JP2020022468A - 血小板由来増殖因子b変異体、その製造方法及びその使用 - Google Patents

血小板由来増殖因子b変異体、その製造方法及びその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】高く増強された部位特異的プロテアーゼ分解及び/又はグリコシル化修飾の均一性を有し、そして依然として、血小板由来増殖因子Bタンパク質の活性を保持する血小板由来増殖因子B変異体の提供。【解決手段】ヒト成熟血小板由来増殖因子Bのアミノ酸位置6、101及び109において、トレオニンからアラニンへの置換を有し、血小板由来増殖因子Bの活性を有する、ヒト成熟血小板由来増殖因子B変異体。【選択図】なし

Description

本発明は、血小板由来増殖因子B変異体に関する。具体的には、本発明は、血小板由来増殖因子B変異体、当該変異体をコードする核酸分子、当該核酸分子を含むベクター及び宿主細胞に関する。本発明はまた、前記変異体の調製及び精製方法に関し、そして細胞分裂及び増殖を促進するための、創傷治癒、皮膚再生、骨及び歯欠損の再生並びに関節修復を促進するための医薬を調製するための前記変異体の使用に関する。
血小板由来増殖因子(PDGF)は、多様な細胞により生成され得、そして間質由来細胞の増殖を刺激できるポリペプチドである。1970年代、それは最初に、Rossなどにより、血小板から発見され、そして命名された(1)。これまでのところ、合計4種のPDGFモノマー、すなわちPDGF−A、PDGF−B、PDGF−C及びPDGF−Dが見出されている。それらのモノマーが、鎖内及び鎖間ジスルフィド結合を通して、お互い次の5種のホモ−又はヘテロ−ダイマーを形成する:PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、PDGF−CC及びPDGF−DD(2,3)。一般的に、PDGF遺伝子及びタンパク質は、血管内皮増殖因子(VEGF)及び胎盤増殖因子(PIGF)もまた包含する、構造的及び機能的に関連する増殖因子のファミリーに属することが認められている(4)。PDGFは、その受容体PDGF−Rを活性化することにより、生理学的役割を演じる。PDGF−Rは、チロシンキナーゼ受容体に属する、PDGFR−α及びPDGFR−βの両者を包含する。受容体へのリガンドの結合が受容体モノマーの二量体化をトリガーし、細胞内チロシン残基の自己リン酸化及び活性化を導く。両受容体は、複数のシグナル伝達経路、例えばRas−MAPK、PI3K及びPLC−γにおいて重要分子を活性化することができ(5)、次に、関連遺伝子の転写を活性化し、細胞増殖を刺激し、分化を促進し、そして指向された運動、移動などを誘発し、そして様々な生物学的機能を演じる。
PDGF−b遺伝子は、22番染色体上に位置し、そして7種のエクソンを含む。それは241個のアミノ酸から成る前駆体タンパク質をコードし、そしてタンパク質分解プロセッシングにより形成されるその最終成熟生成物は、12.3kDの分子量を有する、109個のアミノ酸から成るポリペプチドである。生物においては、PDGF−Bタンパク質の活性形は、ジスルフィド結合を介して2つのモノマーから形成されるホモダイマーPDGF−BB又はヘテロダイマーPDGF−ABである(6)。各PDGF−Bタンパク質モノマーは、8個の高度に保存されたシステイン残基を含み、ここで6個のシステインが鎖内ジスルフィド結合を形成し(Cys I−VI、III−VII、V−VIII)、そして他の2つはその対応するモノマーと共に鎖間ジスルフィドを形成し(Cys II−IV)(7)、同時に、PDGFタンパク質ファミリー、すなわちシスチンノットの増殖因子ドメイン特性を形成する。それらの鎖内及び鎖間ジスルフィド結合は、PDGF−BBダイマータンパク質の複雑な空間構造を構成する。
さらに、PDGFタンパク質の異なったスプライシング形は、タンパク質の発現及び合成の間に存在し、結果的に、プロセッシング及び成熟に基づいて、PDGFタンパク質は種々の構造形を示す。ヒト血小板抽出物から単離され、そして精製されたPDGF−BBのN末端アミノ酸配列分析は、少なくとも3種の異なったスプライシング形、すなわち20%のSer1、45%のThr6及び35%のThr33の存在を示す。それらの切断生成物の不均一性は、PDGF−BBを生成する場合、種々の切断形でのタンパク質の割合を制御不能にする(8)。
本発明者は、広範な研究を行っており、そして部位特異的プロテアーゼ分解及び/又はグリコシル化修飾が、種々のPDGF−Bの存在を担う主な理由であることを見出し、その結果、部位突然変異によるPDGF−B変異体を得た。変異体は、高く増強された均一性を有し、そして依然として、PDGF−Bタンパク質の活性を保持する。
本発明の第1の態様は、野生型血小板由来増殖因子Bのアミノ酸位置101及び109で変異を有し(本明細書におけるアミノ酸部位の位置の記載は、109個のアミノ酸残基を含む成熟PDGF−Bにすべて基づき、以下同様である)、そして血小板由来増殖因子Bの活性を有する血小板由来増殖因子B変異体に関する。
本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体は、アミノ酸位置6で変異を有し、そして血小板由来増殖因子Bの活性を有する。
本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体は、アミノ酸位置32及び/又は33で変異を有し、そして血小板由来増殖因子Bの活性を有する。
本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体は、野生型血小板由来増殖因子Bと比較して、5個のアミノ酸のN末端欠失を有し、そして血小板由来増殖因子Bの活性を有する。
本発明の1つの実施形態によれば、変異体は、アミノ酸位置6、101及び109でアラニンへの変異を有する。
本発明の別の実施形態によれば、変異体は、アミノ酸位置101及び109でアラニンへの変異を有する。
本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体は、アミノ酸位置32及び/又は33で、プロリン、バリン又はイソロイシンへの変異を有する。
本発明の1つの実施形態によれば、変異体は、アミノ酸位置32で、プロリン、バリン又はイソロイシン、好ましくはプロリンへの変異を有する。
本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体において、前記血小板由来増殖因子Bは哺乳類由来の血小板由来増殖因子Bであり、そして前記哺乳類が例えば、ヒト又はマウスである。
本発明の1つの実施形態によれば、血小板由来増殖因子B変異体は、5個のアミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置6、101及び109でアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でプロリンへの変異を有する。
本発明の1つの実施形態によれば、血小板由来増殖因子B変異体は、5個のアミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置101及び109でアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でプロリンへの変異を有する。
本発明の1つの実施形態によれば、血小板由来増殖因子B変異体は、5個のアミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置6、101及び109でアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でバリンへの変異を有する。
本発明の1つの実施形態によれば、血小板由来増殖因子B変異体は、5個のアミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置6、101及び109でアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でイソロイシンの変異を有する。
本発明はまた、上記の種々の技術的解決策の組み合わせも包含する。
本発明の特定の実施形態によれば、変異体のアミノ酸配列は、配列番号3又は配列番号5で示される配列である。
本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体は、そのアミノ酸配列における1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加を有し、そして血小板由来増殖因子Bの活性を有する。
