JP2020036415A - モータの制御装置 - Google Patents

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Shinsuke Aoyagi
真介 青柳
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Abstract

【課題】モータトルクを変更することなく、モータ損失およびインバータ損失を自在に増加させることができるモータの制御装置を提供すること。【解決手段】モータの制御装置は、二つのインバータ2A,2Bによって一つのモータ1を駆動するものであり、モータ1が、三相の巻線を二組備える六相のモータであり、二つのインバータ2A,2Bが、二組の巻線のそれぞれに対して独立して駆動電流を供給可能であり、二つのインバータ2A,2Bによる力行制御および回生制御を組み合わせることにより、モータ1のモータトルクを変更することなく、インバータ損失およびモータ損失を増加させる制御部5を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、モータの制御装置に関する。
三相の巻線を二組備える六相のモータを制御する制御装置であって、二つのインバータによって、二組の巻線のそれぞれに対して独立して駆動電流を供給するモータの制御装置が知られている。例えば特許文献1には、モータの制御電流指令を1/2に分離した電流指令信号を制御周期で発生し、この電流指令信号によって二組の巻線のうちの一方の電流をフィードバック制御し、二組の巻線の検出電流の偏差で電流指令信号を増減した電流指令信号によって、二組の巻線のうちの他方の電流を制御する技術が開示されている。
特開2002−335695号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、モータの制御電流指令の増減に応じてモータトルク、モータ損失およびインバータ損失が増減してしまうため、例えばモータトルクを変更することなく、必要に応じてモータ損失およびインバータ損失を自在に増加させることができなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モータトルクを変更することなく、モータ損失およびインバータ損失を自在に増加させることができるモータの制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモータの制御装置は、二つのインバータによって一つのモータを駆動するモータの制御装置であって、前記モータは、三相の巻線を二組備える六相のモータであり、前記二つのインバータは、前記二組の巻線のそれぞれに対して独立して駆動電流を供給可能であり、前記二つのインバータによる力行制御および回生制御を組み合わせることにより、前記モータのモータトルクを変更することなく、インバータ損失およびモータ損失を増加させる制御部を備えることを特徴とする。
これにより、モータの制御装置は、二つのインバータによる力行制御および回生制御を組み合わせることにより、モータのモータトルクを変更することなく、インバータ損失およびモータ損失を自在に増加させることができる。
本発明に係るモータの制御装置によれば、インバータ損失およびモータ損失を自在に増加させることができるため、例えばバッテリの満充電時にも回生ブレーキを利用したり、あるいは増加させたモータ損失を空調やバッテリ温調(温度調節)に活用したりすることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るモータの制御装置の構成と、モータによる通常の力行時の損失と、を示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係るモータの制御装置における駆動制御方法を示すフローチャートである。 図3は、本発明の実施形態に係るモータの制御装置において、モータによる力行時に損失増加要求がなされた場合の損失を示す図である。 図4は、本発明の実施形態に係るモータの制御装置において、モータによる回生時の損失を示す図である。 図5は、本発明の実施形態に係るモータの制御装置において、モータによる回生時に損失増加要求がなされた場合の損失を示す図である。 図6は、本発明の実施形態に係るモータの制御装置において、モータトルクなし時の損失を示す図である。 図7は、本発明の実施形態に係るモータの制御装置において、モータトルクなし時に損失増加要求がなされた場合の損失を示す図である。
本発明に係るモータの制御装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[システム構成]
