JP2020022294A - 電動機および電動機の潤滑剤充填時期判定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な時期に軸受の潤滑剤を充填し、交換することができる電動機および電動機の潤滑剤充填時期判定システムを提供する。【解決手段】実施形態に係る電動機は、運転状態および停止状態を検出する運転状態停止状態検出手段と、前記運転状態停止状態検出手段が前記運転状態と判定しているときに、運転時間を積算し、前記運転状態停止状態検出手段が前記停止状態と判定しているときに、前記運転時間の積算を中断し、前記運転時間があらかじめ設定された第1しきい値に達したときに、第1警告信号を生成する通算運転時間計算手段と、前記第1警告信号に応じて点灯する第1ランプと、を備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、電動機および電動機の潤滑剤充填時期判定システムに関する。
電動機の軸受には、潤滑剤を充填する必要がある。潤滑剤は、運転時間に応じて指定された量を充填する必要がある。
潤滑剤を充填し、交換する時期は、人間が管理しているため、管理上遺漏を生じるおそれがあり、管理もれが生じると、次の充填や交換時期が不明となり、軸受の故障確率が高くなる。電動機の故障が偶発的に発生すれば、プラントの操業にも影響がおよぶおそれがある。
実施形態は、適切な時期に軸受の潤滑剤を充填し、交換することができる電動機および電動機の潤滑剤充填時期判定システムを提供する。
実施形態に係る電動機は、運転状態および停止状態を検出する運転状態停止状態検出手段と、前記運転状態停止状態検出手段が前記運転状態と判定しているときに、運転時間を積算し、前記運転状態停止状態検出手段が前記停止状態と判定しているときに、前記運転時間の積算を中断し、前記運転時間があらかじめ設定された第1しきい値に達したときに、第1警告信号を生成する通算運転時間計算手段と、前記第1警告信号に応じて点灯する第1ランプと、を備える。
本実施形態では、適切な時期に軸受の潤滑剤を充填し、交換することができる電動機および電動機の潤滑剤充填時期判定システムが実現される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電動機を例示する模式的な正面図である。
本実施の形態に係る電動機1は、ケース10、軸11および軸受12を備えた産業用の電動機である。図示しないが、ケース10内には、軸11の周囲に回転子が設けられており、回転子の周囲には、ギャップを介して固定子が設けられている。軸11は、軸受12に支持されて、回転する。
図1は、実施の形態1に係る電動機を例示する模式的な正面図である。
本実施の形態に係る電動機1は、ケース10、軸11および軸受12を備えた産業用の電動機である。図示しないが、ケース10内には、軸11の周囲に回転子が設けられており、回転子の周囲には、ギャップを介して固定子が設けられている。軸11は、軸受12に支持されて、回転する。
軸受12には、軸11を円滑に回転させるために、潤滑剤が充填されている。充填される潤滑剤は、電動機の種類や用途、軸受の材質等に応じて選定される。潤滑剤は、電動機1の使用により化学反応等によって劣化したり、充填量が減少したりする。そのため、電動機1のユーザは、一定の期間ごとに潤滑剤の量や状態を点検し、所要量となるように充填し、あるいは交換等する必要がある。
電動機1は、温度センサ2,3と、制御箱8と、を備える。温度センサ2,3は、電動機1の内部に設けられている。温度センサ2は、たとえば固定子巻線上に設けられている。温度センサ3は、軸受12に設けられている。温度センサ2,3は、固定子巻線や軸受12の温度が上昇したことを検出して、電動機1が運転状態にあるか否かを検出するのに用いられる。温度センサ2,3は、いずれか一方が設けられていればよく、両方設けられている場合には、いずれか一方が用いられる。また、この例では、左右の軸受12の両方に温度センサ3が設けられているが、いずれか一方が用いられる。なお、これらの温度センサ2,3は、他の用途のために用いられる温度センサを流用してもよい。
制御箱8は、たとえばケース10の表面に設けられる。制御箱8が設けられる箇所は、電動機1が設置された後に作業者が視認しやすい位置に設けられる。制御箱8の設置位置は、電動機1の点検等を行うオペレータが、電動機1の点検等に来た場合に、電動機1とともに視認することができる箇所であればよい。電動機1のケース10上に限らず、電動機1の付近に設置された盤内やその盤の付近に設置されてもよい。
