JP2020022948A - 塗装体の補修塗装方法 - Google Patents

塗装体の補修塗装方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020022948A
JP2020022948A JP2019098253A JP2019098253A JP2020022948A JP 2020022948 A JP2020022948 A JP 2020022948A JP 2019098253 A JP2019098253 A JP 2019098253A JP 2019098253 A JP2019098253 A JP 2019098253A JP 2020022948 A JP2020022948 A JP 2020022948A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
aqueous
polymerizable unsaturated
unsaturated monomer
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019098253A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7307521B2 (ja
Inventor
雅司 堀
Masashi Hori
雅司 堀
笠原 尚子
Naoko Kasahara
尚子 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=69618004&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2020022948(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
Priority to CN201910670992.1A priority Critical patent/CN110773401B/zh
Publication of JP2020022948A publication Critical patent/JP2020022948A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7307521B2 publication Critical patent/JP7307521B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】乾燥性に優れ、複層塗膜の耐水付着性に極めて優れた塗装体の補修塗装方法を提供すること【解決手段】塗装体の損傷部に、水性プライマーサーフェイサーを塗装して下地処理塗膜(I)を形成する工程(1)、前記下地処理塗膜上に、水性着色ベース塗料組成物を塗装して着色ベース塗膜(II)を形成する工程(2)、該工程(2)で得られた着色ベース塗膜上に水性2液型クリヤ塗料組成物を塗装し、乾燥させクリヤ塗膜(III)を形成する工程(3)、を含む塗装体の補修塗装方法であって、前記塗膜(I)及び塗膜(III)の吸水率が10%未満であることを特徴とする塗装体の補修塗装方法。【選択図】なし

