JP2020019719A - 工業用保存剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】成分(a)一般式(1)で表されるアミン化合物を有効成分とし、単独での使用に比べてより少ない使用量でより高い抗菌効果を発揮する工業用保存剤の提供。【解決手段】成分(a)一般式(1)で表されるアミン化合物、および成分(b)一般式(2)で表されるヒダントイン化合物を含有することを特徴とする工業用保存剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、アミン化合物とヒダントイン化合物とを含有する工業用保存剤に関する。詳しくは、細菌、カビ、酵母等の防除剤として用いられる工業用保存剤に関する。
従来、各種の工業製品には、細菌、カビ、酵母などの有害な微生物が繁殖しやすく、生産性や品質の低下、悪臭の発生などの原因になっている。木材や木質を含有する建材などの工業製品は、担子菌などの微生物の作用により腐朽することにより、その品質および強度が劣化することが知られている。また、建築物の外壁、船体、水路などにカビなどが繁殖し、外観や機能を損なうなどの原因となっており、それを防止するために防カビ剤を含有する塗料を用いて塗装をすることが広く行われている。この他にも、紙パルプの製造に用いられる水、産業分野における循環冷却水等の種々の用水、水性塗料、エマルジョン、捺染糊、皮革等の製造に用いられる水に繁殖した有害微生物は、被処理物、被洗浄物または処理設備等の腐食やカビの原因となっている。そのため、水系組成物を細菌やカビ等の有害微生物による腐敗から保護するために、種々の抗菌剤を水系組成物に添加することが広く知られている。このような水系組成物を保護する抗菌剤として、例えば、特許文献1〜3には、イソチアゾリン化合物と公知の抗菌化合物とを併用する工業用抗菌組成物が開示されている。
特許文献1〜3に開示されているように、抗菌スペクトラムを広げる目的や、より少ない添加量でより高い効果を得るために、2種以上の公知の抗菌化合物を混合あるいは併用して使用することが、工業用抗菌剤の分野でも広く行われてきている。これらの組成物は一定以上の効果を発揮するものの、より長期にわたる効果やコストの点から、より少量でより高い抗菌効果が得られ、かつ、安定性や物性上の問題のない組成物が希求されている。
特開2012−072071号公報 特開2017−186279号公報 特開2009−263300号公報
イソチアゾリン化合物は優れた抗菌効果を発揮するものの、より優れた安全性を有する化合物へのニーズが高まっている。例えば、非ハロゲン系の有効成分や非イソチアゾリン系の有効成分などが挙げられる。また、下記一般式(1)で表されるアミン化合物は、非ハロゲン系かつ非イソチアゾリン系の抗菌剤であるものの、イソチアゾリン化合物と比べると十分な活性を持つとは言い難く、十分な活性を示すためには多くの添加量が必要となる。下記一般式(1)で表されるアミン化合物を実用化するためには、長期にわたる抗菌効果、安定性、物性上の観点、コストなどを考慮すると、より少ない使用量でより高い抗菌効果を発揮させることが課題となっている。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表されるアミン化合物と下記一般式(2)で表されるヒダントイン化合物を組み合わせることにより、細菌、カビ、酵母などの広範な有害微生物に対する防除効果が顕著に向上し、相加効果以上の優れた効果を有する工業用保存剤になり得ることを見出した。また、この組み合わせに酸を加えた本発明の工業用保存剤は、着色が大きく抑制されることをも見出し、上記課題を解決するに至ったものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.成分(a)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、および
成分(b)下記一般式(2)で表されるヒダントイン化合物、
を含有することを特徴とする工業用保存剤。
一般式(1):
Figure 2020019719
[式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基を示し、mおよびnは同一または異なってもよく、1〜6の整数を示す。]
一般式(2):
Figure 2020019719
[式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基で置換されている炭素数1〜3のアルキル基を示し、RおよびRは同一または異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
2.成分(a)のアミン化合物が、N−(3−アミノプロピル)−N−オクチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−テトラデシル−1,3−プロパンジアミンからなる群より選択され、
成分(b)のヒダントイン化合物が、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントイン、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジクロロメチルエチルヒダントイン、およびジブロモヒダントインからなる群から選択されることを特徴とする、1.に記載の工業用保存剤。
3.さらに、成分(c)有機酸および無機酸からなる群から選択される成分を含有することを特徴とする、1.または2.に記載の工業用保存剤。
4.1.〜3.いずれか1項に記載の工業用保存剤を含有する工業製品。
5.1.〜3.いずれか1項に記載の工業用保存剤を、工業用材料に適用する工業用材料の保存方法。
