(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る水中探知装置1について、図面を参照しつつ説明する。
[水中探知装置の全体構成及びトロール漁具の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る水中探知装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態の水中探知装置1は、例えば、漁船などの船舶において使用され、より具体的には、トロール漁業のための船舶において使用される。図2は、トロール漁業を行う船舶Sの状態を模式的に示す図である。水中探知装置1は、トロール漁業のための船舶Sにおいて使用される。
図2に示すように、トロール漁業においては、船舶Sによって曳航されるトロール漁具100が用いられる。トロール漁具100は、トロールドアとも称されるオッターボード101と、魚群を捕獲するための網102と、を含んで構成されている。船舶Sが曳航するトロール漁具100と船舶Sとの間は、ワープ103で接続されている。
トロール漁具100のオッターボード101は、網102の網口102aを展開させるために用いられる。尚、図2においては、トロール漁具100として、オッターボード101が一対で設けられた形態を例示しているが、この通りでなくてもよい。トロール漁具は、3つ以上のオッターボードが設けられた形態であってもよい。例えば、トロール漁具は、3つのオッターボードによって2つの網の網口を展開させる形態であってもよい。
一対のオッターボード101のそれぞれは、ワープ103にて船舶Sと接続されている。ワープ103は、船舶Sの船尾に設けられたトップローラ(図示省略)を介して、繰り出され、或いは巻き取られる。トロール漁具100と船舶Sとの間においてトロール漁具100と船舶Sとに接続されたワープ103の長さであるワープ長は、ワープ103がトップローラから繰り出されることで長くなり、トップローラを介して巻き取られることで、短くなる。尚、トロール漁具100と船舶Sとの間に接続されたワープ103の長さであるワープ長は、オッターボード101と船舶Sの船尾に設けられたトップローラとの間のワープ103の部分の長さとして構成され、例えば、トップローラの回転数に基づいて計測される。
オッターボード101と網102とは、ワイヤ104で接続されている。網102の網口102aには、複数のフロート105が設けられている。尚、トロール漁具100は、オッターボード101と網102とを含んで構成されていればよいが、オッターボード101及び網102に加え、ワイヤ104及びフロート105を含んで構成されていてもよい。
トロール漁業のための船舶Sにおいて使用される第1実施形態の水中探知装置1は、図1に示すように、スキャニングソナー10と、信号処理機4とを備えている。水中探知装置1は、一般的に知られているスキャニングソナー10に、例えば、信号処理機4が外付けされた構成となっている。尚、水中探知装置1は、信号処理機4がスキャニングソナー10に対して外付けではなくスキャニングソナー10に搭載された構成であってもよい。また、水中探知装置1には、ディスプレイ等の表示装置として構成される表示部5が外付けされている。表示部5は、信号処理機4に接続されている。
スキャニングソナー10は、送受波器2と、送受信機3とを備えている。
[送受波器の構成]
送受波器2は、超音波を送受信する機能を有し、船舶Sの船底に取り付けられている。例えば一例として、送受波器2は、略球形の形状に形成されている。
詳細には、送受波器2は、略球形形状の筐体と、この筐体の外周面に取り付けられた複数の送受波素子としての超音波振動子(図示省略)とを有している。超音波振動子は、超音波を水中の送信空間に送信波として送信するとともに、水中のターゲットでの送信波の反射を含む反射波としての受信波を受信し、この受信波を電気信号に変換することで受信した受信波から受信信号を生成して送受信機3へ出力する。即ち、送受波器2は、水中に送信波を送信する送信トランスデューサとして構成されているとともに、水中のターゲットでの送信波の反射を含む受信波を受信し、受信した受信波から受信信号を生成する受信トランスデューサとして構成されている。送受波器2から送信された送信波が反射する水中のターゲットとしては、魚群、トロール漁具100、等がある。
なお、本実施形態においては、送受波器2として、筐体が球形の場合を例示したが、形状は特に限定されるものではなく、例えば、略円筒形状等のように他の形状であってもよい。送受波器2の筐体が略円筒形状である場合は、送受波器2は、その軸方向が鉛直方向に沿い、半径方向が水平方向に沿うように配置される。
図3は、送受波器2によって送信波が送信される送信空間TS及び送受波器2によって受信波が受信される複数の受信空間RSを模式的に示す図である。船舶Sに搭載された送受波器2から送信される送信波は、送受波器2から船舶Sを中心とする水中の全方位へ向けて一斉に送信され、例えば、半球状の送信ビームが形成される。半球状の送信ビームが形成された場合は、送信波が送信される送信空間TSは、半球状の空間として構成される。尚、送信ビームの形状は、半球状に限らず、送受波器2の形状、或いは、送受波器2の各送受波素子に入力する電気信号の振幅及び位相によって、種々の異なる形状に形成される。
また、送受波器2は、送信ビーム送信後、送信空間TS内において、周方向に(図3にて矢印で示す方位角θの方向に)スキャンする複数の受信ビームを一斉に形成する。即ち、送受波器2による一度の受信タイミングで、全ての受信ビームが形成される。そして、水中の魚群或いはトロール漁具100等のターゲットで反射した受信波が、送信空間TSの周方向に沿って(即ち、方位角θの方向に沿って)並んで配置された複数の受信空間RSのそれぞれ(即ち、受信ビームが形成される各空間)において受信される。
[送受信機の構成]
送受信機3は、送受切替部3aと、送信回路部6と、受信回路部7とを備えている。
送受切替部3aは、送受波器2に対する信号の送信と受信とを切り替えるためのものである。具体的には、送受切替部3aは、送受波器2を駆動させるための駆動信号を送受波器2へ送信するときは、送信回路部6が出力する駆動信号を送受波器2へ出力する。一方、送受切替部3aは、受信信号を送受波器2から受信したときは、送受波器2から受信した受信信号を受信回路部7へ出力する。
送信回路部6は、送受波器2から送信される送信波の基となる駆動信号を生成する。より具体的には、送信回路部6は、各超音波振動子に対応して設けられている送信回路(図示省略)を有し、各送信回路が駆動信号を生成する。
受信回路部7は、アナログ部7aと、A/D変換部7bと、を有している。アナログ部7a及びA/D変換部7bは、各超音波振動子に対応して設けられている受信回路であって、受信した受信波から生成された受信信号を処理する受信回路(図示省略)を備えて構成されている。そして、アナログ部7aは、送受波器2が受信波から生成して出力する電気信号としての受信信号を増幅するとともに、その帯域を制限することで不要な周波数成分を除去する。A/D変換部7bは、アナログ部7aで増幅された受信信号を、デジタル信号としての受信信号に変換する。そして、受信回路部7は、A/D変換部7bにてデジタル信号に変換した受信信号を信号処理機4へ出力する。
[表示部の構成]
表示部5は、ディスプレイ等の表示装置として構成されている。そして、表示部5は、信号処理機4から出力された映像信号に応じた映像を表示画面に表示する。表示部5は、例えば、船舶Sの下方における海中の状態を3次元的に、俯瞰図として表示する。これにより、水中探知装置1のユーザは、当該表示画面を見て、船舶Sの下方における海中の状態(例えば、魚群、トロール漁具100、海底の起伏、人工漁礁のような構造物の有無および位置)を推測することができる。
[信号処理機の全体構成]
図4は、信号処理機4の構成を示すブロック図である。図1及び図4を参照して、信号処理機4は、受信回路部7から出力される受信信号を処理し、ターゲットのエコー信号を生成するとともに、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する処理等を行う。
信号処理機4は、ビーム形成部9、データ取得部10、ドップラーシフト算出部11、第1信号処理部12、第2信号処理部13、映像信号生成部14、等を備えている。
信号処理機4は、スキャニングソナー10の送受信機3とケーブル等により接続された機器であって、例えば一例としてPC(パーソナルコンピュータ)で構成されている。そして、信号処理機4は、ハードウェア・プロセッサ8(例えば、CPU、FPGA等)及び不揮発性メモリ等のデバイスで構成されている。ハードウェア・プロセッサ8は、以下で詳しく説明するビーム形成部9、データ取得部10、ドップラーシフト算出部11、第1信号処理部12、第2信号処理部13、及び映像信号生成部14として機能する。例えば、CPUが不揮発性メモリからプログラムを読み出して実行することにより、ハードウェア・プロセッサ8が、ビーム形成部9、データ取得部10、ドップラーシフト算出部11、第1信号処理部12、第2信号処理部13、及び映像信号生成部14として機能する。
[ビーム形成部の構成]
ビーム形成部9は、受信回路部7から受信した受信信号に基づいて複数の受信空間RSのそれぞれについてビームフォーミング処理(具体的には、整相加算)を行うとともにフィルタ処理を行うように構成されている。尚、ビーム形成部9は、ビームフォーミング処理においては、特定の方向に鋭い指向性を有する単一の超音波振動子によって得られるものと等価な信号である受信ビーム信号を生成する。そして、ビーム形成部9は、ビームフォーミング処理を行う対象となる超音波振動子の組合せを変えながらこの処理を繰り返し行うことによって、各受信空間RSに対応する各方位に指向性を有する多数の受信ビーム信号を生成する。更に、ビーム形成部9は、各受信空間RSに対応して形成した各受信ビームに、帯域制限フィルタ、或いはパルス圧縮フィルタ等のフィルタ処理を施す。これらの処理により、ビーム形成部9は、ビームフォーミング処理及びフィルタ処理を施した受信信号を生成する。
[データ取得部の構成]
データ取得部10は、船舶Sの船首方向のデータ、船舶Sの船速のデータ、船舶Sが曳航するトロール漁具100と船舶Sとの間に接続されたワープ103のワープ長のデータを取得するように構成されている。
船舶Sには、船舶Sの船首方向を絶対方位として検出するジャイロコンパス(図示省略)又はサテライトコンパス(図示省略)が搭載されている。尚、サテライトコンパスは、例えば、船舶Sにおいて船首方向と平行な直線上に沿って取り付けられた2つのGPSアンテナを有し、測位衛星から送信された電波を2つのGPSアンテナにて受信し、受信した電波信号のキャリア位相に基づいて2つのGPSアンテナ間の相対位置を測位し、船舶Sの船首方向を絶対方位として検出するように構成されている。船舶Sに搭載されたジャイロコンパス又はサテライトコンパスは、信号処理機4に接続されており、ジャイロコンパス又はサテライトコンパスで検出された船舶Sの船首方向のデータを信号処理機4に出力するように構成されている。
また、船舶Sには、船舶Sの船速を計測する船速計(図示省略)が搭載されている。船速計は、例えば、船底に取り付けられ、海底に向けて複数軸方向に超音波を送信し、その反射波に含まれるドップラ周波数を測定することで船速を計測するドップラーソナーとして構成される。船舶Sに搭載された船速計は、信号処理機4に接続されており、船速計で検出された船舶Sの船速のデータを信号処理機4に出力するように構成されている。尚、船舶Sにおいて、独立した機器としての船速計が設けられておらず、送受波器2によって船速が計測されてもよい。
船舶Sが曳航するトロール漁具100と船舶Sとの間に接続されたワープ103のワープ長を計測するワープ長計測器(図示省略)は、例えば、船舶Sの船尾に設けられてワープ103の繰り出し及び巻き取り動作時に回転するトップローラの回転数を検出するエンコーダを備えて構成される。ワープ長計測器は、エンコーダで検出したトップローラの回転数に基づいて、ワープ長を計測する。そして、ワープ長計測器は、信号処理機4に接続されており、ワープ長計測器で計測されたワープ103のワープ長のデータを信号処理機4に出力するように構成されている。
尚、本実施形態では、船舶Sの船速のデータ及びワープ103のワープ長のデータの両方を取得するように構成されたデータ取得部10の形態を例示したが、この通りでなくてもよい。例えば、データ取得部10は、船舶Sの船速のデータ及びワープ103のワープ長のデータの少なくとも一方を取得するように構成されていてもよい。
[ドップラーシフト算出部の構成]
