JP2020016617A - ポリオキシメチレンの末端の解析方法及び解析システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ヘミホルマール基等の不安定な末端を変性することなく、ポリオキシメチレンの末端を直接分析することができるポリオキシメチレンの末端の解析方法及び解析システムを提供することを目的とする。【解決手段】(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて複数種類の末端のスペクトルを得て、複数種類の末端のピークを同定するステップを含むことを特徴とする、ポリオキシメチレンの末端の解析方法。【選択図】図8A
Description
本発明は、ポリオキシメチレンの末端の解析方法及び解析システムに関する。
ポリオキシメチレンは、剛性や靭性等の機械的強度、摺動性、及びクリープ性等に優れた樹脂であり、自動車部品や電気・電子機器及び各種機構部品を中心に、広範にわたって使用されている。ポリオキシメチレンは、重合時に熱的、化学的に不安定なヘミホルマール基(ヒドロキシ末端と慣用的に言う場合もある。)等の末端基を生成する。これらの末端基が成形時等に分解することにより、成形時のホルムアルデヒド臭の発生やホルムアルデヒド重合物の金型内付着(モールドデポジット)による成形品の外観劣化等の問題が発生することがあった。そのため、ポリオキシメチレンは、この不安定な末端基を、ポリオキシメチレン単独重合体ではエステル化処理等により保護することによって、また、ポリオキシメチレン共重合体では熱分解や加水分解により除去することによって、製品化されている。
これらの末端変性技術において、重合仕上がりの末端変性前と末端変性後とで双方の末端基の定量を行うことは必要不可欠の技術となる。
これらの末端変性技術において、重合仕上がりの末端変性前と末端変性後とで双方の末端基の定量を行うことは必要不可欠の技術となる。
従来、ポリオキシメチレンの末端を定量化する技術はいくつか報告されている。
特許文献1では、プロトン核磁気共鳴スペクトルを利用して、コモノマー含量及び末端基であるメトキシ基やアセチル基を定量する方法が提案されている。
特許文献2及び非特許文献1では、ヘミホルマール末端基及びヒドロキシアルコキシ末端基にアルキルシリル基を導入して1H−NMRによりヘミホルマール末端基及びヒドロキシアルコキシ末端基を定量する方法が提案されている。
特許文献1では、プロトン核磁気共鳴スペクトルを利用して、コモノマー含量及び末端基であるメトキシ基やアセチル基を定量する方法が提案されている。
特許文献2及び非特許文献1では、ヘミホルマール末端基及びヒドロキシアルコキシ末端基にアルキルシリル基を導入して1H−NMRによりヘミホルマール末端基及びヒドロキシアルコキシ末端基を定量する方法が提案されている。
Interfacial Reaction and Its Influence on Phase Morphology and Impact Properties of Modified−Polyacetal / Thermoplastic Polyurethane BlendsJournal of Applied Polymer Science, Vol. 100, 4375−4382 (2006)
しかしながら、特許文献1では、ヘミホルマール基を含む水酸基は、溶媒とスペクトルが重なるため含まれていないと仮定しており、ヘミホルマール基等の測定は達成できていない。
また、特許文献2及び非特許文献1に記載の方法では、導入したアルキルシリル基にて定量化する場合、ヘミホルマール基等に対してのアルキルシリル剤の反応率をほぼ100%にする必要がある。アルキルシリル化剤は反応性が高く、ヘミホルマール基に対して過剰に添加した場合、ポリオキシメチレンの分解を促進して、末端分布そのものを変化させてしまうことがある。また、ヘミホルマール基に対してほぼ等量添加した場合、アルキルシリル化剤は、系内の微量な水分等と反応して、ヘミホルマール基等に付加せず、100%の反応率を維持できないことがある。
更に、特許文献2及び非特許文献1においても、末端が変性されて安定したポリオキシメチレンの定量結果は報告されているが、変性前の重合体についての結果は報告されていない。
したがって、ヘミホルマール基等の不安定な末端について、変性等の化学処理を行わずに直接測定する分析方法が求められる。
また、特許文献2及び非特許文献1に記載の方法では、導入したアルキルシリル基にて定量化する場合、ヘミホルマール基等に対してのアルキルシリル剤の反応率をほぼ100%にする必要がある。アルキルシリル化剤は反応性が高く、ヘミホルマール基に対して過剰に添加した場合、ポリオキシメチレンの分解を促進して、末端分布そのものを変化させてしまうことがある。また、ヘミホルマール基に対してほぼ等量添加した場合、アルキルシリル化剤は、系内の微量な水分等と反応して、ヘミホルマール基等に付加せず、100%の反応率を維持できないことがある。
更に、特許文献2及び非特許文献1においても、末端が変性されて安定したポリオキシメチレンの定量結果は報告されているが、変性前の重合体についての結果は報告されていない。
したがって、ヘミホルマール基等の不安定な末端について、変性等の化学処理を行わずに直接測定する分析方法が求められる。
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためのものであって、ヘミホルマール基等の不安定な末端を変性することなく、ポリオキシメチレンの末端を直接分析することができるポリオキシメチレンの末端の解析方法及び解析システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、本発明は、NMR分光器及びパルスプログラムを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記とおりである。
[1]
(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するステップを含むことを特徴とする、ポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[2]
前記(a)ステップが、シフト化剤を用いて前記複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するステップ(a−1)を含む、[1]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[3]
前記パルスプログラムが1H−13C異種核相関2次元法(proton−carbon hetero correlation2D法)を含み、前記スペクトルにおいて、前記複数種類の末端のそれぞれに対応するピークを帰属する、[1]又は[2]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[4]
前記1H−13C異種核相関2次元法が、1H−13C HMBC又は1H−13C HSQCである、[3]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[5]
前記スペクトルから、DOSY法を用いて拡散係数の大きい成分のスペクトルを抽出する、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[6]
前記(a)ステップが前記ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、前記溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了する、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[7]
前記溶媒として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化率95%以上のd化物を用い、前記溶媒の水分含量が10質量ppm以下である、[6]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[8]
(b)前記スペクトルから、前記複数種類の末端の含有比率を計算するステップを更に含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[9]
前記(b)ステップにおいて、前記複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から前記複数種類の末端の積分比を求めた後、前記積分比を用いて前記複数種類の末端のモル比を求めることにより、前記複数種類の末端の含有比率を計算する、[8]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[10]
前記ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位99.999〜80mol%と、共重合成分単位0.001〜20mol%とを有する、[1]〜[9]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[11]
前記ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド又はその環状多量体を主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとする、[1]〜[10]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[12]
前記ポリオキシメチレンは、重量平均分子量が5,000〜400,000である、[1]〜[11]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[13]
(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するピーク分離モジュールを備えることを特徴とする、ポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[14]
前記(a)ピーク分離モジュールが、シフト化剤を用いて前記複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するモジュール(a−1)を含む、[13]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[15]
前記パルスプログラムが1H−13C異種核相関2次元法を含み、前記スペクトルにおいて、前記複数種類の末端のそれぞれに対応するピークを帰属する、[13]又は[14]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[16]
前記1H−13C異種核相関2次元法が、1H−13C HMBC又は1H−13C HSQCである、[15]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[17]
前記スペクトルから、DOSY法を用いて拡散係数の大きい成分のスペクトルを抽出する、[13]〜[16]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[18]
前記(a)ステップが前記ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、前記溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了する、[13]〜[17]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[19]
前記溶媒として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化率95%以上のd化物を用い、前記溶媒の水分含量が10質量ppm以下である、[18]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[20]
(b)前記スペクトルから、前記複数種類の末端の含有比率を計算する計算モジュールを更に含む、[13]〜[19]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[21]
前記(b)計算モジュールにおいて、前記複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から前記複数種類の末端の積分比を求めた後、前記積分比を用いて前記複数種類の末端のモル比を求めることにより、前記複数種類の末端の含有比率を計算する、[20]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[22]
前記ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位99.999〜80mol%と、共重合成分単位0.001〜20mol%とを有する、[13]〜[21]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[23]
前記ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド又はその環状多量体を主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとする、[13]〜[22]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[24]
前記ポリオキシメチレンは、重量平均分子量が5,000〜400,000である、[13]〜[23]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[1]
(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するステップを含むことを特徴とする、ポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[2]
前記(a)ステップが、シフト化剤を用いて前記複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するステップ(a−1)を含む、[1]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[3]
前記パルスプログラムが1H−13C異種核相関2次元法(proton−carbon hetero correlation2D法)を含み、前記スペクトルにおいて、前記複数種類の末端のそれぞれに対応するピークを帰属する、[1]又は[2]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[4]
前記1H−13C異種核相関2次元法が、1H−13C HMBC又は1H−13C HSQCである、[3]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[5]
前記スペクトルから、DOSY法を用いて拡散係数の大きい成分のスペクトルを抽出する、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[6]
