JP2020022436A - ボツリヌス毒素の製造のための培地組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】既存培地と植物由来ペプトンだけ含まれた培地より高いクロストリジウム菌株の成長率を示し、安全に菌株を培養して、高濃度のボツリヌス毒素を産生することができる、クロストリジウム属菌株の培養用培地組成物の提供。【解決手段】莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物及び小麦グルテン加水分解物で構成された群から選択される一つ以上の植物性ペプトンと豚由来ペプトンを含むことを特徴とする、培地組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ボツリヌス毒素の製造のための培地組成物に関し、より詳細にはボツリヌス毒素を産生することができるクロストリジウム属菌株の培養用培地組成物に関する。本発明の培地組成物は、莢豌豆加水分解物(Garden Pea hydrolysate)、綿実加水分解物(Cotton seed hydrolysate)および小麦グルテン加水分解物(Wheat Gluten hydrolysate)で構成された群から選択される一つ以上の植物性ペプトンと豚由来ペプトン(Porcine peptone)を含むことを特徴とする。
神経毒性を持つ毒素を分泌する種々のクロストリジウム属菌株が1890年代から今まで発見されて、過去70年間これらの菌株が分泌する毒素に対する特性解明がなされてきた(Schant,E.J.et al.,Microbiol.Rev.,56:80,1992)。
前記クロストリジウム属菌株から由来した神経毒性を持つ毒素、すなわちボツリヌス毒素(botulinum toxin)は、その血清学的特徴によりA〜G型の七つの型に区分される。各毒素は、約150KDa程度の毒素タンパク質を有しているが、自然的には種々の非毒性タンパク質と結合されている複合体からなっている。中間(Medium)複合体(300kDa)は、毒素タンパク質と非毒性−非ヘマグルチニンタンパク質からなり、大きい(Large;450kDa)複合体および巨大(Large−Large;900kDa)複合体は、中間複合体がヘマグルチニンと結合されている形態を有している(Sugiyama,H.,Microbiol.Rev.,44:419,1980)。このような非毒性非ヘマグルチニンタンパク質は腸内で低いpHと各種タンパク質加水分解酵素から毒素を保護する機能をすると知られている。
前記毒素は、細胞内で分子量が約150kDaである一つのポリペプチドで合成された後、細胞内タンパク質分解酵素の作用やトリプシンのような人為的な酵素処理によってN末端から1/3になる位置で切断されて、二つ単位体である軽鎖(L:light chain)(分子量;50kDa)および重鎖(H:heavy chain)(分子量;100kDa)に分けられる。このように分けられた毒素は、単一ポリペプチドである時に比べてその毒性が大きく増加する。二つの単位体は、二硫化結合によって連結されていて、それぞれは異なる機能を有する。重鎖は目標物(target)になる細胞の受容体(receptor)と結合して(Park.M.K.,et al.,FEMS Microbiol.Lett.,72:243,1990)、低いpH(pH4)で生体膜と反応してチャネル(channel)を形成する機能を有して(Mantecucco,C.et al.,TIBS.,18:324,1993)、軽鎖は薬理活性を持っていて洗剤(detergent)を使って細胞に透過性を与えたり、電気穿孔(electroporation)等で細胞内投入された時神経伝達物質の分泌を妨げる(Poulain,B.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,85:4090,1988)。
前記毒素は、神経筋接合部(neuromuscular junction)のコリン性前シナプス(cholinergic presynapse)でアセチルコリンのエキソサイトーシス(exocytosis)を阻害して無力症を引き起こす。極微量の毒素を処理しても毒性が現れることからこの毒素は何らかの酵素活性を持つと考えられてきた(Simpson,L.L.et al.,Ann.Rev.Pharmaeol.Toxicol.,26:427,1986)。
最近明らかになったところによると、毒素はメタロペプチダーゼ活性(metallopeptidase activity)を持っていて、その基質は、エキソサイトーシス装置複合体(exocytosis machinary complex)をなす単位タンパク質であるシナプトブレビン(Synaptobrevin)、シンタキシン(Syntaxin)、25KDaのシナプトソーム関連タンパク質(Synaptosomal associated protein of 25KDa)(SNAP25)等である。各型の毒素は、この三つのタンパク質中一つを基質としているが、B、D、FおよびG型は、シナプトブレビンを、AとE型はSNAP25を、C型はシンタキシンを特定部位で切断すると知られている(Binz,T.et al.,J.Biol.Chem.,265:9153,1994)。
特に、ボツリヌス毒素A型は、pH4.0〜6.8の薄い水溶液に溶解性であると知られている。約7以上のpHで安定化非−毒素タンパク質が神経毒素から分離されて、その結果毒性が徐々に失われるが、特にpHおよび温度が上昇するにつれ毒性が減少すると知られている。
前記ボツリヌス毒素は、少量で体に致命的で大量生産が容易であるため、炭疽菌(Bacillus anthracis)、ペスト(Yersinia pestis)、天然痘(smallpox virus)と共に4大生物テロ武器で使われることができる毒素である。しかし、前記ボツリヌス毒素(botulinum toxin)中A型毒素の場合には、全身的には体に影響を及ぼさない容量以下で注射すると、前記注射部位の局所筋肉を麻痺させることができると明らかになり、このような特性を利用してシワ除去剤、強直性片麻痺および脳性麻痺の治療剤などで広範囲に使用することができるので、需要が急増していて需要に合わせてボツリヌス毒素の生産方法に対する研究が盛んに行われている。
現在代表的に商用化されている製品は、米国アラガン(Allergan)社のBOTOX(登録商標)(ボツリヌス毒素A型精製された神経毒素複合体)で、それぞれのBOTOX(登録商標)の100ユニットバイアルは、約5ngの精製されたボツリヌス毒素A型複合体、0.5mgヒト血清アルブミン、および0.9mg塩化ナトリウムで構成されて、真空−乾燥形態で提供されて、保存剤なしに(0.9%塩化ナトリウム注入)滅菌生理食塩水を利用して復元させる。他の商用化された製品は、英国Ipsen社のDysport(登録商標)(ボツリヌス毒素薬剤学的組成物中ラクトースおよびヒト血清アルブミンを有するクロストリジウム・ボツリヌスA型毒素ヘマグルチニン複合体、使用前に0.9%塩化ナトリウムを利用して復元される)およびSolstice Neurosciences社のMyoBlocTM(ボツリヌス毒素B型、ヒト血清アルブミン、コハク酸ナトリウム、および塩化ナトリウムを含む薬pH5.6注射溶液)等がある。
大韓民国登録特許第10−1339349号に開示されているボツリヌス毒素の製造方法と一般に使用されるクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地は、動物性成分が含まれている。したがって、伝染性海綿状脳症誘発因子として知られている動物由来の異常プリオン(abnormal prion)が汚染によって前記動物性成分に含まれていると、ボツリヌス毒素製造過程において問題となる。
