JP2020033661A - ゴム補強用繊維コード - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程で有機溶剤を用いない水系処理コードであって、耐ほつれ性が大幅に改善され、接着力が実用上十分であるゴム補強用繊維コードの製造方法。【解決手段】熱分解GC−MSによる分析でトルエンまたはキシレンの含有量が繊維重量に対し10ppm以下であるゴム補強用繊維コードであって、耐ほつれ性試験において10回擦過時のほつれ面積が20%以下であることを特徴とするゴム補強用繊維コード。【選択図】なし
Description
本発明は、ベルトなどに使用されるゴム補強用繊維コードに関する。
ポリエステルやナイロンなどの繊維は、優れた強度、伸度、モジュラス、熱寸法安定性をそれぞれ特徴的に有していることから、様々な伝動ベルトの補強用繊維コードとして従来から使用されている。一般に、ゴム補強用繊維は、繊維に撚りを施してコードとした後、このコードに接着剤を付与し熱処理を施してからゴムとの加硫処理により複合させてゴム製品とし、実用に供されている。ここで、ゴム製品の使用に際しゴムと補強用繊維コード間に剥離が生じると製品の品質を著しく低下させることから、ゴムと補強用繊維コードとゴムの間には強固な接着力が求められる。また、一部のタイミングベルトやローエッジVベルトの補強用繊維コードはベルト側面から露出した形態を有しており、ベルト成型時の裁断工程やベルト走行時のプーリーとの摩擦などによってコードのフィラメントがほつれ、品質低下や走行時トラブルを招くといった問題がしばしば生じるため、これらベルトの補強用繊維コードには高い耐ほつれ性が求められている。耐ほつれ性を高く保つ手段としてはエポキシ化合物やブロック剤を有さないイソシアネート(以降、生イソシアネートと表記する。)、ゴム糊などをトルエン等の非水溶剤に溶解させた処理剤を用いる方法が従来より採られているが、環境負荷が大きく、また、設備上の制約が大きいという課題がある。
この要求を満たす方法として、以下の提案がされている。
特許文献1には、パラ系アラミド繊維を含む未処理撚糸コードを、弾性ポリマーで変性された変性エポキシ樹脂、潜在性硬化剤及び有機溶媒を含む第1処理剤で処理する第1処理工程を含むアラミド心線の製造方法について開示されている。
特許文献2には、炭素繊維束の表面に樹脂が付着したゴム補強用炭素繊維コードであって、3点曲げ強さが20MPa以上であることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コードについて開示されている。
特許文献3には、繊維表面に少なくとも2層以上の接着剤層を有する動力伝動ベルト補強用ポリエステルコードであって、前記接着剤層の内層部である1層目が、水系ウレタン樹脂(A)、ポリエポキシド化合物(B)、ブロックドポリイソシアネート化合物(C)およびゴムラテックス(D)を含む接着剤層からなることを特徴とする動力伝動ベルト補強用ポリエステルコードについて開示されている。
しかしながら特許文献1は接着性および耐ほつれ性は十分であるものの、補強用繊維コードの製造方法として先述したトルエン等の非水溶剤に溶解させた処理剤を用いており、環境負荷が大きいという課題がある。また、特許文献2によると耐ほつれ性は十分であるもののゴムとの接着性が不充分であり、特許文献3によると接着力は十分であり、耐ほつれ性についてもある程度の改善が認められるが実用上十分とは言えなかった。
また、特許文献2および3では耐ほつれ性を評価しているが、その評価方法として、特許文献2ではゴムと補強用繊維コードを加硫処理により複合したものを1°傾けた状態で裁断し、露出したコード断面のフィラメントの集束状態を目視および光学顕微鏡で観察するのみであった。また、特許文献3ではコード・補強用繊維コード複合体をカッターナイフにより補強用繊維コード長手方向に切断、露出したコード端面をサンドペーパーで摩擦しフィラメントのホツレ程度を評価しているが、擦過回数や擦過させる応力については規定が無い。このように従来の評価方法では、ベルト走行時にベルトとプーリーの間に生じる摩擦など、ゴム製品として使用に供した際に補強用繊維コードが受ける摩擦やほつれ性の実態を正確に評価できていない。
そこで本発明は、上述した従来技術では達成できなかった、トルエンなどの非水溶剤を使用せず環境負荷が小さい完全水系処理により製造されたゴム補強用繊維コードであって、ゴムとの接着性が実用上十分であり、かつ耐ほつれ性が良好なゴム補強用繊維コードを提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決せんとするものであり、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明のゴム補強用繊維コードは、熱分解GC−MSによる分析でトルエンまたはキシレンの含有量が繊維重量に対し10ppm以下であるゴム補強用繊維コードであって、耐ほつれ性試験において10回擦過時のほつれ面積が20%以下であることを特徴とするゴム補強用繊維コードである。本発明のゴム補強用繊維コードにおいて、以下の(1)〜(4)がさらに好ましい形態であり、これらを適用することによって、さらに優れた効果を期待することができる。
(1)繊維表面に少なくとも2層以上の接着剤層を有し、繊維に付着した接着剤の繊維重量に対する総付着量が4.0〜13重量%であって、第1接着剤の繊維重量に対する付着量が3.0〜10.0重量%であり、第2接着剤の前記付着量が0.1〜3.0重量%であること。
