JP2020019719A - 工業用保存剤 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1〜3に開示されているように、抗菌スペクトラムを広げる目的や、より少ない添加量でより高い効果を得るために、2種以上の公知の抗菌化合物を混合あるいは併用して使用することが、工業用抗菌剤の分野でも広く行われてきている。これらの組成物は一定以上の効果を発揮するものの、より長期にわたる効果やコストの点から、より少量でより高い抗菌効果が得られ、かつ、安定性や物性上の問題のない組成物が希求されている。
1.成分(a)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、および
成分(b)下記一般式(2)で表されるヒダントイン化合物、
を含有することを特徴とする工業用保存剤。
一般式(1):
一般式(2):
2.成分(a)のアミン化合物が、N−(3−アミノプロピル)−N−オクチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−テトラデシル−1,3−プロパンジアミンからなる群より選択され、
成分(b)のヒダントイン化合物が、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントイン、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジクロロメチルエチルヒダントイン、およびジブロモヒダントインからなる群から選択されることを特徴とする、1.に記載の工業用保存剤。
3.さらに、成分(c)有機酸および無機酸からなる群から選択される成分を含有することを特徴とする、1.または2.に記載の工業用保存剤。
4.1.〜3.いずれか1項に記載の工業用保存剤を含有する工業製品。
5.1.〜3.いずれか1項に記載の工業用保存剤を、工業用材料に適用する工業用材料の保存方法。
さらに、成分(a)は中性化するために酸と併用すると着色するが、本発明の成分(a)、成分(b)、成分(c)を含有する本発明の工業用保存剤は、着色が大きく抑制され、抗菌対象物に対して着色や変色させることがないため、工業用保存剤として極めて有用である。
なお、本発明における工業用保存剤とは、工業製品や工業用材料等の工業用途において問題となる細菌、カビや酵母や木材腐朽菌等の真菌、藻類の有害微生物に対する防除活性を有する組成物のことを意味する。
<成分(a)について>
本発明の成分(a)のアミン化合物は、次の一般式(1)で示される。
本発明の成分(a)のアミン化合物としては、一般式(1)で示される化合物群の中から、いずれか1種を選択して使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の成分(a)のアミン化合物として、一般式(1)で示される化合物の酸付加物も含まれる。
成分(a)のアミン化合物の好適な具体例としては、N−(3−アミノプロピル)−N−オクチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−テトラデシル−1,3−プロパンジアミンから選択される1種以上が挙げられる。中でも、本発明の成分(a)としては、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミンがより好ましい。
一般式(1)で示される化合物の酸付加物とは、例えば、塩化水素、臭化水素などのハロゲン化水素酸、蟻酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸などのカルボン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸ならびに、硫酸、リン酸、硝酸などを例示することができる。ただし、一般式(1)で示される化合物の酸付加物は、後述するように着色による問題がある。
本発明の成分(b)のヒダントイン化合物は、次の一般式(2)で示される。
本発明の成分(b)のヒダントイン化合物としては、一般式(2)で示される化合物群の中から、いずれか1種を選択して使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。また、本発明の成分(b)のヒダントイン化合物として、一般式(2)で示される化合物の塩を使用しても良い。
水酸基で置換されている炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル等が挙げられる。
成分(b)のヒダントイン化合物の好適な具体例としては、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントイン、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジクロロメチルエチルヒダントイン、ジブロモヒダントインから選択される1種以上が挙げられる。中でも、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントインから選択される1種以上が好ましく、特にジメチロールジメチルヒダントイン(正式には、「1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン」)が好ましい。
本発明において、成分(b)のヒダントイン化合物が、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントインから選択される1種以上である場合は、成分(a)と成分(b)ともに非ハロゲン化合物であることから「非ハロゲン型工業用保存剤」となり、安全性、環境への影響等の観点からも好適である。