本実施形態に係るモータの制御装置は、二つのインバータによって一つのモータを駆動する制御装置であり、図1に示すように、モータ1と、インバータ2A,2Bと、コンデンサ3と、バッテリ4と、制御部5と、を備えている。
モータ1は、走行用の駆動源として車両に搭載される。モータ1は、インバータ2A,2Bを介してバッテリ4と電気的に接続されている。また、モータ1とインバータ2Aとは、巻線11,12,13を介して電気的に接続されており、モータ1とインバータ2Bとは、巻線14,15,16を介して電気的に接続されている。なお、モータ1は、力行制御を行った際は電動機として機能し、回生制御を行った際は発電機として機能する。
モータ1は、三相の巻線を二組備える六相のモータであり、具体的には三相の巻線11,12,13と、三相の巻線14,15,16と、を備えている。なお、図1では図示を省略したが、モータ1は、巻線11,12,13,14,15,16が巻回されるステータと、ロータと、を備えている。
二つのインバータは、二組の巻線のそれぞれに対して独立して駆動電流を供給可能であり、具体的には、インバータ2Aは巻線11,12,13に対して駆動電流を供給し、インバータ2Bは巻線14,15,16に対して駆動電流を供給する。
インバータ2A,2Bは、複数のスイッチング素子を備えた電気回路(インバータ回路)によって構成されている。インバータ2Aにおいて、巻線11の周辺には、トランジスタ21a,21bと、ダイオード22a,22bと、が設けられている。また、巻線12の周辺には、トランジスタ21c,21dと、ダイオード22c,22dと、が設けられている。また、巻線13の周辺には、トランジスタ21e,21fと、ダイオード22e,22fと、が設けられている。
また、インバータ2Bにおいて、巻線14の周辺には、トランジスタ23a,23bと、ダイオード24a,24bと、が設けられている。また、巻線15の周辺には、トランジスタ23c,23dと、ダイオード24c,24dと、が設けられている。また、巻線16の周辺には、トランジスタ23e,23fと、ダイオード24e,24fと、が設けられている。
制御部5は、モータ1を駆動制御する電子制御装置(ECU)である。制御部5は、CPUと、各種プログラム等のデータが格納された記憶部と、モータ1を駆動制御するための各種の演算を行う演算部と、を備えている。そして、演算部における演算の結果、インバータ2A,2Bを制御するための指令信号が、制御部5からインバータ2A,2Bへと出力される。このように、制御部5は、インバータ2A,2Bを制御することにより、モータ1に印加する電流を制御する。
制御部5は、アクセル開度センサ51、車速センサ52および回転数センサ53と接続されている。アクセル開度センサ51は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量(以下、「アクセル開度」という)を検出し、その検出信号を制御部5に対して出力する。また、車速センサ52は、車両の走行速度を検出し、その検出信号を制御部5に対して出力する。また、回転数センサ53は、モータ1のロータ(図示省略)の回転数(以下、「モータ回転数」という)を検出し、その検出信号を制御部5に対して出力する。なお、制御部5は、インバータ2A,2Bを介してバッテリ4の充電状態値(以下、「SOC」という)を取得可能に構成されている。
制御部5は、後記するように、二つのインバータ2A,2Bのうちの一方で力行制御(または回生制御)を行い、他方で回生制御(または力行制御)を行うことにより、インバータ2A,2Bで打ち消し合ったトルクがモータ1から出力されるように制御する。制御部5は、二つのインバータ2A,2Bによる力行制御および回生制御を組み合わせることにより、モータ1のモータトルクを変更することなく、インバータ損失およびモータ損失を自在に増加させることができる。なお、増加させたインバータ損失は、図示しないインバータ冷却器を通じて冷却水を冷却することにより、車両の空調(暖房)および電池温調に活用される。
[駆動制御方法]
以下、本実施形態に係るモータの制御装置による駆動制御方法の実施形態について、図2を参照しながら説明する。
まず、制御部5は、図2に示すように、モータ1の駆動制御に用いる各種センサ値を取得する(ステップS1)。「各種センサ値」としては、アクセル開度センサ51によって検出されたアクセル開度、車速センサ52によって検出された車両の走行速度、回転数センサ53によって検出されたモータ回転数、が挙げられる。
続いて、制御部5は、ステップS1で取得した各種センサ値に基づいて、目標モータトルクを算出する(ステップS2)。