(2)ガーレーコード硬さが330mN以上660mN以下であること。
(3)総繊度が500dtex以上20000dtex以下であり、単繊維繊度が1dtex以上30dtex以下である用であること。
(4)有機繊維が、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン66から選ばれる少なくとも1つを含むこと。
(2)ガーレーコード硬さが330mN以上660mN以下であること。
(3)総繊度が500dtex以上20000dtex以下であり、単繊維繊度が1dtex以上30dtex以下である用であること。
(4)有機繊維が、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン66から選ばれる少なくとも1つを含むこと。
本発明によれば、従来のゴム補強用繊維コードで達成できなかった、トルエンなどの非水溶剤を使用せず環境負荷が小さい完全水系処理により製造されたゴム補強用繊維コードにおいて、ゴムとの接着性が実用上十分であり、かつ耐ほつれ性が良好なゴム補強用繊維コードが得られる。その結果、本発明のゴム補強用繊維コードを用いたベルト、特にVリブドベルトは、ベルト寿命が向上する。
以下に、本発明について詳述する。
本発明のゴム補強用繊維コード(以下、コードと称することがある)は、有機繊維からなるコードである。本発明のゴム補強用繊維コードは、タイヤ、ベルト、ホース等、自動車用をはじめとする様々な用途の各種ゴム部材に好ましく用いられ、耐久性向上を図ることができる。
上記ゴム補強用繊維コードに用いる有機繊維としては、マルチフィラメントの形態であることが好ましい。また、有機繊維を構成する素材としては特に制約はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46から選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で好ましい。なかでもポリエチレンテレフタレート、ナイロン66から選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で更に好ましい。
また、本発明で用いる有機繊維は、あらかじめポリエポキシド化合物が付与されたものであってもよい。本発明で使用することのできるポリエポキシド化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を、該化合物100gあたり0.1g当量以上含有する化合物を挙げることができる。具体的には、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキリレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジペート、フェノールノボラック型、ハイドロキノン型、ビフェニル型、ビスフェノールS型、臭素化ノボラック型、キシレン変性ノボラック型、フェノールグリオキザール型、トリスオキシフェニルメタン型、トリスフェノールPA型、ビスフェノール型のポリエポキシド等の芳香族ポリエポキシド等が挙げられる。特に好ましいのは、ソルビトールグリシジルエーテル型やクレゾールノボラック型のポリエポキシドであり良好な接着性および耐ほつれ性を得ることができる。
これらの化合物は、通常は乳化液や溶液として使用され、有機繊維に付与される。溶液にするには、該化合物をそのままか、水に溶かして用いる。乳化液にするには必要に応じて少量の溶媒に溶解したものを公知の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化して用いる。
該ポリエポキシド化合物は、有機繊維の製糸工程において紡糸油剤と共に付与しても良い。この際の該ポリエポキシド化合物の付着量は、有機繊維の重量に対して好ましくは0.05〜5重量%の範囲である。該ポリエポキシド化合物の付着量を上記範囲内にすることで、ポリエポキシド化合物の効果が十分に発揮され、有機繊維とゴムとの接着性を十分に得ることができ、また、コードの柔軟性が保たれ次工程以降の工程通過性についても良好なものとなる。
本発明で用いる有機繊維は、総繊度や単繊維繊度の制約を受けないが、通常、総繊度500〜20000dtex、単繊維繊度1〜30dtexが好ましく、総繊度800〜18000dtex、単繊維繊度2〜25dtexが特に好ましい。総繊度は500dtex未満であるとコードの強度が不足する恐れがあり、また、20000dtexを超えるとコードが太くなり、取り扱い性が低下する恐れがある。また、単繊維繊度は30dtexを超えるとコードが硬くなり、取り扱い性が悪化する恐れがあり、1dtex未満であると毛羽が多くなり品質が低下する恐れがある。
本発明のゴム補強用繊維コードは、通常上記有機繊維を撚糸して生コード(撚りコード)とし、その後に接着剤処理して得られる。
有機繊維に撚りをかける場合、撚り係数K1が、200≦K1≦2000であることが好ましく、より好ましくは200≦K1≦1500である。撚り係数をこの範囲とすることで良好な耐疲労性および、良好なコードの強度を得ることができる。
なお、撚り係数Kは下記式で表されるものである。
K=T×D1/2
(K:撚り係数、T:単位長さあたりの撚り数(回/10cm)、D:総繊度dtex)
