JP2020021476A - バルブ制御装置および圧力制御バルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力制御バルブの調圧性能の向上を図ることができるバルブ制御装置の提供。【解決手段】バルブ制御装置1bは、圧力制御バルブ1が設けられた真空チャンバ3の圧力計測値Pgと真空チャンバ3の圧力目標値である圧力指示値Psとの差ΔP=Ps−Pgに基づいて、圧力制御バルブ1の開度を制御する開度制御部21を備え、開度制御部21は、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れおよびチャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する2次進み補償器を有し、開度制御部21は、前記差に対して2次の進み補償器による補償を施し、補償後の前記差に基づいて圧力制御バルブ1の開度を制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、バルブ制御装置および圧力制御バルブに関する。
従来、排気経路のコンダクタンスを自動調節するためのバルブとして、バルブコンダクタンスを調整できる自動圧力制御バルブ(以下では、APCバルブと呼ぶことにする)が知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、プラズマエッチング装置では、プロセス時に、マスフローコントローラによって一定流量の処理ガスを真空チャンバ内に供給しながら、APCバルブによって排気経路のコンダクタンスを調節し、所望のプロセス圧力に制御する方法が採用されている。
上述のようなAPCバルブの制御は、APCバルブのバルブ制御部に入力された真空チャンバの圧力計測値に基づいて行われる。そのため、圧力計測値と真空チャンバ内の圧力値との間に乖離がある場合には、適切な圧力制御が行えないという問題が生じる。
本発明の第1の態様によるバルブ制御装置は、圧力制御バルブが設けられたチャンバの圧力計測値と前記チャンバの圧力目標値との差に基づいて、前記圧力制御バルブの開度を制御する開度制御部を備え、前記開度制御部は、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れおよびチャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する2次の進み補償器を有し、前記開度制御部は、前記差に対して前記2次の進み補償器による補償を施し、補償後の前記差に基づいて前記圧力制御バルブの開度を制御する。
本発明の第2の態様による圧力制御バルブは、弁体と、前記弁体を駆動する弁体駆動モータと、前記弁体駆動モータを制御して前記弁体の開度を制御する前記バルブ制御装置と、を備える。
本発明の第2の態様による圧力制御バルブは、弁体と、前記弁体を駆動する弁体駆動モータと、前記弁体駆動モータを制御して前記弁体の開度を制御する前記バルブ制御装置と、を備える。
本発明によれば、圧力制御バルブの調圧性能の向上を図ることができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は、本実施の形態の圧力制御バルブを用いた真空システムの概略構成を示すブロック図である。種々の反応プロセスが行われる真空チャンバ3には、排気系として圧力制御バルブ1のバルブ本体1aおよび真空ポンプ4が装着されている。図1では、真空ポンプ4にターボ分子ポンプが用いる場合を例に示したが、真空ポンプ4としてはターボ分子ポンプに限らず種々の真空ポンプを用いることができる。また、真空チャンバ3には、プロセスガス等のガスを流入させるためのガス流入部31、および、真空チャンバ3のチャンバ内圧力Pcを計測するための真空ゲージ5が設けられている。真空ゲージ5はゲージ配管51を介して真空チャンバ3に連通している。
−第1の実施の形態−
図1は、本実施の形態の圧力制御バルブを用いた真空システムの概略構成を示すブロック図である。種々の反応プロセスが行われる真空チャンバ3には、排気系として圧力制御バルブ1のバルブ本体1aおよび真空ポンプ4が装着されている。図1では、真空ポンプ4にターボ分子ポンプが用いる場合を例に示したが、真空ポンプ4としてはターボ分子ポンプに限らず種々の真空ポンプを用いることができる。また、真空チャンバ3には、プロセスガス等のガスを流入させるためのガス流入部31、および、真空チャンバ3のチャンバ内圧力Pcを計測するための真空ゲージ5が設けられている。真空ゲージ5はゲージ配管51を介して真空チャンバ3に連通している。
圧力制御バルブ1は、真空チャンバ3のチャンバ排気口32に装着されるバルブ本体1aと、バルブ本体1aを駆動制御するバルブ制御装置1bとで構成される。バルブ本体1aには、バルブコンダクタンスを調整するための弁体11と、弁体11を駆動するモータ12と、弁体11の開度θを計測するためのエンコーダ13とが設けられている。バルブ制御装置1bは、開度制御部21、演算部22、記憶部23およびラーニング処理部24を備えている。弁体11の開度θはバルブ制御装置1bの開度制御部21によって制御される。バルブ制御装置1bは、例えば、CPU,メモリ(ROM,RAM)および周辺回路等を有するマイコン等の演算処理装置を備え、ROMに記憶されているソフトウェアプログラムにより、演算部22およびラーニング処理部24の機能を実現する。記憶部23はマイコンのメモリにより構成される。
図1に示す例では、弁体11はモータ12によって揺動駆動される構成であるが、揺動駆動以外の構成の圧力制御バルブ1にも本発明は適用可能である。なお、開度θとは弁体11のフルストロークに対するパーセンテージを表すものであり、揺動駆動する弁体11の場合、全閉位置での揺動角度をα0(=0deg)全開位置での揺動角度をα1とすれば、揺動角度αにおける開度θ(%)はθ=100・α/(α1−α0)で算出される。
バルブ制御装置1bには、真空ゲージ5で計測された圧力計測値Pgと、エンコーダ13で計測された開度θrと、圧力指示値Psとが入力される。圧力指示値Psはチャンバ内圧力Pcをどのような値に設定すべきかを指示する情報であり、上位のコントローラ(例えば、真空システム全体を制御するコントローラ)から入力される。記憶部23には、バルブ制御に関するソフトウェアやデータが記憶される。なお、演算部22およびラーニング処理部24の詳細は後述する。
プロセス中は、所定流量Qin[Pa・L/sec]のプロセスガスをガス流入部31から真空チャンバ3内に流入させつつ、真空ポンプ4により真空チャンバ3内を排気し、かつ、弁体11の開度θを調整することで、チャンバ内圧力Pcを所望のプロセス圧力に維持する。弁体11の開度θを調整すると、バルブ本体1aと真空ポンプ4とで構成される排気系の実効排気速度が変化する。
(チャンバ内圧力Pcの1次遅れ)
図1に示すようにバルブコンダクタンスがCvで、チャンバ内圧力Pcに対して真空ポンプ4の吸気口圧力をPpとした場合、容量Vcの真空チャンバ3から排出されるガスの流量Qoutは次式(1)で表される。真空チャンバ3へのガス流入量をQinとすれば、時間Δtにおけるチャンバ内圧力Pcの増加ΔPcは次式(2)で算出されるので、チャンバ内圧力Pcの時間変化は式(3)のように表される。ここでQin、Ppを一定とすると、チャンバ内圧力Pcは時定数T1=Vc/Cv[sec]の1次遅れ系となる。以下では、この1次遅れをチャンバ1次遅れと呼ぶことにする。なお、時定数T1の具体的な求め方については後述する。
Qout=Cv(Pc−Pp) …(1)
ΔPc={(Qin−Qout)/Vc}・Δt …(2)
