JP2020030051A - 屋内クレーンの自動運転装置及び自動運転方法 - Google Patents

屋内クレーンの自動運転装置及び自動運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】屋内クレーンによる被搬送物のハンドリングを必要とする作業において、被搬送物の現在位置を目標位置に高精度、効率的、且つ、安全に制御可能な屋内クレーンの自動運転装置及び自動運転方法を提供すること。【解決手段】屋内クレーンの自動運転装置であって、被搬送物を把持する屋内クレーンの吊り治具に装着された、屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信する第1の航法用受信機と、測位信号に基づき認識された被搬送物の現在位置と目標位置との偏差を算出し、算出された現在位置と目標位置との偏差に基づいて被搬送物の現在位置が目標位置になるように屋内クレーンを自律移動させる制御手段と、紐状体の繰り出し及び巻き取りを行うリール機構を有し、紐状体にて被搬送物または吊り治具を保持して、水平面内における被搬送物の位置調整及び姿勢調整の補助を行う1台以上のアシスト装置と、を備える。【選択図】図10

Description

本発明は、屋内位置測定システムを利用した屋内クレーンの自動運転装置及び自動運転方法に関する。
近年の製鉄ラインは高度に自動化されたものが一般的となっているが、作業者による遠隔操作装置の操作を伴う屋内クレーンによる、被搬送物の停止位置の制御等の被搬送物の高精度のハンドリングを必要とする製造・検査工程も残存している。このような製造・検査工程としては、例えば熱延ラインにおける圧延ロールの段組作業がある。この段組作業では、圧延機の上下ワークロールを予め上下方向に重ね合わせておき、圧延機のハウジング内に上下ワークロールを組み入れる。また、使用済みの上下ワークロールは、上下一対でハンドリングして圧延機のハウジングから取り出される。このため、段組作業では、作業者が上下ワークロールを上下方向に重ね合わせるハンドリング作業が必要になる。また、使用済みの圧延ロールの表面を研磨して再利用するために、ロール研磨用のグラインダに使用済みの圧延ロールを載置する作業においても作業者による圧延ロールのハンドリング作業が必要になる。
ここで、圧延ロールのハンドリング作業では、安全ルールに基づく屋内クレーンの吊り荷からの退避距離を確保する必要性や圧延ロールのサイズが大きいことに起因して、作業者一人では作業者寄りの圧延ロールの端部における水平方向の位置ずれを確認することは困難である。また、圧延ロールの水平面内における回転成分を調整するための屋内クレーンの旋回動作を含めた微妙な位置調整を一人作業で実施することは現実的に難しい。さらに、吊り上げ荷重が5[t]以上である屋内クレーンを操作するためには、労働安全衛生法で定められた国家資格の1つであるクレーン運転士免許が必要となる。法律上、屋内クレーンの巻上げ、横行、走行等の操作を3つ同時に行ってはならないというルールが存在するため、吊り荷の軌道はスタート地点と目標地点とを結ぶ最短ルートをとることができず、吊り荷が目標地点に到達するまでの所要時間が増加し、作業効率が低下する。
このため、圧延ロールのハンドリング作業を容易にする方法が提案されている。具体的には、特許文献1には、被組立位置の相対座標計測用の計測装置及び構成部材の位置決め用のハンドリング装置によって、構成部材を被組立位置にハンドリングするように相対座標だけハンドリング装置を制御する方法が記載されている。この特許文献1記載の方法では、スリット光投光器及びCCDカメラを備える計測装置を用いて、スリット光投影法に基づいて計測装置の座標系における被組立位置の相対座標を計測している。
特開平11−81686号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような被組立位置の相対座標計測用の計測装置を用いて圧延ロールを重ね合わせる場合、計測装置から重ね合わせる2つの圧延ロールが見えている必要がある。ところが、圧延ロールを屋内クレーンでハンドリングする場合、重ね合わせ作業が完了する直前には下側の圧延ロールは上側の圧延ロールによって覆い隠され、ほぼ死角の状態になるために、圧延ロールの重ね合わせを行うことができなくなる。一方、作業エリアをカバーするようにCCDカメラから成る特許文献1記載の計測装置を設置する場合、建屋支柱上方に作業エリアを見下ろす形で計測装置を設置するのが現実的である。
この場合、一般的な工場建屋支柱スパンを20[m]とすると、計測装置は最低でも10[m]遠方を水平視野角90[°]で撮像できることが望ましい。ところが、この時、解像度3200[dpi](4416×2844ピクセル)の高解像度CCDカメラを採用したとしても、視野中央10[m]遠方での水平方向の空間分解能は4.52[mm](=10[m]×2/4416)程度となる。このため、広角域での歪み補正等の画像処理や相対位置計算のための演算処理を加えた場合、2物体の相対座標の測定精度は10[mm]以上になってしまう。従って、特許文献1記載の方法では、2つの圧延ロールを重ね合わせる作業を行うことが困難になる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、屋内クレーンによる被搬送物のハンドリングを必要とする作業において、被搬送物の現在位置を目標位置に高精度、効率的、且つ、安全に制御可能な屋内クレーンの自動運転装置及び自動運転方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置は、屋内位置測定システムを用いて作業エリア内において被搬送物を搬送する屋内クレーンを制御する屋内クレーンの自動運転装置であって、前記被搬送物を把持する前記屋内クレーンの吊り治具に装着された、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信する第1の航法用受信機と、前記測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置と目標位置との偏差を算出し、算出された現在位置と目標位置との偏差に基づいて前記被搬送物の現在位置が目標位置になるように前記屋内クレーンを自律移動させる制御手段と、前記被搬送物または前記吊り治具に連結された紐状体の繰り出し及び巻き取りを行うリール機構を有し、前記紐状体にて前記被搬送物または前記吊り治具を保持し、水平面内における前記被搬送物の位置調整及び姿勢調整の補助を行う1台以上のアシスト装置と、を備えることを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置は、上記の発明において、前記アシスト装置は、前記測位信号に基づいた前記被搬送物の現在位置と目標位置と姿勢とに関する情報を用いて、自律して前記補助を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置は、上記の発明において、前記アシスト用リール機構を操作するための操作手段を備えており、作業者が前記操作手段を用いて前記アシスト用リール機構を操作して前記補助を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置は、上記の発明において、前記被搬送物を搬送する目標位置近傍に前記アシスト装置を配置し、前記