前記(a)ステップが前記ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、前記溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了する、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[7]
前記溶媒として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化率95%以上のd化物を用い、前記溶媒の水分含量が10質量ppm以下である、[6]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[8]
(b)前記スペクトルから、前記複数種類の末端の含有比率を計算するステップを更に含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[9]
前記(b)ステップにおいて、前記複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から前記複数種類の末端の積分比を求めた後、前記積分比を用いて前記複数種類の末端のモル比を求めることにより、前記複数種類の末端の含有比率を計算する、[8]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[10]
前記ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位99.999〜80mol%と、共重合成分単位0.001〜20mol%とを有する、[1]〜[9]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[11]
前記ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド又はその環状多量体を主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとする、[1]〜[10]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[12]
前記ポリオキシメチレンは、重量平均分子量が5,000〜400,000である、[1]〜[11]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
[13]
(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するピーク分離モジュールを備えることを特徴とする、ポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[14]
前記(a)ピーク分離モジュールが、シフト化剤を用いて前記複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するモジュール(a−1)を含む、[13]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[15]
前記パルスプログラムが1H−13C異種核相関2次元法を含み、前記スペクトルにおいて、前記複数種類の末端のそれぞれに対応するピークを帰属する、[13]又は[14]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[16]
前記1H−13C異種核相関2次元法が、1H−13C HMBC又は1H−13C HSQCである、[15]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[17]
前記スペクトルから、DOSY法を用いて拡散係数の大きい成分のスペクトルを抽出する、[13]〜[16]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[18]
前記(a)ステップが前記ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、前記溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了する、[13]〜[17]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[19]
前記溶媒として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化率95%以上のd化物を用い、前記溶媒の水分含量が10質量ppm以下である、[18]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[20]
(b)前記スペクトルから、前記複数種類の末端の含有比率を計算する計算モジュールを更に含む、[13]〜[19]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[21]
前記(b)計算モジュールにおいて、前記複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から前記複数種類の末端の積分比を求めた後、前記積分比を用いて前記複数種類の末端のモル比を求めることにより、前記複数種類の末端の含有比率を計算する、[20]に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[22]
前記ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位99.999〜80mol%と、共重合成分単位0.001〜20mol%とを有する、[13]〜[21]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[23]
前記ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド又はその環状多量体を主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとする、[13]〜[22]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
[24]
前記ポリオキシメチレンは、重量平均分子量が5,000〜400,000である、[13]〜[23]のいずれかに記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
本発明によれば、ヘミホルマール基等の不安定な末端を変性することなく、ポリオキシメチレンの末端を直接分析することができるポリオキシメチレンの末端の解析方法及び解析システムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ポリオキシメチレンの末端の解析方法>
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法は、(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するステップを含むことを特徴とする。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法は、(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するステップを含むことを特徴とする。
〈ポリオキシメチレン〉
本実施形態の解析方法の解析対象であるポリオキシメチレンは、主鎖に以下に示すオキシメチレン構造を単位構造として有する高分子化合物をいい、オキシメチレン単位のみを主鎖に有するホモポリマーと、オキシメチレン単位及びオキシメチレン単位と共重合可能な共重合成分単位を有するコポリマーとが挙げられる。
本実施形態の解析方法の解析対象であるポリオキシメチレンは、主鎖に以下に示すオキシメチレン構造を単位構造として有する高分子化合物をいい、オキシメチレン単位のみを主鎖に有するホモポリマーと、オキシメチレン単位及びオキシメチレン単位と共重合可能な共重合成分単位を有するコポリマーとが挙げられる。
本実施形態のポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位99.999〜80mol%と、共重合成分単位0.001〜20mol%とを有するコポリマーであることが好ましい。
オキシメチレン単位及び共重合成分単位の各割合が上記範囲にあると、熱安定性と耐摩耗性のバランスに優れたものとなる。
オキシメチレン単位は、99.8〜90mol%であることがより好ましく、99.7〜95mol%であることが更に好ましい。また、共重合成分単位は、0.2〜10mol%であることがより好ましく、0.3〜5mol%であることが更に好ましい。
なお本開示で、ポリオキシメチレンにおけるオキシメチレン単位及び共重合成分単位の各割合は、1H−NMRを用いて求めることができる。
オキシメチレン単位及び共重合成分単位の各割合が上記範囲にあると、熱安定性と耐摩耗性のバランスに優れたものとなる。
オキシメチレン単位は、99.8〜90mol%であることがより好ましく、99.7〜95mol%であることが更に好ましい。また、共重合成分単位は、0.2〜10mol%であることがより好ましく、0.3〜5mol%であることが更に好ましい。
なお本開示で、ポリオキシメチレンにおけるオキシメチレン単位及び共重合成分単位の各割合は、1H−NMRを用いて求めることができる。
ポリオキシメチレンコポリマーとしては、例えば、ホルムアルデヒド又はその環状多量体(ホルムアルデヒドの3量体であるトリオキサン、4量体であるテトラオキサン等)を主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとするコポリマーが挙げられる。中でも代表的なものは、トリオキサンと環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを重合触媒の存在下で共重合して得られるポリアセタール共重合体である。
トリオキサンは、ホルムアルデヒドの環状3量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることにより得られる。
このようにして得られるトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチル等の重合反応中に重合停止作用及び連鎖移動作用を示す不純物を含有している場合があるので、例えば、蒸留等の方法でこれらの不純物を除去精製することが好ましい。
このようにして得られるトリオキサンは、水、メタノール、蟻酸、蟻酸メチル等の重合反応中に重合停止作用及び連鎖移動作用を示す不純物を含有している場合があるので、例えば、蒸留等の方法でこれらの不純物を除去精製することが好ましい。
環状エーテル及び/又は環状ホルマールは、前記トリオキサンと共重合可能な成分(コモノマー成分)であり、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキサタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられる。
これらの中でも、特に1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特に1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合時における環状エーテル及び/又は環状ホルマールの添加量は、前記トリオキサン1molに対して1.0×10-2〜7.0×10-2molであることが好ましく、より好ましくは3.0×10-2〜6.0×10-2molである。環状エーテル及び/又は環状ホルマールの添加量がこの範囲であると、熱安定性と耐摩耗性のバランスに優れたポリオキシメチレンを得ることができる。
トリオキサンが特に1,3,5−トリオキサンである場合、ポリオキシメチレンにおける1,3,5−トリオキサン単位は、99.8〜80mol%であることが好ましく、99.6〜80mol%であることがより好ましく、99.4〜90mol%であることが更に好ましい。
また、環状エーテル及び/又は環状ホルマールが1,3−ジオキソランである場合、ポリオキシメチレンにおける1,3−ジオキソラン単位は、0.2〜20mol%であることが好ましく、0.4〜20mol%であることがより好ましく、0.6〜10mol%であることが更に好ましい。
また、環状エーテル及び/又は環状ホルマールが1,3−ジオキソランである場合、ポリオキシメチレンにおける1,3−ジオキソラン単位は、0.2〜20mol%であることが好ましく、0.4〜20mol%であることがより好ましく、0.6〜10mol%であることが更に好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンの複数種類の末端の構造としては、例えば、以下に示すような、ヘミホルマール基、エチレングリコール基(−OCH2CH2OH)等のヒドロキシアルコキシ基、メトキシ基、アルコキシル基、ホルミル基等が挙げられる。
本実施形態のポリオキシメチレンは、重量平均分子量が5,000〜400,000であることが好ましく、より好ましくは6,000〜200,000、更に好ましくは7,000〜100,000である。重量平均分子量が5,000〜400,000であると、成形加工時の流動性と成形品としての機械強度とを両立することができる。
また、本実施形態のポリオキシメチレンは、数平均分子量が500〜200,000であることが好ましく、より好ましくは600〜100,000、更に好ましくは700〜50,000である。数平均分子量が500〜200,000であると、成形加工時の流動性と成形品としての機械強度とを両立することができる。
なお本開示で、ポリオキシメチレンの重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)測定により得られる値である。
また、本実施形態のポリオキシメチレンは、数平均分子量が500〜200,000であることが好ましく、より好ましくは600〜100,000、更に好ましくは700〜50,000である。数平均分子量が500〜200,000であると、成形加工時の流動性と成形品としての機械強度とを両立することができる。
なお本開示で、ポリオキシメチレンの重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)測定により得られる値である。
〈ポリオキシメチレンの製造方法〉
ポリオキシメチレンの製造方法は、特に限定されるものでなく、公知の重合方法を用いることができ、オキシメチレン単位を構成するモノマーと共重合成分単位を構成するモノマーとを重合触媒の存在下で共重合させることにより得られる。
ポリオキシメチレンの製造方法は、特に限定されるものでなく、公知の重合方法を用いることができ、オキシメチレン単位を構成するモノマーと共重合成分単位を構成するモノマーとを重合触媒の存在下で共重合させることにより得られる。