タンパク質の非必須位置での1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加は、そのタンパク質の活性に影響を与えないで行われ得ることは当業者に周知である。本発明においては、上記アミノ酸変異位置以外の非必須位置での1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加に起因し、そして血小板由来増殖因子Bの活性をまだ保持する変異体はまた、本発明の保護範囲内である。
本発明の第2の態様は、鎖内及び/又は鎖間ジスルフィド結合を介して、2つの本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体により形成されるか、又は鎖内及び/又は鎖間ジスルフィド結合を介して、1つの本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体及び血小板由来増殖因子Aにより形成される、血小板由来増殖因子ホモダイマー又はヘテロダイマーに関する。
本発明においては、前記血小板由来増殖因子ホモダイマー又はヘテロダイマーは、野生型血小板由来増殖因子と同じ態様で形成される。
本発明の実施形態によれば、2つの本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体は、鎖内及び鎖間ジスルフィド結合を介して結合され、PDGF−BB変異体が形成される。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体をコードする核酸分子に関する。
本発明の第3の態様のいずれか1つの核酸分子は、配列番号4及び配列番号6〜9の配列から成る群から選択されるヌクレオチド配列を有する。
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様のいずれか1つの核酸分子を含むベクターに関する。
本発明においては、前記発現ベクターは、発現のために使用される宿主細胞に依存して、当業者により選択され得、例えば酵母細胞又は哺乳類細胞において発現のために適切なベクターが選択され得る。
本発明の1つの実施形態によれば、ベクターはpMEX9Kである。
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様のいずれか1つのベクターを含む宿主細胞に関する。
本発明の第5の態様のいずれか1つの宿主細胞は、真核細胞、例えば酵母細胞、哺乳類細胞又は昆虫細胞である。
本発明の第5の態様のいずれか1つの宿主細胞は、酵母細胞、例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ハンゼヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)又はトルロプシス(Torulopsis)である。
本発明の1つの実施形態によれば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞株はGS115である。
本発明の第5の態様のいずれか1つの宿主細胞は、哺乳類細胞、例えばCHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞などである。
本発明はまた、本発明の第5の態様のいずれか1つの宿主細胞を培養し、発現させ(例えば誘導発現させ)、そして場合により生成する工程を含む、本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体の調製方法にも関する。
本発明の調製方法は、以下の工程:
1)本発明の第5の態様のいずれか1つの宿主細胞を、培養培地に接種し、続いて段階的培養及び増殖を行い;
2)宿主細胞を収集し、組み換え細胞を培地中に再懸濁し、そしてメタノールを添加し、発現を誘導し;
3)誘導発現の完結の後、培養上清を収集し、そして精製し、血小板由来増殖因子Bタンパク質を得る、工程を含む。
本発明のいずれか1つの調製方法は、1又は2以上の以下により特徴づけられる:
(1)工程1)における宿主細胞は、モノクローナル細胞系であり;
(2)工程1)に記載される段階的培養及び増殖が二段階培養を意味し、培養温度が28〜30℃であり、そしてOD600が1〜12になるまで、例えば2〜6のOD600になるまで各工程において細胞が培養され;
(3)工程2)での発現を誘導するための温度は、約28℃であり;
(4)工程2)でのメタノールの最終濃度は、0.3〜1.0%(v/v)、例えば0.4〜0.8%(v/v)、例えば0.5%(v/v)であり;
(5)工程2)での発現を誘導するための時間は、48〜96時間、例えば72時間であり;
(6)工程3)での精製工程が、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン変換クロマトグラフィー及びゲルろ過クロマトグラフィーを連続的に行うことを含む。
本発明の第6の態様は、血小板由来増殖因子B又はその変異体を含む培養上清又は細胞溶解物を、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及びゲルろ過クロマトグラフィーに連続的にかける工程を含む、血小板由来増殖因子B又はその変異体の精製方法に関する。
血小板由来増殖因子Bが本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体である、本発明の第6の態様のいずれか1つの精製方法。
本発明の実施形態によれば、疎水性相互作用クロマトグラフィーのために使用されるクロマトグラフィー媒体が、phenyl Sepharose 6 Flowである。
本発明の実施形態によれば、イオン交換クロマトグラフィーのために使用されるクロマトグラフィー媒体が、Source 30Sである。
本発明の実施形態によれば、ゲルろ過クロマトグラフィーのために使用されるクロマトグラフィー媒体が、Hiload Superdex 75 prep gradである。
本発明の第6の態様のいずれか1つの精製方法に関し、ここで
前記疎水性相互作用クロマトグラフィーは、以下の工程:
(1)血小板由来増殖因子B又はその変異体を含む培養上清又は細胞溶解物の導電率を、コンディショニング緩衝液で調節する工程、ここで前記コンディショニング緩衝液を加えた後の最終体系が10〜50mMリン酸緩衝液、0.8〜1Mの(NH42SO4、pH6.8〜7.5である;
(2)前記カラムクロマトグラフィーを平衡化緩衝液で平衡化する工程、ここで前記平衡化緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、0.8〜1Mの(NH42SO4、pH6.8〜7.5である;
(3)試料をカラム上にロードした後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄する工程;
(4)溶出緩衝液で溶出し、目的のタンパク質を回収する工程、ここで前記溶出緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、30〜50%エチレングリコール、pH6.8〜7.5である;
を含み、
前記イオン交換クロマトグラフィーは、以下の工程:
(1)疎水性相互作用クロマトグラフィーの溶出ピークを平衡化緩衝液で6mS/cm以下の導電率となるように希釈する工程、ここで前記平衡化緩衝液の組成は10〜50mMリン酸緩衝液、pH6.8〜7.5である;
(2)カラムを前記平衡化緩衝液で平衡化する工程;
(3)試料をカラム上にロードした後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄する工程;
(4)溶出緩衝液でグラジエントをかけて溶出し、目的のタンパク質を回収する工程、ここで前記溶出緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、0.8〜1.2mMのNaCl,pH6.8〜7.5である;
を含み、
前記ゲルろ過クロマトグラフィーは、以下の工程:
(1)カラムをリン酸緩衝液で平衡化する工程、ここで前記リン酸緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、0.1〜0.5mMのNaCl,pH6.8〜7.5である;
(2)前記イオン交換クロマトグラフィーの溶出ピークをロードする工程、ここで各ロード体積は、カラム体積の0.3〜4%以下である;
(3)前記工程(1)におけるリン酸緩衝液を用いてカラムの洗浄を継続し、目的のタンパク質を回収し、そして精製された血小板由来増殖因子B又はその変異体を得る工程、
を含む。
本発明においては、リン酸緩衝液の配合は当業界において周知である。本発明の実施形態によれば、リン酸緩衝液は、PBS溶液であり、そしてその配合は、10〜50mMのPB溶液、0.15MのNaCl、pH6.8〜7.5である。