dPc/dt=−(Cv/Vc)Pc+Qin/Vc+(Cv/Vc)Pp …(3)
図1に示すようにバルブコンダクタンスがCvで、チャンバ内圧力Pcに対して真空ポンプ4の吸気口圧力をPpとした場合、容量Vcの真空チャンバ3から排出されるガスの流量Qoutは次式(1)で表される。真空チャンバ3へのガス流入量をQinとすれば、時間Δtにおけるチャンバ内圧力Pcの増加ΔPcは次式(2)で算出されるので、チャンバ内圧力Pcの時間変化は式(3)のように表される。ここでQin、Ppを一定とすると、チャンバ内圧力Pcは時定数T1=Vc/Cv[sec]の1次遅れ系となる。以下では、この1次遅れをチャンバ1次遅れと呼ぶことにする。なお、時定数T1の具体的な求め方については後述する。
Qout=Cv(Pc−Pp) …(1)
ΔPc={(Qin−Qout)/Vc}・Δt …(2)
dPc/dt=−(Cv/Vc)Pc+Qin/Vc+(Cv/Vc)Pp …(3)
(圧力計測値Pgの1次遅れ)
図1に示すように、真空ゲージ5はコンダクタンスCgのゲージ配管51を介して真空チャンバ3と連通しているので、圧力計測値Pgはチャンバ内圧力Pcの変化に対して時間的に遅れて変化することになる。例えば、Pc=Pgの定常状態からチャンバ内圧力Pcが上昇した場合、時間Δtの間にゲージ配管51を介して真空チャンバ3側から真空ゲージ5側へ流入するガス量ΔQgは、ゲージ配管51を含むゲージコンダクタンスをCgとすると次式(4)で表される。真空チャンバ3側から真空ゲージ5側へのガスの流入は、再びPc=Pgとなるまで続く。
ΔQg=(Pc−Pg)Cg・Δt …(4)
図1に示すように、真空ゲージ5はコンダクタンスCgのゲージ配管51を介して真空チャンバ3と連通しているので、圧力計測値Pgはチャンバ内圧力Pcの変化に対して時間的に遅れて変化することになる。例えば、Pc=Pgの定常状態からチャンバ内圧力Pcが上昇した場合、時間Δtの間にゲージ配管51を介して真空チャンバ3側から真空ゲージ5側へ流入するガス量ΔQgは、ゲージ配管51を含むゲージコンダクタンスをCgとすると次式(4)で表される。真空チャンバ3側から真空ゲージ5側へのガスの流入は、再びPc=Pgとなるまで続く。
ΔQg=(Pc−Pg)Cg・Δt …(4)
ゲージ配管51を含む真空ゲージ5側の容積をVgとすると、ガス流入量ΔQgによる圧力計測値Pgの増加ΔPgは次式(5)で表され、圧力計測値Pgの時間変化は式(6)のように表される。Pc>Pgのときには圧力計測値Pgは上昇し、Pc<Pgのときには圧力計測値Pgは低下する。そして、圧力計測値Pgが上昇または低下してPc=Pgの状態になると、圧力計測値Pgは一定となる。式(6)においてPc=一定と仮定すると、圧力計測値Pgは時定数T2=Vg/Cg[sec]の1次遅れ系となる。以下では、この1次遅れを真空計1次遅れと呼ぶことにする。なお、時定数T2の具体的な求め方については後述する。
ΔPg={(Pc−Pg)Cg/Vg}・Δt …(5)
dPg/dt=(Pc−Pg)Cg/Vg …(6)
ΔPg={(Pc−Pg)Cg/Vg}・Δt …(5)
dPg/dt=(Pc−Pg)Cg/Vg …(6)
図2は、開度制御系の機能ブロック図である。図2のブロック41は、圧力制御バルブ1と真空チャンバ3とを含む系すなわち開度指令θsを入力としチャンバ内圧力Pcを出力とする系を表している。上述したように、チャンバ内圧力Pcは時定数T1=Vc/Cv[sec]の1次遅れ系なので、ブロック41の伝達関数はチャンバ1次遅れの伝達関数となり、ゲイン定数をK1とすれば「K1/(1+T1×S)」で表される。
図2のブロック42は、ゲージ配管51および真空ゲージ5を含む圧力計測系すなわちチャンバ内圧力Pcを入力とし圧力計測値Pgを出力とする系を表している。上述したように、圧力計測値Pgは時定数T2=Vg/Cg[sec]の1次遅れ系なので、ブロック42の伝達関数は真空計1次遅れの伝達関数となり、ゲイン定数をK2とすれば「K2/(1+T2×S)」で表される。よって、圧力制御バルブ1、真空チャンバ3、ゲージ配管51および真空ゲージ5を含む系、すなわち開度指令θsを入力とし圧力計測値Pgを出力とする系は、2次遅れシステムとなっている。
バルブ制御装置1bの開度制御部21には、上位のコントローラからの圧力指示値Psと、真空ゲージ5で計測された圧力計測値Pgとが入力される。開度制御部21では、圧力指示値Psと圧力計測値Pgとの差ΔP=Ps−Pgが算出され、差ΔPは2次進み補償器40を構成するブロックに入力される。上述のように開度指令θsを入力とし圧力計測値Pgを出力とする系は2次遅れシステムとなっているので、本実施の形態では、2次遅れシステムに対して2次進み補償器40を備えている。
2次進み補償器40の伝達関数C(S)は、次式(7)で表される伝達関数に設定される。式(7)においてKはゲイン定数、L1はチャンバ1次遅れに対する位相補償リードゲイン、L2は真空計1次遅れに対する位相補償リードゲインである。ここでは、L1,L2を式(8),(9)のように設定する。
C(S)=K{1+(L1+L2)×S+L1×L2×S2}/S …(7)
L1=Vc/Cv …(8)
L2=Vg/Cg …(9)
C(S)=K{1+(L1+L2)×S+L1×L2×S2}/S …(7)
L1=Vc/Cv …(8)
L2=Vg/Cg …(9)
式(7)で表される2次進み補償器40の伝達関数C(S)は、図3のように伝達関数、K、1/S、(1+L1×S)、(1+L2×S)を順に作用させたものと同じ内容になっている。すなわち、2次進み補償器40には、チャンバ1次遅れに対応した伝達関数(1+L1×S)で表される1次進み補償器400と、真空計1次遅れに対応した伝達関数(1+L2×S)で表される1次進み補償器401とが含まれ、それらは直列接続されている。1次進み補償(1+L1×S)のL1はL1=T1=Vc/Cvのように設定され、1次進み補償(1+L2×S)のL2はL2=T2=Vg/Cgのように設定される。
また、式(7)で表される伝達関数C(S)は、図4(a)に示すように、Kp=K(L1+L2)、Ki=K、Kd=K(L1×L2)と置き換えると(Kp×S+Ki+Kd×S2)/Sのような形になる。ここで、Kpを比例ゲイン、Kiを積分ゲイン、Kdを微分ゲインと考えれば、図4のように表された伝達関数C(S)は、図4(b)に示すようなPID制御の伝達関数に対応している。すなわち、式(7)の伝達関数C(S)で表される2次進み補償は、Kp=K(L1+L2)、Ki=K、Kd=K(L1×L2)と対応させることで既存のPIDコントローラに適用することができる。
従来の制御では真空計1次遅れは考慮されておらず、制御システムは図13に示すようなブロック図となる。開度制御部210では、伝達関数がK(1+L×S)で表されるような1次進み補償器により開度指令θsを生成する。位相補償リードゲインLは、チャンバ遅れのみを考慮して設定されることになる。図13の制御システムでは、2次遅れシステムに対して1次進み補償器のみで構成しているのでゲインを低めに設定する必要があり、その結果、収束時間が長くなるなど、調圧性能が低下する。
図5〜図8は、本実施の形態のように2次進み補償を採用して制御を行った場合の応答と、従来のように1次進み補償で制御を行った場合の応答の、シミュレーション結果の一例を示したものである。図5,6では、圧力指示値Ps(ラインL10)を0.2667Pa(t=0sec)から2Pa(t=0.1sec)へとステップ状に増加させた場合の圧力変化(図5のラインL11,L12)とバルブ開度変化(図6のラインL13,L14)とを示した。
