JP2020020292A - 先行待機運転ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】エアロックをより確実に行うことができる先行待機運転ポンプを提供する。【解決手段】先行待機運転ポンプが提供される。この先行待機運転ポンプは、インペラと、インペラを収容するケーシングと、インペラより軸方向上流側のケーシングの内面に設けられる凸部と、凸部の表面に形成された吸気口と、を有する。凸部は、吸気口から周方向に離れるにつれて徐々にケーシングの内面からの突出量が減少するように形成された案内面を有する。【選択図】図9
Description
本発明は、先行待機運転ポンプに関する。
近年、都市化の進展により、緑地の減少及び路面のコンクリート化、アスファルト化の拡大が進むことでヒートアイランド現象が発生し、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な集中豪雨が都市部で頻発している。局所的な大量の降雨は、コンクリート化、アスファルト化した路面では、地中に吸収されることなくそのまま水路に導かれる。その結果、大量の雨水が、短時間のうちに排水機場に流入する。
このような集中豪雨によってもたらされる大量の雨水の速やかな排水に備え、排水機場に設置される排水ポンプでは先行待機運転が行われている。先行待機運転とは、雨水が排水機場に到達する前に予め始動させておく運転方法であり、この先行待機運転により、始動遅れによる浸水被害が防止される。
図1は、先行待機運転を行う従来の立軸ポンプの部分概略図である。排水機場の水槽100には、立軸ポンプ110が配置される。立軸ポンプ110は、鉛直に配置された回転軸112と、回転軸112の先端に設けられたインペラ114とを備える。この立軸ポンプ110には、インペラ114の入口側のベルマウス116の側面部に吸気口118が設けられている。この吸気口118には、外気に接する開口120aを備えた空気管120が取付けられている。これにより、この立軸ポンプ110では、吸気口118を介して立軸ポンプ110内に供給する空気の供給量が水位に応じて変化され、最低運転水位LWL以下で立軸ポンプ110の排水量がコントロールされる。
図2は、先行待機運転の運転状態を説明するための図である。図2に示すように、先行待機運転では、吸込水位に関係なく降雨情報等に基づいて予め立軸ポンプが始動される(A:気中運転)。雨水が排水機場に到達すると、低水位の状態から水位が上昇するに従って、インペラの位置まで水位が達し、立軸ポンプは空運転(気中運転)からインペラで水を撹拌する運転(B:気水撹拌運転)へ移行する。さらに、立軸ポンプは、吸気口を経て供給される空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に増やす運転(C:気水混合運転)を経て、定格流量で水の排出を行う全量運転(D:定常運転)へ移行する。
上述したように、先行待機運転用の立軸ポンプには、水位低下に伴うベルマウス内の静圧低下に対応して大気中の空気をベルマウスに自然吸気する吸気口が設けられている。これにより、高水位から水位が低下するときは、定常運転から、吸気口から供給される空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に減らす運転(C:気水混合運転)へ移行する。水位がさらに低下して所定のエアロック水位に至ると、インペラの下方に空気だまりが形成され、インペラの上方の水がインペラに撹拌される運転(E:エアロック運転)へ移行する。エアロック運転では、インペラの上方にある水がインペラにより攪拌され、水の自重が支えられている状態となるため、ポンプ流量はゼロである。水位が再び上昇すると、気水混合運転に移行する。
ところで、通常の立軸ポンプでは、定常運転から水位が低下して、水位がベル吸込口以下に達すると、大気中に露出したベル吸込口から一気に大量の空気が入り込むことで、激しい振動および騒音が発生する。このため、先行待機運転用の立軸ポンプでは、定常運転から水位が低下したときに、吸気口からベルマウスに適切に吸気してエアロック運転に確実に移行することが重要である。
なお、先行待機運転用のポンプとして、吸気口からの吸気を改善したものが知られている。例えば、特許文献1には、ベルの内面に周方向に沿ってスリット状に吸気口が形成された構造が開示されている。
