JP2020024144A - 処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオフィルムの形成から、バイオフィルム剥離・回収、バイオフィルム由来成分の定量までの一連の工程における手作業の必要性を低減するのに適した、処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法および評価装置を提供すること。【解決手段】被処理水を処理装置により処理して処理水を得る水処理プロセスにおける処理装置の被処理水側に属する被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法であって、被検水の一部を所定時間通水容器に通水した後に通水容器への通水を停止し、通水容器内に設けたバイオフィルム形成体に形成されたバイオフィルムを通水容器内の試供水中にて剥離し、剥離した前記バイオフィルムを含むバイオフィルム含有試供水中のバイオフィルム由来物の量を測定する処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法とする。【選択図】図2

Description

本発明は、逆浸透膜等を用いた水処理に使用される処理装置の被険水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法および評価装置に関する。
水処理技術は、長年にわたって人類の飲料水などを確保するのに活用され続けている。旧来の技術としては、沈降分離、砂ろ過などが主であるが、近年は、逆浸透膜を初めとする膜分離プロセスの適用が拡大し、普及している。特に、海水の淡水化、産業用水製造などの分野では、逆浸透膜を用いる脱塩プロセスが大規模また多岐にわたって利用され、競合する他の分離操作に比べて、分離性能やエネルギー効率などの点での総合優位性が実証されている。
これら、逆浸透膜を用いた脱塩プロセスは、一方で被処理水の水質によっては膜が汚染され、その性能が低下するという問題が生じる。とくに、逆浸透膜を用いる水処理では、バイオファウリングの発生が運転トラブルの中で高い割合で発生しており、解決すべき課題として残っている。バイオファウリングとは、微生物自身や微生物が生産する多糖類やタンパク質などで構成されるバイオフィルムによって逆浸透膜の膜面や逆浸透膜エレメントの流路の閉塞が起こり、逆浸透膜エレメントの圧損増大、透水量の低下や水質悪化がおきる現象のことをいう。バイオファウリングが発生すると膜の薬品洗浄や殺菌剤の添加等によって膜性能を回復させる必要が生じるが、これら対策の実施のタイミングが遅れると、効果が低く性能を回復させることが困難となり、最終的には逆浸透膜エレメントを交換するしか手段がなくなり、運転が不経済となる。そのため、逆浸透膜の性能を良好な(深刻な汚染の無い)状態に維持すること、そのために逆浸透膜供給水を通水した際に通水面(被処理水、試供水等の液が表面を通過する面)上でのバイオフィルム形成の発生のしやすさや速度、すなわちバイオファウリング発生ポテンシャルを評価可能な水質評価技術を保有することが、バイオフィルムの増加に伴って生じるバイオファウリングの発生リスクを予見するうえで極めて重要となる。
水処理プロセスの一般的な水質指標としては、イオン濃度、懸濁物質濃度、有機物濃度などがある。しかし、バイオファウリングの直接原因となるバイオフィルムは、微生物の種類、量、活性などの影響以外に、微生物の栄養源となる基質の種類や量、水温や膜面での水流などの影響、共存する無機物や有機物など様々な要因が複合した結果形成されるため、前述の水質指標だけではバイオファウリングに伴うリスクを定量的に予見するのは困難であった。
逆浸透膜を用いた水処理における水質指標としては、SDI(Silt Density Index)(非特許文献1)が一般的に用いられている。この指標は、0.45μmの精密ろ過膜を用いてろ過を行って水の汚れの程度を評価するものであり、逆浸透膜の運転に適した水かどうかを判定することに用いられている。しかし、本手法では、原水中に存在する溶解性成分の影響を完全に把握することは出来ない。そのため、たとえ、SDIが良好な水を用いても逆浸透膜の被処理水側(非透過水側)の膜面上で、前処理で除去しきれなかった有機成分を餌として微生物が繁殖し、バイオフィルムを形成、逆浸透膜の操作圧力を上昇させたり、逆浸透膜の透水量や分離性能を低下させたりすることがあった。
バイオフィルムの形成に着目した水質評価指標/技術としては、特許文献1〜3に示されているように、逆浸透膜供給水から分岐させた分流に、通水カラムを取り付け、バイオフィルム形成体を通水カラムの内部に通水の流れに沿って配置し、定期的にバイオフィルム形成体を通水カラムから取り出してバイオフィルム形成体上のバイオフィルム量を測定し、単位面積当たりのバイオフィルムの増加速度を元に被処理水のバイオファウリングポテンシャルを評価する方法が提案されており、また、その評価結果を基に逆浸透膜プラントの運転制御を行うものが提案されている。
例えば特許文献1では、バイオフィルム量評価のため、バイオフィルム形成体としてガラスリングを用い、それらを複数、円筒形の通水容器内で積み重ねたバイオフィルム形成モニタリング装置が提案されている。また、バイオフィルムの剥離・回収方法としては、超音波破砕による剥離や綿棒でのかき取り、薬液を用いた溶解などの方法が提案されている。これらの方法では、複数のバイオフィルム形成体を収容した通水容器に被処理水を連続通水し、バイオフィルム形成体表面に形成されたバイオフィルム由来物の量をルシフェラーゼ反応という発光反応を利用してATP(アデノシン三リン酸)量として評価し、これを経時的に繰り返し行うことでバイオフィルム形成速度を算出する。
一方、壁面等に形成されたバイオフィルムを自動的にモニタリングする技術として、電気的抵抗や光学情報(屈折率など)、水晶振動子マイクロバランス法を元にモニタリングする技術(特許文献4)の開示もある。
特表平6−509640号公報 特許第5600864号公報 特許第6056869号公報 特許第6251148号公報
ASTM D4189−95(2002):Standard Test Method for Silt Density Index (SDI)of Water
バイオフィルムの形成過程に着目した特許文献1〜3に記載の方法のうち、特に特許文献3の方法(mBFR:membrane Biofilm Formation Rate)は、操作性に優れており、バイオフィルム量の測定感度も高く、逆浸透膜プラントの現場で実施しやすい方法であり、各地の逆浸透膜プラントでの適用実績から、被処理水が有するバイオファウリングポテンシャルの評価技術、バイオファウリング発生リスクの予測技術としての信頼性を確立しつつあり、逆浸透膜プラントの診断や運転改善提案の場で多くの適用実績をあげている。
ただし、これらの方法は、いずれもバイオフィルム形成体の表面に形成されたバイオフィルムを通水容器系外に取り出す操作(マニュアル作業)が必須であった。また、バイオフィルムの剥離・回収やバイオフィルム由来物であるATP測定も手作業で行う必要があった。
そのため、形成されたバイオフィルムを系外に取り出す際の落下や異物との接触による汚染など、マニュアル操作時のヒューマンエラーに伴う測定精度の低下の可能性があった。更に、バイオフィルムを通水容器系外に取り出す操作を行った後に、通水の再開をやり忘れるなどのリスクもあった。また、バイオフィルムの剥離・回収操作やATPの定量もある程度の測定スキルを必要とし、評価期間の間はずっと現場を無人にできない、多数の地点の評価を同時に行う場合は測定作業量が膨大となり時間もかかり大変であるなどの短所があった。本発明者らは、そのため、評価法としての有用性は認知されつつも、常時、連続評価するのは実施者に負担となるため、測定評価作業における手作業の排除の必要性を感じていた。
また、バイオフィルムを自動的にモニタリングする特許文献4の手法では、無機成分によるスケールや濁質など汚れの影響も同時に検知してしまうため、バイオファウリングを特異的に評価できる技術とは言い難かった。また、電気的抵抗や光学情報(屈折率など)を元にバイオフィルム以外の付着物を含む表面付着物の量を測定する方法は検出感度、定量性もルシフェラーゼ反応を利用したATP定量法に比べると大幅に劣った。他方で、水晶振動子マイクロバランス法によって表面付着物の量を定量しようとする際は、水晶振動子マイクロバランス法の検出感度が高すぎるため、ファウリングプロセスにおいて無視可能な微小な可逆的な粒子の付着(付着してもすぐ剥離するので実質的に影響がない付着)にも過敏に反応してしまうなど測定データをバイオファウリングプロセスと関連づけて解釈・判断するのが困難であった。
そこで、本発明の課題は、バイオフィルムの形成から、バイオフィルム剥離・回収、バイオフィルム由来成分の定量までの一連の工程における手作業の必要性を低減するのに適した、処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法および評価装置を提供することにある。
また、本発明の好ましい形態についての課題は、処理装置におけるバイオファウリングポテンシャル(リスク)を特異的に、高感度で評価可能な技術であるmBFR法を自動で行える技術を提供することにある。特に、バイオフィルム由来物の指標として好ましいATPの定量に適した処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法および評価装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(1)被処理水を処理装置により処理して処理水を得る水処理プロセスにおける前記処理装置の被処理水側に属する被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法であって、該被検水の一部を所定時間通水容器に通水した後に前記通水容器への通水を停止し、前記通水容器内に設けたバイオフィルム形成体に形成されたバイオフィルムを前記通水容器内の試供水中にて剥離し、剥離した前記バイオフィルムを含むバイオフィルム含有試供水中のバイオフィルム由来物の量を測定することを特徴とする処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(2)前記バイオフィルム含有試供水を前記通水容器に連結されたバイオフィルム測定部に送液し、前記バイオフィルム測定部において前記バイオフィルム含有試供水中の前記バイオフィルム由来物の量を測定することを特徴とする前記(1)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(3)前記通水容器内において前記バイオフィルム含有試供水中の前記バイオフィルム由来物の量を測定することを特徴とする前記(1)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(4)前記試供水として、通水を停止した際に前記通水容器に残存している前記被検水の少なくとも一部を用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(5)前記被検水とは組成が異なる剥離液を前記通水容器に注入し、前記剥離液を前記試供水として用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(6)前記バイオフィルム形成体の形状が、粒状体、柱状体、棒状体、板状体および糸状体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(7)前記バイオフィルム形成体に形成された前記バイオフィルムを、機械的方法によって剥離することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(8)前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体を前記通水容器内で攪拌することであることを特徴とする前記(7)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(9)前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器を振動させることにより行うことを特徴とする前記(8)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(10)前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中に発生させた超音波により行うことを特徴とする前記(8)または(9)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(11)前記バイオフィルム形成体として磁性を帯びたものを用い、前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中の磁界の変動により行うことを特徴とする前記(8)〜(10)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(12)前記バイオフィルム形成体として、磁性を帯