従来の1次進み補償の場合には、図6のラインL13のようにバルブ開度は初期開度29.1%から減少して安定状態時の開度7.5%よりも若干下がった後に、振動的に開度7.5%に収束し、6sec程度で開度7.5%に落ち着く。そのため、図5のラインL11のように圧力は2Pa程度まで上昇した後に、振動的に2Paに収束し、7〜8sec程度で2Paに落ち着く。
一方、本実施の形態のように2次進み補償を採用した場合には、図6のラインL14のようにバルブ開度は初期開度29.1%から開度0%まで直線的に急激に減少し、開度0%を0.6sec程度維持した後に、開度8%程度まで上昇してから直ちに安定状態時の開度7.5%に落ち着く。そのため、図5のラインL12で示す圧力は、0.2667Paから急激に上昇して2Paを若干オーバーした後に、3sec程度で2Paに落ち着く。
図7,8では、圧力指示値Ps(ラインL20)を4Pa(t=0sec)から0.5333Pa(t=0.1sec)へとステップ状に減少させた場合の圧力変化(図7のラインL21,L22)とバルブ開度変化(図8のラインL23,L24)とを示した。
従来の1次進み補償の場合、開度は、図8のラインL23のように初期開度6%から開度14%付近まで増加した後にいったん開度12.4%に減少し、再び増加に転じて約2.7secに開度14.4%に達し、約5secには安定状態時の開度14.5%に落ち着く。圧力は、図7のラインL21のように初期値の4Paから徐々に減少し、約6secで安定状態における圧力0.53Paに落ち着く。
一方、2次進み補償を採用した場合、開度は、図8のラインL24のように初期開度6%から急激に上昇するが時間の経過と共に上昇率が小さくなり、約2.7secには安定状態時の開度14.6%に落ち着く。圧力は、図7のラインL22のように、1次進み補償の場合のラインL21よりも速く減少し、約4secで安定状態における圧力0.53Paに落ち着く。
上述したように、本実施の形態では、圧力制御バルブ1が設けられた真空チャンバ3の圧力計測値Pgと真空チャンバ3の圧力目標値である圧力指示値Psとの差ΔP=Ps−Pgに基づいて、圧力制御バルブ1の開度を制御する開度制御部21を備え、開度制御部21は、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れおよびチャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する2次進み補償器40を有し、開度制御部21は、差ΔPに対して2次の進み補償器40による補償を施し、補償後の前記差ΔPに基づいて圧力制御バルブ1の開度を制御する。
このように、2次遅れシステムに対して2次の進み補償器40による補償を行うことによって、時定数T2の真空計1次遅れが補償され、図5〜8に示すように圧力制御バルブ1の調圧性能の向上を図ることができる。
2次の進み補償器40は、図3に示すように、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れを補償する1次進み補償器400と、チャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する1次進み補償器401との直列接続を含む。その場合、1次進み補償器400の位相補償リードゲインL1は、真空チャンバ3の容積VcとバルブコンダクタンスCvとの比Vc/Cvで表され、1次進み補償器401の位相補償リードゲインL2は、ゲージ配管51の容積の和Vgとゲージ配管51のコンダクタンスCgとの比Vg/Cgで表される。
さらに、PIDフィードバック制御の比例ゲインを比Vc/Cvと比Vg/Cgとの和に比例したパラメータとし、PIDフィードバック制御の微分ゲインを比Vc/Cvと比Vg/Cgとの積に比例した値とすることで、本実施の形態の制御システムを既存のPIDコントローラへ容易に適用することができる。
次に、上述した時定数T1(=Vc/Cv)、T2(=Vg/Cg)の具体的な値の推定方法について説明する
(第1の推定方法)
第1の推定方法では、チャンバ容積Vc、真空ゲージ5の容積Vg、ゲージ配管51のコンダクタンスCgおよびコンダクタンスCvの設計値から時定数T1およびT2を推定する。チャンバ容積Vc、真空ゲージ5の容積Vg、ゲージ配管51のコンダクタンスCgの値は、真空チャンバ3や真空ゲージ5の設計図面の寸法に基づいて計算することができる。また、コンダクタンスCvは、圧力制御バルブ1の仕様書から知ることができる。得られた計算値Vc,VgおよびCgとコンダクタンスCvの値から、時定数T1およびT2を算出することができる。算出された時定数T1,T2は記憶部23に記憶される。
なお、上述の第1の推定方法により時定数T1,T2を算出する構成の場合、後述する第2の推定方法を採用する場合と異なり、時定数T1,T2の算出に関しては図1のラーニング処理部24は必須ではない。
第1の推定方法では、チャンバ容積Vc、真空ゲージ5の容積Vg、ゲージ配管51のコンダクタンスCgおよびコンダクタンスCvの設計値から時定数T1およびT2を推定する。チャンバ容積Vc、真空ゲージ5の容積Vg、ゲージ配管51のコンダクタンスCgの値は、真空チャンバ3や真空ゲージ5の設計図面の寸法に基づいて計算することができる。また、コンダクタンスCvは、圧力制御バルブ1の仕様書から知ることができる。得られた計算値Vc,VgおよびCgとコンダクタンスCvの値から、時定数T1およびT2を算出することができる。算出された時定数T1,T2は記憶部23に記憶される。
なお、上述の第1の推定方法により時定数T1,T2を算出する構成の場合、後述する第2の推定方法を採用する場合と異なり、時定数T1,T2の算出に関しては図1のラーニング処理部24は必須ではない。
(第2の推定方法)
第2の推定方法では、真空チャンバ3にガスが流入している状態で弁体11の開度を変化させた場合の圧力計測値Pgに基づいて、時定数T1およびT2を演算部22で推定する。演算部22で推定された時定数T1,T2は記憶部23に記憶される。
第2の推定方法では、真空チャンバ3にガスが流入している状態で弁体11の開度を変化させた場合の圧力計測値Pgに基づいて、時定数T1およびT2を演算部22で推定する。演算部22で推定された時定数T1,T2は記憶部23に記憶される。
一般には、図1のような真空システムを組み上げた後に、ガスを流入させた状態で種々の開度θにおける圧力値を測定して、容積Vc等のプラントパラメータや、排気系を装置に装着した状態における排気速度S(Q,θ)を取得する、ラーニング処理を行う場合が多い。ラーニングに関する一連の処理は、図1のバルブ制御装置1bのラーニング処理部24において行われる。第2の推定方法では、このラーニング処理により取得されたデータに基づいて時定数T1およびT2の推定を行う。
図9は、ラーニング処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図10は、ラーニング処理時における開度θおよびチャンバ内圧力を示す図である。図10においてラインL31は開度θを示し、ラインL32は真空ゲージ5により計測される圧力計測値Pgを示す。なお、チャンバ内圧力Pcが安定した状態では、圧力値Pcは真空ゲージ5の圧力計測値Pgとほぼ一致するが、開度θを変更した直後は後述するようにチャンバ内圧力Pcの変化に対して圧力計測値Pgが遅れて変化する。図10では、真空ゲージ5の圧力計測値Pgをチャンバ内圧力として示している。
図9のステップS1では、所定流量Qinのガスをガス流入部31から真空チャンバ3内に流入させる。そして、圧力計測値Pgが安定するまで待つ。所定流量Qinとしては、例えば、実際に行われるプロセス処理の代表的なガス流入量にほぼ近い流量に設定する。そのように設定することで、実際の使用状況と同様の条件における排気速度S(Q,θ)や容積Vc等が取得できる。
