(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る使い捨ておむつは、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、前記吸収コアの前記幅方向の中心の両外側に配置され、かつ前記前後方向に延びる一対の股下伸縮部と、を備え、前記吸収コアは、前記吸収コアの最大幅よりも前記幅方向の長さが短い幅狭部を有する使い捨ておむつであって、前記股下伸縮部の少なくとも一部は、前記幅狭部において前記吸収コアの外側縁よりも幅方向の内側に配置されており、前記股下伸縮部の後端縁は、前記幅狭部の後端縁よりも前側に配置されている。
本態様によれば、股下域の吸収コアは、股下伸縮部の収縮によって身体側に引き上げられる。一対の股下伸縮部が幅方向の中心の両外側に位置しており、股下伸縮部の収縮によって股下伸縮部と重なる部位が引き上げられ、当該股下伸縮部によって挟まれた領域は、身体に沿うような平坦な形状を維持しつつ引き上げられる。一対の股下伸縮部は、吸収コアの外側縁よりも幅方向の内側に位置し、一対の股下伸縮部間の領域は、股下伸縮部よりも幅方向の外側の領域に対して身体側に引き上げられる。よって、身体の股間に対するフィット性を確保できる。
また、一対の股下伸縮部間の領域が身体側に引き上げられると、幅狭部と股下伸縮部が幅方向に重なる領域において幅狭部が幅方向の内側に引っ張られ、股下伸縮部の後端縁と幅狭部の後端縁を繋ぐ折れ線が形成される。一対の股下伸縮部による変形は、これらの折れ線に沿って吸収コアの側縁に導かれ、股下伸縮部による変形が後胴回り域に伝達することを抑制できる。臀部に対するフィット性を確保し、後漏れを抑制できる。加えて、股下伸縮部の後端縁と幅狭部の後端縁を繋ぐ折れ線が形成されることにより、当該折れ線の距離が短くなるような変形を抑制し、幅狭部の後端縁が幅方向の内側に移動する力に対して対向する。よって、幅狭部の後端縁が幅方向の内側に移動し難く、後胴回り域における吸収コアの幅を確保できる。よって、吸収コアによって広い面積で臀部を覆うことができ、漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記股下伸縮部の前端縁は、前記幅狭部の前端縁よりも後側に配置されてよい。
本態様によれば、一対の股下伸縮部間の領域が凸状に変形すると、股下伸縮部の前端縁と幅狭部の前端縁を繋ぐ折れ線も形成される。股下伸縮部による変形が前胴回り域に伝達することを抑制できる。腹部に対するフィット性を確保し、前漏れを抑制できる。また、幅狭部の前端縁が幅方向の内側に移動する力に対して股下伸縮部の前端縁と幅狭部の前端縁を繋ぐ折れ線が対向し、前胴回り域における吸収コアの幅を確保できる。よって、吸収コアによって広い面積で腹部を覆うことができ、漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記股下伸縮部と前記吸収コアの外側縁との距離は、前記吸収コアの外側縁間の長さに対する1/4以上であってよい。
本態様によれば、股下伸縮部を基点として身体側に凸状に変形すると、股下伸縮部よりも幅方向の外側の領域は、凸状の変形を支持する領域となる。股下伸縮部よりも幅方向の外側の領域は、吸収コアの幅方向の全域に対する1/4以上であるため、凸状の変形を安定して支持し、凸形状を維持し易くなる。また、股下伸縮部よりも幅方向の外側の領域の剛性が高くなることにより、吸収コアの幅狭部が凸状に変形し過ぎず、吸収コアによって身体を覆う面積を確保できる。吸収コアによって広い面積で身体を覆うことにより、漏れをより抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収コアよりも肌面側に配置され、前記吸収コアの外側部を覆う一対のサイドシートを有し、前記サイドシートは、防漏弾性部材の収縮によって起立する収縮部及び前記収縮部よりも前記幅方向の外側において前記収縮部の起立支点となる基点部を有する一対の防漏ギャザーを構成し、前記収縮部の頂点と前記基点部との前記幅方向の距離は、前記幅狭部における吸収コアの外側縁と前記股下伸縮部との前記幅方向の距離よりも長くてよい。
本態様によれば、防漏ギャザーは、防漏弾性部材の収縮によって収縮部を頂点として着用者側に起立する。起立時の防漏ギャザーの最大高さは、収縮部の頂点と基点部との前記幅方向の距離となる。また、幅狭部が設けられた領域における凸状の変形の最大高さは、吸収コアの幅狭部の外側縁と股下伸縮部との距離となる。収縮部の頂点と基点部との距離が、吸収コアの幅狭部の外側縁と股下伸縮部との距離よりも長いため、凸状の変形の高さよりも防漏ギャザーの高さが高くなり、防漏ギャザーによって横漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記股下伸縮部は、前記吸収コアの幅方向の中心に対する一方側に配置された第1股下伸縮部と、前記吸収コアの幅方向の中心に対する他方側に配置された第2股下伸縮部と、を有し、前記第1股下伸縮部及び前記第2股下伸縮部は、前記幅方向に間隔を空けて配置された複数の弾性部材をそれぞれ有しており、前記第1股下伸縮部の前記弾性部材間の距離及び前記第2股下伸縮部の前記弾性部材間の距離は、前記吸収コアの厚さに対する3倍以下であってよい。
本態様によれば、第1股下伸縮部及び第2股下伸縮部がそれぞれ複数の弾性部材を有することにより、吸収コアを引き上げる力が強くなり、吸収コアの凸形状をより維持し易い。また、弾性部材間の距離が吸収コアの厚さに対する3倍よりも離れていると、各弾性部材が独立して吸収コアを引き上げ、弾性部材が一体化して吸収コアを引き上げにくいことがある。弾性部材間の距離が吸収コアの厚さに対する3倍以下であるため、第1股下伸縮部の複数の弾性部材が一体化して吸収コアを引き上げるとともに、第2股下伸縮部の複数の弾性部材が一体化して吸収コアを引き上げることができる。よって、吸収コアの凸形状をより形成し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記股下域の前記吸収コアには、前記一対の股下伸縮部間において周囲の領域よりも剛性が高い高剛性部が設けられており、前記高剛性部は、前記吸収コアの前記幅方向の中心を跨いでよい。
本態様によれば、高剛性部によって剛性が高められ、吸収コアが身体に沿うような面形状になり易い。一対の股下伸縮部間の領域が凸状に変形し過ぎず、吸収コアによって身体を覆う面積を確保できる。また、吸収コアの幅方向の中心を跨がって高剛性部が設けられているため、身体の排泄口に対して吸収コアを沿わせて配置し、体液の引き込み性を高め、漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記後胴回り域において少なくとも前記幅方向に伸縮する腰回り伸縮部を有し、前記腰回り伸縮部は、前記幅狭部よりも後側かつ前記股下伸縮部よりも前記幅方向の外側において前記吸収コアに重なる領域に配置されてよい。
本態様によれば、幅狭部の後端縁には、上述のように、股下伸縮部の後端縁から延びる折れ線が到達する。折れ線は、幅狭部の後端縁が幅方向の内側に移動する力に対して対向し、幅狭部の後端縁が幅方向の内側に移動し難くなる。
腰回り伸縮部と重なる領域の吸収コアは、腰回り伸縮部の収縮によって幅方向の長さが短くなる。このとき、幅狭部よりも後側かつ股下伸縮部よりも幅方向の外側の領域は、腰回り伸縮部の収縮によって幅狭部の後端縁を基点に幅方向の内側に変形し易い。このとき、幅狭部の後端縁は、変形基点となり、幅方向の内側に移動しにくい。股下伸縮部よりも後側に位置する幅狭部の後端縁が幅方向の内側により移動し難くなり、後胴回り域における吸収コアの幅方向の長さをより確保し易く、後漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記腰回り伸縮部は、第1領域と、前記第1領域よりも前記幅方向の伸長率が高い第2領域と、を有し、前記股下伸縮部の前記後端縁から後側に延びる第1延長線上には、前記第1領域が配置されてよい。