送受波器2で受信波が受信された際、船舶Sの船速と受信波の到来方向とに応じて、受信波の周波数においては、送受波器2から送信した送信波の周波数に対してシフトするドップラーシフトが生じる。ドップラーシフト算出部11は、受信波の周波数が送信波の周波数に対してシフトすることで生じる周波数シフト量を算出する。
ドップラーシフト算出部11は、データ取得部10で取得された船首方向のデータ及び船速のデータと、ビーム形成部9で生成されてビームフォーミング処理及びフィルタ処理が施された受信信号とに基づいて、各受信空間RSごとに、周波数シフト量を算出する。より具体的には、ドップラーシフト算出部11は、周波数シフト量Δfを、船舶Sの船速vと、音速cと、送信波の周波数f0と、周波数シフト量Δfが算出される受信波の到来方位角θdとを用いて、次の(1)式にて算出する。
Δf=2×(v/c)×f0×cosθd・・・(1)
尚、周波数シフト量Δfが算出される受信波の到来方位角θdは、周波数シフト量Δfが算出される対象の受信空間RSの方位方向が、船舶Sの船首方向に対してなす角度として求められる。
[第1信号処理部及び第2信号処理部の構成]
第1信号処理部12は、ドップラーシフト算出部11で算出された周波数シフト量に基づいて、ビーム形成部9でビームフォーミング処理等が施された受信信号から、ターゲットのエコー信号としての第1エコー信号を取得するように構成されている。そして、第1信号処理部12は、上記の第1エコー信号を、所定の第1方向範囲R1内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号から取得するように構成されている。即ち、第1信号処理部12は、ドップラーシフト算出部11で算出された周波数シフト量に基づいて、所定の第1方向範囲R1内から到来した受信波に対応する受信信号を補正して、所定の第1方向範囲R1内に存在するターゲットのエコー信号としての第1エコー信号を取得する。また、第1信号処理部12は、ビーム形成部9でビームフォーミング処理等が施された受信信号を、周波数シフト量に基づいて調整された周波数を有するローカル信号とミキシングすることで、第1エコー信号を取得する。或いは、第1信号処理部12は、周波数シフト量に基づいて周波数特性が調整されたフィルタによって、ビーム形成部9でビームフォーミング処理等が施された受信信号に対してフィルタ処理を行うことで、第1エコー信号を取得する。
第2信号処理部13は、ドップラーシフト算出部11で算出された周波数シフト量とは独立して、ビーム形成部9でビームフォーミング処理等が施された受信信号から、ターゲットのエコー信号としての第2エコー信号を取得するように構成されている。そして、第2信号処理部13は、上記の第2エコー信号を、上記の第1方向範囲R1とは異なる所定の第2方向範囲R2内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号から取得するように構成されている。即ち、第2信号処理部13は、ドップラーシフト算出部11で算出された周波数シフト量に基づくことなくその周波数シフト量とは無関係に、所定の第2方向範囲R2内から到来した受信波に対応する受信信号から、第2方向範囲R2内に存在するターゲットのエコー信号としての第2エコー信号を取得する。また、第2信号処理部13は、ビーム形成部9でビームフォーミング処理等が施された受信信号を、送信波の周波数に基づいて設定された固定周波数を有するローカル信号とミキシングすることで、第2エコー信号を取得する。或いは、第2信号処理部13は、送信波の周波数に基づいて周波数特性が調整されたフィルタによって、ビーム形成部9でビームフォーミング処理等が施された受信信号に対してフィルタ処理を行うことで、第2エコー信号を取得する。
図5は、信号処理機4における第1信号処理部12及び第2信号処理部13の処理を説明するための図である。また、図5は、船舶S及びその周囲を模式的に示す平面図であって、第1信号処理部12及び第2信号処理部13の処理において設定される第1方向範囲R1及び第2方向範囲R2を模試的に示している。また、図5は、送信空間TSに対応する探知領域DRも模式的に示している。
図5に示すように、第1信号処理部12においては、第1エコー信号が取得される第1方向範囲R1は、船舶Sの船首方向HDを含む方向範囲として設定される。また、第1方向範囲R1は、例えば、船首方向HDを中心とした方向範囲として設定される。より具体的には、例えば、第1方向範囲R1は、船首方向HDを中心とした±100°〜170°の方向範囲に設定される。尚、第1方向範囲R1の角度範囲は、第2方向範囲R2の角度範囲よりも広い角度範囲として設定される。
そして、第1信号処理部12は、船首方向HDを中心として設定した第1方向範囲R1内において形成された複数の受信ビームのそれぞれにおいて生成された受信信号から、第1エコー信号を取得する。これにより、第1信号処理部12は、第1方向範囲R1内から到来した受信波に対応する受信信号から、第1方向範囲R1内に存在するターゲットのエコー信号としての第1エコー信号を取得する。また、第1信号処理部12は、前述のように、ドップラーシフト算出部11で算出された周波数シフト量に基づいて、第1方向範囲R1内から到来した受信波に対応する受信信号を補正し、第1エコー信号を取得する。このため、第1方向範囲R1内において対地速度がゼロである魚群のターゲットが存在しているときは、第1信号処理部12において、魚群のターゲットが探知されて魚群のターゲットのエコー信号としての第1エコー信号が取得される。
また、図5に示すように、第2信号処理部13においては、第2エコー信号が取得される第2方向範囲R2は、船舶Sの船尾方向TDを含む方向範囲として設定される。また、第2方向範囲R2は、例えば、船尾方向TDを中心とした方向範囲として設定される。より具体的には、例えば、第2方向範囲R2は、船尾方向TDを中心とした±10°〜80°の方向範囲に設定される。尚、本実施形態では、第2方向範囲R2は、第1方向範囲R1に対して、方位角θ方向において隣接するように設定されている。即ち、本実施形態では、第1方向範囲R1の方位角θ方向における両側の境界線と、第2方向範囲R2の方位角θ方向における両側の境界線とが、一致している。例えば、第1方向範囲R1が、船首方向HDを中心とした±140°の方向範囲に設定され、第2方向範囲R2が、船尾方向TDを中心とした±40°の方向範囲に設定される。
第2信号処理部13は、船尾方向TDを中心として設定した第2方向範囲R2内において形成された複数の受信ビームのそれぞれにおいて生成された受信信号から、第2エコー信号を取得する。これにより、第2信号処理部13は、第2方向範囲R2内から到来した受信波に対応する受信信号から、第2方向範囲R2内に存在するターゲットのエコー信号としての第2エコー信号を取得する。また、第2信号処理部13は、前述のように、ドップラーシフト算出部11で算出された周波数シフト量とは独立して無関係に、第2方向範囲R2内から到来した受信波に対応する受信信号から第2エコー信号を取得する。また、船舶Sの船尾方向TD側の方向範囲である第2方向範囲R2内においては、船舶Sの船速と略同速度で移動するトロール漁具100としてのターゲットが存在している。このため、第2信号処理部13においては、第2方向範囲R2内に存在するトロール漁具100のターゲットが探知されてトロール漁具100のターゲットのエコー信号としての第2エコー信号が取得される。
また、第2信号処理部13は、送信波の周波数に基づいて周波数特性が調整されたフィルタによって受信信号に対してフィルタ処理を行うことで、第2エコー信号を取得する場合は、受信信号の周波数帯域を制限することで第2エコー信号を取得する。このとき、第2信号処理部13は、例えば、データ取得部10にて取得された船舶Sの船速のデータ及びワープ103のワープ長のデータの少なくとも一方に基づいて周波数帯域を調整するように構成されている。
より具体的には、第2信号処理部13は、船舶Sの船速のデータに基づいて周波数帯域を調整する場合は、船舶Sの船速が所定の速さ以上である第1の状態のときに、船舶Sの船速が所定の速さ未満である第2の状態のときよりも、周波数帯域を狭くするように調整する。このため、第2の状態よりも船舶Sの船速が速い第1の状態のときに、周波数帯域が第2の状態よりも狭くなる。また、第2信号処理部13は、ワープ103のワープ長のデータに基づいて周波数帯域を調整する場合は、ワープ103のワープ長が所定の長さ未満である第3の状態のときに、ワープ103のワープ長が所定の長さ以上である第4の状態のときよりも、周波数帯域を狭くするように調整する。このため、第4の状態よりもワープ長が短い第3の状態のときに、周波数帯域が第4の状態よりも狭くなる。
船舶Sの船速が速くなる場合、及び、ワープ103のワープ長が短くなる場合は、第2方向範囲R2内に存在するトロール漁具100としてのターゲットで反射した受信波に対応する受信信号の周波数変動が小さくなる。一方、船舶Sの船速が遅くなる場合、及び、ワープ103のワープ長が長くなる場合は、トロール漁具100としてのターゲットで反射した受信波に対応する受信信号の周波数変動が大きくなる。このため、船舶Sの船速が所定の速さ以上の場合、及び、ワープ103のワープ長が所定の長さ未満の場合に、周波数帯域を狭くすることで、トロール漁具100のターゲットに対応する受信信号の周波数変動が小さいときに、コントラストを向上させたトロール漁具100のエコーを表示部5に表示させるための第2エコー信号を取得することができる。一方、船舶Sの船速が所定の速さ未満の場合、及び、ワープ103のワープ長が所定の長さ以上の場合に、周波数帯域を狭くすることなく広くしていることで、トロール漁具100のターゲットに対応する受信信号の周波数変動が大きいときに、トロール漁具100としてのターゲットの探知漏れを低減することができる。尚、本実施形態では、第2信号処理部13が、船舶Sの船速のデータ及びワープ103のワープ長のデータの少なくとも一方に基づいて周波数帯域を調整する処理を行う形態を例示したが、この処理が行われない形態が実施されてもよい。
また、第2信号処理部13は、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、船首方向HDの変化に基づいて第2方向範囲R2を特定するパラメータを変更することで、第2方向範囲R2を変更する。第2方向範囲R2を特定するパラメータであって船首方向HDの変化時に変更するパラメータとしては、種々のパラメータを選択でき、例えば、第2方向範囲R2を等角度範囲に二等分する中心線の向きのパラメータ、又は、第2方向範囲R2の角度範囲の大きさのパラメータを選択することができる。本実施形態の第2信号処理部13は、船首方向HDの変化時に、例えば、第2方向範囲R2を等角度範囲に二等分する中心線の向きのパラメータを変更するように構成されている。
図6、図7及び図8は、第2信号処理部13の処理を説明するための図である。図6、図7及び図8は、第1方向範囲R1及び第2方向範囲R2を、送信空間TSに対応する探知領域DRとともに、模式的に示している。また、図6は、船舶Sの船首方向HDが変化していない状態における第1方向範囲R1及び第2方向範囲R2を例示しており、図7及び図8は、船舶Sの船首方向HDが変化している状態における第1方向範囲R1及び第2方向範囲R2を例示している。尚、図6、図7及び図8では、船舶Sの船首方向HDの変化の状態を示すため、船舶Sの航跡WAも模式的に図示している。
第2信号処理部13は、船舶Sの船首方向HDが変化していないときには、図6に示すように、第2方向範囲R2を等角度範囲に二等分する中心線の向きを変更しないように構成されている。尚、船舶Sの船首方向HDが変化していないときは、第2方向範囲R2を等角度範囲に二等分する中心線の向きは、船舶Sの船尾方向と平行な方向となる。
一方、第2信号処理部13は、船舶Sの船首方向HDが変化しているときには、図7及び図8に示すように、第2方向範囲R2を等角度範囲に二等分する中心線CLの向きを船首方向HDの変化に基づいて変えることで、第2方向範囲R2を変更するように構成されている。尚、図7及び図8では、船首方向HDの変化時の第2方向範囲R2を実線の両端矢印R2で示すとともに、船首方向HDの変化時の第2方向範囲R2の両側の境界線を破線で示している。また、図7及び図8では、船首方向HDが変化していない状態である船首方向HDの変化前の第2方向範囲R2を二点鎖線の両端矢印R20で示すとともに、船首方向HDの変化前の第2方向範囲R2の両側の境界線を二点鎖線で示し、更に、船首方向HDの変化前の第2方向範囲R2の中心線を一点鎖線CL0で示している。図7及び図8に示すように、第2信号処理部13は、船首方向HDの変化時には、第2方向範囲R2の中心線CLの向きを船首方向HDの変化に基づいて変えることで、第2方向範囲R2を変更する。
