JP2011127191A - 焼結鉱解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高炉原料用の焼結鉱に含有される結合相の結晶構造を簡便かつ定量的に評価できるようにする。
【解決手段】 焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定し、Fe原子からの距離が0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数をそれぞれNCa、NFeとして、比率=NCa/(NCa+NFe)で定義される相関指数CFCを導出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高炉原料用の焼結鉱の製造に用いる各種銘柄の鉄鉱石の結合相の結晶構造を解析するために用いて好適なものである。
一般に、高炉原料用の焼結鉱は、鉄鉱石粉や石灰石等を原料にして造粒過程、焼成過程を経て製造される。すなわち、まず、鉄鉱石粉や篩下粉、副原料(石灰石、蛇紋岩等)、粉コークス、無煙炭、返鉱等を配合し、これを一次ミキサー、二次ミキサーで混合、造粒し、粒径1mm以上の核粒子の周りに粒径1mm未満の微粉が付着(微粉が付着した部分を「付着粉部」という)した擬似粒子を製造する。その後、この擬似粒子を焼結機に装入して焼結ベッドを形成し、次いで、焼結ベッド表層の粉コークス等の燃料に点火し、下向きに通風しながら燃焼して焼結原料を焼成する。これにより高炉原料用の焼結鉱が製造される。
焼成過程では、焼結原料は、燃料の燃焼熱により加熱され、その温度は、最高1400℃近くまで上昇する。通常、1200℃付近で、擬似粒子の付着粉部から初期融液(CaO-Fe2O3)が生成し始め、この後、温度が1200℃前後を越えて上昇すると、温度の上昇に伴い、初期融液が、焼結原料の中に浸透していき、所要の鉱石成分を溶かし込み、より多くの融液を生成し、最終的には、焼結鉱の結合相を形成する。この結合相の量、拡がり程度、および/または、結合態様は、焼結鉱の品質や、歩留りに大きく影響する。
従来、この結合相を評価する方法として、平衡状態図を用いて焼結鉱の原料組成から結合相の量を推定する方法(例えば、特許文献1を参照)や、焼結鉱の断面組織を光学顕微鏡等で観察することによりその組織形態を評価する方法(例えば、特許文献2を参照)がある。
しかしながら、結合相の量や組織形態が類似していても、強度や被還元性といった焼結鉱の諸特性が大きく異なる場合が多く、焼結プロセスを改善するための新たな評価法が必要となっていた。
なお、焼結鉱を含め、一般に固体の構造解析方法にX線を用いた技術がある(例えば、非特許文献1、2を参照)。
特開2002−129247号公報 特開2003−82417号公報
菊田著「X線回折・散乱技術」(東京大学出版会,1992) 宇田川康夫編「X線吸収微細構造」(学会出版センター,1993)
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、高炉原料用の焼結鉱に含有される結合相の結晶構造を簡便かつ定量的に評価できるようにすることを目的とする。
本発明者らは、焼結鉱の結合相の主体であるカルシウムフェライト化合物相(以下CF相と称する)の原子配置と、焼結鉱の諸特性に関して検討した。その結果、CF相の原子配置、特に、FeとCaの原子相関が重要であることを見出し本発明に至った。
大気中のCa-Fe-O三元系平衡状態図において、実際の焼結鉱製造プロセスに用いられる代表的な原料配合比率付近に対応するCa-Fe-O酸化物である、CaFe2O4相およびCa2Fe9O13相の結晶構造を図1に示す。具体的に、図1(a)にCaFe2O4相を示し、図1(b)にCa2Fe9O13相を示す。また、図1において、白抜きの丸はOを表し、斜線を施した丸はCaを表し、黒で塗り潰した丸はFeを表す。図1に示すように、CaFe2O4相およびCa2Fe9O13相は、FeおよびCaの周りにO(酸素)が配位したユニット(以降、それぞれ、Fe-Oユニット、Ca-Oユニットと称する)が配列した構造となっており、両者の構造の違いはそのユニットの配列の仕方にある。すなわち、Fe-Oユニットの周りに存在する、Fe-Oユニットの数とCa-Oユニットの数とから求めたユニット比率(=Ca-Oユニットの数/(Fe-Oユニットの数+Ca-Oユニットの数))は、CaFe2O4相の方がCa2Fe9O13相よりも大きいことがわかる。つまり、CaFe2O4相の方がCa2Fe9O13相よりも、Fe-OユニットとCa-Oユニットが近い距離に存在しているのである。