ステップS2では、複数の開度θ(i)における圧力を取得する処理を行う。なお、i=1〜N(正の整数)である。図10に示す例では、θ=100%であって圧力計測値Pgが安定している時刻t1において、開度θを100%からθ(1)=0%へと変更する。開度変更により圧力計測値Pgは上昇するが、圧力計測値Pgが安定してほぼ一定値となったならば、真空ゲージ5の圧力計測値Pg(1)を取得する。取得時にはチャンバ内圧力Pcは安定しているので、ほぼPc=Pgとなっている。同様に、複数の開度θ(2),θ(3),・・・,θ(N)=100%に対して圧力計測値Pg(2),Pg(3),・・・,Pg(N)を取得する。
ステップS3では、図10の時刻taにおいて開度θを100%→0%と変更し、その後の圧力計測値Pgの変化から圧力上昇時定数Tupを計測する。圧力上昇時定数Tupとは、時刻taからの圧力上昇が、圧力安定時の圧力差ΔPgに対して約0.63ΔPgとなるまでの時間である。さらに、時刻tbにおいて開度θを0%→100%と変更し、その後の圧力計測値Pgの変化から圧力下降時定数Tdownを計測する。圧力下降時定数Tdownとは、時刻tbからの圧力下降が、圧力安定時の圧力降下の約63%となるまでの時間である。
ステップS4では、ステップS2で取得した流量Qinと開度θ(1)〜θ(N)における圧力計測値Pg(2)〜Pg(N)とに基づいて、流量Qinの場合における排気系の排気速度S(Qin,θ(i))を式(10)により演算する。ただし、i=1〜Nである。
S(Qin,θ(i))=Qin/Pc(i) ・・・(10)
S(Qin,θ(i))=Qin/Pc(i) ・・・(10)
ステップS5では、ステップS3で取得した圧力上昇時定数Tupおよび圧力下降時定数Tdownに基づいて、プラントパラメータを演算する。なお、ステップS4およびS5の演算はバルブ制御装置1bの演算部22(図1参照)において行われる。
前述の圧力計測値Pgの1次遅れにおいて説明したように、圧力計測値Pgの時間変化は式(6)のように表された。式(6)を時間微分すると式(11)となり、式(11)のdPc/dtは前述の式(3)を変形した式(12)の右辺のように表され、式(12)の右辺のPcは式(6)を変形した式(13)の右辺のように表される。
dPg/dt=(Pc−Pg)Cg/Vg …(6)
(Vg/Cg)d2Pg/dt2=dPc/dt−dPg/dt …(11)
dPc/dt=Qin/Vc−(Cv/Vc)(Pc−Pp) …(12)
Pc=(Vg/Cg)dPg/dt+Pg …(13)
dPg/dt=(Pc−Pg)Cg/Vg …(6)
(Vg/Cg)d2Pg/dt2=dPc/dt−dPg/dt …(11)
dPc/dt=Qin/Vc−(Cv/Vc)(Pc−Pp) …(12)
Pc=(Vg/Cg)dPg/dt+Pg …(13)
よって、式(12)、(13)から次式(14)が得られ、式(14)を式(11)に代入すると、圧力計測値Pgに関する式(15)が得られる。式(15)において(d2Pg/dt2)を含む2次の項を無視すると、式(15)は次式(16)で近似でき、圧力計測値Pgは{(Vc/Cv)+(Vg/Cg)}のような時定数を持つ一次遅れ系とみなすことができる。
dPc/dt=Qin/Vc
−(Cv/Vc){(Vg/Cg)dPg/dt+Pg−Pp} …(14)
(Vc/Cv)(Vg/Cg)d2Pg/dt2+{(Vc/Cv)+(Vg/Cg)}dPg/dt
=Qin/Cv+Pp−Pg …(15)
{(Vc/Cv)+(Vg/Cg)}dPg/dt=Qin/Cv+Pp−Pg …(16)
dPc/dt=Qin/Vc
−(Cv/Vc){(Vg/Cg)dPg/dt+Pg−Pp} …(14)
(Vc/Cv)(Vg/Cg)d2Pg/dt2+{(Vc/Cv)+(Vg/Cg)}dPg/dt
=Qin/Cv+Pp−Pg …(15)
{(Vc/Cv)+(Vg/Cg)}dPg/dt=Qin/Cv+Pp−Pg …(16)
以上の結果をシミュレーション結果と対比する。ここでは、次のようなプラントモデルでシミュレーション計算した。
・Vc:チャンバ容積[L]=40[L]
・Cv(0):開度0%のバルブコンダクタンス=12.66[L/sec]
・Cv(100):開度100%のバルブコンダクタンス=3000[L/sec]
・Vg:真空ゲージ容積[L]=0.34[L]
・Cg:真空ゲージコンダクタンス[L/sec]=0.8[L/sec]
・Qin:ラーニング時のガス流量(アルゴンガス)=200[sccm]
=2534[mtorr・L/sec]
=338[Pa・L/sec]
・Vc:チャンバ容積[L]=40[L]
・Cv(0):開度0%のバルブコンダクタンス=12.66[L/sec]
・Cv(100):開度100%のバルブコンダクタンス=3000[L/sec]
・Vg:真空ゲージ容積[L]=0.34[L]
・Cg:真空ゲージコンダクタンス[L/sec]=0.8[L/sec]
・Qin:ラーニング時のガス流量(アルゴンガス)=200[sccm]
=2534[mtorr・L/sec]
=338[Pa・L/sec]
図11は開度θを100%→0%と変化させた場合のシミュレーション結果を示し、図12は開度θを0%→100%と変化させた場合のシミュレーション結果を示す。図11,12のいずれにおいても、(a)は圧力Pc,Pgを示し、(b)は開度指令値と開度計測値を示し、(c)はバルブコンダクタンスCvを示す。
図11(a)において、ラインL40はチャンバ内圧力Pcの変化を示し、ラインL41は真空ゲージ5の圧力計測値Pgを示す。図11(b)において、ラインL42は開度指令値を示し、ラインL43は実際の開度変化を表している。時刻taにおいて開度指令値が100%→0%と変化するが、ラインL43に示すように実際に開度θが0%となるのは時刻taよりも後の時刻ta1となる。
図11(a)の圧力計測値PgのラインL41の圧力が0.63ΔPc(=0.63ΔPg)となるまでの時間が、上述した圧力上昇時定数Tupである。チャンバ内圧力PcのラインL40の圧力が上述した0.63ΔPcとなるまでの時間が、上述した時定数(Vc/Cv)である。そして、圧力上昇時定数Tupから時定数(Vc/Cv)を差し引いた時間が上述した時定数(Vg/Cg)である。
図12(a)において、ラインL50はチャンバ内圧力Pcの変化を示し、ラインL51は真空ゲージ5の圧力計測値Pgを示す。図12(b)において、ラインL52は開度指令値を示し、ラインL53は実際の開度変化を表している。時刻tbにおいて開度指令値が0%→100%と変化するが、ラインL53に示すように実際に開度θが100%となるのは時刻tbよりも後の時刻tb1となる。
図12(a)のラインL51の圧力減少値が0.63ΔPc(=0.63ΔPg)となるまでの時間が、上述した圧力下降時定数Tdownである。チャンバ内圧力PcのラインL50の圧力減少値が0.63ΔPcとなるまでの時間が、時定数(Vc/Cv)である。そして、圧力下降時定数Tdownから時定数(Vc/Cv)を差し引いた時間が、時定数(Vg/Cg)である。
(Vcの推定)
図11(a)に示す圧力上昇時定数Tupは開度θが0%の時のラインL41から求まるので、次式(17)で表される。一方、図12(a)に示す圧力下降時定数Tdownは開度θが100%の時のラインL51から求まるので、次式(18)で表される。式(17),(18)から差分=Tup−Tdownは式(19)のようになる。ここで、Vc/Cv(0)と比べてVc/Cv(100)は十分に小さいので式(19)の右辺第2項を無視すると、真空チャンバ3の容積Vcは式(20)で算出されることになる。