伝染性海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathy:TSE)は、致命的な神経の退行性疾患を引き起こす一種の退行性神経疾患で、BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy、牛海綿状脳症(狂牛病))、スクレイピー(Scrapie)、クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt−Jacob Disease,CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(Gerstmann−Straussler−Scheinker Syndrome)、クールー病(Kuru)、伝染性ミンク脳症(Transmissible Mink Encephalopathy)、シカの慢性消耗病(Chronic Wasting Disease)、ネコ海綿状脳症(Feline Spongiform Encephalopathy)等のヒトおよび動物で発病して、牛海綿状脳症の場合、種間障壁(species barrier)を越えてヒトにも発病すると報告されている。
伝染性海綿状脳症の原因体は、免疫原性がなく、長い潜伏期を有する特徴がある。牛海綿状脳症、すなわち狂牛病に感染した牛の脳の事後分析から、神経細胞の破壊と異常タンパク質繊維の沈積によって脳にスポンジ(海綿状)形態の特異なパターンの空胞が形成されたことを確認することができる。
伝染性海綿状脳症の原因と考えられる病原体は、異常プリオン(abnormal prion)と呼ばれる感染タンパク質である。核酸を必要とする一般ウイルスの場合とは異なり、異常プリオンは、核酸を含まずタンパク質のみからなる感染粒子である。伝染性海綿状脳症は、正常プリオン(PrPc)に感染性因子である異常プリオン(PrPsc)が結合するようになると病原性プリオンに転換されて、このような病原性プリオンが脳に蓄積されると知られている(Prusiner SB,Alzheimer Dis Assoc Disord.,3:52−78,1989)。
クロイツフェルト・ヤコブ病は、ヒト伝染性海綿状脳症(伝染性海面両脳症、Transmissible Spongiform Encephalopathy:TSE)の珍しい神経退行性疾患で、伝染性物質は、プリオンタンパク質の異常な変異体であることは明らかである。クロイツフェルト・ヤコブ病がある個体は、明らかに完全な健康状態から6ヶ月以内に無動無言症(akinetic mutism)に悪化され得る。したがって、動物由来産物を使用して得られるボツリヌス毒素のような生物製剤を含む薬剤学的組成物を投与する場合、クロイツフェルト・ヤコブ病のような、プリオン媒介疾患を得るようになる危険性が存在する。したがって、動物由来成分を使用して産生した原液を利用して医薬品を製造する場合、患者が様々な病原体または感染性物質を受け入れるようになる危険性が存在する。
このような技術的背景下、本発明者等は、前記のようなプリオン媒介疾患を得るようになる危険を予防するために、クロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養時、伝染性海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathy:TSE)感染の恐れがない植物由来ペプトンを含み、ミネラル成分およびTSE感染の恐れがない豚由来ペプトン(例えば、TSE−Certificated Porcine peptone)が添加された培地を利用する場合、既存培地で発生し得るプリオン媒介疾患を得るようになる危険性を排除させて、既存培地と植物性ペプトンが含まれた培地よりクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長率を向上させる可能性があることを確認して、本発明を完成するようになった。
本発明の目的は、伝染性海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathy:TSE)感染の恐れがない植物性ペプトンとTSE感染の恐れがない豚由来ペプトンが含まれた培地組成物及び前記培地組成物でクロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養してボツリヌス毒素の産生量を改善させる製造方法を提供するところにある。
前記目的を達成するために、本発明は、莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物および小麦グルテン加水分解物で構成された群から選択される一つ以上の植物性ペプトンと豚由来ペプトンを含むクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物を提供する。
本発明はまた、(a)前記培地組成物を利用してクロストリジウム・ボツリヌスを培養してボツリヌス毒素を生成させる段階;及び(b)前記生成されたボツリヌス毒素を回収する段階を含むボツリヌス毒素の製造方法を提供する。
APF培地(Animal Protein Free medium)組成でも、既存培地対比向上されたクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長率(生長率)を示したが、菌株の成長率をさらに向上させながらもTSEなどの感染の恐れがない培地成分の添加を考慮した。したがって、TSE感染事例が報告されたことがない豚由来ペプトン(例えば、TSE−Certificated Porcine peptone)をAPF培地に添加して菌株の成長を調べた結果、既存培地と植物由来ペプトンだけ含まれた培地より高い菌株の成長率を示し、前記培地を利用するとTSE−フリー(TSE−free)な条件で安全に菌株を培養して高濃度のボツリヌス毒素を製造することができるであろう。
TSEは、ヒト、ヤギ、羊、ミンク、鹿などの複数の動物で発症することが報告されたことがあるが、豚のTSE発症事例はまだ報告されていない(Jahns H et al.,Vet Rec.,159(5):137−142,2006;Kofler M et al.,Schwweiz Arch Tierheild,148(7):341−342,344−348,2006)。したがって、本発明は、豚由来ペプトンをクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物に含ませることで、ボツリヌス毒素のような生物製剤を製造する過程で、クロイツフェルト・ヤコブ病のような、プリオン媒介疾患が得られる危険性を排除して、既存培地と植物性ペプトンだけ添加された培地より菌株の成長率が改善された培地組成物を製造しようとした。
本発明で既存培地とは、動物由来成分であるカゼイン加水分解物(Casein hydrolysate)、酵母抽出物(Yeast extract)およびチオグリコール酸塩培地(Thioglycollate medium)が含まれた培地を意味する。また、APF培地(Animal Protein Free medium)とは、動物由来タンパク質を含まない培地を意味して、「植物性ペプトン、ミネラルおよびブドウ糖などを含む培地」を意味する。
本発明の一実施例では、TSE−フリー(TSE(Transmissible Spongiform Encephalopathy)−free)な条件でクロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養してボツリヌス毒素を製造するために、TSE−フリーな植物性ペプトンが含まれたAPF培地を製造して、これを既存培地(動物性成分含み)と比較した。その結果、クロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養するための最適な培地組成は、植物性ペプトンとKH2PO4、K2HPO4およびNa2HPO4で構成された群から選択された一つ以上のミネラルを含ませて、これに炭素源(例:ブドウ糖)を添加した場合であり、この場合最適な菌株成長を確認することができた。結果的に、表13に示された通り、最終選別されたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物に含まれた植物性ペプトンの最適含有量は、Hy−PeaTM 7404 5g/L、UltraPepTM Cotton 10g/LおよびHyPepTM 4601N 5g/Lであり、ミネラルの最適含有量は、K2HPO4 5.5g/L、Na2HPO4 3g/Lであると確定した。
