JP2020015957A - 焼結鉱の軟化開始温度評価方法 - Google Patents

焼結鉱の軟化開始温度評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも簡便かつ迅速に焼結鉱の軟化開始温度を評価できる、焼結鉱の軟化開始温度評価方法を提供する。【解決手段】鉄含有原料、副原料、炭材を含む原料を造粒し、焼成した焼結鉱を得る焼結鉱製造工程S1と、焼結鉱を粉砕して粉末試料を得る試料粉砕工程S2と、粉末試料をX線回折法によって分析し回折パターンを得るX線回折パターン測定工程S3と、回折パターンにリートベルト解析を適用して鉱物相の相分率を求めるリートベルト解析工程S4と、鉱物相のうち、SFCA−Iの相分率から焼結鉱の軟化開始温度を評価する軟化開始温度評価工程S5と、を実施する焼結鉱の軟化開始温度評価方法であって、リートベルト解析工程S4は、SFCAと、SFCA−Iとを分離して、SFCA−Iの相分率を定量する。【選択図】図1

Description

本発明は、焼結鉱の軟化開始温度評価方法に関する。
高炉の操業においては、焼結鉱とコークスを積層させ、高炉内を通過する還元性ガスによって焼結鉱を還元し、溶銑とした後で取り出している。
焼結鉱は、鉱石と炭材と副原料を焼結して製造されるものであり、具体的には、以下の手順で製造される。
まず、鉱石、石灰石等の副原料、炭材、水をミキサーあるいは混錬機を用いて造粒して、焼結原料を得る。
造粒により、焼結原料は、平均粒径3〜5mm程度の粒子を核粒子とし、核粒子の周囲を、「付着粉」と呼ばれる平均粒径1mm以下の粒子が取り巻いた、擬似的な粒子(以下、「擬似粒子」とも言う)に造粒される。
次に、焼結原料を焼結機のパレット上に装入して充填層を形成し、バーナーで充填層の上面に着火する。着火により、充填層内の炭材が燃焼し、燃焼帯を形成する。さらにパレットの下方からパレット内の空気を吸引する。燃焼帯は、吸引によって充填層の上層から下層に進行する。燃焼帯では、燃焼熱によって周囲の擬似粒子が昇温されて部分的に溶融し、その融液により擬似粒子間が架橋されて焼結し、焼結鉱が製造される。製造された焼結鉱はパレットから排鉱され、クラッシャーによって粉砕されて、篩で整粒される。篩上が焼結鉱となり、篩下は返鉱として焼結原料に戻される。
焼結鉱は高炉内に投入する鉄源の約7割を占める原料であり、鉄源の還元を効率的に進行させるには、焼結鉱の高温性状が重要である(例えば、特許文献1)。実際の高炉内での反応では炉内の通気状況が原料の還元効率に影響を与える。炉内の通気が良好であると還元ガスが原料と効率よく接触して還元が促進されるが、焼結鉱などの原料は炉内中での昇温還元に伴い軟化収縮するため、気孔が減少して通気を妨げる。その結果、炉内の圧力損失が生じ始め、還元効率を悪化させる。効率よく還元効率を維持するためには、より高温で軟化収縮する原料が求められる。そのため、高温性状を評価する指標として軟化開始温度がある。軟化開始温度とは、炉内での昇温還元に伴う軟化収縮により鉄原料充填層の圧力損失が生じ始める温度を指す。
軟化開始温度は、高温性状を評価する手法は高温荷重軟化試験法で評価できる(例えば、非特許文献1)。これは例えば、内径70mm、高さ70mmのるつぼ内に500gの鉄源試料をコークスで上下サンドイッチする形で装入し、そのるつぼに対して荷重をかけつつ還元ガスを流し、1400℃まで加熱することで、原料の軟化開始温度を評価する試験である。この試験における軟化開始温度は、例えばこの圧力損失が200mmH2O(1960Pa)に達する温度として確定できる(条件は任意に決定可能)。
しかしながら、高温荷重軟化試験法は時間がかかるため、現実的には1日に1回しか軟化開始温度を測定できない。さらに準備から試料交換までの手間もかかるため、迅速性と簡便性に欠けるという問題があった。
焼結鉱は不均一性が高い材料であり、生産量に対して品質のばらつきが大きいため、高炉操業に適した焼結鉱を的確にフィードバックするには、迅速かつ簡易に軟化開始温度を評価する技術が必要である。
そこで焼結鉱の軟化開始温度を高温荷重軟化試験で直接求めるのではなく、焼結鉱の軟化開始温度と相関を有する指標を求め、当該指標から焼結鉱の軟化開始温度を評価できれば望ましい。
軟化溶融開始温度は焼結鉱の成分や鉱物相に影響を受ける。一般的には軟化溶融開始温度は、焼結鉱中の脈石(Si、Al)が少なく、塩基度が高いほうが高くなり、高炉操業に好適であるといわれるが、様々な因子が複雑に絡み合っていることから、解明されていない点は多い。また、塩基度の測定には化学分析が必要であり、迅速性、簡便性にやはり問題があった。
特許文献2は、X線回折(XRD, X-Ray Diffraction)およびリートベルト解析を用いて、カルシウムフェライト鉱物相の総量を求めて、相関に基づき、強度を評価している。
しかしながら、特許文献2ではカルシウムフェライトの総量から焼結鉱の特性を評価しており、カルシウムフェライトの組成の違いを考慮していないため、評価精度が十分でないという問題があった。また、特許文献2では焼結鉱の特性として、具体的には強度しか評価しておらず、焼結鉱の軟化開始温度を定量的に評価できなかった。
特許文献2には焼結鉱中の複数のカルシウムフェライトを分離して評価できることが記載されている。しかし、特許文献2には、Fe、Ca、Si、Alを含有するカルシウムフェライトの相分率を求めることについては記載がない。
非特許文献2には、X線回折およびリートベルト解析を用いて、Fe23、CaCO3、SiO2、Al(OH)3を直接焼結して得た焼結試料を評価し、SFCA、SFCA−Iの比率を求めたことが記載されている。しかし焼結試料の各相の比率と軟化開始温度との相関については記載がない。
特開2001−303142号公報 特開2013−122403号公
斧 勝也ら "高炉装入物の溶融滴下について"、鉄と鋼、Vol65(1979) No.5, p505-5014.重見 彰利 製銑ハンドブック,地球書館,1979,pp315-318O N.A.S.Webster et.al, "Silico-ferrite of Calcium and Alminum (SFCA) Iron Ore Sinter Bonding phases: New Insights into Their Formation During Heating and Cooling", N.A.S.Webster et.al, Metall. and Mat. Trans. B, 43(2012), p1344.