得られた生コードに、ポリエポキシド化合物またはブロックドポリイソシアネート化合物を主成分とする接着剤(第1接着剤)を1浴目で付与して熱処理し、次いでレゾルシン−ホルマリン初期縮合物(RF)にゴムラテックス(L)を加えたRFLを主成分とする接着剤(第2接着剤)を2浴目で付与して熱処理することで実用性のあるゴム接着性および耐ほつれ性が得られる。
K=T×D1/2
(K:撚り係数、T:単位長さあたりの撚り数(回/10cm)、D:総繊度dtex)
得られた生コードに、ポリエポキシド化合物またはブロックドポリイソシアネート化合物を主成分とする接着剤(第1接着剤)を1浴目で付与して熱処理し、次いでレゾルシン−ホルマリン初期縮合物(RF)にゴムラテックス(L)を加えたRFLを主成分とする接着剤(第2接着剤)を2浴目で付与して熱処理することで実用性のあるゴム接着性および耐ほつれ性が得られる。
第1接着剤は、ポリエポキシド化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含むものである。ブロックドポリイソシアネート化合物とは、加熱によりブロック剤が遊離して活性なイソシアネート化合物を生じるものであり、その具体例としては、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチリンジイソシアネート、トリフェニールメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物と、フェノール、クレゾール、レゾルシンなどのフェノール類,ε−カプロラクタム、バレロラクタムなどのラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類およびエチレンイミンなどのブロック化剤との反応物が使用される。これらの化合物のうち、特にジフェニルメタンジイソシアネートの芳香族化合物は熱処理後の樹脂強度が高くゴム補強用繊維コードのフィラメントを強く拘束できるため良好な接着力および耐ほつれ性を得ることができる。
第1接着剤中のブロックドポリイソシアネート化合物の配合量は、接着剤が含む総固形分重量に対し50〜98%であることが好ましく、70〜98%が特に好ましい。ブロックドポリイソシアネート化合物の配合量を上記範囲とすることで良好な接着性および耐ほつれ性を得ることができる。
第2接着剤は、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含むものである。レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスとはレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスからなる混合物である。該レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)は、特にアルカリ触媒下で初期縮合して得たレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物を用いて調製することが好ましい。例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルムアルデヒドを添加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマルジョンとする方法により調製される。
レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物は、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1.0:0.30〜1.0:5.0、好ましくは1.0:0.75〜1.0:2.0の範囲のものを用いる。ホルムアルデヒドのモル比を上記の範囲とすることで良好な接着力を得ることができる。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスの調製に用いるゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、クロロスルホン化ゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンゴムラテックス等が挙げられ、これらを単独、又は併用して使用することができる。
本発明におけるゴム補強用繊維コードは、熱分解GC−MSによる分析でトルエンまたはキシレンの含有量が繊維重量に対し10ppm以下であるゴム補強用繊維コードであって、耐ほつれ性試験において10回擦過時のほつれ面積が20%以下であることを特徴とするゴム補強用繊維コードである。
熱分解GC−MSによる分析でトルエンまたはキシレンの含有量が繊維重量に対し10ppm以下、より好ましくは4ppm以下であるゴム補強用繊維コードは、コード製造にかかる環境への負荷が小さく、また、製造のための設備上の制約を受けにくい。
耐ほつれ性は後述する耐ほつれ性試験により求められ、ゴム補強用繊維コードをゴムと加硫処理し複合させたサンプルを裁断し、露出したコード断面をサンドペーパー(粒度#150)で1回につき5cm、計10回擦過させ、擦過面積に対するフィラメントがほつれた部分の面積を百分率で表し評価する。
