JP2020020580A - 原子炉停止装置、原子力プラント及び原子炉停止方法 - Google Patents

原子炉停止装置、原子力プラント及び原子炉停止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子炉出力が低減した場合、原子炉を適切に停止させることができる原子炉停止装置等を提供する。【解決手段】取得した中性子束に基づいて原子炉を停止するか否かを判定する制御回路40を備え、制御回路40は、第一判定回路42により中性子束の減少方向への変化量が設定変化量よりも大きいと判定すると、中性子束減少率高事象であることを検知する出力低下検知処理と、中性子束減少率高事象を検知後、最小値記憶回路44に最小パラメータ値を記憶させる最小出力値記憶処理と、現時点の中性子束と最小パラメータ値との差分が、設定差分以上であるか否かを第二判定回路46において判定する判定処理と、判定処理において、差分が設定差分以上であると判定された場合、原子炉を停止させる原子炉トリップ実行処理と、を実行する。【選択図】図3

Description

本発明は、原子炉の炉心に制御棒を挿入して、原子炉を停止させる原子炉停止装置、原子力プラント及び原子炉停止方法に関するものである。
従来、炉心に挿入される制御棒の操作を制御して、原子炉出力を制御する原子炉出力制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。原子炉出力制御装置は、原子炉出力が目標出力となるように制御棒を抜き挿し方向に操作している。
特開平6−27278号公報
ところで、原子炉出力を制御する機能として、原子炉出力を現在の原子炉出力から急減させる出力急減機能がある。出力急減機能は、外乱の発生時において実行される機能であり、外乱としては、例えば、原子炉を含む一次冷却系と熱交換する二次冷却系の除熱性能が減少する事象等がある。一般的に、出力急減機能では、外乱発生時において、原子炉トリップを回避させるために、予め定められた本数の制御棒を炉心に自重落下させることで、原子炉出力が現在の原子炉出力よりも低い目標出力となるように、原子炉出力を急減させている。
ここで、原子炉トリップが実行される事象の一つとして、機器の故障等による制御棒の誤落下による原子炉出力の低減に関する事象がある。つまり、原子炉停止装置は、制御棒の落下事象が生じて、原子炉出力が低減した場合、原子炉トリップを実行する。これは、制御棒の落下事象により原子炉出力が低減した場合、原子炉出力を復帰させるべく、他の制御棒が炉心から引き抜かれることで、原子炉内における熱出力分布に偏りが生じ、炉心を構成する燃料に負荷が生じる可能性があるからである。
上記した構成において、原子炉トリップを実行する原子炉停止装置は、原子炉出力の減少方向への変化率が大きい場合、原子炉トリップを実行することから、原子炉出力制御装置による出力急減機能の実行を起因とする場合であっても、制御棒の落下事象であるとして作動してしまう。このため、原子炉停止装置は、出力急減機能が実行された場合であっても、不必要に原子炉トリップを実行してしまう。
そこで、本発明は、原子炉出力が低減した場合、原子炉を適切に停止させることができる原子炉停止装置、原子力プラント及び原子炉停止方法を提供することを課題とする。
本発明の原子炉停止装置は、原子炉の出力に関する出力パラメータを取得し、取得した前記出力パラメータに基づいて、前記原子炉を停止するか否かを判定する制御部と、最小となる前記出力パラメータの最小出力値を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、取得した前記出力パラメータの減少方向への変化量が、予め設定された設定変化量よりも大きい場合、前記原子炉の出力低下事象であることを検知する出力低下検知処理と、前記出力低下事象を検知後、前記記憶部に前記最小出力値を記憶させる最小出力値記憶処理と、取得した前記出力パラメータの現時点の出力値と前記最小出力値との差分が、予め設定された設定差分以上であるか否かを判定する判定処理と、前記判定処理において、前記差分が前記設定差分以上であると判定された場合、前記原子炉を停止させる原子炉トリップ実行処理と、を実行することを特徴とする。
また、本発明の原子炉停止方法は、原子炉の出力に関する出力パラメータを取得する取得ステップと、取得した前記出力パラメータの減少方向への変化量が、予め設定された設定変化量よりも大きい場合、前記原子炉の出力低下事象であることを検知する出力低下検知ステップと、前記出力低下事象を検知後、最小となる前記出力パラメータの最小出力値を記憶する最小出力値記憶ステップと、取得した前記出力パラメータの現時点の出力値と前記最小出力値との差分が、予め設定された設定差分以上であるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて、前記差分が前記設定差分以上であると判定された場合、前記原子炉を停止させる原子炉トリップ実行ステップと、を備えることを特徴とする。