本発明の工業用保存剤は、優れた抗菌・防カビ・防腐作用を発現し、防除効果に優れているので、各種の工業製品、例えば、屋内外の塗料、ゴム、繊維、樹脂、プラスチック、接着剤、目地剤、シーリング剤、建材、コーキング剤、土壌処理剤、木材処理剤、製紙工程における白水、顔料、印刷版用処理液、冷却用水、インキ、切削油、不織布、紡糸油、皮革などに、抗微生物効果を発現する添加剤として、ごく少量配合するだけで、優れた抗微生物活性を発揮することができる。
さらに、成分(a)は中性化するために酸と併用すると着色するが、本発明の成分(a)、成分(b)、成分(c)を含有する本発明の工業用保存剤は、着色が大きく抑制され、抗菌対象物に対して着色や変色させることがないため、工業用保存剤として極めて有用である。
以下、本発明の工業用保存剤、および、工業製品や工業用材料の保存方法について詳細に説明する。
なお、本発明における工業用保存剤とは、工業製品や工業用材料等の工業用途において問題となる細菌、カビや酵母や木材腐朽菌等の真菌、藻類の有害微生物に対する防除活性を有する組成物のことを意味する。
本発明の工業用保存剤は、成分(a)下記一般式(1)で表されるアミン化合物と成分(b)下記一般式(2)で表されるヒダントイン化合物、または、さらに成分(c)酸を含有するものである。
<成分(a)について>
本発明の成分(a)のアミン化合物は、次の一般式(1)で示される。
一般式(1):
Figure 2020019719
[式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基を示し、mおよびnは同一または異なってもよく、1〜6の整数を示す。]
本発明の成分(a)のアミン化合物としては、一般式(1)で示される化合物群の中から、いずれか1種を選択して使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の成分(a)のアミン化合物として、一般式(1)で示される化合物の酸付加物も含まれる。
炭素数8〜18のアルキル基としては、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
成分(a)のアミン化合物の好適な具体例としては、N−(3−アミノプロピル)−N−オクチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−テトラデシル−1,3−プロパンジアミンから選択される1種以上が挙げられる。中でも、本発明の成分(a)としては、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミンがより好ましい。
一般式(1)で示される化合物の酸付加物とは、例えば、塩化水素、臭化水素などのハロゲン化水素酸、蟻酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸などのカルボン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸ならびに、硫酸、リン酸、硝酸などを例示することができる。ただし、一般式(1)で示される化合物の酸付加物は、後述するように着色による問題がある。
<成分(b)について>
本発明の成分(b)のヒダントイン化合物は、次の一般式(2)で示される。
一般式(2):
Figure 2020019719
[式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基で置換されている炭素数1〜3のアルキル基を示し、RおよびRは同一または異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
本発明の成分(b)のヒダントイン化合物としては、一般式(2)で示される化合物群の中から、いずれか1種を選択して使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の成分(b)のヒダントイン化合物として、一般式(2)で示される化合物の塩を使用しても良い。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を表す。
水酸基で置換されている炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル等が挙げられる。
成分(b)のヒダントイン化合物の好適な具体例としては、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントイン、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジクロロメチルエチルヒダントイン、ジブロモヒダントインから選択される1種以上が挙げられる。中でも、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントインから選択される1種以上が好ましく、特にジメチロールジメチルヒダントイン(正式には、「1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン」)が好ましい。
本発明において、成分(b)のヒダントイン化合物が、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントインから選択される1種以上である場合は、成分(a)と成分(b)ともに非ハロゲン化合物であることから「非ハロゲン型工業用保存剤」となり、安全性、環境への影響等の観点からも好適である。
<成分(c)について>
本発明の成分(c)は、有機酸および無機酸からなる群から選択される成分である。
無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。中でも安全性の面において塩酸、リン酸が好ましい。
有機酸としては、例えば、脂肪酸、芳香族カルボン酸、脂肪族ヒドロキシ酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族ポリカルボン酸、フェノール性水酸基含有酸性化合物から選ばれる少なくとも1種以上の有機酸が挙げられる。
