JP2020017339A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】水素ポンプの内部やポンプ周辺流路で解凍した水分の燃料電池への流入を回避する。【解決手段】燃料電池から燃料オフガスを排出する排出流路から燃料ガス供給流路に至る循環流路に水素ポンプを組み込み、この水素ポンプにより、燃料オフガスを燃料ガス供給流路に還流送気する。そして、排出流路から水素ポンプに至るまでの流路域と水素ポンプの内部の少なくとも一方において水分が凍結すると、凍結した水分を解凍する手段を水素ポンプの停止制御下で起動し、凍結水分が解凍すると、排出流路から分岐して排出流路内ガスの外気放出と非放出を切り替えるガス放出機構を外気放出の側に切り替えると共に、還流送気と逆方向の送気を行うよう水素ポンプを逆送気制御する。【選択図】図2
Description
本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池に供給された燃料ガス、例えば、水素ガスは、ガス中の全ての水素が燃料電池での発電反応に消費されるわけではなく、未使用の水素が燃料電池から排出される。よって、未使用水素の消費を図るべく、水素オフガスを水素ポンプにより水素ガスの供給流路に還流させる構成が知られている。水素オフガスには、発電反応により生成した生成水が混じり得るので、低温環境下でのシステム停止時において、水素ポンプ内部、或いはポンプ周辺流路で水分の凍結が起き得る。凍結水分は、システム起動時のポンプ駆動の障害となり得るので、システム停止期間において水分の凍結が起きた場合には、凍結水分の解凍後に水素ポンプを始動して水素オフガスの還流を図る手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1で提案された手法では、凍結水分の解凍後における水素ポンプの始動性を確保できる。しかしながら、解凍水分は、水素ポンプにより還流される水素オフガスと一緒にガス供給流路に入り込んで燃料電池に流入し得るので、水分流入についての新たな配慮が要請されるに至った。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給流路と、前記燃料電池から燃料オフガスを排出する排出流路と、前記排出流路から前記燃料ガス供給流路に至る循環流路に組み込まれ、前記燃料オフガスを前記燃料ガス供給流路に還流送気する水素ポンプと、前記排出流路から分岐して排出流路内ガスの外気放出と非放出を切り替えるガス放出機構と、前記水素ポンプを前記還流送気を行うよう定常制御する制御部と、前記排出流路から前記水素ポンプに至るまでの流路域と前記水素ポンプの内部の少なくとも一方における水分の凍結判定と、凍結した水分の解凍判定とを行う判定部とを備え、前記制御部は、前記判定部による凍結判定時に前記凍結した水分を解凍する手段を前記水素ポンプの停止制御下で起動し、前記判定部による解凍判定後には、前記ガス放出機構の前記外気放出への切り替えと、前記還流送気と逆方向の送気を行う前記水素ポンプの逆送気制御とを実行する。この形態の燃料電池システムによれば、解凍した水分を、放出機構が外気放出に切り替えられた状況下での水素ポンプの逆送気制御により外気に放出させるので、解凍した水分の燃料電池への流入を回避、若しくは抑制できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、燃料電池システムの運転制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体(non-transitory storage medium)等の形態で実現することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池システム100の概略構成を示す説明図である。燃料電池システム100は、例えば、車両に搭載され、運転者からの要求に応じて、車両の動力源となる電力を出力する。
燃料電池システム100は、複数の燃料電池21を備える燃料電池スタック20と、アノードガス供給系50と、アノードガス排出系60と、カソードガス供給系30と、カソードガス排出系40と、電力系70と、冷却水循環系80と、制御部90とを備える。
燃料電池システム100は、パワースイッチ7のON操作によって起動し、OFF操作によって停止する。パワースイッチ7は、燃料電池システム100、詳しくは燃料電池スタック20のそれぞれの燃料電池21の停止状態と始動状態とを切り替えるための入力インタフェースであり、燃料電池21の発電運転の起動タイミングや停止タイミングを規定する。
