JP2020034778A - 光干渉回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】実効的な光路長の変動が少ない光干渉回路を実現する。【解決手段】基板上の導波路を用いて構成された光干渉回路であって、再生基準光入力ポートからの光を分岐するタップカプラと、前記タップカプラの一方の出力が、一方の入力に接続された合分岐カプラと、前記タップカプラの他方の出力が、参照光経路を介して一方の入力に接続された3dBカプラとを備え、前記合分岐カプラの他方の入力は前記3dBカプラの他方の入力に接続され、前記合分岐カプラの2出力はそれぞれ伝送路ファイバ入出力ポートに接続され、前記3dBカプラの出力は検出光出力ポートに接続されている。【選択図】図8

Description

本発明は、光干渉回路に関し、より詳細には、極めて高精度な周波数基準光を中継する光中継伝送システムにおける光送信装置、中継装置、光受信装置に適用可能な光干渉回路に関する。
新しい時間周波数標準(周波数標準)として光を用いた光時計技術が進展しつつある。従来、周波数標準にはセシウム133Csのマイクロ波遷移(約9.2GHz)を用いた原子時計が用いられており、その不確かさは10-15程度であった。これに対して、近年、研究が加速している、ストロンチウム87Srの光周波数遷移(約500THz)を用いた光原子時計(光時計)では、10-18の不確かさが得られている(例えば、非特許文献1,2参照)。これは、量子限界で決まる遷移周波数揺らぎが基本的には周波数に依存しないため、遷移周波数揺らぎと遷移周波数の比である不確かさは、利用する周波数が高いほど本質的に有利になることに起因している。
光時計を用いて得られる極めて高精度な周波数を持つ周波数基準光を、その周波数精度を保持したまま伝送する技術として、光ファイバを用いた周波数高精度伝送技術がある(例えば、非特許文献3,4参照)。光ファイバは伝搬損失が安定して小さく、光信号を伝送する媒体としては最適である。しかしながら、一般的に物理媒体は、光弾性効果、熱光学効果を有するため、振動や温度変化によって実効的な光学的な長さが僅かに変動する。この長さ変動は、伝搬光に対してドップラー効果を起こすため、伝搬光の周波数揺らぎを引き起こすことになる。従って、周波数精度を保持したまま周波数基準光を伝送するには、この長さ変動を実効的に補正する機構が伝送システムとして必要となる。
図1に、従来の周波数高精度伝送技術を備えた伝送システムを示す。光格子時計が置かれる送信局101と、周波数基準光が配信される受信局105の間は、光伝送路である伝送用光ファイバ102、104で接続され、必要に応じて伝送路の途中に中継局103が配置される(図1では、中継局103は1つだけ配置されている)。送信局101には、ファイバ長揺らぎ補償部110が置かれ、受信局105には、基準光再生部140が置かれる。中継局103には、基準光再生部120とファイバ長揺らぎ補償部130とが置かれ、基準光再生部120で再生された周波数基準光は、ファイバ長揺らぎ補償部130に入力されて次局へと中継される。
図2に、従来のファイバ長揺らぎ補償部110、130の構成を示す。ファイバ長揺らぎ補償部110、130は、マイケルソン干渉計に類似した空間型光干渉回路111、光検出器(PD:Photo Detector)112、クロック源(CLK)113、ミキサ(DBM:Double Balanced Mixer)114、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled oscillator)115、音響光学変調器(AOM:AcoustoOptic Modulator)116から構成されている。
図3に、基準光再生部120,140の構成を示す。基準光再生部120,140は、偏波制御器(PC:Polarized wave Controller)121、音響光学変調器122、マイケルソン干渉計に類似した空間型光干渉回路123、光検出器124、クロック源125、ミキサ126、基準光再生光源(LD:Laser Diode)127から構成されている。
送信局101において、光時計で生成された周波数基準光は、光ファイバ伝送に適した周波数、例えば、約1.4μm帯の周波数f0に変換され、伝送される周波数基準光(マスタ光)としてファイバ長揺らぎ補償部110に入力される。ファイバ長揺らぎ補償部110において、周波数基準光は、空間型光干渉回路111を経由して、音響光学変調器116により周波数シフトfsa=fm−δf’を受けた後、伝送用光ファイバ102へ出射される。ここで、fmは音響光学変調器116の中心音響周波数、例えば100MHzである。δf’は、後述するようにファイバ長揺らぎにより生じる周波数の揺らぎを補正する周波数である。
伝送用光ファイバ102を伝搬した周波数基準光は、上述したように、振動や温度変化によって周波数変動δfを受ける。従って、光ファイバ伝送後の周波数基準光の周波数は、f0+fsa+δfとなる。
中継局103で受信された周波数基準光は、基準光再生部120において、偏波制御器121により、空間型光干渉回路123における光干渉が最大となるように偏波状態が制御され、音響光学変調器122により一定の周波数シフトfsbを受ける。ここで、周波数シフトfsbは、fsb=−fm−fCLKとなるようにする。fCLKは、クロック源125の周波数であり、例えば10MHzが用いられる。よって、音響光学変調器122から出力される周波数基準光の周波数f0’は、
0’=f0−fCLK+δf−δf’
となる。
基準光再生光源127は、後述するように、ヘテロダイン検波による位相ロックループ(PLL)を用いて周波数ロックされた周波数
1=f0’+fCLK+ferr
の光が再生され、これが再生基準光となる。ferrは、周波数ロックがずれてしまった場合の周波数ずれ量であり、PLLがきちんと動作していればferr=0となる。
再生基準光f1と受信した周波数基準光f0’とは、空間型光干渉回路123で干渉し、光検出器124において、2つの基準光の差
ΔfLD=f1−f0’=fCLK+ferr
の干渉ビート信号が検出(ヘテロダイン検波)される。このビート信号とクロック源125からのクロック周波数fCLKとをミキサ126で乗算し、図示しない適切な低域通過フィルタ(LPF)を通すことにより、ベースバンドでの誤差信号として周波数ずれferrを検出することができる。すなわち、ミキサ126は、LPF等を組み合わせることにより、クロック周波数fCLKに対する一種の周波数比較を行う周波数比較器として動作する。なお、必要に応じてビート信号をミキサ126に入力する前に、分周器で分周して位相比較範囲(ロック範囲)を拡大することもできる。
この誤差信号を用いて、基準光再生光源127の発振周波数を制御して位相ロックをかけることにより、ferr=0となり、再生基準光の光周波数f1を正確にf0’+fCLKに合せることができる(基準光再生動作)。
再生基準光f1は、空間型光干渉回路123経由で、音響光学変調器122、偏波制御器121、および伝送用光ファイバ102を逆伝搬して、送信局101へ送り返される。さらに、送信局101の音響光学変調器116を通って、空間型光干渉回路111に入力される。再生基準光f1は、逆伝搬の過程で順伝搬時と同様にfsb+δf+fsaの周波数シフトを受ける。従って、逆伝搬した再生基準光の空間型光干渉回路111での干渉時における周波数f1’は、
1’=f1+fsb+δf+fsa
=(f0’+fCLK)+(−fm−fCLK)+δf+(fm−δf’)
=f0’+δf−δf’=(f0−fCLK+δf−δf’)+δf−δf’
=f0−fCLK+2(δf−δf’)
となる。この逆伝搬した再生基準光f1’と元の周波数基準光f0とは、空間型光干渉回路111で干渉し、光検出器112では両基準光の差
Δffbr=f0−f1’=fCLK+2(δf’−δf)
の干渉ビート信号が検出(ヘテロダイン検波)される。
クロック源113からのクロック周波数を、中継局103のクロック源125のクロック周波数と同じfCLKとする。光検出器112からのビート信号とクロック源113からのクロック周波数とをミキサ114で乗算し、図示しない適切な低域通過フィルタを通すことにより、ベースバンドでの誤差信号として周波数ずれfsft=2(δf’−δf)を検出することができる。すなわち、ミキサ114も、LPF等を組み合わせることにより、クロック周波数fCLKに対する一種の周波数比較を行う周波数比較器として動作する。なお、必要に応じてビート信号をミキサ114に入力する前に、分周器で分周して位相比較範囲(ロック範囲)を拡大することもできる。
この誤差信号を用いて、電圧制御発振器115から出力する発振周波数、すなわち、音響光学変調器116における周波数シフトfsaを制御して位相ロックをかける。その結果、fsft=0となり、δf’=δfの状態を得ることができ、伝送用光ファイバ102のファイバ長揺らぎを実質的に補償することができる(ファイバ長揺らぎ補償動作)。
ここで、電圧制御発振器115と音響光学変調器116とは、電気制御によって周波数シフト量を変えることができる可変光周波数シフタとして機能していることになる。なお、音響光学変調器122は、周波数シフト量が一定の固定光周波数シフタとして機能していることになる。
この状態において、中継局103ではf0’=f0−fCLKが実現されるので、再生された再生基準光f1の光周波数は正確にf0になり、送信局101における周波数基準光f0が中継局103で正確に再生されることになる。次の局間においても再生された再生基準光を用い、ファイバ長揺らぎ補償と基準光再生を繰り返すことにより、ファイバ長揺らぎの影響を抑制して、正確な周波数基準光を順繰りに伝送することができる。
なお、各局で用いるクロック源の発振周波数fCLKにズレが生じていると、伝送される周波数基準光にはこのズレが誤差として累積していくことになる。例えば、全地球測位システムGPSを用いた市販の10MHzクロック源でも不確かさ10-12が得られており、周波数誤差としては10-5Hzが得られている。この周波数誤差は、伝送される周波数基準光の周波数f0≒215THzに対する不確かさとしては10-19になるので、元々の周波数基準光の不確かさ10-18に対しても十分小さい値になっている。
香取秀俊、「光格子時計の発明と展開」、応用物理、第81巻8号656−662頁、2012年 Ichiro Ushijima, et al., "Cryogenic optical lattice clocks," Nature Photonics, vol.9, pp.185-189, March 2015. Olivier Lopez, et al., "Cascaded multiplexed optical link on a telecommunication network for frequency dissemination," Optics Express, vol.17, no.16, pp.16849-16857, 2010. Tomoya Akatsuka, et al., "30-km-long optical fiber link at 1397 nm for frequency comparison between distant strontium optical lattice clocks," Japanese Journal of Applied Physics , vol.53, 032801, 2014.