本発明の実施形態によれば、クロマトグラフィーの各工程についての緩衝液のpH値は、7.2である。
本発明の実施形態によれば、クロマトグラフィーの各工程についてのリン酸緩衝液の濃度は、20mMである。
本発明の特定の実施形態によれば、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、次の通りにして実施される。(1)酵母発現上清液が1/2体積の調整緩衝液(60mMのPB、3Mの(NH42SO4、pH7.2)により導電率について調節される。(2)カラムが平衡化緩衝液(20mMのPB、1Mの(NH42SO4、pH7.2)により平衡化される。(3)試料がカラムに負荷され、その後、カラムが、ベースラインが平らになるまで、平衡化緩衝液により洗浄される。(4)カラムが溶出緩衝液(20mMのPB、50%エチレングリコール、pH7.2)により溶出され、目的のタンパク質が収集される。
本発明の特定の実施形態によれば、イオン交換クロマトグラフィーは、次の通りにして実施される。(1)フェニルHS溶出ピークが、6mS/cm以下の導電率まで、平衡化緩衝液(20mMのPB、pH7.2)により希釈される。(2)カラムが平衡化緩衝液により平衡化される。(3)試料がカラムに負荷され、その後、カラムが、ベースラインが平らになるまで、平衡化緩衝液により洗浄される。(4)カラムが溶出緩衝液(20mMのPB、1MのNaCl、pH7.2)により溶出され、目的のタンパク質が収集される。
本発明の特定の実施形態によれば、ゲルろ過クロマトグラフィーは、次の通りにして実施される。(1)カラムがPBS緩衝液(20mMのPB、0.15MのNaCl、pH7.2)により平衡化される。(2)Source 30S溶出ピークがループによりロードされ、そして各ロードの体積がカラム体積の3%以下である。(3)カラムがPBS緩衝液により洗浄され、目的のタンパク質が収集される。
本発明はさらに、細胞分裂及び増殖を促進するための、創傷治癒、皮膚再生、骨及び歯欠損の再生、関節修復を促進するための医薬の調製のための、本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体の使用に関する。
本発明はさらに、細胞分裂及び増殖を促進するための、創傷治癒、皮膚再生、骨及び歯欠損の再生、関節修復を促進するため方法に関し、有効量の本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
本発明はさらに、本発明の第1の態様のいずれか1つの血小板由来増殖因子B変異体に対して特異的に結合できる抗体にも関する。
本発明はまた、血小板由来増殖因子の発現を均一化するための方法に関し、野生型の血小板由来増殖因子のアミノ酸配列を操作する工程を含み、ここで前記操作が以下のa)〜c):
a)アミノ酸位置101及び109における変異;
b)アミノ酸位置6における変異;
c)アミノ酸位置32及び/又は33における変異;
d)N末端における5アミノ酸の欠失;
の1つ又は2つ以上を含む。
以下のi)〜iii):
i)位置101及び109のアミノ酸をアラニンへ変異させること;
ii)位置6のアミノ酸をアラニンへ変異させること;
iii)位置32及び/又は33のアミノ酸をプロリン、バリン又はイソロイシンへ変異させること;
の1つ又は2つ以上を特徴とする、本発明のいずれか1つの方法。
本発明のいずれか1つの方法は、発現のための真核生物発現系、例えば酵母細胞発現系及び哺乳類細胞発現系を使用する。
本発明の1つの実施形態によれば、前記操作は、5アミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置6、101及び109でのアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でのプロリンへの変異を意味する。
本発明の1つの実施形態によれば、前記操作は、5アミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置101及び109でのアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でのプロリンへの変異を意味する。
本発明の1つの実施形態によれば、前記操作は、5アミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置6、101及び109でのアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でのバリンへの変異を意味する。
本発明の1つの実施形態によれば、前記操作は、5アミノ酸のN末端欠失、アミノ酸位置6、101及び109でのアラニンへの変異、及びアミノ酸位置32でのイソロイシンへの変異を意味する。
本発明の特定の実施形態によれば、操作された血小板由来増殖因子のアミノ酸配列は、配列番号3又は配列番号5で示される。
本発明はまた、上記の種々の技術的解決策の組み合わせも包含する。
本発明においては、例えばベクターは、クローニングベクター又は発現ベクターである。前記ベクターは本発明の核酸分子を含み、そしてそのベクターは、クローニングベクター又は発現ベクター中に上記核酸分子を挿入することにより得られるか、又は人工合成によっても得られる。
前記発現ベクターは例えば、原核生物発現ベクター、真核生物発現ベクター、ファージベクター又はウィルスベクターである。原核生物発現ベクターは例えば、pETベクター、又はpGEXベクターである。真核生物発現ベクターは例えば、pcDNA3.1、pEGFP−C1、pPIC9K、pMEX9K、pPICZ、pPICZa、pFastBac、pPIC6aA、pPIC3.5K、pGAPZaA又はpAO815である。ファージベクターは、例えば、λファージベクターλgt又はλgt−λBである。ウィルスベクターは例えば、レトロウィルス、レンチウィルス、アデノウィルス又はアデノ随伴ウィルスベクターである。本発明の実施形態によれば、ベクターはpMEX9Kである。
本発明においては、宿主細胞は、原核細胞(例えば、E.コリ (E. coli)細胞)又は真核細胞である。真核細胞は例えば、酵母細胞、哺乳類細胞又は昆虫細胞である。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞中に、上記核酸分子又はベクターのヌクレオチド配列を導入する/トランスフェクトすることにより得られる。
本発明においては、酵母細胞系は、当業界において周知であり、そしてX33、KM71、KM71H、GS115、SMD1168、SMD1163、SMD1168H及びSMD1163Hを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
本発明においては、特定の核酸又はベクターによりトランスフェクトされた宿主細胞は、当業界において知られている任意の種類のトランスフェクション方法を用いて得られる。例えば、核酸がエレクトロポレーション又はマイクロインジェクションにより細胞中に導入されるか;又は他方では、リポフェクチン剤、例えばFuGENE 6、X−tremeGENE 及びLipofectAmineが使用され得るか;又は他方では、核酸がレトロウィルス、レンチウィルス、アデノウィルス又はアデノ随伴ウィルスに基づいて適切なウィルスにより、細胞中に導入され得る。
本発明においては、発現均一性とは、電気泳動の負荷量が10μg以上である場合、還元SDS−PAGE電気泳動分析が、目的のタンパク質が、クーマシーブリリアンドブルー染色により示されるような単一バンドであり、そしてソフトウェア、例えばImage J 又はBandscan が95%以上の純度を示すことを実証することを意味する。当業者は、異なったタンパク質について種々の技法を試み、そして使用することにより、タンパク質のより均一な発現を達成できる。
本発明においては、野生型血小板由来増殖因子Bとは、109個の長さのアミノ酸を有する、突然変異誘導されていない血小板由来増殖因子Bを意味し;そして各部位(例えば、変異部位、グリコシル化部位、切断部位)の記載はまた、参照としての野生型血小板由来増殖因子Bに基づいている。
本発明においては、野生型血小板由来増殖因子Bの位置6、101及び109でのアミノ酸はすべてトレオニン(Thr)であり;野生型血小板由来増殖因子Bの位置32及び33でのアミノ酸はアルギニン(Arg)であり;そして野生型血小板由来増殖因子BのN末端での最初の5つのアミノ酸は、セリン(Ser)、ロイシン(Leu)、グリシン(aly)、セリン(Ser)及びロイシン(Leu)である。
本発明においては、用語「約(about)」とは、数値の90%〜110%の範囲内であり、例えば95%〜105%の範囲内であることを意味する。