補強用繊維コードの耐ほつれ性試験において10回擦過時のほつれ面積が20%以下、より好ましくは15%以下であると、このコードを補強材としてゴムと複合させベルトにしプーリーに供して走行させた時、ベルト側面に露出したコードのほつれが抑制されるため、規定時間走行後のベルトの強力保持率が良好なものとなる。耐ほつれ性試験において10回擦過時のほつれ面積が20%以上を超えるとベルト走行時にコードのほつれが激しくなるため、十分なベルト強力保持率を発揮できない。
補強用繊維コードの耐ほつれ性試験において10回擦過時のほつれ面積が20%以下とする方法は特に限定されないが、例えば前記第1接着剤中のエポキシまたはイソシアネートの配合量を先述した好ましい範囲とした上で、該接着剤のゴム補強用繊維コード重量に対する付着量を3重量%以上とすることで達成できる。
接着剤を有機繊維もしくは生コードに付与するには接着剤のディップ液に浸漬する方法が好ましい。該ディップ液における接着剤の固形分濃度は3〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜25重量%である。ディップ液における接着剤の固形分濃度を上記範囲にすることで、十分な接着力を得ることおよび該ディップ液の保存安定性を保つことができ、また有機繊維コード表面にディップ液を均一に付着させる上でのバランスが良くなる。
本発明のゴム補強用繊維コードの表面には少なくとも2層以上の接着剤層を有していることが好ましい。第1層目、すなわち第1接着剤層のゴム補強用繊維コード重量に対する付着量は3〜10重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜9重量%の範囲である。前記第1接着剤の付着量を上記範囲にすることで十分な接着力および耐ほつれ性を両立して発揮することができ、付着量が10重量%を超えると接着性が低下する恐れがあり、3重量%を下回ると耐ほつれ性が不足する恐れがある。第2層目、すなわち第2接着剤層のゴム補強用繊維コード重量に対する付着量は0.1〜3重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜2.5重量%の範囲である。前記第2接着剤の付着量を上記範囲にすることで良好な接着力を得ることができる。ゴム補強用繊維コードにおける接着剤の総付着量は、ゴム補強用繊維コード重量に対して4〜13重量%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜12重量%の範囲である。接着剤の総付着量を上記範囲にすることで良好な接着力および耐ほつれ性を得ること、および、処理工程上でのロールに固形分のガムアップが抑制されることで良好な操業安定性を得ることができる。第1層目および第2層目以外に、さらに接着剤層を有していてもよい。
有機繊維もしくは生コードに対する接着剤の付着量を制御するには、例えば、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、圧空による吹き飛ばし、吸引等の方法を使用することができる。
接着剤を付与した有機繊維もしくは生コードは、70〜150℃で、0.5〜5分間乾燥(ドライ処理)した後、180〜250℃で0.5〜5分間熱処理し(ホット処理)、続いてコード物性制御のため、180〜250℃で0.5〜5分間熱処理(以下ノルマライズ処理と呼ぶ)することが好ましい。ドライ処理温度は80〜120℃の範囲がさらに好ましく、ドライ処理を上記範囲で導入することにより、熱処理時の水分蒸発時に接着剤固形成分がコード表層へ移動するマイグレーションを抑制でき、コード内部の繊維の拘束性を良好に保つことができる。ホット処理およびノルマライズ処理は熱処理温度を上記範囲とすることで十分な接着力を発揮でき、処理温度が180℃未満では熱処理の不足により、250℃を超えると接着剤の劣化によりゴムとの接着力が不十分となることがある。また、ドライ処理時のコード張力は0.1〜2.0cN/dtexが好ましい。この範囲とすることでコードの強力を良好に保つことができる。
本発明におけるゴム補強用繊維コードのガーレーコード硬さは330mN〜660mNであることが好ましく、360mN〜550mNが特に好ましい。ガーレーコード硬さを上記範囲とすることで十分な接着力および耐ほつれ性を両立して発揮することができ、330mN未満であると耐ほつれ性が不足し、660mNを超えると接着性が低下する恐れがある。ガーレーコード硬さを上記範囲とする方法は特に限定されないが、例えば接着剤付着量を前記好ましい範囲とした上で、後述する機械的ソフニング処理時の張力を0.5cN〜5.0cN/dtexとすることで達成できる。
有機繊維もしくは生コードは、接着剤を付与され、乾燥、熱処理工程を経た後(この時点のコードを、処理コードともいう)に、コード硬さを下げるために、機械的ソフニング処理が施されてもよい。ここで、機械的ソフニング処理とは、エッジ刃によってコードを屈曲させることにより、乾燥熱処理中に硬化した樹脂を柔軟化させる処理である。
エッジ刃によってコードが屈曲する角度は100°〜130°が好ましく、115°〜125°がさらに好ましい。屈曲角度を上記範囲とすることで有効的に樹脂を柔軟化させることができる。
また、機械的ソフニング処理の際のコード張力は、0.5〜5.0cN/dtexであることが好ましく、3.0〜4.0cN/dtexであることがさらに好ましい。コード張力を上記範囲とすることで、良好なコード強力および耐ほつれ性を保持できる範囲でコードを柔軟化させることができる。
以上の処理を経ることにより、本発明のゴム補強用コードを得ることができる。