しかしながら、実際に製造される焼結鉱中のCF相は、上述したような、大気中のCa-Fe-O三元系平衡状態図から予想される安定相と同一の結晶構造を有するとは限らない。焼結プロセスにおいて、CF相が形成される条件(温度、局所の材料中の構成元素濃度、ガス雰囲気等)は、長時間一定ではなく、短時間に大きく変化するからである。例えば、領域の径が数mm程度の局所では、1200℃以上の温度が保持される時間は数十秒以下である。そのため、異なる粒子間の表面のみに拡散が生じて、その局所の領域の材料中の構成元素の濃度は、原料の配合比率とは大きく異なる。さらに、コークスの燃焼に伴い局所の領域の酸素濃度は、大気の酸素濃度に比べて低下している。
そのため、従来から行われているように、平衡状態図を用いて焼結鉱の原料組成から結合相の量を推定する方法では、その値を正しく見積もれない場合が生じたのである。また、焼結鉱の断面組織を光学顕微鏡等で観察することによりその組織形態を評価する従来の方法では、結合相に含まれる複数のCF相を区別することができず、同じような組織形態を有しながら、焼結鉱の諸特性(例えば、機械的強度や被還元性)が異なるという問題が生じた。
結晶成長は原子の周りの環境に大きく依存する。そのため、この環境が違うと、昇降温に伴う拡散・溶融・凝固等の現象に差異が生じ、最終的に生成する鉄鉱石の組織が大きく異なる。その結果、鉄鉱石の強度や被還元性が大きく異なる。本質的には、化学的な構造環境が重要であり、その指標として、本発明者らは、FeとCaの原子相関が重要であることを見出した。
以上の知見の下でなされた本発明は、以下の通りである。
(1)焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定する結晶構造決定工程と、前記カルシウムフェライト化合物相の結晶構造に基づいて、前記カルシウムフェライト化合物相に含まれるFe原子からの距離が0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数を導出する原子数導出工程と、前記Fe原子からの距離が0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数をそれぞれNCa、NFeとして、以下の式(A)で定義される、前記焼結鉱中の結合相の結晶学的特徴を評価するための相関指数CFC(Calcium Ferrite Correlation)を導出する相関指数導出工程と、を有することを特徴とする焼結鉱解析方法。
CFC=NCa/(NCa+NFe) ・・・(A)
(2)前記相関指数導出工程は、複数の前記カルシウムフェライト化合物相それぞれについて相関指数CFCを求め、それぞれの相関指数CFCに、前記複数のカルシウムフェライト化合物相それぞれのモル分率を掛けたものを加算することにより、前記複数のカルシウムフェライト化合物相全体の前記相関指数CFCを決定することを特徴とする(1)に記載の焼結鉱解析方法。
(3)前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相をX線回折法により測定する測定工程を有し、前記結晶構造決定工程は、前記X線回折法により測定された結果に基づいて、前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定することを特徴とする(1)又は(2)に記載の焼結鉱解析方法。
(4)前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相に含まれるFe原子の周りの動径分布関数をXAFS法により決定する動径分布関数決定工程を有し、前記結晶構造決定工程は、前記動径分布関数に基づいて、前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定することを特徴とする(1)又は(2)に記載の焼結鉱解析方法。
本発明により、高炉原料用の焼結鉱に含有される結合相の結晶構造を、簡便かつ定量的に評価することが可能である。その結果、結晶相中のカルシウムフェライト化合物相の原子配置を考慮した評価が可能となり、焼結鉱の諸特性と関連性の高い評価が可能となる。さらに、本発明では、焼結プロセス特有の製造条件に対応可能であり、データベースに標準物質がない相についても適用可能である。本発明は、原料の劣質化・多様化、対環境や高効率化に対応した焼結鉱の開発に有効な評価法であり、工業的意義が大きい。
CaFe2O4相およびCa2Fe9O13相の結晶構造を示す図である。 実施例における配合3の鉄鉱石のX線回折図形を示す図である。 実施例における配合例1の、原子種、Fe原子からの距離、平均個数の調査結果を示す図である。 実施例における配合2の鉄鉱石のXAFSスペクトルから求めた動径分布関数を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態による焼結鉱の評価方法では、焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定し、以下の指標:Fe原子とCa原子の相関指数CFC(Calcium Ferrite Correlation)により、焼結鉱の結晶構造を評価すればよい。