燃料電池21は、膜電極接合体と2枚のセパレータ(図示せず)を有する。セパレータは、膜電極接合体を挟持してアノードガス、カソードガスおよび冷媒の流路を形成するとともに、集電板としても機能する板状基材である。膜電極接合体は、電解質膜と、電解質膜の各々の面に形成された電極とを有している。電解質膜は、湿潤状態の時に良好なプロトン伝導性を示す固体高分子薄膜である。燃料電池21のアノードガスが供給される電極をアノードと呼び、カソードガスが供給される電極をカソードと呼ぶ。本実施形態では、アノードガスは燃料ガスたる水素ガスであり、カソードガスは酸素含有ガスたる空気である。燃料電池21は、アノードガスとカソードガスの供給を受けて発電する。燃料電池スタック20には、温度センサ22が取り付けられており、この温度センサ22は、検出した燃料電池温度を後述の制御部90に送信する。制御部90は、送信を受けた燃料電池温度を後述の起動時発電運転制御を始めとする各種制御に用いる。
アノードガス供給系50は、水素タンク57と、開閉弁58と、アノードガス供給流路51と、レギュレータ52と、リリーフ弁53と、インジェクタ54と、圧力センサ59とを備える。アノードガス供給系50は、さらに、水素ポンプ55と、循環流路56とを備える。アノードガス排出系60は、アノードガス排出流路61と、気液分離器62と、排出弁63と、排出流路64と、を備える。
水素タンク57は、アノードガスとしての水素ガスを貯蔵する。アノードガス供給流路51は、燃料電池スタック20に接続され、燃料電池21に燃料ガスであるアノードガスを供給する燃料ガス供給流路である。アノードガス供給流路51は、水素タンク57と燃料電池スタック20とを接続する配管である。開閉弁58は、水素タンク57からアノードガス供給流路51へのアノードガスの供給を連通および遮断する弁であり、主止弁とも呼ばれる。開閉弁58は、制御部90によってその開閉が制御される。なお、図1においては、水素タンク57は1つしか図示されていないが、複数の水素タンク57を含むようにしてもよい。
リリーフ弁53は、アノードガス供給流路51に設けられており、制御部90の制御により開弁して水素を大気に放出する。
インジェクタ54は、アノードガス供給流路51に設けられている。インジェクタ54は、開弁されることによりアノードガスを噴射し、燃料電池スタック20へアノードガスを供給する。インジェクタ54は、アノードガス噴射装置とも呼ばれる。インジェクタ54は、制御部90によって設定された駆動周期や、駆動周期における噴射期間(開弁期間)の割合や、圧力脈動の振幅に応じて、開閉弁が電磁的に駆動する電磁駆動式の開閉弁である。駆動周期とは、インジェクタ54によるアノードガスの噴射開始から、次回のインジェクタ54によるアノードガスの噴射開始までの期間である。圧力脈動とは、インジェクタ54の噴射と停止により、インジェクタ54下流側の圧力が上昇と降下を繰り返すことである。圧力脈動の振幅とは、インジェクタ54の下流側の圧力値の振幅である。圧力値の振幅とは、インジェクタ54の駆動周期における、インジェクタ54の下流側の圧力値の振動の中心値と最大値との差である。インジェクタ54は、インジェクタ54と燃料電池スタック20との間におけるアノードガス供給流路51の圧力が予め定められた目標圧力を下回らないように、制御部90により制御される。
レギュレータ52は、アノードガス供給流路51のインジェクタ54よりも上流側に設けられている。レギュレータ52は、制御部90の制御を受ける調圧弁であり、インジェクタ54の1次圧を調整する。インジェクタ54の1次圧は、レギュレータ52とインジェクタ54との間のアノードガス供給流路51の圧力である。
アノードガス排出流路61は、燃料電池スタック20に接続され、燃料電池スタック20からの燃料オフガスであるアノードオフガスを排出する排出流路である。アノードガス排出流路61は、燃料電池スタック20のアノードの出口と気液分離器62とを接続する配管である。
