JP2017106494A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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憲一 大島
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Abstract

【課題】油圧センサに頼らずに変速時間が長くならないようにしながらトルク抜けによるショックを防止しつつ摩擦係合要素を解放できる自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】トルクコンバータ2と、変速機構3と、変速機構3に装備され選択的に係合されることにより所定の変速段を達成する摩擦係合要素31と、摩擦係合要素31の係合状態を制御する油圧制御弁41と、油圧制御弁41に油圧指示値を与えて制御する弁制御手段53と、を備え、弁制御手段53は、動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、係合している摩擦係合要素31を解放状態へ制御する解放油圧指示値を所定速度で低下させる第1制御部53aと、タービン回転角加速度が、速度比に対応したタービン回転角加速度の値として設定された解放判定閾値以下になったら、解放油圧指示値を低下させる速度を所定速度よりも低下させる第2制御部53bと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、動力伝達時に係合され動力非伝達時に解放される摩擦係合要素の係合状態を制御する自動変速機の制御装置に関するものである。
車両用の自動変速機には、エンジン等の駆動源と変速機構との間にトルクコンバータが介装されたものがある。このような自動変速機において、セレクトレバーがDレンジ等の走行レンジに設定されていると、走行変速段に応じた摩擦係合要素を係合し、駆動源と駆動輪とを動力連結する。セレクトレバーが走行レンジから非走行レンジのNレンジに切り替えられると、係合させていた摩擦係合要素を解放する。このとき、摩擦係合要素の解放が急激に行なわれると、急激なトルク抜けによるショックが生じ、ドライバビリティの低下を招くおそれがある。ただし、摩擦係合要素の解放に要する時間(変速時間)は極力短縮したい。
これに関し、例えば特許文献1には、走行レンジからNレンジに切り替えられる場合に、遅い速度で摩擦係合要素を解放した方がよいという条件を予め定めておいて、Dレンジでなくなったときには直ぐに(Nレンジに設定される前に)、摩擦係合要素から作動油を遅い速度で排出できるような油路を予め構成しておくことで、DレンジからNレンジへ変更されたときに変速ショックを防止しつつ、変速時間が長くならないようにしようとする技術が開示されている。
特開2005−42808号公報
特許文献1の技術は、小オリフィスを有するドレン油路と大オリフィスを有する油路とを並列に装備し、遅い速度で摩擦係合要素を解放した方がよい場合は、小オリフィスを有するドレン油路のみを使用して作動油を排出するものであり、解放側の油圧の低下速度を制御しうるものではないが、より適切に摩擦係合要素を解放するためには、解放側の油圧の低下速度を制御することが求められている。
つまり、変速ショックを招くのは、摩擦係合要素を解放するときの油圧の低下速度の影響が大きく、例えば、油圧抜きの開始時に油圧の低下速度が大きくても、摩擦係合要素が全解放となるときの油圧の低下速度を抑えることができれば変速ショックを回避しうる。そこで、油圧の低下速度を解放開始時には高速に全解放となる直前では低速になるように制御することが考えられる。
例えば、摩擦係合要素の係合圧を油圧により制御するための油圧制御弁を、摩擦係合要素の係合状態に応じて適切に減圧制御することができれば、変速時間が長くならないようにしながら変速ショックを防止しつつ摩擦係合要素を解放することが可能である。しかし、摩擦係合要素の係合状態を直接把握することは困難である。摩擦係合要素の係合状態は、制御油圧に対応するので、油圧センサを装備し制御油圧を検出して摩擦係合要素の係合状態を間接的に把握することができるが、油圧制御に伴う応答遅れを考慮しなくてはならない。