本発明においては、PDGF−B変異体は変異により得られ、そのタンパク質均一性は有意に改良され、そして変異体はPDGF−Bタンパク質の活性を保持する。
図1は、PDGF−Bタンパク質の構造の模式図を示す。A:PDGF−B前駆体タンパク質が、タンパク質分解により、N末端シグナルペプチド、プロペプチド及びC末端プロペプチド配列から除去され、成熟タンパク質が得られる。黒塗り三角形はプロテアーゼ加水分解部位を表し;B:2つのPDGF−Bモノマーは鎖間ジスルフィド結合を介してPDGF−BBホモダイマーを形成し、そして各PDGF−Bモノマーは8個のシステインを含み、2対の鎖内ジスルフィド結合(C16−C60、C49−C97、C53−C99)及び2対の鎖間ジスルフィド結合(C43−C52、C52−C43)を形成する。SP:シグナルペプチド;PRO:増殖因子ドメインに先行するプロ配列。 図2は、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)により発現され、そして分泌されたPDGF−BBのSDS−PAGE電気泳動分析を示す。非還元(左)及び還元(右)SDS−PAGE分析を、発酵され、そして3種の異なったバッチの精製された組み換えPDGF−BBThr6に対して実施した。非還元条件下で、タンパク質は単一バンドである。DTT処理に基づいて、PDGF−Bモノマーは、異種分子量を有する種々の形を示す。 図3は、タンパク質分解及びグリコシル化の共効果がPDGF−Bthr6のいくつかのモノマーの形成に寄与していることを示す。(A)PDGF−BThr6タンパク質を、SDS−PAGEにより、N末端アミノ酸分析のために還元条件下で分離した。第1、第2及び第3バンドにおけるN末端での最初の5個のアミノ酸残基はすべてTIATPであり、第4及び第5バンドにおけるN末端での最初の5個のアミノ酸はTNANFであり、このことは、プロテアーゼ切断がArg32−Thr33で生じることを示唆する。(B)PDGF−BThr6タンパク質を、還元条件下でWB(中間)及び糖タンパク質染色(右)分析にかけた。WB検出バンドはクーマシーブリリアントブルー染色(左)のバンド3及び5に対応し、そして糖タンパク質染色バンドは、クーマシーブリリアントブルー染色のバンド1、2及び4に対応する。(C)PDGF−BThr6タンパク質を、還元条件下でPNGアーゼFにより処理し、そして糖タンパク質のために染色した。PNGアーゼFによる処理の前及び後、バンドタイプ、分子量(左)及び糖タンパク質染色結果に関して変化は存在しなかった。IFN−ωは、グルコシダーゼ切断及び糖タンパク質染色のための陽性対照として作用する。 図4は、PDGF−BThr6タンパク質配列のO−結合されたグリコシル化部位の予測結果を示す。Thr6、Thr101及びThr109は、可能性あるO−結合されたグリコシル化修飾部位である。 図5は、HPLC検出に基づく精製されたタンパク質PDGF−M2の純度を示す。 図6は、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)において発現されたPDGF−Bの後翻訳修飾部位の分析を示す。(A)PDGF−M1及びPDGF−M2変異体の部位突然変異の模式図。(B)WB検出は、単一バンドとして、PDGF−M1及びPDGF−M2、及び2つのバンドとして対照PDGF−BThr6を示した。(C)PDGF−M1及びPDGF−M2モノマーを、SDS−PAGEにより検出し、クーマシーブリリアントブルー染色効果は、単一タンパク質バンドとしてPDGF−M2、及び2つのタンパク質バンドとしてPDGF−M1を示した(図中の矢印により示される)。(D)糖タンパク質染色は、PDGF−M1及びPDGF−M2タンパク質モノマーをほとんど検出することができない。 図7は、PDGF−M2の生物学的活性がPDGF−BBThr6のその活性よりも高く、そしてそれらの間に統計学的優位な差異が存在することを示す。実験を3度、反復し、そしてEC50を、平均±標準偏差(P=0.039)として表した。 図8は、発現に対するArg32の変異の効果を示す。(A)コドン最適化された株PDGF−IM−P、PDGF−IM−V及びPDGF−IM−Iの個々の7クローンの発現生成物のSDS−PAGE結果。PDGF−IM−Pのタンパク質発現量は、他の2種の株よりも有意に高い。(B)コドン最適化された株PDGF−IM−P、 PDGF−IM−V 及び PDGF−IM−Iを、それぞれ、G418耐性により複数挿入コピーについてスクリーンした。6個のクローンを、チューブ中での発現のために、2.0mg/ml又は4.0mg/mlのG418濃度下で選択した。SDS−PAGE分析は、PDGF−IM−P高コピースクリーニング株の発現量がほかの2種の株のその量よりも有意よりも有意に高かったことを示した。 図9は、PDGF−B野生型及びPDGF−M2変異体のLC/MSプロットを示す。
本発明の実施形態が、実施例と組み合わせて下記に詳細に記載されるが、しかし当業者は、次の実施例は本発明を単に例示し、そして本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことを理解しているであろう。実施例に明記される特定の条件のないそれらは、通常の条件、又は製造業者により推薦される条件下実施されるべきである。製造業者が特定されていない試薬及び装置はすべて、従来の製品である。
これまでの研究においては、100mg/Lまでの発現レベルを伴って、N末端で欠失された5個のアミノ酸を有するrhPDGF−BBThr6を発現するために、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)発現系を好都合に使用してきた(CN特許ZL200410068993.2号を参照のこと)。PDGF−BThr6を、生物学的活性を損なうことなく発現されたタンパク質の均一性を確保するために、PDGF−BThr6を、研究対象として選択する。しかしながら、さらなる研究は、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)により発現されたrhPDGF−BThr6モノマーが、10〜15kDaの範囲の異種分子量を有する種々の形をまだ示すことを実証する(図2)。
以下の実施例は、rhPDGF−BThr6に基づいて操作することにより、実施され、そしてすべて、部位又は位置の記載は、野生型PDGF−B(109個のアミノ酸)に基づかれる。
野生型PDGF−Bのアミノ酸配列のGenbank番号は、NM−002608.2である。
rhPDGF−BBThr6のアミノ酸配列は、下記の通りである:
TIAEPAMIAECKTRTEVFEISRRLIDRTNANFLVWPPCVEVQRCSGCCNNRNVQCRPTQVQLRPVQVRKIEIVRKKPIFKKATVTLEDHLACKCETVAAARPVT (配列番号1)。
rhPDGF−BBThr6の核酸配列は、下記の通りである:
5’−ACCATTGCTGAGCCGGCCATGATCGCCGAGTGCAAGACGCGCACCGAGGTGTTCGAGATCTCCCGGCGCCTCATAGACCGCACCAACGCCAACTTCCTGGTGTGGCCGCCCTGTGTGGAGGTGCAGCGCTGCTCCGGCTGCTGCAACAACCGCAACGTGCAGTGCCGCCCCACCCAGGTGCAGCTGCGACCTGTCCAGGTGAGAAAGATCGAGATTGTGCGGAAGAAGCCAATCTTTAAGAAGGCCACGGTGACGCTGGAAGACCACCTGGCATGCAAGTGTGAGACAGTGGCAGCTGCACGGCCTGTGACC−3’ (配列番号2)。
材料及び方法
組み換え発現クローンの構築
種々のPDGF変異体をコードするDNA配列は、Shanghai Sangon Inc.により合成された。その遺伝子フラグメントを、制限部位XhoI及びEcoRIを介して発現ベクターpMEX9K中にクローン化し(特許ZL02117906.9号を参照のこと)、そしてシーケンシングにより確認した。組換えプラスミドを抽出し、SalI消化により線状化し、そして次に、エレクトロポレーションにより、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)発現株GS115コンピテント細胞を形質転換した。酵母形質転換体を、ヒスチジン欠損MDプレートによりスクリーニングし、そして陽性組換え酵母株を、PCRにより同定した。
組み換えタンパク質の誘導発現