被搬送物を前記目標位置に位置させる直前に、前記アシスト装置によって前記補助を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置は、上記発明において、前記作業エリア内にいる作業者に装着された、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信する第2の航法用受信機を備え、前記制御手段は、前記第1の航法用受信機が受信した測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置及び姿勢情報から前記作業エリア内における退避領域を算出し、前記第2の航法用受信機が受信した測位信号に基づき認識された前記作業エリア内における前記作業者の位置を算出し、前記退避領域及び前記作業者の位置の位置関係に応じて前記屋内クレーンの自動移動動作を制御することを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置は、上記発明において、前記作業者に装着された、前記屋内クレーンが接近していることを報知する警報手段を備え、前記制御手段は、前記退避領域及び前記作業者の位置の位置関係に応じて前記警報手段を制御することによって前記作業者に対し前記屋内クレーンが接近していることを報知することを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置は、上記発明において、前記吊り治具に装着された、前記吊り治具と周辺に存在するランドマークとの間の距離を測定する測距センサを備え、前記制御手段は、前記測距センサによって測定された距離と所定の閾値との大小関係に基づいて前記屋内クレーンの自動移動動作を制御することを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転方法は、屋内位置測定システムを用いて作業エリア内において被搬送物を搬送する屋内クレーンを制御する屋内クレーンの自動運転方法であって、前記被搬送物を把持する前記屋内クレーンの吊り治具に装着された第1の航法用受信機が、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信するステップと、制御手段が、前記第1の航法用受信機が受信した前記測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置と目標位置との偏差を算出し、算出された現在位置と目標位置との偏差に基づいて前記被搬送物の現在位置が目標位置になるように前記屋内クレーンを自律移動させるステップと、1台以上のアシスト装置によって、前記被搬送物または前記吊り治具を保持して、水平面内における前記被搬送物の位置調整及び姿勢調整の補助を行うステップと、を含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転方法は、上記の発明において、前記アシスト装置は、前記測位信号に基づいた前記被搬送物の現在位置と目標位置とに関する情報を用いて、自律して前記補助を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転方法は、上記の発明において、前記アシスト用リール機構を操作するための操作手段を作業者が用いて、前記アシスト用リール機構を操作して前記補助を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転方法は、上記の発明において、前記被搬送物を搬送する目標位置近傍に前記アシスト装置を配置し、前記被搬送物を前記目標位置に位置させる直前に、前記アシスト装置によって前記補助を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転方法は、上記発明において、屋内位置測定システムを用いて作業エリア内において被搬送物を搬送する屋内クレーンを制御する屋内クレーンの自動運転方法であって、前記被搬送物を把持する前記屋内クレーンの吊り治具に装着された第1の航法用受信機が、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信するステップと、制御手段が、前記第1の航法用受信機が受信した前記測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置と目標位置との偏差を算出し、算出された現在位置と目標位置との偏差に基づいて前記被搬送物の現在位置が目標位置になるように前記屋内クレーンを自律移動させるステップと、前記被搬送物または前記吊り治具に連結された紐状体の繰り出し及び巻き取りを行うリール機構を有する、1台以上のアシスト装置によって、前記紐状体にて前記被搬送物または前記吊り治具を保持し、水平面内における前記被搬送物の位置調整及び姿勢調整の補助を行うステップと、を含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転方法は、上記発明において、前記退避領域及び前記作業者の位置の位置関係に応じて前記作業者に装着された警報手段を制御することによって前記作業者に対し前記屋内クレーンが接近していることを報知するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る屋内クレーンの自動運転方法は、上記発明において、前記吊り治具に装着された測距センサが、前記吊り治具と周辺に存在するランドマークとの間の距離を測定するステップと、前記制御手段が、前記測距センサによって測定された距離と所定の閾値との大小関係に基づいて前記屋内クレーンの自動移動動作を制御するステップと、を含むことを特徴とするものである。
本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置及び自動運転方法によれば、屋内クレーンによる被搬送物のハンドリングを必要とする作業において、被搬送物の現在位置を目標位置に高精度、効率的、且つ、安全に制御することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態1に係る屋内クレーンの自動運転装置の全体構成を示す模式図である。 図2は、実施形態1に係る屋内クレーンの自動運転装置の構成を示すブロック図である。 図3は、実施形態1に係るグローバル座標系の設定処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、図3に示すグローバル座標系の設定処理において測定された測定点の位置を示す斜視図である。 図5は、図3に示すグローバル座標系の設定処理において測定された測定点の位置を示す平面図である。 図6は、実施形態1に係る位置/姿勢情報取得処理の流れを示すフローチャートである。 図7は、図6に示す位置/姿勢情報取得処理における上ロールの測定点の位置を示す図である。 図8は、実施形態1に係る目標軌道計算処理の流れを示すフローチャートである。 図9は、図8に示す目標軌道計算処理における上ロールの測定点の位置を示す図である。 図10は、実施形態1における目標軌道に沿った上ロールの自律移動動作を説明するための模式図である。 図11は、アシスト装置の斜視図である。 図12は、アシスト装置を上から見た図である。 図13は、実施形態1に係るワイヤ繰り出し量とエンコーダ値とのキャリブレーション処理の流れを示すフローチャートである。 図14は、キャリブレーション処理における上ロールの位置を示した図である。 図15は、繰り出しワイヤ長とドラム回転角度との関係を示したグラフである。 図16は、本発明及び従来技術における上ロールの移動軌跡を示す模式図である。 図17は、本発明の屋内クレーン制御処理の一例を説明するための模式図である。 図18は、本発明の屋内クレーン制御処理の他例を説明するための模式図である。 図19は、本発明の屋内クレーン制御処理の他例を説明するための模式図である。 図20は、実施形態2に係る屋内クレーンの自動運転装置の構成を示すブロック図である。 図21は、実施形態2における目標軌道に沿った上ロールの自律移動動作を説明するための模式図である。