制御箱8は、温度センサ2,3と配線によって電気的に接続されている。制御箱8は、内部に図示しない回路基板が設けられており、温度センサ2,3からの配線は、回路基板と電気的に接続されている。
制御箱8には、2つのランプ4,5、リセットボタン6、および入力キー7も設けられている。ランプ4,5、リセットボタン6、および入力キー7は、制御箱8内の回路基板に接続されている。
2つのランプ4,5は、軸受12の潤滑剤の充填時期を知らせるランプである。一方のランプ4は、潤滑剤の充填時期が近づいていることを知らせる充填警告用のランプである。他方のランプ5は、潤滑剤の充填時期がさらに間近である至急充填警告用のランプである。後に詳述するが、軸受12の潤滑剤は、電動機1の通算の運転時間が所定に達する前に充填あるいは交換される必要がある。充填警告用のランプ4は、電動機1の通算運転時間が所定の通算運転時間のA[%]に達したときに点灯する。至急充填用のランプ5は、電動機1の通算運転時間がA[%]よりも大きい値のB[%]に達したときに点灯する。以下、A,Bを通算運転時間のしきい値、または単にしきい値と呼ぶことがある。
リセットボタン6は、通算運転時間を初期化するためのボタンである。つまり、オペレータがリセットボタン6押すことによって、制御箱8によってカウントされた通算運転時間を0に設定(リセット)する。軸受12に潤滑剤を充填し、または潤滑剤を交換したときに、オペレータがリセットボタン6を押すことによって、通算運転時間をリセットする。
入力キー7は、電動機1が運転状態と判定される運転時判定温度Tsを設定する。また、入力キー7は、通算運転時間のしきい値A,Bを設定する。
制御箱8内の回路基板には、運転判定回路が設けられている。運転判定回路は、温度センサ2,3が取得した温度の測定値Tを入力し、入力キー7によってあらかじめ設定された運転時判定温度Tsと比較する。運転判定回路は、測定値Tが運転時判定温度Ts以上となったときに、電動機1の運転開始を示す運転信号を出力する。
また、回路基板には、通算運転時間計算回路が設けられている。通算運転時間計算回路は、運転判定回路が出力した運転信号を入力して、通算運転時間を計算する。通算運転時間計算回路には、入力キー7によって、あらかじめしきい値A,Bのデータが入力される。通算運転時間計算回路は、運転信号が入力されている間には、運転時間を積算して通算運転時間を計算する。通算運転時間計算回路は、運転信号が入力されていない間には、運転時間の積算を中断する。
通算運転時間計算回路は、通算運転時間がしきい値Aに達したときには、充填警告用のランプ4を点灯させるための充填警告信号を出力する。通算運転時間計算回路は、通算運転時間がしきい値Bに達したときには、至急充填警告用のランプ5を点灯させるための至急充填警告信号を出力する。
また、回路基板は、ランプ点灯回路を有している。ランプ点灯回路は、通算運転時間計算回路に接続されており、通算運転時間計算回路が出力する充填警告信号または至急充填警告信号に応じて、ランプ4,5を点灯させる。ランプ点灯回路は、充填警告信号を入力したときには、ランプ4を点灯させ、至急充填警告信号を入力したときには、ランプ5を点灯させる。
上述の回路基板は、マイクロコンピュータ等のメモリに展開されたプログラムを逐次実行する半導体装置を含む制御回路により構成されてもよい。あるいは、回路基板は、各回路機能を実現するハードウェアで実現するようにしてもよい。
本実施の形態の電動機1の動作について説明する。
本実施の形態の電動機1では、運転時判定温度Ts、通算運転時間のしきい値A,B、および電動機1が記録した通算運転時間の初期化(リセット)は、オペレータ(人間)が制御箱8の入力キー7およびリセットボタン6を操作することによって行われる。
本実施の形態の電動機1では、運転時判定温度Ts、通算運転時間のしきい値A,B、および電動機1が記録した通算運転時間の初期化(リセット)は、オペレータ(人間)が制御箱8の入力キー7およびリセットボタン6を操作することによって行われる。
潤滑剤を充填され、交換された電動機1では、オペレータは、まず、リセットボタン6を押して、通算運転時間を初期化する。