本発明の成分(c)は、有機酸および無機酸からなる群から選択される成分である。
無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。中でも安全性の面において塩酸、リン酸が好ましい。
有機酸としては、例えば、脂肪酸、芳香族カルボン酸、脂肪族ヒドロキシ酸、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族ポリカルボン酸、フェノール性水酸基含有酸性化合物から選ばれる少なくとも1種以上の有機酸が挙げられる。
後述する実施例において詳細に説明するが、本発明の成分(a)アミン化合物は中性化するための酸と併用すると着色するが、本発明の成分(b)存在下において、成分(c)を添加すると着色が大きく抑制されることが実験により明らかとなった。すなわち、本発明の成分(c)は、添加により成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤における、着色抑制効果を発揮するものである。また、本発明の成分(c)の添加は、同時に、成分(a)の安定性も向上させ得るものと考えられる。
成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤に成分(c)を併用する場合、その配合量は使用する酸の種類により適宜調製する。目的とする工業用保存剤全体のpHが、概ね3〜9の範囲となるように調製することが好ましく、pHが4〜8の範囲がより好ましく、pHが5〜8の範囲が特に好ましい。
成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物を組み合わせると、それぞれ単独の細菌、カビ、酵母、藻に対する防除活性に比べて、特異的な向上、すなわち、単に2つの剤を単独で施用したときに予想される効果を遥かに超える相乗効果が得られることを後述する実験により確認している。本発明の組み合わせが、相乗的な抗菌活性を示す作用機構についての詳細は不明であるが、異なる作用メカニズムを有する2つの抗菌剤を組み合わせることにより、作用点レベルにおける相互共力作用が発現した結果、このような顕著な効果が得られるものと推測される。したがって、この相乗効果は、成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物を組み合わせることにより初めて得られる効果であり、これは本発明者が実験を行い初めて当該効果を確認した格別顕著なものである。
工業製品はその組成によっては、添加する工業用保存剤等の添加剤が中性であることが重要とされる場合が少なくはない。このため、本発明の成分(a)として使用されるアミン化合物は、酸などを添加して中性化したもの(酸付加物)が使用されている。しかしながら、このアミン化合物に酸を添加すると着色してしまい、用途によっては、この着色が大きな問題となる。
そこで、本発明の工業用保存剤の中性化について検討したところ、意外なことに、成分(b)ヒダントイン化合物の存在下において、成分(a)アミン化合物を中性化するために成分(c)の酸を添加すると、着色が大きく抑制されることが後述する実験により確認された。この、成分(b)ヒダントイン化合物の存在下における、着色抑制の発現メカニズムは全く不明であるが、成分(b)ヒダントイン化合物から微量のホルムアルデヒドが放出され、これが弱い還元剤として機能し、成分(a)アミン化合物のアミノ基が、酸化によりニトロ基に変換されることを抑制するため、着色が抑制されるのではないかと推察している。着色抑制の発現メカニズムは明確ではないが、当該効果は、当業者が予測することが全くできない格別顕著な効果である。
また、本発明の成分(a)のアミン化合物は、その化学構造からホルムアルデヒドを放出することが懸念されている。しかしながら、本発明の成分(b)のヒダントイン化合物は、ホルムアルデヒドに対して捕捉作用を示すとされる化合物である(例えば、特開2009−235115号公報の段落0013等)。このため、仮に、成分(a)のアミン化合物がホルムアルデヒドを放出したとしても、成分(b)のヒダントイン化合物がホルマリンキャッチャー剤として機能するため、本発明の工業用保存剤はホルムアルデヒドを放出しないものと考えられ、環境への影響等の観点からも有用である。
本発明の工業用保存剤は、その他の成分として、成分(d):アニオン系およびノニオン系界面活性剤からなる群から選択される成分、を含有してもよい。
アニオン系界面活性剤には、例えば、金属石鹸類、硫酸アルキルナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム[例えば、竹本油脂(株)製、商品名ニューカルゲンBX−C]などのアルキルナフタレンスルホン酸塩、2−スルホコハク酸ジアルキルナトリウム[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ネオコールSW−C]などの2−スルホコハク酸ジアルキル塩、ポリカルボン酸型界面活性剤[例えば、三洋化成工業(株)製、商品名トキサノンGR−30]、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ディクスゾール60A]、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。
ノニオン系界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ノイゲン(EA−142)]、ポリオキシエチレンアリールエーテル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールポリオキシエチレン、ショ糖脂肪酸エステル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体[例えば、三洋化成工業(株)製、商品名ニューポールPE−64]などが例示できる。