[実施形態1]
以下、本発明に係る屋内クレーンの自動運転装置の第1の実施形態(以下、実施形態1という。)について説明する。
[屋内クレーンの自動運転装置の構成]
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る屋内クレーン2の自動運転装置1の構成について説明する。図1は、実施形態1に係る屋内クレーン2の自動運転装置1の全体構成を示す模式図である。図2は、実施形態1に係る屋内クレーン2の自動運転装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態1に係る屋内クレーン2の自動運転装置1は、屋内クレーン2を利用して下ロールR1の上に吊り荷である上ロールR2を重ね合わせる作業を行うための装置である。図1及び図2に示すように、実施形態1に係る屋内クレーン2の自動運転装置1は、屋内クレーン2、屋内位置測定システム3及びアシスト装置50などを主な構成要素として備えている。そして、屋内クレーン2は、吊り治具21、台車22、作業者用コントローラ23、及び測距センサ24を備えている。
吊り治具21は、上ロールR2を把持する把持装置21aと、把持装置21aを固定するためのフレーム21bと、を備え、上ロールR2を把持して固定する機能を有している。台車22は、搭載コンピュータ22aと、モータ制御部22bと、駆動部22cと、を備えている。搭載コンピュータ22aは、情報処理装置によって構成され、作業者用コントローラ23から送信された動作指令に従ってモータ制御部22bを制御する。モータ制御部22bは、搭載コンピュータ22aから出力された制御信号に従って駆動部22cを制御する。
駆動部22cは、モータ制御部22bから出力された制御電流に従って、吊り治具21の矢印D1方向への巻上げや巻下げ、吊り治具21の矢印D2方向への横行、レールR上における台車22の矢印D3方向への走行、吊り治具21の矢印D4方向への旋回動作、把持装置21aの矢印D5方向への開閉動作を行う。
作業者用コントローラ23は、作業者Oによって操作され、後述するホストコンピュータ33から送信された巻上げ、巻下げ、横行、走行、旋回、または開閉動作指令を搭載コンピュータ22aに伝送する機能を有している。また、作業者用コントローラ23は、作業者Oが自律移動モードON/OFF切り替えスイッチ23aを操作することによって自律移動モードをON状態に設定した場合、自律移動モードがON状態に設定された旨の信号を搭載コンピュータ22aに送信する。自律移動モードがON状態に設定された旨の信号を受信した場合、搭載コンピュータ22aは、作業者用コントローラ23から送信される動作指令情報に基づいてモータ制御部22bを制御することによって台車22を自律走行させる。
測距センサ24は、センサ投光部から射出されるスキャン型測距レーザーにより吊り治具21と周辺ランドマークとの間の距離を広角に測定することによって吊り治具21と障害物との間の距離を測定する。
屋内位置測定システム3は、複数の航法用送信機31、航法用受信機32、及びホストコンピュータ33を備えている。
航法用送信機31は、下ロールR1の上に上ロールR2を重ね合わせる作業を行う作業エリア内に設置され、2つの回転ファンビーム(扇形ビーム)FBを射出する。回転ファンビームFBはレーザファンビームであってもよく、他の光放射手段であってもよい。
航法用受信機32は、吊り治具21に装着され、複数の航法用送信機31から射出された回転ファンビームFBを受信する。航法用受信機32は、受信した回転ファンビームFBをIGPS(Indoor Global Positioning System)信号として認識し、認識したIGPS信号に関する情報を受信情報としてホストコンピュータ33に無線伝送する。一般に、衛星航法システム(GPS:Global Positioning System)は3つ以上のGPS人工衛星を用いてGPS受信機の位置に符合する3次元座標値(以下、「座標値」という)を認識及び決定する装置であり、このような概念を屋内に適用したものが屋内位置測定システム(IGPS)である。屋内位置測定システムの詳細については、米国特許第6,501,543号明細書に詳細に記載されている。
ホストコンピュータ33は、コンピュータ本体33a、キーボード33b、及び送受信装置33cを備えている。コンピュータ本体33aの記憶手段には、現在位置演算用プログラム33d、目標軌道計算プログラム33e、周囲エリア計算プログラム33f、及びエリア判定プログラム33gが記憶されている。キーボード33bは、作業者Oの操作入力信号をコンピュータ本体33aに出力する。送受信装置33cは、航法用受信機32から無線伝送された受信情報をコンピュータ本体33aに出力する。
コンピュータ本体33aは、現在位置演算用プログラム33dを実行することによって、航法用受信機32からの受信情報に基づいて航法用受信機32の現在位置を算出する。具体的には、航法用送信機31が射出する回転ファンビームFBは航法用送信機31間で所定の角度ずつずれているので、受信した回転ファンビームFBに基づいて航法用受信機32の座標値、すなわち位置または高さを測定できる。航法用受信機32からの受信情報は送受信装置33cを介してコンピュータ本体33aに伝送され、コンピュータ本体33aが、三角測量の原理に従って受信情報からグローバル座標系における航法用受信機32の位置を演算する。
そして、コンピュータ本体33aは、作業エリア内における屋内クレーン2の走行、横行、巻上げ、巻下げ及び旋回方向成分に対応したグローバル座標系をそれぞれ(X,Y,Z)及び(θ,θ,θ)と定義しておくことにより、航法用受信機32の位置を屋内クレーン2の制御方向と直接関連付けできる。なお、クレーンガーターを含む建屋自身の方向が大きく変化することは無いため、グローバル座標系の設定作業はメンテナンス作業等によって航法用送信機31の設置位置がずれた際等に行う程度で十分である。
ここで、図3〜図5を参照して、グローバル座標系の設定方法について説明する。図3は、実施形態1に係るグローバル座標系の設定処理の流れを示すフローチャートである。図4及び図5はそれぞれ、グローバル座標系の設定処理において測定された測定点A1,B1,C1の位置を説明するための斜視図及び平面図である。図4に示すように、グローバル座標系を設定する際には、始めに、作業者Oが、航法用受信機32を備える治具70の接触式プローブ部71を工場建屋支柱T1の表面に設けられたランドマークL1に接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、ランドマークL1の測定点A1の位置を測定する(ステップS1)。