次にオペレータは、運転時間判定温度Tsおよび通算運転時間のしきい値A,Bを入力キー7によって入力する。なお、運転時間判定温度Tsおよび通算運転時間のしきい値A,Bは、リセットボタン6を押したときに、同時に初期化されるようにしてもよい。その場合には、オペレータは、入力キー7により改めて設定値を入力する。運転時間判定温度Tsおよび通算運転時間のしきい値A,Bは、リセットボタン6を押したときに、初期化されず、潤滑剤の充填等の前に設定された値を保持していてもよい。その場合には、オペレータは、設定値を確認し、必要に応じて入力キー7によって設定値の修正をする。
動作用電源が投入され、あるいは電動機1を駆動する駆動装置に起動指令等が供給されたことによって、電動機1は動作を開始する。
電動機1の動作によって、電動機1の各部の温度が上昇する。電動機1の温度上昇によって、軸受12または固定子巻線に設けられた温度センサ2,3の測定値が上昇し、運転時判定温度Tsに達すると、制御箱8の回路基板では、運転時間の積算を開始する。
その後、通算運転時間がしきい値に到達する前に、運転を停止したときには、電動機1の温度が低下するので、運転時間の積算は停止する。再度運転が開始されると上述のようにして運転時間の積算が再開される。
通算運転時間があらかじめ設定されたしきい値Aに達すると、制御箱8の設けられた充填警告用のランプ4が点灯する。
さらに運転時間が積算され、通算運転時間があらかじめ設定されたしきい値Bに達すると制御箱8に設けられた至急充填警告用のランプ5が点灯する。
オペレータは、日常的に行われる点検において、ランプの点灯の有無を視認することによって、軸受12の潤滑剤の充填時期を認識することができる。
ランプ4,5の点灯により、潤滑剤の充填時期に達したことが明示された電動機1は、充填警告用のランプ4が点灯したときには、日常的な点検時に潤滑剤を充填等し、至急充填警告用のランプ5が点灯したときには、たとえば緊急に電動機1を停止させ(たとえばバックアップ用の電動機に切り換え)、潤滑剤の充填等を行う。
本実施の形態の電動機1の効果について説明する。
本実施の形態の電動機1は、そのケース10上、あるいはその近傍に、制御箱8を備えている。オペレータが日常的な電動機の目視点検を行う際に、制御箱8も同時に確認することができる。そのため、電動機ごとに通算運転時間時間の管理を容易に行うことができる。
本実施の形態の電動機1は、そのケース10上、あるいはその近傍に、制御箱8を備えている。オペレータが日常的な電動機の目視点検を行う際に、制御箱8も同時に確認することができる。そのため、電動機ごとに通算運転時間時間の管理を容易に行うことができる。
多くの場合には、プラントで用いられる産業用の電動機では、潤滑剤の充填等の時期が設定されており、たとえば数か月単位の定期的な点検において、潤滑剤の充填等を行う。しかしながら、このような定期点検では、潤滑剤の寿命よりも相当程度短い間隔で行わなければならない場合もあり、点検もれを生じた場合には、潤滑剤の劣化や減少等が進んでしまい、軸受の故障、ひいては電動機の故障を生じるおそれがある。
潤滑剤の劣化や減少等は、実際に運転された時間に応じて決まるものであると考えられ、本実施の形態の電動機1では、運転時間を積算して通算運転時間に応じてランプを点灯させるので、潤滑剤の充填等の時期をより適切に明示する。したがって、オペレータは、視認によって、潤滑剤の充填時期等を的確に判定することができる。
また、本実施の形態の電動機1は、通算運転時間が所定値に到達したことを、ランプ4,5の点灯によってオペレータに知らせる。そのため、オペレータが電動機を停止して、潤滑剤の状態を調べることなく、電動機1の運転期間においても充填時期等を判断することができる。
本実施の形態の電動機1では、オペレータに警告するランプが設けられた制御箱8が電動機1のケースやその付近に設けられているので、日々の点検経路における点検をすることができ、潤滑剤の充填時期等を逃すことなく、把握することができる。
(実施の形態2)
上述した実施の形態では、制御箱8が電動機1のケース10に設けられていたり、電動機1の付近に設けられていたりするものであったが、電動機の付近にオペレータが入ることができないような場合や、電動機が設置場所から離れた場所から潤滑剤の充填時期等を監視したい場合も少なくない。
上述した実施の形態では、制御箱8が電動機1のケース10に設けられていたり、電動機1の付近に設けられていたりするものであったが、電動機の付近にオペレータが入ることができないような場合や、電動機が設置場所から離れた場所から潤滑剤の充填時期等を監視したい場合も少なくない。