本発明の他の実施例では、最終選別された植物性ペプトンとミネラルが含まれたAPF培地で育ったクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長パターン(growth pattern)および毒素(toxin)濃度測定を行った。その結果、表12および図10に示された通り、クロストリジウム・ボツリヌス菌株培養12時間後からOD値が増加し始めて培養24時間が経過した時点でOD540nmが3.5465、OD600nmが3.0695を示した。また、その後OD値がますます減少して48時間が経過した時点ではOD540nmが0.792、OD600nmが0.7224を示した。クロストリジウム・ボツリヌス毒素の上澄み液中の毒素濃度は、培養5時間後から増加して最終31.41μg/mlの値を示して、菌株を破砕して測定した場合、培養5時間後から毒素が生成され始めて継続して毒素量が増加して28時間以後からは似たような量の毒素濃度が測定されて最終38.39μg/mlの値を示した。
本発明のさらに他の実施例では、植物性ペプトン及び豚由来ペプトンが含まれた培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を確認しようした。その結果、表14に示された通り、豚由来ペプトン成分が追加で添加された培地で菌株を培養した場合、植物性ペプトンだけ添加された培地より高いOD値を示した。特に最も高い菌株の成長率を示す培地は、Primatone P37とBacto proteose peptone No.3をそれぞれ10g/L添加した場合でありOD540nm が4.951を示した。
本発明のさらに他の実施例では、植物性ペプトン及び豚由来ペプトンが添加された培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長パターンを確認しようとした。その結果、表15に示された通り、菌株培養20時間経過時点では、植物性ペプトンと豚由来ペプトンが添加された培地における菌株成長は旺盛で既存培地より約11倍、植物性ペプトンが添加された培地より約2.2倍高いOD値を示し、菌株培養29時間経過時点での最大OD値は、既存培地及び植物性ペプトンが添加された培地より2倍以上高いことが確認された。したがって、植物性ペプトンと豚由来ペプトンが添加された培地における菌株の成長率が3種類の培地の中で最も高かった。
結果的に、表16に示された通り、最終選別されたTSE−フリー(TSE(Transmissible Spongiform Encephalopathy)−free)な豚由来ペプトンが含まれたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物に含まれた植物性ペプトンの最適含有量は、Hy−PeaTM 7404 5g/L、UltraPepTM Cotton 10g/LおよびHyPepTM 4601N 5g/Lであり、ブドウ糖の含量は、10g/Lであり、豚由来ペプトンの含量は、13g/L Primatone P37と13g/L Bacto proteose peptone No.3であると確定した。
したがって、一観点において、本発明は、莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物および小麦グルテン加水分解物で構成された群から選択される一つ以上の植物性ペプトンと豚由来ペプトンを含むクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物に関する。
ここで、植物性ペプトンは、莢豌豆(Garden Pea)、綿実(Cotton seed hydrolysate)または小麦グルテン(Wheat Gluten)から抽出されたペプトンを意味し、好ましくは商業的に購入可能なHy−PeaTM 7404、UltraPepTM Cotton、HyPepTM 7504、HyPepTM 4601Nであってもよいが、これに限定されない。また、豚由来ペプトンは、豚由来の組織(tissue)から抽出された成分を意味し、好ましくは500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する豚由来ペプトンまたは500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する豚由来ペプトンであってもよく、より好ましくは商業的に購入可能なPrimatone P37またはBacto proteose peptone No.3であってもよいが、これに限定されない。
本明細書で用語「植物性ペプトン」または「植物性加水分解物」とは、植物から得たタンパク質の分解産物を意味する。例えば、莢豌豆ペプトン(莢豌豆加水分解物)は、莢豌豆(Garden Pea)から収得した総タンパク質を分解して得た産物を意味する。また、「豚由来ペプトン」または「豚由来加水分解物」とは、豚由来の組織のタンパク質分解産物を意味する。
前記植物性タンパク質または豚由来組織のタンパク質分解は、好ましくは部分的分解(partial digest)により行われる。前記タンパク質の分解は、好ましくは酸処理、塩基処理、酵素処理、高圧処理、熱処理または物理的処理による分解を介して行われ、より好ましくは豚由来ペプトンは酵素処理されたことを特徴とする。前記物理的処理は、例えばクラインディング(grinding)である。
本発明における植物性ペプトンまたは豚由来ペプトンは、植物性タンパク質の部分的分解産物として、単分子であるアミノ酸だけでなく、数個〜数十個のアミノ酸からなるペプチドと完全なタンパク質分子がいずれも含まれている混合物形態である。
本発明において、前記植物性ペプトンの含有量は、0.1〜10w/v%(1〜100g/L)であることを特徴とし、好ましくは0.2〜5w/v%(2〜50g/L)であってもよく、より好ましくは0.5〜2w/v%(5〜20g/L)であってもよい。
本発明において、前記莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物および小麦グルテン加水分解物を全て含む場合、莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物および小麦グルテン加水分解物の含有量比は、重量を基準に1:0.24〜43.62:0.01〜50.57であることを特徴とし、好ましくは1:0.68〜14.46:0.09〜9.87であってもよく、より好ましくは1:1.6〜2.4:0.6〜1.4であってもよい。
本発明において、前記豚由来ペプトンの含有量は、0.2〜10w/v%(2〜100g/L)であることを特徴とし、好ましくは0.4〜5w/v%(4〜50g/L)であってもよく、より好ましくは1〜2w/v%(10〜20g/L)であってもよい。
本発明において、前記豚由来ペプトンは、500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する加水分解物および/または500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する加水分解物であってもよい。