本態様によれば、股下伸縮部の前記後端縁から後側に延びる第1延長線上に第1領域が設けられているため、股下伸縮部の収縮によって凸状に変形する領域は、腰回り伸縮部の収縮によって幅方向に縮まりにくく、凸状の変形状態を維持しやすい。
好ましい一態様によれば、股下伸縮部よりも前記幅方向の外側の領域から後側に延びる第2延長線上には、前記第2領域が配置されてよい。
本態様によれば、第2延長線上に第2領域が設けられているため、吸収コアの股下伸縮部よりも幅方向の外側の領域が、幅狭部の後端縁を基点に幅方向の内側により変形し易くなる。股下伸縮部よりも後側に位置する幅狭部の後端縁が幅方向の内側により移動し難くなり、後胴回り域における吸収コアの幅方向の長さをより確保し易く、後漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記後胴回り域に配置され、かつ前記前胴回り域に係合する係合部を有するファスニングテープと、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側において前記前後方向に伸縮する脚回り伸縮部と、を備え、前記係合部の内側縁における前端縁と前記股下伸縮部の後端縁とを繋ぐ第1仮想線上には、前記脚回り伸縮部が配置されてよい。
本態様によれば、係合部の内側縁における前端縁と前記股下伸縮部の後端縁とを繋ぐ第1仮想線には、装着時にファスニングテープが引っ張られた際に幅方向の外側に引っ張られる力が作用する。装着時の操作によって股下伸縮部の後端縁が幅方向の外側に引っ張られ、股下伸縮部によって身体側に凸状に変形した吸収コアも幅方向の外側に引っ張られる。よって、吸収コアの凸状に変形が幅方向の内側に倒れることを抑制し、凸状の変形状態を維持しやすい。また、第1仮想線上に脚回り伸縮部が配置されており、装着時に脚回り伸縮部も引き上げることができる。よって、股間の排泄口に対するフィット性と、脚回りに対するフィット性と、を向上させることができ、漏れをより抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記後胴回り域に配置され、かつ前記前胴回り域に係合する係合部を有するファスニングテープを有し、前記股下伸縮部よりも後側の前記吸収コアには、前記後側に向かって前記幅方向の外側に向かって延び、かつ前記幅方向に間隔を空けて配置された一対の変形基点部が設けられており、前記変形基点部は、前記股下伸縮部の後端縁と前記幅狭部の後端縁を繋ぐ第2仮想線よりも前記幅方向の内側に配置されてよい。
本態様によれば、股下伸縮部の後端縁と幅狭部の後端縁を繋ぐ第2仮想線は、幅狭部の後端縁が幅方向の内側に移動する力に対向する折れ線となり、当該折れ線によって挟まれた領域は、身体を覆うように配置される。当該領域内における股下伸縮部よりも後側は、変形基点部によって変形する。変形基点部は、後側に向かって幅方向の外側に向かって延びており、吸収コアには、後胴回り域から股下域に向かって幅方向の内側に延びる変形基点が形成される。
テープ型の使い捨ておむつを装着するために、後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張った際に、吸収コアは、後胴回り域から股下域に向かって幅方向の内側に延びる基点によって変形する。これにより、股下域側に向かって幅方向の長さが短くなるように吸収コアを変形させることができる。股下域の吸収コアは、一対の股下伸縮部の収縮によって身体側に凸状に変形する。よって、股下域の吸収コアが身体側に沿って配置される。よって、着用者の股間に吸収コアを適切に収めることができる。着用者の臀部に対して吸収コアを広い面積で覆いつつ、着用者の両足間の隙間に吸収コアをコンパクトに収めることができる。着用者の臀部から股間にかけて吸収コアがフィットし、漏れをより抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記第2仮想線の前記幅方向に対する角度は、前記変形基点部の前記幅方向に対する角度よりも小さくてよい。
本態様によれば、第2仮想線の幅方向に対する角度が小さいため、幅狭部の後端縁の幅方向の内側への移動をより抑制でき、後胴回り域における吸収コアの幅をより確保できる。また、変形基点部の幅方向に対する角度が比較的大きいため、第2仮想線によって挟まれた領域を部分的に変形させ、変形基点部よりも幅方向の外側の領域によって身体を覆うことができる。よって、吸収コアが広い面積で臀部を覆うことができ、漏れを抑制できる。
(2)使い捨ておむつの全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る使い捨ておむつについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
使い捨ておむつは、テープ型の使い捨ておむつであってもよいし、パンツ型の使い捨ておむつであってよい。図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の肌面側から見た平面図であり、図2は、実施形態に係る吸収コアを肌面側から見た平面図である。図1及び図2に示す平面図は、伸長状態の使い捨ておむつを示している。図3は、図1に示す使い捨ておむつのA−A断面に沿った模式断面図である。図4は、図1に示す使い捨ておむつのB−B断面に沿った模式断面図である。図5は、図1に示す使い捨ておむつのC−C断面に沿った模式断面図である。なお、本発明における伸長状態とは、使い捨ておむつ10を皺が形成されない状態まで伸長させた状態である。また、本発明における自然状態とは、パッケージに収容されている使い捨ておむつ10にあっては、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態である。
使い捨ておむつ10は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された使い捨ておむつ10において前後に延びる方向である。また、使い捨ておむつ10は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌面側T1と、肌面側と反対側の非肌面側T2と、に延びる。
使い捨ておむつ10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)に対向する領域であり、装着時に身体(臀部)が載せられる領域を含む。股下域S3は、着用者の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。股下域S3は、着用者の脚回りに配置される脚回り開口部が設けられた領域である。脚回り開口部は、使い捨ておむつの外側縁から幅方向の内側に凹む部分である。
使い捨ておむつ10は、吸収材料を含む吸収コア31を含む。吸収コア31は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア31は、コアラップ32によって覆われてよい。吸収コア31とコアラップ32によって吸収体30が構成されてよい。コアラップ32は、テッシュによって構成され、吸収コア31の肌面側T1と吸収コアの非肌面側に配置されてよい。