びたものと磁性を帯びていないものとを混合して使用することを特徴とする前記(11)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(13)前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中で攪拌部材を回転運動させることにより行うことを特徴とする前記(8)〜(12)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(14)前記攪拌部材として磁性を帯びたものを用い、前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中の磁界の変動により行うことを特徴とする前記(13)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(15)前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器への気体または液体の注入により行うことを特徴とする前記(8)〜(14)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(16)前記バイオフィルム形成体が中空多孔質の糸状体であり、前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記バイオフィルム形成体の表面からの気体または液体の注入により行うことを特徴とする前記(15)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(17)前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体を変形させることであることを特徴とする前記(7)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(18)前記バイオフィルム形成体の変形を、押し当て部材による加圧により行うことを特徴とする前記(17)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(19)前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体の表面からバイオフィルムを掻き取ることであることを特徴とする前記(7)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(20)前記バイオフィルム形成体に形成された前記バイオフィルムを、化学的方法によって剥離することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(21)前記化学的方法が、前記通水容器内にバイオフィルム回収液を注入することであることを特徴とする前記(20)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(22)前記バイオフィルム回収液が、アルカリ性薬液、界面活性剤および酸素含有液からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記(21)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(23)前記通水容器が、下記二式を満たす形状であることを特徴とする前記(20)〜(22)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
A×B×π>1000
1≦A≦10
(ここで、Aは前記通水容器の平均内径(mm)、Bは前記通水容器の流路長(mm)、πは円周率である。)
(24)複数の前記通水容器を用い、通水の停止および前記バイオフィルム由来物の量の測定を、前記通水容器の各々に対して順に行うことを特徴とする前記(1)〜(23)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
(25)前記(1)〜(24)のいずれか1つに記載のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法を所定の運転期間経過後に繰り返し、バイオフィルムの形成速度を評価することを特徴とする処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
また、上記目的を達成するために以下の構成の装置を採用する。
(26)被処理水を処理装置により処理して処理水を得る水処理プロセスにおける前記処理装置の被処理水側に属する被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置であって、該被検水の一部を通水する通水容器と、前記通水容器内に設けられたバイオフィルム形成体と、前記バイオフィルム形成体に形成されたバイオフィルムを前記通水容器内の試供水中にて剥離するバイオフィルム剥離手段と、剥離した前記バイオフィルム含有試供水中のバイオフィルム由来物の量を測定するバイオフィルム測定部とを備えることを特徴とする処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
(27)前記バイオフィルム形成体の形状が、粒状体、柱状体、棒状体、板状体および糸状体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする前記(26)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
(28)前記バイオフィルム剥離手段は、機械的方法によって剥離を行うことを特徴とする前記(26)または(27)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
(29)前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体の攪拌、変形または掻き取りであることを特徴とする前記(28)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
(30)前記バイオフィルム剥離手段は、化学的方法によって剥離を行うことを特徴とする(26)または(27)に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
(31)前記通水容器を複数備え、前記複数の通水容器を直列的に接続することを特徴とする前記(26)〜(30)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
(32)前記通水容器を複数備え、前記複数の通水容器を並列的に接続することを特徴とする前記(26)〜(30)のいずれか1つに記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
本発明により、バイオフィルムの形成から、バイオフィルム剥離・回収、バイオフィルム由来成分の定量までの一連の工程における手作業の排除が容易となった。処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価の自動化につなげることが可能となる。
特に、バイオフィルム由来物の指標として好ましいATPの自動定量に適した処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法および装置を提供することが可能となり、処理装置における被検水のバイオファウリングポテンシャル(リスク)を特異的に、高感度で評価可能な技術であるmBFR法における手作業の排除が容易となった。
本発明の運転方法を適用する逆浸透膜プラントの実施形態の一例を示すフロー図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第1の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第2の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第3の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第4の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第5の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第6の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第7の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第8の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第9の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第10の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第11の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第12の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第13の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第14の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第15の形態例を示す模式図である。 本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第16の形態例を示す模式図である。
以下、本発明の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法および評価装置の好ましい実施形態について詳しく説明する。
以下、図を例示し、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の内容はこれらの図に記載されたものに限定されるものではない。図1に、各実施形態の適用対象である逆浸透膜プラントのフロー図を、海水淡水化用逆浸透膜プラントの場合を例に示す。また、図2〜図17に本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置の通水容器の第1〜16の実施形態例を模式図で示す。
図1において、逆浸透膜プラントは、原水取水部100、前処理部200および逆浸透膜部300を有し、さらに詳しくは水の流れる順に沿って上流側から、原水取水口501、取水管1、取水ポンプ2、前処理装置6、中間槽7、保安フィルター8、高圧ポンプ29、逆浸透膜ユニット11、非透過水排出流路504、濃縮水出口503の順に接続、構成されている。なお、原水取水口501は取水管1の先端部、濃縮水出口503は逆浸透膜における非透過水が逆浸透膜プラントから系外へ排出される出口である。
原水取水部100は、原水取水口501、取水管1、取水ポンプ2、並びに必要に応じて次亜塩素酸溶液貯槽3および次亜塩素酸溶液供給ポンプ21を含む。
前処理部200は、砂ろ過装置などの分離膜装置等からなる前処理装置6、中間槽7、異物や汚濁物質を除去する保安フィルター8、並びに必要に応じて凝集剤溶液貯槽4、pH調整溶液貯槽5、凝集剤溶液供給ポンプ22、pH調整溶液供給ポンプ23等の薬液添加ポンプや貯槽を含む。
また逆浸透膜部300は、高圧ポンプ29、逆浸透膜ユニット11、並びに必要に応じて還元剤貯槽9、殺菌剤溶液貯槽10、還元剤供給ポンプ24および殺菌剤溶液供給ポンプ25を含む。
なお、図1に示す逆浸透膜プラントにおいて、前処理装置6、逆浸透膜ユニット11が処理装置に該当する。
処理装置の被処理水側に属する被検水とは、半透膜のような処理装置の処理後の水が濃縮水と透過水に分かれて利用されることがある系の場合は、処理装置からみて被処理水側に存在する被処理水そのものや処理後の濃縮水をいい、砂ろ過装置や中空糸膜のような処理後の水が単独の種類である処理装置の場合は、被処理水をいう。従って、図1に示す逆浸透膜プラントにおいて、原水取水口501より流入し、濃縮水出口503から排出されるまでのプラント水が被険水に該当しうる。前処理装置6を本発明の処理装置とした場合は、これに供給される被処理水が被検水となり、逆浸透膜ユニット11を処理装置とした場合は、これに供給される被処理水および逆浸透膜ユニット11から排出される濃縮水がいずれも被検水である。
図1に示す逆浸透膜プラントにおいては、原水取水口501より下流かつ濃縮水出口503より上流の間の少なくとも1つの場所を流れる水を分取して通水容器16a〜16eに通水させ、通水容器16a〜16e内に配置したバイオフィルム形成体上のバイオフィルム量を継続的に測定し、そのバイオフィルム量の推移に基づいて、バイオフィルム形成ポテンシャル、バイオファウリング発生リスクを評価する。また、その結果を元に、必要に応じてプラントの運転条件を変更する。