本実施の形態の電動機の潤滑剤充填時期判定システムでは、電動機のほかに電動機に設けられた制御箱と通信することができる監視用端末を備えている。
図2は、本実施の形態に係る電動機の潤滑剤充填時期判定システムを例示する模式的な構成図である。
図2に示すように、電動機の潤滑剤充填時期判定システム100は、電動機101と、監視用端末108bと、を備える。電動機101には、そのケース110に制御箱108aが設けられている。この制御箱108aは、上述した他の実施の形態の電動機1の場合の制御箱8に対して、通信部109aが設けられている点で相違し、他の点では他の実施の形態の場合と同じである。ランプ4a,5a等、各符号には“a”を付してあるが、これら符号を付した要素の動作や機能は、制御箱8の場合の“a”を付していない符号の場合と同様であり、詳細な説明を省略する。
図2に示すように、電動機の潤滑剤充填時期判定システム100は、電動機101と、監視用端末108bと、を備える。電動機101には、そのケース110に制御箱108aが設けられている。この制御箱108aは、上述した他の実施の形態の電動機1の場合の制御箱8に対して、通信部109aが設けられている点で相違し、他の点では他の実施の形態の場合と同じである。ランプ4a,5a等、各符号には“a”を付してあるが、これら符号を付した要素の動作や機能は、制御箱8の場合の“a”を付していない符号の場合と同様であり、詳細な説明を省略する。
制御箱108aの通信部(第1通信手段)109aは、制御箱108a内の回路基板で生成された充填警告信号および至急充填警告信号を入力して、適切な変調等行い、適切な通信プロトコルで充填警告信号および至急充填警告信号をたとえば無線で送信する。
監視用端末108bは、通信部109bを備えている。監視用端末108bは、たとえば制御箱108aと同じ構成要素を有している。各符号に“b”を付してあるが、動作や機能は制御箱108aの場合と同様である。
通信部(第2通信手段)109bは、制御箱108aの通信部109aから送信された無線データを受信する。通信部109bは、無線データを適切な通信プロトコルで受信し、たとえば変調された信号を復調する。復調されたデータは、制御箱108aで生成された充填警告信号および至急充填警告信号に対応している。これらのデータは、たとえば監視用端末108bの内部に設けられた回路基板中の通算運転時間計算回路の出力に割りこんで、ランプ点灯回路に入力される。
制御箱108aの通信部109aは、信号の送信に限らず、監視用端末108bから送信されたデータを受信できるようにしてもよい。この場合には、監視用端末108bは、入力キー7bによる操作やリセットボタン6bによる操作によって、内部の回路基板で生成されたデータを変調し適切な通信プロトコルで制御箱108aに送信することができる。
このようにして、監視用端末108bを用いて、通算運転時間の初期化や、運転時判定温度Ts、通算運転時間のしきい値A,Bの設定を行ってもよい。
上述では、制御箱および監視用端末は、無線によって相互に通信するものとしたが、光通信を含む有線で通信するようにしてももちろんよい。
本実施の形態では、制御箱108aおよび監視用端末108bに通信部109a,109bをそれぞれ設けたので、監視用端末108bは、制御箱108aと通信することができる。そのため、監視用端末108bは、たとえば電気室内等に設けることができ、遠隔で電動機101の潤滑剤の充填時期等を判定することができる。監視用端末108bを携帯できる程度の大きさとすることによって、オペレータが常時携帯することとしてもよい。
制御箱108aと監視用端末108bとの通信を、プラント内の制御系のネットワーク等の専用線に接続せずに行うことによって、ネットワークの設定されていない箇所に設置された電動機や、ネットワークに接続されることが前提とされていない電動機についても、潤滑剤の充填時期等を適切に監視することができる。
(実施の形態3)
多くのプラントでは、高速通信が可能な制御用の通信ネットワークが付設されており、電動機やアクチュエータ等は、この通信ネットワークに接続された駆動装置によって駆動され、高度に制御される。このような場合には、電動機の運転や停止は、プログラマブルコントローラ(PLC)やプロセス監視装置等によって正確に制御されている。また、電動機の温度も専用の温度センサによってデータ取得され、PLC等によってリアルタイムに収集される。これらを利用することによって、容易に精度よく潤滑剤の充填時期等を判定することができる。