なお、ランドマークの位置を高精度に測定するため、航法用受信機32と接触式プローブ部71の幾何学的位置関係は±50マイクロメートル以内の高精度で決定しておくことが望ましい。屋内位置測定システムによって航法用受信機32の位置(X,Y,Z)及び姿勢(θ,θ,θ)の情報が得られるため、航法用受信機32と接触式プローブ部71との幾何学的位置関係が決まっていれば、航法用受信機32の受信情報を接触式プローブ部71の位置情報(ランドマークの位置情報)に変換できる。
次に、作業者Oは、屋内クレーン2の走行方向D3において工場建屋支柱T1に隣接する支柱T2の表面に設けられたランドマークL2に治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、ランドマークL2の測定点B1の位置を測定する(ステップS2)。次に、作業者Oは、屋内クレーン2の横行方向D2において工場建屋支柱T1に隣接する支柱T3の表面に設けられたランドマークL3に治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、ランドマークL3の測定点C1の位置を測定する(ステップS3)。そして最後に、ホストコンピュータ33が、航法用受信機32からの受信情報に基づいて、測定点A1,B1,C1の位置をコーナに含み、測定点A1の位置を原点とする座標系をグローバル座標系(図5参照)として定義する(ステップS4)。
なお、回転ファンビームFBの強度にも依存するが、商用化されている屋内位置測定システムでは、半径20〜30[m]の範囲で±50[μm]以内の測位精度が得られる。このため、作業エリア全体をカバーするように航法用送信機31を設置する場合には、建屋支柱の上方に作業エリアを見下ろす形で航法用送信機31を設置するのが現実的である。従って、一般的な工場建屋支柱スパンを20[m]とした場合であっても十分な精度で測位を行うことができる。
また、本実施形態では、作業者Oは、航法用受信機32と同じ構成の航法用受信機41と、携帯型クレーン接近アラーム42を装着している。航法用受信機41及び携帯型クレーン接近アラーム42はそれぞれ、本発明に係る第2の航法用受信機及び警報手段として機能する。
このような構成を有する屋内クレーン2の自動運転装置1は、以下に示す位置/姿勢情報取得処理及び目標軌道計算処理を実行することによって、屋内クレーン2によって下ロールR1の上に上ロールR2を重ね合わせる作業において、高精度、効率的、且つ、安全に下ロールR1の上に上ロールR2を重ね合わせる。以下、位置/姿勢情報取得処理及び目標軌道計算処理を実行する際の屋内クレーン2の自動運転装置1の動作について説明する。
[位置/姿勢情報取得処理]
始めに、図6及び図7を参照して、位置/姿勢情報取得処理を実行する際の屋内クレーン2の自動運転装置1の動作について説明する。図6は、実施形態1に係る位置/姿勢情報取得処理の流れを示すフローチャートである。図7は、図6に示す位置/姿勢情報取得処理における上ロールの測定点の位置を示す模式図である。図6に示すフローチャートは、作業者Oがキーボード33bを操作することによってホストコンピュータ33に対して位置/姿勢情報取得処理の実行を指示したタイミングで開始となる。ホストコンピュータ33は、位置/姿勢情報取得処理の実行を指示されるのに応じて、現在位置演算用プログラム33dを実行することによって位置/姿勢情報取得処理を実行する。
図6に示すように、位置/姿勢情報取得処理では、始めに、作業者Oが、航法用受信機32が取り付けられた治具70の接触式プローブ部71を下ロールR1のコーナに接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、下ロールR1のコーナの測定点A2(図7参照)の位置を測定する(ステップS11)。次に、作業者Oは、下ロールR1の軸方向において測定点A2に隣り合うコーナに治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、下ロールR1のコーナの測定点(ロール端測定点)B2(図7参照)の位置を測定する(ステップS12)。
次に、作業者Oは、測定点A2を含み、下ロールR1の軸方向と直交する線分上にあり、且つ、測定点A2を含む水平面内にある下ロールR1のコーナに治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、下ロールR1のコーナの測定点(ロール端測定点)C2(図7参照)の位置を測定する(ステップS13)。次に、作業者Oは、測定点A2を含み、下ロールR1の軸方向と直交する線分上にあり、且つ、測定点A2,B2,C2を含む水平面の垂直方向にある下ロールR1のコーナに治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、下ロールR1のコーナの測定点(ロール端測定点)D2(図7参照)の位置を測定する(ステップS14)。
次に、ホストコンピュータ33が、航法用受信機32からの受信情報に基づいて、測定点A2,B2,C2,D2の位置をコーナに含む直方体形状を演算し、演算された直方体形状に基づいて下ロールR1の位置(X1,Y1,Z1)及び姿勢(θ1,θ1,θ1)を認識する。そして、ホストコンピュータ33は、測定点A2を原点とし、測定点A2から測定点B2へのベクトル方向をX方向、測定点A2から測定点C2へのベクトル方向をY方向、測定点A2から測定点D2へのベクトル方向をZ方向とする座標系(下ロール座標系)(図7参照)を設定する(ステップS15)。これにより、一連の位置/姿勢情報取得処理は終了する。
[目標軌道計算処理]
次に、図8及び図9を参照して、目標軌道計算処理を実行する際の屋内クレーン2の自動運転装置1の動作について説明する。図8は、実施形態1に係る目標軌道計算処理の流れを示すフローチャートである。図9は、図8に示す目標軌道計算処理における上ロールR2の測定点の位置を示す模式図である。図8に示すフローチャートは、作業者Oがキーボード33bを操作することによってホストコンピュータ33に対して目標軌道計算処理の実行を指示したタイミングで開始となる。ホストコンピュータ33は、目標軌道計算処理の実行を指示されるのに応じて、目標軌道計算プログラム33eを実行することによって目標軌道計算処理を実行する。
図8に示すように、目標軌道計算処理では、始めに、作業者Oが、航法用受信機32が取り付けられた治具70の接触式プローブ部71を上ロールR2のコーナに接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、上ロールR2のコーナの測定点A3(図9参照)の位置を測定する(ステップS21)。次に、作業者Oは、上ロールR2の軸方向において測定点A3に隣り合うコーナに治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、上ロールR2のコーナの測定点(ロール端測定点)B3(図9参照)の位置を測定する(ステップS22)。
次に、作業者Oは、測定点A3を含み、上ロールR2の軸方向と直交する線分上にあり、且つ、測定点A3を含む水平面内にあるコーナに治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、上ロールR2のコーナの測定点(ロール端測定点)C3(図9参照)の位置を測定する(ステップS23)。次に、作業者Oは、測定点A3を含み、上ロールR2の軸方向と直交する線分上にあり、且つ、測定点A3,B3,C3を含む水平面の垂直方向にあるコーナに治具70の接触式プローブ部71を接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、上ロールR2のコーナの測定点(ロール端測定点)D3(図9参照)の位置を測定する(ステップS24)。
