(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明が適用可能な画像形成システムの第1の実施の形態について説明する。なお、本実施形態の画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成装置Aと、シートに後処理を施しトレイに排出するシート後処理装置Bとで構成されている。
1.構成
1−1.画像形成装置A
1−1−1.機構部
図1に示すように、画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダユニットA3とで構成されている。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1に設置面(例えば床面)に設置するための据付脚25が設けられており、装置ハウジング1内に給紙部2と画像形成部3と排紙部4とが内蔵されている。なお、図1に示す画像形成ユニットA1は静電印刷機構を採用したものである。
給紙部2は、複数種(複数サイズ)のシートを収容するカセット2a〜2cで構成され、指定されたサイズのシートを給紙経路6に繰り出す。このため、装置ハウジング1にはカセット2a〜2cが着脱可能に配置され、各カセットには内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出すピックアップローラが内蔵されている。給紙経路6には、カセット2a〜2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラ7と、経路端部に各シートを先端揃えするレジストローラ対8が設けられている。
給紙経路6には大容量カセット2dと手差しトレイ2eが連結されており、大容量カセット2dはオプションユニットとして大量に消費するサイズのシートを収容するように構成され、手差しトレイ2eは規格サイズのシートより長い(予め定められた所定値を越える)長尺シートや分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシート等の特殊シートが供給可能に構成されている。手差しトレイ2eの基部近傍には手差しトレイ2eから挿入された特殊シートを給紙経路6に引き込むための引き込みローラ5が設けられており、引き込みローラ5の上流側には手差しトレイ2eから挿入された特殊シートを検出する図示しないセンサが配置されている。
画像形成部3は、ドラムやベルト等の感光体9と、感光体9に画像データに従ってビームを照射する発光器10と、現像器11(ディベロッパ)と、クリーナ(不図示)とが感光体9の周囲に配置されている。図示のものはモノクロ印刷機構を示し、感光体9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーインクを付着する。
そして、感光体9への画像形成タイミングに合わせて給紙経路6からシートを画像形成部3に送り転写チャージャ12でシート上に画像を転写し、排紙経路14に配置されている定着ユニット(ローラ)13で定着する。排紙経路14には排紙ローラ15と排紙口16とが配置されており、後述するシート後処理装置Bにシートを搬送する。
スキャナユニットA2は、原稿を載置するためのプラテン17と、プラテン17に沿って往復動するキャリッジ18と、キャリッジ18に搭載された光源と、プラテン17上の原稿からの反射光を光電変換部19に案内する縮小光学系20(ミラー、レンズの組み合わせ)と、走行プラテン21とで構成されている。光電変換部19は光電変換した画像データを制御部のメモリ(図7、符号96参照)に出力する。なお、走行プラテン21はフィーダユニットA3でシートが搬送される場合に用いられ、フィーダユニットA3で搬送中のシートの画像を、所定の読取位置に位置付けられたキャリッジ18と縮小光学系20を介して光電変換部19で読み取る。
フィーダユニットA3は給紙トレイ22と、給紙トレイ22から送り出したシートを走行プラテン21に案内する給紙経路23と、走行プラテン21を介して読み取られた原稿を収容する排紙トレイ24で構成されている。
また、画像形成装置Aは、画像形成装置Aの状態等を表示するとともに、オペレータが所望する給紙すべきシートの給紙カセット、部数等の指定(入力)が可能なタッチパネル(不図示)を有している。なお、画像形成ユニットA1は、上述の静電印刷機構に限らず、オフセット印刷機構、インクジェット印刷機構、インクリボン転写印刷機構(熱転写リボン印刷、昇華型リボン印刷など)等の印刷機構も採用可能である。
1−1−2.制御部
さらに、画像形成装置Aは、画像形成装置Aの全体を制御するとともに、通信線100(図7参照)を介してシート後処理装置Bの制御部と通信する制御部(以下、シート後処理装置Bの制御部と区別するため本体制御部という。)を備えている。
図7に示すように、本体制御部90は、CPU、ROM、RAM等を内蔵するMCU91を有している。MCU91は、画像形成部3の動作を制御する画像形成制御部92と、給紙部2の動作を制御する給紙制御部93と、上述したタッチパネルを制御するタッチパネル制御部94に接続されている。
また、MCU91は、給紙経路6、排紙経路14およびシートの両面に画像を形成するために給紙経路6と排紙経路14との間を結ぶデュープレックス経路等に配された複数のセンサに接続されている。さらに、MCU91は、LAN接続を可能とする通信制御部95、バッファとして機能する大容量メモリ96や、図示を省略したインターフェースを介して上述したスキャナユニットA2やフィーダユニットA3にも接続されている。
1−2.シート後処理装置B
1−2−1.機構部
図1および図2に示すように、シート後処理装置Bは、装置ハウジング27に設置面に設置するための据付脚が設けられており、上流側に位置する画像形成装置Aと略同一の高さ寸法を有している。また、シート後処理装置Bの搬入口26は画像形成装置Aの排紙口16に連結される位置に形成されている。
図2に示すように、シート後処理装置Bは、上から順に、装置ハウジング27から突出するように設けられた第3スタックトレイ(以下、第3トレイと略称する。)71、第1スタックトレイ(以下、第1トレイと略称する。)49、第2スタックトレイ(以下、第2トレイと略称する。)61を有している。
(1)シート搬送路
シート後処理装置Bは、装置ハウジング27内を略水平方向に横断する直線状のシート搬入経路28を有している。シート搬入経路28はシート搬送路の基幹経路をなしている。シート搬入経路28には、一側端に上述した搬入口26が、他側端に排紙口35が形成されている。
図4は、シート搬送路を模式的に示したものである。図4ではシート搬入経路28を太線で示している。搬入口26の近傍には、シートをシート後処理装置B内に搬入するための搬入ローラ29が配置されており、排紙口35の上流側には正逆転可能な排紙ローラ36が配置されている。
シート搬入経路28は搬入ローラ29の下流側に第1分岐点D1を有しており、この第1分岐点D1を始点としてシート搬入経路28から分岐した第3搬送パス30が形成されている。第3搬送パス30はその終点に排紙口72を有しており、この排紙口72を介してシートが第3トレイ71上に排出される。さらに、シート搬入経路28は第1分岐点D1の下流側に第2分岐点D2を有しており、この第2分岐点D2を始点としてシート搬入経路28から分岐した第2搬送パス32が形成されている。
また、シート搬入経路28の排紙口35の延長線上には、シート搬入経路28を搬送されてきたシートを第1トレイ49側にさらに搬送するための第1搬送パス31が形成されている。上述したように排紙ローラ36は正逆転可能なため、排紙ローラ36を正転駆動させることで第1搬送パス31を介してシートを第1トレイ49側に搬送したり、排紙ローラ36を逆転駆動させることでシートをスイッチバック搬送してシート後端を上述したシート搬入経路28の第2分岐点D2に向けて逆搬送することが可能である。さらに、第1搬送パス31は装置ハウジング27のトレイ側端部に相当する位置に第3分岐点D3を有しており、この分岐点D3を始点として第1搬送パス31から分岐し斜めに傾斜した第2スイッチバックパス31bが形成されている。
図4では、第1および第2スイッチバックパス31a、31bを顕在化するために、第1トレイ49に向けてシートを搬送する経路を第1搬送パス31、シートをスイッチバック搬送する経路を第1スイッチバックパス31a、第3分岐点D3を介してシートをスイッチバック搬送する経路を第2スイッチバックパス31bとして示しているが(図3等でも同じ。)、第1スイッチバックパス31aの一部はシート搬入経路28と重複し、第2スイッチバックパス31bは第1搬送パス31と一体の経路である。なお、上述した第2分岐点D2は第1スイッチバックパス31aのパス端に設けられている。
上記のように、シート搬入経路28および第1搬送パス31を略水平方向に配置し、第3搬送パス30および第2搬送パス32を概ね鉛直方向に配置することによって、装置のスリム化が可能となる。
上述したシート搬入経路28および第1〜第3搬送パス30、31、32には、それぞれの経路に沿って種々の部材が配置されている。以下、それらの部材を経路毎に説明する。
(2)シート搬入経路28
図3に示すように、シート搬入経路28には、搬入口26の下流側に、発光素子と受光素子とを有する透過型の第1センサS1が配置されている。第1センサS1と搬入ローラ29の間には、図示しないパンチモータM1を駆動させることで搬入されたシートの後端部にパンチ穴を穿孔するパンチユニット50が配置されている。
パンチユニット50はその下部にラック(不図示)を有している。このラックに噛合するピニオン(不図示)を図示しないユニット移動モータM2で回転させることで、パンチユニット50はシート搬送路28と直交する方向に移動可能に構成されており、シートサイズに応じた適正位置での穿孔処理が行われる。シート搬入経路28を挟むパンチユニット50の下方には、パンチユニット50による穿孔処理で生じたパンチくずを受けるくず箱51が装置ハウジング27に着脱可能に装着されている。