組み換え酵母株の単一クローンを、25mlのBMGY培地のフラスコ中に接種し(BMGY培地は、次の通りにして調製した:10gの酵母抽出物粉末及び20gのトリプトンを計量し、700mlの水に溶解し、121℃で20分間オートクレーブ処理し;室温に冷却し、100mlの1Mリン酸カリウム緩衝液、100mlの10×YNB及び100mlの10×GYを添加し、そして4℃で貯蔵した。ここで、10×YNB(13.4%酵母窒素源ベース)、10×GY(10%グリセロール)、1Mリン酸カリウム緩衝液(132mlの1MのK2HPO4及び868mlの1MのKH2PO4を測定し、リン酸又はKOHにより、pH6.0±0.1に調整し、121℃で30分間オートクレーブ処理し、そして室温で貯蔵した)、酵母抽出物(LP0021)はOXOID Inc.の製品であり、そしてペプトン(211677)は、B&D Inc.の製品である)、220〜250rpm下で28〜30℃で、OD600=2〜6(約16〜18時間)まで培養し、そして増殖した。25mlの酵母培養物を、1LのBMGYを含むフラスコ中に接種し、そして220〜250rpm下で28〜30℃で、OD600=2〜6まで培養し、そして増殖し続けた。酵母を、1500〜3000gで5分間、室温での遠心分離により集めた。上清液を除去し、そして酵母を、1LのBMMY培地により再懸濁し、発現誘導を開始した。誘導温度は28℃であり、そして回転速度は220rPmであった。メタノールを、最終濃度が0.5%になるまで、24時間ごとに添加し、そして誘導時間は72時間であった。誘導の完結の後、組み換えタンパク質を含む上清液を、室温で、7000rpmでの遠心分離により集めた。
組み換えタンパク質の精製
ピチア・パストリス(Pichia pastoris)の発現上清液を、遠心分離及びろ過により、適切な緩衝液中に調整し、そして疎水性相互作用クロマトグラフィー(Phenyl Sepharose 6 Fast Flow)、イオン交換クロマトグラフィー(Source 30S)及びゲルろ過クロマトグラフィー(Hiload Superdex 75 prep grade)を連続的に行い、95%以上の純度を有する目的のタンパク質を得た(図5)。クロマトグラフィー媒体は、すべて、GE Amersham Bioscience Inc.からの製品である。
疎水性クロマトグラフィーを、次の通りに実施した。(1)酵母発現上清液を1/2体積の調整緩衝液(60mMのPB、3Mの(NH42SO4、pH7.2)により導電率について調節した。(2)説明書に記載されるように、カラムを平衡化緩衝液(20mMのPB、1Mの(NH42SO4、pH7.2)により平衡化した。(3)試料をカラムに負荷し、その後、カラムを、ベースラインが平らになるまで、平衡化緩衝液により洗浄した。(4)カラムを溶出緩衝液(20mMのPB、50%エチレングリコール、pH7.2)により溶出し、目的のタンパク質を収集した。
イオン交換クロマトグラフィーを、次の通りにして実施した。(1)フェニルHS溶出ピークを、6mS/cm以下の導電率まで、平衡化緩衝液(20mMのPB、pH7.2)により希釈した。(2)説明書における方法に従って、カラムを平衡化緩衝液により平衡化した。(3)試料をカラムに負荷し、その後、カラムを、ベースラインが平らになるまで、平衡化緩衝液により洗浄した。(4)カラムを溶出緩衝液(20mMのPB、1MのNaCl、pH7.2)により溶出し、目的のタンパク質を収集した。
ゲルろ過クロマトグラフィーを、次の通りにして実施した。(1)カラムをPBS緩衝液(20mMのPB、0.15MのNaCl、pH7.2)により平衡化した。(2)Source 30S溶出ピークをループによりロードし、そして各ロードの体積はカラム体積の3%以下である。(3)カラムをPBS緩衝液により洗浄し、目的のタンパク質を収集した。
組み換えタンパク質のSDS−PAGE検出
適切な濃度を有する精製タンパク質30μlを、それぞれ、10μlの4×SDS−PAGE緩衝液(20mMのDTTを含む及びそれを含まない)に添加し、100℃で5分間、変性し、そして遠心分離した。次に、30μlの上清液を、SDS−PAGE電気泳動分析のために採取した(分離ゲルは15%である)。電気泳動に続いて、ゲルをクーマシーブリリアントブルーR250により染色した。
組換えタンパク質のウェスターンブロット(WB)検出
試料を、SDS−PAGEにおけるのと同じ手段で調製した。3μlの試料を、SDS−PAGEのために採取した。電気泳動に続いて、タンパク質を、300mAの定電流下で1時間、ニトロセルロースに移し、そして5%脱脂粉乳/TBSTにより室温で1時間ブロックした。一次抗体PDGF−B(F−3)(Santa Cruz Biotechnology, SC-365805)を、1:1000で希釈し、室温で1時間、被覆し、そしてTBSTにより数回、洗浄した。HRP標識された二次抗体(Cell Signaling Technology, #7076)を、1:10000で希釈し、室温で1時間インキュベートし、そしてTBSTにより洗浄した。基質を添加し、そしてLAS400ミニゲルイメージングシステム(GE)により映像化した。
N末端アミノ酸配列のシーケンシング
試料調製及びSDS−PAGE工程は、上記と同じであった。電気泳動の完結に続いて、タンパク質を、300mAの定電流下で1時間、CAPSエレクトロブロッティング緩衝液によりPVDF膜に移し、そして0.1%クーマシーブリリアントブルーR250により染色し、この後すぐに、タンパク質バンドが見えるまで、50%メタノールにより十分に脱色した。決定されるタンパク質バンドを切断し、そして測定のために、Chromatography Laboratory of Biomedical Analysis Center, Military Medical Academyに送った。
タンパク質グリコシル化の検出
50μlの試料及び陽性対照IFN−ωを、3μlの10×糖タンパク質変性緩衝液(NEB PNGアーゼF酵素を含む)及び15μlの水中に添加し、そして100℃で10分間、加熱変性した。冷却の後、3μlのNP−40、3μlのG7緩衝液(NEB PNGアーゼF酵素を含む)及び2μlのペプチドN−グリコシダーゼF(PNGase F)(New England Biotech Inc. (NEB)の製品)を添加し、そして100℃で加熱し、酵素を不活性化し、そしてSDS−PAGE電気泳動を行った。電気泳動の完結に続いて、染色を、糖タンパク質の染色キット(Themo Scientific, # 24562)を用いて実施した。最初に、ゲルを、100mlの50%メタノール中に添加し、そして30分間、固定し;ゲルを3%酢酸により数度、洗浄し、25mlの酸化溶液に移し、そして15分間、軽く振盪し;ゲルを3%酢酸により数度、洗浄し、25mlの糖タンパク質染色試薬に移し、そして15分間、軽く振盪し;その後、ゲルを25mlの還元溶液に移し、そして5分間、軽く振盪し;次に、ゲルを3%酢酸により洗浄し、そして脱イオン水によりすすいだ。
PDGF−B生物学的活性の検出
BALB/3T3細胞(Beijing Xiehe Cell Resource Centerから購入された)を、10%FBSを含むDMEM完全培地(Life Technology)において、37℃及び5%二酸化炭素の条件下で培養した。消化及び収集の後、細胞を、1mlの完全ブイヨン当たり5.0×104個の細胞を含む細胞懸濁液として調製し、96ウェル細胞培養プレート中に接種し(ウェル当たり100μl)、そして続いて、37℃及び5%二酸化炭素の条件下で培養した。24時間後、培地を、維持培地(0.4%FBSを含むDMEM)、続いて、37℃及び5%二酸化炭素の条件下で培養した。24時間の培養に基づいて、培養培地を捨て、そして予備勾酸希釈PDGF−BB溶液(ウェル当たり100μl)を添加した。細胞を、タンパク質の作用下で、さらに64〜72時間、培養し、そして次の通りに、WST−1方法により細胞増殖についてアッセイした:10μlのWST−1溶液(Roche, 11644807001)を、各ウェル中に添加し、37℃及び5%二酸化炭素の条件下で3時間、培養し、そして次に、マイクロプレートリーダー(参照の波長:630nm)を用いて、450nmの波長で吸光度を測定した。実験データを、4パラメーター回帰計算法により処理した。2つのタンパク質のEC50値を、それぞれ計算した。実験を3度、反復した。2つのグループ間の異なった統計学的分析を、t−検定により実施した。
実施例1.タンパク質分解及びグリコシル化の共効果がPDGF−BBThr6の多様なモノマーの形成に寄与する