また、第2信号処理部13は、図7に示すように、船舶Sの船首方向HDが時計回りに変化しているときに、第2方向範囲R2の中心線CLの向きを反時計回りに変化させることで、第2方向範囲R2を変更するように構成されている。更に、第2信号処理部13は、図8に示すように、船舶Sの船首方向HDが反時計回りに変化しているときに、第2方向範囲R2の中心線CLの向きを時計回りに変化させることで、第2方向範囲R2を変更するように構成されている。尚、第2信号処理部13が、船舶Sの船首方向HDの変化時に第2方向範囲R2を変更する際には、第1信号処理部12は、変更された第2方向範囲R2に応じて、第1方向範囲R1が第2方向範囲R2に対して方位角θ方向において常時隣接した状態となるように、第1方向範囲R1を変更する。
第2信号処理部13は、上記のように、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、船首方向HDの変化に基づいて第2方向範囲R2を特定するパラメータを変更することで、第2方向範囲R2を変更する。これにより、船舶Sの船首方向HDの変化時に船舶Sに対する相対位置が変化するトロール漁具100が第2方向範囲R2に存在するように、第2方向範囲R2を変更することができる。
尚、第2信号処理部13は、船舶Sの船首方向HDの変化が終了すると、第2方向範囲R2の中心線CLの向きを船尾方向TDと平行になるように、第2方向範囲R2を変更する(図6を参照)。即ち、第2信号処理部13は、船首方向HDが変化していない状態に戻ると、第2方向範囲R2の中心線CLの向きを船尾方向TDと平行な方向に戻すように、第2方向範囲R2を変更する。
[映像信号生成部の構成]
映像信号生成部14は、第1信号処理部12及び第2信号処理部13で生成された第1エコー信号及び第2エコー信号に基づいて、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する。また、映像信号生成部14は、例えば、等値面処理(即ち、サーフェスレンダリング処理)或いはボリュームレンダリング処理を行うことにより、第1エコー信号及び第2エコー信号にそれぞれ対応するターゲットを3次元領域映像で表示するためのエコー映像信号を生成する。尚、3次元領域映像は、3次元領域内のターゲットの分布を表現する映像である。映像信号生成部14で生成されたエコー映像信号は、表示部5へ出力され、表示部5の表示画面にターゲットのエコーが表示される。図9は、表示部5の表示画面に表示される映像の一例を模式的に示す図である。尚、図9では、映像信号生成部14で生成されたエコー映像信号に基づいて表示部5の表示画面に表示された3次元領域映像IM1が例示されている。
図9に例示するように、表示部5で表示される3次元領域映像IM1においては、送信空間TSに対応する水中の探知領域DR内で探知されたターゲットのエコー(E1、E2、E3、E4、E5、E6)が表示される。尚、表示部5において表示される3次元領域映像IM1は、表示部5における2次元の表示画面において、投影された状態で表示される。また、3次元領域映像IM1の表示においては、水面上における船舶Sから等距離の位置を示す等距離線HL1、HL2、及び水中の深さ方向における同じ深さ位置を示す等深度線VL1、VL2の表示も含まれている。尚、図9では、3次元領域映像IM1において探知領域DRを示す線も表示された形態を例示しているが、探知領域DRを示す線については、表示されていなくてもよい。
映像信号生成部14は、第1信号処理部12で生成された第1エコー信号に基づいて、ターゲットのエコー(E1、E2、E3)を表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する。エコー(E1、E2、E3)は、第1方向範囲R1内に存在して対地速度がゼロである魚群としてのターゲットのエコー信号である第1エコー信号から生成されたエコー映像信号に基づいて表示される。このため、エコー(E1、E2、E3)は、魚群としてのターゲットのエコーを表示している。
また、映像信号生成部14は、第2信号処理部13で生成された第2エコー信号に基づいて、ターゲットのエコー(E4、E5、E6)を表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する。エコー(E4、E5、E6)は、第2方向範囲R2内に存在して船舶Sと略同速度で移動するトロール漁具100としてのターゲットのエコー信号である第2エコー信号から生成されたエコー映像信号に基づいて表示される。このため、エコー(E4、E5、E6)は、トロール漁具100としてのターゲットのエコーを表示している。尚、図9では、トロール漁具100のエコー(E4、E5、E6)として、オッターボード101のターゲットのエコー(E4、E5)と、網102の網口102a近傍におけるワイヤ104及びフロート105のエコーE6とが、表示部5に表示された形態が例示されている。
尚、図9にて例示する3次元領域映像IM1においては、信号強度レベルが高いエコー信号に対応するエリアが高密度のドットハッチングが付されたエリアで示され、信号強度レベルが中程度のエコー信号に対応するエリアが斜線のハッチングが付されたエリアで示され、信号強度レベルが低いエコー信号に対応するエリアが低密度のドットハッチングが付されたエリアで示されている。映像信号生成部14にて生成されるエコー映像信号には、表示部5に表示される際の表示色の情報が含まれている。そして、表示部5では、高密度のドットハッチングが付されたエリアである高エコー強度エリア、斜線のハッチングが付されたエリアである中エコー強度エリア、及び低密度のドットハッチングが付されたエリアである低エコー強度エリアのそれぞれは、エコー映像信号に含まれる表示色の情報に基づく色で表示される。例えば、表示部5では、高エコー強度エリアは赤色で示され、中エコー強度エリアは緑色で示され、低エコー強度エリアは青色で示される。
[水中探知装置の動作]
図10は、水中探知装置1の動作を説明するためのフローチャートであり、水中探知装置1の動作の一例を例示したフローチャートである。図10は、送受波器2から水中に送信波が送信されて、その送信波の反射を含む受信波が送受波器2で受信され、更に、水中探知装置1による前述の処理が行われ、表示部5にターゲットのエコーの映像が表示されるまでの動作を示している。表示部5にターゲットのエコーの映像が表示された後、送受波器2から水中に送信波が送信されると、再び、図10のフローチャートに示す動作が行われる。尚、図10に示すように、水中探知装置1の動作が行われることで、本実施形態の水中探知方法が実施される。
水中探知装置1の動作においては、まず、送受波器2から水中の送信空間TSに送信波が送信される。水中の送信空間TSに送信された送信波は、水中のターゲットで反射し、送受波器2にて受信される。送受波器2は、水中のターゲットでの送信波の反射を含む受信波を受信し、受信した受信波から受信信号を生成する(ステップS101)。送受波器2は、受信信号を生成すると、その生成した受信信号を送受信機3へ出力する。送受信機3では、受信回路部7にて、受信した受信信号を増幅して不要な周波数成分を除去するとともにデジタル信号に変換して信号処理機4へ出力する。
信号処理機4は、送受信機3から受信信号が入力されると、ビーム形成部9において、ビームフォーミング処理を行う(S102)。即ち、ビーム形成部9は、受信信号に基づいて複数の受信空間RSのそれぞれについてビームフォーミング処理を行うことにより、各受信空間RSに対応する各方位に指向性を有する多数の受信ビーム信号を生成する。ビーム形成部9でのビームフォーミング処理が終了すると、次いで、ドップラーシフト算出部11にて、受信波の周波数が送信波の周波数に対してシフトすることで生じる周波数シフト量を受信波の到来方位角に応じて算出する処理が行われる(ステップS103)。
周波数シフト量が算出されると、次いで、第1信号処理部12において、周波数シフト量に基づいて受信信号から第1エコー信号が取得される(ステップS104)。このとき、第1信号処理部12は、第1エコー信号を、所定の第1方向範囲R1からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号から取得する。そして、第2信号処理部13において、周波数シフト量とは独立して受信信号から第2エコー信号が取得される(ステップS105)。このとき、第2信号処理部13は、第2エコー信号を、第1方向範囲R1とは異なる所定の第2方向範囲R2内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号から取得する。
第1信号処理部12及び第2信号処理部13での第1エコー信号及び第2エコー信号の取得が行われると、次いで、映像信号生成部14において、第1エコー信号及び第2エコー信号に基づいて、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号が生成される(ステップS106)。そして、映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号が、表示部5に出力される(ステップS107)。表示部5では、入力されたエコー映像信号に基づいて、図9に例示するように、ターゲットのエコーの映像を表示する。これにより、表示部5においては、第1方向範囲R1内にて探知された魚群としてのターゲットのエコー(E1、E2、E3)と、第2方向範囲R2内にて探知されたトロール漁具100としてのターゲットのエコー(E4、E5、E6)とが、表示される。表示部5にターゲットのエコーが表示されると、水中探知装置1の図10に示す動作が一旦終了する。水中探知装置1の図10に示す動作が一旦終了すると、送受波器2から水中の送信空間TSに送信波が送信され、再び、図10に示す動作が開始される。
[効果]
本実施形態によると、周波数シフト量に基づいて、第1方向範囲R1内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号から第1エコー信号が取得される。このため、第1方向範囲R1内において対地速度がゼロである魚群のターゲットが存在しているときは、魚群のターゲットが探知されて魚群のターゲットのエコー信号としての第1エコー信号が取得される。さらに、本実施形態によると、周波数シフト量とは独立して、第1方向範囲R1とは異なる第2方向範囲R2内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号から第2エコー信号が取得される。このため、第2方向範囲R2内に存在するトロール漁具100のターゲットが探知されてトロール漁具100のターゲットのエコー信号としての第2エコー信号が取得される。そして、本実施形態によると、魚群のエコーに対応する第1エコー信号及びトロール漁具100に対応する第2エコー信号に基づいて、魚群及びトロール漁具100のターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号が生成され、そのエコー映像信号に基づいて、表示部5にて、魚群及びトロール漁具100のエコーが表示される。
従って、本実施形態によると、魚群及びトロール漁具の両方を探知して、それらのエコーを表示させることが可能な水中探知装置及び水中探知方法を提供することができる。
また、本実施形態によると、第1方向範囲R1は、船舶Sの船首方向を含み、第2方向範囲R2は、船舶Sの船尾方向を含んでいる。このため、トロール漁業を行う船舶Sが進行する方向に存在している魚群をより確実に探知でき、更に、船舶Sの船尾方向側に存在しているトロール漁具100をより確実に探知できる。
また、本実施形態によると、第2信号処理部13は、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、船首方向HDの変化に基づいて第2方向範囲R2を特定するパラメータを変更することで、第2方向範囲R2を変更する。これにより、船舶Sの船首方向HDの変化時に船舶Sに対する相対位置が変化するトロール漁具100が第2方向範囲R2に存在するように、第2方向範囲R2を変更することができる。
また、本実施形態によると、第2信号処理部13は、船首方向HDが変化しているときに、第2方向範囲R2を等角度範囲に二等分する中心線の向きを船首方向HDの変化に基づいて変えることで、第2方向範囲R2を変更する。このため、船首方向HDの変化時に、第2方向範囲R2の中心線の向きをトロール漁具100が存在している可能性が高い領域に容易に向けることができる。これにより、トロール漁具100が第2方向範囲R2により安定して存在するように第2方向範囲R2を変更することができる。