これらの構成によれば、出力パラメータが、最小出力値から上昇し、上昇幅となる差分が設定差分以上となったら、原子炉を停止させることができる。つまり、原子炉出力が低減した後、原子炉出力が上昇に転じて、所定の上昇幅分だけ原子炉出力が上昇したら、原子炉を停止させることができる。一方で、例えば、出力急減機能によって原子炉出力が低減した場合、原子炉出力は上昇に転じることなく、原子炉出力が低減することから、原子炉の停止が回避される。このため、出力急減機能が実行された場合であっても、不必要に原子炉トリップが実行されてしまうことを抑制することができることから、原子炉出力が低減した場合、原子炉を適切に停止させることができる。なお、設定差分は、原子炉の出力上昇によって炉心が損傷しないような差分となっており、予め炉心解析を行い、解析結果を評価して決定される差分となっている。また、設定差分は、固定値であってもよいし、可変値であってもよく、特に限定されない。
また、前記出力パラメータは、前記原子炉の炉心において発生する中性子束であることが、好ましい。
この構成によれば、原子炉の出力と相関関係のある、応答性の高いパラメータである中性子束を用いることができるため、原子炉停止に関する制御を応答性の高いものとすることができる。
また、前記設定変化量は、前記原子炉の炉心に挿入される制御棒の自重落下により低下する前記出力パラメータの減少方向への変化量であることが、好ましい。
この構成によれば、制御棒の抜き挿し方向への操作による出力パラメータの減少方向への変化量と、制御棒の自重落下による出力パラメータの減少方向への変化量とを、設定変化量に基づいて適切に判別することができる。
また、前記原子炉トリップ実行処理と共に、前記記憶部に記憶された前記最小出力値を、手動操作によってリセットする手動リセット操作部を、さらに備えることが、好ましい。
この構成によれば、原子炉の出力を増加させて復帰させるときに、原子炉トリップが作動することを抑制することができる。手動リセット操作部は、例えば、出力急減機能の解除時に、オペレータによって操作される。
本発明の原子力プラントは、炉心に制御棒が挿入される原子炉と、前記原子炉を停止させる、上記の原子炉停止装置と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、原子炉の出力が低減した場合、原子炉停止装置により原子炉を適切に停止させることができる。
図1は、本実施形態に係る原子力施設の概略構成図である。 図2は、本実施形態に係る制御系の構成図である。 図3は、本実施形態に係る原子炉停止装置に設けられる制御回路の図である。 図4は、中性子束の時間変化の一例を示すグラフである。 図5は、制御回路の制御動作を示すフローチャートである。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
[本実施形態]
図1は、本実施形態に係る原子力施設の概略構成図である。原子力施設(原子力プラント)1は、原子炉2を有する。原子炉2は、例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)が用いられる。この加圧水型の原子炉2を用いた原子力施設1は、原子炉2を含む原子炉冷却系(一次冷却系)100と、原子炉冷却系100と熱交換するタービン系(二次冷却系)200とで構成される。原子炉冷却系100は、一次冷却材が流通し、タービン系200は、二次冷却材が流通する。
原子炉冷却系100は、コールドレグ3aおよびホットレグ3bを介して原子炉2に接続された蒸気発生器4を有する。ホットレグ3bには、加圧器5が設けられ、コールドレグ3aは、一次冷却材ポンプ6が設けられている。そして、原子炉2、コールドレグ3a、ホットレグ3b、蒸気発生器4、加圧器5および一次冷却材ポンプ6は、原子炉格納容器7に収容されている。
原子炉2は、上記したように加圧水型原子炉であり、その内部は一次冷却材で満たされる。一次冷却材は、中性子減速材として用いられるホウ素が溶解した軽水である。また、原子炉2は、原子炉容器10の内部に、炉心を構成する多数の燃料集合体8が収容され、この各燃料集合体8に対し、燃料集合体8の核分裂を制御する多数の制御棒9が抜差し可能に設けられている。この制御棒9は、燃料集合体8に対し、制御棒駆動装置20により抜差し方向に駆動される。制御棒駆動装置20により制御棒9が燃料集合体8へ差し込まれると、燃料集合体8における核反応が低下して、原子炉の出力が低下する。一方で、制御棒駆動装置20により制御棒9が引き抜かれると、燃料集合体8における核反応が増大して、原子炉の出力が増加する。また、この制御棒駆動装置20は、電力の供給が遮断され、電力喪失状態となると、制御棒9を燃料集合体8に差し込むように構成されている。