本発明者は、最初に、タンパク質分解が多様なPDGF−Bモノマーの形成の原因であると疑った。還元SDS−PAGE電気泳動により、PDGF−Bの異なったモノマーを分離し、そして5バンドを、クーマシーブリリアントブルー染色を介して検出した(図3A)。5タンパク質バンドを、N末端アミノ酸配列についてのシーケンシングにかけ、そしてその結果は、第1、第2及び第3バンドにおけるN末端での最初の5個のアミノ酸残基がすべてTIAEPであり、これはPDGF−BThr6の正しいN末端配列に対応し、ところが第4及び第5バンドにおけるN末端での最初の5個のアミノ酸残基がTNANFであったことを示した。タンパク質配列のアラインメントは、第4及び第5タンパク質フラグメントが、Arg32−Thr33でのタンパク質分解性切断により生成された切断タンパク質であったことを決定した(図A)。
しかしながら、これは、PDGEモノマーの少なくとも5種の形成について理由を説明できない。バンド1、2、3と、バンド4、5との間の分子量の差異は、C末端切断のためであり得る。この問題に解答するために、本発明者は、PDGF−B C末端に対する特定のモノクローナル抗体(F−3)を用いるWBアッセイを実施した(Santa Cruz Biotechnology, SC-365805)。その結果は、5バンドのうちわずか2つのバンドを検出したことを示した。しかし興味深いことには、抗体に結合される2つのバンドは、第3及び第5タンパク質フラグメントに対応するようであった(図3B)。第1、第2及び第4タンパク質フラグメントがC末端切断のために抗体により検出され得ない場合、それらの分子量はより小さくあるべきである。しかしながら、これは明らかに、電気泳動アッセイの結果と一致しない。これは、見出されるべき他の理由が存在することを意味する。
PDGF−Bがグリコシル化されたかどうかを分析するために、PDGFを、ペプチドN−グリコシダーゼF(PNGアーゼF)により消化し、そしてSDS−PAGE及び糖タンパク質染色を同時に実施した。PNGアーゼは、糖ペプチド/糖タンパク質における、ほとんどすべてのN−グリカン鎖に対して作用できるアミダーゼであり、糖鎖成分の最も内部のGlcNAcとアスパラギン酸との間を切断し、そしてアスパラギンをアスパラギン酸に転換し(10)、そして糖タンパク質プロテオミクス研究におけるN−糖タンパク質の同定において最も広く使用される酵素である。ピチア・パストリス(Pichia pastoris)において発現される組換えIFN−ωタンパク質は、N−グリコシル化タンパク質の陽性対照として作用する。クーマシーブリリアントブルー染色結果は、切断の前後、PDGF−Bタンパク質の相対分子量に変化は存在しなかったことを示し、PDGF−Bタンパク質がN−グリコシル化を受けなかったことを示唆する(図3C、左)。しかしながら、糖タンパク質染色結果は、PDGF−Bが実際、糖タンパク質であることを示した(図3C、右)。これは、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)により分泌されるPDGF−BがO−グルコシル化されたことを意味する。また、さらなる分析は、わずか3種のタンパク質フラグメントが糖染色において検出され、これは、それぞれ、SDS−PAGE結果におけるバンド1、2及び4に対応すべきであることを示した(図3B)。これはまた、上記WBアッセイの結果と一致し、すなわち第1、第2及び第4タンパク質フラグメントがそのC末端でグリコシル化され、従って抗体へのPDGF−BThr6の結合に影響を及ぼす。
上記実験結果を組み合わせると、本発明者は、PDGF−BThr6モノマーのいくつかの形が、位置27/28でアミノ酸Arg32−Thr33の間で生じる、タンパク質分解及び示差的後翻訳グリコシル化の共効果に起因すると推定した(表1)。
注:表における完全PDGFとは、PDGF−BThr6、すなわちN末端で欠失された5個のアミノ酸を有するPDGF−Bのことである。
実施例2.PDGF−M1及びPDGF−M2修飾因子の構成及びタンパク質性質の検出
さらに、本発明者は、上記推論を確認したく、そしてピチア・パストリス(Pichia pastoris)におけるPDGF−Bの発現が均一であることを予測した。最初に、本発明者は、可能性あるO−グリコシル化部位を決定したいと考えた。PDGF−BThr6タンパク質配列のグリコシル化部位の予測を、オンラインウェブサイトCBS(www.CBS.dtu.dk)を用いて実施した(11)。結果は、位置6、101及び109でのThrが可能性あるO−グリコシル化修飾部位であることを示した(図4)。N−グリコシル化と比較すれば、O−グリコシル化部位についての明確なモチーフは存在せず、結果的に、その予測はまた、比較的困難である。しかしながら、位置6、101及び109での予測される可能なグリコシル化部位は、本発明者の結果と一致し、すなわちPDGF−BThr6のタンパク質のC末端でグリコシル化修飾(Thr101、Thr109)が存在するはずであり、なぜならば、それらは抗体への結合を妨げたからであり;Thr33の前にグリコシル化修飾が存在すべきであり、これは、消化されたPDGF−Bについてわずか1つ(バンド4)のグリコシル化修飾された変異体が存在したが、しかし消化されていない、グリコシル化されたPDGF−Bモノマーについて2つのバンド(バンド1、2)が存在した事実を説明している(図3B;表1)。予測される結果を確認するために、本発明者は、PDGF−BThr6の2つの変異体PDGF−M1及びPDGF−M2を構成した。C末端での2つのグリコシル化部位を、PDGF−M1において突然変異誘導し、そしてすべての3種の可能性あるグリコシル化部位を、PDGF−M2において突然変異誘導した(変異のパターンについては、図6Aを参照のこと)。また、プロテアーゼ切断部位Arg32−Thr33を除去するために、本発明者は、アミノ酸の進化的選択を考慮して、Arg32をProに変異させた。本発明者は、成熟PDGF−Bタンパク質がPDGF−Aと60%のアミノ酸配列相同性を有し、そして両者は構造及び機能に関して、高い類似性を有し、ところがPDGF−Aタンパク質のその対応する位置におけるアミノ酸がProであることに注目した。
PDGF−M1のアミノ酸配列は、下記の通りである:
TIAEPAMIAECKTRTEVFEISRRLIDPTNANFLVWPPCVEVQRCSGCCNNRNVQCRPTQVQLRPVQVRKIEIVRKKPIFKKATVTLEDHLACKCEAVAAARPVA (配列番号3)。
PDGF−M1のヌクレオチド配列は、下記の通りである:
ACCATTGCTGAGCCGGCCATGATCGCCGAGTGCAAGACGCGCACCGAGGTGTTCGAGATCTCCCGGCGCCTCATAGACCCCACCAACGCCAACTTCCTGGTGTGGCCGCCCTGTGTGGAGGTGCAGCGCTGCTCCGGCTGCTGCAACAACCGCAACGTGCAGTGCCGCCCCACCCAGGTGCAGCTGCGACCTGTCCAGGTGAGAAAGATCGAGATTGTGCGGAAGAAGCCAATCTTTAAGAAGGCCACGGTGACGCTGGAAGACCACCTGGCATGCAAGTGTGAGGCAGTGGCAGCTGCACGGCCTGTGGCC (配列番号4)。
PDGF−M2のアミノ酸配列は、下記の通りである:
AIAEPAMIAECKTRTEVFEISRRLIDPTNANFLVWPPCVEVQRCSGCCNNRNVQCRPTQVQLRPVQVRKIEIVRKKPIFKKATVTLEDHLACKCEAVAAARPVA (配列番号5)。
PDGF−M2のヌクレオチド配列は、下記の通りである:
GCCATTGCTGAGCCGGCCATGATCGCCGAGTGCAAGACGCGCACCGAGGTGTTCGAGATCTCCCGGCGCCTCATAGACCCCACCAACGCCAACTTCCTGGTGTGGCCGCCCTGTGTGGAGGTGCAGCGCTGCTCCGGCTGCTGCAACAACCGCAACGTGCAGTGCCGCCCCACCCAGGTGCAGCTGCGACCTGTCCAGGTGAGAAAGATCGAGATTGTGCGGAAGAAGCCAATCTTTAAGAAGGCCACGGTGACGCTGGAAGACCACCTGGCATGCAAGTGTGAGGCAGTGGCAGCTGCACGGCCTGTGGCC (配列番号6)。
