JP2020016268A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的の一つは、トルクコンバータのオイル抜けの推定精度を向上できる車両制御装置を提供することにある。
図1は、実施形態1の車両制御装置の概略図である。
実施形態1の車両は、動力源としてエンジン1を備える。エンジン1の出力回転は、トルクコンバータ2、第1ギヤ列3、バリエータ20、副変速機30(以下、バリエータ20と副変速機30を合わせて、単に「変速機4」という。)、第2ギヤ列5、終減速装置6を介して駆動輪7へと伝達される。第2ギヤ列5には駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。
また、車両には、エンジン1を制御するエンジンコントローラ1a、エンジン1の動力の一部を利用して駆動されるオイルポンプ10と、オイルポンプ10からの油圧を調圧して変速機4およびトルクコンバータ2に供給する油圧制御回路11と、油圧制御回路11を制御する制御装置としての変速機コントローラ12とが設けられている。
変速機コントローラ12は、図2に示すように、CPU121と、RAMおよびROMからなる記憶装置122と、入力インターフェース123と、出力インターフェース124と、これらを相互に接続するバス125とから構成される。
入力インターフェース123には、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ41の出力信号、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ42、タービン回転数(トルクコンバータ2の出力回転数)Ntを検出するタービン回転数センサ43、車速VSP(副変速機30の出力回転数)を検出する車速センサ44の出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ45の出力信号(レンジ信号)等が入力される。ドライバは、セレクトレバーの操作により変速機4の各レンジ(P,R,N,D,S,L)を選択可能である。Sレンジは、いわゆる2速レンジであり、Dレンジよりも低速側の変速比での変速のみが許容されている。Lレンジは、いわゆる1速レンジであり、Sレンジよりもさらに低速側の変速比での変速のみが許容されている。
油圧制御回路11は複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路11は、変速機コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り替えると共にオイルポンプ10で発生した油圧から必要な油圧を調製し、これを変速機4およびトルクコンバータ2に供給する。これにより、バリエータ20の変速比vRatio、副変速機30の変速段が変更され、変速機4の変速が行われると共に、ロックアップクラッチ2cの締結または締結解除が行われる。
また、エンジンコントローラ1aは、各入力情報に基づき、エンジン1の運転状態に応じて、気筒毎に設けられた点火装置を介して所定気筒の点火栓を所定タイミングで点火させる。これにより、エンジン1は所定の通りに運転され、コースト走行中は所定の通りにフューエルカットされる。さらに、エンジンコントローラ1aは、エンジン回転が所定のリカバー閾値以下まで低下すると、各インジェクタから所定気筒に所定量の燃料を再噴射するフューエルカットリカバーを行うことによりエンジンストールを防止する。
図3は、変速機コントローラ12のオイル抜け推定制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1では、エンジン1が始動したかを判定する。YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はリターンへ進む。ここでは、エンジン回転数Neがあらかじめ設定された始動判定閾値(例えば、500rpm)以上である場合には、エンジン1が始動したと判定し、エンジン回転数Neが始動判定閾値未満である場合には、エンジン1が始動していないと判定する。
tτ0=(ItΔNt/Δt+Tf)/Ne2 …(1)
ここで、Itはトルクコンバータ2のイナーシャ、ΔNt/Δtはタービン回転数変化率、Tfはフリクショントルクである。イナーシャItおよびフリクショントルクTfは、あらかじめ実験やシミュレーション等により求められる。また、タービン回転数変化率ΔNt/Δtは、タービン回転数センサ43により検出されたタービン回転数Ntの1階微分により求められる。
ステップS3では、平均速度比eが0.5であるかを判定する。YESの場合はステップS4へ進み、NOの場合はステップS2へ戻る。平均速度比eは、エンジン回転数Neが500rpmに達してから(ステップS1でYESと判定されてから)現在までに算出された速度比e0の平均値とする。
ステップS4では、平均tτが目標tτ*よりも小さいかを判定する。YESの場合はステップS5へ進み、NOの場合はリターンへ進む。平均tτは、エンジン回転数Neが500rpmに達してから現在までに算出されたtτ0の平均値とする。目標tτ*は、N→Dセレクトからクリープトルクが発生するまでの時間(発進ラグ)が、例えば3secであり、かつ、クリープトルクによる車両の加速度(クリープ加速度)が、例えば0.02Gとなるtτとする。目標tτ*は、あらかじめ実験やシミュレーション等により求めるものとする。
ステップS5では、レンジ信号がD,R以外のレンジからDまたはRレンジに切り替わったとき、エンジンコントローラ1aに対し、アイドルアップ要求を出力する。