気液分離器62は、アノードガス排出流路61に設けられている。気液分離器62は、アノードガス排出流路61から流入した気体と水とを分離するための容器である。気液分離器62は、アノードガス排出流路61の鉛直方向下方に設けられており、アノードから排出された気体と液体とを重力によって分離する。気液分離器62によって分離された気体(以下、分離気体と称する)は、主に、消費されずに排出されたアノードガスと燃料電池21が備える膜電極接合体を介してカソード側から透過した窒素と、気液分離器62で分離されなかった水分(水蒸気)である。そして、分離気体は、後述の水素ポンプ55の定常制御下では、循環流路56を経てアノードガス供給流路51に還流送気される。また、分離気体は、後述の排出弁63が排出流路64を開放した状況下で、カソードガス排出流路41を経て外気に放出される。この外気放出に先立ち、気液分離器62で分離された液体も、カソードガス排出流路41を経て外気に放出される。気液分離器62には、気液分離器62内の水位を計測する水位センサ(図視略)が設けられている。水位センサは、その計測結果を制御部90に送信する。制御部90は、送信を受けた水位を分離液水排出のための制御に用いる。
循環流路56は、アノードガス排出流路61からアノードガス供給流路51に至る流路であり、インジェクタ54よりも下流側でアノードガス供給流路51に接続されている。循環流路56には、水素ポンプ55が組み込まれている。水素ポンプ55は、気液分離器62によって分離された気体を、アノードガス供給流路51に還流送気して、燃料電池スタック20に再度供給する。気液分離器62によって分離された気体は、主に、消費されずに排出されたアノードガスであり、燃料電池21が備える膜電極接合体を介してカソード側から透過した窒素も若干含まれる。
排出流路64は、気液分離器62と、カソードガス排出系40に備えられるカソードガス排出流路41(後述)とを接続する配管であり、気液分離器62においてアノードガス排出流路61から分岐した配管でもある。排出弁63は、排出流路64に設けられている。排出弁63は、燃費の向上のため、原則として閉弁している。排出弁63は、予め設定された排出タイミングで制御部90の制御により開弁する。排出弁63の開弁により、気液分離器62の分離気体や液体は外気放出され、排出弁63の閉弁により、分離気体や液体は非放出となる。よって、気液分離器62と排出流路64および排出弁63は、アノードガス排出流路61における排出流路内ガスの外気放出と非放出を切り替えるガス放出機構を制御部90の制御下において構築する。
圧力センサ59は、アノードガス供給流路51のインジェクタ54よりも下流側に設けられている。本実施形態では、圧力センサ59は、インジェクタ54と燃料電池スタック20との間のアノードガス供給流路51に設けられている。圧力センサ59は、圧力値を計測し、その計測結果を制御部90に送信する。圧力センサ59は、アノードガス排出流路61、循環流路56に設けられていてもよい。
カソードガス供給系30は、カソードガス供給流路31と、エアフローメータ32と、コンプレッサ33と、インタークーラ34と、入口弁35と、バイパス流路36と、バイパス弁37と、を備える。カソードガス排出系40は、カソードガス排出流路41と、調圧弁42と、マフラ43と、を備える。
カソードガス供給流路31は、燃料電池スタック20に接続され、燃料電池21に酸素含有ガスである空気を供給する酸素含有ガス供給流路である。カソードガス排出流路41は、燃料電池スタック20とカソードガス排出流路41の大気開放口とを接続する配管である。バイパス流路36は、カソードガス供給流路31の燃料電池スタック20よりも上流側から分岐して、カソードガス排出流路41に接続される配管である。
エアフローメータ32は、カソードガス供給流路31を流れるカソードガスの流量を計測する。コンプレッサ33は、カソードガス供給流路31に設けられている。コンプレッサ33が設けられる位置は、カソードガス供給流路31とバイパス流路36との接続部位よりも大気開放口に近い位置である。コンプレッサ33は、カソードガス供給流路31の大気開放口側からカソードガスを吸入して圧縮する。インタークーラ34は、コンプレッサ33により圧縮されたカソードガスの温度を下げるための装置である。
入口弁35は、カソードガス供給流路31において、カソードガス供給流路31とバイパス流路36との接続部位よりも燃料電池スタック20に近い位置に設けられている。入口弁35は、制御部90の制御により開度に応じてカソードガス供給流路31の流路断面積を調整する。
