光沢の低下を有する。
例えば、第1のパターンおよびコーティング層の残りの未処理領域の親水性または疎水性は、それぞれの領域に水滴を適用し、固体表面と水滴の端面との間の接触角θを測定することによって定量することができる。θが90°未満である場合、固体表面は親水性であり、水は表面を濡らすと言われ、θが1に等しい場合、水は表面を完全に濡らす。θが90°を超える場合、固体表面は疎水性であり、外力が加えられない限り濡れは生じない。
本発明の一実施形態によれば、第1のパターンは、0°から110°、好ましくは5°から90°、より好ましくは10°から80°の接触角を有する。
<追加の方法ステップ>
本発明の一実施形態によれば、方法は、第1のパターンおよび第2のパターンの上に保護層を塗工するステップf)をさらに含む。
本発明の一実施形態によれば、方法は、第1のパターンおよび第2のパターンの上に保護層を塗工するステップf)をさらに含む。
保護層は、望ましくない環境上の影響または機械的摩耗からの下にあるパターンの保護に好適ないずれの材料からでも作ることができる。適切な材料の例は、樹脂、ワニス、ケイ素、ポリマー、金属箔またはセルロース系材料である。
保護層は、当分野で既知であり、保護層の材料に好適であるいずれの方法によっても、第1のパターンおよび第2のパターンの上に塗工され得る。好適な方法は、例えばエアナイフコーティング、静電コーティング、メタリングサイズプレス、フィルムコーティング、スプレーコーティング、押出コーティング、巻きワイヤロッドコーティング、スロットコーティング、スライドホッパーコーティング、グラビア、カーテンコーティング、高速コーティング、ラミネーション、印刷、接着結合などである。
本発明の一実施形態によれば、保護層は、第1のパターン、第2のパターンおよび残りのコーティング層の上に塗工される。
一実施形態によれば、保護層は、除去可能な保護層である。
本発明のさらなる実施形態によれば、ステップa)で供給される基材は、第1の面および裏面上に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を含み、ステップd)において、酸を含む液体処理組成物が第1の面および裏面のコーティング層上に堆積されて、第1の面および裏面のコーティング層上に第1のパターンを形成する。ステップd)は、各面に対して個別に行ってよく、または第1の面および裏面に同時に行ってよい。さらにステップe)において、第1の面および裏面のコーティング層上にインクを堆積させて、第1の面および裏面のコーティング層上に第2のパターンを形成され得る。ステップe)は、各面に対して個別に行ってよく、または第1の面および裏面に同時に行ってよい。
本発明の一実施形態によれば、方法ステップd)は、異なるまたは同じ液体処理組成物を使用して2回以上行われる。本発明の別の実施形態によれば、方法ステップe)は、異なるまたは同じインクを使用して2回以上行われる。
一実施形態によれば、インクジェット印刷基材の製造方法は、以下の:
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)少なくとも1つのインクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によって少なくとも1つのインクをコーティング層上に堆積させて少なくとも1つのさらなるパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、同時にまたは連続的に堆積され、ならびに第1のパターンおよび少なくとも1つのさらなるパターンは、少なくとも部分的に重複する。
a)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)少なくとも1つのインクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって液体処理組成物をコーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、
e)インクジェット印刷によって少なくとも1つのインクをコーティング層上に堆積させて少なくとも1つのさらなるパターンを形成するステップ
を含み、液体処理組成物およびインクは、同時にまたは連続的に堆積され、ならびに第1のパターンおよび少なくとも1つのさらなるパターンは、少なくとも部分的に重複する。