上述したように、従来の周波数高精度伝送技術では、マイケルソン干渉計に類似した空間型光干渉回路を用いた干渉結果をフィードバックすることにより、再生基準光の周波数の調整とファイバ長揺らぎの補償とを行っている。従って、空間型光干渉回路の干渉条件の時間変動は、これら調整や補償の誤差要因となる。例えば、空間型光干渉回路111においてハーフミラー111aからミラー111bまでの往復経路は、伝送用光ファイバ102からの戻り光に対する参照光の経路となっている。この光路の長さが時間変動すると、参照光の周波数/位相が揺らぐことになり、伝送用光ファイバ102からの戻り光の周波数/位相を正確に検出することができなくなる。同様に、空間型光干渉回路123においても、ハーフミラー123aからミラー123bまでの往復経路の長さが変動すると、再生基準光の周波数/位相が揺らぐことになり、受信した周波数基準光f0’に対する再生基準光f1の周波数差/位相差を正確に検出することができなくなる。いずれも正確な周波数基準光の伝送を阻害する要因となる。
また、中継局103において基準光再生部120で再生された再生基準光f1は、ハーフミラー128で分岐されて、一方は空間型光干渉回路123に、他方はファイバ長揺らぎ補償部130の空間型光干渉回路111に向かう。この二手に分かれてからそれぞれの空間型光干渉回路までの長さの差が変動すると、基準光再生部120に入力される再生基準光とファイバ長揺らぎ補償部130に入力される再生基準光の周波数/位相が異なることになる。これもまた、正確な周波数基準光の伝送を阻害する要因となる。従って、これら光路長の時間変動が極力生じないように、光学系を構成する必要がある。
しかしながら、従来技術では、空間型光干渉回路が光学定盤上にバルク光学部品を並べた空間光学技術を用いて構成されていたため、風/振動/温度変化による空気の屈折率変動、光学部材/定盤の伸縮などにより、上述した光路長の時間変動が無視できないという問題があった。また、従来のマイケルソン干渉計に類似した空間型光干渉回路によりビート信号を得る方法は、干渉によって光検出器に入射される平均光電力が減少し、検出感度が落ちるといった問題もあった。さらに、従来技術では、中継局において周波数基準光の中継伝送は、単一地点に向けた中継しかできず、複数地点に向けた中継伝送ができないという問題もあった。
本発明の目的は、実効的な光路長の変動が少ない光干渉回路を実現することにより、高精度で高安定な周波数基準光を伝送することができる光中継伝送システムにおける光送信装置、中継装置、光受信装置を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、一実施態様は、光干渉回路であって、再生基準光入力ポートからの光を分岐するタップカプラと、前記タップカプラの一方の出力が、一方の入力に接続された合分岐カプラと、前記タップカプラの他方の出力が、参照光経路を介して一方の入力に接続された3dBカプラとを備え、前記合分岐カプラの他方の入力は前記3dBカプラの他方の入力に接続され、前記合分岐カプラの2出力はそれぞれ伝送路ファイバ入出力ポートに接続され、前記3dBカプラの出力は検出光出力ポートに接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、実効的な光路長差の変動が無い光干渉回路を提供することができ、高精度な周波数基準光を伝送することができる。
従来の周波数高精度伝送技術を備えた伝送システムを示す図である。 従来のファイバ長揺らぎ補償部の構成を示す図である。 従来の基準光再生部の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる偏波直交型の光干渉回路の構成を示す図である。 第1の実施形態の光干渉回路を適用した中継局の構成を示す図である。 第1の実施形態の差動光検出器から出力される干渉ビート信号の振幅と光干渉回路のタップカプラのタップ率との関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる同一偏波型の光干渉回路の構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる同一偏波、干渉回路共用型の光干渉回路の構成を示す図である。 第3の実施形態に係る周波数高精度伝送技術を備えた伝送システムを示す図である。 第3の実施形態の光干渉回路を適用した中継局の構成を示す図である。 第3の実施形態の光干渉回路を空間光学系で構成した場合を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる同一偏波、捨て光再利用型の光干渉回路の構成を示す図である。 第4の実施形態の差動光検出器から出力される干渉ビート信号の振幅と光干渉回路のタップカプラのタップ率との関係を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる多出力型の光干渉回路の構成を示す図である。 第5の実施形態に係る周波数高精度伝送技術を備えた伝送システムを示す図である。 第5の実施形態の光干渉回路を適用した中継局の構成を示す図である。 第5の実施形態において、第3の実施形態の光干渉回路を援用した時の基準光再生および複数のファイバ長揺らぎ補償に用いる光干渉回路の構成を示す図である。 第5の実施形態において、図17の光干渉回路を適用した時の中継局の構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、光干渉回路に石英系の平面光波回路(PLC)技術を用いた例を示している。石英系PLCは、低損失で高信頼な導波路デバイスであり、これまで通信用光デバイスとして光合分波器、光スイッチ、光スプリッタ等の集積回路を実現するプラットフォームとして広く利用されているからである。しかしながら、本発明の光干渉回路は、特に材料を指定するものではないことから、石英系導波路に限ったものではなく、シリコン(Si)導波路、インジウムリン(InP)系導波路、高分子系導波路など他の材料系の導波路を用いることができる。
[第1の実施形態]
(偏波直交型光干渉回路の構成)
図4に、本発明の第1の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる偏波直交型の光干渉回路200の構成を示す。光干渉回路200は、導波路を用いた光回路で構成され、再生基準光入力ポート201からの光を分岐する分岐カプラ202と、分岐カプラ202の一方の出力に接続される周波数同期検出回路210と、他方の出力に接続される伝送路長揺らぎ検出回路220とから構成される。
周波数同期検出回路210は、分岐カプラ202からの光の一部を分岐するタップカプラ211と、タップカプラ211の一方の出力が、一方の偏波分離ポートに接続される偏波ビームスプリッタ(PBS::Polarized Beam Splitter)212と、他方の出力に参照光経路218を介して接続される3dBカプラ214とを含む。PBS212の偏波合成ポートは、伝送路ファイバ入出力ポート215に接続され、他方の偏波分離ポートは3dBカプラ214に接続されている。3dBカプラ214の出力は、検出光出力ポート216/217に接続されている。さらに、タップカプラ211、PBS212、3dBカプラ214を相互に接続している光経路のいずれか1つには、偏波回転器213(213a、213b)が設置されている。なお、全ての箇所に偏波回転器213、213a、213bを設置しても良い。
伝送路長揺らぎ検出回路220も周波数同期検出回路210と同じ構成であり、タップカプラ221、PBS222、3dBカプラ224、偏波回転器223(223a、223b)を含み、伝送路ファイバ入出力ポート225、検出光出力ポート226/227に接続されている。
第1の実施形態の中継局103は、図5(a)に示した従来の中継局103における基準光再生部120の空間型光干渉回路123、ハーフミラー128およびミラー129と、ファイバ長揺らぎ補償部130の空間型光干渉回路111とが、図5(b)に示すように、一体となって光干渉回路200に置き換えられる。空間型光干渉回路111、123が1つの光干渉回路200となり、空間型光干渉回路111、123において空間を伝搬する光信号は、光干渉回路200では光導波路を伝搬する。
基準光再生部120においては、再生基準光入力ポート201に基準光再生光源127が接続され、伝送路ファイバ入出力ポート215に固定周波数シフタとしてのAOM122が接続される。検出光出力ポート216/217には、差動光検出器219が光検出器124として接続される。再生基準光入力ポート201には、基準光再生光源127からの光をTE偏波またはTM偏波に規定して入力する。どちらの偏波で規定するかは、PBS212、222の偏波分離の方向、偏波回転器213、223の挿入場所によって決まる。
ファイバ長揺らぎ補償部130においては、伝送路ファイバ入出力ポート225に可変周波数シフタとしてのAOM116が接続され、検出光出力ポート226/227には、差動光検出器229が光検出器112として接続される。
なお、中継局103において、クロック源113、125をまとめて1つとしても良い。伝送用光ファイバにおける光反射の影響を抑制するために、音響光学変調器116、122は、伝送用光ファイバ102、104の終端部に配置した方が望ましいが、ファイバ長揺らぎ補償部に集約してもよい。さらに、音響光学変調器116、122は、一台で所望の周波数シフト量を扱えるのであれば、一つにまとめることもできる。このようにして、図5(c)に示すように、中継局103の構成を簡易化することができる。
また、偏波制御器121は、伝送用光ファイバが偏波保持ファイバの場合は省略することができる。基準光再生部120のミキサ126とファイバ長揺らぎ補償部130のミキサ114とは、図示しないLPF、分周器等と共に周波数比較器として動作しているが、このようなアナログ回路による構成だけでなく、アナログ−デジタル変換器(ADC)、デジタル信号処理器(DSP)、デジタル−アナログ変換器(DAC)の組み合わせによるデジタル信号処理を用いても良い。さらに、光周波数シフタに用いている変調器は、音響光学変調器に限られるものではなく、例えば、光単側波帯(光SSB)変調器等の他の手段を用いても良い。これらの簡略化、省略、代替などは、後述する他の実施形態においても同様に考えることができる。
なお、第1の実施形態の送信局101では、ファイバ長揺らぎ補償部110に関連する部分のみの光干渉回路200が接続される。光ファイバ伝送に適した周波数(例えば、約1.4μm帯)に変換された伝送用の周波数基準光(マスタ光)が再生基準光入力ポート201に入力される。伝送路長揺らぎ検出回路220の伝送路ファイバ入出力ポート225に可変周波数シフタとしてのAOM116が接続され、周波数基準光が後段の局に出力される。検出光出力ポート226/227には、差動光検出器229が光検出器112として接続され、ファイバ長揺らぎ補償動作を行う。送信局101では、前段の局が無いので、周波数同期検出回路210は使用せず、基準光再生動作は行わない。