原水取水部100において、取水は直接、海の表層部分から行ってもよいし、いわゆる水深200mより深い海洋深層水をくみ出しても構わない。表層取水の場合は、砂ろ過等の前処理を行うに先立ち、スクリーン等を用いて処理し、海草やクラゲ、魚類の侵入を阻止しておくことが好ましい。また、海底砂層などをフィルターとして用いる浸透取水法により取水してもよい。くみ出した海水は、一旦沈殿池などで砂などの粒子を分離しておいてもよい。
取水ポンプ2の上流の地点では、取水管1やその下流工程の配管における貝や海草などの海棲生物の固着を防止する目的で、必要に応じて連続的に、または、間欠的に次亜塩素酸溶液貯槽3の次亜鉛素酸溶液が、次亜塩素酸溶液供給ポンプ21により殺菌剤として添加される。用いる殺菌剤としては、酸化性の殺菌剤、たとえば、遊離塩素を発生させ得る薬剤である次亜素酸ナトリウム溶液が一般に用いられているが、同等の目的が達成されるものであれば、次亜鉛素酸溶液以外の殺菌剤や硫酸などの薬品を用いてもよい。
取水ポンプ2と前処理装置6との間の地点では、前処理のろ過性や水質改善用に、凝集剤溶液貯槽4の凝集剤溶液が凝集剤溶液供給ポンプ22により添加される。また、溶存有機物の凝集を効率的に行うためのpH条件の調整や、逆浸透膜ユニット11の非透過水側流路における硫酸カルシウムなどのスケール生成を抑制する目的で、硫酸などのpH調整溶液がpH調整溶液貯槽5からpH調整溶液供給ポンプ23により海水(取水原水)に添加される。凝集剤としては、塩化第二鉄やポリ塩化アルミニウムなどを用いることができる。
前処理装置6としては、砂ろ過装置、浮上分離装置、限外ろ過膜や精密ろ過膜、ルース逆浸透膜、中空糸ろ過膜などの膜による処理を行う膜利用前処理装置がある。この前処理は、下流の各工程に負荷をかけないように、必要な程度まで取水原水を精製する目的を有し、取水原水の汚濁の程度により、必要に応じて本発明や引用した各特許文献に記載の方法などによる水質評価の結果を元に、適宜選択すればよい。
前処理を終えた取水原水は、水量や水質調節機能を有する中間槽7に貯留される。なお中間槽7は、前処理部200に加圧浮上分離装置が設けられている場合など、水量を調節する機能を有する槽が別に設けられている場合は省略してもよい。
中間槽7の下流には、異物混入による高圧ポンプ29や逆浸透膜ユニット11の破損を防ぐ為に、保安フィルター8が設けられている。
次いで、必要に応じて還元剤貯槽9から還元剤供給ポンプ24により亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤が添加される。これは、原水取水部100などの上流の工程で酸化性殺菌剤を添加した場合に行うもので、残留塩素などが逆浸透膜を劣化させることを防ぐためのものであり、同様の効果を有するものであれば、亜硫酸水素ナトリウム溶液以外の薬品を使用してもよい。
次いで、必要に応じて殺菌剤溶液貯槽10から殺菌剤溶液供給ポンプ25により殺菌剤が添加される。殺菌剤を添加する装置については、殺菌剤の添加条件を制御するために、添加量や添加時間、添加頻度などがコントロールできるバルブやポンプを有する制御機構を備えていることが好ましい。殺菌剤等の薬剤の添加位置は任意に決定すればよいが、好ましくは、保安フィルター8の前、または後の地点である。ここでは、殺菌剤としては、DBNPA(2,2−ジブロモ−3−ニトリロ)溶液を用いている。
この他、必要に応じてスケール防止剤などを添加してもよい。
次いで、海水は高圧ポンプ29により加圧され、逆浸透膜ユニット11に供給される。高圧ポンプ29は海水の浸透圧以上の圧力を逆浸透膜にかけて、塩分濃度が低減された処理水を逆浸透膜から発生させる。
逆浸透膜ユニット11の上流には、薬品洗浄の為に、洗浄剤溶液貯槽15から洗浄剤溶液供給ポンプ28により洗浄剤を添加する管路35が設けられている。洗浄剤を添加する地点は、特に限定されるものではないが、洗浄剤の種類によっては、高圧ポンプ29などを腐食させるおそれがあるため、高圧ポンプ29の下流が好ましい。
逆浸透膜ユニット11に供給された海水(逆浸透膜供給水とも言う。)は、透過水と非透過水とに分離され、そのうち非透過水は、海洋環境に悪影響を及ぼさないように必要に応じて非透過水無害化溶液貯槽31、非透過水無害化溶液供給ポンプ34を備えた非透過水無害化処理槽32でpHを調整したり、殺菌剤を無害化する処理を経た後、非透過水排水管33、濃縮水出口503を通って海へ廃棄される。
一方、透過水は、逆浸透膜ユニット11の下流の透過水出口502から排出され、透過水水槽12に蓄えられる。その後、例えば、下流側でpH調整溶液貯槽13からpH調整溶液供給ポンプ26によりpH調整溶液が、また、カルシウム溶液貯槽14からカルシウム溶液供給ポンプ27によりカルシウム溶液がそれぞれ添加され、飲料水基準に適合するような淡水として、透過水送水管18より取り出される。
なお、ここで、逆浸透膜ユニット11を構成する逆浸透膜とは、水等の溶媒を主に透過させ、他の溶解性成分(イオンや溶存有機物)をほとんど透過させない半透性の膜をいい、いわゆるナノフィルトレーション膜やルース逆浸透膜なども含まれる。
逆浸透膜の素材としては、酢酸セルロース系ポリマーやポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子材料を用いることが好ましい。また、その膜構造としては、少なくとも片面に緻密層を持ち、徴密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称構造としたり、非対称膜の徴密層の上に別の素材で形成された分離機能層を有する複合膜構造とすることもできる。
逆浸透膜の膜厚としては、10μm〜1mmの範囲内であると好ましい。
代表的な逆浸透膜としては、たとえば、酢酸セルロース系やポリアミド系の非対称膜およびポリアミド系やポリ尿素系の分離機能層を有する複合膜などがあるが、中でも、本発明においては、ボリアミド系の複合膜を用いると効果が高く、特開昭62−121603号公報や特開平8−138658号公報、米国特許第4277344号明細書に記載されている芳香族系ポリアミド複合膜が好適なものとして挙げられる。
また、逆浸透膜ユニット11で用いる逆浸透膜エレメントは、上記した逆浸透膜などを実際に使用するために筐体に組み込んだものであり、平膜形態の膜を用いる場合は、スパイラル型エレメントや、チューブラー型エレメント、プレート・アンド・フレーム型エレメントとするとよい。上記の内、スパイラル型エレメントは、たとえば、特開平9−141060号公報や特開平9−141067号公報に記載されるように、供給水流路材や透過水流路材などの部材を組み込んでおり、溶質濃度の高い海水を取水原水として用いたり、高圧で装置を運転する場合などに高い効果がある。
高圧ポンプ29の運転圧力は、供給水の種類や運転方法などにより適宜設定できるが、かん水や超純水など浸透圧の低い溶液を供給水とする場合には0.1〜3.0MPa程度の比較的低圧で、海水淡水化や廃水処理、有用物の回収などの場合には2.5〜1 5.0MPa程度の比較的高圧で使用するのが、電力等のエネルギーの無駄がなく、かつ良好な透過水の水質を得ることができ好ましい。また、適当な供給圧力、運転圧力を得るために、任意の経路にポンプを設置することができる。
また、逆浸透膜部300の運転温度は、0℃よりも低いと供給水が凍結して使用できず、100℃よりも高い場合には供給水の蒸発が起こり使用できないため、0〜100℃の範囲内で適宜設定するが、装置や逆浸透膜の性能を良好に維持するためには、5〜50℃の範囲とするのが好ましい。詳細は、逆浸透膜の製造業者提供の技術資料の条件に従えばよい。
逆浸透膜部300の回収率(被処理水に対する処理水の割合)は、5〜98%の範囲内で適宜設定することができる。ただし、供給水や非透過水の性状、濃度、浸透圧に応じて前処理条件や運転圧力などを考慮する必要がある(特開平8−108048号公報参照)。たとえば、海水淡水化の場合には、通常10〜40%、高効率の装置の場合には40〜70%の回収率を設定する。また、かん水淡水化や超純水製造の場合には70%以上、さらには、90〜95%の回収率で運転することもできる。
また、逆浸透膜部300における逆浸透膜ユニット11のベッセル(1つから複数の逆浸透膜エレメントを装填するハウジング)の構成は、1段とすることも、また、多段とすることもでき、さらに、供給水に対して直列でも並列に配しても構わない。直列に配列する場合は、エレメント間に昇圧ポンプを設置してもよい。
逆浸透膜ユニットで分離された非透過水は圧力エネルギーを有しており、運転コストの低減化のためには、このエネルギーを回収することが好ましい。エネルギー回収の方法としては任意の部分の高圧ポンプに取り付けたエネルギー回収装置で回収することもできるが、高圧ポンプの前後や、エレメント間に取り付けた専用のタービンタイプのエネルギー回収ポンプで回収することが好ましい。
また、逆浸透膜部300の処理能力は1日当たり水量で0.5〜100万mの範囲内とすることができる。
逆浸透膜部300の配管は、できるだけ滞留部の少ない構造とすることが好ましい。さらに、回収率を高くしたい場合は、スケールの生成を防止する目的から、スケール防止剤を添加するか、供給水のpHは酸性にすることが好ましく、また、殺菌や洗浄剤として各種性質の薬剤を使用するケースも想定されるため、そのような薬剤が流れる配管やバルブその他の部材には、ステンレス鋼や2相ステンレス鋼などの耐薬品性を有する材料を用いることが好ましい。
以下、以上のような逆浸透膜プラントにおける被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価に用いる通水容器の配置や評価方法について詳しく説明する。
図1に記載の逆浸透膜プラントでは、上記したように、原水取水口501より下流かつ濃縮水出口503より上流の間の少なくとも1つの場所を流れる水を分取し、その内部にバイオフィルム形成体を収容した通水容器16a〜16eに分取した水を通水させ、所定の頻度で、バイオフィルム形成体の表面に形成されたバイオフィルム量を測定するバイオフィルム量測定を継続的に実施することで、分取した水のバイオフィルム形成速度を算出する。また、必要に応じて得られた評価結果に基づいて、原水取水部100、前処理部200、および逆浸透膜部300からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程の運転制御を行う。
原水取水口501より下流かつ濃縮水出口503より上流の間の少なくとも1つの場所を流れる水とは、海水(取水原水)、逆浸透膜供給水および非透過水からなる群から選ばれる少なくとも1つの水をいう。ここで、海水(取水原水)とは、原水取水口501から取水された水である。逆浸透膜供給水とは、前処理部200より下流で、逆浸透膜部300内にあり、逆浸透膜ユニット11の先頭の逆浸透膜エレメントより上流の管路から分取され、逆浸透膜の原水側に供給される水(逆浸透膜の被処理水)と成分が同等で、温度が同レベル(逆浸透膜供給水との温度差が−3℃〜+5℃)の水である。また、非透過水とは、逆浸透膜ユニット11より下流における逆浸透膜の原水側の管路から分取され、その分取された場所の水と成分が同等で、温度が同レベル(左記の分取された場所の水との温度差が−3℃〜+5℃)の水である。
海水(取水原水)、逆浸透膜供給水および/または非透過水の分取地点としては、例えば原水取水部100では、原水取水口501より下流で前処理部200より上流から枝分かれする配管17d、前処理部200では、中間槽7より下流で保安フィルター8より上流の管路からの枝分かれ配管17e、逆浸透膜部300では、保安フィルター8より下流で高圧ポンプ29より上流の管路からの枝分かれ配管17a、高圧ポンプ29より下流で逆浸透膜ユニット11より上流の管路からの枝分かれ配管17b、および逆浸透膜ユニット11より下流の非透過水を通水する管路からの枝分かれ配管17cを挙げることができる。
いずれの分取地点(枝分かれ配管17a〜17e)においても、それぞれ分岐した配管の下流に、通水容器16a〜16e、流量調節バルブ19a〜19eなどが配置されている。
ここで、分取地点の少なくとも一つを、殺菌剤や洗浄剤の添加地点の下流に設けておけば、逆浸透膜ユニット11内の逆浸透膜の膜面状態をモニター可能となり、殺菌や洗浄の効果を直接的に迅速に検証することが可能となり、その結果、逆浸透膜部300を、より安定、効率的に運転することが可能となるため、好ましい。
ここで、高圧ポンプ29より下流の高圧の管路から逆浸透膜供給水および/または非透過水を分取する場合、通水容器16b,16cへの通水は、減圧後の通水下で形成されるバイオフィルム量の評価結果に基づいても、高圧下の逆浸透膜部300の運転制御を良好に行えるため、測定に際する安全性、簡便性などを考慮し、通水容器の下流を大気開放するなどして通水容器へは圧力をかけずに通水することが好ましい。逆浸透膜供給水および/または非透過水は、岐分かれ配管17a,17b,17cより、パイプ(硬い管)、ホース(内径が太めの屈曲性のある管)やチューブ(内径が細めの屈曲性のある管)などの管路を用いてバイオフィルム形成体を収容した通水容器16a,16b,16cにバイオフィルム形成ポテンシャルの評価対象の被検水として通水する。