原子力施設1の原子炉冷却系100における一連の動作について説明する。原子炉2内において、制御棒9により核分裂反応を制御しながら燃料集合体8を核分裂させると、核分裂により熱エネルギーが発生する。この熱エネルギーにより、原子炉2内の一次冷却材が加熱されると、加熱された一次冷却材は、一次冷却材ポンプ6によりホットレグ3bを介して蒸気発生器4に送られる。ホットレグ3bを通過する高温の一次冷却材は、加圧器5により加圧されることで沸騰が抑制され、高温高圧となった状態で、蒸気発生器4に流入する。蒸気発生器4に流入した高温高圧の一次冷却材は、二次冷却材と熱交換を行うことにより冷却され、冷却された一次冷却材は、一次冷却材ポンプ6によりコールドレグ3aを介して原子炉2に送られる。そして、冷却された一次冷却材が原子炉2に流入することで、原子炉2が冷却される。このように、一次冷却材は、原子炉2と蒸気発生器4とを循環している。
タービン系200は、蒸気管11を介して蒸気発生器4に接続されたタービン12、タービン12に接続された復水器13、および復水器13と蒸気発生器4とを接続する給水管14に介設された給水ポンプ15、を有している。そして、タービン12は、発電機16が接続されている。
原子力施設1のタービン系200における一連の動作について説明する。蒸気管11を介して蒸気発生器4から蒸気がタービン12に流入すると、タービン12は回転を行う。タービン12が回転すると、タービン12に接続された発電機16は、発電を行う。この後、タービン12から流出した蒸気は復水器13に流入する。復水器13は、その内部に冷却管17が配設されており、冷却管17の一方には冷却水(例えば、海水)を供給するための取水管18が接続され、冷却管17の他方には冷却水を排水するための排水管19が接続されている。この復水器13は、タービン12から流入した蒸気を冷却管17により冷却することで、蒸気を液体に戻す。液体となった二次冷却材は、給水ポンプ15により給水管14を介して蒸気発生器4に送られる。蒸気発生器4に送られた二次冷却材は、蒸気発生器4において一次冷却材と熱交換を行うことにより再び蒸気となる。
図2は、本実施形態に係る制御系の構成図である。図2に示すように、原子力施設1は、原子炉冷却系100及びタービン系200を制御する制御系300を備えている。制御系300は、中央制御設備25と、安全保護系設備30を含んで構成されている。
中央制御設備25は、原子力施設1の通常運転時において、原子炉冷却系100及びタービン系200を制御するものである。安全保護系設備30は、原子力施設1に異常が発生した場合、原子力施設1が安全に停止するように、原子力施設1に設けられた各機器を制御するものである。
中央制御設備25は、CPU等の演算装置やHDD等の記憶装置を搭載した制御装置であり、原子炉の出力を制御する原子炉出力制御装置として機能している。この中央制御設備25は、外乱発生時において、原子炉出力を急減させる出力急減機能を実行している。出力急減機能の実行対象となる外乱としては、大幅負荷急減事象と給水ポンプ1台トリップ事象とがある。大幅負荷急減事象は、例えば、原子力施設1において発電される電力の送電網への送電停止を起因として、原子力施設1における負荷運転を大幅に急減させる事象である。また、給水ポンプ1台トリップ事象は、タービン系200の1つの給水ポンプ15が停止することで、タービン系200の除熱性能が減少する事象である。中央制御設備25は、外乱の発生を検出すると、所定の制御棒9を自重落下させることで、外乱発生時における原子炉出力を所定の急減幅で急減させる。
また、原子力施設1の制御系300は、原子炉2に異常が発生した場合を想定して、原子炉2の核反応を非常停止させる原子炉停止装置35を有している。原子炉停止装置35は、上記の安全保護系設備30と、原子炉トリップ遮断器37と、上記の制御棒駆動装置20と、制御棒9とを備えている。
安全保護系設備30は、原子力施設1から取得したプラントデータに基づいて、原子力施設1に異常が発生したと判断した場合、原子炉2を停止させるための原子炉トリップ信号を原子炉トリップ遮断器37へ向けて出力する。原子炉トリップ遮断器37は、安全保護系設備30から出力された原子炉トリップ信号に基づいて、制御棒駆動装置20へ供給される電力を遮断する。制御棒駆動装置20は、電力が遮断されると、制御棒9の支持状態を解除することで、制御棒9は、自重によって燃料集合体8に落下する。そして、燃料集合体8に制御棒9が挿し込まれることで、燃料の核反応が低下し、原子炉2が停止する。
