JP2020019948A

JP2020019948A - 燃焼性冷媒を含む組成物

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Publication number: JP2020019948A
Application number: JP2019132933A
Authority: JP
Inventors: 智行後藤; Tomoyuki Goto; 佑樹四元; Yuki Yotsumoto
Original assignee: Daikin Industries Ltd
Current assignee: Daikin Industries Ltd
Priority date: 2018-07-18
Filing date: 2019-07-18
Publication date: 2020-02-06
Anticipated expiration: 2039-07-18
Also published as: WO2020017604A1; CN112513222A; EP3825380A4; EP3825380A1; US20210261839A1; JP6658950B2

Abstract

【課題】燃焼性冷媒を含む組成物であって、燃焼性が減少し、かつ当該燃焼性冷媒のみを使用した時と比較して十分な冷凍能力を維持している組成物の提供。【解決手段】（ａ）燃焼性冷媒；及び（ｂ）一般式：ＣＦｎＷ（４−ｎ）（Ｗは、同一又は異なって、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表し、かつｎは１又は２を表す；但し、ｎが２であり、かつＷが全てＣｌの場合と、ｎが２であり、かつＷが全てＢｒの場合とを除く）；ＣＦ３ＣＸ３（Ｘは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；但し、Ｘが全てＦの場合を除く）；ＣＦ３ＣＦ２ＣＹ３（Ｙは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；但し、Ｙが全てＦの場合を除く）；並びにＣＦ３ＣＦ２ＣＦ２ＣＺ３（Ｚは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；但し、Ｚが全てＦの場合を除く）で表わされるハロゲン化炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の有機化合物を含む組成物。【選択図】なし

Description

本開示は燃焼性冷媒を含む組成物に関する。

ハイドロフルオロカーボン（ＨＦＣ）、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、炭化水素、アンモニアおよびその混合物等の引火性冷媒と火炎危険減少剤とを混合した組成物が提案されている。火炎危険減少剤としては、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、モリブデン酸塩、臭化物、臭素酸塩、塩素酸塩、塩化物、ヨウ化物、リン酸エステル、有機ホスホネート、ホスホニウム塩、ホウ酸、有機ホウ素化合物、臭素化化合物、塩素化パラフィン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、水とポリアルキレングリコールまたはポリオールエステルとの混合物、過フッ素化潤滑剤、フルオロケトン、フルオロヨード化合物、およびその混合物等が提案されている（特許文献１）。

特表２００７−５１１６４４号公報

本開示は、燃焼性冷媒を含む組成物であって、当該燃焼性冷媒のみより燃焼性が低く、かつ当該燃焼性冷媒のみを使用した時と比較して十分な冷凍能力を維持している組成物を提供することを課題とする。