立軸ポンプが定常運転している間、液体は定格流量で排出される。このときの立軸ポンプ内を流れる液体は、立軸ポンプの軸方向の流れが支配的である。一方で、定常運転から水位の低下に伴って流量が低下したとき(例えば定格流量の30%の部分流量時)、吸気口の高さにおける液体の流れは、回転するインペラの影響により周方向速度成分が支配的になる。したがって、部分流量で液体が排出されるときは、ベルマウス内の吸気口の高さにおいて遠心場が生じ、ベルマウス内の径方向外側、つまり吸気口の開口部近傍において比較的高い静圧となる。
これに関して、特許文献1に開示された吸気構造では、吸気口がケーシング内面に形成されている。しかしながら、上述したように、部分流量で液体が排出されるときは、吸気口の近傍において比較的高い静圧となるので、部分流量時には吸気口から吸気し難くなり、吸気量の不足によりエアロックが適切になされない可能性がある。
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、エアロックをより確実に行うことができる先行待機運転ポンプを提供することである。
一実施形態によれば、先行待機運転ポンプが提供される。この先行待機運転ポンプは、インペラと、前記インペラを収容するケーシングと、前記インペラより軸方向上流側の前記ケーシングの内面に設けられる凸部と、前記凸部の表面に形成された吸気口と、を有する。前記凸部は、前記吸気口から周方向に離れるにつれて徐々に前記ケーシングの内面からの突出量が減少するように形成された案内面を有する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明の先行待機運転ポンプの一例として立軸ポンプが説明される。
図3は、本実施形態に係る先行待機運転ポンプの概略側断面図である。図3に示すように、先行待機運転ポンプは、インペラ11と、回転軸18と、ケーシング12と、を備える。ケーシング12は、全体として筒状を成しており、吐出エルボ12aと、直管部12bと、吐出ボウル12cと、ベルマウス12dと、を有する。吐出エルボ12aは、図示しないポンプ設置床に固定され、一端が図示しない吐出管に接続される。直管部12bは、吐出エルボ12aの下端に接続される。吐出ボウル12cは、直管部12bの下端に接続され、インペラ11を内部に格納する。ベルマウス12dは、吐出ボウル12cの下端に接続され、水を吸い込むための入口を構成する。
回転軸18は、ケーシング12の直管部12b、吐出ボウル12c、及びベルマウス12dの径方向略中心部を延びるように配置される。回転軸18は、図示しないすべり軸受によって回転可能に支持される。回転軸18の一端側(上流側)にはインペラ11が接続される。回転軸18の他端側(下流側)は、吐出エルボ12aに設けられた孔を通じて先行待機運転ポンプの外部へ延び、エンジン又はモータ等の駆動源19に接続される。
回転軸18と吐出エルボ12aに設けられた孔との間には、フローティングシール、グランドパッキンまたはメカニカルシール等の図示しない軸シールが設けられている。これにより、先行待機運転ポンプが扱う水が先行待機運転ポンプの外部に流出することが防止される。駆動源19は、保守点検を容易に行うことができるように陸上に設けられる。駆動源19の駆動力は回転軸18に伝達され、インペラ11を回転させることができる。インペラ11の回転によって昇圧された水がベルマウス12dから吸い込まれ、吐出ボウル12c、直管部12bを通過して吐出エルボ12aから吐出される。
図4は、図3に示す先行待機ポンプのベルマウス12d近傍の概略拡大図である。図5は、図4に示すベルマウス12dの下端部の内面を軸方向下流側から見た概略図である。図4に示すように、ケーシング12の吐出ボウル12cとベルマウス12dは、インペラ11の上流側位置においてフランジを介して連結される。回転軸18の端部近傍は、すべり軸受30によって回転可能に支持される。回転軸18は、インペラ11内に挿入され、回転軸18とインペラ11とが、回転方向に相対移動しないように、キーによって固定される。これにより、回転軸18の回転方向の駆動力がインペラ11に伝達される。回転軸18の端部には、キャップ31が取り付けられる。これにより、回転軸18とインペラ11とが軸方向に相対移動しないように固定される。
上述したように、先行待機運転ポンプにおいて定常運転から水位の低下に伴って吸気されることにより,ポンプの水流量が減少するに伴い、吸気口の高さにおける水の流れは、回転するインペラ11の影響により周方向速度成分が支配的になる。ここで、エアロックは、定常運転時の流量(定格流量)の約30%程度の流量のときに生じることが経験的にわかっている。したがって、エアロックが生じる直前は、ベルマウス12dの吸気口の高さにおける水の流れは周方向速度成分が支配的である。その結果、エアロックが生じる直