図1及び図3に示すように、吸収コア31を含む吸収体30の肌面側T1には、表面シート21及びサイドシート22が設けられてよい。表面シート21は、吸収体30の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよい。サイドシート22は、表面シート21及び吸収コア31の外側部を覆うように一対で配置されてよい。表面シート21及びサイドシート22は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような透液性シートによって構成されていてよい。サイドシート22の内側部は、折り返されて重なってよい。重なったサイドシート22間には、前後方向Lに伸縮する防漏伸縮部43が設けられてよい。防漏伸縮部43は、前後方向Lに伸縮する糸ゴムによって構成されてよい。サイドシート22と防漏伸縮部43は、着用時に肌面側T1に起立する防漏ギャザー60を構成する。
図1及び図3に示すように、防漏ギャザー60は、防漏伸縮部43の収縮によって起立する収縮部61と、収縮部61よりも幅方向Wの外側において収縮部の起立支点となる基点部62と、を有する。基点部62では、サイドシート22が表面シート21に接合されている。サイドシート22は、基点部62よりも幅方向の内側において表面シート21に接合されてなく、表面シート21に対して起立可能に構成されている。
吸収体30の非肌面側T2には、裏面シート23及び外装シート24が設けられてよい。外装シート24は、裏面シート23の非肌面側T2に設けられてよい。裏面シート23の幅方向Wの長さは、外装シート24の幅方向Wの長さよりも短く、裏面シート23の前後方向Lの長さは、外装シート24の前後方向Lの長さよりも短い。裏面シート23は、液不透過性のフィルムによって構成されてよい。外装シート24は、液透過性の不織布によって構成されてよい。
後胴回り域の外側部には、ファスニングテープ91が設けられている。ファスニングテープ91は、ベース部92と係合部93を有する。ベース部92は、厚さ方向Tにおいて外装シート24及びサイドシート22の間に配置され、幅方向Wにおいて外装シート24及びサイドシート22から外側に延出している。係合部93は、ベース部92上に配置されており、ターゲット部95(図5参照)に係合する。ターゲット部95は、前胴回り域S1において幅方向に間隔を空けて配置されており、ファスニングテープ91がそれぞれ止着するように構成されている。
裏面シート23と吸収体30の間には、インジケータ51が配置されてよい。インジケータ51は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。インジケータ51は、後述する低坪量部33の間に配置されている。インジケータ51は、吸収体が体液を吸収することによって変色し、使い捨ておむつ10の非肌面側T2から体液の吸収状態を把握できるように構成されている。
使い捨ておむつ10は、吸収コア31よりも幅方向の外側において前後方向に伸縮する脚回り伸縮部42を有してよい。脚回り伸縮部42は、サイドシート22と裏面シート23の間、及びサイドシート22と外装シート24の間に設けられてよい。脚回り伸縮部42は、前後方向Lに伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されている。脚回り伸縮部42の収縮によって、着用時に使い捨ておむつ10の脚回り開口部が脚回りにフィットする。
使い捨ておむつ10は、後胴回り域において少なくとも幅方向に伸縮する腰回り伸縮部45を有してよい。腰回り伸縮部45は、使い捨ておむつの後端縁に沿って幅方向Wに延びる。腰回り伸縮部45は、裏面シート23と外装シート24の間、表面シート21と外装シート24の間、及びサイドシート22と外装シート24の間に設けられてよい。腰回り伸縮部45の後端縁は、使い捨ておむつの後端縁よりも前側に位置し、腰回り伸縮部45の前端縁は、吸収コア31の後端縁よりも前側に位置してよい。腰回り伸縮部45は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に延出してよい。腰回り伸縮部45は、幅方向Wに伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されている。
使い捨ておむつ10は、股下域の吸収コア31に重なる領域に設けられた一対の股下伸縮部41を有してよい。股下伸縮部41は、吸収コア31よりも非肌面側に配置されている。股下伸縮部41は、裏面シート23と外装シート24の間に設けられてよい。股下伸縮部41は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されている。股下伸縮部41は、吸収コア31の幅方向Wの中心に配置されてなく、吸収コア31の幅方向Wの中心に対する両側にそれぞれ2本ずつ配置されている。よって、股下伸縮部41の収縮によって、股下伸縮部41と重なる領域の吸収コアが、吸収コアの幅方向の中心よりも身体側に引き上げられる。一対の股下伸縮部41は、吸収コア31の外側縁よりも幅方向の内側に位置してよい。一対の股下伸縮部41間に位置する領域は、一対の股下伸縮部41よりも幅方向の外側の領域に対して身体側に引き上げられる。よって、吸収コアの幅方向の中心が側部を基点として凸状に変形し、身体の股間に対するフィット性を確保できる。股下伸縮部41は、吸収コア31の幅方向Wの中心に対する一方側に配置された第1股下伸縮部411と、吸収コア31の幅方向Wの中心に対する他方側に配置された第2股下伸縮部412と、を有してよい。第1股下伸縮部411及び第2股下伸縮部412は、幅方向Wに間隔を空けて配置された複数の弾性部材をそれぞれ有している。股下伸縮部41は、前後方向Lに沿って配置された糸ゴムによって構成されている。なお、他の形態において、股下伸縮部41は、前後方向に伸縮する帯状の伸縮シートによって構成されてよいし、1本の糸ゴムによって構成されていてもよいし、3本以上の糸ゴムによって構成されてもよい。また、本発明において重なっている状態とは、平面視にて一方の部材と他方の部材が重なっている状態であり、一方の部材の肌面側又は非肌面側に他方の部材が配置されている状態である。重なっている状態では、一方の部材と他方の部材が互いに接している状態のみならず、一方の部材と他方の部材の間に他の部材が介在している構成も含む。
股下伸縮部41は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCを跨がってよい。股下伸縮部41の収縮によって、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCを身体側に引き上げることができる。特に、使用前に使い捨ておむつの肌面側どうしが向き合うように二つに折り畳まれた形態にあっては、折り畳みによる折り癖を引き上げることができる。
股下伸縮部41の少なくとも一部は、後述する幅狭部35において吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置する。股下伸縮部41の少なくとも一部は、前後方向において幅狭部35の範囲内に配置されている。股下伸縮部41の後端縁41Rは、幅狭部35の後端縁35Rよりも前側に配置されている。また、股下伸縮部41の前端縁41Fは、幅狭部35の前端縁35Fよりも後側に配置されてよい。吸収コア31の股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側には、股下伸縮部41の収縮力が作用し難い領域が設けられる。図3において、吸収コア31において股下伸縮部41よりも外側に位置するサイド領域R31と、サイド領域R31の間の中央領域R32と、を示す。サイド領域R31は、最も幅方向Wの外側に位置する股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側に位置する領域である。中央領域R32は、股下伸縮部41と重なる領域及び股下伸縮部41よりも幅方向Wの内側に位置する領域を合わせた領域である。中央領域R32は、股下伸縮部41の収縮によって、サイド領域R31に対して身体側に引き上げられる。着用時の吸収コア31の変形態様については、後述にて詳細に説明する。