Tup=Vc/Cv(0)+Vg/Cg …(17)
Tdown=Vc/Cv(100)+Vg/Cg …(18)
Tup−Tdown=Vc/Cv(0)−Vc/Cv(100) …(19)
Vc=Cv(0)・(Tup−Tdown) …(20)
図11(a)に示す圧力上昇時定数Tupは開度θが0%の時のラインL41から求まるので、次式(17)で表される。一方、図12(a)に示す圧力下降時定数Tdownは開度θが100%の時のラインL51から求まるので、次式(18)で表される。式(17),(18)から差分=Tup−Tdownは式(19)のようになる。ここで、Vc/Cv(0)と比べてVc/Cv(100)は十分に小さいので式(19)の右辺第2項を無視すると、真空チャンバ3の容積Vcは式(20)で算出されることになる。
Tup=Vc/Cv(0)+Vg/Cg …(17)
Tdown=Vc/Cv(100)+Vg/Cg …(18)
Tup−Tdown=Vc/Cv(0)−Vc/Cv(100) …(19)
Vc=Cv(0)・(Tup−Tdown) …(20)
式(20)に実際に計測されたTup=3.72[sec]およびTdown=0.540[sec]を代入すると、容積VcはVc=12.66×(3.72−0.54)=40.25[L]と算出される。シミュレーションではVc=40[L]としているので、40[L]に近い算出値が得られた。式(20)のCv(0)としては、予め記憶部23に記憶されているバルブコンダクタンスデータを用いても良いし、図10のようにラーニングにおいてバルブコンダクタンスデータも同時に取得するような場合には、ラーニングにより取得されたCv(0)値を用いても良い。また、Tup,TdownにはステップS3で計測されたTup,Tdownを使用する。算出された容積Vcは図1の記憶部23に記憶される。
(Vg/Cgの推定)
時定数Vg/Cgは、例えば、式(18)に基づく次式(21)で算出することができる。式(20)のVcおよびCv(100)については、予め記憶されているチャンバ容積およびバルブコンダクタンスのデータを用いても良いし、ラーニングにより取得されたVc値およびCv(100)値を用いても良い。また、Tdownには図9のステップS3で計測された値が用いられる。なお、Tmdはモータムダ時間(motor delay time)であり、例えば、実際のモータ特性に基づいて設定される。また、Vg/Cg=0としてモデルを作成した場合のTdown値を用いても良い。
Vg/Cg=Tdown−Vc/Cv(100)−Tmd …(21)
時定数Vg/Cgは、例えば、式(18)に基づく次式(21)で算出することができる。式(20)のVcおよびCv(100)については、予め記憶されているチャンバ容積およびバルブコンダクタンスのデータを用いても良いし、ラーニングにより取得されたVc値およびCv(100)値を用いても良い。また、Tdownには図9のステップS3で計測された値が用いられる。なお、Tmdはモータムダ時間(motor delay time)であり、例えば、実際のモータ特性に基づいて設定される。また、Vg/Cg=0としてモデルを作成した場合のTdown値を用いても良い。
Vg/Cg=Tdown−Vc/Cv(100)−Tmd …(21)
なお、式(20)に代えて、式(17)に基づく次式(22)により時定数Vg/Cgを推定しても良い。ただし、式(17)を使用する場合、図11(a)からもわかるようにTupおよびVc/Cv(0)の値が近接しているので、測定誤差の影響を受けやすい。
Vg/Cg=Tup−Vc/Cv(0)−Tmd …(22)
Vg/Cg=Tup−Vc/Cv(0)−Tmd …(22)
上述した第2の推定方法を用いるバルブ制御装置1bでは、真空チャンバ3に所定流量のガスが流入している状態で圧力制御バルブ1を第1開度から第2開度に減少させた場合の圧力計測値Pgの圧力上昇時定数(Tup)、および、真空チャンバ3に所定流量のガスが流入している状態で圧力制御バルブ1を第2開度から第1開度に増加させた場合の圧力計測値Pgの圧力下降時定数(Tdown)に基づいて真空チャンバ3の容積Vcを推定し、得られた圧力上昇時定数(Tup)または圧力下降時定数(Tdown)に基づいて比Vg/Cgを推定する演算部22をさらに備え、2次進み補償器40は、演算部22により推定された容積VcとバルブコンダクタンスCvとの比Vc/Cv、および、演算部22により推定された比Vg/Cgに基づいて補償を行う。
容積Vc,Vgが未知の真空システムであっても、このように演算部22により真空チャンバ3の容積Vcおよび比Vg/Cgを推定することで、適切な2次進み補償器40を設定することができる。
−第2の実施の形態−
上述した第1の実施の形態では、2次遅れシステムに対して2次の進み補償器40で表される補償を演算部22で行うことによって、時定数T1のチャンバ1次遅れおよび時定数T2の真空計1次遅れを補償するような構成とした。2次進み補償器40は、チャンバ1次遅れに対応した伝達関数(1+L1×S)で表される1次進みフィルタである1次進み補償器400と、真空計1次遅れに対応した伝達関数(1+L2×S)で表される1次進みフィルタである1次進み補償器401とを備えている。
上述した第1の実施の形態では、2次遅れシステムに対して2次の進み補償器40で表される補償を演算部22で行うことによって、時定数T1のチャンバ1次遅れおよび時定数T2の真空計1次遅れを補償するような構成とした。2次進み補償器40は、チャンバ1次遅れに対応した伝達関数(1+L1×S)で表される1次進みフィルタである1次進み補償器400と、真空計1次遅れに対応した伝達関数(1+L2×S)で表される1次進みフィルタである1次進み補償器401とを備えている。
1次進みフィルタ(1+L1×S),(1+L2×S)の位相補償リードゲインL1,L2は式(8),(9)に示したように、チャンバ内圧力Pcの時定数T1および圧力計測値Pgの時定数T2に等しく設定される。すなわち、1次進みフィルタの伝達関数は(1+T1×S),(1+T2×S)のように表される。このような1次進みフィルタ(1+T1×S),(1+T2×S)を演算に加えることで、調圧制御性能が良くなる。一方で、上述のような進み要素を加えると、高周波帯域のゲインが上がりすぎて圧力センサ信号のノイズ影響を受け易くなるなどの悪影響が出るおそれがある。
そこで、本実施の形態では、外乱ノイズの影響を抑制する遅れフィルタを設けるようにした。具体的には、図14に示すように、上述した1次進みフィルタ(1+T1×S),(1+T2×S)に加えて、各1次進みフィルタに対して次式(23),(24)で表される1次遅れフィルタ211,212を設けるようにした。
1/(1+a×T1×S) …(23)
1/(1+a×T2×S) …(24)
1/(1+a×T1×S) …(23)
1/(1+a×T2×S) …(24)
1次進みフィルタ(1+T1×S),(1+T2×S)のカットオフ周波数Fc1,Fc2[Hz]は、Fc1=1/(2π×T1)、Fc2=1/(2π×T2)となる。一方、式(23),(24)で表される1次遅れフィルタ211,212のカットオフ周波数Fc3,Fc4[Hz]は、Fc3=1/(2π×a×T1)、Fc4=1/(2π×a×T2)となる。係数aは、1次遅れフィルタ211,212で阻止される周波数域が、1次進みフィルタ(1+T1×S),(1+T2×S)のカットオフ周波数Fc1,Fc2よりも高い帯域となるように設定される。例えば、カットオフ周波数Fc3,Fc4を、それぞれカットオフ周波数Fc1,Fc2の10〜100程度となるように設定する。