以下に説明する各実施形態では、処理装置の処理用とは別にバイオフィルム形成ポテンシャルの評価目的で被検水を分取して、被険水の一部を所定期間通水容器に通水させて、通水容器内に収容したバイオフィルム形成体にバイオフィルムを形成させ、通水容器への通水を停止した後、形成されたバイオフィルムを通水容器の試供水中にて剥離し、通水容器内またはエアーなどの流体で分析評価系にバイオフィルムを含むバイオフィルム含有試供水を送液後にバイオフィルム由来物の定量を行う。
このようにすることによって、通水容器系内(通水容器内と連通可能な空間内)でバイオフィルム、バイオフィルム由来物の取り扱いを完結でき、従来技術に必要であったバイオフィルム、バイオフィルム由来物を通水容器系外に取り出す操作が不要となる。そのため、従来技術に比べて、バイオフィルム、バイオフィルム由来物を系外に取り出す際の落下や異物との接触による汚染など、手作業時のヒューマンエラーに伴う測定精度の低下を回避できる。また、これらを通水容器系外に取り出す際の被検水の現場での液漏れを無くすことができると同時に、通水再開後の、サンプリングの際に開口した通水容器の開口部からの液漏れなどリスクも大幅に減るため、測定現場を濡らしたり汚染させたりする心配が少なく、クリーンに評価を実施することができる。
また、バイオフィルム回収などのかき取り条件を均一にできるため、測定のタイミングや測定者間のばらつきの影響を小さくしてバイオフィルム回収・定量条件を一定にすることができ、より正確な評価が可能となる。
また、各実施形態では、バイオフィルム形成ポテンシャルの評価を実施した際、バイオフィルム形成体の表面からは機械的または化学的にバイオフィルムを剥離した後、表面が再生されたバイオフィルム形成体をその場で再利用することが特徴的利点の1つである。バイオフィルム剥離後に、次亜塩素酸水溶液やクエン酸水溶液などを用いてバイオフィルム形成体の洗浄を行ってもよい。
通水容器内でバイオフィルム形成体の表面を再生し、評価地点の現場で繰り返し再利用し評価に使用することによって、従来のバイオフィルム形成速度の評価技術に必要であったバイオフィルム形成体の定期的な設置、補充やサンプリングを省略でき、準備や作業などの手間が大幅に省ける。その結果、バイオフィルム由来物の定量の自動化と合わせて、バイオフィルム形成ポテンシャルの評価を長期間、メンテナンスを必要とせず繰り返して実施することが可能となる。
以下、図1に示す通水容器16a〜16eとして用いることのできる通水容器とその使用方法の実施形態を図2〜17を用いて説明する。
図2に、本発明で使用するバイオフィルム形成ポテンシャル評価装置の通水容器の第1の形態例を説明する。
通水容器a3には、被検水x1の流入管路と被検水の流出管路が設けられている。本実施形態において通水容器a3には、最低上記2つの管路が具備されている必要がある。
被検水が、バイオフィルム由来物の定量に悪影響を及ぼさない場合は(例えばバイオフィルム由来物としてATPを選択する場合は、被検水中のATP濃度が低くて無視できる場合や被検水中のルシフェラーゼ反応阻害物質(塩化物イオンなど)の濃度が低い場合)、被検水をバイオフィルム形成に必要な所定時間通水容器に通水した後に通水を停止し、通水容器中に貯留している被検水を、通水容器内に設置したバイオフィルム形成体に形成されたバイオフィルムを剥離させるときの主要な(容量割合で最も多く占める)液体である試供水として使用してよい。試供水として被検水を使用する場合、バイオフィルム由来物の定量評価を精密に行う為には、バイオフィルムを剥離する前の被検水とバイオフィルム由来物を含んだ被処理水の両方を測定することで、バイオフィルム由来の量を正確に評価することができるだけでなく、同一の測定系で被検水中に存在する浮遊菌などに由来するATP量などの情報も取得することが可能となる。
被検水中の成分が、バイオフィルム由来物の定量へ悪影響を及ぼすかわからない場合あるいは悪影響が及ぼすことが推定または把握している場合は、試供水としては、被検水とは組成が異なる液体(剥離液と呼ぶ)を、バイオフィルム形成体からバイオフィルムを剥離させる時に用いることが好ましい。剥離液としては、滅菌水や蒸留水などを好適なものとして例示することができるが、バイオフィルム形成体からのバイオフィルムの剥離や、剥離したバイオフィルムからのバイオフィルム由来物の試供水中への分散に効果的な界面活性剤などを、バイオフィルム由来物の定量反応に影響を及ぼさない範囲で含有したバイオフィルム回収液を用いてもよい。この場合は、通水容器への通水を停止した後に容器中に残存している被検水をいったん排出した後に剥離液を通水容器に供給するのが好ましい。
図2では、バイオフィルム形成体a4として粒状体を用い、攪拌部材(攪拌翼a5)を攪拌モーターa1で回転させてバイオフィルム形成体a4を攪拌することにより、機械的にバイオフィルム形成体a4からのバイオフォルムの剥離を行う。バイオフィルム形成体a4が粒状体である場合は、バイオフィルム形成体a4の表面積を大きくすることができ、バイオフィルムを試供水中に剥離、分散した際の、バイオフィルム由来物の濃度を高くすることができる。また、攪拌によるバイオフィルムの剥離が効率的に行える。
粒状体のバイオフィルム形成体a4を用いる際は、その粒径が小さ過ぎると粒状体を充填した層が、いわゆる砂ろ過装置などと同様にろ過機能を有してしまい、バイオフィルム形成の評価機能を発揮するのが困難となる。被検水x1の水質に応じて適宜粒状体のサイズを選択すればよいが、粒径は好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上である。他方で、粒状体の粒径が大き過ぎると、通水容器a3内のバイオフィルム形成体a4のバイオフィルム形成比表面積が損なわれ、バイオフィルム形成体として粒状体を選択した際に有する長所である高濃度のバイオフィルム由来物の試供水への分散回収効果が低減する。よって、粒状体の粒径は、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは8mm以下である。
ここで、個々の粒状体の粒径は、その体積と同じ体積となる球体の直径とし、粒状体全体としての粒径は、数平均粒径をいうものとする。
粒状体の形状は、図2に示すとおり楕円球状(真球形状を含む)としても、また、粒状体として複数の粒径の粒状体を混合して用いてもよい。
図2の実施形態のような攪拌による機械的方法によってバイオフィルム形成体a4からのバイオフィルムの剥離を行う場合は、バイオフィルム形成体a4はある程度摩耗に強く、表面に凹凸が少なく、自身からの溶出物発生の少ない材質の素材を用いるとよく、好適な素材としては、硬質ガラスや“テフロン”(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどを例示することができる。
バイオフィルムの剥離を機械的手法によって行う場合は、薬品を使用しないため、バイオフィルムの定量を、薬液を用いて化学反応法(例えば、ルシフェラーゼ反応を利用したATPの定量反応)により行うに際して、被検水や試供水以外の液による化学反応への阻害などの影響・補正を考慮しなくてよいというメリットを有する。また、試供水中のバイオフィルム由来の浮遊物の濁度など、薬品を使用しない物理的な方法でバイオフィルム由来物を定量する場合は、薬液の影響を受けない評価が実現でき、原理的には排液を排水しても影響が小さいため、廃棄物処理や環境影響の心配をしなくてよいと同時に、薬液補充のメンテナンスも不要で評価を行えるというメリットを有する。
通水容器a3への粒状体のバイオフィルム形成体a4の充填率は特に限定されるものではないが、充填率が低いとバイオフィルム定量の観点から不利になり、他方で充填率が高すぎると攪拌の妨げとなる恐れがあるため、通水容器a3の容量に対して30%〜90%程度充填するのが目安として挙げられる。なお、ここでいう充填率とは、粒状体を通水容器の長手方向に、通水容器への被検水の流入方向の上流側から稠密に充填した際の粒状体が充填されている領域の上記長手方向の長さの、通水容器の長手方向長さに対する比率をいう。
被検水の流入管路および流出管路に粒状体のバイオフィルム形成体a4がつまらないように又は管路から流出しないように、通水容器a3内の被検水の流入管路や流出管路の近傍あるいは被検水x1の流入管路内や流出管路内に、粒状体を通水容器内に保持するためのネットa6等の部材を設けるのが好ましい。
バイオフィルムを攪拌によって試供水中に剥離させる際、図2に例示した様なプロペラまたは突起物を具備する攪拌翼a5で粒状体のバイオフィルム形成体a4を攪拌すればよい。攪拌翼の形状や数は特に問わないが、回転と垂直な方向への粒状体の移動も促進するには、パドル形状の攪拌翼を複数設けると効果的である。
攪拌速度は、あまり遅いと粒状体同士の衝突の力が弱くバイオフィルム剥離効果が弱いだけでなくバイオフィルムを剥離しきるのに時間を要するため、好ましくは、50rpm以上、より好ましくは100rpm以上である。より効果的にバイオフィルムを剥離させるために、攪拌と停止を繰り返し行ったり、攪拌の回転方向を変えるなどして速度に変化をつけてもよい。
攪拌時間は、粒状体のバイオフィルム形成体a4の材質、充填率、攪拌速度などに応じて適切に設定すればよい。時間があれば予備検討で確認して設定すればよい。攪拌時間の目安としては、1〜10分を例示することができる。
攪拌によるバイオフィルムの試供水中への剥離操作が完了した後は、バイオフィルム、バイオフィルム由来物を含む試供水中のバイオフィルム由来物の定量を行う。試供水中のバイオフィルム由来物の定量は、通水容器の内で実施してもよいし、試供水をバイオフィルム測定部Zに移送してからバイオフィルム測定部Zで実施してもよい。図2ではバイオフィルム測定部Zへ試供水を移送する場合が例示されている。
バイオフィルム測定部Zでは、通水容器a3から送られてきた液の一部または全量に含まれるバイオフィルム由来物の定量を行う。試供水の移送に当たっては、送液の速度や時間を適切に制御すれば、被検水や剥離液などの液体の吐出を駆動力に用いてバイオフィルム測定部Zに移送して、バイオフィルム由来物の定量を行うことができるが、空気などの気体を用いて試供水をバイオフィルム測定部Zへ移送した方が、バイオフィルム由来物の濃度が異なる液体間の混合の影響がなく、正確な定量が行えるため、より好ましい。
図2に示した第1の形態例を逆浸透膜プラントの逆浸透膜ユニット11を処理装置とし、被処理水を枝分かれ配管17bから連続的に分取して被検水とする形態で利用する(図2の通水容器a3が図1の通水容器16bとして利用される形態である)場合の操作の一例を具体的にまとめると以下の通りとなる。
逆浸透膜プラントの逆浸透膜ユニット11の被処理水を枝分かれ配管17bから連続的に分取して逆浸透膜供給水を被検水x1とし、自動三方バルブa2を介して被検水x1を通水容器a3に連続的に供給し、粒状体のバイオフィルム形成体a4の表面にバイオフィルムを形成させる。このとき、逆浸透膜ユニット11と並行して同じ被処理水が通水容器a3に流通するので、逆浸透膜ユニット11におけるバイオフィルム形成と強い相関のある量のバイオフィルムがバイオフィルム形成体a4に形成される。バイオフィルム形成体a4はネットa6により通水容器a3内に通水の間保持され、被検水x1はネットa6を通して通水容器a3から排出され、自動三方バルブa7により排水ラインWに向けて連続的に排水される。
所定時間(例えば、約2〜7日)通水後は、自動三方バルブa2から被検水x1の代わりにエアーx4を供給することで、通水容器a3への被検水の供給を停止するとともに通水容器a3内に貯留されている被検水x1を排水する。被検水x1が通水容器a3から排出された後は、エアーx4の代わりに剥離液x2を通水容器a3に供給し、通水容器a3の内部を剥離液x2で満たす。次いで自動三方バルブa2,a7を共に閉じて通水容器a3への液の出入りを止め、剥離液x2を試供水として用い、一定時間(例えば、約30秒〜5分)攪拌モーターa1を作動させて粒状体のバイオフィルム形成体a4同士を接触させて、バイオフィルムを試供水中に剥離させる。
自動三方バルブa7の流路をはじめは排水ラインW側に流れるようにした状態で自動三方バルブa2からエアーx4を送り込み、通水容器a3から自動三方バルブa7までの管路に貯留されていた剥離液を、剥離したバイオフィルムを含むバイオフィルム含有試供水x3に置換した後、自動三方バルブa7の流路を一時的にバイオフィルム測定部Z方向に制御して、必要量のバイオフィルム含有試供水x3をバイオフィルム測定部Zに送液する。バイオフィルム測定部Zにてバイオフィルム由来物の定量を行うことで、通水期間の間の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価を行うことができる。必要量のバイオフィルム含有試供水x3をバイオフィルム測定部Zに送液した後に、自動三方バルブa7の流路を再び排水ラインW側に流れるように制御するとともに、エアーx4の代わりに被検水x1を自動三方バルブa2から通水容器a3に通水することで、バイオフィルム形成ポテンシャルの評価を繰り返し実施することが可能となる。
上記の各バルブの切替はオペレータの遠隔操作により行うこともできるし、タイマー等を使用して自動的に定期的に行ってもよいが、いずれにしてもオペレータがバイオフィルム形成体a4を手作業で扱う必要はない。試供水の送液や通水再開時の短時間の間、通水容器内からのバイオフィルム排出促進のため攪拌を行ってもよい。バイオフィルム形成の期間は、攪拌を停止するのが好ましい。