次いで、伝動ベルトの製造法について述べる。
以下に好ましい一例としてVリブドベルトの製造法例を示す。図1に示すVリブドベルト1は、上記の接着処理した伝動ベルト用コードを心線に使用した例を示している。これによると、上記芯体コードを有する心線2を接着ゴム層3中に埋設し、その下側に弾性体層である圧縮ゴム層4を有している。この圧縮ゴム層4にはベルト長手方向にのびる断面略三角形の複数のリブ6が設けられ、またベルト表面には付着したゴム付帆布5が設けられている。
本発明によれば、ベルト製造工程や製品使用中に、耐ほつれ性が改善され、ゴムとの接着力が実用上十分であるゴム補強用繊維コードが得られる。そのため、本発明のゴム補強用繊維コードを含むゴム製品は、該繊維コードの耐ほつれ性とゴム間の接着力が実用上十分であり、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に長期間の使用に耐えることができる。
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明においてゴム補強用コードの特性値の測定方法、評価方法は以下に示すとおりである。
(1)熱分解GC−MS分析(トルエンまたはキシレンの含有量測定方法)
揮発ガス補修装置HM−04(日本分析工業社製)の容器に切り出したゴム補強用繊維コード500mgを入れ、ヘリウムガスを流速150mL/minで通気しながら、室温から200℃まで10minで昇温し、200℃で15分間保持する。ここで、試料から放出された揮発ガスを、捕集管であるTENAXが充填された加熱脱着用捕集管AEROTD GL−Tube(ジーエルサイエンス社製)で捕集する。次に、加熱脱着装置TDS3(ゲステル社製)を使用して捕集管を250℃まで加熱し、脱着した揮発ガスをガスクロマトグラフ質量分析計Aligent 5975 insertGC/MSシステム(アジデント・テクノロジー社製)に導入し、得られたMS(質量)とピーク面積からトルエンまたはキシレンの含有量を算出する。GC/MSのカラムは、アジレント・テクノロジー社製のHP−5MS(長さ30m、膜圧0.25μm、内径φ250μm)を使用し、カラム温度条件は、40℃で2分保持し、次に10℃/minで300℃まで昇温し、300℃で5分保持するという条件で行った。
揮発ガス補修装置HM−04(日本分析工業社製)の容器に切り出したゴム補強用繊維コード500mgを入れ、ヘリウムガスを流速150mL/minで通気しながら、室温から200℃まで10minで昇温し、200℃で15分間保持する。ここで、試料から放出された揮発ガスを、捕集管であるTENAXが充填された加熱脱着用捕集管AEROTD GL−Tube(ジーエルサイエンス社製)で捕集する。次に、加熱脱着装置TDS3(ゲステル社製)を使用して捕集管を250℃まで加熱し、脱着した揮発ガスをガスクロマトグラフ質量分析計Aligent 5975 insertGC/MSシステム(アジデント・テクノロジー社製)に導入し、得られたMS(質量)とピーク面積からトルエンまたはキシレンの含有量を算出する。GC/MSのカラムは、アジレント・テクノロジー社製のHP−5MS(長さ30m、膜圧0.25μm、内径φ250μm)を使用し、カラム温度条件は、40℃で2分保持し、次に10℃/minで300℃まで昇温し、300℃で5分保持するという条件で行った。
(2)接着剤処理剤付着量:
JIS L1017(2002)8.15 b)の質量法によって求めた。
JIS L1017(2002)8.15 b)の質量法によって求めた。
(3)剥離接着力
ゴム補強用繊維コードとゴムの接着力を示すものである。表1に示した配合組成の未加硫EPDM系ゴムシートの表層に、7本のゴム補強用繊維コードを2mm間隔で並べ、150℃、30分間のプレス加硫を行った。このとき、ゴムの厚さは5mmとし、ゴムとゴム補強用繊維コードの面圧が3MPaとなるようにプレス圧力を調整した。放冷後、埋め込んだ偶数番のゴム補強用繊維コード3本をゴムから100mm/minの速度で、ゴムとゴム補強用繊維コードが90°の角度になるように保ちながら、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型試験機を用いて剥離したときの剥離力の積分値をN/3本で表した。
ゴム補強用繊維コードとゴムの接着力を示すものである。表1に示した配合組成の未加硫EPDM系ゴムシートの表層に、7本のゴム補強用繊維コードを2mm間隔で並べ、150℃、30分間のプレス加硫を行った。このとき、ゴムの厚さは5mmとし、ゴムとゴム補強用繊維コードの面圧が3MPaとなるようにプレス圧力を調整した。放冷後、埋め込んだ偶数番のゴム補強用繊維コード3本をゴムから100mm/minの速度で、ゴムとゴム補強用繊維コードが90°の角度になるように保ちながら、オリエンテック社製テンシロンRTM−100型試験機を用いて剥離したときの剥離力の積分値をN/3本で表した。
(4)ガーレーコード硬さ
ゴム補強用繊維コードを長さ1mに切り出して、その一端に、金属製フックを結びつけ、他端に2000gの重りを結びつけ、温度25℃、相対湿度40%に調節された環境下、空中に24時間吊してゴム補強用繊維コードを鉛直に保持し、測定試料を得た。
ゴム補強用繊維コードを長さ1mに切り出して、その一端に、金属製フックを結びつけ、他端に2000gの重りを結びつけ、温度25℃、相対湿度40%に調節された環境下、空中に24時間吊してゴム補強用繊維コードを鉛直に保持し、測定試料を得た。
