JP2020020973A - 偏光子、偏光板、および、画像表示装置 - Google Patents

偏光子、偏光板、および、画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】デザイン性に優れた画像表示装置を実現し得る偏光子を提供すること。【解決手段】本発明の偏光子は、染色部と非染色部とを有する。この非染色部は偏光子の外縁に沿った全周に形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光子、偏光板、および、画像表示装置に関する。より詳細には、デザイン性に優れた画像表示装置を実現し得る偏光子、この偏光子を含む偏光板、および、この偏光板を含む画像表示装置に関する。
偏光板は携帯電話およびノート型パーソナルコンピューター(PC)等の様々な画像表示装置に用いられている。近年、カメラ、および、各種センサーを備える画像表示装置が開発されている。このような画像表示装置に用いられる偏光子として、カメラに対応する部分を部分的に脱色した偏光子が提案されている(特許文献1)。最近、機能だけではなく、デザイン性にも優れた画像表示装置が求められている。例えば、ベゼル部分がより狭い画像表示装置、および、表示部分の段差がより小さい(フルフラットデザイン)の画像表示装置が提案されている。これらの高いデザイン性に関する要求にも対応可能な偏光子が求められている。
特開2014−112238号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的はデザイン性に優れた画像表示装置を実現し得る偏光子、この偏光子を含む偏光板、および、この偏光板を含む画像表示装置を提供することにある。
本発明の偏光子は、染色部と非染色部とを有する。この非染色部は該偏光子の外縁に沿った全周に形成されている。
1つの実施形態においては、上記非染色部は脱色部である。
1つの実施形態においては、上記非染色部の幅は1mm以上である。
本発明の別の局面においては、偏光板が提供される。本発明の偏光板は上記偏光子を備える。
本発明のさらに別の局面においては、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は上記偏光板を備える。
本発明によれば、デザイン性に優れた画像表示装置を実現し得る偏光子を提供することができる。本発明の偏光子は染色部と非染色部とを有しており、非染色部が偏光子の外縁に沿った全周に形成されている。当該非染色部においては、偏光子の色に影響されることなく様々な色彩を適用することができるため、外縁部のデザインの多様化を実現することができる。また、画像表示装置が備えるカメラおよび各種センサーの機能を偏光子が妨げることを防止し得る。そのため、画像表示装置が備える各種機能をより高度に発揮させることができる。さらに、本発明の偏光子を用いることにより、より段差が小さい(フラットな)画像表示装置を提供することができる。
本発明の1つの実施形態における偏光子の概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.偏光子
本発明の偏光子は、染色部と非染色部とを有する。この非染色部は、偏光子の外縁に沿った全周に形成されている。そのため、よりデザイン性に優れた画像表示装置を実現し得る偏光子を提供することができる。さらに、様々なセンサーおよびカメラ等の機能を搭載した画像表示装置においてもこれらの機能を妨げることを防止し、各種機能をより高度に発揮させることができる。
図1は本発明の1つの実施形態における偏光子の平面図である。図示例の偏光子10は、染色部12と非染色部11とを有する。図示例において、偏光子10は矩形である。図示例では偏光子10の外縁、すなわち四辺に沿った全周に非染色部12が形成されている。非染色部12が偏光子の外縁に沿った全周に形成されていることにより、よりデザイン性に優れた画像表示装置を提供することができる。また、スマートフォンおよびPC等の高機能画像表示装置では周縁部にカメラおよびセンサー等が備えられ得る。偏光子の外縁に沿った全周に非染色部が形成されていることにより、これらの機能が妨げられることを防止し、各種機能をより高度に発揮させることができる。
偏光子10は用いられる用途等に応じて任意の適切な形状に設計され得る。偏光子10の形状としては、例えば、矩形、円形、ひし形、異形等が挙げられる。
偏光子は代表的には樹脂フィルムをヨウ素等の二色性物質で染色することにより製造される。樹脂フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられ得る。好ましくは、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)が用いられる。PVA系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上100モル%未満であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子を得ることができる。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜4500、さらに好ましくは1500〜4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくはヨウ素が用いられる。非染色部が脱色した部分である場合、後述する塩基性溶液との接触により、非染色部が良好に形成され得るからである。