本発明は、上記の課題に鑑み創案されたもので、油圧センサに頼ることなく変速時間が長くならないようにしながら変速ショックを防止しつつ摩擦係合要素を解放することができるようにした、自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明の自動変速機の制御装置は、駆動源からの出力を変速して動力を伝達する自動変速機の制御装置であって、前記駆動源からの出力を受けるトルクコンバータと、前記トルクコンバータからの出力を受ける変速機構と、前記変速機構に装備され、選択的に係合されることにより所定の変速段を達成する摩擦係合要素と、油圧により前記摩擦係合要素の係合状態を制御する油圧制御弁と、前記トルクコンバータのタービン回転角加速度を演算する回転角加速度演算手段と、前記トルクコンバータの入出力回転の速度比を演算する速度比演算手段と、前記油圧制御弁に油圧指示値を与えて制御する弁制御手段と、を備え、前記弁制御手段は、前記自動変速機の選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、係合している前記摩擦係合要素を解放状態へ制御する解放油圧指示値を所定速度で低下させる第1制御部と、前記第1制御部による制御中に、前記回転角加速度演算手段及び前記速度比演算手段により演算されたタービン回転角加速度及び速度比に基づいて、前記速度比における前記タービン回転角加速度が、速度比に対応したタービン回転角加速度の値として設定された解放判定閾値以下になったら、前記解放油圧指示値を低下させる速度を前記所定速度よりも低下させる第2制御部と、を有することを特徴としている。
(2)前記解放判定閾値は、前記トルクコンバータの流体特性から得られる、前記摩擦係合要素を即座に完全解放した場合のタービン回転角加速度の速度比に対する変動特性値に基づき設定されることが好ましい。
(3)前記解放判定閾値は、前記変動特性値を所定量だけ減少側にオフセットされたものであることが好ましい。
(4)前記変動特性値は、前記トルクコンバータの流体特性であるトルク比及びトルク容量の速度比に対する特性から演算され設定されることが好ましい。
(5)前記第1制御部は、前記選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、即座に低下する第1解放油圧指示値を与え、その後は、第1解放油圧指示値から前記所定速度で解放油圧指示値を低下させることが好ましい。
本発明によれば、選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、解放油圧指示値を所定速度で低下させ、その後、演算された速度比における演算されたタービン回転角加速度が、速度比に対応したタービン回転角加速度の値として設定された解放判定閾値以下になったら、解放油圧指示値の低下速度を所定速度よりも低下させるので、所定速度を高くして速やかに油圧を解放できるようにしながら、適切なタイミングで油圧の低下速度を緩めることができる。これにより、急激なトルク抜けによるショックを抑制しつつ、完全解放までの時間が長くなるのを防止することができる。
本発明の一実施形態に係る自動変速機及びその制御装置のシステム図である。 本発明の一実施形態に係る自動変速機のトルクコンバータの特性を示す図である。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置による制御に用いる解放判定閾値を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置による制御を説明するタイムチャートである。 本発明の一実施形態に係る自動変速機の制御装置による制御を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することや適宜組み合わせることが可能である。
[1.全体システム構成]
図1は、本実施形態に係る制御装置が適用された車両の駆動系と制御系の要部を示すシステム図である。
図1に示すように、車両の駆動系は、駆動源であるエンジン(内燃機関)1と、トルクコンバータ2と、変速機構3と、変速機構3の動力伝達方向下流の動力伝達系7と、その動力伝達方向下流の図示しない駆動輪とを備えている。