このように、焼結鉱の軟化開始温度の測定には迅速性、簡便性に課題があった。
本発明の目的は、従来よりも簡便かつ迅速に焼結鉱の軟化開始温度を評価できる、焼結鉱の軟化開始温度評価方法を提供することにある。
本発明に係る焼結鉱の軟化開始温度評価方法は、鉄含有原料、副原料、炭材を含む原料を造粒して得られた焼結原料粒子を、焼成して得られた焼結鉱を粉末状に粉砕して粉末試料を得る試料粉砕工程と、前記粉末試料をX線回折法によって分析し回折パターンを得るX線回折パターン測定工程と、前記回折パターンにリートベルト解析を適用して、Fe、Ca、Si、Alを含み、Fe含有量がSFCA−I(Silico-ferrite of calcium and aluminum-I)より低いカルシウムフェライト相である、SFCAと、前記SFCA−Iとを分離して、前記SFCA−Iの相分率を定量するリートベルト解析工程と、鉱物相のうち、前記SFCA−Iの相分率から前記焼結鉱の軟化開始温度を評価する軟化開始温度評価工程と、を実施することを特徴とする。
この発明によれば、X線回折とリートベルト解析により定量したSFCA−Iから求めた指標から軟化開始温度を求めるので、高温荷重軟化試験法を行うことなく焼結鉱の軟化開始温度を簡便に評価できる。
また、この発明によれば、SFCA−IとSFCAを分離してリートベルト解析を行うため、従来よりも高精度に焼結鉱の軟化開始温度を評価できる。
本発明に係る焼結鉱の軟化開始温度評価方法は、前記軟化開始温度評価工程は、SFCA−Iの相分率をヘマタイト相分率とマグネタイト相分率の和で除して得た指標から前記焼結鉱の軟化開始温度を評価する工程であってもよい。
この発明によれば、塩基度が高い場合にSFCA−I相分率の大小に影響すると考えられる、ヘマタイト相分率とマグネタイト相分率も考慮した指標で軟化開始温度を推定する。そのため、SFCA−I相分率のみを用いる場合と比べて、塩基度が高いと予測される焼結鉱について、より高い精度で軟化開始温度を評価できる。
本発明に係る焼結鉱の軟化開始温度評価方法は、前記軟化開始温度評価工程は、SFCA−Iの相分率をマグネタイト相分率で除して得た指標から前記焼結鉱の軟化開始温度を評価する工程であってもよい。
この発明によれば、塩基度が低い場合にSFCA−Iの相分率の大小に影響すると考えられる、マグネタイト相分率も考慮した指標で軟化開始温度を推定する。そのため、SFCA−Iの相分率のみを用いる場合と比べて、塩基度が高いと予測される焼結鉱について、より高い精度で軟化開始温度を評価できる。
本発明に係る焼結鉱の軟化開始温度評価方法では、前記リートベルト解析工程は、前記SFCA−IとしてCa3(Ca,Fe)(Fe,Al)1628の構造式を満たした結晶相を選択し、前記SFCAとしてCa2(Ca,Fe,Al)6(Fe,Al,Si)620の構造式を満たした結晶相を選択して、前記回折パターンにリートベルト解析を適用して前記鉱物相の相分率を求める工程であってもよい。SFCAおよびSFCA−Iは連続固溶体であるため、FeとCaを主元素として、かつ構造式を満たす範囲ならば他の元素が固溶した構造モデルを用いてもよい。例えば、SFCA−IはSiが固溶した構造モデルを用いてもよい。同様にSFCAにMgが固溶した構造モデルを用いてもよい。
この発明によれば、焼結鉱中のSFCA−IおよびSFCAとして、一般的な焼結鉱中に存在する代表的な組成を選択してリートベルト解析を行うため、高精度に焼結鉱の軟化開始温度を評価できる。
本発明の第1の実施形態に係る焼結鉱の軟化開始温度評価方法の手順を示すフロー図。 実施例として、試料番号1〜16について、SFCA−I相分率と軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 比較例として、試料番号1〜16について、塩基度(CaO/SiO)と軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 実施例として、試料番号1〜16について、SFCA−I相分率を(ヘマタイト相分率+マグネタイト相分率)で除した値と、軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 実施例として、試料番号1〜10について、SFCA−I相分率と軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 比較例として、試料番号1〜10について、塩基度(CaO/SiO)と軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 実施例として、試料番号1〜10について、SFCA−I相分率を(ヘマタイト相分率+マグネタイト相分率)で除した値と、軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 実施例として、試料番号11〜16について、SFCA−I相分率と軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 比較例として、試料番号11〜16について、塩基度(CaO/SiO)と軟化開始温度の相関を評価したグラフ。 実施例として、試料番号11〜16について、SFCA−I相分率をマグネタイト相分率で除した値と、軟化開始温度の相関を評価したグラフ。