なお、ここでいう「カルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定する」とは、カルシウムフェライト化合物相を構成する原子の配列について、最低限、Fe原子とCa原子の互いの原子相関に関する情報を求めることを意味する。すなわち、本実施形態による焼結鉱の評価方法は、カルシウムフェライト化合物相の結晶性に関係なく、実施可能である。カルシウムフェライト化合物相の結晶性が高い場合には、結晶の単位胞(ユニットセル)の構造を決めることも可能になる。一方、カルシウムフェライト化合物相の結晶性が低い場合、すなわち、カルシウムフェライト化合物相に非晶質成分が含まれる場合では、結晶の単位胞(ユニットセル)の構造を決めるのは原理的に困難になるが、構成原子の原子相関に関する情報を決定することは可能である。よって、本実施形態による焼結鉱の評価方法は、カルシウムフェライト化合物相の結晶性が低くても実施可能である。
カルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定した後、カルシウムフェライト化合物相中に存在する個々のFe原子について、Fe原子からの距離rが0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数(原子数)をそれぞれNCa、NFeとしたときの比率(=NCa/(NCa+NFe))を、カルシウムフェライト化合物相中に存在する全てのFe原子について求め、その値の平均を相関指数CFCとする。
Fe-OユニットとCa-Oユニットの配置を示す指標として、Fe原子からの距離rが、一定の範囲にあるCaとFeの原子数の存在数をそれぞれNCa、NFeとしたときの比率(=NCa/(NCa+NFe))である相関指数CFCを用いれば、簡便にかつ本質的に結合相に含まれるCF相を評価することができる。これは、Fe原子とCa原子との相関は、Fe-OユニットとCa-Oユニットとが近い距離にどの程度存在するか、すなわち、両ユニット間の相互作用(空間的配置)を簡便に評価できる指数であるからである。その結果、相関指数CFCは、両ユニットの相互作用の結果として発現する焼結鉱の諸特性(例えば、機械的強度や被還元性)との関連性が高い有用な評価法となる。
相関指数CFCを用いると、平衡状態図や結晶構造データベースに該当しないCF相の評価ができなかったという従来の問題を解決することができる。さらに、結合相中に多くの種類のCF相が混在したり、その一部の相の結晶性が悪かったりした場合に、回折法等での評価が困難であったという問題も解決可能である。また、相関指数CFCは結合相の結晶構造に対応して連続的に変化する指標であり、特定のCF相が存在するかどうかの従来の二者選択的な非連続評価法とは異なり、結合相の結晶構造の僅かな差異を明瞭に評価することが可能である。
ここで、相関指数CFCを求めるに際し、Fe原子からの距離rを0.067nm超0.6nm以下の範囲に限定する理由を述べる。
結晶中のFe原子の大きさはその価数により異なり、Fe(II)は半径が約0.082nm、Fe(III)は約0.067nmである。よって、Fe原子からの距離rが0.067nm以下の領域には、他の原子が存在できない。そこで、Fe原子からの距離rを0.067nm超とした。また、FeとCaの原子相関を評価する場合には、直接近接するFe-OユニットとCa-Oユニットとの相関が重要である。そのため、Fe原子からの距離rの上限は、Fe原子から第一近接ユニット(Fe原子に最も近接しているユニット)までの距離よりも大きく、第二近接ユニット(第一近接ユニットの次にFe原子に近接しているユニット)までの距離よりも小さいことが望ましい。Fe原子と、Fe原子に隣接するO(酸素)との距離は約0.20〜0.21nm、Ca原子と、Ca原子に隣接するO(酸素)との距離は約0.24nmであるので、Fe-OもしくはCa-Oの距離の2倍超3倍以下の距離である0.6nmを目安とし、Fe原子からの距離rを0.6nm以下とした。
相関指数CFCを具体的に決定するには、焼結鉱に含有されるCF相を構成する複数の相をX線、電子線、中性子、イオンの散乱等の現象を定量的に解析することにより行う。
(相関指数CFCの第1の決定方法)
まず、焼結鉱に含有されるCF相を構成する複数の相を、X線回折法により測定し、それぞれの相の結晶構造を決定することにより、相関指数CFCを求める方法を例に挙げて以下に述べる。
X線回折法を用いると、材料中の原子の配列が評価でき、結晶の空間群と単位胞における構成原子の位置とを決定できる(例えば、非特許文献1の1章を参照)。以下、具体的な方法を述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。焼結鉱から採取した試料について、X線ディフラクトメーターによる粉末回折図形の測定を行う。その結果から、焼結鉱に含有されるCF相の結晶構造を決定する。