また、本実施形態によると、第2信号処理部13は、船首方向HDの時計回り方向の変化時に、第2方向範囲R2の中心線の向きを反時計回りに変化させ、船首方向HDの反時計回り方向の変化時に、第2方向範囲R2の中心線の向きを時計回りに変化させて、第2方向範囲R2を変更する。このため、船首方向HDの変化時に、船首方向HDの変化方向に応じて、第2方向範囲R2の中心線の向きをトロール漁具100が存在している可能性が高い領域に容易に向けることができる。これにより、トロール漁具100が第2方向範囲R2により安定して存在するように第2方向範囲R2を変更することができる。
また、本実施形態によると、第1方向範囲R1の角度範囲が、第2方向範囲R2の角度範囲よりも広く設定される。このため、トロール漁具100が存在する領域に応じて第2方向範囲を設定するとともに、魚群をより広い領域で探知できるように第1方向範囲R1を設定することができる。
また、本実施形態によると、第2信号処理部13は、船舶Sの船速のデータ及びワープ103のワープ長のデータに基づいて、受信信号の周波数帯域を調整する。そして、第2信号処理部13は、船舶Sの船速が所定の速さ以上である第1の状態のときに、船舶Sの船速が所定の速さ未満である第2の状態のときよりも、周波数帯域を狭くするように調整する。即ち、第2の状態よりも船舶Sの船速が速い第1の状態のときに、周波数帯域が第2の状態よりも狭い。更に、第2信号処理部13は、ワープ103のワープ長が所定の長さ未満である第3の状態のときに、ワープ103のワープ長が所定の長さ以上である第4の状態のときよりも、周波数帯域を狭くするように調整する。即ち、第4の状態よりもワープ長が短い第3の状態のときに、周波数帯域が第4の状態よりも狭い。このため、船舶Sの船速が所定の速さ以上の場合、及び、ワープ103のワープ長が所定の長さ未満の場合に、周波数帯域を狭くすることで、トロール漁具100のターゲットに対応する受信信号の周波数変動が小さいときに、コントラストを向上させたトロール漁具100のエコーを表示部5に表示させるための第2エコー信号を取得することができる。一方、船舶Sの船速が所定の速さ未満の場合、及び、ワープ103のワープ長が所定の長さ以上の場合に、周波数帯域を狭くすることなく広くしていることで、トロール漁具100のターゲットに対応する受信信号の周波数変動が大きいときに、トロール漁具100としてのターゲットの探知漏れを低減することができる。
(第1実施形態の第1変形例)
図11は、第1実施形態の第1変形例を説明するための図であって、表示部5の表示画面に表示される映像の一例を模式的に示す図である。尚、以下の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、適宜、重複する説明を省略する。
第1実施形態では、第1エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E1、E2、E3)と、第2エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E4、E5、E6)とが、信号強度レベルに応じて、同様の表示色で表示される。これに対し、第1実施形態の第1変形例では、第1エコー信号から生成されたエコー映像信号に基づいて表示されるターゲットのエコー(E1、E2、E3)と、第2エコー信号から生成されたエコー映像信号に基づいて表示されるターゲットのエコー(E4、E5、E6)とは、異なる表示色で表示される。
具体的な構成として、第1実施形態の第1変形例では、映像信号生成部14は、第1エコー信号が対応するターゲットのエコー(E1、E2、E3)に割り当てた色とは異なる色を、第2エコー信号が対応するターゲットのエコー(E4、E5、E6)に割り当てて、エコー映像信号を生成する。即ち、エコー(E1、E2、E3)を表示するための第1エコー信号に対応するエコー映像信号と、エコー(E4、E5、E6)を表示するための第2エコー信号に対応するエコー映像信号とは、表示部5に表示される際の表示色の情報として、異なる色の情報が含まれている。そして、表示部5では、エコー映像信号に含まれる表示色の情報に基づく色でエコーの映像が表示される。
尚、図11に例示する表示部5の表示画面の表示例においては、第1エコー信号が対応するエコー(E1、E2、E3)が、高密度のドットハッチングのエリア、斜線のハッチングのエリア、及び低密度のドットハッチングのエリアで示されており、第2エコー信号が対応するエコー(E4、E5、E6)が、網掛けのハッチングのエリアで示されている。例えば、表示部5では、表示画面の背景色が黒色に設定され、高密度のドットハッチングのエリアは赤色で示され、斜線のハッチングのエリアは緑色で示され、低密度のドットハッチングは青色で示され、網掛けのハッチングのエリアは、白色で示される。
第1実施形態の第1変形例によると、第1エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E1、E2、E3)と、第2エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E4、E5、E6)とを、異なる表示色で表示することができる。このため、ユーザは、魚群のエコーとトロール漁具100のエコーとをより容易に見分けることができる。
(第1実施形態の第2変形例)
図12は、第1実施形態の第2変形例を説明するための図であって、第1実施形態の第2変形例における処理を説明するための図である。尚、以下の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、適宜、重複する説明を省略する。
図12は、第1実施形態の第2変形例における第1信号処理部12の処理を説明するための図である。また、図12は、船舶S及びその周囲を模式的に示す平面図であって、第1信号処理部12及び第2信号処理部13の処理において設定される第1方向範囲R1及び第2方向範囲R2を模試的に示している。
図12に示すように、第1実施形態の第2変形例では、第1信号処理部12は、第1エコー信号が取得される第1方向範囲R1を、船舶Sの船首方向HDを含む方向範囲として設定するとともに、船首方向HDを中心とした±180°の方向範囲に設定する。即ち、第1実施形態の第2変形例では、第1信号処理部12は、第1エコー信号が取得される第1方向範囲R1を、方位角θ方向における全周に亘る方向範囲として設定する。このため、第2信号処理部13によって船舶Sの船尾方向TDを含む方向範囲として設定される第2方向範囲R2は、第1方向範囲R1と重なる方向範囲を有しており、本変形例では、第2方向範囲R2は、その全範囲が、第1方向範囲R1に含まれている。
第1実施形態の第2変形例では、第1方向範囲R1が上記のように設定されるため、第1エコー信号が、方位角θ方向における全周に亘る方向範囲から到来する受信波に対応する受信信号から取得される。このため、対地速度がゼロである魚群のターゲットが、方位角θ方向における全周に亘る方向範囲において探知される。一方、第2方向範囲R2は、第1実施形態と同様に設定されるため、船尾方向TDを含む第2方向範囲R2から到来する受信波に対応する受信信号から、トロール漁具100に対応する第2エコー信号が取得される。
図13は、第1実施形態の第2変形例を説明するための図であって、表示部5の表示画面に表示される映像の一例を模式的に示す図である。図13に例示する表示部5の表示画面の表示例においては、第1エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E1、E2、E3、E7)が表示され、第2エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E4、E5、E6)が表示されている。第1実施形態の第2変形例では、映像信号生成部14は、第1実施形態の第1変形例と同様に、第1エコー信号が対応するターゲットのエコー(E1、E2、E3、E7)に割り当てた色とは異なる色を、第2エコー信号が対応するターゲットのエコー(E4、E5、E6)に割り当てて、エコー映像信号を生成する。即ち、エコー(E1、E2、E3、E7)を表示するための第1エコー信号に対応するエコー映像信号と、エコー(E4、E5、E6)を表示するための第2エコー信号に対応するエコー映像信号とは、表示部5に表示される際の表示色の情報として、異なる色の情報が含まれている。そして、表示部5では、エコー映像信号に含まれる表示色の情報に基づく色でエコーの映像が表示される。
尚、図13に例示する表示部5の表示画面の表示例においては、第1エコー信号が対応するエコー(E1、E2、E3、E7)が、高密度のドットハッチングのエリア、斜線のハッチングのエリア、及び低密度のドットハッチングのエリアで示されており、第2エコー信号が対応するエコー(E4、E5、E6)が、網掛けのハッチングのエリアで示されている。例えば、表示部5では、表示画面の背景色が黒色に設定され、高密度のドットハッチングのエリアは赤色で示され、斜線のハッチングのエリアは緑色で示され、低密度のドットハッチングは青色で示され、網掛けのハッチングのエリアは、白色で示される。
第1実施形態の第2変形例によると、第1方向範囲R1と第2方向範囲R2とが、重なる方向範囲を有しているため、トロール漁具100を探知するための領域においても、魚群を探知できる。即ち、同じ方向範囲において、トロール漁具100と魚群とを同時タイミングで探知することができる。
また、第1実施形態の第2変形例によると、第1方向範囲R1と第2方向範囲R2とが重なっている場合であっても、第1エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E1、E2、E3、E7)と、第2エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E4、E5、E6)とを、異なる表示色で表示することができる。このため、ユーザは、第1方向範囲R1と第2方向範囲R2とが重なっている場合であっても、魚群のエコーとトロール漁具100のエコーとを容易に見分けることができる。
(第1実施形態の第3変形例)
図14は、第1実施形態の第3変形例を説明するための図であって、第1実施形態の第3変形例における処理を説明するための図である。尚、以下の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、適宜、重複する説明を省略する。
図14は、第1実施形態の第3変形例における第1信号処理部12及び第2信号処理部13の処理を説明するための図である。また、図14は、船舶S及びその周囲を模式的に示す平面図であって、第1信号処理部12及び第2信号処理部13の処理において設定される第1方向範囲R1、第2方向範囲R2、及び第2エコー信号の取得が行われる範囲である第2エコー信号取得領域RXを模試的に示している。
図14に示すように、第1実施形態の第3変形例では、第1信号処理部12は、第1エコー信号が取得される第1方向範囲R1を、船舶Sの船首方向HDを含む方向範囲として設定するとともに、船首方向HDを中心とした±180°の方向範囲に設定する。即ち、第1実施形態の第3変形例では、第1信号処理部12は、第1エコー信号が取得される第1方向範囲R1を、方位角θ方向における全周に亘る方向範囲として設定する。このため、第2信号処理部13によって船舶Sの船尾方向TDを含む方向範囲として設定される第2方向範囲R2は、第1方向範囲R1と重なる方向範囲を有している。そして、本変形例では、第1方向範囲R1は、第2方向範囲R2を含んでおり、第2方向範囲R2の全範囲を含んでいる。
第1実施形態の第3変形例では、第1方向範囲R1が上記のように設定される。このため、第1信号処理部12は、第1エコー信号を、方位角θ方向における全周に亘る方向範囲から到来する受信波に対応する受信信号から取得する。これにより、対地速度がゼロである魚群のターゲットが、方位角θ方向における全周に亘る方向範囲において探知される。
また、第2方向範囲R2は、第1実施形態と同様に設定される。しかし、第1実施形態の第3変形例では、第2信号処理部13は、トロール漁具100に対応する第2エコー信号を、第2方向範囲R2内における更に制限された領域である第2エコー信号取得領域RX内から到来する受信波に対応する受信信号から取得する。第2エコー信号取得領域RXは、第2方向範囲R2内の領域であって、且つ、受信トランスデューサとしての送受波器2から距離が離れた所定の距離範囲DX内の領域として構成される。送受波器2から距離が離れた所定の距離範囲DXは、送受波器2からの距離が所定の最小距離D1以上であるとともに所定の最大距離D2以下である距離の範囲として構成される。尚、図14では、送受波器2からの距離が最小距離D1の位置及び最大距離D2の位置を破線でそれぞれ示している。よって、第2エコー信号取得領域RXは、図14に示す模式的な平面図においては、最小距離D1を示す破線と、最大距離D2を示す破線と、第2方向範囲R2の両側の境界線を示す破線とで囲まれた領域となる。