また、調圧制御の応答性、すなわち調圧速度への影響を小さくするために、1次遅れフィルタ211,212のカットオフ周波数Fc3,Fc4は、弁体駆動用のモータ12に起因する外乱ノイズの影響を低減すると共に、モータ12が追随可能な周波数に設定する。例えば、モータ12が、弁体開度0%から100%までの最大駆動範囲を0.1[sec]で駆動可能なモータである場合には、開閉に0.2[sec]を要するので、周波数は1/(2π×0.2[sec])=0.796[Hz]程度となる。すなわち、0.796[Hz]よりも高い周波数成分が1次遅れフィルタ211,212により阻止されるので、調圧速度への影響を小さい。
図15は、時定数T2が0.425[sec]である場合の1次進みフィルタ(1+T2×S)のボード線図を示したものである。この場合、伝達関数は(0.425S+1)であって、カットオフ周波数Fc2は0.374[Hz]である。図15に示すように、ゲインは右肩上がりに上昇し、高周波側のゲインが上がりすぎてしまうのが分かる。
図16は、図15に示した1次進みフィルタ(1+T2×S)に対して、モータ12が追随可能なカットオフ周波数を有する1次遅れフィルタを追加した場合の、1次進み遅れフィルタのボード線図を示したものである。ここでは、1次遅れフィルタのカットオフ周波数Fc4はFc2の10倍(すなわち、a=0.1)である3.74[Hz]に設定する。3.74[Hz]であれば、上述した5[Hz]よりも若干周波数が低いが調圧速度への影響を小さくできる。1次進みフィルタと1次遅れフィルタとを合わせた1次進み遅れフィルタの伝達関数は、(0.425S+1)/(0.0425S+1)となる。ゲインは20[dB]付近で頭打ちとなり、高周波側のゲインが抑えられることが分かる。すなわち、弁体駆動用のモータ12に起因する外乱ノイズの影響を低減することができる。
図17は、フィルタ設定手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1からステップS5まで処理は、図9に示したステップS1からステップS5までの処理と同様であり、説明を省略する。ステップS6では、位相進みフィルタを設定する。ステップS5で算出されたプラントパラメータ(図14のK1,K2,T1,T2)に基づいて、図3の1次進みフィルタ(1+L1×S)、(1+L2×S)を設定する。なお、L1=T1,L2=T2である。
ステップS7では、位相遅れフィルタ、すなわち、1次遅れフィルタ211,212を設定する。ここでは、上述したようにモータ12の駆動条件に基づいて、1次遅れフィルタ211,212のカットオフ周波数Fc3,Fc4、すなわち係数aを設定する。続いて、ステップS8では、ステップS6およびステップS7のフィルタ設定に関して制御系全体の位相余裕度を計算する。ステップS9では、ステップS8の位相余裕度に基づいて、全体のPゲイン、Iゲインを設定する。すなわち、位相余裕度が大きい場合には許容される範囲においてP、Iを上げることにより、調圧精度の向上を図る。
図18,19はゲイン余裕度および位相余裕度を説明する図である。プラントパラメータをT1=0.575、K1=1、T2=0.425、K2=1、制御側のパラメータを全体ゲインK=10、L1=T1=0.575、L2=T2=0.425とし、一巡伝達関数を求めた。なお、1次遅れフィルタの係数aいついては、a=0.1と、a=0.01の2つについて余裕度を比較した。ここでは、位相余裕度として+45[deg]程度を持たせるものとした。
図18は、a=0.1の場合のボード線図である。位相余裕度PmはPm=44.3[deg]なので、全体ゲインK=10はほぼ最適な結果となっている。
図19は、a=0.01の場合のボード線図である。位相余裕度PmはPm=84.3[deg]なので十分余裕があり、K=100程度まで全体ゲインKを上げることができる。図20は、全体ゲインKを10から100へと変化させた場合のボード線図である。位相余裕度PmはPm=44.3[deg]なので、K=100でほぼ最適となる。
(変形例1)
上述したように、進み要素を加えた場合には高周波帯域のゲインが上がりすぎる。それに対応するために、上述した第2の実施の形態では、図17のステップS7の位相遅れのフィルタの設定において、モータ12に起因する外乱ノイズの影響を低減すると共に、調圧速度への影響を考慮して、1次遅れフィルタ211,212のカットオフ周波数Fc3,Fc4をモータ12が追随可能な周波数に設定した。しかし、外乱ノイズとしてはモータ12に起因するもの以外に、圧力センサ信号のノイズ等がある。変形例1では、圧力センサ信号のノイズ影響を低減するために、圧力センサ信号のノイズ量に基づいて1次遅れフィルタ211,212のカットオフ周波数Fc3,Fc4を設定する場合について説明する。
上述したように、進み要素を加えた場合には高周波帯域のゲインが上がりすぎる。それに対応するために、上述した第2の実施の形態では、図17のステップS7の位相遅れのフィルタの設定において、モータ12に起因する外乱ノイズの影響を低減すると共に、調圧速度への影響を考慮して、1次遅れフィルタ211,212のカットオフ周波数Fc3,Fc4をモータ12が追随可能な周波数に設定した。しかし、外乱ノイズとしてはモータ12に起因するもの以外に、圧力センサ信号のノイズ等がある。変形例1では、圧力センサ信号のノイズ影響を低減するために、圧力センサ信号のノイズ量に基づいて1次遅れフィルタ211,212のカットオフ周波数Fc3,Fc4を設定する場合について説明する。
図21,22は圧力計測値のノイズの影響を説明する図であり、圧力応答のシミュレーション結果を示す。図21は、圧力指示値Psが0.25[Pa]から2[Pa]に変更された場合の圧力応答を示す。図22は、開度の推移のシミュレーション結果を示す。シミュレーションでは、ノイズが無い場合と、0.00001[Pa]のノイズがある場合と、0.00002[Pa]のノイズがある場合とを計算した。なお、1次進みフィルタの伝達関数(1+L1×S)、(1+L2×S)はそれぞれ(0.425S+1)、(0.575S+1)とした。
図21において、ラインL60は圧力指示値Psの推移を示し、ラインL61はノイズが無い場合および0.00001[Pa]のノイズがある場合を示し、ラインL62は0.00002[Pa]のノイズがある場合を示す。0.00001[Pa]のノイズがある場合はノイズが無い場合とほぼ同じであったので、同一のラインL61で示した。なお、図21は、圧力範囲1.95[Pa]〜2.05[Pa]の範囲を拡大して示したものであり、0.25[Pa]〜1.95[Pa]の圧力範囲のラインL60〜L62は図示を省略している。
図22において、ラインL63はノイズが無い場合を示し、ラインL64は0.00001[Pa]のノイズがある場合を示し、ラインL65は0.00002[Pa]のノイズがある場合を示す。ラインL63〜L65で示す開度の推移をみると、ノイズが無い場合(ラインL63)には、いったん開度が0[%]とされた後に、速やかに最終的な開度(約8[%])に収束している。ノイズが0.00001[Pa]の場合(ラインL64)には、51[sec]以後も最終的な開度に対してわずかに上下している。しかし、上下動が非常に小さいので、図21の圧力応答では、ラインL61で示したようにノイズが無い場合とほとんど差がない。
一方、ノイズが0.00002[Pa]の場合(ラインL65)には、51[sec]以後も開度が安定せず、最終的な開度(約8[%])に対して8〜10[%]の幅で上下している。そのため、図21の圧力応答では、ラインL62に示すように圧力が圧力指示値Ps=2[Pa]に対して上下に振動しており、圧力安定性に問題がある。