続いて、制御部5は、目標モータトルクに基づいて、モータ駆動用電流指令値を算出する(ステップS3)。本ステップでは、具体的には、インバータ2A,2Bの合算電流指令値を算出する。例えばインバータ2A,2Bの電流指令値がともに50[Arms]である場合、インバータ2A,2Bの合算電流指令値は100[Arms]となる。
続いて、制御部5は、車両要求損失を算出する(ステップS4)。本ステップでは、例えば車両の空調(暖房)の要否、バッテリ温調(温度調節)の要否、バッテリ満充電時(フルSOC時)の回生エネルギー、モータ潤滑油の暖機の要否、等に基づいて車両要求損失を算出する。
続いて、制御部5は、目標インバータ損失および目標モータ損失を算出する(ステップS5)。本ステップでは、ステップS4で算出した車両要求損失に基づいてモータ1の駆動以外に必要な損失を導出することにより、目標インバータ損失を算出する。また、本ステップでは、ステップS3で算出したモータ駆動用電流指令値に基づいてモータ1の駆動に必要な損失を導出することにより、目標モータ損失を算出する。
続いて、制御部5は、損失増加用電流指令値を算出する(ステップS6)。本ステップでは、具体的には、インバータ2Aとインバータ2Bとで打ち消し合う電流指令値(例えば50[Arms])を算出する。
続いて、制御部5は、二つのインバータ2A,2Bの電流指令値を算出し(ステップS7)、本制御を終了する。本ステップでは、具体的には、ステップS3で算出したインバータ2A,2Bの合算電流指令値と、ステップS6で算出したインバータ2A,2Bで打ち消し合う電流指令値と、に基づいて二つのインバータ2A,2Bの電流指令値を算出する。例えば、ステップS3におけるインバータ2A,2Bの合算電流指令値が100[Arms]であり、ステップS6におけるインバータ2A,2Bで打ち消し合う電流指令値が50[Arms]である場合、インバータ2A,2Bの電流指令値を、以下の算出例(1)または(2)のように算出する。
<算出例(1)>
インバータ2A:100+50=150[Arms]
インバータ2B:100−150=−50[Arms]
<算出例(2)>
インバータ2A:100−150=−50[Arms]
インバータ2B:100+50=150[Arms]
なお、電流指令値[Arms]では、+は力行を示し、−は回生を示している。上記算出例(1)、(2)に示すように、二つのインバータ2A,2Bのうち、どちらを力行側または回生側にしてもよい。算出例(1)、(2)では、インバータ2A,2Bの合算電流指令値はいずれも100[Arms]である。また、インバータ2A,2Bによる制御の際に、上記算出例(1)、(2)のいずれか一方の電流指令値を用いるのではなく、上記算出例(1)、(2)の電流指令値を交互に用いて、インバータ2A,2Bのそれぞれで力行制御、回生制御を交互に切り替えながら実施してもよい。
以下、本実施形態に係るモータの制御装置による駆動制御方法の具体例について、図1、図3〜図7を参照しながら説明する。なお、これらの図では、インバータ2Aのことを「INV1」と表記し、インバータ2Bのことを「INV2」と表記する。
<力行時>
例えば図1に示すように、インバータ2A,2Bのそれぞれが電流指令値50[Arms]でモータ1の力行制御を行い、モータ合算の電流指令値100[Arms]で力行している場合を考える。この場合、インバータ損失は500[W]であり、モータ損失は1000[W]であり、両者の合計損失は1500[W]である。
このような状況において、例えば車両の空調(暖房)とバッテリ4の暖機を行うために、インバータ損失を500[W]から1500[W]に増加させたいという要求が発生したとする。この場合、制御部5は、例えば図3に示すように、インバータ2Aによって電流指令値200[Arms]でモータ1の力行制御を行い、インバータ2Bによって電流指令値‐100[Arms]でモータ1の回生制御を行う。このように、インバータ2Aによる力行制御とインバータ2Bによる回生制御とを組み合わせることにより、モータトルク(モータ合算の電流指令値:100[Arms])を変更することなく、インバータ損失を500[W]から1500[W]へと増加させ、モータ損失を1000[W]から3000[W]へと増加させ、かつ両者の合計損失を4500[W]へと増加させることができる。
<回生時>
例えば図4に示すように、インバータ2A,2Bのそれぞれが電流指令値−50[Arms]でモータ1の回生制御を行い、モータ合算の電流指令値−100[Arms]で回生している場合を考える。この場合、インバータ損失は500[W]であり、モータ損失は1000[W]であり、両者の合計損失は1500[W]である。