項１．
（ａ）燃焼性冷媒；及び
（ｂ）一般式：
ＣＦ_ｎＷ_{（４−ｎ）}（Ｗは、同一又は異なって、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表し、かつｎは１又は２を表す；ただし、ｎが２であり、かつＷが全てＣｌの場合と、ｎが２であり、かつＷが全てＢｒの場合とを除く）；
ＣＦ_３ＣＸ_３（Ｘは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｘが全てＦの場合を除く）；
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＹ_３（Ｙは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｙが全てＦの場合を除く）；並びに
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２ＣＺ_３（Ｚは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｚが全てＦの場合を除く）
でそれぞれ表わされるハロゲン化炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の有機化合物
を含む組成物。
項２．
前記燃焼性冷媒が、ハイドロフルオロカーボン（ＨＦＣ）、ハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、炭化水素及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも一種を含む、項１に記載の組成物。
項３．
前記燃焼性冷媒が、ＨＦＯを含む、項１に記載の組成物。
項４．
前記燃焼性冷媒が、２，３，３，３−テトラフルオロ−1−プロペン（ＨＦＯ−１２３４ｙｆ）、トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））、シス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｚ））、トリフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１２３）、トランス−１，２−ジフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１３２（Ｅ））及びシス−１，２−ジフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１３２（Ｚ））からなる群より選択される少なくとも一種を含む、項３に記載の組成物。
項５．
前記有機化合物（ｂ）を総量で、組成物全体を基準として気相組成で１質量％以上含有する、項３又は４に記載の組成物。
項６．
前記燃焼性冷媒が、ＨＦＣを含む、項１に記載の組成物。
項７．
前記燃焼性冷媒が、ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）、１，１，１−トリフルオロエタン（ＨＦＣ−１４３ａ）、１，１，２−トリフルオロエタン（ＨＦＣ−１４３）及び１，１−ジフルオロエタン（ＨＦＣ−１５２ａ）からなる群より選択される少なくとも一種を含む、項６に記載の組成物。
項８．
前記有機化合物（ｂ）を総量で、組成物全体を基準として気相組成で１９質量％以上含有する、項６又は７に記載の組成物。
項９．
前記ＷがＢｒを表わす、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１０．
前記Ｗが、同一又は異なって、Ｃｌ又はＢｒを表わす、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１１．
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦＣｌＢｒ_２である、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１２．
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦ_２Ｉ_２である、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１３．
前記Ｘが、同一又は異なって、Ｆ又はＢｒを表わす、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１４．
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦ_３ＣＦ_２Ｂｒである、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１５．
前記Ｘが、同一又は異なって、Ｆ又はＩを表わす、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１６．
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦ_３ＣＦ_２Ｉである、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１７．
前記Ｙが、同一又は異なって、Ｆ又はＢｒを表わす、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１８．
前記有機化合物が、ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２Ｂｒである、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項１９．
前記有機化合物として、定圧モル比熱Ｃ_Ｐが８０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋ〜２６０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋであるハロゲン化炭化水素を含む、項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
項２０．
一般式：
ＣＦ_ｎＷ_{（４−ｎ）}（Ｗは、同一又は異なって、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表し、かつｎは１又は２を表す；ただし、ｎが２であり、かつＷが全てＣｌの場合と、ｎが２であり、かつＷが全てＢｒの場合とを除く）；
ＣＦ_３ＣＸ_３（Ｘは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｘが全てＦの場合を除く）；
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＹ_３（Ｙは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｙが全てＦの場合を除く）；並びに
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２ＣＺ_３（Ｚは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｚが全てＦの場合を除く）
でそれぞれ表わされるハロゲン化炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種のハロゲン化炭化水素
を含む、燃焼性冷媒の燃焼性を低減するために用いられる剤。

本開示によれば、燃焼性冷媒を含む組成物であって、当該燃焼性冷媒のみより燃焼性が低く、かつ当該燃焼性冷媒のみを使用した時と比較して十分な冷凍能力を維持している組成物を提供することができる。

燃焼性試験に用いる装置の模式図である。

本明細書において、用語「（燃焼性）冷媒を含む組成物」には、（１）冷媒そのもの（冷媒の混合物を含む）と、必要に応じてその他の成分をさらに含み、冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることのできる組成物と、（２）冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体とが少なくとも含まれる。本明細書においては、これら二態様のうち、（１）の組成物のことを、冷媒そのもの（冷媒の混合物を含む）と区別して「冷媒組成物」と表記する。また、（２）の冷凍機用作動流体のことを「冷媒組成物」と区別して「冷凍機油含有作動流体」と表記する。

本明細書において、用語「定圧モル比熱Ｃ_Ｐ」は２９８．１５Ｋ、１ａｔｍの値を指す。

本開示において冷媒の燃焼性は、ＡＳＴＭＥ６８１−２００９に基づく燃焼試験の測定装置及び測定方法に基づいて判定する。測定は具体的には以下の通り行う。

燃焼の状態が目視および録画撮影できるように内容積１２リットルの図１に示す球形ガラスフラスコを使用し、ガラスフラスコは燃焼により過大な圧力が発生した際には上部のふたからガスが開放されるようにする。着火方法は底部から１／３の高さに保持された電極からの放電により発生させる。試験条件は以下の通りとする。