前は、吸気口付近に遠心場が生じ、ベルマウス12d内の径方向外側、つまり吸気口の開口部近傍において比較的高い静圧となる。吸気口からのベルマウス12d内への吸気量は、吸気口付近の静圧に依存する。即ち、吸気口付近の静圧が高ければ高いほど、吸気口からの吸気が困難になり、吸気口の低下に伴い適切なエアロックが生じ難くなる。
前は、吸気口付近に遠心場が生じ、ベルマウス12d内の径方向外側、つまり吸気口の開口部近傍において比較的高い静圧となる。吸気口からのベルマウス12d内への吸気量は、吸気口付近の静圧に依存する。即ち、吸気口付近の静圧が高ければ高いほど、吸気口からの吸気が困難になり、吸気口の低下に伴い適切なエアロックが生じ難くなる。
そこで、本実施形態の先行待機運転ポンプでは、ベルマウス12dの内面に凸部13を設けると共に、吸気口14を凸部13に形成している。これにより、後述するように、凸部13が存在しない場合に比べて吸気口14近傍の静圧を下げることができる。その結果、ベルマウス12d内において周方向速度成分が支配的な水の流れが生じたときでも、適切にベルマウス12d内に吸気をすることができる。
図4及び図5に示すように、ベルマウス12dの内面には、複数の凸部13が周方向22に設けられる。なお、図5においては、凸部13が周方向に等間隔に配置されているが、必ずしも周方向に等間隔である必要はない。また、複数の凸部13は、インペラ11よりも上流側に位置する。本実施形態では、凸部13の数は4つであるが、これに限らず、3以下又は5以上の任意の数であり得る。なお、本実施形態では、回転軸18が伸びる方向を軸方向21とし、インペラ11の回転方向を周方向22という。
凸部13の頂点付近には、吸気口14が形成される。吸気口14から延びる円筒形状の空間(吸気孔)は、凸部13を貫通するように形成され、凸部13の径方向外側に設けられた環状の空気室17に連通している。空気室17には、一端が大気中に露出された空気管20が接続される。これにより、吸気口14近傍の圧力と大気圧との差圧に応じて、大気中の空気が、空気管20、空気室17、及び吸気口14を通じて、ベルマウス12d内部に供給される。なお、 吸気口14から延びる吸気孔の形状は、円筒形状に限らず任意の形状を採用できる。また、本実施形態では、各吸気口14が空気室17を介して空気管20と接続されているが、これに限らず、空気室17を設けずに、各吸気口14のそれぞれに空気管20を接続するようにしてもよい。
凸部13は、例えばケーシング12と一体に鋳造で製作され得る。凸部13の突出量は、凸部13が設けられる位置におけるベルマウス12dの内径に応じて適宜設定される。図5に示すように、軸方向21から見たときのベルマウス12dの内面12eの形状は、略円形である。
次に、図3から図5に示した凸部13の形状について詳細に説明する。図6Aは、凸部13の一例をベルマウス12dの半径方向内側から見た正面図である。図6Bは、図6Aに示す凸部13を周方向22から見た側面図である。図6Cは、図6Aに示す凸部13を軸方向21の下流側から見た側面図である。図6Dは、凸部13の斜視図である。なお、図6Dにおいては、便宜上、ケーシング12を付記している。
図6Aに示すように、本実施形態の凸部13は、正面から見たときに略矩形に形成される。また、本実施形態において、吸気口14は凸部13の軸方向略中央部であり且つ周方向略中央部に設けられる。吸気口14は、縁部14aによって円形に形成される。この縁部14aの全周は、凸部13の表面(案内面15)上に形成される。吸気口14は、ケーシング12の内面12eには形成されない。したがって、吸気口14は、ケーシング12の内面よりも径方向内側に突出した位置に形成される。
図6Cに示すように、凸部13は、吸気口14から周方向22に離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少する案内面15を有する。具体的には、凸部13の案内面15は、凸部13の略中央部に位置する凸状面15aと、周方向22において凸状面15aの両側に位置する凹状面15bとを有する。凸状面15aは、ベル
マウス12dの内面12eから離れる方向に突出した、凸部13の頂部を構成する湾曲面である。凹状面15bは、ベルマウス12dの内面12eに近づくように凹んだ、凸状面15aとベルマウス12dの内面12eとを接続する湾曲面である。凸状面15aと凹状面15bとは互いに連続して形成されており、凸状面15aと凹状面15bとにより凸部13の案内面15が構成される。