トルクコンバータ2の非ロックアップ状態(ロックアップクラッチ2cの締結解除状態)において、変速機4がNレンジの状態にある場合、トルクの釣り合いから、下記の式(2)に示す運動方程式が成立する。
It×ΔNt/Δt=(tτ×Ne2-Tf)…(2)
式(2)から、タービン回転数変化率ΔNt/Δtは、下記の式(3)となる。
ΔNt/Δt=(tτ×Ne2-Tf)/It …(3)
トルクコンバータ2は、ポンプインペラ2a内のオイルが遠心力(mrω2)によって加速されてタービンランナ2bに流入し、これが回転することでポンプインペラ2aからタービンランナ2bへ動力が伝達される。このとき、トルクコンバータ2からオイルが抜けると、m(質量)が小さくなるため、トルクコンバータ2の流体特性である、トルク比tおよびトルク容量係数τは共に低下する。この結果、式(3)の右辺の値が小さくなることにより、タービン回転数変化率ΔNt/Δtは小さくなり、車両の駆動力は低下する。
図5において、時刻t1では、エンジン始動によりエンジン回転数Neが立ち上がり、タービン回転数Ntが追従して立ち上がる。
時刻t2では、エンジン回転数Neが始動判定閾値(500rpm)に達したため、変速機コントローラ12は、エンジン1が始動したと判定し、tτ0および速度比e0の算出を開始する。
時刻t3では、平均速度比eが0.5に達したため、変速機コントローラ12は、平均tτと目標tτ*とを比較する。平均tτは目標tτ*よりも大きいため、変速機コントローラ12は、トルクコンバータ2からオイルは抜けていないと推定する。
時刻t4では、レンジ信号がNレンジからDレンジに切り替わるが、変速機コントローラ12は、エンジンコントローラ1aに対しアイドルアップ要求を出力しないため、エンジン回転数Neは通常の目標アイドル回転数に維持される。
以上のように、トルクコンバータ2にオイル抜けが生じていない場合(オイル抜けが少量である場合)は、アイドルアップ制御を実行しないことにより、燃費悪化を抑制できる。
時刻t1からt3の区間は図5と同じであるため、説明は省略する。
時刻t3では、平均速度比eが0.5に達したため、変速機コントローラ12は、平均tτと目標tτ*とを比較する。変速機コントローラ12は、平均tτが目標tτ*よりも小さいため、トルクコンバータ2からオイルが抜けていると推定する。変速機コントローラ12は、エンジンコントローラ1aに対しアイドルアップ要求を出力する。
時刻t4では、レンジ信号がNレンジからDレンジに切り替わったため、エンジンコントローラ1aは、アイドルアップ制御を実行し、エンジン回転数Neを通常の目標アイドル回転数に対して所定回転数だけ上昇させる。これにより、オイルポンプ10の吐出流量が増大するため、トルクコンバータ2のオイル充填が速やかに行われることで、トルクコンバータ2のオイル抜けに伴う車両の発進性能の低下を抑制できる。
時刻t5では、時刻t4から所定時間が経過したため、エンジンコントローラ1aは、アイドルアップ制御を終了し、エンジン回転数Neを通常の目標アイドル回転数まで低下させる。
(1) エンジン1、トルクコンバータ2、変速機4および駆動輪7を伝達経路の配列順とし、トルクコンバータ2にオイルを供給するオイルポンプ10と、トルクコンバータ2からオイルが抜けていると推定したとき、オイルポンプ10によるトルクコンバータ2へのオイル供給量を増大させる変速機コントローラ12と、を有する車両制御装置であって、変速機コントローラ12は、エンジン始動時のタービン回転数Ntの上昇勾配に基づいて、トルクコンバータ2からオイルが抜けているか否かを推定する。トルクコンバータ2のオイル抜けは、タービン回転数Ntの上昇勾配の低下として現れるため、オイル抜けの推定にタービン回転数Ntの上昇勾配を用いることにより、エンジン始動時におけるトルクコンバータ2のオイル抜けの推定精度を向上できる。
以上、本発明を実施するための形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、オイルポンプ10を電動オイルポンプとしてもよい。
変速機4は有段変速機でもよい。
変速機コントローラ12に代えて、エンジンコントローラ1aがオイル抜け推定制御処理を実行してもよい。
2 トルクコンバータ
4 変速機
7 駆動輪
10 オイルポンプ
12 変速機コントローラ(コントローラ)
Claims (2)
- エンジン、トルクコンバータ、変速機および駆動輪を伝達経路の配列順とし、
前記トルクコンバータにオイルを供給するオイルポンプと、
前記トルクコンバータからオイルが抜けていると推定したとき、前記オイルポンプによる前記トルクコンバータへのオイル供給量を増大させるコントローラと、
を有する車両制御装置であって、
前記コントローラは、エンジン始動時のタービン回転数の上昇勾配に基づいて、前記トルクコンバータからオイルが抜けているか否かを推定する車両制御装置。 - 請求項1に記載の車両制御装置において、
前記コントローラは、前記トルクコンバータのトルク比tに容量係数τを乗じたtτの値に基づいて、前記トルクコンバータからオイルが抜けているか否かを推定する車両制御装置。
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JP2014118947A (ja) * | 2012-12-19 | 2014-06-30 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置 |
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