なお、送信局101において、周波数基準光(マスタ光)の光電力が弱い場合等は、送信局101においても、周波数同期検出回路210を使用して中継局103と同様の構成を用い、基準光再生動作も行う。
また、第1の実施形態の受信局105では、基準光再生部140に関連する部分のみの光干渉回路200が接続される。再生基準光入力ポート201に基準光再生光源127が接続され、周波数同期検出回路210の伝送路ファイバ入出力ポート215に固定周波数シフタとしてのAOM122が接続され、前段の局からの周波数基準光が入力される。検出光出力ポート216/217には、差動光検出器219が光検出器124として接続され、基準光再生動作を行う。再生基準光入力ポート201に入力する直前でタップする、または、伝送路長揺らぎ検出回路220の伝送路ファイバ入出力ポート225からの出力光を利用することにより、再生基準光を取り出す。受信局105では、後段の局がないので、伝送路長揺らぎ検出回路220は再生基準光の取り出し以外では使用せず、ファイバ長揺らぎ補償動作は行わない。
なお、受信局105において、光干渉回路200を用いて再生された再生基準光を局内の他装置に配信する光ファイバ等の伝送路の伝送路長揺らぎが無視できない場合は、受信局105においても、中継局103と同様の構成を用い、ファイバ長揺らぎ補償動作も行う。
(偏波直交型光干渉回路の動作)
光干渉回路200の動作について、以下に説明する。ここでは、再生基準光入力ポート201へは再生基準光がTM偏波で入力され、参照光経路218、228に偏波回転器213、223が設置されているとする。また、PBS212、222は、TM偏波光がクロス経路(タップカプラ211、221と伝送路ファイバ入出力ポート215、225を結ぶ経路)、TE偏波光がバー経路(3dBカプラ214、224と伝送路ファイバ入出力ポート215、225を結ぶ経路)で100%伝搬するように設計されているとする。再生基準光入力ポート201へ入力された再生基準光は、分岐カプラ202で分岐され、周波数同期検出回路210と伝送路揺らぎ検出回路220とに入力される。
周波数同期検出回路210に入力された再生基準光は、タップカプラ211で2分岐され、一方の分岐光は、PBS212を経由してTM偏波で伝送路ファイバ入出力ポート215から光ファイバ215aへ出力される。すなわち、AOM122と偏波制御器121とを経て、前段の送信局101へ伝送される。タップカプラ211で2分岐された他方の分岐光は、参照光経路218を通り、偏波回転器213によってTM偏波からTE偏波に変換された後、3dBカプラ214に参照光として導かれる。
伝送路ファイバ入出力ポート215には、前段の送信局101から伝送されてきた周波数基準光が、偏波制御器121で偏波調整されてTE偏波となって入力される。この周波数基準光は、PBS212によって3dBカプラ214に被検出光として導かれる。
3dBカプラ214では、再生基準光(参照光)と前段の局から伝送されてきた周波数基準光(被検出光)とが干渉する。3dBカプラ214の入力における、参照光の光電力をPL、被検出光の光電力をPS、参照光と被検出光の光位相の差をθとすると、3dBカプラの公知の伝達特性により、検出光出力ポート216には式1の光電力PUが出力され、検出光出力ポート217には式2の光電力PDが出力される。
Figure 2020034778
Figure 2020034778
参照光と被検出光に周波数差Δfがある場合、光位相の差θ=2π・Δf・tとなる。差動光検出器219の上側の光検出器と下側の光検出器には、これら光電力に比例した光電流が流れる。従って、各光検出器において、各式の第1項PLとPSの相加平均に比例した直流成分の光電流と、振幅が第2項のPLとPSの相乗平均に比例した周波数Δfの交流成分の光電流(干渉ビート信号)とが検出される。差動光検出器219としては、上側の光検出器の光電流と下側の光検出器の光電流の差(PU−PDに比例した)が出力されるので、第1項の直流成分の光電流は相殺され、第2項の交流成分の光電流のみが出力される。すなわち、振幅2(PL・PS1/2に比例した周波数Δfの干渉ビート信号が出力される。この干渉ビート信号を用いて、基準光再生光源127の発振周波数を制御することにより、再生基準光の光周波数f1を、前段の送信局101から伝送されてきた周波数基準光f0’にクロック周波数fCLKを加えた周波数f0’+fCLKに合せることができる(基準光再生動作)。
一方、伝送路揺らぎ検出回路220に入力された再生基準光は、周波数同期検出回路210と同様に、再生基準光の一部がTM偏波で伝送路ファイバ入出力ポート225から出力され、AOM116を経て、後段の受信局105へ伝送される。伝送路ファイバ入出力ポート225には、後段の受信局105から伝送されてきた後段の再生基準光がTE偏波で入力される。再生基準光(参照光)と後段の再生基準光(被検出光)とが3dBカプラ224で干渉し、干渉ビート信号が差動光検出器229から出力される。この干渉ビート信号を用いて、電圧制御発振器115から音響光学変調器116における周波数シフトを制御することにより、伝送用光ファイバ104のファイバ長揺らぎを実質的に補償することができる(ファイバ長揺らぎ補償動作)。
光干渉回路200は、導波路を用いた光回路で構成されているため、従来技術で問題となっていた風等による空気の屈折率変動の影響は全く生じない。また、導波路に用いている石英系の材料は、光弾性効果も十分小さいため、振動による導波路の屈折率変動の影響も無視できるほど小さい。
(温度特性を考慮した設計)
次に、環境温度変化による光干渉回路200の物理的なサイズの伸び縮み、すなわち、経路長の温度依存性の影響と、導波路の等価屈折率の温度依存性の影響を極力小さくする回路設計について詳細に説明する。温度依存性の影響を小さくする為ためには、分岐カプラ202から周波数同期検出回路210のタップカプラ211、参照光経路218を経由して3dBカプラ214までの経路長L0と、分岐カプラ202から伝送路長揺らぎ検出回路220のタップカプラ221、参照光経路228を経由して3dBカプラ224までの経路長L1が同じになる(L0=L1)ように設計する。光が感じる経路の長さ、すなわち光路長は、経路長に導波路の等価屈折率neqを乗じた値となるので、上記の各経路の光路長Lp0、Lp1は、それぞれ、
Lp0=neq・L0
Lp1=neq・L1
となる。環境温度の変動によって、光干渉回路200の物理的なサイズの伸び縮みが生じても、その伸び縮みの比率は、光干渉回路200の中では概ね均一であると考えて良いので、常にL0=L1が保たれることから、Lp1=Lp0が保たれる。また、環境温度が変化して導波路の等価屈折率neqが変化しても、やはり、Lp1=Lp0が保たれる。
このように、L0=L1で設計を行っておけば、環境温度変化より、光路長Lp1、Lp0の値が変化しても、これら光路長の関係は常にLp1=Lp0に保たれる。Lp1=Lp0が保たれるということは、分岐カプラ202で分岐された再生基準光に関して、3dBカプラ214における再生基準光(周波数同期検出回路210の参照光)の光位相と、3dBカプラ224における再生基準光(伝送路揺らぎ検出回路220の参照光)の光位相との差が変動しないことを意味する。上述したように、再生基準光の周波数同期は、3dBカプラ214で生じる干渉ビート信号に基づいて行われ、ファイバ長揺らぎ補償は3dBカプラ224で生じる干渉ビート信号に基づいて行われる。もし、3dBカプラ214における再生基準光の光位相と3dBカプラ224における再生基準光の光位相との差が変動してしまうと、ファイバ長揺らぎ補償に用いる再生基準光の周波数が前段の局から伝送されてきた周波数基準光の周波数と、厳密には異なってしまうことになり、ファイバ長揺らぎ補償の精度が低下することになる。Lp1=Lp0が保たれれば、このような精度低下を招くことなく、正確に周波数基準光の伝送することができる。
なお、導波路に複屈折があって、TE偏波とTM偏波の等価屈折率が、それぞれneqTEとneqTMであり異なる場合は、それを考慮した設計となる。例えば、再生基準光がTM偏波で規定して再生基準光入力ポート201へ入力され、参照光経路218、228に偏波回転器213、223が設置されているとする。このとき、分岐カプラ202−タップカプラ211−偏波回転器213−3dBカプラ214のそれぞれを接続する経路の経路長を順にL01、L02、L03とし、分岐カプラ202−タップカプラ221−偏波回転器223−3dBカプラ224のそれぞれを接続する経路の経路長を順にL11、L12、L13とすると、
Lp0=neqTM・(L01+L02)+neqTE・L03
Lp1=neqTM・(L11+L12)+neqTE・L13
となる。従って、環境温度変動があってもLp0=Lp1を維持するためには、
01+L02=L11+L12、L03=L13
となるように設計することが望ましい。
周波数同期検出回路210の伝送路ファイバ入出力ポート215のチップ端面において、再生基準光の周波数と前段の局から伝送されてきた周波数基準光の周波数の周波数差を厳密に合わせる必要がある場合は、タップカプラ211からPBS212を経由して伝送路ファイバ入出力ポート215のチップ端面までの経路長L04に、伝送路ファイバ入出力ポート215のチップ端面からPBS212を経由して3dBカプラ214までの経路長L05を加えた経路長L04+L05と、タップカプラ211から参照光経路218を経由して3dBカプラ214までの経路長L06が同じになるように設計する。
06=L02+L03=L04+L05
さらに、複屈折の影響も考慮する場合は、L02=L04、L03=L05となるように設計する。このように設計を行っておけば、前者の経路の光路長Lp04+Lp05に相当する経路長は、
eqTM・L04+neqTE・L05
であり、後者の経路の光路長Lp06に相当する経路長は、
eqTM・L02+neqTE・L03
であるので、環境温度変化よって等価屈折率や導波路長の変動があっても、Lp04+Lp05=Lp06が維持される。
従って、伝送路ファイバ入出力ポート215から出力される再生基準光の光位相と伝送路ファイバ入出力ポート215に入力される前段の局からの周波数基準光の光位相が一致していれば、3dBカプラ214での再生基準光(参照光)の光位相と周波数基準光(被検出光)の光位相の差は常に一定に保たれることになる。なお、ここでは説明の便宜上、再生基準光の周波数と周波数基準光の周波数が同じであるとして説明している。
逆に言えば、3dBカプラ214での参照光の光位相と被検出光の光位相の差が一定になっていれば、伝送路ファイバ入出力ポート215から出力される再生基準光の光位相と伝送路ファイバ入出力ポート215に入力される前段の局からの周波数基準光の光位相は、環境温度変動があっても、常に一定に保たれていることになる。その結果、再生基準光の周波数と前段の局からの周波数基準光の周波数が常に一致することになる。