<発明の背景>
まず、本発明を創出するに至った経緯について、説明する。
カルシウムフェライトは、擬似粒子を焼結して焼結鉱を生成する際に、以下の反応により生じると考えられる。
擬似粒子の焼結の際に、擬似粒子中の炭材である粉コークスの燃焼により、焼結層内の温度が1200℃近くまで上昇すると、Fe23とCaOの界面で固相拡散が進行し、固体のCaO−Fe23が生成する。
さらに温度が上昇するとCaO−Fe23が融液になる。焼結層内の温度が1200℃〜1300℃に上昇すると、融液量はさらに増加し、融液の拡散が活性化することで周りの原料を焼結させる。焼結が進むとCaO−Fe23系融液は冷却され、カルシウムフェライト、2次ヘマタイト、マグネタイト等の鉱物相に変化する。
このような焼結反応において、カルシウムフェライト系融液の生成開始から、最高温度到達点を経由して融液が固化するまでの時間は、数分と短い。そのため、高炉用原料の焼結反応は短時間で非平衡の反応であり、焼結鉱の鉱物相は複数相である。
本発明者は、これら鉱物相の相分率と焼結鉱の軟化開始温度との間に、相関関係があるか否かを検討した。
特に、本発明者は、カルシウムフェライトの組成と焼結鉱の軟化開始温度の関係を調査した。その結果、SFCA−Iと呼ばれる特定の組成のカルシウムフェライト相の相分率が、焼結鉱の軟化開始温度と強い相関を示すことを見出した。
SFCA―Iとは、SFCAよりFe含有量が多く、Siが少ないカルシウムフェライト相である。
本発明者はさらに、SFCAと呼ばれるカルシウムフェライト相を、SFCA−Iと分離してリートベルト解析を行うことにより、分離しない場合と比べてSFCA−Iの相分率を精度良く求められることを見出した。
SFCAとは、主にFe、Ca、Si、Alを含み、Fe含有量が、SFCA−Iより少ないカルシウムフェライト相である。
このようにして求められたSFCA−I相分率は軟化開始温度と高い相関が得られた。脈石(Si、Al)が少ないカルシウムフェライト相のSFCA−Iは、脈石が比較的多く含有するSFCA等に比べて軟化開始温度が高いと考えられるため、SFCA−Iが多い焼結鉱は軟化開始温度が向上したと推察される。
以上が、本発明を創出するに至った経緯である。
次に、図面を参照して本実施形態に係る軟化開始温度評価方法について、説明する。
<軟化開始温度評価方法の概要>
まず、図1を参照して本発明の第1の実施形態に係る軟化開始温度評価方法の概要について、説明する。
まず、焼結原料を造粒し、焼成して焼結鉱を得る(図1のS1、焼結鉱製造工程)。なお、S1は必須ではないので、既に測定対象の焼結鉱がある等の理由で、焼結鉱を新たに得る必要が無い場合は実施しない。
次に、得られた焼結鉱を粉末状に粉砕して粉末試料を得る(図1のS2、試料粉砕工程)。
次に、粉末試料をX線回折法によって分析し、回折パターンを得る(図1のS3、X線回折パターン測定工程)。
次に、回折パターンにリートベルト解析を適用して鉱物相の相分率を求める(図1のS4、リートベルト解析工程)。
得られたSFCA−I相分率から軟化開始温度を評価する(図1のS5、軟化開始温度評価工程)。
以上が、本発明の第1の実施形態に係る軟化開始温度評価方法の、概要の説明である。
次に、本発明の第1の実施形態に係る軟化開始温度評価方法の、各工程の詳細について説明する。以下の説明ではX線回折をXRDと略すことがある。以下、具体的な方法の例を示すが、本方法はその内容に限定されるものではない。
<S1:焼結鉱製造工程>
S1は必須ではないので、既に測定対象の焼結鉱がある等の理由で、焼結鉱を新たに得る必要が無い場合は実施しない。以下の説明は、測定対象である焼結鉱を新たに得る場合の手順である。
S1では、鉄鉱石や返鉱等の鉄含有原料、石灰石等の副原料、およびコークス等の炭材を造粒して焼結原料粒子を得た後、焼成して焼結鉱を得る。焼結装置としてはDL(ドワイトロイド)式が例示できるが、焼結鍋を用いてもよい。
次に、焼結鉱試料を焼結ケーキまたは、鍋試験で得られた焼結鉱塊から採取する。以下の説明では焼結ケーキから採取した場合について説明する。
採取の際には、鉱物相の相分率以外の軟化開始温度の因子の影響を、抑制するような採取を行う必要がある。具体的には、焼結ケーキからの採取部位を統一して、焼結鉱の粒度や焼結反応の熱履歴などに、差が無い試料を採取するのが好ましい。
また、評価する焼結鉱の代表値を得る必要がある。焼結ケーキ部位全体の代表値を得るためには、採取範囲内から偏りがないように試料を採取することが好ましい。焼結鉱は不均一性が高い材料であるため、評価したい試料の範囲全体を採取・粉砕して評価することが理想であるが、現実には難しい。そのため、評価したい試料の範囲に対して、採取する量が少なくなり過ぎないように試料を採取する必要がある。実際は化学分析用の粉末試料を採取するのと等しい水準の試料採取をすれば、最低限の代表値を得られる。
<S2:試料粉砕工程>
