JP2020033401A - 補強フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
フィルム基材1としては、プラスチックフィルムが用いられる。フィルム基材1と粘着剤層2とを固着するために、フィルム基材1の粘着剤層2付設面は離型処理が施されていないことが好ましい。
フィルム基材1上に固着積層される粘着剤層2は、ベースポリマー、光硬化剤および光重合開始剤を含む光硬化性組成物からなる。粘着剤層2は、光硬化前はデバイスやデバイス部品等の被着体との接着力が小さいため、リワークが容易である。粘着剤層2は、光硬化により被着体との接着力が向上するため、デバイスの使用時においても補強フィルムがデバイス表面から剥離し難く、接着信頼性に優れる。
補強フィルムのガラスに対する濡れ速度は0.3cm2/秒以上が好ましく、0.35cm2/秒以上がより好ましく、0.4cm2/秒以上がさらに好ましく、0.45cm2/秒以上が特に好ましい。濡れ速度が大きいほど、被着体への補強フィルムの貼り合わせ時に、粘着剤が濡れ広がり易く、貼り合わせ界面への気泡の混入や異物の巻き込みが抑制されるため、貼り合わせ作業性が向上する。被着体への貼り合わせ時の作業性を考慮すると、濡れ速度は大きいほど好ましい。一方、濡れ速度が大きい粘着剤層(光硬化性組成物)は、光硬化剤のブリードアウト等に起因する外観不良が生じやすい。また、濡れ速度が大きい粘着剤層は表面が液状に近く、ガラス等の被着体との初期接着性が乏しい場合があり、組成物の相溶性が低いために、粘着剤層の光硬化を行っても接着性が十分に上昇しない場合がある。そのため、補強フィルムのガラスに対する濡れ速度は、4cm2/秒以下が好ましく、3.5cm2/秒以下がより好ましく、3cm2/秒以下がさらに好ましく、2.5cm2/秒以下が特に好ましい。
リワークの際に、被着体からの剥離を容易とし、補強フィルムを剥離後の被着体への糊残りを防止する観点から、粘着剤層2を光硬化する前の補強フィルムのガラス板に対する接着力は、1N/25mm未満が好ましく、0.8N/25mm以下がより好ましく、0.7N/25mm以下がさらに好ましく、0.6N/25mm以下が特に好ましい。保管やハンドリングの際の被着体からの補強シートの剥離を防止する観点から、補強フィルムのガラス板に対する接着力は、0.03N/25mm以上が好ましく、0.05N/25mm以上がより好ましく、0.1N/25mm以上がさらに好ましく、0.2N/25mm以上が特に好ましい。
粘着剤層2の厚みは、例えば、1〜300μm程度である。粘着剤層2の厚みが大きいほど被着体との接着性が向上する傾向がある。一方、粘着剤層2の厚みが過度に大きい場合は、光硬化前の流動性が高く、ハンドリングが困難となる場合がある。そのため、粘着剤層2の厚みは5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましく、13〜30μmが特に好ましい。
補強フィルムが、ディスプレイ等の光学デバイスに用いられる場合、粘着剤層2の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。粘着剤層2のヘイズは2%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.7%以下がさらに好ましく、0.5%以下が特に好ましい。
粘着剤層2はベースポリマー、光硬化剤および光重合開始剤を含む光硬化性組成物である。光硬化前の粘着剤層2の接着性や濡れ速度を適切な範囲とする観点から、ベースポリマーには架橋構造が導入されていることが好ましい。
ベースポリマーは粘着剤組成物の主構成成分である。ベースポリマーの種類は特に限定されず、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ゴム系ポリマー等を適宜に選択すればよい。特に、光学的透明性および接着性に優れ、かつ接着性の制御が容易であることから、粘着剤組成物は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有するものが好ましく、粘着剤組成物の50重量%以上がアクリル系ポリマーであることが好ましい。
粘着剤に適度の凝集力を持たせる観点から、ベースポリマーには架橋構造が導入されることが好ましい。例えば、ベースポリマーを重合後の溶液に架橋剤を添加し、必要に応じて加熱を行うことにより、架橋構造が導入される。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は、ベースポリマー中に導入されたヒドロキシ基やカルボキシ基等の官能基と反応して架橋構造を形成する。ベースポリマーのヒドロキシ基やカルボキシ基との反応性が高く、架橋構造の導入が容易であることから、イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤が好ましい。