なお、トルクコンバータ2と変速機構3とをトランスミッションケース10A内に収納することにより自動変速機10が構成される。また、図1では、トルクコンバータ2よりも動力伝達方向上流側の部分(主にエンジン1)と、トルクコンバータ2と後述の摩擦係合要素31との間の部分(トルクコンバータ2の後述のタービンランナ24を含む)と、摩擦係合要素31よりも動力伝達方向下流側の部分との、各イナーシャマスを簡易的なブロックA,B,Cで示している。
トルクコンバータ2は、トルク増大機能を有する発進要素であり、エンジン出力軸11にコンバータハウジング22を介して連結されたポンプインペラ23と、トルクコンバータ出力軸21に連結されたタービンランナ24と、ケースにワンウェイクラッチ(図示略)を介して設けられたステータ25とを構成要素としている。本実施形態では、トルク増大機能を必要としないとき、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21とを直結可能なロックアップクラッチ20を有している。
変速機構3には、複数の前進段と後進段とを達成する有段変速機構が適用されている。各変速段は、クラッチ又はブレーキといった複数ある摩擦係合要素31を選択的に係合させることによって達成される。例えば前進発進時には、1速段を達成する摩擦係合要素31を係合させ、後進発進時には、後進段を達成する摩擦係合要素31を係合させる。前進走行時には、車速とエンジン負荷(ここでは、スロットルバルブ開度とする)とに応じて適宜の変速段を達成する摩擦係合要素31を係合させる(図1では簡易的に1つのクラッチのみを図示している)。
このような各摩擦係合要素31の係合や解放といった係合状態は、対応する油圧制御弁41を通じた油圧制御によって各摩擦係合要素31の係合圧を調整することによって行われる。油圧制御弁41は、油圧コントロールユニット4内に装備されたソレノイドバルブであって、自動変速機コントロールユニット5(以下、ATCUという)の指令信号によって作動する。油圧制御弁41は、指令信号に従って、図示しないオイルポンプから供給される作動油の油圧を調圧して、各摩擦係合要素31の係合圧を調整する。
ATCU5には、インヒビタースイッチ61からの選択レンジ信号、車速センサ62からの車速Vsp、スロットル開度センサ63からのスロットルバルブ開度TVO、エンジン回転数センサ64からのエンジン回転数Ne、タービン回転数センサ65からのトルクコンバータ2のタービン回転数Nt等の各信号が信号入力され、ATCU5は、これらの信号に基づいて自動変速機10を制御する。
ATCU5は、例えば、選択レンジがDレンジやRレンジといった走行レンジ(動力伝達レンジ)であれば、油圧コントロールユニット4内の必要な油圧制御弁41を制御して所要の摩擦係合要素を係合させて、エンジン1と駆動輪との間を動力連結する。この際、Dレンジ等の前進走行レンジであれば、車速とスロットルバルブ開度とに応じて選択された変速段を達成し動力連結する。
また、ATCU5は、選択レンジが、Nレンジといった非走行レンジ(動力非伝達レンジ)であれば、必要な油圧制御弁41を制御してエンジン1と駆動輪との間を動力連結する摩擦係合要素を解放して、エンジン1と駆動輪との間の動力連結を遮断する。特に、本装置では、選択レンジが走行レンジ(動力伝達レンジ)から非走行レンジ(動力非伝達レンジ)に切り替えられた場合に、特有な油圧制御を実施する。
[2.走行レンジから非走行レンジへの切替時における油圧制御]
ATCU5には、トルクコンバータ2のタービンランナ24の回転角加速度α(=dω/dt)を演算する回転角加速度演算部(回転角加速度演算手段)51と、トルクコンバータ2の入出力回転の速度比eを演算する速度比演算部(速度比演算手段)52と、油圧制御弁41に油圧指示値Pcを与えて油圧制御弁41の作動を制御する弁制御部(弁制御手段)53と、が備えられている。
回転角加速度演算部51は、タービン回転数センサ65により検出されたトルクコンバータ2のタービン回転数Nt(タービンランナ24の回転角速度ω=2π・Nt)を時間微分してタービンランナ24の回転角加速度α(=2π・dNt/dt)を演算する。なお、回転角加速度αは、検出されたタービン回転数Ntを周期的に取り込んで、タービン回転数Ntの差分(変化量)と周期とから演算しても良い。