後述する実施例において詳細に説明するが、本発明の成分(a)アミン化合物は中性化するための酸と併用すると着色するが、本発明の成分(b)存在下において、成分(c)を添加すると着色が大きく抑制されることが実験により明らかとなった。すなわち、本発明の成分(c)は、添加により成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤における、着色抑制効果を発揮するものである。また、本発明の成分(c)の添加は、同時に、成分(a)の安定性も向上させ得るものと考えられる。
成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤に成分(c)を併用する場合、その配合量は使用する酸の種類により適宜調製する。目的とする工業用保存剤全体のpHが、概ね3〜9の範囲となるように調製することが好ましく、pHが4〜8の範囲がより好ましく、pHが5〜8の範囲が特に好ましい。
本発明の成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物との含有量比は、0.0001:1〜100:1(重量比)とすることが好ましく、0.005:1〜10:1(重量比)とすることがさらに好ましく、0.01:1〜0.8:1(重量比)とすることが特に好ましく、0.1:1〜0.5:1(重量比)とすることが最も好ましい。
成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物を組み合わせると、それぞれ単独の細菌、カビ、酵母、藻に対する防除活性に比べて、特異的な向上、すなわち、単に2つの剤を単独で施用したときに予想される効果を遥かに超える相乗効果が得られることを後述する実験により確認している。本発明の組み合わせが、相乗的な抗菌活性を示す作用機構についての詳細は不明であるが、異なる作用メカニズムを有する2つの抗菌剤を組み合わせることにより、作用点レベルにおける相互共力作用が発現した結果、このような顕著な効果が得られるものと推測される。したがって、この相乗効果は、成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物を組み合わせることにより初めて得られる効果であり、これは本発明者が実験を行い初めて当該効果を確認した格別顕著なものである。
本発明の成分(a)のアミン化合物は、上記一般式(1)に示すように2つのアミノ基を有するため、塩基性を示す化合物である。
工業製品はその組成によっては、添加する工業用保存剤等の添加剤が中性であることが重要とされる場合が少なくはない。このため、本発明の成分(a)として使用されるアミン化合物は、酸などを添加して中性化したもの(酸付加物)が使用されている。しかしながら、このアミン化合物に酸を添加すると着色してしまい、用途によっては、この着色が大きな問題となる。
そこで、本発明の工業用保存剤の中性化について検討したところ、意外なことに、成分(b)ヒダントイン化合物の存在下において、成分(a)アミン化合物を中性化するために成分(c)の酸を添加すると、着色が大きく抑制されることが後述する実験により確認された。この、成分(b)ヒダントイン化合物の存在下における、着色抑制の発現メカニズムは全く不明であるが、成分(b)ヒダントイン化合物から微量のホルムアルデヒドが放出され、これが弱い還元剤として機能し、成分(a)アミン化合物のアミノ基が、酸化によりニトロ基に変換されることを抑制するため、着色が抑制されるのではないかと推察している。着色抑制の発現メカニズムは明確ではないが、当該効果は、当業者が予測することが全くできない格別顕著な効果である。
また、本発明の成分(a)のアミン化合物は、その化学構造からホルムアルデヒドを放出することが懸念されている。しかしながら、本発明の成分(b)のヒダントイン化合物は、ホルムアルデヒドに対して捕捉作用を示すとされる化合物である(例えば、特開2009−235115号公報の段落0013等)。このため、仮に、成分(a)のアミン化合物がホルムアルデヒドを放出したとしても、成分(b)のヒダントイン化合物がホルマリンキャッチャー剤として機能するため、本発明の工業用保存剤はホルムアルデヒドを放出しないものと考えられ、環境への影響等の観点からも有用である。
<その他の成分について>
本発明の工業用保存剤は、その他の成分として、成分(d):アニオン系およびノニオン系界面活性剤からなる群から選択される成分、を含有してもよい。
アニオン系界面活性剤には、例えば、金属石鹸類、硫酸アルキルナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム[例えば、竹本油脂(株)製、商品名ニューカルゲンBX−C]などのアルキルナフタレンスルホン酸塩、2−スルホコハク酸ジアルキルナトリウム[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ネオコールSW−C]などの2−スルホコハク酸ジアルキル塩、ポリカルボン酸型界面活性剤[例えば、三洋化成工業(株)製、商品名トキサノンGR−30]、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ディクスゾール60A]、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。
ノニオン系界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ノイゲン(EA−142)]、ポリオキシエチレンアリールエーテル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールポリオキシエチレン、ショ糖脂肪酸エステル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体[例えば、三洋化成工業(株)製、商品名ニューポールPE−64]などが例示できる。