染色部12は、樹脂フィルムの二色性物質で染色された部分をいう。非染色部11は、二色性物質で染色しない部分であってもよく、二色性物質で染色した後、任意の適切な方法により脱色した部分であってもよい。非染色部は好ましくは二色性物質で染色した後、脱色した部分(脱色部)である。染色した後で脱色することにより、非染色部の強度が向上し得る。
非染色部の幅は、任意の適切な値に設定される。非染色部の幅は、好ましくは1mm以上であり、より好ましくは10mm以上である。非染色部の幅がこのような範囲であれば、偏光子の色抜けを好適に防止し得る。上記の通り、非染色部を設けることにより、画像表示装置のデザイン性の幅が拡大し得る。デザイン性の観点からは、非染色部の上限はなく、任意の適切な幅に設定することができる。
非染色部の透過率(例えば、23℃における波長550nmの光で測定した透過率)は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは90%以上である。このような透過率であれば、デザイン性に優れた画像表示装置を提供することができる。さらに、カメラやセンサー等の機能が妨げられることを防止し、各種機能をより高度に発揮させることができる。
偏光子(非染色部を除く)は、好ましくは波長380nm〜780nmの範囲で吸収二色性を示す。偏光子(非染色部を除く)の単体透過率(Ts)は、好ましくは39%以上、より好ましくは39.5%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは40.5%以上である。なお、単体透過率の理論上の上限は50%であり、実用的な上限は46%である。また、単体透過率(Ts)は、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値であり、例えば、顕微分光システム(ラムダビジョン製、LVmicro)を用いて測定することができる。偏光子(非染色部を除く)の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
偏光子の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。厚みは、代表的には0.5μm以上80μm以下であり、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下であり、さらに好ましくは18μm以下であり、特に好ましくは12μm以下であり、さらに特に好ましくは8μm未満である。厚みの下限値は好ましくは1μm以上である。厚みが薄いほど、脱色により非染色部を良好に形成することができる。例えば、後述の塩基性溶液を接触させる際、より短時間で非染色部を形成することができる。また、塩基性溶液を接触させた部分の厚みが他の部分よりも薄くなる場合がある。厚みが薄いことにより、塩基性溶液に接触させた部分と他の部分との厚みの差を小さくすることができる。
非染色部が脱色部である場合、脱色部の二色性物質の含有量は、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。脱色部の二色性物質の含有量がこのような範囲であれば、非染色部(脱色部)に所望の透明性を十分に付与することができる。一方、非染色部の二色性物質の含有量の下限値は、通常、検出限界値以下である。なお、二色性物質としてヨウ素を用いる場合、ヨウ素含有量は、例えば、蛍光X線分析で測定したX線強度から、予め標準試料を用いて作成した検量線により求められる。
B.偏光子の製造方法
本発明の偏光子は任意の適切な方法により製造することができる。例えば、樹脂フィルムに膨潤処理、延伸処理、ヨウ素等の二色性物質による染色処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等の各種処理を施すことにより製造することができる。非染色部が染色処理を施さないことにより形成される場合、任意の適切な保護材を用いて非染色部となる部分を保護した状態で染色処理等の各種処理を行うことにより、非染色部を形成することができる。また、非染色部が脱色部である場合、染色処理を施した偏光子の外縁に沿った全周に脱色処理を施すことにより、非染色部を形成することができる。代表的には、枚葉に切断された偏光子に脱色処理を施すことにより、非染色部を形成することができる。なお、各種処理を施す際、樹脂フィルムは、基材上に形成された樹脂層であってもよい。基材と樹脂層との積層体は、例えば、上記樹脂フィルムの形成材料を含む塗布液を基材に塗布する方法、基材に樹脂フィルムを積層する方法等により得ることができる。