このような状況において、例えば車両の空調(暖房)とバッテリ4の暖機を行う、あるいはバッテリ満充電時(フルSOC時)に回生ブレーキを実施するために、インバータ損失を500[W]から1500[W]に増加させ、モータ損失を1000[W]から3000[W]に増加させたいという要求が発生したとする。この場合、制御部5は、例えば図5に示すように、インバータ2Aによって電流指令値100[Arms]でモータ1の力行制御を行い、インバータ2Bによって電流指令値−200[Arms]でモータ1の回生制御を行う。このように、インバータ2Aによる力行制御とインバータ2Bによる回生制御とを組み合わせることにより、モータトルク(モータ合算の電流指令値:−100[Arms])を変更することなく、インバータ損失を500[W]から1500[W]へと増加させ、モータ損失を1000[W]から3000[W]へと増加させ、かつ両者の合計損失を4500[W]へと増加させることができる。
<モータトルクなし時>
例えば図6に示すように、モータトルクなし(モータトルクが0)の場合を考える。この場合、インバータ2A,2Bの電流指令値、モータ合算の電流指令値はともに0[Arms]であり、インバータ損失、モータ損失、両者の合計損失についてもともに0[W]である。
このような状況において、例えば車両の空調(暖房)とバッテリ4の暖機を行うために、インバータ損失を0[W]から500[W]に増加させたいという要求が発生したとする。この場合、制御部5は、例えば図7に示すように、インバータ2Aによって電流指令値50[Arms]でモータ1の力行制御を行い、インバータ2Bによって電流指令値‐50[Arms]でモータ1の逆向き力行制御を行う。このように、インバータ2Aによる力行制御とインバータ2Bによる逆向き力行制御とを組み合わせることにより、モータトルク(モータ合算の電流指令値)を0としたまま、インバータ損失を0[W]から500[W]へと増加させ、モータ損失を0[W]から1000[W]へと増加させ、かつ両者の合計損失を1500[W]へと増加させることができる。
以上のように、本実施形態に係るモータの制御装置では、二つのインバータ2A,2Bによる力行制御および回生制御を組み合わせることにより、モータ1のモータトルクを変更することなく、インバータ損失およびモータ損失を自在に増加させることができる。従って、モータの制御装置によれば、例えばバッテリ4の満充電時にも回生ブレーキを利用したり、あるいは増加させたモータ損失を空調やバッテリ温調に活用したりすることができる。
また、通常、バッテリ満充電時(フルSOC時)は回生ブレーキを実施することができないが、本実施形態に係るモータ制御装置では、回生中においてもインバータ損失およびモータ損失を自在に増やすことができるため、バッテリ満充電時であっても回生ブレーキを実施することができる。
また、本実施形態に係るモータ制御装置は、前記した図1、図3〜図7に示すように、力行、回生、トルクなしを問わず、その時のモータトルクを変えることなく、モータ損失を自在に増加させることができるため、増やしたモータ損失によってモータ潤滑油を温めることが可能となる。これにより、例えば冷間始動後でモータ潤滑油の温度が低く、モータ1やT/A(トランスアクスル)のフリクションが大きい時間を短縮することができるため、車両電費を向上させることができる。
以上、本発明に係るモータの制御装置について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
1 モータ
11,12,13,14,15,16 巻線
2A,2B インバータ
21a,21b,21c,21d,21e,21f,23a,23b,23c,23d,23e,23f トランジスタ
22a,22b,22c,22d,22e,22f,24a,24b,24c,24d,24e,24f ダイオード
3 コンデンサ
4 バッテリ
5 制御部
51 アクセル開度センサ
52 車速センサ
53 回転数センサ

Claims (1)

  1. 二つのインバータによって一つのモータを駆動するモータの制御装置であって、
    前記モータは、三相の巻線を二組備える六相のモータであり、
    前記二つのインバータは、前記二組の巻線のそれぞれに対して独立して駆動電流を供給可能であり、
    前記二つのインバータによる力行制御および回生制御を組み合わせることにより、前記モータのモータトルクを変更することなく、インバータ損失およびモータ損失を増加させる制御部を備えることを特徴とするモータの制御装置。
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