S2では、XRD用に採取した試料に対して、粉砕および縮分を行う。試料の粉砕方法は、鉱物相に影響を与えなければ特に限定しない。振動ミル、ボールミル(回転ミル)、スタンプミルなどの粉砕装置を用いるのが一般的である。振動ミルやボールミルは、粉砕と同時に混合も行われるため、スタンプミルよりも時間短縮が可能である。粉砕試料は、XRDで分析するため、焼結鉱試料の粒度は平均125μmが好ましい。試料の粒度が粗すぎると、配向によってXRDパターンに悪影響を及ぼす。逆にナノメートルオーダーの粒径の場合、結晶性が悪化しアモルファスのようなXRDパターンになる。上記の粉砕装置では、ナノメートルオーダーの粒径になる可能性は低いので、通常の粉砕の場合は粗くならないように粉砕するとよい。
縮分については、試料の粉砕後、乳鉢などを用いて粉末試料を混ぜる程度でよい。振動ミルやボールミルは粉砕と混合を同時に実施するため、基本的に粉砕後の縮分作業は必要ない。スタンプミルで粉砕した場合は、試料の混合が不十分である可能性があるため、縮分作業を実施して均一な粉末を製造するのが好ましい。焼結鉱試料が多すぎて、一度の作業で試料を粉砕できない場合は、複数回に分けて粉砕作業を行う。この場合は、粉砕法に関わらず、すべての試料を粉砕した後に、乳鉢にて試料を混ぜなおすのが好ましい。
<S3:X線回折パターン測定工程>
S3ではX線回折パターンを測定する。測定方法について記述する。まず、S2で粉砕した焼結鉱試料をサンプルホルダーに詰める。XRD測定に影響がなければ、サンプルホルダーの材質は限定しないが、一般にはガラス製である。試料粉末をサンプルホルダーに詰める際には、必要以上に強く詰めないのが好ましい。強く詰めると焼結鉱の結晶方位が揃って、正確なXRDパターンが測定され難くなる(配向が起こる)。詰めた後の試料の表面は平滑にするのが好ましい。これは、表面に凹凸があると侵入深さが一定でなくなり、XRDパターンに悪影響が生じるためである。焼結鉱の粉末は、特に配向が起こりやすい試料ではないため、配向を防ぐための特別な構造や方法は必要ない。
XRDで用いるX線源がCo管球の場合、入射X線の侵入深さは約1μmである。そのため、試料の厚さは0.2mm以上あればよい。このような条件で作製した焼結鉱の粉末試料をX線回折装置にセットして、XRDパターンを測定する。
XRDパターンの測定条件について説明する。XRDパターンの測定には、ディフラクトメータ(集中法)を用いる。後工程で、リートベルト解析を実施してXRDパターン全体を精密化するため、XRDパターンの測定範囲2θは広いほうが好ましい。例えば、2θ=10°〜140°の範囲で測定するのが好ましい。ステップ刻み(Δ2θ)は0.02°あるいは0.04°のどちらかを選択する。スキャンタイプはステップスキャン、連続スキャンどちらでもよい。検出器の露光時間(ステップスキャン)またはスキャンスピード(連続スキャン)は、最大強度が2万〜3万カウントになるように設定するのが好ましい。スリット条件は、入射X線の照射面積が試料面積を超えないようにする。X線源は、CoKα線やCuKα線を使用できる。X線源の元素に合わせたKβフィルターを検出前に装入し、Kβ線を軽減させるのが好ましい。
<S4:リートベルト解析工程>
S4ではXRDにリートベルト解析を行う。リートベルト解析は、XRD測定によって得られたXRDパターン(実測XRDパターン)に一致するように、計算XRDパターンの因子を最小二乗法によって最適化する方法である。これによって、一般的なピーク強度比較以上の精度で鉱物相の決定と定量ができる。リートベルト解析による定量には、標準物質を混合しないで鉱物相の定量が可能なWPPF(Whole Powder Pattern Fitting)法を利用するのが好ましい。
リートベルト解析用の解析ソフトウェアはリガク製のPDXL-2が挙げられる。また、結晶相のデータベースは、ICDD-PDF(International Centre for Diffraction Data - Powder Diffraction File(TM))を、用いることができる。
以下の説明は解析ソフトウェアとしてPDXL-2を、結晶相のデータベースとして、ISDD-PDFの2012年版を利用した場合を例に説明するが、解析ソフトウェアと結晶相のデータベースはこれらに限定されない。
PDXL-2を用いてのリートベルト解析は、(1)計算XRDパターンの初期設定、(2)初期鉱物相の決定、(3)精密化条件の決定、(4)パターンの精密化、の順番で実行する。この順に沿って説明する。
まず、計算XRDパターンの初期条件を設定する。PDXL-2に焼結鉱のXRDパターンを読み込ませると、実測XRDパターンに近い計算XRDパターンが自動的に計算される。しかしながら、XRDパターンによっては、実測XRDパターン中に存在するピークが、計算XRDパターン内に反映されていない場合や、バックグラウンドに異常が見られる場合もある。その場合は、手動で補正をする必要がある。