本発明において、前記豚由来ペプトンが500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する加水分解物および500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する加水分解物を全て含む場合、豚由来ペプトンの含量の範囲は、重量基準で下記の式(1)を利用して計算する方法を使用することを特徴とし、500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有するカゼイン加水分解物および/または500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有するカゼイン加水分解物の含有量比は、重量を基準に好ましくは1:0.8〜1.2であってもよい:
[数1]
B≧−0.625*A+12.5、B≦−1.019*A+53・・・(1)
A:500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する加水分解物の含量(0〜5.2w/v%(0〜52g/L));
B:500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する加水分解物の含量(0〜5.3w/v%(0〜53g/L))。
[数1]
B≧−0.625*A+12.5、B≦−1.019*A+53・・・(1)
A:500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する加水分解物の含量(0〜5.2w/v%(0〜52g/L));
B:500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する加水分解物の含量(0〜5.3w/v%(0〜53g/L))。
本発明において、前記クロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物は、炭素源とK2HPO4(Dipotassium phosphate)、Na2HPO4(Disodium phosphate)およびKH2PO4(Dipotassium phosphate)で構成された群から選択される一つ以上のミネラルをさらに含んでもよい。
ここで、前記炭素源は、単糖類(例えば、グルコース、フルクトーススなど)、二糖類(例えば、マルトース、スクロースなど)、オリゴ糖、多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリン、澱粉など)または糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなど)であってもよいが、これに限定されない。
本発明において、前記ミネラルの含有量は、0.05〜3.5w/v%(0.5〜35g/L)であることを特徴とし、好ましくは0.1〜1.75w/v%(1〜17.5g/L)であってもよく、より好ましくは0.25〜0.7w/v%(2.5〜7g/L)であってもよい。
他の観点において、本発明は、(a)前記培地組成物を利用してクロストリジウム・ボツリヌスを培養してボツリヌス毒素を生成させる段階;及び(b)前記生成されたボツリヌス毒素を回収する段階を含むボツリヌス毒素の製造方法に関する。
本発明において、前記培養は嫌気条件で行うことを特徴とし、前記毒素はボツリヌス毒素A、B、C、D、E、F及びGで構成された群から選択されることを特徴とする。
以下、本発明を実施例を挙げて詳述する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
実施例1:植物性ペプトン培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養
1−1:培養に使用した既存培地の組成
本発明で使用された試薬および培地成分は、シグマ社(Sigma、米国)、ケリー社(Kerry Inc、米国)、BD社(BD Biosciences、米国)、Gibco社(Gibco Life Technologies、米国)およびクエスト社(Quest、米国)から購入して使用した。
1−1:培養に使用した既存培地の組成
本発明で使用された試薬および培地成分は、シグマ社(Sigma、米国)、ケリー社(Kerry Inc、米国)、BD社(BD Biosciences、米国)、Gibco社(Gibco Life Technologies、米国)およびクエスト社(Quest、米国)から購入して使用した。
ボツリヌス毒素の産生のためのクロストリジウム・ボツリヌス菌株の種培養および本培養に利用された培地は2%カゼイン加水分解物(Casein hydrolysate)[20g/L]、1%酵母抽出物(Yeast extract)[10g/L]、1%グルコース(Glucose)[10g/L]および0.5%チオグリコール酸塩培地(Thioglycollate medium)[5g/L]の組成を有する既存培地を使用した。前記既存培地1L中チオグリコール酸塩培地5gは、2.52gカゼイン消化酵素分解物(enzymatic digest of casein)、0.84g酵母抽出物(Yeast extract)、0.925gデキストロース(Dextrose)、0.085gチオグリコール酸ナトリウム(Sodium thioglycollate)、0.42g塩化ナトリウム(NaCl)、0.085g L−システイン(L−Cystein)、0.00014gレサズリン(Resazurin)および0.125g細菌性寒天(Bacteriological agar)で構成されたものである。
1−2:培養に使用したAPF培地の組成
クロストリジウム・ボツリヌス培養用既存培地(original media)でカゼイン加水分解物(Casein hydrolysate)、酵母抽出物(Yeast extract)およびチオグリコール酸塩培地(Thioglycollate medium)が除去された培地(陰性対照群、negative control)、前記陰性対照群組成に植物性ペプトン候補群4種(Hy−PeaTM 7404、UltraPepTM Cotton、HyPepTM 7504、HyPepTM 4601N)が添加されたAPF培地(Animal Protein Free medium)を製造した(表1)。
クロストリジウム・ボツリヌス培養用既存培地(original media)でカゼイン加水分解物(Casein hydrolysate)、酵母抽出物(Yeast extract)およびチオグリコール酸塩培地(Thioglycollate medium)が除去された培地(陰性対照群、negative control)、前記陰性対照群組成に植物性ペプトン候補群4種(Hy−PeaTM 7404、UltraPepTM Cotton、HyPepTM 7504、HyPepTM 4601N)が添加されたAPF培地(Animal Protein Free medium)を製造した(表1)。
下記の表1は、既存培地対比植物性ペプトンが含まれたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用APF培地の成分を示したものである。
1−3:クロストリジウム・ボツリヌス菌株の種培養(seed culture)
実施例1−1および1−2の培地組成を有する10mLの滅菌された培地が入っている培養チューブ(culture tube)に20μLのクロストリジウム・ボツリヌス(疾病管理本部管理番号:4−029−CBB−IS−001)を接種して35℃で嫌気的条件で22〜30時間1次種培養(静置培養)をした。1次種培養で菌株の成長が確認されると、同じ培地組成を有する800mLの滅菌された培地が入っている1L培養ボトル(culture bottle)に8mLの1次種培養液を接種して35℃で嫌気的条件で8〜15時間2次種培養(静置培養)をした。
実施例1−1および1−2の培地組成を有する10mLの滅菌された培地が入っている培養チューブ(culture tube)に20μLのクロストリジウム・ボツリヌス(疾病管理本部管理番号:4−029−CBB−IS−001)を接種して35℃で嫌気的条件で22〜30時間1次種培養(静置培養)をした。1次種培養で菌株の成長が確認されると、同じ培地組成を有する800mLの滅菌された培地が入っている1L培養ボトル(culture bottle)に8mLの1次種培養液を接種して35℃で嫌気的条件で8〜15時間2次種培養(静置培養)をした。