Description

自動車外板、鉄道車両、産業機器などの金属又はプラスチック製品の補修塗装に有用な塗装体の補修塗装方法に関する。
近年、環境や人体に悪影響を及ぼすVOC(揮発性有機化合物)の大気中への放出を減らすため、有機溶剤型塗料に代わって水性塗料が普及しつつある。
一般に、自動車車体等の外板部等は、防食及び美感の付与を目的として下塗り塗膜、中塗り塗膜、上塗り塗膜及びクリヤ塗膜からなる複層塗膜により被覆されている。自動車補修分野で取り扱う塗料組成物においても、例えば、プライマーサーフェイサー、着色ベース塗料及びクリヤ塗料が順次塗装されるが、有機溶剤型塗料と比べて水性塗料は乾燥に時間がかかることや耐水付着性が脆弱であり、溶剤系塗料組成物と同等の性能、ムラ・平滑性・ハダなどの仕上り性を達成することが困難であるのが現状であった。
例えば、特許文献1において、基材に対して、水性プライマーサーフェイサーを塗布してプライマーサーフェイサー塗膜を形成する工程(1)及び上記工程(1)において得られたプライマーサーフェイサー塗膜上に、上塗り塗料を塗布して上塗り塗膜を形成する工程(2)を含む多層塗膜の形成方法であって、上記水性プライマーサーフェイサーが、1級水酸基及び水和可能な官能基含有アクリル樹脂水分散体、ポリイソシアネート化合物水分散体及び顔料を含む水性プライマーサーフェイサーであって、さらに、1級水酸基、2級水酸基及び水和可能な官能基含有変性エポキシ樹脂の水分散体を含んでいることを特徴とする自動車塗膜補修方法が開示されている。しかし、この方法では、乾燥に時間がかかるだけでなく、耐水付着性が不十分であり、また仕上り性も満足するレベルではなかった。
一方、本出願人は、特許文献2において、酸価の異なる2種類のアクリル樹脂エマルションを含む主剤(I)並びに硬化剤(II)に特定のポリイソシアネート化合物と有機溶剤を含む水性2液型クリヤ塗料組成物を提案した。本組成物によると、粗度の高い被塗物上であっても得られる塗膜の平滑性等の仕上り性に極めて優れる塗膜を形成できる。しかしながら、複層塗膜での耐水性が不十分となる場合があった。
特開2006−314960号公報 特開2018−002900号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、下地処理塗膜、着色ベース塗膜、クリヤ塗膜を形成する塗料が水性塗料であっても乾燥性・研磨性などの塗装作業性に優れ、仕上り性及び複層塗膜の耐水付着性に極めて優れた塗装体の補修塗装方法を提供することを目的とする。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究した結果、塗装体の損傷部に、水性プライマーサーフェイサーを塗装して下地処理塗膜を形成する工程(I)、着色ベース塗膜を形成する工程(II)、水性2液型クリヤ塗料を塗装してクリヤ塗膜(III)を形成する工程、を含む塗装体の補修塗装方法であって、水性プライマーサーフェイサー及び水性2液型クリヤ塗料組成物の双方の塗膜の吸水率を特定値未満とすることによって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、
項1.塗装体の損傷部に、水性プライマーサーフェイサーを塗装して下地処理塗膜(I)を形成する工程(1)、
前記下地処理塗膜上に、水性着色ベース塗料組成物を塗装して着色ベース塗膜(II)を形成する工程(2)、
該工程(2)で得られた着色ベース塗膜上に水性2液型クリヤ塗料組成物を塗装し、乾燥させクリヤ塗膜(III)を形成する工程(3)、
を含む塗装体の補修塗装方法であって、前記塗膜(I)及び塗膜(III)の吸水率が10%未満であることを特徴とする塗装体の補修塗装方法。
項2.前記水性2液型クリヤ塗料組成物が、アクリル樹脂(a)を含む主剤及びポリイソシアネート化合物(b)を含む硬化剤を混合して得られる水性2液型クリヤ塗料組成物であって、
主剤にガラス転移温度が40℃以上の水酸基含有アクリル樹脂(a2)を含み、かつ、硬化剤に親水性ポリイソシアネート化合物(b1)及び疎水性ポリイソシアネート化合物(b2)を固形分質量比で25/75〜75/25の範囲内で含む項1の塗装体の補修塗装方法。
項3.前記水酸基含有アクリル樹脂(a2)が、主鎖部及び側鎖部からなるグラフト構造を有する水酸基含有アクリル樹脂の水分散体であって、主鎖部を構成する重合性不飽和モノマー成分(X)が、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(x1)及びその他の重合性不飽和モノマー(x2)を含み、側鎖部を構成する重合性不飽和モノマー成分(Y)が、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(y1)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(y2)及びその他の重合性不飽和モノマー(y3)を含んでなる項2に記載の塗装体の補修塗装方法。
項4.前記水性2液型クリヤ塗料組成物の主剤が更に、ポリエーテルポリオール化合物(c)を含有する項1〜3のいずれか1項に記載の塗装体の補修塗装方法。
項5.前記水性2液型クリヤ塗料組成物の主剤及び/又は硬化剤が表面調整剤(d)を含有する項1〜4のいずれか1項に記載の塗装体の補修塗装方法。
本発明の塗装体の補修塗装方法を用いると、乾燥性に優れかつ、耐水性及び仕上り性が優れる。本方法は、水性プライマーサーフェイサー、水性着色ベース及び水性クリヤのオール水性塗装システム或いは環境配慮型の塗装システムとすることができ、臭気をはじめ、人体や環境に対して配慮しつつ、基材面の美観を長期にわたって維持することができる。また、特にプライマーサーフェイサーの下地処理塗膜と、クリヤ塗膜の吸水率を一定未満とすることにより、強靭で耐水付着性に極めて優れた複層塗膜を形成することができる。
本明細書において、「水性」は、溶媒が水性溶媒のことであり、「水性溶媒」とは、水または水と有機溶剤との混合溶媒のことである。水性塗料中における水性溶媒の含有量としては、全溶媒に対して30〜90質量%、好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%の範囲内で水を含有する混合溶媒であることが好ましい。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを意味する。
本発明は、塗装体の損傷部に、
(1)水性プライマーサーフェイサーを塗装して下地処理塗膜(I)を形成する工程、
(2)形成された下地処理塗膜を乾燥させ、研磨する工程、
(3)研磨された下地処理塗膜上に、水性着色ベース塗料組成物を塗装して着色ベース塗膜(II)を形成する工程、
(4)得られた着色ベース塗膜上に水性2液型クリヤ塗料組成物を塗装し、乾燥させクリヤ塗膜(III)を形成する工程、
を含む塗装体の補修塗装方法であって、前記塗膜(I)及び塗膜(III)の塗膜の吸水率が10%未満であることを特徴とする。
塗装体の損傷部(被塗物)
本発明が適用され得る塗装体の損傷部(被塗物)としては、特に制限はないが、例えば金属又はプラスチック等を基材とする被塗物が挙げられ、該被塗物は塗装されたものであっても良い。具体的には自動車、オートバイ、トラック、建機、電車等の車両や部品等の補修塗装に好適に適用される。
工程(1):水性プライマーサーフェイサーを塗装して下地処理塗膜(I)を形成する
上記水性プライマーサーフェイサーとしては、従来から公知の水性プライマーサーフェイサーを使用することができる。「プライマーサーフェイサー」とは、プライマー及びサーフェイサーの両方の機能を有する組成物のことである。
水性プライマーサーフェイサーを塗装することにより、被塗物及び後述する着色ベース塗膜との密着性を向上させることができ、被塗物の凹凸素地面を被覆し、必要に応じて研磨により塗膜面を整えることができる。
該水性プライマーサーフェイサーを塗装する前に、被塗物を予め、洗浄やサンドペーパーによるサンディング等を行ってもよい。また、被塗物に損傷部があれば、その周辺を削り、パテ組成物による充填を行ってもよい。パテ組成物は従来から公知のものを使用できる。
本発明に適用する水性プライマーサーフェイサーの塗膜の吸水率としては、10%未満であり、好ましくは0.1以上5%未満の範囲内にあることが、複層塗膜の耐水付着性の点から特に望ましい。塗膜の吸水率が10%以上であると、複層塗膜の耐水性が脆弱となり、耐水付着性が悪化するおそれがある。
<水性プライマーサーフェイサー>
塗膜の吸水率を上記範囲とするために、水性プライマーサーフェイサーの組成としては、例えば、アクリル樹脂(α)を含む主剤と、ポリイソシアネート化合物(β)を含む硬化剤と、必要に応じて希釈剤と、を含む多成分型(多液型ともいう)の水性下塗塗料組成物が好ましい。
主剤
<<アクリル樹脂(α)>>
水性プライマーサーフェイサーの主成分に用いることができるアクリル樹脂(α)は後述の水性2液型クリヤ塗料組成物の項で記載するアクリル樹脂(a)と同じものを好適に用いることができる。
<<顔料>>
本発明に適用されるプライマーサーフェイサーにおいて、上記主剤に含まれる顔料としては、従来公知の顔料類が使用でき、例えば、チタン白、カーボンブラック、ベンガラなどの着色顔料;微細アルミニウム粉末などのメタリック顔料;炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、バリタ、シリカ、アルミナホワイト等などの体質顔料;トリポリリン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム、リン酸亜鉛などの防錆顔料などが挙げられ、これらはその目的とする色彩や塗膜性能に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
該顔料の含有量としては、上記主剤に含まれる樹脂固形分100質量部に対して、100〜500質量部、好ましくは120〜400質量部含有することが好ましい。
上記顔料のうち体質顔料として、コスト、造膜性、研磨性及び上塗り塗装後の仕上り性と塗膜性能のバランスの観点から、炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、バリタ及びシリカから選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に炭酸カルシウム、タルク及びバリタから選ばれる少なくとも1種、さらに特にタルク及び/又はバリタが好ましい。
また、顔料のうち体質顔料の含有量としては、研磨性と塗膜性能のバランスの点から、主剤に含まれる樹脂固形分100質量部に対して、通常30〜350質量部、好ましくは100〜340質量部の範囲内で含有することが好適である。
顔料の平均粒子径は、仕上り性の点から、通常0.001〜100μm、好ましくは0.05〜50μmの範囲内が適している。
本発明における顔料の平均粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径(d50)の値である。
上記主剤は、アクリル樹脂(α)以外の樹脂、粘性調整剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ポリマー微粒子、分散助剤、防腐剤、消泡剤、硬化触媒、有機溶剤、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤などの他の成分を含んでいてもよいが主剤の樹脂固形分の総量に対して、30質量%未満、好ましくは0.1〜20質量%の範囲内で適用可能である。ここで本明細書中において、主剤の樹脂固形分とは、アクリル樹脂(α)及びそれ以外の樹脂を含む場合はその樹脂を含んだ固形分(不揮発分)のことである。
前記粘性調整剤としては、塗料用粘性調整剤として公知のものを使用することができ、例えばポリアミド系粘性調整剤、有機樹脂微粒子粘性調整剤、ジウレア系粘性調整剤、ウレタン会合型粘性調整剤、アミノプラスト系会合型粘性調整剤等の非ウレタン系の会合型粘性調整剤、アルカリ膨潤型であるポリアクリル酸系粘性調整剤等が挙げられる。これらは市販品を用いることができる。
主剤に対して必要に応じて配合される粘性調整剤の含有量としては、研磨性と塗膜性能のバランスの点から、主剤に含まれる樹脂固形分100質量部に対して、通常0.5〜10質量部、1〜5質量部の範囲内であることが好適である。
また、後述の無機系粘性調整剤も主剤に含むことも可能である。これら粘性調整剤は1種で又は2種以上併用しても良い。
硬化剤
本発明出用いる水性プライマーサーフェイサーに適用する硬化剤としては、下記のポリイソシアネート化合物(β)を含むことが好ましい。
特に、ポリイソシアネート化合物(β)のイソシアネート基含有率は、主剤中のポリオール成分と強靭な膜を形成する点、耐水付着性向上の点から、10質量%以上、好ましくは12〜25質量%、さらに18〜25質量%の範囲内のものが適している。
ここで、本明細書において、イソシアネート基含有率は、化合物中に含まれるイソシアネート基の量を質量分率で表したものである。該イソシアネート基の量の測定は、JIS K 1603−1(2007)に準拠して行うことができる。具体的には、試料に過剰のジブチルアミンを加え充分に反応させた後、未反応のジブチルアミンを塩酸標準溶液で逆滴定することによって求めた値である。
硬化剤中に含まれるポリイソシアネート化合物の含有量は、硬化剤の質量を基準として、10〜99.9質量%好ましくは30〜80質量%の範囲内に調整することができる。
また、上記硬化剤としては、上記(β)以外の硬化剤例えば、メラミン樹脂、アミノ樹脂等を含んでもよく、それ以外に有機溶剤、脱水剤、表面調整剤(あるいは消泡剤と呼ばれることもある)などの塗料用添加剤を適宜配合することができる。
上記硬化剤は、有機溶剤で希釈された状態であることもでき、また、紫外線吸収剤、光安定剤、ポリマー微粒子、分散助剤、防腐剤、硬化触媒、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。
硬化剤を希釈する有機溶剤としては、ポリイソシアネート化合物と反応することがあるため、水酸基を有さない水溶性溶剤を適宜選択することが好ましいが、例えば、アセテート系、ケトン系、エステル系、エーテル系、グリコールエーテル系の水溶性溶剤が挙げられる。また、有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤が含まれないか、水性プライマーサーフェイサーの硬化剤の総質量を基準として5%未満であることが人体や環境に対して配慮の点から好ましい。
<<ポリイソシアネート化合物(β)>>
水性プライマーサーフェイサーの硬化剤に用いることができるポリイソシアネート化合物(β)は後述の水性2液型クリヤ塗料組成物の項で記載するポリイソシアネート化合物(b)と同じものを好適に用いることができる。
このように水性プライマーサーフェイサーを塗装して形成された下地処理塗膜は乾燥しても良い。乾燥方法としては、例えば、常温乾燥または強制乾燥が挙げられ、本乾燥工程により塗膜内部まで硬化することができる。常温乾燥の場合は、具体的には、常温(例えば、5〜40℃未満)で5時間以上静置するか、強制乾燥の場合は、40〜120℃で5〜60分間、好ましくは20〜40分間加熱することにより乾燥できる。前記強制乾燥の場合、仕上り性の点から、加熱硬化前に予め2〜30分間常温でセッティング(静置)してもよい。乾燥に、例えば、ブロアーなどを用いてもよい。