CF相の結晶構造の決定は、結晶データベースの構造データや過去の報告例を参考にしながら構築した結晶モデルに基づいて回折図形を計算し、実測された回折図形と、結晶モデルに基づく回折図形との差異が小さくなるように結晶モデルを変化させることにより行う。本実施形態では、コンピュータ(情報処理装置)が、パラメータフィッティングにより、CF相の結晶構造を決定するようにしている。すなわち、コンピュータは、経験的にユーザが求めた構造モデル(の初期値)を入力して記憶しておく。その後、コンピュータは、焼結鉱に含有されるCF相を構成する複数の相のX線回折図形を入力すると、構造モデル(の初期値)に基づくX線回折図形を、入力したX線回折図形にフィッティングさせ、それらのX線図形が一致したときの構造モデルの各パラメータに基づいて、CF相の結晶構造を導出する。
以上のようにして焼結鉱に含有されるCF相の結晶構造が決定されたら、その結晶構造において、Fe原子からの距離rが0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数(原子数)をそれぞれNCa、NFeとしたときの比率(=NCa/(NCa+NFe))を相関指数CFCとして算出する。複数のCF相が存在する場合には、1つのCF相に含まれる全てのFe原子について求めた相関指数CFCの平均をとり(該複数のCF相のそれぞれの相について相関指数CFCを求め)、その相関指数CFCを、各CF相のモル分率を掛けて足し合わせることにより、複数のCF相全体の相関指数CFCを求めればよい。本実施形態では、コンピュータが、このような演算処理を行うようにしている。
(相関指数CFCの第2の決定方法)
次に、相関指数CFCを具体的に決定する他の方法として、焼結鉱に含有されるCF相に含まれるFe原子の周りの動径分布関数をXAFS法により決定することにより、相関指数CFCを求める方法を以下に述べる。
XAFS(X-ray Absorption Fine-structures:X線吸収微細構造)法は、X線吸収スペクトル法の一つである。X線のエネルギーを増加させながら材料の吸収率を測定すると、X線のエネルギーの増加に対応して材料の吸収率は減少するが、特定のX線のエネルギー(吸収端エネルギー)において、その吸収率が急激に増加する。X線の吸収によって発生した光電子の一部が、複数の原子による散乱と干渉とによって、X線の吸収量に対する構造情報として反映される。つまり、特定原子の吸収端エネルギー近傍のX線の吸収量をモニタすれば、その原子の周りの原子配置(動径分布関数)に関する情報が得られる(例えば、非特許文献2を参照)。以下、具体的な方法を述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、焼結鉱から採取した試料にFeの吸収端エネルギー近傍のエネルギーのX線を照射し透過させる。透過前後のX線の強度を測定し、その比率から試料によるX線の吸収の程度を測定する。この測定を、X線のエネルギーを変えて測定する。得られたX線吸収スペクトル(XAFSスペクトル)について、バックグランドを除去した振動成分を求め、その距離に関するフーリエ変換から、Fe原子の周りの動径分布関数を求める。X線のエネルギーは、X線の波長の逆数に比例しており、この振動周期をフーリエ変換することにより、Fe原子に近接する原子との相関が求まるのである。本実施形態では、X線吸収スペクトルが入力されると、コンピュータが、このような演算処理を行うようにしている。
動径分布関数のそれぞれのピークは、Fe,Ca,Oの存在比率(配位数)に相当するものである。そこで、動径分布関数のなかで、Fe原子からの距離rが0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するFeおよびCaに対応するピークの比率から、Ca原子とFe原子の存在数(原子数)をそれぞれNCa、NFeとしたときの比率(=NCa/(NCa+NFe))を相関指数CFCとして求める。FeおよびCaに対応するピークが一部重なる際には、距離および配位数を仮定した結晶構造モデルにより、FeおよびCaに対応するピークを計算し、実測と一致したときの結晶構造モデルの距離および配位数を求めればよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、又はかかるプログラムを伝送する伝送媒体も本発明の実施の形態として適用することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体などのプログラムプロダクトも本発明の実施の形態として適用することができる。前記のプログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(実施例1)