重合触媒としては、ホウ酸、スズ、チタン、リン、ヒ素、及びアンチモンのハロゲン化物に代表されるルイス酸が挙げられ、特に、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素系水和物、及び酸素原子又は硫黄原子を含む有機化合物と三フッ化ホウ素との配位錯化合物が好ましい。具体的には、例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートが好適例として挙げられる。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合触媒は、希釈して使用することが好ましく、希釈する溶媒としては、重合反応に関与したり悪影響を及ぼしたりするものでなければ特に限定されるものではない。
上記希釈溶媒としては、例えば、環状構造を有する化合物として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられ、直鎖構造を有する化合物として、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
これらの中でも、安価であるという観点から、脂肪族炭化水素が好ましく、環状構造を有する化合物としてはシクロヘキサン、直鎖構造を有する化合物としてはn−ヘプタン、n−ヘキサンを好適例として挙げることができる。
上記希釈溶媒としては、例えば、環状構造を有する化合物として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類等が挙げられ、直鎖構造を有する化合物として、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
これらの中でも、安価であるという観点から、脂肪族炭化水素が好ましく、環状構造を有する化合物としてはシクロヘキサン、直鎖構造を有する化合物としてはn−ヘプタン、n−ヘキサンを好適例として挙げることができる。
重合触媒の添加量は、例えば、主モノマーとしてトリオキサンを使用する場合は、トリオキサン1molに対して1×10-6〜1×10-4molの範囲が好ましく、より好ましくは3×10-6〜5×10-5molの範囲であり、更に好ましくは5×10-6〜4×10-5molの範囲である。
重合触媒の添加量が前記範囲内であるとき、安定して長時間の重合反応を実施することができる。
重合触媒の添加量が前記範囲内であるとき、安定して長時間の重合反応を実施することができる。
〈(a)ステップ〉
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップは、複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定する。
(a)ステップで使用されるNMR分光器としては、1H−NMR分光器であれば特別な制限はないが、700MHz以上の高磁場NMR分光器であることが好ましく、例えば、Bruker社製AVANCE III HD 900MHz NMR spectrometer(1H:900MHz、13C:226MHz)等を用いることができる。
700MHz以上の高磁場NMRであると、微量の構造に由来するピークを検出することができる。例えば、解析対象の末端基がエチレングリコール基であり、ポリオキシメチレンコポリマーが数万〜十数万の高分子量を有する場合、ポリオキシメチレンコポリマーにおけるコモノマー構造の割合に相関して末端でのエチレングリコール基の割合も低くなり、微量であるため、エチレングリコール末端のピークの検出が困難である。また、解析対象の末端基がヘミホルマール基である場合、ヘミホルマール基のプロトンピークは、主鎖のオキシメチレンのプロトンピークと重なっていると考えられ、分離が困難である。そのため、いずれの末端基の場合も、微量の構造に由来するピークを検出することが可能な700MHz以上の高磁場NMRを用いることが好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップは、複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定する。
(a)ステップで使用されるNMR分光器としては、1H−NMR分光器であれば特別な制限はないが、700MHz以上の高磁場NMR分光器であることが好ましく、例えば、Bruker社製AVANCE III HD 900MHz NMR spectrometer(1H:900MHz、13C:226MHz)等を用いることができる。
700MHz以上の高磁場NMRであると、微量の構造に由来するピークを検出することができる。例えば、解析対象の末端基がエチレングリコール基であり、ポリオキシメチレンコポリマーが数万〜十数万の高分子量を有する場合、ポリオキシメチレンコポリマーにおけるコモノマー構造の割合に相関して末端でのエチレングリコール基の割合も低くなり、微量であるため、エチレングリコール末端のピークの検出が困難である。また、解析対象の末端基がヘミホルマール基である場合、ヘミホルマール基のプロトンピークは、主鎖のオキシメチレンのプロトンピークと重なっていると考えられ、分離が困難である。そのため、いずれの末端基の場合も、微量の構造に由来するピークを検出することが可能な700MHz以上の高磁場NMRを用いることが好ましい。
(a)ステップにおいて、パルスプログラムは、NMR分光器で得られたスペクトルにおいて、ポリオキシメチレンの複数種類の末端のそれぞれに対応するピークを帰属する。
(a)ステップで使用されるパルスプログラムとしては、例えば、2次元同種核相関分光法(COSY:Correlation Spectroscopy)、1H−13C異種核相関2次元法(proton−carbon hetero correlation2D法)等の2次元異種核相関分光法、拡散整列分光法(DOSY:Diffusion Ordered Spectroscopy)等を利用するパルスプログラムを用いることができる。具体的には、1H−1H COSYパルスプログラム、1H−13C HMBC(Heteronuclear Multiple Bond Correlation Spectroscopy)パルスプログラム又は1H−13C HSQC(Heteronuclear Single−Quantum Correlation Spectroscopy)パルスプログラム、Bruker社製s/w Topspin v3.2に含まれるDOSYパルスプログラム等が挙げられる。
(a)ステップで使用されるパルスプログラムとしては、例えば、2次元同種核相関分光法(COSY:Correlation Spectroscopy)、1H−13C異種核相関2次元法(proton−carbon hetero correlation2D法)等の2次元異種核相関分光法、拡散整列分光法(DOSY:Diffusion Ordered Spectroscopy)等を利用するパルスプログラムを用いることができる。具体的には、1H−1H COSYパルスプログラム、1H−13C HMBC(Heteronuclear Multiple Bond Correlation Spectroscopy)パルスプログラム又は1H−13C HSQC(Heteronuclear Single−Quantum Correlation Spectroscopy)パルスプログラム、Bruker社製s/w Topspin v3.2に含まれるDOSYパルスプログラム等が挙げられる。
NMR分光器及びパルスプログラムを用いて得られるスペクトルとしては、1H、13C、15N、19F、29Si、31P等のスペクトルが挙げられるが、好適には1H及び13Cスペクトルである。
《ステップ(a−1)》
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップは、シフト化剤を用いて複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するステップ(a−1)を含むことが好ましい。
ポリオキシメチレンの解析対象である末端基のピークは、候補のピークが複数存在する場合や、他のピークと重なっている場合等があり、どのピークが解析対象の末端基のピークであるのかを同定することが難しい。
そこで、シフト化剤を用いて解析対象である末端基を置換し、置換前後で当該末端基のピークの位置を変える(即ち、ピークをシフトさせる)ことにより、当該末端基のピークがどれであるかを推定することが可能となる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップは、シフト化剤を用いて複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するステップ(a−1)を含むことが好ましい。
ポリオキシメチレンの解析対象である末端基のピークは、候補のピークが複数存在する場合や、他のピークと重なっている場合等があり、どのピークが解析対象の末端基のピークであるのかを同定することが難しい。
そこで、シフト化剤を用いて解析対象である末端基を置換し、置換前後で当該末端基のピークの位置を変える(即ち、ピークをシフトさせる)ことにより、当該末端基のピークがどれであるかを推定することが可能となる。
シフト化剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、n−トリメチルシリルイミダゾール、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド等のトリメチルシリル(TMS)化剤;1,1,3,3−テトラメチルジシラザン等のジメチルシリル(DMS)化剤;1−(ジメチルエチルシリル)イミダゾール等のジメチルアルキルシリル化剤;N−(tert−ブチルジメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセトアミド等のtert−ブチルジメチルシリル化剤;1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン等のハロメチルシリル化剤;ペンタフルオロフェニルジメチルシリルジエチルアミン等のペンタフルオロフェニルジメチルシリル化剤;N,O−ビス(ジエチルヒドロゲンシリル)トリフルオロアセトアミド;環状シリレン化剤等を用いることができる。中でも、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドは反応性が高く好ましい。
例えば、解析対象の末端基がエチレングリコール基である場合、エチレングリコール基のプロトンは、OH基に近いα位の炭素に結合するものと主鎖側に位置するβ位の炭素に結合するものとが存在する。α位のプロトンピークは、主鎖のオキシエチレンのプロトンピークと重なっていると推定される(1H−NMR測定(溶媒:HFIP−d2、基準:4.40ppm(HFIP)、室温)において、3.81〜3.87ppm)。また、β位のプロトンピークは、エチレングリコール(EG)及びポリエチレングリコール(PEG)のスペクトルと比較することによりその位置が推定される(1H−NMR測定(溶媒:HFIP−d2、基準:4.40ppm(HFIP)、室温)において、3.77〜3.81ppm)。しかしながら、プロトンピークをより確実に同定するために、ステップ(a−1)によりシフトするピークを観察して更に検証することが好ましい(図1参照)。
なお、シフト化剤としてTMS化剤を用いた場合、エチレングリコール基は以下のようにTMS化される。
なお、シフト化剤としてTMS化剤を用いた場合、エチレングリコール基は以下のようにTMS化される。
また、解析対象の末端基がヘミホルマール基である場合においても、ヘミホルマール基のプロトンピークは、主鎖のオキシメチレンのプロトンピークと重なっていると考えられるため(1H−NMR測定(溶媒:HFIP−d2、基準:4.40ppm(HFIP)、室温)において、4.94〜4.99ppm付近)、ステップ(a−1)によりシフトするピークを観察して検証することが好ましい(図5参照)。
なお、シフト化剤としてTMS化剤を用いた場合、ヘミホルマール基は以下のようにTMS化される。
なお、シフト化剤としてTMS化剤を用いた場合、ヘミホルマール基は以下のようにTMS化される。
《二次元NMR分光法による検討》
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップにおいて、パルスプログラムとしては、2次元同種核相関分光法(COSY)及び/又は2次元異種核相関分光法等の2次元NMR分光法を利用したパルスプログラムを用いることが好ましい。2次元NMR分光法を用いることにより、測定対象の分子の結合状態について観測することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップにおいて、パルスプログラムとしては、2次元同種核相関分光法(COSY)及び/又は2次元異種核相関分光法等の2次元NMR分光法を利用したパルスプログラムを用いることが好ましい。2次元NMR分光法を用いることにより、測定対象の分子の結合状態について観測することができる。
2次元同種核相関分光法(COSY)としては、1H−1H COSY、1H−1H DQF−COSY等が好ましい。
1H−1H COSY、1H−1H DQF−COSYによれば、プロトン同士の位置関係を検出することができる。特に、1H−1H DQF−COSYによれば、対角ピークと接近した相関ピークの分離を向上させることができる(エチレングリコール基について図2参照)。
1H−1H COSY、1H−1H DQF−COSYによれば、プロトン同士の位置関係を検出することができる。特に、1H−1H DQF−COSYによれば、対角ピークと接近した相関ピークの分離を向上させることができる(エチレングリコール基について図2参照)。
また、2次元異種核相関分光法としては、1H−13C HSQC−TOCSY(エチレングリコール基について図3参照)等を含む1H−13C HSQC、1H−13C HMBC等が好ましい。
1H−13C HSQCによれば、1つの結合により隔てられたプロトン−カーボン間の相関を検出することができる。
また、1H−13C HMBCによれば、2〜3結合のより長い範囲にわたるプロトン−カーボン間の相関を検出することができる。
1H−13C HSQCによれば、1つの結合により隔てられたプロトン−カーボン間の相関を検出することができる。
また、1H−13C HMBCによれば、2〜3結合のより長い範囲にわたるプロトン−カーボン間の相関を検出することができる。
また、本実施形態の(a)ステップは、拡散係数の大きい成分のスペクトルを抽出するために拡散整列分光法(DOSY)を利用したパルスプログラムを使用することが好ましく、特に、Bruker社製s/w Topspin v3.2に含まれるDOSYパルスプログラムが好ましい。
DOSYによれば、複数の分子種からなる混合試料について、各分子種の自己拡散係数の差を利用してスペクトルを分離することができる。
DOSYによれば、複数の分子種からなる混合試料について、各分子種の自己拡散係数の差を利用してスペクトルを分離することができる。
以下、異種核相関分光法として1H−13C HMBC、1H−13C HSQC、及びDOSYを利用したパルスプログラムの使用について、解析対象の末端基がエチレングリコール基である場合とヘミホルマール基である場合を例に説明する。