1−4:クロストリジウム・ボツリヌス菌株の本培養
クロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養してボツリヌス毒素を産生するために本培養を実施して、実施例1−1および1−2の組成で培地9.3Lを調製して、10L培養器に入れた後、培地滅菌を行った。嫌気的条件は、窒素を供給して作って、温度は35℃、撹はん速度は50rpmに設定して成長環境を維持させた。
クロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養してボツリヌス毒素を産生するために本培養を実施して、実施例1−1および1−2の組成で培地9.3Lを調製して、10L培養器に入れた後、培地滅菌を行った。嫌気的条件は、窒素を供給して作って、温度は35℃、撹はん速度は50rpmに設定して成長環境を維持させた。
実施例1−3で2次種培養を完了した1L培養ボトル(culture bottle)を10L培養器の接種ポートと連結された接種線を介して10L培養器に接種した。10L培養器におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株は、35℃、50rpm条件で培養して、培養が進行される間培養設定条件に維持されるかを確認して記録した。100時間以上培養された時、本培養を終了した。
クロストリジウム・ボツリヌス培養用既存培地(original media)からカゼイン加水分解物(Casein hydrolysate)、酵母抽出物(Yeast extract)およびチオグリコール酸塩培地(Thioglycollate medium)が除去された培地(陰性対照群、negative control)対
比植物性ペプトン候補群4種(Hy−PeaTM 7404、UltraPepTM Cotton、HyPepTM 7504、HyPepTM 4601N)が添加されたAPF培地(Animal Protein Free medium)におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長の可否を比較した(表1)。
比植物性ペプトン候補群4種(Hy−PeaTM 7404、UltraPepTM Cotton、HyPepTM 7504、HyPepTM 4601N)が添加されたAPF培地(Animal Protein Free medium)におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長の可否を比較した(表1)。
その結果、表1および図1に示された通り、陰性対照群培地でクロストリジウム・ボツリヌス菌株は育たなく、既存培地はクロストリジウム・ボツリヌス菌株接種後24時間後に育ち、植物性ペプトンを添加した培地は、菌株接種後30時間が過ぎた後育ち始めたことが確認された。
実施例2:植物性ペプトン、ミネラル、アミノ酸およびビタミンが添加された培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養
実施例1で4種の植物性ペプトンを添加した培地で育ったクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長が、既存培地で培養する時より遅かったため、これの解決策を下記のように講じた。
1)嫌気性状態を作る役割をするチオグリコール酸塩(Thioglycollate)による影響を確認しようと既存培地にチオグリコール酸塩を除去して成長速度差を確認した。
2)窒素源(Nitrogen source)不足による成長速度低下である可能性があってペプトン濃度を2倍に増加させて培養した。
3)既存植物性ペプトンを含む培地にミネラル成分、アミノ酸、ビタミンを添加した培地とアラガン(Allergan)社の特許(US8,012,716)に出ているAPF培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長の可否を比較した(表2)。
実施例1で4種の植物性ペプトンを添加した培地で育ったクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長が、既存培地で培養する時より遅かったため、これの解決策を下記のように講じた。
1)嫌気性状態を作る役割をするチオグリコール酸塩(Thioglycollate)による影響を確認しようと既存培地にチオグリコール酸塩を除去して成長速度差を確認した。
2)窒素源(Nitrogen source)不足による成長速度低下である可能性があってペプトン濃度を2倍に増加させて培養した。
3)既存植物性ペプトンを含む培地にミネラル成分、アミノ酸、ビタミンを添加した培地とアラガン(Allergan)社の特許(US8,012,716)に出ているAPF培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長の可否を比較した(表2)。
下記の表2は、植物性ペプトンとミネラル、アミノ酸およびビタミンが含まれたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地の成分を示したものである。
その結果、表2および図2に示された通り、既存培地でチオグリコール酸塩を除去して菌株を培養した場合、既存培地より育つ速度が遅く、これはチオグリコール酸塩成分が成長速度に影響を及ぼすことが確認された。ペプトンの濃度を2倍増加した場合は育たなく、ペプトンを含む培地にミネラル成分、アミノ酸およびビタミンを添加した場合は既存培地と似た速度で育つが培地滅菌後沈殿物ができることを確認して、アラガン社のAPF培地は既存培地と似た速度で成長することを確認した。
実施例3:植物性ペプトンとミネラル、アミノ酸およびビタミンが含まれた培地の滅菌処理による沈殿物生成
実施例2でAPF培地候補群(表2:2〜4 APF培地)中植物性ペプトンとミネラル、アミノ酸およびビタミンを含む培地で既存培地と似た成長速度でクロストリジウム・ボツリヌス菌株が育つことを確認したが、培地の滅菌処理後沈殿物ができる現象が現れてそれに対する原因を把握しようとした(表3)。
実施例2でAPF培地候補群(表2:2〜4 APF培地)中植物性ペプトンとミネラル、アミノ酸およびビタミンを含む培地で既存培地と似た成長速度でクロストリジウム・ボツリヌス菌株が育つことを確認したが、培地の滅菌処理後沈殿物ができる現象が現れてそれに対する原因を把握しようとした(表3)。
下記の表3は、滅菌処理に利用された植物性ペプトンとミネラル、アミノ酸およびビタミンが含まれたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地の成分を示したものである。
その結果、表3および図3に示された通り、植物性ペプトンが含まれた培地にミネラルを添加した場合でだけ滅菌処理後沈殿物が形成されたので、沈殿物形成の主な原因はミネラルであることを確認した。これは、培地滅菌時高温・高圧の条件でミネラル成分間の相互作用から由来したと見た。
実施例4:植物性ペプトンとミネラルが含まれた培地の滅菌処理による沈殿物生成
実施例3で確認された培地の滅菌処理による沈殿物形成に関与するミネラル成分を確認しようと様々な組み合わせでそれぞれ異なるミネラル成分を培地に添加した後、滅菌処理をした(表4)。
実施例3で確認された培地の滅菌処理による沈殿物形成に関与するミネラル成分を確認しようと様々な組み合わせでそれぞれ異なるミネラル成分を培地に添加した後、滅菌処理をした(表4)。
下記の表4は、植物性ペプトンとミネラルが含まれたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地の成分および前記培地の滅菌処理による結果を示したものである。