また、本発明における防漏伸縮部43、脚回り伸縮部42、腰回り伸縮部45、及び股下伸縮部41を含む伸縮部は、糸ゴムや伸縮性シートなどの弾性部材が伸縮可能な状態で配置された部分であり、伸縮しない状態で弾性部材が配置された部分を含まない。すなわち、伸縮部は、伸縮部を構成する弾性部材の有効長部分である。なお、他の形態において、股下伸縮部41は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCを跨がってなく、中心10LCよりも前側のみに配置されていてもよいし、中心10LCよりも後側のみに配置されていてもよい。
(3)吸収コアの構成
次いで、図2を参照し、吸収コア31の構成について詳細に説明する。吸収コア31は、吸収コア31の最大幅31Mよりも幅方向の長さが短い幅狭部35と、幅狭部35の前後方向の外側に配置された幅広部と、を有する。幅狭部35は、前後に配置された幅広部の間に配置されている。幅狭部35の幅方向の長さは、前後方向Lの外側に向かって長くなっている。吸収コア31の平面視の形状は、砂時計形状である。なお、吸収コア31のみならず、コアラップを含んだ吸収体の形状が、砂時計形状であってもよい。
吸収コア31は、周囲の領域よりも吸収材料の坪量が低い低坪量部33を有してよい。低坪量部33は、前後方向Lに沿って設けられている。低坪量部33は、前後方向Lに延びていればよく、前後方向Lに対して平行であってもよいし、前後方向Lに対して90度未満の角度で傾斜してもよい。
低坪量部33は、周囲の吸収コア31よりも吸収材料の坪量が低い部分であり、周囲の吸収コア31よりも厚さが薄く、かつ剛性が低い。よって、低坪量部33は、装着状態で変形基点となり易い。吸収コア31には、着用状態で前後方向に延びる変形基点が形成され易い。低坪量部33は、吸収材料の坪量が実質的に零の部分(設計上の坪量が0であるが、周囲の吸収材料が混入した部分を含む)であってもよいし、周囲よりも少ない坪量の吸収材料が配置された部分であってもよい。低坪量部33は、幅方向Wに一定の長さを有するスリットであってもよいし、幅方向Wの長さが実施的に零である切り込みであってもよい。各低坪量部33の幅方向Wの長さは、2mm以上10mm以下であってよく、より好適には、吸収コア31の厚さ以上、8mm以下でよい。低坪量部33の幅方向の長さが吸収コア31の厚さ以上であることにより、低坪量部33を基点に吸収コア31が厚さ方向に変形し易くなる。また、低坪量部33の幅方向の長さが8mm以下であることにより、低坪量部の幅方向の長さが長いことによる吸収性能に対する不安感を抑制できる低坪量部33の前後方向Lの長さは、30mm以上180mm以下であってよい。
低坪量部33は、幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。低坪量部33は、使い捨ておむつの幅方向の中心10WCの両側に、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。低坪量部33の前後方向の中心は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCよりも後側に配置されてよい。低坪量部33の前端縁33Fは、股下伸縮部41の前端縁41Fよりも前側に位置してよく、低坪量部33の後端縁33Rは、股下伸縮部41の後端縁41Rと一致又は後端縁41Rよりも前側に位置してよい。低坪量部33の外側縁は、股下伸縮部41を構成する糸ゴムのうち幅方向の外側に位置する糸ゴムと幅方向において一致していてよく、低坪量部33の内側縁は、股下伸縮部41を構成する糸ゴムのうち幅方向の内側に位置する糸ゴムと幅方向において一致していてよい。
吸収コア31は、周囲の領域よりも剛性が高い高剛性部70を有してよい。高剛性部70は、一対の股下伸縮部41の間に配置された中央高剛性部71と、股下伸縮部41よりも後側に配置された後高剛性部72と、股下伸縮部41よりも前側に配置された前高剛性部73と、を有してよい。中央高剛性部71、後高剛性部72及び前高剛性部73は、それぞれ前後方向Lにおいて離間している。
高剛性部70は、周囲の領域よりも曲げ剛性が高い領域である。高剛性部70は、周囲の領域よりも目付が高い部分であってもよいし、吸収コア31が厚さ方向に圧縮された部分であってもよい。本実施の形態の高剛性部70は、吸収コア31が圧縮された圧搾部が設けられた部分である。圧搾部は、少なくとも吸収コア31を厚さ方向Tに圧搾することによって形成されていればよく、コアラップ32等の他の部材と吸収コア31とが圧搾されることによって形成されてもよい。
中央高剛性部71は、一対の低坪量部33間の領域に設けられている。中央高剛性部71の前端縁71Fは、低坪量部33の前端縁33Fと一致又は低坪量部33の前端縁33Fよりも後側に位置してよい。中央高剛性部71の後端縁71Rは、低坪量部33の後端縁33Rよりも前側に位置してよい。中央高剛性部71の前後方向の中心は、低坪量部33の前後方向中心よりも前側に配置されてよい。中央高剛性部71は、幅方向Wにおいて、低坪量部33と間隔を空けて配置されてよい。中央高剛性部71は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LC及び使い捨ておむつの幅方向Wの中心10WCを跨がってよい。
股下伸縮部41は、中央高剛性部71の幅方向の中心よりも両側に位置し、中央高剛性部71よりも後側に延出してよい。吸収コア31は、中央高剛性部71よりも後側において股下伸縮部41が配置された第1領域R41と、中央高剛性部71と股下伸縮部41が厚さ方向又は幅方向において重なった第2領域R42と、股下伸縮部41よりも前側において中央高剛性部71が配置された第3領域R43と、を有してよい。第1領域R41と第2領域R42は、前後方向Lにおいて隣接しており、第2領域R42と第3領域R43は、前後方向Lにおいて隣接している。第1領域R41の後端縁は、股下伸縮部41の後端縁41Rと一致し、第1領域R41の前端縁は、中央高剛性部71の後端縁71Rと一致する。第2領域R42の後端縁は、第1領域R41の前端縁と一致し、第2領域R42の前端縁は、股下伸縮部41の前端縁41Fと一致する。第3領域R43の後端縁は、第2領域R42の前端縁と一致し、第3領域R43の前端縁は、中央高剛性部71の前端縁71Fと一致する。
後高剛性部72は、低坪量部33よりも後側に配置されてよい。後高剛性部72の外側縁は、後側に向かって幅方向Wの外側に延びてよい。後高剛性部72の前端縁の幅方向Wの長さは、中央高剛性部71の幅方向Wの長さよりも長くてよい。後高剛性部72は、使い捨ておむつの幅方向Wの中心10WCを跨がってよい。
前高剛性部73は、低坪量部33よりも前側に配置されてよい。前高剛性部73は、使い捨ておむつの幅方向Wの中心10WCの両側に、幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。前高剛性部73の前端縁は、幅方向Wの外側に向かって前側に延びてよい。
吸収コア31には、股下伸縮部41よりも後側に設けられた一対の変形基点部85を有してよい。変形基点部85は、股下伸縮部41よりも後側において、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて一対で配置されている。変形基点部85は、吸収コア31が厚さ方向に変形する基点となる。本実施の形態の変形基点部85は、後高剛性部72の外側部72Sによって構成されている。変形基点部85は、変形基点の縁となる基点縁85Eを有する。基点縁は、吸収コア31の厚さの折れ線が形成される縁である。本実施の形態の基点縁85Eは、後高剛性部72の外側縁72Eである。本実施の形態の変形基点部85は、基点縁85Eから吸収コア31の厚さ分まで幅方向Wの内側に延びる領域を含んでいる。