次に、ホストコンピュータ33が、航法用受信機32から送信された情報に基づいて、測定点A3,B3,C3,D3の位置をコーナに含む直方体形状を演算し、演算された直方体形状に基づいて上ロールR2の位置(X2,Y2,Z2)及び姿勢(θ2,θ2,θ2)を認識する。また、ホストコンピュータ33は、測定点A3を原点とし、測定点A3から測定点B3へのベクトル方向をX方向、測定点A3から測定点C3へのベクトル方向をY方向、測定点A3から測定点D3へのベクトル方向をZ方向とする座標系(上ロール座標系)を設定する(ステップS25)。
次に、ホストコンピュータ33が、吊り治具21に装着された航法用受信機32の位置(X3,Y3,Z3)及び姿勢(θ3,θ3,θ3)の情報と上ロール座標系の情報とに基づいて、吊り治具21と上ロールR2との相対位置(X3−X2,Y3−Y2,Z3−Z2)及び姿勢(θ3−θ2,θ3−θ2,θ3−θ2)を演算する(ステップS26)。次に、ホストコンピュータ33が、下ロール座標系と上ロール座標系の相対位置(X1−X2,Y1−Y2,Z1−Z2)及び姿勢(θ1−θ2,θ1−θ2,θ1−θ2)を算出する(ステップS27)。
次に、ホストコンピュータ33は、吊り治具21に装着された航法用受信機32の位置及び姿勢の情報を用いて吊り治具21の目標移動位置(X3+X1−X2,Y3+Y1−Y2,Z3+Z1−Z2)及び目標姿勢(θ3+θ1−θ2,θ3+θ1−θ2,θ3+θ1−θ2)を吊り治具21の目標移動成分として算出する。そして、ホストコンピュータ33が、吊り治具21に装着された航法用受信機32の位置及び姿勢情報が目標移動位置及び目標姿勢となるように目標軌道を設定し、目標軌道に沿って吊り治具21を自律移動させる。
図10は、実施形態1における目標軌道に沿った上ロールR2の自律移動動作を説明するための模式図である。なお、図10中の(A)〜(D)の矢印は、後述する目標軌道に沿って吊り治具21を自律移動させる際の上ロールR2の動きに対応したものである。ここで、吊り治具21と台車22とを繋ぐクレーンワイヤの長さが長い場合や、環境外乱として例えば風に上ロールR2が煽られる場合などに、上ロールR2の振れが発生し、下ロールR1に対する上ロールR2の微妙な位置調整を行えない状況が生じ得る。そのため、本実施形態に係る屋内クレーン2の自動運転装置1おいては、上ロールR2を据え付ける目標位置である下ロールR1の周りに、上ロールR2の位置調整及び姿勢調整の補助を行うアシスト装置50を3台配置している。そして、本実施形態に係る屋内クレーン2の自動運転装置1においては、上ロールR2を下ロールR1に据え付ける直前段階における上ロールR2の位置調整及び姿勢調整の補助を、アシスト装置50によって行う。なお、アシスト装置50の台数は、水平面内での上ロールR2の移動や旋回の自由度に応じて、少なくとも1台以上設ければよい。
図11は、アシスト装置50の斜視図である。図12は、アシスト装置50を上から見た図である。アシスト装置50は、エンコーダ52とトルクメータ53と制御部54と駆動部55と紐状体であるワイヤ56とドラム57とを有するリール機構51、及び、ガイド機構としてのシーブ58によって構成されている。
ワイヤ56は、先端が上ロールR2または吊り治具21に連結され、後端が円筒状のドラム57に固定されて、ドラム57に巻き付けられている。ドラム57は、駆動部55が有する不図示の駆動モータからの回転駆動力によって回転可能となっている。駆動部55は、制御部54によって制御されてドラム57の回転方向や回転量を調整される。エンコーダ52は、駆動部55からの回転駆動力をドラム57に伝達する回転軸59に設けられており、ドラム57からのワイヤ繰り出し量を検出するためのものである。また、トルクメータ53は、駆動部55に設けられており、ワイヤ56に作用する張力及び前記駆動モータに作用するトルクを検出するためのものである。シーブ58は、ドラム57から繰り出されたワイヤ56の固定端のドラム軸方向位置が、ワイヤ繰り出し量によって変化しないように、ワイヤ56がドラム57から繰り出された後に、ワイヤ56をドラム軸方向中央に案内するためのガイド機構である。
そして、アシスト装置50は、ワイヤ56にて上ロールR2または吊り治具21を保持し、水平面内における上ロールR2の位置調整及び姿勢調整の補助を行う。
アシスト装置50は、アシスト作業が必要となるエリア周りの安定した場所に固定しておき、位置調整及び姿勢調整の補助が必要となるタイミングにて、作業者○がワイヤ56を上ロールR2または吊り治具21と連結する。ワイヤ56の連結方法としては、例えば、ワイヤ56の先端にフックを取り付けて、上ロールR2もしく吊り治具21の所定位置に前記フックを引っ掛けて連結する。その他には、ワイヤ56の先端にマグネット治具を取り付けて、上ロールR2または吊り治具21の所定位置に前記マグネット治具を磁力吸着させて連結してもよい。ワイヤ56を上ロールR2または吊り治具21に連結した後、リール機構51を駆動してワイヤ56を巻き取り、ワイヤ56に所定の張力が作用した状態とする。
なお、従来、上ロールR2の一端に案内ロープを結わえ、その案内ロープを作業者が引っ張ることによって、上ロールR2の位置調整や姿勢調整が行われているように、上ロールR2の位置調整や姿勢調整を行う際には、人力を超えるような引っ張り力は必要としない。このことから、アシスト装置50には、大きな可搬重量は不要であり、ワイヤ56を上ロールR2または吊り治具21と連結する連結構造は、人力で操作可能な簡易な構成で実現可能である。
リール機構51においては、ワイヤ56を巻き付けているドラム57の直径や、ワイヤ56がドラム57から繰り出される際のドラム軸方向の位置により、ワイヤ繰り出し量とドラム回転角度(エンコーダ値)との関係が変化する。そのため、ワイヤ繰り出し量とエンコーダ値との関係は、事前にキャリブレーションしておく必要がある。
[キャリブレーション処理]
図13は、実施形態1に係るワイヤ繰り出し量とエンコーダ値とのキャリブレーション処理の流れを示すフローチャートである。図14は、キャリブレーション処理における上ロールR2の位置を示した図である。なお、図14中の(1)は、吊り治具21によって上ロールR2を把持する前の初期位置に位置する上ロールR2を示したものである。また、この際に上ロールR2に連結されているワイヤ56は、一点鎖線によって示している。図14中の(2)は、吊り治具21によって把持されて所定位置まで移動した上ロールR2を示したものである。また、この際に上ロールR2に連結されているワイヤ56は、2点鎖線によって示している。図14中の(3)は、目標位置に位置する上ロールR2を示したものである。また、この際に上ロールR2に連結されているワイヤ56は、実線によって示している。図15は、繰り出しワイヤ長とドラム回転角度との関係を示したグラフである。