安全保護系設備30は、中央制御設備25と同様に、CPU等の演算装置やHDD等の記憶装置を搭載した制御装置であり、原子力施設1の安全保護系を制御可能な設備となっている。なお、安全保護系とは、原子炉2の核反応を停止させる、原子力施設1を冷却する、原子力施設1からの放射性物質の漏洩を防ぐという機能を有する機能系統である。そして、安全保護系設備30は、確実に作動可能で、且つ、厳しい環境下においても作動可能なように、動作保証が高いものとなっている。
安全保護系設備30には、原子力施設1内に配設された各種検出センサが接続されており、各種検出センサから出力された検出信号に基づいて、原子力施設1に異常が発生したか否かを判断している。そして、安全保護系設備30は、原子力施設1に異常が発生したと判断した場合、原子炉2を停止させるための原子炉トリップ信号を原子炉トリップ遮断器37へ向けて出力する。
原子炉トリップ遮断器37は、安全保護系設備30から出力された原子炉トリップ信号に基づいて、制御棒駆動装置20へ供給される電力を遮断するものである。
原子炉停止装置35は、安全保護系設備30から原子炉トリップ遮断器37へ向けて、原子炉トリップ信号を出力する。すると、原子炉トリップ遮断器37は、入力された原子炉トリップ信号に基づいて電力供給を遮断する開状態となり、制御棒駆動装置20へ供給される電力を遮断する。制御棒駆動装置20へ供給される電力が遮断されると、制御棒9の支持状態が解除されることで、制御棒9は、自重によって燃料集合体8に落下する。そして、燃料集合体8に制御棒9が挿し込まれることで、燃料の核反応が低下し、原子炉2が停止する。
ここで、安全保護系設備30には、検出信号として、図示しない原子炉2外部に設けられる中性子計測装置の計測値(NIS)が入力される。中性子計測装置の計測値としての中性子束は、原子炉出力に関する出力パラメータの一つになっている。原子炉停止装置35は、中性子束の減少方向への変化量が大きい場合、原子炉の出力低下事象である中性子束減少率高事象であるとして、原子炉トリップを実行する。
ところで、中性子束減少率高事象は、制御棒9の落下を起因として発生したり、または、上記の出力急減機能の実行を起因として発生したりする。本実施形態の原子炉停止装置35では、出力急減機能の実行による中性子束減少率高事象の発生時において、原子炉トリップを実行せず、一方で、制御棒9の落下による中性子束減少率高事象の発生時において、原子炉トリップを実行するように、図3に示す制御回路(制御部)40が設けられている。
図3は、本実施形態に係る原子炉停止装置に設けられる制御回路の図である。図3に示すように、制御回路40には、中性子束が、具体的に、制御棒9を炉心の部分的な領域に落下させたときの出力領域中性子束が入力される。また、制御回路40には、制御棒9の落下時のみならず、落下させていないときの中性子束も入力される。制御回路40は、微分回路41と、第一判定回路42と、AND回路43と、最小値記憶回路44と、差分回路45と、第二判定回路46と、リセット回路47と、多数決回路48とが設けられている。
微分回路41は、出力領域中性子束が入力され、入力された出力領域中性子束の微分値を算出する。微分回路41は、算出した出力領域中性子束の微分値を、第一判定回路42へ向けて出力する。第一判定回路42は、その入力側が微分回路41の出力側に接続されており、出力領域中性子束の微分値が、予め設定された設定微分値以下である場合、中性子束減少率高事象であることを検知した第一検知信号を、AND回路43へ向けて出力する。ここで、出力領域中性子束の減少方向への変化量は、出力領域中性子束の微分値として表される場合においてマイナス値となる。このため、第一判定回路42は、出力領域中性子束の減少方向への変化量が、予め設定された設定変化量よりも大きい場合、第一検知信号を出力する。また、設定変化量は、制御棒9の自重落下により低下する中性子束の減少方向への変化量であり、秒オーダの中性子束の変化となっている。
最小値記憶回路44は、出力領域中性子束が入力され、入力された出力領域中性子束の最小となるパラメータ値(最小パラメータ値)を記憶している。また、第一判定回路42からの第一検知信号が入力され、最小値記憶回路44は、第一検知信号の入力時において、最小パラメータ値を記憶する一方で、第一検知信号の未入力時において、最小パラメータ値を記憶しない。最小値記憶回路44は、記憶した最小パラメータ値を、差分回路45へ向けて出力する。差分回路45は、出力領域中性子束が入力されると共に、最小パラメータ値が入力されており、出力領域中性子束の入力値と最小パラメータ値との差分値を算出し、算出した差分値を出力している。