その結果、表4および図4に示された通り、植物性ペプトンとミネラルを含む培地中MgSO4・7H2OとK2HPO4を共に滅菌した場合と、MgSO4・7H2OとNa2HPO4を共に滅菌した場合、沈殿物ができることを確認した。
実施例5:APF培地の沈殿物ができない条件でクロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養
実施例4の植物性ペプトンとミネラルが含まれたAPF培地にビタミンとアミノ酸を追加で添加する場合、クロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養が可能であるか否かを確認しようした。また、これとは別に植物性ペプトンとミネラルを排除してビタミン、アミノ酸および/または「BD RechargeTM without Glucose and L−Glutamine」(Cat No.670002,BD bioscience)(酵母抽出物をベースに製作されたブドウ糖とL−グルタミンが排除された培地性分)を含む場合、菌株の培養が可能であるか否かも確認した(表5)。
実施例4の植物性ペプトンとミネラルが含まれたAPF培地にビタミンとアミノ酸を追加で添加する場合、クロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養が可能であるか否かを確認しようした。また、これとは別に植物性ペプトンとミネラルを排除してビタミン、アミノ酸および/または「BD RechargeTM without Glucose and L−Glutamine」(Cat No.670002,BD bioscience)(酵母抽出物をベースに製作されたブドウ糖とL−グルタミンが排除された培地性分)を含む場合、菌株の培養が可能であるか否かも確認した(表5)。
下記の表5は、植物性ペプトンとミネラルが含まれたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地にビタミン、アミノ酸および酵母抽出物をベースに製作されたブドウ糖とL−グルタミンが排除された培地性分が追加で添加された培地の成分および前記培地で培養された菌株の成長速度を示したものである。
その結果、表5および図5に示された通り、植物性ペプトンとKH2PO4、K2HPO4およびNa2HPO4で構成されたミネラルの組み合わせを一つ以上含ませて、これにビタミンとアミノ酸を培地に添加した場合だけが、クロストリジウム・ボツリヌス菌株接種後24時間後に菌株が成長することを確認することができた。また、植物性ペプトンとミネラルを排除してビタミン、アミノ酸および酵母抽出物をベースに製作されたブドウ糖とL−グルタミンが排除された培地性分を含む場合、菌株接種後48時間後に菌株が成長することを確認した。結果的に、クロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養するための最も適する培地組成は、植物性ペプトンとKH2PO4、K2HPO4、Na2HPO4、アミノ酸およびビタミンを添加したものである。
実施例6:培地に含まれた植物性ペプトン種類に応じたクロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養
実施例5のAPF培地に植物性ペプトンの種類を互いに異なる組み合わせで添加する場合、クロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養が可能であるか否かを確認しようとした。
実施例5のAPF培地に植物性ペプトンの種類を互いに異なる組み合わせで添加する場合、クロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養が可能であるか否かを確認しようとした。
下記の表6は、植物性ペプトンの種類に応じたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地の成分および前記培地における菌株の成長の可否を示したものである。
その結果、表6および図6に示された通り、4種の植物性ペプトン中1種または2種だけを培地に添加するだけでもクロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養が可能であることが確認された。
したがって、実施例5および6の結果をまとめると、培地に植物性ペプトンは1種以上含ませるべきで、植物性ペプトンを「BD RechargeTM without Glucose and L−Glutamine」(Cat No.670002,BD
bioscience)(酵母抽出物をベースに製作されたブドウ糖とL−グルタミンが排除された培地性分)で置き換えることができないことが分かった。
bioscience)(酵母抽出物をベースに製作されたブドウ糖とL−グルタミンが排除された培地性分)で置き換えることができないことが分かった。
実施例7:培地に含まれたミネラル3種中2種選別実験
実施例1〜7でクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用として利用されたAPF培地組成は、ブドウ糖(glucose)、塩化ナトリウム(NaCl)、植物性ペプトン4種、ミネラル成分3種、アミノ酸、ビタミンに確定して、これらの中成長に大きい影響を及ぼさない培地成分は除去して培地の種類を減少させようとした。したがって、アミノ酸とビタミンは、クロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長に大きい影響を及ぼさないとの判断下で培地成分から除去した。また、ミネラル3種中2種を選別するために、表7のような培地組成で菌株を培養して菌株接種後24時間および48時間が過ぎた時点で、OD(540nm、600nm)を測定してその値を比較した。
実施例1〜7でクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用として利用されたAPF培地組成は、ブドウ糖(glucose)、塩化ナトリウム(NaCl)、植物性ペプトン4種、ミネラル成分3種、アミノ酸、ビタミンに確定して、これらの中成長に大きい影響を及ぼさない培地成分は除去して培地の種類を減少させようとした。したがって、アミノ酸とビタミンは、クロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長に大きい影響を及ぼさないとの判断下で培地成分から除去した。また、ミネラル3種中2種を選別するために、表7のような培地組成で菌株を培養して菌株接種後24時間および48時間が過ぎた時点で、OD(540nm、600nm)を測定してその値を比較した。
下記の表7は、1次ミネラル選別による培地の組成および前記培地を利用したクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を示したものである。
その結果、表7に示された通り、菌株接種後24時間基準では、既存培地はOD(540nm)が0.942を示し、APF培地中K2HPO4とNa2HPO4を含む場合OD(540nm)が4.964と最も高い値を示した。また、菌株接種後48時間基準では、KH2PO4とNa2HPO4を添加した場合、最も高いOD値を示して菌株成長が旺盛であることが確認された。
一方、図7に示された通り、主効果が大きいK2HPO4とNa2HPO4に対してcontour plotを作成した。その結果、K2HPO4とNa2HPO4が共に増加するほどOD値が増加する傾向を示した。また、クロストリジウム・ボツリヌス菌株が最大成長を示す条件は、KH2PO4=0g/L、K2HPO4=5.5g/L、Na2HPO4=5g/Lとミネラルが培地に添加される時であることが分かった。
一方、より正確なミネラル添加による菌株培養の結果確認のために、反応表面法で2次実験を進めた。培地組成が負の値を有することができなのでCCF(Central composite faced)デザインで設計して実験を表8のような培地組成で菌株を培養して実験を行った後、先に行ったFFD結果と合わせて統計分析を行った。