マウス12dの内面12eから離れる方向に突出した、凸部13の頂部を構成する湾曲面である。凹状面15bは、ベルマウス12dの内面12eに近づくように凹んだ、凸状面15aとベルマウス12dの内面12eとを接続する湾曲面である。凸状面15aと凹状面15bとは互いに連続して形成されており、凸状面15aと凹状面15bとにより凸部13の案内面15が構成される。
図6Cに示すように、凸部13の凸状面15aは、吸気口14が形成されることにより、その頂部は側面視で略平坦に形成される。一方で、図6Cには、凸部13の凸状面15aの曲率に沿って凸状面15aを延長した仮想線15dが示される。本実施形態において、凸部13の突出量とは、凸部13が設けられた位置におけるベルマウス12dの内面からこの仮想線15dの頂部までの長さをいう。
一方で、図6Bに示すように、凸部13の案内面15は、軸方向21と平行に延びる部分を有する。より具体的には、本実施形態では、凸部13の案内面15は、軸方向21の全長において軸方向と平行に延びるように形成される。また、図6Bに示すように、凸部13は、案内面15の上端部及び下端部から内面12eに向かって延びる端面16を有する。端面16は、軸方向21と直交する平面と平行であることが好ましい。
図6Aから図6Cに示すように、本実施形態において、凸部13の軸方向21における長さは、凸部13の周方向22における長さと同一である(長さD)。なお、ここでの凸部13の周方向22における長さとは、案内面15の周方向22における始点と終点を結ぶ最短距離をいう。図6Dに示すように、凸部13は、全体として、軸方向に延びる畝状の形態を構成する。
次に、凸部13によって吸気口14近傍の静圧が低下する原理を説明する。図7は、吸気口14近傍において静圧が低下する物理的メカニズムを説明するための模式図である。図7に示すように、流路において凸部13が存在している場合、凸部13の案内面15に近い流路Aを流れる流体は、流体の粘性により、凸部13の表面に沿って流れる。ここで、凸部13の表面に沿って流れる流体は、流路Aよりも凸部13の案内面15から遠い流路Bを流れる流体と比較して、流れ方向の断面S1−S2間を通過する道のりが長くなるから、凸部13の案内面15近傍の流体は、流速が増加する傾向となる。
ベルヌーイの式に基づけば、流体の流速が増加した場合、流体の静圧は低下する。このため、凸部13の案内面15近傍において、流体の静圧は低下することになる。したがって、凸部13に形成された吸気口14の近傍において、静圧が低下する。図6Aから図6Dに示した凸部13は、湾曲した案内面15を有するので、吸気口14近傍の流体が案内面15に滑らかに沿って流れることができ、案内面15から流体が剥離することを抑制することができる。
上述したように、エアロックが生じる直前は、ベルマウス12dの吸気口14の高さにおける水の流れは周方向速度成分が支配的である。その結果、エアロックが生じるとき(部分流量時)は、吸気口14付近に遠心場が生じ、ベルマウス12d内の径方向外側、つまり吸気口14の開口部近傍において比較的高い静圧となる。一方で、本実施形態の先行待機運転ポンプによれば、吸気口14が凸部13に形成されることで、周方向に流れる水は凸部13の案内面15によって周方向の流速が増加し、その結果、案内面15上を周方向に流れる水の静圧が低下する。ひいては、部分流量時においても、吸気口14からベルマウス12d内に吸気することができ、エアロックの成功率を高めることができる。
なお、本実施形態においては、凸部13の案内面15は、凸状面15aと凹状面15bとを有するものとして説明したが、案内面15の表面形状はこれには限られない。図8は
、凸部13の別の例を示す軸方向21の下流側から見た側面図である。図8に示す例の凸部13は、凸状面15aと凹状面15bとを有し、さらに凸状面15aと凹状面15bとを接続する遷移面15cを有する。凸状面15aは、凸部13の頂部を構成する湾曲面である。遷移面15cは、凸部13の突出方向、即ちベルマウス12dの径方向と平行な面である。凹状面15bは、遷移面15cとベルマウス12dの内面12eとを接続する湾曲面である。図8に示す凸部13における案内面15は、中央部(吸気口14)から離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少する凸状面15aと凹状面15bである。