成分(d)は、成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤に添加してもよいし、成分(a)、成分(b)および成分(c)を含有する本発明の工業用保存剤に添加してもよい。特に、成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤に、成分(c)と成分(d)を併用することにより、安定した抗菌活性を発揮し、かつ、着色抑制効果に優れた工業用保存剤を得ることができる点で好ましい。
本発明の工業用保存剤は、成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物を、または、さらに成分(c)酸、必要に応じて成分(d)を、液状担体、固体担体等の種々の担体に溶解、分散、吸着等させることにより、種々の製剤形とすることができる。例えば、溶液剤、水和剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、油剤などの液剤;粉剤、粒剤、マイクロカプセル剤、マイクロスフェア、フロアブル剤、発泡剤などの固形剤;ペースト剤、クリームなどの半固形剤;噴霧剤、エアゾール剤;塗料などが挙げられ、これらは使用目的や適用状態に応じて適宜選択できる。これらの製剤は、慣用の方法で製造できる。
本発明において用い得る前記液状担体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の液状担体何れでも使用することができる。具体的には、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレンカーボネート等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、エチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ソルベントナフサ等の芳香族系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等の極性有機溶剤などが挙げられる。これらの液状担体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これら液状担体の中では、水、プロピレンカーボネート等のケトン類、低級アルコール類および多価アルコール類が好ましく用いられる。
本発明において用い得る前記固体担体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の固体担体何れでも使用することができる。具体的には、例えば、ケイソウ土、雲母、粘土、カオリン、タルク、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、アルミナ、ベントナイト、滑石粉、ロウ石粉などのタルク類、微粉末クレイなどのクレイ類や炭酸カルシウムなどの鉱物性粉末;硫黄粉末;尿素粉末;木粉、澱粉などの植物性粉末;工業用保存剤などに繁用される各種担体が挙げられる。これらの固体担体は、増量材として使用される場合も多い。これらの固体担体も、1種または2種以上混合して使用できる。
前記エアゾール剤は、成分(a)と成分(b)とを必要に応じて適当な溶剤で希釈し、噴射剤と共に容器に充填することにより製造できる。溶剤としては、例えば、前記例示の液状担体などが挙げられる。噴射剤としては、フロン、液化天然ガスなどが挙げられる。
本発明の工業用保存剤は、製剤の種類に応じて、必要により種々の添加剤、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定化剤;結合剤;被膜形成能を有する樹脂;増粘剤;流動助剤;固結防止剤;凝集剤;紫外線散乱剤;水分除去剤;着色剤などを含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、4,4’−チオビス−6−t−ブチル−3−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール(2−t−ブチル−4−メトキシフェノールと3−t−ブチル−4−メトキシフェノールの混合物)、p−オクチルフェノール、モノ(またはジまたはトリ)−(α−メチルベンジル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤;N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,5−ジ(t−アミル)ヒドロキノリンなどのヒドロキノリン系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイトなどのリン系酸化防止剤などが例示できる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;サリチル酸フェニル、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物;2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−エトキシ−2’−エチルシュウ酸ビスアニリド、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物などが挙げられる。
結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。
被膜形成能を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが例示できる。