得られる水性プライマーサーフェイサーの乾燥塗膜の膜厚としては、後に研磨をすることを考慮すると、通常、乾燥膜厚で8〜500μm、さらに10〜150μmが好適である。
また得られた塗膜を研磨しても良く、研磨する方法としては、例えば、耐水ペーパーやサンドペーパーなどを用いることができる。また耐水ペーパーを用いて水研ぎをしても良く、粗磨き用コンパウンド、仕上げ磨き用コンパウンドと順次ポリッシングしてもよい。
<<シランカップリング剤>>
本発明で用いるプライマーサーフェイサーの主剤及び/又は硬化剤中には、被塗物との付着性の点から、シランカップリング剤を含んでいても良い。その場合は、硬化剤の質量を基準として0.01〜10質量%の範囲内で含まれることが好ましい。
シランカップリング剤は、貯蔵安定性の点から、硬化剤に含まれることが好ましい。
その場合のシランカップリング剤の含有量は、硬化剤の質量を基準として0.01〜10質量%の範囲内であり、耐水付着性及び得られる皮膜の鋼板への付着性向上の点から、好ましくは0.05〜8質量%、さらに0.1〜6質量%の範囲内にあることが適している。
工程(2)前記下地処理塗膜上に、水性着色ベース塗料組成物を塗装して着色ベース塗膜(II)を形成する
前記下地処理塗膜上に水性着色ベース塗料組成物を塗装することにより、塗膜に美観を与えることができる。
<水性着色ベース塗料組成物>
水性着色ベース塗料組成物を構成する樹脂としては、例えば、水酸基などの架橋性官能基を含有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂やフッ素樹脂等を主剤とし、ブロックポリイソシアネート、ポリイソシアネートやメラミン樹脂或いはエポキシ樹脂などを硬化剤として含有する硬化型塗料、あるいはセルロースアセテートブチレート変性のアクリル樹脂を主成分とするラッカー塗料などが好適に使用できる。さらに必要に応じて光輝性顔料等を含む顔料類、繊維素誘導体類、添加樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤(あるいは消泡剤)、硬化触媒などの塗料用添加剤を含有することができる。
特に、本発明に適用する水性プライマーサーフェイサーから得られる塗膜上に上塗り塗料組成物として水性着色ベース塗料組成物、水性クリヤ塗料の水性塗料を塗り重ねることにより、オール水性塗装システム或いは環境配慮型の塗装システムとすることができ、臭気をはじめ、人体や環境に対して配慮しつつ、基材面の美観を長期にわたって維持することができる。
本発明に適用する水性着色ベース塗料組成物は、下地隠蔽性及び仕上り性の点から、少なくともその成分の一部に顔料を含有することが好ましく、前記水性着色ベースコート塗料組成物が水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂、着色顔料及び/又は光輝顔料を含有する水性着色ベースコート塗料組成物であることが好ましい。
着色ベース塗料を塗装後、乾燥させても良く、例えば、常温乾燥または強制乾燥が挙げられる。後述のトップクリヤを塗り重ねる場合は未乾燥の状態であってもよいが、常温乾燥の場合は、具体的には、常温(例えば、10〜40℃未満)で5時間以上静置するか、強制乾燥の場合は、40〜120℃で5〜60分間加熱することができる。前記強制乾燥の場合、仕上り性の点から、加熱硬化前に予め2〜30分間常温でセッティング(静置)することができる。乾燥に、例えば、ブロアーなどを用いてもよい。
膜厚は、被塗面の状態に応じて適宜調整できるが、一般には乾燥膜厚として、5〜100μm、特に10〜60μmの範囲内が適している。
工程(3)着色ベース塗膜上に水性2液型クリヤ塗料組成物を塗装し、乾燥させクリヤ塗膜(III)を形成する
前記着色ベース塗膜上に水性2液型クリヤ塗料組成物を塗装し、乾燥させクリヤ塗膜(III)を形成する。
本発明に適用する水性2液型クリヤ塗料組成物の乾燥塗膜の吸水率としては、10%未満であり、好ましくは0.05以上10%未満、さらに好ましくは0.1以上5%未満の範囲内にあることが、複層塗膜の耐水付着性の点から特に望ましい。乾燥塗膜の吸水率が10%以上であると、複層塗膜の耐水性が脆弱となり、耐水付着性が悪化するおそれがある。
<水性2液型クリヤ塗料組成物>
本発明に適用する水性2液型クリヤ塗料組成物の塗料形態はアクリル樹脂(a)を含む主剤と後述のポリイソシアネート化合物(b)を含む硬化剤とを使用直前に混合する2液型塗料組成物である。
特に主剤にガラス転移温度が40℃以上の水酸基含有アクリル樹脂(a2)を主成分として含み、かつ、硬化剤に親水性ポリイソシアネート化合物(b1)及び疎水性ポリイソシアネート化合物(b2)を固形分質量比で25/75〜75/25の範囲内で含むものを適用することが、複層塗膜の耐水性、研磨性及び仕上り性の両立の観点から特に好ましい。
主剤
主剤に含まれるアクリル樹脂(a)は、後述の硬化剤中に含まれるポリイソシアネート化合物と共にポリウレタン皮膜を形成する成分である。従って、アクリル樹脂(a)は水酸基を含有している水酸基含有アクリル樹脂(a2)が好ましく、前記水酸基含有アクリル樹脂(a2)を主成分(固形分で70質量%以上、好ましくは80〜100質量%)として含むものである。
<<アクリル樹脂(a)>>
前記アクリル樹脂(a)の製造において使用されるモノマーとしては、従来から公知の水酸基有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを適宜使用することができる。
上記アクリル樹脂(a)は、水性プライマーサーフェイサーの水性溶媒中に溶解又は水分散した状態で含有することができるが、耐水付着性及び乾燥性の観点から水分散した状態で含有することが好ましい。
上記アクリル樹脂(a)の水分散方法としては、例えば、有機溶剤中の溶液重合により製造されたアクリル樹脂に含まれるカルボキシル基等のアニオン性基の一部または全部を塩基性化合物で中和して水中に分散するか、又は、塩基性化合物を含有する水性媒体中に該アクリル樹脂を添加して分散させる方法や乳化剤の存在下で重合開始剤を使用して重合性不飽和モノマー成分を水性溶媒中で乳化重合する方法等を挙げることができる。
乳化重合に用いられる乳化剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などが挙げられ、重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、過酸化物などが挙げられる。
また、アクリル樹脂を水中に分散させる場合にも有機溶剤を添加することが可能である。
有機溶剤の選択は、重合温度、製造時の取り扱いやすさ及び得られる水分散体の長期貯蔵安定性を考慮して適宜行なうことができるが有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤が含まれないか、水性プライマーサーフェイサーの主剤の総質量を基準として5%未満であることが人体や環境に対して配慮の点から好ましい。用いることができる有機溶剤としては、例えばアルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、カルビトール系溶剤などが挙げられる。
本発明においては特に、アクリル樹脂(a)が、有機溶剤の存在下で相異なる組成の重合性不飽和モノマー成分を多段階に分けて共重合した、主鎖部及び側鎖部からなるグラフト構造を有する水酸基含有アクリル樹脂の水分散体を適用することが、水酸基含有アクリル樹脂の水分散性及び主剤の貯蔵安定性及び複層塗膜の耐水付着性に優れる点からより好ましい。
より具体的には、有機溶剤の存在下、重合開始剤を使用して一段階目で重合性不飽和モノマー成分(X)による主鎖部となる共重合体を製造し、次に重合性不飽和モノマー成分(Y)による側鎖部となる共重合体或いはモノマーの混合物を二段階目に添加してグラフトさせて得られたアクリル樹脂を、水分散することにより、主鎖部及び側鎖部からなるグラフト構造を有するアクリル樹脂の水分散体を得ることができる。
前記主鎖部及び側鎖部からなるグラフト構造を有する水酸基含有アクリル樹脂の水分散体を溶液重合法にて合成する際には、合成過程において乳化剤を使用せず共重合体を得ることができるため、アクリル樹脂に乳化剤が残存することがなく、潜在的に耐水性が向上するため特に好ましい。
一段階目及び二段階目のモノマーとしては、適宜選択できるが、前記一段階目を形成する重合性不飽和モノマー成分(X)には、少なくともその成分の一部にエポキシ基含有重合性不飽和モノマーを含有することが好ましく、二段階目を形成する重合性不飽和モノマー成分(Y)には、少なくともその成分の一部にカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
重合性不飽和モノマー成分(X)としては、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(x1)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(x2)及びその他の重合性不飽和モノマー(x3)、を含むものであることが好ましい。
本発明においてエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(x1)は、後述の重合性不飽和モノマー成分(Y)に含まれるカルボキシル基と反応させ、重合性不飽和モノマー成分(X)による共重合体と重合性不飽和モノマー成分(Y)による共重合体とをグラフトさせ、アクリル樹脂エマルションの水分散安定性をより一層向上させるために用いられるモノマーであり、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(x2)は、アクリル樹脂に、後述のポリイソシアネート硬化剤と反応させるための水酸基を導入するため、そしてアクリル樹脂(a)の水分散性に寄与するために共重合されるモノマーであり、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;アリルアルコール等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
その他の重合性不飽和モノマー(x3)としては、上記モノマー(x1)及びモノマー(x2)以外の重合性不飽和モノマーであり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜2のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート等の炭素数が3〜4のアルキル基を有するアクリレート;n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の炭素数が6以上のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基を有する重合性不飽和モノマー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明において、上記その他の重合性不飽和モノマー(x3)は、その成分の一部としてホモポリマーのガラス転移温度が30℃以上のモノマーを、好ましくは40〜130℃の範囲内のモノマーを、その共重合成分の一部として含むことが、クリヤ塗膜の研磨性の点から望ましい。
ここで、本明細書においてモノマーのガラス転移温度とは、Polymer Handbook(4th Edition,J.Brandup・E.H.Immergut編)にある各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度のことである。該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用する。
上記ホモポリマーのガラス転移温度が30℃以上のモノマーとしては、具体的には、スチレン、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、炭素数が3〜4の分岐アルキル基を有するメタクリレート、例えば、i−プロピルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート等、シクロヘキシルメタアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタアクリレート等、セチルアクリレート(別名;ヘキサデシルアクリレート)、ベンジルメタクリレート等の環状アルキル構造を有する(メタ)アクリレート、その他、イソステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、被塗物との付着性と塗膜硬度の点から、上記中でも、スチレン、メチルメタクリレート、炭素数が3〜4の分岐アルキル基を有するメタクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマーを用いることが特に好ましい。
前記ガラス転移温度が30℃以上のモノマーとしては、単独で又は組み合わせて使用することができる。
前記ガラス転移温度が30℃以上のモノマーを使用する場合のその使用量としては、その他の重合性不飽和モノマー(x3)中に、50〜100質量%、好ましくは70〜95質量%の範囲内にあることが塗膜の研磨性の点から望ましい。
前記一段階目を形成するモノマー成分(X)に含まれるエポキシ基含有重合性不飽和モノマーは、重合性不飽和モノマー成分(Y)に含まれるカルボキシル基と反応させ、重合性不飽和モノマー成分(X)による共重合体と重合性不飽和モノマー成分(Y)による共重合体とをグラフトさせ、アクリル樹脂の水分散体の水分散安定性をより一層向上させるために用いられるモノマーである。
特に本発明に好ましく適用されうる水酸基含有アクリル樹脂の水分散体の製造は、上述の通りアクリル樹脂を製造する少なくとも1つの段階の重合性不飽和モノマー成分(X)以外にさらに重合性不飽和モノマー成分(Y)を共重合成分とする少なくとも2段階以上の多段階で製造されたものである。
かかる重合性不飽和モノマー成分(Y)は、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(y1)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(y2)及びその他の重合性不飽和モノマー(y3)を含んでなる。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(y1)としては、アクリル樹脂(a)に水分散基を導入すると共に、上記重合性不飽和モノマー成分(X)による共重合体に含まれるエポキシ基と反応させる官能基を導入するために用いられるモノマーでもあり、具体的には(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマー(y2)としては、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(x2)に列記した化合物と同様であり、これらの中から単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。その他の重合性不飽和モノマー(y3)は、上記モノマー(y1)及びモノマー(y2)以外の重合性不飽和モノマーであり、例えば、その他の重合性不飽和モノマー(x3)で列記した化合物を挙げることができ、これらの中から単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記アクリル樹脂(a)において、重合性不飽和モノマー成分(X)における前記エポキシ基含有重合性不飽和モノマー使用割合は、本発明の技術的思想の範囲内にある限り適宜調整できるが、一般に、重合性不飽和モノマー成分(X)の総量を基準として、0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜25質量%の範囲内であることができる。