図13に示すように、キャリブレーション処理では、始めに、作業者Oが、図4に示したような航法用受信機32が取り付けられた治具70の接触式プローブ部71を、上ロールR2のコーナに接触させ、航法用受信機32からホストコンピュータ33に受信情報を送信することによって、上ロールR2のコーナの測定点A3(図9参照)の位置を測定する(ステップS31)。次に、ホストコンピュータ33は、測定点A3の位置(吊り荷現在位置・姿勢)を、アシスト装置50の制御部54に送信する(ステップS32)。次に、アシスト装置50の制御部54は、トルクメータ53に基づくワイヤ張力保持制御を実施して、ワイヤ56の弛みを除去する(ステップS33)。次に、アシスト装置50の制御部54は、エンコーダ52に基づくドラム回転角度の測定を行う(ステップS34)。また、これと並行して、アシスト装置50の制御部54は、測定点A3の位置(吊り荷現在位置・姿勢)とリール機構51の配置から幾何学的に演算される繰り出しワイヤ長の演算を行う(ステップS35)。次に、アシスト装置50の制御部54は、測定したドラム回転角度と、演算した繰り出しワイヤ長との対応関係を、制御部54が有する不図示の記憶部に保存する(ステップS36)。次に、ホストコンピュータ33は、吊り治具21を自律移動させて、吊り荷位置・姿勢を移動させる(ステップS37)。次に、ホストコンピュータ33は、アシスト装置50によるアシスト範囲でのドラム回転角度と繰り出しワイヤ長との測定が完了したかを判断する(ステップS38)。ホストコンピュータ33が、前記アシスト範囲でのドラム回転角度と繰り出しワイヤ長との測定が完了していないと判断した場合には(ステップS38にてNo)、前記ステップS31に戻る。一方、ホストコンピュータ33が、前記アシスト範囲でのドラム回転角度と繰り出しワイヤ長との測定が完了したと判断した場合には(ステップS38にてYes)、ドラム回転角度と繰り出しワイヤ長との測定結果から、図15に破線で示すような、繰り出しワイヤ長とドラム回転角度との関係に関する校正カーブを取得して(ステップS39)、前記キャリブレーション処理を終了する。
上述したような下ロールR1に対する上ロールR2の微妙な位置調整や姿勢調整を行えない状況が生じた場合には、水平面内での変位や旋回が上ロールR2に発生しないよう、アシスト装置50のリール機構51を制御して、上ロールR2の水平面内での変位や旋回を制御する。これと並行し、屋内クレーン2を巻下げて据え付ける鉛直方向の動きに対しては、鉛直方向の拘束力が発生しないようにワイヤ56の張力をワイヤ強度により決定される許容値以下、且つ、ワイヤ56に弛みが発生しない張力以上の範囲に保持する力制御を行う。
ここで、屋内クレーン2において、吊り治具21に把持された上ロールR2を目標位置に移動させる動きでは、クレーンワイヤの巻上げや巻下げなどの微小な動きを実現するためにブレーキを断続的に作用させることになる。このため、上ロールR2を目標位置に使付ける際の動きは、加減速を繰り返す非連続な動きとなる。このことから、実施形態1においては、ワイヤ56として、例えば、鋼製ワイヤを用いることにより、ワイヤ56自身が持つ弾性伸びによって、上ロールR2の急激な加減速に対しても追従でき、構造的に対応することができる。
ホストコンピュータ33が、吊り治具21に装着された航法用受信機32の位置及び姿勢情報が目標移動位置及び目標姿勢となるように目標軌道を設定し、目標軌道に沿って吊り治具21を自律移動させる際には、図10に示すように、ホストコンピュータ33は、(A)上ロールR2が周辺構造物及び作業者Oと干渉しない高さまで吊り治具21を巻上げた後、(B)横行、走行、及び旋回同時動作によって目標軌道に沿って吊り治具21を最短距離で移動させる。その後、ホストコンピュータ33は、(C)吊り治具21の巻下げ動作を行った後、(D)下ロールR1と接触する10[cm]手前にて巻下げ速度を減速、停止させる。
次に、作業者は、(E)ワイヤ56を手動で繰り出し、上ロールR2または吊り治具21とワイヤ56の先端とを固定する。アシスト装置50の制御部54は、(F)ワイヤ固定のために弛んだ状態にあるワイヤ56に所定の張力が作用するまでリール機構51を巻き取る制御を行う。次に、アシスト装置50の制御部54は、(G)ホストコンピュータ33の送受信装置33cから制御部54に設けられた不図示の受信機が受信した上ロールR2の現在位置と目標位置と姿勢とに関する情報を用いて、自律してリール機構51による上ロールR2の位置調整及び姿勢調整をアシストする制御を行う。また、これと並行し、アシスト装置50の制御部54は、(H)屋内クレーン2を巻下げて据え付ける鉛直方向の動きに対しては鉛直方向の拘束力が発生しないようにワイヤ56の張力をワイヤ強度により決定される許容値以下、且つ、ワイヤ56に弛みが発生しない張力以上の範囲に保持する力制御を行う。ホストコンピュータ33は、前記(G)及び前記(H)と並行して、上ロールR2の位置及び姿勢に微調整を加えながら、下ロールR1の上に上ロールR2を設置する。
以上の説明から明らかなように、実施形態1に係る屋内クレーン2の自動運転装置1では、下ロールR1の上に上ロールR2を重ね合わせる作業を行う作業エリア内に設けられた複数の航法用送信機31が射出した回転ファンビームを屋内クレーン2の吊り治具21に装着された航法用受信機32がIGPS信号として受信する。そして、ホストコンピュータ33が、航法用受信機32が受信したIGPS信号に基づいて吊り治具21の現在位置を算出し、算出された現在位置と目標位置との偏差に基づいて吊り治具21の現在位置が目標位置になるように屋内クレーン2を自律走行させて、下ロールR1の上に上ロールR2を重ね合わせる。また、クレーンワイヤの長さに応じた上ロールR2の振れなどに対し、水平面内での上ロールR2の微妙な位置及び姿勢調整をアシスト装置50によって行う。これにより、屋内クレーン2によって下ロールR1の上に上ロールR2を重ね合わせる作業において、高精度、効率的、且つ、安全に上ロールR2を下ロールR1の上に重ね合わせることができる。
ここで、作業者や仮設足場等の未知の障害物を回避する場合と違い、既知の障害物については事前に障害物の位置を把握しておくことができる。そこで、既知の障害物については、3次元CAD情報に基づいて既知の障害物の位置及び姿勢に関する情報を予めホストコンピュータ33に記憶しておき、既知の障害物の位置及び姿勢の座標をグローバル座標系に応じて変換し、クレーンハンドリング時に干渉の危険が高いポイントである障害物のコーナ座標(例えば図16に示す座標(a,b,c),(d,e,f),(A,B,C),(D,E,F))を事前に算出しておくことが望ましい。これにより、図16に示すように、上ロールR2の目標軌道を算出する際、従来技術における目標軌道よりも短く、3次元空間において上ロールR2が既知の障害物80a,80bと干渉せずに十分な距離を確保して現在の測定点A3から目標位置A3*に移動可能な目標軌道を算出できる。
なお、安全通路を建設した後に設置された障害物等、3次元CAD情報等の図面情報が十分にない障害物であっても、治具70を用いてその障害物のコーナ座標を測定しておくことによっても同様の対応ができる。さらに、障害物の位置がグローバル座標系において大きく変化しないのであれば、グローバル座標系を設定する際のキャリブレーション作業と同様、障害物のコーナ座標を何度も測定する必要はない。例えばメンテナンス作業等によって航法用送信機31の設置位置がずれた場合等に行う程度で十分である。また、本実施形態では、治具70の測定結果に基づいて上ロールR2の目標位置を決定しているが、目標位置が作業エリア内の固定された構造物上にある場合等、目標位置が変化しない場合には、ホストコンピュータ33上で目標位置を設定してもよい。これにより、治具70を用いた測定作業が不要となり、作業効率を向上させることができる。