＜試験条件＞
試験容器：２８０ｍｍφ球形（内容積：１２リットル）
試験温度：６０℃±３℃
圧力：１０１．３ｋＰａ±０．７ｋＰａ
水分：乾燥空気１ｇにつき０．００８８ｇ±０．０００５ｇ
冷媒組成物／空気混合比：１ｖｏｌ．％刻み±０．２ｖｏｌ．％
冷媒組成物混合：±０．１質量％
点火方法：交流放電、電圧１５ｋＶ、電流３０ｍＡ、ネオン変圧器
電極間隔：６．４ｍｍ（１／４ｉｎｃｈ）
スパーク：０．４秒±０．０５秒
判定基準：
・着火点を中心に９０度以上火炎が広がった場合＝燃焼（伝播）
・着火点を中心に９０度未満の火炎の広がりだった場合＝火炎伝播なし（不燃）

本開示において「ハイドロフルオロカーボン（ＨＦＣ）」には「ハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）」は含まれないものとする。

本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行ったところ、特定の構造を有するハロゲン化炭化水素を燃焼性冷媒と組み合わせることによって、上記の課題を解決できることを見出した。本開示はかかる知見に基づいてさらに検討を加えることにより完成したものであり、以下の態様を含む。

１．冷媒を含む組成物
本開示の組成物は、
（ａ）燃焼性冷媒；及び
（ｂ）一般式：
ＣＦ_ｎＷ_{（４−ｎ）}（Ｗは、同一又は異なって、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表し、かつｎは１又は２を表す；ただし、ｎが２であり、かつＷが全てＣｌの場合と、ｎが２であり、かつＷが全てＢｒの場合とを除く）；
ＣＦ_３ＣＸ_３（Ｘは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｘが全てＦの場合を除く）；
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＹ_３（Ｙは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｙが全てＦの場合を除く）；並びに
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２ＣＺ_３（Ｚは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｚが全てＦの場合を除く）
でそれぞれ表わされるハロゲン化炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種のハロゲン化炭化水素
を含む組成物である。

本開示の組成物は、冷媒を含む組成物である。冷媒として、少なくとも燃焼性冷媒を含む。本開示の組成物は、燃焼性冷媒を一種含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。

本開示の組成物は、冷媒として、燃焼性冷媒を、総量で、冷媒全体に対して好ましくは９０．０〜９９．９質量％含み、より好ましくは９５．０〜９９．９質量％含み、さらに好ましくは９８．０〜９９．９質量％含む。

本開示の組成物は、燃焼性冷媒（ａ）及びハロゲン化炭化水素（ｂ）の合計を、組成物全体に対して好ましくは９０〜１００質量％含み、より好ましくは９５〜１００質量％含み、さらに好ましくは９８〜１００質量％含む。本開示の組成物は、燃焼性冷媒（ａ）及びハロゲン化炭化水素（ｂ）のみからなるものであってもよい。

１．１燃焼性冷媒（ａ）
燃焼性冷媒（ａ）は、特に限定されず、幅広く使用できる。燃焼性冷媒（ａ）は、好ましくは、アメリカ暖房冷凍空調学会（ＡＳＨＲＡＥ）の規格３４において強燃性（Ｃｌａｓｓ３）、燃焼性（Ｃｌａｓｓ２）及び微焼性（Ｃｌａｓｓ２Ｌ）のいずれかに分類される冷媒を指す。

燃焼性冷媒（ａ）の好ましい例としては、ハイドロフルオロカーボン（ＨＦＣ）、ハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、炭化水素及びアンモニア等が挙げられる。

燃焼性冷媒であるＨＦＣとしては、特に限定されず、幅広く使用できる。

燃焼性冷媒であるＨＦＣの具体例としては、ハイドロフルオロアルカン等が挙げられる。

燃焼性冷媒であるハイドロフルオロアルカンの具体例としては、ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）、フルオロメタン（ＨＦＣ−４１）、１，１，１−トリフルオロエタン（ＨＦＣ−１４３ａ）、１，１，２−トリフルオロエタン（ＨＦＣ−１４３）、１，１−ジフルオロエタン（ＨＦＣ−１５２ａ）、フルオロエタン（ＨＦＣ−１６１）及び１，１，１−トリフルオロプロパン（ＨＦＣ−２６３ｆｂ）等が挙げられる。