バイオフィルム測定部Zでのバイオフィルムの測定方法は、特に限定されるものではないが、ATPの定量を自動的に行う際は、以下のような測定を例示することができる。
バイオフィルム測定部Zに送られた試供水は、フラクションコレクターを用いて一定の容量(例えば0.1ml)を透明な小試験管に自動的に集める。バイオフィルム測定部の内部は暗所に保たれ、小試験管の側部には光センサーが配置されている。当該小試験管にATP抽出試薬を所定量自動注入し、一定時間(例えば20秒)経過後に所定量のATP反応液を添加し、直後または一定時間後の発光量を光センサーにて測定し、結果をデータロガーに自動記録する。ATPの定量終了後は、バイオフィルム測定部Zに送られた試供水は、フラクションコレクターの管路を洗浄液にて洗浄、リンスをした後、エアーにて乾燥させる。また、小試験管を直列に配置したラックが移動し、試供水を含まない未使用の小試験管が、次の試供水の受け入れに備える。ATP反応液はペルチェ素子などを用いた小型の冷蔵手段で低温管理して失活を防止する。ATP抽出液は、当該小試験管内で試供水、ATP抽出液、ATP反応液が今後された時の温度が常温(20℃〜30℃)になるように必要に応じて加温することが好ましい。
図3や図4には、バイオフィルム形成体として粒状体を用い、バイオフィルムの機械的剥離方法として攪拌を採用した場合の異なる通水容器の形態例(第2および第3の形態例)を示す。
図3に示すとおり、通水容器b4に出入りする流体の種類毎に通水容器に管路を独立に設けてもよい。エアバルブb2、自動開閉バルブb7,b8,b9を閉、自動開閉バルブb3,b10を開の状態で被検水x1を所定時間通水容器b4に通水した後に通水を停止し、ついで、自動開閉バルブb10を閉、自動開閉バルブb9を開の状態にして被検水x1の代わりに剥離液x2を送液して通水容器b4内の液体を剥離液x2に置換した後、全てのバルブを閉の状態とし、攪拌モーターb1、攪拌翼b6により通水容器b4内に設置したバイオフィルム形成体b5に形成されたバイオフィルムを通水容器b4内の試供水(この場合は、剥離液)中にて剥離する。
次いでエアバルブb2を開にした状態でバイオフィルム測定部Zに通じる自動開閉バルブb8を開とし、水頭差または吸引ポンプにより剥離したバイオフィルム含有試供水x3をバイオフィルム測定部Zに送る。このとき全量送液してもよいが、一部のみサンプリングする場合は、バイオフィルム測定部Zに通じる自動開閉バルブb8を所定量送液後に閉とし、排水ラインWに通じる自動開閉バルブb7を開として残った試供水を排出する。次いで、エアバルブb2を閉として、自動開閉バルブb3,b10を開、他のバルブは全て閉の状態として被検水の通水を再開する。なお、被検水の通水を再開しバイオフィルムの形成を再開する前に、剥離液あるいはバイオフィルムの洗浄に効果のある薬液(次亜塩素酸やキレート化合物、アルカリなど)を通水容器に内に送液した後、攪拌することで、バイオフィルム形成体や通水容器内面、攪拌翼の洗浄を行うと、長期間、各部材の表面を初期状態に維持できるため好ましい。
被検水中にバイオフィルム由来物の定量を阻害する物質の濃度が少ない場合は、図4に示すとおり剥離液を使用せずに通水容器c7に残った被検水をそのまま試供水として用いてもよい。バイオフィルム由来物としてATPに着目して定量を行う場合は、例えば被検水x1中の浮遊細菌数やATP濃度が低く、ルシフェラーゼ反応を阻害する塩化物イオンの濃度が低い比較的清澄な淡水の場合は剥離液を省略できる。好ましくは、事前に塩化物イオン等の測定精度への影響を確認してから被検水を試供水とするか剥離液を用いるか決定するのが好ましい。また、図4に示すとおり、バイオフィルム含有試供水x3を吸引によりサンプリングしてもよい。
図5には通水容器d3を振動発生装置(バイブレーター)d4などで振動させることでバイオフィルムを剥離させる場合の第4の形態例が示されている。
本態様においては振動が粒状体のバイオフィルム形成体d5の攪拌に効果的に伝達されるよう、通水容器d3やバイオフィルム形成体d5は振動を吸収しない硬質な素材(ガラスやポリカーボネートなど)を用いることが好ましい。また、通水容器d3本体をフレキシブル配管d2で保持し、上下流の配管やバルブへの振動を遮断することよりに通水容器d3に効率よく振動を与えるようにしてもよい。
図6には、遮光性の通水容器e4に接続された超音波振動発生装置e7により通水容器e4に超音波振動を付与することで、粒状体のバイオフィルム形成体e5の攪拌を実施する第5の形態例が例示されている。
第4の実施形態のように超音波を発生させる部位が通水容器の外壁に触れてバイオフィルム形成体に間接的に振動を伝えるようにしてもよいが、図6に示すように通水容器e4内に超音波振動伝達プローブe8を設置してプローブから直接振動をバイオフィルム形成体e5に伝搬させてもよい。
図6には、試供水をバイオフィルム測定部に送液せず、通水容器e4の内部でバイオフィルム含有試供水中に含まれるバイオフィルム由来物の量を測定する場合の例が示されている。バイオフィルム由来物としては、濁質成分およびATPを2つ測定するなど、複数選択して定量してもよい。本実施形態では、被検水x1の通水を停止した後、剥離液x2にて通水容器e4内の被検水を排出し、次いで超音波を用いてバイオフィルム形成体e5の表面に形成されたバイオフィルムを剥離させる。次いで、攪拌を停止した直後でバイオフィルム形成体e5が沈降した上澄みの濁度を計測する。バイオフィルム形成体e5の比重は特に限定されるものではないが、第5の形態例に例示するように攪拌を停止した際にバイオフィルム形成体e5を通水容器e4内の鉛直下方に配置させるには、粒状体の比重は試供水よりも大きくする必要があるが、比重が大き過ぎると攪拌しにくくなるため、試供水の1.04〜8.0倍の範囲が好ましい。なお、エアーの入ったプラスチック球体などを用いてバイオフィルム形成体e5を浮かせた状態に配置し、下部にできた領域の濁度を測定してもよい。
次いで、バイオフィルムからのバイオフィルム由来物であるATPを定量するが、ATPを定量する場合にATPを効果的に抽出しかつ後で行う測定(ルシフェラーゼ反応)を阻害しないバイオフィルム回収液であるATP抽出液を所定量注入して所定時間攪拌後、ATPの定量に必要な酵素(ルシフェラーゼ等)や基質(ルシフェリン等)、補酵素(酢酸マグネシウムなどのマグネシウム塩)、緩衝液(Tricine緩衝液など)を含むATP定量の為の発光反応液(例えば、キッコーマン社製ATP測定用試薬キット ルシフェール250プラス発光試薬を発光試薬溶解液に溶解させた液)を同じく所定量注入し、短時間攪拌後に直ちに発光量を光センサーe2で測定することで、通水容器e4からバイオフィルム由来物を外部に取り出さずにバイオフィルム由来物の定量を行える。なお、ATPの定量を行う場合は、通水容器e4内に光が流入して発光測定を邪魔しないように光透過性素材(ガラスなど)で構成された光検出部e3以外は遮光性の部材を通水容器や管路に用いるとよい。測定装置全体を暗所に配置するという方法もある。濁度、その他の測定手段を用いる場合についても当該分野で利用される各種検出機構を具備しておくのが好ましい。
図7には、磁性を有する粒状体であるバイオフィルム形成体f7を電磁場発生装置f1により通水容器f6内に発生した磁界の発生と停止を繰り返すことにより攪拌する第6の形態が例示されている。
バイオフィルム形成体f7を攪拌するための運動エネルギーの付与方法が異なるほかは図6に示す第5の形態例と同様に使用できる。なお、図7に示す第6の実施形態では、図6に図示した光センサー、光検出部等の図示を省略してある。第6の実施形態において、バイオフィルム形成体f7のすべてが磁性を有している必要はなく、一部磁性を帯びないものを含んでいてもよい。
図8に示す第7の形態例では、通水容器g4の内壁面にバイオフィルム形成体g2を設け、磁性を帯びた掻き取り部材(回転子)g3に連結されたブラシg1によりバイオフィルム形成体g2の表面に形成されたバイオフィルムを掻き取る。掻き取り部材g3は、通水容器g4中の磁界をマグネティックスターラーg5で変動させることにより回転させる。本実施形態例の様に、通水容器g4の内面がバイオフィルム形成体g2を兼ねていてもよい。また、通水容器g4の内面に、処理装置においてろ過のために使用する分離膜(RO膜など)と同様の素材の膜材を、その機能層が内側に向くように接着剤等を用いて固定しても、処理装置内の分離膜におけるバイオフィルムの形成状況をより精度よく再現できるため信頼性が高い評価となり好ましい。図8には、被検水をそのまま試供水にする形態を示している。自動開閉バルブg6を閉、自動開閉バルブg7を開の状態で、自動三方バルブg9、自動三方バルブg8を通して被検水を通水容器g4内に所定時間通水する。次いで、自動開閉バルブg7を閉とし、自動三方バルブg9を液が自動三方バルブg8側から流入した液が排水ラインWに通水可能な状態にすることで被検水x1の通水容器g4への通水を停止する。次いで、自動開閉バルブg6を開としてバイオフィルム形成体g2が設けられた領域まで液面を下げた後、自動開閉バルブg6を閉として通水容器内に液を保持した状態で前述の方法で通水容器内の試供水(この場合は被検水)中にバイオフィルムを剥離する。次いで、自動開閉バルブg6を開にして試供水を自動三方バルブg8、自動三方バルブg9を経由して排水ラインWから排水し管路を被検水から試供水に置換した後、自動三方バルブg8を試供水が通水容器g4からバイオフィルム測定部Zに流れるよう制御して試供水をバイオフィルム測定部に供給後、再び、自動三方バルブg8を試供水が排水ラインWから流れるように制御し、通水容器g4内の試供水を排水する。次いで、自動開閉バルブg6を閉、自動開閉バルブg7を開の状態で、自動三方バルブg9を被検水が自動三方バルブg8の方向に流れる様に制御して再び被検水を通水容器g4内に所定時間通水する。
図9は、散気管h1から空気などのエアーx4を注入して気泡h2によりエアレーションを行うことで、バイオフィルム形成体h8の攪拌を行う第8の形態例を示すものである。
自動開閉バルブh5および自動三方バルブh7を開、残りのバルブを全て閉にした状態で被検水x1を通水容器h3に連続通水する。被検水を所定時間、通水容器に通水後は、自動開閉バルブh5および自動三方バルブh7を閉として通水を停止する。次いで、自動開閉バルブh4、h6を開の状態で自動開閉バルブh6を通してエアーx4を供給し、エアレーションによりバイオフィルム形成体h8を攪拌することでバイオフィルム形成体h8に形成されたバイオフィルムを試供水(本例の場合は、被検水と同じ)中に剥離させる。バイオフィルム含有試供水x3は、自動三方バルブh7を操作することで必要量をバイオフィルム測定部Zへ送液し、バイオフィルム由来物の定量を行う。以上により被検水のバイオファウリング形成ポテンシャルを評価することが可能となる。
図10に示す第9の形態例では、バイオフィルム形成体i5として中空多孔質の糸状体を用い、バイオフィルム形成体i5の外面に形成されたバイオフィルムの剥離を、バイオフィルム形成体i5の内面から外面にかけて剥離液x2を注入する。
所定時間、被検水x1を通水してバイオフィルムを中空糸状精密濾過膜または限界ろ過膜であるバイオフィルム形成体i5の外表面に形成させる。このとき、自動開閉バルブi1は閉じた状態に維持し、中空糸状精密濾過膜または限界ろ過膜を介してのろ過は行わない。次いで、通水を停止した後、通水容器内の被検水x1を排水ラインWにて排水し通水容器内を一旦空にする。次いで、自動開閉バルブi7,i8を閉じ、自動開閉バルブi1を開け、自動三方バルブi2をエアー排出方向(図10のx4の矢印の方向)に開けた状態で、バイオフィルム形成体i5の内面から外面にかけて剥離液x2を注入し、ついで自動三方バルブi8よりエアーx4を注入してエアレーションを行い、バイオフィルム形成体i5の外面に形成されたバイオフィルムをエアーx4にて揺すって攪拌することにより剥離させる。このとき糸状体のバイオフィルム形成体i5は大なり小なり変形するが、これによる剥離も同時に効果的に発生するようにしてもよい。
剥離液x2で通水容器i6が満水になってからも、所定時間エアレーションを継続すると、バイオフィルムが効果的に剥がれるので好ましい。バイオフィルムを剥離液x2に剥離、分散させた後は、自動三方バルブi8,i9を自動操作してバイオフィルムを含む剥離液x2をバイオフィルム測定部Zへ送液してバイオフィルムを定量する。剥離液を限外ろ過膜へ供給する際の圧力を測定することでバイオフィルム形成量の尺度としてもよい。また、通水再開前に通水容器内に次亜塩素酸ナトリウム溶液やクエン酸溶液などのバイオフィルム洗浄薬液を糸状体の内面から外面にかけて供給または外面に供給して、バイオフィルム形成体および通水容器の内面を薬洗してから行ってもよい。