成分(d)は、成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤に添加してもよいし、成分(a)、成分(b)および成分(c)を含有する本発明の工業用保存剤に添加してもよい。特に、成分(a)と成分(b)を含有する本発明の工業用保存剤に、成分(c)と成分(d)を併用することにより、安定した抗菌活性を発揮し、かつ、着色抑制効果に優れた工業用保存剤を得ることができる点で好ましい。
前記エアゾール剤は、成分(a)と成分(b)とを必要に応じて適当な溶剤で希釈し、噴射剤と共に容器に充填することにより製造できる。溶剤としては、例えば、前記例示の液状担体などが挙げられる。噴射剤としては、フロン、液化天然ガスなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;サリチル酸フェニル、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物;2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−エトキシ−2’−エチルシュウ酸ビスアニリド、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物などが挙げられる。
結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。
被膜形成能を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが例示できる。
細菌としては、例えば、大腸菌、緑膿菌、セラチア菌等のグラム陰性桿菌;クロストリジウム属等のグラム陽性桿菌;ブランハメラ菌等のグラム陰性球菌;黄色ブドウ球菌等のグラム陽性球菌などが挙げられる。
また、カビとしては、例えば、アブシジア(Absidia)属、ムーコル(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属などの接合菌類、例えば、ケトミウム(Chaetomium)属、ユーロチウム(Eurotium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属などの子のう菌類、例えば、アクレモニウム(Acremonium)属、アルタナリア(Alternaria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、フザリウム(Fusarium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フォーマ(Phoma)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、カンジダ(Candida)属、トリコフィトン(Trichophyton)属などの不完全菌類などが挙げられる。
また、酵母としては、例えば、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、プロトミセス(Protomyces)属、タフリナ(Taphrina)属等の原生子嚢菌類;エンドミセス(Endomyces)属等の真正子嚢菌類;サッカロミセス(Saccharomyces)属等の半子嚢菌類;カンジダ(Candida)属等の子嚢菌酵母の不完全型;フィロバシディエラ(Filobasidiella)属等の異型担子菌類;ロドトルラ(Rhodotorula)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属等の担子菌酵母の不完全型;ロドスポリディウム(Rhodosporidium)属、スポリディオボルス(Sporidiobolus)属、キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属等の担子菌酵母などが挙げられる。
また、木材腐朽菌としては、例えば、コニオフォラ(Coniophora)属、トラメテス(Trametes)属、ポスティア(Postia)属、ポリア(Poria)属、グロエオフィルム(Gloeophyllum)属、レンティナス(Lentinus)属、パクシラス(Paxillus)属、ホミトプシス(Fomitopsis)属、プレウロタス(Pleurotus)属、ドンキオポリア(Donkioporia)属、セルプラ(Serpula)属、グレノスポラ(Glenospora)属、ペレニポリア(Perenniporia)属、アントロディア(Antrodia)属などの担子菌類などが挙げられる。
本発明の工業用保存剤が、細菌、カビ、酵母に対して優れた抗菌活性を有することを試験例に示す。
(1)試験検体
<実施例1>
成分(a)アミン化合物として「N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン」(ロンザ社製、以下、「化合物A1」という。)8重量部、成分(b)ヒダントイン化合物として、「1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン」(ロンザ社製、以下、「化合物B1」という。)5重量部および精製水を使用して、全体量を100重量部として工業用保存剤を調製した。
実施例2〜6と比較例1、2は下記表1に示した配合で、実施例1と同様にして工業用保存剤を調製し、それぞれの試験検体を得た。表1中の配合を示す数字は重量部を意味し、「(a):(b)」は化合物A1と化合物B1の配合比率の重量比を表す。