バイパス流路36は、カソードガス供給流路31とカソードガス排出流路41とを接続する配管である。バイパス流路36には、バイパス弁37が設けられている。バイパス弁37は制御部90の制御により開度に応じてバイパス流路36の流路断面積を調整する。調圧弁42は、カソードガス排出流路41において、カソードガス排出流路41とバイパス流路36との接続部位よりも燃料電池スタック20側に設けられている。調圧弁42は、制御部90の制御により開度に応じてカソードガス排出流路41の流路断面積を調整する。マフラ43は、排ガスの排出音を低減する消音装置である。調圧弁42を通過したアノードオフガスは、マフラ43を経由して大気開放口から大気に排出される。
冷却水循環系80は、燃料電池スタック20を冷却する。冷却水循環系80は、冷却水排出流路81と、ラジエータ82と、冷却水ポンプ83と、冷却水供給流路84と、を備える。
冷却水排出流路81は、燃料電池スタック20とラジエータ82とを接続する流路であり、燃料電池スタック20から冷却水を排出するための配管である。
ラジエータ82には、ラジエータファン85が設けられている。ラジエータ82からの放熱は、ラジエータファン85から送られる風によって促進される。冷却水供給流路84は、ラジエータ82と燃料電池スタック20との間を接続する流路であり、燃料電池スタック20に冷却水を供給するための配管である。冷却水ポンプ83は、冷却水供給流路84に設けられており、冷却水ポンプ83によって冷却水が循環される。
電力系70は、インバータ72と、DC−DCコンバータ73と、バッテリー74と、電流センサ75とを備える。
インバータ72は、燃料電池スタック20およびバッテリー74と並列に接続され、燃料電池スタック20又はバッテリー74から供給される直流電流を、交流電流に変換して負荷装置71に供給する。DC−DCコンバータ73は、バッテリー74の出力電圧を昇圧してインバータ72に供給し、また、燃料電池スタック20の余剰発電力を蓄電するために、出力電圧を降圧してバッテリー74に供給する。DC−DCコンバータ73は、制御部90から送信される電流要求値に基づき、燃料電池スタック20による発電電流と発電電圧とを制御する。電流要求値とは、燃料電池スタック20による発電電流の目標値となる値であり、制御部90によって決定される。電流センサ75は、発電時における燃料電池スタック20の出力電流値を測定して、その計測結果を制御部90へ送信する。
制御部90は、CPUとROM、RAMを備えるコンピュータとして構成されており、具体的にはECU(Electronic Control Unit)である。制御部90は、インジェクタ54を始めとする各種機器を制御して、燃料電池スタック20における燃料電池21の発電運転を統括制御する。制御部90は、2次電池であるバッテリー8から常時、通電を受け、アノードガスおよびカソードガスの供給を伴う通常の発電運転の他、システム起動時に行う凍結判定や凍結水分の解凍を含む起動時発電運転をも行い、各種制御のためのメモリ92や判定部94を備える。メモリ92は、ハードディスク等の記録媒体であり、燃料電池21の通常の発電運転や起動時発電運転に用いる各種データを記憶している。判定部94は、後述の起動時発電運転の制御手順により構築され、この起動時発電制御における各種判定、具体的には、アノードガス排出流路61から循環流路56に掛けての流路域、或いは水素ポンプ55の内部での水分の凍結判定や、凍結済み水分の解凍判定を、温度センサ22等からの信号入力に基づいて実行する。
図2は、燃料電池システム100において行われるシステム起動時の発電運転の制御手順を示すフローチャートである。この起動時発電運転は、パワースイッチ7がオンされると実行され、制御部90は、まず、水素ポンプ55の内部、とポンプ周辺の流路域、具体的には、アノードガス排出流路61から水素ポンプ55に至るまでの流路域の少なくとも一方において、水分の凍結があるか否かを判定する(ステップS10)。この凍結判定は、燃料電池スタック20に装着した温度センサ22の検出した燃料電池温度に基づいて行われ、起動時における燃料電池温度が、水分凍結をもたらす温度、例えば0度を超える温度であれば、制御部90は、水分凍結はないと判定し、起動時の定常運転(ステップS20)に推移した後、燃料電池システム100の搭載車両の運転者によるアクセル操作の有無判定(ステップS30)を行う。