増粘剤には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸とその塩などが例示でき、流動助剤として、PAP助剤(例えば、イソプロピルリン酸)、ワックス、ポリエチレン、脂肪酸金属塩、パラフィン、シリコーンオイルなどの有機滑剤、タルクなどの無機滑剤が例示できる。固結防止剤として、例えば、ホワイトカーボン、ケイソウ土、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタンなどが挙げられる。凝集剤としては、例えば、流動パラフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソブチレン重合体[例えば、出光興産(株)製、商品名IPソルベント−2835]などが挙げられる。紫外線散乱剤としては、二酸化チタンなどが例示できる。水分除去剤としては、無水石膏、シリカゲル粉末などの乾燥剤などが挙げられる。着色剤には、例えば、有機または無機顔料や染料が含まれる。
さらに、本発明の工業用保存剤は、公知の防腐防カビ剤、防虫剤、害虫忌避剤、昆虫成長制御剤、効力増強剤を含んでいてもよい。
本発明の工業用保存剤の防除対象となる細菌、カビや酵母や木材腐朽菌等の真菌、藻類は、特に限定されない。
細菌としては、例えば、大腸菌、緑膿菌、セラチア菌等のグラム陰性桿菌;クロストリジウム属等のグラム陽性桿菌;ブランハメラ菌等のグラム陰性球菌;黄色ブドウ球菌等のグラム陽性球菌などが挙げられる。
また、カビとしては、例えば、アブシジア(Absidia)属、ムーコル(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属などの接合菌類、例えば、ケトミウム(Chaetomium)属、ユーロチウム(Eurotium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属などの子のう菌類、例えば、アクレモニウム(Acremonium)属、アルタナリア(Alternaria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、フザリウム(Fusarium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フォーマ(Phoma)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、カンジダ(Candida)属、トリコフィトン(Trichophyton)属などの不完全菌類などが挙げられる。
また、酵母としては、例えば、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、プロトミセス(Protomyces)属、タフリナ(Taphrina)属等の原生子嚢菌類;エンドミセス(Endomyces)属等の真正子嚢菌類;サッカロミセス(Saccharomyces)属等の半子嚢菌類;カンジダ(Candida)属等の子嚢菌酵母の不完全型;フィロバシディエラ(Filobasidiella)属等の異型担子菌類;ロドトルラ(Rhodotorula)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属等の担子菌酵母の不完全型;ロドスポリディウム(Rhodosporidium)属、スポリディオボルス(Sporidiobolus)属、キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属等の担子菌酵母などが挙げられる。
また、木材腐朽菌としては、例えば、コニオフォラ(Coniophora)属、トラメテス(Trametes)属、ポスティア(Postia)属、ポリア(Poria)属、グロエオフィルム(Gloeophyllum)属、レンティナス(Lentinus)属、パクシラス(Paxillus)属、ホミトプシス(Fomitopsis)属、プレウロタス(Pleurotus)属、ドンキオポリア(Donkioporia)属、セルプラ(Serpula)属、グレノスポラ(Glenospora)属、ペレニポリア(Perenniporia)属、アントロディア(Antrodia)属などの担子菌類などが挙げられる。
また、藻類としては、水中や陸上に生息し、同化色素を持ち独立して栄養生活をする植物であって、例えば、藍藻類、灰青藻類、紅藻類、黄色鞭毛藻類、黄緑色藻類、緑藻類、珪藻類、褐色鞭毛藻類、渦鞭毛藻類、緑色鞭毛藻類、褐藻類、緑虫藻類、車軸藻類などが含まれる。本発明の工業用保存剤は、とりわけ、藍藻類、緑藻類の防除に優れた防藻効果を発現する。藍藻類としては、例えば、オシラトリア(Oscillatoria)属、フォルミジウム(Phormidium)属などが挙げられ、緑藻類としては、例えば、クラミドモナス(Chlamydomonas)属、クロロコックム(Chlorococcum)属、クロレラ(Chlorella)属、デスモデスムス属(Desmodesmus)属、クレブソルミディウム(Klebsormidium)属、トレボキシア(Trebouxiophyceae)属、ウロスリックス(Ulothrix)属などが挙げられる。
本発明の工業用保存剤は、製紙パルプ工場、冷却水循環工程等の種々の産業用水や、切削油などの金属加工用油剤、塗工紙、紙用塗工液、塗料、接着剤、カゼイン、澱粉糊、にかわ、合成ゴムラテックス、エマルジョン、印刷インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、プラスチック製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤、消臭剤、繊維、皮革製品、フィルター等の各種工業製品の有害微生物の防除の用途において有効に用いることができる。より具体的には、製紙パルプ工場や冷却水循環工程のスライムコントロール剤、紙製品、樹脂製品等の防菌防カビ剤、塗料、合成ゴムラテックス、樹脂、インキ、シリコーンシーリング剤等の防菌防カビ剤などとして有用である。