解析対象の末端基がエチレングリコール基である場合、高磁場NMRを用いて1Hスペクトルを得ると、試料中のエチレングリコール基に近い構造を持つオリゴマーを検出してしまうため、エチレングリコール基のプロトンピークとオリゴマーのプロトンピークとを更に分離する必要がある。
そこで、カーボンとプロトンとの直接結合を検出することが可能なHSQCにてエチレングリコール基のβ位のカーボンと相関を示し(図3参照)、かつ、対象の原子間に2〜3個の結合が存在することを示すHMBCではα位のカーボンと相関を示すピークを検出すること、及び、エチレングリコール基と構造が類似したオリゴマー成分と分離するためにDOSYにて拡散時間のフィルタを掛け、自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)のみを抽出することにより、エチレングルコール末端のプロトンピークを特定することができる(図4参照)。
そこで、カーボンとプロトンとの直接結合を検出することが可能なHSQCにてエチレングリコール基のβ位のカーボンと相関を示し(図3参照)、かつ、対象の原子間に2〜3個の結合が存在することを示すHMBCではα位のカーボンと相関を示すピークを検出すること、及び、エチレングリコール基と構造が類似したオリゴマー成分と分離するためにDOSYにて拡散時間のフィルタを掛け、自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)のみを抽出することにより、エチレングルコール末端のプロトンピークを特定することができる(図4参照)。
また、解析対象の末端基がヘミホルマール基である場合、ヘミホルマール基のプロトンピークは、主鎖であるオキシメチレンのプロトンピークと重なっていると考えられるが、単純に高磁場NMRにて主鎖ピークから分離してヘミホルマール末端数を定量すると、GPCや粘度から求める分子量から算出されるヘミホルマール末端数と大きく異なるものとなる。この原因として、主鎖から分離されたピークには、ヘミホルマール末端以外の成分のピークが含まれていることが判明し、このヘミホルマール末端以外の成分は、不安定なヘミホルマール末端が分解してできた3〜4量体程度の低分子量成分(オリゴマー成分)であると考えられる。
そこで、オキシメチレン主鎖のカーボンピークよりも高いケミカルシフト位置にあるヘミホルマール基のカーボンと、オキシメチレン主鎖のプロトンピークよりも低いケミカルシフト位置にあるヘミホルマール基のプロトンについて、カーボンとプロトンとの直接結合を検出するHSQCでは相関が見られるが、対象の原子間に2〜3個の結合が存在することを示すHMBCでは相関が見られないピークを検出すること、及び、ヘミホルマール基と構造が類似したオリゴマー成分と分離するため、DOSYにて拡散時間のフィルタを掛け、自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)のみを抽出することにより、ヘミホルマール基のプロトンピークを特定することができる(図7、8参照)。
そこで、オキシメチレン主鎖のカーボンピークよりも高いケミカルシフト位置にあるヘミホルマール基のカーボンと、オキシメチレン主鎖のプロトンピークよりも低いケミカルシフト位置にあるヘミホルマール基のプロトンについて、カーボンとプロトンとの直接結合を検出するHSQCでは相関が見られるが、対象の原子間に2〜3個の結合が存在することを示すHMBCでは相関が見られないピークを検出すること、及び、ヘミホルマール基と構造が類似したオリゴマー成分と分離するため、DOSYにて拡散時間のフィルタを掛け、自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)のみを抽出することにより、ヘミホルマール基のプロトンピークを特定することができる(図7、8参照)。
《測定試料の調製》
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップは、ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了することが好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップは、ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了することが好ましい。
ポリオキシメチレンは、溶媒への溶解性が低く、分析のために溶媒に全量を溶解させることは困難である。そのため、例えば、上記特許文献1では、ポリオキシメチレン溶液を室温で12時間放置した後、55℃に昇温してNMR測定を実施している。
また、不安定な末端を持つポリオキシメチレンは、溶媒への溶解時に、末端部分の分解が発生して、末端構造に形状が類似しているオリゴマーが容易に発生することがある。
また、不安定な末端を持つポリオキシメチレンは、溶媒への溶解時に、末端部分の分解が発生して、末端構造に形状が類似しているオリゴマーが容易に発生することがある。
そこで、ポリオキシメチレンの不安定な末端の分解を抑制しつつポリオキシメチレンを溶媒に完全に溶解させるために、溶解温度25〜45℃の範囲で制御し、2mm以上の振幅かつ600rpm以上の振動数による振動振盪で溶解を行うことが特に好ましい。
また、この溶解液は時間の経過とともに不安定末端の分解が進むので、溶解を3時間以内に行い、全解析工程を溶解開始から9時間以内に完了することが特に好ましい。
また、この溶解液は時間の経過とともに不安定末端の分解が進むので、溶解を3時間以内に行い、全解析工程を溶解開始から9時間以内に完了することが特に好ましい。
溶解温度が25℃よりも低い場合は、振動条件を高速化しても完全に溶解しないことがある。溶解温度が45℃よりも高い場合は、溶解と不安定な末端の分解が同時に発生して、不安定末端の直接測定が困難となることがある。溶解温度は、より好ましくは28〜43℃、更に好ましくは30〜40℃である。
また、振動振盪せずに静置状態若しくは600rpm未満の振動数で溶解した場合には、完全に溶解しないことがある。振動数は、より好ましくは800〜2500rpm、更に好ましくは1000〜2500rpmである。また、振幅は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また、好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下である。
溶解時間は、好ましくは1〜5時間以内、より好ましくは1〜4時間以内、更に好ましくは1〜3時間以内である。また、溶解開始から解析完了までの時間は、好ましくは1〜48時間以内、より好ましくは1〜24時間以内、更に好ましくは1〜9時間以内である。
また、振動振盪せずに静置状態若しくは600rpm未満の振動数で溶解した場合には、完全に溶解しないことがある。振動数は、より好ましくは800〜2500rpm、更に好ましくは1000〜2500rpmである。また、振幅は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、また、好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下である。
溶解時間は、好ましくは1〜5時間以内、より好ましくは1〜4時間以内、更に好ましくは1〜3時間以内である。また、溶解開始から解析完了までの時間は、好ましくは1〜48時間以内、より好ましくは1〜24時間以内、更に好ましくは1〜9時間以内である。
測定試料溶液に用いる溶媒としては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)のd化率95%以上のd化物(重水素化物)、1,2ジクロロベンゼン(但し、150℃以上)、ジメチルホルムアミド等が好ましい。中でも、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化物が特に好ましい。
溶媒として1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化物を使用する場合、溶媒の水分含量は、100質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは、50質量ppm以下、更に好ましくは10質量ppm以下である。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールは、フッ素原子による強い電子吸引性の誘起効果により、高い酸性度を示す。このため、分子内に塩基性部分を有する溶解度の低い高分子に対しても、塩基性部分と水素結合を形成して溶解する挙動を示す。しかしながら、溶媒中に100質量ppmを超える水分が含まれている場合は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールとポリオキシメチレンとの水素結合を水が干渉することにより溶解性が低下する。そのため、溶解温度を上げることや溶解時間を増加させる必要があるが、この場合、ポリオキシメチレンの不安定末端の分解が発生することがある。
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールは、フッ素原子による強い電子吸引性の誘起効果により、高い酸性度を示す。このため、分子内に塩基性部分を有する溶解度の低い高分子に対しても、塩基性部分と水素結合を形成して溶解する挙動を示す。しかしながら、溶媒中に100質量ppmを超える水分が含まれている場合は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールとポリオキシメチレンとの水素結合を水が干渉することにより溶解性が低下する。そのため、溶解温度を上げることや溶解時間を増加させる必要があるが、この場合、ポリオキシメチレンの不安定末端の分解が発生することがある。
測定試料溶液のポリオキシメチレン濃度は、ポリオキシメチレンの各末端に対応するピークの分離、帰属、オリゴマー類のピークとの分離のため、上述のように、HSQC、HMBC、及びDOSY法を用いる場合は、13C−NMRの測定に必要とされる1〜20質量%であることが望ましい。ただし、1H−NMRの測定では、希薄溶液の方が高分解能のピークが得られる。そのため、より高精度の定量値を得るために、末端が同一構造であると判断される試料について、1〜20質量%の濃度にてHMQC、HMBCの測定を行い、ピークの帰属を決定後に、0.1質量%以下の濃度にて1H−NMR及びDOSYにより定量化することも可能である。
〈(b)ステップ〉
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法は、(b)上記(a)ステップで得られたスペクトルから、複数種類の末端の含有比率を計算するステップを更に含むことが好ましい。
また、(b)ステップにおいて、複数種類の末端の含有比率の計算は、複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から複数種類の末端の積分比を求めた後、この積分比を用いて複数種類の末端のモル比を求めることにより行うことが好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法は、(b)上記(a)ステップで得られたスペクトルから、複数種類の末端の含有比率を計算するステップを更に含むことが好ましい。
また、(b)ステップにおいて、複数種類の末端の含有比率の計算は、複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から複数種類の末端の積分比を求めた後、この積分比を用いて複数種類の末端のモル比を求めることにより行うことが好ましい。
<ポリオキシメチレンの末端の解析システム>
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムは、(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するピーク分離モジュールを備えることを特徴とする。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムは、(a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するピーク分離モジュールを備えることを特徴とする。
〈ポリオキシメチレン〉
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムにおいて解析対象であるポリオキシメチレンは、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムにおいて解析対象であるポリオキシメチレンは、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
〈(a)ピーク分離モジュール〉
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムに含まれる(a)ピーク分離モジュールは、複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定する。
なお本開示において、モジュールとの用語は、特定の機能や動作を処理する1つの単位を意味し、これはハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの結合により実現することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムに含まれる(a)ピーク分離モジュールは、複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定する。
なお本開示において、モジュールとの用語は、特定の機能や動作を処理する1つの単位を意味し、これはハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの結合により実現することができる。
(a)ピーク分離モジュールにおいて使用されるNMR分光器、パルスプログラム、及びNMR分光器及びパルスプログラムを用いて得られるスペクトルは、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
《モジュール(a−1)》
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムに含まれる(a)ピーク分離モジュールは、シフト化剤を用いて複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するモジュール(a−1)を含むことが好ましい。
モジュール(a−1)において使用されるシフト化剤は、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムに含まれる(a)ピーク分離モジュールは、シフト化剤を用いて複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するモジュール(a−1)を含むことが好ましい。
モジュール(a−1)において使用されるシフト化剤は、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
《二次元NMR分光法による検討》