第二判定回路46は、その入力側が差分回路45の出力側に接続されており、差分値が、予め設定された設定差分値以上である場合、原子炉出力が上昇していることを検知した第二検知信号を、AND回路43へ向けて出力する。なお、設定差分値は、原子炉2の出力上昇によって炉心が損傷しないような差分となっており、予め炉心解析を行い、解析結果を評価して決定される差分となっている。また、本実施形態において設定差分値は、固定値としているが、可変値であってもよく、特に限定されない。
AND回路43は、第一検知信号及び第二検知信号が入力される。AND回路43は、全ての検知信号の入力がある場合、異常発生信号を出力する一方で、いずれかの検知信号の入力がない場合、異常発生信号を出力しない。つまり、AND回路43は、中性子束減少率高事象が発生し、中性子束(原子炉出力)が最小パラメータ値から上昇に転じて、設定差分以上に上昇したことを検知すると、異常発生信号を出力する。
多数決回路48は、AND回路43からの異常発生信号の他、他の異常発生信号が入力される。多数決回路48は、複数(本実施形態では4入力)の異常発生信号の入力のうち、少なくとも2つ以上の異常発生信号が入力された場合、原子力施設1に異常が発生しているとして、原子炉トリップ信号を出力する。一方で、多数決回路48は、2つよりも少ない異常発生信号が入力された場合、原子力施設1に異常が発生していないとして、原子炉トリップ信号を出力しない。
リセット回路47は、第一判定回路42とAND回路43との間の信号路に設けられており、制御回路40による動作をリセットしている。リセット回路47には、手動リセット操作部51が接続されると共に、最小値記憶回路44が接続されている。リセット回路47は、手動リセット操作部51が操作されることで、最小値記憶回路44に記憶された最小パラメータ値を削除する。手動リセット操作部51は、原子炉出力を上昇させる前に、オペレータによって操作される。具体的に、手動リセット操作部51は、出力急減機能の実行解除時、または、原子炉トリップの実行解除時に、オペレータにより操作される。
次に、図5を参照して、上記の制御回路40の制御動作について説明する。図5は、制御回路の制御動作を示すフローチャートである。上記の制御回路40は、中性子計測装置により計測された中性子束を取得する(ステップS11:取得ステップ)。そして、制御回路40は、第一判定回路42により、取得した中性子束の減少方向への変化量が、予め設定された設定変化量よりも大きい場合、中性子束減少率高事象であることを検知して、第一検知信号を出力する出力低下検知処理を実行する(ステップS12:出力低下検知ステップ)。制御回路40は、中性子束減少率高事象の検知後、最小値記憶回路44に最小パラメータ値を記憶させる最小出力値記憶処理を実行する(ステップS13:最小出力値記憶ステップ)。制御回路40は、差分回路45において算出された現時点の中性子束のパラメータ値と最小パラメータ値との差分が、予め設定された設定差分以上であるか否かを第二判定回路46において判定する判定処理を実行する(ステップS14:判定ステップ)。制御回路40は、第二判定回路46において差分が設定差分以上であると判定された場合、AND回路43から異常発生信号を出力すると共に、多数決回路48において2つ以上の異常発生信号が入力された場合、原子炉トリップ信号を出力する原子炉トリップ実行処理を実行する(ステップS15:原子炉トリップ実行ステップ)。
次に、図4を参照して、中性子束減少率高事象が発生したときの、制御回路40により出力急減機能を実行する制御動作について説明する。図4は、その縦軸が中性子束となっており、その横軸が時間となっている。また、図4において、実線のラインL1が、制御棒の落下を起因とする中性子束減少率高事象であり、点線のラインL2が、出力急減機能の実行を起因とする中性子束減少率高事象である。
先ず、制御回路40は、P1において中性子束減少率高事象の発生を検知する。中性子束減少率高事象の検知後、制御回路40は、最小値記憶回路44に中性子束の最小パラメータ値を記憶させる。この後、実線のラインL1のP2において、中性子束が上昇に転じ、中性子束のパラメータ値と最小パラメータ値との差分が設定差分D以上となる(P3)と、制御回路40は、P3において原子炉トリップ信号を出力する。
一方で、制御回路40は、中性子束減少率高事象の検知後、点線のラインL2のように、中性子束が上昇に転じずに減少し続ける場合、また、中性子束が上昇に転じても中性子束のパラメータ値と最小パラメータ値との差分が設定差分Dよりも小さい場合、原子炉トリップ信号を出力しない。