上記のように、第1実施形態の第3変形例では、第2信号処理部13は、第2エコー信号を、第2エコー信号取得領域RX内から到来する受信波に対応する受信信号から取得する。即ち、第2信号処理部13は、第2エコー信号を、第2方向範囲R2内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号であって受信トランスデューサとしての送受波器2から距離が離れた所定の距離範囲DX内から到来する受信波に対応する受信信号から取得する。
尚、第2エコー信号取得領域RXを規定する所定の距離範囲DXは、予め設定されていてもよく、水中探知装置1のユーザの操作に基づいて設定されてもよい。水中探知装置1のユーザの操作に基づいて設定される場合は、例えば一例として、水中探知装置1が有するキーボード或いはポインティングデバイス等の操作機器(図示省略)をユーザが適宜操作することにより、最小距離D1及び最大距離D2が設定され、これにより、所定の距離範囲DXが設定される。或いは、ユーザの操作により、所定の距離範囲DXを規定する距離の中央値と距離の幅とが設定され、これにより、所定の距離範囲DXが設定される。この場合、距離の中央値は、例えば、最小距離D1及び最大距離D2の中間値(即ち、最小距離D1及び最大距離D2の和を2で割って得られる値)として設定される。そして、距離の幅は、例えば、最大距離D2と最小距離D1との差分の値として設定される。また、或いは、所定の距離範囲DXを規定する距離の中央値と距離の幅とのうち、距離の幅のみがユーザの操作によって設定され、距離の中央値が、ワープ103のワープ長のデータに基づいて設定されてもよい。この場合、距離の中央値は、例えば、データ取得部10で取得されたワープ長のデータに基づいてワープ長の定数倍の値として設定されてもよい。
図15は、第1実施形態の第3変形例の比較例を説明するための図であって、表示部5の表示画面に表示される映像の一例として模式的に示す図である。そして、図16は、第1実施形態の第3変形例を説明するための図であって、表示部5の表示画面に表示される映像の一例を模式的に示す図である。図15、図16においては、映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号に基づいて表示部5に表示される3次元領域映像として、船舶Sの上方から視た3次元領域映像IM2が表示部5に表示された形態を例示している。3次元領域映像IM2は、船舶Sの上方から鉛直方向に探知領域DRを視る視点である鉛直視点から視た映像として表示されている。
図15に示す第1実施形態の第3変形例の比較例としての表示例においては、第1方向範囲R1における第2方向範囲R2を除く領域については、第1エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E1、E2、E3)が表示され、第2方向範囲R2の領域については、第2エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E4、E5)が表示されている。このため、この比較例においては、ユーザは、第1方向範囲R1における第2方向範囲R2を除く領域においては、魚群のエコーを視認でき、第2方向範囲R2の領域においては、トロール漁具100のエコーを視認できる。しかし、この比較例においては、ユーザは、第2方向範囲R2の領域においては、魚群のエコーを視認することはできない。
一方、図16に示す第1実施形態の第3変形例の表示例においては、第1エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E1、E2、E3、E7、E8)が表示され、第2エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E4、E5)が表示されている。第1実施形態の第3変形例では、映像信号生成部14は、第2方向範囲R2を含む第1方向範囲R1の領域における第2エコー信号取得領域RX以外の領域については、第1エコー信号に基づいて、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する。更に、映像信号生成部14は、第2方向範囲R2における第2エコー信号取得領域RXについては、第2エコー信号に基づいて、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する。そして、表示部5では、映像信号生成部14で生成されたエコー映像信号に基づいて、エコーの映像が表示される。このため、図16に示すように、第1実施形態の第3変形例では、表示部5の表示画面において、第2エコー信号取得領域RXではトロール漁具100のエコー(E4、E5)が表示される。そして、第2エコー信号取得領域RX以外の領域においては、魚群のエコー(E1、E2、E3、E7、E8)が表示される。このため、第1実施形態の第3変形例では、第2方向範囲R2の領域において、第2エコー信号取得領域RXではトロール漁具100のエコー(E4、E5)が表示され、第2エコー信号取得領域RX以外の領域では魚群のエコー(E7、E8)が表示される。尚、図16に示す表示例では、第1エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E1、E2、E3、E7、E8)と、第2エコー信号に基づいて生成されるターゲットのエコー(E4、E5)とが、信号強度レベルに応じて、同様の表示色で表示されている。
第1実施形態の第3変形例によると、トロール漁具100のエコー(E4、E5)については、第2エコー信号取得領域RXのみの狭い領域に表示される。即ち、トロール漁具100のエコー(E4、E5)については、第2方向範囲R2内において更に所定の距離範囲DX内に制限された第2エコー信号取得領域RXのみにおいて表示される。一方、魚群のエコー(E1、E2、E3、E7、E8)については、第1方向範囲R1における第2方向範囲R2以外の領域に加え、更に、第2方向範囲R2における第2エコー信号取得領域RX以外の領域においても表示される。このため、第1実施形態の第3変形例によると、トロール漁具100のエコーを表示する領域をトロール漁具100の周囲のより狭い領域に制限し、魚群のエコーをより広い領域に表示することができる。また、トロール漁具100のエコーが表示される領域と魚群のエコーが表示される領域とが、第2エコー信号取得領域RXと第2エコー信号取得領域RX以外の領域とで区別される。このため、トロール漁具100のエコーと魚群のエコーとを同様の表示色で表示でき、表示色の設定の手間を削減することができる。
また、第1実施形態の第3変形例では、表示部5の表示画面に表示する映像の表示形態として、図16に示す表示形態に加え、更に他の表示形態を実施することもできる。図17は、第1実施形態の第3変形例を説明するための図であって、表示部5の表示画面に表示される映像の一例を模式的に示す図であり、図16に示す表示例とは異なる他の表示例を示す図である。図17においては、映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号に基づいて表示部5に表示される3次元領域映像として、図16の表示例と同様に、船舶Sの上方から鉛直視点で探知領域DRを視た3次元領域映像IM2が表示部5に表示された形態を例示している。
図17に示す第1実施形態の第3変形例の更に他の表示例においては、第1エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E1、E2、E3、E7、E8、E9)が表示され、第2エコー信号が対応するターゲットのエコーとして、エコー(E4、E5)が表示されている。図17に表示例を示す第1実施形態の第3変形例では、映像信号生成部14は、第2方向範囲R2を含む第1方向範囲R1の領域については、第1エコー信号に基づいて、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する。更に、映像信号生成部14は、第2方向範囲R2における第2エコー信号取得領域RXについては、第2エコー信号に基づいて、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成する。
また、映像信号生成部14は、第1エコー信号が対応するターゲットのエコー(E1、E2、E3、E7、E8、E9)に割り当てた色とは異なる色を、第2エコー信号が対応するターゲットのエコー(E4、E5)に割り当てて、エコー映像信号を生成する。即ち、エコー(E1、E2、E3、E7、E8、E9)を表示するための第1エコー信号に対応するエコー映像信号と、エコー(E4、E5)を表示するための第2エコー信号に対応するエコー映像信号とは、表示部5に表示される際の表示色の情報として、異なる色の情報が含まれている。そして、表示部5では、エコー映像信号に含まれる表示色の情報に基づく色でエコーの映像が表示される。
尚、図17に例示する表示部5の表示画面の表示例においては、第1エコー信号が対応するエコー(E1、E2、E3、E7、E8、E9)が、高密度のドットハッチングのエリア、斜線のハッチングのエリア、及び低密度のドットハッチングのエリアで示されており、第2エコー信号が対応するエコー(E4、E5)が、網掛けのハッチングのエリアで示されている。例えば、表示部5では、表示画面の背景色が黒色に設定され、高密度のドットハッチングのエリアは赤色で示され、斜線のハッチングのエリアは緑色で示され、低密度のドットハッチングのエリアは青色で示され、網掛けのハッチングのエリアは、白色で示される。
第1実施形態の第3変形例の図17に示す表示例では、表示部5においては、映像信号生成部14で上記のように生成されたエコー映像信号に基づいて、エコーの映像が表示される。このため、図17に示すように、表示部5の表示画面では、第2方向範囲R2を含む第1方向範囲R1内の全領域において魚群のエコー(E1、E2、E3、E7、E8、E9)が表示される。そして、第2エコー信号取得領域RXにおいては、魚群のエコー(E1、E2、E3、E7、E8、E9)の表示色とは異なる表示色で、トロール漁具100のエコー(E4、E5)が表示される。このため、第1実施形態の第3変形例の図17に示す表示例では、第2方向範囲R2内の第2エコー信号取得領域RXにおいて、トロール漁具100のエコー(E4、E5)とともに、魚群のエコーE9を表示でき、更に、トロール漁具100のエコー(E4、E5)を魚群のエコー(E1、E2、E3、E7、E8、E9)とは異なる表示色で表示することができる。これにより、ユーザは、魚群のエコーとトロール漁具100のエコーとを容易に見分けることができる。
第1実施形態の第3変形例では、上述したように、第2信号処理部13が、第2エコー信号を、第2方向範囲R2内において更に所定の距離範囲DX内に制限された第2エコー信号取得領域RX内から到来する受信波に対応する受信信号から取得する。しかし、この例に限らず、第1実施形態の第3変形例において、第2信号処理部13が、第2エコー信号を、第2方向範囲R2内において所定の距離範囲DX内に制限されているとともに水中における所定の深さ範囲内にも制限されている第2エコー信号取得領域RX内から到来する受信波に対応する受信信号から取得する更に他の変形例が実施されてもよい。この変形例では、第2エコー信号取得領域RXは、第2方向範囲R2内の領域であって、受信トランスデューサとしての送受波器2から距離が離れた所定の距離範囲DX内の領域であり、更に、水中における所定の深さ範囲内の領域として構成される。水中における所定の深さ範囲は、水中における深さが所定の第1深さよりも深い深さであるとともに第1深さよりも深い所定の第2深さよりも浅い深さである深さ範囲として構成される。
上記のように、第1実施形態の第3変形例における更に他の変形例においては、第2信号処理部13は、第2エコー信号を、第2方向範囲R2内における所定の距離範囲DXと所定の深さ範囲との両方で制限された領域である第2エコー信号取得領域RX内から到来する受信波に対応する受信信号から取得する。即ち、第2信号処理部13は、第2エコー信号を、第2方向範囲R2内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号であって受信トランスデューサとしての送受波器2から距離が離れた所定の距離範囲DX内から到来するとともに水中における所定の深さ範囲内から到来する受信波に対応する受信信号から取得する。