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップにおいて、パルスプログラムとしては、2次元同種核相関分光法及び2次元異種核相関分光法等の2次元NMR分光法を利用したパルスプログラムを用いることが好ましい。
(a)ステップにおいて使用される2次元NMR分光法は、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法に含まれる(a)ステップにおいて、パルスプログラムとしては、2次元同種核相関分光法及び2次元異種核相関分光法等の2次元NMR分光法を利用したパルスプログラムを用いることが好ましい。
(a)ステップにおいて使用される2次元NMR分光法は、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
《測定試料の調製》
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムに含まれる(a)ピーク分離モジュールは、ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了することが好ましい。
測定試料溶液に用いる溶媒としては、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムに含まれる(a)ピーク分離モジュールは、ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了することが好ましい。
測定試料溶液に用いる溶媒としては、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法におけるものと同様のものを使用することができる。
測定試料溶液のポリオキシメチレン濃度は、上述の本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法における濃度と同様の濃度とすることができる。
〈(b)計算モジュール〉
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムは、(b)上記(a)ピーク分離モジュールで得られたスペクトルから、複数種類の末端の含有比率を計算する計算モジュールを更に含むことが好ましい。
また、(b)計算モジュールにおいて、複数種類の末端の含有比率の計算は、複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から複数種類の末端の積分比を求めた後、この積分比を用いて複数種類の末端のモル比を求めることにより行うことが好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析システムは、(b)上記(a)ピーク分離モジュールで得られたスペクトルから、複数種類の末端の含有比率を計算する計算モジュールを更に含むことが好ましい。
また、(b)計算モジュールにおいて、複数種類の末端の含有比率の計算は、複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から複数種類の末端の積分比を求めた後、この積分比を用いて複数種類の末端のモル比を求めることにより行うことが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、下記に開示される本発明の実施例はあくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲に示されており、なおかつ特許請求の範囲の記録と均等な意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
実施例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
(1)ポリオキシメチレンの重量平均分子量及び数平均分子量
ポリオキシメチレンを秤量し、HFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、セントラル硝子製)及び10mM−CF3COONa(和光純薬工業製、1級)を含む溶離液を加えて濃度4mg/mLとした。この溶液を、室温で一晩静置溶解させ緩やかに振り混ぜた後、0.1μmのPTFEカートリッジフィルターでろ過を行ったものを試料溶液として用いた。
重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー法によりGPC装置(東ソー社製、HLC−8220GPC)、カラム(東ソー社製、TSKgelSuper AWM−H(6mmI.D×15cm)×2本)、検出器(示差屈折率計(RI検出器)、Polarity=(+))を用いて、流速0.3mL/分、カラム温度40℃、試料溶液の注入量20μLで測定を行った。
得られた結果から、標準PMMA(Polymer Laboratorues製)を用いた3次近似曲線によるPMMA換算分子量として、重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。
ポリオキシメチレンを秤量し、HFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、セントラル硝子製)及び10mM−CF3COONa(和光純薬工業製、1級)を含む溶離液を加えて濃度4mg/mLとした。この溶液を、室温で一晩静置溶解させ緩やかに振り混ぜた後、0.1μmのPTFEカートリッジフィルターでろ過を行ったものを試料溶液として用いた。
重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー法によりGPC装置(東ソー社製、HLC−8220GPC)、カラム(東ソー社製、TSKgelSuper AWM−H(6mmI.D×15cm)×2本)、検出器(示差屈折率計(RI検出器)、Polarity=(+))を用いて、流速0.3mL/分、カラム温度40℃、試料溶液の注入量20μLで測定を行った。
得られた結果から、標準PMMA(Polymer Laboratorues製)を用いた3次近似曲線によるPMMA換算分子量として、重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。
(2)ポリオキシメチレンにおけるオキシメチレン単位及び共重合成分単位の割合
ポリオキシメチレンを秤量し、95%以上d化されているHFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、セントラル硝子製)に室温で溶解して3質量%の溶液を調製した。この溶液について1H−NMRにて下記の測定条件で測定を行った。オキシメチレン単位のピーク(4.97ppm付近)及び共重合成分単位(実施例の場合、オキシエチレン単位)のピーク(3.83ppm付近)のそれぞれについてピーク強度の積算値を求め、オキシメチレン単位及び共重合成分単位の割合を算出した。
1H−NMR 測定条件
装置:500MHzNMR分光器(日本電子株式会社製、JEOL−ECZ500+Super Cool)
観測核:1H
共鳴周波数:500MHz
Scan:任意
パルス幅:5.5μ秒
待ち時間:5.0秒
積算回数:512回
溶媒:HFIP−d2
基準:4.40ppm(HFIP)
温度:室温
ポリオキシメチレンを秤量し、95%以上d化されているHFIP(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、セントラル硝子製)に室温で溶解して3質量%の溶液を調製した。この溶液について1H−NMRにて下記の測定条件で測定を行った。オキシメチレン単位のピーク(4.97ppm付近)及び共重合成分単位(実施例の場合、オキシエチレン単位)のピーク(3.83ppm付近)のそれぞれについてピーク強度の積算値を求め、オキシメチレン単位及び共重合成分単位の割合を算出した。
1H−NMR 測定条件
装置:500MHzNMR分光器(日本電子株式会社製、JEOL−ECZ500+Super Cool)
観測核:1H
共鳴周波数:500MHz
Scan:任意
パルス幅:5.5μ秒
待ち時間:5.0秒
積算回数:512回
溶媒:HFIP−d2
基準:4.40ppm(HFIP)
温度:室温
(3)定量性
900MHzNMR分光器及び500MHzNMR分光器により得られたポリオキシメチレンの1Hスペクトル及び13Cスペクトルにおいて、エチレングリコール末端ピーク及びヘミホルマール末端ピークの定量性を以下の評価基準により評価した。
○(優れる):ピークが他のピークから分離しており、ピーク強度の積算値の計算(定量化)が可能である。
△(可):ピークは他のピークから分離されていないが、ピークの形状が確認でき、ピーク強度の積算値の計算(定量化)が可能である。
×(不良):ピークが他のピークから分離されていないため、ピークの形状が確認できず(例えば、ピークが主鎖骨格構造のピークのショルダーと同化している等)、ピーク強度の積算値の計算(定量化)ができない。
900MHzNMR分光器及び500MHzNMR分光器により得られたポリオキシメチレンの1Hスペクトル及び13Cスペクトルにおいて、エチレングリコール末端ピーク及びヘミホルマール末端ピークの定量性を以下の評価基準により評価した。
○(優れる):ピークが他のピークから分離しており、ピーク強度の積算値の計算(定量化)が可能である。
△(可):ピークは他のピークから分離されていないが、ピークの形状が確認でき、ピーク強度の積算値の計算(定量化)が可能である。
×(不良):ピークが他のピークから分離されていないため、ピークの形状が確認できず(例えば、ピークが主鎖骨格構造のピークのショルダーと同化している等)、ピーク強度の積算値の計算(定量化)ができない。
〈原材料等〉
・オキシメチレン単位のモノマー:1,3,5−トリオキサン(シグマアルドリッチ社製)
・共重合成分単位のモノマー:1,3−ジオキソラン(シグマアルドリッチ社製)
・重合触媒:三フッ化ホウ素錯体(三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート、シグマアルドリッチ社製)
・分子量調整剤:メチラール(シグマアルドリッチ社製)
・重合触媒の失活剤:トリエチルアミン(シグマアルドリッチ社製)
・オキシメチレン単位のモノマー:1,3,5−トリオキサン(シグマアルドリッチ社製)
・共重合成分単位のモノマー:1,3−ジオキソラン(シグマアルドリッチ社製)
・重合触媒:三フッ化ホウ素錯体(三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート、シグマアルドリッチ社製)
・分子量調整剤:メチラール(シグマアルドリッチ社製)
・重合触媒の失活剤:トリエチルアミン(シグマアルドリッチ社製)
〈測定試薬〉
・TMS化剤:N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(シグマアルドリッチ社製)
・溶媒:HFIP−d2(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化物、シグマアルドリッチ社製、d化率:99%、水分含量:1質量ppm)
・TMS化剤:N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(シグマアルドリッチ社製)
・溶媒:HFIP−d2(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化物、シグマアルドリッチ社製、d化率:99%、水分含量:1質量ppm)
〈測定装置〉
・500MHzNMR分光器(日本電子株式会社製、JEOL−ECZ500+Super Cool)
観測核:1H
共鳴周波数:500MHz
Scan:任意
パルス幅:5.5μ秒
待ち時間:5.0秒
積算回数:512回
溶媒:HFIP−d2
基準:4.40ppm(HFIP)
温度:室温
観測核:13C
共鳴周波数:125MHz
Scan:任意
パルス幅:3.5μ秒
待ち時間:2.0秒
積算回数:10000回
溶媒:HFIP−d2
基準:71.28ppm(HFIP)
温度:室温
・900MHzNMR分光器(Bruker社製、BRUKER−900+クライオプローブ)(国立研究開発法人理化学研究所が所有)
観測核:1H
共鳴周波数:900MHz
Scan:任意
パルス幅:5.3μ秒
待ち時間:2.0秒
積算回数:32回
溶媒:HFIP−d2
基準:4.40ppm(HFIP)
温度:室温
観測核:13C
共鳴周波数:225MHz
Scan:任意
パルス幅:5.0μ秒
待ち時間:0.72秒
積算回数:2048回
溶媒:HFIP−d2
基準:71.28ppm(HFIP)
温度:室温
・500MHzNMR分光器(日本電子株式会社製、JEOL−ECZ500+Super Cool)
観測核:1H
共鳴周波数:500MHz
Scan:任意
パルス幅:5.5μ秒
待ち時間:5.0秒
積算回数:512回
溶媒:HFIP−d2
基準:4.40ppm(HFIP)
温度:室温
観測核:13C
共鳴周波数:125MHz
Scan:任意
パルス幅:3.5μ秒
待ち時間:2.0秒
積算回数:10000回
溶媒:HFIP−d2
基準:71.28ppm(HFIP)
温度:室温
・900MHzNMR分光器(Bruker社製、BRUKER−900+クライオプローブ)(国立研究開発法人理化学研究所が所有)
観測核:1H
共鳴周波数:900MHz
Scan:任意
パルス幅:5.3μ秒
待ち時間:2.0秒
積算回数:32回
溶媒:HFIP−d2
基準:4.40ppm(HFIP)
温度:室温
観測核:13C
共鳴周波数:225MHz
Scan:任意
パルス幅:5.0μ秒
待ち時間:0.72秒
積算回数:2048回
溶媒:HFIP−d2
基準:71.28ppm(HFIP)
温度:室温
〈パルスプログラム〉
・1H−1H COSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−1H DQF−COSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−13C HSQC(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−13C HSQC−TOCSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−13C HMBC(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・DOSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−1H COSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−1H DQF−COSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−13C HSQC(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−13C HSQC−TOCSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・1H−13C HMBC(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