ステップS20での起動時定常運転は、パワースイッチ7のオン操作後のアイドル状態における燃料電池21のアイドル運転であり、予め規定されたアイドル運転時のガス供給量となるよう、制御部90は、カソードガス供給系30におけるコンプレッサ33のアイドル駆動制御、アノードガス供給系50におけるインジェクタ54や水素ポンプ55のアイドル駆動制御を行う。これにより、燃料電池21には、アノードガスとカソードガスとがアイドルガス供給量でそれぞれ供給され、燃料電池21は、このガス供給を受けて発電する。そして、この発電運転に伴う反応熱が、燃料電池21は元より、アノードガス排出流路61や循環流路56といった流路の他、気液分離器62や水素ポンプ55に伝熱する。このアイドル駆動制御において、水素ポンプ55は、アノードオフガスをアノードガス供給流路51に還流送気するよう、定常制御される。本実施形態では、インジェクタ54の駆動に伴うアノードガス供給と水素ポンプ55の定常制御に伴うアノードオフガス供給のストイキ比が1:0.25となるようにした。なお、起動定常運転時のこのストイキ比は、1:0.25に限られるものではなく、燃料電池スタック20における燃料電池21のスタック数等により規定してもよい。
上記した起動時定常運転は、運転者によるアクセル操作がなさるまで継続され、運転者のアクセル操作があると(ステップS30:肯定判定)、制御部90は、起動時発電運転制御を終了する。これにより、起動時発電運転制御は、運転者のアクセル操作に対応した図示しない走行運転制御に推移する。
ステップS10において水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域に水分の凍結があると判定すると、この凍結判定時において、制御部90は、水素ポンプ55を停止制御すると共に、水素ポンプ55の停止制御下で、凍結起動時のガス供給を行う(ステップS40)。この凍結起動時のガス供給では、カソードガス供給系30のコンプレッサ33については、ステップS20と同様のアイドル駆動制御がなされる。そして、アノードガス供給系50のインジェクタ54については、ステップS20のアイドル駆動制御において水素ポンプ55の還流送気により賄われていたストイキ比分だけ増量したガス供給量となるよう、増量噴射制御される。つまり、ステップS10における凍結判定に続くステップS40では、水素ポンプ55は停止されているとは言え、燃料電池21にはアノードガスおよびカソードガスが供給される。燃料電池21は、このガス供給を受けて発電し、発電運転に伴う反応熱は、燃料電池21は元より、アノードガス排出流路61や循環流路56といった流路の他、気液分離器62や水素ポンプ55に伝熱する。この伝熱により、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域で凍結済みの水分(以下、凍結水分と称する)は、解凍を起こすことになる。よって、水素ポンプ55の停止状況下での燃料電池21へのアノードガスおよびカソードガスのガス供給は、凍結した水分を解凍する手段に相当する。なお、ステップS40による凍結起動時のガス供給は、後述のステップS80を経てステップS20の起動時定常運転たるアイドル駆動制御に推移するまで継続される。
ステップS40に続き、制御部90は、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域で凍結水分の解凍が完了したか否かを判定する(ステップS50)。この解凍判定は、燃料電池スタック20に装着した温度センサ22の検出した燃料電池温度に基づいて行われる。そして、燃料電池温度が、凍結水分の解凍が完了したと想定される規定の温度、本実施形態では30度以上の温度であれば、制御部90は、凍結水分は解凍したと判定する。制御部90は、ステップS50での解凍判定下においても、ステップS40における水素ポンプ55の停止制御下での凍結起動時ガス供給を継続する。この継続期間においても、発電運転に伴う反応熱の伝熱が起き、アノードガス排出流路61や循環流路56および気液分離器62や水素ポンプ55が昇温し、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域で凍結水分の解凍が進む。
本実施形態では、燃料電池温度が30度以上の温度となると、凍結水分の解凍が完了したと判定したが、これは次の理由による。燃料電池温度が、水分の凍結をもたらす0度を超えれば、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域において凍結水分の解凍が起き、凍結水分は液滴状の解凍水となる。その一方、燃料電池21にはアノードガスとカソードガスとが供給されているので(ステップS40)、燃料電池21からはアノードオフガスがアノードガス排出流路61を経て水素ポンプ55に送り出される。このアノードオフガスには水分が蒸気として含まれ得るが、その温度が30度未満であれば、アノードオフガスの飽和水蒸気圧特性から、アノードオフガス中の水分の結露は起きがたく、アノードオフガス中の水分は水蒸気のままである。このため、燃料電池温度が30度以上の温度となれば、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域で凍結水分の解凍完了に加え、アノードオフガス中の水蒸気の結露も起きている。よって、解凍水に加え結露水をも、後述のステップS50以降の処理により、アノードガス供給流路51に送り出さないようにできるからである。この点については、ステップS50以降の処理において詳述する。