図10に例示したような、多孔状部材で2つの空間が隔てられた構造のバイオフィルム形成体(特に片端が封止された中空糸状精密濾過膜または限界ろ過膜)を使用する場合は、内側(被検水に面していない側)からバイオフィルム剥離液やバイオフィルム回収液を吐出し、必要に応じて振動などの他の物理的手段と組み合わせることで効果的にバイオフィルムを剥離できるだけでなく、剥離液を供給する際の圧力を圧力計i4により、流量を流量計i3により測定しバイオフィルム形成体の多孔状部材表面への付着に伴う通水抵抗の挙動からもバイオフィルム形成量を評価することができ、同一評価系で多角的にバイオフィルム形成量の評価が可能となる。
また、中空糸膜や平膜などの多孔状部材を用いた場合は、バイオフィルム由来物の測定終了後などに、バイオフィルム形成体の表面を物理・化学的に洗浄して表面の状態を再生した後に、バイオフィルム形成体の外側から被検水などを一時的に供給し、その際の圧力を圧力計i4により測定すれば、溶解性物質が主因子であるバイオフィルム形成体によるファウリングポテンシャルの評価と同時に被検水が有する非溶解性物質関連の膜汚染物質に関する情報も同一装置で取得することが可能となる。特に、American society for testing and materials(ASTM) D4189−07の仕様を満たしたSDI測定用の平膜で2つの空間が隔てられた構造の多孔状部材をバイオフィルム形成体として用いた場合は、SDIやMFIといった評価とバイオフィルム形成ポテンシャルの評価といったROプロセスの水質評価を行う際の重要・主要な2つの水質指標の測定を単一装置で行うことができる。
また、通水開始後に定期的にバイオフィルム形成体を一時的に短期間、被検水を用いてろ過を行い、その際の圧力を評価することで、ある程度の量のバイオフィルムが形成されているのを確認できている有利なタイミングで効率的にATP測定などの別のより精密なバイオフィルム由来物の薬液を用いた定量を適用することが可能となり、バイオフィルム由来物の定量を反応で定量する際の薬液使用量やバイオフィルム形成体の洗浄薬品の薬液使用量を節約できるという利点を有する。
図11には、軟質素材の粒状体であるバイオフィルム形成体j2を通水容器j3内における押し当て部材j1による加圧によって変形させる第10の形態例を示す。
本形態の場合は、バイオフィルム形成体としては、押し当て部材j1による加圧と加圧の開放により変形可能な部材を用いる必要がある。具体的な部材としては、素材、形状は特に限定するものではないが、粒状のゴムやスポンジ部材などを挙げることができる。
図12に示す第11の形態例では、チューブ状の通水容器k1を用いてバイオフィルムの形成および剥離を行う。この形態例では、通水容器k1がバイオフィルム形成体を兼ね、通水容器k1の内面にバイオフィルムが形成される。バイオフィルムの剥離は化学的方法によって行うことが好ましく、通水容器k1(バイオフィルム形成体として兼用される。)の内面に形成されたバイオフィルムの剥離は、前記通水容器k1内にバイオフィルム回収液x5を注入することにより行う。
ここでバイオフィルム回収液x5とは、バイオフィルム形成体からバイオフィルム、バイオフィルム由来物を化学的に被検水中に剥離、分散させる能力を有する液体であり、水酸化ナトリウム溶液(pH10以上)などのアルカリ性薬液、ソルビトールやキシリトールなどの多価アルコール、アルキル硫酸エステル塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤、リゾチームやプロテアーゼなどの酸素含有液、EDTAなどのキレート剤、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。中でも、バイオフィルム由来物の定量反応を行う際に阻害影響の少ないものから選択するのが好ましい。例えば、バイオフィルム由来物としてATPを検出対象とする場合は、バイオフィルム回収液x5としてATP抽出液(たとえば、キッコーマン社製 ルシフェール250 ATP抽出試薬」など)のみを用いるとよい。バイオフィルムを剥離させる際は、通水容器に振動を加えるなどの機械的な方法を併用しても剥離効率が増すため好ましい。
本実施形態では、バイオフィルム形成ポテンシャルの評価に際して、通水する被検水の流量を少なくすることができる利点を有する。通水容器k1は、下記二式を満たす形状であることが好ましい。
A×B×π>1000
1≦A≦10
(ここで、Aは前記通水容器の平均内径(mm)、Bは前記通水容器の流路長(mm)、πは円周率である。)
通水容器k1の平均内径(直径)内径A(単位:mm)は、流路の閉塞を防止する目的から1mm以上、好ましくは3mm以上とするのが好ましいが、サンプリングする被検水の節約の為には10mm以下が好ましい。
このとき通水容器k1は、軟質素材で形成された円筒状であることが好ましい。チューブ材質としては、当該チューブから可塑剤等のバイオフィルム増殖を促進させる物質が溶出することが極力少ない材質のものが好ましい。好ましい材質としては、“テフロン”(登録商標)やポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系素材などが挙げられる。チューブは遮光性のものが好ましいが、遮光性の低い部材を使用する際は、藻類の増殖をさけるため、測定操作のとき以外、外側から全体を暗幕等で覆ったり、不透明なポリ塩化ビニルやステンレス配管の中にホースを保管するなどして、暗い環境下に保持することが好ましい。
図13に示す第12の形態例の様に、通水容器L1の一部がバイオフィルム測定部Zを兼ねているまたは直結している態様でもよい。処理装置の被検水x1の一部を所定時間通水容器L1に通水した後に通水を停止し、エアーx4を送り込んで通水容器L1およびバイオフィルム測定部Zを一旦空にした後、被検出水排水バルブL7、反応液注入バルブL6を閉、エア抜きバルブL8を開の状態にして通水容器L1に振動を伝える超音波振動発生装置L3を作動させ、所定量のバイオフィルム回収液x5(例えば、バイオフィルム由来物としてATPを選択した場合は、ATP抽出液)を通水容器L1に供給しながらバイオフィルム形成体である通水容器L1表面のバイオフィルムを化学的かつ機械的に剥離させた後、反応液注入バルブL6からATP反応液x6(例えば、バイオフィルム由来物としてATPを選択した場合は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、マグネシウムイオンを含む反応液)を所定量だけ通水容器L1の一部であるバイオフィルム測定部Zに注入し、センサーk4にてバイオフィルム由来物の測定を行ってもよい。
図14から図17に複数の通水容器を使用する例(第13〜16の形態例)を示す。複数の通水容器を図14の様に並列にまたは図15〜17の様に直列に配置し、通水の停止およびバイオフィルムの量の測定を、各通水容器の1個ずつについて順に交代で行い、処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価を行ってもよい。
図14〜17に示すような装置構成を取れば、通水時間を変えて測定した複数のバイオフィルム量測定の結果からバイオフィルム形成速度を算出する評価を繰り返し実施することが可能となる。
図14は複数(図では5つ)の本発明の単位通水容器m1〜m5(図では、粒状体をバイオフィルム形成体として充填し、振動発生装置によって振動可能な通水容器)に並列に被検水を通水する形態が例示されている。バイオフィルム形成の期間中は、5つの単位通水容器m1〜m5に均等に被検水を通水する。所定時間経過後は、全系列への被検水の通水を停止する、または、いずれかの単位通水容器のみ通水を停止した状態、たとえば単位通水容器m1への被検水の通水を停止し残り4系列への通水は維持した状態とする。バイオフィルムの機械的剥離を行う単位通水容器m1の被検水をエアーx4を供給して排出した後、バイオフィルム回収液を所定量注入し、振動発生装置にてバイオフィルムを機械的に剥離させ、試供水をバイオフィルム測定部Zに移送してバイオフィルム由来物の量を定量する。測定が完了した後は、再び、全系列への通水を再開し、順次、単位通水容器m2〜m5のバイオフィルム形成量を測定することでバイオフィルム形成速度を算出することが可能である。
図15は、図10に示した通水容器を直列に接続した形態である。バイオフィルム形成の期間中は、4つの通水容器n11,n21,n31,n41に被検水を直列に通水する。所定時間経過後は、全系列への被検水の通水を停止し、全てのバルブを閉にする。バイオフィルムの剥離を行う通水容器n11について、自動開閉バルブn13および自動開閉バルブn16を開にして被検水を排出した後、自動開閉バルブn16を閉、自動開閉バルブn12を開として、バイオフィルム剥離液を注入し、バイオフィルム形成体の通水面に形成されたバイオフィルムの剥離を行う。次いで、バイオフィルム含有試供水x3を、自動開閉バルブn12,n14,n15を閉、自動開閉バルブn13,n16を開とし、必要に応じて、加圧エアーを自動開閉バルブn13より供給して、試供水をバイオフィルム測定部Zに移送して、バイオフィルム由来物の量の定量を行い、再度、4つの通水容器に被検水を直列に通水する状態にする。上記操作を順次、通水容器n11から通水容器n41にかけて1つずつ交代で行うことでバイオフィルム形成速度を算出することが可能である。
図16は、機械的剥離手段が具備された通水容器を直列に接続した態様の別の例である。この第15の実施形態では、バイオフィルム形成の期間は、5つの機械的剥離手段が具備された通水容器p1〜p5に被検水を直列に通水する。所定時間経過後は、枝分かれ配管17aに設置の自動バルブ(図示されていない)または、自動三方バルブp16を用いて全ての通水容器への被検水の通水を停止し、次いで、自動開閉バルブp21、自動三方バルブp11、自動三方バルブp12、自動開閉バルブp22、自動開閉バルブp23〜p26を、流体がこの順で通過可能な様にバルブを制御し、剥離液を供給する。これにより、機械的剥離手段が具備された通水容器p1内の被検水を排出すると共に容器内を剥離液x2で満たし、剥離液x2が満たされた状態で、自動三方バルブp11と自動三方バルブp12を制御して機械的剥離手段が具備された通水容器p1の液を孤立させた状態でバイオフィルム形成体に形成されたバイオフィルムの剥離を機械的に行う。
次いで、自動開閉バルブp21、自動三方バルブp11、自動三方バルブp12、自動開閉バルブp22、自動開閉バルブp23〜p26を、流体がこの順で通過可能な様にバルブを制御し、エアーを供給する。これにより、機械的剥離手段が具備された通水容器p1内の試供水をバイオフィルム測定部に移送して、バイオフィルム量の定量を行い、再度、5つの通水容器に被検水を直列に通水する状態にする。
上記操作を順次、機械的剥離手段が具備された通水容器p1から械的剥離手段が具備された通水容器p5にかけて行うことでバイオフィルム形成速度を算出することが可能である。
通水容器を直列構造とすることで水質評価の為に分取する被検水の量を節約することができる。特に、図17にあるような構成にすれば、ある通水容器のバイオフィルム形成体表面に形成されたバイオフィルムの剥離(態様によっては通水容器内での測定や、バイオフィルム形成体の洗浄、再生操作)の間、他の通水容器への通水を停止せずに行うことが可能となり、バイオフィルム形成評価の通水時間の管理、バイオフィルム形成速度の算出をより正確、精度良く行うことが可能となる。
特に、図17の様な、図示しない機械的剥離手段が具備する単位通水容器q1〜q3を直列に配したバイオフィルム形成時に使用する主管路Q1に加えて、個別の単位通水容器q1〜q3のいずれかのバイオフィルム剥離・回収操作時に他の単位通水容器q1〜q3への通水を継続させるために設けられているバイパス管路Q2およびバイオフィルム剥離・回収操作を実施する個別の単位通水容器q1〜q3へ剥離液x2、液体移送操作用のエアーx4など供給するための補助管路Q3を併設させた構造を有する構成にすれば、被検水のサンプリングを最小限に抑えつつ、ある通水容器のバイオフィルム形成体表面に形成されたバイオフィルムの剥離(態様によっては通水容器内での測定やバイオフィルム形成体の洗浄、再生操作)の間、他の通水容器への通水を停止せずに行うことが可能となり、バイオフィルム形成評価の通水時間の管理、バイオフィルム形成速度の算出をより正確、精度良く行うことが可能となる。
具体的には、例えば、図示しない機械的剥離手段が具備する単位通水容器q1のバイオフィルム形成体のバイオフィルム剥離・回収を行う際は、被検水x1を自動三方バルブq13,q3b,q3a,q2b,q2a,q11を経由する様に通水し、剥離液x2やバイオフィルム含有試供水を移送するのに用いるエアーx4を自動三方バルブq1d,q1a,q1b,q1d,q2c,q2d,q3c,q3dを経由する様に流し、バイオフィルム含有試供水x3をq1b,q1d,q2c,q2d,q3c,q3dを経由する様に移送してバイオフィルム測定部Zに移送すればよい。
なお、図2〜図16に例示したような本発明の通水容器に17a〜17eなどの分取配管から被検水を送液する際は、途中に設けた流量調整バルブを用い、同じく管路に設けた流量計の指示値または管路端部からの被検水の流量をメスシリンダーなどを用いて実測することで流量を調整してもよく、あるいは電磁流量計とその指示値に基づいて制御される自動バルブを設置して流量を自動制御してもよい。また、分岐配管の被検水の圧力変動が激しい場合は、圧力調整弁などの制御装置を設けてもよい。