速度比演算部52は、トルクコンバータ2の出力回転速度をトルクコンバータ2の入力回転速度で除算して速度比eを演算する。ここでは、トルクコンバータ2の入力軸(ポンプインペラ23の回転軸)がエンジン1の出力軸に直結しているので、トルクコンバータ2の入力回転速度(ポンプインペラ23の回転速度)として、エンジン回転数センサ64により検出されたエンジン回転数Neを用い、また、トルクコンバータ2の出力回転速度として、タービン回転数センサ65により検出されたトルクコンバータ2のタービン回転数Ntを用いて、次式(1)により速度比eを演算する。
e=Nt/Ne・・・(1)
弁制御部53は、選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられたときに、係合していた摩擦係合要素31の油圧制御弁41に解放油圧指示値に応じた指令信号を与えて、摩擦係合要素31を制御してエンジン1と駆動輪との動力連結を遮断する制御を行なう。弁制御部53は、油圧解放の前段で制御を行なう第1制御部53aと、油圧解放の後段で制御を行なう第2制御部53bとを備えている。
第1制御部53aは、インヒビタースイッチ61からの選択レンジ信号に基づいて選択レンジを判定し、選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、図4(f)に示すように、即座に、ステップ状に所定油圧P1まで低下するように解放油圧指示値Pdを与え、その後は、解放油圧指示値Pdを所定速度a1で減少させる。所定油圧P1及び所定速度a1は、摩擦係合要素31を速やかに完全解放直前の状態まで操作するために試験等に基づいて設定される。
なお、ここでは、解放油圧指示値Pdを所定油圧(第1解放油圧指示値)P1までステップ状に低下させた後、一定の所定速度a1で減少させているが、この所定速度を途中で減少させてもよい。つまり、解放油圧指示値Pdを所定油圧P1までステップ状に低下させた後、大きな減少速度a11で所定油圧P1と第2制御部53bが制御を開始する油圧との中間圧(即ち、図4(f)における時点t1と時点t2との中間における油圧)まで減少させ、その後は、減少速度a11よりも緩やかな減少速度a12(ただし、後述の第2制御部53bによる減少速度a2よりも高い)で解放油圧指示値Pdを減少させるようにしてもよい。
第2制御部53bは、第1制御部53aによる制御中に、摩擦係合要素31が完全解放直前の状態になったら、図4(f)に示すように、解放油圧指示値Pdの低下速度を所定速度a1よりも低い所定速度a2に低下させ、油圧の低下を緩やかに行なうようにすることにより、摩擦係合要素31の完全解放時に生じ易いトルク抜けによるショックの発生を回避する。
摩擦係合要素31が完全解放直前の状態になったか否かは、回転角加速度演算部41により演算されたタービン回転角加速度αTCを、その時の速度比eに対応して設定された解放判定閾値αTSと比較して、タービン回転角加速度αTCが解放判定閾値αTS以上になったら、完全解放直前の状態になったと判定する。
ここで、解放判定閾値αTSについて説明する。この解放判定閾値αTSは、摩擦係合要素31を即座に(即ち、瞬時に)完全解放した場合のトルクコンバータ2の流体特性に基づき設定される。選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられる状況は、主に車両が停止した状況であり、動力伝達レンジでは、摩擦係合要素31が係合し、エンジン1が回転し、車両が停止しているので、エンジン1の回転は全てトルクコンバータ2により吸収される状態になっている。
つまり、車両停止状態で摩擦係合要素31が係合していると、トルクコンバータ2の入力回転速度(ポンプインペラ23の回転速度)は、エンジン回転数Neに対応した速度であり、トルクコンバータ2の出力回転速度(タービンランナ24の回転速度)は、0であり、速度比eは0である。