また、上記重合性不飽和モノマー成分(Y)における、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、重合性不飽和モノマー成分(Y)の総量を基準として5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲内にあることができる。
また、これら重合性不飽和モノマー成分(X)及び(Y)において、重合性不飽和モノマー成分(X)に含まれるエポキシ基1モルに対する重合性不飽和モノマー成分(Y)に含まれるカルボキシル基の量としては3〜30モル、特に6〜20モルの範囲内となるように調整されることが、主剤の貯蔵安定性並びに仕上り性及び研磨性の観点からも適している。
上記主鎖部を形成する重合性不飽和モノマー成分(X)及び測鎖部を形成するモノマー成分(Y)の使用割合は、モノマー成分(X)/モノマー成分(Y)の質量比で60/40〜95/5、特に70/30〜90/10の範囲内にあることがアクリル樹脂(a)の水分散安定性と仕上り性の点から適している。
上記の如きして得られるアクリル樹脂(a)は、重量平均分子量が5,000〜100,000、特に10,000〜50,000、さらに特に10,000〜30,000の範囲内にあることが、アクリル樹脂の水分散安定性、仕上り性、平滑性、研磨性などの観点から適している。
本明細書において、アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G4000HXL」を1本、「TSKgel G3000HXL」を2本、及び「TSKgel G2000HXL」を1本(商品名、いずれも東ソー社製)の計4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1mL/minの条件下で測定することができる。
アクリル樹脂(a)の水酸基価は、樹脂固形分当たり20〜180mgKOH/gの範囲内、かつ、ガラス転移温度は40℃以上であることが塗膜物性、研磨性及び乾燥性の点から好ましい。
また、アクリル樹脂(a)の固形分当たりの酸価は、アクリル樹脂(a)の水中での分散安定性及び塗膜の耐水性の点から、5〜50mgKOH/g、さらに10〜35mgKOH/g、特に15〜30mgKOH/gの範囲内が好ましい。
また、アクリル樹脂(a)のガラス転移温度(以下Tgと略す場合がある)は、40℃以上が好ましい。く、得られる塗膜を硬くし塗膜の研磨性と付着性の両立の点から、好ましくは42〜68℃、さらに45〜65℃の範囲内のものが適している。
尚、本明細書において、上記アクリル樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)は、下記式により算出される値である。
1/Tg(K)=W/T+W/T+・・・W/T
Tg(℃)=Tg(K)−273
式中、W、W、・・・Wnは各モノマーの質量分率であり、T、T・・・Tは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tg(K)である。尚、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK Fourth Edition,J.Brandrup,E.h.Immergut,E.A.Grulke編(1999年)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が50,000程度になるようにして合成したときの静的ガラス転移温度とする。
本明細書において、樹脂の静的ガラス転移温度は、例えば、試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、示差走査熱量計「DSC−50Q型」(島津製作所製、商品名)を用いて、3℃/分の昇温速度で−100℃〜150℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側における最初のベースラインの変化点を静的ガラス転移温度とすることによって、測定することができる。
また、特にアクリル樹脂(a)の溶解性パラメーター(SP値)が8.7〜9.2の範囲内であることが、乾燥塗膜の吸水率を下げる点、複層塗膜の耐水付着性の点から好ましく、より好ましいSP値の範囲は、8.8〜9.1の範囲内である。
溶解性パラメーター(Solubility Parameter、「SP値」は略号)は、液体分子の分子間相互作用の尺度を表すものである。重合性モノマーのホモポリマーのSP値は、J.Paint Technology,vol.42,176(1970)に記載されている。重合性モノマー混合物の共重合体ポリマーのSP値は、下記式により計算して求めることができる。
SP値=SP×fw+SP×fw+………+SP×fw
上記式中、SP、SP、………SPは、各重合性モノマーのホモポリマーのSP値を表し、fw、fw、………fwは、各重合性不飽和モノマーのモノマー総量に対する質量分率を表す。
アクリル樹脂(a)の溶解性パラメーターを上記範囲内とするために、共重合成分の内、モノマーのSP値が9.2未満のモノマーが少なくとも10質量%以上、15〜60質量%範囲内、好ましくは20〜55質量%範囲内で含まれることが、塗膜の吸水率を低くしかつ耐水性及び耐水付着性を向上させる点から好ましい。
前記アクリル樹脂(a)が水分散体である場合には、分散樹脂の平均粒子径が0.05〜1.0μm、好ましくは0.08〜0.8μmの範囲内が適当である。
本明細書において平均粒子径としてはコールターカウンターN4(商品名、ベックマン・コールター株式会社製、粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて測定に適した濃度に希釈して、常温(20℃程度)にて測定した値とする。
アクリル樹脂(a)の樹脂固形分は、アクリル樹脂(a)の分散安定性の点から、35〜65質量%程度であることが好ましい。
ここで、本明細書において樹脂固形分とは、試料約2.0gを直径約5cmのアルミニウム箔カップに採取し、110℃で1時間加熱後の残分(g)を測定して算出した値である。
<<中和剤>>
本発明に適用するアクリル樹脂(a)のエマルション(水分散体)を中和するものとして主剤にアミン化合物を含有することが好ましい。中でも、第3級アミンを用いることが好ましい。
発明において、第3級アミンは塗料製造のどの段階で配合してもよく、その含有量は、本発明に適用するアクリル樹脂(a)を含む主剤と混合し、pH7またはそれ以上、好ましくは7.5〜8.5の範囲内に調整または維持する程度に含有せしめることが好ましく、適宜調整することができる。
<<ポリエーテルポリオール(c)>>
本発明に適用する水性2液型クリヤ塗料組成物の主剤は更に、ポリエーテルポリオール(c)を含有しても良い。ポリエーテルポリオール(c)は、一分子中にエーテル骨格及び2個以上の水酸基を有するポリオール化合物である。特に3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールが乾燥性と仕上り性のバランスの点から好ましい。ポリエーテルポリオールは、水溶性化合物でありながら、架橋官能基である水酸基を多く含有することから硬化剤と反応し、耐水性を悪化させることなく強靭な塗膜を形成することができかつ、耐水付着性を優れる塗膜を形成できることから特に好ましい。ポリエーテルポリオールの製造方法は、例えば、3価以上の多価アルコールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得ることができる。
上記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、ジトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニット、ジメチロールアルカン酸とモノエポキシ化合物(例えばHEXION Specialty Chemicals社製「カージュラE10」、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を反応させて得られた多価アルコール化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、耐酸性及び耐汚染性の観点から、トリメチロールプロパンが好ましい。
また、前記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの少なくとも一方を使用することが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、市販品を使用できる。市販品としては、例えば、三洋化成(株)製のサンニックスシリーズ(たとえば、サンニックス PP−400、PP−600、PP−1000、PP−2000、PP−3000、GP−250、GP−400GP−600、GP−1000、GP−1500、GP−3000、GL−3000、FA−103、FA−703)、日本乳化剤(株)製のTMP−30、TMP−60、TMP−90、旭硝子ウレタン社製のエクセノールEL−1020、EL−2020、EL−3020、EL−510、EL−540、EL−3030、EL−5030、EL−823、EL−828、EL−830、EL−837、EL−840、EL−850、EL−851B、プレミノールPML−3005、PML−3012、PML−4002、PML−5001、PML−7001等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールの水酸基価は、110〜700mgKOH/gの範囲内が好ましく、数平均分子量は、150〜5,000、さらに200〜1,800の範囲内、特に500〜1,700の範囲内が好ましい。
ポリエーテルポリオールを含有する場合その固形分含有量は、乾燥性と仕上り性のバランスの観点から、主剤中の樹脂固形分100質量部に対して1〜25質量部、好ましくは2〜20質量部の範囲内にあることが適している。
ここで本明細書中において、主剤中の樹脂固形分とは、アクリル樹脂(a)及びそれ以外の樹脂を含む場合はその樹脂を含んだ固形分(不揮発分)のことである。
<<表面調整剤(d)>>
表面調整剤は、主剤及び/又は硬化剤に含有してもよいが、主剤に含有することが特に好ましい。
表面調整剤を含有することにより、下地への塗れ性、塗料組成物のレベリング性を調整して仕上り性と塗膜物性を向上させ、かつ、発泡抑制や消泡効果が期待できる場合もある。
表面調整剤としては、シリコーン系、アセチレン系、アクリル系、フッ素系、ビニル系、等が挙げられる。
シリコーン系表面調整剤としては、制限されないが、特に、表面調整剤の一部として、ポリエーテル変性シロキサンを含有することが、基材への濡れ性の向上だけでなく、塗料組成物の相溶性、特にアクリル樹脂(a)とポリイソシアネート化合物(b)双方への相溶性及び耐ワキ性の点から、特に好ましい。ポリエーテル変性シロキサン、その原材料の一部にコロイダルシリカが含まれているものも含まれる。すなわちコロイダルシリカをポリエーテル化合物により変性されたものであっても良い。
ポリエーテル変性シロキサンの重量平均分子量は、400〜3,000の範囲内、特に500〜2,500の範囲内が好ましい。
アセチレン系表面調整剤としては、アセチレンジオール系や、アセチレン変性シロキサン系が挙げられる。アセチレン系表面調整剤は、アセチレン基を中央に持ち、左右対称の構造をした非イオン性界面活性剤であり、塗料組成物に添加した際、泡が立ちにくいという効果を奏する場合がある。
アクリル系表面調整剤としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を原料として得られた重量平均分子量が300〜50,000のアクリル重合体が挙げられる。また、シリコーン変性されたアクリル樹脂などもこの中に含まれる。
中でも、耐ワキ性及び塗料組成物との相溶性の点から、ポリエーテル変性シロキサン以外のシリコーン系表面調整剤、アセチレン系表面調整剤及びアクリル系表面調整剤から選ばれる少なくとも1種の表面調整剤並びにポリエーテル変性シロキサンを含有することが好ましい。これらの表面調整剤としては市販品を用いることができる。
表面調整剤の固形分含有量は、仕上り性及び基材への濡れ性確保の点から、一般に主剤中の樹脂固形分100質量部に対して0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.2〜5質量部の範囲内が適当である。
特に、ポリエーテル変性シロキサンを含有する場合の固形分含有量は、主剤中の合計の樹脂固形分100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜3.0質量部である。上記ポリエーテル変性シロキサンの含有量が上記範囲内であると、塗料組成物の濡れ性が向上する場合があるため特に好ましい。
上記以外の表面調整剤を使用する場合、その固形分含有量は、5質量部以下、好ましくは0.1〜4.0質量部の範囲内が適当である。
ポリエーテル変性シロキサンとその他の表面調整剤の使用比率としては、相溶性及び耐ワキ性の点から、固形分質量比率で、1〜30/99〜70、特に好ましくは5〜25/95〜75の範囲内が好ましい。
<<その他成分>>
本発明に適用する水性2液型クリヤ塗料組成物には、アクリル樹脂(a)以外の樹脂、顔料分(体質顔料や下地を隠蔽しない程度の量の範囲内での着色顔料等)、レオロジーコントロール剤、消泡剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定化剤、脱水剤、有機溶剤等を有機溶剤、紫外線吸収剤や光安定剤、脱水剤、硬化触媒などの添加剤を含有することができる。これらの成分を含有させる場合には、貯蔵性の観点からは主剤に含まれていることが望ましい。
アクリル樹脂(a)以外の樹脂としては、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート及びニトロセルロース(硝酸セルロース)等の繊維素誘導体、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。
このような樹脂の含有量としては、主剤に含まれる合計の樹脂固形分100質量部に対して30質量部を上限として、0.5〜20質量部含有しても良い。