粘着剤層2を構成する粘着剤組成物は、ベースポリマーに加えて光硬化剤を含有する。光硬化性の粘着剤組成物からなる粘着剤層2は、被着体との貼り合わせ後に光硬化を行うと、被着体との接着力が向上する。
光重合開始剤は、活性光線の照射により活性種を発生し、光硬化剤の硬化反応を促進する。光重合開始剤としては、光硬化剤の種類等に応じて、光カチオン開始剤(光酸発生剤)、光ラジカル開始剤、光アニオン開始剤(光塩基発生剤)等が用いられる。光硬化剤として多官能アクリレート等のエチレン性不飽和化合物が用いられる場合は、重合開始剤として光ラジカル開始剤を用いることが好ましい。
上記例示の各成分の他、粘着剤層中は、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で含有していてもよい。
フィルム基材1上に光硬化性の粘着剤層2を積層することにより、補強フィルムが得られる。粘着剤層2は、フィルム基材1上に直接形成してもよく、他の基材上でシート状に形成された粘着剤層をフィルム基材1上に転写してもよい。
補強フィルムは、デバイスまたはデバイス構成部品等の被着体に貼り合わせて用いられる。補強フィルムを貼り合わせることにより、被着体に適度な剛性が付与されるため、ハンドリング性向上や破損防止効果が期待される。本発明の補強フィルムは、永久接着を目的とした一般的な粘着シートに比べて濡れ速度が大きいため、被着体への補強フィルムの貼り合わせ時に、気泡や異物の巻き込みを抑制でき、貼り合わせの作業性に優れている。また、補強フィルムは適度な濡れ速度と初期接着力を有するため、保管やハンドリングの際の被着体からの剥離を抑制できる。
(接着力)
前述のように、被着体に対する適度の接着性を示し、かつリワークの際には被着体からの剥離が容易であり補強フィルムを剥離後の被着体への糊残りを防止する観点から、光硬化前の粘着剤層2のガラス板に対する接着力は、0.03N/25mm以上1N/25mm未満が好ましく、0.05〜0.8N/25mmがより好ましく、0.1〜0.7N/25mmがさらに好ましく、0.2〜0.6N/25mmが特に好ましい。補強フィルムは、粘着剤層2を光硬化前の状態において、ポリイミドフィルムに対する接着力が上記範囲内であることが好ましい。フレキシブルディスプレイパネル、フレキシブルプリント配線板(FPC)、ディスプレイパネルと配線板とを一体化したデバイス等においては、可撓性の基板材料が用いられ、耐熱性や寸法安定性の観点から、一般的に、ポリイミドフィルムが用いられる。粘着剤層2が基板としてのポリイミドフィルムに対して上記の接着力を有する補強フィルムは、粘着剤層2の光硬化前にはポリイミド被着体からの剥離が容易であり、光硬化後は接着信頼性に優れる。
粘着剤層2は、光硬化前の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’iが1×104〜1.2×105Paであることが好ましい。せん断貯蔵弾性率(以下、単に「貯蔵弾性率」と記載する)は、JIS K7244−1「プラスチック−動的機械特性の試験方法」に記載の方法に準拠して、周波数1Hzの条件で、−50〜150℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定した際の、所定温度における値を読み取ることにより求められる。
被着体20に補強フィルム10を貼り合わせ、粘着剤層2に活性光線を照射することにより、粘着剤層2を光硬化させる。活性光線としては、紫外線、可視光、赤外線、X線、α線、β線、およびγ線等が挙げられる。保管状態における粘着剤層の硬化を抑制可能であり、かつ硬化が容易であることから、活性光線としては紫外線が好ましい。活性光線の照射強度や照射時間は、粘着剤層の組成や厚み等に応じて適宜設定すればよい。粘着剤層2への活性光線の照射は、フィルム基材1側および被着体20側のいずれの面から実施してもよく、両方の面から活性光線の照射を行ってもよい。
(接着力)
前述のように、デバイスの実用時の接着信頼性の観点から、光硬化前の粘着剤層2のガラス板に対する接着力は、1N/25mm以上が好ましく、2N/25mm以上がより好ましく、3N/25mm以上がさらに好ましい。補強フィルムは、粘着剤層2を光硬化後の状態において、ポリイミドフィルムに対する接着力が上記範囲内であることが好ましい。光硬化後の粘着剤層2と被着体との接着力は、光硬化前の粘着剤層2と被着体との接着力の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。
<ポリマーA>