この状態で、摩擦係合要素31を解放した場合には、速度比eは0から1に向けて増加する。この速度比eの増加に対応するように摩擦係合要素31が完全解放に移行する。本制御では、トルクコンバータ2の出力側の角回転加速度、即ち、タービンランナ24の回転角加速度αに着目する。
ここで、タービンランナ24に入力されるトルクをT、タービンランナ24と一体回転する部分のイナーシャをIとすると、タービンランナ24の回転角加速度αは、次式(2)で示される。
α=T/I・・・(2)
また、トルクコンバータ2の流体特性を示すパラメータに、速度比eに対するトルク比t(=T/T,Tはエンジントルク)と、速度比eに対するトルク容量τとがあり、これらはトルクコンバータ2に応じて既知の特性を有している。ここで、トルクコンバータ2の入力回転速度をエンジン回転数Neとすると、これらパラメータのトルク比t,トルク容量τ及びエンジン回転数Neにより、タービンランナ24に入力されるトルクTは、次式(3)で示される。
=t・τ・Ne ・・・(3)
したがって、タービンランナ24の回転角加速度αは、次式(4)で示される。
α=t・τ・Ne/I・・・(4)
トルク比t及びトルク容量τの速度比eに対する変動特性値は、例えば図2に示すように、トルクコンバータ2の流体特性値として既知であるので、摩擦係合要素31を即座に完全解放したと仮定すると、トルクコンバータ2の流体特性がそのまま発揮され、また、エンジン回転数Neを一定と考えると、即座に完全解放した場合の理論上の回転角加速度αTICは、例えば図3に模式的に示すように、速度比eに対応して決まる。
図3に示す即座に完全解放した場合の理論上の回転角加速度αTICは、速度比eが0から1に向かって増大するのに対して単調減少しているが、即座に完全解放した場合の実際の回転角加速度αTIAは、摩擦係合要素31を即座に完全解放するように油圧指令をしても、油圧の応答特性により油室から油圧が解放するには時間を要し、摩擦係合要素31を即座に瞬間的に完全解放となるわけではない。
即座に完全解放するように油圧指令を出した場合の実際の回転角加速度αTIAの速度比eに対する変動について、シミュレーションにより得た結果を図3に示す。図示するように、即座に完全解放した場合の実際の回転角加速度αTIAは、速度比eが0から1に向かって増大する際に、0から増加していきその後減少に転じる。ただし、速度比eがある程度(図示ではe=0.5程度)よりも大きい領域では、この即座に完全解放した場合の実際の回転角加速度αTIAは理論上の回転角加速度αTICとほぼ一致するようになる。
一方、第1制御部53aでは、選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、解放油圧指示値Pdを即座に油圧指示値P1に低下させた後、ある減速度(ここでは、所定減速度VP1)で低下させており、即座に完全解放指令するわけではない。したがって、解放油圧指示値Pdに対する制御応答回転角加速度αTRは、図3に示すように、即座に完全解放した場合の実際の回転角加速度αTIAよりも低い値となる。ただし、速度比eがある程度(図示ではe=0.75程度)よりも大きい領域では、制御応答回転角加速度αTRは即座に完全解放した場合の理論上の回転角加速度αTIC及び実際の回転角加速度αTIAとほぼ一致する。
したがって、制御応答回転角加速度αTRが理論上の回転角加速度αTICとほぼ一致したら、油圧は完全解放状態になっていると判断することができる。
一方、第2制御部53bは、第1制御部53aによる制御中に、摩擦係合要素31が完全解放直前の状態になったら、解放油圧指示値Pdの低下速度を所定速度a1よりも低下させるため、制御応答回転角加速度αTRが理論上の回転角加速度αTICとほぼ一致する直前の状態を判定したい。
そこで、図3に示すように、理論上の回転角加速度αTICを減少側に一定のオフセット量αOSだけオフセットした曲線を、解放判定閾値αTSを規定する線に設定している。なお、オフセット量αOSは試験結果等から設定することができる。つまり、解放判定閾値αTSは、速度比eに相関する理論上の回転角加速度αTICからオフセット量αOSを減算した値であり、速度比eに対する関数として或いは速度比eとの相関テーブルとして設定され、記憶されている。したがって、速度比eから解放判定閾値αTSを演算することができる。
[3.作用及び効果]