上述した第1分岐点D1、第2分岐点D2(図4参照)には、図3に示すように、それぞれ第1フラッパガイド(以下、第1フラッパと略称する。)33、第2フラッパガイド(以下、第2フラッパと略称する。)34が配置されている。第1、第2フラッパ33、34は、支持軸を中心にその先端部が回動してシート搬送方向を変更(選択)可能な構成で、それぞれの支持軸は進退可能なプランジャを有する電磁ソレノイドに連結されている。なお、第1、第2フラッパ33、34の回動源としてミニモータを用いるようにしてもよい。
図5(A)は、第1、第2フラッパ33、34を駆動する電磁ソレノイドがともに通電されない定常状態(オフ状態)を示したものである。この状態では、シートはシート搬入経路28を排紙口35に向けて搬送される。一方、図5(B)に示すように、第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドに通電されると(オン状態)、第1フラッパ33は時計廻りに回動する。これにより、シートはシート搬送経路28から第3搬送パス30に案内される。このとき、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドはオフ状態のままである。また、図5(C)に示すように、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドに通電されると(オン状態)、第2フラッパ34は時計廻りに回動する。これにより、シートは第1スイッチバックパス31a(シート搬送経路28)から第2搬送パス32に案内される。このとき、第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドはオフ状態のままである。
図3に示すように、第2フラッパ34の下流側には発光素子と受光素子とを有する透過型の第2センサS2が配置されており、第2センサS2の下流側に上述した排紙ローラ36が配置されている。
なお、上述した搬入ローラ29は駆動ローラ(図3の上側)とこの駆動ローラに圧接する従動ローラ(図3の下側)で構成されており、駆動ローラにはギアを介して不図示の第1搬送モータM3(ステッピングモータ)の回転駆動力が伝達される。また、排紙ローラ36は駆動ローラ対36a、36bで構成されており、駆動ローラ対36a、36bにはギアを介して正逆転可能な不図示の第2搬送モータM4(ステッピングモータ)の回転駆動力が伝達される。
(3)第1搬送パス31(および第2スイッチバックパス31b)
図3に示すように、上述した第3分岐点D3には、従動ローラ48と正逆転可能な昇降ローラ41とが配置されている。昇降ローラ41は従動ローラ48に圧接する作動位置と離間した待機位置との間で上下動可能に構成されている。昇降ローラ41は、シートがシート搬送経路28、第1スイッチバックパス31a(図4に示す矢印31aも参照)を搬送されるときは待機位置に位置付けられ、シートが第1トレイ49に排出される際や第2スイッチバックパス31b(図4に示す矢印31bも参照)を搬送されるときは作動位置に位置付けられる。なお、昇降ローラ41および従動ローラ48は第2スイッチバックパス31b上でのシート搬送やシート束の逆搬送(排出)を行う機能も有するが、この点については後述する。
第2スイッチバックパス31bにはシートを一時的に積載するための処理トレイ37が配置されている。処理トレイ37はシート搬送経路28(第1搬送パス31)を介して搬送されてきたシートを、第1トレイ49に排出する前に一時的に保持(積載)するためのバッファとして機能する。処理トレイ37の一側(下流側)にはシート束に綴じ処理を施すステープラユニット47が配置されている。上述したように第2スイッチバックパス31bは傾斜しているため、この第2スイッチバックパス31bに配された処理トレイ37、ステープラユニット47も傾斜して配置されている。この結果、シート搬入経路28の排紙口35と処理トレイ37との間には段差(落差)が形成されている。
なお、処理トレイ37は、下流側の第1トレイ49との間で排紙口35を介して送られたシートをブリッジ支持する。例えば規格シートの場合、排紙口35から送られたシートはその先端部が下流側の第1トレイ49上にまたは第1トレイ49の最上シートの上に、後端部が処理トレイ37上に跨って支持される。
A)シート搬入機構74
排紙口35と処理トレイ37との間に段差が形成されていることから、第1搬送パス31(および第2スイッチバックパス31b)には、シートを処理トレイ37に搬入するためのシート搬入機構74が設けられている。
シート搬入機構74は、上述したように作動位置で従動ローラ48に圧接して第2スイッチバックパス31b上でシートを処理トレイ37(規制部材38)側に搬送する昇降ローラ41、シートを第2スイッチバックパス31b方向に移送するように回転するパドル回転体42、シートを処理トレイ37側に案内するシートガイド部材44、シートの上面を押さえるシート押さえ部材45、シートを処理トレイ37側に搬送する掻き込み回転体46で構成されている。
また、装置フレームに軸支された回転軸36x(排紙ローラ36aのローラ軸)を中心に揺動可能に構成された揺動ブラケット43が設けられており、この揺動ブラケット43に昇降ローラ41とパドル回転体42の回転軸が軸支されている。揺動ブラケット43には不図示の昇降モータM5の駆動力が伝達されることで、揺動ブラケット43に取り付けられた昇降ローラ41とパドル回転体42とが上述した待機位置と作動位置との間で上下動する。
昇降ローラ41とパドル回転体42には上述した不図示の昇降モータM5からの駆動力が伝達され、昇降ローラ41は正逆転し、パドル回転体42は逆転する。すなわち、昇降ローラ41は作動位置において従動ローラ48と圧接して逆転でシートを処理トレイ37側に搬送し、パドル回転体42は逆転でシートを第2スイッチバックパス31b方向に移送する。また、昇降ローラ41は作動位置において従動ローラ48と圧接して正転でシート束を処理トレイ37側から第1トレイ49に逆搬送する(詳細後述)。
シートガイド部材44は昇降ローラ41と掻き込み回転体46との間に配置されている。また、シートガイド部材44は図3に示す退避位置(点線位置)とガイド位置(実線位置)との間を上下動し、排紙口35からシートが搬出されるときには退避位置に位置し、シート後端が排紙口35を通過した後にシート後端を処理トレイ37上に案内する。このため、シートガイド部材44は不図示の第2搬送モータM4を駆動源とする図示しない駆動機構に連結されており、排紙口35から処理トレイ37上にシート後端を案内するタイミングに応じて上下動する。
シート押さえ部材45は板状部材で、掻き込み回転体46(本実施形態では図3の正面側および背面側に2つ配置されている。)の一側に(正面側の掻き込み回転体46では正面側に、背面側の掻き込み回転体では背面側に)それぞれその先端側が位置付けられるように配設されており、排紙ローラ36bのローラ軸に自重により揺動可能に取り付けられている。つまり、シート押さえ部材45は図3の奥行き方向で位相がずれるようにその先端側が掻き込み回転体46の両側に位置付けられている。このため、シート押さえ部材45は処理トレイ37上のシート積載枚数が多くなるにつれて反時計廻り方向に回動する。なお、掻き込み回転体46にも上述した不図示の第2搬送モータM4からの駆動力が伝達される。
B)整合機構75
図3に示すように、処理トレイ37には、搬送されてきたシートを整合する整合機構75が配置されている。整合機構75は、シート後端(第2スイッチバックパス31b搬送方向先端)を突き当て規制する規制部材38と、シート側縁を押圧して基準(例えばセンタ基準)位置に整合する側縁整合部材39とで構成されている。
規制部材38はシート後端を突き当て規制する断面略コ字状のストッパ片で構成されている。規制部材38は後述するように処理トレイ37(第2スイッチバックパス31b)に沿って往復動可能に構成されており、整合機構75の一部として機能する場合にはホームポジション(図3に示す位置)に位置付けられる。このため、規制部材38がホームポジションに位置付けられているかを検出するリミットセンサ(不図示)が配置されている。
一方、側縁整合部材39は、処理トレイ37の紙載面37a(図3参照)から上方に突出した板状部材でシートの側縁に当接する規制面を有しており、処理トレイ37に搬送されてきたシートの幅方向(シート搬送方向と直交する方向)を挟む両側に互いに対向するように配置されている。
側縁整合部材39は、センタ基準で搬送されてきたシートを整合する場合に、シートサイズに応じて予め定められた待機位置とシートを押圧して整合する整合位置との間で往復動する。すなわち、側縁整合部材39は、2つの図示しない整合モータM6の駆動力で上述した規制面が移動するように処理トレイ37に支持されている。
C)ステープラユニット47
図3に示すように、処理トレイ37の一側には、整合機構75で整合されたシート束に対しシート束の後端部側をステープル処理するステープラユニット47が配置されている。ステープラユニット47はステープラユニットとアンビル部材とを有し、処理トレイ37の紙載面37aの後端部に沿って移動可能に構成されている。
シート束に綴じ処理を行う場合には、図示しない駆動モータM7でドライブカムを回動させ、付勢スプリングに蓄勢する。回転角度が所定角度に達するとステープラヘッドは勢いよくアンビル部材側に向けて下降する。この動作でステープル針はコ字状に折り曲げられた後にシート束に刺入される。そしてその先端はアンビル部材で折り曲げられシート束が綴じ処理される。
なお、上記では綴じ処理にステープラユニット47を例示したが、ステープラユニット47に代えて針を用いないエコ綴じユニットを用いるようにしてもよく、ステープラユニット47とエコ綴じユニットの両方を用いるようにしてもよい。このような詳細は、例えば、特開2015−124084号公報に開示されている。また、同公報には、左コーナ綴じ、右コーナ綴じ、マルチ綴じ等を行う際のユニット移動の詳細も開示されている。
D)排出機構80