染色処理は、代表的には二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液に樹脂フィルムを浸漬させる方法、樹脂フィルムに当該染色液を塗工する方法、当該染色液を樹脂フィルムに噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、染色液に樹脂フィルムを浸漬させる方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。
二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくはヨウ素が用いられる。後述する塩基性溶液との接触により、非染色部が良好に形成され得るからである。
染色処理を施さないことにより非染色部を形成する場合、樹脂フィルムの外縁に沿った全周(非染色部に相当する部分)を、任意の適切な保護材で保護し、染色処理を行うことが好ましい。具体的には、樹脂フィルムの保護材としては、例えば、保護フィルム、表面保護フィルムが挙げられる。保護フィルムは、偏光子の保護フィルムとしてそのまま利用され得るものある。表面保護フィルムは、偏光子の製造時に一時的に用いられるものである。表面保護フィルムは、任意の適切なタイミングで樹脂フィルムから取り除かれるため、代表的には、樹脂フィルムに粘着剤層を介して貼り合わされる。保護材の別の具体例としては、フォトレジスト等が挙げられる。
二色性物質としてヨウ素を用いる場合、染色液としては、ヨウ素水溶液が好ましく用いられる。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.04重量部〜5.0重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物としては、ヨウ化カリウムが好ましく用いられる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.3重量部〜15重量部である。
上記延伸処理において、樹脂フィルムは、代表的には3倍〜7倍に一軸延伸される。なお、延伸方向は、得られる偏光子の吸収軸方向に対応し得る。
非染色部が脱色部である場合、偏光子の脱色は任意の適切な方法で行うことができる。例えば、レーザーによる脱色、または、塩基性化合物を含む塩基性溶液との接触等が挙げられる。好ましくは塩基性溶液との接触である。塩基性溶液との接触により非染色部を形成することにより、経時的に非染色部の透明性を維持することができる。さらに、非染色部の強度が向上し得る。また、非染色部のバリア性を向上させ、偏光子の色抜けを防止することができる。
塩基性溶液の接触方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、樹脂フィルムに対し、塩基性溶液を滴下、塗工、スプレーする方法、樹脂フィルムを塩基性溶液に浸漬する方法が挙げられる。
塩基性溶液の接触に際し、所望の部位以外に塩基性溶液が接触しないように(脱色されないように)、任意の適切な保護材で偏光子を保護してもよい。保護材としては、上記の非染色部分を保護するために用いられる保護材が挙げられる。
上記塩基性化合物としては、任意の適切な塩基性化合物を用いることができる。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア水等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物が用いられ、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが用いられる。二色性物質を効率良くイオン化することができ、より簡便に非染色部を形成することができる。これらの塩基性化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基性溶液の溶媒としては、任意の適切な溶媒を用いることができる。具体的には、水、エタノール、メタノール等のアルコール、エーテル、ベンゼン、クロロホルム、および、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、イオン化した二色性物質が良好に溶媒へと移行し得ることから、水、アルコールが好ましく用いられる。
塩基性溶液の濃度は、例えば、0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、より好ましくは0.1N〜2.5Nである。濃度がこのような範囲であれば、所望の非染色部が良好に形成され得る。
塩基性溶液の液温は、例えば、20℃〜50℃である。樹脂フィルムと塩基性溶液との接触時間は、樹脂フィルムの厚みや、塩基性化合物の種類、および、塩基性溶液の濃度に応じて設定することができ、例えば、5秒間〜30分間である。