一実施形態によれば、方法ステップc)は2つのインクを供給することを含み、方法ステップe)は、インクジェット印刷によって2つのインクをコーティング層上に堆積させて、第2のパターンおよび第3のパターンを形成することを含む。別の実施形態によれば、方法ステップc)は3つのインクを供給することを含み、方法ステップe)は、インクジェット印刷によって3つのインクをコーティング層上に堆積させて、第2のパターン、第3のパターンおよび第4のパターンを形成することを含む。
<インクジェット印刷基材>
本発明の一態様によれば、本発明の方法によって得られるインクジェット印刷基材が提供される。
本発明の一態様によれば、本発明の方法によって得られるインクジェット印刷基材が提供される。
一実施形態によれば、インクジェット印刷基材が提供され、基材は、少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備え、コーティング層は、塩形成性アルカリ化合物またはアルカリ土類化合物の酸性塩を含む第1のパターンおよびインクを含む第2のパターンを備え、第1のパターンおよび第2のパターンは少なくとも部分的に重複する。好ましくは、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物は、アルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネート、好ましくは炭酸カルシウムであり、第1のパターンは非炭酸アルカリ塩またはアルカリ土類塩、好ましくは非炭酸カルシウム塩を含む。好ましい実施形態により、第2のパターンは完全に第1のパターン内に位置する。
本発明の方法によって得られるインクジェット印刷基材は、いずれの用途または製品にも、特に高品質のインクジェット印刷物を必要とする用途または製品に用いられ得る。本発明の一実施形態によれば、インクジェット印刷基材は、包装用途、装飾用途、芸術用途または視覚用途に使用される。一実施形態によれば、インクジェット印刷基材は、壁紙、包装、ギフト用包装紙、広告用紙またはポスター、名刺、マニュアル、保証書またはカードとして使用される。インクジェット印刷基材は、市販品においてまたは人工木板もしくは石板としても使用することができ、ここでパターンは、印刷によって例えば建設資材に作成される。
本発明のさらなる態様によれば、酸とインクとを含む液体処理組成物を含む、本発明による方法で使用するためのインクジェット配合物が提供される。
本発明のまたさらに別の態様によれば、以下のステップを含む、インクジェット印刷適性が改善された基材の製造方法が提供される:A)基材を供給するステップであって、基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
B)酸を含む液体処理組成物を供給するステップおよび
C)インクジェット印刷によってコーティング層上に液体処理組成物を堆積させて、インクジェット印刷適性が改善されたパターンを形成するステップ。
B)酸を含む液体処理組成物を供給するステップおよび
C)インクジェット印刷によってコーティング層上に液体処理組成物を堆積させて、インクジェット印刷適性が改善されたパターンを形成するステップ。
なおさらなる態様によれば、上述の方法によって得られるインクジェット印刷適性が改善された基材が提供される。一実施形態によれば、インクジェット印刷適性が改善された前記基材は、インクジェット印刷用途に使用される。
本発明の範囲および関心は、本発明のある実施形態を例証するためであり、非限定的である以下の図面および実施例に基づいてさらに深く理解される。
1.光学顕微鏡写真
調製したインクジェット印刷物を、Leica MZ16A実体顕微鏡(Leica Microsystems Ltd.、スイス)によって検査した。
調製したインクジェット印刷物を、Leica MZ16A実体顕微鏡(Leica Microsystems Ltd.、スイス)によって検査した。
2.材料
<塩形成性アルカリ土類化合物>
CC1:粉砕炭酸カルシウム(d50:0.7μm、d98:5μm)、予め分散されたスラリ、固体含有率78%、スイスのOmya AGから市販。
<塩形成性アルカリ土類化合物>
CC1:粉砕炭酸カルシウム(d50:0.7μm、d98:5μm)、予め分散されたスラリ、固体含有率78%、スイスのOmya AGから市販。
CC2:粉砕炭酸カルシウム(d50:0.6μm、d98:4μm)、予め分散されたスラリ、固体含有率71.5%、スイスのOmya AGから市販。
CC3:粉砕炭酸カルシウム(d50:1.5μm、d98:10μm)、予め分散されたスラリ、固体含有率78%、スイスのOmya AGから市販。
CC4:粉砕炭酸カルシウム(d50:0.5μm、d98:3μm)、予め分散されたスラリ、固体含有率78%、スイスのOmya AGから市販。