温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)63重量部、N−ビニルピロリドン(NVP)15重量部、メチルメタクリレート(MMA)9重量部、およびヒドロキシエチルアクリレート(HEA)13重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、ならびに溶媒として酢酸エチル233重量部を投入し、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃に加熱し、7時間反応させて、アクリル系ポリマーAの溶液を得た。
モノマーの仕込み量を、ブチルアクリレート(BA)95重量部、およびアクリル酸(AA)5重量部に変更した。それ以外はポリマーAと同様に重合を行いアクリル系ポリマーBの溶液を得た。
ポリオールとして、ヒドロキシル基を3個有する数平均分子量10000のポリエーテルポリオール(旭硝子製「S3011」)85重量部、ヒドロキシル基を3個有するポリエーテルポリオール(三洋化成製「サンニックスGP3000」)13重量部、およびヒドロキシル基を3個有する数平均分子量1000のポリエーテルポリオール(三洋化成製「サンニックスGP1000」)2重量部、ポリイソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー製「コロネートHX」)18重量部、触媒として、鉄(III)アセチルアセトナート0.04重量部、ならびに希釈溶剤として酢酸エチル210重量部を配合し、常温で撹拌してウレタン系ポリマーCの溶液を得た。
(粘着剤組成物の調製)
アクリル系ポリマーAの溶液300重量部(固形分100重量部)に、イソシアネート系架橋剤としてキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の75%酢酸エチル溶液(三井化学製「タケネートD110N」)3.3重量部(固形分2.5重量部)、架橋触媒として鉄(III)アセチルアセトナート0.005重量部、光硬化剤(多官能アクリルモノマー)として東亞合成製「アロニックスM−321」20重量部、および光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製「イルガキュア184」)0.1重量部を添加して攪拌し、光硬化性のアクリル系粘着剤溶液を調製した。
表面処理がされていない厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製「ルミラーS10」)上に、上記の粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、ファウンテンロールを用いて塗布した。130℃で1分間乾燥して溶媒を除去後、粘着剤の塗布面に、セパレータ(表面がシリコーン離型処理された厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の離型処理面を貼り合わせた。その後、25℃の雰囲気で4日間のエージング処理を行い、架橋を進行させ、フィルム基材上に厚み25μmの光硬化性粘着シートが固着積層され、その上にセパレータが仮着された補強フィルムを得た。
粘着剤組成物の調製において、光硬化剤の種類を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして補強フィルムを作製した。比較例4では、イソシアネート系架橋剤の添加量を変更し、光硬化剤を添加しなかった。
アクリル系ポリマーBの溶液300重量部(固形分100重量部)に、4官能のエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学製「テトラッドC」)0.5重量部、多官能アクリルモノマーとして新中村化学工業製「NKエステルA−200」20重量部、および光重合開始剤としてBASF製「イルガキュア184」0.1重量部を添加して光硬化性のアクリル系粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を用いて、実施例1と同様にして補強フィルムを得た。
表面処理がされていない厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ウレタン系ポリマーCの溶液を乾燥後の厚みが25μmとなるように、ファウンテンロールを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥して溶媒を除去後、セパレータの離型処理面を貼り合わせて補強フィルムを得た。
実施例および比較例の補強フィルムの濡れ速度およびガラス板に対する接着力を下記の方法により評価した。下記の評価は、いずれもクラス10000のクリーンルーム(温度23℃、湿度50%RH)の環境下で行った。