本発明の一実施形態にかかる自動変速機の制御装置は、上述のように構成されているので、例えば図4,図5に示すように、車両が停止していて、選択レンジが走行レンジから非走行レンジへの切替時において摩擦係合要素31を解放するための油圧制御が行われる。なお、図5のフローチャートは所定の制御周期で繰り返し実施される。
車両が停止している状態で、選択レンジが切り替えられる直前では、図4(b)に示すように、エンジン1はエンジン回転数Neでアイドリング回転していて、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ20は解放状態で、係合中の摩擦係合要素31を介して駆動輪と動力連結されたタービンランナ24は停止していて、タービン回転数Ntは0となっている。
そして、時点tで、図4(a)に示すように、走行レンジであるDレンジから非走行レンジであるNレンジへの切替が行われると、切替前のDレンジ設定時において係合していた摩擦係合要素31を解放する解放制御を実施する。この解放制御では、弁制御部53の第1制御部53aが、図4(f)に示すように、時点tで、所定油圧P1までステップ状に低下するように解放油圧指示値Pdを与え、その後は、解放油圧指示値Pdを所定速度a1で減少させる。
このように解放油圧指示値Pdを与えることにより、時点tで摩擦係合要素31が完全係合状態から滑り係合状態に移行し、タービンランナ24が回転を開始する。これにより、図4(b),(c)に示すように、タービン回転数Ntは0から増加していき、速度比e(=Nt/Ne)も0から増加していく。
弁制御部53では、図5に示すように、制御の実施中であるか否かを判定する(ステップS10)。ある制御周期で、解放制御の実施中であると判定されれば、速度比演算部52で演算された速度比eから解放判定閾値αTSを演算する(ステップS20)。
そして、回転角加速度演算部51で演算されたタービン回転角加速度αTCを解放判定閾値αTSと比較して、タービン回転角加速度αTCが解放判定閾値αTS以上か否かを判定する(ステップS30)。図4(d)に示すように、タービン回転角加速度αTC及び解放判定閾値αTSが何れも速度比eの増加に伴って減少していき、タービン回転角加速度αTCが解放判定閾値αTS以上になると、ステップS30で肯定判定されて、解放判定フラグをオフからオンに切り替えて〔図4(e)参照〕、解放油圧指示値Pdの低下速度を所定速度a1よりも低い所定速度a2に低下させ、油圧の低下を緩やかに行なうようにする(ステップS40)。
このように、タービン回転角加速度αTCが解放判定閾値αTS以上と判定されたら、解放油圧指示値Pdの低下速度を低下させるので、タービン回転角加速度αTCが解放判定閾値αTS以上と判定される解放直前判定時点までは、解放油圧指示値Pdを速やかに低下させて摩擦係合要素31の解放に係る時間を短縮させ、解放直前判定時点後は、解放油圧指示値Pdを緩やかに低下させて完全解放時に生じ易いトルク抜けショックの発生を回避することができる。
特に、摩擦係合要素31が完全解放に至る際のタービン回転角加速度αTCの速度比eに対する変動特性値に着目して、完全解放直前を判定しているので、完全解放直前を確実に判定することができ、摩擦係合要素31の解放に係る時間の短縮と完全解放時に生じ易いトルク抜けショックの発生回避とを、適切に両立させることができる。
[4.その他]
以上、本発明の一実施形態にかかる自動変速機の制御装置について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態では、摩擦係合要素31を即座に完全解放した場合の理論上の回転角加速度αTICを減少側に一定のオフセット量αOSだけ減算した値を解放判定閾値αTSに設定しているが、上記の理論上の回転角加速度αTICに1よりも小さい係数を乗算して減少側にシフトさせた値を解放判定閾値αTSに設定することも考えられる。
また、上記実施形態では、摩擦係合要素31を即座に完全解放した場合の理論上の回転角加速度αTICをトルクコンバータ2の特性データとして既知であるトルク比t及びトルク容量τの速度比eに対する変動特性値から設定しているが、摩擦係合要素31を即座に完全解放した場合の実際の回転角加速度αTIAを試験結果から得て、これを理論上の回転角加速度αTICに替えて使用してもよい。