PDXL-2には、ピーク位置を追加する機能があるため、その機能を利用して見落としたピークを修正する。特に2θ=30°〜50°間のピークは自動計算では見落とされやすいため注意する。逆に、バックグラウンドをピークとして誤検出した場合等は、ピークの削除も可能である。バックグラウンドの異常はピーク見落としに比べると頻度は少ないため、基本的にはバックグラウンドを補正する必要はない。明瞭に異常が確認された際のみ実施するとよい。その場合はバックグラウンドを編集する機能があるので、それを用いて修正するとよい。このピーク位置およびバックグラウンドの補正は、次のステップの初期鉱物相の選択に影響を与える。
次に、初期鉱物相を選択する。PDXL-2では、鉱物相の元素を選択すると、前述にて補正した計算XRDパターンに合う候補の鉱物相を読み込み、近い順番にこれらをリストアップする機能がある。この機能を利用して、鉱物相およびその順番を選択する。鉱物相の選択の順番もリートベルト解析結果に影響を与えるため、焼結鉱の鉱物相を選択する際には、極力、存在分率の高い順番に選択するのが好ましい。焼結鉱中の主要な鉱物相は、ヘマタイト(α−Fe23)、マグネタイト(Fe34)、多成分系カルシウムフェライト(SFCA、SFCA−I)、シリケートスラグ(Ca2SiO4)である。また、生成条件によってはウスタイト(FeO)、2元系カルシウムフェライトなどが、微量(約3質量%以下)ながら生成する可能性がある。
この時点では焼結鉱中の鉱物相の正確な存在分率はわからないが、基本的には前述したヘマタイト、マグネタイト、多成分系カルシウムフェライト、シリケートスラグの順番での鉱物相の精密化を実施すると良い。また、微量のウスタイトや2元系カルシウムフェライトについても精密化対象にしても良いが、これらの相を先に精密化してしまうと、正確な結果が得られない可能性がある。なお、本発明において、これらの微量(約3質量%以下)な相の有無は結果にほとんど影響がないため、必ずしも選択する必要はなく、解析対象外としても問題ない。
そのため、一般的な焼結鉱の場合では、主要鉱物相であるヘマタイト、マグネタイト、SFCA、SFCA−I、シリケートスラグの順番で初期鉱物相5種を選択するとよい。但し、試料によってはこの順番を変更することでフィッティング精度が向上するケースもある。
それぞれの鉱物相の選択の留意点を以下に説明する。まずは、ヘマタイトおよびマグネタイトの候補の鉱物相を選択する。ヘマタイト、マグネタイトは、似た結晶構造をもつ鉱物相がデータベース内に多く存在する。どの鉱物相を選択しても、後のステップで結晶構造を精密化するため、結果への影響は少ない。ヘマタイトは2θ=33°付近に最大ピークが、マグネタイトは2θ=35°付近に最大のピークが存在する。これと、XRDパターンのFOM(Figure of Merit)を参考にして選択するのが好ましい。FOMとは、評価する試料のXRDパターンと、候補の鉱物相のXRDパターンの差を定量的に示した値である。FOMが小さいほど、評価する試料中に、その鉱物相が含まれている可能性が高いと考えられる。
SFCAは連続固溶体であるため異なる組成の相が多数確認されているが、基本的には、Ca2(Ca,Fe,Al)6(Fe,Al,Si)620の構造式を満たした、結晶構造を有する。本実施形態では、Calcium Iron Aluminum Silicate(化学式:Ca2.8Fe8.7Al1.2Si0.820,No:08-1-080-0850)(Fe23/CaO=1.6)を選択して、解析する。一般的な焼結鉱中に存在するSFCA組成は、Ca2.8Fe8.7l1.2Si0.820とは限らない。ただし、実際には、SFCA組成が多少違っていても、定量値に明瞭な差が出る可能性は低く、SFCAの条件を満たした構造(例えば、化学式:Ca2.8Fe8.7l1.2Si0.820等)であればまず問題ない。また、SFCAはFe、Ca、Al、Siの4元系で構成されるが、それ以外の脈石(例えばMgなど)が固溶した場合でも、SFCAの条件を満たしていればSFCAと同様の解析が可能である。
SFCA−Iも連続固溶体であるため、Ca3(Ca,Fe)(Fe,Al)1628の構造式を満たした結晶構造を有しつつ、異なる組成の相が複数存在するが、組成が明瞭に変わらない限りは定量値に大きな影響はない。そのため、本実施形態では、化学式:Ca3.18Fe15.48Al1.3428、No:00-052-1258を選択する。
シリケートスラグはダイカルシウムシリケート(Ca2SiO4)が大部分を占めるため、この組成の結晶相を選択するとよい。中でも2θ=32°付近に強い回折ピークをもつ、Lernite(Ca2SiO4)が焼結鉱のXRDパターンに適合している。特に問題がなければこの相を選択するのが好ましい。Lerniteもヘマタイトやマグネタイトと同じく、似た結晶構造をもつ鉱物相が存在するため、XRDパターンとFOMを参考にしながら、最も適したLerniteを候補の相に選択する。
次に、上記の主要鉱物相を選択した後、ウスタイトや2元系カルシウムフェライト等の微量相を追加の解析対象としてもよい。前述したがこれらの微量相を必ずしも選択する必要はなく、解析対象外としても問題ない。但し、試料によっては、主要鉱物相以外の鉱物相の回折ピークが明瞭に検出されるケースもあるので、その場合は必ずその相は解析対象とする。
次に、精密化条件を決定する。
具体的には、選択した候補の鉱物相に対して、リートベルト解析の条件を設定する。