KA1:固体含有率72%を有する予め分散されたカオリンスラリ、微細度:45μm篩上の残留物(ISO 787/7)、粒子2μm未満(Sedigraph 5120)、スイスのOmya AGから市販。
<結合剤>
B1:デンプン(C*−Film 07311)、米国のCargillから市販。
B1:デンプン(C*−Film 07311)、米国のCargillから市販。
B2:スチレン−ブタジエンラテックス(Styronal D628)、ドイツのBASFより市販。
<インクジェット配合物およびインク>
F1:41重量%リン酸、23重量%エタノール、35重量%水および1重量%ガーデニアブルー(製品番号OP0154、ドイツのOmya Hamburg GmbHから市販)(重量%はインクジェット配合物の総重量に基づく)。
F1:41重量%リン酸、23重量%エタノール、35重量%水および1重量%ガーデニアブルー(製品番号OP0154、ドイツのOmya Hamburg GmbHから市販)(重量%はインクジェット配合物の総重量に基づく)。
F2:41重量%リン酸、23重量%エタノール、35重量%水および0.1重量%アマランスレッド(製品コード06409、米国のFluka、Sigma−Aldrich Corp.から市販)(重量%はインクジェット配合物の総重量に基づく)。
インク1:黒色染料系インク(Oce KK01−E27 Black、Oce Printing Systems GmbH&Co.KG、ドイツから市販)。固体含有率:6.3重量%、含水率:55.1重量%、溶媒含有率:38.6重量%(重量%はインクの総量を基準とする。)。溶媒は、主にプロピレングリコールおよびブチルジグリコールから成っていた。
インク2:黒顔料系インク(Oce KK01−E27 Black、Oce Printing Systems GmbH&Co.KG、ドイツから市販)。固体含有率:6.5重量%、含水率:47.7重量%、溶媒含有率:45.8重量%(重量%はインクの総量を基準とする。)。溶媒は、主にジエチレングリコールおよびブチルジグリコールから成っていた。
3.実施例
[実施例1]
<文字および2次元バーコードのインクジェット印刷>
300g/m2の坪量を有するダブルコートベースボードを基材として使用した。ダブルコートベースボードのプレコートは、15g/m2のコート重量を有し、80pph CC3、20pph KA1および11pph B2で構成されていた。ダブルコートベースボードのトップコートは、10g/m2のコート重量を有し、80pph CC1、20pph KA1および12pph B2で構成されていた。
[実施例1]
<文字および2次元バーコードのインクジェット印刷>
300g/m2の坪量を有するダブルコートベースボードを基材として使用した。ダブルコートベースボードのプレコートは、15g/m2のコート重量を有し、80pph CC3、20pph KA1および11pph B2で構成されていた。ダブルコートベースボードのトップコートは、10g/m2のコート重量を有し、80pph CC1、20pph KA1および12pph B2で構成されていた。
液体処理組成物およびインクを、インクジェット配合物F1の形態でコーティング層上に同時に堆積した。
インクジェット印刷により、米国のFujifilm Dimatix Inc.のDimatix Materials Printer(DMP)を使用して、10plの液滴体積を有するカートリッジ式インクジェットプリントヘッドによって、テキストおよび2次元バーコードをコーティング層上に作成した。印刷方向は、一度に左から右への1行(ライン)であった。インクジェット配合物F1を、10plの液滴体積および25μmの液滴間隔で基材上に塗工した。印刷解像度は約1000dpiであった。
比較例として、本発明のインクジェット配合物の代わりに、従来のインクジェットインク(HP364マゼンタ染料、Hewlett−Packard Company、米国)を使用して、同じテキストおよび2次元バーコードを基材上にインクジェット印刷した。
前記印刷物の結果を顕微鏡で検査した。
図1から4は、本発明のインクジェット配合物および先行技術のインクジェットインクで印刷された基材の光学顕微鏡画像を示す。本発明のインクジェット配合物(図1)を使用することにより、鮮明で正確な印影を有する高品質の印刷画像が得られるが、図2に示す比較印刷物の印刷画像は、インクジェットインクのにじみにより劣化し、不十分な印刷解像度が得られる。印刷された2次元バーコードについても同じことが認められた。図3に示す本発明の方法によって印刷されたバーコードは、鮮明で正確であり、高解像度を有するが、図4に示す比較印刷物は劣化し、解像度は不十分である。
[実施例2]