また、図示してはいないが、通水容器に粒状体などのバイオフィルム形成体を収容する際は、必要に応じて通水容器にこれらを出し入れするための専用の開口部を設けておくのが好ましい。これらの開口部や、通水容器への接続部には、形状に応じてパッキン、シールテープ、オーリングなどの水漏れ防止の対策を施しておくことが好ましい。従来のmBFR法で必要であった測定の度の開閉操作不要となるため、バイオフィルム形成体を出し入れする開口部を具備した容器であっても通水・測定の間の開閉操作は不要であるため、機密性・シール性を高め、水漏れのリスクを低減することができる。
通水容器、ホース、接続部材(ジョイント)、流量計、流量調節バルブの材質は、水圧等への強度要件を満たすものであり、また、殺菌や薬品洗浄などで使用される薬品に対して耐性を有し、有機物の溶出や吸着の少ないものであれば特に制限されるものではないが、可塑剤等のバイオフィルム増殖を促進させる物質が溶出することが極力少ないものが好ましい。さらに、これらの部材の通水面が平滑であるものが好ましい。好適な材質としては、ガラスやポリカーボネート、ポリアミド “テフロン”(登録商標)、ステンレス、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、水道配管に使われる硬質ポリ塩化ビニル(HIVP)、などが挙げられる。一方、天然ゴムや、軟質ポリ塩化ビニル(plasticized polyvinyl chloride)などの可塑剤を含んだ素材は好ましくないことが多い。
通水容器、ホースなど被検水が通過する部材は、遮光性のある方が藻類の増殖をさけるため好ましく、特に、通水容器は遮光性を有することが好ましい。遮光性のない、あるいは、低い部材を使用する場合は、測定操作のとき以外、外側から全体を暗幕等で遮光することが望ましい。
通水容器の内径は特に限定されるものではないが、後述する線速度の条件を実現しやすいように取水可能な流量に応じて決めるのが好ましい。
バイオフィルム形成時における通水容器を通過する被処理水の線速度は、特に限定するものではないが、バイオフィルム形成体が充填されている領域の液の線速度は、あまり低すぎるとバイオフィルムと直接関係のない物体の付着を助長し、反対に高すぎると被検水の消費量が増すと共に圧力損失が増えるため、目安としては、前者の観点では5cm/s以上が好ましい範囲であり後者の観点では30cm/s以下が好ましい。通水容器内のバイオフィルム形成体が存在する領域のバイオフィルム形成体の占有容積割合をαとすると、通水容器内の空筒速度(バイオフィルム形成体が存在しない状態における通水容器を被検水が通過する速度)は。(1−α)×5cm/s以上が好ましく、(1−α)×30cm/s以下が好ましい。
上記各実施形態では、通常、バイオフィルム量の測定を長期にわたって行うが、バイオフィルム量の測定頻度は、好ましくは、4時間〜6ヵ月に1回の頻度で実施する。また、測定を実施する間隔は不規則的でも、規則的でもよい。測定頻度は4時間より短くしても情報量がさほど増えず、効果的ではない。ただし、例えば、殺菌や洗浄剤などの効果を作用前後で短時間に評価する場合などはこの限りではなく、4時間より短い時間内に評価を行ってもよい。一方、測定頻度が低すぎるとモニタリングの有効性が下がることから、1ヶ月に1回以上実施するのが好ましく、より好ましくは1週間に1回以上、さらに好ましくは3日に1回以上である。
図2〜図17に例示した各実施形態について説明した通り、剥離方法に応じてバイオフィルム形成体の好適な形状、固さなどは異なる。振動や攪拌などの機械的剥離手法を用いる場合は、硬質な素材、例えば、ガラスやテフロン樹脂、ポリアミド樹脂などが好ましい。機械的方法として変形を用いる場合は、形状を変化可能な軟質な素材が適しており、ゴムやスポンジなどを例示することができる。機械的剥離と化学的剥離(バイオフィルム成分の溶解を含む)を組み合わせてもよい。
ここで、バイオフィルムには、生命活動を行っているバクテリアや不活化した細菌や多糖類やタンパク質などのそれらの代謝生成物、さらには死骸や核酸などの分子が含まれる。従って、バイオフィルム由来物の定量化法としては、種々考えられ、タンパク質、糖、核酸、細菌の全菌数、乾燥重量、TOC(全有機炭素量)、ATP(アデノシン三リン酸)量などにより定量化することが可能であり、任意の方法を用いてもよいが、この中では、ATP測定法が、感度、簡便性、迅速性に優れ、ポータブルなキットや試薬等も市販されているため特に好ましい。
バイオフィルム形成体表面のバイオフィルム中のATPを剥離し、バイオフィルム由来物を得る時に使用する試供水は、被検水が清澄な場合は被検水をそのまま用いてもよいが、好ましくは専用の剥離液を用いることが好ましい。蒸留水、精製直後の逆浸透膜精製水、精製直後のイオン交換水、市販の超純水などのATPを含有しないもの(10ng/L以下)を用いると、測定への不純物による誤差が少ないため、より好ましい。市販の医療用ディスポーザブル蒸留水も便利である。水道水をオートクレーブ滅菌して使用してもよい。
ATP抽出液や反応液は、各社から市販されている試薬キットを用いて製造業者推奨の測定条件に準拠した方法で測定を実施してもよいし、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、マグネシウム塩、緩衝液、界面活性剤などを別々に購入し、適宜調合してもよい。
ATP反応液はバイオフィルムの測定の直前まで低温(2℃〜8℃)管理しておくことが酵素活性の維持などの点で好ましく、途中の管路で熱交換等により測定温度に向けて昇温させるのが好ましい、または、試供水の温度をA℃(20〜30℃)として、ATP抽出液や反応液の温度をB℃(2〜8℃)とした場合、反応液混合後の温度がちょうど20〜25℃付近になるように温度管理することが好ましい。ATP反応液は低温に保っておくが、低温に温度管理したルシフェラーゼ、ルシフェリン、マグネシウム塩を含む粉末を溶解液に直前に溶かして準備してもよい。
発光光度計は市販されており(キッコーマンバイオケミファ株式会社製 ルミテスター(登録商標)C−110など)、それぞれ製造業者推奨の機器を改造したり、委託製作し製作することが可能である。浜松ホトニクス株式会社製のものが感度が良好である。
試供水として被検水を使用する場合、通常、被検水由来のバイオフィルム由来物の量は無視可能なレベルであるが、バイオフィルム由来物の定量評価を精密に行う為には、バイオフィルムを剥離する前の被検水とバイオフィルム由来物を含んだ被検水の両方を測定し、差分を測定値とすることで、バイオフィルム由来の量を正確に評価することができるだけでなく、同一の測定系で被検水中に存在する浮遊菌などに由来するATP量などの情報も取得することができ好ましい。
以上のようなバイオフィルム量の測定を継続的に実施することでバイオフィルム形成速度の推移・変化を自動的に楽に評価することができる。
測定結果をもとに、必要に応じて、バイオフィルム量の測定を長期にわたって実施し、バイオフィルム量の推移に基づいて、原水取水部100、前処理部200、および逆浸透膜部300からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程の運転制御を行うことが可能である。例えば、図1に示すように逆浸透膜部300の殺菌剤添加点の下流に通水容器16b、および/または、通水容器16cを設置した場合、通水容器16bや16cの通水面上のバイオフィルム量の推移に基づいて、その大小から、殺菌剤添加の条件を、強めたり弱めたりすることも可能である。
バイオフィルム形成速度の値を、逆浸透膜プラントの運転にフィードバックする方法についても、以下に例示するが、これに限定されるものではない。前述のように、上記各本実施形態例のいずれかを採用することで、バイオフィルム量評価の手順の自動化が容易となるため、バイオフィルム量評価の作業を手作業で行う際のバイオフィルム形成体の誤接触の心配が大幅に減り、測定者の測定ストレスが軽減され、バイオフィルム形成速度の評価結果に基づいた原水取水部、前処理部、および逆浸透膜部からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程の運転制御も簡便、充実して実施することが可能となる。
原水取水部100に分割可能な通水容器16dを設置した場合、バイオフィルム形成速度の値に基づいて、取水部の殺菌条件や前処理部の運転条件をバイオフィルム形成速度の値に基づいて運転制御することが可能である。例えば、図1に示すように前処理を行う場合、バイオフィルム形成速度が最小になるような凝集剤(例えば、塩化第二鉄)の必要最低添加量を決定することが可能である。また、例えば、前処理部が浮上分離装置と砂ろ過装置の2段で構成されるシステムの場合、取水原水のバイオフィルム形成速度の値が高い場合にのみ浮上分離装置を稼動させ、値が低い場合は省エネのために浮上分離装置のエアレーションを停止するなどの運転も可能である。取水管1に殺菌剤を添加する場合は、例えば、バイオフィルム形成速度が所定の値(たとえば、5pg−ATP/cm/d)以内となるように、必要最低限の殺菌頻度を決定することができる。
少なくとも1工程の前処理を経た前処理部200に通水容器16eを設置した場合や逆浸透膜部300に通水容器16aを設置した場合も、それらのバイオフィルム形成速度の値に基づいて、前述の方法と同様に、前処理部200の運転条件や逆浸透膜部300の運転条件を、バイオフィルム形成速度の値に基づいて最適化制御することが可能である。なお、例えば、取水原水に殺菌剤が間欠的に添加されるようなプラントにおいて、純粋に前処理部200の水質安定化効果を原水取水部100や前処理部200に設置した通水容器16d,16eでのバイオフィルム形成速度の値に基づいて評価したい場合は、殺菌剤添加の間は、各通水容器16d,16eへの通水を停止し、通水容器16d,16e内に形成されたバイオフィルムの殺菌を防止するのが好ましい。
また、逆浸透膜部300において、殺菌剤や薬液洗浄注入点より下流で逆浸透膜ユニットより上流に通水容器16bを設置したり、逆浸透膜ユニットより下流に通水容器16cを設置した場合には、バイオフィルム形成速度の値に基づいて、殺菌剤や薬液洗浄条件を最適に制御することが可能である。
前述のように、本発明のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法および装置を使用することで、バイオフィルム量評価の自動化が容易となり、メンテナンス作業はATP測定部への薬液補充などの最低限の作業で済む。
従来技術より大幅に実施しやすくなり、バイオフィルム量の推移に基づいた原水取水部、前処理部および逆浸透膜部からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程の運転制御も簡便かつ精度よく実施することが可能となる。
以上明らかなように、上記各実施形態によれば、単なる光学的計測や電気的計測と異なりバイオファウリング特異性が担保された定量を高感度に実施することが可能になる。たとえば、バイオフィルム中のATP等を正確に精度良く測定するには、バイオフィルムを機械的にあるいは化学的に剥離し、引き続くATP等の定量反応のために試料を均一に分散させておくことが好ましいが。上記各実施形態の通水容器やバイオフィルム形成体はは形成されたバイオフィルム中のATP等の定量を繰り返し評価するのに好適なものである。
上記各実施形態は逆浸透膜プラントの被検水の水質評価、連続モニタリング、設計・運転条件の最適化、プラントの診断や改善に、しやすいものである。
本発明の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法は、精密ろ過膜を用いた液体と固形分の分離や濃縮、限外ろ過膜を用いた濁質成分の分離や濃縮を行うにあたっても適用できるものであるが、特に、逆浸透膜やナノろ過膜を用いて溶解成分の分離や濃縮を行う処理装置における利用に適している。中でも、海水やかん水の淡水化、工業用水の製造、水道における高度処理などにおいて効果が大きい。
1:取水管
2:取水ポンプ
3:次亜塩素酸溶液貯槽
4:凝集剤溶液貯槽
5:pH調整溶液貯槽
6:前処理装置
7:中間槽
8:保安フィルター
9:還元剤貯槽
10:殺菌剤溶液貯槽
11:逆浸透膜ユニット
12:透過水水槽
13:pH調整溶液貯槽
14:カルシウム溶液貯槽
15:洗浄剤溶液貯槽
16a〜16e:通水容器
17a〜17e:枝分かれ配管
18:透過水送水管
19a〜19e:流量調節バルブ
21:次亜塩素酸溶液供給ポンプ
22:凝集剤溶液供給ポンプ
23:pH調整溶液供給ポンプ
24:還元剤供給ポンプ
25:殺菌剤溶液供給ポンプ
26:pH調整溶液供給ポンプ
27:カルシウム溶液供給ポンプ
28:洗浄剤溶液供給ポンプ
29:高圧ポンプ
30:送液ポンプ
31:非透過水無害化溶液貯槽
32:非透過水無害化処理槽
33:非透過水排水管
34:非透過水無害化溶液供給ポンプ
35:洗浄剤を添加する管路
100:原水取水部
200:前処理部
300:逆浸透膜部
501:原水取水口
502:透過水出口
503:濃縮水出口
504:非透過水排出流路
a1:攪拌モーター
a2:自動三方バルブ
a3:通水容器
a4:バイオフィルム形成体(粒状体)
a5:攪拌翼(攪拌部材)
a6:ネット
a7:自動三方バルブ