燃焼性冷媒であるＨＦＯの具体例としては、２，３，３，３−テトラフルオロ−1−プロペン（ＨＦＯ−１２３４ｙｆ）、トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））、シス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｚ））、トリフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１２３）、トランス−１，２−ジフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１３２（Ｅ））及びシス−１，２−ジフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１３２（Ｚ））等が挙げられる。

燃焼性冷媒であるフルオロエーテル冷媒としては、特に限定されず、幅広く使用できる。

燃焼性冷媒であるフルオロエーテル冷媒の具体例としては、エトキシ−ノナフルオロブタン（Ｃ_４Ｆ_９ＯＣ_２Ｈ_５；商品名「３Ｍ（商標）Ｎｏｖｅｃ（商標）７２００ＥｎｇｉｎｅｅｒｅｄＦｌｕｉｄ」）等が挙げられる。

燃焼性冷媒である炭化水素エーテル冷媒としては、特に限定されず、幅広く使用できる。

燃焼性冷媒である炭化水素エーテル冷媒の具体例としては、ジメチルエーテル（ＤＭＥ）等が挙げられる。

燃焼性冷媒である炭化水素冷媒としては、特に限定されず、幅広く使用できる。

燃焼性冷媒である炭化水素冷媒の具体例としては、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、ｎ−ブタン、イソブタン及びｎ−ペンタン等が挙げられる。

燃焼性冷媒（ａ）は、好ましくは、ＡＳＨＲＡＥの規格３４において微焼性（Ｃｌａｓｓ２Ｌ）に分類される冷媒であり、より好ましくは、ＨＦＯであり、さらに好ましくは、ＨＦＯ−１２３４ｙｆ、ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ）、ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｚ）、ＨＦＯ−１１２３、ＨＦＯ−１１３２（Ｅ）及びＨＦＯ−１１３２（Ｚ）である。ＨＦＯは、それ自体のＧＷＰが１０未満であり、低毒性であるという点においても好ましい。

１．２ハロゲン化炭化水素（ｂ）
ハロゲン化炭化水素（ｂ）は、以下の一般式で表わされるものであればよく、特に限定されず、幅広く使用できる。
一般式：
（１）ＣＦ_ｎＷ_{（４−ｎ）}（Ｗは、同一又は異なって、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表し、かつｎは１又は２を表す；ただし、ｎが２であり、かつＷが全てＣｌの場合と、ｎが２であり、かつＷが全てＢｒの場合とを除く）；
（２）ＣＦ_３ＣＸ_３（Ｘは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｘが全てＦの場合を除く）；
（３）ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＹ_３（Ｙは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｙが全てＦの場合を除く）；並びに
（４）ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２ＣＺ_３（Ｚは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｚが全てＦの場合を除く）
でそれぞれ表わされるハロゲン化炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種のハロゲン化炭化水素

本開示の組成物は、ハロゲン化炭化水素（ｂ）を一種含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。

本発明者らの検討により、上記構造を有するハロゲン化炭化水素であれば、少量であっても燃焼性冷媒と混合することによって、混合物全体の燃焼性を低減することができることが判明した。

ハロゲン化炭化水素（ｂ）は、好ましくは、分子中に水素原子を有さない。これにより、水素引抜反応が生じずハロゲン化炭化水素（ｂ）自体の燃焼を抑制するという利点が得られる。

ハロゲン化炭化水素（ｂ）は、好ましくは、分子中に不飽和結合を有さない。これにより、付加反応が生じずハロゲン化炭化水素（ｂ）自体の燃焼を抑制するという利点が得られる。

ハロゲン化炭化水素（ｂ）は、好ましくは、分子中に一以上のフッ素原子を有する。これにより、燃焼時に生成するラジカルをトラップするという利点が得られる。

ハロゲン化炭化水素（ｂ）は、好ましくは、分子中に塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子からなる群より選択される少なくとも一種の元素を、それぞれ一以上有する。これにより、燃焼時に生成するラジカルをトラップするという利点が得られる。