本発明の工業用保存剤は、適用対象、防除の対象となる微生物の種類(細菌類、カビ類、酵母、藻類等)や防除期間に応じて、添加量を適宜選択すればよいが、たとえば、スライムコントロール剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌性成分の総量として0.1mg〜10g、好ましくは、0.5mg〜1g、防腐剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌性成分の総量として1mg〜500mg、好ましくは、10mg〜100mg、防カビ・酵母剤または防藻剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌性成分の総量として10mg〜50g、好ましくは、100mg〜10gとなるように添加すればよい。
以下、製剤例および試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
本発明の工業用保存剤が、細菌、カビ、酵母に対して優れた抗菌活性を有することを試験例に示す。
<抗菌性の評価1>
(1)試験検体
<実施例1>
成分(a)アミン化合物として「N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン」(ロンザ社製、以下、「化合物A1」という。)8重量部、成分(b)ヒダントイン化合物として、「1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン」(ロンザ社製、以下、「化合物B1」という。)5重量部および精製水を使用して、全体量を100重量部として工業用保存剤を調製した。
実施例2〜6と比較例1、2は下記表1に示した配合で、実施例1と同様にして工業用保存剤を調製し、それぞれの試験検体を得た。表1中の配合を示す数字は重量部を意味し、「(a):(b)」は化合物A1と化合物B1の配合比率の重量比を表す。
(2)抗菌性(防カビ、防酵母)の試験方法
上記試験検体を、グルコースブイヨン培地(pH6.0)にそれぞれ添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表1に記載のカビまたは酵母を含有するカビ懸濁液または酵母懸濁液を接種して、33℃で18時間、28℃で2日間培養した。その後、培養後の各菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。試験はそれぞれ5回行い、その平均値をMIC値として使用した。
(3)抗菌性の評価方法
抗菌性の評価は、成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物をそれぞれ単独で用いた場合(比較例1、2)のMIC値から、実施例1〜6の試験検体について次式によりMICの理論値を算出し、実際に測定したMIC値をそれらと比較することにより行った。MICの実測値がその理論値の計算値よりも小さくなる場合、すなわち「測定値/理論値」が1より小さくなる場合には、上記の各成分を単独で用いた場合の代数和より抗菌活性が増強されているといえるため、相乗効果が認められると評価した。
下記表1に、評価結果として「測定値」「理論値」「測定値/理論値」それぞれを、まとめて示した。
MICの理論値=1/(x/C+y/C
;成分(a)アミン化合物を単独で用いた場合(比較例1)のMIC値
;成分(b)ヒダントイン化合物をそれぞれ単独で用いた場合(比較例2)のMIC値
x;抗菌性成分中においてアミン化合物の占める割合(重量%)
y;抗菌性成分中において、ヒダントイン化合物の占める割合(重量%)
Figure 2020019719
表1より明らかなように、実施例1〜6の工業用保存剤は、カビ(アスペルギルス(Aspergillus)属、アルタナリア(Alternaria)属)、酵母(サッカロミセス(Saccharomyces)属)に対して、MICの実測値/計算値が1より小さく、成分(a)アミン化合物および成分(b)ヒダントイン化合物をそれぞれ単独で使用した場合(比較例1、2)と比べ、広い濃度範囲において抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
<抗菌性の評価2>
(1)抗菌性(抗細菌)の試験方法
上記「抗菌性の評価1」の実施例2〜5、比較例1、2の試験検体を、グルコースブイヨン培地(pH6.0)にそれぞれ添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表2に記載の細菌を含有する細菌懸濁液を接種して、33℃で18時間培養した。その後、培養後の細菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。試験はそれぞれ5回行い、その平均値をMIC値として使用した。
さらに、「抗菌性の評価1」の防カビ、防酵母の試験方法と同様に、「抗菌性の評価1」で評価した有害微生物以外について評価試験を行った。
下記表2に、評価結果として「測定値」「理論値」「測定値/理論値」それぞれを、まとめて示した。
Figure 2020019719
表2より明らかなように、実施例2〜5の工業用保存剤は、細菌(黄色ブドウ球菌、緑膿菌)、カビ(ペニシリウム(Penicillium)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属)、酵母(ロドトルラ(Rhodotorula)属)に対して、MICの実測値/計算値が1より小さく、成分(a)アミン化合物および成分(b)ヒダントイン化合物をそれぞれ単独で使用した場合(比較例1、2)と比べ、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
<抗菌性の評価3>
<実施例7>
「化合物A1」8重量部、「化合物B1」20重量部、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、青木油脂工業社製、商品名:セフティカット)15重量部および精製水を使用して、全体量を100重量部として工業用保存剤を調製した。