これを38.1mm(1.5インチ)に切断して試験片とし、安田精機(株)製の「Gurley’s stiffness tester」でガーレーコード硬さを測定した。
図2に「Gurley’s stiffness tester」の斜視図を示す。
図2に「Gurley’s stiffness tester」の斜視図を示す。
試験片の取付けおよび測定法は、(ア)試料長さに合わせてチャック7を設定位置に固定させ、試験片8を取付ける。(イ)回転棒9の下部(軸受より下部)に荷重任意設定孔が軸より25.4mm(1インチ)(図2中のW1)、50.8mm(2インチ)(図2中のW2)、および101.6mm(4インチ)(図2中のW3)の位置にあるので試験片8の柔軟性に応じ荷重の重さおよび孔の位置を設定する。この場合、目盛板10に針11が2〜4に指示するように、荷重および孔の位置を選ばなければならない。(ウ)試験片8に見合う設定ができたならば、駆動ボタンを押し、駆動軸を左右に動かし、針が指す目盛板10の数値を0.1単位まで読取る。(エ)1つの試験片8につき、左右1回、試験片10本、計20回の値を求め、1試料の平均値を求める。計算法は、次のとおりである。各測定値の平均値を、次式で計算した。
・ガーレーコード硬さ(mN)=R×{(W1×25.4)+(W2×50.8)+(W3×101.6)}×(L−12.7)2/W×3.375×10−5
ただし、
R:測定値の平均値
W1:25.4mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W2:50.8mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W3:101.6mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
L:試料長さ(mm)
W:試験片の幅(コードゲージ)(mm)
である。
・ガーレーコード硬さ(mN)=R×{(W1×25.4)+(W2×50.8)+(W3×101.6)}×(L−12.7)2/W×3.375×10−5
ただし、
R:測定値の平均値
W1:25.4mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W2:50.8mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W3:101.6mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
L:試料長さ(mm)
W:試験片の幅(コードゲージ)(mm)
である。
(5)耐ほつれ性試験
ゴム補強用繊維コードを加硫処理によって表1の配合組成の未加硫EPDM系ゴムと複合させたものを裁断しコード断面を露出させ、評価サンプルを作製した。評価サンプルをコード断面が真上となるように固定し、長方形に切り出したTRUSCO製サンドペーパー(GBS−150)を、長辺側がコード長手方向に対し垂直方向となるようにコード断面上に載せ、サンドペーパー短辺側中央部にそれぞれ1kgの荷重を吊り下げた。吊り下げた荷重の片側を、サンドペーパーがコード断面上を5cm移動し擦過するように引き下げ、これを擦過1回とし、両端の荷重を交互に引き下げることにより計10回擦過させた。10回擦過後、顕微鏡により擦過部を観察し、擦過面積に対しフィラメントが切断されほつれた部分の面積を百分率で表しゴム補強用繊維コードの耐ほつれ性として評価した。
ゴム補強用繊維コードを加硫処理によって表1の配合組成の未加硫EPDM系ゴムと複合させたものを裁断しコード断面を露出させ、評価サンプルを作製した。評価サンプルをコード断面が真上となるように固定し、長方形に切り出したTRUSCO製サンドペーパー(GBS−150)を、長辺側がコード長手方向に対し垂直方向となるようにコード断面上に載せ、サンドペーパー短辺側中央部にそれぞれ1kgの荷重を吊り下げた。吊り下げた荷重の片側を、サンドペーパーがコード断面上を5cm移動し擦過するように引き下げ、これを擦過1回とし、両端の荷重を交互に引き下げることにより計10回擦過させた。10回擦過後、顕微鏡により擦過部を観察し、擦過面積に対しフィラメントが切断されほつれた部分の面積を百分率で表しゴム補強用繊維コードの耐ほつれ性として評価した。
(6)ベルト強力保持率(ベルト寿命)
図3に示すように、プーリー径140mmの駆動プーリー12とプーリー径70mmの従動プーリー13との間に図1のVリブドベルト1を巻き掛け、駆動プーリー12の負荷を75ps、従動プーリー13の軸荷重を500kgとし、駆動プーリー12の回転速度が7000rpmとなるように駆動してVリブドベルト1を100時間走行させ、走行後のベルトサンプルを得た。走行後のベルトサンプルの引張強力を測定し、走行前のベルト強力に対する割合を百分率で求め、ベルト強力保持率とした。
図3に示すように、プーリー径140mmの駆動プーリー12とプーリー径70mmの従動プーリー13との間に図1のVリブドベルト1を巻き掛け、駆動プーリー12の負荷を75ps、従動プーリー13の軸荷重を500kgとし、駆動プーリー12の回転速度が7000rpmとなるように駆動してVリブドベルト1を100時間走行させ、走行後のベルトサンプルを得た。走行後のベルトサンプルの引張強力を測定し、走行前のベルト強力に対する割合を百分率で求め、ベルト強力保持率とした。
(実施例1)