・DOSY(Bruker社製、s/w Topspin v3.2)
[ポリオキシメチレンの調製]
・POM14
熱媒を通すことのできるジャケット付セルフ・クリーニングタイプの二軸パドル型連続混合反応機(株式会社栗本鉄工所製、スクリュー径2B、径Dに対する長さLの割合(L/D)=15)を80℃に調整し、主モノマーとして1,3,5−トリオキサンを3500g/hrと、コモノマーとして1,3−ジオキソランを120.9g/hrとを連続混合反応機に連続的にフィードした。重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートを、当該触媒が1,3,5−トリオキサン1molに対して2.5×10-5molとなるように、また、分子量調整剤としてメチラールを、当該分子量調整剤が1,3,5−トリオキサン1molに対して1.0×10-2molとなるように連続混合反応機に添加して重合を行い、重合フレークを得た。
得られた重合フレークを粉砕した後、粉砕物をトリエチルアミン1質量%水溶液中に、投入して1時間撹拌し、重合触媒を失活させた。その後、この重合フレークを含む水溶液を遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃×3hr乾燥し、POM14を得た。
POM14の組成及び物性を表1に示す。
・POM12、POM16、POM17
表1に示すようにメチラールの添加量を変更した以外はPOM14と同様にして、POM12、POM16、及びPOM17を製造した。
POM12、POM16、及びPOM17の組成及び物性を表1に示す。
・POM14
熱媒を通すことのできるジャケット付セルフ・クリーニングタイプの二軸パドル型連続混合反応機(株式会社栗本鉄工所製、スクリュー径2B、径Dに対する長さLの割合(L/D)=15)を80℃に調整し、主モノマーとして1,3,5−トリオキサンを3500g/hrと、コモノマーとして1,3−ジオキソランを120.9g/hrとを連続混合反応機に連続的にフィードした。重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラートを、当該触媒が1,3,5−トリオキサン1molに対して2.5×10-5molとなるように、また、分子量調整剤としてメチラールを、当該分子量調整剤が1,3,5−トリオキサン1molに対して1.0×10-2molとなるように連続混合反応機に添加して重合を行い、重合フレークを得た。
得られた重合フレークを粉砕した後、粉砕物をトリエチルアミン1質量%水溶液中に、投入して1時間撹拌し、重合触媒を失活させた。その後、この重合フレークを含む水溶液を遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃×3hr乾燥し、POM14を得た。
POM14の組成及び物性を表1に示す。
・POM12、POM16、POM17
表1に示すようにメチラールの添加量を変更した以外はPOM14と同様にして、POM12、POM16、及びPOM17を製造した。
POM12、POM16、及びPOM17の組成及び物性を表1に示す。
[実施例1]
(1)測定試料溶液の調製
・1H−NMR用
2mgのポリオキシメチレンPOM14を20gのHFIP−d2に溶解させて、濃度0.01質量%の測定試料溶液を調製した。溶解温度は室温(30℃以下)、振動振盪の振幅は2mm、振動数は1500rpm、溶解時間は2時間とした。
なお、ケミカルシフトは、HFIP―d2の−OHのプロトンピークを4.4ppmとして算出した。溶媒濃度や測定温度によるケミカルシフトの絶対値は変化することがあるが、大小の順位が入れ替わることはない。
・13C−NMR、HSQC、HMBC用
14mgのポリオキシメチレンPOM14を0.13gのHFIP−d2に溶解させて、濃度10質量%の測定試料溶液を調製した。溶解温度は室温(30℃以下)、振動振盪の振幅は2mm、振動数は1500rpm、溶解時間は2時間とした。
(1)測定試料溶液の調製
・1H−NMR用
2mgのポリオキシメチレンPOM14を20gのHFIP−d2に溶解させて、濃度0.01質量%の測定試料溶液を調製した。溶解温度は室温(30℃以下)、振動振盪の振幅は2mm、振動数は1500rpm、溶解時間は2時間とした。
なお、ケミカルシフトは、HFIP―d2の−OHのプロトンピークを4.4ppmとして算出した。溶媒濃度や測定温度によるケミカルシフトの絶対値は変化することがあるが、大小の順位が入れ替わることはない。
・13C−NMR、HSQC、HMBC用
14mgのポリオキシメチレンPOM14を0.13gのHFIP−d2に溶解させて、濃度10質量%の測定試料溶液を調製した。溶解温度は室温(30℃以下)、振動振盪の振幅は2mm、振動数は1500rpm、溶解時間は2時間とした。
(2)エチレングリコール末端のピークの同定
上記で得られた測定試料溶液を用いて、以下のとおり、POM14のエチレングリコール末端の1Hピークの同定を行った。なお、同定の全行程は、測定試料溶液の調製から9時間で完了した。
初めに、測定試料溶液620μLにN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドを200μL添加し、35℃で3時間反応させることにより、POM14をTMS化した。
測定試料溶液500μLを用い、500MHzNMR分光器にて、ポリオキシメチレンをTMS化する前と後の1Hスペクトルを得た。図1に、POM14をTMS化する前(図1(A))とTMS化した後(図1(B))の1Hスペクトルを示す。
図1において、EG及びPEGのエチレングリコール末端基のプロトンピークに関する知見から、エチレングリコール末端基を構成するβ位の炭素に結合するのピークは、3.79ppm付近に見られるものであると推定されるところ、TMS化することにより3.75ppm付近にシフトしたことが確認できた。また、同様にして、α位の炭素に結合するプロトンのピークは、3.83ppm付近にてポリマー骨格のオキシエチレンのプロトンピークと重複していると推定されるところ、TMS化することにより3.88ppm付近にシフトしたことが確認できた。これらの変化により、エチレングリコール末端を構成するプロトンのピークを確認することができた。
上記で得られた測定試料溶液を用いて、以下のとおり、POM14のエチレングリコール末端の1Hピークの同定を行った。なお、同定の全行程は、測定試料溶液の調製から9時間で完了した。
初めに、測定試料溶液620μLにN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドを200μL添加し、35℃で3時間反応させることにより、POM14をTMS化した。
測定試料溶液500μLを用い、500MHzNMR分光器にて、ポリオキシメチレンをTMS化する前と後の1Hスペクトルを得た。図1に、POM14をTMS化する前(図1(A))とTMS化した後(図1(B))の1Hスペクトルを示す。
図1において、EG及びPEGのエチレングリコール末端基のプロトンピークに関する知見から、エチレングリコール末端基を構成するβ位の炭素に結合するのピークは、3.79ppm付近に見られるものであると推定されるところ、TMS化することにより3.75ppm付近にシフトしたことが確認できた。また、同様にして、α位の炭素に結合するプロトンのピークは、3.83ppm付近にてポリマー骨格のオキシエチレンのプロトンピークと重複していると推定されるところ、TMS化することにより3.88ppm付近にシフトしたことが確認できた。これらの変化により、エチレングリコール末端を構成するプロトンのピークを確認することができた。
続いて、上記のTMS化前の測定試料溶液について、500MHzNMR分光器にて1H−1H COSYを用いて1H−1Hスペクトルを得た。図2Aに、得られた1H−1Hスペクトルを示す。
エチレングリコール末端のような2個以上のプロトンピークを示すオキシアルキレン末端では、それぞれのプロトンのピークを検出することによって初めてオキシアルキレン末端としても帰属が可能となる。
図2Aでは、上記図1の結果、及びEG及びPEGのエチレングリコール末端基に関する知見等から、3.79ppm付近にエチレングリコール末端のβ位の炭素に結合するプロトンのピークが検出され、3.83ppm付近にエチレングリコール末端のα位の炭素に結合するプロトンが検出されると考えられる。このことを基に、図2Aのエチレングリコール末端の1H−1H COSYを見ると、β位の炭素に結合するプロトンとα位の炭素に結合するプロトンとの相関を検出することができ、エチレングリコール末端のピーク帰属と炭素の数を決定することができた。
エチレングリコール末端のような2個以上のプロトンピークを示すオキシアルキレン末端では、それぞれのプロトンのピークを検出することによって初めてオキシアルキレン末端としても帰属が可能となる。
図2Aでは、上記図1の結果、及びEG及びPEGのエチレングリコール末端基に関する知見等から、3.79ppm付近にエチレングリコール末端のβ位の炭素に結合するプロトンのピークが検出され、3.83ppm付近にエチレングリコール末端のα位の炭素に結合するプロトンが検出されると考えられる。このことを基に、図2Aのエチレングリコール末端の1H−1H COSYを見ると、β位の炭素に結合するプロトンとα位の炭素に結合するプロトンとの相関を検出することができ、エチレングリコール末端のピーク帰属と炭素の数を決定することができた。
次に、より高磁場の900MHzNMR分光器にて1H−1H DQF−COSYを用いて1H−1Hスペクトルを得た。図2Bに、得られた1H−1Hスペクトルを示す。
図2Bから分かるように、二量子フィルタ(DQF:double quantum filtered)をかけることにより、図2Aと比較して相関がより明確となり、エチレングリコール末端のピーク帰属と炭素の数を決定することができた。
図2Bから分かるように、二量子フィルタ(DQF:double quantum filtered)をかけることにより、図2Aと比較して相関がより明確となり、エチレングリコール末端のピーク帰属と炭素の数を決定することができた。
続いて、900MHzNMR分光器にて、1H−13C HSQC及び1H−13C HSQC−TOCSYを用いて1H−13Cスペクトルを得た。得られた1H−13Cスペクトルをそれぞれ図3A及び3Bに示す。
HSQC(図3A)において、EG及びPEGのエチレングリコール末端基に関する知見等から、エチレングリコール末端基は、β位の炭素が72.3ppm付近の位置にピークを持ち、このβ位の炭素に結合するプロトンが3.79ppm付近の位置にピークを持つと考えられるところ、HSQCにて確かに相関していることが分かった。同様に、α位の炭素が64.0ppm付近の位置にピークを持ち、α位の炭素に結合するプロトンが3.83ppm付近の位置にピークを持つと考えられるところ、HSQCにて確かに相関していることが分かった。
また、HSQC−TOCSYでは、HSQCのように炭素−水素の直接結合だけでなく、隣接する炭素骨格のプロトンとの相関も見られる。図3BのHSQC−TOCSYでは、エチレングリコール末端のβ位の炭素とα位のプロトンとの相関やα位の炭素とβ位のプロトンとの相関が見られた。
HSQC(図3A)において、EG及びPEGのエチレングリコール末端基に関する知見等から、エチレングリコール末端基は、β位の炭素が72.3ppm付近の位置にピークを持ち、このβ位の炭素に結合するプロトンが3.79ppm付近の位置にピークを持つと考えられるところ、HSQCにて確かに相関していることが分かった。同様に、α位の炭素が64.0ppm付近の位置にピークを持ち、α位の炭素に結合するプロトンが3.83ppm付近の位置にピークを持つと考えられるところ、HSQCにて確かに相関していることが分かった。
また、HSQC−TOCSYでは、HSQCのように炭素−水素の直接結合だけでなく、隣接する炭素骨格のプロトンとの相関も見られる。図3BのHSQC−TOCSYでは、エチレングリコール末端のβ位の炭素とα位のプロトンとの相関やα位の炭素とβ位のプロトンとの相関が見られた。
次に、900MHzNMR分光器にて、1H−13C HMBC−DOSYを用いて1H−13Cスペクトルを得た。図4に、得られた1H−13Cスペクトルを示す。
DOSYでは、自己拡散係数によるフィルタをかけ、各分子種の自己拡散係数の差を利用してスペクトルを分離することができる。ポリマー骨格に結合しているエチレングリコール末端は自己拡散係数が小さくなるが、分解した低分子量成分のエチレングリコール末端は自己拡散係数が大きくなる。そのため、測定しているピークが、ポリマー骨格の末端のエチレングリコール末端であり、低分子量成分のエチレングリコール末端ではないことを確認するために、HMBC−DOSYによるフィルタにて自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)において目的のピークが残留していることを検証した。
図4において、β位の炭素に結合するプロトンのピーク(3.79ppm付近)とポリマー骨格のオキシメチレンのカーボンピーク(95.8ppm付近)との相関が検出されたため、測定しているピークが、ポリマー骨格に結合しているエチレングリコール末端のピークであることが確認された。
なお、95.8ppm付近のカーボンピークについては、HSQC−TOCSYにて隣接する分子のプロトンとの相関が見られないこと(図示せず)からオキシメチレン構造であると推定されることに加え、結合する炭素原子から2〜3原子離れた炭素原子までの相関が観測可能なHMBC−DOSY(図4)にて、エチレングリコール末端を構成するプロトン(β位の炭素に結合するプロトン)と相関が見られたことから、エチレングリコール末端と直接結合するオキシメチレンのカーボンピークであると推定されることに基づいて、ポリマー骨格のオキシメチレンのカーボンピークであると判断した。
DOSYでは、自己拡散係数によるフィルタをかけ、各分子種の自己拡散係数の差を利用してスペクトルを分離することができる。ポリマー骨格に結合しているエチレングリコール末端は自己拡散係数が小さくなるが、分解した低分子量成分のエチレングリコール末端は自己拡散係数が大きくなる。そのため、測定しているピークが、ポリマー骨格の末端のエチレングリコール末端であり、低分子量成分のエチレングリコール末端ではないことを確認するために、HMBC−DOSYによるフィルタにて自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)において目的のピークが残留していることを検証した。
図4において、β位の炭素に結合するプロトンのピーク(3.79ppm付近)とポリマー骨格のオキシメチレンのカーボンピーク(95.8ppm付近)との相関が検出されたため、測定しているピークが、ポリマー骨格に結合しているエチレングリコール末端のピークであることが確認された。
なお、95.8ppm付近のカーボンピークについては、HSQC−TOCSYにて隣接する分子のプロトンとの相関が見られないこと(図示せず)からオキシメチレン構造であると推定されることに加え、結合する炭素原子から2〜3原子離れた炭素原子までの相関が観測可能なHMBC−DOSY(図4)にて、エチレングリコール末端を構成するプロトン(β位の炭素に結合するプロトン)と相関が見られたことから、エチレングリコール末端と直接結合するオキシメチレンのカーボンピークであると推定されることに基づいて、ポリマー骨格のオキシメチレンのカーボンピークであると判断した。