樹脂フィルムに塩基性溶液を接触させることにより、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物が残存し得る。また、樹脂フィルムに塩基性溶液を接触させることにより、接触部にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の金属塩が生成し得る。これらは水酸化物イオンを生成し得、生成した水酸化物イオンは、接触部周囲に存在する二色性物質(例えば、ヨウ素錯体)に作用(分解・還元)して、非染色領域を広げ得る。したがって、上記塩基性溶液との接触後、塩基性溶液を接触させた接触部において、樹脂フィルムに含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させることが好ましい。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を低減させることにより、寸法安定性に優れた非染色部を得ることができる。
上記低減方法としては、好ましくは、塩基性溶液との接触部に処理液を接触させる方法が用いられる。このような方法によれば、樹脂フィルムから処理液にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を移行させて、その含有量を低減させることができる。
処理液の接触方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、塩基性溶液との接触部に対し、処理液を滴下、塗工、スプレーする方法、塩基性溶液との接触部を処理液に浸漬する方法が挙げられる。
塩基性溶液の接触時に、任意の適切な保護材で樹脂フィルムを保護した場合、そのままの状態で処理液を接触させることが好ましい(特に、処理液の温度が50℃以上の場合)。このような形態によれば、塩基性溶液との接触部以外の部位において、処理液による偏光特性の低下を防止することができる。
上記処理液は、任意の適切な溶媒を含み得る。溶媒としては、例えば、水、エタノール、メタノール等のアルコール、エーテル、ベンゼン、クロロホルム、および、これらの混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を効率的に移行させる観点から、水、アルコールが好ましく用いられる。水としては、任意の適切な水を用いることができる。例えば、水道水、純水、脱イオン水等が挙げられる。
接触時の処理液の温度は、例えば20℃以上であり、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。このような温度であれば、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を処理液に効率的に移行させることができる。具体的には、樹脂フィルムの膨潤率を著しく向上させて、樹脂フィルム内のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を物理的に除去することができる。一方で、水の温度は、実質的には95℃以下である。
接触時間は、接触方法、処理液(水)の温度、樹脂フィルムの厚み等に応じて、適宜調整され得る。例えば、温水に浸漬する場合、接触時間は、好ましくは10秒〜30分、より好ましくは30秒〜15分、さらに好ましくは60秒〜10分である。
1つの実施形態においては、上記処理液として酸性溶液が用いられる。酸性溶液を用いることにより、樹脂フィルムに残存するアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物を中和して、樹脂フィルム内のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を化学的に除去することができる。
酸性溶液に含まれる酸性化合物としては、任意の適切な酸性化合物を用いることができる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素、ホウ酸等の無機酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、安息香酸等の有機酸等が挙げられる。酸性溶液に含まれる酸性化合物は、好ましくは無機酸であり、さらに好ましくは塩酸、硫酸、硝酸である。これらの酸性化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましくは、酸性化合物として、ホウ酸よりも酸性度の強い酸性化合物が好適に用いられる。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の金属塩(ホウ酸塩)にも作用し得るからである。具体的には、ホウ酸塩からホウ酸を遊離させて、樹脂フィルム内のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を化学的に除去することができる。
上記酸性度の指標としては、例えば、酸解離定数(pKa)が挙げられ、ホウ酸のpKa(9.2)よりもpKaの小さい酸性化合物が好ましく用いられる。具体的には、pKaは、好ましくは9.2未満であり、より好ましくは5以下である。pKaは任意の適切な測定装置を用いて測定してもよく、化学便覧 基礎編 改訂5版(日本化学会編、丸善出版)等の文献に記載の値を参照してもよい。また、多段解離する酸性化合物では、各段階でpKaの値が変わり得る。このような酸性化合物を用いる場合、各段階のpKaの値のいずれかが上記の範囲内であるものが用いられる。なお、本明細書において、pKaは25℃の水溶液における値をいう。