ポリエポキシド化合物とブロックドポリイソシアネート化合物を、固形分で表2に表す割合で混合した固形分濃度20重量%の第1接着剤と、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物(RF)とブロックドポリイソシアネート化合物とゴムラテックスを固形分重量でRF/L=1/10の割合で混合した固形分濃度10重量%の第2接着剤を調製した。第2接着剤の調製方法は以下の通りである。レゾルシン(R)とホルマリン(F)の初期縮合物(RF)は、(R/F)のモル比を1/1.5、固形分濃度を20重量%とし、通常用いられるアルカリ触媒下で6時間熟成したレゾルシン・ホルマリン初期縮合物を使用した。その後、ゴムラテックスを添加し24時間熟成した固形分濃度20重量%のRFLに、ブロックドポリイソシアネート化合物を添加し、固形分濃度10重量%の第2接着剤を調製した。
・ポリエポキシド化合物:EX−421(ナガセケムテックス(株)製)
・ブロックドポリイソシアネート化合物:DM−7000(明成化学工業(株)製)
・ゴムラテックス:2518FS(日本ゼオン(株)製、Tg=−44℃)
1100dtexのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”1100−192−702C)1本に下撚り18回/10cmを施し、この下撚り5本を合わせ上撚り8.5回/10cmの撚数で撚糸して未処理コード(1100T//2/5)とした。
ポリエポキシド化合物とブロックドポリイソシアネート化合物を、固形分で表2に表す割合で混合した固形分濃度20重量%の第1接着剤と、レゾルシン・ホルマリン初期縮合物(RF)とブロックドポリイソシアネート化合物とゴムラテックスを固形分重量でRF/L=1/10の割合で混合した固形分濃度10重量%の第2接着剤を調製した。第2接着剤の調製方法は以下の通りである。レゾルシン(R)とホルマリン(F)の初期縮合物(RF)は、(R/F)のモル比を1/1.5、固形分濃度を20重量%とし、通常用いられるアルカリ触媒下で6時間熟成したレゾルシン・ホルマリン初期縮合物を使用した。その後、ゴムラテックスを添加し24時間熟成した固形分濃度20重量%のRFLに、ブロックドポリイソシアネート化合物を添加し、固形分濃度10重量%の第2接着剤を調製した。
・ポリエポキシド化合物:EX−421(ナガセケムテックス(株)製)
・ブロックドポリイソシアネート化合物:DM−7000(明成化学工業(株)製)
・ゴムラテックス:2518FS(日本ゼオン(株)製、Tg=−44℃)
1100dtexのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”1100−192−702C)1本に下撚り18回/10cmを施し、この下撚り5本を合わせ上撚り8.5回/10cmの撚数で撚糸して未処理コード(1100T//2/5)とした。
該未処理コードを、コンピュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製)を用いて前記の第1接着剤に浸漬した後、110℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き240℃で1分間の熱処理(ホット処理)を行った。続いて、第2接着剤に浸漬した後、110℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き240℃で0.5分間熱処理(ホット処理)を行い、さらに、240℃で0.5分間熱処理(ノルマライズ処理)を行った。
処理したコードをエッジ刃によって120°に屈曲させ、3.5cN/dtexの張力がかかる条件下で機械的ソフニングを施し、ゴム補強用繊維コードを得た。
得られた処理コードの接着剤の付着量、ガーレーコード硬さ、剥離接着力、耐ほつれ性をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
さらに、円筒状の成形ドラムの周面に1〜複数枚のカバー帆布と接着ゴム層とを巻き付けた後、この上に上記で得られたゴム補強用繊維コードを螺旋状にスピニングし、さらに圧縮ゴム層を順次巻き付けて積層体を得た後、これを150℃で30分の条件で加硫して加硫スリープを得た。次に、加硫スリープを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で走行させ、さらに回転させた研削ホイールを走行中の加硫スリープに当接するように移動して加硫スリープの圧縮ゴム層表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨した。このようにして得られた加硫スリープを駆動ロールと従動ロールから取り外し、この加硫スリープを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定の幅に切断してVリブドベルトを作製した。得られたVリブドベルトを前記走行試験に供し、ベルト強力保持率を測定した。その結果を表2に併せて示す。