、凸部13の別の例を示す軸方向21の下流側から見た側面図である。図8に示す例の凸部13は、凸状面15aと凹状面15bとを有し、さらに凸状面15aと凹状面15bとを接続する遷移面15cを有する。凸状面15aは、凸部13の頂部を構成する湾曲面である。遷移面15cは、凸部13の突出方向、即ちベルマウス12dの径方向と平行な面である。凹状面15bは、遷移面15cとベルマウス12dの内面12eとを接続する湾曲面である。図8に示す凸部13における案内面15は、中央部(吸気口14)から離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少する凸状面15aと凹状面15bである。
また、案内面15は、凸状面15a又は凹状面15bのような湾曲面を有していてもよいし、所定の角度を有する傾斜面を有していてもよい。例えば、凸部13は、その中央部(吸気口14)から周方向に離れるにつれて線形に突出量が減少するような案内面15を有していてもよい。より具体的には、図8に示した遷移面15cは凸部13の突出方向と平行な面であるが、遷移面15cを凸部13の突出方向に対して所定の角度で傾斜させてもよく、その場合は遷移面15cも案内面15の一部となり得る。
ところで、凸部13の案内面15が、吸気口14から軸方向21に離れるにつれて徐々にケーシング12の内面12eからの突出量が減少するように形成された場合を検討する。具体的には、例えば半球状の凸部13がケーシングの内面12eに形成された場合を検討する。この場合において周方向速度成分が支配的な水の流れが発生しているとき、案内面15の吸気口14に沿って流れる水は、軸方向21に沿って突出量が減少する案内面15により、軸方向21の上下に分岐して流れる傾向を呈する。その結果、案内面15の吸気口14上を流れる水の流速が低下するため、吸気口14上の静圧が低下し難くなる。
一方で、上述したように、本実施形態では、凸部13の案内面15は軸方向21の全長において軸方向と平行に延びるように形成される。このため、周方向速度成分が支配的な水の流れが発生しているとき、案内面15の吸気口14に沿って流れる水は、軸方向21の上下に分岐し難く、案内面15の吸気口14上を流れやすくなる。その結果、本実施形態の凸部13は、半球状の凸部13に比べて、吸気口14上の静圧を一層低下することができる。
本実施形態では、凸部13の軸方向21と周方向22の長さが同一であるものとして説明したが、これには限られない。図9は、他の実施形態の先行待機運転用ポンプの凸部13の斜視図である。図9に示すように、この先行待機運転用ポンプの凸部13は、軸方向21の長さが周方向22の長さよりも長い。図示の例では、凸部13の軸方向21の長さは、周方向22の長さの約2倍の長さである。同様に、凸部13は、軸方向21の長さをより長くしてもよいし、より短くしてもよい。
次に、本実施形態に係る先行待機運転用ポンプにおける、エアロックが発生する流量の近傍における吸気口14上の静圧変動を示す実施例を説明する。図10は、軸方向21の長さの異なる凸部13を有する先行待機運転ポンプの吸気口14における静圧変動のシミュレーション結果を示すグラフである。グラフにおいて、横軸は経過時間(秒)を示し、縦軸は静圧(Pa)を示す。このグラフは、直管部12bの外径をφ600mmとし、インペラ11の回転速度を960min−1としたときの吸気口14における静圧変動を有限体積法で流れ解析することにより得られたものである。なお、ポンプ流量はおよそ19.3m3/minとし、定格流量のおよそ30%とした。このときのポンプ流量は、エアロックが発生する流量の近傍となる。本解析では、図5に示したように4つの凸部13が周方向22に等間隔に、ベルマウス12dの内面12eに設けられるものとした。
本実施例では、3種類の凸部13を有する先行待機運転ポンプの静圧変動をシミュレー
ションした。3種類の凸部13の周方向長さは、全て104mmとした。また、3種類の凸部13の軸方向長さは、104mm、208mm、及び312mmとした。これに対して比較例として、図11Aに示す正面図、図11Bに示す側面図、図11Cに示す底面図を有する略半球状の凸部13を有する先行待機運転ポンプの静圧変動をシミュレーションした。比較例の凸部13は、図11Aから図11Cに示すように、吸気口14(凸部13の頂点)から周方向22及び軸方向21に離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少する案内面15を有する。比較例では、4種類の凸部13に対して静圧変動のシミュレーションをした。具体的には、比較例の4種類の凸部13は、それぞれ、ケーシング12の内面12eからの突出量が33mm、45mm、56mm、及び67mmとなるように形成された。