x1:被検水
x2:剥離液
x3:バイオフィルム含有試供水
x4:エアー
Z:バイオフィルム測定部
W:排水ライン
b1:攪拌モーター
b2:エアバルブ
b3、b7〜b10:自動開閉バルブ
b4:通水容器
b5:バイオフィルム形成体(粒状体)
b6:攪拌翼
b11:ネット
c1:攪拌モーター
c2、C3、c8:自動開閉バルブ
c3:自動開閉バルブ
c4:エアバルブ
c5:バイオフィルム形成体(粒状体)
c6:攪拌翼
c7:通水容器
c9:ネット
d1:自動三方バルブ
d2:フレキシブル配管
d3:通水容器
d4:振動発生装置
d5:バイオフィルム形成体(粒状体)
d6:ネット
d7:自動三方バルブ
e1、e9〜e11:自動開閉バルブ
e2:光センサー
e3:光検出部
e4:通水容器
e5:バイオフィルム形成体(粒状体)
e6:ネット
e7:超音波振動発生装置
e8:超音波振動伝達プローブ
x5:ATP抽出液(バイオフィルム回収液)
x6:ATP反応液
f1:電磁場発生装置
f2〜f5:自動開閉バルブ
f7:バイオフィルム形成体(磁性を有する物質を含む粒状体)
f8:バイオフィルム形成体保持用ネット
g1:ブラシ
g2:バイオフィルム形成体(通水容器の内面)
g3:磁性を帯びた掻き取り部材
g4:通水容器
g5:マグネティックスターラー
g6〜g7:自動開閉バルブ
g8〜g9:自動三方バルブ
h1:散気管
h2:気泡
h3:通水容器
h4〜h6:自動開閉バルブ
h7:自動三方バルブ
h8:バイオフィルム形成体
h9:ネット
i1、i7:自動開閉バルブ
i2、i8、i9:自動三方バルブ
i3:流量計
i4:圧力計
i5:バイオフィルム形成体(中空多孔質糸状体)
i6:通水容器
j1:押し当て部材
j2:バイオフィルム形成体(軟質素材の粒状体)
j3:通水容器
k1:通水容器
k2、k3:自動三方バルブ
x5:バイオフィルム回収液
L1:通水容器
L2:自動三方バルブ
L3:超音波振動発生装置
L4:光センサー
L5:光透過性素材(ガラスなど)
L6:反応液注入バルブ(自動開閉バルブ)
L7:被検出水排水バルブ
L8:エア抜きバルブ
L9:バイオフィルム測定部容器(遮光性)
m1〜m5:単位通水容器
n11、n21、n31、n41、n51:通水容器
n12〜n16、n22〜n25、n32〜n35、n42〜n45:自動開閉バルブ
n50:バイオフィルム形成体(中空糸膜)
p1〜p5:機械的剥離手段が具備された通水容器
p11〜p16:自動三方バルブ
p21〜p26:自動開閉バルブ
P:副配管
q1〜q3:単位通水容器
q11〜q13:自動三方バルブ
q1a〜q1d、q2a〜q2d、q3a〜q3d:自動三方バルブ
Q1:主管路
Q2:バイパス管路
Q3:補助管路

Claims (32)

  1. 被処理水を処理装置により処理して処理水を得る水処理プロセスにおける前記処理装置の被処理水側に属する被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法であって、
    該被検水の一部を所定時間通水容器に通水した後に前記通水容器への通水を停止し、前記通水容器内に設けたバイオフィルム形成体に形成されたバイオフィルムを前記通水容器内の試供水中にて剥離し、剥離した前記バイオフィルムを含むバイオフィルム含有試供水中のバイオフィルム由来物の量を測定することを特徴とする処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  2. 前記バイオフィルム含有試供水を前記通水容器に連結されたバイオフィルム測定部に送液し、前記バイオフィルム測定部において前記バイオフィルム含有試供水中の前記バイオフィルム由来物の量を測定することを特徴とする請求項1に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  3. 前記通水容器内において前記バイオフィルム含有試供水中の前記バイオフィルム由来物の量を測定することを特徴とする請求項1に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  4. 前記試供水として、通水を停止した際に前記通水容器に残存している前記被検水の少なくとも一部を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  5. 前記被検水とは組成が異なる剥離液を前記通水容器に注入し、前記剥離液を前記試供水として用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  6. 前記バイオフィルム形成体の形状が、粒状体、柱状体、棒状体、板状体および糸状体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  7. 前記バイオフィルム形成体に形成された前記バイオフィルムを、機械的方法によって剥離することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  8. 前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体を前記通水容器内で攪拌することであることを特徴とする請求項7に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  9. 前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器を振動させることにより行うことを特徴とする請求項8に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  10. 前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中に発生させた超音波により行うことを特徴とする請求項8または9に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  11. 前記バイオフィルム形成体として磁性を帯びたものを用い、前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中の磁界の変動により行うことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  12. 前記バイオフィルム形成体として、磁性を帯びたものと磁性を帯びていないものとを混合して使用することを特徴とする請求項11に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  13. 前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中で攪拌部材を回転運動させることにより行うことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  14. 前記攪拌部材として磁性を帯びたものを用い、前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器中の磁界の変動により行うことを特徴とする請求項13に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  15. 前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記通水容器への気体または液体の注入により行うことを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  16. 前記バイオフィルム形成体の形状が中空多孔質の糸状体であり、前記バイオフィルム形成体の攪拌を、前記バイオフィルム形成体の表面からの気体または液体の注入により行うことを特徴とする請求項15に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  17. 前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体を変形させることであることを特徴とする請求項7に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  18. 前記バイオフィルム形成体の変形を、押し当て部材による加圧により行うことを特徴とする請求項17に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  19. 前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体の表面からバイオフィルムを掻き取ることであることを特徴とする請求項7に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  20. 前記バイオフィルム形成体に形成された前記バイオフィルムを、化学的方法によって剥離することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  21. 前記化学的方法が、前記通水容器内にバイオフィルム回収液を注入することであることを特徴とする請求項20に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  22. 前記バイオフィルム回収液が、アルカリ性薬液、界面活性剤および酸素含有液からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項21に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  23. 前記通水容器が、下記二式を満たす形状であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
    A×B×π>1000
    1≦A≦10
    (ここで、Aは前記通水容器の平均内径(mm)、Bは前記通水容器の流路長(mm)、πは円周率である。)
  24. 複数の前記通水容器を用い、通水の停止および前記バイオフィルム由来物の量の測定を、前記通水容器の各々に対して順に行うことを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  25. 請求項1〜24のいずれか1項に記載のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法を所定の運転期間経過後に繰り返し、バイオフィルムの形成速度を評価することを特徴とする処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法。
  26. 被処理水を処理装置により処理して処理水を得る水処理プロセスにおける前記処理装置の被処理水側に属する被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置であって、
    該被検水の一部を通水する通水容器と、前記通水容器内に設けられたバイオフィルム形成体と、前記バイオフィルム形成体に形成されたバイオフィルムを前記通水容器内の試供水中にて剥離するバイオフィルム剥離手段と、剥離した前記バイオフィルムを含むバイオフィルム含有試供水中のバイオフィルム由来物の量を測定するバイオフィルム測定部とを備えることを特徴とする処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
  27. 前記バイオフィルム形成体の形状が、粒状体、柱状体、棒状体、板状体および糸状体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項26に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
  28. 前記バイオフィルム剥離手段は、機械的方法によって剥離を行うことを特徴とする請求項26または27に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
  29. 前記機械的方法が、前記バイオフィルム形成体の攪拌、変形または掻き取りであることを特徴とする請求項28に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
  30. 前記バイオフィルム剥離手段は、化学的方法によって剥離を行うことを特徴とする請求項26または27に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
  31. 前記通水容器を複数備え、前記複数の通水容器を直列的に接続することを特徴とする請求項26〜30のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
  32. 前記通水容器を複数備え、前記複数の通水容器を並列的に接続することを特徴とする請求項26〜30のいずれか1項に記載の処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価装置。
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