図23,24は、図21,22における進みフィルタ(0.425S+1)×(0.575S+1)に加えて、伝達関数が1/(0.0425S+1)、1/(0.0575S+1)である1次遅れフィルタ211、212を適用した場合のシミュレーション結果を示したものである。
圧力応答を示す図23において、ラインL60は圧力指示値Psの推移を示し、ラインL62は0.00002[Pa]のノイズがあるときに遅れフィルタを適用しなかった場合を示し、ラインL70は0.00002[Pa]のノイズがあるときに上述の遅れフィルタを適用した場合を示す。ラインL60,L62は図21に示すラインL60,L62と同一のものである。開度の推移を示す図24において、ラインL71は0.00002[Pa]のノイズがあるときに上述の遅れフィルタを適用した場合を示す。ラインL65は0.00002[Pa]のノイズがあるときに遅れフィルタを適用しなかった場合を示し、図22のラインL65と同一のものである。
遅れフィルタを適用した場合(ラインL71)には、開度はいったん0[%]とされてから上昇したときに若干振動的になるが、速やかに振動の振幅が小さくなり、53[sec]の手前からは最終的な開度(約8[%])に収束している。遅れフィルタを適用していない場合のラインL65と比較すると、明らかに制御の安定性が向上し、調圧時間が短縮されている。
圧力計測値ノイズの影響を低減するように1次遅れフィルタ211、212のカットオフ周波数を設定する場合も、カットオフ周波数をモータ12が追随可能な周波数に設定する場合と同様に、図17に示したフローチャートに基づいて設定される。図17のステップS2では、複数開度における圧力値が取得されるが、その際に、圧力計測器で圧力を計測する際のフルスケールに対するノイズ量をS/N比として取得する。ステップS2では複数開度において圧力値を取得しているので、S/N比についても複数開度のそれぞれについて取得される。
記憶部23には、S/N比と係数aとの相関関係を表す相関データが予め記憶されている。この相関データは、図23、24に示すようなシミュレーション等により得ることができる。圧力計測値のノイズ情報であるS/N比は、圧力計測器の計測精度のカタログ値を用いても良いし、図1に示すような装置構成において実測される圧力計測値のS/N比を用いても良い。
実測により取得する場合、例えば、図17のステップS2で取得された複数のS/N比の平均値を算出し、そのS/N比平均値と記憶部23に記憶されている相関データとに基づいて係数aを設定する。ステップS7のフィルタ設定では、ステップS2で取得された複数のS/N比から係数aを決定するためのS/N比を決定し、そのS/N比と記憶部23に記憶されている相関データとに基づいて係数aを設定する。例えば、係数aを決定するためのS/N比としては、例えば、複数のS/N比の平均値を用いる。
(変形例2)
また、圧力計測値ノイズから決定されるカットオフ周波数と、モータ追随性に基づいて決定されるカットオフ周波数とを比較し、周波数が低い方のカットオフ周波数で係数aを決定するようにしても良い。モータ追随性を確保しつつ、圧力計測値ノイズの影響を排除することができる。
また、圧力計測値ノイズから決定されるカットオフ周波数と、モータ追随性に基づいて決定されるカットオフ周波数とを比較し、周波数が低い方のカットオフ周波数で係数aを決定するようにしても良い。モータ追随性を確保しつつ、圧力計測値ノイズの影響を排除することができる。
(変形例3)
上述した実施の形態では、2次の進み補償に加えて2次の遅れ補償を施したが、2つの1次遅れフィルタ211、212の内、カットオフ周波数の低い方の1次遅れフィルタのみを適用する1次の遅れ補償であっても良い。
上述した実施の形態では、2次の進み補償に加えて2次の遅れ補償を施したが、2つの1次遅れフィルタ211、212の内、カットオフ周波数の低い方の1次遅れフィルタのみを適用する1次の遅れ補償であっても良い。
上述した複数の例示的な実施の形態および変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
[1]一態様に係るバルブ制御装置は、圧力制御バルブが設けられたチャンバの圧力計測値と前記チャンバの圧力目標値との差に基づいて、前記圧力制御バルブの開度を制御する開度制御部を備え、前記開度制御部は、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れおよびチャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する2次の進み補償器を有し、前記開度制御部は、前記差に対して前記2次の進み補償器による補償を施し、補償後の前記差に基づいて前記圧力制御バルブの開度を制御する。
例えば、図2に示すように、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れおよびチャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する2次の進み補償器40を備えることで、チャンバ1次遅れおよび真空計1次遅れが補償され、調圧動作の高速化を図ることができる。
[2]上記[1]に記載のバルブ制御装置において、前記2次の進み補償器は、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れを補償する第1の進み補償器と、チャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する第2の進み補償器との直列接続を含む、バルブ制御装置。例えば、図3に示すように、2次の進み補償器40は、伝達関数(1+L1×S)で表される1次進み補償器400と、伝達関数(1+L2×S)で表される1次進み補償器401との直列接続を含む。
[3]上記[2]に記載のバルブ制御装置において、前記第1の進み補償器は、前記チャンバの容積VcとバルブコンダクタンスCvとの比Vc/Cvに基づいて補償を行い、 前記第2の進み補償器は、前記チャンバの圧力を計測する真空ゲージの容積および前記真空ゲージが取り付けられているゲージ配管の容積の和Vgと前記ゲージ配管のコンダクタンスCgとの比Vg/Cgに基づいて補償を行う。このように比Vc/Cvに基づく補償と、比Vg/Cgに基づく補償とを行うことによって、チャンバ1次遅れおよび真空計1次遅れが補償され、調圧動作の高速化を図ることができる。
[4]上記[3]に記載のバルブ制御装置において、前記チャンバに所定流量のガスが流入している状態で前記圧力制御バルブを第1開度から第2開度に減少させた場合の前記圧力計測値の圧力上昇時定数、および、前記チャンバに所定流量のガスが流入している状態で前記圧力制御バルブを前記第2開度から前記第1開度に増加させた場合の前記圧力計測値の圧力下降時定数に基づいて前記容積Vcを推定し、前記圧力上昇時定数または前記圧力下降時定数に基づいて前記比Vg/Cgを推定する推定器をさらに備え、 前記2次の進み補償器は、前記推定器により推定された前記容積VcとバルブコンダクタンスCvとの比Vc/Cv、および、前記推定器により推定された前記比Vg/Cgに基づいて補償を行う。
その結果、例えば、容積Vc,Vgが未知の真空システムであっても、演算部22により真空チャンバ3の容積Vcおよび比Vg/Cgを推定することで、適切な2次進み補償器40を設定することができる。
[5]上記[3]または[4]に記載のバルブ制御装置において、前記開度制御部はPIDフィードバック制御により制御を行い、前記PIDフィードバック制御の比例ゲインは前記比Vc/Cvと前記比Vg/Cgとの和に比例し、前記PIDフィードバック制御の微分ゲインは前記比Vc/Cvと前記比Vg/Cgとの積に比例する。このように構成することにより、2次進み補償を既存のPIDコントローラに適用することができる。