一般式（１）で表わされるハロゲン化炭化水素（ｂ）としては、混合物全体の燃焼性を低減するという効果の点で、前記ＷがＢｒを表わすものが好ましい。特に、ＣＦＢｒ_３が好ましい。

一般式（１）で表わされるハロゲン化炭化水素（ｂ）としては、混合物全体の燃焼性を低減するという効果の点で、前記Ｗが、同一又は異なって、Ｃｌ又はＢｒを表わすものも好ましい。特に、ＣＦＣｌＢｒ_２及びＣＦ_２Ｉ_２が好ましい。

一般式（２）で表わされるハロゲン化炭化水素（ｂ）としては、混合物全体の燃焼性を低減するという効果の点で、前記Ｘが、同一又は異なって、Ｆ又はＢｒを表わすものも好ましい。特に、ＣＦ_３ＣＦ_２Ｂｒが好ましい。

一般式（２）で表わされるハロゲン化炭化水素（ｂ）としては、混合物全体の燃焼性を低減するという効果の点で、前記Ｘが、同一又は異なって、Ｆ又はＩを表わすものも好ましい。特に、ＣＦ_３ＣＦ_２Ｉが好ましい。

一般式（３）で表わされるハロゲン化炭化水素（ｂ）としては、混合物全体の燃焼性を低減するという効果の点で、前記Ｙが、同一又は異なって、Ｆ又はＢｒを表わすものも好ましい。特に、ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２Ｂｒが好ましい。

ハロゲン化炭化水素（ｂ）は、混合物全体の燃焼性を低減する効果の点で、比熱が８０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋ〜２２０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋであれば好ましく、８０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋ〜１８０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋであればより好ましく、８０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋ〜１４０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋであればさらに好ましい。

ハロゲン化炭化水素（ｂ）の好ましい具体例としては、ＣＦＢｒ_３、ＣＦＣｌＢｒ_２、ＣＦ_２Ｉ_２、ＣＦ_３ＣＦ_２Ｉ、ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２Ｂｒ及びＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２ＣＦ_２Ｂｒが挙げられる。とりわけ、ＣＦＢｒ_３が好ましい。

本開示の組成物は、燃焼性冷媒（ａ）としてＨＦＯを用いる場合、ハロゲン化炭化水素（ｂ）を総量で、組成物全体を基準として気相組成で１質量％以上含有することが好ましい。この場合、ハロゲン化炭化水素（ｂ）を総量で、組成物全体を基準として気相組成で５質量％以下含有することが好ましい。このように、ハロゲン化炭化水素（ｂ）の含有割合が低いため、本開示の組成物は、ＨＦＯにより発揮される性能が大幅に損なわれることがないという利点を有する。かかる点において、ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の下限は、好ましくは４であり、より好ましくは３であり、さらに好ましくは２であり、さらにより好ましくは１．５であり、もっとも好ましくは１である。ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の下限が前記の通りであれば、組成物の燃焼性が十分に低減されるため好ましい。また、ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の上限は、好ましくは１．５であり、より好ましくは３であり、さらに好ましくは５である。ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の上限が前記の通りであれば、組成物の冷媒としての性能を、燃焼性冷媒と同等程度に維持することができるため好ましい。

本開示の組成物は、燃焼性冷媒（ａ）としてＨＦＣを用いる場合、ハロゲン化炭化水素（ｂ）を総量で、組成物全体を基準として気相組成で１９質量％以上含有することが好ましい。このように、ハロゲン化炭化水素（ｂ）の含有割合が低いため、本開示の組成物は、燃焼性冷媒により発揮される性能が大幅に損なわれることがないという利点を有する。かかる点において、ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の下限は、好ましくは４５であり、より好ましくは４０であり、さらに好ましくは３５であり、さらにより好ましくは２５であり、もっとも好ましくは１９である。ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の下限が前記の通りであれば、組成物の燃焼性が十分に低減されるため好ましい。また、ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の上限は、好ましくは５０であり、より好ましくは４０であり、さらに好ましくは３０である。ハロゲン化炭化水素（ｂ）総量の、組成物全体に対する気相組成での含有割合（質量％）の上限が前記の通りであれば、組成物の冷媒としての性能を、燃焼性冷媒と同等程度に維持することができるため好ましい。