上記試験検体を、グルコースブイヨン培地(pH6.0)にそれぞれ添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表1に記載のカビまたは酵母を含有するカビ懸濁液または酵母懸濁液を接種して、33℃で18時間、28℃で2日間培養した。その後、培養後の各菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。試験はそれぞれ5回行い、その平均値をMIC値として使用した。
(3)抗菌性の評価方法
抗菌性の評価は、成分(a)アミン化合物と成分(b)ヒダントイン化合物をそれぞれ単独で用いた場合(比較例1、2)のMIC値から、実施例1〜6の試験検体について次式によりMICの理論値を算出し、実際に測定したMIC値をそれらと比較することにより行った。MICの実測値がその理論値の計算値よりも小さくなる場合、すなわち「測定値/理論値」が1より小さくなる場合には、上記の各成分を単独で用いた場合の代数和より抗菌活性が増強されているといえるため、相乗効果が認められると評価した。
下記表1に、評価結果として「測定値」「理論値」「測定値/理論値」それぞれを、まとめて示した。
CA;成分(a)アミン化合物を単独で用いた場合(比較例1)のMIC値
CB;成分(b)ヒダントイン化合物をそれぞれ単独で用いた場合(比較例2)のMIC値
x;抗菌性成分中においてアミン化合物の占める割合(重量%)
y;抗菌性成分中において、ヒダントイン化合物の占める割合(重量%)
(1)抗菌性(抗細菌)の試験方法
上記「抗菌性の評価1」の実施例2〜5、比較例1、2の試験検体を、グルコースブイヨン培地(pH6.0)にそれぞれ添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表2に記載の細菌を含有する細菌懸濁液を接種して、33℃で18時間培養した。その後、培養後の細菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。試験はそれぞれ5回行い、その平均値をMIC値として使用した。
さらに、「抗菌性の評価1」の防カビ、防酵母の試験方法と同様に、「抗菌性の評価1」で評価した有害微生物以外について評価試験を行った。
下記表2に、評価結果として「測定値」「理論値」「測定値/理論値」それぞれを、まとめて示した。
<実施例7>
「化合物A1」8重量部、「化合物B1」20重量部、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、青木油脂工業社製、商品名:セフティカット)15重量部および精製水を使用して、全体量を100重量部として工業用保存剤を調製した。
実施例8と比較例3は下記表3に示した配合で、実施例7と同様にして工業用保存剤を調製し、それぞれの試験検体を得た。
上記「抗菌性の評価1」の比較例1、2の試験検体も使用して、「抗菌性の評価1、2」と同様の評価試験を行った。
(1)試験検体
<実施例9>
成分(a)アミン化合物として化合物A1を4重量部、成分(b)ヒダントイン化合物として化合物B1を8重量部、1Nの塩酸水溶液を13重量部、および精製水を使用して、全体量を100重量部として工業用保存剤を調製した。
実施例10〜15と比較例4は下記表4に示した配合で、実施例1と同様にして工業用保存剤を調製した。なお、実施例14、15は、1Nの塩酸水溶液の代わりに85%リン酸を使用した。
それぞれを40℃条件下で2週間保管し、試験検体とした。
(i)目視での性状確認、(ii)L*a*b*表色系による色差、(iii)ガードナー色数による黄色味、(iv)660nm透過率(%)による透明度の4項目について、各試験検体の着色性について評価した。なお、上記(i)以外の3項目については、下記機器により測定した。
測定機器:KONICA MINOLTA製 SPECTRO PHOTOMETER CM-5
測定方法:ガラスセル(10mm)に試料(本発明の工業用保存剤)を入れて上記測定機器により上記(ii)(iii)(iv)の項目について自動計測した。
Claims (5)
- 成分(a)のアミン化合物が、N−(3−アミノプロピル)−N−オクチル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−テトラデシル−1,3−プロパンジアミンからなる群より選択され、
成分(b)のヒダントイン化合物が、5,5−ジメチルヒダントイン、モノメチロールジメチルヒダントイン、ジメチロールジメチルヒダントイン、ブロモクロロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントイン、ジクロロメチルエチルヒダントイン、およびジブロモヒダントインからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の工業用保存剤。 - さらに、成分(c)有機酸および無機酸からなる群から選択される成分を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の工業用保存剤。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の工業用保存剤を含有する工業製品。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の工業用保存剤を、工業用材料に適用する工業用材料の保存方法。
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