これらのうちレオロジーコントロール剤としては、例えば、脂肪酸アマイド、ポリアマイド、アクリルアマイド、長鎖ポリアミノアマイド、アミノアマイドおよびこれらの塩(例えばリン酸塩)等のポリアマイド系レオロジーコントロール剤;ポリエーテルポリオール系ウレタンプレポリマー、ウレタン変性ポリエーテル型粘性調整剤等のウレタン系レオロジーコントロール剤;高分子量ポリカルボン酸、高分子量不飽和酸ポリカルボン酸およびこれらの部分アミド化物等のポリカルボン酸系レオロジーコントロール剤;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系レオロジーコントロール剤;モンモリロナイト、ベントナイト、クレイ等の無機層状化合物系レオロジーコントロール剤;疎水変性エトキシレートアミノプラスト等のアミノプラスト系レオロジーコントロール剤等を挙げることができ、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合物であってもよい。
上記レオロジーコントロール剤は、主剤に含まれる合計の樹脂固形分100質量部に対して、レオロジーコントロール剤の有効成分の質量が、0.01〜1.0質量部、特に0.1〜0.5質量部の範囲内で含有することが適している。
このうち硬化触媒としては、特に制限なく従来公知のものが使用でき、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン触媒;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、オクチル酸錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、モリブデン化合物(リンモリブデン酸ナトリウム等のリンモリブデン酸アルカリ金属塩)などが使用できる。特に、乾燥性向上の点から、モリブデン化合物を含有することが好ましい。また、モリブデン化合物は前記アクリル樹脂の樹脂粒子内部に存在する状態であってもよい。
硬化触媒を含有する場合その含有量は、主剤に含まれる合計の樹脂固形分100質量部に対して、0.01〜1.00質量部、特に0.01〜0.50質量部の範囲内にあることが好ましい。
また消泡剤としては、例えばポリエーテル系、ポリシロキサンとポリエーテルの共重合系、ポリシロキサンとケイ酸の縮合物系、金属石鹸系などが使用できる。
紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
本発明に適用する塗料組成物が、紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の配合量は、主剤中の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.3〜3質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
光安定剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
本発明に適用する塗料組成物が、光安定剤を含有する場合、光安定剤の配合量は、主剤中の樹脂固形分100質量部を基準として、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.3〜2質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
硬化剤
本発明で用いる水性クリヤ塗料組成物に適用する硬化剤としては、下記のポリイソシアネート化合物(b)を含むことが好ましい。
特に、ポリイソシアネート化合物(b)のイソシアネート基含有率は、主剤中のポリオール成分と強靭な膜を形成する点、耐水付着性向上の点から、10質量%以上、好ましくは12〜25質量%、さらに18〜25質量%の範囲内のものが適している。
また、上記硬化剤としては、上記(b)以外の硬化剤、例えば、メラミン樹脂、アミノ樹脂等を含んでもよい。また、それ以外に有機溶剤、脱水剤、表面調整剤(あるいは消泡剤と呼ばれることもある)、塗料用添加剤などを適宜配合することができる。
硬化剤を希釈する有機溶剤としては、ポリイソシアネート化合物と反応することがあるため、水酸基を有さない水溶性溶剤を適宜選択することが好ましいが、例えば、アセテート系、ケトン系、エステル系、エーテル系、グリコールエーテル系の水溶性溶剤が挙げられる。また、有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤が含まれないか、水性プライマーサーフェイサーの硬化剤の総質量を基準として5%未満であることが人体や環境に対して配慮の点から好ましい。
<<ポリイソシアネート化合物(b)>>
前記ポリイソシアネート化合物(b)は、1分子中に遊離のイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、従来からポリウレタンの製造に使用されているものを使用することができる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、親水性基をポリイソシアネート化合物に導入した、親水化ポリイソシアネート化合物や、界面活性剤を用いてポリイソシアネート化合物を水中で分散状態とすることができる水分散性ポリイソシアネート化合物などの水性塗料用の親水性ポリイソシアネート化合物(b1)を使用することが好ましい。
親水性基としては、酸基などのアニオン性基や、ポリオキシアルキレン(ポリエーテル鎖)単位を含むノニオン性基を挙げることができる。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等を挙げることができる。
親水化ポリイソシアネート化合物の中でも、得られる塗膜の平滑性などの観点から、アニオン性基含有ポリイソシアネート化合物が好ましく、アニオン性基としては、スルホン酸基及び/又はリン酸基を有するポリイソシアネート化合物が特に好ましい。
さらに、硬化剤に、前記親水化ポリイソシアネート化合物及び/又は水分散性ポリイソシアネート化合物に加えて、疎水性ポリイソシアネート化合物(b2)を併用して含むことも可能である。
疎水性のポリイソシアネート化合物(b2)としては、従来有機溶剤型塗料に使用されるものを制限なく使用することができ、例えば酸基やノニオン性基で変性する前の原料となるポリイソシアネート化合物を挙げることができ、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4´−ジメチルジフェニルメタン−2,2´,5,5´−テトライソシアネート、などの3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物等の有機ポリイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体たとえばイソシアヌレート体、さらにはイソシアネート・ビウレット体等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、環化重合体、特にヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類の環化重合体が適している。
水性2液型水性クリヤ塗料組成物における硬化剤においては、親水性ポリイソシアネート化合物(b1)及び疎水性ポリイソシアネート化合物(b2)を固形分質量比で25/75〜75/25の範囲内、さらに好ましくは35/65〜65/40の範囲内で含有することが好ましい。親水性ポリイソシアネート化合物(b1)及び疎水性ポリイソシアネート化合物(b2)を併用することによって、相溶性に優れ、手攪拌であっても容易に攪拌でき、硬化性、複層塗膜における耐水性、耐候性などの諸性能、研磨性及び透明性や平滑性等の仕上り性にも優れる被膜を比較的温和な乾燥条件(例えば常温)で形成することができるという効果を奏する。
また、水性2液型水性クリヤ塗料組成物における硬化剤においては、(b1)及び(b2)の合計固形分質量は、全ポリイソシアネート化合物(b)固形分質量を基準として、通常10質量%以上、好ましくは40〜100質量%の範囲内にあることがクリヤ塗膜の耐水性、及び上記アクリル樹脂(a)との混和性の観点から適当である。
<<有機溶剤>>
本発明に適用する水性2液型クリヤ塗料組成物は、有機溶剤として、水酸基を有さないグリコールエーテル系有機溶剤を硬化剤中に含有することにより、前記アクリル樹脂(a)とポリイソシアネート化合物(b)との混和性を向上させることができることから特に好ましい。
水酸基を有さないグリコールエーテルとは、後述するグリコールの水酸基の両方がエーテル化した化合物である。
グリコールエーテルを構成するグリコールは例えば一般式C2n(OH)(nは2〜20の整数を示す)で表されるジオールや単一又は2種以上の前記ジオールの縮合体であっても良く、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンチレングリコール、1,2−ヘキシレングリコール、オクチレングリコールなど、縮合体としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールである。
水酸基を有さないグリコールエーテル系有機溶剤として具体的には、例えば、エチレングリコールジエーテル、ジエチレングリコールジエーテル、トリエチレングリコールジエーテル、テトラエチレングリコールジエーテル、プロピレングリコールジエーテル、ジプロピレングリコールジエーテル、トリプロピレングリコールジエーテル、ブチレングリコールジエーテル等が例示でき、具体的には、エチレングリコールジメチルエーテル及びエチレングリコールジエチルエーテル等のエチレングリコールジエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジエーテル;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のトリエチレングリコールジエーテル;テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のテトラエチレングリコールジエーテル等;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジイソブチルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテル等のプロピレングリコールジエーテル;ジプロピレングリコールジエチルエーテル、及びジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールアリルエーテル等のジプロピレングリコールジエーテル;トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、及びトリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル等のトリプロピレングリコールジエーテル等;ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、及びブチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のブチレングリコールジエーテル等、2−ブトキシエチルジエトキシエチルエーテル、2−ブトキシエチルトリエトキシエーテル、2−ブトキシエチルテトラエトキシエチルエーテル等が挙げられる。
中でも好ましくは、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種が特に好適である。
上記以外にもその他の有機溶剤を含有してもよい。
上記以外の有機溶剤としては、前述したポリイソシアネート化合物(b)と反応することがあるため水酸基を有さないものを適宜選択することが好ましいが、例えば、アセテート系、ケトン系、エステル系、エーテル系が挙げられる。
アセテート系としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート(別名;酢酸n−ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の水酸基を有さないアルキレングリコールエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン系としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
エステル系としては、例えば、酢酸エチル(別名:エチルアセテート)、酢酸ブチル(別名:ブチルアセテート)、酢酸イソブチル(別名:イソブチルアセテート)、安息香酸メチル(別名:メチルベンゾエート)、エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
エーテル系としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
上記有機溶剤は、粘度の調整、塗布性の調整等の目的に応じて適宜組み合わせて使用することができる。
上記有機溶剤の含有率は、硬化剤の全溶媒の総量に対して、20質量%以上、特に好ましくは40〜100質量%の範囲内に調整することが、ポリイソシアネート化合物(b)との混和性、すなわち仕上り性の観点から特に好ましい。
有機溶剤のうち、上記水酸基を有さないグリコールエーテル以外の有機溶剤を併用する場合は、中でもアセテート系及び/又はエステル系を用いることが好ましく、その場合の含有率としては全有機溶剤の総量に対して、5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲内に調整することが好ましい。
本発明に適用する水性2液型クリヤ塗料組成物を塗装する方法としては、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化、ハケ、ローラー、ハンドガン、万能ガン、浸漬、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等が挙げられ、被塗物の用途等に応じて適宜選択することができ、複数回塗り重ねてもよい。
本発明に適用する塗料は、強制乾燥を行うことにより仕上り性、研磨性に優れたクリヤ塗膜を形成することができるが、工程(3)における乾燥条件としては特に制限されるものではなく、焼付乾燥又は常温乾燥を行なっても良い。
強制乾燥の場合は40〜120℃で10〜120分間加熱することができる。
乾燥膜厚としては、磨き補修可能な膜厚を確保する点及び仕上り性の点から、5〜500μm、さらに10〜100μm、さらに特に15〜80μの範囲内とすることができる。
本発明に適用する塗料を、自動車等の補修塗装に用いる場合などにおいては、工程(3)の後、研磨する工程を行なっても良い。
研磨方法としては、クリヤ塗膜を、耐水研磨紙を用いて水研ぎした後、該研ぎ面を粗磨き用コンパウンド、仕上げ磨き用コンパウンドと順次ポリッシングする方法を挙げることができ、これにより光沢度やツヤに優れ未補修部と外観の差の目立たないクリヤ塗膜を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、特記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂No.a−1の製造