尚、第1実施形態の第3変形例における更に他の変形例においても、映像信号生成部14において、第1実施形態の第3変形例と同様に、第1エコー信号及び第2エコー信号に基づいて、エコー映像信号が生成される。そして、表示部5では、映像信号生成部14で生成されたエコー映像信号に基づいて、エコーの映像が表示される。
第1実施形態の第3変形例における更に他の変形例によると、トロール漁具100のエコーについては、第2方向範囲R2内において所定の距離範囲DXと所定の深さ範囲との両方で制限された第2エコー信号取得領域RXのみにおいて表示される。このため、第1実施形態の第3変形例の更に他の変形例によると、トロール漁具100のエコーを表示する領域をトロール漁具100の周囲の更に狭い領域に制限し、魚群のエコーを更に広い領域に表示することができる。
(第1実施形態の第4変形例)
図18は、第1実施形態の第4変形例を説明するための図であって、第1実施形態の第4変形例における処理を説明するための図である。尚、以下の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、適宜、重複する説明を省略する。
図18は、第1実施形態の第4変形例における第2信号処理部13の処理を説明するための図である。そして、図18は、船舶S及びその周囲を模式的に示す平面図であって、第1信号処理部12及び第2信号処理部13の処理において設定される第1方向範囲R1及び第2方向範囲R2を模試的に示している。また、図18は、船舶Sの船首方向HDが変化している状態における第1方向範囲R1及び第2方向範囲R2を例示している。尚、図18では、船舶Sの船首方向HDの変化の状態を示すため、船舶Sの航跡WAも模式的に図示している。
第1実施形態の第4変形例では、第2信号処理部13は、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、船首方向HDの変化に基づいて第2方向範囲R2を特定するパラメータを変更することで、第2方向範囲R2を変更する。そして、第1実施形態の第4変形例では、第2方向範囲R2を特定するパラメータであって船首方向HDの変化時に変更するパラメータとしては、第2方向範囲R2の角度範囲の大きさのパラメータを選択する。
より具体的には、第1実施形態の第4変形例では、第2信号処理部13は、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、第2方向範囲R2の角度範囲を、船舶Sの船首方向HDが変化していないときよりも広げることで、第2方向範囲R2を変更するように構成されている。尚、図18では、船首方向HDの変化時の第2方向範囲R2を実線の両端矢印R2で示すとともに、船首方向HDの変化時の第2方向範囲R2の両側の境界線を破線で示している。また、図18では、船首方向HDが変化していない状態である船首方向HDの変化前の第2方向範囲R2を二点鎖線の両端矢印R20で示すとともに、船首方向HDの変化前の第2方向範囲R2の両側の境界線を二点鎖線で示している。図18に示すように、第1実施形態の第4変形例では、第2信号処理部13は、船首方向HDの変化時には、第2方向範囲R2の角度範囲を、船舶Sの船首方向HDが変化していないときよりも広げることで、第2方向範囲R2を変更する。尚、第2信号処理部13が、船舶Sの船首方向HDの変化時に第2方向範囲R2を変更する際には、第1信号処理部12は、変更された第2方向範囲R2に応じて、第1方向範囲R1が第2方向範囲R2に対して方位角θ方向において常時隣接した状態となるように、第1方向範囲R1を変更する。
第1実施形態の第4変形例によると、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、船首方向HDの変化に基づいて第2方向範囲R2を特定するパラメータを変更することで、第2方向範囲R2を変更する。これにより、船舶Sの船首方向HDの変化時に船舶Sに対する相対位置が変化するトロール漁具100が第2方向範囲R2に存在するように、第2方向範囲R2を変更することができる。
更に、第1実施形態の第4変形例によると、第2信号処理部13は、船首方向HDが変化しているときに、第2方向範囲R2の角度範囲を、船舶Sの船首方向HDが変化していないときよりも広げることで、第2方向範囲R2を変更する。このため、船首方向HDの変化に伴ってトロール漁具100の船舶Sに対する相対位置が変化しても、トロール漁具100が第2方向範囲R2から外れてしまうことなく第2方向範囲R2内に安定して存在するように第2方向範囲R2を変更することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図19は、第2実施形態の水中探知装置の信号処理機4aの構成を示すブロック図である。尚、以下の第2実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、適宜、重複する説明を省略する。
第2実施形態の水中探知装置は、信号処理機4aの構成において、第1実施形態の水中探知装置1と異なっている。具体的には、第2実施形態の水中探知装置は、信号処理機4aにおいてマーク位置設定部15を更に備えており、映像信号生成部14が、マーク位置設定部15の設定結果に基づいて、トロール漁具100のマークを表示部5に表示させるためのトロールマーク映像信号を更に生成する点で、第1実施形態の水中探知装置1と異なっている。
マーク位置設定部15は、船舶Sが曳航するトロール漁具100の少なくとも一部に対応するエコーとして識別されたエコーに対応する位置を、トロール漁具100のマークを表示させる位置であるマーク設定位置として設定する。そして、映像信号生成部14は、第1エコー信号及び第2エコー信号に基づいて、ターゲットのエコーを表示部5に表示させるためのエコー映像信号を生成するとともに、マーク位置設定部15にて設定されたマーク設定位置にトロール漁具100のマークを表示させるためのトロールマーク映像信号を更に生成する。
図20及び図21は、第2実施形態の水中探知装置の処理に基づいて表示部5の表示画面に表示される映像の一例を模式的に示す図である。図20及び図21に示すように、第2実施形態では、映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号に基づいて表示部5に表示される3次元領域映像として、複数の視点から視た3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)が表示部5に表示された形態を例示している。3次元領域映像IM1は、船舶Sの上方の斜めから探知領域DRを視る視点である斜め上方視点から視た映像として表示されている。3次元領域映像IM2は、船舶Sの上方から鉛直方向に探知領域DRを視る視点である鉛直視点から視た映像として表示されている。3次元領域映像IM3は、探知領域DRの側方から水平方向に探知領域DRを視る視点である水平視点から視た映像として表示されている。図20及び図21では、表示部5の同じ表示画面において、3つの3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)が並んで表示された状態が例示されている。
表示部5に表示された3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)のいずれにおいても、第1信号処理部12及び第2信号処理部13で生成された第1エコー信号及び第2エコー信号から映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号に基づいて、表示部5の表示画面にターゲットのエコーが表示されている。具体的には、3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)のいずれにおいても、第1信号処理部12で生成された第1エコー信号から映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号に基づいて、表示部5の表示画面に魚群としてのターゲットのエコー(E1、E2、E3)が表示されている。そして、3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)のいずれにおいても、第2信号処理部13で生成された第2エコー信号から映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号に基づいて、表示部5の表示画面にトロール漁具100としてのターゲットのエコー(E4、E5)が表示されている。尚、図20及び図21では、第2エコー信号に対応するエコー(E4、E5)として、トロール漁具100のオッターボード101のエコーが表示された形態が例示されている。
尚、本実施形態では、3つの3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)が表示部5に表示された形態を例示している。表示部5に表示される3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)は、ユーザの操作に基づいて、適宜切り替えられてもよい。例えば一例として、本実施形態の水中探知装置が有するキーボード或いはポインティングデバイス等の操作機器(図示省略)をユーザが適宜操作することにより、表示部5に、3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)の全てが表示され、或いは、3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)のうちの任意の1つ或いは2つの3次元領域映像が表示されてもよい。
マーク位置設定部15は、トロール漁具100の少なくとも一部に対応するエコーとして識別されたエコーに対応する位置を、トロール漁具100のマークを表示させる位置であるマーク設定位置として設定する。そして、マーク設定位置の設定の際、マーク位置設定部15は、水中探知装置のユーザによる操作に基づいて、トロール漁具100の少なくとも一部に対応するエコーを識別し、マーク設定位置を設定する。或いは、マーク位置設定部15は、例えば、第2方向範囲R2内で探知されたエコーのうち、信号強度レベルが所定値以上のエコーをトロール漁具100の少なくとも一部に対応するエコーとして識別し、マーク設定位置を設定してもよい。尚、第2実施形態では、マーク位置設定部15は、水中探知装置のユーザによる操作に基づいて、トロール漁具100の少なくとも一部に対応するエコーを識別し、マーク設定位置を設定するように構成されている。
マーク設定位置の設定の際、マーク位置設定部15は、水中探知装置のユーザによってエコーが選択される操作による入力に基づいて、選択されたエコーをトロール漁具100に対応するエコーとして識別し、マーク設定位置を設定する。より具体的には、ユーザは、まず、水中探知装置が有するマウス等のポインティングデバイスを操作し、表示部5の表示画面上に表示されたカーソルの位置を、表示部5の表示画面上に表示された水平視点から視た3次元領域映像IM3におけるエコーE4又はエコーE5の位置まで移動する。そして、ユーザは、カーソルを移動させたエコーE4又はエコーE5上で、ポインティングデバイスのクリック操作を行い、エコーE4又はエコーE5を選択する操作を行う。この操作により、信号処理機4aに対して、エコーE4又はエコーE5が選択される操作による入力がなされる。この入力がなされると、エコーE4又はエコーE5が対応するトロール漁具100のオッターボード101の深度が決定される。
上記の操作がユーザによって行われ、オッターボード101の深度が決定されると、次いで、ユーザは、斜め上方視点から視た3次元領域映像IM1又は鉛直視点から視た3次元領域映像IM2において、水平視点から視た3次元領域映像IM3にて選択したエコーと同じエコーを選択する操作を行う。これにより、ユーザによって選択されたエコーE4又はエコーE5が対応するオッターボード101の船舶Sからの水平距離及び方位角θが決定される。