リートベルト解析で計算XRDパターンに利用する理論回折強度の計算式を式(1)に示す。
Figure 2020015957
ここで、
s:尺度因子
SRi):試料表面粗さの補正因子
A(θi):吸収因子
D(θi):一定照射補正因子
K:ブラッグ反射強度に寄与する反射の番号
mk:ブラッグ反射の多重度
Fk:結晶構造因子
Pk:選択配向関数
L(θk):ローレンツ偏光因子
θk:ブラッグ角
Φ(Δ2θik):プロファイル関数
yb(2θi):バックグラウンド関数
焼結鉱のXRDパターンのリートベルト解析で精密化する因子は、格子定数、プロファイル関数、結晶構造の3つを選択するとよい。
これらの因子は、式(1)中では以下の式(2)〜(5)で表される。
Figure 2020015957
プロファイル関数(Φ(Δ2θik))に組み込まれている、対称プロファイルパラメータU、V、Wは装置条件に関する因子である。装置が共通の条件では変化しないため、フィッティング対象から除外することが好ましい。また、結晶構造因子に組み込まれている温度因子Tjは、複数の鉱物相の定量の際には精度よく決定することは困難であるため、フィッティング対象から外すほうが好ましい。これによって、解析結果の発散を抑制することができる。また、結晶構造因子のフィッティングは微量相には適用しない方が望ましい。同じく、結晶構造因子のフィッティングは相の定量値には大きな影響を及ぼす可能性は低く、解析時間の短縮を望むケースでは実施しなくても問題ない。但し、試料間の評価をする際にはリートベルト解析条件を極力、同一にした解析結果で比較することが望ましい。
次に、パターンの精密化(フィッティング)を行う。
フィッティングする因子は、格子定数、プロファイル関数、結晶構造の3つがある。まず、格子定数とプロファイル関数の精密化を同時に実施する。その後、結晶構造の精密化を行うとよい。なお、微量相においては結晶構造の精密化は対象外で良い。
鉱物相の順番は、候補の鉱物相を決定した順番で実施するのが好ましい。表1に具体的なフィッティングの順番を示したので、これを用いて説明する。
本実施形態では、ヘマタイト、マグネタイト、SFCA、SFCA−I、Ca2SiO4の順番に、格子定数とプロファイル関数を同時に精密化する。一番初めのヘマタイトとマグネタイトの精密化は同時でも良い。これが完了したら、条件に応じて、ヘマタイト、マグネタイト、SFCA、SFCA−I、Ca2SiO4の結晶構造の精密化を実施する。
Figure 2020015957
フィッティングが完了したら、S値を評価してフィッティングの精度を確認する。S値は以下の式(6)で示される。
Figure 2020015957
ここで、
yi:回折強度
Wi=1/yi
N :全データ数
P :精密化するパラメータの数
S値は、計算XRDパターンが実測XRDパターンに近づくほど、小さい値をとる(最小は1)。そのため、S値を評価することで、焼結鉱のフィッティング精度を見積もることができる。しかしながら、異なる試料間でのS値の比較はできない。S値の評価は、同じXRDパターンに対してのフィッティング精度の比較に用いるのが好ましい。
一般的な焼結鉱の場合、S値が2〜3であれば、十分に高精度に鉱物相の決定と定量がされたと判断できる。ただし、焼結鉱試料によってはフィッティングが妥当であっても、S値が3以上になることがある。
S値を確認して、リートベルト解析で十分な解析結果が得られたと判断したら、S4は終了である。
<S5:軟化開始温度評価工程>
S5では、軟化開始温度を評価する。
第1の実施形態では、SFCA−Iの定量値で軟化開始温度を評価する。SFCA−Iの定量値(SFCA―I相分率)が高い焼結鉱は軟化開始温度が高いと推定することができる。
比較対象である軟化開始温度は、焼結鉱の軟化開始温度として、非特許文献1の高温荷重軟化試験法に従って求めた、軟化開始温度を用いるのが好ましい。
上記の評価方法を用いて複数の焼結鉱を解析することで、軟化開始温度とSFCA−I相分率の相関を導くことができる。この手法によって得られた相関曲線を適用することで、焼結鉱に含まれるSFCA−I相分率から、その焼結鉱の軟化開始温度を評価できる。
このように、本実施形態では、焼結鉱のリートベルト解析から決定した焼結鉱中のSFCA−I相分率から、焼結鉱の軟化開始温度を評価している。
そのため、高温荷重軟化試験や塩基度測定を行わなくても、焼結鉱の軟化開始温度を簡便に評価できる。
次に、第2の実施形態について、説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態において、S5でヘマタイト相分率およびマグネタイト相分率をSFCA−I相分率と組み合わせた指標で軟化開始温度を評価するものである。
具体的には、S5で、SFCA−I相分率を(ヘマタイト相分率+マグネタイト相分率)で除した値で軟化開始温度を評価する。この値が高い焼結鉱は軟化開始温度が高いと推定することができる。これは、以下の理由であると考えられる。