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入口を備えたガラス製4つ口フラスコにプロピレングリコールモノプロピルエーテルを50部入れ、撹拌しながら窒素気流下120℃まで昇温した。120℃に達したところで、表1の第1段階欄に記載のモノマー配合と重合開始剤にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 1.5部を予め混合した混合溶液1を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後120℃の温度に1時間保持しアクリルポリオール溶液を得た。得られたアクリルポリオール溶液の樹脂固形分は77.5%であり、重量平均分子量は11,000であった。
続いて、得られたアクリルポリオール溶液から固形分が85%になるまでプロピレングリコールモノプロピルエーテルを減圧下で留去した。これを95℃まで冷却し、ジメチルエタノールアミンでpHを8.0に調整して30分間撹拌した。さらに、撹拌しながら樹脂固形分が45%となるように脱イオン水を2時間かけて滴下して、平均粒子径150nm、固形分50%のグラフト構造を有さない水酸基含有アクリル樹脂(a−1)の水分散体を得た。該水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は103mgKOH/g、ガラス転移温度は62℃であった。
(製造例2)水酸基含有アクリル樹脂No.a−2の製造
温度計、撹拌機、還流冷却管、窒素導入口を備えたガラス製4つ口フラスコにプロピレングリコールモノプロピルエーテルを50部入れ、撹拌しながら窒素気流下120℃まで昇温した。120℃に達したところで、表1の第1段階(a−2)の欄に記載のモノマー配合と重合開始剤にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 1.5部を予め混合した混合溶液1を4時間かけて滴下し、さらに滴下終了後120℃の温度に1時間保持した。
引き続き120℃の温度を保持したまま、上記フラスコ中に、同表1の第2段階(a−2)の欄に記載のモノマー配合とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.3部を予め混合した混合溶液2を1時間かけて滴下し、さらに滴下終了後120℃に1.5時間保持してアクリルポリオール溶液を得た。
得られたアクリルポリオール溶液の樹脂固形分は77.5%であり、重量平均分子量は14,000であった。続いて、得られたアクリルポリオール溶液から固形分が85%になるまでプロピレングリコールモノプロピルエーテルを減圧下で留去した。これを95℃まで冷却し、ジメチルエタノールアミンでpHを8.0に調整して30分間撹拌した。さらに、撹拌しながら樹脂固形分が45%となるように脱イオン水を2時間かけて滴下して、平均粒子径150nm、固形分50%のグラフト構造を有する水酸基含有アクリル樹脂(a−2)の水分散体を得た。該水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は103mgKOH/g、ガラス転移温度は62℃であった。
(製造例3)水酸基含有アクリル樹脂No.a−3の製造
製造例2において各共重合成分のモノマー組成及び配合量を下記表1に示す内容とする以外は製造例2と同様にしてグラフト構造を有する水酸基含有アクリル樹脂No.a−3を製造した。各水酸基アクリル樹脂のモノマー配合及び重量平均分子量、SP値、樹脂固形分、平均粒子径、水酸基価(mgKOH/g)、ガラス転移温度(℃)を表に示す。
尚、表1に記載してあるモノマーのうちホモポリマーのTgが30℃以上のモノマーとしてはスチレン、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートが該当し(ただし、ここではグリシジルメタクリレート及びアクリル酸は計算には含まない)、モノマーのSP値が9.2未満のモノマーとしては、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが該当する。
Figure 2020022948
(製造例4)硬化剤の製造
ポリイソシアネート化合物No.1としては、市販の親水性ポリイソシアネート化合物である、イソシアネート基含有率21.0%のスルホン酸変性ポリイソシアネート化合物(固形分100%)を50部及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(水酸基を有さない水溶性溶剤)を30部添加し、30分間攪拌して固形分50%の硬化剤(b−1)を作製した。
(製造例5〜7)硬化剤の製造
製造例4において、ポリイソシアネート化合物を表2の通りとする以外は、製造例4と同様にして、硬化剤(b−2)〜(b−4)を得た。質量配合を表2に示す。
尚、ポリイソシアネート化合物No.2として、市販の疎水性ポリイソシアネートであるイソシアネート基含有率21%のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を用いた。
Figure 2020022948
<水性2液型クリヤ塗料組成物の製造>
(製造例8)水性2液型クリヤ塗料組成物No.1
製造例1で得られたアクリル樹脂No.a−1の水分散体50%溶液 200部(固形分100部)、サンニックスGP−400(商品名、三洋化成工業株式会社製、三官能ポリエーテルポリオール) 5部、BYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性シロキサン、重量平均分子量1,500、固形分100質量%) 0.5部、シリコーン系消泡剤(重量平均分子量2200、変性シリカ、シリカ含有率3%、固形分100質量%) 0.5部、TINUVIN384−2(商品名、BASF社製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、固形分95質量%、1−メトキシ−2−プロピルアセテート5質量%) 0.01部(固形分0.01質量部)、TINUVIN 292(商品名、BASF社製、ヒンダードアミン系光安定剤、固形分100質量%) 0.5部、OPTIFLO H−500(ビック・ケミー社製、非ウレタン系会合型増粘剤) 1.0部を攪拌して主剤(I)を作成した。前記主剤(I)に、硬化剤(II)を配合し、希釈水として固形分含有率が40質量%となるように加え攪拌して水性2液型クリヤ塗料組成物No.1を得た。NCO/OHが1.5に調整した水性2液型クリヤ塗料組成物No.1のフリー塗膜の吸水率を測定した結果を合わせて表に示す。
(製造例9〜17)水性2液型クリヤ塗料組成物No.2〜10
各成分の配合を表3に示す配合とする以外は、製造例8と同様にして、表3に示す固形分含有率が40質量%の水性2液型クリヤ塗料組成物No.2〜10を得た。NCO/OHが1.5に調整した水性2液型クリヤ塗料組成物No.2〜10のフリー塗膜の吸水率を測定した。評価結果を合わせて表に示す。
Figure 2020022948
評価項目1:塗膜の吸水率:ポリプロピレン板(300×100×5mm)上に、試料を乾燥膜厚が40μmになるように均一に塗装し、60℃30分で強制乾燥させ、3日間室温で静置して塗膜を得る。その後、端部から1cmの範囲を除いて任意の場所で3cm四方に該塗膜からフリー塗膜を切り取り、20℃の脱イオン水に24時間没水させた後、表面の水滴を拭き取った後すみやかに秤量し、下記式に従って、吸水率を測定する。
吸水率(%)=〔(B−A)/A〕×100
但し、A:没水前のフリー塗膜の質量(g)、B:没水後のフリー塗膜の質量(g)。得られた吸水率の数値を下記評価基準で評価した。
A:塗膜の吸水率が、5%未満である
B:塗膜の吸水率が、5%以上10%未満である
C:塗膜の吸水率が、10%以上15%未満である
D:塗膜の吸水率が、15%以上である。
<水性プライマーサーフェイサーの製造>
(製造例18)水性プライマーサーフェイサーNo.1
製造例2で得られた水酸基含有アクリル樹脂No.a−2を200質量部(固形分100質量部)とプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル30質量部を30分間撹拌し、ついで顔料ペーストP1(注1) 387質量部(固形分287質量部)を添加してさらに1時間撹拌を続けた。この中に防腐剤(デルトップ33、商品名、武田薬品工業社製、)、消泡剤(BYK−024、商品名、ビック・ケミー社製、水系シリコーン系消泡剤)の順に加え、塗料pHが8.0になるようにトリエチルアミンで調整した後、さらに1時間撹拌を続けて各主剤を作製した。上記の通り作製した主剤及び、硬化剤として、市販の親水性ポリイソシアネート化合物である、イソシアネート基含有率21.0%のスルホン酸変性ポリイソシアネート化合物(固形分100%)を68部、シランカップリング剤を2部及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(水酸基を有さない水溶性溶剤)を30部添加し、30分間攪拌した固形分70%の組成物を配合し、さらに希釈水を固形分含有率が40質量%となるように加え攪拌して水性プライマーサーフェイサーNo.1を得た。NCO/OHが1.5に調整した水性プライマーサーフェイサーのフリー乾燥塗膜の吸水率は、5%未満であった。
(注1)顔料ペーストP1の製造方法:脱イオン水100部に、チタン白(「JR−701」、商品名、テイカ社製)50部、カーボンブラック(「MA−7」、商品名、三菱化学社製)2部、体質顔料としてタルク(「タルクSSS」、日本タルク社製、平均粒子径12.0μm)200部、防錆顔料(「ラストン RP」商品名、第一産業化学工業所社製)30部及び分散剤(「DISPERBYK−187」商品名、ビック・ケミー社製)5部を加え、ディスパーにより撹拌混合を15分間行い、さらにサンドミルにて30分間分散処理した。得られた顔料ペーストP1は粒ゲージで40μm以下であった。
<塗装板の作製>
(実施例1)
70×150×0.8mmのエポキシ樹脂系電着塗料が塗装された電着塗装板を#240ペーパーで研磨し、鋼板が一部露出した塗装板上に、NCO/OH比率を表4に調整した水性プライマーサーフェイサーNo.1を、乾燥膜厚で60μmとなるようにスプレー塗装し、60℃で30分間乾燥した後、#400ペーパーで水研磨した〔工程(I)〕。 その後、水分をふき取った後、被塗物を水平に置いて25℃、相対湿度40%の条件下で水性着色ベース塗料組成物No.1として、レタンWBエコベース(商品名、関西ペイント社製、二液型水性メタリックベース塗料)とレタンWBエコベース硬化剤(有機溶剤中毒予防規則非対象)とをNCO:OHモル比が1:1となるよう調整配合し均一になるまで混合したものを、1回スプレー塗装した。その後、ベース塗膜の光沢度が25以下になるまでエアブローを行い、乾燥塗膜を作成した。さらにその乾燥塗膜上に同じ水性着色ベース塗料組成物をスプレー塗装で塗り重ね、光沢度が25以下になるまでエアブローした(2回目塗装)。さらにその乾燥塗膜上に同じ水性着色ベース塗料組成物をスプレー塗装で塗り重ね、光沢度が25以下になるまでエアブローした(3回目塗装)。塗装終了後、乾燥膜厚が15μmのベースコート塗膜を得た〔工程(II)〕。製造例8で得られた水性2液型クリヤ塗料組成物No.1を、乾燥膜厚が40μmになるようにエアスプレー塗装し、その後塗装板を水平に20分間室温で保った後、電気熱風乾燥器を用いて60℃で30分乾燥して室温まで冷却してクリヤ塗膜を得た〔工程(III)〕。得られた複層膜塗板(試験板)を下記性能試験に供した。
(実施例2〜9、比較例1〜2)
各プライマーサーフェイサー、ベース塗料組成物、クリヤ塗料組成物を表4に記載する番号のものとする以外は実施例1と同様にして、試験板を作製した。
実施例9において、水性着色ベース塗料組成物として、レタンWBエコベース(商品名、関西ペイント社製、一液型自動車水性メタリックベース塗料を用いた。
尚、比較例1のプライマーサーフェイサーNo.2は、市販のエポキシアミン硬化系のプライマーサーフェイサー塗料を用いた。該プライマーサーフェイサーNo.2のフリー乾燥塗膜の吸水率は、20%であった。
(参考例1)
また、製造例1において、クリヤ塗料組成物No.11は、「レタンPGエコ HS(ハイソリッド)クリヤ(Q)」(関西ペイント社製、ウレタン硬化型、ハイソリッド型クリヤ塗料)に変え、乾燥膜厚で50μmとなるようにスプレー塗装し、60℃で20分間強制乾燥させて参考用として試験塗板を得た。得られた試験塗板を同様の性能試験に供した。
Figure 2020022948
<性能評価>
各試験項目の試験方法及び評価基準は下記の通りである。D評価が1つでもある場合は製品として不合格レベルである。
試験項目2:作業性
塗装作業性をプライマーサーフェイサーの研磨性と水性クリヤ塗料組成物の乾燥性で評価した。
(プラサフ研磨性)
各プライマーサーフェイサー塗装後に#400ペーパーで水研磨したときのペーパーへの目詰まりの有無で評価した。
A:目詰まりなく良好、
B:極少量目詰まりがあるものの実用上問題ないレベル、
C:若干目詰まりあり、
D:目詰まりあり。
(クリヤ乾燥性)
各所定時間乾燥させた試験塗板(乾燥性評価用)を#2000の耐水研磨紙を用いて水研ぎした後、粗磨き用バフに粗磨き用コンパウンドを使って、60秒間ポリッシングし、耐水研磨紙によるペーパーキズを除去し、さらに、仕上げ用バフに仕上げ用コンパウンドを使って60秒間ポリッシングし、バフ磨きキズの除去を行なった。乾燥から磨き開始時間を変化させ、磨きによるキズ除去(目視でほとんどペーパーキズがなくなるレベル)が可能な時間を測定した。磨き可能時間が45分以下であると乾燥性に優れており、時間が長くなるほど乾燥性が悪いことを意味する。下記基準にて評価した。
AA:磨き可能時間が20分未満
A:磨き可能時間が30分未満
B:磨き可能時間が30以上を超えて45分以下
C:磨き可能時間が45分を超えて60分以下
D:磨き可能時間が60分を超える。
試験項目3:仕上り性(塗膜外観)
各試験塗板の仕上り性をムラ、チヂミ、ワキ、平滑性、ツヤ感等を目視観察した。
A:非常に良好
B:ムラ、ワキ、チヂミほとんど認められず、平滑性、ツヤ感が良好で実用上問題ないレベル
C:ムラ、ワキ、チヂミが発生し、ツヤビケ認められる
D:ムラ、チヂミ、ツヤビケが著しく発生し、明らかに問題がある。
試験項目4:耐水性(塗膜外観及び付着性)
(塗膜外観)
各試験塗板を40℃の恒温水槽に10日間浸漬し取り出した後、1時間放置後の塗膜の状態を目視で評価した。
A:異常なし
B:極少量、ツヤビケ・フクレ・ワレ・ブリスターの少なくとも1つの異常が若干認められるものの、実用上問題ないレベル
C:部分的に、ツヤビケ・フクレ・ワレ・ブリスターの少なくとも1つの異常が認められる
D:部分的もしくは全面に、ツヤビケ・フクレ・ワレ・ブリスターの少なくとも1つの異常が顕著に認められる。
(付着性〔耐水試験後〕)
各試験塗板を40℃の恒温水槽に10日間浸漬し取り出した後、塗膜を素地に達するようにクロスカットし、その塗面に粘着セロハンテープを貼り付け強く剥離した後の塗膜面を評価した。
A:剥離なし
B:フチ欠けあり
C:一部剥離あり
D:半分以上剥離あり。