<オフセット紙でのインクジェット印刷>
70pph CC2、30pph KA1、5pph B2および3pph B1で構成されるコーティング層を備えた低重量被覆(LWC)オフセット紙(坪量75g/m2)を基材として使用した。
<オフセット紙でのインクジェット印刷>
70pph CC2、30pph KA1、5pph B2および3pph B1で構成されるコーティング層を備えた低重量被覆(LWC)オフセット紙(坪量75g/m2)を基材として使用した。
液体処理組成物およびインクを、インクジェット配合物F2の形態でコーティング層上に同時に堆積させた。
インクジェット印刷により、米国のFujifilm Dimatix Inc.のDimatix Materials Printer(DMP)を使用して、10plの液滴体積を有するカートリッジ式インクジェットプリントヘッドによって、テキストをコーティング層上に作成した。印刷方向は、一度に左から右への1行(ライン)であった。インクジェット配合物を、10plの液滴体積および30μmの液滴間隔で基材上に塗工した。印刷解像度は850dpiであった。
前記印刷物の結果を顕微鏡で検査した。図5に示す顕微鏡画像から推測できるように、本発明の方法により明瞭で精密な印影を有する高品質の印刷画像を得た。
前記印刷物の結果を顕微鏡で検査した。図5に示す顕微鏡画像から推測できるように、本発明の方法により明瞭で精密な印影を有する高品質の印刷画像を得た。
[実施例3]
<正方形状パターンへのグリッドのインクジェット印刷>
90g/m2の坪量を有するダブルコート紙を基材として使用した。ダブルコートされたベースボードのプレコートは、10g/m2のコート重量を有し、100pph CC3および6pph B2から構成されていた。ダブルコートされたベースボードのトップコートは8.5g/m2のコート重量を有し、100pph CC4および8pph B2から構成された。
<正方形状パターンへのグリッドのインクジェット印刷>
90g/m2の坪量を有するダブルコート紙を基材として使用した。ダブルコートされたベースボードのプレコートは、10g/m2のコート重量を有し、100pph CC3および6pph B2から構成されていた。ダブルコートされたベースボードのトップコートは8.5g/m2のコート重量を有し、100pph CC4および8pph B2から構成された。
インクジェット印刷により、米国のFujifilm Dimatix Inc.のDimatix Materials Printer(DMP)を使用して、10plの液滴体積を有するカートリッジ式インクジェットプリントヘッドによって、第1のパターンおよび第2のパターンをコーティング層上に作成した。印刷方向は、一度に左から右への1行(ライン)であった。
最初に、41重量%リン酸、23重量%エタノールおよび36重量%水(重量%は液体処理組成物の総重量に基づく)を含有する液体処理組成物を、第1のパターンを形成するために、20μm(試料1)または30μm(試料2)の液滴間隔を使用して、コーティング層の一部の上に正方形の形態で堆積させた。続いて、グリッドが正方形形状のパターン内に印刷されるように位置合わせした第2のパターンを形成するために、インク1を、25μmの液滴間隔を使用してグリッドの形態で基材上に、ならびに正方形形状のパターンが存在しない基材の残りの部分に堆積させた。
インクジェット印刷物の結果を顕微鏡で検査した。
図6は、黒色の第2グリッドの右側部分が液体処理組成物(本発明の実施例)で印刷された第1の正方形形状のパターン上に堆積された、試料1の光学顕微鏡写真を示す。黒色の第2グリッドの左側部分は、基材のコーティング層上に直接堆積させた(比較例)。グリッドの右側部分は非常に明瞭で精密であるが、グリッドの左側部分はインクのにじみのためにより広がり、より摩耗している。
図7は、黒色の第2グリッドの左側部分が液体処理組成物(本発明の実施例)で印刷された第1の正方形形状のパターン上に堆積された、試料2の光学顕微鏡写真を示す。黒色の第2グリッドの右側部分は、基材のコーティング層上に直接堆積させた(比較例)。グリッドの左側部分は非常に明瞭で精密であるが、グリッドの右側部分はインクのにじみのためにより広がり、より摩耗している。
図6および7によって、本発明の方法を適用することによって、明瞭で精密な印影を有する高品質のインクジェットプリントを形成可能なことが確認される。
[実施例4]
<グリッドへのグリッドのインクジェット印刷>
90g/m2の坪量を有するダブルコート紙を基材として使用した。ダブルコートされたベースボードのプレコートは、10g/m2のコート重量を有し、100pph CC3および6pph B2から構成されていた。ダブルコートされたベースボードのトップコートは8.5g/m2のコート重量を有し、100pph CC4および8pph B2から構成された。