上記のように、ユーザによって、エコーE4又はエコーE5について、水平視点の3次元領域映像IM3での選択操作と、斜め上方視点の3次元領域映像IM1又は鉛直視点の3次元領域映像IM2での選択操作とが行われることで、エコーE4又はエコーE5が対応するオッターボード101の深度、船舶Sからの水平距離、及び方位角θが決定される。これにより、エコーE4又はエコーE5が対応するオッターボード101の座標が決定される。上記のユーザの操作に基づいて、エコーE4又はエコーE5が対応するオッターボード101の座標が決定されると、ユーザは、座標が決定したオッターボード101が対応するエコーE4又はエコーE5の他方についても、同様の操作を行う。例えば、最初に、エコーE4について、水平視点の3次元領域映像IM3での選択操作と、斜め上方視点の3次元領域映像IM1又は鉛直視点の3次元領域映像IM2での選択操作とが行われることで、エコーE4が対応するオッターボード101の座標が決定された場合は、次いで、エコーE5について、ユーザによって同様の操作が行われる。これにより、エコーE4と同様にエコーE5についても、水平視点の3次元領域映像IM3での選択操作と、斜め上方視点の3次元領域映像IM1又は鉛直視点の3次元領域映像IM2での選択操作とが行われ、エコーE5が対応するオッターボード101の深度、船舶Sからの水平距離、及び方位角θも決定される。これにより、エコーE5が対応するオッターボード101の座標も決定される。
上記のように、マーク位置設定部15は、水中探知装置のユーザによってエコー(E4、E5)が選択される操作による入力に基づいて、選択されたエコー(E4、E5)をトロール漁具100のオッターボード101に対応するエコーとして識別する。そして、マーク位置設定部15は、エコー(E4、E5)が対応するオッターボード101の座標の位置に、マーク設定位置を設定する。尚、第2実施形態では、ユーザによってエコーE4及びエコーE5の両方が順番に選択され、マーク位置設定部15によって、エコーE4及びエコーE5がそれぞれ対応する2つのオッターボード101の座標の位置に、マーク設定位置が設定される形態を例示したが、この通りでなくてもよい。ユーザによってエコーE4及びエコーE5のうちのいずれか一方のみが選択され、マーク位置設定部15によって、選択されたエコーE4及びエコーE5の一方が対応する1つのオッターボード101の座標の位置に、マーク設定位置が設定される形態が実施されてもよい。
上記のように、マーク位置設定部15によるマーク設定位置の設定が行われると、映像信号生成部14は、マーク設定位置にトロール漁具100のマークTMを表示させるためのトロールマーク映像信号を生成する。尚、トロールマーク映像信号には、マーク位置設定部15によって設定されたマーク設定位置の情報も含まれる。図21では、斜め上方視点、鉛直視点、及び水平視点の3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)のそれぞれにおいて、トロール漁具100のマークTMが表示された形態が例示されている。また、図22は、図21に示す映像の一例の一部を拡大して示す図であって、3次元領域映像IM1を拡大して示す図である。
映像信号生成部14は、トロール漁具100のマークTMを表示させるためのトロールマーク映像信号を生成すると、生成したトロールマーク映像信号を表示部5に出力する。表示部5は、入力されたトロールマーク映像信号に基づいて、3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)のそれぞれにおいて、トロール漁具100を示すマークTMを、マーク設定部15にて設定されたマーク設定位置に表示する。
映像信号生成部14は、図21及び図22に例示するように、トロール漁具100のマークTMとしてのマークM1及びマークM2を表示部5に表示させるためのトロールマーク映像信号を生成する。マークM1は、オッターボード101のマークとして構成され、マークM2は、網102の網口102aのマークとして構成される。また、第2実施形態の映像信号生成部14は、オッターボード101のマークM1及び網口102aのマークM2以外のマークであるマークM3及びマークM4もマークM1及びマークM2とともに表示部5に表示させるためのトロールマーク映像信号を生成するように、構成されている。尚、マークM3は、ワープ103のマークとして構成され、マークM4は、ワイヤ104のマークとして構成される。尚、図21及び図22では、マーク(M1、M2、M3、M4)については、二点鎖線で図示している。
また、映像信号生成部14は、ターゲットのエコー(E1、E2、E3、E4、E5)に割り当てた色とは異なる色を、マーク(M1、M2、M3、M4)に割り当てて、トロールマーク映像信号を生成する。即ち、エコー(E1、E2、E3、E4、E5)を表示するためのエコー映像信号と、マーク(M1、M2、M3、M4)を表示するためのトロールマーク映像信号とは、表示部5に表示される際の表示色の情報として、異なる色の情報が含まれている。そして、表示部5では、トロールマーク映像信号に含まれる表示色の情報に基づく色でマーク(M1、M2、M3、M4)の映像が表示される。例えば、表示部5では、表示画面の背景色が黒色に設定され、エコー(E1、E2、E3、E4、E5)は、赤色、緑色、及び青色で表示され、マーク(M1、M2、M3、M4)は、白色で表示される。
尚、マーク(M1、M2、M3、M4)を表示するためのトロールマーク映像信号を映像信号生成部14が生成するために用いられる各種設定値は、信号処理機4aにおいて記憶されている。しかし、上記の各種設定値は、例えば、水中探知装置が有するキーボード或いはポインティングデバイス等の操作機器をユーザが適宜操作することにより、変更されてもよい。上記の各種設定値としては、例えば、オッターボード101のマークM1と網口102aのマークM2との距離、オッターボード101のマークM1のサイズ(即ち、オッターボード101のマークM1の高さ、長さ及び厚みの各寸法)、網口102aのマークM2のサイズ(即ち、網口102aのマークM2の幅及び高さの各寸法)、網口102aのマークM2の鉛直面に対する傾きの角度、等が挙げられる。
また、映像信号生成部14は、ターゲットのエコー(E1〜E5)を表示させるためのエコー映像信号、及び、マーク(M1〜M4)を表示させるためのトロールマーク映像信号とともに、オッターボード101のマークM1が表示されるマーク設定位置を含む鉛直面(VS1、VS2)を表示部5に表示させるための映像信号も生成するように構成されている。第2実施形態では、例えば、表示部5に表示された3次元領域映像IM1において鉛直面(VS1、VS2)を表示する形態を例示している。鉛直面VS1は、船舶Sの直下の位置から鉛直下方に延びる鉛直線と、エコーE4が対応するオッターボード101のマークM1の中心位置から鉛直方向の上下に延びる鉛直線とを含む面として、構成される。また、鉛直面VS2は、船舶Sの直下の位置から鉛直下方に延びる鉛直線と、エコーE5が対応するオッターボード101のマークM1の中心位置から鉛直方向の上下に延びる鉛直線とを含む面として、構成される。表示部5では、映像信号生成部14で生成された映像信号に基づいて、ターゲットのエコー(E1〜E5)及びマーク(M1〜M4)とともに、鉛直面(VS1、VS2)が、3次元領域映像IM1において表示される。
また、映像信号生成部14は、鉛直面(VS1、VS2)に含まれるターゲットのエコーを表示部5に表示させるための断面映像信号も生成するように構成されている。より具体的には、映像信号生成部14は、鉛直面VS1に含まれるオッターボード101としてのターゲットのエコーE4を表示部5に表示させるための断面映像信号を生成する。そして、映像信号生成部14は、鉛直面VS2に含まれるオッターボード101としてのターゲットのエコーE5を表示部5に表示させるための断面映像信号も生成する。図21では、映像信号生成部14で生成された断面映像信号に基づいて表示部5の表示画面に表示された断面映像(IM4、IM5)が例示されている。
断面映像IM4は、鉛直面VS1に含まれるオッターボード101としてのターゲットのエコーE4を表示部5に表示させるための断面映像信号に基づいて表示される。そして、断面映像IM5は、鉛直面VS2に含まれるオッターボード101としてのターゲットのエコーE5を表示部5に表示させるための断面映像信号に基づいて表示される。断面映像IM4においては、鉛直面VS1におけるエコーE4の断面の映像が表示される。そして、断面映像IM5においては、鉛直面VS2におけるエコーE5の断面の映像が表示される。これにより、表示部5に表示された映像を見たユーザは、3次元領域映像(IM1、IM2、IM3)とともに断面映像(IM4、IM5)を確認することができるため、トロール漁具100のオッターボード101の状態をより詳細に把握することができる。
また、第2実施形態では、マーク位置設定部15は、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、船舶Sの位置に対応する位置に設定された回転中心位置を中心として、マーク設定位置を回転させるように構成されている。図23及び図24は、第2実施形態の水中探知装置の信号処理機4aにおけるマーク位置設定部15の処理を説明するための図であって、マーク設定位置を回転させる処理について説明するための図である。
マーク位置設定部15は、ユーザによるエコー(E4、E5)の選択操作に基づいてオッターボード101の座標の位置にマーク設定位置を設定する処理を行うと、船首方向HDの変化時には、マーク設定位置を回転させるための処理を行う。この処理では、マーク位置設定部15は、マーク設定位置を一旦設定すると、図23に示すように、まず、2つのオッターボード101の中間点P1の位置を特定する。2つのオッターボード101の中間点P1の位置は、エコーE4に対応するマークM1を表示する際のマークM1の中心位置と、エコーE5に対応するマークM1を表示する際のマークM1の中心位置と、の中間点として特定する。
マーク位置設定部15は、2つのオッターボード101の中間点P1の位置を特定すると、次いで、その中間点P1と船舶Sとの水平方向の距離である水平距離を求める。尚、船舶Sと中間点P1との水平距離は、船舶Sと2つのオッターボード101とを図23に示すように水平方向と垂直な方向から視た場合における船舶Sと中間点P1との間の水平方向の距離である。マーク位置設定部15は、船舶Sと中間点P1との水平距離を求めると、船舶Sからの距離がその水平距離と同距離にある航跡WA上の点である同距離航跡点P2を特定する。尚、図23では、船舶Sとの距離が、船舶Sと中間点P1との水平距離に等しい点の集合である円EDLを二点鎖線で示している。
船舶Sにおいては、測位衛星から送信された電波を受信するGPSアンテナ(図示省略)と、GPSアンテナで受信した測位信号に基づいて船舶Sの位置を検出するGPS受信機(図示省略)とが搭載されている。そして、GPS受信機は、信号処理機4aに接続され、検出した船舶Sの位置を信号処理機4aに出力するように構成されている。信号処理機4aにおいては、GPS受信機から入力された船舶Sの位置の時系列データとして船舶Sの航跡WAのデータを取得している。マーク位置設定部15は、船舶Sと中間点P1との水平距離と船舶Sからの距離が同距離にある航跡WA上の点である同距離航跡点P2を求める際には、船舶Sから航跡WAに沿って、航跡WAが円EDLと最初に交わる交点の位置を探索する。マーク位置設定部15は、この交点を、同距離航跡点P2として求める。
マーク位置設定部15は、同距離航跡点P2を求めると、船尾方向TDと、船舶Sに対する同距離航跡点P2の方向である同距離航跡点方向WDと、が成す角度θ0を、初期角度θ0として設定する。尚、図23では、同距離航跡点方向WDについては、破線で示されており、船尾方向TDについては、一点鎖線で示されている。マーク位置設定部15は、ユーザによるエコー(E4、E5)の選択操作に基づくマーク設定位置の設定を行ったタイミングで、同距離航跡点方向WDと船尾方向TDとが成す角度である初期角度θ0を求める。
尚、船舶Sが同距離航跡点P2に対応する位置を通過した時刻からマーク位置設定部15がマーク位置を設定した時刻までの間に船舶Sの船首方向HDが変化しなかった場合には、初期角度θ0はゼロである。この場合には、マーク位置設定部15は、マーク設定位置を一旦設定した後は、船舶Sの船首方向HDが変化しない限り、マーク設定位置を回転させない。
一方、マーク位置設定部15は、マーク設定位置の設定後において、船舶Sの船首方向HDが変化しているときは、図24に示すように、マーク設定位置を回転させる。船首方向HDの変化時におけるマーク設定位置の回転は、データ取得部10にて船首方向のデータを取得する毎に、行われる。