ここで、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外側の縁である。また、内側部とは、幅方向Wにおける内側の縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内側の縁である。なお、変形基点部85は、吸収コア31が厚さ方向に変形する基点となればよく、圧搾部による高剛性部の外側部に限定されない。他の態様における変形基点部については、後述にて説明する。
(4)使い捨ておむつの装着時の変形態様
次いで、図6から図8に基づいて、使い捨ておむつ10の装着時の変形態様について説明する。図6は、使い捨ておむつのA−A断面における装着状態を模式的に示した図である。図7は、実施形態に係る使い捨ておむつの装着状態を模式的に示した図であり、寝た状態の着用者を正面側から視認した図である。図8は、着用時の吸収コアの変形態様を説明するための図であり、吸収コアの平面を示している。図9における実線は、変形前の吸収コア31及び股下伸縮部41を示しており、二点鎖線は、変形後の吸収コア31及び股下伸縮部41を示している。図7では、説明の便宜上、吸収コア31、股下伸縮部41及び腰回り伸縮部45のみを示し、その他の部材は省略して示している。図9は、使い捨ておむつのB−B断面における装着時の吸収体の変形態様を説明するための図である。なお、図6に示すラインBLは、着用者の身体のラインを示している。
股下域S3の吸収コア31は、股下伸縮部41の収縮によって身体側に引き上げられる。一対の股下伸縮部41が幅方向Wの中心の両外側に位置しており、股下伸縮部41の収縮によって股下伸縮部41と重なる部位が引き上げられ、左右の股下伸縮部41によって挟まれた領域は、身体に沿うような平坦な形状を維持しつつ引き上げられる。一対の股下伸縮部41は、吸収コア31の外側縁31Eよりも幅方向の内側に位置し、一対の股下伸縮部41間に位置する中央領域R32は、サイド領域R31に対して身体側に引き上げられる。よって、吸収コアの幅方向の中心が側部を基点として凸状に変形し、身体の股間に対するフィット性を確保できる。また、中央領域R32が身体側に引き上げられると、幅狭部35と股下伸縮部41が幅方向に重なる領域において幅狭部35が幅方向の内側に引っ張られ、股下伸縮部41の後端縁41Rと幅狭部35の後端縁35Rを繋ぐ第1折れ線FL1が形成される。図2に示すように、第1折れ線FL1は、股下伸縮部41の後端縁41Rから幅方向の両側に位置する吸収コア31の外側縁31Eに到達している。本実施の形態のように股下伸縮部41が複数の弾性部材によって構成されている場合には、第1折り線FL1は、幅方向の外側に位置する弾性部材の後端縁と幅狭部35の後端縁35Rを繋ぐように形成され易い。一対の股下伸縮部41による変形は、これらの第1折れ線FL1に沿って吸収コア31の外側縁31Eに導かれ、股下伸縮部41による変形が後胴回り域側に伝達することを抑制できる。臀部に対するフィット性を確保し、後漏れを抑制できる。
加えて、第1折れ線FL1が形成されることにより、第1折れ線FL1の距離が短くなるような変形を抑制し、幅狭部35の後端縁35Rが幅方向の内側に移動する力に対して対向する。よって、幅狭部35の後端縁35Rが幅方向Wの内側に移動し難く、後胴回り域S2における吸収コア31の幅を確保できる。よって、吸収コアによって広い面積で臀部を覆うことができ、漏れを抑制できる。
股下伸縮部41の前端縁41Fは、幅狭部35の前端縁35Fよりも後側に配置されてよい。中央領域R32がサイド領域R31に対して着用者側に引き上げられ、吸収コア31が凸状に変形すると、股下伸縮部41の前端縁41Fと幅狭部35の前端縁35Fを繋ぐ第2折れ線FL2も形成される。図2に示すように、第2折れ線FL2も、股下伸縮部41の前端縁41Fから幅方向の両側に位置する吸収コア31の外側縁31Eに到達している。本実施の形態のように股下伸縮部41が複数の弾性部材によって構成されている場合には、第2折り線FL2は、幅方向の外側に位置する弾性部材の前端縁と幅狭部35の前端縁35Fを繋ぐように形成され易い。股下伸縮部41による変形が前胴回り域S1側に伝達することを抑制できる。腹部に対するフィット性を確保し、前漏れを抑制できる。
また、幅狭部35の前端縁35Fが幅方向Wの内側に移動する力に対して第2折れ線FL2が対向し、前胴回り域S1における吸収コア31の幅を確保できる。よって、吸収コア31によって広い面積で腹部を覆うことができ、漏れをより抑制できる。
股下伸縮部41と吸収コア31の外側縁31Eとの距離W11は、吸収コア31の外側縁31E間の長さW12に対する1/4以上であってよい。ここでいう吸収コア31の外側縁31Eとは、股下伸縮部41から幅方向Wに延びる領域内における外側縁である。すなわち、股下伸縮部41を通り、かつ幅方向Wに延びる任意の直線上において、W11×4>W12を満たしていればよい。
股下伸縮部41を基点として身体側に凸状に変形すると、股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側の領域は、凸状の変形を支持する領域となる。股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側のサイド領域R31は、吸収コア31の幅方向の全域に対する1/4以上であるため、凸状の変形を安定して支持し、凸形状を維持し易くなる。また、股下伸縮部41よりも幅方向の外側の領域の剛性が高くなることにより、吸収コア31の幅狭部35が凸状に変形し過ぎず、吸収コア31によって身体を覆う面積を確保できる。吸収コアによって広い面積で身体を覆うことにより、漏れをより抑制できる。
図3に示すように、使い捨ておむつの伸長状態において、収縮部61の頂点と基点部62との幅方向の距離W21は、幅狭部35における吸収コア31の外側縁と股下伸縮部41との幅方向の距離W22よりも長くてよい。ここで、収縮部61の頂点は、サイドシート22の内側縁である。また、幅狭部35の幅方向の長さが変化する構成にあっては、幅狭部35及び股下伸縮部41を通り、かつ幅方向Wに延びる任意の直線上において、W21>W22を満たしていればよい。
防漏ギャザー60は、防漏伸縮部43の収縮によって収縮部61を頂点として着用者側に起立する。起立時の防漏ギャザー60の起立部の最大高さは、収縮部61の頂点と基点部62との幅方向の距離W21となる。また、幅狭部35が設けられた領域における凸状の変形の最大高さは、幅狭部35の外側縁と股下伸縮部41との距離W22となる。距離W21が距離W22よりも長いため、凸状の変形の高さよりも防漏ギャザー60の高さが高くなり、防漏ギャザー60によって横漏れを抑制できる。
第1股下伸縮部411の弾性部材間の距離及び第2股下伸縮部412の弾性部材間の距離は、吸収コアの厚さに対する3倍以下であってよい。ここで、吸収コア31の厚さは、吸収コアの最大厚さである。第1股下伸縮部411の弾性部材間の距離及び第2股下伸縮部412の弾性部材間の距離は、本実施の形態においては、2本の糸ゴム間の距離である。第1股下伸縮部411及び第2股下伸縮部412がそれぞれ複数の弾性部材を有することにより、吸収コアを引き上げる力が強くなり、吸収コアの凸形状をより維持し易い。第1股下伸縮部411の弾性部材間の距離及び第2股下伸縮部412の弾性部材間の距離が吸収コアの厚さに対する3倍よりも離れていると、各弾性部材が独立して吸収コアを引き上げ、弾性部材が一体化して吸収コアを引き上げにくいことがある。弾性部材間の距離が吸収コア31の厚さに対する3倍以下であるため、第1股下伸縮部411の複数の弾性部材が一体化して吸収コアを引き上げるとともに、第2股下伸縮部412の複数の弾性部材が一体化して吸収コアを引き上げることができる。よって、吸収コア31の凸形状をより形成し易くなる。