上記のとおり、HMBC−DOSY(図4)において、エチレングリコール末端を構成する3.79ppmのプロトンとポリマー骨格であるオキシメチレンの95.8ppmのカーボンとの相関が確認され、また、HSQC(図3A)及びHSQC−TOCSY(図3B)において、エチレングリコール末端を構成する3.83ppmのプロトンと64.0ppmのカーボンとの相関が確認された。この2つの相関から、エチレングルコール末端を構成するプロトンとカーボンのピークを検証することができた。そして、エチレングリコール末端を構成する3.79ppmと3.83ppmのプロトンピークのHMBC−DOSY(図4)において、3.79ppmのプロトンとポリマー骨格であるオキシメチレンを構成するカーボンとの相関が見られることから、エチレングリコール末端を構成する2つのカーボンのうち、3.79ppmのプロトンがβ位のカーボンに結合するプロトンであることが確定した。
(3)ヘミホルマール末端のピークの同定
上記で得られた測定試料溶液を用いて、以下のとおり、POM14のヘミホルマール末端の1Hピークの同定を行った。なお、同定の全行程は、測定試料溶液の調製から9時間で完了した。
上記(2)と同様にして、POM14をTMS化した。
測定試料溶液500μLを用い、500MHzNMR分光器にて、ポリオキシメチレンをTMS化する前と後の1Hスペクトルを得た。図5に、POM14をTMS化する前(図5(A))とTMS化した後(図5(B))の1Hスペクトルを示す。
図5において、ヘミホルマール末端基を構成するプロトンのピークは、ポリマー骨格のオキシメチレンのプロトンピークと重なっていると考えられ、4.99ppm付近に存在すると考えられるところ、TMS化することにより、5.01ppm付近にシフトしたピークが確認された。
上記で得られた測定試料溶液を用いて、以下のとおり、POM14のヘミホルマール末端の1Hピークの同定を行った。なお、同定の全行程は、測定試料溶液の調製から9時間で完了した。
上記(2)と同様にして、POM14をTMS化した。
測定試料溶液500μLを用い、500MHzNMR分光器にて、ポリオキシメチレンをTMS化する前と後の1Hスペクトルを得た。図5に、POM14をTMS化する前(図5(A))とTMS化した後(図5(B))の1Hスペクトルを示す。
図5において、ヘミホルマール末端基を構成するプロトンのピークは、ポリマー骨格のオキシメチレンのプロトンピークと重なっていると考えられ、4.99ppm付近に存在すると考えられるところ、TMS化することにより、5.01ppm付近にシフトしたピークが確認された。
また、ポリマーが不安定なヘミホルマール末端を持つ場合、測定溶媒に溶解することにより、ポリマーの一部が分解してヘミホルマール構造を持つオリゴマー程度の低分子量成分が生成することがある。この低分子量成分が多く生成した状態でヘミホルマール末端を測定した場合、本来のポリマー骨格のヘミホルマール末端よりもかなり多くのヘミホルマール末端を検出してしまう可能性があり、低分子量成分の1Hピークが測定対象のヘミホルマール末端のピークと重なることが考えられる。
上記を確認するため、500MHzNMR分光器を用いて、上記測定試料溶液の調製から24℃にて1日放置後及び2日放置後の測定試料溶液の1Hスペクトルを得た。図6に、調製から1日後(図6(A))及び2日後(図6(B))の1Hスペクトルを示す。
図6(A)及び(B)から、5.01ppm付近のピークが大きく変化(増加)したことが確認できた。
上記を確認するため、500MHzNMR分光器を用いて、上記測定試料溶液の調製から24℃にて1日放置後及び2日放置後の測定試料溶液の1Hスペクトルを得た。図6に、調製から1日後(図6(A))及び2日後(図6(B))の1Hスペクトルを示す。
図6(A)及び(B)から、5.01ppm付近のピークが大きく変化(増加)したことが確認できた。
そこで、以下のとおりオリゴマー等の低分子量成分の再沈澱を行い、低分子量成分を除去した。
調製から2日後の測定試料溶液150mgをHFIP8mLに室温(30℃以下)で溶解させ、ろ過(ディスポーザブルフィルター、孔径:0.45μm)した。メタノール8mLをゆっくり添加し、低分子量成分再沈殿させ、懸濁液とした。得られた懸濁液を20mLの遠沈管(ガラス製)に移し、35000rpmで30分間、卓上遠心分離機を用いて遠心分離した。上澄みをデカントし、固形物を遠沈管中で窒素ブローにより室温(30℃以下)にて風乾させた。その後、室温(30℃以下)にて一晩、真空乾燥させた。
500MHzNMR分光器を用いて、得られた再沈殿後の測定試料溶液の1Hスペクトルを得た。図6(C)に得られた1Hスペクトルを示す。
図6(C)と図6(A)及び(B)とを比較すると、5.01ppm付近のピークが大きく減少したことが分かる。これにより、低分子量成分が経時的に生成し、5.01ppm付近にプロトンピークを示すことが分かった。
このように、ヘミホルマール末端のような不安定な末端を含むポリマーの末端構造を定量化する場合は、測定のために不可欠な測定溶媒による溶解においてもヘミホルマール末端からの分解が生じて、測定に障害をもたらすヘミホルマール末端を持つ低分子量成分が生成する。その障害となる低分子量成分は、測定試料溶液を再沈処理することで分離可能であるが、測定中に再び増加する。そのため、NMRによる定量測定と同時に計測対象の化学構造を分離することで初めて不安定なヘミホルマール末端を定量化できることを本発明者らは見出した。
調製から2日後の測定試料溶液150mgをHFIP8mLに室温(30℃以下)で溶解させ、ろ過(ディスポーザブルフィルター、孔径:0.45μm)した。メタノール8mLをゆっくり添加し、低分子量成分再沈殿させ、懸濁液とした。得られた懸濁液を20mLの遠沈管(ガラス製)に移し、35000rpmで30分間、卓上遠心分離機を用いて遠心分離した。上澄みをデカントし、固形物を遠沈管中で窒素ブローにより室温(30℃以下)にて風乾させた。その後、室温(30℃以下)にて一晩、真空乾燥させた。
500MHzNMR分光器を用いて、得られた再沈殿後の測定試料溶液の1Hスペクトルを得た。図6(C)に得られた1Hスペクトルを示す。
図6(C)と図6(A)及び(B)とを比較すると、5.01ppm付近のピークが大きく減少したことが分かる。これにより、低分子量成分が経時的に生成し、5.01ppm付近にプロトンピークを示すことが分かった。
このように、ヘミホルマール末端のような不安定な末端を含むポリマーの末端構造を定量化する場合は、測定のために不可欠な測定溶媒による溶解においてもヘミホルマール末端からの分解が生じて、測定に障害をもたらすヘミホルマール末端を持つ低分子量成分が生成する。その障害となる低分子量成分は、測定試料溶液を再沈処理することで分離可能であるが、測定中に再び増加する。そのため、NMRによる定量測定と同時に計測対象の化学構造を分離することで初めて不安定なヘミホルマール末端を定量化できることを本発明者らは見出した。
低分子量成分及び測定試料溶液について、900MHzNMR分光器にて1H−DOSYを用い、拡散係数の大きい成分と拡散係数の小さい成分とで1Hスペクトルを分離した。図7に、得られた1Hスペクトルを示す。
上記のとおり、図6(A)では、ポリマーを測定溶媒に溶解後、24時間放置してヘミホルマール末端を有する低分子量成分が生成した場合、ポリマー骨格の末端に位置するヘミホルマール末端のものと推測されるプロトンピークと同様の位置に、分解により生成したヘミホルマール末端を持つ低分子量成分由来のピークが見られた。このピークを、図7に示すように、DOSYにより自己拡散係数の大小による分布を二次元で検証したところ、4.99ppm付近のピークの自己拡散係数が大きく、拡散(緩和)が速いことが確認でき、4.99ppm付近のピークは、ヘミホルマール末端を持つ低分子量成分のものと示唆された。
上記のとおり、図6(A)では、ポリマーを測定溶媒に溶解後、24時間放置してヘミホルマール末端を有する低分子量成分が生成した場合、ポリマー骨格の末端に位置するヘミホルマール末端のものと推測されるプロトンピークと同様の位置に、分解により生成したヘミホルマール末端を持つ低分子量成分由来のピークが見られた。このピークを、図7に示すように、DOSYにより自己拡散係数の大小による分布を二次元で検証したところ、4.99ppm付近のピークの自己拡散係数が大きく、拡散(緩和)が速いことが確認でき、4.99ppm付近のピークは、ヘミホルマール末端を持つ低分子量成分のものと示唆された。
続いて、900MHzNMR分光器にて、1H−13C HSQC−DOSY及び1H−13C HMBC−DOSYを用いてそれぞれ1H−13Cスペクトルを得た。得られた1H−13Cスペクトルをそれぞれ図8A及び8Bに示す。
DOSYでは、自己拡散係数によるフィルタをかけ、各分子種の自己拡散係数の差を利用してスペクトルを分離することができる。ポリマー骨格に結合しているヘミホルマール末端は自己拡散係数が小さくなるが、分解した低分子量成分のヘミホルマール末端は自己拡散係数が大きくなる。そのため、測定しているピークがポリマー骨格の末端のヘミホルマール末端であり、低分子量成分のヘミホルマール末端ではないことを確認するために、DOSYフィルタにて自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)において目的のピークが存在し、相関ピークが残留しているかどうかを検証した。
DOSYでは、自己拡散係数によるフィルタをかけ、各分子種の自己拡散係数の差を利用してスペクトルを分離することができる。ポリマー骨格に結合しているヘミホルマール末端は自己拡散係数が小さくなるが、分解した低分子量成分のヘミホルマール末端は自己拡散係数が大きくなる。そのため、測定しているピークがポリマー骨格の末端のヘミホルマール末端であり、低分子量成分のヘミホルマール末端ではないことを確認するために、DOSYフィルタにて自己拡散係数が小さい成分(拡散が遅い成分)において目的のピークが存在し、相関ピークが残留しているかどうかを検証した。
HSQC−DOSYでは、直接結合する炭素とプロトンとの相関が検出される。
HSQC−DOSY(図8A)において、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンのプロトンのピークは、主鎖を構成するオキシメチレンのプロトンピーク4.97ppmの近隣にあると考えられる。ただし、この4.97ppm付近には、オキシメチレンが連続した主鎖骨格及びヘミホルマール末端以外のピークが存在することがあり、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンの帰属を誤った方向に導く可能性がある。本技術では、この4.97ppm付近のピーク帰属を実施し、ヘミホルマール末端のピーク帰属を確実にするものである。
また、HSQC−DOSY(図8A)において、主鎖を構成するオキシメチレンのカーボンピークは92.5ppm付近に見られることから、13C−NMRの90−94ppm付近にピークを持つカーボンとの相関を持つプロトンピークが、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンのプロトンピークと考えられる。
そこで、90−94ppm付近のカーボンピークと4.97ppmの近隣のプロトンピークとの相関に注目すると、4.95ppmのプロトンと89.6ppmのカーボン、4.99ppmのプロトンと92.8ppmのカーボン、4.97ppmのプロトンと92.7ppmのカーボンで相関が見られ、それぞれ直接結合していると考えられる。
これらは、ヘミホルマール末端、ヘミホルマール末端に直接結合するオキシメチレン、及びこのオキシメチレンに直接結合するオキシメチレンのいずれかのプロトンピーク及びカーボンピークであると推定され、これにより、自己拡散係数が小さい成分においてヘミホルマール末端のピークが存在し、相関ピークが残留していることが示唆された。
HSQC−DOSY(図8A)において、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンのプロトンのピークは、主鎖を構成するオキシメチレンのプロトンピーク4.97ppmの近隣にあると考えられる。ただし、この4.97ppm付近には、オキシメチレンが連続した主鎖骨格及びヘミホルマール末端以外のピークが存在することがあり、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンの帰属を誤った方向に導く可能性がある。本技術では、この4.97ppm付近のピーク帰属を実施し、ヘミホルマール末端のピーク帰属を確実にするものである。
また、HSQC−DOSY(図8A)において、主鎖を構成するオキシメチレンのカーボンピークは92.5ppm付近に見られることから、13C−NMRの90−94ppm付近にピークを持つカーボンとの相関を持つプロトンピークが、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンのプロトンピークと考えられる。
そこで、90−94ppm付近のカーボンピークと4.97ppmの近隣のプロトンピークとの相関に注目すると、4.95ppmのプロトンと89.6ppmのカーボン、4.99ppmのプロトンと92.8ppmのカーボン、4.97ppmのプロトンと92.7ppmのカーボンで相関が見られ、それぞれ直接結合していると考えられる。
これらは、ヘミホルマール末端、ヘミホルマール末端に直接結合するオキシメチレン、及びこのオキシメチレンに直接結合するオキシメチレンのいずれかのプロトンピーク及びカーボンピークであると推定され、これにより、自己拡散係数が小さい成分においてヘミホルマール末端のピークが存在し、相関ピークが残留していることが示唆された。
また、HMBC−DOSY(図8B)では、結合する炭素原子から2〜3原子離れた炭素に結合するプロトンとの相関を観測することができる。
HMBC−DOSY(図8B)において、4.99ppmのプロトンは、89.6ppmのカーボンと92.7ppmのカーボンとの2つの相関が見られた。
また、4.97ppmのプロトンは、92.8ppmのカーボンとの相関が見られた。
一方、4.95ppmのプロトンは、89.6ppm、92.7ppm、92.8ppmのいずれのカーボンとも相関が見られなかった。いずれのカーボンとも相関が見られない理由としては、同じカーボンに−OHとプロトンが結合している場合は、スピン結合による分裂が発生して、HMBCの相関が観察されないためと考えられる。
HMBC−DOSY(図8B)において、4.99ppmのプロトンは、89.6ppmのカーボンと92.7ppmのカーボンとの2つの相関が見られた。
また、4.97ppmのプロトンは、92.8ppmのカーボンとの相関が見られた。
一方、4.95ppmのプロトンは、89.6ppm、92.7ppm、92.8ppmのいずれのカーボンとも相関が見られなかった。いずれのカーボンとも相関が見られない理由としては、同じカーボンに−OHとプロトンが結合している場合は、スピン結合による分裂が発生して、HMBCの相関が観察されないためと考えられる。
上記のHSQC−DOSY(図8A)及びHMBC−DOSY(図8B)から得られた情報を表2に示す。