また、処理トレイ37には、積載されたシート束(整合機構75で整合されたシート束またはその後ステープラユニット47で綴じ処理されたシート束)を第1トレイ49に排出する排出機構80が配置されている。図6に示すように、排出機構80は、処理トレイ37に積載されたシート束を押し出すように移送するコンベア部70と、シート束をニップして搬出するローラ部53とで構成されている。
上述したシート搬入機構74がシートを1枚ずつ第2スイッチバックパス31bに沿って処理トレイ37に搬送するのに対し、この排出機構80は処理トレイ37に積載されたシート束を第2スイッチバックパス31bに沿って図4に示す矢印31bとは逆方向に搬送するものである。
図6に示すように、コンベア部70は、処理トレイ37に沿って上流側に位置する整合位置から下流の第1トレイ49側に移送するための規制部材38と、規制部材38を移動させるコンベアベルト40と、コンベアベルト40を駆動させる正逆転可能な駆動モータM8(ステッピングモータ)とで構成されている。なお、規制部材38はコンベアベルト40に固着している。また、ローラ部53は、従動ローラ48と、作動位置に位置付けられ従動ローラ48と圧接する昇降ローラ41とで構成されている。
図6(A)は、処理トレイ37に積載されたシート束(整合機構73で整合されたシート束またはその後ステープラユニット47で綴じ処理されたシート束)の状態を示している。このとき、コンベア部70を駆動させる駆動モータM8は停止しており、ローラ部53を構成する昇降ローラ41は上述した待機位置に位置付けられている(図3も参照)。排出機構80により処理トレイ37に積載されたシート束を第1トレイ49に排出する際には、不図示の昇降モータM5の駆動力で昇降ローラ41を従動ローラ48と圧接する作動位置に位置付け、不図示の第2搬送モータM4の駆動力で昇降ローラ41を正転駆動させるとともに、駆動モータM8を正転駆動させる。
図6(B)は、第1トレイ49に向けてシート束を排出中の状態を示し、シート束が規制部材38の位置移動と、ローラ部53(昇降ローラ41、従動ローラ48)の回転で下流側に搬送される状態を示している。なお、規制部材38は上述した2つの掻き込み回転体46の間を移動する。また、図6(C)は、第1トレイ49にシート束を排出する直前の状態を示し、シート束はローラ部53の回転で下流側の第1トレイ49に徐々に(低速で)送られる。その後、規制部材38は駆動モータM8の逆転駆動により、ホームポジションに位置付けられる。そして、第1トレイ49へのシート束の搬送(排出)が終了すると、昇降ローラ41は不図示の昇降モータM5の駆動力で上述した待機位置に位置付けられる。
(4)第2搬送パス32
図2および図3に示すように、第2搬送パス32には、上述した第2分岐点D1の近傍に搬送ローラ55が配置されており、搬送ローラ55の下流側に発光素子と受光素子とを有する透過型のセンサS3が配置されている。搬送ローラ55は駆動ローラ対で構成されており、駆動ローラ対にはギアを介して上述した不図示の第2搬送モータM4の回転駆動力が伝達される。図2に示すように、センサS3の下流側かつ第2搬送パス32の終点(パス端となる位置)には、不図示の第2搬送モータM4の回転駆動力で駆動する搬出ローラ62が配置されている。
搬出ローラ62の下方には、第2搬送パス32を介して送られてきたシートを部揃え集積して、中央を綴じ処理し内折りする製本処理部60が配置されている。なお、以下では、製本処理部60によるこの処理を「マガジン仕上げ処理」と呼ぶこととする。
製本処理部60は、シートを束状に集積するガイド部材66と、ガイド部材66上の所定位置にシートを位置決めする規制ストッパ67と、規制ストッパ67で位置決めされたシートの中央を綴じ処理する中綴じユニット63と、中綴じユニット63による綴じ処理後にシート束の中央を中心に折り合わせる折り処理機構(折りローラ64、折りブレード65)とで構成されている。製本処理部60を構成する各部材は概ね鉛直方向に配置されている。
中綴じユニット63には、特開2008−184324号公報、特開2009−051644号公報等で開示されているように、ヘッドユニットとアンビルユニットとでシート束を挟んだ状態でシート中心線に沿って位置移動させて綴じ処理する構成が採用されている。
また、折り処理機構には、図2に示すように、互いに圧接した折りローラ64に巻き込まれるシート束の折り目に折りブレード65を挿入して折りローラ64の転動で折り合わせる機構が採用されている。このような折り処理機構も特開2008−184324号公報、特開2009−051644号公報等に開示されている。
本実施形態の折り処理機構について付言すれば、図2に示すように、折り位置Yには、シート束を折り合わせる折りローラ64と、折りローラ64のニップ位置にシート束を挿入する折りブレード65とが配置されている。折りローラ64は、シート束を折り曲げながら回転方向に移送するため、ゴムローラなどの比較的摩擦係数の大きい材料で形成された一対の駆動ローラで構成されている。折りローラ64はガイド部材66の湾曲または屈曲した突出側に位置しており、シート束を挟んで対向するナイフエッジを有した折りブレード65が進退可能に構成されている。
なお、中綴じユニット63のヘッドユニットは図示しない中綴じモータM9で駆動し、折りローラ64は図示しない折りモータM10で駆動する。また、規制ストッパ67は図示しない移動モータM11の駆動力でシートサイズに応じた所定位置に位置付けられ、折りブレード65は図示しない折りモータM10の駆動力で進退する。
折りローラ64の折りブレード65とは反対側には、製本処理部60でマガジン仕上げ処理されたシート束を排出する排出ローラ69が配置されている。排出ローラ69の回転駆動力も図示しない折りモータM10から供給される。装置ハウジング27には排出ローラ69の下流側に図示しない排紙口が形成されており、この排紙口を介してマガジン仕上げ処理されたシート束が第2トレイ61に排出される。なお、図2では、製本処理の頻度が比較的低いことから、第2トレイ61が折り畳まれ(第2トレイ61の先端側が上方に回動した状態)規制ストッパ67がホームポジションに位置した状態を示している。
(5)第3搬送パス30
図2に示すように、第3搬送パス30には、その中間部に搬送ローラ77が配置されており、排紙口72の上流側に排紙ローラ78が配置されている。搬送ローラ77および排紙ローラ78は駆動ローラと従動ローラとで構成されており、その回転駆動力は上述した不図示の第1搬送モータM3から供給される。従って、第3搬送パス30はストレート排紙(プリントアウト)専用のシート搬送路である。
1−2−2.制御部
さらに、シート後処理装置Bは、シート後処理装置Bの全体を制御する制御部(以下、本体制御部90と区別するため後処理制御部という。)を備えている。図7に示すように、後処理制御部97は、CPU、ROM、RAM等を内蔵するMCU98を有している。MCU98は外部バスを介してアクチュエータ制御部99に接続されており、アクチュエータ制御部99は上述したモータM1〜M11や電磁ソレノイド等の各種アクチュエータに接続されている。また、MCU99は外部バスを介してS1〜S3等のセンサにも接続されている。
なお、後処理制御部97のMCU98は通信線100を介して本体制御部90のMCU91と通信し、MCU91から後処理モード情報(詳細後述)等のシート後処理装置Bでの制御処理に必要な情報を受け取る。
2.画像形成システムのモード
ここで、本実施形態の画像形成システムの画像形成モードおよび後処理モードについて説明する。画像形成モードは主として画像形成装置Aへの指令モードであり、後処理モードはシート後処理装置Bへの指令モードである。
2−1.画像形成モード
画像形成モードは、広く知られているように、例えば、シートサイズ(給紙すべき給紙カセット)、片面/両面印刷、拡大縮小倍率、部数等を指定するためのモードである。
2−2.後処理モード
一方、後処理モードとして本実施形態では、a)長尺シート落下防止モード、b)ジョグ仕分けモード、c)綴じ処理モード、d)製本処理モード、および、e)ストレート排紙モード(プリントアウトモード)の5つのモードを設定(選択)することができる。
これらについて簡単に説明すると、a)長尺シート落下防止モードは第1トレイ49からの長尺シートの落下を防止するモードであり、b)ジョグ仕分けモードはステープラユニット47によるステープル処理を行わずにシート束(部数)毎にオフセットされた状態で第1トレイ47上にシート束を積載するモードであり、c)綴じ処理モードはステープラユニット47でシート束後端部をステープル処理して第1トレイ49に排出するモードであり、d)製本処理モードは製本処理部60でマガジン仕上げ処理して第2トレイ61に排出するモードであり、e)ストレート排紙モードはシート後処理装置Bに搬入されたシートをそのまま第3トレイ71に排出するモードである。なお、a)長尺シート落下防止モード、b)ジョグ仕分けモードおよびc)綴じ処理モードでは(シートまたはシート束を第1トレイ49に排出するモードでは)、パンチユニット50でシートにパンチ穴を穿孔する穿孔処理との併用が可能である。
図8は、第1トレイ49上にジョグ仕分けされたシート束が積載された状態を模式的に示したものである。図8では、第1トレイ49上に4つのシート束が、奇数束目のシート束と偶数束目のシート束とが互いにオフセットされた状態で積載された例を示している。
画像形成モードおよび後処理モードは、画像形成装置Aのタッチパネルを介して、または、LANに接続されたコンピュータを介して入力される。以下では、これらのモードが画像形成装置Aのタッチパネルを介して入力されたものとして説明する。
3.動作
次に、本実施形態の画像形成システムの動作について本体制御部90のMCU91(のCPU)、後処理制御部97のMCU98(のCPU)を主体として説明する。なお、各構成部材の個別動作ついては既に述べたため、以下では全体動作およびその制御を中心に説明する。また、本発明は上述した長尺シート落下防止モードに関連するため、長尺シート落下防止モードにおける処理(以下、長尺シート落下防止処理という。)については詳しく説明する。
3−1.画像形成装置A