<グリッドへのグリッドのインクジェット印刷>
90g/m2の坪量を有するダブルコート紙を基材として使用した。ダブルコートされたベースボードのプレコートは、10g/m2のコート重量を有し、100pph CC3および6pph B2から構成されていた。ダブルコートされたベースボードのトップコートは8.5g/m2のコート重量を有し、100pph CC4および8pph B2から構成された。
インクジェット印刷により、米国のFujifilm Dimatix Inc.のDimatix Materials Printer(DMP)を使用して、10plの液滴体積を有するカートリッジ式インクジェットプリントヘッドによって、グリッドをコーティング層上に作成した。印刷方向は、一度に左から右への1行(ライン)であった。
最初に、41重量%リン酸、23重量%エタノールおよび36重量%水(重量%は液体処理組成物の総重量に基づく)を含有する液体処理組成物を、25μmの液滴間隔を使用して、基材の一部の上に第1のグリッドの形態で堆積させた。続いて、インク2を25mmの液滴間隔を使用して第2のグリッドの形態で、第2のグリッドが第1のグリッド内に印刷されるように位置合わせして、基材上に堆積させた。
インクジェット印刷物の結果を顕微鏡で検査した。図8から、第1グリッドと第2グリッドとのわずかな位置ずれにより、インクの下向きおよび右向きの延展が認められることが推測できる。第2のグリッドのこれらの端部が第1のグリッド上に形成されているため、上向きおよび左向きの延展は認められなかった。このため図8によって、本発明の方法を適用することによって、明瞭で精密な印影を有する高品質のインクジェットプリントを形成可能なことが確認される。
Claims (15)
- インクジェット印刷基材の製造方法であって、以下の:
a)基材を供給するステップであって、前記基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
b)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、
c)インクを供給するステップ、
d)インクジェット印刷によって前記液体処理組成物を前記コーティング層上に堆積させて第1のパターンを形成するステップ、および
e)インクジェット印刷によって前記インクを前記コーティング層上に堆積させて第2のパターンを形成するステップ
を含み、前記液体処理組成物および前記インクは、同時にまたは連続的に堆積され、ならびに前記第1のパターンおよび前記第2のパターンが、少なくとも部分的に重複する方法。 - 請求項1に記載の方法であって、前記第1のパターンおよび前記第2のパターンが、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、またより好ましくは少なくとも95%および最も好ましくは少なくとも99%重複する、方法。
- 請求項1または2に記載の方法であって、ステップ(a)の前記基材が、
i)基材を供給するステップ、
ii)前記基材の少なくとも片面に塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング組成物を塗工してコーティング層を形成するステップ、および
iii)前記コーティング層を乾燥させるステップによって作製される、方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、ステップa)の前記基材が紙、厚紙、段ボール紙、プラスチック、不織布、セロハン、織物、木材、金属、ガラス、雲母板、大理石、カルサイト、ニトロセルロース、天然石、複合石、レンガ、コンクリートおよびこれらの積層体または複合体、好ましくは紙、厚紙、段ボール紙またはプラスチックから成る群から選択される、方法。