表2に示される情報から、ヘミホルマール末端のプロトンは4.95ppm、カーボンは、89.6ppmであり、ヘミホルマール末端に直接結合するオキシメチレンのプロトンは4.99ppm、カーボンは92.8pmであると実証できた。また、このオキシメチレンと直接結合するポリマー側のオキシメチレンンのプロトンは4.97ppmであり、カーボンは92.7ppmであると実証できた。
なお、4.97ppm付近の他のプロトンピークに関しては、下記のように検証された。
5.06ppm及び4.87ppmに見られるプロトンピークは、オキシメチレン主査骨格のプロトンピークである4.97ppmを中心として対称の形となっており、天然に含まれる13Cが骨格に含まれることによるサテライトピークであることが検証された。サテライトピークは、測定するNMRの磁場を変更することにより、主ピークからの間隔が大きく変化することから、検証が可能である。
また、4.81ppmのプロトンピークは、末端メトシキ基を構成する55ppmのカーボンとHMBCで相関すること(図示せず)から、末端メトシキ基に隣接するオキシメチレン構造のプロトンであると検証された。
4.79ppmのプロトンピークは、主鎖中のエチレングリコール骨格を構成する67ppmのカーボンとHMBCで相関すること及びHMBCのノイズである直接結合カーボン−プロトン相関がプロトン数である2つに分裂していること(図示せず)から、両側がエチレングリコール骨格であるオキシメチレン骨格を形成するプロトンであることが検証された。
4.88ppmのプロトンピークは、HMBCにおいて、両側がオキシメチレン骨格であるエチレングリコール骨格中のプロトンを示す3.80ppmのピークと同一形状であること及びHMBCのノイズである直接結合カーボン−プロトン相関がプロトン数である2つに分裂していること(図示せず)から、片側がエチレングリコール骨格と結合して、他の片側がオキシメチレン骨格と結合しているオキシメチレン骨格を形成するプロトンのピークであると検証された。
4.89ppmのプロトンピークについては、HMBCとHSQCの双方の二次元NMRにて相関が見られないことから、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンのプロトンのピークではないと検証された。
5.06ppm及び4.87ppmに見られるプロトンピークは、オキシメチレン主査骨格のプロトンピークである4.97ppmを中心として対称の形となっており、天然に含まれる13Cが骨格に含まれることによるサテライトピークであることが検証された。サテライトピークは、測定するNMRの磁場を変更することにより、主ピークからの間隔が大きく変化することから、検証が可能である。
また、4.81ppmのプロトンピークは、末端メトシキ基を構成する55ppmのカーボンとHMBCで相関すること(図示せず)から、末端メトシキ基に隣接するオキシメチレン構造のプロトンであると検証された。
4.79ppmのプロトンピークは、主鎖中のエチレングリコール骨格を構成する67ppmのカーボンとHMBCで相関すること及びHMBCのノイズである直接結合カーボン−プロトン相関がプロトン数である2つに分裂していること(図示せず)から、両側がエチレングリコール骨格であるオキシメチレン骨格を形成するプロトンであることが検証された。
4.88ppmのプロトンピークは、HMBCにおいて、両側がオキシメチレン骨格であるエチレングリコール骨格中のプロトンを示す3.80ppmのピークと同一形状であること及びHMBCのノイズである直接結合カーボン−プロトン相関がプロトン数である2つに分裂していること(図示せず)から、片側がエチレングリコール骨格と結合して、他の片側がオキシメチレン骨格と結合しているオキシメチレン骨格を形成するプロトンのピークであると検証された。
4.89ppmのプロトンピークについては、HMBCとHSQCの双方の二次元NMRにて相関が見られないことから、ヘミホルマール末端及び隣接するオキシメチレンのプロトンのピークではないと検証された。
上記(2)及び(3)により同定されたエチレングリコール基及びヘミホルマール基の各ピークについて、500MHzNMR分光器による13Cスペクトルを図9(B)に、900MHzNMR分光器による1Hスペクトルを図10(B)にそれぞれ示す。
また、各ピークの定量性について、表3に示す。
また、各ピークの定量性について、表3に示す。
(4)エチレングリコール末端及びヘミホルマール末端の含有比率の計算
図10(B)の900MHzNMR分光器による1Hスペクトルを基に、メトシキ末端(3.50ppm)、エチレングリコール末端、及びヘミホルマール末端のそれぞれに帰属された各ピークを積分し、積分値を求めたところ、メトキシ末端、エチレングリコール末端、ヘミホルマール末端の積分比(メトシキ末端:エチレングリコール末端:ヘミホルマール末端)は6.1:1.6:2.4であった。
図10(B)の900MHzNMR分光器による1Hスペクトルを基に、メトシキ末端(3.50ppm)、エチレングリコール末端、及びヘミホルマール末端のそれぞれに帰属された各ピークを積分し、積分値を求めたところ、メトキシ末端、エチレングリコール末端、ヘミホルマール末端の積分比(メトシキ末端:エチレングリコール末端:ヘミホルマール末端)は6.1:1.6:2.4であった。
次に、上記積分比を用いて、下記の式(i)によりメトキシ末端、エチレングリコール末端、ヘミホルマール末端のモル比(メトシキ末端:エチレングリコール末端:ヘミホルマール末端)を求めたところ、50:20:30であった。
[式]
メトキシ末端:エチレングリコール末端:ヘミホルマール末端(モル比)
=メトキシ末端積分強度/3:エチレングリコール末端積分強度/2:ヘミホルマール末端積分強度/2・・・・・(i)
[式]
メトキシ末端:エチレングリコール末端:ヘミホルマール末端(モル比)
=メトキシ末端積分強度/3:エチレングリコール末端積分強度/2:ヘミホルマール末端積分強度/2・・・・・(i)
よって、メトシキ末端、エチレングリコール末端、及びヘミホルマール末端のモル比により、ポリオキシメチレンにおける各末端の含有比率を求めたところ、それぞれメトシキ末端は37質量%(=50×31×100/(50×31+20×61+30×47))、エチレングリコール末端:29質量%(=20×61×100/(50×31+20×61+30×47))、ヘミホルマール末端:34質量%(=30×47×100/(50×31+20×61+30×47))であった。
得られたエチレングリコール末端及びヘミホルマール末端の含有比率を表3に示す。
得られたエチレングリコール末端及びヘミホルマール末端の含有比率を表3に示す。
[実施例2〜4]
実施例2〜4は、ポリオキシメチレンとしてそれぞれPOM12、POM16、及びPOM17を使用したこと以外は実施例1と同様にして、エチレングリコール末端及びヘミホルマール末端の1Hスペクトルを同定した。
実施例2〜4の500MHzNMR分光器による13Cスペクトルを図9に、900MHzNMR分光器による1Hスペクトルを図10にそれぞれ示す。
また、実施例2〜4のエチレングリコール末端及びヘミホルマール末端の含有比率、定量性の評価結果を表3に示す。
実施例2〜4は、ポリオキシメチレンとしてそれぞれPOM12、POM16、及びPOM17を使用したこと以外は実施例1と同様にして、エチレングリコール末端及びヘミホルマール末端の1Hスペクトルを同定した。
実施例2〜4の500MHzNMR分光器による13Cスペクトルを図9に、900MHzNMR分光器による1Hスペクトルを図10にそれぞれ示す。
また、実施例2〜4のエチレングリコール末端及びヘミホルマール末端の含有比率、定量性の評価結果を表3に示す。
実施例1〜4の結果から得られた1H及び13Cのケミカルシフトを図11に示す。
図9及び図10より、実施例1〜4の1Hスペクトルは、ポリオキシメチレンの数平均分子量が低い程、各末端に対応するピークがより大きく明確であるため、各ピークの積分値が求め易いことが分かる。
本実施形態のポリオキシメチレンの末端の解析方法及び解析システムは、ヘミホルマール基等の不安定な末端を変性することなく、ポリオキシメチレンの末端を直接分析することができるため、ヘミホルマール基等の不安定な末端を安定化する前のポリオキシメチレンの末端の解析に好適に用いることができる。
Claims (24)
- (a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するステップを含むことを特徴とする、ポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記(a)ステップが、シフト化剤を用いて前記複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するステップ(a−1)を含む、請求項1に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記パルスプログラムが1H−13C異種核相関2次元法(proton−carbon hetero correlation2D法)を含み、前記スペクトルにおいて、前記複数種類の末端のそれぞれに対応するピークを帰属する、請求項1又は2に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記1H−13C異種核相関2次元法が、1H−13C HMBC又は1H−13C HSQCである、請求項3に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記スペクトルから、DOSY法を用いて拡散係数の大きい成分のスペクトルを抽出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記(a)ステップが前記ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、前記溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記溶媒として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化率95%以上のd化物を用い、前記溶媒の水分含量が10質量ppm以下である、請求項6に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- (b)前記スペクトルから、前記複数種類の末端の含有比率を計算するステップを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記(b)ステップにおいて、前記複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から前記複数種類の末端の積分比を求めた後、前記積分比を用いて前記複数種類の末端のモル比を求めることにより、前記複数種類の末端の含有比率を計算する、請求項8に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位99.999〜80mol%と、共重合成分単位0.001〜20mol%とを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド又はその環状多量体を主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- 前記ポリオキシメチレンは、重量平均分子量が5,000〜400,000である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析方法。
- (a)複数種類の末端を含むポリオキシメチレンに対して、NMR分光器及びパルスプログラムを用いて前記複数種類の末端のスペクトルを得て、前記複数種類の末端のピークを同定するピーク分離モジュールを備えることを特徴とする、ポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記(a)ピーク分離モジュールが、シフト化剤を用いて前記複数種類の末端の特定の位置のピークをシフトさせることにより、前記ピークをそれ以外のピークから分離し、前記複数種類の末端の前記特定の位置のピークを推定するモジュール(a−1)を含む、請求項13に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記パルスプログラムが1H−13C異種核相関2次元法を含み、前記スペクトルにおいて、前記複数種類の末端のそれぞれに対応するピークを帰属する、請求項13又は14に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記1H−13C異種核相関2次元法が、1H−13C HMBC又は1H−13C HSQCである、請求項15に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記スペクトルから、DOSY法を用いて拡散係数の大きい成分のスペクトルを抽出する、請求項13〜16のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記(a)ステップが前記ポリオキシメチレンを溶媒に溶解することを含み、前記溶解が温度25〜45℃、振幅2mm以上、振動数600rpm以上にて3時間以内に行われ、前記溶解の開始から9時間以内に完了する、請求項13〜17のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記溶媒として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールのd化率95%以上のd化物を用い、前記溶媒の水分含量が10質量ppm以下である、請求項18に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- (b)前記スペクトルから、前記複数種類の末端の含有比率を計算する計算モジュールを更に含む、請求項13〜19のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記(b)計算モジュールにおいて、前記複数種類の末端のピークをそれぞれ積分した積分値から前記複数種類の末端の積分比を求めた後、前記積分比を用いて前記複数種類の末端のモル比を求めることにより、前記複数種類の末端の含有比率を計算する、請求項20に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位99.999〜80mol%と、共重合成分単位0.001〜20mol%とを有する、請求項13〜21のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド又はその環状多量体を主モノマーとし、環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとする、請求項13〜22のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
- 前記ポリオキシメチレンは、重量平均分子量が5,000〜400,000である、請求項13〜23のいずれか一項に記載のポリオキシメチレンの末端の解析システム。
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