股下域S3の吸収コア31には、一対の股下伸縮部41間において周囲の領域よりも剛性が高い高剛性部が設けられてよい。高剛性部は、吸収コア31の幅方向の中心を跨いでよい。高剛性部によって剛性が高められ、吸収コアが身体に沿うような面形状になり易い。一対の股下伸縮部41間の領域が凸状に変形し過ぎず、吸収コア31によって身体を覆う面積を確保できる。また、吸収コア31の幅方向の中心を跨がって高剛性部が設けられているため、身体の排泄口に対して吸収コアを沿わせて配置し、体液の引き込み性を高め、漏れを抑制できる
なお、高剛性部は、中央高剛性部71であってもよいし、格子状に配置された図示しない格子圧搾部であってもよい。格子圧搾部は、少なくとも吸収コアを厚さ方向に圧縮して形成されてよく、一対の股下伸縮部41間の領域のみならず、吸収コアの全面に形成されていてもよい。
腰回り伸縮部45は、幅狭部35よりも後側かつ股下伸縮部41よりも幅方向Wの外側において吸収コア31に重なる領域R11に配置されてよい。幅狭部35の後端縁35Rには、上述のように、股下伸縮部41の後端縁41Rから延びる第1折れ線FL1が到達する。第1折れ線FL1は、幅狭部35の後端縁35Rが幅方向Wの内側に移動する力に対して対向し、幅狭部35の後端縁35Rが幅方向Wの内側に移動し難くなる。
図8に示すように、腰回り伸縮部45と重なる領域の吸収コア31は、腰回り伸縮部45の収縮によって幅方向Wの長さが短くなる。このとき、幅狭部35よりも後側かつ股下伸縮部41よりも幅方向の外側の領域R11は、腰回り伸縮部45の収縮によって幅狭部35の後端縁35Rを基点に幅方向Wの内側に変形し易い。このとき、幅狭部35の後端縁35Rは、変形基点となり、幅方向Wの内側に移動しにくい。股下伸縮部41よりも後側に位置する幅狭部35の後端縁35Rが幅方向Wの内側により移動し難くなり、後胴回り域S2における吸収コア31の幅方向Wの長さをより確保し易く、後漏れを抑制できる。
図8に示すように、腰回り伸縮部45は、第1領域451と、第1領域451よりも幅方向の伸長率が高い第2領域452と、を有し、股下伸縮部41の後端縁41Rから後側に延びる第1延長線EL1上には、第1領域451が配置されてよい。第2領域452は、使い捨ておむつの幅方向の中心を跨がる領域と、腰回り伸縮部45の外側部と、に設けられている。第1領域451は、第2領域452によって挟まれている。腰回り伸縮部45の第1領域451と第2領域452は、幅方向の伸長率が異なる。第1領域451は、伸長率が低く、第2領域452よりも収縮し難い。第1延長線EL1上に第1領域451が設けられているため、股下伸縮部41の収縮によって凸状に変形する領域は、腰回り伸縮部45の収縮によって幅方向に縮まりにくく、凸状の変形状態を維持しやすい。なお、股下伸縮部41を構成する弾性部材が複数設けられた形態にあっては、少なくともいずれかの弾性部材の第1延長線EL1上に第1領域451が配置されていればよい。
また、腰回り伸縮部45の伸長率は、製造時の伸長倍率を異ならせたり、弾性部材の配置本数を異ならせたりすることによって調整できる。また、腰回り伸縮部45を幅方向Wにおいてギアによって延伸加工する形態にあっては、かかるギアによって延伸する際に、伸長率を低くする領域(例えば、第1領域451)のギア延伸を弱くする。伸長率を高くする領域(例えば、第2領域452)のギア延伸を強くする。ギア延伸の強弱は、ギアの凸部の深さやギアの凸部のピッチやギア延伸の回数を変更することにより、調整することができる。強く延伸された領域の伸長率は、比較的高くなり、弱く延伸された領域の伸長率は、比較的低くなる。
股下伸縮部41よりも幅方向の外側に位置する領域(図8に示すサイド領域R31)から後側に延びる第2延長線EL2上には、第2領域452が配置されてよい。第2延長線EL2は、サイド領域R31から後側に延びる線であり、幅方向の位置が異なる位置に複数設けられる。いずれかの第2延長線EL2上に第2領域452が配置されていればよい。股下伸縮部よりも幅方向の外側の領域において吸収コア31が、幅狭部35の後端縁35Rを基点に幅方向の内側により変形し易くなる。股下伸縮部41よりも後側に位置する幅狭部35の後端縁35Rが幅方向Wの内側により移動し難くなり、後胴回り域S2における吸収コア31の幅方向Wの長さをより確保し易く、後漏れを抑制できる。
ファスニングテープ91の係合部93の内側縁における前端縁と股下伸縮部41の後端縁41Rとを繋ぐ第1仮想線VL1上には、脚回り伸縮部42が配置されてよい。テープ型の使い捨ておむつ10を装着する際は、まず、使い捨ておむつ10を展開した状態で使い捨ておむつ10の後胴回り域S2に着用者の臀部を載せる。そして、着用者の両脚の間に使い捨ておむつ10を通し、股下域側におむつを引っ張り、股下域によって身体を覆う。そして、ファスニングテープ91の係合部93を前胴回り域S1に止着する。
図1に示すように、係合部93の内側縁における前端縁と股下伸縮部の後端縁とを繋ぐ第1仮想線VL1には、装着時にファスニングテープ91が引っ張られた際に幅方向の外側に引っ張られる力が作用する。装着時の操作によって股下伸縮部41の後端縁41Rが幅方向Wの外側に引っ張られ、股下伸縮部41によって身体側に凸状に変形した吸収コア31も幅方向の外側に引っ張られる。よって、吸収コア31の凸状に変形が幅方向の内側に倒れることを抑制し、身体側に凸状の変形状態を維持しやすい。また、第1仮想線VL1上に脚回り伸縮部42が配置されており、装着時に脚回り伸縮部42も引き上げることができる。よって、股間の排泄口に対するフィット性と、脚回りに対するフィット性と、を向上させることができ、漏れをより抑制できる。
股下伸縮部41よりも後側の吸収コア31には、一対の変形基点部85が設けられてよい。装着時において、着用者の両脚の間に使い捨ておむつ10を通し、股下域側におむつを引っ張った際に、吸収コア31は、変形基点部85を基点に変形し易い。変形基点部85は、股下域に位置する股下伸縮部41よりも後側に設けられており、股下伸縮部41よりも後側に吸収コア31の変形基点が形成される。変形基点部85は、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びており、吸収コア31には、後胴回り域から股下域に向かって幅方向Wの内側に延びる変形基点が形成される。
よって、後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張った際に、吸収体は、後胴回り域から股下域に向かって幅方向Wの内側に延びる基点によって変形する。具体的には、変形基点部85が設けられている領域の吸収体は、図9に示すように、後高剛性部72の外側縁72E(変形基点部85の基点縁85E)を基点として変形し、外側縁72Eよりも幅方向Wの内側の領域が、外側縁72Eよりも幅方向Wの外側の領域よりも肌面側に配置される。外側縁72Eよりも幅方向Wの内側の領域が、外側縁72Eよりも幅方向Wの外側の領域よりも肌面側に配置される要因としては、股下伸縮部41の収縮によって吸収コア31の幅方向Wの中央が身体側に引き上げられること、装着者がおむつを引っ張る際には一般的に吸収コア31の幅方向Wの中央に力をかけるため、及び装着時に吸収性物品の外側部(例えば脚回り開口部近傍)が脚に引っ掛かった状態で吸収コア31の幅方向Wの中央が引き上げられるためである。吸収コア31は、変形基点部85を基点に変形することにより、股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形する。
図6及び図7に示すように、変形基点部85よりも前側に位置する吸収コア31は、一対の股下伸縮部41の収縮によって身体側に凸状に変形し、中央領域R32がサイド領域R31に対して立ち上がる。よって、股下域の吸収コア31が身体側に沿って配置され、着用者の股間に吸収コア31を適切に収めることができる。