オペレータにより、タッチパネルを介して上述した画像形成モードおよび後処理モードが入力されタッチパネル上のスタートボタンが押下されると、MCU91は、タッチパネル制御部94を介してタッチパネルから入力された情報を取り込み、後処理制御部97のMCU98に処理モード信号Si1(図7参照)を送信するとともに、スキャナユニットA2に原稿を読み取らせその画像データをメモリ96に出力させる。なお、処理モード信号Si1には、上述した5つの後処理モードのうちいずれかを特定するための情報および画像形成モードとして指定された部数の情報が含まれている(以下、これらの情報を総称して後処理モード情報という。)。
後処理モードとして長尺シート落下防止モードが選択された場合には、MCU91はオペレータに長尺シートの長さ、幅、坪量の入力を要求し、入力された長尺シートの長さ、幅、坪量の情報も併せて取り込む。長尺シートは、手差しトレイ2eから供給される。
処理モード信号Si1を送信した後、MCU91はMCU98にシート種類信号Si2を送信する。シート種類信号Si2には、予め入力されており各カセット2a〜2c、大容量カセット2dに収容されている規格シートの長さ、幅、坪量の情報、シート種類数N(本例では、カセット2a〜2dの数4)の情報、および、長尺シート落下防止モードが選択された場合には、上述した長尺シートの長さ、幅、坪量の情報が含まれている(以下、これらの情報を総称してシート種類情報という。)。なお、規格シートの坪量は予め定められたデフォルト値が入力されており、オペレータは必要に応じてタッチパネルを介して坪量の変更が可能である。
次に、長尺シート落下防止モードが選択された場合には、MCU91は、給紙制御部93を介して、引き込みローラ5の上流側に配された図示しないセンサの出力を参照して長尺シートが手差しトレイ2eにセットされているか否かを検出し、セットされている場合には引き込みローラ5を駆動させる。これにより、長尺シートは給紙経路6に引き込まれレジストローラ対8に向けて搬送される。
一方、長尺シート落下防止モード以外の後処理モードが選択された場合には、MCU91は、給紙制御部93を介して、オペレータが指定したカセットのピックアップローラを回転させて規格シートを繰り出すとともに、給紙経路6上の搬送ローラ7を駆動させる。これにより、繰り出されたシートは給紙経路6をレジストローラ対8に向けて搬送される。
レジストローラ対8の上流側にはセンサ(不図示)が配置されており、このセンサで搬送されるシートの先端が検出された後、所定時間、レジストローラ対8を回転停止状態に維持することで、シートの先端揃えが行われる。
MCU91は、上記所定時間経過後、レジストローラ対8や他の搬送ローラを回転駆動させるとともに、画像形成制御部92を介して画像形成部3を構成する各部を作動させシートに画像を形成して排紙経路14を経て排紙口16から排出させる。
次に、MCU91は、画像形成部3でシートへの画像形成が開始されると、MCU98に排出信号Si4を送信する。排出信号Si4は、画像形成装置Aからシート後処理装置Bにシートが排出(搬送)されることを排出されるシートごとにMCU98に事前に知らせるための信号であり、排出されるシートの長さ、幅、坪量の情報、1部を構成するシートのうち最終シートか否かの情報および該最終シートの場合にはジョブが終了したか否かの情報が含まれている。
なお、MCU91は画像形成部3の動作に先立って、オペレータの指定に従ってフィーダユニットA3やスキャナユニットA2を作動させて原稿の画像データを取得し(メモリ96に格納し)、取得した画像データに従って画像形成部3がシートに画像を形成するように画像形成制御部92を制御する。また、MCU91は、後処理モードとして長尺シート落下防止モードが選択された場合には、画像が形成されていないブランクシート(後述する錘シートP)をカセット2a〜2dのいずれかから繰り出してシート後処理装置Bに排出するが、この点については後述する。
3−2.シート後処理装置B
一方、シート後処理装置B側では、MCU98により、画像形成装置Aから排出されたシートに後処理を施すためのシート後処理ルーチンが実行される。
3−2−1.モード把握
図9に示すように、MCU98は、シート後処理ルーチンにおいて、処理モード信号Si1を受信するまで待機する(ステップ(以下、Sと略称する。)102)。信号を受信すると、上述した後処理モード情報を参照して後処理モードが長尺シート落下防止モードか否かを判断し(S104)、肯定判断のときはS106以下に進み長尺シート落下防止処理を実行する。
3−2−2.長尺シート落下防止処理
(1)錘シート決定処理
S106では、第1トレイ49上で長尺シートの錘となる錘シートPの種類を決定(選定)するための錘シート決定処理が実行される。図10はこの錘シート決定処理の詳細を示す錘シート決定処理サブルーチンを示したものである。
図10に示すように、MCU98は、錘シート決定処理サブルーチンにおいて、シート種類信号Si2を受信するまで待機し(S112)、信号を受信すると、シート種類信号Si2から上述したシート種類情報を取得する(S114)。続いて、S116〜S126では、カセット2a〜2dに収容された複数種の規格シートのうち最も重いシートを錘シートPとして決定する。
すなわち、S116でカセットを特性する数nを初期値0に設定し、S118においてカセットnがシート種類数Nより小さいか否かを判断する。S118で肯定判断のときは、次のS120でシート種類情報を参照してカセットnに収容されたシートの1枚あたりの重量wを算出する。この重量wは、例えば、重量w[g]=(シート長さ[m]×シート幅[m]×坪量[g/m2])で求めることができる。
次にS122において、S120で算出した重量wが、計算済の他のカセットに収容されたシートの重量より重いか否かを判断し、肯定判断のときは、次のS124において錘シートPをカセットnに収容されたシートとしてS126に進み、否定判断のときは、そのままS126に進む。S126では、すべてのカセットに収容されたシートの1枚あたりの重量wを算出するために、nを(1つ)インクリメントして、S118に戻る。
一方、S118で否定判断のときは、カセット2a〜2dに収容されたシートのうち最も重いシートを錘シートPとして決定済のため、S128において、MCU91に錘シート決定信号Si3を送信して錘シート決定処理サブルーチンを終了し図9のS108に進む。錘シート決定信号Si3には、錘シートPの長さ、幅、坪量の情報(または錘シートPとして最も重いシートを収容するカセットを特定する情報)が含まれる。
(2)長尺シート排紙処理
図9のS108では、長尺シートLおよび錘シートPを搬送・排出するための長尺シート排紙処理が実行される。図11はこの長尺シート排紙処理の詳細を示す長尺シート排紙処理サブルーチンを示したものである。
図11に示すように、MCU98は、長尺シート排紙処理サブルーチンにおいて、上述した排出信号Si4を受信するまで待機し(S202)、信号を受信すると、長尺シート搬送処理を実行する(S204)。
すなわち、MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第1搬送モータM3を駆動させる(排出信号Si4の受信が不図示の第1搬送モータM3駆動の契機となる。)。これにより、搬入ローラ29は回転を開始する。このとき、第1、第2フラッパ33、34を回動させる電磁ソレノイドはオフ状態のままである(図5(A)参照)。なお、長尺シート落下防止モードにおいて穿孔処理も併せて指定されている場合には、MCU98は長尺シートLの幅に応じてアクチュエータ制御部99を介して図示しないユニット移動モータM2を作動させパンチユニット50をシート搬送経路28と直交する所定位置に位置付けて(パンチ処理の準備をして)、第1センサS1からの出力を監視する。
第1センサS1がシート搬送経路28に搬入されたシートの先端を検出すると、MCU98はアクチュエータ制御部99を介して不図示の第2搬送モータM4を正転駆動させる。これにより、排紙ローラ36は正転を開始する。また、MCU98は第1センサS1がシート搬送経路28にシートが搬入されたことを検出する度に枚数をカウントする。その際、MCU98は、排出信号Si4に含まれるシートの長さ、幅の情報を参照して、搬入されたシートの枚数を長尺シートLと錘シートPとに分けてカウントする。
MCU98は、穿孔処理が併せて指定されている場合には、第2センサS2がシート先端を検出するまで待機し、第2センサS2がシート先端を検出してから長尺シートLの長さに応じてさらに所定ステップ数または第1センサS1がシート後端を検出してから予め定められたステップ数、不図示の第1、第2搬送モータM3、M4を駆動させた後、不図示の第1、第2搬送モータM3、M4の駆動を停止させる。これにより、シート搬送経路28を搬送中の長尺シートLは、排紙ローラ36および搬入ローラ29にニップされて停止した状態となる。
MCU98はアクチュエータ制御部99を介して図示しないパンチモータM1を駆動させることでパンチユニット50にパンチ処理を行わせ、パンチ処理が終了すると、不図示の第1、第2搬送モータM3、M4を再度駆動させて長尺シートLをさらに下流側に搬送する。一方、穿孔処理が指定されていない場合には、第2センサS2がシート後端を検出した後も不図示の第1、第2搬送モータM3、M4の駆動を停止させることなく長尺シートLをさらに下流側に搬送する。
次に、第2センサS2がシート後端を検出すると、MCU98は長尺シートLの幅に応じてアクチュエータ制御部99を介して図示しない整合モータM6を駆動させ、シート束の整合時間(側縁整合部材39の移動時間)を短縮するために、側縁整合部材39をホームポジションまたは前回のジョブの際に位置付けられた待機位置から長尺シートLの幅に応じた整合準備位置へ予め移動させる。そして、第2センサS2がシート後端を検出してからシートサイズに応じた所定ステップ数、不図示の第1、第2搬送モータM3、M4をなおも駆動させた後、不図示の第2搬送モータM4の駆動を停止させる(不図示の第1搬送モータM3は穿孔処理がある場合を除いてジョブ終了まで駆動し続ける。)。このとき、長尺シートLの後端は排紙ローラ36によるニップを離れて排紙口35から飛び出した状態となる。