ションした。3種類の凸部13の周方向長さは、全て104mmとした。また、3種類の凸部13の軸方向長さは、104mm、208mm、及び312mmとした。これに対して比較例として、図11Aに示す正面図、図11Bに示す側面図、図11Cに示す底面図を有する略半球状の凸部13を有する先行待機運転ポンプの静圧変動をシミュレーションした。比較例の凸部13は、図11Aから図11Cに示すように、吸気口14(凸部13の頂点)から周方向22及び軸方向21に離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少する案内面15を有する。比較例では、4種類の凸部13に対して静圧変動のシミュレーションをした。具体的には、比較例の4種類の凸部13は、それぞれ、ケーシング12の内面12eからの突出量が33mm、45mm、56mm、及び67mmとなるように形成された。
図10に示す結果は、インペラ11が2回転する間の静圧変動を示す。図10に示すように、実施例の凸部13における静圧は、およそ−40000Paから−60000Paの間を変動していることが判る。一方で、比較例の凸部13における静圧は、およそ−25000Paから−38000Paの間を変動していることが判る。したがって、本実施例の凸部13は、比較例の凸部13のいずれに対しても低い静圧を達成し得ることが判った。
比較例の凸部13は、実施例の凸部13と同様に、吸気口14(凸部13の頂点)から周方向22に離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少する案内面を有する。比較例の凸部13を有する先行待機運転用ポンプは、凸部13を有さない従来の先行待機運転用ポンプに比べれば、吸気口14近傍の静圧を低下することができる。しかしながら、図10に示したように、比較例の凸部13は、実施例の凸部13に比べて、静圧は全体的に高くなっている。これは、比較例の凸部13の案内面が、実施例の凸部13とは異なり、吸気口14から軸方向21に離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少するように構成されていることに起因すると考えられる。
比較例の凸部13に関しては、上述したように、周方向速度成分が支配的な水の流れが発生しているとき、案内面15の吸気口14に沿って流れる水は、軸方向21に沿って突出量が減少する案内面15により、軸方向21の上下に分岐して流れ易くなる。このため、比較例の凸部13は、実施例の凸部13に比べて、案内面15の吸気口14上を流れる水の流量が減少し、吸気口14上の静圧が高くなったものと考えられる。したがって、凸部13の案内面は、周方向22においてのみ、吸気口14から離れるにつれて徐々にベルマウス12dの内面12eからの突出量が減少するように構成されることが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
第1形態によれば、先行待機運転ポンプが提供される。この先行待機運転ポンプは、インペラと、前記インペラを収容するケーシングと、前記インペラより軸方向上流側の前記ケーシングの内面に設けられる凸部と、前記凸部の表面に形成された吸気口と、を有する。前記凸部は、前記吸気口から周方向に離れるにつれて徐々に前記ケーシングの内面からの突出量が減少するように形成された案内面を有する。
第1形態によれば、先行待機運転ポンプが提供される。この先行待機運転ポンプは、インペラと、前記インペラを収容するケーシングと、前記インペラより軸方向上流側の前記ケーシングの内面に設けられる凸部と、前記凸部の表面に形成された吸気口と、を有する。前記凸部は、前記吸気口から周方向に離れるにつれて徐々に前記ケーシングの内面からの突出量が減少するように形成された案内面を有する。
第1形態によれば、凸部が案内面を有するので、案内面近傍に沿って流れる流体は、案内面より離れた流路を流れる流体と比較して、流速が増加する傾向となる。その結果、ベルヌーイの式により流速増加は静圧低下を伴うため、案内面近傍では静圧が低下することになる。これにより、周方向の流れが支配的になる部分流量域において、吸気口から供給される吸気量を増加することができ、エアロックの成功率を高めることができる。
第2形態によれば、第1形態の先行待機運転ポンプにおいて、前記案内面は、軸方向と平行に延びる部分を有するように形成される。
第2形態によれば、周方向速度成分が支配的な水の流れが発生しているとき、案内面の吸気口に沿って流れる水は、軸方向の上下に分岐し難く、案内面の吸気口上を流れやすくなる。その結果、吸気口上の静圧を一層低下することができる。
第3形態によれば、第2形態の先行待機運転ポンプにおいて、前記案内面は、軸方向の全長において、軸方向と平行に延びるように形成される。