伝送路長揺らぎ検出回路220の伝送路ファイバ入出力ポート225のチップ端面において、再生基準光の周波数と後段の局から伝送されてきた再生基準光の周波数の周波数差を厳密に合わせる必要がある場合についても、同じ考え方により、伝送路長揺らぎ検出回路220の中の経路長設計を行えばよい。
(タップ率の設計)
タップカプラ211、221の結合率、いわゆるタップ率の詳細設計について説明する。タップカプラ211は、結合率可変の光カプラとして、使用状況に応じて結合率を調整する。一方、干渉ビート信号の振幅が最大になる結合率は、以下に示すように50%になるので、回路構成の簡素化のため、通常は結合率が50%に固定された光カプラを用いても良い。3dBカプラ214、224の結合率は、上述したように、差動光検出器における検出時に直流成分を相殺させるために、50%に設計する。
図6に、干渉ビート信号の振幅とタップカプラのタップ率との関係を示す。図6(a)に示すように、タップカプラ211のタップ率をxとし、タップカプラ211に入力される光電力を1とすると、3dBカプラ214に入力される参照光の光電力PLはxとなる。前段の局においても状況は同じであるとして、前段の局のタップカプラ221のタップ率もxとし、タップカプラ221に入力される光電力も1とし、AOM等のデバイスでの損失も含めた伝送路の透過率をαとする。この場合、当該局で、伝送路ファイバ入出力ポート215からPBS212を経由して3dBカプラ214に入力される被検出光の光電力PSは、α(1−x)となる。従って、差動光検出器219から出力される干渉ビート信号の振幅Aは、
Figure 2020034778
となる。この導関数
Figure 2020034778
がゼロになるxで振幅Aが最大になるので、伝送路の透過率αの値にかかわらず、タップカプラのタップ率x=1/2、すなわち、結合率50%が常に最適値となることが分かる。図6(b)は、式3で求めた干渉ビート信号振幅のタップカプラのタップ率依存性である。
分岐カプラ202は、分岐比が固定の光カプラでも良いが、以下に述べる理由により、通常は分岐比が可変の光カプラとした方が良い。中継局間の伝送用光ファイバの長さは、各区間によって通常は異なっているので、前段の局までの伝送用光ファイバの損失の値と後段の局に接続している伝送用光ファイバの損失の値は異なっている。よって、この損失値の差に応じて、再生基準光の光電力を分岐カプラ202で適切な分岐比で割り振ることによって、伝送用光ファイバの損失が大きい区間においても、基準光再生部/ファイバ長揺らぎ補償部の差動光検出器の光電力レベルを改善することができる。
(干渉ビート信号の検出感度)
干渉ビート信号の検出感度に関して述べる。例として周波数同期検出回路210で説明するが、伝送路揺らぎ検出回路220でも同様である。干渉ビート信号は、検出光出力ポート216/217のいずれか一方の出力に通常の光検出器(シングルエンド光検出器)を接続した構成を用いても検出することができる。この場合、シングルエンド光検出器からは、式1または式2で表される光電力に比例した光電流が出力される。従って、振幅がPLとPSの相乗平均に比例した周波数Δfの干渉ビート信号が得られることになる。
差動光検出器を用いた場合は、振幅2(PL・PS1/2に比例した干渉ビート信号が得られているのに対して、シングルエンド光検出器を用いた場合は、検出感度が半分になっていることがわかる。背景技術で示した従来のマイケルソン干渉計に類似した空間型光干渉回路によりビート信号を得る方法も、基本的にはこのシングルエンド光検出器を用いた場合と同じ検出感度になる。
従って、本実施形態の構成によれば、従来に比べて2倍の検出感度が得られるようになる。本実施形態の光干渉回路200は、マッハツェンダー干渉計に類似した構成となっていて、式1および式2の第2項に示されるように、干渉ビート信号が2つのポートから相補的に出力される。これを活かし、相補的に出力された信号を差動検出することにより、両ポートの干渉ビート信号が合算されることになり、検出感度が2倍になっているとも言える。
また、この差動検出を採ることの副次的なメリットに関しても以下に付記しておく。光検出器からは、式1または式2で表される光電力に比例した光電流が出力されるので、干渉ビート信号以外に直流成分の光電流が重畳されて出力される。通常、再生基準光の光電力PLに比べて、前段/後段の局から伝送されてきた周波数基準光の光電力PSは小さく、PS≪PLとなっていることが多い。従って、干渉ビート信号の振幅に比べて、直流成分の光電流の方が大きい。シングルエンド光検出器において、この直流成分の光電流は、干渉ビート信号をオフセットさせるように作用するため、直流成分の光電流が大きい場合、光検出器の後段に適宜接続される増幅器等の電子回路において動作範囲を超えてしまう。いわゆる、クリッピングの問題が生じる。そのため、シングルエンド光検出器の出力には、適切な高域通過フィルタ(HPF)または帯域通過フィルタ(BPF)を接続して、直流成分の光電流をカットする必要がある。
一方、本実施形態のように差動検出を採った場合には、この直流成分の光電流は差動検出の過程で相殺され、カットされる。従って、HPF、BPFといった電気フィルタを設ける必要がないといったメリットがある。
なお、この差動検出においては、2つのポートから相補的に出力される干渉ビート信号を用いているので、この相補性が維持されるように、3dBカプラ214から差動光検出器219までの2つの経路(検出光出力ポート216経由、及び検出光出力ポート217経由の経路)の光路長は、ほぼ同じにしておくことが望ましい。
[第2の実施形態]
(同一偏波型光干渉回路の構成)
図7に、本発明の第2の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる同一偏波型の光干渉回路300の構成を示す。光干渉回路300の構成は、第1の実施形態の光干渉回路200に対して、PBS212、222がそれぞれ3dB合流カプラ312、322に置き換えられ、偏波回転器213、223が削除された点が異なる。周辺のデバイスへの接続は、第1の実施形態と同じである。再生基準光入力ポート301には基準光再生光源127が接続され、伝送路ファイバ入出力ポート315、325には、それぞれ、AOM122、116が接続される。検出光出力ポート316/317、326/327には、それぞれ、差動光検出器319、329が光検出器124、112として接続される。なお、再生基準光入力ポート301への再生基準光の入力は、TE偏波/TM偏波のどちらでも良いが、本実施形態ではTM偏波で入力する例を示している。
第1の実施形態の光干渉回路200では、伝送路ファイバ入出力ポート215、225から光ファイバ215a、225aへ出力される光の偏波と、光ファイバ215a、225aから伝送路ファイバ入出力ポート215、225へ入力される光の偏波が直交している。このことから、PBS212、222は、サーキュレータのような働きをしており、光が捨てられることが無い構成になっている。すなわち、タップカプラ211、221から伝送路ファイバ入出力ポート215、225に伝搬する光も、逆に、伝送路ファイバ入出力ポート215、225から3dBカプラ214、224に伝搬する光も、両方とも原理的には損失を受けることなく100%伝搬する。この点が、第1の実施形態の光干渉回路200の特徴の一つであった。
一方、光ファイバ215a、225aに入力される光と出力される光との間で偏波が直交しているということは、伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光で偏波が直交していることを意味する。理想的な光ファイバでは等価屈折率に偏波依存性はないが、実際の光ファイバでは製造誤差によってコア形状が真円ではなく僅かに楕円になっていること、ファイバの引き回しにおいて湾曲になっていることに起因して、等価屈折率に偏波依存性を有し、複屈折が生じる。従って、行きの伝搬光と帰りの伝搬光とでは、伝搬光が感じる伝送用光ファイバの長さが僅かに異なる。この複屈折が振動や温度変化によって変動すると、伝送用光ファイバで受ける伝搬光の周波数変動δfが行きの伝搬光と帰りの伝搬光で異なることになる。これは、ファイバ長揺らぎ補償において誤差要因となる。
第2の実施形態の光干渉回路300では、第1の実施形態におけるPBS212、222がそれぞれ3dB合流カプラ312、322に置き換わっている。従って、タップカプラ311、321から伝送路ファイバ入出力ポート315、325に伝搬する光も、伝送路ファイバ入出力ポート315、325から3dBカプラ314、324に伝搬する光も、両方とも3dB合流カプラ312、322によって原理的に3dBの損失を受ける。すなわち、3dB合流カプラ312、322に起因して、伝搬光に対して合計6dBの損失が増えるという欠点がある。
干渉ビート信号の振幅は被検出光の光電力のルートに比例するので、本実施形態の干渉ビート信号の振幅は、第1の実施形態と比べて半分になる。一方、第2の実施形態の光干渉回路300では、偏波回転器213、223が削除されているので、3dBカプラ314、324に入力される参照光と被検出光の偏波の向きが同じになるように、光ファイバ315a、325aから伝送路ファイバ入出力ポート315、325へ入力される光の偏波状態は、偏波制御器121で調整される。よって、伝送路ファイバ入出力ポート315、325から光ファイバ315a、325aへ出力される光の偏波と、光ファイバ315a、325aから伝送路ファイバ入出力ポート315、325へ入力される光の偏波とは同じになり、伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光で偏波が同じになる。従って、前述のように伝送用光ファイバに複屈折の変動があった場合でも、行きと帰りで伝搬光が感じる伝送用光ファイバの長さが必ず同じになり、伝搬光の周波数変動δfも行きと帰りで必ず同じになる。第2の実施形態によれば、ファイバ長揺らぎ補償において伝送用光ファイバの複屈折変動の影響を受けないという利点がある。