１．３その他の成分
本開示の組成物は、燃焼性冷媒（ａ）及びハロゲン化炭化水素（ｂ）に加えて、さらに少なくとも一種のその他の成分を含む。その他の成分は、水、トレーサー、酸素、空気、不純物及び副生成物からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。本開示の組成物は、組成物全体に対する燃焼性冷媒（ａ）及びハロゲン化炭化水素（ｂ）以外のその他の成分の含有量が好ましくは０より大きくかつ１質量％以下であり、より好ましくは１質量ｐｐｍ〜０．１質量％である。

１．４用途
本開示の組成物は、燃焼性冷媒（ａ）及びハロゲン化炭化水素（ｂ）を少なくとも含み、燃焼性冷媒と同じ用途のために使用することができる。具体的には、例えば、本開示の組成物は、さらに少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることができる。

２．冷凍機油含有作動流体
本開示の冷凍機油含有作動流体は、本開示の組成物と、冷凍機油とを少なくとも含み、冷凍機における作動流体として用いられる。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍機の圧縮機において使用される冷凍機油と、冷媒又は冷媒組成物とが互いに混じり合うことにより得られる。

本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍サイクルにおいてその組成が変化する。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体の冷凍機油含量は、圧縮機内では比較的多く、圧縮機からミスト状となって吐出されて冷凍サイクルを循環し、圧縮機に戻るまでの期間では比較的少ない。例えば、本開示の冷凍機油含有作動流体の冷凍機油含量は、圧縮機内では、３０〜７０質量％であり、圧縮機から吐出されて再び圧縮機に戻ってくるまでの期間では、好ましくは０〜１０質量％、より好ましくは１質量ｐｐｍ〜２０質量％となる。

冷凍機油としては、特に限定されず、幅広く用いることができる。冷凍機油としては、例えば、ポリオールエステル（ＰＯＥ）、ポリアルキレングリコール（ＰＡＧ）、ポリビニルエーテル（ＰＶＥ）等が挙げられる。

冷凍機油は、基油に加えて、さらに少なくとも一種の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、紫外線蛍光染料、安定化剤、酸化防止剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、銅不活性化剤、防錆剤、油性剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。

本開示の冷凍機油含有作動流体は、さらに少なくとも一種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば相溶化剤等が挙げられる。

３．燃焼性低減剤
本開示の燃焼性低減剤は、前記ハロゲン化炭化水素（ｂ）を含有する、燃焼性冷媒の燃焼性を低減するために用いられる剤である。

燃焼性冷媒については、本開示の組成物において説明した通りである。

以下、実施例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの実施例等に限定されるものではない。

（実施例１）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及びＣＦＢｒ_３を準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７５／２５質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（実施例２）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及びＣＦＣｌＢｒ_２を準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７５／２５質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（実施例３）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及びＣＦ_３ＣＦ_２Ｉを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７５／２５質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（実施例４）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及びＣＦＢｒ_３を準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で９７／３質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（実施例５）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及びＣＦＣｌＢｒ_２を準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で９７／３質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（実施例６）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及びＣＦ_３ＣＦ_２Ｉを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で９７／３質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（実施例７）
１，１−ジフルオロエタン（ＨＦＣ−１５２ａ）及びＣＦＢｒ_３を準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７０／３０質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例１）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及びトリフルオロヨードメタンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７５／２５質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例２）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及びパーフルオロエチルイソプロピルケトンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７５／２５質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例３）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及びパーフルオロヘキサンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７５／２５質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例４）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及び五酸化アンチモンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が７５／２５質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例５）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及びトリフルオロヨードメタンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で９７／３質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例６）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及びパーフルオロエチルイソプロピルケトンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で９７／３質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例７）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及びパーフルオロヘキサンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で９７／３質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例８）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及び五酸化アンチモンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が９７／３質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例９）
１，１−ジフルオロエタン（ＨＦＣ−１５２ａ）及びパーフルオロエチルイソプロピルケトンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で７０／３０質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例１０）
ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）及びパーフルオロエチルイソプロピルケトンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で４０／６０質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例１１）
トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））及びパーフルオロエチルイソプロピルケトンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で９３／７質量％となるように冷媒組成物を調製した。