[6]上記[1]から[5]までのいずれかに記載のバルブ制御装置において、前記開度制御部は外乱ノイズの影響を低減する遅れ補償器をさらに備える。上記のような2次進み補償器を設けると、高周波帯域のゲインが大きくなりすぎて、外乱ノイズの影響を受けやすくなり制御が不安定になる等の悪影響が出る。しかし、図14の1次遅れフィルタ211、212のような遅れ補償器を備えることで、外乱ノイズの影響が低減され、制御安定性の向上を図ることができ、調圧時間の短縮を図ることができる。
[7]上記[2]から[5]までのいずれかを引用する[6]に記載のバルブ制御装置において、前記遅れ補償器は、前記第1の進み補償器のカットオフ周波数よりも高周波数のカットオフ周波数を有する第1の遅れ補償器と、前記第2の進み補償器のカットオフ周波数よりも高周波数のカットオフ周波数を有する第2の遅れ補償器との少なくとも一方を含み、前記開度制御部は、前記2次の進み補償器および前記遅れ補償器による補償を施した後の前記差に基づいて前記圧力制御バルブの開度を制御する。
例えば、図14に示す1次遅れフィルタ211のカットオフ周波数を1次進み補償器400のカットオフ周波数よりも高く設定することで、高周波帯域のゲインの上昇を抑えることができる。それにより、外乱ノイズの影響を低減することができる。1次遅れフィルタ212についても同様である。
[8]上記[7]に記載のバルブ制御装置において、前記第1および第2の遅れ補償器のカットオフ周波数は、前記圧力制御バルブの弁体駆動モータが追随可能な周波数に設定される。第1および第2の遅れ補償器のカットオフ周波数をそのように設定することで、第1および第2の遅れ補償器による調圧速度への影響を小さくすることができる。
[9]上記[7]または[8]に記載のバルブ制御装置において、前記第1および第2の遅れ補償器のカットオフ周波数は、前記チャンバへのガス流入時における圧力計測値ノイズ情報に基づいて決定される。それにより、チャンバに流入するガスの種類や流量に即した遅れ補償を行うことができる。
[10]一態様に係る圧力制御バルブは、弁体と、前記弁体を駆動する弁体駆動モータと、前記弁体駆動モータを制御して前記弁体の開度を制御する上記[1]から[9]までのいずれか一項に記載のバルブ制御装置と、を備える。それにより、圧力制御バルブによる調圧時間をより短縮することができる。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。例えば、上述したバルブ制御装置1bでは、真空チャンバ3の容積Vcおよび比Vg/Cgを推定する演算部22およびラーニング処理部24を含む構成としたが、演算部22およびラーニング処理部24を備えていなくても良いし、別装置として設けられた演算部22およびラーニング処理部24をバルブ制御装置1bに接続して用いるような構成としても良い。
1…圧力制御バルブ、1a…バルブ本体、1b…バルブ制御装置、3…真空チャンバ、5…真空ゲージ、21,210…開度制御部、22…演算部、23…記憶部、24…ラーニング処理部、40…2次進み補償器、51…ゲージ配管、211,212…1次遅れフィルタ、400,401…1次進み補償器、Cv…バルブコンダクタンス、Vc…チャンバ容積、Pc…チャンバ内圧力、Pg…圧力計測値、Ps…圧力指示値、Tdown…圧力下降時定数、Tup…圧力上昇時定数
Claims (10)
- 圧力制御バルブが設けられたチャンバの圧力計測値と前記チャンバの圧力目標値との差に基づいて、前記圧力制御バルブの開度を制御する開度制御部を備え、
前記開度制御部は、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れおよびチャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する2次の進み補償器を有し、
前記開度制御部は、前記差に対して前記2次の進み補償器による補償を施し、補償後の前記差に基づいて前記圧力制御バルブの開度を制御する、バルブ制御装置。 - 請求項1に記載のバルブ制御装置において、
前記2次の進み補償器は、バルブ開度変化に対するチャンバ内圧力変化の遅れを補償する第1の進み補償器と、チャンバ内圧力変化に対する圧力計測値の変化の遅れを補償する第2の進み補償器との直列接続を含む、バルブ制御装置。 - 請求項2に記載のバルブ制御装置において、
前記第1の進み補償器は、前記チャンバの容積VcとバルブコンダクタンスCvとの比Vc/Cvに基づいて補償を行い、
前記第2の進み補償器は、前記チャンバの圧力を計測する真空ゲージの容積および前記真空ゲージが取り付けられているゲージ配管の容積の和Vgと前記ゲージ配管のコンダクタンスCgとの比Vg/Cgに基づいて補償を行う、バルブ制御装置。 - 請求項3に記載のバルブ制御装置において、
前記チャンバに所定流量のガスが流入している状態で前記圧力制御バルブを第1開度から第2開度に減少させた場合の前記圧力計測値の圧力上昇時定数、および、前記チャンバに所定流量のガスが流入している状態で前記圧力制御バルブを前記第2開度から前記第1開度に増加させた場合の前記圧力計測値の圧力下降時定数に基づいて前記容積Vcを推定し、前記圧力上昇時定数または前記圧力下降時定数に基づいて前記比Vg/Cgを推定する推定器をさらに備え、
前記2次の進み補償器は、前記推定器により推定された前記容積VcとバルブコンダクタンスCvとの比Vc/Cv、および、前記推定器により推定された前記比Vg/Cgに基づいて補償を行う、バルブ制御装置。 - 請求項3または4に記載のバルブ制御装置において、
前記開度制御部はPIDフィードバック制御により制御を行い、
前記PIDフィードバック制御の比例ゲインは前記比Vc/Cvと前記比Vg/Cgとの和に比例し、
前記PIDフィードバック制御の微分ゲインは前記比Vc/Cvと前記比Vg/Cgとの積に比例する、バルブ制御装置。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のバルブ制御装置において、
前記開度制御部は外乱ノイズの影響を低減する遅れ補償器をさらに備える、バルブ制御装置。 - 請求項2から請求項5までのいずれか一項を引用する請求項6に記載のバルブ制御装置において、
前記遅れ補償器は、前記第1の進み補償器のカットオフ周波数よりも高周波数のカットオフ周波数を有する第1の遅れ補償器と、前記第2の進み補償器のカットオフ周波数よりも高周波数のカットオフ周波数を有する第2の遅れ補償器との少なくとも一方を含み、
前記開度制御部は、前記2次の進み補償器および前記遅れ補償器による補償を施した後の前記差に基づいて前記圧力制御バルブの開度を制御する、バルブ制御装置。 - 請求項7に記載のバルブ制御装置において、
前記第1および第2の遅れ補償器のカットオフ周波数は、前記圧力制御バルブの弁体駆動モータが追随可能な周波数に設定される、バルブ制御装置。 - 請求項7または8に記載のバルブ制御装置において、
前記第1および第2の遅れ補償器のカットオフ周波数は、前記チャンバへのガス流入時における圧力計測値ノイズ情報に基づいて決定される、バルブ制御装置。 - 弁体と、
前記弁体を駆動する弁体駆動モータと、
前記弁体駆動モータを制御して前記弁体の開度を制御する請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のバルブ制御装置と、を備える圧力制御バルブ。
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