実施例8と比較例3は下記表3に示した配合で、実施例7と同様にして工業用保存剤を調製し、それぞれの試験検体を得た。
上記「抗菌性の評価1」の比較例1、2の試験検体も使用して、「抗菌性の評価1、2」と同様の評価試験を行った。
Figure 2020019719
表3より明らかなように、実施例7、8の工業用保存剤は、界面活性剤を併用した場合においても、実施例1〜6の工業用保存剤と同様に、細菌(黄色ブドウ球菌、緑膿菌)、カビ(アスペルギルス(Aspergillus)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、アルタナリア(Alternaria)属)、酵母(サッカロミセス(Saccharomyces)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属)に対して、MICの実測値/計算値が1より小さく、抗菌活性の相乗的な向上が認められた。
<着色抑制確認試験>
(1)試験検体
<実施例9>
成分(a)アミン化合物として化合物A1を4重量部、成分(b)ヒダントイン化合物として化合物B1を8重量部、1Nの塩酸水溶液を13重量部、および精製水を使用して、全体量を100重量部として工業用保存剤を調製した。
実施例10〜15と比較例4は下記表4に示した配合で、実施例1と同様にして工業用保存剤を調製した。なお、実施例14、15は、1Nの塩酸水溶液の代わりに85%リン酸を使用した。
それぞれを40℃条件下で2週間保管し、試験検体とした。
(2)着色抑制確認試験方法
(i)目視での性状確認、(ii)L*a*b*表色系による色差、(iii)ガードナー色数による黄色味、(iv)660nm透過率(%)による透明度の4項目について、各試験検体の着色性について評価した。なお、上記(i)以外の3項目については、下記機器により測定した。
測定機器:KONICA MINOLTA製 SPECTRO PHOTOMETER CM-5
測定方法:ガラスセル(10mm)に試料(本発明の工業用保存剤)を入れて上記測定機器により上記(ii)(iii)(iv)の項目について自動計測した。
Figure 2020019719
表4より明らかなように、本発明の成分(a)アミン化合物は中性化するための酸を併用すると、比較例4に示すとおり、Lab指数による着色程度を示す「ΔE」値が3.63、ガードナー色数が0.58と大きく、明らかに着色しているが、本発明の成分(a)、成分(b)、成分(c)を含有する本発明の工業用保存剤は、「ΔE」値やガードナー色数が比較例4に比べて小さく、着色が大きく抑制されることが確認された。特に、実施例11〜13、15は、「ΔE」値や、ガードナー色数それぞれが、比較例4と比べ、概略1/2以下となっており、着色抑制効果に優れることが明らかとなった。
本発明の工業用保存剤は、単独の使用では十分な抗菌活性を発揮しない上記一般式(1)で表されるアミン化合物と、上記一般式(2)で表されるヒダントイン化合物を組み合わせることにより、細菌、カビ、酵母などの広範な有害微生物に対する防除効果が顕著に向上し、相加効果以上の優れた効果を有する工業用保存剤となり、極めて有用である。しかも、上記一般式(1)で表されるアミン化合物は、酸を添加すると着色してしまい、この着色が大きな問題となっていたにも関わらず、上記一般式(2)で表されるヒダントイン化合物の存在下において酸を添加すると、着色が大きく抑制されるため工業用用途においては非常に有用である。

Claims (5)

  1. 成分(a)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、および
    成分(b)下記一般式(2)で表されるヒダントイン化合物、
    を含有することを特徴とする工業用保存剤。
    一般式(1):
    Figure 2020019719
    [式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基を示し、mおよびnは同一または異なってもよく、1〜6の整数を示す。]
    一般式(2):
    Figure 2020019719
    [式中、RおよびRは同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基で置換されている炭素数1〜3のアルキル基を示し、RおよびRは同一または異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を示す。]
  2. 成分(a)のアミン化合物が、N−(3−アミノプロピル)−N−オクチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−テトラデシル−1,3−プロパンジアミンからなる群より選択され、
    成分(b)のヒダントイン化合物が、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントイン、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジクロロメチルエチルヒダントイン、およびジブロモヒダントインからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の工業用保存剤。
  3. さらに、成分(c)有機酸および無機酸からなる群から選択される成分を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の工業用保存剤。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の工業用保存剤を含有する工業製品。
  5. 請求項1〜3いずれか1項に記載の工業用保存剤を、工業用材料に適用する工業用材料の保存方法。
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