表1に示す焼結用原料を、表1に示す割合で配合した。このとき、石灰石や蛇紋岩、珪石等のその他の副原料の割合を調整して、焼結鉱のSiO2、CaO/SiO2、MgOの割合(比)を大きく変化させないようにした。このように調整した焼結用原料を焼結鍋試験で焼結して焼結鉱を生成し、冷間強度を測定した。冷間強度は、塊状(例えば、直径10〜30cm程度)の焼結鉱を高さ2mから落下させ、粒径が10mm以上の粒子の質量比率により求めた。
Figure 2011127191
得られた焼結鉱を粉砕して、X線回折法を用いて結晶構造を決定した。Cu Ka線を線源としてX線ディフラクトメーターにより、2θ=5〜120°(π/36〜2π/3rad)、Δ2θ=0.04°(π/4500rad)、各ステップの保持時間=10秒の条件で測定を実施した。CF相の結晶構造の決定のためには、結晶データベースの構造データや過去の報告例を参考にしながら構築した結晶モデルに基づいて回折図形を計算し、実測された回折図形と、結晶モデルに基づく回折図形との差異が小さくなるように結晶モデルを変化させることにより実施した。図2に、配合3の焼結鉱のX線回折図形の測定データおよび計算値を示す。
CF相の結晶構造が決定されたら、その結晶構造において、Fe原子からの距離rが0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数(原子数)をそれぞれNCa、NFeとしたときの比率(=NCa/(NCa+NFe))を相関指数CFCとして求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2011127191
配合1の場合を例として、より詳細な相関指数CFCの決定方法を述べる。
X線回折図形の測定の結果、配合1の焼結鉱は、[A相]=CaFe2O4相に近い結晶構造を有する相、および[B相]Ca2Fe9O13相に近い結晶構造を有する相、の二相から構成され、その比率が、[A相]=31.5mass%、[B相]=68.5mass%、となった。[A相]および[B相]のそれぞれについて、Fe原子の周りに存在する元素について、その種類・距離・平均的な存在数を求めた。[A相]には二種類のFe原子が存在していた。図3に、そのうちの一種類のFe原子の周りに存在する原子の種類(原子種)・当該Fe原子からの距離・平均的な存在数(平均個数)の調査結果に示す。これら、Fe原子の周りに存在する元素について、当該Fe原子からの距離rが0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数(原子数)をそれぞれ求めた。同様のことを、もう一種類のFe原子についても行った。さらに、[B相]についても同様の手順で、Fe原子の周りに存在する元素について、当該Fe原子からの距離rが0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数(原子数)をそれぞれ求めた。[A相]および[B相]、それぞれについて、比率(NCa/(NCa+NFe))を各相の相関指数CFCとして決定した。そして、これら、[A相]および[B相]の相関指数CFCに、[A相]=31.5mass%、[B相]=68.5mass%から計算したそれぞれのモル分率を掛けたものを加算することにより全体の相関指数CFCを決定した。
(実施例2)
実施例1と同様の試料(表1を参照)を用いて、CF相の結晶構造をXAFS法により決定した。前述したようにして得られた焼結鉱を粉砕して、透過法によりXAFSスペクトルを測定した。放射光X線を線源として、X線をSi結晶で分光することによりエネルギーを変えたX線を試料に照射し、透過前後のX線の強度をイオンチャンバーで測定し、吸収率の変化からXAFSスペクトルを得た。得られたXAFSスペクトルについて、バックグランドを除去した振動成分を求め、その距離に関するフーリエ変換から、Fe原子の周りの動径分布関数を求めた。動径分布関数のそれぞれのピークは、Fe,Ca,Oの存在比率(配位数)に相当するものである。試料中には結合相とFe2O3相とが共存しているので、結晶構造が既知のFe2O3相からの動径分布関数への寄与を差し引いて、結合相の動径分布関数を得た。また、結合相中、FeおよびCaに対応するピークが一部重なる際の、距離および配位数を仮定した結晶構造モデルにより、FeおよびCaに対応するピークを計算し、実測と一致したときの結晶構造モデルの距離および配位数を採用した。そして、動径分布関数のなかで、Fe原子からの距離rが0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するFe原子およびCa原子に対応するピークの比率から、 Ca原子とFe原子の存在数(原子数)をそれぞれNCa、NFeとしたときの、比率(=NCa/(NCa+NFe))から相関指数CFCを決定した。図4に、配合2の鉄鉱石のXAFSスペクトルから求めた動径分布関数g(r)の測定例を示す。
(比較例1)