また、上記実施形態では、自動変速機10にトルクコンバータ2及び有段の変速機構3を装備したもの例示したが、自動変速機にはトルクコンバータ及び無段変速機構を装備したものにも適用可能である。
1 駆動源であるエンジン(内燃機関)
1A エンジン出力軸(=トルクコンバータ入力軸)
2 トルクコンバータ
3 変速機構
4 油圧コントロールユニット
5 自動変速機コントロールユニット(ATCU)
10 自動変速機
11 トランスミッションケース
20 ロックアップクラッチ
21 トルクコンバータ出力軸
24 タービンランナ
31 摩擦係合要素
41 油圧制御弁
51 回転角加速度演算部(回転角加速度演算手段)
52 速度比演算部(速度比演算手段)
53 弁制御部(弁制御手段)
53a 第1制御部
53b 第2制御部
61 インヒビタースイッチ
62 車速センサ
63 スロットル開度センサ
64 エンジン回転数センサ
65 タービン回転数センサ
P1 所定油圧
Pd 解放油圧指示値
a1 所定速度
a2 所定速度
αTC 演算されたタービン回転角加速度
αTS 解放判定閾値
α タービンランナ24の回転角加速度
e 速度比
t トルク比
τ トルク容量
Ne エンジン回転数
タービンランナ24に入力されるトルク
αTIA 即座に完全解放した場合の実際の回転角加速度
αTR 制御応答回転角加速度
αTIC 即座に完全解放した場合の理論上の回転角加速度

Claims (5)

  1. 駆動源からの出力を変速して動力を伝達する自動変速機の制御装置であって、
    前記駆動源からの出力を受けるトルクコンバータと、
    前記トルクコンバータからの出力を受ける変速機構と、
    前記変速機構に装備され、選択的に係合されることにより所定の変速段を達成する摩擦係合要素と、
    油圧により前記摩擦係合要素の係合状態を制御する油圧制御弁と、
    前記トルクコンバータのタービン回転角加速度を演算する回転角加速度演算手段と、
    前記トルクコンバータの入出力回転の速度比を演算する速度比演算手段と、
    前記油圧制御弁に油圧指示値を与えて制御する弁制御手段と、を備え、
    前記弁制御手段は、
    前記自動変速機の選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、係合している前記摩擦係合要素を解放状態へ制御する解放油圧指示値を所定速度で低下させる第1制御部と、
    前記第1制御部による制御中に、前記回転角加速度演算手段及び前記速度比演算手段により演算されたタービン回転角加速度及び速度比に基づいて、前記速度比における前記タービン回転角加速度が、速度比に対応したタービン回転角加速度の値として設定された解放判定閾値以下になったら、前記解放油圧指示値を低下させる速度を前記所定速度よりも低下させる第2制御部と、を有する
    ことを特徴とする、自動変速機の制御装置。
  2. 前記解放判定閾値は、前記トルクコンバータの流体特性から得られる、前記摩擦係合要素を即座に完全解放した場合のタービン回転角加速度の速度比に対する変動特性値に基づき設定される
    ことを特徴とする、請求項1記載の自動変速機の制御装置。
  3. 前記解放判定閾値は、前記変動特性値を所定量だけ減少側にオフセットされたものである
    ことを特徴とする、請求項2記載の自動変速機の制御装置。
  4. 前記変動特性値は、前記トルクコンバータの流体特性であるトルク比及びトルク容量の速度比に対する特性から演算され設定される
    ことを特徴とする、請求項2又は3記載の自動変速機の制御装置。
  5. 前記第1制御部は、前記選択レンジが動力伝達レンジから動力非伝達レンジに切り替えられると、即座に低下する解放油圧指示値を与え、その後は、前記所定速度で解放油圧指示値を低下させる
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の自動変速機の制御装置。
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