ステップS50において水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域で凍結水分は解凍したと判定すると、この解凍判定後において、制御部90は、水素ポンプ55の逆送気制御と、気液分離器62における分離液水排出とを実行する(ステップS60)。水素ポンプ55の逆送気制御は、アノードオフガスを含む気液分離器62の分離気体を循環流路56を経てアノードガス供給流路51に還流送気する際とは逆方向に送気を行うよう水素ポンプ55を駆動する制御であり、これにより、水素ポンプ55は、逆回転する。気液分離器62における分離液水排出は、排出流路64における排出弁63の開弁制御によりなされ、これにより、気液分離器62から排出流路64には、分離液水のみならず、アノードオフガスを含む気液分離器62の分離気体も排出され、分離液体と分離気体とは、カソードガス排出流路41を経て外気放出されることになる。本実施形態では、ステップS60における水素ポンプ55の逆送気制御を予め規定した時間、例えば3〜5秒間に亘って継続し、その後に水素ポンプ55を停止するようにした。なお、水素ポンプ55の逆送気制御と気液分離器62における分離液水排出とは、同時並行的に実行してもよい他、水素ポンプ55の逆送気制御と気液分離器62における分離液水排出とを、この順に、若しくは逆の順序で、順次、実行してもよい。また、排出弁63の開弁制御を経た気液分離器62における分離液水排出は、ステップS40における水素ポンプ55の停止制御と同時に行っても良い。
水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域で凍結水分が解凍した解凍水は、ステップS60における水素ポンプ55の逆送気制御に伴うガス流により、気液分離器62の側に押し流される。また、アノードオフガス中の水蒸気が結露した結露水も、ステップS60における水素ポンプ55の逆送気制御に伴うガス流により、気液分離器62の側に押し流される。この際、解凍水と結露水は、ポンプ内壁や流路内壁に液滴として付着していると想定されることから、ポンプ内壁や流路内壁を伝わりながら、気液分離器62の側に押し流される。そして、ステップS60において、排出弁63は開弁制御されていることから、気液分離器62の側に押し流された解凍水と結露水は、水素ポンプ55の逆送気制御で気液分離器62の側に向けて送気されるガスと共に、排出流路64およびカソードガス排出流路41を経て外気放出される。なお、燃料電池スタック20から排出されるアノードオフガスにあっても、気液分離器62の側に向けて送気された後に、排出流路64およびカソードガス排出流路41を経て外気放出される。
ステップS60に続き、制御部90は、解凍水の外気放出が完了したか否かを判定する(ステップS70)。この放出完了の判定は、ステップS60にて規定時間(3〜5秒間)に亘り行った水素ポンプ55の逆送気制御の完了時点からの経過時間により下され、制御部90は、水素ポンプ55の逆送気制御の完了時点から10〜15秒の時間が経過すると、解凍水の外気放出が完了したと判定し、ステップS80に推移する。水素ポンプ55の逆送気制御が完了してから外気放出の完了判定を下す期間においても、解凍水と結露水は、自重により、ポンプ内壁や流路内壁を伝わりながら、気液分離器62の側に流れる。また、この期間においては、燃料電池スタック20から排出されたアノードオフガスが排出流路64に流れ込むことから、このアノードオフガスの流れの引き込みによっても、解凍水と結露水は、ポンプ内壁や流路内壁を伝わりながら、気液分離器62の側に流れる。