これ以外の動作、利点に関しては、第1の実施形態に同じである。光干渉回路300は、導波路を用いた光回路で構成されているため、風等による空気の屈折率変動の影響は全く生じない。また、導波路に用いている石英系の材料は光弾性効果も十分小さいため、振動による導波路の屈折率変動の影響も無視できるほど小さい。経路長の温度依存性の影響、導波路の等価屈折率の温度依存性の影響を極力小さくする回路設計についても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。さらに、伝送路ファイバ入出力ポート315/325のチップ端面において、再生基準光の周波数と伝送されてきた基準光の周波数の周波数差を厳密に合わせる場合についても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。タップカプラ311、321の結合率、すなわち、タップ率の最適設計に関しても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。分岐カプラ302は、分岐比固定の光カプラでも良いが、必要に応じて分岐比可変の光カプラとしても良い。また、相補的に出力された信号を差動検出することにより、検出感度向上できること、クリッピングの問題を回避できる点に関しても、第1の実施形態と同様である。また、各種の簡略化や省略、代替に関しても第1の実施形態と同様に行うことができる。
なお、図7において、3dB合流カプラ312、322は、通常の2入力2出力の方向性結合器として記載しているが、3dB合流カプラ312、322は2入力1出力のカプラであれば良いので、例えば、単純なY分岐導波路を用いて構成しても良い。
なお、本実施形態において、タップカプラ311(、321)、3dB合流カプラ312(、322)、3dBカプラ314(、324)を相互に接続している光経路のいずれか1つまたは全てに、偏波回転器を設置することにより、第1の実施形態と同様に、伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光との間で、偏波を直交させることができる。但し、この構成の場合、3dB合流カプラ312(、322)に起因する合計6dBの損失増を避けることはできない。
[第3の実施形態]
(同一偏波、干渉回路共用型光干渉回路の構成)
図8に、本発明の第3の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる同一偏波、干渉回路共用型の光干渉回路400の構成を示す。光干渉回路400は、第2の実施形態の光干渉回路300の構成を基に、以下の変更を加えている。第1に、光干渉回路300において個別に用意されていた周波数同期検出回路310と伝送路長揺らぎ検出回路320とを1つにまとめ、分岐カプラ302を削除している。第2に、光干渉回路300では、3dB合流カプラ312、322が2入力1出力カプラとして用いられていたのに対して、光干渉回路400では、2入力2出力の3dB合分岐カプラ412に置き換えられている。3dB合分岐カプラ412の2出力の内、一方の出力が伝送路ファイバ入出力ポート413に接続され、他方の出力が伝送路ファイバ入出力ポート414に接続されている。なお、再生基準光入力ポート401への再生基準光の入力は、TE偏波/TM偏波のどちらでも良いが、本実施形態ではTM偏波で入力する例を示している。
図9に、第3の実施形態に係る周波数高精度伝送技術を備えた伝送システムを示す。光格子時計が置かれる送信局421と、周波数基準光が配信される受信局427の間は、光伝送路である伝送用光ファイバ422、424、426で接続され、伝送路の途中に中継局423、425が配置されている。送信局421には、ファイバ長揺らぎ補償部430が置かれ、受信局427には、基準光再生部480が置かれる。中継局423、425には、基準光再生部440、460とファイバ長揺らぎ補償部450、470とがそれぞれ置かれ、基準光再生部で再生された周波数基準光は、ファイバ長揺らぎ補償部に入力されて次局へと中継される。
図10に、第3の実施形態の光干渉回路を適用した中継局の構成を示す。第3の実施形態では、光干渉回路400において周波数同期検出回路と伝送路長揺らぎ検出回路が1つにまとめられていることから、差動光検出器419も1つにまとめられている。この差動光検出器419からの信号出力が分岐されて、基準光再生部440のミキサ446と、ファイバ長揺らぎ補償部450のミキサ454とに入力されている。
図9に示したように、伝送用光ファイバとその前後で対となっているファイバ長揺らぎ補償部と基準光再生部とを、伝送システムユニットとして見立てた場合、ファイバ長揺らぎ補償部と基準光再生部で用いるクロック源の発振周波数を、隣接する伝送システムユニットで異なった値にしている。例えば、伝送システムユニットAにある伝送用光ファイバ422の前後にあるファイバ長揺らぎ補償部430と基準光再生部440でのクロック源の発振周波数をfaとする。これに対して、隣接している伝送システムユニットBにある伝送用光ファイバ424の前後にあるファイバ長揺らぎ補償部450と基準光再生部460でのクロック源の発振周波数を、faとは異なるfbとしている。伝送システムユニットCでは、faともfbとも異なる第3の発振周波数fcをクロック源に用いても良いが、隣接している伝送システムユニット間でクロック源の発振周波数が異なっていれば良いので、2種類のクロック周波数を伝送システムユニット毎に交互に用いれば良い。これら発振周波数は、例えば、fa=7.5MHz、fb=15MHz等、下記で述べる干渉ビート信号の分離が十分に可能な周波数の間隔であれば良い。
上述したように、基準光再生部440のクロック源445の発振周波数と、ファイバ長揺らぎ補償部450のクロック源453の発振周波数とは異なるため、上述した実施形態のように、中継局においてクロック源をまとめて1つにすることはできないが、それ以外の各種の簡略化や省略、代替に関しては第1の実施形態と同様に行うことができる。
本実施形態での再生光同期動作とファイバ長揺らぎ補償動作は、基本的には第2の実施形態と同じであるが、周波数同期検出回路と伝送路揺らぎ検出回路が共用化されていることから、若干の違いがある。第1に、3dB合分岐カプラ412の2出力を、それぞれ、前段の局への再生基準光の送信と、後段の局への再生基準光の送信に用いている。第2に、前段の局から送られてきた周波数基準光を伝送路ファイバ入出力ポート413で受信し、また、後段の局からの再生基準光を伝送路ファイバ入出力ポート414で受信している。受信したそれぞれの光は、両方とにも3dB合分岐カプラ412を経て、3dBカプラ415に被検出光として導かれ、タップカプラ411から参照光経路418経由で参照光として導かれた再生基準光と干渉する。
よって、差動光検出器419からは、前段の局から送られてきた周波数基準光による干渉ビート信号Aと後段の局からの再生基準光による干渉ビート信号Bの2種類の干渉ビート信号が同時に出力される。上述したように、伝送システムユニットAには発振周波数faのクロック源が用いられ、伝送システムユニットBには発振周波数fbのクロック源が用いられているので、中継局423での干渉ビート信号Aのビート周波数はfaに、干渉ビート信号Bのビート周波数はfbになり、上記の2種類の干渉ビート信号は異なった周波数で出力されることになる。
これらの干渉ビート信号は、この周波数の違いを利用して分離することができる。例えば、差動光検出器419からの干渉ビート信号を、ミキサ446の直前でfaを通過中心周波数とするBPF(図示しない)で選択し、ミキサ454の直前でfbを通過中心周波数とするBPF(図示しない)で選択することにより、これら干渉ビート信号を分離することができる。
また、このようなBPFを用いなくても、下記のように、これらの干渉ビート信号を分離することができる。これら干渉ビート信号は、ミキサ446によってクロック源445の発振周波数faを基準としたベースバンド信号に変換され、ミキサ454によってクロック源453の発振周波数fbを基準としたベースバンド信号に変換される。すなわち、ミキサ446の出力では、干渉ビート信号Aは直流付近の低域信号に変換され、干渉ビート信号Bは|fa−fb|を中心とした周波数の比較的高域の信号に変換される。これとは逆に、ミキサ454の出力では、干渉ビート信号Bが直流付近の低域信号に変換され、干渉ビート信号Aが|fa−fb|を中心とした周波数の比較的高域の信号に変換される。そこで、これらミキサ446、454の後段に適切なLPF(図示しない)を配置して低域の信号のみを通過させることにより、これら干渉ビート信号を分離することができる。また、このようなBPFを用いなくても、基準光再生光源447、電圧制御発振器455の入力帯域を適切な帯域とすることによって実質的にLPFの代わりとして機能させ、これら干渉ビート信号を分離することもできる。これ以外の動作に関しては、第2の実施形態と基本的に同じである。
なお、送信局101に第3の実施形態を適用する場合は、ファイバ長揺らぎ補償部110に関連する部分のみの光干渉回路400が接続される。光ファイバ伝送に適した周波数(例えば、約1.4μm帯)に変換された伝送用の周波数基準光(マスタ光)が再生基準光入力ポート401に入力される。3dB合分岐カプラ412の他方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポート414に可変周波数シフタとしてのAOM116が接続され、周波数基準光が後段の局に出力される。検出光出力ポート416/417には、差動光検出器419が光検出器112として接続され、ファイバ長揺らぎ補償動作を行う。送信局101では、前段の局が無いので、3dB合分岐カプラ412の一方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポート413は使用せず、基準光再生動作は行わない。
なお、送信局101において、周波数基準光(マスタ光)の光電力が弱い場合等は、送信局101においても、伝送路ファイバ入出力ポート413を使用して中継局103と同様の構成を用い、基準光再生動作も行う。
また、受信局105に第3の実施形態を適用する場合は、基準光再生部140に関連する部分のみの光干渉回路400が接続される。再生基準光入力ポート401に基準光再生光源127が接続され、3dB合分岐カプラ412の一方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポート413に固定周波数シフタとしてのAOM122が接続され、前段の局からの周波数基準光が入力される。検出光出力ポート416/417には、差動光検出器419が光検出器124として接続され、基準光再生動作を行う。再生基準光入力ポート401に入力する直前でタップする、または、3dB合分岐カプラ412の他方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポート414からの出力光を利用することにより、再生基準光を取り出す。後段の局がないので、ファイバ長揺らぎ補償動作は行わない。
なお、受信局105において、光干渉回路400を用いて再生された再生基準光を局内の他装置に配信する光ファイバ等の伝送路の伝送路長揺らぎが無視できない場合は、受信局105においても、中継局103と同様の構成を用い、ファイバ長揺らぎ補償動作も行う。