図17は、本発明の屋内クレーン制御処理の一例を説明するための模式図である。図17に示した、本発明の屋内クレーン制御処理では、ホストコンピュータ33が、エリア判定プログラム33gを実行することによって、作業者Oに装着させた航法用受信機41により作業者Oの位置情報をリアルタイムで取得する。また、ホストコンピュータ33は、周囲エリア計算プログラム33fを実行することによって、航法用受信機32を用いて認識した上ロールR2の位置及び姿勢情報から上ロールR2の吊り上げ高さに応じて作業者Oの退避距離の目安となる作業フロア領域を演算する。
例えば、ホストコンピュータ33は、上ロールR2の測定点A3から吊り上げ高さH分だけ退避距離を確保した領域を危険エリアRAとして演算する。また、ホストコンピュータ33は、危険エリアRAからさらに任意量の退避距離の余裕代を確保した領域を警報エリアRBとして演算する。そして、エリア判定プログラム33gによって作業者Oの位置が警報エリアRB内にあると判別された場合、ホストコンピュータ33は、自律移動制御における屋内クレーン2の目標速度を例えば1/3に減速させて徐行動作を実行する。
さらに、ホストコンピュータ33は、作業者Oが装着している携帯型クレーン接近アラーム42を制御することによって屋内クレーン2が接近していることを報知する警報を発生し、作業者Oに対して退避距離の確保を促す。さらに、エリア判定プログラム33gによって作業者Oの位置が危険エリアRA内にあると判別された場合には、ホストコンピュータ33は、屋内クレーン2の自律移動制御モードをOFFとして屋内クレーン2を緊急停止させる。これにより、作業者Oが上ロールR2に近づくリスクを低減できる。
なお、屋内位置測定システムは高精度での測位が可能であるが、作業者Oの位置監視のために±50マイクロメートル以内の測位精度はオーバースペックとなる。作業者の位置監視については測位精度±1[m]以内であれば十分であり、屋内位置測定システムに限定されることはない。例えば、Wifi信号や超広帯域無線通信であるUWB(UltraWideBand)を用いて3点測量を行う屋内測位システム、衛星GPS信号を利用する屋内GPS(IMES方式)等、精度向上を目指して開発途上にあるシステムは多く存在する。従って、将来的に、金属板の位置は屋内位置測定システムを利用し、作業者の位置監視には他の測位システムを併用することも十分に考えられる。
図18及び図19は、本発明の屋内クレーン制御処理の他例を説明するための模式図である。図18及び図19に示した、本発明の屋内クレーン制御処理では、始めに、搭載コンピュータ22aが、屋内クレーン2の吊り治具21に装着された測距センサ24a,24bによって吊り治具21と障害物80との間の距離を測定する。なお、図18及び図19に示す例では、障害物として装置点検のための仮設足場を例示している。そして、搭載コンピュータ22aは、ホストコンピュータ33によって演算された航法用受信機32と吊り治具21との相対位置関係とに基づいて、測定された距離のデータをグローバル座標系におけるデータに変換する。
次に、ホストコンピュータ33は、上ロールR2の位置及び姿勢に関する情報と吊り治具21と障害物80との間の距離とに基づいて上ロールR2と障害物80との間の距離を近接距離Dとして演算し、近接距離Dと所定の閾値との大小関係を判別する。例えば、ホストコンピュータ33は、測距センサ24a,24bの位置を中心とした半径3[m]の円形領域を危険エリアRC,RDに設定し、さらに任意量の退避距離の余裕代を確保した測距センサ24a,24bの位置を中心とした半径5[m]の円形領域を警報エリアに設定する。そして、判別の結果、近接距離Dが5[m]より小さく3[m]以上である場合、ホストコンピュータ33は、障害物80が警報エリア内にあると判断し、自律移動制御における目標速度を例えば1/3に減速する。さらに、近接距離Dが3[m]より小さい場合、ホストコンピュータ33は、障害物80が危険エリアRC,RD内にあると判断し、屋内クレーン2の自律移動制御モードをOFFとして屋内クレーン2を緊急停止させる。これにより、仮設足場等の非定常的な周辺障害物と上ロールR2との接触を防止できる。
なお、上記の屋内クレーン制御処理は、ホストコンピュータ33が、周囲エリア計算プログラム33f及びエリア判定プログラム33gを読み出し、実行することによって実現される。
[実施形態2]
以下、本発明に係る屋内クレーン2の自動運転装置の第2の実施形態(以下、実施形態2という。)について説明する。なお、実施形態2においては、アシスト装置50の操作方法が、実施形態1に係る屋内クレーン2の自動運転装置と異なる以外は同様のため共通する部分の説明は省略する。
図20は、実施形態2に係る屋内クレーン2の自動運転装置1の構成を示すブロック図である。図21は、実施形態2における目標軌道に沿った上ロールR2の自律移動動作を説明するための模式図である。実施形態2に係るアシスト装置50では、上ロールR2から離れた安全な場所にいる作業者Oが目視によって、リール機構51の操作手段であるコントローラ60によりリール機構51を操作して、上ロールR2の位置調整及び姿勢調整を行う。これにより、上ロールR2の一端に案内ロープを結わえて、その案内ロープを作業者Oが引っ張ることにより上ロールR2の位置調整や姿勢調整を行う場合よりも、安全に上ロールR2を下ロールR1の上に重ね合わせることができる。なお、本実施形態においては、アシスト装置50の制御部54が有する不図示の受信機とコントローラ60との間にて無線通信によりリール機構51の操作を行うが、コントローラ60と前記受信機との間を通信ケーブルで繋いだ有線通信によりリール機構51を操作するように構成してもよい。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば、本実施形態は屋内位置測定システム(IGPS)を用いたものであるが、本用途に耐えうる測定範囲及び精度を有する3角測量の原理に基づく屋内位置測定システムであれば本発明に適用可能である。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 自動運転装置
2 屋内クレーン
3 屋内位置測定システム
21 吊り治具
21a 把持装置
21b フレーム
22 台車
22a 搭載コンピュータ
22b モータ制御部
22c 駆動部
23 作業者用コントローラ
24 測距センサ
31 航法用送信機
32 航法用受信機
33 ホストコンピュータ
33a コンピュータ本体
33b キーボード
33c 送受信装置
33d 現在位置演算用プログラム
33e 目標軌道計算プログラム
33f 周囲エリア計算プログラム
33g エリア判定プログラム
41 航法用受信機
42 携帯型クレーン接近アラーム
50 アシスト装置
51 リール機構
52 エンコーダ
53 トルクメータ
54 制御部
55 駆動部
56 ワイヤ
57 ドラム
58 シーブ
59 回転軸
60 コントローラ
70 治具
71 接触式プローブ部
80 障害物

Claims (14)

  1. 屋内位置測定システムを用いて作業エリア内において被搬送物を搬送する屋内クレーンを制御する屋内クレーンの自動運転装置であって、