マーク位置設定部15は、船首方向のデータを取得する毎に、図24に示すように、同距離航跡点P2を求め、船尾方向TDと、船舶Sに対する同距離航跡点P2の方向である同距離航跡点方向WDと、が成す角度θ1を、船首方向変化角度θ1として求める。尚、船首方向HDの変化時においても、同距離航跡点P2については、マーク設定位置を設定後に初期角度θ0を設定したときと同様の処理によって、求められる。マーク位置設定部15は、船首方向変化角度θ1を求めると、船首方向変化角度θ1と初期角度θ0との角度差(θ1−θ0)分だけ、船舶Sの位置に対応する位置に設定された回転中心位置を中心として、マーク設定位置を回転させる。尚、図24では、2つのオッターボード101とその中間点P1とについて、船首方向HDの変化時にマーク設定位置を上記の角度差(θ1−θ0)分だけ回転させた状態で図示している。
船首方向HDの変化時にマーク位置設定部15がマーク設定位置を回転させると、映像信号生成部14は、船舶Sの位置を中心として回転したマーク設定位置にトロール漁具100の2つのオッターボード101のマークM1を表示させるためのトロールマーク映像信号を生成する。また、映像信号生成部14は、オッターボード101のマークM1に対応して船舶Sの位置を中心として回転した位置に、網口102aのマークM2、ワープ103のマークM3、及びワイヤ104のマークM4を表示させるための、トロールマーク映像信号も生成する。生成されたトロールマーク映像信号は、表示部5に出力され、表示部5においては、船舶Sの位置を中心として回転した位置に、トロール漁具100のマークTM及びワープ103のマークM3が表示される。即ち、表示部5においては、船首方向HDの変化時にはその変化に応じて、船舶Sの位置を中心として回転した位置に、2つのオッターボード101のマークM1と、網口102aのマークM2と、ワープ103のマークM3と、ワイヤ104のマークM4とが、表示される。
第2実施形態の水中探知装置は、第1実施形態の水中探知装置1と同様に、トロール漁業のための船舶Sにおいて使用される水中探知装置として構成され、送受波器2と、第2信号処理部13と、を備えている。そして、第2実施形態の水中探知装置は、更に、上述した映像信号生成部14及びマーク位置設定部15を備えている。このため、第2実施形態の水中探知装置は、送信波を水中のトロール漁具100に向けて送信する送信トランスデューサとしての送受波器2と、トロール漁具100での送信波の反射を含む受信波を受信し、受信した受信波から受信信号を生成する受信トランスデューサとしての送受波器2と、受信信号からエコー信号を取得する信号処理部としての第2信号処理部13と、エコー信号に基づいてエコー映像信号を生成する映像信号生成部14と、トロール漁具100の少なくとも一部に対応するエコーとして識別されたエコーに対応する位置を、トロール漁具100のマークTMを表示させる位置であるマーク設定位置として設定するマーク位置設定部15と、を備えている。そして、映像信号生成部14は、マーク設定位置にトロール漁具100のマークTMを表示させるためのトロールマーク映像信号を更に生成し、マーク位置設定部15は、船舶Sの船首方向HDが変化しているときに、船舶Sの位置に対応する位置に設定された回転中心位置を中心として、マーク設定位置を回転させるように構成されている。
第2実施形態によると、トロール漁具100に対応するエコー(E4、E5)として識別されたエコー(E4、E5)に対応する位置に、トロール漁具100のマークTMを表示させることができる。このため、ユーザは、トロール漁具100のエコー(E4、E5)をトロール漁具100のマークTMとともに視認することができるため、より容易に且つ明瞭にトロール漁具100の状態を把握することができる。
また、第2実施形態によると、船首方向HDが変化しているときに、船首方向HDの変化に応じて、船舶Sの位置を中心としてトロール漁具100のマークTMを回転させて表示することができる。このため、ユーザは、船首方向HDが変化しているときに、トロール漁具100の船舶Sに対する方向が変化していることを、より容易に且つ明瞭に把握することができる。
(第2実施形態の変形例)
図25は、第2実施形態の変形例を説明するための図であって、第2実施形態の変形例における処理を説明するための図である。尚、以下の説明においては、前述の第1実施形態、第1実施形態の第2変形例、及び第2実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態、第1実施形態の第2変形例、及び第2実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、適宜、重複する説明を省略する。
図25は、第2実施形態の変形例における映像信号処理部14の処理を説明するための図である。また、図25は、映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号及びトロールマーク映像信号に基づいて、魚群としてのターゲットのエコー(E1、E2、E3、E7)と、トロール漁具100のマークTMと、を含む3次元領域映像IM1が表示部5に表示された形態が例示されている。
第2実施形態の変形例では、第1実施形態の第2変形例と同様に、第1信号処理部12は、第1エコー信号が取得される第1方向範囲R1を、方位角θ方向における全周に亘る方向範囲として設定する。そして、第2実施形態の変形例では、第1実施形態の第2変形例と同様に、第1方向範囲R1と第2方向範囲R2とが、重なる方向範囲を有しており、トロール漁具100を探知するための領域においても、魚群が探知される。即ち、図25に示すように、第2方向範囲R2において探知された魚群のエコーE7も表示部5に表示することができる。
また、第2実施形態の変形例では、ユーザの操作に基づいて、トロール漁具100のエコー(E4、E5)を表示部5に表示させる表示ON状態と表示させない表示OFF状態とで切り替えを行うことができるように構成されている。トロール漁具100のエコー(E4、E5)を表示部5に表示させる表示ON状態では、第2実施形態と同様に、映像信号生成部14にて生成されたエコー映像信号及びトロールマーク映像信号に基づいて、トロール漁具100のエコー(E4、E5)と、トロール漁具100のマークTMとが、表示部5に表示される。
一方、ユーザの操作に基づいて、表示ON状態から、トロール漁具100のエコー(E4、E5)を表示部5に表示させない表示OFF状態への切り替えが行われると、トロール漁具100のマークTMの表示は維持され、トロール漁具100のエコー(E4、E5)が表示されない状態となる(図25を参照)。ユーザによる表示ON状態から表示OFF状態への切り替え操作は、例えば、キーボード或いはポインティングデバイス等の操作機器をユーザが適宜操作することにより、行われる。尚、表示ON状態から表示OFF状態へと切り替える操作は、トロール漁具100のマークTMが表示部5に一旦表示された後に行われる。
ユーザによる表示ON状態から表示OFF状態への切り替え操作が行われると、映像信号生成部14は、第1エコー信号に基づいて魚群としてのターゲットのエコー(E1、E2、E3、E7)を表示部5に表示させるためのエコー映像信号と、トロール漁具100のマークTMを表示部5に表示させるためのトロールマーク映像信号とを生成して、表示部5に出力する。そして、映像信号生成部14は、表示OFF状態では、第2エコー信号に基づくトロール漁具100としてのターゲットのエコー(E4、E5)を表示部5に表示させるためのエコー映像信号の生成は行わない。このため、表示OFF状態では、表示部5においては、魚群のエコー(E1、E2、E3、E7)とトロール漁具100のマークTMとが表示され、トロール漁具100のエコー(E4、E5)が表示されない状態となる。
また、第2実施形態の変形例では、トロール漁具100のマークTMが表示され、トロール漁具100のエコー(E4、E5)が表示されていない表示OFF状態においても、船舶Sの船首方向HDが変化しているときは、マーク位置設定部15は、マーク設定位置を回転させる。そして、映像信号生成部14は、船舶Sの位置を中心として回転したマーク設定位置にトロール漁具100のマークTMを表示させるためのトロールマーク映像信号を生成して表示部5に出力する。このため、表示部5においては、船首方向HDの変化時にはその変化に応じて、船舶Sの位置を中心として回転した位置に、トロール漁具100のマークTMが表示される。
第2実施形態の変形例によると、表示ON状態から表示OFF状態に切り替えられることで、表示部5において、魚群のエコー(E1、E2、E3、E7)とトロール漁具100のマークTMとが表示され、トロール漁具100のエコー(E4、E5)が表示されない状態となる。このため、第2方向範囲R2を含む広い第1方向範囲R1で魚群を探知してそのエコー(E1、E2、E3、E7)を表示することができるとともに、エコーとは容易に見分けることができるトロール漁具100のマークTMとしてトロール漁具100を表示することができる。
(その他の変形例)
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
(1)前述の実施形態及び変形例では、送信トランスデューサとして機能するとともに受信トランスデューサとしても機能する送受波器を備えた水中探知装置の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、送信トランスデューサと受信トランスデューサとを別体でそれぞれ備えた水中探知装置の形態が実施されてもよい。
(2)前述の実施形態及び変形例では、船舶を中心とする水中の全方位へ向けて一斉に送信ビームを形成するスキャニングソナーを備えた水中探知装置の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、送信ビームと受信ビームとを回転させるサーチライトソナー(PPIソナー)を備えた水中探知装置の形態が実施されてもよい。また、前述の実施形態及び変形例では、3次元のスキャニングソナーを備えた水中探知装置の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、2次元のスキャニングソナーを備えた水中探知装置の形態が実施されてもよい。
(3)前述の実施形態及び変形例では、第2信号処理部が、船尾方向を中心とした方向範囲に第2方向範囲を設定する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第2信号処理部が、船舶の位置を中心として半径がワープ長に等しい円と船舶の航跡との交点の船舶に対する方向を求め、その交点の船舶に対する方向を中心とした方向範囲に第2方向範囲を設定する形態が実施されてもよい。また、第2信号処理部が、上記の交点の船舶に対する方向と船尾方向との角度差の大きさを算出し、その角度差の大きさの定数倍の分だけ、更に、第2方向範囲を広く設定する形態が実施されてもよい。
(4)前述の実施形態及び変形例では、ワープのワープ長が、船舶の船尾に設けられてワープの繰り出し及び巻き取り動作時に回転するトップローラの回転数を検出するエンコーダを備えたワープ長計測器によって計測される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ユーザによってオッターボードのエコーが選択される入力が行われた際に、その入力に基づいて、船舶とオッターボードとの距離が算出され、ワープ長が算出される形態が実施されてもよい。
(5)前述の第2実施形態及びその変形例では、魚群のエコーとともにトロール漁具のマークが表示される形態を例にとって説明したが、更に、トロール漁具に関する数値情報もトロール漁具のマークとともに表示される形態が実施されてもよい。この場合、船舶とオッターボードとの間の直線距離、船舶とオッターボードとの水平方向の距離、オッターボード又は網口の深度、2つのオッターボード間の距離などの数値情報が、トロール漁具のマークとともに表示される形態が実施されてもよい。
(6)前述の第2実施形態の変形例において、更に、第1実施形態の第3変形例と同様に、第2信号処理部13が、第2エコー信号を、第2方向範囲R2内からの到来方位角を有する受信波に対応する受信信号であって受信トランスデューサとしての送受波器2から距離が離れた所定の距離範囲DX内から到来した受信波に対応する受信信号から取得する形態が実施されてもよい。また、この場合、所定の距離範囲DXを規定する距離の中央値と距離の幅とのうち、距離の幅がユーザの操作によって設定され、距離の中央値が、マーク位置設定部15によって設定されたマーク設定位置と船舶Sとの距離として設定されてもよい。
(7)映像信号生成部が、第1エコー信号及び第2エコー信号に対して、TVG(time varied gain)及び干渉除去などの公知の信号処理或いは画像処理を施す形態が実施されてもよい。また、映像信号生成部が、第1エコー信号と第2エコー信号とに対する効果が異なるような条件で、これらの処理を施す形態が実施されてもよい。