第2の実施形態では、3dB合流カプラ312、322で再生基準光を伝送路ファイバ入出力ポート315、325に伝搬させるときに、半分の光電力を捨てており、3dBの損失となっていた。これに対して、第3の実施形態では周波数同期検出回路と伝送路揺らぎ検出回路とを共用化し、3dB合分岐カプラ412の2出力を、それぞれ、前段の局への再生基準光と後段の局への再生基準光とに用いており、光電力を捨てていない。そのため、第2の実施形態と比較して、第3の実施形態では再生基準光の送信時における損失が3dB低くなるという利点がある。なお、受信時、伝送路ファイバ入出力ポート413、414から3dB合分岐カプラ412を経由して3dBカプラ415に伝搬する光に対しては、第2の実施形態と同様に3dB合分岐カプラ412において原理的に3dBの損失を受ける。
本実施形態では、周波数同期検出回路と伝送路揺らぎ検出回路とが1つにまとまっていることから、周波数同期検出回路としての参照光と伝送路揺らぎ検出回路としての参照光が完全に同一であるため、両検出で用いる参照光の光位相が同じになる。従って、各経路の長さの時間変動に対する問題は本質的に全く生じないことになり、極めて堅牢で安定な周波数基準光高精度伝送を実現することができる。
(空間光学系による同一偏波、干渉回路共用型光干渉回路の構成)
図11に、第3の実施形態の光干渉回路を空間光学系で構成した場合を示す。本実施形態については、導波路技術を用いた構成に限定されることなく、空間光学技術を用いた構成においても適用でき、同様の効果が得られることを付記しておく。すなわち、各部の光カプラをハーフミラーに置き換えることにより、空間光学系による光干渉回路を構成してもよい。
これ以外の利点に関しては、第2の実施形態に同じである。伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光とで偏波が同じになるので、ファイバ長揺らぎ補償において伝送用光ファイバの複屈折の影響を受けない。伝送路ファイバ入出力ポート413、414のチップ端面において、再生基準光の周波数と伝送されてきた基準光の周波数の周波数差を厳密に合わせる場合についても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。タップカプラ411の結合率、すなわち、タップ率の最適設計に関しても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。また、相補的に出力された信号を差動検出することにより、検出感度向上できること、クリッピングの問題を回避できる点に関しても、第1の実施形態と同様である。
本実施形態では、周波数同期検出回路と伝送路揺らぎ検出回路とが1つにまとまっており、差動光検出器も1つにまとまっていることから、第2の実施形態と比較して中継器の構成が小型化/簡素化されているという利点もある。
なお、本実施形態において、タップカプラ411、3dB合流カプラ412、3dBカプラ415を相互に接続している光経路のいずれか1つまたは全てに、偏波回転器を設置することにより、第1の実施形態と同様に、伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光との間で偏波を直交させることができる。
[第4の実施形態]
(同一偏波、捨て光再利用型光干渉回路の構成)
図12に、本発明の第4の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる同一偏波、捨て光再利用型の光干渉回路の構成を示す。
光干渉回路500の構成は、第2の実施形態の光干渉回路300の構成に対して、タップカプラ311、321と3dB合流カプラ312、322がまとめられて、タップカプラ511、521に置き換えられている点が異なる。なお、周辺のデバイスへの接続は、第1および第2の実施形態と同じである。再生基準光入力ポート501には基準光再生光源127が接続され、伝送路ファイバ入出力ポート515に、525には、それぞれ、AOM122、116が接続される。検出光出力ポート516/517、526/527には、それぞれ、差動光検出器519、529が光検出器124、112として接続される。なお、再生基準光入力ポート501への再生基準光の入力は、TE偏波/TM偏波のどちらでも良いが、本実施形態ではTM偏波で入力する例を示している。
本実施形態の光干渉回路500では、周波数同期検出回路510と伝送路揺らぎ検出回路520のそれぞれにおいて以下の様に動作する。再生基準光は、タップカプラ511、521で2分岐され、一方の分岐光は、そのまま伝送路ファイバ入出力ポート515、525から出力され、前段/後段の局へ送信光となる。他方の分岐光は、参照光経路518、528を通り3dBカプラ514、524に参照光として導かれる。前段/後段の局からの受信光は、伝送路ファイバ入出力ポート515、525にTM偏波で入力され、タップカプラ511、521、および被検出光経路518b、528b経由で3dBカプラ514、524に被検出光として導かれる。
本実施形態の光干渉回路500は、第2の実施形態の光干渉回路300において3dB合流カプラ312、322で捨てられている光を、参照光として上手く利用し、タップカプラ311、321を省略した構成であると言える。光干渉回路300ではタップカプラ311、321と3dB合流カプラ312、322とにより、送信光が合計6dBの損失を受けていたのに対して、光干渉回路500では、送信光が受ける損失はタップカプラ511、521における3dBのみとなる。従って、本実施形態の光干渉回路500は、第2の実施形態の光干渉回路300と比較して、損失が3dB低減することになり、受信感度が21/2倍に向上するという利点がある。実際には、後述するように、タップ率の最適化により更に受信感度を向上することができる。
(タップ率の設計)
タップカプラ511、521の結合率、いわゆるタップ率の詳細設計について説明する。タップカプラ511は、結合率可変の光カプラとして、使用状況に応じて結合率を調整する。一方、干渉ビート信号の振幅が最大になる結合率は、以下に示すように約67%になるので、回路構成の簡素化のため、通常は結合率が67%に固定された光カプラを用いても良い。3dBカプラ514、524の結合率は、上述したように、差動検出器における直流成分を相殺させるために、50%に設計する。
図13に、干渉ビート信号の振幅とタップカプラのタップ率との関係を示す。図13(a)に示すように、タップカプラ511のタップ率をxとし、タップカプラ511に入力される再生基準光の光電力を1とすると、3dBカプラ514に入力される参照光の光電力PLはxとなる。前段の局においても状況は同じであるとして、前段の局のタップカプラ521のタップ率もxとし、タップカプラ521に入力される再生基準光の光電力も1とし、AOM等のデバイスでの損失も含めた伝送路の透過率をαとする。この場合、当該局で、伝送路ファイバ入出力ポート515からタップカプラ511を経由して3dBカプラ514に入力される被検出光の光電力PSは、αx(1−x)となる。従って、差動光検出器519から出力される干渉ビート信号の振幅Bは、
Figure 2020034778
となる。この導関数
Figure 2020034778
がゼロになるxで振幅Bが最大になるので、伝送路の透過率αの値にかかわらず、タップカプラのタップ率x=2/3、すなわち、結合率67%が常に最適値となることが分かる。図13(b)は、式5で求めた干渉ビート信号振幅のタップカプラのタップ率依存性である。
第2の実施形態の干渉ビート信号の振幅は、第1の実施形態と比べて半分になることを考慮して、第1の実施形態の干渉ビート振幅を示した図6(b)と第4の実施形態の干渉ビート振幅を示した図13(b)を比較すると、最適タップ率において、本実施形態の干渉ビート振幅は、第2の実施形態の干渉ビート信号振幅と比較して1.54倍になっていることがわかる。従って、本実施形態は、第2の実施形態と比較して、21/2倍を上回って受信感度が改善する。
これ以外の動作、利点等に関しては、第2の実施形態に同じである。伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光で偏波が同じになるので、ファイバ長揺らぎ補償において伝送用光ファイバの複屈折の影響を受けない。光干渉回路500は、導波路を用いた光回路で構成されているため、風等による空気の屈折率変動の影響は全く生じない。また、導波路に用いている石英系の材料は光弾性効果も十分小さいため、振動による導波路の屈折率変動の影響も無視できるほど小さい。経路長の温度依存性の影響、導波路の等価屈折率の温度依存性の影響を極力小さくする回路設計についても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。具体的には、分岐カプラ502から周波数同期検出回路510のタップカプラ511、参照光経路518を経由して3dBカプラ514までの経路長L0と、分岐カプラ502から伝送路長揺らぎ検出回路520のタップカプラ521、参照光経路528を経由して3dBカプラ524までの経路長L1とが同じになる(L0=L1)ように設計すれば良い。
さらに、伝送路ファイバ入出力ポート515、525のチップ端面において、再生基準光の周波数と伝送されてきた基準光の周波数の周波数差を厳密に合わせる場合についても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。具体的には、周波数同期検出回路510においては、タップカプラ511から伝送路ファイバ入出力ポート515のチップ端面までの経路長L04に、伝送路ファイバ入出力ポート515のチップ端面からタップカプラ511、被検出光経路518bを経由して3dBカプラ514までの経路長L05を加えた経路長L04+L05と、タップカプラ511から参照光経路518を経由して3dBカプラ514までの経路長L06とが同じになるように設計する。伝送路長揺らぎ検出回路520においても同様である。
06=L04+L05
分岐カプラ502は、分岐比固定の光カプラでも良いが、必要に応じて分岐比可変の光カプラとしても良い。また、相補的に出力された信号を差動検出することにより、検出感度を向上できること、クリッピングの問題を回避できる点に関しても、第1の実施形態と同様である。また、各種の簡略化や省略、代替に関しても第1の実施形態と同様に行うことができる。
なお、本実施形態において、参照光経路518(、528)、被検出光経路518b(、528b)のいずれか1つに、偏波回転器を設置することにより、第1の実施形態と同様に、伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光で偏波を直交させることができる。
[第5の実施形態]
(多出力型光干渉回路の構成)