PDGF−M1及びPDGF−M2をコードするDNA配列を、発現ベクターpMEX9K中に挿入し、そしてピチア・パストリス(Pichia pastoris)株GS115中に組み込んだ。発現をメタノールにより誘導し、そしてタンパク質をクロマトグラフィーにより精製した。精製されたPDGF−Bタンパク質を、SDS−PAGE、糖タンパク質染色及びウェスターンブロット検出にかけ、構築されたタンパク質の性質を決定した。WB結果は、単一バンドのみが、2種の変異体が還元された後、検出され得、そして相対分子量が約12kDaであり、予測される1つと一致することを示した(図6B)。SDS−PAGE結果は、PDGF−M2が単一バンドであるが、しかしPDGF−M1はまだ、主要バンドよりもマイナーなバンドで有することを示した(図6C)。このバンドは、Thr6のグリコシル化に起因することが推定される。糖タンパク質染色結果は、2種の変異体のグリコシル化レベルが、変異の前のそれらのレベルと比較して、非常に低く、そして糖タンパク質染色によってはほとんど検出されなかったことを示した(図6D)。上記結果は、位置32でのRのPへの変異が可能性あるKex2プロテアーゼ切断部位を除去し、そしてThr33切断されたPDGF−Bモノマー形成を妨げ、ところが3種のグリコシル化部位Thr6、101及び109の変異はまた、異なる程度でタンパク質の後翻訳グリコシル化修飾を無効にし、それにより、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)におけるPDGF−Bタンパク質の発現を均一にすることを示唆した。
実施例3.PDGF−M2の活性を増強する細胞増殖の検出
グリコシル化部位Thr6−Ala、Thr101−Ala及びThr109−Alaの変異及びArg32−Pro KEX切断部位の変異がPDGF−BBの生物学的活性に影響を及ぼすかどうかを分析するために、本発明者は、WST−1方法を用いて、Balb/c 3T3細胞に対するPDGF−BThr6及びPDGF−M2の増殖活性を決定した。結果は、PDGF−BTh6のEC50が5.434±0.6475ng/mlであり、ところがPDGF−M2のEC50が3.492±0.4078ng/mlであることを示した。t−検定は、構築の後のタンパク質活性が、構築の前よりも高い(0.0117のP値を有する)ことを示した(図7)。
実施例4.発現レベルに対するPDGF−M2 Arg32変異の効果
PDGF−M2の発現レベルを増強するために、本発明者は、オンラインツールJava(登録商標) Condon Adaptation Toolを用いて、タンパク質発現の間、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)のコドン選択に従って、PDGF−M2(PDGF−IM−P)のコドン最適化を実施した。最適化されるDNAコード配列は次の通りである:
PDGF−IM−PをコードするDNA配列は、次の通りである:
5’GCTATCGCTGAACCAGCTATGATCGCTGAATGTAAGACTAGAACTGAAGTTTTCGAAATCTCTAGAAGATTGATCGACCCAACTAACGCTAACTTCTTGGTTTGGCCACCATGTGTTGAAGTTCAAAGATGTTCTGGTTGTTGTAACAACAGAAACGTTCAATGTAGACCAACTCAAGTTCAATTGAGACCAGTTCAAGTTAGAAAGATCGAAATCGTTAGAAAGAAGCCAATCTTCAAGAAGGCTACTGTTACTTTGGAAGACCACTTGGCTTGTAAGTGTGAAGCTGTTGCTGCTGCTAGACCAGTTGCT−3’ (配列番号7)。
そのタンパク質配列は、PDGF−M2と同じである。
コドン最適化に基づいて、Arg32を、Val(PDGF−1M−V、使用されるValコドンはGTTである)及びIle(PDGF−IM−1、使用されるIleはATCである)に変異化し、その発現レベルを、PDGF−M2のレベルを比較し、タンパク質発現に対するArg32の変異の効果を分析した。
PDGF−IM−Vのヌクレオチド配列は、次の通りである:
GCTATCGCTGAACCAGCTATGATCGCTGAATGTAAGACTAGAACTGAAGTTTTCGAAATCTCTAGAAGATTGATCGACGTTACTAACGCTAACTTCTTGGTTTGGCCACCATGTGTTGAAGTTCAAAGATGTTCTGGTTGTTGTAACAACAGAAACGTTCAATGTAGACCAACTCAAGTTCAATTGAGACCAGTTCAAGTTAGAAAGATCGAAATCGTTAGAAAGAAGCCAATCTTCAAGAAGGCTACTGTTACTTTGGAAGACCACTTGGCTTGTAAGTGTGAAGCTGTTGCTGCTGCTAGACCAGTTGCT (配列番号8)。
PDGF−IM−Iのヌクレオチド配列は、次の通りである:
GCTATCGCTGAACCAGCTATGATCGCTGAATGTAAGACTAGAACTGAAGTTTTCGAAATCTCTAGAAGATTGATCGACATCACTAACGCTAACTTCTTGGTTTGGCCACCATGTGTTGAAGTTCAAAGATGTTCTGGTTGTTGTAACAACAGAAACGTTCAATGTAGACCAACTCAAGTTCAATTGAGACCAGTTCAAGTTAGAAAGATCGAAATCGTTAGAAAGAAGCCAATCTTCAAGAAGGCTACTGTTACTTTGGAAGACCACTTGGCTTGTAAGTGTGAAGCTGTTGCTGCTGCTAGACCAGTTGCT (配列番号9)。
PDGF−IM−P、PDGF−IM−V及びPDGF−IM−IをコードするDNA配列を、制限部位、すなわちターミネーターのような配列に連結し、発現ベクターpMEX9K中にクローン化し、そして発現株GS115中に組み込んだ。ヒスチジン欠損MDプレートスクリーニングに続いて、9個のクローンをランダムに選択し、そしてチューブ中においてメタノールにより誘導される発現を行った。培養上清液のSDS−PAGE電気泳動分析は、発現量のPDGF−IM−Pタンパク質が他の2つの株よりも有意に高かったことを示した(図8A)。
複数挿入体を有するGS115/PDGF−IM−P、GS115/PDGF−IM−V及びGS115/PDGF−IM−Pクローンのスクリーニングを、G418により実施した。2.0ng/ml及び4.0mg/mlのG418と共にプレート上で増殖されたクローンの発現を、それぞれ分析した。その結果は、PDGF−IM−Pの平均発現レベルが他の2つの株よりも高かったことを示した(図8B)。これは、Arg32部位の変異がピチア・パストリス(Pichia pastoris)におけるPDGFの分泌及び発現レベルに影響を及ぼし、そしてこの部位のProへの変異が発現のために比較的有利であることを示唆する。
実施例5.PDGF−B及びPDGF−M2変異体のグリコシル化のLC/MS検出
方法
組み換えPDGF−B野生型及びPDGF−M2変異体を、37℃で30分間、DTT(2.5mM)により還元し、そして緩衝液A(0.1%蟻酸を含む水溶液)により希釈し、続いて液体クロマトグラフィー及び質量分析(LC/MS)分析を実施した。タンパク質を、EASY−nLC システム (Thermo Fisher Scientific)を用いて、Easy−噴霧カラム(15 cm × 75 μm ID、 3−μm C18粒子)上で分離し、300nl/分の流速で、緩衝液Bの線形勾配(メタノール中、0.1%蟻酸の溶液を含む;0−90%、20分)により溶出した。高分解能スペクトルが、60,000の解像度、m/z350−1600の条件下で、Q Exactive Mass Spectrometer (Thermo Fisher Scientific)を用いて得られ、そしてXtractソフトウェア(Thermo Scientific)を用いて、デコンボリューションした。
結果
高解像度LC/MSによるPDGF−B野生型及びPDGF−M2変異体の分析は、野生型PDGFに関して、6個までの炭水化物残基を含む異なったイソフォームが検出され、ここで3個の炭水化物残基を含むイソフォームの含有率が最高であったことを示した。また、グリコシル化は、PDGF−M2(M2)変異体についてはほとんど検出され得なかった(図9に示されるように)。
本発明の特定の実施形態が詳細に記載されたが、当業者は、開示された全ての教示に従って、種々の修飾及び置換が詳細に行われ得、そしてそれらの変更はすべて本発明の範囲内にあることを理解しているであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその同等物により与えられる。
参考文献

Claims (27)

  1. 野生型の血小板由来増殖因子Bのアミノ酸位置101及び109において変異を有し、血小板由来増殖因子Bの活性を有する、血小板由来増殖因子B変異体。