第3形態によれば、凸部の案内面は、周方向においてのみ、吸気口から離れるにつれて徐々にケーシングの内面からの突出量が減少するように構成されることになる。これにより、周方向速度成分が支配的な水の流れが発生しているとき、案内面の吸気口に沿って流れる水は、軸方向の上下に分岐し難く、案内面の吸気口上を流れやすくなる。その結果、吸気口上の静圧をより一層低下することができる。
第4形態によれば、第1形態から第3形態の先行待機運転ポンプにおいて、前記吸気口は、前記凸部の軸方向中央部に形成される。
第5形態によれば、第1形態から第4形態の先行待機運転ポンプにおいて、前記吸気口を形成する縁部を有し、前記縁部の全周は、前記案内面上に形成される。
第6形態によれば、第1形態から第5形態の先行待機運転ポンプにおいて、前記案内面の少なくとも一部は湾曲面である。
第7形態によれば、第1形態から第6形態の先行待機運転ポンプにおいて、前記吸気口は、前記凸部の頂点に位置する。
11…インペラ
12…ケーシング
13…凸部
14…吸気口
15…案内面
12d…ベルマウス
12e…内面
15a…凸状面
15b…凹状面
12…ケーシング
13…凸部
14…吸気口
15…案内面
12d…ベルマウス
12e…内面
15a…凸状面
15b…凹状面
Claims (7)
- インペラと、
前記インペラを収容するケーシングと、
前記インペラより軸方向上流側の前記ケーシングの内面に設けられる凸部と、
前記凸部の表面に形成された吸気口と、を有し、
前記凸部は、前記吸気口から周方向に離れるにつれて徐々に前記ケーシングの内面からの突出量が減少するように形成された案内面を有する、先行待機運転ポンプ。 - 請求項1に記載された先行待機運転ポンプにおいて、
前記案内面は、軸方向と平行に延びる部分を有するように形成される、先行待機運転ポンプ。 - 請求項2に記載された先行待機運転ポンプにおいて、
前記案内面は、軸方向の全長において、軸方向と平行に延びるように形成される、先行待機運転ポンプ。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載された先行待機運転ポンプにおいて、
前記吸気口は、前記凸部の軸方向中央部に形成される、先行待機運転ポンプ。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載された先行待機運転ポンプにおいて、
前記吸気口を形成する縁部を有し、
前記縁部の全周は、前記案内面上に形成される、先行待機運転ポンプ。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載された先行待機運転ポンプにおいて、
前記案内面の少なくとも一部は湾曲面である、先行待機運転ポンプ。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載された先行待機運転ポンプにおいて、
前記吸気口は、前記凸部の頂点に位置する、先行待機運転ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018143990A JP2020020292A (ja) | 2018-07-31 | 2018-07-31 | 先行待機運転ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018143990A JP2020020292A (ja) | 2018-07-31 | 2018-07-31 | 先行待機運転ポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020020292A true JP2020020292A (ja) | 2020-02-06 |
Family
ID=69590045
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018143990A Pending JP2020020292A (ja) | 2018-07-31 | 2018-07-31 | 先行待機運転ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020020292A (ja) |
-
2018
- 2018-07-31 JP JP2018143990A patent/JP2020020292A/ja active Pending
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