ステップS70において解凍水の外気放出は完了したと判定すると、制御部90は、水素ポンプ55の送気制御と、気液分離器62における分離液水の排出停止とを実行する(ステップS80)。水素ポンプ55の送気制御は、水素ポンプ55の定常制御であり、これにより、水素ポンプ55は、アノードオフガスを含む気液分離器62の分離気体を循環流路56を経てアノードガス供給流路51に還流送気する。気液分離器62における分離液水の排出停止は、排出流路64における排出弁63の閉弁制御によりなされ、これにより、気液分離器62は、流れ込んだアノードオフガスを気液分離して、ガス成分を循環流路56の側に送り込む。制御部90は、ステップS80による水素ポンプ55の送気制御と、気液分離器62における分離液水の排出停止とを実行した後、制御をステップS20の起動時定常運転に推移させる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム100では、パワースイッチ7がオン操作された起動時において、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域において水分の凍結があると、水素ポンプ55の停止制御下でアノードガスとカソードガスとを供給し(ステップS40)、燃料電池21をアイドル状態で発電運転させる。そして、この発電に伴う熱の伝達により水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域の凍結水分の解凍が起きると、水素ポンプ55の逆送気制御と排出弁63の開弁制御を経て(ステップS60)、解凍水を、気液分離器62とその下流の排出流路64およびカソードガス排出流路41を介して外気に放出する。この結果、本実施形態の燃料電池システム100によれば、パワースイッチ7がオン操作された起動運転時において、解凍水をアノードガス供給流路51を経て燃料電池21に流入させないようにできる。
本実施形態の燃料電池システム100は、解凍水の外気放出のための水素ポンプ55の所定時間(3〜5秒間)に亘る逆送気制御の後に解凍水の外気放出が完了すると、水素ポンプ55を送気制御すると共に、排出弁63の閉弁制御を経て気液分離器62における分離液水を非放出とする(ステップS80)。よって、凍結水分の外気放出後には、アノードオフガスを水素ポンプ55によりアノードガス供給流路51に支障なく還流送気できる。
本実施形態の燃料電池システム100では、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域での凍結水分の解凍は、燃料電池温度が30度以上の温度となると完了したと判定したので、アノードオフガスに含まれ得る蒸気をも結露させ、その結露水を解凍水と共に外気放出する。よって、本実施形態の燃料電池システム100によれば、パワースイッチ7がオン操作された起動運転時における燃料電池21への水分流入をより確実に実行できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本実施形態の燃料電池システム100では、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域におけるシステム起動時の凍結水分の解凍を、水素ポンプ55の停止制御下での燃料電池21のアイドル状態での発電に伴う熱伝達により起こしたが、これに限らない。例えば、水素ポンプ55の周辺にヒータを設けてその発熱により、或いは、水素ポンプ55に回転トルクが発生しないような通電により、システム起動時の凍結水分の解凍を図ってもよい。
本実施形態の燃料電池システム100では、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域での水分の凍結判定や凍結水分の解凍判定に、燃料電池スタック20に設けた燃料電池温度を用いたが、これに限らない。例えば、水素ポンプ55に温度センサを装着して水素ポンプ内温度を検出し、この水素ポンプ内温度により、水素ポンプ55の内部やポンプ周辺の流路域での水分の凍結判定や凍結水分の解凍判定を行っても良い。この他、水素ポンプ55に定常制御の際の駆動制御指令値を出力し、この指令値に対する水素ポンプ55での消費電力推移により、水素ポンプ55の内部での水分の凍結判定や凍結水分の解凍判定を行っても良い。水素ポンプ55の内部で水分凍結が起きていれば、駆動制御指令値に対する水素ポンプ55での消費電力は、水素ポンプ55の内部で水分凍結が起きていない場合の消費電力と相違し、当然に消費電力推移も相違する。よって、この消費電力推移から、水素ポンプ55の内部での水分の凍結の有無を判定できる。