  2. アミノ酸位置6において変異を有し、血小板由来増殖因子Bの活性を有する、請求項1に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  3. アミノ酸位置32及び/又は33において変異を有し、血小板由来増殖因子Bの活性を有する、請求項1又は2に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  4. 野生型血小板由来増殖因子Bと比較して、N末端において5アミノ酸の欠失を有し、血小板由来増殖因子Bの活性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  5. アミノ酸位置6、101及び109においてアラニンへの変異を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  6. アミノ酸位置101及び109においてアラニンへの変異を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  7. アミノ酸位置32及び/又は33において、プロリン、バリン又はイソロイシンへの変異を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  8. 前記血小板由来増殖因子Bが哺乳動物由来の血小板由来増殖因子Bであり、そして前記哺乳動物が、例えばヒト又はマウスである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  9. そのアミノ酸配列が配列番号3又は5で示される配列である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  10. そのアミノ酸配列の1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加を有し、血小板由来増殖因子Bの活性を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体。
  11. 2つの請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体によって鎖内及び/又は鎖間ジスルフィド結合を介して形成されるか、あるいは、1つの請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体及び1つの血小板由来増殖因子Bによって鎖内及び/又は鎖間ジスルフィド結合を介して形成される、血小板由来増殖因子ホモダイマー又はヘテロダイマー。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体をコードする核酸分子。
  13. 配列番号4及び6〜9で示される配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有する、請求項12に記載の核酸分子。
  14. 請求項12又は13に記載の核酸分子を含むベクター。
  15. 請求項14に記載のベクターを含む宿主細胞。
  16. 真核細胞であり、例えば酵母細胞、哺乳動物細胞又は昆虫細胞である、請求項15に記載の宿主細胞。
  17. ピキア・パストリス(Pichia pastoris)である、請求項16に記載の宿主細胞。
  18. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体の調製方法であって、請求項14又は15に記載の宿主細胞を培養し、発現させ(例えば誘導発現させ)、そして場合により生成する工程を含む、方法。
  19. 血小板由来増殖因子B又はその変異体の精製方法であって、血小板由来増殖因子B又はその変異体を含む培養上清又は細胞溶解物を、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及びゲルろ過クロマトグラフィーに連続的にかける工程を含む、方法。
  20. 前記血小板由来増殖因子B変異体は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体である、請求項19に記載の精製方法。
  21. 以下の1)〜3):
    1)疎水性相互作用クロマトグラフィーのために使用されるクロマトグラフィー媒体は、Phenyl Sepharose 6 Fast Flowである;
    2)イオン交換クロマトグラフィーのために使用されるクロマトグラフィー媒体は、Source 30Sである;
    3)ゲルろ過クロマトグラフィーのために使用されるクロマトグラフィー媒体は、Hiload Superdex 75 prep gradeである;
    の1つ又は2つ以上を特徴とする、請求項19又は20に記載の精製方法。
  22. 前記疎水性相互作用クロマトグラフィーは、以下の工程:
    (1)血小板由来増殖因子B又はその変異体を含む培養上清又は細胞溶解物の導電率を、コンディショニング緩衝液で調節する工程、ここで前記コンディショニング緩衝液を加えた後の最終体系が10〜50mMリン酸緩衝液、0.8〜1Mの(NH42SO4、pH6.8〜7.5である;
    (2)前記カラムクロマトグラフィーを平衡化緩衝液で平衡化する工程、ここで前記平衡化緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、0.8〜1Mの(NH42SO4、pH6.8〜7.5である;
    (3)試料をカラム上にロードした後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄する工程;
    (4)溶出緩衝液で溶出し、目的のタンパク質を回収する工程、ここで前記溶出緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、30〜50%エチレングリコール、pH6.8〜7.5である;
    を含み、
    前記イオン交換クロマトグラフィーは、以下の工程:
    (1)疎水性相互作用クロマトグラフィーの溶出ピークを平衡化緩衝液で6 mS/cm以下の導電率となるように希釈する工程、ここで前記平衡化緩衝液の組成は10〜50mMリン酸緩衝液、pH6.8〜7.5である;
    (2)カラムを前記平衡化緩衝液で平衡化する工程;
    (3)試料をカラム上にロードした後、カラムを平衡化緩衝液で洗浄する工程;
    (4)溶出緩衝液でグラジエントをかけて溶出し、目的のタンパク質を回収する工程、ここで前記溶出緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、0.8〜1.2mMのNaCl,pH6.8〜7.5である;
    を含み、
    前記ゲルろ過クロマトグラフィーは、以下の工程:
    (1)カラムをリン酸緩衝液で平衡化する工程、ここで前記リン酸緩衝液の配合が10〜50mMリン酸緩衝液、0.1〜0.5mMのNaCl,pH6.8〜7.5である;
    (2)前記イオン交換クロマトグラフィーの溶出ピークをロードする工程、ここで各ロード体積は、カラム体積の0.3〜4%以下である;
    (3)前記工程(1)におけるリン酸緩衝液を用いてカラムの洗浄を継続し、目的のタンパク質を回収し、そして精製された血小板由来増殖因子B又はその変異体を得る工程、
    を含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の精製方法。
  23. 細胞分裂及び増殖を促進するための、創傷治癒、皮膚再生、骨及び歯欠損の再生、関節修復を促進するための医薬の調製のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体の使用。
  24. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体と特異的に結合することができる抗体。
  25. 野生型の血小板由来増殖因子の発現を均一化するための方法であって、野生型の血小板由来増殖因子のアミノ酸配列を修飾する工程を含み、ここで前記修飾が以下のa)〜c):
    a)アミノ酸位置101及び109における変異;
    b)アミノ酸位置6における変異;
    c)アミノ酸位置32及び/又は33における変異;
    d)N末端における5アミノ酸の欠失;
    の1つ又は2つ以上を含む、方法。
  26. 以下のi)〜iii):
    i)位置101及び109のアミノ酸をアラニンへ変異させること;
    ii)位置6のアミノ酸をアラニンへ変異させること;
    iii)位置32及び/又は33のアミノ酸をプロリン、バリン又はイソロイシンへ変異させること;
    の1つ又は2つ以上を特徴とする、請求項25に記載の方法。
  27. 細胞分裂及び増殖を促進するための、創傷治癒、皮膚再生、骨及び歯欠損の再生、関節修復を促進するため方法であって、有効量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の血小板由来増殖因子B変異体を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法。
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