着用者の臀部に対して吸収コア31を広い面積で覆いつつ、着用者の両足間の隙間に吸収コア31をコンパクトに収めることができる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置することにより、着用者の腹部を覆う位置まで前胴回り域を引っ張ることができる。テープ型の使い捨ておむつにおいて、着用者の身体を適切に覆うことができ、漏れを抑制できる。
図1に示すように、変形基点部85は、股下伸縮部41の後端縁41Rと幅狭部35の後端縁35Rを繋ぐ第2仮想線VL2よりも幅方向の内側に配置されてよい。股下伸縮部の後端縁と幅狭部の後端縁を繋ぐ第2仮想線VL2は、第1折れ線FL1が形成される線であり、幅狭部35の後端縁35Rが幅方向の内側に移動する力に対向する線となる。第1折れ線FL1によって挟まれた領域は、身体を覆うように配置される。第1折れ線FL1によって挟まれた領域内における股下伸縮部41よりも後側では、変形基点部85によって吸収コア31が変形する。変形基点部85は、後側に向かって幅方向の外側に向かって延びており、吸収コア31には、後胴回り域S2から股下域S3に向かって幅方向の内側に延びる変形基点が形成され、股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形する。着用者の臀部から股間にかけて吸収コアがフィットし、漏れをより抑制できる。
第2仮想線VL2の幅方向に対する角度αは、変形基点部85の幅方向に対する角度βよりも小さくてよい。第2仮想線VL2の幅方向に対する角度αが小さいため、幅狭部35の後端縁35Rの幅方向の内側への移動をより抑制でき、後胴回り域S2における吸収コア31の幅をより確保できる。また、変形基点部85の幅方向に対する角度βが比較的大きいため、第2仮想線VL2によって挟まれた領域を部分的に変形させ、変形基点部85よりも幅方向の外側の領域によって身体を覆うことができる。よって、吸収コアが広い面積で臀部を覆うことができ、漏れを抑制できる。
股下伸縮部41の外側縁は、変形基点部85の外側縁よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。しかし、より好適には、股下伸縮部41の外側縁は、変形基点部85の外側縁よりも幅方向Wの内側に配置されてよい。このような構成によれば、変形基点部85を基点とした吸収コア31の変形と、股下伸縮部41による吸収コア31の変形と、がより連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形した吸収コア31を、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。なお、股下伸縮部41の外側縁は、股下伸縮部41を構成する弾性部材のうち最も幅方向Wの外側に位置する弾性部材の外側縁である。本実施の形態の股下伸縮部41を構成する糸ゴムは、前後方向に沿って配置されており、幅方向Wの外側に位置する弾性部材が、股下伸縮部41の外側縁を構成する。
変形基点部85と、股下伸縮部41は、幅方向Wにずれていてもよい。しかし、より好適には、変形基点部85の少なくとも一部は、股下伸縮部41の後端縁から後側に延びる第1延長線EL1上に配置されてよい。変形基点部85を基点とした吸収コア31の変形と、股下伸縮部41による吸収コア31の変形と、がより連動しやすくなる。よって、後胴回り域から股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように変形した吸収コア31を、股下域において身体側に近づけてより配置し易くなる。なお、股下伸縮部41を構成する弾性部材が複数設けられた形態にあっては、少なくともいずれかの弾性部材の第1延長線EL1上に変形基点部85が配置されていればよい。
変形基点部85は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCと係合部93の前端縁との前後方向Lの中間に位置する第1中間線ML1を前後方向Lに跨がってよい。図1に示すように、第1中間線ML1は、使い捨ておむつの前後方向の中心10LCと係合部93の前端縁との前後方向の中心を通り、かつ幅方向Wに延びる線である。第1中間線ML1よりも後側は、一般的に装着時に臀部が載せられる領域である。変形基点部85は、第1中間線ML1を前後方向に跨がっており、着用者の臀部が載せられる領域から臀部が載せられない領域にかけて配置される。装着時に、第1中間線ML1よりも後側の領域が臀部によって押さえられた状態で、臀部が載せられていない領域が前側に引っ張られ、変形基点部85を基点として吸収コア31がより変形し易い。よって、吸収コア31の幅が短くなるように吸収コア31を変形させ、着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置し、着用者の身体を適切に覆うことができる。
また、股下伸縮部41の後端縁41Rは、第1中間線ML1よりも前側に配置されてよい。股下伸縮部41の後端縁41Rは、着用者の臀部が載せられない領域に配置される。装着時には、第1中間線ML1よりも後側の領域が臀部によって押さえられた状態で、臀部が載せられていない領域が前側に引っ張られ、股下伸縮部41がより伸長し易い。よって、股下伸縮部41が配置された領域が身体に対してより引き上げられ易く、着用者の股間に吸収コア31を適切により収めることができる。
また、変形例において、股下伸縮部41の後端縁41Rは、第1中間線ML1よりも後側に位置してよい。装着時には、股下伸縮部41の後端縁41Rが臀部によって押さえられた状態で、股下伸縮部41の前端縁41F側が前側に引っ張られ、股下伸縮部41が伸長し易い。よって、股下伸縮部41が配置された領域が身体に対して引き上げ、着用者の股間に吸収コアを適切により収めることができる。
変形基点部85の前端縁は、変形基点部85の後端縁と股下伸縮部41の後端縁との前後方向の中間に位置する第2中間線ML2よりも前側に配置されてよい。図1に示すように、第2中間線ML2は、変形基点部85の後端縁と股下伸縮部41の後端縁41Rとの前後方向の中間を通り、かつ幅方向Wに延びる線である。変形基点部85の後端縁と股下伸縮部41の後端縁の間の領域のうち、半分以上の領域に亘って変形基点部85が設けられている。よって、変形基点部85を基点とした吸収コア31の変形と、股下伸縮部41による吸収コア31の変形と、が連動しやすい。よって、後胴回り域S2から股下域S3にかけて吸収コア31を身体に沿った形状に変形させ易くなり、臀部を覆いつつ股下域にコンパクトに吸収コア31を配置することができる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置し、着用者の身体を適切に覆うことができる。
一対の変形基点部85の間には、変形基点部85よりも幅方向Wの外側の領域よりも剛性が高い高剛性部が設けられてよい。本実施の形態では、後高剛性部の外側部が変形基点部85を構成し、後高剛性部の外側部間の領域が、本構成の高剛性部を構成する。変形基点部85間に高剛性部が設けられていることにより、変形基点部85よりも幅方向Wの外側の領域と変形基点部85よりも内側の領域との剛性差が生じ、変形基点部85を基点として吸収コア31がより変形し易くなる。よって、股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように吸収コア31が変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31をより収めやすくなる。着用者の股間の適切な位置に使い捨ておむつを配置することにより、着用者の身体を適切に覆うことができる。なお、剛性が比較的低い変形基点部(例えば、低坪量部からなる変形基点部)にあっては、一対の変形基点部85の間の高剛性部の剛性が、変形基点部の剛性よりも高くてよい。