次いで、MCU98は、不図示の第2搬送モータM4を逆転駆動させるとともに、不図示の昇降モータM5も逆転駆動させる。これにより、昇降ローラ41は待機位置から作動位置に移動して(パドル回転体42も同じ。)従動ローラ48に圧接した状態で逆転し、シートガイド部材44は図3に示した退避位置からガイド位置に移動する。これにより、長尺シートLは昇降ローラ41と従動ローラ48に挟まれ、その後端側(第2スイッチバックパス31b先端側)がシートガイド部材48でガイドされて第2スイッチバックパス31b上を規制部材38に向けて搬送される。その際、シート搬入機構74を構成する他の部材も、シート先端が、第2スイッチバックパス31b上を規制部材38に向けて搬送されるように補助する。
MCU98は、昇降ローラ41が従動ローラ48に圧接した時点(作動位置に位置した時点)から所定ステップ数、なおも不図示の第2搬送モータM4を逆転駆動させた後駆動を停止させる。これにより、シート後端がホームポジションに位置する規制部材38に突き当たり、長尺シートL(の後端部)は処理トレイ37に搬入される。次いで、不図示の昇降モータM5を正転駆動させて昇降ローラ41を作動位置から待機位置に移動させるとともに、不図示の第2搬送モータM4を正転駆動させてシートガイド部材44を図3に示した退避位置に移動させた後、両モータの駆動を停止させる。
次に、MCU98は、図示しない整合モータM6を駆動させ、側縁整合部材39を上述した整合準備位置から長尺シートLの幅サイズに応じた整合位置に移動させる。これにより、処理トレイ37上で後端が規制部材38に突き当て規制された長尺シートLの側縁が側縁整合部材39の規制面で押圧され長尺シートLは例えばセンタ基準で整合される。図12(A)はこのときの状態を模式的に示したものである。
図11に示すように、MCU98は、S204での長尺シート搬送処理と並行して、または、S204での長尺シート搬送処理を実行した後に、S204〜S212での処理を実行する。
上述したように、長尺シート落下防止モードは第1トレイ49からの長尺シートLの落下を防止するモードであるが、より具体的には、第1トレイ49上で錘シートPを長尺シートLの後端部に重ねて載置することで第1トレイ49からの長尺シートLの落下を防止するモードである。このため、MCU98は、S206で、排出信号Si4に含まれる長尺シートLの長さ、幅、坪量の情報を参照して、長尺シートLのうち第1トレイ49からはみでてしまう部分の重量Wを算出する。
この重量Wは、例えば、W[g]={(長尺シートLの枚数)×(長尺シートLの長さ[m]−第1トレイ49の長さ[m])×長尺シートLの幅[m]×長尺シートLの坪量[g/m2]}で求めることができる。つまり、重量Wは、長尺シートLの長さと第1トレイ49の長さとの差分に応じて変化する。なお、上記では、長尺シートLを予め定められた所定値を越えるシートと定義したが(項目1−1−1参照)、この式から明らかなように、本実施形態では「所定値」を第1トレイ49の長さに設定している。
次のS208では、長尺シートLを第1トレイ49上に保持するために必要な錘シートPの枚数Mを算出する。この枚数Mは、例えば、枚数M={(重量W)÷(錘シートPの長さ[m]×錘シートPの幅[m]×錘シートPの坪量[g/m2])}で算出された値の小数点以下を切り上げることで求めることができる。つまり、長尺シートLの長さと第1トレイ49の長さとの差分が大きいほど枚数Mは多くなる。
次にS210において、S202で受信した排出信号Si4に含まれる最終シートか否かの情報を参照して、現在処理中の長尺シートLが最終シートか否かを判断し、肯定判断のときはS214に進み、否定判断のときはS212に進む。
S212では、画像形成装置Aから仮に長尺シートLがもう一枚排出されたとした場合に、処理トレイ49の処理(積載)上限枚数(例えば、30枚)に到達してしまうか否かを判断する。具体的には、[[(長尺シートLの枚数+1)+{(長尺シートLの枚数+1)×(長尺シートLの長さ[m]−第1トレイ49の長さ[m])×長尺シートLの幅[m]×長尺シートLの坪量[g/m2]}÷{(錘シートPの長さ[m]×錘シートPの幅[m]×錘シートPの坪量[g/m2])]で算出された値の小数点以下を切り上げた値]≦(処理トレイ37の処理上限枚数)か否かを判断する。否定判断のときはS202に戻り、肯定判断のときはS214に進む。
S214では、S106(図9参照)で決定した錘シートPの排出を画像形成装置Aに要求するためのシート要求信号Si5をMCU91に送信する。シート要求信号Si5を受信したMCU91は、現在処理中の長尺シートLに画像を形成した後は、引き込みローラ5の上流側に配された図示しないセンサが手差しトレイ2eから挿入された長尺シートLを検出していても引き込みローラ5による給紙経路6への長尺シートLの引き込みを行わず、先に受信した錘シート決定信号Si3に含まれる情報に従ってカセットnから錘シートPを繰り出して排紙経路14を経て排紙口16から排出させる。このとき、MCU91は画像形成部3を構成する各部を作動させないように画像形成部92を制御する。従って、排出口16から排出される錘シートPは長尺シートLとは異なり画像が形成されていないブランクシートである。なお、シート要求信号Si5は、画像形成装置Aに対し割り込み処理を要求する信号と捉えると信号の性質を把握しやすい。
また、MCU91は、錘シートPの先端がレジストローラ対8に到達し先端揃えが行われた後、レジストローラ対8や他の搬送ローラの回転駆動を開始したときに、MCU98に排出信号Si4を送信する。なお、排出信号Si4には上述したようにシートサイズの情報が含まれているため、MCU98は錘シートPが排出されるのか、または、長尺シートLが排出されるのかを区別することができる。
MCU98は、排出信号Si4を受信するまで待機し(S216)、信号を受信すると、錘シート搬送処理を実行する(S218)。この錘シート搬送処理は、原則的に既に説明した長尺シート搬送処理(S204)と同じである。相違する内容は、a)長尺シート搬送処理が長尺シートを搬送するのに対し、錘シート搬送処理は規格シートを搬送する点、および、b)長尺シート落下防止モードにおいて穿孔処理が併せて指定されている場合に、長尺シート搬送処理がパンチユニット50で長尺シートLに穿孔処理を施すのに対し、錘シート搬送処理では、錘シートPをカセットに戻し再利用するため、錘シートPに穿孔処理を施さない点の2点である。
次に、S220において、錘シートPの枚数がS208で算出した枚数Mに到達したか否かを判断し、否定判断のときはS214に戻り、肯定判断のときは次のS222に進む。図12(B)はS220で肯定判断された時点での状態を模式的に示したものである。S222では、長尺シートLと錘シートPとで形成されたシート束を第1トレイ49に排出する排出処理を実行する。
すなわち、MCU98は、S222において、アクチュエータ制御部99を介して、不図示の昇降モータM5を逆転駆動させ昇降ローラ41を作動位置に位置付け、不図示の第2搬送モータM4および駆動モータM8(図6参照)をともに正転駆動させて、処理トレイ37に積載され規制部材38で排出方向後端部が整合されたシート束を、第1トレイ49に向けて(第2スイッチバックパス31bの逆方向に)排出する(図6(B)も参照)。
シート束を第1トレイ49に排出中に、シート束の後端を押す規制部材38と、ローラ部53(昇降ローラ41、従動ローラ48)とは協働して第1トレイ49に向けてシート束を排出するが、規制部材38がシート束の後端を押すのは途中までであり、その後、規制部材38はホームポジションに戻され、ローラ部53がシート束を第1トレイ49に排出する(図6(C)も参照)。
このため、MCU98は、ホームポジションから途中までに相当する所定ステップ数、駆動モータM8を正転駆動させた後、逆転駆動させ上述したリミットセンサの出力を参照して駆動モータM8を停止させる。これにより、規制部材38はホームポジションに位置付けられる。また、MCU98はシートサイズに応じた所定ステップ数、不図示の第2搬送モータM4を正転駆動させた後、駆動を停止させる。そして、第1トレイ49へのシート束の排出が完了した後に、不図示の昇降モータM5を逆転駆動させ、昇降ローラ41を待機位置に位置付ける。これにより、第1トレイ49上へのシート束の排出処理が終了する。図12(C)はこのときの状態を模式的に示したものである。
次のS224では、MCU91にシート要求解除信号Si6を送信する。このシート要求解除信号Si6は、S214で送信したシート要求信号Si5により画像形成装置Aが割り込み処理(錘シートPの搬送処理)中で次の長尺シートLへの画像形成が中断しているため、その割り込み処理を解除するための信号である。
次にS226において、S212で肯定判断したか否かを判断する。すなわち、S212で肯定判断した場合は、次の長尺シートLが画像形成装置Aから排出されると処理トレイ37の処理上限枚数に到達するため、一旦処理トレイ37に積載されたシート束を第1トレイ49に排出し、その後同様に、長尺シートLと錘シートPとで形成されるシート束を処理トレイ37に積層し、第1トレイ49に排出する。S226で肯定判断のときは処理を続行するためS202に戻り、否定判断のときは次のS228においてS202で受信した排出信号Si4に含まれるジョブが終了したか否かの情報を参照して(画像形成装置A側での)ジョブが終了したか否かを判断し、この判断が否定のときは次の部数を処理するためにS202に戻り、この判断が肯定のときは長尺シート排紙処理サブルーチンを終了し図9に示すシート後処理ルーチンも終了する。
この結果、例えば、画像形成モードとして複数部が指定され1部が複数枚で構成されるときは、原則的に(処理トレイ37の処理上限枚数に到達しない限り)複数枚の長尺シートLと複数枚の錘シートPとで形成されたシート束が部数ごとに第1トレイ49に積載され、処理トレイ37の処理上限枚数に到達する場合(S212で肯定判断されたとき)は、1部を構成する複数枚のシートが複数枚の長尺シートLと錘シートPとで形成された複数のシート束に分割されて第1トレイ49上に積載されることになる。