Claims (5)

  1. 塗装体の損傷部に、水性プライマーサーフェイサーを塗装して下地処理塗膜(I)を形成する工程(1)、
    前記下地処理塗膜上に、水性着色ベース塗料組成物を塗装して着色ベース塗膜(II)を形成する工程(2)、
    該工程(2)で得られた着色ベース塗膜上に水性2液型クリヤ塗料組成物を塗装し、乾燥させクリヤ塗膜(III)を形成する工程(3)、
    を含む塗装体の補修塗装方法であって、前記塗膜(I)及び塗膜(III)の吸水率が10%未満であることを特徴とする塗装体の補修塗装方法。
  2. 前記水性2液型クリヤ塗料組成物が、アクリル樹脂(a)を含む主剤及びポリイソシアネート化合物(b)を含む硬化剤を混合して得られる水性2液型クリヤ塗料組成物であって、
    主剤にガラス転移温度が40℃以上の水酸基含有アクリル樹脂(a2)を含み、かつ、
    硬化剤に親水性ポリイソシアネート化合物(b1)及び疎水性ポリイソシアネート化合物(b2)を固形分質量比で25/75〜75/25の範囲内で含む請求項1の塗装体の補修塗装方法。
  3. 前記水酸基含有アクリル樹脂(a2)が、主鎖部及び側鎖部からなるグラフト構造を有する水酸基含有アクリル樹脂の水分散体であって、主鎖部を構成する重合性不飽和モノマー成分(X)が、エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(x1)及びその他の重合性不飽和モノマー(x2)を含み、側鎖部を構成する重合性不飽和モノマー成分(Y)が、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(y1)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(y2)及びその他の重合性不飽和モノマー(y3)を含んでなる請求項2に記載の塗装体の補修塗装方法。
  4. 前記水性2液型クリヤ塗料組成物の主剤に更に、ポリエーテルポリオール化合物(c)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗装体の補修塗装方法。
  5. 前記水性2液型クリヤ塗料組成物の主剤及び/又は硬化剤が表面調整剤(d)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装体の補修塗装方法。
JP2019098253A 2018-07-27 2019-05-27 塗装体の補修塗装方法 Active JP7307521B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN201910670992.1A CN110773401B (zh) 2018-07-27 2019-07-24 涂装体的修补涂装方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018141175 2018-07-27
JP2018141175 2018-07-27