図14に、本発明の第5の実施形態に係る基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる多出力型の光干渉回路の構成を示す。光干渉回路600は、導波路を用いた光回路で構成され、再生基準光入力ポート601からの光をN分岐する多分岐カプラ605(Nは2以上の整数)と、多分岐カプラ605の出力にそれぞれ接続される周波数同期検出回路610および(N−1)個の伝送路長揺らぎ検出回路620〜640とから構成される。本実施形態では、例としてN=4の場合を示す。
本実施形態において、多分岐カプラ605は、複数の2分岐の分岐カプラ602〜604を、2分木状に接続したツリー構成により示している。多分岐カプラ605として、複数の2分岐の分岐カプラを、一方の出力に直列に接続したタップ構成を用いても良いし、またはMMI導波路等を用いた多分岐カプラを用いても良い。
図15に、第5の実施形態に係る周波数高精度伝送技術を備えた伝送システムを示す。光格子時計が置かれる送信局651と、周波数基準光が配信される受信局655、657、659との間は、光伝送路である伝送用光ファイバ652、654、656、658で接続され、伝送路の途中に多分岐の中継局653が配置されている。送信局651には、ファイバ長揺らぎ補償部710が置かれ、受信局655、657、659には、基準光再生部720、730、740が置かれる。中継局653には、基準光再生部660とファイバ長揺らぎ補償部670、680、690とが置かれ、基準光再生部で再生された周波数基準光は、ファイバ長揺らぎ補償部に入力されて次局へと中継される。本実施形態では、多分岐の中継局653が、中継局として1か所のみに置かれ、複数のファイバ長揺らぎ補償部670〜690が受信局655、657、659にそれぞれ接続されて、送信局651からの周波数基準光を、複数の受信局に分配する。
図16に、第5の実施形態の光干渉回路を適用した中継局の構成を示す。第5の実施形態では、光干渉回路600において周波数同期検出回路と複数の伝送路長揺らぎ検出回路が1つにまとめられている。光干渉回路600と、基準光再生部660およびファイバ長揺らぎ補償部670、680、690との接続関係は、第1の実施形態と同様である(図5(b)参照)。
従来の技術、第1〜第4の実施形態では、ポイントツーポイントの周波数基準光伝送、すなわち単一地点に向けた周波数基準光の中継を行うだけであった。第5の実施形態によれば、複数のファイバ長揺らぎ補償部670〜690を備えているので、多地点に向けた光周波数基準伝送が可能となり、周波数基準光の面的なネットワーク配信を行うことができる。
これ以外の動作、利点に関しては、第1の実施形態に同じである。光干渉回路600は、導波路を用いた光回路で構成されているため、風等による空気の屈折率変動の影響は全く生じない。また、導波路に用いている石英系の材料は光弾性効果も十分小さいため、振動による導波路の屈折率変動の影響も無視できるほど小さい。経路長の温度依存性の影響、導波路の等価屈折率の温度依存性の影響を極力小さくする回路設計についても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。具体的には、分岐カプラ602から周波数同期検出回路610のタップカプラ611と参照光経路618を経由して3dBカプラ614までの経路長L0と、分岐カプラ602から伝送路長揺らぎ検出回路620のタップカプラ621と参照光経路628を経由して3dBカプラ624までの経路長L1、および伝送路長揺らぎ検出回路630、640における経路長L2、L3とが同じになる(L0=L1=L2=L3)ように設計すれば良い。
さらに、伝送路ファイバ入出力ポート615、625、635、645のチップ端面において、再生基準光の周波数と伝送されてきた基準光の周波数の周波数差を厳密に合わせる場合についても、第1の実施形態と同様の考えを適用することができる。
分岐カプラ602〜604は、分岐比固定の光カプラでも良いが、必要に応じて分岐比可変の光カプラとしても良い。また、相補的に出力された信号を差動検出することにより、検出感度向上できること、クリッピングの問題を回避できる点に関しても、第1の実施形態と同様である。また、各種の簡略化や省略、代替に関しても第一の実施形態と同様に行うことができる。
図14において、周波数同期検出回路610は、第1の実施形態の周波数同期検出回路210と同じであり、伝送路長揺らぎ検出回路620〜640は、第1の実施形態の伝送路長揺らぎ検出回路220と同じである。第2および第4の実施形態で用いた周波数同期検出回路310、510と伝送路長揺らぎ検出回路320、520とを用いても良い。また、第3の実施形態の光干渉回路400、すなわち周波数同期検出回路と伝送路長揺らぎ検出回路を1つにまとめた構成を用いても良い。第2〜4の実施形態に示した各検出回路を用いる場合には、伝送用光ファイバ中での行きの伝搬光と帰りの伝搬光とで偏波が同じになるので、ファイバ長揺らぎ補償において伝送用光ファイバの複屈折の影響を受けないという利点が得られる。
図17に、第5の実施形態において、第3の実施形態の光干渉回路を援用した時の基準光再生および複数のファイバ長揺らぎ補償に用いる光干渉回路の構成を示す。第3の実施形態の光干渉回路400は、光干渉回路が1つでありながらも2個の光干渉回路として動作させることとができるので、この光干渉回路を、周波数同期検出回路と伝送路長揺らぎ検出回路として適用するだけでなく、2個の伝送路長揺らぎ検出回路として適用することもできる。分岐カプラ802のそれぞれの出力に光干渉回路400と同じ回路を集積した構成の光干渉計回路800を用いることにより、1つの周波数同期検出回路と3つの伝送路長揺らぎ検出回路として用いることができる。本光干渉計回路800では、1つ目の光干渉回路400を周波数同期検出回路と伝送路長揺らぎ検出回路(周波数同期/伝送路長揺らぎ補償共用検出回路810)として用い、2つ目の光干渉回路400を2つの伝送路長揺らぎ検出回路(2ファイバ伝送路長揺らぎ検出回路820)として用いる。
図18に、第5の実施形態において、図17の光干渉回路を適用した時の中継局の構成を示す。光干渉計回路800を第5の実施形態で記載した中継局653に適用した場合の中継局の構成を示す。周波数同期/伝送路長揺らぎ補償共用検出回路810、および、基準光再生部660、ファイバ長揺らぎ補償部670に関しては、第3の実施形態で示した構成/動作と同じである。2ファイバ伝送路長揺らぎ共用検出回路820、および、ファイバ長揺らぎ補償部680、690に関しては、第3の実施形態で示した構成/動作と基本的な考えは同じである。ファイバ長揺らぎ補償部680、690で異なる周波数の干渉ビート信号を検出できる構成とすることにより、ファイバ伝送路長揺らぎ検出回路を共用して2ファイバ伝送路長揺らぎ共用検出回路820とし、差動光検出器を共用して1つの差動光検出器829にまとめることができる。
第5の実施形態にかかる基準光再生およびファイバ長揺らぎ補償に用いる多出力型の光干渉回路においては、第1〜4の実施形態の構成を組み合わせた構成、例えば、周波数同期検出回路610には、周波数同期検出回路210の構成、伝送路長揺らぎ検出回路620には伝送路長揺らぎ検出回路320の構成、伝送路長揺らぎ検出回路630には2ファイバ伝送路長揺らぎ共用検出回路820の構成、伝送路長揺らぎ検出回路640には伝送路長揺らぎ検出回路520の構成を用いても良い。2ファイバ伝送路長揺らぎ共用検出回路820、または周波数同期/伝送路長揺らぎ補償共用検出回路810の構成を組み入れる場合は、周辺に接続されるデバイスはそれに合わせて、図18に示した構成を用いることになる。また、経路長の温度依存性の影響、導波路の等価屈折率の温度依存性の影響を極力小さくする回路設計についても、これまで述べてきた考え方により適用することができる。
なお、このような組み合わせは、Nが3以上の場合に限られることなく、Nが2の場合においても、周波数同期検出回路と伝送路長揺らぎ検出回路の構成を、第1〜第4の実施形態で記載した構成の任意の組み合わせにしても良い。
[実施例]
第1の実施形態の光干渉回路200を、石英系PLC技術を用いて作製した。等長設計は、周波数同期検出回路210と伝送路長揺らぎ検出回路220を、同じパターン設計とし、分岐カプラ202から周波数同期検出回路210のタップカプラ211までの経路長と分岐カプラ202から伝送路長揺らぎ検出回路220のタップカプラ221までの経路長を同じにした。偏波回転器213、223は、参照光経路218、228に設置している。3dBカプラ、分岐カプラ、合流カプラ、合分岐カプラの各種の光カプラには、2本の導波路を近接して配置することによって光を結合させる方向性結合器を用いている。偏波ビームスプリッタ(PBS)は、2つの方向性結合器を縦続接続した一種のマッハツェンダー干渉計を用いた。方向性結合器を接続している2本の導波路アームの光路長差が、TM偏波光に対してゼロに、TE偏光に対して半波長になるように設計されている。偏波によって異なる光路長差を与える方法には様々な方法があるが、本実施例では一方の導波路の周辺のクラッドを除去する応力解放溝を設け、複屈折を制御する方法を用いている。
偏波回転器は、導波路を横切るように作製した溝に、主軸を45°傾けた半波長板を挿入した構成とした。分岐比可変、タップ比可変の光カプラは、2つの方向性結合器を縦続接続した一種のマッハツェンダー干渉計を用いた。方向性結合器を接続している2本の導波路アームに可変移相器を設けている。可変移相器は、熱光学効果による可変移相器を用いており、導波路のクラッド上に設けた薄膜ヒータにより導波路の温度を局所的に制御している。
光干渉回路200は、導波路の最小曲げ半径2mmで設計され、チップサイズ43×25mmの大きさであり、コンパクトに実現されている。導波路、上述した各光機能回路は、火炎堆積(FHD)法等のガラス膜堆積技術と、反応性イオンエッチング(RIE)等の微細加工技術の公知の組み合わせを用いて作製した。チップはモジュールケースに収容し、温度調整機構は設けていない。
作製した光干渉回路200の挿入損失は、再生基準光入力ポート201と伝送路ファイバ入出力ポート215、225との間で約8.4dB、再生基準光入力ポート201と検出光出力ポート216/217および検出光出力ポート226/227との間で11.1dB、伝送路ファイバ入出力ポート215、225と検出光出力ポート216/217および検出光出力ポート226/227との間で5.5dBであった。分岐等に伴う原理損失を除いた過剰損失は、いずれの経路も1.6〜2.8dBとなり低損失な光波回路を実現できている。
作製した光干渉回路200に、第1の実施形態で説明したように周辺にデバイスを接続し中継局を構成した。周波数基準光の中継の安定度(修正アラン分散)を評価したところ、平均時間10秒にて1×10-19の値が得られた。従来の空間型光干渉回路を用いた場合、安定度は3×10-18である。従って、本実施例の構成により30倍の安定度向上を達成することができた。