3−2−3.その他の後処理モード
一方、図9のS104において否定判断のときは、S110で別処理を実行してシート後処理ルーチンを終了する。S110において、MCU98は、上述した後処理モード情報を参照して、ジョグ仕分けモードか否かを判断し、肯定判断のときはジョグ仕分け処理を行い、否定判断のときは綴じ処理モードか否かを判断する。この判断が肯定のときは綴じ処理を行い、否定のときは製本処理モードか否かを判断する。肯定判断のときは製本処理を行い、否定判断のときはストレート排紙処理を行う。以下、これらの処理について簡単に説明する。
(1)ジョグ仕分け処理
ジョグ仕分け処理と上述した長尺シート落下防止処理とは、次の4点で相違する。
a)長尺シート落下防止処理では処理トレイ37上で規格サイズのシートより長い長尺シートLと規格サイズの錘シートPとで形成されたシート束を形成するのに対し、ジョグ仕分け処理では同一の(規格)サイズのシートで構成されるシート束を形成する。
b)長尺シート落下防止処理では処理トレイ37上でセンタ基準にシート束を形成するのに対し、ジョグ仕分け処理ではシート束ごとに(部数ごとに)処理トレイ37上でオフセットする。
c)長尺シート落下防止処理ではMCU98側で錘シート決定処理を行うのに対し、ジョグ仕分け処理ではそのような処理を欠く。
d)長尺シート落下防止処理では長尺シートLに画像が形成され錘シートPには画像が形成されないのに対し、ジョグ仕分け処理では原則的にシート束を形成する全てのシートに画像が形成される。従って、ジョグ仕分け処理では、長尺シート落下防止処理で示したシート要求信号Si5やシート要求解除信号Si6の送信も行われない。
付言すると、MCU98は、1束目(図8も参照)のシート束を形成するシートが処理トレイ37に搬送されてくると、図示しない整合モータM6を駆動させ、側縁整合部材39を整合準備位置から整合位置に移動させてシートを例えばセンタ基準で整合させる。このような処理は1束目を形成する最後のシートまで同様に行われる。処理トレイ37上で1束目のシート束が形成されると、第1トレイ49に排出する排出処理を行う。
2束目のシート束を形成するシートが処理トレイ37に搬送されてくると、MCU98は、図示しない整合モータM6を駆動させ、1束目のシート束を形成するシートの整合位置に対して整合位置を幅方向に所定距離シフトさせることで処理トレイ37上でシートを最後のシートまで整合させた後、第1トレイ49に排出する。以下、同様に全てのシート束がオフセットされるように整合位置をシフトさせ、第1トレイ49に排出する。
(2)綴じ処理
綴じ処理と上述したジョグ仕分け処理とは、次の2点で相違する。
a)ジョグ仕分け処理ではステープル処理が行われないのに対し、綴じ処理ではステープル処理が排出処理の前に行われる。
b)ジョグ仕分け処理がシート束を形成するシートを整合する場合に処理トレイ37上でシフトさせるのに対し、綴じ処理ではそのようなシフトは必要ではない(1部を構成する全てのシートを例えばセンタ基準で整合してもよい。)。
付言すると、MCU98は、処理トレイ37上でシート束を形成した後、排出信号Si4に含まれるシート幅の情報に応じてステープラユニット47を移動させ、図示しない駆動モータM7を駆動させてステープラヘッドをアンビル部材に向けて降下させる。これにより、例えば、シート束に対する2箇所綴じのうちの1箇所目の綴じ位置でのステープル処理が終了する。次いで、MCU98は、シート幅の情報に応じてステープラユニット47を移動させてステープラユニット47を2箇所目の綴じ位置に移動させ、図示しない駆動モータM7を駆動させてステープラヘッドをアンビル部材に向けて降下させる。これにより、処理トレイ37上で整合・積載されたシート束の後端部に対するステープル処理が施される。なお、ステープル処理を施した後は、長尺シート落下防止処理(S222)と同様にシート束を第1トレイ49に排出する。
(3)製本処理
A)搬送・集積処理
MCU98は、排出信号Si4を受信すると、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第1搬送モータM3を駆動させる。これにより、搬入ローラ29は回転を開始する。このとき、第1、第2フラッパ33、34を回動させる電磁ソレノイドはオフ状態のままである(図5(A)参照)。
第1センサS1がシート搬送経路28に搬入されたシートの先端を検出すると、MCU98はアクチュエータ制御部99を介して不図示の第2搬送モータM4を正転駆動させる。これにより、排紙ローラ36は正転を開始する。
次いで、MCU98は、第2センサS2がシート後端を検出すると、不図示の第2搬送モータM4の駆動を停止させる。このとき、シート先端は第1トレイ49の上方に延在し、シート後端部は排紙ローラ36にニップされた状態となる。
次に、MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドに通電しオン状態とする。これにより、第2フラッパ34は時計廻りに回動し図5(C)に示す状態となる。また、図示しない移動モータM11を駆動させホームポジションまたは前回のジョブの際に位置付けられた待機位置に位置する規制ストッパ67(図2参照)を、シートサイズに応じて定められた今回の待機位置に移動させる。
続いて、MCU98は、不図示の第2搬送モータM3を逆転駆動させる。これにより、排紙ローラ36、搬送ローラ55、搬出ローラ62は逆転駆動し、シートはその後端を先端として上述した第2分岐点D2を介して第1スイッチバックパス31aから第2搬送パス32内に搬入される。
次に、MCU98は、第3センサS3がシート先端(第2搬送パス32搬送方向後端)を検出すると、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオフ状態とする。これにより、第2フラッパ34は反時計廻りに回動し図5(A)に示す定常状態となる。続いて、MCU98は、第3センサS3がシート先端を検出してから予め定められたステップ数、不図示の第2搬送モータM4をなおも逆転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、シートは排出ローラ62のニップを離れ(第2搬送パス32から排出され)ガイド部材66内でシート後端(第2搬送パス32搬送方向先端)を待機位置に位置付けられた規制ストッパ67で規制(支持)された状態となる。
以上の搬送・集積処理により、1部目を構成する1枚目のシートがガイド部材66内に集積される。MCU98は、排出信号Si4に含まれる最後のシートであるか否かの情報を参照して、最終のシートがガイド部材66内に集積されるまで、上記と同様の搬送・集積処理を実行する。
B)中綴じ処理
MCU98は、搬送・集積処理が終了すると、中綴じ処理を実行する。すなわち、アクチュエータ制御部99を介して図示しない移動モータM11を駆動させて、規制ストッパ67を上述した待機位置から集積されたシートの中央が中綴じユニット63の綴じ位置に相当する位置に移動させる。そして、アクチュエータ制御部99を介して図示しない中綴じモータM9を駆動させヘッドユニットによりシートの中央の1箇所または複数箇所をステープル処理させる。
C)折り処理
MCU98は、中綴じ処理が終了すると、図示しない移動モータM11を駆動させて中綴じ処理されたシート束の中央が折り位置Yに位置するように規制ストッパ67を移動させ、図示しない折りモータM10を駆動させる。これにより、シート束の内折り側に折りブレード65が挿入されシート束は折りローラ64に低速で巻き込まれながら内折りされ、次いでその先端側は排出ローラ69に支持される。MCU98は、中綴じ処理されたシート束が折りローラ64に巻き込まれ規制ストッパ67による支持を離れた時点で、次の処理に備えて図示しない移動モータM11を駆動させ規制ストッパ67を待機位置に位置付けた後、図示しない移動モータM11を停止させる。
D)排出処理
MCU98はなおも図示しない折りモータM10を駆動させ、マガジン仕上げ処理されたシート束の後端が排出ローラ69によるニップを離れた後にその駆動を停止させる。これにより、マガジン仕上げ処理されたシート束は湾曲した案内板にガイドされ落下するように不図示の排紙口を介して第2トレイ61に排出される。
そして、MCU98は、排出信号Si4に含まれるジョブが終了したか否かの情報を参照して、ジョブが終了するまで上記A)〜D)の処理を繰り返して製本処理を終了する。
(4)ストレート排紙処理
MCU98は、排出信号Si4を受信すると、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第1搬送モータM3を駆動させる。これにより、搬入ローラ29、搬送ローラ77、排紙ローラ78は回転を開始する。また、MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して第1フラッパ33を駆動する電磁ソレノイドに通電しオン状態とする。これにより、第1フラッパ33は時計廻りに回動し図5(B)に示す状態となる。従って、搬入口26を介してシート搬送経路28に搬入されたシートはそのまま第3搬送パス30終点の排紙口72を経て第3トレイ71に排出される。
(第2実施形態)
次に、本発明が適用可能な画像形成システムの第2の実施の形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に例示した長尺シート落下防止処理において、長尺シートLおよび錘シートPを一時的に保持するバッファを、処理トレイ37に代えて第1搬送パス31および第2搬送パス32としたものである。
本実施形態の構成は第1実施形態の構成と同じであり、動作においてMCU98は図11に示した長尺シート落下防止処理サブルーチンに代えて図13に示す長尺シート落下防止処理サブルーチンを実行する。このため、第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付してその説明を省略し、以下では、相違する長尺シート落下防止処理サブルーチンについてのみ説明する。