本実施形態の燃料電池システム100では、アノードガス排出流路61に気液分離器62を設けて凍結水分の外気放出を行ったが、これに限らない。例えば、アノードガス排出流路61から分岐したパージ流路を設け、このパージ流路を排出弁63により開閉制御するようにしてもよい。
本実施形態の燃料電池システム100では、解凍水の外気放出のための水素ポンプ55の所定時間(3〜5秒間)に亘る逆送気制御の後に水素ポンプ55を停止し、その後の経過時間により解凍水の外気放出の完了を判定したが、これに限らない。例えば、解凍水の外気放出の完了判定を、水素ポンプ55の逆送気制御の開始時点からの経過時間により下すようにし、この経過時間、例えば13〜20秒の間において、水素ポンプ55を継続して逆送気制御してもよい。
7…パワースイッチ、8…バッテリー、20…燃料電池スタック、21…燃料電池、22…温度センサ、30…カソードガス供給系、31…カソードガス供給流路、32…エアフローメータ、33…コンプレッサ、34…インタークーラ、35…入口弁、36…バイパス流路、37…バイパス弁、40…カソードガス排出系、41…カソードガス排出流路、42…調圧弁、43…マフラ、50…アノードガス供給系、51…アノードガス供給流路、52…レギュレータ、53…リリーフ弁、54…インジェクタ、55…水素ポンプ、56…循環流路、57…水素タンク、58…開閉弁、59…圧力センサ、60…アノードガス排出系、61…アノードガス排出流路、62…気液分離器、63…排出弁、64…排出流路、70…電力系、71…負荷装置、72…インバータ、73…DC−DCコンバータ、74…バッテリー、75…電流センサ、80…冷却水循環系、81…冷却水排出流路、82…ラジエータ、83…冷却水ポンプ、84…冷却水供給流路、85…ラジエータファン、90…制御部、92…メモリ、94…判定部、100…燃料電池システム
Claims (1)
- 燃料電池システムであって、
燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給流路と、
前記燃料電池から燃料オフガスを排出する排出流路と、
前記排出流路から前記燃料ガス供給流路に至る循環流路に組み込まれ、前記燃料オフガスを前記燃料ガス供給流路に還流送気する水素ポンプと、
前記排出流路から分岐して排出流路内ガスの外気放出と非放出を切り替えるガス放出機構と、
前記水素ポンプを前記還流送気を行うよう定常制御する制御部と、
前記排出流路から前記水素ポンプに至るまでの流路域と前記水素ポンプの内部の少なくとも一方における水分の凍結判定と、凍結した水分の解凍判定とを行う判定部とを備え、
前記制御部は、前記判定部による凍結判定時に前記凍結した水分を解凍する手段を前記水素ポンプの停止制御下で起動し、前記判定部による解凍判定後には、前記ガス放出機構の前記外気放出への切り替えと、前記還流送気と逆方向の送気を行う前記水素ポンプの逆送気制御とを実行する、
燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018137460A JP2020017339A (ja) | 2018-07-23 | 2018-07-23 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018137460A JP2020017339A (ja) | 2018-07-23 | 2018-07-23 | 燃料電池システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020017339A true JP2020017339A (ja) | 2020-01-30 |
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Family Applications (1)
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JP2018137460A Pending JP2020017339A (ja) | 2018-07-23 | 2018-07-23 | 燃料電池システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020017339A (ja) |
-
2018
- 2018-07-23 JP JP2018137460A patent/JP2020017339A/ja active Pending
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