（比較例１２）
１，１−ジフルオロエタン（ＨＦＣ−１５２ａ）及びパーフルオロエチルイソプロピルケトンを準備し、これら燃焼性冷媒／燃焼性低減剤が気相組成で３０／７０質量％となるように冷媒組成物を調製した。

＜相溶性試験＞
ガラス製チューブ（ID8mmΦ×OD12mmΦ×L300mm）に表１〜３に示される計１９種類（実施例１〜７、比較例１〜１２）の冷媒組成物（燃焼性冷媒＋燃焼性低減剤）を入れ調整し封入後、相溶性試験を行った。

チューブを観察し冷媒組成物が１つの層であり、透明な液体を維持する場合を○、相分離、白濁、又は固体の存在が確認される場合は×とした。

＜燃焼試験＞
得られた媒体組成物の燃焼性は、米国ＡＳＨＲＡＥ３４−２０１３規格に従って評価した。燃焼範囲は、ＡＳＴＭＥ６８１−０９に基づく測定装置を用いて測定を実施した。

図１は、燃焼試験を実施するための装置である。図１中、符号１は、発火源、２はサンプル投入口、３はばね、４は１２リットルの球形ガラスフラスコ、５は電極、６は撹拌手段、７は断熱室である。

燃焼の状態が目視および録画撮影できるように内容積１２リットルの球形ガラスフラスコを使用し、燃焼により過大な圧力が発生した場合は上部のふたからガスを開放させた。着火方法は底部から１／３の高さに保持された電極からの放電により発生させた。

＜試験条件＞
・試験容器：２８０ｍｍφ球形（内容積：１２リットル）
・試験温度：６０℃±３℃
・圧力：１０１．３ｋＰａ±０．７ｋＰａ
・水分：乾燥空気１ｇにつき０．００８８ｇ±０．０００５ｇ
・組成物／空気混合比：１ｖｏｌ．％刻み±０．２ｖｏｌ．％
・組成物混合：±０．１重量％
・点火方法：交流放電、電圧１５ｋＶ、電流３０ｍＡ、ネオン変圧器
・電極間隔：６．４ｍｍ（１／４ｉｎｃｈ）
・スパーク：０．４秒±０．０５秒
判定基準として、着火点を中心に９０度以上火炎が広がった場合を燃焼（伝播）したと判断した。燃焼した場合を×、燃焼しなかった場合を○と記載する。相溶性試験において相溶しなかったものは指定の組成と異なるため、試験不可能とし―と記載する。

表１〜３は、相溶性試験及び燃焼性試験の結果を示す。

実施例１、実施例４、実施例７、比較例１０、比較例１１、比較例１２について、ヒートポンプを用いてＣＯＰ、冷凍能力（ｋＪ／ｍ^３）の評価をした。実施例１、比較例１０のヒートポンプ運転条件は、蒸発器における冷媒の蒸発温度が０℃、凝縮器における冷媒の凝縮温度が４５℃ 圧縮機の効率が０．７、過熱度が０℃、過冷却度が０℃、圧縮機効率が０．７となるように運転した。実施例４、実施例７、比較例１１、比較例１２のヒートポンプ運転条件は、蒸発器における冷媒の蒸発温度が０℃、凝縮器における冷媒の凝縮温度が４０℃ 圧縮機の効率が０．７、過熱度が５℃、過冷却度が０℃、圧縮機効率が０．７となるように運転した。結果を表４に示す。

以上の結果から、本発明の組成物は、燃焼性冷媒のみと比較して燃焼性が減少しており、かつ従来の燃焼性低減剤を使用した場合と比較して冷凍能力がより高く維持されており、有意義であることが判る。

1：Ignition source
2：Sample inlet
3：Springs
4：12-liter glass flask
5：Electrodes
6：Stirrer
7：Insulated chamber