なお、本実施形態では、搬送パス(第1搬送パス31および第2搬送パス32)を長尺シートLおよび錘シートPを一時的に保持する(シートを滞留させる)バッファとして用いるため、一般に処理トレイ37を用いる場合よりも形成可能なシート束の枚数が少ない(1枚の長尺シートLを第1トレイ49上で保持するために必要な錘シートPの枚数が、搬送パスの滞留上限枚数(例えば、5枚)から長尺シートLの枚数分を差し引いた枚数以下の場合に実施できる。)。このため、以下では長尺シートLを1枚ごとに第1トレイ49に排出する動作について説明する。
図13に示すように、MCU98は、長尺シート排紙処理サブルーチンにおいて、排出信号Si4を受信するまで待機し(S302)、信号を受信すると、長尺シート搬送処理を実行する(S304)。
すなわち、MCU98は、アクチュエータ制御部99を介して不図示の第1搬送モータM3を駆動させ搬入ローラ29を回転させる。このとき、第1、第2フラッパ33、34を回動させる電磁ソレノイドはオフ状態のままである(図5(A)参照)。なお、穿孔処理も併せて指定されている場合には、MCU98は長尺シートLの幅に応じてアクチュエータ制御部99を介して図示しないユニット移動モータM2を作動させパンチユニット50をシート搬送経路28と直交する所定位置に位置付け、第1センサS1からの出力を監視する。
第1センサS1がシート搬送経路28に搬入されたシートの先端を検出すると、MCU98は不図示の第2搬送モータM4を正転駆動させることで、排紙ローラ36を正転させる。また、MCU98は第1センサS1がシート搬送経路28にシートが搬入されたことを検出する度に長尺シートLおよび錘シートPの枚数をそれぞれカウントする。
MCU98は、穿孔処理が併せて指定されている場合には、第2センサS2がシート先端を検出するまで待機し、第2センサS2がシート先端を検出してから長尺シートLの長さに応じてさらに所定ステップ数、不図示の第1、第2搬送モータM3、M4を駆動させた後、不図示の第1、第2搬送モータM3、M4の駆動を停止させ、図示しないパンチモータM1を駆動させることでパンチユニット50にパンチ処理を行わせる。パンチ処理が終了すると、不図示の第1、第2搬送モータM3、M4を再度駆動させて長尺シートLをさらに下流側に搬送する。一方、穿孔処理が指定されていない場合には、第2センサS2がシート後端を検出した後も不図示の第1、第2搬送モータM3、M4の駆動を停止させることなくシートをさらに下流側に搬送する。
また、MCU98は、第2センサS2がシート後端を検出すると、不図示の第2搬送モータM4の正転駆動を停止させる。このとき、シート後端部は排紙ローラ36にニップされた状態となる。次いで、MCU98は、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオン状態とさせ、不図示の第2搬送モータM4を逆転駆動させる。これにより、排紙ローラ36、搬送ローラ55、搬出ローラ62は逆転駆動し、長尺シートLはその後端を先端として第1スイッチバックパス31aから第2搬送パス32に向けて搬送される。
MCU98は、第3センサS3がシート先端を検出してから所定ステップ数、不図示の第2搬送モータM4をなおも逆転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、長尺シートLの後端は搬送ローラ55にニップされた状態となり、長尺シートLは第1搬送パス31、第2搬送パス32に跨って滞留する(S310)。図14は、この状態を模式的に示したものである。
MCU98は、この間(S304で長尺シート搬送処理を開始した後S310で長尺シートLを搬送パス中に滞留させる間)に、S306、S308での処理を実行する。
すなわち、MCU98は、S306で、排出信号Si4に含まれる長尺シートLの長さ、幅、坪量の情報を参照して、長尺シートLのうち第1トレイ49からはみでてしまう部分の重量Wを算出する。この重量Wは、例えば、W[g]={(長尺シートLの長さ[m]−第1トレイ49の長さ[m])×長尺シートLの幅[m]×長尺シートLの坪量[g/m2]}で求めることができる。なお、本実施形態では長尺シートLを1枚ずつ搬送することから、第1実施形態で示したS206での式において「(長尺シートLの枚数)」の項を欠いている。
また、S308では、長尺シートLを第1トレイ49上に保持するために必要な錘シートPの枚数Mを算出する。この枚数Mは、例えば、第1実施形態で示したS208と同様に、枚数M={(重量W)÷(錘シートPの長さ[m]×錘シートPの幅[m]×錘シートPの坪量[g/m2]}で算出された値の小数点以下を切り上げることで求めることができる。
次のS312では、S106(図9参照)で決定した錘シートPの排出を画像形成装置Aに要求するためのシート要求信号Si5をMCU91に送信する。
シート要求信号Si5を受信したMCU91は、第1実施形態と同様に、現在処理中の長尺シートLに画像を形成した後は、引き込みローラ5の上流側に配された図示しないセンサが手差しトレイ2eから挿入された長尺シートLを検出していても引き込みローラ5による給紙経路6への長尺シートLの引き込みを行わず、先に受信した錘シート決定信号Si3に含まれる情報に従ってカセットnから錘シートPを繰り出して排紙経路14を経て排紙口16から排出させる。このとき、MCU91は画像形成部3を構成する各部を作動させないように画像形成部92を制御する。MCU91は、錘シートPの先端がレジストローラ対8に到達し先端揃えが行われた後、レジストローラ対8や他の搬送ローラの回転駆動を開始したときに、MCU98に排出信号Si4を送信する。
次いで、MCU98は、排出信号Si4を受信するまで待機し(S314)、信号を受信すると、錘シート搬送処理を実行する(S316)。
この錘シート搬送処理と上述した長尺シート搬送処理(S304)とは、次の4点で相違する。
a)長尺シート搬送処理が長尺シートを搬送するのに対し、錘シート搬送処理は規格シートを搬送する点、
b)長尺シート落下防止モードにおいて穿孔処理が併せて指定されている場合に、長尺シート搬送処理がパンチユニット50で長尺シートLに穿孔処理を施すのに対し、錘シート搬送処理では、錘シートPに穿孔処理を施さない点、
c)長尺シート搬送処理で排紙ローラ36が長尺シートLのみを搬送するのに対し、錘シート搬送処理では錘シートPおよび長尺シートL(シート束)を搬送する点、
d)長尺シート搬送処理が第2センサS2でシート後端を検出した時点で長尺シートLをスイッチバック搬送するのに対し、錘シート搬送処理では、長尺シートLが第1搬送パス31に存在していることから錘シートPのシート後端を第2センサS2で検出することができないため、第1センサS1で錘シートPのシート先端を検出してから所定ステップ数錘シートPを搬送した後、錘シートPをスイッチバック搬送する点(S310関連)。
次に、S318において、錘シートPの枚数がS308で算出した枚数Mに到達したか否かを判断し、肯定判断のときはS322に進み、否定判断のときはS320で錘シートPを搬送パス中に滞留させてS312に戻る。すなわち、MCU98は、S320において、第3センサS3がシート先端を検出してから所定ステップ数、不図示の第2搬送モータM4をなおも逆転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、錘シートPは長尺シートLとともに搬送ローラ55にニップされそれらの搬送方向後端(スイッチバック搬送方向先端)が整合された状態となり、長尺シートLおよび錘シートPは第1搬送パス31、第2搬送パス32に跨って滞留する。なお、S318で肯定判断のときは、不図示の第2搬送モータM4の正転駆動を停止させることなく(排紙ローラ36および搬送ローラ55によるシート束のスイッチバック搬送を行うことなく)そのまま長尺シートLおよび錘シートPで形成されたシート束を搬送方向に搬送する。
ここで、S310、S316との関係(長尺シートLおよび錘シートPの後端整合)について簡単に説明する。S310では、長尺シートLを搬送ローラ55でニップする際に、第3センサS3が長尺シートLの先端を検出してから図9のS106で決定した錘シートPの長さを参照した所定ステップ数、不図示の第2搬送モータM4を逆転駆動させた後(排紙ローラ36および搬送ローラ55を逆転させた後)、駆動を停止させる。
一方、S316では、第1センサS1が錘シートPの先端を検出すると、不図示の第2搬送モータM4を正転駆動させる。錘シートPは当初搬入ローラ29で搬送された後、搬入ローラ29および排紙ローラ36で搬送され、次いで搬入ローラ29による搬送を離れ排紙ローラ36で搬送される。このとき、長尺シートLは当初搬送ローラ55および排紙ローラ36で搬送方向に搬送され、次いで搬送ローラ55による搬送を離れ排紙ローラ36で搬送される。排紙ローラ36で搬送される際、錘シートPと長尺シートLとはともに搬送方向に搬送される。第1センサS1が錘シートPの先端を検出してから所定ステップ数長尺シートLとともに排紙ローラ36で搬送された時点で、錘シートPの搬送方向後端と長尺シートLの搬送方向後端とが整合するように、S310で説明した所定ステップ数は次に搬入されてくる錘シートPの長さに応じて設定される。
S322では、第2フラッパ34を駆動する電磁ソレノイドをオフ状態(図5(A)に示す状態)とし、排出処理を実行する。すなわち、MCU98は、S322において、第2センサS2が長尺シートLおよび錘シートPで形成されたシート束の後端を検出してから所定時間経過後に、不図示の昇降モータM5を逆転駆動させ、不図示の第2搬送モータM4の正転駆動で正転状態にある昇降ローラ41を作動位置に位置付ける。これにより、長尺シートLおよび錘シートPで形成されたシート束は昇降ローラ41および排紙ローラ36で第1トレイ49に向けて搬送される。
MCU98は、第2センサS2がシート束の後端を検出してから予め定められたステップ数、不図示の第2搬送モータM4をなおも正転駆動させた後、駆動を停止させる。これにより、長尺シートLおよび錘シートPで形成されたシート束が第1トレイ49上に排出される。その後、MCU98は不図示の昇降モータM5を正転駆動させ昇降ローラ41を待機位置に位置付ける。