    前記被搬送物を把持する前記屋内クレーンの吊り治具に装着された、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信する第1の航法用受信機と、
    前記測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置と目標位置との偏差を算出し、算出された現在位置と目標位置との偏差に基づいて前記被搬送物の現在位置が目標位置になるように前記屋内クレーンを自律移動させる制御手段と、
    前記被搬送物または前記吊り治具に連結された紐状体の繰り出し及び巻き取りを行うリール機構を有し、前記紐状体にて前記被搬送物または前記吊り治具を保持し、水平面内における前記被搬送物の位置調整及び姿勢調整の補助を行う1台以上のアシスト装置と、
    を備えることを特徴とする屋内クレーンの自動運転装置。
  2. 請求項1に記載の屋内クレーンの自動運転装置において、
    前記アシスト装置は、前記測位信号に基づいた前記被搬送物の現在位置と目標位置と姿勢とに関する情報を用いて、自律して前記補助を行うことを特徴とする屋内クレーンの自動運転装置。
  3. 請求項1に記載の屋内クレーンの自動運転装置において、
    前記アシスト装置を操作するための操作手段を備えており、
    作業者が前記操作手段を用いて前記アシスト装置を操作して前記補助を行うことを特徴とする屋内クレーンの自動運転装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の屋内クレーンの自動運転装置において、
    前記被搬送物を搬送する目標位置近傍に前記アシスト装置を配置し、前記被搬送物を前記目標位置に位置させる直前に、前記アシスト装置によって前記補助を行うことを特徴とする屋内クレーンの自動運転装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の屋内クレーンの自動運転装置において、
    前記作業エリア内にいる作業者に装着された、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信する第2の航法用受信機を備え、
    前記制御手段は、前記第1の航法用受信機が受信した測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置及び姿勢情報から前記作業エリア内における退避領域を算出し、前記第2の航法用受信機が受信した測位信号に基づき認識された前記作業エリア内における前記作業者の位置を算出し、前記退避領域及び前記作業者の位置の位置関係に応じて前記屋内クレーンの自動移動動作を制御することを特徴とする屋内クレーンの自動運転装置。
  6. 請求項5に記載の屋内クレーンの自動運転装置において、
    前記作業者に装着された、前記屋内クレーンが接近していることを報知する警報手段を備え、前記制御手段は、前記退避領域及び前記作業者の位置の位置関係に応じて前記警報手段を制御することによって前記作業者に対し前記屋内クレーンが接近していることを報知することを特徴とする屋内クレーンの自動運転装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つに記載の屋内クレーンの自動運転装置において、
    前記吊り治具に装着された、前記吊り治具と周辺に存在するランドマークとの間の距離を測定する測距センサを備え、前記制御手段は、前記測距センサによって測定された距離と所定の閾値との大小関係に基づいて前記屋内クレーンの自動移動動作を制御することを特徴とする屋内クレーンの自動運転装置。
  8. 屋内位置測定システムを用いて作業エリア内において被搬送物を搬送する屋内クレーンを制御する屋内クレーンの自動運転方法であって、
    前記被搬送物を把持する前記屋内クレーンの吊り治具に装着された第1の航法用受信機が、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信するステップと、
    制御手段が、前記第1の航法用受信機が受信した前記測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置と目標位置との偏差を算出し、算出された現在位置と目標位置との偏差に基づいて前記被搬送物の現在位置が目標位置になるように前記屋内クレーンを自律移動させるステップと、
    前記被搬送物または前記吊り治具に連結された紐状体の繰り出し及び巻き取りを行うリール機構を有する、1台以上のアシスト装置によって、前記紐状体にて前記被搬送物または前記吊り治具を保持し、水平面内における前記被搬送物の位置調整及び姿勢調整の補助を行うステップと、
    を含むことを特徴とする屋内クレーンの自動運転方法。
  9. 請求項8に記載の屋内クレーンの自動運転方法において、
    前記アシスト装置は、前記測位信号に基づいた前記被搬送物の現在位置と目標位置と姿勢とに関する情報を用いて、自律して前記補助を行うことを特徴とする屋内クレーンの自動運転方法。
  10. 請求項9に記載の屋内クレーンの自動運転方法において、
    前記アシスト装置を操作するための操作手段を作業者が用いて、前記アシスト装置を操作して前記補助を行うことを特徴とする屋内クレーンの自動運転方法。
  11. 請求項8乃至10のいずれか1つに記載の屋内クレーンの自動運転方法において、
    前記被搬送物を搬送する目標位置近傍に前記アシスト装置を配置し、前記被搬送物を前記目標位置に位置させる直前に、前記アシスト装置によって前記補助を行うことを特徴とする屋内クレーンの自動運転方法。
  12. 請求項8乃至11のいずれか1つに記載の屋内クレーンの自動運転方法において、
    前記作業エリア内にいる作業者に装着された第2の航法用受信機が、前記屋内位置測定システムの1つ以上の航法用送信機から射出された回転ファンビームを測位信号として受信するステップと、
    前記制御手段が、前記第1の航法用受信機が受信した測位信号に基づき認識された前記被搬送物の現在位置及び姿勢情報から前記作業エリア内における退避領域を算出し、前記第2の航法用受信機が受信した測位信号に基づき認識された前記作業エリア内における前記作業者の位置を算出し、前記退避領域及び前記作業者の位置の位置関係に応じて前記屋内クレーンの自動移動動作を制御するステップと、を含むことを特徴とする屋内クレーンの自動運転方法。
  13. 請求項12に記載の屋内クレーンの自動運転方法において、
    前記退避領域及び前記作業者の位置の位置関係に応じて前記作業者に装着された警報手段を制御することによって前記作業者に対し前記屋内クレーンが接近していることを報知するステップを含むことを特徴とする屋内クレーンの自動運転方法。
  14. 請求項8乃至13のいずれか1つに記載の屋内クレーンの自動運転方法において、
    前記吊り治具に装着された測距センサが、前記吊り治具と周辺に存在するランドマークとの間の距離を測定するステップと、
    前記制御手段が、前記測距センサによって測定された距離と所定の閾値との大小関係に基づいて前記屋内クレーンの自動移動動作を制御するステップと、
    を含むことを特徴とする屋内クレーンの自動運転方法。
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