酸性化合物のpKaとホウ酸のpKaとの差は、例えば2.0以上であり、好ましくは2.5〜15であり、より好ましくは2.5〜13である。このような範囲であれば、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を処理液に効率的に移行させることができ、結果として、非染色部における所望のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属含有量を実現することができる。
上記pKaを満足し得る酸性化合物としては、例えば、塩酸(pKa:−3.7)、硫酸(pK:1.96)、硝酸(pKa:−1.8)、フッ化水素(pKa:3.17)、ホウ酸(pKa:9.2)等の無機酸、ギ酸(pKa:3.54)、シュウ酸(pK:1.04、pK:3.82)、クエン酸(pK:3.09、pK:4.75、pK:6.41)、酢酸(pKa:4.8)、安息香酸(pKa:4.0)等の有機酸等が挙げられる。
なお、酸性溶液(処理液)の溶媒は上述のとおりであり、処理液として酸性溶液を用いる本形態においても、上記樹脂フィルム内のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の物理的な除去は起こり得る。
上記酸性溶液の濃度は、例えば、0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、より好ましくは0.1N〜2.5Nである。
上記酸性溶液の液温は、例えば20℃〜50℃である。酸性溶液への接触時間は、樹脂フィルムの厚みや、酸性化合物の種類、および、酸性溶液の濃度に応じて設定することができ、例えば、5秒間〜30分間である。
本発明の偏光子は、二色性物質を含む樹脂フィルムにこれらの処理が施されることにより得られ得る。なお、樹脂フィルムは上記処理以外に、任意の適切な他の処理をさらに施され得る。他の処理としては、塩基性溶液および/または酸性溶液の除去、ならびに、洗浄等が挙げられる。
塩基性溶液および/または酸性溶液の除去方法の具体例としては、ウエス等による拭き取り除去、吸引除去、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。上記乾燥温度は、例えば、20℃〜100℃である。
洗浄処理は任意の適切な方法により行われる。洗浄処理に使用する溶液は、例えば、純水、メタノール、エタノール等のアルコール、酸性水溶液、および、これらの混合溶媒等が挙げられる。洗浄処理は任意の適切な段階で行われ得る。洗浄処理は複数回行ってもよい。
C.偏光板
本発明の偏光板は、上記偏光子を有する。本発明の偏光板は、代表的には、少なくともその片側に保護フィルムを積層させて使用される。保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重体樹脂等が挙げられる。
保護フィルムの偏光子を積層させない面には、表面処理層として、ハードコート層、反射防止処理層、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理層が形成されていてもよい。
保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。保護フィルムは、代表的には、接着層(具体的には、接着剤層、粘着剤層)を介して偏光子に積層される。接着剤層は、代表的にはPVA系接着剤や活性化エネルギー線硬化型接着剤で形成される。粘着剤層は、代表的にはアクリル系粘着剤で形成される。
D.画像表示装置
本発明の画像表示装置は、上記偏光板を備える。画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機ELデバイスが挙げられる。具体的には、液晶表示装置は、液晶セルと、この液晶セルの片側もしくは両側に配置された上記偏光子とを含む液晶パネルを備える。有機ELデバイスは、視認側に上記偏光子が配置された有機ELパネルを備える。
上記の通り、本発明の偏光子は偏光子の外縁に沿った全周に非染色部が形成されている。そのため、画像表示装置の周縁部の色彩が制限されない。そのため、よりデザイン性に優れた画像表示装置を提供することができる。またカメラおよびセンサー等の機能が妨げられることを防止し各種機能をより高度に発揮させることが可能な画像表示装置を提供することができる。
本発明の偏光子は、液晶表示装置、有機ELデバイス等の画像表示装置に好適に用いられる。
10 偏光子
11 非染色部
12 染色部

Claims (5)

  1. 染色部と非染色部とを有する偏光子であって、
    該非染色部が該偏光子の外縁に沿った全周に形成されている、偏光子。
  2. 前記非染色部が脱色部である、請求項1に記載の偏光子。
  3. 前記非染色部の幅が1mm以上である、請求項1または2に記載の偏光子。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の偏光子を備える偏光板。
  5. 請求項4に記載の偏光板を備える画像表示装置。
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