まず、本出願人は、軟化開始温度が、ヘマタイト相分率とマグネタイト相分率の和に反比例することを確認した。ヘマタイト相分率とマグネタイト相分率が低いことは、カルシウムフェライト相が多量に生成した結果であると推定される。ヘマタイトは鉄鉱石由来の元鉱とカルシウムフェライト系融液から晶出される2次ヘマタイトに大きく分類される。元鉱は、焼結反応中に生成するカルシウムフェライト系融液に取り込まれながら進行するため、カルシウムフェライト系融液量が増大すると減少する。また、2次ヘマタイトはカルシウムフェライト系融液の拡散後に晶出するため、高温でかつ長時間の焼成温度でその生成量が増大する。SFCA−Iは低温で生成量が増大することから、2次ヘマタイトが少ない焼結鉱はSFCA−I相分率が高くなると考えられる。マグネタイトも2次ヘマタイトと同様に高温で生成量が増大するため、マグネタイトが少ない焼結鉱はSFCA−Iが増大しやすいと考えられる。以上のことから、SFCA−I相分率が増大する熱条件は、ヘマタイト(特に2次ヘマタイト)とマグネタイトが生成し難い条件であると推察される。その結果、SFCA−I相分率に対して、ヘマタイト相分率とマグネタイト相分率の和で割ることで、軟化開始温度と強い相関を得る結果となったと考えられる。
第2の実施形態は、塩基度が高いと予測される焼結鉱を評価する場合に、特に有利である。塩基度が高いとは、例えば、焼成前の原料(インプット原料とも称す)の塩基度が1.68以上の場合である。
なお、S5以外の工程は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
次に、第3の実施形態について、説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態において、S5でマグネタイト相分率をSFCA−I相分率と組み合わせた指標から軟化開始温度を推定するものである。
具体的には、S5で、SFCA−I相分率をマグネタイト相分率で除した値で軟化開始温度を評価する。この値が高い焼結鉱は軟化開始温度が高いと推定することができる。理由は、第2の実施形態と同様に、マグネタイトは高温で生成量が増大するため、マグネタイトが少ない焼結鉱はSFCA−Iが増大しやすいと考えられるためである。
第3の実施形態は、第2の実施形態と異なり、ヘマタイト相分率を評価指標に用いていないが、このようなヘマタイト相分率を用いない指標は、塩基度が低いと予測される焼結鉱を評価する場合に、特に有利であることを本発明者は確認した。これは、以下の理由によるものと推定される。まず塩基度が低いと、焼結鉱生成時に融液が生成し難くなる。その結果、ヘマタイトが融液中に溶融せず残存し、軟化開始温度によらず、ヘマタイト分率が高い焼結鉱が生成される傾向にある。この場合、ヘマタイト分率を指標に組み込むと、軟化開始温度の指標としては差が出にくくなる。
塩基度が低いとは、例えば、インプット原料の塩基度が1.68未満の場合である。
なお、S5以外の工程は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例には限定されない。
複数の焼結鉱試料に対して、軟化開始温度とSFCA−I相分率、およびSFCA−I相分率をヘマタイト相分率とマグネタイト相分率で除した値との相関を評価した。具体的な手順は以下の通りである。
まず、焼結鉱試料は、鉄鉱石に石灰石を9.0〜11.0質量%、熱源のコークスを外数4.0〜5.5質量%の範囲で添加した造粒物を用意した。
この造粒物をDL焼結機で焼結し、パレット抜きした焼結ケーキを用意し、焼結ケーキを破砕して、直径5mm以下に整粒したものを試料として採取した。
採取した焼結鉱の量は1kgである。その焼結鉱を高温荷重軟化試験法にて、軟化開始温度を測定した。
XRD測定条件
管球:CoKα (40kV、36mA)
検出器:1次元検出器D/tex(Rigaku製)
2θ:10〜140deg
Δ2θ:0.02deg
スキャン速度:1deg/min
測定したXRDパターンに対して、リートベルト解析を実施して、各相の相分率を求めた。この際、焼結鉱中のSFCAの相分率を測定するにあたって、SFCA−IをSFCAと分離してリートベルト解析を行った。
さらに、焼結鉱の原料中のCaOとSiO2の質量比CaO/SiO2を求めて塩基度とした。
鉱物相の定量値(相分率、質量%)、軟化開始温度、塩基度を表2に示す。表2のSSはシリケートスラグ(ダイカルシウムシリケート)を示す。
次に、得られた表2を元に、SFCA―Iと軟化開始温度の相関を評価した。結果を図2のグラフに示す。
さらに、塩基度と軟化開始温度との相関を評価した。結果を図3のグラフに示す。
また、SFCA―I相分率を(ヘマタイト相分率+マグネタイト相分率)で除した値と、軟化開始温度の相関を評価した。結果を図4のグラフに示す。
Figure 2020015957
図2に示すように、SFCA−Iは、軟化開始温度と強い相関があることが確認された。図2中にはSFCA−Iの近似直線とR2値も示した。近似直線を示す式にSFCA―Iの相分率を代入することで、おおよその軟化開始温度を見積もることが可能である。
図3に示すように、塩基度も軟化開始温度と相関があった。
図4に示すように、SFCA−I相分率を(ヘマタイト+マグネタイト)相分率で除した値である指標と軟化開始温度の関係は、SFCA−I相分率単体で評価した場合よりも高い相関が得られ、塩基度と同程度であった。