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020022948A true JP2020022948A (ja) 2020-02-13
JP7307521B2 JP7307521B2 (ja) 2023-07-12

Family

ID=69618004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019098253A Active JP7307521B2 (ja) 2018-07-27 2019-05-27 塗装体の補修塗装方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7307521B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7004366B1 (ja) 2021-09-08 2022-02-14 株式会社Tbm 印刷用シート及び印刷用シートの製造方法
CN114539175A (zh) * 2022-01-19 2022-05-27 江苏富比亚化学品有限公司 一种紫外吸收剂uv-384-2的合成方法
JP7134389B1 (ja) * 2021-03-24 2022-09-09 関西ペイント株式会社 水性プライマー塗料組成物及び複層塗膜形成方法
WO2022202131A1 (ja) * 2021-03-24 2022-09-29 関西ペイント株式会社 水性プライマー塗料組成物及び複層塗膜形成方法
WO2022255216A1 (ja) * 2021-06-04 2022-12-08 日本ペイント株式会社 水性塗料組成物および塗装物品の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006257141A (ja) * 2005-03-15 2006-09-28 Nippon Paint Co Ltd 二液硬化型水性被覆組成物及び塗膜形成方法
JP2006314960A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Nippon Paint Co Ltd 自動車塗膜補修方法
JP2018002900A (ja) * 2016-07-04 2018-01-11 関西ペイント株式会社 水性2液型クリヤ塗料組成物及びこれを用いた塗装体の補修塗装方法。

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4352399B2 (ja) 2003-05-13 2009-10-28 日本ペイント株式会社 複層塗膜の形成方法
JP2007283271A (ja) 2006-04-20 2007-11-01 Kansai Paint Co Ltd 複層塗膜形成方法
US9434855B2 (en) 2012-08-28 2016-09-06 Basf Coatings Gmbh Polymer in multicoat color and/or effect paint systems

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006257141A (ja) * 2005-03-15 2006-09-28 Nippon Paint Co Ltd 二液硬化型水性被覆組成物及び塗膜形成方法
JP2006314960A (ja) * 2005-05-16 2006-11-24 Nippon Paint Co Ltd 自動車塗膜補修方法
JP2018002900A (ja) * 2016-07-04 2018-01-11 関西ペイント株式会社 水性2液型クリヤ塗料組成物及びこれを用いた塗装体の補修塗装方法。

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7134389B1 (ja) * 2021-03-24 2022-09-09 関西ペイント株式会社 水性プライマー塗料組成物及び複層塗膜形成方法
WO2022202131A1 (ja) * 2021-03-24 2022-09-29 関西ペイント株式会社 水性プライマー塗料組成物及び複層塗膜形成方法
WO2022255216A1 (ja) * 2021-06-04 2022-12-08 日本ペイント株式会社 水性塗料組成物および塗装物品の製造方法
JP7004366B1 (ja) 2021-09-08 2022-02-14 株式会社Tbm 印刷用シート及び印刷用シートの製造方法
WO2023037709A1 (ja) * 2021-09-08 2023-03-16 株式会社Tbm 印刷用シート及び印刷用シートの製造方法
JP2023039326A (ja) * 2021-09-08 2023-03-20 株式会社Tbm 印刷用シート及び印刷用シートの製造方法
CN114539175A (zh) * 2022-01-19 2022-05-27 江苏富比亚化学品有限公司 一种紫外吸收剂uv-384-2的合成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7307521B2 (ja) 2023-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020022948A (ja) 塗装体の補修塗装方法
JP7306793B2 (ja) 多成分型の水性下塗塗料組成物及び塗装方法
JP5290508B2 (ja) 水性塗料組成物
JPH01287183A (ja) 水性塗料及びそれを用いる塗装法
CN108727955B (zh) 多成分型的水性底漆涂料组合物以及涂装方法
JP4440586B2 (ja) 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法
CN110157311B (zh) 水性双剂型聚氨酯涂料组合物
JP6037506B2 (ja) 多成分系の水性塗料組成物
JP6866007B2 (ja) 水性2液型クリヤ塗料組成物及びこれを用いた塗装体の補修塗装方法。
EP1054931A1 (en) Low temperature cure waterborne coating compositions having improved appearance and humidity resistance and methods for coating substrates
WO2013176266A1 (ja) 水性塗料組成物、複層塗膜形成方法及び複層塗膜を有する物品
JP6441388B2 (ja) ポリエーテルを基礎とするカルボキシ官能性反応生成物、および前記反応生成物を含む水性ベースコート材料
JP7386680B2 (ja) 水性多液型ポリウレタン塗料組成物
JPWO2013191104A1 (ja) 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法
JP7235923B1 (ja) 水性多液型ポリウレタン塗料組成物
JP4673938B1 (ja) クリヤー塗料組成物
EP1194494A1 (de) Wässriger beschichtungsstoff, verfahren zu seiner herstellung und seine verwendung
WO2022019199A1 (ja) 複層塗膜及び複層塗膜の形成方法
JP3295491B2 (ja) 水性塗料とその塗装方法
CN111410902B (zh) 水性多组分聚氨酯涂料组合物
CN110773401B (zh) 涂装体的修补涂装方法
JP2017528541A (ja) ポリエーテルを主体とした反応生成物、および前記反応生成物を含む水性ベースコート材料
JP7353542B1 (ja) 水性多液型ポリウレタン塗料組成物
JP7383461B2 (ja) 複層塗膜形成方法
WO2023189304A1 (ja) 水性多液型ポリウレタン塗料組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230301

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230629

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230629

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7307521

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150