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、前記塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物が、アルカリ酸化物もしくはアルカリ土類酸化物、アルカリ水酸化物もしくはアルカリ土類水酸化物、アルカリアルコキシドもしくはアルカリ土類アルコキシド、アルカリメチルカーボネートもしくはアルカリ土類メチルカーボネート、アルカリヒドロキシカーボネートもしくはアルカリ土類ヒドロキシカーボネート、アルカリバイカーボネートもしくはアルカリ土類バイカーボネート、アルカリカーボネートもしくはアルカリ土類カーボネートまたはこれらの混合物であり、好ましくは前記塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸カルシウムまたはこれらの混合物から選択されるアルカリカーボネートまたはアルカリ土類カーボネートであり、より好ましくは、前記塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物が炭酸カルシウムであり、および最も好ましくは、前記塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物が、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムおよび/または表面処理炭酸カルシウムである、方法。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の方法であって、前記塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物が、15nmから200μm、好ましくは20nmから100μm、より好ましくは50nmから50μmおよび最も好ましくは100nmから2μmの重量中央粒径d50を有する粒子の形態である、方法。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、前記酸が、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、スルファミン酸、酒石酸、フィチン酸、ホウ酸、コハク酸、スベリン酸、安息香酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、酸性有機硫黄化合物、酸性有機リン酸化合物およびこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは、前記酸が、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、ホウ酸、スベリン酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択され、より好ましくは、前記酸が、硫酸、リン酸、ホウ酸、スベリン酸、スルファミン酸、酒石酸およびこれらの混合物から成る群から選択されならびに最も好ましくは、前記酸がリン酸および/または硫酸である、方法。
- 請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、前記液体処理組成物が、前記液体処理組成物の総重量に対して0.1から100重量%の量、好ましくは1から80重量%の量、より好ましくは5から60重量%の量および最も好ましくは10から50重量%の量の酸を含む、方法。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記液体処理組成物が1次元バーコード、2次元バーコード、3次元バーコード、セキュリティマーク、数字、文字、英数字記号、テキスト、ロゴ、画像、形状またはデザインの形態で前記コーティング層上に堆積される、方法。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって得られるインクジェット印刷基材。
- インクジェット印刷適性が改善された基材の製造方法であって、以下の:
A)基材を供給するステップであって、前記基材が少なくとも片面に、塩形成性アルカリ化合物または塩形成性アルカリ土類化合物を含むコーティング層を備えるステップ、
B)酸を含む液体処理組成物を供給するステップ、および
C)インクジェット印刷によって前記コーティング層上に前記液体処理組成物を堆積させて、インクジェット印刷適性が改善されたパターンを形成するステップ
を含む方法。 - 請求項11に記載の方法によって得られる、インクジェット印刷適性が改善された基材。
- インクジェット印刷用途における、請求項12に記載のインクジェット印刷適性が改善された基材の使用。
- 酸とインクとを含む液体処理組成物を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法で使用するためのインクジェット配合物。
- 包装用途、装飾用途、芸術用途または視覚用途における、好ましくは壁紙、包装材料、ギフト用包装紙、広告用紙またはポスター、名刺、マニュアル、保証書またはカードとしての、請求項10に記載のインクジェット印刷基材の使用。
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