この結果から、SFCA−IをSFCAと分離してリートベルト解析を行い、焼結鉱中のSFCA−Iの相分率を測定することにより、SFCA−Iと軟化開始温度の間に強い相関が得られることがわかった。そのため得られた相関から軟化開始温度を精度よく評価できることが分かった。また、ヘマタイト相分率とマグネタイト相分率を組み合わせることで、塩基度を用いた場合と同程度の高い精度で軟化開始温度を評価できることが分かった。
次に、インプット原料の塩基度が1.68以上で焼成した試料番号1〜10の焼結鉱に対して、SFCA―Iと軟化開始温度の相関を評価した。結果を図5のグラフに示す。
さらに、試料番号1〜10の焼結鉱に対して、塩基度と軟化開始温度の相間を評価した。結果を図6のグラフに示す。
試料番号1〜10の焼結鉱に対して、SFCA−I相分率を(ヘマタイト+マグネタイト)相分率で除した値との相関を評価した。結果を図7のグラフに示す。
図5〜図7に示すように、いずれも相関が見られたが、塩基度との相関よりも、SFCA−I相分率、またはSFCA−I相分率を(ヘマタイト+マグネタイト)相分率で除した値と軟化開始温度との相関が高かった。特に、SFCA−I相分率を(ヘマタイト+マグネタイト)相分率で除した値と軟化開始温度との相関が最も高かった。
この結果から、塩基度が高いと予測される焼結鉱については、SFCA−I相分率、またはSFCA−I相分率を(ヘマタイト相分率+マグネタイト相分率)で除した値と軟化開始温度との相関が、塩基度と軟化開始温度との相関よりも高いことが分かった。
次に、インプット原料の塩基度が1.65以下で焼成した焼結鉱に対してSFCA―Iと軟化開始温度の相関を評価した。結果を図8のグラフに示す。塩基度と軟化開始温度との相関も評価した。結果を図9のグラフに示す。
また、SFCA―I相分率をマグネタイト相分率で除した値と、軟化開始温度の相関も評価した。結果を図10のグラフに示す。
図7〜図10に示すように、いずれも相関が見られたが、塩基度との相関よりも、SFCA−I相分率、またはSFCA−I相分率をマグネタイト相分率で除した値と軟化開始温度との相関が高かった。特に、SFCA−I相分率をマグネタイト相分率で除した値と軟化開始温度との相関が最も高かった。
この結果から、塩基度が低いと予測される焼結鉱については、SFCA−I相分率、またはSFCA−I相分率をマグネタイト相分率で除した値と軟化開始温度との相関が、塩基度と軟化開始温度との相関よりも高いことが分かった。
以上、実施形態および実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記した実施例および実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の思想の範囲内において各種変形例および改良例に想到するのは当然のことであり、これらも本発明の範囲に含まれる。

Claims (4)

  1. 鉄含有原料、副原料、炭材を含む原料を造粒して得られた焼結原料粒子を、焼成して得られた焼結鉱を粉末状に粉砕して粉末試料を得る試料粉砕工程と、
    前記粉末試料をX線回折法によって分析し回折パターンを得るX線回折パターン測定工程と、
    前記回折パターンにリートベルト解析を適用して、Fe、Ca、Si、Alを含み、Fe含有量がSFCA−I(Silico-ferrite of calcium and aluminum-I)より低いカルシウムフェライト相である、SFCAと、前記SFCA−Iとを分離して、前記SFCA−Iの相分率を定量するリートベルト解析工程と、
    鉱物相のうち、前記SFCA−Iの相分率から前記焼結鉱の軟化開始温度を評価する軟化開始温度評価工程と、
    を実施する焼結鉱の軟化開始温度評価方法。
  2. 請求項1に記載の焼結鉱の軟化開始温度評価方法であって、
    前記軟化開始温度評価工程は、
    SFCA−Iの相分率をヘマタイト相分率とマグネタイト相分率の和で除して得た指標から前記焼結鉱の軟化開始温度を評価する工程であることを特徴とする、焼結鉱の軟化開始温度評価方法。
  3. 請求項1に記載の焼結鉱の軟化開始温度評価方法であって、
    前記軟化開始温度評価工程は、
    SFCA−Iの相分率をマグネタイト相分率で除して得た指標から前記焼結鉱の軟化開始温度を評価する工程であることを特徴とする、焼結鉱の軟化開始温度評価方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焼結鉱の軟化開始温度評価方法であって、
    前記リートベルト解析工程は、
    前記SFCA−IとしてCa3(Ca,Fe)(Fe,Al)1628の構造式を満たした結晶相を選択し、
    前記SFCAとしてCa2(Ca,Fe,Al)6(Fe,Al,Si)620の構造式を満たした結晶相を選択して、前記回折パターンにリートベルト解析を適用して前記鉱物相の相分率を求める工程であることを特徴とする、焼結鉱の軟化開始温度評価方法。
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