実施例1と同様の試料を用いて、結合相を光学顕微鏡で観察した。試料を樹脂に埋め込み断面を研磨した後、光学顕微鏡で結合相の比率を測定した。
(比較例2)
実施例1と同様の試料を用いて、平衡状態図を用いて結合相の量を推定した。機器分析および化学分析から試料の組成を決定し、Ca-Fe-O三元系状態図から結合相の比率を推定した。
以上、実施例および比較例の結果から、本実施例の効果が明らかに示された。即ち、冷間強度との相関を調べると明白である。実施例で得られた指標は、相関指数CFCと冷間強度とに相関が見られ、相関指数CFCは、試料の特性(冷間強度)の違いに対応した値となっている。それに対して、比較例で求めた結合相の比率および結合相の量は、冷間強度との相関が見られず、冷間強度との対応が見出せない。こうした差異が現れた理由を以下に述べる。
今回の試料の結合相では、結晶構造および組成の異なる2〜3種類のCF相が確認された。各相の結晶構造が異なるため、昇降温に伴う拡散・溶融・凝固等の現象に差異が生じ、結合相中での冷間強度に及ぼす効果(寄与率)が異なる。相関指数CFCは、各相の原子配置に基づく指標であるため、各相の効果(寄与率)を正しく見積もることが可能となり、こうした複合効果の結果であるマクロ特性(冷間強度)と良い相関を示した。このように本発明者らは、原子配置の本質的特徴を抽出する相関指数CFCを見出し、この相関指数CFCにより複合効果を科学的合理性に基づいて定量的に評価できるようになった。よって、相関指数CFCを用いることにより、高炉原料用の焼結鉱に含有される結合相の結晶構造を簡便かつ定量的に評価することができる。
それに対して、従来法(比較例1)では、結晶構造および組成の異なるCF相を区別せずに、かつ、形態のみから結合相の比率を測定して指標としているため、指標である結合相の比率はマクロ特性(冷間強度)との相関を示さなかったと考えられる。
また、従来法(比較例2)では、焼結鉱全体の平均組成からCa-Fe-O三元系平衡状態図から結合相の量を推定した。しかしながら、焼結プロセスにおいて、CF相が形成される条件(温度、局所の材料中の構成元素濃度、ガス雰囲気)は、極短時間で試料全体にわたり平衡状態になるわけではない。そのため、結合相の組成は、焼結鉱全体の平均組成から大きく異なっているのが普通である。よって、こうした従来法(比較例2)による結合相の量を推定する方法で得られた指標は、マクロ特性(冷間強度)との相関を示さなかったと考えられる。

Claims (4)

  1. 焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定する結晶構造決定工程と、
    前記カルシウムフェライト化合物相の結晶構造に基づいて、前記カルシウムフェライト化合物相に含まれるFe原子からの距離が0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数を導出する原子数導出工程と、
    前記Fe原子からの距離が0.067nm超0.6nm以下の範囲に存在するCa原子とFe原子の存在数をそれぞれNCa、NFeとして、以下の式(A)で定義される、前記焼結鉱中の結合相の結晶学的特徴を評価するための相関指数CFC(Calcium Ferrite Correlation)を導出する相関指数導出工程と、を有することを特徴とする焼結鉱解析方法。
    CFC=NCa/(NCa+NFe) ・・・(A)
  2. 前記相関指数導出工程は、複数の前記カルシウムフェライト化合物相それぞれについて相関指数CFCを求め、それぞれの相関指数CFCに、前記複数のカルシウムフェライト化合物相それぞれのモル分率を掛けたものを加算することにより、前記複数のカルシウムフェライト化合物相全体の前記相関指数CFCを決定することを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱解析方法。
  3. 前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相をX線回折法により測定する測定工程を有し、
    前記結晶構造決定工程は、前記X線回折法により測定された結果に基づいて、前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結鉱解析方法。
  4. 前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相に含まれるFe原子の周りの動径分布関数をXAFS法により決定する動径分布関数決定工程を有し、
    前記結晶構造決定工程は、前記動径分布関数に基づいて、前記焼結鉱に含有されるカルシウムフェライト化合物相の結晶構造を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結鉱解析方法。
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