さらに、円筒状の成形ドラムの周面に1〜複数枚のカバー帆布と接着ゴム層とを巻き付けた後、この上に上記で得られたゴム補強用繊維コードを螺旋状にスピニングし、さらに圧縮ゴム層を順次巻き付けて積層体を得た後、これを150℃で30分の条件で加硫して加硫スリープを得た。次に、加硫スリープを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で走行させ、さらに回転させた研削ホイールを走行中の加硫スリープに当接するように移動して加硫スリープの圧縮ゴム層表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨した。このようにして得られた加硫スリープを駆動ロールと従動ロールから取り外し、この加硫スリープを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定の幅に切断してVリブドベルトを作製した。得られたVリブドベルトを前記走行試験に供し、ベルト強力保持率を測定した。その結果を表2に併せて示す。
(実施例1〜11、比較例1〜8)
実施例1において、第1接着剤中のブロックドポリイソシアネート化合物の種類および配合量、接着剤の付着量、乾燥熱処理温度、ガーレーコード硬さを表2及び3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で処理し、同様にして評価した。評価結果を、表2及び3に併せて示す。
実施例1において、第1接着剤中のブロックドポリイソシアネート化合物の種類および配合量、接着剤の付着量、乾燥熱処理温度、ガーレーコード硬さを表2及び3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で処理し、同様にして評価した。評価結果を、表2及び3に併せて示す。
表2及び3に結果を示すとおり、本発明である実施例のゴム補強用繊維コードは、従来のゴム補強用繊維コード(比較例)よりも接着性および耐ほつれ性、ベルト強力保持率が良好であることがわかる。
1 Vリブドベルト
2 心線
3 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 ゴム付帆布
6 リブ
7 チャック
8 試験片
9 回転棒
10 目盛板
11 針
W1 荷重設定孔(軸より25.4mm(1インチ))
W2 荷重設定孔(軸より50.8mm(2インチ))
W3 荷重設定孔(軸より101.6mm(4インチ))
12 プーリー径140mmの駆動プーリー
13 プーリー径70mmの従動プーリー
2 心線
3 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 ゴム付帆布
6 リブ
7 チャック
8 試験片
9 回転棒
10 目盛板
11 針
W1 荷重設定孔(軸より25.4mm(1インチ))
W2 荷重設定孔(軸より50.8mm(2インチ))
W3 荷重設定孔(軸より101.6mm(4インチ))
12 プーリー径140mmの駆動プーリー
13 プーリー径70mmの従動プーリー
Claims (6)
- 熱分解GC−MSによる分析でトルエンまたはキシレンの含有量が繊維重量に対し10ppm以下であるゴム補強用繊維コードであって、耐ほつれ性試験において10回擦過時のほつれ面積が20%以下であることを特徴とするゴム補強用繊維コード。
- 繊維表面に少なくとも2層以上の接着剤層を有し、繊維に付着した接着剤の繊維重量に対する総付着量が4.0〜13重量%であって、第1接着剤の繊維重量に対する付着量が3.0〜10.0重量%であり、第2接着剤の前記付着量が0.1〜3.0重量%である請求項1に記載のゴム補強用繊維コード。
- ガーレーコード硬さが330mN以上660mN以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム補強用繊維コード。
- 総繊度が500dtex以上20000dtex以下であり、単繊維繊度が1dtex以上30dtex以下である用であること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム補強用繊維コード。
- 有機繊維が、ポリエチレンテレフタレートまたはナイロン66のいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム補強用繊維コード。
- 請求項1〜5のいずれか記載のゴム補強用繊維コードを含むゴム製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018159480A JP2020033661A (ja) | 2018-08-28 | 2018-08-28 | ゴム補強用繊維コード |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018159480A JP2020033661A (ja) | 2018-08-28 | 2018-08-28 | ゴム補強用繊維コード |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2018159480A Pending JP2020033661A (ja) | 2018-08-28 | 2018-08-28 | ゴム補強用繊維コード |
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JP (1) | JP2020033661A (ja) |
-
2018
- 2018-08-28 JP JP2018159480A patent/JP2020033661A/ja active Pending
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