以上述べたように、本実施形態によれば、導波路技術を用いることにより実効的な光路長の変動が小さい光干渉回路を提供することができ、高精度な周波数基準光を伝送することができる。また、光干渉回路をマッハツェンダー干渉計に類似した構成とし、各経路の長さを規定することにより、実効的な光路長の変動の影響を相殺する光干渉回路を提供することができ、高精度で高安定な周波数基準光を伝送することができる。さらに、マッハツェンダー干渉計に類似した光干渉回路の構成により、干渉ビート信号が2つのポートから相補的に出力されることを活かし、検出感度を向上させることができる。さらにまた、光干渉回路に平面光波回路(PLC)技術を用いることにより、低損失な特性を有し、コンパクトなデバイスサイズで実現することができる。さらにまた、正確な周波数基準光を単一地点に伝送するだけでなく、複数地点へ分配することができる。
本発明は、周波数基準光を高精度で高安定に伝送する周波数基準光伝送装置に使用することができる。
101、421、651 送信局
102、104、422、424、426、652、654、656、658 伝送用光ファイバ
103、423、425、653 中継局
105、427、655、657、659 受信局
110、130、430、450、470、670、680、690、710 ファイバ長揺らぎ補償部
120、140、440、460、480、660、720、730、740 基準光再生部
111、123、400b 空間型光干渉回路
112、124 光検出器(PD)
113、125、445、453、665、673、683、693、865、873、883、893 クロック源(CLK)
114、126、446、454、666、674、684、694、866、874、884、894 ミキサ(DBM)
115、455、675、685、695、875、885、895 電圧制御発振器(VCO)
116、122、442、456、662、676、686、696、862、876、886、896 音響光学変調器(AOM)
121、441、661、861 偏波制御器(PC)
127、447、667、867 基準光再生光源(LD)
111a、123a、128、411b、412b、415b ハーフミラー
111b、123b、129、402 ミラー
200、300、400、500、600、800 光干渉回路
201、301、401、501、601、801 再生基準光入力ポート
201a、301a、401a、501a、601a、801a 偏波保持光ファイバ
202、302、502、602〜604、802 分岐カプラ
210、310、510、610 周波数同期検出回路
211、221、311、321、411、511、521、611、621、811、821 タップカプラ
212、222、612、622 偏波ビームスプリッタ(PBS)
213、223、613、623 偏波回転器
214、224、314、324、415、514、524、614、624、815、825 3dBカプラ
215、225、315、325、413、414、515、525、615、625、635、645、813、814、823、824 伝送路ファイバ入出力ポート
215a〜217a、225a〜227a、315a〜317a、325a〜327a、401b、413a、413b、414a、414b、416a、417a、515a〜517a、525a〜527a、615a〜617a、625a〜627a、635a〜637a、645a〜647a、813a〜817a、823a〜827a 光ファイバ
216、217、226、227、316、317、326、327、416、417、516、517、526、527、616、617、626、627、636、637、646、647、816、817、826、827 検出光出力ポート
218、228、318、328、418、518、528、618、628、818、828 参照光経路
219、229、319、329、419、419b、519、529、619、629、639、649、819、829 差動光検出器
220、320、520、620、630、640 伝送路長揺らぎ検出回路
312、322 3dB合流カプラ
403、404、405 レンズ
412、812、822 3dB合分岐カプラ
605 多分岐カプラ
810 周波数同期/伝送路長揺らぎ検出回路
820 2ファイバ伝送路長揺らぎ検出回路

Claims (11)

  1. 再生基準光入力ポートからの光を分岐するタップカプラと、
    前記タップカプラの一方の出力が、一方の入力に接続された合分岐カプラと、
    前記タップカプラの他方の出力が、参照光経路を介して一方の入力に接続された3dBカプラとを備え、
    前記合分岐カプラの他方の入力は前記3dBカプラの他方の入力に接続され、前記合分岐カプラの2出力はそれぞれ伝送路ファイバ入出力ポートに接続され、前記3dBカプラの出力は検出光出力ポートに接続されていることを特徴とする光干渉回路。
  2. 基板上の導波路を用いて構成されていることを特徴とする請求項1記載の光干渉回路。
  3. 前記タップカプラから前記合分岐カプラを経由して前記伝送路ファイバ入出力ポートまでの経路の長さに前記伝送路ファイバ入出力ポートから前記合分岐カプラを経由して前記3dBカプラまでの経路の長さを加えた長さと、前記タップカプラから前記参照光経路を経由して前記3dBカプラまでの経路の長さとが等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の光干渉回路。
  4. 前記タップカプラの光結合率は、50%であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の光干渉回路。
  5. 前記3dBカプラの2つの出力に各々接続された2つの検出光出力ポートに、差動光検出器が接続されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光干渉回路。
  6. 前記タップカプラと前記合分岐カプラと前記3dBカプラとを相互に接続している経路に挿入された偏波回転器をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光干渉回路。
  7. 周波数基準光を送信する光中継伝送システムにおける光送信装置であって、
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光干渉回路と、
    前記再生基準光入力ポートに前記周波数基準光を入力する第1の光源と、
    前記合分岐カプラの他方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポートに接続された光学変調器であって、その出力が後段の中継装置または受信装置に接続された光学変調器と、
    前記検出光出力ポートに接続され、前記光学変調器を制御して周波数シフトを制御するための信号を出力する光検出器と
    を備えたことを特徴とする光送信装置。
  8. 周波数基準光を中継する光中継伝送システムにおける中継装置であって、
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光干渉回路と、
    前記再生基準光入力ポートに再生基準光を入力する第1の光源と、
    前記合分岐カプラの一方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポートに接続された光学変調器であって、その出力が後段の中継局または受信局に接続された光学変調器と、
    前記検出光出力ポートに接続され、前記第1の光源の発振周波数を制御するための信号を出力し、前記光学変調器を制御して周波数シフトを制御するための信号を出力する光検出器とを備え、
    前記合分岐カプラの他方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポートに前段の送信装置または中継装置に接続された光ファイバが接続され、前記周波数基準光に同期した再生基準光を前記合分岐カプラの一方の出力に接続された前記伝送路ファイバ入出力ポートから出力することを特徴とする中継装置。
  9. 周波数基準光を受信する光中継伝送システムにおける光受信装置であって、
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光干渉回路と、
    前記再生基準光入力ポートに再生基準光を入力する第1の光源と、
    前記検出光出力ポートに前記第1の光源の発振周波数を制御するための信号を出力する光検出器と、
    前記合分岐カプラの他方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポートに前段の送信装置または中継装置に接続された光ファイバが接続され、前記周波数基準光に同期した再生基準光を前記合分岐カプラの一方の出力に接続された前記伝送路ファイバ入出力ポートまたは前記第1の光源の出力に挿入した分岐カプラから出力することを特徴とする光受信装置。
  10. 周波数基準光を伝送する光中継伝送システムであって、
    請求項7に記載された光送信装置と、
    請求項9に記載された光受信装置と、
    前記光送信装置と前記光受信装置との間に挿入された1または複数の請求項8に記載された中継装置と
    を備えたことを特徴とする光中継伝送システム。
  11. 周波数基準光を伝送する光中継伝送システムにおける伝送方法であって、
    再生基準光入力ポートからの光を分岐するタップカプラと、
    前記タップカプラの一方の出力が、一方の入力に接続された合分岐カプラと、
    前記タップカプラの他方の出力が、参照光経路を介して一方の入力に接続された3dBカプラとを備え、
    前記合分岐カプラの他方の入力は前記3dBカプラの他方の入力に接続され、前記合分岐カプラの2出力はそれぞれ伝送路ファイバ入出力ポートに接続され、前記3dBカプラの出力は検出光出力ポートに接続された光干渉回路を有する局において、
    前記検出光出力ポートに接続された光検出器からの信号を用いて、前記再生基準光入力ポートに再生基準光を入力する第1の光源の発振周波数を制御するステップと、
    前記検出光出力ポートに接続された光検出器からの信号を用いて、前記合分岐カプラの一方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポートに接続された光学変調器を制御して周波数シフトを制御するステップとを備え、
    前記合分岐カプラの他方の出力に接続された伝送路ファイバ入出力ポートに前段の送信装置または中継装置に接続された光ファイバが接続され、前記周波数基準光に同期した再生基準光を前記合分岐カプラの一方の出力に接続された前記伝送路ファイバ入出力ポートから出力することを特徴とする伝送方法。
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