Claims

（ａ）燃焼性冷媒；及び
（ｂ）一般式：
ＣＦ_ｎＷ_{（４−ｎ）}（Ｗは、同一又は異なって、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表し、かつｎは１又は２を表す；ただし、ｎが２であり、かつＷが全てＣｌの場合と、ｎが２であり、かつＷが全てＢｒの場合とを除く）；
ＣＦ_３ＣＸ_３（Ｘは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｘが全てＦの場合を除く）；
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＹ_３（Ｙは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｙが全てＦの場合を除く）；並びに
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２ＣＺ_３（Ｚは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｚが全てＦの場合を除く）
でそれぞれ表わされるハロゲン化炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の有機化合物
を含む組成物。
前記燃焼性冷媒が、ハイドロフルオロカーボン（ＨＦＣ）、ハイドロフルオロオレフィン（ＨＦＯ）、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、炭化水素及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項１に記載の組成物。
前記燃焼性冷媒が、ＨＦＯを含む、請求項１に記載の組成物。
前記燃焼性冷媒が、２，３，３，３−テトラフルオロ−1−プロペン（ＨＦＯ−１２３４ｙｆ）、トランス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｅ））、シス−１，３，３，３−テトラフルオロプロペン（ＨＦＯ−１２３４ｚｅ（Ｚ））、トリフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１２３）、トランス−１，２−ジフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１３２（Ｅ））及びシス−１，２−ジフルオロエチレン（ＨＦＯ−１１３２（Ｚ））からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項３に記載の組成物。
前記有機化合物（ｂ）を総量で、組成物全体を基準として気相組成で１質量％以上含有する、請求項３又は４に記載の組成物。
前記燃焼性冷媒が、ＨＦＣを含む、請求項１に記載の組成物。
前記燃焼性冷媒が、ジフルオロメタン（ＨＦＣ−３２）、１，１，１−トリフルオロエタン（ＨＦＣ−１４３ａ）、１，１，２−トリフルオロエタン（ＨＦＣ−１４３）及び１，１−ジフルオロエタン（ＨＦＣ−１５２ａ）からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項６に記載の組成物。
前記有機化合物（ｂ）を総量で、組成物全体を基準として気相組成で１９質量％以上含有する、請求項６又は７に記載の組成物。
前記ＷがＢｒを表わす、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記Ｗが、同一又は異なって、Ｃｌ又はＢｒを表わす、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦＣｌＢｒ_２である、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦ_２Ｉ_２である、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記Ｘが、同一又は異なって、Ｆ又はＢｒを表わす、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦ_３ＣＦ_２Ｂｒである、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記Ｘが、同一又は異なって、Ｆ又はＩを表わす、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記有機化合物（ｂ）が、ＣＦ_３ＣＦ_２Ｉである、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記Ｙが、同一又は異なって、Ｆ又はＢｒを表わす、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記有機化合物が、ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２Ｂｒである、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
前記有機化合物として、定圧モル比熱Ｃ_Ｐが８０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋ〜２６０Ｊ／ｍｏｌ・Ｋであるハロゲン化炭化水素を含む、請求項１〜８のいずれか一項に記載の組成物。
一般式：
ＣＦ_ｎＷ_{（４−ｎ）}（Ｗは、同一又は異なって、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表し、かつｎは１又は２を表す；ただし、ｎが２であり、かつＷが全てＣｌの場合と、ｎが２であり、かつＷが全てＢｒの場合とを除く）；
ＣＦ_３ＣＸ_３（Ｘは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｘが全てＦの場合を除く）；
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＹ_３（Ｙは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｙが全てＦの場合を除く）；並びに
ＣＦ_３ＣＦ_２ＣＦ_２ＣＺ_３（Ｚは、同一又は異なって、Ｆ、Ｃｌ、Ｂｒ又はＩを表す；ただし、Ｚが全てＦの場合を除く）
でそれぞれ表わされるハロゲン化炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種のハロゲン化炭化水素
を含む、燃焼性冷媒の燃焼性を低減するために用いられる剤。