幅25mm×長さ150mmに切り出した補強フィルムの表面からセパレータを剥離除去した試験片の長さ方向の一端の粘着剤層をガラス板(松浪硝子工業製「マイクロスライドガラスS」に接触させた状態で、ガラス板と試験片の角度が20〜30°となるように、試験片の他端を手で保持した。試験片から手を離し、試験片の粘着剤層がガラス板と接触して長さ方向の一端から他端に濡れ広がる様子をビデオカメラで記録して、試験片の前面が濡れ広がるまでの時間を求め、下記の式から濡れ速度を算出した。
濡れ速度(cm2/秒)=測定面積(25cm2)/濡れ広がり時間(秒)
幅25mm×長さ100mmに切り出した補強フィルムの表面からセパレータを剥離除去した試験片を、ガラス板にハンドローラを用いて貼り合わせ、光硬化前の試験サンプルとした。試験サンプルのPETフィルム側から紫外線を照射して粘着剤層を光硬化したものを光硬化後の試験サンプルとした。これらの試験サンプルを用い、試験片をチャックで保持して、引張速度300mm/分で、補強フィルムの180°ピールを行い、ピール強度を測定した。
A200:新中村化学工業製「NKエステル A−200」、ポリエチレングリコール#200(n=4)ジアクリレート;官能基当量154g/eq
A400:新中村化学工業製「NKエステル A−400」、ポリエチレングリコール#400(n=9)ジアクリレート;官能基当量254g/eq
A600:新中村化学工業製「NKエステル A−600」、ポリエチレングリコール#600(n=14)ジアクリレート;官能基当量354g/eq
AM130G:新中村化学工業製「NKエステル AM−130G」、メトキシポリエチレングリコール#550(n=13)モノアクリレート
M321:東亞合成製「アロニックス M−321」、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド(n=2)変性トリアクリレート;官能基当量187g/eq
M350:東亞合成製「アロニックス M−350」、トリメチロールプロパンエチレンオキシド(n=1)変性トリアクリレート;官能基当量129g/eq
M360:東亞合成製「アロニックス M−360」、トリメチロールプロパンエチレンオキシド(n=2)変性トリアクリレート;官能基当量159g/eq
PTG9A:日立化成製「ファンクリル FA−PTG9A」、ポリテトラメチレングリコール(n=9)ジアクリレート;官能基当量387g/eq
321A:日立化成製「ファンクリル FA−321A」、エチレンオキシド(n=10)変性ビスフェノールAジアクリレート;官能基当量388g/eq
2 粘着剤層
5 セパレータ
10 補強フィルム
20 デバイス(被着体)
幅25mm×長さ150mmに切り出した補強フィルムの表面からセパレータを剥離除去した試験片の長さ方向の一端の粘着剤層をガラス板(松浪硝子工業製「マイクロスライドガラスS」に接触させた状態で、ガラス板と試験片の角度が20〜30°となるように、試験片の他端を手で保持した。試験片から手を離し、試験片の粘着剤層がガラス板と接触して長さ方向の一端から他端に濡れ広がる様子をビデオカメラで記録して、試験片が長さ方向に100mmの範囲(面積25cm 2 )に濡れ広がるまでの時間を求め、下記の式から濡れ速度を算出した。
濡れ速度(cm2/秒)=測定面積(25cm2)/濡れ広がり時間(秒)
Claims (7)
- フィルム基材と、前記フィルム基材の一主面上に固着積層された粘着剤層とを備え、
前記粘着剤層は、ベースポリマー、2以上の重合性官能基を有する光硬化剤および光重合開始剤を含む光硬化性組成物であり、
ガラス板に対する濡れ速度が0.3cm2/秒〜4cm2/秒である、補強フィルム。 - 前記粘着剤層を光硬化する前のガラス板に対する接着力が0.03N/25mm以上、1N/25mm未満である、請求項1に記載の補強フィルム。
- 前記粘着剤層を光硬化した後のガラス板に対する接着力が1N/25mm以上である、請求項1または2に記載の補強フィルム。
- 前記ベースポリマーに架橋構造が導入されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の補強フィルム。
- 前記光硬化性組成物は、前記ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の補強フィルム。
- 前記光硬化性組成物は、前記ベースポリマー100重量部に対して、前記光硬化剤を10〜50重量部含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の補強フィルム。
- 前記光硬化剤が多官能(メタ)アクリレートである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の補強フィルム。
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