以上のように、本実施形態によれば、中性子束が、最小パラメータ値から上昇し、上昇幅となる差分が設定差分D以上となったら、原子炉2を停止させることができる。一方で、出力急減機能によって原子炉出力が低減した場合、原子炉出力は上昇に転じることなく、原子炉出力が低減することから、原子炉2の停止が回避される。このため、出力急減機能が実行された場合であっても、不必要に原子炉トリップが実行されてしまうことを抑制することができることから、原子炉出力が低減した場合、原子炉2を適切に停止させることができる。
また、本実施形態によれば、原子炉の出力と相関関係のある、応答性の高いパラメータである中性子束を用いることができるため、原子炉停止に関する制御を応答性の高いものとすることができる。
また、本実施形態によれば、設定変化量を、制御棒9の自重落下により低下する中性子束の減少方向への変化量とすることで、制御棒9の抜き挿し方向への操作による中性子束の変化であるか、制御棒の自重落下中性子束の変化であるかを、適切に判別することができる。
また、本実施形態によれば、手動リセット操作部51を設けることで、例えば、出力急減機能の実行を解除して、原子炉2の出力を増加させて復帰させるときに、原子炉トリップが作動することを抑制することができる。
1 原子力施設
2 原子炉
3a コールドレグ
3b ホットレグ
4 蒸気発生器
5 加圧器
6 一次冷却材ポンプ
7 原子炉格納容器
8 燃料集合体
9 制御棒
10 原子炉容器
11 蒸気管
12 タービン
13 復水器
14 給水管
15 給水ポンプ
16 発電機
20 制御棒駆動装置
25 中央制御設備
30 安全保護系設備
35 原子炉停止装置
37 原子炉トリップ遮断器
40 制御回路
41 微分回路
42 第一判定回路
43 AND回路
44 最小値記憶回路
45 差分回路
46 第二判定回路
47 リセット回路
48 多数決回路
51 手動リセット操作部

Claims (6)

  1. 原子炉の出力に関する出力パラメータを取得し、取得した前記出力パラメータに基づいて、前記原子炉を停止するか否かを判定する制御部と、
    最小となる前記出力パラメータの最小出力値を記憶する記憶部と、を備え、
    前記制御部は、
    取得した前記出力パラメータの減少方向への変化量が、予め設定された設定変化量よりも大きい場合、前記原子炉の出力低下事象であることを検知する出力低下検知処理と、
    前記出力低下事象を検知後、前記記憶部に前記最小出力値を記憶させる最小出力値記憶処理と、
    取得した前記出力パラメータの現時点の出力値と前記最小出力値との差分が、予め設定された設定差分以上であるか否かを判定する判定処理と、
    前記判定処理において、前記差分が前記設定差分以上であると判定された場合、前記原子炉を停止させる原子炉トリップ実行処理と、を実行することを特徴とする原子炉停止装置。
  2. 前記出力パラメータは、前記原子炉の炉心において発生する中性子束であることを特徴とする請求項1に記載の原子炉停止装置。
  3. 前記設定変化量は、前記原子炉の炉心に挿入される制御棒の自重落下により低下する前記出力パラメータの減少方向への変化量であることを特徴とする請求項1または2に記載の原子炉停止装置。
  4. 前記原子炉トリップ実行処理と共に、前記記憶部に記憶された前記最小出力値を、手動操作によってリセットする手動リセット操作部を、さらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の原子炉停止装置。
  5. 炉心に制御棒が挿入される原子炉と、
    前記原子炉を停止させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の原子炉停止装置と、を備えることを特徴とする原子力プラント。
  6. 原子炉の出力に関する出力パラメータを取得する取得ステップと、
    取得した前記出力パラメータの減少方向への変化量が、予め設定された設定変化量よりも大きい場合、前記原子炉の出力低下事象であることを検知する出力低下検知ステップと、
    前記出力低下事象を検知後、最小となる前記出力パラメータの最小出力値を記憶する最小出力値記憶ステップと、
    取得した前記出力パラメータの現時点の出力値と前記最小出力値との差分が、予め設定された設定差分以上であるか否かを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップにおいて、前記差分が前記設定差分以上であると判定された場合、前記原子炉を停止させる原子炉トリップ実行ステップと、を備えることを特徴とする原子炉停止方法。
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