多くのプラントでは、高速通信が可能な制御用の通信ネットワークが付設されており、電動機やアクチュエータ等は、この通信ネットワークに接続された駆動装置によって駆動され、高度に制御される。このような場合には、電動機の運転や停止は、プログラマブルコントローラ(PLC)やプロセス監視装置等によって正確に制御されている。また、電動機の温度も専用の温度センサによってデータ取得され、PLC等によってリアルタイムに収集される。これらを利用することによって、容易に精度よく潤滑剤の充填時期等を判定することができる。
図3は、本実施の形態に係る電動機の潤滑剤充填時期判定システムを例示する模式的なブロック図である。
図3に示すように、本実施の形態の電動機の潤滑剤充填時期判定システム200は、電動機201と、駆動装置220と、プロセス監視装置240と、を備える。電動機201は、上述の実施の形態における制御箱8が設けられていない点で相違するが、他の点では、他の実施の形態の場合と同じである。
図3に示すように、本実施の形態の電動機の潤滑剤充填時期判定システム200は、電動機201と、駆動装置220と、プロセス監視装置240と、を備える。電動機201は、上述の実施の形態における制御箱8が設けられていない点で相違するが、他の点では、他の実施の形態の場合と同じである。
電動機201は、駆動装置220に接続されている。電動機201は、軸11に設けられた速度センサ(図示せず)によって、速度データを取得し、駆動装置220に供給する。駆動装置220は、通信ネットワーク211に接続されており、通信ネットワーク211経由で、PLC230に接続されている。駆動装置220は、PLC230から速度パターンデータを取得し、取得した速度パターンに電動機201の速度を追従させるように、トルクを生成し、電動機201を駆動する。
この例では、PLC230は、通信ネットワーク211とは異なる通信ネットワーク212も接続されており、通信ネットワーク212を介してプロセス監視装置240に接続されている。通信ネットワーク211は、たとえば高速データ通信を可能にする制御系のネットワークであり、他方の通信ネットワーク212は、社内LAN等の汎用的な通信ネットワークである。
プロセス監視装置240は、電動機201の通算運転時間計算部を備えている。通算運転時間計算部は、PLC230が駆動装置220に対して、運転指令を送信し、プロセス監視装置240がその運転指令を受信したときに運転時間の積算を開始する。通算運転時間計算部は、PLC230が駆動装置220に対して、停止指令を送信し、プロセス監視装置240がその停止指令を受信したときに運転時間の積算を中断する。
プロセス監視装置240は、通算運転時間しきい値設定部を備えている。通算運転時間しきい値判定部は、通算運転時間計算部で積算された通算運転時間があらかじめ設定されたしきい値に達したときに、警告信号を生成する。設定するしきい値は、上述の実施の形態の場合のように、A,Bと2種類であってもよいし、1種類あるいは3種類以上としてもよい。しきい値を複数設定する場合には、しきい値ごとに警告信号を変えるようにしてもよい。
プロセス監視装置240は、生成された警告信号に応じて、そのHMI画面に対象の電動機201の潤滑剤の充填時期等が到来した旨を表示する。しきい値ごとに変化させた警告信号に応じて、音声で通知したり、表示色を変化させたりしてもよい。
さらに、PLC230は、電動機201の温度センサ2,3の温度データを収集する。プロセス監視装置240は、PLC230を介して、電動機201の温度データを取得することができる。プロセス監視装置240の通算運転時間計算部は、たとえば、電動機201の温度に応じて、通算運転時間を修正するようにしてもよい。
潤滑剤は、化学合成品を含んでおり、その温度によって劣化進度や反応速度等が変化する。一般に、産業用の電動機に用いられる潤滑剤は、温度によって劣化進度や反応速度等は促進される。そこで、本実施の形態の潤滑剤充填時期判定システム200では、プロセス監視装置240が有する通算運転時間計算部は、温度と通算運転時間に対する加速係数のテーブルを有している。
たとえば、テーブルでは、潤滑剤の使用温度範囲を3分割して、低温範囲、中温範囲、高温範囲として、それぞれの温度範囲に対する加速係数が設定されている。低温範囲の加速係数を基準(たとえば“1”)として、中温範囲、高温範囲となるほどに加速係数が大きく設定されている。