一対の変形基点部85の間の高剛性部は、変形基点部85と幅方向Wにおいて隣接していてもよい。変形基点部85よりも幅方向Wの外側の領域が、変形基点部85間の領域に対して変形し易くなり、剛性差によって吸収コア31がより変形し易くなる。また、一対の変形基点部85が高剛性部によって一体化する。変形基点部85と高剛性部が一体化して着用者側に凸状に変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31をより収めやすくなる。
本実施の形態の変形基点部85及び変形基点部85間の高剛性部は、いずれも圧搾部からなる後高剛性部によって構成されている。このように、変形基点部85及高剛性部が、一体として形成されていてもよく、変形基点部85及高剛性部の境界が形成されていなくてよい。後高剛性部全体が変形基点部85としての機能、及び高剛性部としての機能を発揮してよい。また、圧搾部からなる変形基点部85は、剛性が高く、吸収コア31の変形をより安定し易くなる。
一対の変形基点部85は、使い捨ておむつの幅方向Wの中心を挟んで配置されており、変形基点部85の少なくとも一部は、吸収コア31の幅方向Wの中心と吸収コア31の最大幅との中間に位置する第3中間線ML3よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。図1に示すように、第3中間線ML3は、吸収コア31の幅方向Wの中心と吸収コア31の最大幅との中心を通り、かつ前後方向に延びる線である。吸収コア31の幅方向Wの半分以上の領域において、吸収コア31が変形基点部85を基点に変形し易くなる。吸収コア31の広い範囲で股下域側に向かって幅方向Wの長さが短くなるように吸収コア31が変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31をより収めやすくなる。
変形基点部85から幅方向Wの外側に延びる第3延長線EL3上に、脚回り伸縮部42が配置されてよい。第3延長線EL3は、変形基点部85の任意の位置から幅方向Wの外側に延びる線であり、前後方向の位置が異なる位置に複数設けられる。いずれかの第3延長線EL3上に、脚回り伸縮部42の少なくとも一部が配置されていればよい。後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張る際に、後胴回り域が臀部によって押さえられるとともに、吸収コア31よりも幅方向Wの外側の領域が脚に密着する。脚回り伸縮部と臀部とが身体にフィットした状態で吸収コア31が変形するため、臀部よりも前側において中央領域R32がサイド領域R31に対して立ち上がり易くなり、吸収コア31が変形基点部85を基点としてより変形し易くなる。
また、股下伸縮部41から幅方向Wの外側に延びる延長線上に脚回り伸縮部42配置されてもよい。脚回り伸縮部が身体にフィットした状態で吸収コア31が変形することにより、中央領域R32がサイド領域R31に対してより立ち上がり易くなる。股下伸縮部41の収縮によって吸収コア31がより着用者側に引き上げられ易くなる。
脚回り伸縮部42は、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びてよい。後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びる脚回り伸縮部が身体に密着することにより、着用者の臀部を使い捨ておむつで覆うことができる。後側に向かって広い範囲で臀部を覆った状態で、股下域に向けて吸収コア31の幅方向Wの長さが短くなるように吸収コア31を変形できる。着用者の股間に吸収コア31を適切に収めつつ、使い捨ておむつによって身体全体を覆い、漏れを抑制できる。
吸収コア31よりも幅方向Wの外側において、後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びるサイドフラップ部27を有し、サイドフラップ部27は、第2延長線EL2上に配置されてよい。サイドフラップ部27は、使い捨ておむつの外側部において後側に向かって幅方向Wの外側に向かって延びる部分であり、図1において斜線を付して示した部分である。後胴回り域に臀部を載せ、股下域側におむつを引っ張る際に、後胴回り域が臀部によって押さえられるとともに、吸収コア31よりも幅方向Wの外側のサイドフラップ部が脚に当たり易くなる。よって、吸収コア31は、幅方向Wの外側に位置するサイドフラップ部と、臀部が載せられた領域と、が押さえられた状態で変形し、変形基点部85を基点としてより変形し易くなる。
股下伸縮部41と重なる領域に低坪量部33が配置されていてもよい。吸収コア31は、着用時に前後方向に延びる低坪量部を基点に変形する。よって、股下伸縮部41の収縮によって吸収コア31が身体側に凸状により変形し易くなり、着用者の股間に吸収コア31を適切に収めることができる。吸収コア31の変形基点となる低坪量部33は、周囲の領域よりも坪量が低く、体液を吸収した後も厚さを抑えることができ、変形状態を維持できる。
本明細書における「吸収コアの坪量」の測定は、以下の測定方法によって行われるものとする。使い捨ておむつ10がパッケージなどに封入されている場合には、パッケージから取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。包装シート等によって包装された使い捨ておむつにおいては包装シートを開封し、折り畳まれた使い捨ておむつを展開する。次いで、坪量を測定する部分を使い捨ておむつから切り出し、切り出した部分から表面シート等、吸収コア以外の部分を取り除く。そして、吸収コアの坪量を測定する部分の面積及び重量を測定する。重量と面積とに基づいて坪量を算出する。
本明細書における「曲げ剛性」は、ガーレー剛軟度によって測定された値であってもよい。ガーレー剛軟度の測定は、(株)安田精機製作所製のNo311のガーレー式柔軟度試験機を用いて、JIS−L1096に準拠して測定することが可能である。ガーレー剛軟度の測定のサンプルの幅方向Wの長さは、30mm、前後方向の長さは、25mmとすることができる。
本明細書における「伸長率」は、伸長の程度を意味し、以下の測定方法によって行われるものとする。第1に、使い捨ておむつがパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつを取り出す。第2に、腰回り伸縮部を構成する伸縮性シート等の配置領域を切り出して、測定対象のサンプルを準備する。かかるサンプルを、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態を「自然状態」とする。
第3に、かかる自然状態にて、腰回り伸縮部の吸収コア側の端部(前側端部)と腰回り伸縮部のウエスト開口部側の端部(後側端部)との間、すなわち、前後方向Lの中間位置において、幅方向Wに沿って間欠的に点(印)を付ける。かかる点は、腰回り伸縮部の幅方向Wの中心を基準として、かかる基準から幅方向Wの左右に5mm間隔にて腰回り伸縮部のサンプルの幅方向Wの端部まで点(印)を付ける。第4に、隣り合う点の間の距離を測定する。かかる距離を自然状態の長さとする(5mm間隔にて印を付けているので、5mmとなる)。第5に、自然状態から、弾性部材による皺が伸縮性シート上に目視にて確認できない状態まで延伸したときの、先ほどの印の間の距離を測定する。第6に、各部位の伸長率(倍)=(伸長状態の印間の距離)/(自然状態の印間の距離)の式にて、伸長率を算出する。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。