MCU98は、次のS324でMCU91にシート要求解除信号Si6を送信し、S326において、S302で受信した排出信号Si4に含まれる最終シートか否かの情報を参照して、現在処理中の長尺シートLが最終シートか否かを判断し、肯定判断のときはS328に進み、否定判断のときはS302に戻る。
次に、S328において、S302で受信した排出信号Si4に含まれるジョブが終了したか否かの情報を参照して、ジョブが終了したか否かを判断し、この判断が否定のときは次の部数の処理を行うためにS302に戻り、この判断が肯定のときは長尺シート排紙処理サブルーチンを終了し図9に示すシート後処理ルーチンも終了する。
(第3実施形態)
次に、本発明が適用可能な画像形成システムの第3の実施の形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態で例示した第1トレイ49の長さを可変に構成したものである。なお、本実施形態において第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付してその説明を省略し、以下、相違点のみ説明する。
図15(A)、(B)に示すように、第1トレイ49は、オペレータの操作により延長(引き出し)可能な延長トレイ81を有している。また、第1トレイ49内には、延長トレイ81が引き出された状態か否かを検出する第4センサS4が配置されている。第4センサS4には、例えば、発光センサと受光センサとを有する透過型センサを用いることができる。第4センサS4は外部バスを介してMCU98に接続されている。このため、MCU98は、第1トレイ49から延長トレイ81が引き出された状態にあるか否かを把握することができる。
MCU98は、図11に示したS206において、まず、第4センサS4の出力を参照して延長トレイ81が引きだされた状態にあるか否かを判断する。引き出されていないときは(図15(A)参照)、第1実施形態のS206で示した式(W[g]={(長尺シートLの枚数)×(長尺シートLの長さ[m]−第1トレイ49の長さ[m])×長尺シートLの幅[m]×長尺シートLの坪量[g/m2]})により長尺シートLのうち第1トレイ49からはみでてしまう部分の重量Wを算出する。一方、引き出されているときは(図15(B)参照)、例えば、W[g]=[(長尺シートLの枚数)×{長尺シートLの長さ[m]−(第1トレイ49の長さ[m]+延長トレイ81の長さ[m])}×長尺シートLの幅[m]×長尺シートLの坪量[g/m2]]により長尺シートLのうち第1トレイ49からはみでてしまう部分の重量Wを算出する。
(効果等)
次に、上記実施形態の画像形成システムの効果等についてシート後処理装置Bの効果等を中心に説明する。
1.効果
上記実施形態のシート後処理装置Bでは、制御部97のMCU98が、画像形成装置Aから排出されるシートが長尺シートLであるときに、長尺シートLと第1トレイ49上で長尺シートLの錘となる錘シートPとを重ねた状態で第1トレイ49に排出するように排出機構80を制御するので、利便性を低下させることなく第1トレイ49から長尺シートLが落下することを防止することができる。
また、上記実施形態のシート後処理装置Bでは、排出機構80により長尺シートLと錘シートPとを第1トレイ49に排出し、排紙口35や昇降ローラ41と従動ローラ48とで構成されるローラ部53が塞がらないため、背景技術欄で述べた特許文献1、2の技術に対し、複数枚(および複数枚のシートで構成された複数部数)の長尺シートLを連続して第1トレイ49に排出することができるとともに、オペレータが排出口35やローラ部53に待機する必要もない。
また、第3実施形態のシート後処理装置Bでは、第1トレイ49内に収容された延長トレイ81を引き出すことにより長尺シートLの載置面積を広げることができため、画像形成装置Aの設置面積を小さくしつつ、比較的大きなサイズのシートでも第1トレイ49から落下することなく積載することができる。さらに、長尺シートLのように落下するおそれがある場合でも、第1トレイ49内に収容された延長トレイ81を引き出すことにより、錘シートPの枚数Mを少なくすることができる。
2.変形例
なお、上記実施形態では、画像形成装置Aとシート後処理装置Bと構成される画像形成システムについて例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、シート後処理装置Bは画像形成装置Aの一部として一体的に構成し、MCU98が行う処理をMCU91が行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第1トレイ49に排出されるシート束を形成する長尺シートLおよび錘シートPの排出方向後端を整合する例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、長尺シートLと錘シートPとが重ねられた状態で第1トレイ49に排出されればよい。
また、上記実施形態では、錘シートPにカセット2a〜2eに収容されたシートのうち最も重いシートを選択した例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、カセット2a〜2eに厚紙と普通紙が収容されている場合に、画像形成装置A側のカセットには厚紙よりも普通紙の方が多く収容可能なため、普通紙でも錘シートとして機能するときには普通紙を錘シートPとして選択するようにしてもよい。逆に、例えば、普通紙を錘シートPとした場合には複数枚が必要であり、厚紙を錘シートPとした場合に錘シートPが一枚で足りるときには、普通紙ではなく厚紙を錘シートPとして選択するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、長尺シートLの重さ(長尺シートLのうち第1トレイ49からはみでてしまう部分の重量W)に応じて錘シートPの枚数Mを変化させる例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。例えば、簡易的に長尺シートLの長さに応じて錘シートPの枚数Mを変化させるようにしてもよい。このような態様では、例えば、錘シートPには長尺シートLと同じ幅を有する規格シートが選択され、長尺シートLの坪量と錘シートPの坪量とが同じであるとみなされる。
また、上記実施形態では、長尺シートLの重さに応じて錘シートPの種類を決定(選択)する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、長尺シートLの長さと第1トレイ49の長さとの差分に応じて錘シートPの種類を決定するようにしてもよい。例えば、第3実施形態で示した第1トレイ49のように延長トレイ81が引き出し可能な場合には、延長トレイ81が第1トレイ49内に収容されているときと引き出されたときとではシートまたはシート束の載置面積が異なることから、当該載置面積で載置可能な最大サイズのシートを選択するようにしてもよい。
また、第2実施形態では、第1搬送パス31から分岐した第2搬送パス32に長尺シートLおよび錘シートPを搬送する例を示したが、本発明はこれに制約されるものではない。例えば、図16に示すように、搬入ローラ29と排紙ローラ36の間のシート搬送経路28の下側にシートの搬送方向後端部を収容する端部収容スペース28Aを形成するようにしてもよい。なお、図16では、端部収容スペース28Aに、傾斜面と鉛直面とで画定された断面三角状のスペースをシート搬送経路28から延在させるように形成した例を示しているが、このような形状に限られるものではない。
図16に示す構成でのシート搬送について補足すると、搬入ローラ29および排紙ローラ36を正転させて長尺シートLを搬送し(図16(A))、排紙ローラ36を逆転させて長尺シートLをスイッチバック搬送し長尺シートLの後端部を端部収容スペース28Aに収容した後、排紙ローラ36を停止させる(図16(B))。なお、この状態で長尺シートLの後端部は、黒矢印で示すように、静電気等で傾斜面に吸着される。次に、搬入ローラ29および排紙ローラ36を正転させて錘シートPを搬送し(図16(C))、排紙ローラ36を逆転させて錘シートPをスイッチバック搬送した後、排紙ローラ36を停止させる(図16(D))。なお、図16(D)に示すように、長尺シートLに次いで2枚目となる錘シートPには静電気等が作用しづらいため、端部収容スペース28Aの傾斜面と対向するシート搬送経路28の上側から錘シートPを上方から押さえる押さえ部材やシート搬送経路28の上方から錘シートPに向けて送風するファン等を配置し、錘シートPの後端部も確実に端部収容スペース28Aに収容するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、錘シートPの幅(シート排出方向と直交する方向のシート長)と長尺シートLの幅の関係について言及していないが、錘シートPの幅が長尺シートLの幅以下であることが望ましい。当然、錘シートPの幅が長尺シートLの幅以上であっても問題ないが、錘シートPの幅が長尺シートLの幅以下であれば、より確実に錘として機能する。そこで、錘シートPの幅と長尺シートLの幅とを比較し、シート幅が長尺シートLの幅以下のシートを錘シートPとして決定するようにしてもよい。
さらに、同じ種類のシートで、シート長手方向がシート搬送方向となるように供給カセットに格納されているシート(例えばA4縦)と、シート短手方向がシート搬送方向となるように供給カセットに格納されているシート(例えばA4横)とが錘シートとして選択可能な場合、シート幅が短くなる「シート長手方向がシート搬送方向となるように供給カセットに格納されているシート(例えばA4縦)」を錘シートPとして決定するようにしてもよい。
そして、長尺シートLのシート種類情報にシート表面の摩擦係数情報が含まれている場合、長尺シートLの表面の摩擦係数情報に応じて錘シートPの有無や枚数を決定してもよい。その場合、長尺シートLの表面が滑りやすい場合は錘シートPの枚数を多くし、滑りにくい場合は錘シートPの枚数を減らしたり不要とする判断にしたりしてもよい。