下記の表8は、2次ミネラル選別による培地の組成および前記培地を利用したクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を示したものである。
Contour plotsを描いて比較した結果、図8に示された通り、KH2PO4が少ないほどOD値が増加して、最適条件を比較すると曲律効果によってFFDの結果と差を見せて、K2HPO4の値は同じであるが、Na2HPO4の値が5g/Lから3.1313g/Lに変わった。したがって、統計分析よる培地の最適なミネラル条件は、K2HPO4 5.5g/L、Na2HPO4 3g/Lと確定した。
実施例8:培地に含まれた植物性ペプトン選別実験
表9および表10に示された通り、混合物設計に従って植物性ペプトンを組み合わせてクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を確認した。
表9および表10に示された通り、混合物設計に従って植物性ペプトンを組み合わせてクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を確認した。
下記の表9は、1次植物性ペプトン選別による培地の組成および前記培地を利用したクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を示したものである。
下記の表10は、2次植物性ペプトン選別による培地の組成および前記培地を利用したクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を示したものである。
その結果、図9に示された通り、Contour plotsを描いて分析した結果、成分Cに該当するHyPepTM 7504がクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長に最も影響を及ぼすことができないと判断されて培地成分から除外させた。結果的に、培地に含まれる最終選別された植物性ペプトンの組成は、Hy−PeaTM 7404 5g/L、UltraPepTM Cotton 10g/LおよびHyPepTM 4601N 5g/Lと決めた。
実施例9:培地にNaCl添加有無によるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養
実施例1〜8で使用された培地組成中NaClの濃度は0.5g/Lで少量添加された。NaClの濃度によるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を調べようと培地のNaCl添加量を0〜1g/Lに調節した後、前記菌株を培養した。
実施例1〜8で使用された培地組成中NaClの濃度は0.5g/Lで少量添加された。NaClの濃度によるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を調べようと培地のNaCl添加量を0〜1g/Lに調節した後、前記菌株を培養した。
下記の表11は、NaClが添加されたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地の成分および前記培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を示したものである。
その結果、表11に示された通り、NaCl添加有無による成長の差がなかった。したがって、NaClを最終APF培地成分から除去した。
実施例10:最終選別されたAPF培地で育ったクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長パターンおよび毒素濃度測定
実施例1〜9に基づいて組成された最終選別されたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地(ブドウ糖10g/L、Hy−PeaTM 7404 5g/L、UltraPepTM Cotton 10g/L、HyPepTM 4601N 5g/L、K2HPO4 5.5g/L、Na2HPO4 3g/L)にクロストリジウム・ボツリヌス菌株を接種した後、菌株の成長パターンと毒素濃度を測定した。
実施例1〜9に基づいて組成された最終選別されたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地(ブドウ糖10g/L、Hy−PeaTM 7404 5g/L、UltraPepTM Cotton 10g/L、HyPepTM 4601N 5g/L、K2HPO4 5.5g/L、Na2HPO4 3g/L)にクロストリジウム・ボツリヌス菌株を接種した後、菌株の成長パターンと毒素濃度を測定した。
下記の表12は、最終選別されたAPF培地で育ったクロストリジウム・ボツリヌス菌株の時間別OD値および毒素(toxin)濃度を示したものである。
その結果、表12および図10に示された通り、クロストリジウム・ボツリヌス菌株培養12時間後からOD値が増加し始めて培養24時間が経過した時点でOD540nmが3.5465、OD600nmが3.0695を示した。また、その後OD値が徐々に減少して48時間が経過した時点ではOD540nmが0.792、OD600nmが0.7224を示した。クロストリジウム・ボツリヌス毒素の上澄み液中の毒素濃度は培養5時間後から増加して最終31.41μg/mlの値を示して、菌株を破砕して測定した場合、培養5時間後から毒素が生成され始めて継続して毒素量が増加して28時間後からは似た量の毒素濃度が測定されて最終38.39μg/mlの値を示した。
結果的に、実施例1〜10の結果で最終選別されたAPF培地(Animal Protein Free medium)組成は下記の表13に示された通りである。
実施例11:植物性ペプトン及び豚由来ペプトンが含まれた培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長
実施例1〜10を介して確立されたAPF培地組成でも、既存培地比向上された菌株の成長率を示したが、菌株の成長率をさらに向上させながらもTSEなどの感染の恐れがない培地成分の添加を考慮し、その結果、TSE感染事例が報告されたことがない豚由来ペプトをAPF培地に添加して菌株の成長を調べることにした。
実施例1〜10を介して確立されたAPF培地組成でも、既存培地比向上された菌株の成長率を示したが、菌株の成長率をさらに向上させながらもTSEなどの感染の恐れがない培地成分の添加を考慮し、その結果、TSE感染事例が報告されたことがない豚由来ペプトをAPF培地に添加して菌株の成長を調べることにした。
実施例1〜10で確立されたAPF培地に2種のTSE感染の恐れがない豚由来ペプトを1種または2種添加した。つまり、豚由来ペプトであるPrimatone P37および/またはBacto proteose peptone No.3が添加された植物性ペプトンを含有する培地組成物を利用して、クロストリジウム・ボツリヌス菌株を24時間、48時間培養する中でOD(540nm、600nm)値を測定し、菌株の成長を調べてみた(表14)。また、前記結果は、統計プログラムを利用して統計分析を行って、菌株培養24時間経過時の最大の成長を示す培地組成選別した。
下記の表14は、植物性ペプトン、ミネラル及び豚由来ペプトンが含まれたクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地の成分を示したものである。
その結果、表14に示された通り、豚由来ペプトン成分が追加で添加された培地で菌株を培養した場合、植物性ペプトンだけ添加された培地より高いOD値を示した。特に最も高い菌株の成長率を示す培地は、Primatone P37とBacto proteose peptone No.3をそれぞれ10g/L添加した場合でありOD540nmが4.951を示した。