温度センサ2,3によって検出された温度がテーブルのいずれの温度範囲にあるかによって、通算運転時間計算部は、加速係数を温度範囲に応じて切り換えて適用し、通算運転時間を計算する。したがって、温度が高い環境で運転されている期間が長いほど、積算される運転時間がより長くなる。つまり、潤滑剤の充填時期等により早く到達し得る。
本実施の形態の潤滑剤充填時期判定システム200では、HMI機能を有するプロセス監視装置240が、通信ネットワーク211,212を介して、電動機201の運転、停止の情報をリアルタイムで取得することができる。そのため、運転室や操作室等の電動機201から遠隔の場所で、電動機201の通算運転時間を把握することができ、潤滑剤の充填時期等を的確に判定することができる。
さらに、本実施の形態の潤滑剤充填時期判定システム200では、プロセス監視装置240は、電動機201の温度データをリアルタイムで取得し、温度に応じて潤滑剤の劣化等を加味した通算運転時間を計算することができる。そのため、過酷な温度で使用される産業用の電動機の場合であっても、潤滑剤の劣化や減少等の程度をより正確に運転時間に反映させることができる。したがって、早期に潤滑剤の充填等を行うことができ、プラントの操業をより安定させることができる。
以上説明した実施形態によれば、適切な時期に軸受の潤滑剤を充填し、交換することができる電動機および電動機の潤滑剤充填時期判定システムを実現することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1,101,201 電動機、2,3 温度センサ、4,5 ランプ、6 リセットボタン、7 入力キー、8 制御箱、10 ケース、11 軸、12 軸受、100,200 潤滑剤充填時期判定システム、211,212 通信ネットワーク、220 駆動装置、230 プログラマブルコントローラ、240 プロセス監視装置
Claims (7)
- 運転状態および停止状態を検出する運転状態停止状態検出手段と、
前記運転状態停止状態検出手段が前記運転状態と判定しているときに、運転時間を積算し、前記運転状態停止状態検出手段が前記停止状態と判定しているときに、前記運転時間の積算を中断し、前記運転時間があらかじめ設定された第1しきい値に達したときに、第1警告信号を生成する通算運転時間計算手段と、
前記第1警告信号に応じて点灯する第1ランプと、
を備えた電動機。 - 前記通算運転時間計算手段は、
前記第1しきい値よりも大きい値を有する第2しきい値を有し、前記運転時間が前記第2しきい値に達したときに第2警告信号を生成し、
前記第2警告信号に応じて点灯する第2ランプをさらに備えた請求項1記載の電動機。 - 回転子および固定子を含む内部構造を覆うように設けられたケースと、
前記運転状態停止状態検出手段の少なくとも一部、前記通算運転時間計算手段、および前記第1ランプを収納する制御箱と、
をさらに備え、
前記制御箱は、前記ケース上に設けられた請求項1または2に記載の電動機。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の電動機と、
前記通算運転時間計算手段が生成した前記第1警告信号を送信する第1通信手段と、
第2通信手段を介して前記第1警告信号を受信して、前記第1警告信号に応じて第3警告信号を生成する監視用端末と、
を備えた電動機の潤滑剤充填時期判定システム。 - 前記第1通信手段および前記第2通信手段は、無線通信を含む請求項4記載の電動機の潤滑剤充填時期判定システム。
- 電動機と、
あらかじめプログラムされた指令にもとづいて前記電動機を駆動する駆動装置と、
前記指令のうち前記電動機を運転させる運転指令を受信したときには、前記電動機の運転時間を積算し、前記指令のうち前記電動機を停止させる停止指令を受信したときには、前記電動機の前記運転時間の積算を中断し、積算された前記運転時間があらかじめ設定されたしきい値に達したときに潤滑剤を充填すべき旨の表示をするプロセス監視装置と、
を備えた電動機の潤滑剤充填時期判定システム。 - 前記電動機は、温度センサを含み、
前記プロセス監視装置は、前記温度センサによって検出された温度データに応じて、前記運転時間の積算データに加速係数を乗じる請求項6記載の電動機の潤滑剤充填時期判定システム。
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