一方、菌株の成長を最大にできる条件を得るために、反応表面法で実験を拡張し、反応表面法の結果を持って統計プログラムを利用して統計分析を実施して、図11(A)に示された通り、Response contour plotを描いてみた結果、実験の範囲内で菌株の成長を最大にすることができる条件を確認した。また、菌株の成長を最大にすることができる条件を調べた結果、図11(B)に示された通り、Primatone
P37を13.131g/L、Bacto proteose peptone No.3を12.727g/Lを追加した時にOD540nmが4.8718を示して最大の成長条件であることを確認した。培地組成の便利のために追加の動物培地組成をいずれも13g/Lに統一して以降の実験を行った。
P37を13.131g/L、Bacto proteose peptone No.3を12.727g/Lを追加した時にOD540nmが4.8718を示して最大の成長条件であることを確認した。培地組成の便利のために追加の動物培地組成をいずれも13g/Lに統一して以降の実験を行った。
実施例12:植物性ペプトン及び豚由来ペプトンが添加された培地におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長パターン
実施例1〜11に係る方法で植物性ペプトン及び豚由来ペプトンが添加された培地組成物を利用して、クロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養して菌株の成長パターンを調べてみた(表15参照)。
実施例1〜11に係る方法で植物性ペプトン及び豚由来ペプトンが添加された培地組成物を利用して、クロストリジウム・ボツリヌス菌株を培養して菌株の成長パターンを調べてみた(表15参照)。
下記の表15は、既存培地、植物性ペプトンが添加された培地(APF培地)、または植物性ペプトン及び豚由来ペプトンが添加された最終培地(APF+豚ペプトン)におけるクロストリジウム・ボツリヌス菌株の成長を時間別OD値で比較したものである。
その結果、表15及び図12に示された通り、菌株培養20時間経過時点では、植物性ペプトンと豚由来ペプトンが添加された培地における菌株成長は旺盛で、既存培地より約11倍、植物性ペプトンが添加された培地より約2.2倍高いOD値を示し、菌株培養29時間経過時点での最大OD値は、既存培地及び植物性ペプトンが添加された培地の2倍以上高いことが確認された。したがって、植物性ペプトンと豚由来ペプトンが添加された培地における菌株の成長率が3種類の培地の中で最も高かった。
結果的に、実施例11〜12の結果で最終選別されたAPF培地(Animal Protein Free medium)に豚由来ペプトンが添加された組成は下記の表16に示された通りである。
本発明に係る植物由来のペプトン、豚由来ペプトン及びミネラル成分が含まれた培地をクロストリジウム・ボツリヌス菌株の培養に利用する場合、既存培地と植物由来のペプトンだけ含まれた培地より高い菌株の成長率を示し、前記培地を利用すると、安全に菌株を培養して、高濃度のボツリヌス毒素を製造することができる。
以上、本発明の内容の特定の部分を詳述したが、当業界における通常の知識を持った者にとって、このような具体的な記述は単なる好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されることはないという点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は特許請求の範囲とこれらの等価物により定義されると言える。
Claims (12)
- 莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物および小麦グルテン加水分解物で構成された群から選択される一つ以上の植物性ペプトンと豚由来ペプトンとを含むクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 前記植物性ペプトンの含有量は、0.1〜10w/v%であることを特徴とする請求項1に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 前記莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物および小麦グルテン加水分解物を全て含む場合、莢豌豆加水分解物、綿実加水分解物および小麦グルテン加水分解物の含有量比は、重量を基準に1:0.24〜43.62:0.01〜50.57であることを特徴とする請求項1に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 前記豚由来ペプトンの含有量は、0.2〜10w/v%であることを特徴とする請求項1に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 前記豚由来ペプトンは、500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する加水分解物および/または500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する加水分解物であることを特徴とする請求項1に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 前記豚由来ペプトンが500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する加水分解物および500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する加水分解物を全て含む場合、豚由来ペプトンの含量の範囲は、重量基準で下記の式(1)を利用して計算する方法を使用することを特徴とする請求項5に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物:
[数1]
B≧−0.625*A+12.5、B≦−1.019*A+53・・・(1)
A:500Da以下のペプチドを約54.91〜60.69重量%含有する加水分解物の含量(0〜5.2w/v%);
B:500Da以下のペプチドを約38.48〜42.53重量%含有する加水分解物の含量(0〜5.3w/v%)。 - 前記植物性ペプトンおよび豚由来ペプトンは、酵素処理されたことを特徴とする請求項1に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 前記クロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物は、炭素源とK2HPO4(Dipotassium phosphate)、Na2HPO4(Disodium phosphate)およびKH2PO4(Dipotassium phosphate)で構成された群から選択される一つ以上のミネラルとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 前記ミネラルの含有量は、0.05〜3.5w/v%であることを特徴とする請求項8に記載のクロストリジウム・ボツリヌス菌株培養用培地組成物。
- 下記段階を含むボツリヌス毒素の製造方法:
(a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の培地組成物を利用してクロストリジウム・ボツリヌスを培養してボツリヌス毒素を生成させる段階;及び
(b)前記生成されたボツリヌス毒素を回収する段階。 - 前記培養は、嫌気条件で行うことを特徴とする請求項10に記載のボツリヌス毒素の製造方法。
- 前記毒素は、ボツリヌス毒素A、B、C、D、E、F及びGで構成された群から選択されることを特徴とする請求項10に記載のボツリヌス毒素の製造方法。
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